【DRY-RUN】主 文 一 原判決中、第一審債務者敗訴部分を取消す。 二 第一審債権者Aの申請を却下する。 三 第一審債権者らの本件控訴をいずれも棄却する。 四 申請費用は、第一、二審とも第一審債権者らの負担とす
主 文 一 原判決中、第一審債務者敗訴部分を取消す。 二 第一審債権者Aの申請を却下する。 三 第一審債権者らの本件控訴をいずれも棄却する。 四 申請費用は、第一、二審とも第一審債権者らの負担とする。 事 実 第一 当事者の求めた裁判 (昭和五五年(ネ)第一二〇七号事件について) 一 第一審債権者ら 1 原判決を次のとおり変更する。 (一) 第一審債権者らが、第一審債務者の従業員たる地位を有することを仮に定 める。 (二) 第一審債務者は、第一審債権者B、同C、同D、同E、同F、同Gに対し 昭和五〇年三月以降、同Hに対し同年四月以降、それぞれ本案判決確定に至るまで 毎月二八日限り、原判決添付別紙賃金一覧表中右各人名下記載の各金員を、同Iに 対し金六万五五五五円、同Jに対し金五万一三六〇円、同Kに対し金五万七五七一 円、同Lに対し金五万五六九八円を、並びに同Iに対し同年四月以降、同J、同 K、同Lに対し同年五月以降、同表これら各人名下記載の各金員を、それぞれ、本 案判決確定に至るまで毎月二八日限り、支払え(第一審債権者H、同I、同J、同 K、同Lは申請を減縮した。)。 2 申請費用は、第一、二審とも第一審債務者の負担とする。 二 第一審債務者 主文第三項と同旨 (昭和五五年(ネ)第一〇〇三号事件について) 一 第一審債務者 主文第一、二項と同旨並びに申請費用は第一、二審とも第一審債権者Aの負担とす る。 二 第一審債権者A 控訴棄却。 第二 当事者の主張 当事者双方の主張は、原判決事実摘示と同一(ただし、原判決二〇枚目表三行目 の「年令」を「年齢」に改める。)であるから、これをここに引用する。 第三 証拠(省略) 理 由 一 第一審債務者が、板ガラス・テレビガラスバルブ等の製造販売を目的とする会 社であること、第一審債権者らが原判決事 。)であるから、これをここに引用する。 第三 証拠(省略) 理 由 一 第一審債務者が、板ガラス・テレビガラスバルブ等の製造販売を目的とする会 社であること、第一審債権者らが原判決事実摘示の申請の理由一の2掲記の表中 「第一回契約日」欄記載のとおり昭和四八年又は同四九年に、同表中「資格」欄記 載の資格で、職場を同表中「職場」欄記載のとおりとして、第一審債務者船橋工場 に労働契約期間三か月の臨時工として採用され、三か月を経過した時点で更に同一 内容の労働契約の締結を繰り返えしていたが、第一審債権者らに対する雇止め(労 働契約の更新をしない旨の意思表示のされたこと(以下「本件雇止め」とい う。))前三か月間の平均賃金が原判決添付別紙賃金一覧表各第一審債権者名下の 記載のとおりであること、第一審債務者は、第一審債権者のうち、D、E、F、G に対し、その各労働契約期間満了日(D、E、Fについては昭和五〇年一月三〇 日、Gについては同年二月一五日)に、いずれも同年二月二八日までの新たな労働 契約締結を申し込んだところ、右同人らがこれを承諾したので、同日経過後は右同 人らの従業員としての地位を否定していること、H、I、J、A、K、Lに対し、 労働契約期間内である同年二月初旬から中旬にかけて、それぞれ次回は労働契約を 更新しない旨を通告し、Hにつき同年三月三一日、Iにつき同月一五日、J、A、 K、Lにつき同年四月一五日の各労働契約期間満了日経過後は、右同人らの従業員 としての地位を否定していること、B、Cに対し、労働契約期間満了日である同年 二月一五日経過後は右同人らの従業員としての地位を否定していることは当事者間 に争いがなく、成立に争いがない甲第一号証、第二号証及び原審証人Mの証言によ れば、第一審債務者は、Bに対し同年一月二七日、Cに対し同月二八日、同年二月 一五 員としての地位を否定していることは当事者間 に争いがなく、成立に争いがない甲第一号証、第二号証及び原審証人Mの証言によ れば、第一審債務者は、Bに対し同年一月二七日、Cに対し同月二八日、同年二月 一五日に満了する右両名との労働契約につき期間を同月一六日から同月二八日まで とする新たな労働契約の締結を申し込み、その際、その後は更新しない旨の意思表 示をしたところ、右両名ともこれを拒否したため、同月一五日、右両名に対し同日 の満了をもつて労働契約が終了した旨の通告をし、併せて解雇予告手当を支払う旨 を通知した事実が一応認められ、右認定に反する証拠はない。 二 第一審債権者らと第一審債務者が雇用期間を三か月とする労働契約を締結する に至つた経緯、その採用時の状況、第一審債務者における本工と臨時工との差異に ついての当裁判所の認定は、次のとおり改めるほかは、原判決理由二の1の(一) ないし(六)記載のとおり(原判決二六枚目裏一行目から三二枚目裏六行目まで) であるから、これをここに引用する。 原判決二六枚目裏七行目「証人」を「原審及び当審証人」に、「同○○○○○」 を「原審証人○○○○○」に、同八行目「同N」を「原審及び当審証人N」に、同 二七枚目表六行目の「反覆」を「反復」に、同二八枚目表一〇行目から一一行目及 び同裏一一行目、一二行目、同三〇枚目表八行目の各「年令」をいずれも「年齢」 に、同三一枚目裏八行目の「債務者」を「債務者会社」にそれぞれ改める。 三 前記認定のように、第一審債務者の船橋工場における臨時工の採用、処遇の方 策は、右工場における生産商品の受注量が経済事情により直接変動を受ける性格の ものであるところ、経済事情の長期的見通しがつきにくいことから、安定した生産 計画の樹立が困難であるため、比較的短期の経済見通しの下で雇用量の調整を図り 得る雇用形態が私企業とし 直接変動を受ける性格の ものであるところ、経済事情の長期的見通しがつきにくいことから、安定した生産 計画の樹立が困難であるため、比較的短期の経済見通しの下で雇用量の調整を図り 得る雇用形態が私企業としては必要不可欠であると同時に、その生産工程には単純 な反復作業が多いことから、労働者の定着率が悪く、若年労働者から敬遠される傾 向が強いため、かかる職場に期間の定めのない労働契約による雇用者をあてること は企業管理上好ましくないので、短期間の又は季節的な労働を希望する遊休労働者 あるいはアルバイト希望者を、相応の処遇を配慮して、簡易な手続で採用すること が、右の種々の問題の解決策として妥当であるものとして採り入れられたのであ る。 そして、そのための雇用期間の三か月も短期雇用希望者の大方の要望に副うと同 時に、雇用量の調整を図る必要上の適当な期間として定められたものとみるべきで あり、したがつて、第一審債務者において生産商品の受注の見込み等から雇用を継 続してさしつかえない場合に雇用者の希望があるときは、新規採用よりも臨時工と の契約を更新して雇用を継続することが当事者双方にとつて好都合であることはい うまでもないのであつて、かかる意味においてある程度継続して雇用することが見 込まれているともいえるのであるが、更新継続雇用することを当然の前提として短 期の雇用契約が締結されているものでないことは、その趣旨からして明らかであ る。 四 前記認定の事実によれば、第一審債権者らは、契約期間が三か月と明示された 労働契約を締結していること、第一審債権者ら臨時工の多くの者が比較的単純で熟 練を要しない代替性のある業務に就くことが予定されていたこと、採用時の賃金が 本工のそれより高額であり、労働契約期間満了の際には、更新されても満期慰労金 が支給されていること、採用対象者の年齢層が本工よ 練を要しない代替性のある業務に就くことが予定されていたこと、採用時の賃金が 本工のそれより高額であり、労働契約期間満了の際には、更新されても満期慰労金 が支給されていること、採用対象者の年齢層が本工より高年齢にまで及び、採用手 続が本工の場合に比べて簡略であり、身元保証人をたてることが求められていない ことがうかがわれ、これらのところからすれば、第一審債務者と第一審債権者らと の間の労働契約(以下「本件労働契約」という。)は、短期の有期契約であること が明らかである。そして、第一審債務者船橋工場の臨時工は、第一審債権者らも含 めて、季節的な業務や特定の事業完成までの作業に一時的に従事するとか、本工の 病気休暇中の欠員補充などのために雇用されていたものではなく、なかには本工と 同じ業務に従事する者もあつたが、平常の単純反復的作業に従事する者が多かつた こと、臨時工の離職率は高いが、相当数の労働契約更新の事例があり、第一審債権 者らも二回ないし八回の更新を繰り返えしていたもので、その各更新の前後を通じ て就労形態に特段の変化はなかつたこと、契約回数に応じて基本日額を増額する措 置がとられ、また、契約回数が五回目になり、雇用期間が一年を越えると一〇日間 の年次有給休暇が与えられ、その他本工と同じように社会保険への加入や通勤定期 券の支給などの措置がとられていたことからすれば、本件労働契約についても、前 記の第一審債務者の臨時工の採用及び処遇の方策に則つた運用がされていたものと 認められる。しかし、本件労働契約が右のとおり結果的に反復更新されたとして も、そのことにより、本件労働契約が期間の定めのないものに当然に転化するいわ れはなく、また、一回目の更新以後の時点において、本件労働契約を期間の定めの ないものとする旨の当事者間の明示又は黙示の合意がなされたことについては何ら の疏明 期間の定めのないものに当然に転化するいわ れはなく、また、一回目の更新以後の時点において、本件労働契約を期間の定めの ないものとする旨の当事者間の明示又は黙示の合意がなされたことについては何ら の疏明がないから、本件労働契約が本件雇止め当時、期間の定めのないものに転化 していたとの第一審債権者らの主張は理由がない(期間の定めのある労働契約が反 復更新されることによつて、期間の定めのないものに転化したり、あるいは、その 法律関係が何らかの意味で質的に変化するがごときものと解することは、法理上も 解釈上も肯認しがたいところである。)。 五 しかして、本件労働契約は、第一審債務者において、特に更新をしない旨の意 思表示をしない限り、前記三において説示した意味において、従前と同様の労働契 約をある程度反復、継続して締結することが見込まれていた法律関係とみるべきで あるから、第一審債権者らを本件労働契約の期間の満了によつて雇止めをする場 合、その雇止めが権利の濫用又は信義則違反によつて無効となるときは、期間満了 後においても従前の労働契約が更新されたと同様の法律関係が存続するものと解さ れる。 もつとも、本件労働契約は、前記のとおりの方策、趣旨によるものであるから、 雇止めの効力を判断するに当たつては、終身雇用の期待のもとに期間の定めのない 労働契約を締結している本工を解雇する場合とはおのずから差異があるべきことは 当然であり、前記三に説示したような期間を三か月とする臨時工の採用、処遇の方 策の趣旨に鑑みると、これら臨時工の雇止めには、企業の維持、運営上の必要性を も勘案すべきであり、本件のような余剰人員整理のための雇止めについては、使用 者に相当広範囲の自由が認められるというべきである。 六 第一審債権者らは、本件労働契約における短期の定めは、民法第九〇条、労働 基準法第三条に違 本件のような余剰人員整理のための雇止めについては、使用 者に相当広範囲の自由が認められるというべきである。 六 第一審債権者らは、本件労働契約における短期の定めは、民法第九〇条、労働 基準法第三条に違反して無効であると主張するが、期間の定めのある労働契約を締 結することは労働基準法第一四条に違反しない限り適法であり、本件労働契約が第 一審債権者ら主張のような反社会的、反人権的なものと認めるに足る疏明は何らな いのみならず、本件労働契約も前記三で説示したとおりの臨時工の採用、処遇の方 策に則つたそれ自体合理性のあるものであり、短期間の就労を前提とすれば、臨時 工は、本工より高額の賃金を取得でき、満期慰労金も支給され、本工への登用の途 も開かれていたのであるから、短期的収入を望む労働者の需要に応ずる役割をも果 たしていたものと認められるので、本件労働契約における短期の定めを違法とみる ことは到底できない。そして、右のとおり短期の定めは短期的収入を目的とする労 働者にとつても有益であるうえに、採用時に本工と臨時工とは同時に募集され、応 募者は原則としていずれをも選択しうるのであり、臨時工の場合は採用手続が簡単 で身元保証人を立てる必要がないとの前記認定の事実(原判決理由二の1の (二))を考え併せれば、雇止めにつき、本工に対する解雇基準よりもゆるやかな 運用のなされることが許容されるものというべきである。 七 雇止め等の効力について 1 本件における雇止めの必要性及び雇止めの対象者の選択等の合理性についての 当裁判所の判断は、次のとおり訂正するほかは、原判決理由四の1、2(原判決三 七枚目裏一〇行目から四五枚目裏九行目まで。)と同じであるから、これを引用す る。 原判決三八枚目表二行目の「証人」を「原審証人」に、同三行目から四行目の 「証人」を「原審及び当審証人」に、同四行目「 七枚目裏一〇行目から四五枚目裏九行目まで。)と同じであるから、これを引用す る。 原判決三八枚目表二行目の「証人」を「原審証人」に、同三行目から四行目の 「証人」を「原審及び当審証人」に、同四行目「同○○○○」を「原審証人○○○ ○○」に、同五行目の「同N」を「原審及び当審証人N」に、同六行目の「証人」 を「原審証人」に、同六行目から七行目の「同Nの証言」を「原審及び当審証人 N、当審証人O、同Pの各証言並びに当審における第一審債権者D本人尋問の結 果」に、同四二枚目裏八行目の「証人」を「原審及び当審証人」にそれぞれ改め、 同四四枚目表四行目の「認められる」及び同四五枚目表一行目の「認められ」の前 にそれぞれ「一応」を加え、同三行目の「しかし」から同一〇行目「する。」まで を削り、同裏三行目の「認められる」の前に「一応」を加える。 2 以上のとおり、第一審債務者による第一審債権者らに対する本件雇止めは、不 況時における雇用量の調整を図り、企業の健全な運営を維持するため、比較的簡易 な手続で短期の期間を定めて雇用されていた臨時工のうち、更新回数の少ない者を 選んでなされたものであるから、右雇止めに不合理、不相当な点は見出し難く、使 用者に許される裁量の範囲を逸脱したものとは認めがたい。したがつて、第一審債 務者に権利の濫用或いは信義則違反があつたとみることはできず、他に本件雇止め を無効とすべき事由についての疏明はない。 3 ところで、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第九二号証によ れば、第一審債権者A(以下「A」という。)は、本件雇止めの当時、年齢三〇歳 で妻と子供二人を扶養していたが、他の第一審債権者らはいずれも独身者であつた ことが一応認められ、一般に、妻子を扶養している者は独身者に比べて雇用関係が 存しなくなることによつて受ける不利益の大きいことは容易 子供二人を扶養していたが、他の第一審債権者らはいずれも独身者であつた ことが一応認められ、一般に、妻子を扶養している者は独身者に比べて雇用関係が 存しなくなることによつて受ける不利益の大きいことは容易に推認されるところで あるが、本件雇止めに、企業の健全な維持、運営の必要上、一三〇名に及ぶ大量の 人員整理のためになされたものであり、しかも、短期の有期契約者につき更新回数 の少ない勤続二年以内の者を一律に雇止めの対象としたもので、その選定の基準自 体は何ら合理性、相当性を欠くものとは認められないから、その基準に該当するA について右のような個別的、主観的事情が存するとしても、そのことにより、同人 に対する雇止めが社会観念上明白に相当性を欠くものということはできない。原判 決が、Aにつき、第一審債務者からの収入に対する依存度は高く、失職することに より被る生活上の不利益は著しく大きいとしてその雇止めを無効とした点は、失当 である。 4 第一審債権者D、同E、同G、同Fについては、前記一記載のとおり、第一審 債務者との間で、同記載の各契約期間満了日に昭和五〇年二月末日を終期とする新 たな労働契約を締結し、その際、右期間満了後は更新しない旨を約したものである から、同日の経過によつて右四名の労働契約関係は終了したものと一応認められ る。同人らは、同日を終期とする労働契約の期間の定めは民法第九三条の規定によ り無効であると主張するが、無効と解すべき理由は何ら存しない。 5 第一審債権者H、同I、同J、同A、同K、同Lについては、前記一記載のと おり、第一審債務者において、同年二月初旬から中旬にかけて契約を更新しない旨 の本件雇止めの意思表示をした(原審証人Mの証言によれば、右意思表示はいずれ も右第一審債権者ら各人の期間満了の日の一か月前までに各人に到達していること が一応認められる 中旬にかけて契約を更新しない旨 の本件雇止めの意思表示をした(原審証人Mの証言によれば、右意思表示はいずれ も右第一審債権者ら各人の期間満了の日の一か月前までに各人に到達していること が一応認められる。)のであるから、これによつて、契約期間満了により労働契約 関係は終了したものと認められる。 6 第一審債権者B、同Cについては、前記一記載のとおり、第一審債務者におい て、同年二月一五日、いずれも同日に期間満了となる右両名との労働契約を終了さ せ、更新しない旨の本件雇止めの意思表示をした(なおその際、労働基準法第二〇 条所定の解雇予告手当を支払う旨の通知してこれを提供した。)のであるから、同 日、右両名との労働契約関係は終了したものと認められる。 八 以上のとおりであるから、第一審債権者らの本件仮処分申請はいずれも理由が なくこれを却下すべきところ、Aについて申請の一部を認容した原判決は失当であ り、第一審債務者の本件控訴は理由があるから、原判決中、第一審債務者の敗訴部 分を取消して、Aの申請を却下することとし、第一審債権者らの本件控訴はいずれ も理由がないからこれを棄却することとし、申請費用の負担につき民事訴訟法第九 六条、第八九条、第九三条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官 香川保一 菊池信男 吉崎直弥)
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