【DRY-RUN】主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 被告人A弁護人渡辺一男上告趣意第一点について、 記録を検討するに、昭和二十二年十一月十日の原審第一回公判期日については
主文 本件各上告を棄却する。 理由 被告人A弁護人渡辺一男上告趣意第一点について、記録を検討するに、昭和二十二年十一月十日の原審第一回公判期日については、弁護人に対しては、適法に召喚手続がとられたことは之を証明するに足る別段の書面があるが被告人Aに対し右期日の召喚手続がとられたことについては之に関する別段の書面の存しないことは所論のとおりである。しかし、同被告人が当時大阪拘置所に勾留中であつたこと及びそれにもかゝわらず右第一回公判期日に出頭して弁論をしたことは記録上疑いのないところであつて、正規の召喚手続もとられなかつたのに勝手に拘置所から裁判所に出頭したものとは到底考えられないから、右の両事実に徴し、原審は本件被告事件を受理した後刑事訴訟法第八十四条第三項により大阪拘置所長宛に右期日を通知して同被告人を召喚したものと推認するのが相当である。尤も右によつてもその手続のとられた日と第一回公判期日との間に刑事訴訟法第三百二十一条第一項が被告人の利益の為に保障する三日の猶予期間を存したか否かは知るべくもないのであるが、仮にこの猶予期間を存しなかつた違法の点があつたとしても、被告人において右猶予期間の利益を抛棄できることは同条第二項の定めるところであり、原審第一回公判調書によれば、被告人Aが第一回公判期日に出頭した際特にこの点について、異議を述べることなく弁論し暗黙にこの利益を抛棄したことを認めることができるから、前記の違法はこの暗黙の拠棄によつて違法でなくなつたものと解すべきである。従つて、原審第一回公判手続には被告人に対する召喚の手続について違法があるという論旨は理由がない。 (殊に、本件においては、第一審終了の後間もなく弁護人か選任せられ、昭和二十二年十一月十日の原審第一回公判期日は十月十三 手続には被告人に対する召喚の手続について違法があるという論旨は理由がない。 (殊に、本件においては、第一審終了の後間もなく弁護人か選任せられ、昭和二十二年十一月十日の原審第一回公判期日は十月十三日弁護人三木今二に、同月二十- 1 -七日弁護人田中昌太郎に通知せられたことは、弁護人も認めるとおりであつて、右期日に関する被告人の利益については、弁護人の側において、十分考慮せられたものと推測すべきである。)同第二点第三点について。 犯罪の動機、被告人の人物、性格は、情状として、刑の量定の上に、重大な影響を及ぼすものであり、裁判所として、量刑に必要な限度において、詳しく取調べをしなければならぬことは所論のとおりである。しかし、これらの点に関し、いかなる限度に取調べをなすべきかということは、事実審裁判所にまかされているところである。弁護人は、原審は、このような重要な事実について、全然審理をしなかつたと主張するけれども、原審第一回公判調書及び同公判において、証拠調の行われた、各証拠書類を精査すれば、原審が、これら犯情に関する諸点についても、被告人の学歴、経歴、家族関係、家計の状況その他被告人は他の窃盗罪で起訴せられその保釈中であるにかかわらず、友達に誘われて、本件犯行をするに至つた事情等犯罪の遠因、近因に関係する情状か相当に調べられていることがわかる。かつ、これら犯情に属する事柄は、たとえ、これについて、公判で詳しく被告人を訊問した場合でも、その訊問及供述を、もれなく調書に記載しなければならぬものでなく、その要旨を記載すれば足るのであるから、これらの点について、調書に詳細の記載がないからといつて、直ちに原審は十分に取調へをしなかつたとはいえないのである。 更に被告人の人物、性格については、裁判官が、公判で、直接被告人の風貌に接して、親しくその 点について、調書に詳細の記載がないからといつて、直ちに原審は十分に取調へをしなかつたとはいえないのである。 更に被告人の人物、性格については、裁判官が、公判で、直接被告人の風貌に接して、親しくその言語、動作等を観察するによつても、また、取調の進行につれて判明する被告人の犯罪行為それ自体、およびその行為と前後するいろいろの経緯からでも。或程度の心証は抛られるのであつて、弁護人の主張するように、必ず、これらの点について、証人訊問をしなけれはならぬというものではない。要するに、原審は、本件量刑に必要なる限度において、犯罪の情状についても、取調べをしたものとみてさしつかえない。従つてこの点に関し原審に審理不尽の違法ありという論- 2 -旨はこれを採用することはできないのである。同第四点について、しかし、刑事訴訟法第三百五十条は裁判所は必要ある場合に弁論を再開することができるというのであつて、被告人又は弁護人にその請求をすることを権利として認めたものではなく、再開するか否かは具体的な事情に応じて裁判所が自由な意見により決定して差支えないのであるから、原審が弁護人当別当隆治より弁論再開の申請があつたにかゝわらず之を再開しなかつたことは少しも違法ではない。論旨は理由がない。被告人A弁護人当別当隆治上告趣意第一点乃至第三点及び被告人B弁護人石井平雄上告趣意についてしかし、論旨はいずれも原審の各被告人に対する量刑の不当であることを攻撃するに帰するもので、日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十三条第二項により上告理由として不適法である。いずれも理由がない。 以上のとおりであるから刑事訴訟法第四百四十六条により主文のように判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。 検察官柳川真文関与昭和二十三年四月 。いずれも理由がない。 以上のとおりであるから刑事訴訟法第四百四十六条により主文のように判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。 検察官柳川真文関与昭和二十三年四月二十三日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官藤田八郎裁判官小谷勝重は出張中につき署名捺印することが出来ない裁判長裁判官塚崎直義- 3 -
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