判決 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 刑務官として、領置物品の管理等の業務に従事していたものであるが、令和5年7月31日、和歌山市加納383番地所在の和歌山刑務所において、Aから指輪1個(時価約6万5000円相当)を領置し、同所所長Bのために業務上預かり保管中、令和6年3月30日、同市a町b番地所在の有限会社Cにおいて、自己の用途に充てる目的で、前記指輪を現金2万3500円で質入れし、もって横領し、第2 刑務官として勤務していたものであるが、 1 令和6年7月9日から同年9月4日までの間に、前記和歌山刑務所総務部会計課において、同所に置かれた金庫内から領置品である同課課長D管理の指輪1個(時価約9万円相当)を窃取し、 2 同年10月26日、前記和歌山刑務所総務部会計課において、同所に置かれた金庫内から領置品である前記D管理の指輪1個(時価約8万円相当)を窃取した。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)刑務官であった被告人は、受刑者の貴重品が保管されている金庫の位置や保管状 況を熟知している中、判示の横領及び各窃盗に及んだ。被害金額は合計約23万円と相応に大きく、犯行の発覚を防ぐため代替品を用意するなど、態様は計画的といえ悪質である。被告人は、本件に至る経緯として、広域異動に伴って手当(給与)が減少したことなどから多額の借金を抱えたなどというが、国家公務員として通常は適切に対処可能な事情と考えられ、特段酌むべきものとはいえない。その解決方法として、金銭を得るため犯罪を選ぶのみにとどまらず、領置物品の適切な管理と 借金を抱えたなどというが、国家公務員として通常は適切に対処可能な事情と考えられ、特段酌むべきものとはいえない。その解決方法として、金銭を得るため犯罪を選ぶのみにとどまらず、領置物品の適切な管理といった刑務官の職責に背き、立場等を悪用した本件各犯行を決断するに至っており、かかる意思決定については、特に厳しい非難を免れない。 以上によれば、被告人の刑事責任には重いものがある。他方、被害品が還付され、被害品を買い取った質店にも被害弁償がなされていること、被告人が罪を認め反省の態度を示していること、妻が出廷し、今後の監督や支援を誓約していることに加え、これまで前科前歴がないこと、本件により懲戒免職の処分を受け、社会的な制裁を受けたこと等の酌むべき事情を斟酌すれば、被告人について、主文の刑を科してその責任を明確にしつつ、刑の執行は猶予することが相当であると判断した。 (求刑懲役2年6月)令和7年9月10日和歌山地方裁判所刑事部 裁判官小林薫
▼ クリックして全文を表示