平成31(わ)5 殺人

裁判年月日・裁判所
令和元年6月10日 名古屋地方裁判所 岡崎支部
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判決文本文1,811 文字)

平成31年(わ)第5号殺人被告事件判決 主文 被告人を懲役14年に処する。 未決勾留日数中70日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,妻であるA(当時40歳)がナイフ様の刃物(以下「ナイフ」という。)を持ち,被告人がハンマー様のもの(以下「ハンマー」という。)を持った状況の中での口論の末に,怒りが高じて殺意を抱き,平成30年12月17日午前5時頃,愛知県豊川市a町b番地被告人方において,同女に対し,手に持った前記ハンマーでその頭部を複数回殴った上,手に持った前記ナイフでその頚部を突き刺して切り,よって,その頃,同所において,同女を頚部刺切創による内頚静脈損傷に基づく出血性ショックにより死亡させて殺害したものである。 (証拠の標目)標目省略なお,被告人は,最初に被害者にハンマーが当たったときには,被害者に当てるつもりはなかったと供述し,弁護人は,この時点で殺意はなかったと主張している。 しかし,関係各証拠により認められる被告人と被害者の体勢や,手加減せずにハンマーを振り回していること等からすると,少なくとも,ハンマーが同人の頭部に当たって,同人が死亡する危険性があることを認識していたものと認められ,殺意があったといえる。 (法令の適用)省略(量刑の理由) 1 犯罪行為に関する事情 本件において被告人に科すべき刑を決めるに当たり最も重視すべき点は,被告人が,相当強い力で被害者の頭部を複数回ハンマーで殴り,被害者がうつ伏せに倒れて動かない状態になったのに,さらに背後からその顎を持ち上げてナイフで首を掻き切って殺害したという犯行態様である。特に,ナイフによる攻撃は,被害者を確実に殺害するという強固な意思に基づく極めて危険なものとい い状態になったのに,さらに背後からその顎を持ち上げてナイフで首を掻き切って殺害したという犯行態様である。特に,ナイフによる攻撃は,被害者を確実に殺害するという強固な意思に基づく極めて危険なものということができる。 被害者が死亡した結果が重大なものであることはいうまでもない。また,同居していた被告人及び被害者の次男は,遺体の第一発見者となってしまったのであり,現在に至るまで精神的に不安定な状態が続いている。 被害者が先にナイフを持ち出したことがきっかけとなって,被告人がハンマーを持ち出すという危険な状況になったことは否定できない。また,口論の際の被害者の行き過ぎた発言等により被告人が被害者に怒りを抱いたこと自体は理解できる。しかし,互いに凶器を持った状況であったとはいえ,これまでの夫婦喧嘩の延長であり,被害者が意図して被告人の殺意を生じさせたという事情があるとはいえない。被告人が被害者に恐怖心を抱いていたわけではないことも考えると,単に怒りを抱くにとどまらず,殺意を生じ,前記態様で被害者を殺害したことは強く非難されるべきであり,前記経緯を被告人のために考慮するには限度がある。 以上の事情,特に前記態様からすると,本件は,同種事案(凶器として刃物又は鈍器を使用した配偶者に対する殺人事件で,犯行動機が家族関係に関するもの)の中でも重い部類に属する事案であるといえる。 2 犯罪行為以外に関する事情被害者の姉が当公判廷で悲痛な心情を吐露し,被告人の厳罰を求めていることは,当然の心情であると理解できる。 他方で,被告人が犯行後自ら警察に出頭し,当公判廷において自己の非を認める態度を示していることは,被告人の罪に向き合おうとする意思の表れとみることができる。被告人に,量刑上考慮すべきような前科がないことも併せ考慮する と,更生環境 公判廷において自己の非を認める態度を示していることは,被告人の罪に向き合おうとする意思の表れとみることができる。被告人に,量刑上考慮すべきような前科がないことも併せ考慮する と,更生環境が整っていないとしても,再犯のおそれが高いとはいえない。 3 結論そこで,前記1の犯罪行為に関する事情から想定される刑の幅の中で,前記2の犯罪行為以外に関する事情を踏まえて検討した結果,被告人に対しては,主文の刑に処するのが相当であると判断した。 (求刑懲役17年,弁護人の科刑意見懲役7年)令和元年6月10日名古屋地方裁判所岡崎支部刑事部 裁判長裁判官石井 寛 裁判官岩﨑理子 裁判官西 臨太郎

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