- 1 -主文 本件訴えのうち,別紙1記載3の支出命令に係る訴えを却下する。 被告は,Aに対し,金17万5000円及びこれに対する平成15年2月7日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを10分し,その7を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判(原告) 被告は,Aに対し,金58万3811円及びこれに対する平成15年2月7日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。 訴訟費用は被告の負担とする。 (被告) 本案前の答弁(1) 本件訴えのうち,別紙1記載3及び4の支出命令に係る訴えを却下する。 (2) 上記訴えに係る訴訟費用は原告の負担とする。 本案の答弁(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2事案の概要本件は,大分県大野郡α(以下,単に「α」という)の住民である原告が,。 緒方町において,同町助役であるBに対してなされた平成13年度12月分の期末手当に係る追加の支出命令(別紙1記載2)には,Bが助役に就任する以前の一般職員として勤務した期間を加えて算定した違法があり,また,同町公用車運転手であるCに対してなされた同年度6月分及び12月分の賞与に係る各支出命- 2 -令(別紙1記載3及び4)には,賞与の支給が条例及び規則に基づかない違法が,,,,ありその結果緒方町に対し上記各支給額に相当する損害を被らせたとして(「」。),,地方自治法以下法という242条の2第1項4号により被告に対し緒方町長の職にあったAに対し,上記各支給相当額の損害賠償を請求することを求めた住民訴訟である。 前提事実(以下の事実は争 地方自治法以下法という242条の2第1項4号により被告に対し緒方町長の職にあったAに対し,上記各支給相当額の損害賠償を請求することを求めた住民訴訟である。 前提事実(以下の事実は争いがないか,証拠等により容易に認定することができる。枝番号を省略して証拠を摘示した場合は,省略した枝番号に係る証拠すべてを引用する趣旨である)。 (1) 当事者らア原告は,αの住民であり,平成5年2月から現在まで,緒方町議会議員を務めている。 イAは,平成5年3月から現在まで,緒方町長(以下,単に「町長」ともいう)の職にある。 。 (2) Bに対する期末手当の支出アBは,緒方町の総務課長の職にあったが,平成13年6月30日限り退職し,同年7月1日付けで同町助役に就任した。 イ緒方町総務課長D(以下,単に「D総務課長」という)は,別紙1記。 載1のとおり,平成13年12月10日付けで,Bに対する平成13年度12月分の期末手当として96万8576円の支出命令を行い(以下「本件支出命令1」という,同日,Bは上記手当の支給を受けた。 。)D総務課長は,別紙1記載2のとおり,同月13日付けで,Bに対する平成13年度12月分の期末手当として,上記に加えて24万2144円の支出命令を行い(以下「本件支出命令2」という,同日,Bは上記。)手当の支給を受けた。 (3) Cに対する給料及び賞与の支出アCは,緒方町の一般職員であり,総務課に配属され,公用車運転手とし- 3 -て勤務していたが,平成13年3月31日限り退職した。 Cは,同年4月1日,緒方町との間で,契約期間を同日から同年9月30日までとして,別紙2のとおり,緒方町の公用車運転手として勤務する旨の契約を締結した(以下「本件契約1」という。乙2の1。Cは,,)同年10月1日,緒 町との間で,契約期間を同日から同年9月30日までとして,別紙2のとおり,緒方町の公用車運転手として勤務する旨の契約を締結した(以下「本件契約1」という。乙2の1。Cは,,)同年10月1日,緒方町との間で,契約期間を同日から平成14年3月31日までとして,別紙3のとおり,おおむね本件契約1と同様の内容の契約を締結し(以下「本件契約2」といい,本件契約1と併せて「本件各契約」という。乙2の2,その後も契約を更新し,現在に至るまで同町の)公用車運転手として勤務している。 ,,,,イD総務課長は別紙1記載3のとおり同年7月5日付けでCに対し6月分の賞与(ただし,その実質が賞与に当たるか否かについては後述のとおり争いがある。以下「手当」ということもある)として16万66。 67円の支出命令を行い(以下「本件支出命令3」という,同日,C。)は上記賞与の支給を受けた。 ウD総務課長は,別紙1記載4のとおり,同年12月10日付けで,Cに対し,12月分の賞与として,17万5000円の支出命令を行い(以下「本件支出命令4」という。また,本件支出命令2ないし4を併せて「本件各支出命令」という,同日,Cは上記賞与の支給を受けた。 。)(4) 支出命令権者緒方町助役及び課長専決規程5条別表第2の2(11)により,緒方町総務課長は,定期的支払の支出命令について専決権限を有しており(乙5,)緒方町の職員に対する給与の支出命令についても専決権限を有している(弁論の全趣旨。 )なお,本来的な支出権限は,町長に帰属する。 (5) 住民監査請求原告は,平成13年度中にBに対して支給された賞与並びにCに対して支- 4 -給された給与及び賞与が,条例に規定されていない支出であり不当であるなどとして,平成14年10月29日,緒方町監査委員 原告は,平成13年度中にBに対して支給された賞与並びにCに対して支- 4 -給された給与及び賞与が,条例に規定されていない支出であり不当であるなどとして,平成14年10月29日,緒方町監査委員に対し,上記各支出について監査請求を行い,緒方町長であったAに対し,その支出額の返還を求めた(以下「本件監査請求」という。甲1。 )これに対し,同監査委員は,同年12月25日付けで,上記各支出について,いずれも不当ないし違法ではないと判断し,その支出額の返還等を命じなかったが,下記の内容の勧告を行った(甲2,3。 )記 今後共,予算執行にあたっては条例・規則に則り適切な執行に努めること。 嘱託・委託業務契約についての条例・規則が制定されておらず,パート職員の雇用契約を参考に個々で契約を行っているが,嘱託・委託業務契約,。 内容に応じた条例・規則を早急に制定し規則による契約の実施を求める 業務執行にあたっては充分なる検討を行い,当然に見込まれる必要経費は予算措置を必ず講じ,業務を執行するよう要望する。 (6) 法令等の規定本件に関連する条例及び規則には,次のような定めがある。 ア緒方町職員の給与に関する条例(以下「職員給与条例」という。甲4)(定義)2条この条例で「職員」とは,地方公務員法第3条第2項に規定する一般職の職員(法第57条に規定する単純な労務に雇用される職員及び地方公営企業労働関係法(昭和27年法律第289号)第3条第2項に規定する職員を除く)をいう。 。 (期末手当)23条期末手当は,3月1日,6月1日及び12月1日(以下この条から第23条の3までにおいてこれらの日を「基準日」という)にそれ。 - 5 -ぞれ在職する職員に対してそれぞれ基準日の属する月の規則で定める日(次条及び第23条の3においてこれらの (以下この条から第23条の3までにおいてこれらの日を「基準日」という)にそれ。 - 5 -ぞれ在職する職員に対してそれぞれ基準日の属する月の規則で定める日(次条及び第23条の3においてこれらの日を「支給日」という)に。 支給する。これらの基準日前1箇月以内に退職し,若しくは地方公務員法第16条第1号に該当して同法第28条第4項の規定により失職し,又は死亡した職員についても,同様とする。 期末手当の額は,期末手当基礎額に,3月に支給する場合においては100分の55,6月に支給する場合においては100分の145,12月に支給する場合においては100分の160を乗じて得た額に基準日以前3ヶ月以内(基準日が12月1日であるときは,6ヶ月以内)の期間におけるその者の在職期間の区分に応じて,次の表に定める割合を乗じて得た額とする。 在職期間(基準日が12月1日の場合)割合6箇月100分の1005箇月以上6箇月未満100分の80(なお,基準日が3月1日又は6月1日の場合,在職期間が5箇月未満の場合は省略した)。 前項の期末手当基礎額は,それぞれその基準日現在(退職し,若しくは失職し,又は死亡した職員にあっては,退職し,若しくは失職し又は死亡した日現在)において,職員が受けるべき給料及び扶養手当の月額並びにこれらに対する調整手当の月額の合計額とする。 イ職員の給与の支給等に関する規則(以下「職員給与規則」という。乙1の2)(期末手当の支給)24条 条例第23条第2項に規定する在職期間は,条例の適用を受ける職員- 6 -として在職した期間とする。 基準日以前3箇月以内(基準日が12月1日であるときは,6箇月以内)の期間において次の各号に掲げる者が条例の適用を受ける職員となった場合(第2号,第3号及び第4号に掲げる て在職した期間とする。 基準日以前3箇月以内(基準日が12月1日であるときは,6箇月以内)の期間において次の各号に掲げる者が条例の適用を受ける職員となった場合(第2号,第3号及び第4号に掲げる者にあっては,引き続き条例の適用を受ける職員となった場合に限る)は,その期間内におい。 てそれらの者として在職した期間は,第6項の在職期間に算入する。 (1)条例の適用を受けない常勤の職員(2)他の地方公共団体の職員(町長が定めるものに限る)。 (3)国家公務員(町長が定める者に限る)。 (4)町長が前各号に準ずるものと認めた者(「」。 ウ緒方町パートタイム職員就業規則以下パート職員就業規則という乙3)(趣旨)1条この規則は,臨時に雇用される職員で所定労働時間が正規職員より,(「」短いものに適用し名称を緒方町パートタイム職員以下パート職員という)とする。ただし,国保総合病院会計のパート職員は,除く。 。 (雇用契約),,。 4条パート職員は1年以内の期間を定め雇用契約書により契約する(就労時間及び休憩時間)5条就労時間は,1日につき7時間30分以内とする。ただし,勤務形,。 態は配置された職場の正規職員に準ずるが始・終業時間は別表による 休憩時間は,正規職員に準ずる。 (賞与及び費用弁償)10条賃金とは,別に月平均18日以上勤務し,継続して雇用された期間が12箇月以上あるもので再雇用された者に対して,正規職員の支給要件に準じ賞与として6月及び12月にそれぞれ20日分を支払うもの- 7 -とする。 業務の都合により出張等する場合には,正規職員に準じ費用弁償するものとする。 争点及び当事者の主張(1) 監査請求期間の徒過の有無(本件支出命令3及び4についてー争点1)(被告 とする。 業務の都合により出張等する場合には,正規職員に準じ費用弁償するものとする。 争点及び当事者の主張(1) 監査請求期間の徒過の有無(本件支出命令3及び4についてー争点1)(被告の主張)ア本件では,平成14年10月29日に本件監査請求がされたが,本件各契約は平成13年4月1日及び同年10月1日に締結されており,同契約の締結日から起算すると,1年の監査請求期間を徒過している。 また,本件各契約に伴う支出命令から起算しても,本件支出命令3については,1年を徒過したのちに本件監査請求がされている。なお,本件支出命令4からは,1年以内に監査請求がされているが,支出命令が違法とされるためには,支出命令に固有の違法性が必要であり,本件契約2の締結の違法を主張することはできない。 イ原告は,平成14年9月18日に開催された緒方町第3回定例会に提出された平成13年度一般会計歳入歳出決算書によって,本件支出命令3及び4が違法であることを初めて知り得た旨主張する。 しかしながら,上記各支出命令は,秘密裡になされたものではなく,平成13年6月及び同年12月に開催された緒方町議会定例会において,上記各支出命令に係る公用車運転手賃金につき,補正予算・追加補正予算として提案され,町議会の議決を受けた上でなされたものである。原告は,緒方町議会の議員であるから,被告が上記各定例会に提出した資料等に照らせば,容易に本件各契約並びに本件支出命令3及び4の存在を知ることができたというべきである。 したがって,原告が,監査請求期間の経過後に本件監査請求を行ったことについて,正当な理由はない。 - 8 -(原告の主張)ア本件支出命令4について原告は,本件支出命令4がされてから1年以内に本件監査請求を行っているから,監査請求の期間制限の規定に違反しな とについて,正当な理由はない。 - 8 -(原告の主張)ア本件支出命令4について原告は,本件支出命令4がされてから1年以内に本件監査請求を行っているから,監査請求の期間制限の規定に違反しない。 イ本件支出命令3について原告は,緒方町議会議員として,町政の監視を行ってきたが,平成14年9月18日に開催された緒方町第3回定例会に提出された平成13年度一般会計歳入歳出決算書に,公用車運転手賃金として,当初予定額より多い244万8167円が計上されていることに気付き,同月24日,その理由を尋ねるために町長に質問したところ,代わって質問に答えたD総務課長の答弁によって,本件支出命令3及び4の存在を知り,その後の調査により,それらの行為が違法であることを知った。したがって,当該行為の内容を知ることができたのは早くとも同日以降のことであり,その後,原告は相当な期間内である同年10月29日に本件監査請求を行った。したがって,原告が監査請求期間の経過後に本件監査請求を行ったことについては,正当な理由がある。 なお,平成13年12月に開催された第4回定例会において,被告から提出された補正予算案には,単に「公用車運転手賃金」として37万2000円の記載がされているにすぎず,本件各契約の内容は開示されていないから,その予算の目的が,Cに対する賞与の支払にあったことを知ることはできない。原告は,上記定例会において,補正予算案が違法である旨の意見を述べたが,その際は,職員の給与は当初予算の中に組み込むべきであるのに,追加補正予算に計上したという手続的な問題を指摘したにすぎず,本件各契約の内容を把握して意見を述べたものではない。 (2) 本件支出命令2(Bに対する期末手当の支出)の違法性(争点2)(原告の主張)- 9 -ア平成13年12月1日時点 指摘したにすぎず,本件各契約の内容を把握して意見を述べたものではない。 (2) 本件支出命令2(Bに対する期末手当の支出)の違法性(争点2)(原告の主張)- 9 -ア平成13年12月1日時点において,Bが緒方町助役の職に在職した期間は,同年7月1日以降の5か月間であるところ,被告は,在職期間を6,,。 か月として同年12月の期末手当を計算して支出しており違法であるなお,被告は,職員給与規則24条9項4号を根拠に,Bが緒方町総務課長として勤務していた期間を考慮して手当を支給した旨主張するが,同条項は,民間人等が新たに公務員になった場合や公務員たる地位を有していた者が他の行政主体に出向した場合に関する規定であって,本件のように,緒方町の一般職から特別職の助役になるような同一の行政主体間において地位が変更したような場合に適用することは予定されていない。 イ仮に,Bの前職である総務課長在職期間を考慮することができるとしても,その期末手当の算定の基礎となる給料月額は,総務課長のころの給料を基準とするべきであり,助役としての給料月額を基準として算定し,支出したことは違法である。 (被告の主張)ア被告は,平成13年7月1日から緒方町助役に就任したBは,同日以前から緒方町総務課長として引き続き職員給与条例の適用を受ける地位にあったから,職員給与規則24条9項が規定する1号ないし3号に準ずるものと認め,同項4号を適用して,前職である緒方町総務課長の在職期間を,(),考慮して6か月在職の場合の支給基準100分の100を適用して期末手当を支出した。 したがって,Bの在職期間を6か月としたことは適法である。 イまた,職員給与条例23条2項の期末手当の算定の基礎となる給料月額は,基準日である12月1日における給料(助役としての 末手当を支出した。 したがって,Bの在職期間を6か月としたことは適法である。 イまた,職員給与条例23条2項の期末手当の算定の基礎となる給料月額は,基準日である12月1日における給料(助役としての給料65万8000円)によって計算すべきであるから,これを基準として期末手当を算出したことについても適法である。 (3) 本件支出命令3及び4(Cに対する賞与の支出)の違法性(争点3)- 10 -(原告の主張)ア給与条例主義違反(ア)Cは,一般の常勤職員よりも短時間の勤務が予定され,再任を予定され,実際に再任されていることから,再任用短時間勤務職員であると,,,,いうべきでありCに対して支給される給料手当賞与等については条例上の根拠が必要である(法204条3項。 )なお,仮に,Cが再任用短時間勤務職員ではないとしても,同人は法204条の適用を受ける常勤職員であるというべきである。法204条及び204条の2の趣旨は,地方公共団体の健全な財政を確保し,もって地域住民の利益を守るために,その住民の代表機関である議会に職員の給与等について関与させる点にあることからすると,同条は,住民自,,。 治の基本となるものであるから厳格に解釈し運用されるべきであるしたがって,法204条の常勤職員には,正職員のみならず,臨時職員も含まれることは当然であり,その給料,手当(賞与)及び旅費の額及び支給方法は条例で定められなければならない。 しかしながら,緒方町では,条例上,臨時職員につき,給与の種類,手当の名目,支給基準を明確に定めていない。被告は,公用車運転手で,,,,あるCの給料・手当の額種類支給方法について条例に基づかずに長の裁量で決定し,6月及び12月の賞与を支出したものであり,上記条項に違反した違法がある。 ( 告は,公用車運転手で,,,,あるCの給料・手当の額種類支給方法について条例に基づかずに長の裁量で決定し,6月及び12月の賞与を支出したものであり,上記条項に違反した違法がある。 (イ)被告は,Cが地方公営企業労働関係法附則5項の「単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員(以下「単純労務職員」という)」。 であると主張するが,単純労務職員かどうかの判断は,職名や給与上の取扱いのみによって決定されるものではなく,当該職員が現に従事している職務の内容や勤務の実態等を勘案して決定されるべきであるところ,被告が主張するような職務の内容や勤務実態からすると,Cは単純- 11 -労務職員には該当しないというべきである。 仮に,Cが単純労務職員に該当するとしても,給与の種類及び基準は条例で定める必要がある(地方公営企業法38条。しかしながら,C)のような単純労務職員について,給与の種類及び基準を定めた条例は緒方町には存在しないから,Cに対し,給与等を支出したことは違法であり,本件支出命令3及び4はいずれも違法である。 イパート職員就業規則違反(ア)Cの所定労働時間は,正規職員の所定労働時間より短く「臨時に,雇用される職員で所定労働時間が正規職員より短いもの(パート職員」),。 就業規則1条参照に該当するからパート職員就業規則の適用がある仮に,Cがパート職員に該当しないとしても,本件各契約の契約書(以下,個別には「本件契約書1」などといい,併せて「本件各契約書」という。乙2の1・2)の1条は,詳細はパート職員就業規則によると規定しているから,少なくともその準用が認められる。 パート職員就業規則10条によれば,雇用期間が1年以内のパート職員に対して賞与を支給することは禁じられており,上記規定は,職員給与条例 則によると規定しているから,少なくともその準用が認められる。 パート職員就業規則10条によれば,雇用期間が1年以内のパート職員に対して賞与を支給することは禁じられており,上記規定は,職員給与条例26条と一体となって,行政行為を覊束するものである。したがって,雇用期間が1年以内のパート職員ないし同規則の準用を受ける臨時職員に対し,賞与を支給することは,上記規定により禁じられているところ,被告は,これに反して,Cに対し,賞与を支給したものであって違法である。 (イ)なお,被告は,本件支出命令3及び4に係る支出について,賞与ではなく,Cの職務内容の特殊性を考慮した手当である旨主張するが,町長が使用する公用車(以下「町長車」という)の運転手の職務内容に。 は,賞与を給付すべき特殊性は存在しないというべきであり,仮に,勤務時間が不規則な点について特殊性が認められるとしても,その職員の- 12 -労働の提供に対する正当な対価である割増賃金の支給又は代休制度で調整すべき問題であって「手当」を支給すべき理由はない。 ,パート職員就業規則10条は,再雇用されたパート職員に対して「賞与として6月及び12月にそれぞれ20日分を支払う」と規定してい。 るところ,Cに対しては,6月及び12月に20日分が支給されているのであるから,これは「賞与」であるというべきである。仮に,被告が主張するように,時間外勤務の割増賃金を基本給の20日分に限定して支給する趣旨であれば,本件各契約書にその旨を明示すべきであるところ,本件各契約書の5条にはCの時間外勤務について「正規職員に準じ。」,。 割増し賃金を支給すると定めているから被告の主張は詭弁であるウ支出命令の違法の有無被告は,本件各契約に従ってなされた本件支出命令3及び4には違法がない旨主張するが,本 員に準じ。」,。 割増し賃金を支給すると定めているから被告の主張は詭弁であるウ支出命令の違法の有無被告は,本件各契約に従ってなされた本件支出命令3及び4には違法がない旨主張するが,本件各契約と本件支出命令3及び4とは一体的なものであり,本件各契約の違法性はその後の個々の支出命令の違法性を基礎づけるものであるから,本件各契約が違法である以上,本件支出命令3及び4も違法である。 (被告の主張)ア法204条3項(給与条例主義)違反,,,,緒方町が再任用制度を導入したのは平成14年度以降でありまたCは,再任用を予定されて再任された者ではなく,退職後に新規採用した者である。したがって,同人は,再任用短時間勤務職員には当たらない。 Cは,地方公営企業労働関係法附則5項の単純労務職員であるから,同項により,地方公営企業労働関係法が準用され,その給料については,地方公営企業法38条が準用され「種類及び基準」のみを条例で定め,給,料の額,支給方法等の具体的債務については,地方公共団体の長が定めることとされている。 - 13 -緒方町は,上記について,職員給与条例で給料及び手当の種類を定め,支給基準を規定しているところ,Cに対する具体的な給与額及び支給方法については,上記条例に基づき,町長の判断によって,パート職員就業規則も参考にしつつ,本件各契約で定めたものである。 したがって,手当の支給を本件各契約で定めたことは,違法とはいえない。 イパート職員就業規則違反(ア)パート職員とは,臨時的な業務の繁忙期に採用する職員等で,身分保障がない状態であることを前提に1年を超えることができない点に特徴のある雇用形態である。Cは,運転手という単純労務職員であり,契約期間は存するものの反復して更新することが予定されている点でパー 分保障がない状態であることを前提に1年を超えることができない点に特徴のある雇用形態である。Cは,運転手という単純労務職員であり,契約期間は存するものの反復して更新することが予定されている点でパート職員とは異なる。 被告は,パート職員就業規則を参考とし,これを準用しつつ,本件各契約を締結したにすぎず,仮に,同契約が同規則に反する内容であったとしても,違法となることはない。 (イ)町長車の運転業務は,他の運転業務と異なり,拘束時間の制限ができず,時間外勤務や土日出勤(以下「時間外勤務等」という)が多,。 ,,いこと町に要職にある者の送迎が中心であるため精神的負担が大きく守秘義務も厳格であること等の特殊性がある。 本件各契約では,Cに対し,6月と12月の年2回,20日分の手当を支給するとしたが,この手当は,Cの職務の上記特殊性を考慮し,他の運転手との均衡をも考慮して定められたものであって,この手当が,実質的にはCに対する賞与であるということはできない。したがって,雇用期間が1年以内の臨時職員に対し,賞与の支給を禁じたパート職員就業規則には違反しない。 なお,時間外勤務等については,時間外の割増賃金で対応すると,給- 14 -与額が相当多額となることから,割増賃金は支給せず,代休処理と上記手当を支給することで調整をしたものである。 (ウ)したがって,被告において,Cに対し,本件各契約に基づいて,本件支出命令3及び4を行い,上記手当を支出したことは,いずれも適法である。 ウ支出命令の違法の有無仮に,Cに対する手当の支出について,給与条例主義等に違反することがあるとしても,本件各契約自体は一般の契約としても,労働関係法令に照らしても違法とすべき事由は何ら存在しないのであるから,被告には,これに従って手当を支給する債務を負っている 主義等に違反することがあるとしても,本件各契約自体は一般の契約としても,労働関係法令に照らしても違法とすべき事由は何ら存在しないのであるから,被告には,これに従って手当を支給する債務を負っているというべきである。したがって,契約に従ってなされた支出命令には,固有の違法は存在しない。 (4) 過失及び損害(争点4)(原告の主張)Aは,本件各支出命令当時,その本来的な権限者である町長の地位にあったものであるから,違法な本件各支出命令がされたことについて,過失がある。また,緒方町は,違法な本件各支出命令がなされ,同金額の支出がされたことによって,同額の損害を被った。 (被告の主張)争う。 本件支出命令3及び4については,Cに対し,時間外勤務等について正規の割増賃金を支給しない代わりに,年2回20日分の手当を支給したものである。仮に,通常の職員と同様の割増賃金を支給すれば,平成13年4月から平成14年3月までの1年間で28万6744円にのぼり,Cに対する給与額はより多額になったということができるから,本件各契約に基づいて給与を支給したことによって,むしろ緒方町は利益を得ている。 したがって,緒方町には何ら損害が発生していない。 - 15 -第3当裁判所の判断 争点1(監査請求期間の徒過の有無)について(本案前の争点)(1) 本件支出命令3についてア前記第2の1の認定事実によれば,本件監査請求(平成14年10月29日)が,平成13年7月5日の本件支出命令3から1年を経過した後にされたものであることは明らかである。そこで,期間経過につき,法242条2項ただし書にいう「正当な理由」が認められるかを検討する。 イ法242条2項本文は,普通地方公共団体の執行機関,職員の財務会計上の行為は,たとえそれが違法,不当なものであったとしても,いつ 2条2項ただし書にいう「正当な理由」が認められるかを検討する。 イ法242条2項本文は,普通地方公共団体の執行機関,職員の財務会計上の行為は,たとえそれが違法,不当なものであったとしても,いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るものとしておくことが法的安,。 ,定性を損ない好ましくないとして監査請求の期間を定めているしかし当該行為が普通地方公共団体の住民に隠れて秘密裡にされ,1年を経過してから初めて明らかになった場合等にもその趣旨を貫くのは相当でないことから,同項ただし書は「正当な理由」があるときは,例外として,当,該行為のあった日又は終わった日から1年を経過した後であっても,普通地方公共団体の住民が監査請求をすることができるようにしているのである。したがって,上記のように当該行為が秘密裡にされた場合には,同項ただし書にいう「正当な理由」の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか,また,当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁昭和63年4月22日第二小法廷判決・裁判集民事154号57頁。そして,このことは,当該行為が秘密裡にされた場)合に限らず,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合にも同様であると解すべきである。した- 16 -がって,そのような場合には,上記正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される そのような場合には,上記正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁。 )もっとも,普通地方公共団体の一般住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができなくても,監査請求をした者が上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される場合には,上記正当な理由の有無は,そのように解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成14年10月15日第三小法廷判決・判例時報1807号79頁。 )ウそこで本件についてこれをみるに,前提事実に加え,証拠(甲10,11,乙9ないし12,15,証人E,原告)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)平成13年6月15日,同年第2回緒方町議会定例会において,公用車運転手賃金について210万円の増額を計上した同年度緒方町一般会計補正予算案(以下,単に「補正予算案」という)が第49号議案。 として提出され,同議案は,審議の上,可決された。 また,同年12月12日,同年第4回緒方町議会定例会において,本件支出命令3及び4に係る公用車運転手賃金について,37万2000円の増額を計上した同年度緒方町一般会計補正予算案(以下「追加補,正予算案」という)が第72号議案として提出され,同議案は,審議。 の上,同月21日可決された。 ,,,そして上記補正予算の執行状況については平成14年9月18日- 17 -町長から,平 正予算案」という)が第72号議案として提出され,同議案は,審議。 の上,同月21日可決された。 ,,,そして上記補正予算の執行状況については平成14年9月18日- 17 -町長から,平成13年度緒方町一般会計歳入歳出決算が,同年第3回緒方町議会定例会に提出され,同決算書には,歳出第2款第1項第1目第7節賃金の項目に「公用車運転手賃金」として244万8167円(不用額2万3833円)が計上された。 (イ)原告は,平成5年2月以降,緒方町議会議員の地位にあり,上記各定例会に出席し,補正予算案の審議,議決等の加わっていた。補正予算案について,原告は,平成13年6月の定例会において,既に4月から採用した公用車運転手(C)に対する給与が支払われていることを指摘し,予算の事前執行であって許されない旨の意見を述べた。また,追加補正予算案について,原告は,同年12月18日に開催された定例会の審議において,公用車運転手賃金の増額が計上されている理由について質問をし,D総務課長が,上記質問に対し,増額の理由として,同年4月に,退職した職員を公用車運転手として採用し,同人との間で,同年6月及び12月に賞与を支払う旨の嘱託契約を締結していたが,賞与分,,については同年6月に提出した補正予算案に計上していなかったため追加補正予算案に計上したこと,上記各賞与の支給については,既に執行済みであることを回答した。 エウの認定事実によれば,本件支出命令3が秘密裡にされたということはできず,原告は,遅くとも平成13年12月18日には,緒方町が,同年4月,Cとの間で嘱託契約を締結し,Cを公用車運転手として雇用したこと,Cに対し,同年6月及び12月に賞与が支給されたこと,Cに対する給料は補正予算案に計上され,その額は210万円であること,上記各賞与が との間で嘱託契約を締結し,Cを公用車運転手として雇用したこと,Cに対し,同年6月及び12月に賞与が支給されたこと,Cに対する給料は補正予算案に計上され,その額は210万円であること,上記各賞与が追加補正予算案に計上され,その額は37万2000円であること等について,追加補正予算案の審議を通して認識していたということができる。そして,原告は,法98条ないし100条に規定する各権限を有する普通地方公共団体の議会の議員であって,上記認識に基づいて,町議会議- 18 -員として相当の注意力をもって調査等をしたならば,本件各契約の内容等についても知ることが可能であったというべきであって,遅くとも,追加補正予算案が可決された同月21日には,直ちに監査請求をするに足りる程度に,本件支出命令3の存在及び内容を認識することができたというべきである。 このような原告の認識や地位等に基づいて考えると,同日から10か月以上を経過した平成14年10月29日になされた本件監査請求は,前記相当な期間内にされたものということはできず,本件監査請求に法242条2項ただし書にいう正当な理由があるということはできない。 以上によれば,本件訴えのうち,本件支出命令3に係る訴えは,適法な監査請求の前置を欠いた不適法なものといわざるを得ない。 (2) 本件支出命令4について前提事実のとおり,本件監査請求は,本件支出命令4がされた平成13年12月10日から1年以内にされているので,本件訴えのうち,本件支出命令4に係る訴えについては,監査請求の期間制限に違反した事実を認めることはできない。 被告は,本件監査請求について,本件各契約の締結日から起算すると監査請求期間を徒過している旨主張するが,前提事実のとおり,本件監査請求においては,Cに対する給与及び賞与の支出が問題とされており い。 被告は,本件監査請求について,本件各契約の締結日から起算すると監査請求期間を徒過している旨主張するが,前提事実のとおり,本件監査請求においては,Cに対する給与及び賞与の支出が問題とされており,本件支出命令3及び4を含む給与の支出命令がその対象となるとされているとみることができるから,これを対象とする監査請求においては,上記各支出命令の日を基準として法242条2項本文を適用して,監査請求期間の徒過の有無を判断すべきである(最高裁平成14年7月16日第三小法廷判決・民集56巻6号1339頁参照。したがって,被告の主張は失当である。 ) 争点2(本件支出命令2の違法性)について(1) 前提事実(2)のとおり,緒方町のBに対する平成13年度12月分の期末- 19 -手当の支給が,平成13年12月10日付け96万8576円(本件支出命令1,同月13日付け24万2144円(本件支出命令2)の2度にわた)った経緯については,前提事実に加え,証拠(甲4,5,乙1の1・2,証人E)及び弁論の全趣旨によれば,次のとおり認めることができる。 Bは,緒方町の総務課長の職にあったが,平成13年6月30日限り退職し,翌7月1日付けで同町助役に就任したものであるところ,当初,緒方町では,同人に対し,同年12月の期末手当として,同人が助役として在職した5か月を在職期間として,職員給与条例23条2項により,期末手当基礎額(助役については,月給65万8000円に15%の役職加算をした額)に,100分の160を乗じて得た額に100分の80の割合を乗じた額96万8576円を支給することとして,本件支出命令1のとおり支出した。 658,000×115/100×160/100×80/100=968,576しかしながら,上記期末手当の支給について,Bから異議申立てがな 6円を支給することとして,本件支出命令1のとおり支出した。 658,000×115/100×160/100×80/100=968,576しかしながら,上記期末手当の支給について,Bから異議申立てがなされたため,再検討したところ,職員給与規則24条9項4号により,同人が緒方町総務課長の職にあった期間を通算して,在職期間を6か月として算定することが相当であるとの結論に至り,上記期末手当基礎額に,100分の160を乗じて得た額に100分の100の割合を乗じた額121万0720円を支給すべきであったとして,上記既払額96万8576円を除いた残額について,本件支出命令2のとおり,支給した。 658,000×115/100×160/100×100/100-968,576=242,144(2) そこで,検討するに,職員給与規則24条6項は,期末手当の支給額の算,「()定の際に乗ずる割合の基礎となる在職期間について条例職員給与条例の適用を受ける職員として在職した期間」としているところ,緒方町の一般職であった職員がいったん退職し,翌日から特別職として勤務したような場合,前職である一般職の在職期間を考慮すべきか否かについて特に定めた規定は存在しない。しかしながら,同条9項は,条例の適用を受けない常勤の- 20 -職員(同項1号,他の地方公共団体の職員及び国家公務員(同項2号,3)号,ただし,いずれも町長が定める者に限る)であった者,町長が前各号。 に準ずるものと認めた者(同項4号)が,その後,職員給与条例の適用を受ける職員となった場合には,他の地方公共団体の職員や国家公務員としての在職期間を同条6項の在職期間に算入すべきと規定している。その定めの趣旨は,地位の変更による当該公務員の経済的不利益を填補することにあり,同項1ないし3号に定める者 共団体の職員や国家公務員としての在職期間を同条6項の在職期間に算入すべきと規定している。その定めの趣旨は,地位の変更による当該公務員の経済的不利益を填補することにあり,同項1ないし3号に定める者の他,上記の趣旨から,これと同様に取り扱うべき者については,同項4号を適用することが予定されていると解されるところ,同町の一般職の職員であった者が,退職後,同町の特別職として勤務した場合についても,同項1ないし3号の者と取扱いを異にする理由は存在しない。 緒方町においては,上記と同旨の解釈に基づき,本件のBにつき,同条9項4号の「町長が前各号に準ずるものと認めた者」に該当するとして,Bが同町総務課長の職にあった期間を在職期間として通算して,前記のとおり,同人に対する平成13年度12月分の期末手当を算定し,本件支出命令2を行ったものである。よって,この点に原告が指摘するような違法は認められない。 (3) なお,原告は,総務課長の在職期間を考慮することができるとしても,その基準とすべき給料月額は,総務課長として勤務した時期の給料とすべきであると主張する。しかし,前提事実のとおり,職員給与条例23条3項によれば,期末手当基礎額は,それぞれ,手当支給の基準日現在において,職員が受けるべき給料及び扶養手当の月額並びにこれらに対する調整手当の月額の合計額とされているから,Bについては,助役としての給料月額を基準と,。 すべきであって総務課長としての勤務時期の給料を基準とすべきではないしたがって,この点に関する原告の主張は採用できず,他に,本件支出命令2について,条例及び規則に違反した財務会計上の違法は認められない。 - 21 - 争点3(本件支出命令4の違法性)について(1) Cに対する賞与の支給について,前提事実に加え,証拠(甲9,乙2,6ない て,条例及び規則に違反した財務会計上の違法は認められない。 - 21 - 争点3(本件支出命令4の違法性)について(1) Cに対する賞与の支給について,前提事実に加え,証拠(甲9,乙2,6ないし8,12,15,証人E)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 アCは,昭和46年9月から緒方町運転手として勤務し,昭和52年4月からは主に町長車の運転業務を担当していたが,平成13年3月末日限り退職した。 緒方町では,Cの退職に先立ち,同年4月以降のCの後任を捜したが,町長車の運転を担当する適当な人材が見つからなかった。そこで,緒方町では,同年3月末ころ,Cに対し,退職後も継続して勤務することを要請したところ,同人はこれを受け,同年4月1日付けで,契約期間を6か月間とした本件契約1が締結された。 イ平成13年4月以降のCの勤務内容については,本件各契約書には,総務課に配置する旨の記載があるに止まるが,平成13年度総務課事務分掌表(乙8)によれば,総務課財産管理係に配置され,町長車及び公用車の運転並びに公用車の管理に関することの業務の主任とされている。実際には,Cは,町長車及び公用車の運転,その整備,点検,記録,清掃等を行うほか,空いた時間には,通常の総務課の事務の発送文書の宛名書きや職員の有給休暇の集計等,総務課の他係の業務を補助的に行っている。 本件各契約書には,勤務日数の定めはないが,有給休暇など,常勤であ。 ,,,ることを前提とした定めがある実際にもCは平日はほぼ連日出勤し緒方町もCを常勤職員として扱っていた。また,Cの勤務時間は,本件各契約書上,午前8時30分から午後4時45分まで(ただし,午後0時15分から午後1時までの休憩時間を除く)の7時間30分とされている。 ,,,が町長車の運転を主たる業 Cの勤務時間は,本件各契約書上,午前8時30分から午後4時45分まで(ただし,午後0時15分から午後1時までの休憩時間を除く)の7時間30分とされている。 ,,,が町長車の運転を主たる業務としていることから時間外勤務等も多くC本人が届出をした限りで,同年6月中に19時間15分,同年7月中に- 22 -38時間35分の時間外勤務等がある。この点,本件契約書1の5条によれば「1日の労働時間が8時間を超える場合には,正規職員に準じ割増,し賃金を支給するもの」とされているが,実際に割増賃金が支給されることはなく,おおむね上記時間外勤務等に相応する代休を取ることで処理されている。 ,,(),なおCの給与は月額17万5000円のほか本件契約書1の5条賃金とは別に手当として6月及び12月に20日分を支給するとされた(同6条。 )ウ緒方町とCとの間では,その後同年10月1日付けで,契約期間を6か月とした本件契約2が締結され,その後も契約が更新されて,Cは,現在(平成16年度)に至るまで,公用車運転手として勤務している。 更新後の契約内容も基本的には本件契約1と同様であるが,本件契約2においては,Cの1日の労働時間が8時間を超える場合には,割増賃金を支給するか,又は代休扱いとする旨が契約書に明文化された(5条。 )また,平成14年4月以降の契約上では,手当及び費用弁償に関する条項が削除され,以後,Cに対して,6月及び12月分の賞与が支給される,。 ことはなくなり賃金として月額17万5000円のみが支給されている(2) 以上の認定事実に基づき,Cの緒方町における地位について検討する。 アまず,Cが緒方町から業務の委託を受けた関係にあるか否かの点について検討するに,本件各契約書(乙2の1・2)によれば,契約書の表題はいずれも 実に基づき,Cの緒方町における地位について検討する。 アまず,Cが緒方町から業務の委託を受けた関係にあるか否かの点について検討するに,本件各契約書(乙2の1・2)によれば,契約書の表題はいずれも「嘱託契約書」と表示され,証人EもCを嘱託職員として採用した旨証言している。 しかしながら,本件各契約書の冒頭には「緒方町長・・を甲とし,被,雇用者・・Cを乙とし,次のとおり雇用契約を締結する」との記載があ。 るほか,1条では,雇用されるCは,総務課に配置され,所属長の指示,命令に従い職務を遂行しなければならないとされ,詳細はパート職員就業- 23 -規則によるとされている。また,実際のCの勤務実態に鑑みても,勤務時間こそ,後記のとおり一般の職員より若干短いが,就業時間を定められて,,,連日出勤する者であって専ら町長車や公用車の運転整備等を行うほか配置された総務課の業務を行うなどしている。 このような本件各契約の内容及びCの勤務実態や,本件各契約締結の経緯等に照らせば,緒方町とCとの関係は,業務委託の関係にはなく,雇用の実質を有する一般の職員と異ならない従属的労働関係にあったと認めるのが相当である。 イそして,本件各契約は,Cと緒方町との間で,私法上の雇用契約として締結されたようにもみられるけれども,地方公務員法は,その成立の沿革及び国家公務員法との対比に照らし,地方公共団体による私法上の雇用契約の締結を禁止しているものと解されるから,本件各契約については,Cを緒方町の職員として採用する旨の任用行為があったものというべきである。 その任用行為については,前記の本件各契約締結の経緯,勤務時間及び(,。),雇用期間などの本件各契約内容特別職でもなく正規職員とも異なる常勤的な勤務状況,運転経歴や免許のほかには特段の専門的知 任用行為については,前記の本件各契約締結の経緯,勤務時間及び(,。),雇用期間などの本件各契約内容特別職でもなく正規職員とも異なる常勤的な勤務状況,運転経歴や免許のほかには特段の専門的知識,経験等を要しないという職務内容,給料等に関して補正予算が編成されたこと等に鑑みれば,地方公務員法3条3項3号の規定する臨時又は非常勤の嘱託員又はこれに準ずるもの(恒久的でない職務又は常時勤務することを要しない職であり,かつ職業的公務員でない点で一般職と異なる)には該当。 せず,むしろ同法22条2項以下の臨時的任用か,あるいは,同法に規定のない一般職の期限付任用(最高裁昭和38年4月2日第三小法廷判決・民集17巻3号435頁参照。ただし,本件が期限付任用として許容されるか否かは問題がある)として行われたものとみざるを得ない。 。 ウ以上のように解するとして,緒方町における任用関係の規定のうち,C- 24 -がいかなる規定の適用を受ける職員であるかを検討する。 パート職員就業規則1条によれば,パート職員とは,臨時に雇用される職員で所定労働時間が正規職員より短いものをいうとされ,その就労時間は1日につき7時間30分以内とされているところ,イで指摘した事情に加え,一般の職員(正規職員)の勤務時間は7時間45分である(緒方町職員の勤務時間,休暇等に関する規則。甲8)のに対し,Cの勤務時間は正規職員より短い7時間30分であること,パート職員就業規則4条によれば「パート職員は,1年以内の期間を定め,雇用契約書により契約す,る」と規定されていること,本件各契約はいずれも期間を半年とした契。 約であって,本件各契約書には,Cがパート職員に該当することを前提とした記載があり,詳細はパート職員就業規則による旨の記載もあることなどに鑑みれば,緒方町におい 契約はいずれも期間を半年とした契。 約であって,本件各契約書には,Cがパート職員に該当することを前提とした記載があり,詳細はパート職員就業規則による旨の記載もあることなどに鑑みれば,緒方町においては,平成13年当時,Cを上記規則の適用を受けるパート職員として採用したものと認めるのが相当であり,Cに対する給与等の支給についても,上記規則の適用を受けるものというべきである。この点,被告は,Cとの契約は,更新が前提とされていたから,Cはパート職員ではない旨主張するが,当初から更新が前提とされていたこ,,,とを認めるに足りる証拠はなくその後契約が更新された事実をもって当初から,更新が予定されていたものであると推認することもできないから,被告の主張は採用できない。 なお,原告は,Cが再任用短時間勤務職員であると主張するが,緒方町において再任用制度に関する条例が施行されたのは平成14年度以降であり,平成13年当時の任用行為に対して同条例が適用される根拠はないから,Cが再任用短時間勤務職員であるということもできない。 (3) 以上を前提として,本件支出命令4の違法性について検討する。 ア(ア)普通地方公共団体の職員に対する給与その他の支給は,条例に基づくことを要する(法203条,204条,同条の2,地方公務員法24- 25 -条6項,25条1項)ところ,このように給与条例主義が採用された趣旨は,普通地方公共団体の職員に対して給与を権利として保障するとともに,給与の決定を住民の代表である議会の条例制定を通じて,そのコントロール下に置くことによって,給与の適正かつ公正な支給を確保するという点にあるものと解される。 前記のとおり,Cの勤務条件及び給料等の条件については,パート職員就業規則の適用を受けるべきところ,同規則は,臨時に雇用される職 て,給与の適正かつ公正な支給を確保するという点にあるものと解される。 前記のとおり,Cの勤務条件及び給料等の条件については,パート職員就業規則の適用を受けるべきところ,同規則は,臨時に雇用される職員で所定労働時間が正規職員より短いものについて,その地位や給与等の関係を定めた規則であるが,いかなる条例の委任を受けて規定されているかが明示されておらず,本件全証拠によっても,給与等の支出の規定を上記規則に委任した条例の存在を認めることはできない。 よって,Cに対する賞与の支給を命じた本件支出命令4は,そもそも条例上の根拠を欠く違法な支出命令であるというべきである。 なお,被告は,Cに対する手当(上記賞与)の支給について給与条例主義に違反することがあるとしても,本件各契約は違法ではないから,被告にはこれに従って手当を支給する債務を負う旨主張する。しかしな,,(。)がら上記のとおり地方公務員の給与給料のほか各種手当を含むについては条例に基づいて支給される必要があり(地方公務員法25条,条例と異なる契約を締結したとしても,そのような契約は無効で)あり,契約に基づく手当を支給することは許されない。したがって,被告の主張は採用できない。 (イ)また,仮に,パート職員就業規則が,条例の委任を受けて制定されたものであったと評価することが可能であったとしても,同規則によれば,継続して雇用された期間が12か月以上あるもので,再雇用されたものに限り,6月及び12月に20日分の賞与を支給することが定められているにとどまる。しかるに,Cは,平成13年度にパート職員とし- 26 -て初めて雇用されたものであり,同規則上も,Cに対して賞与を支給することは許されない。 この点について,被告は,Cに対して支給した手当は,Cの勤務の特殊性を考慮して,時 パート職員とし- 26 -て初めて雇用されたものであり,同規則上も,Cに対して賞与を支給することは許されない。 この点について,被告は,Cに対して支給した手当は,Cの勤務の特殊性を考慮して,時間外勤務等につき割増賃金を支給しない代わりに支払った手当であり,賞与ではない旨主張し,証人Eもこれに沿う証言をする。しかしながら,本件各契約書(乙2)によれば,Cに対する手当がパート職員就業規則10条と同じ20日分と定められ,かつ,1日の労働時間が8時間を超える場合には割増賃金を支給するとも定められており,契約書上は,割増賃金の代替として上記手当の支給を定めたことを窺わせる記載は存在せず,他にそのことを示す客観的な証拠は提出されていない。また,実際にも,Cの時間外勤務等についてはおおむね時間外勤務等に相応する代休を取ることで処理されており(乙6,追加)補正予算の審議の際においても,D総務課長から,Cに対する手当について,賞与として支払う旨の答弁がされていること(乙15の3)等にも鑑みれば,本件各契約書上のCに対する手当は,割増賃金の代替ではなく,賞与として支給されていたというべきであって,上記認定に反するE証言は信用できない。 以上によれば,本件支出命令4は,パート職員就業規則にも違反して行われたものであり,いずれにしても違法であるというべきである。 イ以上に対し,被告は,Cが単純労務職員であり,単純労務職員の給料についてはその「種類及び基準」のみを条例で定め,給料の額や支給方法等の具体的な債務については,地方公共団体の長が定めることとされているので,給料及び手当の種類を定め,支給基準を規定している職員給与条例に基づき,町長の判断によって,パート職員就業規則も参考にしつつ,本件各契約で定めたと主張する。Cの職務内容は,公用車の運転等に限 ので,給料及び手当の種類を定め,支給基準を規定している職員給与条例に基づき,町長の判断によって,パート職員就業規則も参考にしつつ,本件各契約で定めたと主張する。Cの職務内容は,公用車の運転等に限定されていないことから,Cが単純労務職員に該当するか否かについて必ずし- 27 -も明らかではないけれども,この点について,検討を加える。 確かに,単純労務職員については,地方公務員法の適用が除外されているが,単純労務職員のうち一般職の者については地方公営企業法が準用さ(。 ,,れており地方公営企業労働関係法附則5項なおCが特別職ではなく一般職に該当することは前記のとおりである,給与の種類及び基準は,。)条例で定めることが必要である(同法38条4項。上記規定が,給与条)例主義の例外であることを考慮すると,少なくとも,条例により,給与の種類については,給料及び手当の別のほか,更に細分化した種類を具体的名称と共に個々に規定する必要があり,また,給与の原則的な基準を定める必要がある。したがって,単純労務職員の給与についても,このような条例に拠ることなく,私法上の契約で定めることは許されない。 また,緒方町においては,上記給与の種類及び基準について,単純な労務に雇用される職員の給与の種類及び基準に関する条例(昭和63年2月22日条例第2号。乙13)並びに規則(昭和63年3月15日規則第4号。甲7)が存在する。しかし,同条例17条には「臨時職員及び非常勤職員の給与の種類及び基準については,この条例の規定にかかわらず,職員の給与との権衡を考慮して任命権者が別に定める」と規定され,上記。 規則1条には,臨時職員及び非常勤職員について適用を除外する旨規定され,臨時的に採用された単純労務職員については,上記程度まで給与の種類及び基準を定め して任命権者が別に定める」と規定され,上記。 規則1条には,臨時職員及び非常勤職員について適用を除外する旨規定され,臨時的に採用された単純労務職員については,上記程度まで給与の種類及び基準を定めた条例が存在しない。 以上のとおりであって,仮に,Cが単純労務職員に該当するとしても,その給与等については,その種類及び基準について具体的に定めた条例に基づいて決定される必要があるというべきところ,そのような条例の存在が認められない本件においては,いずれにしても,本件支出命令4が給与条例主義に違反した違法なものであることは明らかである。 争点4(過失及び損害)について- 28 -(1) 前提事実のとおり,緒方町においては,職員等に対する給料及び手当の支出命令について,総務課長に専決権限が付与されているが,当時町長であったAは,町長として,予算を調整してこれを執行する権限を有し,公金の支出権限を本来的に有する者であり(法232条の4,専決権限を行使する)補助職員の財務会計上の行為について,違法行為がなされないように指揮監,,督する権限を有するというべきであり本件支出命令4がなされるに当たり上記監督を怠って,違法な支出をさせたものであるから,緒方町が被った損害について不法行為に基づく損害賠償責任を負うというべきである。 なお,被告は,上記過失を否定するが,前記のとおり,Cに対する賞与の支給については,給与条例主義のみならず,緒方町において制定したパート職員就業規則に違反することも明らかであるから,当時町長の職にあったAが,本件各支出命令の違法性を知り得なかったということはできない。 (2) 次に,被告は,本件支出命令4について,Cに対し,時間外勤務等の割増賃金を支給しない代わりに,年2回20日分の手当を支給したものであるところ,仮に,割 を知り得なかったということはできない。 (2) 次に,被告は,本件支出命令4について,Cに対し,時間外勤務等の割増賃金を支給しない代わりに,年2回20日分の手当を支給したものであるところ,仮に,割増賃金を支給すれば,Cに対する給与額はより多額になったものであり,損害の発生は認められない旨主張するので,検討する。 法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟において問題となる損害賠償,,請求権についても財務会計上の行為により普通地方公共団体に損害が生じ他方,上記行為の結果,その地方公共団体が利益を得,あるいは支出を免れることによって利得をしている場合,両者の間に相当因果関係があると認められる限りは,損益相殺を行うことができるというべきである(最高裁平成6年12月20日第三小法廷判決・民集48巻8号1676頁参照。しか)しながら,本件支出命令4に係る金額については,以下のとおり,被告の主張するように,その支出により,緒方町が利益を得たことや,緒方町が支出を免れたことを認めるに足りず,被告の主張は採用できない。 ア前記3(3)ア(イ)で判示したとおり,本件支出命令3及び4の支出はC- 29 -に対する賞与としてなされたものであって,時間外勤務等に対する割増賃金の代替措置であると認めることはできない。 イCが届け出ている時間外勤務等については,おおむね代休を取ることにより処理されており,本件契約2に係る平成13年10月以降の期間について,記録(乙6)の提出されている平成14年2月3日までの勤務分をみても,時間外勤務等と代休扱いとの時間差は6時間余りにとどまり,被告の主張するように割増賃金を支給すれば,Cに対する支給額が本件支出命令4に係る賞与額より多額になるとは到底認められない。したがって,,,時間外勤務等についてはおおむね代休を取 りにとどまり,被告の主張するように割増賃金を支給すれば,Cに対する支給額が本件支出命令4に係る賞与額より多額になるとは到底認められない。したがって,,,時間外勤務等についてはおおむね代休を取ることにより処理されており残りについて割増賃金が支払われていないのはCが請求していないにすぎないと考えられ,緒方町が時間外勤務等に対する対価の支払を,賞与を支払ったことにより免れたものとは認められない。 (3) したがって,緒方町は,違法な本件支出命令4に基づいて,違法な賞与が支給されたことによって,同額の損害を被ったものというべきである。 結論 以上のとおりであって,本件訴えのうち,本件支出命令3に係る訴えは不適法であるから却下すべきであり,その余の訴えに係る原告の請求は,被告がAに対し,17万5000円及びこれに対する平成15年2月7日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求することを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条を適用して主文のとおり判決する。 大分地方裁判所民事第2部裁判長裁判官関美都子- 30 -裁判官瀧岡俊文裁判官家原尚秀- 31 -(別紙1) 平成13年12月10日,緒方町が,同町助役Bに対して,平成13年度12月分の期末手当として支給した96万8576円の支出命令 同月13日,緒方町が,同町助役Bに対して,平成13年度12月分の期末手当として支給した24万2144円の支出命令 同年7月5日,緒方町が,同町の公用車運転手Cに対して,平成13年度6月分の賞与として支給した16万6667円の支出命令 同年12月10日,緒方町が,同町の公用車運転手Cに 144円の支出命令 同年7月5日,緒方町が,同町の公用車運転手Cに対して,平成13年度6月分の賞与として支給した16万6667円の支出命令 同年12月10日,緒方町が,同町の公用車運転手Cに対して,平成13年度12月分の賞与として支給した17万5000円の支出命令
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