主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 押収してある電子機器1式を没収する。 理由 (犯罪事実)被告人は,平成15年1月4日午後零時55分ころ,栃木県内のパチンコ店において,同店に設置されている回胴式遊技機が一定の周期で当選を出現させる乱数生成電子回路を内蔵していることを奇貨として,これと同一の周期を持つ電子回路を内蔵する電子機器を使用することによって,同遊技機が予定している確率よりも極めて高い確率で当選を意図的に出現させ,同遊技機から同店店長管理にかかるメダル2615枚(貸出価格合計5万2300円相当)を窃取したものである。 (補足説明)なお,本件機器は,遊技機を誤作動させるものではない。しかし,本件機器は,スタートレバーを機械に叩かせ,当選の確率を10倍以上に高めてメダルを獲得し得るものであり,本件機器を使用した遊技方法は,通常予定された遊技方法の範囲を逸脱したものである上,本件パチンコ店では禁止されていたのであるから,本件について,窃盗罪が成立する。 (法令の適用) 1 罰条刑法235条 2 刑の執行猶予刑法25条1項 3 没収刑法19条1項2号,2項本文 4 訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は,被告人が電子機器を不正に使用して,パチンコ店の遊技機からメダルを窃取したという事案である。 被告人は,友人から本件機器の話を聞き,少ない投資金で確実に多くの利益を得ることができると考え,本件機器を譲り受けて,本件犯行に及んだもので,犯行は計画的かつ巧妙で悪質である。被害相当金額も5万円を超え,少額とはいえない。そして,本件犯行時の被告人の本件機器の使用の態様や,被告人が本件機器は使用を禁止されたも て,本件犯行に及んだもので,犯行は計画的かつ巧妙で悪質である。被害相当金額も5万円を超え,少額とはいえない。そして,本件犯行時の被告人の本件機器の使用の態様や,被告人が本件機器は使用を禁止されたものであると知っていたことなどに照らすと,被告人は,本件行為が窃盗罪に該当することを十分認識していたと認められ,被告人自身も本件を認めているにもかかわらず,なお被告人は不明瞭な供述をしており,真摯に反省しているかは疑問が残る。被告人の責任は軽くない。 しかし,本件の証拠による限り組織的犯罪とは認められないこと,本件が店員に発覚し,パチンコ店にメダルが返還されて財産的損害は生じずに済んだこと,被告人が本件を認めていること,前科がないことなどの事情もあるので,主文のとおり判決することとした。 平成15年3月24日宇都宮地方裁判所刑事部裁判官野口佳子
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