平成26年11月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成25年(ワ)第2421号特許権侵害損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成26年8月25日判決東京都大田区<以下略>原告株式会社DAPリアライズ東京都新宿区<以下略>被告 KDDI株式会社(以下「被告KDDI」という。)東京都港区<以下略>被告ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社(以下「被告ソニーモバイル」といい,被告KDDIと併せて「被告KDDIら」という。)被告KDDIら訴訟代理人弁護士熊倉禎男同富岡英次同渡辺 光同補佐人弁理士山崎貴明同工藤嘉晃東京都千代田区<以下略>被告株式会社NTTドコモ(以下「被告ドコモ」という。)同訴訟代理人弁護士大野聖二同小林英了同訴訟代理人弁理士鈴木 守 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告ソニーモバイルは,原告に対し,2900万円及びこれに対する平成25年2月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告ドコモは,原告に対し,8 び理由第1 請求 1 被告ソニーモバイルは,原告に対し,2900万円及びこれに対する平成25年2月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告ドコモは,原告に対し,800万円及びこれに対する平成25年2月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告KDDIは,原告に対し,300万円及びこれに対する平成25年2月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,名称を「タッチパネル手段を備える携帯情報処理装置及び該携帯情報処理装置用プログラム」とする発明についての特許(特許第5044731号。以下「本件特許」といい,その特許権を「本件特許権」という。)を有する原告が,被告らに対し,被告らが製造・販売する別紙物件目録記載の製品(以下,「イ号製品」ないし「ヘ号製品」といい,これらを併せて「被告製品」という。)が本件特許の特許請求の範囲(登録時のもの)の請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)及び請求項3に係る発明(以下「本件発明3」といい,これと本件発明1を併せて「本件発明」という。)の技術的範囲に属すると主張して(なお,原告は,平成26年4月7日の第6回弁論準備手続期日において,請求項2に係る発明についての特許に基づく請求を取り下げ,被告らは,これに同意した。),特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償(民法709条,特許法102条3項)の一部請求として,被告ソニーモバイルに対し2900万円,被告ドコモに対し800万円,被告KDDIに対し300万円及びそれぞれに対する各訴状送達の日の翌日である平成25年2月7日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提となる事実(当事者間に争いがない事実以外は れに対する各訴状送達の日の翌日である平成25年2月7日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提となる事実(当事者間に争いがない事実以外は,当事者の一部との間で争いがない事実を含め,末尾に証拠等を掲記する。)(1) 当事者ア原告は,各種情報処理・通信システムの開発などを業とする株式会社である(弁論の全趣旨)。 イ被告ソニーモバイル(平成24年3月8日,旧商号「ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社」から現商号「ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社」に商号変更)は,情報通信機器メーカーであり,スマートフォンをはじめとする携帯情報通信装置の企画・製造・販売を行う株式会社である(弁論の全趣旨,記録上裁判所に顕著な事実)。 ウ被告KDDI及び被告ドコモ(平成25年10月1日,旧商号「株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ」から現商号「株式会社NTTドコモ」に商号変更)は,それぞれ,電気通信事業者であり,スマートフォンをはじめとする携帯情報通信装置の企画・販売及び携帯情報通信装置に対するサービスの提供を行う株式会社である(弁論の全趣旨,記録上裁判所に顕著な事実)。 (2) 本件特許権原告は,次の内容の特許権(本件特許権)を保有しており,本件特許の特許請求の範囲(登録時)の各記載は,別紙特許公報の【特許請求の範囲】のとおりである(甲1,2)。 特許番号特許第5044731号発明の名称タッチパネル手段を備える携帯情報処理装置及び該携帯情報処理装置用プログラム出願日平成23年4月18日優先日平成22年4月19日(優先権主張番号:特願2010 -095910,優先権主張国:日本国)登録日平成 装置用プログラム出願日平成23年4月18日優先日平成22年4月19日(優先権主張番号:特願2010 -095910,優先権主張国:日本国)登録日平成24年7月27日(3) 本件発明1本件発明1を構成要件に分説すると次のとおりである(小括弧内の記載を含め,特許請求の範囲の記載のとおりとした〔後記の訂正発明1でも同様。〕。以下,分説に係る各構成を符号に対応して「構成要件A」などという〔後記の本件発明3,訂正発明1,3でも同様。〕。なお,構成要件E0ないしE3を併せて「構成要件E」という。)。 A:後記信号処理制御手段から受信したデジタル表示信号に基づいて画像を画面表示する表示機能と,画面表面への接触,押圧,入射光の遮蔽等のマニュアル操作を検知し,「該マニュアル操作に対応した信号」(以下,「マニュアル操作信号」と略記する)を生成して,後記信号処理制御手段に送信する入力機能とを有するタッチパネル手段と;B:後記信号処理制御手段を動作させるプログラムを格納する記憶手段と;C:前記タッチパネル手段から受信したマニュアル操作信号と前記記憶手段に格納されたプログラムに基づいてデジタル表示信号を生成して,前記タッチパネル手段及び/又は後記外部出力インターフェース手段に送信する信号処理制御手段と;D:ディスプレイ手段を備えるか又はディスプレイ手段を接続する外部装置が接続され,該外部装置に対して,前記信号処理制御手段から受信したデジタル表示信号に基づき,TMDS,デジタルRGB,LVDS,LDI,GVIF,USB,DisplayPort,WirelessHD,WHDI,WiGigのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号を送信する外部出力インターフェース手段と;を備えた上 GVIF,USB,DisplayPort,WirelessHD,WHDI,WiGigのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号を送信する外部出力インターフェース手段と;を備えた上で,E0:前記信号処理制御手段は,E1:前記タッチパネル手段から受信したマニュアル操作信号を処理して, 前記タッチパネル手段の「単独使用用の画面イメージ」のデジタル表示信号を生成し,該デジタル表示信号を前記タッチパネル手段に送信する制御モード1と;E2:前記タッチパネル手段から受信したマニュアル操作信号を処理して,前記タッチパネル手段の「単独使用用とは別種の画面イメージ」のデジタル表示信号と,前記外部装置に備えられるか又は前記外部装置に接続されるディスプレイ手段(以下,「外部ディスプレイ手段」と略記する)の画面イメージのデジタル表示信号とを生成し,前者を前記タッチパネル手段に送信し,後者を前記外部出力インターフェース手段に送信する制御モード2と;E3:を選択的に実現する,ことを特徴とするF:携帯情報処理装置。 (4) 本件発明3本件発明3を構成要件に分説すると次のとおりである。 I:「前記外部装置が,前記外部ディスプレイ手段が動作可能な状態で,前記外部出力インターフェース手段に接続していること」を検知して,前記信号処理制御手段に信号を送信する接続検知手段を備えた上で,J:前記信号処理制御手段は,前記接続検知手段から「前記外部装置が,前記外部ディスプレイ手段が動作可能な状態で,前記外部出力インターフェース手段に接続している」旨の信号を受信した場合に,自動的に,又は,前記タッチパネル手段からマニュアル操作信号を受信した上で,制御モード2を選択する,ことを特徴とする,K:請求項1又は2に記載の携帯情報処理装 している」旨の信号を受信した場合に,自動的に,又は,前記タッチパネル手段からマニュアル操作信号を受信した上で,制御モード2を選択する,ことを特徴とする,K:請求項1又は2に記載の携帯情報処理装置。 (5) 本件無効審判及び訂正請求被告らは,本件特許の請求項1ないし8に係る発明についての特許を無効とすることについて,平成25年7月10日付けで特許無効審判を請求した (乙A7。無効2013-800121。以下「本件無効審判」という。)。 原告は,本件無効審判において,平成25年10月1日付けで,本件特許の明細書及び特許請求の範囲を一群の請求項ごとに訂正することを請求した(甲19,乙A19,20。以下「第1次訂正請求」という。)が,その後,平成26年4月3日付けで,改めて,本件特許の明細書及び特許請求の範囲を一群の請求項ごとに訂正することを請求し(甲24,25。以下「第2次訂正請求」という。),これに伴い,第1次訂正請求は,取り下げられたものとみなされた(特許法134条の2第6項)。 (6) 訂正発明第2次訂正請求に係る訂正後の請求項1に係る発明(以下「訂正発明1」という。)を構成要件に分説すると,次のとおりである(下線部が訂正箇所である。なお,構成要件E0,E1,E2’a,E2’’b,E3を併せて「構成要件E’’」という。)。なお,同訂正後の請求項3は,同訂正後の請求項1を引用しているが,請求項3の文言それ自体に変更はない(以下,同訂正後の請求項3に係る発明を「訂正発明3」といい,これと訂正発明1を併せて「訂正発明」という。)。 A:後記信号処理制御手段から受信したデジタル表示信号に基づいて画像を画面表示する表示機能と,画面表面への接触,押圧,入射光の遮蔽等のマニュアル操作を検知し,「該マニュアル操作に対応した信 。)。 A:後記信号処理制御手段から受信したデジタル表示信号に基づいて画像を画面表示する表示機能と,画面表面への接触,押圧,入射光の遮蔽等のマニュアル操作を検知し,「該マニュアル操作に対応した信号」(以下,「マニュアル操作信号」と略記する)を生成して,後記信号処理制御手段に送信する入力機能とを有するタッチパネル手段と;B:後記信号処理制御手段を動作させるプログラムを格納する記憶手段と;C:前記タッチパネル手段から受信したマニュアル操作信号と前記記憶手段に格納されたプログラムに基づいてデジタル表示信号を生成して,前記タッチパネル手段及び/又は後記外部出力インターフェース手段に送信す る信号処理制御手段と;D:ディスプレイ手段を備えるか又はディスプレイ手段を接続する外部装置が接続され,該外部装置に対して,前記信号処理制御手段から受信したデジタル表示信号に基づき,TMDS,デジタルRGB,LVDS,LDI,GVIF,USB,DisplayPort,WirelessHD,WHDI,WiGigのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号を送信する外部出力インターフェース手段と;を備えた上で,V’:前記記憶手段は,前記信号処理制御手段を動作させて「『撮像手段が取得した画像をスルー表示して得られる動画』,『保存された動画データ』を再生して得られる動画』及び『受信した動画信号を復号して得られる動画』のいずれにも該当しない動画」(以下,「生成動画」と略記する)を含む画面イメージ(以下,「生成動画を含む画面イメージ」を「生成動画画面イメージ」と略記する)のデジタル表示信号を生成させるプログラム(以下,「動画画面イメージ生成プログラム」と略記する)を格納し,E0:前記信号処理制御手段は,E1:前記タッチパネル手 動画画面イメージ」と略記する)のデジタル表示信号を生成させるプログラム(以下,「動画画面イメージ生成プログラム」と略記する)を格納し,E0:前記信号処理制御手段は,E1:前記タッチパネル手段から受信したマニュアル操作信号を処理して,前記タッチパネル手段の「単独使用用の画面イメージ」のデジタル表示信号を生成し,該デジタル表示信号を前記タッチパネル手段に送信する制御モード1と;E2’a:前記タッチパネル手段から受信したマニュアル操作信号を処理して,前記タッチパネル手段の「単独使用用とは別種の画面イメージ」のデジタル表示信号を生成し,該デジタル表示信号を前記タッチパネル手段に送信するとともに,E2’’b:前記タッチパネル手段から受信したマニュアル操作信号を前記動画画面イメージ生成プログラムに基づいて処理して,前記外部装置に備 えられるか又は前記外部装置に接続されるディスプレイ手段(以下,「外部ディスプレイ手段」と略記する)の生成動画画面イメージのデジタル表示信号(以下,「外部デジタル生成動画画面イメージ信号」と略記する)を生成し,該外部デジタル生成動画画面イメージ信号を前記外部出力インターフェース手段に送信する制御モード2と;E3:を選択的に実現する,ことを特徴とするF:携帯情報処理装置。 (7) 被告らの行為ア被告ソニーモバイルは,被告製品を業として製造,販売している(イ号製品ないしニ号製品については争いがない。ホ号製品,ヘ号製品については甲14,15,弁論の全趣旨)。 イ号製品ないしヘ号製品は,本件発明の構成要件AないしD,F,I,Jを充足する。 イ被告ドコモは,イ号製品ないしニ号製品を業として販売している。 ウ被告KDDIは,ホ号製品及びヘ号製品を業として販売している(甲14,15,弁 の構成要件AないしD,F,I,Jを充足する。 イ被告ドコモは,イ号製品ないしニ号製品を業として販売している。 ウ被告KDDIは,ホ号製品及びヘ号製品を業として販売している(甲14,15,弁論の全趣旨)。 3 争点(1) 被告製品の構成要件E充足性及び構成要件K充足性(争点1)(2) 本件発明1の新規性,進歩性の有無(争点2)(3) 本件発明3の新規性,進歩性の有無(争点3)(4) 第2次訂正請求についての訂正要件違反の有無(争点4)(5) 訂正発明についての記載要件違反の有無(争点5)(6) 訂正発明の新規性,進歩性の有無(争点6)(7) 被告製品の構成要件V’充足性及び構成要件E’’充足性(争点7)(8) 損害(争点8)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告製品の構成要件E充足性及び構成要件K充足性)について(原告の主張)(1) イ号製品の構成要件E充足性についてアイ号製品の構成イ号製品はスマートフォンであって,以下の構成要素を備えている。 (イ-e) イ号製品のモバイルプロセッサは,(イ-e3) 標準のホーム画面アプリとTVlauncherとを選択的に実行することができ,(イ-e1) 「標準のホーム画面アプリが実行されている状態」においては,「イ号製品が単独で使用されることを想定して設計された前記タッチパネルの画面イメージ」のデジタル表示信号を生成して,該デジタル表示信号を前記タッチパネルに送信し,(イ-e2’’) 「TVlauncherが実行されている状態」においては,前記タッチパネルから受信したマニュアル操作信号を処理して,「イ号製品が前記HDMI端子にテレビが接続されて使用されることを想定して設計された前記タッチパネルの画面イメージ」のデジタ 」においては,前記タッチパネルから受信したマニュアル操作信号を処理して,「イ号製品が前記HDMI端子にテレビが接続されて使用されることを想定して設計された前記タッチパネルの画面イメージ」のデジタル表示信号を生成し,該デジタル表示信号を前記タッチパネルに送信するとともに,前記タッチパネルから受信したマニュアル操作信号をTVlauncherに基づいて処理して,前記HDMI端子に接続されるテレビの画面に表示される動画画面イメージのデジタル表示信号を生成し,該外部デジタル動画画面イメージ信号を前記HDMI用ICに送信する。 イイ号製品の構成要件E1充足性構成要件Dにおいて,外部出力インターフェース手段に「ディスプレイ手段を備えるか又はディスプレイ手段を接続する外部装置」が接続されることが特定されていることを考慮すれば,構成要件E1における「単独使用」という用語が「携帯情報処理装置を外部出力インターフェース手段に 外部装置を接続しないで使用すること」を意味することは,一義的に明確である。さらに,一般に,「A用のB」という語句は「Aのために使用するB」を意味するから,構成要件E1における「タッチパネル手段の「単独使用用の画面イメージ」」という語句は,「携帯情報処理装置を外部出力インターフェース手段に外部装置を接続しないで使用するために,タッチパネル手段に表示される画面イメージ」を意味することは一義的に明確に理解される。 そして,「標準のホーム画面アプリが実行されている状態」においては,タッチパネルには「イ号製品をHDMI端子にテレビを接続しないで使用するための画面イメージ」が表示されるが,これは「携帯情報処理装置を外部出力インターフェース手段に外部装置を接続しないで使用するために,タッチパネル手段に表示される画面イメージ ビを接続しないで使用するための画面イメージ」が表示されるが,これは「携帯情報処理装置を外部出力インターフェース手段に外部装置を接続しないで使用するために,タッチパネル手段に表示される画面イメージ」に該当するから,「標準のホーム画面アプリが実行されている状態」は構成要件E1の「制御モード1」に該当する。 ウイ号製品の構成要件E2充足性構成要件E2における「タッチパネル手段の「単独使用用とは別種の画面イメージ」」という語句は,構成要件E1において,制御モード1では「タッチパネル手段の「単独使用用の画面イメージ」」のデジタル表示信号が生成されると特定されており,また,上記の通り,「タッチパネル手段の「単独使用用の画面イメージ」」という語句が「携帯情報処理装置を外部出力インターフェース手段に外部装置を接続しないで使用するために,タッチパネル手段に表示される画面イメージ」を意味することから,以下の二重の意義を有するものと解釈される。 ① 制御モード1においてタッチパネル手段に表示される画面イメージとは別種である画面イメージ② タッチパネル手段の「単独使用用」ではない画面イメージ,すなわち, 携帯情報処理装置を外部出力インターフェース手段に外部装置を接続して使用するために,タッチパネル手段に表示される画面イメージそして,「TVlauncherが実行されている状態」においては,タッチパネルには「イ号製品をHDMI端子にテレビを接続して使用するための画面イメージ」が表示され(上記②に該当),この画面イメージは,制御モード1における「タッチパネル手段の「単独使用用の画面イメージ」」(=「標準のホーム画面アプリが実行されている状態」においてタッチパネルに表示される画面イメージ)とは別種であるから,「制御モード1においてタッ る「タッチパネル手段の「単独使用用の画面イメージ」」(=「標準のホーム画面アプリが実行されている状態」においてタッチパネルに表示される画面イメージ)とは別種であるから,「制御モード1においてタッチパネル手段に表示される画面イメージとは別種である画面イメージ」に該当する (上記①に該当)。 したがって,「TVlauncherが実行されている状態」は構成要件E2の「制御モード2」に該当する。 エイ号製品の構成要件E3充足性上記のとおり,「標準のホーム画面アプリが実行されている状態」は「制御モード1」に該当し,「TVlauncherが実行されている状態」は「制御モード2」に該当するから,「標準のホーム画面アプリとTVlauncherとを選択的に実行する」ことは,「制御モード1と制御モード2とを選択的に実現する」ことに該当する。 オ以上から,イ号製品は,本件発明1の構成要件Eを充足するところ,同製品が構成要件AないしD及びFを充足することは前記前提となる事実(7)アのとおりであるから,同製品は,本件発明1の技術的範囲に属する。 (2) ロ号製品ないしヘ号製品の構成要件E充足性についてロ号製品ないしヘ号製品は,いずれもスマートフォンであって,イ号製品と同様に前記(1)アの構成要素を備えているから,本件発明1の構成要件Eを充足するところ,ロ号製品ないしヘ号製品が構成要件AないしD及びFを充足することは,前記前提となる事実(7)アのとおりであるから,ロ号製品 ないしヘ号製品は,いずれも本件発明1の技術的範囲に属する。 (3) 被告製品の構成要件K充足性について以上のとおり,被告製品は,いずれも本件発明1の技術的範囲に属するから,本件発明3の構成要件K(請求項1を引用する部分)を充足するところ,被告製品がいずれも構 被告製品の構成要件K充足性について以上のとおり,被告製品は,いずれも本件発明1の技術的範囲に属するから,本件発明3の構成要件K(請求項1を引用する部分)を充足するところ,被告製品がいずれも構成要件I及びJを充足することは,前記前提となる事実(7)アのとおりであるから,被告製品は,いずれも本件発明3の技術的範囲に属する。 (被告らの主張)(1) イ号製品の構成要件E充足性についてアイ号製品の構成についてイ号製品の構成(イ-e)及び(イ-e3)は認める。 (イ-e1)中,標準のホーム画面アプリの画面イメージが「単独で使用されることを想定して設計された」ことについては,単なる目的を述べたものにすぎず,構成要件充足性とは無関係であり,認否の必要性を認めない。その余については否認する。標準のホーム画面アプリの画面イメージは,タッチパネルにも外部ディスプレイにも表示される画面イメージであり,「タッチパネルの画面イメージのデジタル表示信号」を生成しない。 (イ-e2’’)中,TVlauncherの画面が「前記HDMI端子にテレビが接続されて使用されることを想定して設計された」ことについては,単なる目的を述べたものに過ぎず,構成要件充足性とは無関係であり,認否の必要性を認めない。その余については否認する。TVlauncher実行中は,タッチパネルから受信したマニュアル信号に基づいて,TVlauncherが画面イメージのデジタル表示信号を生成する。しかし,TVlauncherがマニュアル操作信号を処理して生成するのは「動画像」のデジタル表示信号ではなく,さらに,生成される当該デジタル表示信号は1個であり(ただし,必要に応じて外部ディスプレイの画素数に合わせて画素数の変換は行 われる。),これがタッチパネル及びHD タル表示信号ではなく,さらに,生成される当該デジタル表示信号は1個であり(ただし,必要に応じて外部ディスプレイの画素数に合わせて画素数の変換は行 われる。),これがタッチパネル及びHDMI用ICの双方に送信され,タッチパネル及びテレビ画面の双方に表示される。 イイ号製品の構成要件E1充足性について(ア) 「制御モード1」及び「制御モード2」は,ユーザの入力にかかるコンテンツ(画面に表示された内容自体がユーザにとっての興味,創作ないし鑑賞等の対象となるものであって,ユーザがデータを入力することにより,ユーザが作成,創作,変更等を行った結果として画面に表示される情報)の処理を目的とするソフトウェアにおける画面表示の制御に関するものであり,1つの表示されるべき対象を表示する際の制御モードであると解される。 (イ) これに対し,標準のホーム画面アプリは,登録されたプログラムをアイコンで表示し,各プログラムを簡単に選択し起動させるための管理用プログラムであり,TVlauncher と同種のランチャーである。 両プログラムは,異なるプログラムであり,表示させる対象(コンテンツ)も異なる。したがって,これらが実行されている状態を,それぞれ「制御モード1」,「制御モード2」として構成要件Eの充足性を判断することは許されない。 (ウ) 標準のホーム画面アプリ及びTVlauncher は,画面に表示された内容自体がユーザにとっての興味,創作ないし鑑賞等の対象となるものではないから,「ユーザの入力にかかるコンテンツの処理を目的とするソフトウェア」に当たらない。 (エ) 原告は,標準のホーム画面アプリを実行することにより生成される画面イメージについて,「テレビを接続しないで使用するための」と表現し,目的にのみ基づいて構成要件とイ トウェア」に当たらない。 (エ) 原告は,標準のホーム画面アプリを実行することにより生成される画面イメージについて,「テレビを接続しないで使用するための」と表現し,目的にのみ基づいて構成要件とイ号製品の構成とを対比している。 しかし,ソフトウェアの設計目的自体からは,画面イメージの構成は不明であって,かかる解釈は,発明がある目的を達成するための具体的な 手段であるという大原則を忘れた議論,すなわち,画面を表示させるソフトウェアの設計目的が同じであれば,当該画面の構成如何に関わらず,構成要件を充足するというものであり,採用の余地はない。原告の主張は,画面イメージの対比を,その画面イメージを表示するためのソフトウェアの設計目的の対比にすり替えようと試みるものであり,失当である。 (オ) したがって,イ号製品は,構成要件E1を充足しない。 ウイ号製品の構成要件E2充足性について(ア) 制御モード2における「単独使用用とは別種の画面イメージ」と「外部ディスプレイ手段の画面イメージ」との関係本件特許の特許請求の範囲及び明細書の記載によれば,本件発明の技術的意義は,携帯端末を単独で使用する場合には,狭いスペースに操作部と表示部とが同時に表示されるために効率良く操作入力ができなかったところ,外部接続されたディスプレイを表示用とし,携帯端末を操作入力用としてそれぞれ用いる(制御モード2を採用)ことにより,操作入力の利便性を向上したところにある。つまり,制御モード2は,携帯情報処理装置の表示部の役割を外部接続されたディスプレイに部分的に負担させて,携帯情報処理装置の表示部の役割を減少させることにより,携帯性に伴う不便を解消しようとするものである。この技術的意義に鑑みると,構成要件E2の「単独使用用とは別種の画面イメージ」と「デ 負担させて,携帯情報処理装置の表示部の役割を減少させることにより,携帯性に伴う不便を解消しようとするものである。この技術的意義に鑑みると,構成要件E2の「単独使用用とは別種の画面イメージ」と「ディスプレイ手段の画面イメージ」とは,異なる画面イメージであることが当然の前提となっている。また,両者を合わせることで制御モード1の「単独使用用の画面イメージ」と同一内容となる。 これに対し,TVlauncherは,一つの画面イメージを生成し,これをタッチパネル手段及び外部ディスプレイ手段に供給するのであって,タッチパネル手段及び外部ディスプレイ手段に表示されるのは同一の画 面イメージである。また,これらの画面イメージを合わせたとしても,標準のホーム画面アプリの生成する画面イメージと同一の内容にはならない。 (イ) 原告は,TVlauncherを実行することにより生成される画面イメージについて,「テレビを接続して使用するための」と表現し,目的にのみ基づいて構成要件とイ号製品の構成とを対比している。しかし,構成ではなく,ソフトウェアの設計目的を根拠に構成要件該当性を判断しており,不当といわざるを得ない。「単独使用用」に関しては,ソフトウェアの設計目的ではなく,画面に現れた具体的な構成に基づいて判断されるべきものである。 (ウ) 原告は,「別種」について,「タッチパネル手段の「単独使用用」ではない画面イメージ」との意義を有するほか,「制御モード1においてタッチパネル手段に表示される画面イメージとは別種である画面イメージ」の意義も有し,「二重」の意義を有すると主張する。 しかし,「別種」が「二重」の意義を有すると解するのは,同一の特許請求の範囲において,1個の文言を2様の意義を持つものとして用いることになるが,このような解釈が許 二重」の意義を有すると主張する。 しかし,「別種」が「二重」の意義を有すると解するのは,同一の特許請求の範囲において,1個の文言を2様の意義を持つものとして用いることになるが,このような解釈が許されないことは論を待たない。原告の解釈は,特許請求の範囲の記載の具体的な文言を無視し,恣意的に,「前記単独使用用の画面イメージとは表示形態において別種の画面イメージであって,単独使用を目的として設計されたソフトウェアとは別種の目的で設計されたソフトウェアの画面イメージ」と読み替えるものであり,許されない。 (エ) したがって,イ号製品は,構成要件E2を充足しない。 (2) ロ号製品ないしヘ号製品の構成要件E充足性についてロ号製品ないしヘ号製品の構成についての認否は,イ号製品について前記(1)アで述べたところと同様であり,ロ号製品ないしヘ号製品は,いずれも 構成要件E1及びE2を充足しない。 (3) 被告製品の構成要件K充足性について以上のとおり,被告製品は,いずれも構成要件E1及びE2を充足せず,本件発明1の技術的範囲に属さないから,本件発明3の構成要件Kを充足しない。 2 争点2(本件発明1の新規性,進歩性の有無)について(被告らの主張)(1) 本件発明1は,乙A8に記載された発明と同一であるか,少なくとも,乙A8に記載された発明並びに乙A11,12,15及び16に示された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2) 本件発明1は,乙A9に記載された発明と同一である。 (3) 本件発明1は,乙A10に記載された発明及び乙A9に示された公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) したがって,本件発明1についての特許は,特許法29条1項3号又 本件発明1は,乙A10に記載された発明及び乙A9に示された公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) したがって,本件発明1についての特許は,特許法29条1項3号又は同条2項の規定に違反してされたものであり,特許無効審判により無効とされるべきものである。 (原告の主張)原告は第2次訂正請求をしているところ,訂正発明の構成要件V’ ,E’’の構成は,乙A8ないし11のいずれにも記載されておらず,示唆もされていない。 3 争点3(本件発明3の新規性,進歩性の有無)について(被告らの主張)(1) 本件発明3は,乙A8に記載された発明と同一であるか,少なくとも,乙A8に記載された発明並びに乙A11ないし13及び16に示された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたも のである。 (2) 本件発明3は,乙A9に記載された発明及び乙A14に示された公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) 本件発明3は,乙A10に記載された発明及び乙A9に示された公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) したがって,本件発明3についての特許は,特許法29条1項3号又は同条2項の規定に違反してされたものであり,特許無効審判により無効とされるべきものである。 (原告の主張)原告は第2次訂正請求をしているところ,訂正発明の構成要件V’ ,E’’の構成は,乙A8ないし11のいずれにも記載されておらず,示唆もされていない。 4 争点4(第2次訂正請求についての訂正要件違反の有無)について(原告の主張)(1) 訂正発明1の構成要件V’は,本件特許の願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(登録時のもの。以下 4 争点4(第2次訂正請求についての訂正要件違反の有無)について(原告の主張)(1) 訂正発明1の構成要件V’は,本件特許の願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(登録時のもの。以下,これらを併せて「本件明細書」という。)の段落【0023】,【0041】及び【0064】の記載に基づいて導き出される構成であるから,第2次訂正請求は本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2) 本件発明1の構成要件Bには「記憶手段がプログラムを格納すること」が,構成要件Cには「信号処理制御手段が前記記憶手段に格納されたプログラムに基づいてデジタル表示信号を生成すること」が記載されているが,このプログラムが単一のプログラムであることは特定されていない。逆に,スマートフォンのような携帯情報処理装置においては,記憶手段が複数のプログラムを格納し,信号処理手段がその各々のプログラムに基づいてデジタル表示信号を生成することは通常のことである。したがって,構成要 件V’の「動画画面イメージ生成プログラム」は「信号処理制御手段を動作させるプログラムのうちの1つ」として理解されるべきであり,「信号処理制御手段を動作させるプログラム」と「動画画面イメージ生成プログラム」とは別個独立したプログラムであるとする被告らの解釈は失当である。 「信号処理制御手段を動作させるプログラムのうちの1つ」として「動画画面イメージ生成プログラム」が記憶手段に格納されていることは,本件明細書の記載から自明な事項であるから,第2次訂正請求は,本件明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (被告らの主張)(1) 第2次訂正請求は,構成要件V’の「前記記憶手段は,前記信号処理制御手段を動作させて「『撮像手段が取得した画像をスルー表示 に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (被告らの主張)(1) 第2次訂正請求は,構成要件V’の「前記記憶手段は,前記信号処理制御手段を動作させて「『撮像手段が取得した画像をスルー表示して得られる動画』,『保存された動画データを再生して得られる動画』及び『受信した動画信号を復号して得られる動画』のいずれにも該当しない動画」(以下,「生成動画」と略記する)を含む画面イメージ(以下,「生成動画を含む画面イメージ」を「生成動画画面イメージ」と略記する)のデジタル表示信号を生成させるプログラム(以下,「動画画面イメージ生成プログラム」と略記する)を格納し」という構成を登録時の請求項1に追加するものである。しかし,「動画画面イメージ生成プログラム」,すなわち,「「『撮像手段が取得した画像をスルー表示して得られる動画』,『保存された動画データを再生して得られる動画』及び『受信した動画信号を復号して得られる動画』のいずれにも該当しない動画」を含む画面イメージのデジタル表示信号を生成させるプログラム」は,本件明細書に記載された事項の範囲内ではないから,第2次訂正請求による構成要件V’の追加は,いわゆる新規事項の追加であって,特許法134条の2第9項で準用する126条5項に規定された要件を満たしていない。 (2) 第2次訂正請求により,訂正後の請求項1は,構成要件Bの「信号処理制御手段を動作させるプログラム」と,これとは異なる別個独立したプログラムである構成要件V’の「動画画面イメージ生成プログラム」とを含むに至った。しかし,かかる構成は,本件明細書に記載した事項の範囲内にないから,いわゆる新規事項の追加であって,特許法134条の2第9項で準用する126条5項に規定された要件を満たしていない。 5 争点5(訂正発明について 構成は,本件明細書に記載した事項の範囲内にないから,いわゆる新規事項の追加であって,特許法134条の2第9項で準用する126条5項に規定された要件を満たしていない。 5 争点5(訂正発明についての記載要件違反の有無)について(被告らの主張)(1) 第2次訂正請求による訂正後の明細書(以下「訂正明細書」という。)は,構成要件V’の「動画画面イメージ生成プログラムを格納し」という構成について,一切開示しておらず,示唆もしていない。また,本件特許の優先日当時の技術常識に照らし,訂正明細書の発明の詳細な説明に開示された内容を,同訂正後の特許請求の範囲に記載された発明の範囲まで,拡張ないし一般化できるとはいえない。 したがって,上記構成は,発明の詳細な説明に記載したものではないから,訂正発明は,特許法36条6項1号の規定により特許を受けることができない。 (2) 訂正明細書は,構成要件Bの「信号処理制御手段を動作させるプログラム」と構成要件V’の「動画画面イメージ生成プログラム」とが別個独立したプログラムである構成について,一切開示しておらず,示唆もしていない。また,本件特許の優先日当時の技術常識に照らし,訂正明細書の発明の詳細な説明に開示された内容を,同訂正後の特許請求の範囲に記載された発明の範囲まで,拡張ないし一般化できるとはいえない。 したがって,上記構成は,発明の詳細な説明に記載したものではないから,訂正発明は,特許法36条6項1号の規定により特許を受けることができない。 (3) 原告は,訂正発明は,制御モード2においてタッチパネル手段に表示される「単独使用用とは別種の画面イメージ」と「外部ディスプレイ手段の画面に表示される生成動画画面イメージ」とが同じである構成を含んでいると主張しているが,そのような構成は てタッチパネル手段に表示される「単独使用用とは別種の画面イメージ」と「外部ディスプレイ手段の画面に表示される生成動画画面イメージ」とが同じである構成を含んでいると主張しているが,そのような構成は訂正明細書の発明の詳細な説明に記載したものではないから,訂正発明は,特許法36条6項1号の規定により特許を受けることができない。 (原告の主張)(1) 訂正発明1の構成要件V’は,訂正明細書の段落【0023】,【0041】及び【0064】の記載に基づいて導き出される構成であるから,同明細書に記載されているに等しい事項であり,発明の詳細な説明に記載された事項である。 (2) 「信号処理制御手段を動作させるプログラム」と「動画画面イメージ生成プログラム」とは別個独立したプログラムであるとする被告らの解釈は失当であるから,その解釈を前提とするサポート要件違反の主張も失当である。 (3) 訂正明細書の発明の詳細な説明に,「『タッチパネル手段に表示される画面イメージ』と『外部ディスプレイ手段に表示される画面イメージ』とが異なる構成」だけが記載され,一方,訂正発明が「『タッチパネル手段に表示される画面イメージ』と『外部ディスプレイ手段に表示される画面イメージ』とが同じ構成」を含むとしても,これは,発明の詳細な説明に記載された一又は複数の具体例の「拡張ないし一般化」に該当するのであるから,被告らのサポート要件違反の主張は失当である。 6 争点6(訂正発明の新規性,進歩性の有無)について(被告らの主張)(1) 訂正発明1についてア訂正発明1は,乙A8に記載された発明と同一であるか,少なくとも, 乙A8に記載された発明並びに乙A11,12,15及び16に示された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができた 乙A8に記載された発明と同一であるか,少なくとも, 乙A8に記載された発明並びに乙A11,12,15及び16に示された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ訂正発明1は,乙A9に記載された発明と同一であるか,少なくとも,乙A9に記載された発明に基づいて,又は乙A9に記載された発明及び乙A11に示された公知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ訂正発明1は,乙A10に記載された発明並びに乙A9及び11に示された公知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお,乙A10の【図6】には,ユーザの「ペン操作によりポインタ211が動く」動画を実行するためのプログラム,すなわち「動画画面イメージ生成プログラム」の開示がある。また,乙A10の段落【0058】には,「たとえば,ゲームのアプリケーションソフトウェアを起動させた際に,PDA10自体を動かすことでそのゲームにおける操作を行うことができるようにしてもよい。」と記載されているように,「動画画面イメージ生成プログラム」に相当するゲームのプログラムが記憶手段に格納されている構成(構成要件V’)が開示されているか,少なくとも示唆されている。 (2) 訂正発明3について訂正発明3は,第2次訂正請求による訂正後の請求項1(訂正発明1)を引用する同訂正後の請求項3に係る発明であるが,上記(1)及び前記3で述べた理由により,新規性又は進歩性を欠く。 (原告の主張)構成要件V’,E’’の構成は,乙A8ないし11のいずれにも記載されておらず,示唆もされていない。乙A10の「ポインタが動く映像」は,通 常の技術常識では「動画」ではない。したがって,被告らの新規性・進歩性違 構成は,乙A8ないし11のいずれにも記載されておらず,示唆もされていない。乙A10の「ポインタが動く映像」は,通 常の技術常識では「動画」ではない。したがって,被告らの新規性・進歩性違反の主張は失当である。 7 争点7(被告製品の構成要件V’充足性及び構成要件E’’充足性)について(原告の主張)(1)アイ号製品は,以下の構成要素を備えている。 (イ-v’) イ号製品のメモリは,モバイルプロセッサを動作させて,動画を含む画面イメージのデジタル表示信号を生成させる動画画面イメージ生成プログラムであるTVlauncherを格納する。 イ TVlauncherは,タッチパネルに対してフリックなどの素早い操作を行うと,「『撮像手段が取得した画像をスルー表示して得られる動画』,『保存された動画データを再生して得られる動画』及び『受信した動画信号を復号して得られる動画』のいずれにも該当しない動画」を含む画面イメージを生成してディスプレイに表示するから,動画画面イメージ生成プログラムである。 ウしたがって,イ号製品は構成要件V’を充足する。 (2) ロ号製品ないしヘ号製品は,いずれもイ号製品と同様に前記(1)アの構成要素を備えているから,訂正発明1の構成要件V’を充足する。 (3) 被告製品がいずれも構成要件E’’を充足することは,前記1で構成要件Eについて述べたのと同様である。 (被告らの主張)(1) 原告は,「ポインタが動く映像」(乙A10)が動画に該当しないと主張するが,その主張に従えば,被告製品におけるTVlauncherもまた動画に該当せず,「生成動画」(構成要件V’)の要件を満たさない。 (2) 「動画画面イメージ生成プログラム」は,ゲームのプログラムの場合を除き,訂正明細書に記載がないのである auncherもまた動画に該当せず,「生成動画」(構成要件V’)の要件を満たさない。 (2) 「動画画面イメージ生成プログラム」は,ゲームのプログラムの場合を除き,訂正明細書に記載がないのであるから,結局,ゲームのプログラム に限定して解釈されるべきものである。 したがって,ゲームのプログラムでないTVlauncherは,「動画画面イメージ生成プログラム」ではない。 (3) したがって,TVlauncherは「動画画面イメージ生成プログラム」(構成要件V’)を有しておらず,また,かかるプログラムに基づいて,外部ディスプレイ手段の生成動画画面イメージのデジタル表示信号を生成する構成(構成要件E2’’)も有していないというべきであり,このことと,前記1において主張したところによれば,被告製品は,いずれも訂正発明の技術的範囲に属しない。 8 争点8(損害)について(原告の主張)(1) 被告ソニーモバイルに対する損害賠償請求ア被告ソニーモバイルは,本件特許権の登録日(平成24年7月27日)から平成25年1月30日までの間に,イ号製品を,平均単価5万円で少なくとも20万個販売した。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は5億円を下らないが,そのうち220万円を請求する。 イ被告ソニーモバイルは,遅くとも平成24年8月9日から平成25年1月30日までの間に,ロ号製品を,平均単価5万円で少なくとも50万個販売した。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は12億5000万円を下らないが,そのうち560万円を請求する。 ウ被告ソニーモバイルは,遅くとも平成24年8月10日から平成25年1月30日までの間に,ハ号製品を,平均単価5万 るべき金銭の額は12億5000万円を下らないが,そのうち560万円を請求する。 ウ被告ソニーモバイルは,遅くとも平成24年8月10日から平成25年1月30日までの間に,ハ号製品を,平均単価5万円で少なくとも40万個販売した。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は10億円を下らないが,そのうち450万円を 請求する。 エ被告ソニーモバイルは,遅くとも平成24年11月16日から平成25年1月30日までの間に,ニ号製品を,平均単価5万円で少なくとも70万個販売した。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は17億5000万円を下らないが,そのうち780万円を請求する。 オ被告ソニーモバイルは,本件特許権の登録日(平成24年7月27日)から平成25年1月30日までの間に,ホ号製品を,平均単価5万円で少なくとも50万個販売した。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は12億5000万円を下らないが,そのうち560万円を請求する。 カ被告ソニーモバイルは,遅くとも平成24年11月2日から平成25年1月30日までの間に,ヘ号製品を,平均単価5万円で少なくとも30万個販売した。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は7億5000万円を下らないが,そのうち330万円を請求する。 キよって,原告は,被告ソニーモバイルに対し,民法709条,特許法102条3項に基づき,上記アないしカの実施料相当額合計65億円の一部2900万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成25年2月7日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (2) 被告ドコ しカの実施料相当額合計65億円の一部2900万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成25年2月7日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (2) 被告ドコモに対する損害賠償請求ア被告ドコモは,本件特許権の登録日(平成24年7月27日)から平成25年1月30日までの間に,イ号製品を少なくとも20万個販売し,1個当たり平均2万5000円の収入を得た。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は2億5000 万円を下らないが,そのうち120万円を請求する。 イ被告ドコモは,遅くとも平成24年8月9日から平成25年1月30日までの間に,ロ号製品を少なくとも50万個販売し,1個当たり平均2万5000円の収入を得た。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は6億2500万円を下らないが,そのうち290万円を請求する。 ウ被告ドコモは,遅くとも平成24年8月10日から平成25年1月30日までの間に,ハ号製品を少なくとも40万個販売し,1個当たり平均2万5000円の収入を得た。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は5億円を下らないが,そのうち230万円を請求する。 エ被告ドコモは,遅くとも平成24年11月16日から平成25年1月30日までの間に,ニ号製品を少なくとも70万個販売し,1個当たり平均1万円の収入を得た。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は3億5000万円を下らないが,そのうち160万円を請求する。 オよって,原告は,被告ドコモに対し,民法709条,特許法102条3項に基づき,上記アないしエの実施料相当額合計17 るべき金銭の額は3億5000万円を下らないが,そのうち160万円を請求する。 オよって,原告は,被告ドコモに対し,民法709条,特許法102条3項に基づき,上記アないしエの実施料相当額合計17億2500万円の一部800万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成25年2月7日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (3) 被告KDDIに対する損害賠償請求ア被告KDDIは,本件特許権の登録日(平成24年7月27日)から平成25年1月30日までの間に,ホ号製品を少なくとも50万個販売し,1個当たり平均2万5000円の収入を得た。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は6億250 0万円を下らないが,そのうち240万円を請求する。 イ被告KDDIは,遅くとも平成24年11月2日から平成25年1月30日までの間に,ヘ号製品を少なくとも30万個販売し,1個当たり平均1万円の収入を得た。実施料率は少なくとも5%が相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は1億5000万円を下らないが,そのうち60万円を請求する。 ウよって,原告は,被告KDDIに対し,民法709条,特許法102条3項に基づき,上記ア,イの実施料相当額合計7億7500万円の一部300万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成25年2月7日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (被告らの主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点2(本件発明1の新規性,進歩性の有無)について(1) 事案に鑑み,争点2(本件発明1の新規性,進歩性の有無)について先に判断する。 (2) 乙A8は,本件特許の優先日(平成22年4月19日)前に頒布 件発明1の新規性,進歩性の有無)について(1) 事案に鑑み,争点2(本件発明1の新規性,進歩性の有無)について先に判断する。 (2) 乙A8は,本件特許の優先日(平成22年4月19日)前に頒布された刊行物(特開2008-166927)であるが,乙A8には,本件発明1の構成要件が全て開示されていることが認められる(原告は,第2次訂正請求により追加された構成要件V’及びE’’以外に,乙A8に記載された発明と本件発明1との相違点を主張していない〔被告KDDIら準備書面(2)10~18,54~59頁,原告準備書面(第3回)13~15頁〕。)。 (3) また,後記3において説示するところによれば,本件発明1は,本件特許の優先日(平成22年4月19日)前に頒布された刊行物(特開2009-42967)である乙A10に記載された発明に基づいて,当業者が 容易に発明をすることができたものというべきである。 (4) したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件発明1は,新規性又は進歩性を欠き,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる(特許法104条の3,123条1項2号,29条1項3号,2項,41条2項)。 2 争点3(本件発明3の新規性,進歩性の有無)について(1) 乙A8には,本件発明3の構成要件が全て開示されていることが認められる(原告は,第2次訂正請求により追加された構成要件V’及びE’’以外に,乙A8に開示された発明と本件発明3との相違点を主張していない〔被告KDDIら準備書面(2)77~79頁,原告準備書面(第5回)30頁〕。)。 (2) また,後記3において説示するところによれば,本件発明3は,乙A10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 (3) 第5回)30頁〕。)。 (2) また,後記3において説示するところによれば,本件発明3は,乙A10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 (3) したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件発明3は,新規性又は進歩性を欠き,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる(特許法104条の3,123条1項2号,29条1項3号,2項,41条2項)。 3 争点6(訂正発明の新規性,進歩性の有無)について(1) 特許に無効理由が存在する場合であっても,①特許権者が適法な訂正請求又は訂正審判請求を行い,②その訂正により無効理由が解消され,かつ,③被告製品が訂正後の発明の技術的範囲に属するものと認められる場合には,訂正の再抗弁が成立し,特許法104条の3により特許権の行使が制限されることはない(知財高裁平成21年8月25日判決・判時2059号125頁)。 本件において,原告は,第2次訂正請求を行ったとして,訂正の再抗弁を 主張しているので,第2次訂正請求による訂正により,前記1及び2で説示した新規性,進歩性欠如の無効理由が解消されているか(上記②の要件)について検討する。 (2) 訂正発明1についてア乙A10には,以下の発明(以下「乙A10発明」という。)が開示されている。 (a):PDA10の本体正面に設けられた表示部であって,該表示部の表面を押圧及びなぞることによって,操作入力が可能であるタッチパネル式の表示部12と;(b):処理を動作させるプログラムを格納するストレージ部103と;(c):PDA10を制御する中央演算部101と;(d):接続ケーブル31を介して外部のヘッドマウントディスプレイ(以下「HMD」と略記する。)20に接続され,該HM するストレージ部103と;(c):PDA10を制御する中央演算部101と;(d):接続ケーブル31を介して外部のヘッドマウントディスプレイ(以下「HMD」と略記する。)20に接続され,該HMD20に画像の信号を出力する外部モニタ接続部15と;を備えた上で,(v’):前記ストレージ部103は,ポインタ221を移動させるアプリケーションソフトウェアを格納し,(e0):前記中央演算部101は,(e1):前記PDA10が前記HMD20に接続されていない場合,スケジュールデータ表示121aと手書き文字入力表示122aとを前記表示部12に表示することと;(e2’a):前記PDA10が前記HMD20に接続されている場合,手書き文字入力表示122aを前記表示部12の表示領域全体に表示するための入力専用画像情報を生成し,前記入力専用画像情報を前記PDA10の前記表示部12に表示し,(e2’’b):PDA操作用ペン19の押圧によって得られる操作信号を前記アプリケーションソフトウェアに基づいて処理して,スケジュール データ表示121a上でポインタ211が動く画像を前記HMD20の表示部22a,22bの表示領域全体に表示するための表示専用画像情報を生成し,前記表示専用画像情報を前記HMD20の表示部22a,22bに表示することと;(e3):を選択的に実現する,ことを特徴とする(f):PDA10。 イ乙A10発明の構成(a)ないし(c),(f)は訂正発明1の構成要件AないしC,Fに相当し,乙A10発明の構成(e0)(e1)(e’2a)は訂正発明1の構成要件E0,E1,E’2aに相当する。 そうすると,乙A10発明と訂正発明1は,以下の点で相違し,その余の点で一致する。 相違点1:訂正発明1においては,外部出力インタ ’2a)は訂正発明1の構成要件E0,E1,E’2aに相当する。 そうすると,乙A10発明と訂正発明1は,以下の点で相違し,その余の点で一致する。 相違点1:訂正発明1においては,外部出力インターフェース手段が送信するデジタル外部表示信号は,「TMDS,デジタルRGB,LVDS,LDI,GVIF,USB,DisplayPort,WirelessHD,WHDI,WiGigのうちのいずれかの伝送方式で伝送される」(構成要件D)のに対し,乙A10発明において外部モニタ接続部15が送信するデジタル外部表示信号の伝送方式は明らかでない点相違点2:訂正発明1においては,記憶手段は「『撮像手段が取得した画像をスルー表示して得られる動画』,『保存された動画データ』を再生して得られる動画』及び『受信した動画信号を復号して得られる動画』のいずれにも該当しない動画」を含む画面イメージのデジタル表示信号を生成させるプログラム(動画画面イメージ生成プログラム)を格納し(構成要件V’),該動画画面イメージ生成プログラムに基づいて生成動画画面イメージのデジタル信号を生成して外部出力インターフェース手段に送信する(構成要件E2’’b)のに対し,乙A10発明のストレージ部103がそのような動画画面イメージ生成プログラムを格納し, これに基づく生成動画画面イメージのデジタル信号を生成して送信するかは明らかでない点ウ相違点1(伝送方式)について乙A10発明において伝送方式を限定する記載はなく(段落【0056】には,「赤外線を利用した無線通信や,電波を利用した無線通信によってPDA10とHMD20とを接続するように構成してもよい。」とある。),当業者は優先日時点において公知の伝送方式を適宜採用し得るところ,優先日前の公知文献である乙A9には,携帯 した無線通信によってPDA10とHMD20とを接続するように構成してもよい。」とある。),当業者は優先日時点において公知の伝送方式を適宜採用し得るところ,優先日前の公知文献である乙A9には,携帯端末からPC用ディスプレイに信号を伝送する方式としてデジタルRGB方式を使用することが開示されている。 そうすると,当業者は,乙A10発明に乙A9の伝送方式を組み合わせることによって,相違点1に係る構成を容易に想到できるものと認められる。 エ相違点2(動画画面イメージ生成プログラム)について(ア) 乙A10の段落【0058】には,「変形例」として,「上述した第2の実施の形態では,PDA10をHMD20の操作部材の一部として扱っているが,たとえば,PDA10に加速度センサなどを設けて,PDA10自体の動きを検出することで,アプリケーションソフトウェアにおける操作を行うようにしてもよい。たとえば,ゲームのアプリケーションソフトウェアを起動させた際に,PDA10自体を動かすことでそのゲームにおける操作を行うことができるようにしてもよい。」との記載があり,乙A10の「第2の実施の形態」において,「ゲームのアプリケーションソフトウェア」を起動させる構成が開示されている。 (イ) この点,「第2の実施の形態」においては,「たとえば動画再生用のアプリケーションソフトウェアのプログラム」は,HMD20のストレージ部206に記憶されている(段落【0043】)から,上記変形 例における「ゲームのアプリケーションソフトウェア」も,HMD20のストレージ部206に格納され,PDA10のストレージ部103には格納されないものと認められる。 (ウ) しかし,乙A10の段落【0063】には,「上述した各実施の形態および変形例は,それぞれ組み合わせて ジ部206に格納され,PDA10のストレージ部103には格納されないものと認められる。 (ウ) しかし,乙A10の段落【0063】には,「上述した各実施の形態および変形例は,それぞれ組み合わせてもよい。」との記載があるから,上記で乙A10発明として特定した「第1の実施の形態」に上記変形例を組み合わせて「ゲームのアプリケーションソフトウェア」を起動させる構成も,乙A10に開示されているものと認められる。 この構成においては,「ゲームのアプリケーションソフトウェア」は,PDA10のストレージ部103に格納されることは,乙A10の「第1の実施の形態」の記載(段落【0013】)から明らかである。この構成において,PDA10がHMD20に接続されていない場合,起動された「ゲームのアプリケーションソフトウェア」による処理の結果が表示部12に表示されることは,乙A10の「第1の実施の形態」の記載(段落【0016】)から明らかである。この構成において,PDA10がHMD20に接続されている場合,PDA10の表示部12には,「ユーザによる文字などの入力のためのグラフィカルユーザインターフェースだけ」(乙A10の【請求項1】でいう「ユーザの操作入力の受け付けに関する画面」)が表示されることは,乙A10の「第1の実施の形態」の記載(段落【0020】)から明らかである。また,PDA10がHMD20に接続されている場合,HMD20の表示部22a,22bには,「ゲームのアプリケーションソフトウェア」によるデータだけ(乙A10の【請求項1】でいう「前記情報端末の入力部で受け付けたユーザの操作入力に応じ」た画面表示)が表示されることは,乙A10の「第1の実施の形態」の記載(段落【0020】)から明らかである。 (エ) 上記「ゲームのアプリケ 入力部で受け付けたユーザの操作入力に応じ」た画面表示)が表示されることは,乙A10の「第1の実施の形態」の記載(段落【0020】)から明らかである。 (エ) 上記「ゲームのアプリケーションソフトウェア」で生成されるデータがどのようなものか,乙A10には明示されていないが,携帯情報装置において実行される「ゲームのアプリケーションソフトウェア」が,「『撮像手段が取得した画像をスルー表示して得られる動画』,『保存された動画データ』を再生して得られる動画』及び『受信した動画信号を復号して得られる動画』のいずれにも該当しない動画」を生成することは,本件特許権の優先日時点において当業者の技術常識であったと認められる(例えば,乙A25の段落【0020】)。 (オ) 以上によれば,相違点2は,乙A10自体から(その「変形例」と「第1の実施の形態」とを組み合わせることにより),当業者が容易に想到できるものと認められる。 (カ) 原告は,乙A10の「第2の実施の形態」と「第1の実施の形態」との間には,画像情報の生成処理をPDA10側で行うかHMD20側で行うかという本質的な相違点があるから,「第1の実施の形態」と「第2の実施の形態」とを組み合わせることには阻害要因が存在し,「第2の実施の形態」に係る記載(段落【0041】~【0064】)は考慮する必要がない,と主張する。 しかし,「第2の実施の形態」の変形例である【0058】の構成を「第1の実施の形態」と組み合わせることについて【0063】で開示があることは上記のとおりであり,また,【0058】の変形例を「第1の実施の形態」と組み合わせることに技術的困難性は存在しない。したがって,それらを組み合わせることに阻害要因が存在するとの原告の主張は失当である。 オ以上によれば,相違 058】の変形例を「第1の実施の形態」と組み合わせることに技術的困難性は存在しない。したがって,それらを組み合わせることに阻害要因が存在するとの原告の主張は失当である。 オ以上によれば,相違点1及び2はいずれも当業者が容易に想到できる構成であるから,訂正発明1は,乙A10発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 (3) 訂正発明3について訂正発明3は,訂正発明1に構成要件I,Jの構成を付加したものであるが,乙A10には,構成要件I,Jに相当する構成が開示されている(段落【0013】,【0014】,【0020】及び【0021】)と認められる(原告も,訂正発明3につき,訂正発明1と別個に相違点の主張はしていない〔被告KDDIら準備書面(2)37,83~85頁,原告準備書面(第5回)30頁〕。)。 したがって,訂正発明3は,乙A10発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 (4) 小括そうすると,第2次訂正請求による訂正は,前記1及び2で説示した無効理由を解消するものとはいえないから,その余の点について判断するまでもなく,原告による訂正の再抗弁は理由がないことに帰する。 4 以上によれば,本件発明はいずれも新規性又は進歩性を欠くから,同発明についての特許は特許無効審判により無効とされるべきものと認められ,訂正の再抗弁は成立しないから,特許法104条の3により,本件特許権に基づく権利行使は許されない。 よって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 主文 することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 西村康夫 裁判官 石神有吾は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 嶋末和秀
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