昭和50(行ウ)16 第二次納税義務告知処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和52年12月7日 大阪地方裁判所 租税
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判決文本文17,801 文字)

○ 主文被告が原告に対し昭和四八年一〇月四日付でなした滞納者Aにかかる第二次納税義務告知処分を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。○ 事実第一、当事者の求めた裁判原告は主文同旨の判決を求め、被告は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。第二、当事者の主張一、請求原因(一) 本件処分の存在Aは別表(一)記載の国税を滞納していたところ、被告は、同人について滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足が生じ、その不足の原因が右国税の法定納期限の一年前の日以後である昭和四〇年七月一二日に右Aが原告に対し別紙物件目録記載の不動産(以下本件土地という)を著しく低額で譲渡したことにあり、したがつて、国税徴収法三九条により原告に右滞納金額中五七六万六、四〇〇円の限度においてその滞納にかかる国税の第二次納税義務があるものと認め、昭和四八年一〇月四日原告に対し税額五七六万六、四〇〇円を同年一一月四日までに納付すべき旨の告知処分(以下本件処分という)をした。原告はこれを不服として被告に対し審査請求をしたが、被告は昭和四九年一二月一八日これを棄却する旨の裁決をした。(二) 本件処分の違法性しかし、本件処分は次の理由により違法であるからその取消を求める。1、本件土地の譲渡時期被告は本件土地の譲渡時期を所有権移転登記のなされた昭和四〇年七月一二日とするが、本件土地については次のとおり、昭和三四年九月、遅くとも昭和三五年九月にAと原告との間で譲渡契約が結ばれ、原告はその所有権を取得したものであり、ただ所有権移転登記のみが当事者間の特殊な事情のため前記日時まで遅れたものである。すなわち、本件土地はAが昭和三四年七月一〇日前所有者から買受けたものである(所有権移転登記は同年九月一六日)が、原告の妻BはAの姪であり、幼 事者間の特殊な事情のため前記日時まで遅れたものである。すなわち、本件土地はAが昭和三四年七月一〇日前所有者から買受けたものである(所有権移転登記は同年九月一六日)が、原告の妻BはAの姪であり、幼い頃からAに養育され、親子同様の間柄にあつたため、Aは原告夫婦を自宅に近い本件土地に居住させるべく、本件土地取得後は速やかに原告に転売する目的でこれを買受けたのである。 日)が、原告の妻BはAの姪であり、幼 事者間の特殊な事情のため前記日時まで遅れたものである。すなわち、本件土地はAが昭和三四年七月一〇日前所有者から買受けたものである(所有権移転登記は同年九月一六日)が、原告の妻BはAの姪であり、幼い頃からAに養育され、親子同様の間柄にあつたため、Aは原告夫婦を自宅に近い本件土地に居住させるべく、本件土地取得後は速やかに原告に転売する目的でこれを買受けたのである。そこで、原告は本件土地取得直後の昭和三四年九月頃本件土地上に鉄筋コンクリート造二階建居宅(建坪延べ三九坪)の建築に着手し、右建物は昭和三五年九月頃完成した。そして、Aは原告との間で、右建物の建築に着手した昭和三四年九月頃、しからずも、遅くとも右建物が完成した昭和三五年九月頃までには、代金は五年間程度の年賦払とし、登記は必要に応じてするとの約旨のもとに本件土地についての譲渡契約を締結したのである。したがつて、本件土地の所有権移転時期については、国税徴収法三九条に定める要件(法定納期限の一年前の日以降)を欠くものである。2、譲渡対価の相当性(1) 本件土地の価額被告は本件処分において、本件土地の譲渡時(昭和四〇年七月一二日)の価額を九九六万円と評価しているが、右は過大認定である。(2) 譲渡の対価被告は本件処分において原告が支払つた代金を三八〇万円と認定しているが、原告は本件土地代金としてAに対し、昭和三四年にAが前所有者に対して支払うべき手付金五〇万円、昭和三五、三六年に年賦支払金として各四〇万円、昭和四〇年に、昭和三七年ないし昭和四〇年の年賦支払金として二〇〇万円、合計三三〇万円を支払つたほか、昭和三七年から昭和四〇年までの間、当時事業に行き詰り窮状にあつたAを援助するため、Aの債権者に対する弁済、Aの寸借名義に応じ、貸金として約二〇〇万円を支払い、後に右金員は本件土地 を支払つたほか、昭和三七年から昭和四〇年までの間、当時事業に行き詰り窮状にあつたAを援助するため、Aの債権者に対する弁済、Aの寸借名義に応じ、貸金として約二〇〇万円を支払い、後に右金員は本件土地代金に充当された。したがつて、原告はAに対し本件土地代金として合計約五三〇万円を支払つており、右金額は被告が認定する本件土地の価額を前提としてもなお、著しい低額譲渡とはいえず、この点においても国税徴収法三九条の要件を欠くものである。 から昭和四〇年までの間、当時事業に行き詰り窮状にあつたAを援助するため、Aの債権者に対する弁済、Aの寸借名義に応じ、貸金として約二〇〇万円を支払い、後に右金員は本件土地代金に充当された。したがつて、原告はAに対し本件土地代金として合計約五三〇万円を支払つており、右金額は被告が認定する本件土地の価額を前提としてもなお、著しい低額譲渡とはいえず、この点においても国税徴収法三九条の要件を欠くものである。3 本件土地譲渡の合理的理由国税徴収法三九条に規定する第二次納税義務は、滞納者が純粋な経済的動機からは考えられないような処分行為をしたことによつて国税の徴収を免れる結果を招来した場合に、当該処分行為により異常な利益を受けている第三者に対し一定の限度で滞納者の滞納にかかる国税につき納付義務を負担させる制度であり、その行為により第三者に異常な利益を与えるものであることを要し、無償もしくは著しく低い対価による譲渡であつても、実質的にみてそれが必要かつ合理的な理由に基づくものであると認められるときは、右の処分行為に該当しないというべきである。これを本件についてみるに、Aは薬種商を経営しており、昭和三五年頃まではその事業も概ね順調であつたが、昭和三六年頃から経営不振となり、金融機関等に対する債務の支払もできず窮地に陥つたのであるが、原告はAの債務につき連帯保証人となつていたことから、右保証債務の履行のため総額約一〇〇万円を支払い、さらに、Bにおいては昭和三六年から昭和四〇年にかけて総額約一〇〇万円を寸借名義でAに貸与するなどして同人を援助して来た。そこで、Aとしては原告及びその妻Bの右のような多大の援助に報いるため本件土地を原告に譲渡したものであり、右譲渡は必要かつ合理的な理由に基づくものであるから、Aの原告に対する本件土 人を援助して来た。そこで、Aとしては原告及びその妻Bの右のような多大の援助に報いるため本件土地を原告に譲渡したものであり、右譲渡は必要かつ合理的な理由に基づくものであるから、Aの原告に対する本件土地譲渡は国税徴収法三九条に定める処分行為に該当しないというべきである。4、除斥期間経過による消滅一般に、租税債権債務関係においては、税務官庁が決定等により租税債権を確定させる権利、すなわち賦課権は、確定した租税債権の履行を請求し、強制的にその実現を図る権利、すなわち徴収権の前提であり、この関係は第二次納税義務の場合においても同じである。 かつ合理的な理由に基づくものであるから、Aの原告に対する本件土地譲渡は国税徴収法三九条に定める処分行為に該当しないというべきである。4、除斥期間経過による消滅一般に、租税債権債務関係においては、税務官庁が決定等により租税債権を確定させる権利、すなわち賦課権は、確定した租税債権の履行を請求し、強制的にその実現を図る権利、すなわち徴収権の前提であり、この関係は第二次納税義務の場合においても同じである。ところで、第二次納税義務告知処分は、これにより第二次納税義務者とされる者にはじめて納税義務を発生させるものであるから、行政上の確認処分または形成処分というべきであり、国税通則法三六条に定める納税告知のような一般私債権と類似した性格の徴収処分とは性格を異にするものである。そして、第二次納税義務告知処分の性格を右のように解するときは、これをなしうる期間は国税通則法によつて制限されるべきものであり、国税徴収法三九条に定める第二次納税義務の場合は、無償または著しく低額の対価による財産の譲渡があつたことがその要件であるから、本件においては国税通則法二条八号ハ、七〇条四項二号により、本件土地譲渡の日である昭和四〇年七月一二日から五年間が除斥期間であつて、右期間経過後は本件処分をなすことは許されないと考えるべきである。ところで、税務官庁においては、第二次納税義務について租税の徴収確保を目的とした特別な制度と解しているが、右のように解することは、国税徴収法三九条に定める第二次納税義務に関する限り、第二次納税義務告知処分をなしうる期間について前記のような制限を設けない以上、第二次納税義務者に著しい手続上の不利益をもたらすもの 解することは、国税徴収法三九条に定める第二次納税義務に関する限り、第二次納税義務告知処分をなしうる期間について前記のような制限を設けない以上、第二次納税義務者に著しい手続上の不利益をもたらすものであつて、憲法三一条、八四条に違反するといわなければならない。けだし、憲法三一条は単に刑罰適用における適正手続を定めたのみでなく、租税の確定、徴収手続においてもこれを保障したものと解すべきところ、国税徴収法三二条ないし四一条に定める第二次納税義務のうち、三九条の場合は他の場合と異なり、必ずしも本来の納税義務者と第二次納税義務者との間に特殊な人的関係があるとはいえないのであるから、第二次納税義務者において本来の納税義務者の滞納の事実及び現在の資産状況等を把握することは困難であるにもかかわらず、第二次納税義務を予測し、これに対して自己の権利を主張すべき手続は何ら保障されていないからであり、このことは、本件において原告が本件処分を受けた時点においては本来の納税義務者たるAに対してなされた租税賦課決定に対する不服申立期間はすでに経過しており、第二次納税義務者たる原告においてはAに対する更正または賦課決定についての実体的違法も主張できない立場にあることからも明らかである。 であるにもかかわらず、第二次納税義務を予測し、これに対して自己の権利を主張すべき手続は何ら保障されていないからであり、このことは、本件において原告が本件処分を受けた時点においては本来の納税義務者たるAに対してなされた租税賦課決定に対する不服申立期間はすでに経過しており、第二次納税義務者たる原告においてはAに対する更正または賦課決定についての実体的違法も主張できない立場にあることからも明らかである。したがつて、第二次納税義務を前記のとおり徴収のための特別の制度と解したとしても、国税徴収法三九条の場合においては、本来の納税義務者において滞納の事実があり、一方において第三者に無償または著しく低額の対価による財産の譲渡があつた事実が判明したときは、速やかに右第三者に対して第二次納税義務の存在を認識させるため何らかの措置が講じられるべきであり、かつ、右第二次納税義務告知処分をなしうる期間も合理的な期間内に制限されなければならないのであるある。5、時効消滅仮りに、第二次納税義務告知処分が 識させるため何らかの措置が講じられるべきであり、かつ、右第二次納税義務告知処分をなしうる期間も合理的な期間内に制限されなければならないのであるある。5、時効消滅仮りに、第二次納税義務告知処分が単なる徴収処分であるとしても、第二次納税義務は本来の納税義務者からの徴収不能を要件として発生する別個の債務であるから、消滅時効の点においても主たる納税債務とは別個に進行するものと解すべきである。したがつて、本件処分にかかる第二次納税義務は、国税通則法七二条にしたがい、昭和三八、三九年分所得税についてはいずれも昭和四一年五月一三日から、昭和四〇年分所得税については同年一一月一一日からそれぞれ五年を経過することによつて、主たる納税債務につき生じる消滅時効の中断等にはかかわりなく、時効消滅した。二、請求原因に対する答弁(一) 請求原因(一)(本件処分の存在)は認める。(二) 同(二)、1(本件土地の譲渡時期)のうち、本件土地につき昭和四〇年七月一二日所有権移転登記がなされたこと、原告が本件土地にその主張のとおりの建物を建築したことは認めるが、その余は争う。(三) 同(二)、2(譲渡対価の相当性)のうち、原告がAに対し、昭和三五、三六年に各四〇万円、昭和四〇年に二〇〇万円、その他一〇〇万円、合計三八〇万円を支払つたことは認めるが、その余は争う。 の存在)は認める。(二) 同(二)、1(本件土地の譲渡時期)のうち、本件土地につき昭和四〇年七月一二日所有権移転登記がなされたこと、原告が本件土地にその主張のとおりの建物を建築したことは認めるが、その余は争う。(三) 同(二)、2(譲渡対価の相当性)のうち、原告がAに対し、昭和三五、三六年に各四〇万円、昭和四〇年に二〇〇万円、その他一〇〇万円、合計三八〇万円を支払つたことは認めるが、その余は争う。(四) 同二、3、(本件土地譲渡の合理的理由)は争う。一般に、第二次納税義務の制度は、財産が形式的に第三者に帰属している場合であつても、実質的には納税者に帰属していると認めても公平を失しないときにおいて、形式的な権利の帰属を否認して、私法秩序を乱すことを避けつつ、その形式的に権利が帰属している者に対して補充的に納税義務を負担させることにより、徴税手続の合理化を図るために認められている制度であるから、国税徴 権利の帰属を否認して、私法秩序を乱すことを避けつつ、その形式的に権利が帰属している者に対して補充的に納税義務を負担させることにより、徴税手続の合理化を図るために認められている制度であるから、国税徴収法三九条に所定の「処分」に該当しない処分行為が考えられるとすれば、それは相当な対価の出捐を伴うか、その他租税の徴収にも優先すべき特別の原因に基づくことにより、処分の対象たる「利益」が実質的にも滞納者に帰属していないと認められるものでなければならない。したがつて、右の如き内容を度外視した「必要かつ合理的な理由」に論及することは無意味であり、不当である。かりに、「必要かつ合理的な」ことが、右のごとき意味内容のものであるとしても、本件譲渡において、本件土地の価額九九六万円中、原告主張のAに対する経済的援助と認められる合計三八〇万円を超える金額については何ら対価の出捐もなく、その他本件滞納国税の徴収に優先すべき特別の原因もないから、右超過利益の享受は必要かつ合理的な理由に基づくものではない。(五) 同二、4(除斥期間経過による消滅)は争う。第二次納税義務の告知は、形式的には独立の課税処分ではあるが、実質的には第三者を本来の納税義務者に準ずる者とみて、これに主たる納税義務についての履行責任を負わせるものである。この意味において、第二次納税義務の告知は主たる課税処分等により確定した主たる納税義務の徴収手続上の一処分としての性格を有し、右告知を受けた第二次納税義務者は、あたかも主たる納税義務について徴収処分を受けた本来の納税義務者と同様の立場に立つものである(最高裁昭和五〇年八月二七日判決、民集二九巻七号一二二六頁)。 の納税義務者に準ずる者とみて、これに主たる納税義務についての履行責任を負わせるものである。この意味において、第二次納税義務の告知は主たる課税処分等により確定した主たる納税義務の徴収手続上の一処分としての性格を有し、右告知を受けた第二次納税義務者は、あたかも主たる納税義務について徴収処分を受けた本来の納税義務者と同様の立場に立つものである(最高裁昭和五〇年八月二七日判決、民集二九巻七号一二二六頁)。そして、国税徴収法三九条に所定の要件に該当する第三者は、本来ならば滞納者に対する滞納処分によつて差押えを受けるべきであつた財産を譲り受 最高裁昭和五〇年八月二七日判決、民集二九巻七号一二二六頁)。そして、国税徴収法三九条に所定の要件に該当する第三者は、本来ならば滞納者に対する滞納処分によつて差押えを受けるべきであつた財産を譲り受けた者として、いわば納税負担付財産の譲受人ともいうべく、かかる第三者の負う第二次納税義務は主たる納税義務と運命を共にするものと解すべきである。したがつて、第二次納税義務の告知処分は、主たる納税義務が存続する限りこれと別に独立して期間の制限を受けることはない。なお、第二次納税義務の告知自体に法律上特別の期間の制限がないことは、憲法三一条、八四条とは全く関係のないことであるから、原告の憲法違反の主張は主張自体失当である。(六) 同二、5(時効消滅)は争う。被告は、本件滞納国税につき、昭和四四年一二月一〇日滞納者Aの財産を差押えるため同人の住居を捜索して差押に着手したが、差押えるべき財産を発見しえず、さらに、昭和四九年四月二五日同人がCに対して有する不動産賃貸借契約に基づく保証金一五〇万円の返還請求権を差押えた。よつて、本件滞納国税の徴収権にかかる消滅時効は中断している。三被告の主張(一) 滞納者Aの国税Aは阿部野税務署長から別表(一)記載のとおり課税処分を受け、これらによるAの納付すべき税額はいずれも適法に確定し、被告は同税務署長から昭和四一年六月二七日に昭和三八、三九年分の各国税につき、昭和四二年四月二一日に昭和四〇年分の国税につき各徴収の引継を受けた。その後、昭和五〇年四月二四日Aの長女DはAの右国税につき第二次納税義務者としてその限度額である一五〇万円を納付したため、同人の滞納にかかる国税は別表(二)記載のとおりとなつた。(二) 本件土地の低額譲渡1、譲渡時期Aは昭和四〇年七月一二日原告に対して本件土地を譲渡した。 長から昭和四一年六月二七日に昭和三八、三九年分の各国税につき、昭和四二年四月二一日に昭和四〇年分の国税につき各徴収の引継を受けた。その後、昭和五〇年四月二四日Aの長女DはAの右国税につき第二次納税義務者としてその限度額である一五〇万円を納付したため、同人の滞納にかかる国税は別表(二)記載のとおりとなつた。(二) 本件土地の低額譲渡1、譲渡時期Aは昭和四〇年七月一二日原告に対して本件土地を譲渡した。右日時は本件 ある一五〇万円を納付したため、同人の滞納にかかる国税は別表(二)記載のとおりとなつた。(二) 本件土地の低額譲渡1、譲渡時期Aは昭和四〇年七月一二日原告に対して本件土地を譲渡した。右日時は本件土地の所有権移転登記がなされた日であるが、国税徴収法三九条所定の「譲渡」の時期は不動産について登記のなされた時を基準とすべきである。その理由は、不動産については滞納処分における差押の関係においても民法一七七条の適用があるものと解され(最高裁昭和三一年四月二四日判決、民集一〇巻四号四一七頁)、ある者が滞納者の不動産の所有権を取得しても、その旨の登記がなされなければ、これをもつて国税徴収法に基づき同不動産を差押えた国に対抗しえないのであるから、右譲受人にいまだ第二次納税義務を負わせる必要がないのであるが、右登記がなされれば、右譲受人が右不動産の所有権を確定的に取得することになるから、この時に同譲受人に第二次納税義務を負わせる必要が生ずるからである。したがつて、本件土地の譲渡時期についても、所有権移転登記のなされた昭和四〇年七月一二日とすべきである。2、本件土地の価額本件土地の昭和四〇年七月一二日当時の価額は九九六万円であり、右価額の算出方法は別表(三)A記載のとおりである。3、譲渡の対価本件土地譲渡の対価は前記のとおり合計三八〇万円である。原告は原告及び妻Bが昭和三七年から昭和四〇年までの間にAに対して寸借名義に応じて支払つた二〇〇万円も本件土地の譲受の対価であると主張する。しかし、右金員の総額も明確でないうえ、その大部分はBが原告に全く相談することなくB名義の銀行預金から支払つたものであり、しかも、同人は本件土地の譲渡と同時にAから本件土地上のガレージ付居宅を譲渡され、Aには四〇万円を支払つたのであるが、この建物の譲渡時の価額は借地権価 となくB名義の銀行預金から支払つたものであり、しかも、同人は本件土地の譲渡と同時にAから本件土地上のガレージ付居宅を譲渡され、Aには四〇万円を支払つたのであるが、この建物の譲渡時の価額は借地権価額を含めて三〇一万六、〇〇〇円である。 払つたものであり、しかも、同人は本件土地の譲渡と同時にAから本件土地上のガレージ付居宅を譲渡され、Aには四〇万円を支払つたのであるが、この建物の譲渡時の価額は借地権価 となくB名義の銀行預金から支払つたものであり、しかも、同人は本件土地の譲渡と同時にAから本件土地上のガレージ付居宅を譲渡され、Aには四〇万円を支払つたのであるが、この建物の譲渡時の価額は借地権価額を含めて三〇一万六、〇〇〇円である。したがつて、Bが支払つた前記約二〇〇万円は右建物の対価と認められるべきものであつて、本件土地の譲渡の対価ではない。4、したがつて、本件土地についての前記譲渡の対価は本件土地の価額に比して著しく低額である。(三) 徴収不足及びその基因Aは従前大阪市<地名略>において医薬品小売業を営んでいたが、昭和三七年頃から営業不振となり、昭和三八年から昭和四〇年にかけてその所有不動産を逐次売却するに至つた(これらの不動産の売却が前記各所得税にかかる所得の発生原因である)。そして、Aは本件土地を譲渡した後にはほとんど無資産となり、昭和四三年頃から大阪市<地名略>において店舗を借受け、医薬品小売業を営んでいるが、前記滞納国税を納付するに足る資力がない。よつて、Aの前記国税については、滞納処分を執行してもなおその徴収すべき税額に不足すると認められ、右徴収不足は前記本件土地の低額譲渡に基因すると認められる。(四) 原告の受益限度原告が前記低額譲渡によつて受けた利益は、次のとおり五七六万六、四〇〇円である。1、本件土地の価額九九六万円2、本件土地の譲渡の対価三八〇万円3、不動産取得税二四万六、〇〇〇円4、登録免許税一四万七、六〇〇円5、原告の受益の額(1―2―3―4)五七六万六、四〇〇円(五) 以上によれば、原告は国税徴収法三九条により、五七六万六、四〇〇円の限度においてAの前記滞納にかかる納税の第二次納税義務を負うので、被告は原告に対し本件処分 2―3―4)五七六万六、四〇〇円(五) 以上によれば、原告は国税徴収法三九条により、五七六万六、四〇〇円の限度においてAの前記滞納にかかる納税の第二次納税義務を負うので、被告は原告に対し本件処分をなすに至つた。四、被告の主張に対する原告の反論(一) 本件土地の価額について宅地の価額を算定する場合は、取引事例その他によりまず更地価格を算出し、ついで、該土地上に建物がある場合は建付地減価修正をなし、さらに、その借地権価格を控除するのが原則である。 よれば、原告は国税徴収法三九条により、五七六万六、四〇〇円の限度においてAの前記滞納にかかる納税の第二次納税義務を負うので、被告は原告に対し本件処分をなすに至つた。四、被告の主張に対する原告の反論(一) 本件土地の価額について宅地の価額を算定する場合は、取引事例その他によりまず更地価格を算出し、ついで、該土地上に建物がある場合は建付地減価修正をなし、さらに、その借地権価格を控除するのが原則である。そして、右建付地減価修正は、土地上に建物が存在する場合は、その土地の使用収益方法が建物の存在により種々の制約を受けることを根拠とするものである。そして、本件土地の昭和四〇年七月一二日現在の更地価格、建付地減価、借地権価格は次のとおりである。1、更地価格被告は本件土地の譲渡時(昭和四〇年七月一二日)の更地価格を一平方米当り三万五、〇〇〇円と認定しているが、Aが昭和三四年七月に本件土地を購入した時の更地価格が三・三平方米当り一二万五、〇〇〇円(一平方米当り約一万〇、六〇〇円)であり、昭和三四年から昭和四〇年に至るまでは土地価格が三倍以上も高騰する情勢にはなかつたこと、他方、本件土地のうち、B所有のガレージ付居宅部分の借地権価格は一平方米当り一万六、一〇〇円であるが、特別の事情のない限り借地権価格は更地価格の二分の一とみられるから、右土地の更地価格はその二倍、すなわち一平方米当り三万二、一〇〇円となることに徴するときは、本件土地の昭和四〇年七月一二日現在の更地価格は一平方米当り三万二、〇〇〇円と考えるのが相当である。2、建付地減価昭和四〇年七月一二日当時本件土地上には原告及びB所有の二棟の建物が存在していたのであるから、右更地価格に建付地減価修正をなすべきは明らかであり、その割合は一割と考え 相当である。2、建付地減価昭和四〇年七月一二日当時本件土地上には原告及びB所有の二棟の建物が存在していたのであるから、右更地価格に建付地減価修正をなすべきは明らかであり、その割合は一割と考えるべきである。3、借地権価格原告が本件土地の所有権を取得したのが昭和四〇年七月一三日であるとした場合、原告が本件土地上に建物建築後右時点までの本件土地についての原告、Aの関係は使用貸借関係と考えられるが、右使用貸借の内容が原告において建物を所有して本件土地を使用することにある点を考えるときは、本件土地についての原告の借地権価格は三割と考えるのが相当であある。 べきは明らかであり、その割合は一割と考えるべきである。3、借地権価格原告が本件土地の所有権を取得したのが昭和四〇年七月一三日であるとした場合、原告が本件土地上に建物建築後右時点までの本件土地についての原告、Aの関係は使用貸借関係と考えられるが、右使用貸借の内容が原告において建物を所有して本件土地を使用することにある点を考えるときは、本件土地についての原告の借地権価格は三割と考えるのが相当であある。以上によれば、本件土地の昭和四〇年七月一二日現在の価額は別表(三)B欄記載のとおり七三六万五、一五五円となる。ところで、被告は本件土地の価額を九九六万円と評価しているが、Aに対する昭和四〇年分所得税決定処分においては、課税の基礎となつた本件土地譲渡所得金額は九五〇万四、〇〇〇円とされており、もとよりAは原告から右金額を受取つたわけではないから、右金額は当時税務署において認定した本件土地の客観的評価額とみるべきであり、少くとも税務署において右金額に見合う所得税を納付すればよいとの意思表示をなしたものと考えられるから、被告が本訴において本件土地の価額を九九六万円であると主張することは禁反言の原則に反するものである。(二) 譲渡の対価について原告の妻Bが昭和三七年から昭和四〇年までの間にAに支払つた二〇〇万円がB名義の預金から支払われていたとしても、同人は当時職業を持たない家庭の主婦であつたのであるから、右預金は同人の特有財産ではなく、原告の収入の一部であり、したがつて、右二〇〇万円は原告の意思どおり本件土地の譲渡代金の一部として支払われたものと考えるべきである。(三) 対価が著しく低額 るから、右預金は同人の特有財産ではなく、原告の収入の一部であり、したがつて、右二〇〇万円は原告の意思どおり本件土地の譲渡代金の一部として支払われたものと考えるべきである。(三) 対価が著しく低額であることについて本件土地譲渡時である昭和四〇年当時施行の所得税法五九条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)一項二号(政令で定める額による譲渡)、同法施行令一六九条(時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲)によれば、「譲渡の時における価額の二分の一に満たない金額」につきみなし譲渡として課税しており、時価の二分の一以上による譲渡については不問に付していた。ところで、国税徴収法三九条は低額の基準を定めていないため、その運用については右所得税法及び同法施行令が準用されて来たのであるから、不動産のごとき値幅のある財産の譲渡については、特別の事情がない限り、時価のおおむね二分の一に満たない価額をもつて「著しく低い」と考えるべきである。 る価額の二分の一に満たない金額」につきみなし譲渡として課税しており、時価の二分の一以上による譲渡については不問に付していた。ところで、国税徴収法三九条は低額の基準を定めていないため、その運用については右所得税法及び同法施行令が準用されて来たのであるから、不動産のごとき値幅のある財産の譲渡については、特別の事情がない限り、時価のおおむね二分の一に満たない価額をもつて「著しく低い」と考えるべきである。しかるところ、本件土地譲渡につき原告がAに支払つた対価は合計約五三〇万円であつて、本件土地の時価である七三六万五、一五五円の二分の一をはるかに超えるものであるから、国税徴収法三九条に定める「著しく低い額」には当らない。五、原告の主張に対する被告の再反論(一) 建付地減価について建付地減価は当該土地の最有効利用の程度によつて認められるものであるが、本件土地のうち、原告所有建物の敷地部分は、原告がこれを譲受けることを予定して自ら同地上に自用の建物を建築したものであるから、かかる土地を譲受けた原告にとつてはこれが最有効利用の状態にあり、何ら使用収益方法の制約を受けてはいないのである。したがつて、右敷地部分については、原告以外の者が譲受ける場合はともかく、原告自身が譲受けたからには何ら建付地を理由とする減価を考慮する必要はない。何ら使用収益方法の制約を受けてはいないのである。したがつて、右敷地部分については、原告以外の者が譲受ける場合はともかく、原告自身が譲受けたからには何ら建付地を理由とする減価を考慮する必要はない。(二) 使用貸借減価について一般に、使用貸借を理由とする減価は、当該土地の譲受人が第三者たる使用借主の占有を解くための出費を理由として認められるものであるが、本件土地のうちB所有建物の敷地一〇九・〇八平方メートルを除く残余の部分については譲受人たる原告が使用借主であつたのであるから、占有を解くための費用は不必要であり、その譲渡は更地の譲渡と同視しうるものであるから、原告自身の使用貸借を理由とする減価を考慮すべき余地はない。(三) 著しく低い額の対価について国税徴収法三九条所定の対価が「著しく低い額」であるか否かは、単に時価と対価との割合のみで即断しうるものではなく、時価と対価との差額自体につき租税徴収の確保という目的から経済的常識に照らして判定されるべきものである。○ 理由一、被告が昭和四八年一〇月四日原告に対し本件処分をなしたこと及び原告がこれを不服として被告に対し審査請求をしたところ、被告は昭和四九年一二月一八日これを棄却する旨の裁決をしたことは当事者間に争いがない。 価が「著しく低い額」であるか否かは、単に時価と対価との割合のみで即断しうるものではなく、時価と対価との差額自体につき租税徴収の確保という目的から経済的常識に照らして判定されるべきものである。○ 理由一、被告が昭和四八年一〇月四日原告に対し本件処分をなしたこと及び原告がこれを不服として被告に対し審査請求をしたところ、被告は昭和四九年一二月一八日これを棄却する旨の裁決をしたことは当事者間に争いがない。二、そこで、以下本件処分の違法性につき判断する。(一) 滞納者Aの国税Aが阿倍野税務署長から別表(一)記載のとおり課税処分を受け、これらによるAの納付すべき税額はいずれも適法に確定したが、同人がこれを滞納していたことは当事者間に争いがなく、被告が同税務署長からその主張の日に右国税につき各徴収の引継を受けたこと及び昭和五〇年四月二四日Aの長女DがAの右国税につき第二次納税義務者としてその限度額である一五〇万円を納付したため、同人の滞納にかかる国税が別表(二)記載のとお 国税につき各徴収の引継を受けたこと及び昭和五〇年四月二四日Aの長女DがAの右国税につき第二次納税義務者としてその限度額である一五〇万円を納付したため、同人の滞納にかかる国税が別表(二)記載のとおりとなつたことは原告において明らかに争わないからこれを自白したものとみなされる。(二) 本件土地の譲渡時期国税徴収法三九条所定の「譲渡」の時期は、不動産については所有権移転登記がなされた時を基準とすべきである。けだし、不動産については滞納処分における差押の関係においても民法一七七条の適用があるものと解され(最高裁昭和三一年四月二四日判決、民集一〇巻四号四一七頁)るため、ある者が滞納者の不動産の所有権を取得しても、その旨の登記がなされなければ、これをもつて国税徴収法に基づき同不動産を差押えた国に対抗しえないのであるから、右譲受人にいまだに第二次納税義務を負わせる必要がないのであるが、右登記がなされれば、右譲受人が右不動産の所有権を確定的に取得することになるため、この時に譲受人に第二次納税義務を負わせる必要が生ずるからである。ところで、本件土地についてAから原告に対し所有権移転登記がなされたのが昭和四〇年七月一二日であることは当事者間に争いがないから、本件土地の譲渡時期は右同日と考えるのが相当である。(三) 本件土地の価額本件土地の昭和四〇年七月一二日当時の価額につき、被告は別表(三)A欄記載の等式によりこれを九九六万円であると主張する。 ることになるため、この時に譲受人に第二次納税義務を負わせる必要が生ずるからである。ところで、本件土地についてAから原告に対し所有権移転登記がなされたのが昭和四〇年七月一二日であることは当事者間に争いがないから、本件土地の譲渡時期は右同日と考えるのが相当である。(三) 本件土地の価額本件土地の昭和四〇年七月一二日当時の価額につき、被告は別表(三)A欄記載の等式によりこれを九九六万円であると主張する。ところで、一般に土地の時価とは、当該土地の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行なわれる場合に通常成立すると認められる価格を指すものと解され、右時価を算定するに当つては、取引事例その他によりまず更地価格を算出し、ついで、当該土地上に建物がある場合は、その土地の使用収益方法が建物の存在により制約を受 すると認められる価格を指すものと解され、右時価を算定するに当つては、取引事例その他によりまず更地価格を算出し、ついで、当該土地上に建物がある場合は、その土地の使用収益方法が建物の存在により制約を受ける点を考慮して建付地減価修正をなし、さらに、その借地権価格を控除するのが相当であると考えられる。そこで、以下本件土地の更地価格、建付地減価及び借地権価格につき検討する。1、更地価格成立に争いのない乙第五号証、証人Eの証言及びこれによつて真正に成立したものと認められる甲第一一号証、弁論の全趣旨によつて真正に成立したものと認められる乙第一三号証を比較検討すると、本件土地の昭和四〇年七月一二日当時の更地価格は一平方米当り三万五、〇〇〇円と認めるのが相当である。2、建付地減価被告は、本件土地のうち、原告所有建物の敷地部分は、原告がこれを譲受けることを予定して自ら同地上に自用の建物を建築したものであるから、かかる土地を譲受けた原告にとつてはこれが最有効利用の状態にあり、何ら使用収益方法の制約を受けてはいないから、右敷地部分については建付地を理由とする減価は考慮する必要がない旨主張する。しかし、前記のとおり、土地の時価とはあくまで客観的な価値を指すのであるから、たまたま、土地上の建物所有者が当該土地を譲受けたことを理由に建付地を理由とする減価を考慮する必要がないとすることは相当でなく、本件土地についても同地上に原告及びB所有の二棟の建物が存在する(この事実は当事者間に争いがない)ことによる建付地減価修正を行なうべきであり、前掲甲第一一号証、乙第五、第一三号証によれば、その割合は一割が相当と認められる。 土地の時価とはあくまで客観的な価値を指すのであるから、たまたま、土地上の建物所有者が当該土地を譲受けたことを理由に建付地を理由とする減価を考慮する必要がないとすることは相当でなく、本件土地についても同地上に原告及びB所有の二棟の建物が存在する(この事実は当事者間に争いがない)ことによる建付地減価修正を行なうべきであり、前掲甲第一一号証、乙第五、第一三号証によれば、その割合は一割が相当と認められる。3、借地権価格被告は、本件土地のうちB所有建物の敷地一〇九・〇八平方メートルを除く残余の部分については譲受人たる原告が借用借主であつたのであるから 号証によれば、その割合は一割が相当と認められる。3、借地権価格被告は、本件土地のうちB所有建物の敷地一〇九・〇八平方メートルを除く残余の部分については譲受人たる原告が借用借主であつたのであるから、占有を解くための費用は不必要であり、その譲渡は更地の譲渡と同視しうるものであるから、原告自身の使用貸借を理由とする減価を考慮すべき余地はない旨主張する。しかし、前述したと同様、土地の時価とは当該土地につき使用貸借関係が存在する場合は、これを前提とした客観的価値を指すのであるから、たまたま、土地の使用借主が当該土地を譲受けたことを理由に使用貸借を理由とする減価を考慮する必要がないとする被告の主張は失当というべく、本件土地のうち右残余部分についても、原告が使用貸借による借地権を有していた(この事実は当事者間に争いがない)ことによる減価修正を行うべきであり、前掲甲第一一号証、乙第五、第一三号証によれば、右借地権価格は三割と認めるのが相当である。なお、右各号証及び証人Bの証言、原告本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によると、原告の妻であるBは本件土地のうちその所有建物の敷地一〇九・〇八平方メートルについて賃借権を有するものと認めるのが相当であり、かつ右賃貸借による借地権価格は五割と評価すべきであることが認められる。以上によれば、本件土地の昭和四〇年七月一二日当時の価額は別表(三)C欄記載のとおり八〇五万五、六二一円と認められる。(四) 譲渡の対価原告がAに対し本件土地譲渡の対価として、昭和三五、三六年に各四〇万円、昭和四〇年に二〇〇万円、その他一〇〇万円、合計三八〇万円を支払つたことは当事者間に争いがなく、証人Aの証言及びこれによつて真正に成立したものと認められる甲第二号証、証人Bの証言並びに原告本人尋問の結果によれば、原告は昭和三四年七月一〇 二日当時の価額は別表(三)C欄記載のとおり八〇五万五、六二一円と認められる。(四) 譲渡の対価原告がAに対し本件土地譲渡の対価として、昭和三五、三六年に各四〇万円、昭和四〇年に二〇〇万円、その他一〇〇万円、合計三八〇万円を支払つたことは当事者間に争いがなく、証人Aの証言及びこれによつて真正に成立したものと認められる甲第二号証、証人Bの証言並びに原告本人尋問の結果によれば、原告は昭和三四年七月一〇 、合計三八〇万円を支払つたことは当事者間に争いがなく、証人Aの証言及びこれによつて真正に成立したものと認められる甲第二号証、証人Bの証言並びに原告本人尋問の結果によれば、原告は昭和三四年七月一〇日、Aが本件土地を前所有者から買受けた際の手付金五〇万円をAに代つて支払つていること、原告は昭和三七年頃から昭和四〇年頃までは南方繊維株式会社の専務取締役として約二五〇万円の年収を得ており、当時事業に行き詰り窮状にあつたAを援助するため、妻Bを通じて前記一〇〇万円以外にAの寸借申込に応じて合計約一〇〇万円を同人に貸付けていたこと及び本件土地移転登記時において、原告とAは過去において原告がAに対し立替払もしくは貸付けた右金員合計約一五〇万円についても、前記当事者間に争いのない三八〇万円と合せてこれを本件土地代金に充当する旨の合意がなされたことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。(なお、成立に争いのない乙第七、第八号証の各供述記載中右認定に抵触する部分は原告本人尋問の結果に照し、また同乙第九号証の供述記載中右認定に副わない部分は証人Aの証言に徴し、いずれも採用しがたい。)これに対し、被告は、右約一〇〇万円は、BがAから譲受けた本件土地上のガレージ付居宅の対価として支払つたものであると主張し、成立に争いのない乙第一二号証、証人Bの証言によれば、同人が昭和四〇年七月一二日Aから被告主張の家屋を買受けた事実は認められるけれども、前記一〇〇万円が右家屋の売買代金として支払われたとの事実を認めるに足りる証拠はない。したがつて、原告はAに対し本件土地譲渡の対価として合計約五三〇万円を支払つたものと認められる。(五) 対価が著しく低額であることについて国税徴収法は同法三九条に定める「著しく低い額の対価」につきその基準を定めていないけれども、本件 の対価として合計約五三〇万円を支払つたものと認められる。 た事実は認められるけれども、前記一〇〇万円が右家屋の売買代金として支払われたとの事実を認めるに足りる証拠はない。したがつて、原告はAに対し本件土地譲渡の対価として合計約五三〇万円を支払つたものと認められる。(五) 対価が著しく低額であることについて国税徴収法は同法三九条に定める「著しく低い額の対価」につきその基準を定めていないけれども、本件 の対価として合計約五三〇万円を支払つたものと認められる。(五) 対価が著しく低額であることについて国税徴収法は同法三九条に定める「著しく低い額の対価」につきその基準を定めていないけれども、本件土地譲渡時である昭和四〇年当時施行の所得税法五九条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)一項二号、同法施行令一六九条(時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲)は、時価の二分の一に満たない金額につきみなし譲渡として課税していること及び国税徴収法三九条、所得税法五九条はいずれも租税徴収の確保を目的として設けられた規定であることに鑑みるときは、国税徴収法三九条についても、特別の事情のない限り、時価のおおむね二分の一に満たない価額をもつて「著しく低い額」と解するのが相当である。ところで、前記のとおり、本件土地の譲渡時の価額は八〇五万五、六二一円であり、右譲渡につき原告がAに支払つた対価は合計約五三〇万円であるから、右対価が本件土地の譲渡時の価額の二分の一をはるかに超えるものであることは明らかである。したがつて、Aの原告に対する本件土地譲渡は右の点において国税徴収法三九条に定める要件を欠くものであるから、本件処分は違法といわなければならない。三、以上の次第であつて、原告主張のその余の点につき判断するまでもなく本件処分の取消を求める原告の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官荻田健治郎辻中栄世吉野孝義)別表(省略)

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