主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人が,平成9年12月11日付けでした,控訴人の平成9年10月24日付けの都市計画法43条1項に基づくクラッシャープラントの新設の許可を求める申請を許可しないとの処分を取り消す。 第2事案の概要 本件は,控訴人が被控訴人に対し,都市計画法43条1項(平成18年法律第46号,第50号による改正前のもの。以下において都市計画法の法条を引用する場合は上記改正前のものを指すに基づきクラッシャープラントの,。),新設の許可を求める申請をしたところ,被控訴人がこれを許可しないとの処分をしたので,その処分の取消しを求めた事案である。 本件にかかる法令の定め,前提となる事実関係並びに争点及びこれに関する当事者の主張は,後記4に付加するほか,原判決の事実及び理由中「第2事」(),案の概要の1ないし41頁末行から9頁8行目までのとおりであるから(,「」,これを引用するただし2頁25行目のクラッシャープラントのの前に「法34条6号に該当する第一種特定工作物としての」を付加する。 。) 原審は,要旨以下のとおり判断し,本件申請は法34条6号の要件を満たすものとは認められず,本件不許可処分は適法であるとして控訴人の取消請求を棄却した。 (1)法34条6号にいう工場施設といえるためには継続的に一定の業「」,,務としての物の製造又は加工の作業が行われていることが必要であり,当該 製造又は加工の作業のために必要な建築物ないし土地に定着した工作物が設置されていることを要すると解すべきである。 (2)控訴人の事業形態及び事業の用に供されている設備の機能 とが必要であり,当該 製造又は加工の作業のために必要な建築物ないし土地に定着した工作物が設置されていることを要すると解すべきである。 (2)控訴人の事業形態及び事業の用に供されている設備の機能や使用状況等に照らすと,本件申請については,法34条6号にいう「現に工業の用に供されている工場施設」が存在しないというべきである。 当審における当事者双方の主張敷衍(控訴人)(1)法34条6号の工場施設については業務を継続的に行うために必要「」,な最小限度の工作物(材料に機械的加工をして組立てたもの,すなわち製作品)が設置されていることを要し,かつ,それで足りるのであって,建築物ないし土地に定着した工作物が設置されていることを要するとする原判決の判断は,法令の解釈を誤ったものである。 (2)控訴人は本件申請地ないしその隣接地に建物控訴人の事業に必要な建,(物)を有し,また,本件申請地及びその隣接地において継続的に路盤材等を製造ないし加工する事業を行っており,当該事業に必要不可欠な工作物として重機及びふるい(後に移動式選別機)を設置しているものであって,これら建物及び工作物等は上記(1)摘示の工場施設たる建物及び工作物に該当するものである。 法34条6号にいう建物は必ずしも工場における作業そのもののためである必要はなく,工作物も土地に定着している必要があるものではない。 (3)本件申請にかかるクラッシャープラントはコンクリートアスファルト,,・コンクリート等の粉砕のため原動機を用いるものであるから,法34条6号にいう「当該施設における事業の効率化を図るために建設することが必要なもの」であることは明らかである。 (4)本件申請は法34条6号の要件に該当し法43条1項に基づく許可がな,されるべきものであるか う「当該施設における事業の効率化を図るために建設することが必要なもの」であることは明らかである。 (4)本件申請は法34条6号の要件に該当し法43条1項に基づく許可がな,されるべきものであるから,本件不許可処分は取消しを免れない。 (被控訴人)(1)法34条6号にいう工場施設の要件に関する原判決の判断は被控訴人「」の主張に添うものであり,妥当なものである。控訴人の主張は独自の見解に過ぎない。 また,その要件の判断については,許可権者の広範な裁量権に委ねられているものである。 (2)本件申請にかかる控訴人所有の建物及び工作物本件施設が法34条6()号に該当するものでないことは明らかであり,これに関する原判決の判断は相当であるから,本件控訴は棄却されるべきである。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,本件申請は法34条6号の許可要件を満たすものとは認められず,本件不許可処分に控訴人主張のような違法性は認められないものと判断する。その理由は,後記2に若干敷衍するほか,原判決の事実及び理由中「第3当裁判所の判断」の1ないし4(9頁10行目から12頁25行目まで)に摘示するとおりであるから,これを引用する。 2(1)本件申請地は市街化調整区域内であるところ市街化調整区域は市街化,「を抑制すべき区域であり法7条3項法1条が掲げる目的や法2条が掲」(),げる都市計画の基本理念などに照らせば,市街化調整区域を定める趣旨は,当該地域の市街化・都市化を抑制し,当該地域における従前の自然環境や農林漁業環境等を将来的に維持していくことにあるものと解される。 したがって,市街化調整区域における開発行為やこれに準ずる建築物の建築,特定工作物の新設等(法43条1項所定の行為)は上記摘示の法の趣旨に反しない限りにおいて 維持していくことにあるものと解される。 したがって,市街化調整区域における開発行為やこれに準ずる建築物の建築,特定工作物の新設等(法43条1項所定の行為)は上記摘示の法の趣旨に反しない限りにおいて例外的に認められるものであり(これは,法34条[同条の許可要件は,上記第2の2のとおり,法43条1項所定の行為についても準用されている柱書が一定の要件に該当する場合でなければ開。],「発許可をしてはならない」と制限的な表現を用いていることからもうかがわ れるところである,法34条各号の定める許可要件も上記摘示の法の目的。)・理念に適合するよう合理的に解釈する必要があることは論を待たないところである。 (2)上記(1)の観点から法34条各号の許可要件を通観するに,住民の生活環境の確保など公益上の必要性に基づくもの1号2号法の趣旨・理念に(,),適合する農林漁業環境の維持活性化に資するもの4号4号の2その性(,),質上市街化区域内に設置することが不適当なもの3号7号8号国ま(,,),たは公共団体が実質的に関与するもの(5号)などそれぞれ合理的な理由に基づくものが掲げられていることが明らかである。 この中で,同条6号の要件は,それ自体公益上の必要性に基づくものではなく,また,同号に定める開発行為や法43条1項所定の建築物・特定工作物の建築等以下本項において開発行為等と総称するを認めること(,「」。)が市街化調整区域を定める法の趣旨・理念に積極的に適合するものともいえないことから,法34条6号の要件は,従前から市街化調整区域内で行われてきた工場施設における事業活動による経済的利益は尊重する必要があること(また,公益的観点からしても,既になされている事業活動が,施設の維持改 法34条6号の要件は,従前から市街化調整区域内で行われてきた工場施設における事業活動による経済的利益は尊重する必要があること(また,公益的観点からしても,既になされている事業活動が,施設の維持改良ができないことにより廃止,縮小を余儀なくされることは,社会経済的な損失となるものである,既に工場施設における事業活動が行われてい。)る場合においては,これを維持改良するような開発行為や法43条1項所定の行為は,新たに開発行為等を行う場合に比較してその影響は限定的で,相当小さいと考えられることなどから,このような開発行為等は例外的に認めても法の趣旨・理念に反しないとの判断から定められたものと解することができる。 ,,したがってある開発行為等が同号の要件に該当するかの判断においては当該行為が上記摘示の同号の趣旨に適合するものといえるかという観点からの検討が不可欠である。そして,この観点からすれば,上記1引用の原判決 も指摘するとおり,同号の要件は厳格に解すべきであり,同号に規定する従前の工場施設は,これを廃止したり,他に移転したりすることが社会経済的にみて不合理と認められるような固定的施設を想定するものであると解するのが相当である。 (3)本件における控訴人の従前施設本件施設は上記1引用の原判決も摘(),示するとおり,その実態は動産である重機やこれに準ずるような装置を使用して露天で稼働していたものに過ぎず,法34条6号が予定する固定的な工場設備とは認められないから,同号に定める「工場施設」には該当しないものと解するのが相当である。また,控訴人の施設に付随して存在する本件木造建物や本件事務所兼倉庫は,いずれも工場施設における事業それ自体に不可欠のものとはいえず,事務所やトイレ等に使用されていたに過ぎないと認められるから, 。また,控訴人の施設に付随して存在する本件木造建物や本件事務所兼倉庫は,いずれも工場施設における事業それ自体に不可欠のものとはいえず,事務所やトイレ等に使用されていたに過ぎないと認められるから,当該建物が存在していることをもって同号に定める工場施設が存在しているものと判断することはできない。 (4)また実質的にみても控訴人の従前施設の処理能力は1日当たり約10,,トン程度であったものが,本件申請にかかるクラッシャープラントの導入後は1日当たり約160トンと従前の16倍にも飛躍的に増大するものであり(この点は,控訴人が自認するところである,本件申請にかかるクラッシ。),,ャープラントの導入は従前施設の維持改良の範疇に収まるものとはいえず実質的に新規施設の導入に匹敵するというべきであって,もはや法34条6号の想定する範囲を超えるものと言わざるを得ない。 (5)以上によれば控訴人による本件申請は法34条6号の許可要件に該当,,しないものであり,これを許可しないとした本件不許可処分には控訴人指摘のような違法な点は認められない。 なお,控訴人は,本件事務所兼倉庫の建築確認申請の処理に苦慮した被控訴人が,本来の行政目的を逸脱し,恣意的に本件不許可処分に及んだとも主(()),,張する原判決第2の4(1)の原告の主張ウが以上の説示に照らし 同処分にかかる違法があったということはできない。 よって,控訴人の本訴請求を棄却した原判決は正当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとする。 広島高等裁判所第4部裁判長裁判官廣田聰裁判官中山節子裁判官曳野久男 所第4部 裁判長 裁判官 廣田聰 裁判官 中山節子 裁判官 曳野久男
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