平成18(わ)531 業務上横領

裁判年月日・裁判所
平成18年6月30日 神戸地方裁判所 その他
ファイル
hanrei-pdf-33374.txt

判決文本文2,255 文字)

主文 被告人を懲役1年に処する。 この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成17年4月1日から同年12月11日までの間,県営A自治会の会長として同自治会の会務を総括するとともに,同自治会の駐車場維持管理費等の支出,管理等の業務に従事していた者であるが,同年4月27日ころから同年11月14日ころまでの間,前後20回にわたり,同自治会のため業務上預かり保管中の神戸市B区C町a丁目b番c号D銀行E支店同自治会名義の普通預金口座から,ほしいままに,現金合計67万4000円を払い戻し,そのころ,これを自己の用途に使用するため着服して横領したものである。 (証拠の標目)-括弧内の数字は検察官請求証拠番号-省略(横領額についての補足説明)本件公訴事実は,被告人が,前後20回にわたり,前判示の現金合計額より7000円多い合計68万1000円を着服横領したというものであり,具体的には,別表の番号2記載の平成17年5月11日の着服額は前判示の8000円ではなく1万5000円であるとするものである。 しかしながら,関係各証拠によれば,被告人は,同年5月の連休前に,前記自治会会員から同会管理の駐車場の解約に伴う返還金(これ自体は,前任の自治会会長時代に発生していたもので,その支払事務が被告人に引き継がれていたもの)として7000円を支払うよう請求されたが,手持ち現金がなく支払えないままになっていたところ,同月11日に至り,1万5000円を前記普通預金口座から払い戻す一方で,同日夕方自宅にやってきた上記会員に7000円を支払っていることが明らかである。そうすると,上記払戻しに係る1万5000円のうち70 日に至り,1万5000円を前記普通預金口座から払い戻す一方で,同日夕方自宅にやってきた上記会員に7000円を支払っていることが明らかである。そうすると,上記払戻しに係る1万5000円のうち7000円については,もともと上記返還金の支払に充てるつもりであったもので,被告人にはこれを不法に領得する意思はなかったとみるのが自然であって,その結果,横領金額は公訴事実より7000円少なくなるといわざるを得ない。 これに対し,検察官は,当時の被告人の認識としては,自己の飲食等に充てるために預金を払い戻すという意識が強かったから,結果的に払戻金額の一部を上記支払に充てたとしても,払い戻した1万5000円の全部について不法領得の意思があったというべきである,と主張する。しかしながら,上記の経過に照らせば,当時の被告人の認識が検察官主張のようなものであったと断定することはできない。また,正当な支出に充てる予定の金額に自己がほしいままに費消しようとする分を上乗せして払い戻したからといって,その全体について当然に不法領得の意思があったとすることもできない。 他方,弁護人は,上記返還金7000円については,同年4月20日に被告人が支払った防火管理講習費7000円と合わせて,同年4月20日払戻しの1万円(公訴事実の対象外)及び同月27日払戻しの6000円をもってその支払に充てたと合理的に推測できるから,同年5月11日払戻しの上記1万5000円に先立つ同年4月27日払戻しの6000円こそが正当な権限をもってなされた払戻しというべきであり,その結果,横領金額は公訴事実より6000円少ない67万5000円になる,と主張する。しかしながら,被告人の捜査段階及び公判供述が,いずれも上記払戻しに係る6000円はそのまま自己の飲食費等に充てたとしていること,上記6000円の払戻 円少ない67万5000円になる,と主張する。しかしながら,被告人の捜査段階及び公判供述が,いずれも上記払戻しに係る6000円はそのまま自己の飲食費等に充てたとしていること,上記6000円の払戻しと返還金7000円の支払の間にはかなりの間隔がある上,1000円の違いが生じている理由を合理的に説明できないこと等に照らすと,上記主張は擬制的,形式的にすぎるといわざるを得ない。 したがって,両当事者の主張はいずれも採用することができない。 (法令の適用)被告人の判示所為は包括して刑法253条に該当するので,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役1年に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予し,訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,団地自治会の会長であった被告人が,業務上預かり保管中の自治会の金員を横領したという事案である。動機,経緯に酌むべきものがないこと,半年余りの間に20回にわたって常習的に犯行を重ねており,規範意識の希薄さがうかがわれることなどに照らすと,その刑責を軽視することはできない。しかし,他方では,合計被害金額はさほど大きくないこと,これまで合計10万円を弁償していること,被告人は,交通関係の古い罰金前科4犯を有するものの,昭和61年以降は前科を有していない上,おおむね事実を認めて反省していることなど,被告人のために酌むべき事情も認められるので,これら諸事情を総合考慮して刑を量定した。 よって,主文のとおり判決する。 平成18年6月30日神戸地方裁判所第1刑事部 裁判官的場純男 8年6月30日 神戸地方裁判所第1刑事部 裁判官的場純男

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る