【DRY-RUN】主 文 原判決を次のとおり変更する。 控訴人株式会社A商店および同Bは、被控訴人に対し各自金九六二、六 九〇円および内金四八一、三四五円に対する昭和四四年二月一日以降、内金四
主文 原判決を次のとおり変更する。 控訴人株式会社A商店および同Bは、被控訴人に対し各自金九六二、六九〇円および内金四八一、三四五円に対する昭和四四年二月一日以降、内金四八一、三四五円に対する昭和四四年六月一日以降右完済に至るまで年六分の割合による金員を支払え。 被控訴人の右控訴人両名に対するその余の請求および控訴人Cに対する請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審を通じ、控訴人株式会社A商店、同Bと被控訴人との間に生じた分はこれを五分し、その一を右控訴人らの負担、その余を被控訴人の負担とし、控訴人Cと被控訴人との間に生じた分は全部被控訴人の負担とする。 この判決は主文第二項に限り、仮りに執行することができる。 事実 控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を全部棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は、「本件控訴を却下する。控訴費用は控訴人らの負担とする。」との判決を求め、本案につき控訴棄却の判決を求めた。 被控訴人主張の請求原因は原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。 (控訴代理人の陳述)第一、 原判決は確定済であるとの被控訴人の主張について。 一、 原審において、本件訴状副本の送達並びに第一回口頭弁論期日呼出状の送達は、控訴人ら宛てに郵便に付してなされたが、控訴人らが右書類を現実に受領していないことは本件記録上明らかである。従つて控訴人らは、被控訴人よりいかなる訴訟を提起されているか知る由もなかつた。 二、 原審は、本件判決正本の送達について民訴法一七〇条を適用したためか、控訴人らが受訴裁判所である名古屋地方裁判所管内に住所を有しないので送達を受くべき場所等を届け出るべきと 知る由もなかつた。 二、 原審は、本件判決正本の送達について民訴法一七〇条を適用したためか、控訴人らが受訴裁判所である名古屋地方裁判所管内に住所を有しないので送達を受くべき場所等を届け出るべきところその届出がないので郵便に付して送達をなし、かつ同法一七三条を適用して書類発送の時をもつて送達があつたものとみなした。 しかしながら、控訴人らは本件訴訟提起の事実も全く知らなかつたのであるから、同法一七〇条一項の送達受取人届出義務が生じていないのであるから、同条二項を適用する余地はない。また例外規定である同法一七二条の郵便に付する送達をすることはできない。 右のごとく解釈しなければ遠隔地にて郵便等の遅配などが行われた場合被告として何ら防禦する機会なく判決がなされ、かつ確定してしまう恐れがあり、交付送達の原則により攻撃防禦の機会をうえようとする民訴法の基本理念に反し、かつ憲法三二条の規定にも違反することになる。従つて原審の判決正本送達手続は違法であり、原判決は未だ確定していない。 しかして、控訴人らは昭和四三年一二月一一日に突然本件判決正本の送達を受けたので、控訴期間内に本件控訴を提起したものであるから、本件控訴は適法である。 第二、 本案に対する答弁および控訴人らの主張一、 控訴会社が綿製品の販売を業とする被控訴人から、昭和四三年三月一八日から同年五月一四日までの間、継続してスフモス、二巾天竺等の綿製品を買い受け、その代金合計が金四、八一三、四五四円であること、および控訴人Bが昭和四三年一月三〇日控訴会社の右債務につき連帯保証を約したことは認めるが、控訴人Cが保証したとの点は否認する。右買掛債務については、すべて被控訴人は控訴会社に集金に来て約束手形の交付を受けているから、右約束手形により請求すべきである。 二、 控訴人Cは約一〇 めるが、控訴人Cが保証したとの点は否認する。右買掛債務については、すべて被控訴人は控訴会社に集金に来て約束手形の交付を受けているから、右約束手形により請求すべきである。 二、 控訴人Cは約一〇年前より心臓傷害により東京都新宿区所在の鉄道病院に入院しており、控訴会社の営業等に関与せず、従つて被控訴人に対して控訴会社の債務につき保証したことがないばかりか、保証する筈もないものである。 三、 控訴会社は、昭和四三年五月販売先の倒産により経営困難となり、数回に亘つて債権者会議を開いた結果、同年五月三〇日次のごとく決定した。 債権者全員の債権総額二八、一八五、〇九七円の二割配当(昭和四四年二月一五日一割、五月一割)とし残額全部を放棄する。右二割の支払を担保するため債権者委員二名に全債権を信託譲渡し、同人と控訴会社との間に抵当権設定金銭消費貸借を締結し、控訴会社店舗に右抵当権設定登記を経由した。 しかして、被控訴人も本件債権額の八割を放棄し、更に残額二割についても信託譲渡しているから、被控訴人の債権はすでに消滅しているので、被控訴人の本訴請求は棄却されるべきである。 (被控訴代理人の陳述)一、 原判決は、昭和四三年一二月一七日確定済であり、本件控訴は右確定後に提起された不適法なものであるから、却下を免れないことは明らかである。 二、 被控訴人が本件債権額の八割を放棄し、残額二割を控訴人主張の債権者委員に信託譲渡した旨の抗弁は否認する。 (証拠関係)(省略) 理由 一、 職権をもつて調査するに、本件記録によると、原審における訴状副本並びに第一回口頭弁論期日呼出状は、被控訴代理人より昭和四三年九月三〇日原審裁判所に対し、執行官により夜間送達をされたい旨の上申書の提出があつたので、原裁判所書記官は東京地方裁判所へ執 ける訴状副本並びに第一回口頭弁論期日呼出状は、被控訴代理人より昭和四三年九月三〇日原審裁判所に対し、執行官により夜間送達をされたい旨の上申書の提出があつたので、原裁判所書記官は東京地方裁判所へ執行官による書類(訴状副本、第一回口頭弁論期日呼出状等)送達方を嘱託したところ、右執行官は同年一〇月一四日職務時間内に送達場所である控訴人らの肩書住所地に赴いたが、全戸施錠により不在のため送達未了となり、右書類を返還されたこと。そこで原裁判所書記官は、同年一〇月二四日特別送達により右訴訟書類を送達したところ、右書類は同年一〇月二八日に配達されたが不在のため交付できなかつたので日本橋郵便局に留置かれたうえ、同年一一月八日郵便法五二条、郵便規則九〇条の規定により留置の「期間経過のため返送」の符箋を付して還付されたこと。そこで原裁判所書記官は更に同年一一月一一日訴状副本、第二回口頭弁論期日(同年一一月一四日午前一〇時)呼出状等の書類を書留郵便に付して送達したが、右書類も前同様同年一一月二〇日「期間経過のため返送」されたこと。原裁判所は右第二回口頭弁論期日において控訴人ら不出頭のまま被控訴代理人に訴状を陳述させて弁論を終結し、判決言渡期日を同年一一月三〇日午前一〇時と指定し、同日判決を言渡したこと。ところが、原裁判所書記官は右判決正本を同年一二月二日書留郵便に付して発送したうえ、その後同年一二月一七日被控訴代理人の申請に基づき右判決が確定したことを証明し、同年一二月二〇日右判決に執行文を付うしたこと。以上の事実が認められる。 <要旨第一>そうすると、原審における本件訴状副本、期日呼出状の送達は、執行官による夜間送達の手続を執らなか</要旨第一>つた点において妥当を欠くが、結局全戸不在のため通常の交付送達はもとより補充送達、差置送達もできなかつたので、 る本件訴状副本、期日呼出状の送達は、執行官による夜間送達の手続を執らなか</要旨第一>つた点において妥当を欠くが、結局全戸不在のため通常の交付送達はもとより補充送達、差置送達もできなかつたので、民訴法一七二条に従い書留郵便に付して送達したものであつて何ら違法ではない。しかし、同法一九三条による判決の送達については、控訴期間(不変期間)開始の前提となる送達であるから、受送達者の利益を害しないよう厳格に取り扱われるべきものと解すべきものである。すなわち、判決正本の送達はそれ自体民訴法に定める送達の規定にすべて準拠して行なわるべきものである。ところが、本件判決正本の送達については前認定のとおり、原裁判所書記官は、交付送達、補充送達、差置送達を行なわないで、当初から書留郵便に付する送達をした。右送達には例外規定である民訴法一七二条を適用すべき前提要件を欠くし、又送達場所の届出懈怠者に対する同法一七〇条二項の規定に準拠すべき場合にも該当しないことは明白である。従つて、原判決正本の送達は、書留郵便に付することの許されない場合にこれをしたものであり、右手続には明らかに瑕疵があり、その発送の時より控訴期間の進行を始める効はないものといわざるを得ない。 ところで成立に争いのない乙第一号証、当審における控訴本人Bの供述(第一回)、当裁判所の日本橋郵便局長に対する調査嘱託の結果および一件記録に徴すると、原判決正本在中の書留郵便は、昭和四三年一二月四日、控訴人方に配達されたが不在のため、日本橋郵便局配達員は一旦これを持ち帰り、一週間後である同年一二月一一日再配達をしたところ、たまたま在宅中の控訴人Bがこれを受け取り、始めて控訴人らは本件訴訟事件を知り、直ちに控訴代理人に訴訟委任し、同年一二月二一日当裁判所に控訴を提起したものであることが認めうれる。当審証人 したところ、たまたま在宅中の控訴人Bがこれを受け取り、始めて控訴人らは本件訴訟事件を知り、直ちに控訴代理人に訴訟委任し、同年一二月二一日当裁判所に控訴を提起したものであることが認めうれる。当審証人Dの証言(第一回)は未だもつて右認定事実を覆えすに足りない。 <要旨第二>してみると、原判決正本の送達手続には前記のとおり瑕疵があるけれども、控訴人らは同年一二月一一日</要旨第二>自ら判決正本の送達を受け、進んで本件控訴を提起したものであるから、書留郵便に付してなされた原判決正本の送達は控訴人らの受領により結局目的を到達し、右瑕疵は治癒されたものというべきであり、その時に送達の効力が生じたものと解する。すなわちこの場合、受送達者に不利益な民訴法一七三条の例外規定の適用はなく、到達主義の原則に従い、控訴人らが原判決正本を受領し、現実にこれを了知したときに受送達者に対する送達が完了したものとし、右受領の日である昭和四三年一二月一一日をもつて同法三六六条にいう判決の送達があつた日と解するを相当とする。そうすると、控訴人らの控訴状は、その後二週間内である同年一二月二一日に当裁判所に提出されていることが記録上明らかであるから、本件控訴は控訴期間を遵守した適法なものというべきである。 従つて、被控訴人のこの点に関する本案前の抗弁は採用できない。 二、 そこで被控訴人の請求の当否について判断する。綿製品の販売を業とする被控訴人が控訴会社に対し、昭和四三年三月一八日から同年五月一四日までの間、継続してスフモス、二巾天竺等の綿製品を売渡し、右代金合計金四、八一三、四五四円の売掛金債権を有していたこと、および昭和四三年一月三〇日控訴人Bが控訴会社の右債務につき連帯保証を約したことは、いずれも当事者間に争いがない。 被控訴人は、控訴人Cも右債務につき連帯保証 四五四円の売掛金債権を有していたこと、および昭和四三年一月三〇日控訴人Bが控訴会社の右債務につき連帯保証を約したことは、いずれも当事者間に争いがない。 被控訴人は、控訴人Cも右債務につき連帯保証を約した旨主張し、当審証人Dは右主張に副うごとき供述をしているけれども、右証言(第二回)は、当審における控訴本人Bの供述(第二回)に対比してにわかに措信できない。また、甲第一号証の保証書には、控訴会社取締役社長Cのゴム印、代表者印の左下に小判型の「E」なる印鑑のみが押捺してあるけれども、Cの署名はないし、右印鑑も同人の所持する印鑑であることを証する資料はなく、控訴人Bが当時病気中の父Cより個人保証の委任を受けて代印したものとも認めがたいから、甲第一号証をもつて、右Cの保証の事実を肯認するに足りないし、他にこれを認めるべき証拠はない。従つて、被控訴人の控訴人Cに対する本訴請求は失当であつて排斥を免れない。 三、 次に控訴人らは、被控訴人が本件債権のうち八割相当額を放棄し、残額はこれを他に信託譲渡した旨主張するので、この点につき検討する。成立に争いのない乙第二号証、当審証人F、同D(第二回の一部)、および前掲控訴本人Bの供述(第二回)を併せ考えると、控訴会社は昭和四二年四月ころ取引先の倒産により経営困難に陥り、内整理をすることとなり、同年五月以降再三債権者集会が開かれたが六月八日控訴会社で開催された債権者集会に全債権者二四社が集つた際、控訴会社の再建を図るため左記債務整理案が示され、被控訴人ら殆んど全員がこれに賛同し、債権者委員長宛承諾書を提出することとなり、債権者委員の一員である被控訴人も同年六月二六日委員長杉本貿易株式会社に宛て、右整理案により弁済を受けることを承諾した旨の書面(乙第二号証)に記名捺印し、一切の権限を委任する旨の委任状ととも なり、債権者委員の一員である被控訴人も同年六月二六日委員長杉本貿易株式会社に宛て、右整理案により弁済を受けることを承諾した旨の書面(乙第二号証)に記名捺印し、一切の権限を委任する旨の委任状とともにこれを差し入れたこと、右債務整理案は、(1) 被控訴人ら債権者は昭和四三年五月三一日現在控訴会社に対して有する債権のうち六〇%相当額の支払についてこれを免除すること(2) 控訴会社は右債権総額の二〇%相当額につき、(イ) 昭和四四年一月三一日に一〇%相当額、(ロ) 同年五月三一日に一〇%相当額をそれぞれ支払うこと(3) 残債務の二〇%相当額については、控訴会社が出世成功までその支払を猶予することを内容とするものであること、そして控訴会社は、昭和四三年六月初旬債権者委員の要求に従い、右整理案に基づき本件債務を含む債務総額約二、八二〇万円の二割相当額五六四万円の支払を担保するため、債権者代表岩崎商店および杉本貿易の二社に対し、控訴人C所有名義の控訴会社店舗および敷地につき順位二番の抵当権を設定し右登記手続を完了したこと、その後債権者委員長において控訴会社の在庫品および売掛金の一部を保管し、控訴会社代表者Bは弁済資金に充てるべき売掛金の回収に奔走したが意のごとくならず、被控訴人ら債権者に対し右整理案に基づく二割相当額の支払が遅滞し、遂に控訴会社も営業再開に至らなかつたことが認められる。前掲証人Dの証言中、右整理案は二割相当額の支払を条件として残債権の放棄等を承諾したものであるところ、右支払なきため整理案は白紙に帰した旨の供述部分は前掲各証拠に比照してにわかに措信できない。 してみると、被控訴人は遅くとも昭和四三年六月二六日控訴会社に対する本件債権のうち六割相当額を放棄し、二割相当額の支払を控訴会社の出世成功まで猶予することを承諾した 比照してにわかに措信できない。 してみると、被控訴人は遅くとも昭和四三年六月二六日控訴会社に対する本件債権のうち六割相当額を放棄し、二割相当額の支払を控訴会社の出世成功まで猶予することを承諾したものというべきところ、その後控訴会社が事業に成功し、右不確定期限が到来したことを認めるべき証拠はない(弁論の全趣旨により控訴人らの主張する八割相当額の債権放棄の主張の中には、右二割相当額出世払の抗弁をも包含しているものと認めるべきである)。更に、被控訴人が前記債権者委員二名に対し、残額二割相当額の債権を信託譲渡したことを認めるに足りる証拠はないから、この点に関する控訴人らの主張は採用できないが、その余の抗弁は理由がある(なお、控訴人らは本件債務支払のため控訴会社より被控訴人に対し約束手形を交付しているから右約束手形により請求すべきである旨主張するが、右手形金債権を行使するか原因関係である本件売掛金債権を行使するかは債権者の自由に選択しうべきところであり、控訴人らが二重払いの危険を免れるためには、右約束手形の返還を受けるのと引換えに本件債務を履行する旨の同時履行の抗弁を主張すれば足りるが、本訴において右抗弁を主張したものとは認められない)。 四、 以上説示の次第であるから、被控訴人の本訴請求は、控訴会社および控訴人Bに対し連帯して、右整理案(2)に基づく本件売掛代金の二〇%相当額である金九六二、六九〇円(円位未満切捨、以下同じ)および内金四八一、三四五円(一〇%相当額)に対する昭和四四年二月一日以降、内金四人一、三四五円に対する同年六月一日以降各支払ずみまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で正当であるのでこれを認容し、その余は失当としてこれを棄却すべきである。よつて、当裁判所の右判断と結論を異にする原判決を変更して右認 みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で正当であるのでこれを認容し、その余は失当としてこれを棄却すべきである。よつて、当裁判所の右判断と結論を異にする原判決を変更して右認定の範囲内で被控訴人の控訴会社および控訴人Bに対する本訴請求を認容し、その余の請求を全部棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条、九二条、九三条を仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官伊藤淳吉裁判官井口源一郎裁判官土田勇)
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