【DRY-RUN】○ 主文 原告らの請求を棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求める裁判 一 原告ら 被告が昭和五二年三月二三日付でした原告らの審査申出を棄却する旨の決定を取り 消す。
○ 主文原告らの請求を棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実第一当事者の求める裁判一原告ら被告が昭和五二年三月二三日付でした原告らの審査申出を棄却する旨の決定を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決。 二被告主文と同旨の判決。 第二当事者の主張一原告らの請求原因(一) 原告らは、別紙物件目録記載の建物(以下本件建物という)の区分所有者であり、その建物部分(専用部分及び建物の区分所有等に関する法律一〇条の規定により求めた共用部分の持分をいう。以下建物部分という)の床面積は、別表(一)の「床面積」欄記載のとおりである。 (二) 原告らは、昭和四六年二月末日ころ、大阪市長(以下市長という)の決定に基づいて、大阪市東区長から本件建物についての昭和四六年度の固定資産価格等決定通知書の送達を受けた。 (三) そこで、原告らは、昭和四六年三月二六日、被告に対し審査の申出をしたが(その後、市長は、固定資産課税台帳の縦覧期間経過後における改築を理由に価格の修正を行い、本件建物の昭和四六年度の価格を八八億五、六二九万三、〇〇〇円と決定し、固定資産課税台帳に登録したので、原告らは、審査申出の趣旨を右価格についての不服審査に変更した)、被告は、昭和五二年三月二三日付で原告らの審査申出を棄却する旨の決定(以下本件決定という)をし、同決定書謄本か同月三〇日原告らに送達された。 (四) しかし、本件決定は、本件建物の固定資産としての評価を適正にしたものではなく、内容が違法であるから、その取消しを求める。 二請求原因に対する答弁(一) 請求原因(一)ないし(三)の各事実は認める。 (二) 同(四)の主張は争う。 三被告の主張本件建物の評価額は、次のとおり、八八億五、六二九万三、〇〇〇円と算定されるから、本件決定は適法であ 一) 請求原因(一)ないし(三)の各事実は認める。 (二) 同(四)の主張は争う。 三被告の主張本件建物の評価額は、次のとおり、八八億五、六二九万三、〇〇〇円と算定されるから、本件決定は適法である。 (一) 地方税法(以下法という)三八八条の規定に基づいて自治大臣が定めた固定資産評価基準(昭和三八年自治省告示一五八号。以下評価基準という)によると、家屋の評価額を求める算式は、次のとおりである。 (評価額)=(単位面積当たりの再建築費評点数)×(床面積)×(経年減点補正率)×(評点一点当たりの価額)(二) 原告らの建物部分の評価額 1 単位面積当たりの再建築費評点数各原告につき、別表(一)の「再建築費評点数」欄に記載のとおりである。 2 床面積各原告につき、別表(一)の「床面積」欄に記載のとおりである。 3 経年減点補正率 〇・九九 4 評点一点当たりの価額一・一〇円 5 評価額(右の1×2×3×4)各原告につき、別表(一)の「評価額」欄に記載のとおりである(但し、一、〇〇〇円未満は切捨て)。 (三) 単位面積当たりの再建築費評点数について 1 原告Aの建物部分についての再建築費評点数は、基準工事部分のもの四八、二〇〇点と付加造作によるもの四、九〇〇点とを加えたものであり、原告Bのそれは、基準工事部分のもの四八、二〇〇点と付加造作によるもの三、七〇〇点とを加えたものであり、その余の原告らの建物部分についての再建築費評点数は、いずれも基準工事部分のものである。 2 基準工事部分の再建築費評点数の算定本件建物は、東棟、中央棟、西棟と外見的にはそれぞれ独立した三棟からなつており、登記簿も各棟ごとに作成されているが、中央棟には全棟のための電気室、機械室、駐車場、貨物積卸場等があり、三棟が機能的に一体と考えられるので、三棟を一括して評価し、評価基 れ独立した三棟からなつており、登記簿も各棟ごとに作成されているが、中央棟には全棟のための電気室、機械室、駐車場、貨物積卸場等があり、三棟が機能的に一体と考えられるので、三棟を一括して評価し、評価基準に従つて基準工事部分の再建築費評点数を算定すると、単位(三・三平方メートル)当たり一五九、一一八点になるが、その内訳は別表(二)のとおりである。そして、これ(右の合計点)を一・〇平方メートル当たりに換算し、一〇〇点未満を切り捨てると、四八、二〇〇点になる。 なお、本件建物の主体構造部の再建築費評点数の算出について補足すると、本件建物の主体構造部は、高速道路及び地下鉄施設と一体構造となつているが、その工事施工量が各々の構造物にどのように配分されているかは不明確で、各々に分離することは不可能であり、また、その主体構造部を家屋として取り扱い、当該主体構造部の工事施行量全部を本件建物に係るものとして評価対象とすることも不合理と思料されたので、標準的なビルの工事施工量(延床面積三・三平方メートル当たり鉄筋〇・二五トン、コンクリート二・一六立方メートル)を基準に標準評点数が定められている「鉄筋及びコンクリートの使用量が明確でない建物」の評点項目を適用した。 (四) 本件建物の評価額本件建物は、原告らを含めて六八八の区分所有により成り立つているが、各区分所有にかかる建物部分について原告らの建物部分と同様の方法で評価額を算定し、各建物部分の評価額を合計すると八八億五、六二九万三、〇〇〇円になる。 四被告の主張に対する原告らの反論(認否)(一) 被告の主張(一)の事実は認める。 (二) 同(二)につき、1は争い、2ないし4の各事実は認める。 (三) 同(三)について 1 同1のうち、原告A及び同Bの各建物部分の付加造作による再建築費評点数が被告主張のとおり の事実は認める。 (二) 同(二)につき、1は争い、2ないし4の各事実は認める。 (三) 同(三)について 1 同1のうち、原告A及び同Bの各建物部分の付加造作による再建築費評点数が被告主張のとおりであることは認め、その余は争う。 2 同2のうち、別表(二)の主体構造部及び基礎の再建築費評点数を除き、認める。 評価基準によつて算定すると、主体構造部及び基礎の再建築評点数が別表(二)に記載のとおり算出されることは認めるが、これをそのまま基準工事部分の再建築費評点数の算定の根拠にするのは、相当でない。 (四) 同(四)について本件建物の評価額が、被告主張の方法で算出すると、八八億五、六二九万三、〇〇〇円になることは、認める。 (反論)(一) 再建築費評点数の算定の根拠にすべき本件建物の範囲について 1 本件建物は、一〇棟の建物からなり、全長約九三〇メートルに及ぶが、屋上には都市計画街路築港深江線(二方向、六車線)と阪神高速道路大阪東大阪線(二方向、六車線)(以下両者を合わせて高架道路という)が走つている(別紙図面(一)参照)。高架道路には、独自の脚柱がなく直接本件建物の柱、梁、壁、床、基礎(以下主要構造物というが、これは、被告が本件建物の再建築費評点数の算出にあたり基準工事部分中の主体構造部及び基礎として取り扱つている部分である)により支えられて本件建物と構造上一体となつている。したがつて、建物の主要構造物は、同時に高架道路を支える脚柱として機能しており、高架道路は脚柱なくして存在し得ず、また脚柱より上の部分のみを他に移転することも出来ない。つまり、高架道路の脚柱たる主要構造物は高架道路に必要不可欠な本質的部分であつてこれを高架道路の構成部分でないとはいえない。 2 このように、主要構造物は、本件建物と高架道路の双方の構成部分であるから、本件 高架道路の脚柱たる主要構造物は高架道路に必要不可欠な本質的部分であつてこれを高架道路の構成部分でないとはいえない。 2 このように、主要構造物は、本件建物と高架道路の双方の構成部分であるから、本件建物の評価額を算出する場合、主要構造物のうち計算上高架道路に属する部分は当然除外すべきである。即ち通常の地上四階地下二階建物の主要構造物の材料と、高架道路を通常の脚柱で支持する場合の脚柱の材料との比率を算出し、本件主要構造物についてこの比率により高架道路構成部分を除外すべきである。 3 なお、主要構造物が本件建物にのみ帰属するとみるべきでないことにつき補足すると、次のとおりである。 (1) 主要構造物の管理面について見ても、高架道路所有者たる大阪市と阪神高速道路公団は、本件建物に道路下占用許可を与えるに際し高架道路の維持、管理を最優先させるため種々の許可条件を付け、主要構造物に関する実質的な管理権を建物所有者の手から奪つており、建物所有者が自由に管理処分出来るのは内装、機械設備等附属的部分についてだけである。 したがつて、主要構造物は、管理面から見ても、本件建物の一部というよりは、むしろ高架道路の一部であるということができる。 (2) また、主要構造物は、登記簿上本件建物の一部となつているが、これは、主要構造物を高架道路の一部とすれば残余の部分のみでは建物が出来ないという登記技術上の理由から、やむなく建物の一部として登記されているにすぎない。したがつて、現行の登記は、本件建物、高架道路、主要構造物の関係を正しく反映しておらず、登記簿上主要構造物が建物の一部となつていることは、それが建物のみに帰属するということの根拠とはなり得ない。 (3) さらに、主要構造物の所有権は、形式的には建物所有者に属しているが、実質的には建物所有者と高架道路所有者の共有で となつていることは、それが建物のみに帰属するということの根拠とはなり得ない。 (3) さらに、主要構造物の所有権は、形式的には建物所有者に属しているが、実質的には建物所有者と高架道路所有者の共有である。すなわち、本件建物は、前記占有許可条件により高架道路存続期間中(これは主要構造物の寿命にほぼ一致すると思われる)、無償で高架道路の使用に供さなければならないとされ、第三者に譲渡するにも市長、阪神高速道路公団理事長の事前許可が必要であるとされている。つまり、高架道路所有者も、主要構造物が存続するほぼ全期間、それを使用、収益する権利と処分許可権を持つているのであるから、主要構造物の実質的共有者であるといわざるを得ない。 (4) 固定資産税は、いわゆる収益的財産税であつて、目的物の交換価値ではなく目的物の使用、収益価値に着目して課せられる財産税である。したがつて、登記簿上の処理とか、形式的な所有権の所在は重要でなく、主要構造物が如何なる機能を果しているのかという点こそが最も重要な判断基準となる。そして主要構造物は、本件建物、高架道路双方にとつて必要不可欠な本質的部分であり、双方の主要構造となつているから、双方の構成部分であり双方に帰属している。 (二) 本件建物中の非課税部分について 1 主要構造物(1) 本件建物の主要構造物は、高架道路の脚柱と一体となつており、高架道路は、本件主要構造物全体を利用している。そして、この利用関係の根拠は、道路占用許可条件にあり、大阪市が高架道路の存続期間中無償で公共の道路の用に供している。したがつて、主要構造物中、本件建物に属する部分は、法三四八条二項一号の市が公共の用に供する固定資産に該当し、非課税である。 (2) 仮に主要構造物全体が本件建物に属するとすると、本件建物の主要構造物を大阪市が無償で公共の道路の 建物に属する部分は、法三四八条二項一号の市が公共の用に供する固定資産に該当し、非課税である。 (2) 仮に主要構造物全体が本件建物に属するとすると、本件建物の主要構造物を大阪市が無償で公共の道路の用に供していることになるから、全体が同号の非課税物件となる。 2 本件建物内部の廊下、通路、階段、エレベーターホール、玄関ホール、エスカレーター及びエレベーター(別紙図面(二)中赤色部分の廊下、通路、階段、エレベーターホール、玄関ホール、同じく橙色部分のエスカレーター、エレベーター。 以下本件廊下等という)(1) 本件建物は、一〇棟からなり各号館は通路(一般通路)で連絡されている。つまり一、二、三号館は、地上二階、地下一、二階で、二、三号館は、更に地上三階でも、三、四号館は地下二階で、四号館ないし九号館は、地上二、三階、地下一階で、九、一〇号館は、地下二階で、廊下又は通路により直接連絡している。 このように各号館が廊下で連結されているのは、本件建物敷及びその両側の道路敷となつて立退きを余儀なくされた街をそつくり本件建物内に収容し街を立体化することにより繊維問屋街船場の特徴を維持しようとしたことと、地下鉄の御堂筋線、四ツ橋線、中央線、堺筋線の乗降客をはじめとする多数の歩行者の円滑な移動を確保しようとしたことにある。本件廊下等は単なる建物内廊下でなく、街と街を、駅と駅を、問屋と問屋とを連絡する道路としての機能を負わされており、現に多くの歩行者に利用されている。 このような経緯と現状からすると、本件廊下等は、法三四八条二項五号の公共の用に供する道路に該当する。 (2) 道路としての形態性、公共性、開放性について補足すると、次のとおりである。 (ア) 道路としての形態を備えているというためには、必ずしも土地を構成要素としなくとも、人、車の往来に供する形態 (2) 道路としての形態性、公共性、開放性について補足すると、次のとおりである。 (ア) 道路としての形態を備えているというためには、必ずしも土地を構成要素としなくとも、人、車の往来に供する形態を備えておればよい。 本件廊下等について見ると、御堂筋西側から堺筋東側まで東西約九三〇メートルに及び、地上の各道路や地下鉄各駅とも連絡し、人の平面的移動のみならず立体的移動の用にも供されている。また廊下は通常建物のそれと比較して幅員が広く(三・四四メートルないし四・四四メートル)、多数人の通行が可能である。 (イ) 次に公共性の要件を満すためには、不特定多数人の通行の用に供されていることが必要であるが、この点を本件建物についてみると、一般歩行者の利用を予定しているため一階だけで各棟六箇所も出入口があり、その他地下階では地下鉄改札口と直接連絡している。また、館内には一般歩行者の便を考え随所に館外道路名の表示や地下鉄各駅への案内表示板が設置されている。通常のビルでは出入口に受付を設置し入館者をチエツクしているところが多いが、本件建物では入館者のチエツクをしないばかりか、部外者の入館を精神的に抑制するような設備、保安体制はとられていない。そして現実の利用状況を見ると、館外利用者の通行の方が入居者の利用より多い。 本件建物の所有者らも、本件廊下等を一般通行人同様通行のために利用しているだけであつて一般通行人と違つた方法で利用していない。 また、一般通行人が潜在的な顧客として店舗等の売上増に寄与していることは、通常の商店街の道路についてもいえることであり、そのために商店街の道路の公共性が否定されるものではない。 (ウ) 開放性について本件建物は、日曜、祝日を除き午前七時から午後一〇時まで開館されており、開館中は本件建物関係者のみならず一般公衆にも無制限に開 商店街の道路の公共性が否定されるものではない。 (ウ) 開放性について本件建物は、日曜、祝日を除き午前七時から午後一〇時まで開館されており、開館中は本件建物関係者のみならず一般公衆にも無制限に開放されている。 日曜、祝日と深夜閉館され通行不能となるのは、問屋と事務所街という周辺の土地柄から、その時間帯の人々は激減し敢えて本件廊下等を利用しなくとて通常の道路だけで十分足りるからである。 なお、別紙図面(三)の赤色部分(甲第九号証の二の赤色部分。以下A部分という)及び別紙図面(四)の赤色部分(甲第九号証の三の赤色部分。以下B部分という)は、大阪市交通局(以下交通局という)と訴外株式会社大阪市開発公社(以下開発公社という)が協定を結び、地下鉄乗降客の通路として、地下鉄営業期間中は開放する旨約束されており、A部分は、日曜、祝日、深夜(午後一〇時から翌朝七時まで)は閉鎖されているが、B部分は終日開放されている。 (3) 仮に、本件廊下等が法三四八条二項五号の公共の用に供する道路に該当しないとしても、同項一号の国又は地方公共団体が公共の用に供する固定資産に該当する。 (ア) 本件廊下等の設置の目的都市再開発事業の一環として本件建物の建設を立案設計した大阪市は、本件建物を単なる建物でなく過密状態の船場の街を立体化することと、本件廊下等を歩道として利用することにより地上交通の混雑緩和、歩行者の安全確保を図ろうとした。 本件廊下等を単に建物として利用するだけなら、各号館を通路で連絡したり、廊下を広くする必要はない。 本件建物は、道路敷上で且つ高架道路下に存在するため、道路占用許可が必要であるが、本件建物の場合「高架道路の路面下の占用許可基準」(昭和四〇年道発三六七号)では許可されないにもかかわらず、その公共的性格故に例外的に道路局長の承認を得た。 仮に、 め、道路占用許可が必要であるが、本件建物の場合「高架道路の路面下の占用許可基準」(昭和四〇年道発三六七号)では許可されないにもかかわらず、その公共的性格故に例外的に道路局長の承認を得た。 仮に、本件建物にシヨツピング街としての要素が含まれているとしても、本件廊下等の公共性が否定されるものではない。ちなみに、大阪市は、民間会社の所有する、梅田、堂島、中之島、難波、虹の街、阿倍野の各地下街(以下他の地下街という)の通路、洗面所等を非課税扱いにしているが、虹の街地下街は、元来シヨツピング系の地下街の形成を目指しており、大阪の地下街の中でも最も営業的性格の強い地下街であり、その他梅田地下街、難波地下街の一部も設置の主目的はシヨツピング街の形成である。これらと本件廊下等を区別する理由は全くない。 (イ) 市の規制本件建物は、大阪市が計画したものであるが、形式上の建設主体と管理主体は、市議会の議決により開発公社(大阪市が六〇%強出資)とされた。 そして、大阪市は、本件建物を円満に管理してゆくために、道路占用許可を媒介として許可条件により本件建物側に義務を課することとし、その条件の中に道路管理者によるビル規約の承認の条項を設け、これにより本件建物の利用を包括的に規制している。また交通局との協定によつて、通路等の利用が具体的に規制されている。特に地下通路の一定部分(A部分及びB部分)については、開発公社と交通局との協定により地下鉄乗降客の通路としての利用に供することが義務づけられていることは、前記(2)(ウ)で述べたとおりである。 (ウ) 利用実態本件建物の通路、エスカレーター、エレベーターは、公道として一般通行の用に供されている。ただ、本件建物の場合、一部を除いて、シヤツター開扉時間が他の地下街より若干短かく(但し中之島地下街の一部出入口よりは長い 通路、エスカレーター、エレベーターは、公道として一般通行の用に供されている。ただ、本件建物の場合、一部を除いて、シヤツター開扉時間が他の地下街より若干短かく(但し中之島地下街の一部出入口よりは長い)、日曜、祝日は閉鎖される。しかし、本件建物は、他の地下街のように繁華街ではなく問屋街に位置するため、通行人の数は、各問屋や事務所の営業時間帯である平日の午前八時ころから午後七時ころまでは多いが、それ以外の平日の早朝、深夜や日曜、祝日はほとんど人通りがないため、これらの時間は閉ざされているのであり、地下街が深夜閉鎖されるのと質的な差はない。 ちなみに、非課税扱いにされている他の地下街の利用実態は、別表(三)のとおりであり、このように一般人の通行を全面的に排除する時間帯があり、通路の全灯時間を概ね店舗の営業時間に合わせていても、地下街通路の公共性が否定されるものではない。 なお、本件建物のうちA部分及びB部分の開閉状況は、前記(2)(ウ)で述べたとおりである。 3 本件建物内の便所、エレベーター機械室(別紙図面(二)中黄色部分の便所と桃色部分のエレベーター機械室。以下本件便所等という)本件便所等も、廊下同様一般通行人の利用に供されており、法三四八条二項一号の市が公共の用に供する固定資産に該当する。 4 非課税部分の取扱いについて固定資産の評価は、評価基準によるべきところ、評価基準二章一節五項は、一棟の家屋につき課税部分と非課税部分とがある場合、それぞれの部分ごとに区分して価額を求めるべき旨規定している。したがつて、本件建物の課税部分の評価額を出す場合、非課税部分は除外すべきである。 5 本件訴訟で非課税規定適用の有無を争い得ることについて補足すると、次のとおりである。 (1) 固定資産課税台帳に登録される固定資産の価格とは、非税部分を除外した課 非課税部分は除外すべきである。 5 本件訴訟で非課税規定適用の有無を争い得ることについて補足すると、次のとおりである。 (1) 固定資産課税台帳に登録される固定資産の価格とは、非税部分を除外した課税部分についての価格である。したがつて、非課税規定適用の有無は固定資産税課税台帳に登録された価格に直接重大な影響を与えるから、被告は当然前提問題としてこれを審査すべきである。 (2) 登録価格は、賦課処分の基礎となるものであるから、個々の賦課処分ではなく登録価格を是正することにより、抜本的に解決出来る。課税台帳制度は、このような抜本的処理を可能にするための制度である。 (3) 被告の委員、構成、審理手続についても、非課税規定適用の有無について審理することに、何らの不都合はない。 五原告らの反論に対する被告の再反論(一) 原告らの反論(一)に関して 1 固定資産税における家屋とは、屋根および周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であつて、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの(不動産登記事務取扱手続準則一三六条一項)で、取引通念上一個の家屋と認識し得るものである。そして右一個の家屋と目されるものについて、具体的に各構成部分のどの部分が家屋の構成部分となるかは、建物の構造、機能、管理上の取扱い、所有権の及ぶ範囲等、総合的に判断して決せられる。 2 本件の場合、本件建物の上に高架道路が設置されているが、主要構造物は、構造上まさに本件建物の主要構造部であり、機能面からも管理面からも、本件建物の一部であり、登記簿でも、主要構造物は、本件建物の一部となつており、原告らの所有権の及ぶ部分である。 3 評価基準では、家屋の評価は再建築価格方式により行うこととされている。つまり、課税客体である取引通念上家屋として認識し得るものを再建築する場合の価 となつており、原告らの所有権の及ぶ部分である。 3 評価基準では、家屋の評価は再建築価格方式により行うこととされている。つまり、課税客体である取引通念上家屋として認識し得るものを再建築する場合の価格を基本としてその価格を求めることとされているのである。したがつて、家屋の価格に反映するものは、その構造、資材の種別及び品等、施工量、施工の態様等であり、機能的側面、使用状況等は何ら反映させることにはなつていない。 4 本件建物の評価に当たつては、本件主体構造部にかかる実際の工事施工量等を用いて評価額を算出したのではなく、標準的なビルの工事量を基準にして標準評点数が定められている「鉄筋及びコンクリートの使用量が明確でない建物」の評点項目を適用したもので、原告ら主張の点も充分考慮して評価されている。 (二) 原告らの反論(二)に関して 1 本件訴訟で非課税規定の適用の有無を争うことの可否について(1) 本件訴訟は、法四三二条及び四三四条により本件建物の価格決定の当否を争うものであるが、被告の審査手続及びそれに続く本件訴訟は、固定資産の評価、価格決定の特殊性に鑑み、特別に設けられた争訟制度であり、そこで争いうるのは、法四三二条一項によれば固定資産課税台帳に登録された事項であつて、登記簿に登記された事項を除外したものであるから、結局、被告に対して審査申出することができ、かつ本件訴訟で争うことのできる事項は、家屋の価格のみとなる。 したがつて、非課税規定の適用の有無については、被告の審査申出事項ではないから、本件訴訟では争い得ない。 (2) 固定資産の適正な時価算定の適否を判断すべく設けられた被告の構成、審理手続等からして、課税対象の範囲を決定する非課税規定適用の有無の判断は、本質的になじまないものであるとともに、非課税規定の適用については、賦課処分に対 定の適否を判断すべく設けられた被告の構成、審理手続等からして、課税対象の範囲を決定する非課税規定適用の有無の判断は、本質的になじまないものであるとともに、非課税規定の適用については、賦課処分に対する争訟手続で争い得る。 (3) 仮に、これが被告に対する審査申出事項であり、したがつて本件訴訟で争い得るとすると、法四三四条二項によつて、非課税規定適用の当否については右争訟手続によつてのみ争い得ることになり、賦課処分に対する争訟手続においては争い得ないことになるから、むしろ納税義務者の救済に欠けることになる。 2 原告ら主張の主要構造物、通路等は、法三四八条二項各号に掲げる非課税物件のいずれでもない。これを詳論すると次のとおりである。 3 本件廊下等が公共の用に供する道路に該当するとの主張について(1) 公共の用に供する道路とは、原則として道路法の適用を受ける道路をいうが、それ以外の場合であつても、道路としての形態を有し(形態性)、所有者において何らの制約を設けず(開放性)、もつぱら不特定多数人の通行の用に供しているもの(公共性)でなければならない。ところが、本件廊下等はこの要件をいずれも欠いている。 (2) 形態性について原告ら主張の廊下、通路は、本件建物の一部であり、本件建物内部相互間あるいは外部との連絡用に設けられたものであつて、物理的に、建物の不可欠な構成部分であり、建物から切り離してとらえることのできないものである。本件建物内の階段、エレベーターホール、玄関ホール、エレベーター、エスカレーターに至つては論外である。 (3) 公共性について(ア) 公共の用に供する道路とは、もつぱら不特定多数人の通行の用に供する場合、即ち土地を一般通行の用に供した結果所有者において所有者として土地を使用収益する可能性がない場合をいう。そして、所有者自 (ア) 公共の用に供する道路とは、もつぱら不特定多数人の通行の用に供する場合、即ち土地を一般通行の用に供した結果所有者において所有者として土地を使用収益する可能性がない場合をいう。そして、所有者自らも使用収益する可能性を有し、あわせて一般人の通行の用に供しているものは、ここにいう公共の用に供していることにはならない。 (イ) ところが、原告ら主張の本件廊下等の利用状況を見ると、これらはいずれも本件建物内部相互間あるいは外部との連絡用として必要不可欠又はより一層の便宜を図るためのものであつて、通常どこのビルでも見うけられるものである。 本件建物の地上二階以上の各室は、主に事務所として使用されているが、地上二階以上にある廊下等を通行する者は、そこで働いている従業員又は事務所に用件をもつ者であり、部外者は皆無である。 また、本件建物の地上一階及び地下階の各室は主に店舗として使用されているが、地上一階及び地下階にある本件廊下等を通行する者は右店舗の関係者又は顧客である。そのうえ、本件廊下等のところどころには、事務用品、商品、シヨーウインド等が置かれており、また、エレベーターには商品の搬入、搬出のための貨物専用のものも設けられている。 このように、本件廊下等は、本件建物の所有者の自己又は関係者あるいは顧客の通行の便のため及び商品の搬入、搬出の便のために設けられ、利用されているものであつて、本件建物の所有者は、本件廊下等により収益又は受益している。そして、たまたま一般通行人が通行することがあるにしても、潜在的な顧客として本件建物の店舗等の売上増に寄与している。 (ウ) 以上のとおり、本件廊下等は、もつぱら不特定多数人の通行の用に供されているものではなく、原告ら本件建物の所有者は、その所有者としての利益を享受しているのであつて、公共性を有するものではな 。 (ウ) 以上のとおり、本件廊下等は、もつぱら不特定多数人の通行の用に供されているものではなく、原告ら本件建物の所有者は、その所有者としての利益を享受しているのであつて、公共性を有するものではない。 (4) 開放性について建物の区分所有等に関する法律二三条に基づく管理規約により定められた船場センタービル使用細則は、店舗、事務所用ビルとしての本件建物の性格にかんがみ、その管理、保安上の観点から、開館、閉館時間や共用出入口、シヤツターの開閉時間等について、別表(四)のように規定している。 これによると、本件建物は夜間及び日曜、祝日は閉館され、各出入口、シヤツターは、夜間専用を除き閉鎖されるとともにエレベーター、エスカレーターも運転が停止される。 右夜間専用出入口は、二号棟、五号棟、八号棟及び一〇号棟にしかなく、各夜間専用出入口横には保安室が設けられており、ここを出入する者は保安室に届出すべきこととされ、本件建物関係者以外は入館を禁じられている。 以上のとおり、本件廊下等は、何ら制約なく一般的利用のために開放されているということはできない。 もつとも、本件建物内の通路のうち、A部分及びB部分について、原告らが反論(二)2(2)(ウ)で主張するとおりの協定があり、現実の開閉時間が、その主張のとおりであることは、認める。 4 本件建物の主要構造物、本件廊下等、本件便所等が、公共の用に供する固定資産に該当するとの主張について(1) 公共の用に供するとは、国、地方公共団体が何らの制約を設けず、不特定多数のいわゆる一般公衆の使用に供することによつて公の行政の目的を達成するものという。そして、公共の用に供されている固定資産が非課税とされる理由は、固定資産の所有者が当該固定資産を所有していることにより所有者として何ら受益したり、収益したりする可能性がない 的を達成するものという。そして、公共の用に供されている固定資産が非課税とされる理由は、固定資産の所有者が当該固定資産を所有していることにより所有者として何ら受益したり、収益したりする可能性がない点にある。 ところが、原告ら主張の物件は、いずれもこれに当たらない。これを詳論すると次のとおりである。 (2) 本件主体構造部について(ア) 本件主体構造部は、本件建物の主要な構成部分であり、本件建物を支持する基本的な骨格として建物の存続にとつて不可欠なものであつて、原告らは所有者としてそれから現に収益し、受益して自らの利益のために利用している。 (イ) 本件主体構造部が、結果的に高架道路を支える機能をも果たしている面があるとしても、右道路の管理主体である大阪市及び阪神高速道路公団が、右道路の一部ではなく本件建物の主要な構成部分としかいえない本件主体構造部を、右道路として公共の用に供していると見ることはできない。 (ウ) 本件主体構造部の評価にあたつては、標準的な仕様のビルの工事施工量等を基準にした「鉄筋及びコンクリートの使用量が明確でない建物」の評点項目が適用されており、その評価の対象となつたのは、標準的な仕様のビルを支えるための主体構造部である。したがつて、仮に、本件主体構造部が高架道路をも支える機能を果たさせるため特殊な構造になつているとしても、そういつた面は評価上除外されている。 (3) 本件廊下等、本件便所等についてこれらはいずれも本件建物の利用上不可欠又はより一層の利便を図るためのものであつて、原告らは、所有者として現に収益し、受益している。したがつて、原告らが自らの利益のために供しているもので、国又は地方公共団体によつて公共の用に供されているものではない。 なお、本件建物内の通路のうち、A部分及びB部分について、原告らが反論(二) したがつて、原告らが自らの利益のために供しているもので、国又は地方公共団体によつて公共の用に供されているものではない。 なお、本件建物内の通路のうち、A部分及びB部分について、原告らが反論(二)2(2)(ウ)で主張するとおりの協定があり、現実の開閉時間がその主張のとおりであることは認めるが、次の事情がある。 (ア) 地下鉄運行時間が別表(五)のとおりであることから考えると、A部分は、地下鉄運行時間中の乗降客の通行の用に供されているとはいえない。 (イ) 右協定は、本件建物側と地下鉄側が双方の利益を考慮して、私法上の契約を締結したものであり、行政上の措置がとられているものではない。 (ウ) A部分及びB部分は、地下鉄改札口の有無にかかわらず、本件建物内部の連絡のために、本件建物利用者の通路としてなくてはならないものであるから、地下鉄乗降客のために造られ、かつ、そのためにのみ機能しているものではない。 したがつて、A部分及びB部分についても、公共団体が当該固定資産を公共の用に供しているとはいえない。 5 大阪市が他の地下街の通路部分のうち公共地下歩道を非課税扱いとしているのは、次の理由による。 他の地下街は、地上交通が著しく輻輳する地区において歩行者を含む一般交通の安全と円滑を図るために設けられた公共地下歩道とこれに面して設けられる店舗その他これに類する施設との一体的工作物と解されている本来の地下街であつて、他の地下街の通路のうち公共地下歩道部分については、大阪市が地上交通の緩和と歩行者の通行の安全を図るという行政目的から設置せしめており、所有権そのものは各地下街所有者に属しているものの大阪市が道路占用許可の附款をもつて厳しく規制している点から、大阪市は、公共の用に供する固定資産に該当するものとして、これを非課税扱いとしている。 ところが、本件 は各地下街所有者に属しているものの大阪市が道路占用許可の附款をもつて厳しく規制している点から、大阪市は、公共の用に供する固定資産に該当するものとして、これを非課税扱いとしている。 ところが、本件建物の通路部分は、大阪市が公共的必要性から設置せしめたものではなく、建物の一部分として、建物の機能を維持するために設けられた。本件建物の道路占用許可は、通路部分について何もふれておらないし、大阪市は、特別の指導監督を行つていない。 そして、本件建物の通路を建物入居者以外の者が通行することがあつても、これは建物入居者である店舗等にとつて潜在的購買者誘引のためにも当該通路が機能していることから、むしろ当然のことといえる。 このように、行政上の目的から公共の用に供されている他の地下街の公共地下歩道と本件建物の通路とは、明らかにその性格を異にする。 なお、同様の理由から、阪急三番街、阪急八番街の地下通路を非課税扱いとはしていない。 第三証拠(省略)○ 理由一本件建物の所有関係と本件決定の経緯請求原因(一)ないし(三)の各事実は、当事者間に争いがない。 二原告らの建物部分の評価額について(一) 評価基準によると、家屋の評価額を求める算式は、(単位面積当たりの再建築費評点数)×(床面積)×(経年減点補正率)×(評点一点当たりの価額)であること、各原告の建物部分の床面積が、別表(一)の「床面積」欄に記載のとおりであること、経年減点補正率が〇・九九であること、評点一点当たりの価額が一・一〇円であること、以上のことは、当事者間に争いがない。 (二) 単位面積当たりの再建築費評点数 1 原告Aの建物部分についての再建築費評点数のうち付加造作によるものが四、九〇〇点であること、原告Bについてのそれが三、七〇〇点であることは、当事者間に争いがない。 2 基準工事 の再建築費評点数 1 原告Aの建物部分についての再建築費評点数のうち付加造作によるものが四、九〇〇点であること、原告Bについてのそれが三、七〇〇点であることは、当事者間に争いがない。 2 基準工事部分の再建築費評点数(1) 本件建物の基準工事部分の再建築費評点数を評価基準に従つて算定すると、別表(二)(但し、主体構造部及び基礎の再建築費評点数を除く)に記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。 (2) また、評価基準によつて算定すると、主体構造部及び基礎の再建築費評点数が別表(二)に記載のとおりであること(主体構造部については「鉄筋及びコンクリートの使用量が明確でない建物」の評点項目が適用されている)は、当事者間に争いがない。 (3) 原告らは、本件建物の主要構造物が高架道路の構成部分と一体となつているから、主体構造部及び基礎の再建築費評点数のうち高架道路に属する部分は除外すべきであると主張する。 固定資産税は、土地、家屋及び償却資産の資産価値に着目して課せられる物税であり、財産課税的性格をもつ。そして、法三四三条一項には、「固定資産税は、固定資産の所有者に課する。」と規定され、同条二項には、「前項の所有者とは、土地又は家屋については、土地登記簿若しくは土地課税補充課税台帳又は建物登記簿若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう。」と規定されている。これは、実質的な担税力に応じた公平な課税を狙いとしつつ、現実の課税技術のうえから、便宜上、客観的な形式、外観に着目して課税する方式を採用しているものというべきである。また、評価の対象となるべき固定資産の範囲の確定は、当該固定資産の納税義務者との関連において考察しなければならないから、その意味で、本件建物の登記簿上の所有名義人が誰であるかは、決定的な要素である また、評価の対象となるべき固定資産の範囲の確定は、当該固定資産の納税義務者との関連において考察しなければならないから、その意味で、本件建物の登記簿上の所有名義人が誰であるかは、決定的な要素である。 成立に争いがない甲第一号証の一ないし七及び弁論の全趣旨によると、主要構造物(主体構造部及び基礎)を含む本件建物全体は、登記簿上原告らの所有であつて、高架道路の所有者の所有でないことが明らかである。 そうすると、本件建物の資産価値を評価する際、主要構造物が構造上、管理上、高架道路の一部を構成するとか、実質的に共有関係にあるとの理由で、主要構造物の一部又は全部を評価の対象から除外することは許されない筋合である。 そのうえ、本件では、主体構造部の評価について、評価基準の「鉄筋及びコンクリートの使用量が明確でない建物」の評点項目が適用されているが、現実に使用された建築材料は、右評価基準をはるかに上廻つているのである(このことは、証人Cの証言によつて認める)。 そうすると、主体構造部及び基礎の再建築費評点数をそのまま加算して基準工事部分の再建築費評点数を算出することは、正当であるといわなければならない。 (4) まとめ基準工事部分の再建築費評点数は、三・三平方メートル当たり一五九、一一八点であり、一・〇平方メートル当たり四八、二〇〇点(一〇〇点未満切捨て)になる。 3 そうすると、各原告の単位面積当たりの再建築費評点数は別表(一)の「再建築費評点数」欄に記載のとおりとなる。 (三) したがつて、各原告の建物部分の評価額は、別表(一)の「評価額」欄記載のとおりになる。 三本件建物中の非課税部分の主張について(一) まず、被告は、本件訴訟では、非課税規定の適用の有無を争うことはできないと主張するので判断する。 本件訴訟は、法四三二条及び四三四条により本件建物 。 三本件建物中の非課税部分の主張について(一) まず、被告は、本件訴訟では、非課税規定の適用の有無を争うことはできないと主張するので判断する。 本件訴訟は、法四三二条及び四三四条により本件建物の評価額の当否を争うものであるから、その対象は固定資産課税台帳に登録された事項であつて、登記簿に登記された事項を除外したものというべきであり(同四三二条一項)、原則として家屋の価格のみということになる。しかしながら、固定資産の評価は、評価基準によるべきところ、評価基準二章一節五項では、一棟の家屋につき課税部分と非課税部分とがある場合、それぞれの部分ごとに区分して価額を求めるものとする旨規定されており、また、地方税法施行規則二五号様式では、課税標準の特例の規定が適用される場合(減額率が定められている場合)には、家屋課税台帳の「価格」の欄に価格及び価格にこれらの規定に定める率を乗じて得た額を登録することと規定されているから、固定資産評価委員会は、家屋の評価額を決定する前提問題として、課税部分と非課税部分の区分、すなわち、非課税規定の適用の有無を判断せざるを得ない。ちなみに、固定資産評価委員会において非課税適用に関する審査申出を台帳登録価格に対する不服として受理し、審査して差支えないとするのが実務の取扱いである(甲第一一号証参照)。 そうすると、本件建物の非課税規定の適用の有無も、本件訴訟の対象になると解するのが相当である。 被告は、固定資産評価審査委員会の構成、審理手続からして非課税規定の適用の有無を判断することは本質的になじまないと主張するが、前提問題として判断が要求されていることや実務の取扱いに照らし、この主張は採用できない。 また、被告は、非課税規定の適用の有無は賦課処分に対する争訟手続で争うべきであると主張するが、納税義務は、固定資産課税台 して判断が要求されていることや実務の取扱いに照らし、この主張は採用できない。 また、被告は、非課税規定の適用の有無は賦課処分に対する争訟手続で争うべきであると主張するが、納税義務は、固定資産課税台帳に登録された事項に基づいて確定すると解するのが相当であるから(最判昭和四四年三月一一日裁判集民事九四号六〇五頁参照)、登録事項に不服のある者は、固定資産評価審査委員会に対する審査の申出と、その決定の取消し訴訟を提起すべきであり、納税義務の存否を争つて課税処分の取消しを求めることは許されない。 したがつて、被告のこの主張は採用できない。 (二) そこで、非課税部分の有無について判断する。 1 主要構造物について(1) 前記争いがない事実や成立に争いがない甲第八号証、証人Cの証言によると、次の事実が認められ、この認定に反する証拠はない。 (ア) 主要構造物は、本件建物の主要な構成部分で、建物の存続にとつて不可欠なものであり、その所有者である原告らは、それから現に収益し、受益している。 (イ) 主要構造物は、高架道路を支える機能をも果しており、高架下の道路占用許可の関係で、本件建物は、道路占用料の支払を免除されている一方、高架道路の存続期間中、無償で高架道路の使用に供さなければならない旨の制約を受けている。 (ウ) 評価基準によつて本件主体構造部の標準評点数を算出するときには、「鉄筋及びコンクリートの使用量が明確でない建物」の評点項目が適用され、標準的な仕様のビルを支えるための主体構造部が評価の対象とされており、高架道路を支えるために現実に使用された建築資材の使用量を下廻つた評価がなされている。 (2) ところで、公共の用に供される固定資産が非課税とされる理由は、公共の用に供される場合には、固定資産の所有者が当該固定資産を所有していることにより所有者と 使用量を下廻つた評価がなされている。 (2) ところで、公共の用に供される固定資産が非課税とされる理由は、公共の用に供される場合には、固定資産の所有者が当該固定資産を所有していることにより所有者としての受益をする可能性がないことにあるが、前記認定の事実によると、主要構造物(特に、資産評価の対象とされた主体構造部)は、本件建物の主要な構成部分として原告らが現に受益している。もつとも、本件建物は、高架道路の使用に供する制約を受けてはいるが、それは高架道路を維持するためのものであつて、そのために建物としての使用収益権が制約されるわけではない。そうすると、主要構造物が公共の用に供される固定資産に該当するということはできない。 (3) まとめ主要構造物は、法三四八条二項一号に該当せず、非課税にすべきものではない。 2 本件廊下等について(1) 本件建物内のA部分及びB部分について、交通局と開発公社が協定を結び、地下鉄乗降客の通路として、地下鉄営業期間中は開放する旨約束されており、A部分は、日曜、祝日、深夜(午後一〇時から翌朝七時まで)は閉鎖されているが、B部分は終日開放されていることは、当事者間に争いがなく、この事実と前記認定の事実や前掲甲第八号証、成立に争いがない同第九号証の一ないし三、同第一〇、第一二、第一三、第一八、第二〇号証、乙第四号証、証人Dの証言によつて成立が認められる甲第二二号証、弁論の全趣旨によつて成立が認められる同第一五、第一六号証、証人E及び同Dの各証言並びに弁論の全趣旨を総合すると、次の各事実が認められ、この認定に反する証拠はない。 (ア) 本件建物は、一〇棟からなるが、各号館は通路で連絡されている。つまり、一、二、三号館は地上二階、地下一、二階で、二、三号館は更に地上三階でも、三、四号館は地下二階で、四号館ないし九号館は地 (ア) 本件建物は、一〇棟からなるが、各号館は通路で連絡されている。つまり、一、二、三号館は地上二階、地下一、二階で、二、三号館は更に地上三階でも、三、四号館は地下二階で、四号館ないし九号館は地上二、三階、地下一階で、九、一〇号館は地下二階で、廊下又は通路により直接連絡されている。 (イ) このように各号館が廊下で連結されているのは、立退きを余儀なくされた従前の平面的な街をそつくりそのまま本件建物内に収容して立体化しようとしたことと、顧客の招来を目的として地下鉄の乗降客をはじめとする多数の歩行者の円滑な移動をも確保しようとしたことにある。 (ウ) そして、本件廊下等は、公道や地下鉄の出入口とも連絡していて、現に一般通行人に利用されている。 (エ) しかし、本件建物の地上二階以上の各室は、主に事務所として使用されており、地上二階以上にある本件廊下等を通行する者は、そこで働いている従業員又は事務所に用件のある者であり、部外者は皆無といつてよい状態である。 また、本件建物の地上一階及び地下階の各室は、主に店舗として使用されているが、地上一階及び地下階にある本件廊下等を通行する者は、右店舗の関係者又は顧客(潜在的顧客を含む)が多い。その他、エレベーターには、商品の搬入・搬出のための貨物専用のものも設けられている。 (オ) 船場センタービル使用細則によると、本件建物の開閉時間等は、別表(四)に記載のとおり定められており、A部分とB部分を除く本件廊下等の出入口のシヤツターの開閉時間や、エレベーター、エスカレーターの現実の運行状態は、大体これに従つている(もつとも、エスカレーターは、九号館をはじめ午前八時から運行されているものがある)。 (カ) 本件建物は、道路敷上でかつ高架道路下にあるため、道路占用許可を受け、右高架道路の存続期間中は無償で高架道路の とも、エスカレーターは、九号館をはじめ午前八時から運行されているものがある)。 (カ) 本件建物は、道路敷上でかつ高架道路下にあるため、道路占用許可を受け、右高架道路の存続期間中は無償で高架道路の使用に供さなければならない制約がある。 しかし、本件廊下等は、行政上の制約がない。 (キ) また、交通局と開発公社とは、A部分及びB部分について協定を結び、地下鉄乗降客の通路として、地下鉄営業期間中は開放する旨約束されており、B部分は終日開放されているが、A部分は、日曜、祝日、深夜(午後一〇時から翌朝七時)は閉鎖されている。 ちなみに、地下鉄の始発・終発時刻は、別表(五)に記載のとおりである。 (2) ところで、「公共の用に供する道路」とは、所有者が何等の制約を設けず、広く不特定多数人の利用に供するものをいうと解するのが相当であるから、その現実の利用の実態がもつぱら不特定多数人の利用に供されていると認められるものでなければならないことは、いうまでもない。 前記認定の事実によると、本件廊下等は、一般人の通行の用に供されてはいるが、本件建物の所有者の利益のために利用されている要素も多く、もつぱら不特定多数人の利用に供されているとすることはできない。また、B部分を除く本件廊下等(A部分も含む)は、終日開放されているわけではなく、何らの制約を設けずに一般人の通行の用に供されているわけではない。 そうすると、本件廊下等が公共の用に供する道路に該当するとはいえない。 (3) 次に、「公共団体が・・・・・・・・・・・・公共の用に供する」とは、公共団体が何らの制約を設けず、不特定多数のいわゆる一般公衆の使用に供することによつて公の行政の目的を達成することをいうと解するのが相当である。 前記認定の事実によると、本件廊下等(A部分やB部分も含む)は、一般人の通行の用に供 不特定多数のいわゆる一般公衆の使用に供することによつて公の行政の目的を達成することをいうと解するのが相当である。 前記認定の事実によると、本件廊下等(A部分やB部分も含む)は、一般人の通行の用に供されてはいるが、本件建物の所有者の利益のために利用されている要素も多く、もつぱら不特定多数人の利用に供されているとすることはできないし、大阪市が行政の目的を達成するために公共の用に供しているとは到底いえない。なぜなら、道路占用許可は、本件廊下等についてなされたものではないし、A部分及びB部分についての交通局と開発公社との協定も行政的措置としての効力をもつものではないからである(右協定の拘束力が弱いものであることは、A部分については地下鉄運行時間中の乗降客の通行の用に供されているとはいえないことからも明らかである)。 そうすると、本件廊下等は、公共団体が公共の用に供する固定資産に該当するとはいえない。 (4) なお、原告らは、他の地下街が非課税扱いを受けているが、その利用実態は、本件廊下等と異らないと主張し、成立に争いがない甲第二三ないし第二五号証の各一、二によると他の地下街のシヤツターの開閉時刻等は別表(三)のとおりであることが認められるが、成立に争いがない乙第五号証、同第一〇ないし第一四号証によると、他の地下街(中之島、堂島、梅田、阿倍野、難波、ミナミ虹の街の各地下街)の設置にはいずれも道路占用許可を受け、その許可条件として地下道部分を公道として一般通行の用に供することが義務付けられていることが認められるから、このような制約がない本件廊下等を他の地下街と同一に論じることはできない。 (5) まとめ本件廊下等は、法三四八条二項一号、五号のいずれにも該当せず、非課税にすべきものではない。 3 本件便所等について本件便所等が法三四八条二項一号に 街と同一に論じることはできない。 (5) まとめ本件廊下等は、法三四八条二項一号、五号のいずれにも該当せず、非課税にすべきものではない。 3 本件便所等について本件便所等が法三四八条二項一号に該当しないことは、本件廊下等についての判断と同様である。 したがつて、本件便所等も非課税にすべきものではない。 (三) 以上のとおり、本件建物中には非課税とすべき部分はない。 四本件建物の評価額各原告の建物部分の評価額が別表(一)の「評価額」欄に記載のとおりであることは前述した。 そして、本件建物は、原告らを含めて六八八の区分所有により成り立つているが、客区分所有にかかる建物部分について原告らの建物部分と同様の方法で評価額を算定し、各建物部分の評価額を合計すると八八億五、六二九万三、〇〇〇円になることは、当事者間に争いがない。 そうすると、本件建物の評価額は八八億五、六二九万三、〇〇〇円になる。 したがつて、本件決定は適法であり、原告ら主張の違法はない。 五むすび以上の次第で、原告らの本件請求は理由がないから棄却することとし、行訴法七条、民訴法八九条、九三条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判官古崎慶長孕石孟則浅香紀久雄)別紙図面(二)~(四)(省略)物件目録大阪市<地名略>、<地名略>、<地名略>、同所<地名略>船場センタービル東棟(一号館ないし三号館)鉄筋コンクリート造陸屋根地下二階付四階建床面積一階八〇一二・六四平方メートル二階八二九〇・四三平方メートル三階六一〇九・八三平方メートル四階一三三七・〇五平方メートル地下一階一一二一二・九五平方メートル地下二階一一〇四〇・七七平方メートル大阪市<地名略>、<地名略>、同所<地名略>、同所<地名略>、<地名略>船場センタービル 三三七・〇五平方メートル地下一階一一二一二・九五平方メートル地下二階一一〇四〇・七七平方メートル大阪市<地名略>、<地名略>、同所<地名略>、同所<地名略>、<地名略>船場センタービル中央棟(四号館ないし九号館)鉄筋コンクリート造陸屋根地下二階付四階建床面積一階一五三六二・一四平方メートル二階一八三二七・八三平方メートル三階一八三二七・八三平方メートル四階一四六八七・六七平方メートル地下一階二〇四六六・二一平方メートル地下二階二〇五六一・三八平方メートル大阪市<地名略>、<地名略>船場センタービル西棟(一〇号館)鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下二階付二階建床面積一階三〇五五・九四平方メートル二階二四六四・五四平方メートル地下一階四三九四・八八平方メートル地下二階一二九〇・七八平方メートル(但し、資産評価上の床面積合計一六四九三九・三三平方メートル)別紙図面(一)
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