主文 本件上告を棄却する。 当審における未決勾留日数中70日を本刑に算入する。 理由 弁護人木曽真吾の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,所論引用の判例は事案を異にして本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ,職権により判断する。 1 原判決及びその是認する第1審判決の認定によれば,本件の事実関係は,次のとおりである。 (1) 被告人は,2名と共謀の上,平成16年3月6日午前3時40分ころ,普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を押し込み,トランクカバーを閉めて脱出不能にし同車を発進走行させた後,呼び出した知人らと合流するため,大阪府岸和田市内の路上で停車した。その停車した地点は,車道の幅員が約7.5mの片側1車線のほぼ直線の見通しのよい道路上であった。 (2) 上記車両が停車して数分後の同日午前3時50分ころ,後方から普通乗用自動車が走行してきたが,その運転者は前方不注意のために,停車中の上記車両に至近距離に至るまで気付かず,同車のほぼ真後ろから時速約60㎞でその後部に追突した。これによって同車後部のトランクは,その中央部がへこみ,トランク内に押し込まれていた被害者は,第2・第3頸髄挫傷の傷害を負って,間もなく同傷害により死亡した。 2 以上の事実関係の下においては,被害者の死亡原因が直接的には追突事故を起こした第三者の甚だしい過失行為にあるとしても,道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した本件監禁行為と被害者の死亡との間の因果関係を肯定することが 突事故を起こした第三者の甚だしい過失行為にあるとしても,道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した本件監禁行為と被害者の死亡との間の因果関係を肯定することができる。したがって,本件において逮捕監禁致死罪の成立を認めた原判断は,正当である。 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官甲斐中辰夫裁判官横尾和子裁判官泉徳治裁判官島田仁郎裁判官才口千晴)
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