- 1 - 主文 1 原告の被告に対する訴えのうち,請求の趣旨第1項に係る部分を却下する。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 岡山市長が原告に対して平成21年4月8日付けでした別紙物件目録記載の土地に係る平成21年度の固定資産税賦課決定を取り消す。 2 岡山市長が原告に対して平成21年6月25日付けでした別紙物件目録記載の土地に係る平成21年度の固定資産税賦課決定に対する異議申立却下決定を取り消す。 3 被告は,原告に対し,12万4693円を支払え。 第2 事案の概要本件は,岡山市α区内に別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を所有する原告が,被告に対し,本件土地について賦課期日における課税地目の認定に誤りがあるとして,平成21年度の固定資産税賦課決定の取消しを求め,また,同賦課決定に対して岡山市長に行った異議申立てが却下されたことにつき,理由が付記されていない違法があるとして,本件異議申立却下決定の取消しを求め,さらに,不当利得(又は国家賠償法)に基づき,本件土地の平成21年度の固定資産税について過納金の支払を求めた事案である。 1 前提事実等(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 法令の定めア地方税法388条は,自治大臣(平成11年法律第91号による総務省設置法の施行後は総務大臣)は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施- 2 -の方法及び手続を定め,これを告示しなければならない旨を定め,これに基づいて固定資産評価基準(自治省告示第158号)が告示さ 法の施行後は総務大臣)は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施- 2 -の方法及び手続を定め,これを告示しなければならない旨を定め,これに基づいて固定資産評価基準(自治省告示第158号)が告示されている。 イ地方税法423条1項は,固定資産課税台帳に登録された価格に関する不服を審査決定するために,市に固定資産評価審査委員会を設置する旨を定め,地方税法432条1項は,固定資産税の納税者は,固定資産課税台帳に登録された価格について不服があるときに,固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる旨を定め,地方税法434条2項は,固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項について不服がある固定資産税の納税者は,同委員会に対する審査の申出及び同委員会の決定に対する取消訴訟の方法によることによってのみ争うことができる旨を定めている。 (2) 原告は,昭和45年4月1日の時効取得を原因として,同日以降本件土地を所有している(乙5の1添付の全部事項証明書)。 (3) 本件土地について,平成20年4月10日付け平成20年度固定資産税・都市計画税(土地・家屋)課税明細書では,課税地目につき畑,固定資産税額算定の基礎となる固定資産税評価額及び固定資産税課税標準額につきそれぞれ3万3003円と記載されていた(甲2)。 (4) 原告は,平成20年9月24日付けで本件土地につき貸露天駐車場を転用目的とする農地法4条の規定に基づく農地転用許可申請をした(乙5の1)。 そして,岡山市第三農業委員会は,平成20年10月28日付けで,同申請のとおり本件土地につき貸露天駐車場を転用目的として農地の転用を許可した(乙6)。 (5) 岡山市長は,原告に対し,平成21年4月8日付けで,本件土地につき,平成21年度の固定資産税 ,同申請のとおり本件土地につき貸露天駐車場を転用目的として農地の転用を許可した(乙6)。 (5) 岡山市長は,原告に対し,平成21年4月8日付けで,本件土地につき,平成21年度の固定資産税12万5155円の賦課決定(以下「本件賦課決定」という。)をした(甲1)。 本件土地について,平成21年4月8日付け平成21年度固定資産税・都- 3 -市計画税(土地・家屋)課税明細書では,課税地目につき雑種地,固定資産税額算定の基礎となる固定資産税評価額につき1277万1000円,固定資産税課税標準額につき893万9700円と記載されていた(甲1)。 (6) 原告は,岡山市長に対して,平成21年5月26日付けで固定資産税・都市計画税につき異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)をした。本件異議申立書には,異議の理由として,本件土地につき平成21年1月1日時点での現況は従前どおり畑であったから課税地目を畑と認定すべきである旨の記載がされていた(甲3)。 (7) 岡山市長は,平成21年6月25日付けで,本件異議申立てを却下する旨の決定(以下「本件異議申立却下決定」という。)をした(甲4)。 2 争点(1) 請求の趣旨第1項の訴えの適法性(本案前の抗弁)(2) 本件賦課決定の違法性(3) 本件異議却下決定の違法性(4) 請求の趣旨第3項に係る金員の支払請求 3 争点に係る当事者の主張(1) 争点(1)「請求の趣旨第1項の訴えの適法性(本案前の抗弁)」について【被告の主張】ア地方税法の規定では,固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合においては,固定資産評価審査委員会に対する審査の申出をした上,その申出に対して同委員会がした決定についての取消の訴えによっ 地方税法の規定では,固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合においては,固定資産評価審査委員会に対する審査の申出をした上,その申出に対して同委員会がした決定についての取消の訴えによってのみ争うことができるとされている。 イところで,固定資産課税台帳とは,固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の価格を明らかにするために市町村に備えられ,土地・家屋については3年に1回の基準年度ごとに1月1日現在の価格等が登録されたものであり(地方税法380条1項等),そこに登録する固定資- 4 -産の価格は,総務大臣が定める固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続(固定資産評価基準)によって決定しなければならないとされている(同法388条,403条1項)。 ウ固定資産評価基準第1章第1節一において,土地の評価の基本として「土地の評価は,次に掲げる『土地の地目』の別に,それぞれ,以下に定める評価の方法によって行うものとする。」と規定されているように,まず第一に「地目の認定」があり,次に「地積の認定」(同節二)があり,そして,地目の別に定められた評価方法によって評価額が算出される(第2節以下)こととなるものである。 エしたがって,土地の地目をどのように評価するのかという地目認定次第で当然評価の方法も異なるものとなるため,地目の認定は土地の価格に当然反映されることとなるものである。つまり,評価地目と価格とは,それぞれ別個のものではなく,相互に関連する一体のものである。 オ固定資産評価審査委員会が固定資産の価格を審査する場合に,地目は価格形成の要因であることから,その適否は当然検討されるものであり,課税地目認定についても価格決定にかかわるものとして固定資産評価審査委員会に審査申出ができるものとさ の価格を審査する場合に,地目は価格形成の要因であることから,その適否は当然検討されるものであり,課税地目認定についても価格決定にかかわるものとして固定資産評価審査委員会に審査申出ができるものとされているところである。 カ本件における請求の趣旨第1項の訴えは,本件土地に係る本件賦課決定を違法としてその取消しを求めるものであるが,以下の原告の主張(争点(2)及び同(3)に係るものを含む。)をみると,本件賦課決定に係る本件土地の課税地目の認定に関するものであり,固定資産課税台帳への固定資産の登録後の賦課決定に至るまでの手続及びその当否については全く触れられていないことからして,それは,固定資産評価基準に反して土地の評価を行い,当該評価に基づく登録価格によりされた賦課決定が違法なものであるとの主張であると理解するほかなく,評価方法の是非が固定資産の価格を左右するものである以上,結局,原告の主張は,固定資産評価台帳に- 5 -登録された価格についての不服ということに帰結する。 キしたがって,前記のとおり,固定資産評価審査委員会に対して審査申出をした上,その申出に対して同委員会がした決定についての取消の訴えによってのみ争うことができる(不服申立前置)ところ,本件賦課決定については,同委員会に対する審査申出がされていないのであるから,本件における請求の趣旨第1項の訴えはその不服申立前置を果たしておらず,不適法である。 【原告の主張】ア固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合とは固定資産課税台帳に登録された評価額に不服がある場合に限定される。 原告は,前記のとおり,課税庁の課税地目の認定に不服があるものであるところ,固定資産課税台帳に登録される事項のうち,課税地目の認定は,評価額とは全く別の事項であり,固定 合に限定される。 原告は,前記のとおり,課税庁の課税地目の認定に不服があるものであるところ,固定資産課税台帳に登録される事項のうち,課税地目の認定は,評価額とは全く別の事項であり,固定資産課税台帳に登録された評価額について不服があると主張するものではないから,固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合には当たらない。 イよって,原告は,地方税法19条の12に基づき,岡山市長に対し,異議申立てをすべきところ,前記前提事実等(6)のとおり,異議を申し立てており,同(7)のとおり,本件異議申立却下決定を経ている。 ウ以上から,原告の請求の趣旨第1項の訴えは適法である。 (2) 争点(2)「本件賦課決定の違法性」について【原告の主張】ア原告は,本件土地につき,従前,畑であったものを平成21年2月の第4週目から路盤工事に着手し,同年3月の第2週目にアスファルト工事その他を終了し,同年4月22日から貸露天駐車場として使用している。 イしたがって,平成21年1月1日における本件土地の現況は,前年から変更がなく従前どおり畑であったから,岡山市長は本件土地の課税地目に- 6 -つき,平成21年度の固定資産評価においても畑と認定し,平成22年度から雑種地と認定すべきであった。ところが,岡山市長は,平成21年度に,年度区分を1年繰り上げて雑種地との課税地目認定を行って課税したのであるから本件賦課決定は違法である。 ウなお,原告は,賦課期日までに被告主張の造成などは行っていない。 【被告の主張】ア固定資産評価基準では,「田及び畑(第2節の2に定めるものを除く。)の評価は,各筆の田及び畑について評点数を付設し,当該評点数を評点一点当たりの価額に乗じて各筆の田及び畑の価額 【被告の主張】ア固定資産評価基準では,「田及び畑(第2節の2に定めるものを除く。)の評価は,各筆の田及び畑について評点数を付設し,当該評点数を評点一点当たりの価額に乗じて各筆の田及び畑の価額を求める方法によるものとする。ただし,農地法第4条1項及び第5条1項の規定により,田及び畑以外のもの(以下この節において「宅地等」という。)への転用に係る許可を受けた田及び畑並びにその他の田及び畑で宅地等に転用することが確実と認められるものについては,沿接する道路の状況,公共施設等の接近の状況その他宅地等としての利用上の便等からみて,転用後における当該田及び畑とその状況が類似する土地の価額を基準として求めた価額から当該田及び畑を宅地等に転用する場合において通常必要と認められる造成費に相当する額を控除した価額によってその価額を求める方法によるものとする。」とされているところである(同基準第1章第2節一)。 イ本件土地については,平成20年9月24日受付で貸露天駐車場への転用を目的とした農地法4条1項の規定よる転用許可申請が行われ,同年10月28日付けで岡山市第三農業委員会により転用に係る許可を受けている。したがって,平成21年度の賦課期日である同年1月1日現在では,地方税法上の「農地」からは既に除外されたものであり,固定資産評価基準では「宅地等」の扱いを受けることになるのであるから,原告が主張するところの「畑」ではない。 ウさらに,本件土地は賦課期日現在では,耕作していると認め難い状況で- 7 -あり,貸露天駐車場という転用目的の効用を果たすために必要な造成も既にされていた。また,沿接する道路と同等の高さまで造成済みであることから,造成費の控除も特段必要のない「雑種地」として課税地目認定するのが相当である。 エ 効用を果たすために必要な造成も既にされていた。また,沿接する道路と同等の高さまで造成済みであることから,造成費の控除も特段必要のない「雑種地」として課税地目認定するのが相当である。 エよって,本件賦課決定は適法である。 (3) 争点(3)「本件異議却下決定の違法性」について【原告の主張】ア岡山市長は,原告が本件土地の価格の不服を理由としているとして本件異議申立却下決定をしている。しかしながら,前記争点(2)の【原告の主張】で述べたとおり,原告は,岡山市長が賦課期日における現況地目によって課税すべきであるのに,年度区分を1年繰り上げて雑種地との課税地目認定を行って課税したのであるから本件賦課決定が違法であると主張するものであり,原告は本件土地の評価額を不服の理由として異議申立てをしていない。 イしたがって,価格の不服を理由としているということは異議申立却下の理由とならず,本件異議申立却下には理由が付記されていないことになる。 ウよって,本件異議申立却下決定は無効である。 【被告の主張】原告の本件異議申立てに係る理由(前記前提事実等(6))は,前記争点(1)の被告の主張で述べたとおり,固定資産税課税台帳に登録された価格についての不服を理由とするものであるから,当該不服を理由とする不服申立てに対する審査庁は固定資産評価審査委員会であり,処分庁たる岡山市長に対する不服申立ては許されていないのであるから,岡山市長が本件異議申立てを地方税法432条3項により不適当として却下処分したことは適法である。 (4) 争点(4)「請求の趣旨第3項に係る金員の支払請求」について【原告の主張】- 8 -ア平成21年1月1日における本件土地の現況は,前年から変更がなく従前どおり ことは適法である。 (4) 争点(4)「請求の趣旨第3項に係る金員の支払請求」について【原告の主張】- 8 -ア平成21年1月1日における本件土地の現況は,前年から変更がなく従前どおり畑であったから,岡山市長は本件土地の課税地目につき,平成21年度の固定資産評価においても畑と認定すべきであったのに,雑種地との地目認定を行って課税したのであるから違法である。 イよって,本件賦課決定の額12万5155円と本来の額である462円(甲2)との差額である12万4693円については,原告から過大に徴収したものであるから,被告は,同額を原告に支払うべき義務がある。 【被告の主張】ア前記のとおり,請求の趣旨第1項の訴えは不適法により却下されるものであり,本件賦課決定は適法なものとして扱われるから(行政処分の公定力,取消訴訟の排他的管轄),原告が本件賦課決定の取消しに伴う過大に納付した固定資産税の支払を求める請求に係る部分は何ら理由がなく,棄却されるべきである。 イまた,本件賦課決定には国家賠償法上の違法もない(弁論の全趣旨)。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)「請求の趣旨第1項の訴えの適法性(本案前の抗弁)」について(1)ア前記前提事実等(1)記載の地方税法の規定のとおり,岡山市長の本件賦課決定が,固定資産課税台帳に登録された本件土地の価格に基づいて行われた以上,原告において,その価格の適否を争うには,固定資産評価審査委員会への審査の申出及び同委員会の決定に対する取消訴訟の提起によることが必要である。このような地方税法の争訟方法に関する定めの趣旨は,固定資産税の賦課手続においては,当該市町村区域内に存在する大量の土地・家屋に対する課税手続を要することから,固定資産課税台帳に登録された価格を正確かつ早 な地方税法の争訟方法に関する定めの趣旨は,固定資産税の賦課手続においては,当該市町村区域内に存在する大量の土地・家屋に対する課税手続を要することから,固定資産課税台帳に登録された価格を正確かつ早期に確定し,円滑な課税を実現することを目的としたものと解される。 イところで,固定資産の評価及び価格の決定については固定資産評価基準- 9 -によるとされているところ,その趣旨は,評価方法を一律にすることによって価格の評価を衡平にすることを目的とするものと解される。 固定資産評価基準によると,土地の評価は,土地の地目の別に,評価基準に定める方法によって行うものとするとされ,また,この場合の土地の地目の認定に当たっては,土地の現況及び利用目的に重点を置く等して,土地の全体としての状況を観察して認定するものとするとされている(第1章第1節一)。 このように固定資産の価格の決定に際しては,地目の認定が行われるが,一律の方法で固定資産の価格を決定するという立場を採用している評価基準の方法においては,地目の認定は,土地の種類を類型的に分類して一律の方法で土地の価格決定を行うための不可欠の判断要素であり,土地の評価及び固定資産税等の課税に関する問題と土地の地目に関する問題とは密接に関連しているといえる。そして,評価基準による土地の評価と価格の決定の方法を前提とする限り,地目の認定だけを土地の価格の決定と切り離して独立に争う必要と利益は通常見当たらず,納税者が市町村長のした地目の認定についての不服がある場合も,その不服は突き詰めれば,特段の事情がない限り,その固定資産の価格の決定についての不服となるのが通例であるから,「地目の認定についての不服がある場合」は,「固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合」に該当し,前記 の事情がない限り,その固定資産の価格の決定についての不服となるのが通例であるから,「地目の認定についての不服がある場合」は,「固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合」に該当し,前記に記載した不服申立ての制約を受けることになると解するのが相当である。 (2) 本件において,原告は,平成21年1月1日における本件土地の現況は,前年から全く変更がなく従前どおり畑であったから,岡山市長は本件土地の課税地目につき,平成21年度の固定資産評価においても畑と認定すべきであったのに,雑種地との課税地目認定を行って課税したのであるから本件賦課決定は違法である旨の主張をしており,原告の不服は課税地目の認定についての不服であるといえる。そして,本訴において,原告が請求の趣旨第3- 10 -項において,過大に納付したとする固定資産税の返還を求めていることからしても,原告の不服は,結局のところ,単に固定資産課税台帳に登録された課税地目の認定の不服にとどまらず,認定された課税地目を前提として決定された土地の価格に対する不服を含む趣旨であったと解されるのであり,前記(1)イの特段の事情があることもうかがわれない。 (3) そうすると,原告としては,固定資産評価審査委員会に審査の申出をし,その決定に不服があるときは,その取消しの訴えを提起するという手続を経る必要があったのであり,同手続を経ないまま,訴えにより岡山市長の本件賦課決定の取消しを求めることはできない。したがって,請求の趣旨第1項の訴えは不適法であるから,争点(2)「本件賦課決定の違法性」について判断するまでもなく,却下を免れない。 2 争点(3)「本件異議却下決定の違法性」について(1) 請求の趣旨第2項につき,原告は訴状の請求の趣旨に,「原告に対し,被告が, 性」について判断するまでもなく,却下を免れない。 2 争点(3)「本件異議却下決定の違法性」について(1) 請求の趣旨第2項につき,原告は訴状の請求の趣旨に,「原告に対し,被告が,平成21年6月25日付けでした固定資産税の決定処分を取消す。」と記載しているが,その趣旨は,岡山市長が原告に対して平成21年6月25日付けでした本件賦課決定に対する異議申立却下決定の取消しを求めるものであると解される。 (2) 原告は,本件異議申立却下決定について,理由が付記されていないことになるから違法である旨の主張をする。 しかしながら,原告の主張は,前記のとおり,結局のところ,固定資産課税台帳に登録された価格に対する不服をいうものであると解されるところ,本件異議申立却下決定では,本件異議申立ては「地方税法432条1項に規定する固定資産課税台帳に登録された価格についての不服があることを理由とするものであると判断される。」,「固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項についての不服を理由とする本件賦課決定処分についての異議申立ては地方税法432条3項により不適法であると判断され- 11 -る。」との理由が記載され(甲4),原告の主張に対する判断が示されているのであるから,本件異議申立却下決定に理由が付記されていないとの違法があるとは認められない。 3 争点(4)「請求の趣旨第3項に係る金員の支払請求」について(1) 本争点に係る請求については,原告が,「過大徴収した額」の支払を求めていて「損害賠償」との用語を用いておらず,また,請求の根拠規定としても「国家賠償法」を掲げていないことからすると,原告の被告に対する過納金の支払請求は,不当利得に基づくものと考えるのが相当というべきである。 そこで検討す いておらず,また,請求の根拠規定としても「国家賠償法」を掲げていないことからすると,原告の被告に対する過納金の支払請求は,不当利得に基づくものと考えるのが相当というべきである。 そこで検討するに,原告は,過大に納付した固定資産税の返還を請求しているが,原告が納付した固定資産税は本件賦課決定に基づき納付されたものであるから,同決定が取り消され,本件賦課決定を有効とする公定力が排除されない限り,不当利得に基づく返還を求めることができない。 ところが,前記1のとおり,本件賦課決定の取消しを求める訴えは不適法であるから,同訴えは却下を免れず,本件賦課決定の取消しはされないことになる。 したがって,原告は,不当利得に基づいて,過大に納付した固定資産税の返還を求めることができない。 (2) もっとも,違法な固定資産税の賦課決定によって損害を被った納税者は,地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行うことができると解すべきところ(最高裁判所平成22年6月3日第一小法廷判決・裁判所時報1509号208頁参照),原告の前記金員の支払を求める訴えが国家賠償法に基づくものと善解する余地も否定できないので,念のため,この点について判示することとする。 ア原告は,本件賦課決定において,平成21年度の固定資産税の賦課期日における課税地目を畑と認定せず,雑種地と認定していることが違法であ- 12 -る旨の主張をするので,かかる地目の認定が違法であると認められるかについて検討する。 イ固定資産評価基準においては,本件土地のように農地法4条1項の転用許可を受けた田及び畑について,当該田及び畑とその状況が類似する土地の価額を基準として求めた価額から当該田及び宅地 て検討する。 イ固定資産評価基準においては,本件土地のように農地法4条1項の転用許可を受けた田及び畑について,当該田及び畑とその状況が類似する土地の価額を基準として求めた価額から当該田及び宅地等に転用する場合において通常必要と認められる造成費に相当する額を控除した価額によってその価額を求める方法によるものとする旨の規定が存在する(第1章第2節一)。 ウしかしながら,固定資産評価基準第1章第1節一「土地の評価の基本」において,「土地の地目の認定に当たっては,当該土地の現況及び利用目的に重点を置き,部分的に僅少の差異の存するときであっても,土地全体としての状況を観察して認定するものとする。」と定められているから,農地法4条1項の許可を受けた田及び畑についても,賦課期日時点において田及び畑の外見を留めていない場合には,前記第1章第2節一の適用はされず,現況どおりの地目認定をすることが許されるものと解される。 エ証拠写真(乙4)によると,平成21年1月5日の時点において,本件土地上に耕作物及び耕作設備は存在せず,田及び畑の外見を留めているとは認められない上,本件土地の現況は,宅地など固定資産評価基準において定められた特定の地目のいずれかに該当するとも認められない。また,本件土地の農地転用許可申請(乙5の1)及び同許可(乙6)における転用目的からすると,本件土地の利用目的が貸露天駐車場と認めることができる。 オそして,本件における原告の主張を考慮しても,賦課期日である平成21年1月1日から前記写真が撮影される同月5日までの間に本件土地の現況が変わったこともうかがえないから,賦課期日時点における現況も同様であったと認めるのが相当である。 - 13 -カ以上の賦課期日における本件土地の現況及び利用目的からすると,課税庁である 現況が変わったこともうかがえないから,賦課期日時点における現況も同様であったと認めるのが相当である。 - 13 -カ以上の賦課期日における本件土地の現況及び利用目的からすると,課税庁である岡山市長が本件土地の課税地目につき,賦課期日である平成21年1月1日の時点において雑種地であると認定することが違法であるとまでは認められない。 なお,本件では本件土地の評価額の決定につき,課税庁である岡山市長に違法があると認めることのできる証拠も存在しない。 キ以上より,原告が,国家賠償法に基づいて,過納金相当額の損害賠償を請求することも認められない。 4 結論以上によれば,原告の本訴請求の趣旨第1項の訴えは不適法であるからこれを却下することとし,その余の請求はいずれも理由がないからこれらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官工藤涼二 裁判官細野高広 裁判官村尾泰和
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