○ 主文原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が原告に対して昭和四四年六月五日付でなした、原告の昭和四一年分、同四二年分の各所得税の更正処分(以下本件更正処分という、ただし、各総所得金額は、審査請求に対する裁決で一部取消された後のもの、以下同じ。)のうち、その総所得金額がそれぞれ金四八万七八三〇円、金五九万九〇〇〇円を超える部分を取消す。2 訴訟費用は被告の負担とする。二請求の趣旨に対する被告の答弁主文同旨。第二当事者の主張一請求原因 1 本件更正処分の経過原告は家庭用電気器具小売業を営むものであるが、確定申告期日に被告に対し、昭和四一年分、同四二年分(以下本件係争年分という。)の各所得税総所得金額をそれぞれ別紙一の(一)欄のとおり確定申告したところ、被告は昭和四四年六月五日付で同表(三)欄の金額に更正する処分を行ない、その頃原告に通知した。申告所得金額による各算出税額は同(二)欄の金額であり、更正所得金額による各算出税額は同(四)欄の金額である。原告は、これを不服として昭和四四年六月一八日被告に対して異議の申立をしたところ、同年九月一一日被告は、これを棄却するとの決定をなし、その頃これを原告に通知した。原告に、さらにこれを不服として同年一〇月八日大阪国税局長に対して審査請求をしたところ、その後国税通則法の改正により国税不服審判所長にひきつがれ、同所長は同四八年一月一六日付でそれぞれ一部取消をする旨の裁決をした。裁決による総所得金額は同(五)欄の金額であり、算出税額は同(六)欄の金額である。2 本件更正処分の違法事由しかし、本件更正処分は、以下のとおりその手続に違法があり、かつ所得を過大に認定したものであるから違法である。(一) 原告は全国商 り、算出税額は同(六)欄の金額である。2 本件更正処分の違法事由しかし、本件更正処分は、以下のとおりその手続に違法があり、かつ所得を過大に認定したものであるから違法である。 る総所得金額は同(五)欄の金額であり、算出税額は同(六)欄の金額である。2 本件更正処分の違法事由しかし、本件更正処分は、以下のとおりその手続に違法があり、かつ所得を過大に認定したものであるから違法である。(一) 原告は全国商 り、算出税額は同(六)欄の金額である。2 本件更正処分の違法事由しかし、本件更正処分は、以下のとおりその手続に違法があり、かつ所得を過大に認定したものであるから違法である。(一) 原告は全国商工団体連合会(以下全商連という。)傘下の京都府商工団体連合会(いわゆる京都府民主商工会、以下京都府民商、又は民商という。)の会員であるが、被告は、全商運の組織破壊を目的として、京都府民商の会員である原告の所得調査を行なつて本件更正処分をなしたもので、同処分は憲法一四条、一九条、二一条一項、三一条、八四条に反し、違法である。(二) 本件更正処分は違法な調査に基づくもので違法である。すなわち、被告は、税務調査をなすに際し、原告に対し事前通知をせず、質問検査権の行使に際し、調査の具体的必要性、理由を開示せず、また、原告の同意を得ずにいわゆる反面調査を行なつた違法がある。(三) 被告は、原告に対する本件更正処分の通知書に、その理由を充分に付記しなかつたばかりでなく、更正理由の開示請求にも応じなかつた違法がある。また、本訴においても、本件更正処分をなした理由につきなんらの主張、立証がないから、内容の当否を論ずるまでもなく本件更正処分は取消されるべきである。(四) 原告の総所得金額は、別紙一の(一)欄記載の金額であつて、本件更正処分のうち右金額を超える部分は、原告の所得を過大に認定した違法がある。3 よつて、本件更正処分の取消を求める。二請求原因に対する被告の認否 1 請求原因1の事実は認める。2 同2の(一)の事実のうち、原告が全商連傘下の京都府民商の会員であることは不知。被告が全商連の組織破壊工作を行なつた事実はなく、また、原告が京都府民商の会員であることを理由に調査対象としたうえ、同人を差別し、あるいは不利益な取扱いをしたという事実はない。であることは不知。被告が全商連の組織破壊工作を行なつた事実はなく、また、原告が京都府民商の会員であることを理由に調査対象としたうえ、同人を差別し、あるいは不利益な取扱いをしたという事実はない。3 同(二)の主張は争う。4 同(三)前段の事実は認めるが、それが違法であるとの主張及び後段の主張は争う。 会員であることを理由に調査対象としたうえ、同人を差別し、あるいは不利益な取扱いをしたという事実はない。であることは不知。被告が全商連の組織破壊工作を行なつた事実はなく、また、原告が京都府民商の会員であることを理由に調査対象としたうえ、同人を差別し、あるいは不利益な取扱いをしたという事実はない。3 同(二)の主張は争う。4 同(三)前段の事実は認めるが、それが違法であるとの主張及び後段の主張は争う。5 同(四)は争う。三被告の主張 1 質問検査権の行使に際し、調査の理由及び必要性の個別的、具体的な告知が法律上の要件とされているわけではない。また、所得税の更正処分について理由付記を要するのは青色申告にかかる更正の場合だけであつて、原告の場合はいわゆる白色申告者であるから、本件更正処分にあたつて理由を付記しなかつたことはなんら違法ではない。なお、課税処分は、申告とあいまつて客観的、抽象的に既に成立している租税債務を具体的に確定させる手続であるから、当該課税処分が適法であるか否かは当該処分において認定された租税債務が客観的に存在するか否かにかかる。したがつて、被告が更正処分時にどのような調査をし、どのような資料に基づき、どのような認識判断をしたかということは、ひとつの歴史的な事実であつて、それによつて直ちに課税処分の適否が左右されるものではない。そして、訴訟において当該課税処分が客観的に正当であることが立証されれば当該課税を違法とすることはできない。2 原告の総所得金額の算定根拠(一) 推計の必要性原告は被告に対し、本件係争年分の各所得税の確定申告書(乙第一、第二号証)のとおりそれぞれ確定申告をした。しかし、これら各確定申告書には事業所得金額の計算の基礎となる収入金額、必要経費の記載がなく、原告が果して収入金額等をいくらと計算したものか明らかでなかつた。そこで、下京税務署の調査担当者は、原告の本件係争年分の所得税の調査のため、 金額の計算の基礎となる収入金額、必要経費の記載がなく、原告が果して収入金額等をいくらと計算したものか明らかでなかつた。そこで、下京税務署の調査担当者は、原告の本件係争年分の所得税の調査のため、事前に連絡のうえ原告方に赴き、少なくとも原告に二回、原告から税金関係の処理を委されていた原告の父に一回面接し、調査理由を説明して各確定申告書に記載されていない前記収入金額、必要経費等について質問したが、原告らはこれに答えず、さらに、再三帳簿書類等の提示を求めたが民商役員が調査担当者に暴言を浴びせてこれを妨害し、あるいは「帳簿を見せるためには、売上のどこが悪いか説明せよ。 争年分の所得税の調査のため、事前に連絡のうえ原告方に赴き、少なくとも原告に二回、原告から税金関係の処理を委されていた原告の父に一回面接し、調査理由を説明して各確定申告書に記載されていない前記収入金額、必要経費等について質問したが、原告らはこれに答えず、さらに、再三帳簿書類等の提示を求めたが民商役員が調査担当者に暴言を浴びせてこれを妨害し、あるいは「帳簿を見せるためには、売上のどこが悪いか説明せよ。」など回答不可能な反対要求をして帳簿書類の提示を拒んだので、原告の事業所得を実額計算することにできない状態であつた。そこで、原告の本件係争年分の所得金額を以下のとおり推計により算定した。(二) 同業者二五名の平均原価率、平均一般経費率による推計-昭和四一年分について(主位的主張)(1) 売上原価一四二三万三三四八円内訳大阪音響株式会社一一五万五〇四〇円ツルタ電機株式会社一四一万一〇九二円京都シヤープ電機株式会社四六万五五一〇円有限会社東栄電器商会三一〇万三九二五円相互電気A 四八〇万円昇和電気商会B 三一七万八〇〇三円京都ナシヨナル電器販売株式会社一一万九七七八円(2) 売上金額一八〇八万〇九八〇円右(1)の売上原価を後記同業者二五名の昭和四一年分の平均原価率七八・七二%で除した金額である。(3) 一般経費一三七万四一五四円右(2)の売上金額に右同業者二五名の同年分の平均一般経費率七・六〇%を乗じた金額である。(4) 雑収入(リベート) 一〇万四五八一円内訳ツルタ電機株式会社 一般経費一三七万四一五四円右(2)の売上金額に右同業者二五名の同年分の平均一般経費率七・六〇%を乗じた金額である。(4) 雑収入(リベート) 一〇万四五八一円内訳ツルタ電機株式会社二万三〇〇八円京都シヤープ電機株式会社八万一五七三円(5) 専従者控除額一四万二五〇〇円専従者C(5) 事業所得金額二四三万五五五九円右(2)から(1)、(3)、(5)を控除し、さらに(4)を加えた金額(三) 右同-昭和四二年分について(主位的主張)(1) 売上原価二二八六万七三六〇円内訳大阪音響株式会社一二三万八七四二円ツルタ電機株式会社一一三万七九二〇円京都シヤープ電機株式会社二五一万〇三九〇円有限会社東栄電器商会二三八万〇八一五円相互電気A 六四七万七七七一円京都ナシヨナル電器販売株式会社六八七万九七四七円関西富士電機家電株式会社四八万八九四〇円京都ビクター販売株式会社一二一万一九五〇円京都ナシヨナル工事機器株式会社五四万一〇八五円(2) 売上金額二八四一万〇一八七円右(1)の売上原価を前記同業者二五名の昭和四二年分の平均原価率八〇・四九%で除した金額である。 株式会社二五一万〇三九〇円有限会社東栄電器商会二三八万〇八一五円相互電気A 六四七万七七七一円京都ナシヨナル電器販売株式会社六八七万九七四七円関西富士電機家電株式会社四八万八九四〇円京都ビクター販売株式会社一二一万一九五〇円京都ナシヨナル工事機器株式会社五四万一〇八五円(2) 売上金額二八四一万〇一八七円右(1)の売上原価を前記同業者二五名の昭和四二年分の平均原価率八〇・四九%で除した金額である。(3) 一般経費二〇二万五六四六円右(2)の売上金額に右同業者二五名の同年分の平均一般経費率七・一三%を乗じた金額である。(4) 雑収入(リベート) 四九万九六六〇円内訳ツルタ電機株式会社五万〇一〇七円京都シヤープ電機株式会社三万〇〇三五円京都ナシヨナル電器販売株式会社三五万一五二七円京都ビクター販売株式会社三万七九九〇円京都ナシヨナル工事機器株式会社一万一四四〇円松下電器産業株式会社京滋営業所一万八五六 三五円京都ナシヨナル電器販売株式会社三五万一五二七円京都ビクター販売株式会社三万七九九〇円京都ナシヨナル工事機器株式会社一万一四四〇円松下電器産業株式会社京滋営業所一万八五六一円(5) 事業所得金額四〇一万六八四一円右(2)から(1)、(3)を控除し、さらに(4)を加えた金額。(四) 同業者二五名の平均原価率及び平均一般経費率による推計の合理性右同業者二五名は、原告(南区吉祥院中島町三〇〇四及び現住所地に店舗を有していた。)と同様、下京税務署管内及び宇治税務署管内に納税地を有し、家庭用電気具小売業を営む個人事業者で、本件係争年分につき次の要件のいずれにも該当する者の全部であつて、その内容は別紙二、三のとおりである。(1) 本件係争年分において、継続して事業を営む者(中途開廃した者は除く。)であること。(2) 本件係争年分において、青色申告書を提出している者(当該申告書にかかる決算書に推計部分があると認められる者を除く。)であること。(3) 事業所が下京税務署管内、宇治税務署管内のうち、宇治市及び宇治市に隣接する市町村にある者であること。(4) 家庭用電器具の小売業者(卸、電気工事請負業、その他兼業種目のある者は除く。)であること。右同業者二五名は、右に該当する者の全部について大阪国税局長が昭和五〇年六月二五日付通達をもつて被告及び宇治税務署長に対し求めた報告によるもので、無作為、機械的に行なわれた恣皆調査であるから、悉意の介入する余地はなく、右同業者ら各人の個別的諸条件は、各人の原価率、一般経費率に反映されているから、これらの原価率、一般経費率の平均値は右同業者ら各人の個別的諸条件の相違を平均化して包摂した数値である。 と。右同業者二五名は、右に該当する者の全部について大阪国税局長が昭和五〇年六月二五日付通達をもつて被告及び宇治税務署長に対し求めた報告によるもので、無作為、機械的に行なわれた恣皆調査であるから、悉意の介入する余地はなく、右同業者ら各人の個別的諸条件は、各人の原価率、一般経費率に反映されているから、これらの原価率、一般経費率の平均値は右同業者ら各人の個別的諸条件の相違を平均化して包摂した数値である。したがつて、前記同業者らの平均原価率及び平均一般経費率は、平均的な条件を有する同業者の から、これらの原価率、一般経費率の平均値は右同業者ら各人の個別的諸条件の相違を平均化して包摂した数値である。したがつて、前記同業者らの平均原価率及び平均一般経費率は、平均的な条件を有する同業者の原価率及び一般経費率である。(五) 同業者三名の平均的原価率、平均一般経費率による推計-昭和四一年分について(予備的主張)(1) 売上原価及びその内訳 (二)の(1)と同じ。(2) 売上金額一七一四万八六一二円右(1)の売上原価を後記同業者三名の昭和四一年分の平均原価率八三・〇〇%で除した金額である。(3) 一般経費一〇一万六九一二円右(2)の売上金額に右同業者三名の同年分の平均一般経費率五・九三%を乗じた金額である。(4) 雑収入(リベート)及びその内訳 (二)の(4)と同じ。(5) 専従者控除額 (二)の(5)と同じ。(6) 事業所得金額一八六万〇四三三円右(2)から(1)、(3)、(5)を控除し、さらに(4)を加えた金額。(六) 右同-昭和四二年分について(予備的主張)(1) 売上原価及びその内谷 (三)の(1)と同じ(2) 売上金額二七二六万五二四三円右(1)の売上原価を後記同業者三名の昭和四二年分の平均原価率八三・八七%で除した金額である。(3) 一般経費一五八万一三八四円右(2)の売上金額に右同業者三名の同年分の平均一般経費率五・八〇%を乗じた金額である。(4) 雑収人(リベート)及びその内訳 (三)の(4)と同じ。(5) 事業所得金額三三一万六一五九円右(2)から(1)、(3)を控除し、さらに(4)を加えた金額。(6) 同業者三名の平均原価率及び平均一般経費率による推計の合理性右同業者三名は、前記(四)記載の要件のほかに、さらに、次の要件のいずれにも該当する者の全部であつて、その内容は別紙四のとおり の平均一般経費率五・八〇%を乗じた金額である。(4) 雑収人(リベート)及びその内訳 (三)の(4)と同じ。(5) 事業所得金額三三一万六一五九円右(2)から(1)、(3)を控除し、さらに(4)を加えた金額。(6) 同業者三名の平均原価率及び平均一般経費率による推計の合理性右同業者三名は、前記(四)記載の要件のほかに、さらに、次の要件のいずれにも該当する者の全部であつて、その内容は別紙四のとおり 額。(6) 同業者三名の平均原価率及び平均一般経費率による推計の合理性右同業者三名は、前記(四)記載の要件のほかに、さらに、次の要件のいずれにも該当する者の全部であつて、その内容は別紙四のとおりである。(1) 販売先が近在の一般消費者であること。(2) 月賦販売会社を通じての販売がないか、もしくは僅少であること。(3) 従事員数が原告のそれと同程度であること。(4) 売上原価が原告のそれと同程度であること。右によつて、事業規模において原告と類似する同業者が抽出されたもので、右三名の同業者率を原告に適用することは合理性を有する。なお、右同業者三名についてはその住所、氏名を明らかにしていないが、同業者率は、原告と業態、規模、立地条件等において類似する同業者の原価率等が一定の数値に収斂するものであることを前提として作成されたもので、原告の具体的事情を考慮しつつ、そこになお一般的、抽象的性質を有するものといえるから、必ずしもその同業者の住所、氏名が開示されることによつて証拠の証明力あるいは推計の合理性が増すというものではないのであり、住所、氏名を公表しないとの一事により前記推計を不当、不合理なものということはできない。この点に関し、所得税法二四三条は所得税に関する調査についての事務に従事した者が、その事務に関して知ることができた秘密を漏らした場合には刑罰に処する旨規定しているので、納税者の住所、氏名を明らかにすることは右法条違反となり、被告の主張、立証にはおのずから制約を生ずることとなるし、被告の援用する同業者と原告の類似性、同業者の選択、推計方法の合理性について、原告に攻撃防禦を尽くすことができ、さらに、自己の有する資料を提出することにより、また、自己の事業内容に最も即応した推計方法を主張することによつて十分反撃することができるから 方法の合理性について、原告に攻撃防禦を尽くすことができ、さらに、自己の有する資料を提出することにより、また、自己の事業内容に最も即応した推計方法を主張することによつて十分反撃することができるから、同業者の住所、氏名を開示しないからといつて、直ちに訴訟の相手方から反証を挙げる手段を封ずることにはならない。 、また、自己の事業内容に最も即応した推計方法を主張することによつて十分反撃することができるから 方法の合理性について、原告に攻撃防禦を尽くすことができ、さらに、自己の有する資料を提出することにより、また、自己の事業内容に最も即応した推計方法を主張することによつて十分反撃することができるから、同業者の住所、氏名を開示しないからといつて、直ちに訴訟の相手方から反証を挙げる手段を封ずることにはならない。この点からしても、同業者の住所、氏名を明らかにしないでする推計が合理性を欠く違法なものであるということはできない。四被告の主張に対する原告の認否及び反論 1 被告の主張1の主張は争う。本件各更正処分は違法な調査に基づいて行なわれたものである。すなわち、税務行政庁が税務調査をなすに際しては、被調査者に対して不意打ちとなり、事実上営業に支障をきたすことがないようにするため、事前にその日時を通知すべきであるのに、本件の場合被告は税務調査をなすに際し原告に対して事前通知をしなかつた。また、税務調査の目的は、本来納税者の所得等の調査にあるから、納税者の同意を前提とすべきであるのに、被告は原告の同意なしに取引先等に対して反面調査を行なつた。さらに、所得税法上の質問検査権を行使するに際しては、調査の具体的必要性、理由の開示を要すると解すべきところ、被告は原告に対する本件係争年分の所得調査に際し、再三の要求にもかかわらず、調査の具体的必要性、理由を全く開示していない。以上のように、被告のなした税務調査は違法であるから、更正処分の当、不当を論ずるまでもなく、更正処分は違法であり、取消されるべきである。2 同2の(一)の事実について、原告は下京税務署の調査担当者の本件係争年分の調査には誠意をもつて応対し、二面目の調査の際には帳簿を右調査担当者に見せる約束までしていたが、右三回目の調査の際、記帳を主としていた妻がお産で入院し、原告自身も不在であり、単 当者の本件係争年分の調査には誠意をもつて応対し、二面目の調査の際には帳簿を右調査担当者に見せる約束までしていたが、右三回目の調査の際、記帳を主としていた妻がお産で入院し、原告自身も不在であり、単に原告の父と応対するだけでは不十分であつたから、そのまま反面調査をすべきではなく、もう一回原告と面接するまで推計による更正処分をなすべきではなかつた。したがつて、推計の必要性はない。 告自身も不在であり、単 当者の本件係争年分の調査には誠意をもつて応対し、二面目の調査の際には帳簿を右調査担当者に見せる約束までしていたが、右三回目の調査の際、記帳を主としていた妻がお産で入院し、原告自身も不在であり、単に原告の父と応対するだけでは不十分であつたから、そのまま反面調査をすべきではなく、もう一回原告と面接するまで推計による更正処分をなすべきではなかつた。したがつて、推計の必要性はない。3 同2の(二)の事実のうち、(5)の専従者控除額は認めるが、その他は否認する。4 同2の(三)の事実は全部否認する。5 同2の(四)の主張は争う。推計課税が合理性を有するには、推計の方法及び推計に用いられた基礎数値が合理的であり、さらに、所得形成の個別性に対する配慮がなされていることの要件を具備する必要があるところ、被告は右推計の基礎となつた納税者の番号を表示するのみで、住所、氏名を明らかにしていない。したがつて、右納税者と原告との立地条件の優劣、営業経験年数の多少、経営規模の大小、営業形態の異同(店頭販売が主か、外売りが主か)について全く不明であり、それらによつて、原価率、一般経費率にかなり影響を及ぼすことに明らかであるから、右納税者を基礎とする本件推計は合理性がない。6 同2の(五)の事実のうち、(5)の専従者控除は誌めるが、その他は否認する。7 同2の(六)の事実は全部否認する。8 同2の(七)の主張は争う。第三証拠関係(省略)○ 理由一請求原因1の事実は当事者間に争いがない。二原告は、被告が全商連の組織破壊を目的として本件更正処分を行なつた旨主張するので、まず、この点につき検討する。証人Dの証言、原告本人尋問の結果(但し、後記認定に反する部分を除く)を総合すれば、原告は下京民商会員であつたこと、下京税務署のD事務官は、昭和四三年夏な 張するので、まず、この点につき検討する。証人Dの証言、原告本人尋問の結果(但し、後記認定に反する部分を除く)を総合すれば、原告は下京民商会員であつたこと、下京税務署のD事務官は、昭和四三年夏ないし秋頃南区吉祥院の原告店舗を税務調査のため訪れたが、原告が不在であつたので、家族に次の調査日を伝えて退出し、右連絡済の調査日に同店舗を訪れ、原告の父Eと面接したこと、右EはD事務官に対し「原告は留守であるが、帳簿は自分が記帳し、税金関係も自分が処理しているので、よろしく頼む。 果(但し、後記認定に反する部分を除く)を総合すれば、原告は下京民商会員であつたこと、下京税務署のD事務官は、昭和四三年夏ないし秋頃南区吉祥院の原告店舗を税務調査のため訪れたが、原告が不在であつたので、家族に次の調査日を伝えて退出し、右連絡済の調査日に同店舗を訪れ、原告の父Eと面接したこと、右EはD事務官に対し「原告は留守であるが、帳簿は自分が記帳し、税金関係も自分が処理しているので、よろしく頼む。」と述べたこと、同事務官は原告方の家族の状況や記帳の程度について質問したこと、及びその後本件更正処分のなされたことがそれぞれ認められ、原告本人尋問の結果中右訟定に反する部分は信用できず、池に右認定を左右するに足りる証拠はない。しかし、右認定の事実から右調査及びこれに基づく本件更正処分が民商弾圧を目的としたものと断定することはできず、その点に関する原告の主張は採用できない。三次に、原告は、本件更正処分が違法な調査に基づくものであることを理由に、右更正処分の取消を求めるので、右調査の適否につき検討する。国税通則法二四条、所得税法二三西条一項は、税務職員が更正処分等一定の処分を行なうに際し税務調査としての質問検査をなしうる旨規定しているところ、右質問検査の細目については実定法上なんら規定されていないから、質問検査の範囲、程度、時期、場所等については、質問検査の必要性と相手方の私的利益との比較衡量において社会通念上相当と認められる範囲内である限り税務職員の合理的な選択に委ねられていると解すべきである。したがつて、税務調査の日時、場所を被調査者に対して事前に通知せず、あるいは、納税者の同意なしにその取引先、銀行等に対していわゆる反面調査を実施し、さらに調査の具体的必要性、理由を と解すべきである。したがつて、税務調査の日時、場所を被調査者に対して事前に通知せず、あるいは、納税者の同意なしにその取引先、銀行等に対していわゆる反面調査を実施し、さらに調査の具体的必要性、理由を被調査者に開示しなかつたとしても、それらが社会通念上相当な範囲内において実施された場合には、適法な税務調査であるといわなければならない。これを本件についてみるに、前記認定事実によれば、D事務官が二回目原告店舗を訪れた際、応対に出た原告の父が右のように述べていることからみて、同事務官が原告の所得税確定申告の調査の目的で訪れたことを承知していたと解されるから、一応の理由開示はなされており、また、同事務官が一回目原告店舗を退出する際に次に税務調査する日を家族の者に伝え、そのとおりの日に原告店舗を訪れているから、本件における原告に対する直接の税務調査につきその日時を予め通知していたものといわなければならない。 を訪れた際、応対に出た原告の父が右のように述べていることからみて、同事務官が原告の所得税確定申告の調査の目的で訪れたことを承知していたと解されるから、一応の理由開示はなされており、また、同事務官が一回目原告店舗を退出する際に次に税務調査する日を家族の者に伝え、そのとおりの日に原告店舗を訪れているから、本件における原告に対する直接の税務調査につきその日時を予め通知していたものといわなければならない。したがつて、本件調査が社会通念上相当な限度を逸脱しているものと認めることはできない。また、右各証拠によれば、D事務官が二回目原告店舗を訪れ、原告の父に記帳の程度について質問し、帳簿の提示を求めたところ、丁度そのとき民商の役員と称する者があらわれ、同事務官に対し「お前は誰だ、F判決を知つておるのか、馬鹿者。」と大声で怒鳴り、Eもこれに同調する態度をとり、以後質問や帳簿の提示等調査が全くできなかつたこと、そこで、被告はやむなく取引先等に対して原告との取引について調査をしたことが認められ、原告本人尋問の結果中右認定に反する部分はたやすく信用できず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。右の経過からすれば、被告が反面調査を実施するについて原告の同意を得ていないものの、これをもつて直ちに社会通念上相当な限度を逸脱した調査であるとはいえない。以上の点 定を左右するに足りる証拠はない。右の経過からすれば、被告が反面調査を実施するについて原告の同意を得ていないものの、これをもつて直ちに社会通念上相当な限度を逸脱した調査であるとはいえない。以上の点に関する原告の主張も理由がない。四原告は、本件更正処分の通知書に理由が付記されておらず、更正理由の開示要求に対して被告がこれに応じなかつたことをもつて違法であると主張するので、この点につき判断する。弁論の全趣旨によれば、原告は本件係争年分の所得税確定申告につき青色申告書を提出する旨の承認を受けていない、いわゆる白色申告であつたことが認められ、本件更正処分の通知書に処分理由が付記されていないことは当事者間に争いがない。そして、所得税法四五条二項(昭和三九年当時施行のもの、以下同じ。)は青色申告について更正した場合にのみ、その通知書に理由を付記すべきものと規定し、白色申告について更正した場合には所得別の金額を付記するだけで足りるとしている(四四条二項)から、本件更正処分の通知書に理由が付記されていなくても、それだけで右更正処分が違法となるものではない。 通知書に処分理由が付記されていないことは当事者間に争いがない。そして、所得税法四五条二項(昭和三九年当時施行のもの、以下同じ。)は青色申告について更正した場合にのみ、その通知書に理由を付記すべきものと規定し、白色申告について更正した場合には所得別の金額を付記するだけで足りるとしている(四四条二項)から、本件更正処分の通知書に理由が付記されていなくても、それだけで右更正処分が違法となるものではない。すなわち、右法条の趣旨は、一方、多量の事案を比較的短期間で処理しなければならない更正処分について、すべて処分理由の付記を要求することは課税の能率、微税事務の円滑等の見地から不適切であることを考慮し、他方、帳簿備付、記帳、確定申告における明細書添付等の義務を負う青色申告者を優遇し、青色申告の普及を促進する点をも考慮した結果、更正処分の際の理由付記を青色申告に限定して要求したものと解するのが相当である。したがつて、白色申告に対する更正処分に理由を付記しないことはなんら違法ではなく、また、被告が右更正処分の理由を開示すべき義務もないといわなければならないので、この点についての原告の主張も理由がない。たがつて、白色申告に対する更正処分に理由を付記しないことはなんら違法ではなく、また、被告が右更正処分の理由を開示すべき義務もないといわなければならないので、この点についての原告の主張も理由がない。なお、被告が本件更正処分の理由について、本訴においてもその主張、立証をしていないことは一件記録上明らかであるが、本件訴訟の対象は課税標準、税額の存否であり、更正処分時のそれに限定されるべきものではないから、内容の当否の判断をなすまでもなく本件更正処分は取消されるべきであるとの原告の主張は採用できない。もつとも、全く調査や審査もしない、いわゆる見込課税の場合には、課税権の濫用となる余地があるが、本件ではそのような事情を窺わせるに足りる資料はない。五さらに、原告は、本件更正処分のうち、総所得金額が申告額を超える部分は、被告の過大認定であつて違法である旨主張するので、以下この点について判断する。1 売上原価について成立に争いのない乙第二七、第二九号証、官署作成部分について成立に争いなく、その余の部分については証人Gの証言により成立を認める乙第九、第一一、第一三、第一五、第一七、第一九、第二三、第二四、第二八号証、官署作成部分について成立に争いなく、その余の部分については証人Dの証言により成立を認める乙第二一、第二二号証、同証言により成立を認める乙第二五、第二六号証並びに右各証言によると、原告店舗の昭和四一年分の売上原価は一三八一万三五七〇円、昭和四二年分のそれは二二八六万七三六〇円であり、その内訳は、昭和四一年分の相互電気Aを四五〇万円とし、同年分の京都ナシヨナル電器販売株式会社を除くほか被告主張(事実摘示三の2の(二)の(1)及び(三)の(1))のとおりであることが認められる。 成立を認める乙第二一、第二二号証、同証言により成立を認める乙第二五、第二六号証並びに右各証言によると、原告店舗の昭和四一年分の売上原価は一三八一万三五七〇円、昭和四二年分のそれは二二八六万七三六〇円であり、その内訳は、昭和四一年分の相互電気Aを四五〇万円とし、同年分の京都ナシヨナル電器販売株式会社を除くほか被告主張(事実摘示三の2の(二)の(1)及び(三)の(1))のとおりであることが認められる。右京都ナシヨナル電器販売株式会社の一一万九七七八円はこれを認 の京都ナシヨナル電器販売株式会社を除くほか被告主張(事実摘示三の2の(二)の(1)及び(三)の(1))のとおりであることが認められる。右京都ナシヨナル電器販売株式会社の一一万九七七八円はこれを認めるに足りる証拠がない。2 売上金額について被告は、原告の売上金額を算出するについて、売上原価を同業者二五名(主位的主張)、あるいは三名(予備的主張)の本件係争年分の平均原価率で除すという推計方法をとつているので、その適否について判断する。(一) 推計の必要性についておよそ、所得課税は可能な限り所得の実額によるべきものであるから、所得の推計による課税は、納税者が信頼できる帳簿等を備えておらず、また、課税庁の調査に対して非協力的な態度をとるなどのため、課税庁において所得の実額を把握できないときに、はじめて許容されるものといわなければならない。これを本件についてみるに、原告が被告に提出した本件係争年分の各所得税の確定申告書には、事業所得金額の計算の基礎となる収入金額、必要経費額の記載がなく、原告が収入金額等をいくらと計算したものかが明らかでなかつたことは原告の明らかに争わないところであり、前記二及び三において認定した事実によれば、下京税務署のD事務官は原告店舗へ調査に赴いた際立会つた民商役員から馬鹿者呼ばわりされ、質問や帳簿の提示を求めることができなかつたことが明らかであるから、原告の所得金額を認定するための有力な資料である帳簿書類の提示等が正当な理由もなく拒否され、他に所得の実額を把握するに足りる資料の存しない本件において、被告が推計により原告の本件各係争年分の総所得額を算定する必要があると判断したことは適法であるといわなければならない。(二) 推計の合理性についてまた、推計課税が適法であるためには、右に述べた推計の必要性のほかに、採用し かつたことが明らかであるから、原告の所得金額を認定するための有力な資料である帳簿書類の提示等が正当な理由もなく拒否され、他に所得の実額を把握するに足りる資料の存しない本件において、被告が推計により原告の本件各係争年分の総所得額を算定する必要があると判断したことは適法であるといわなければならない。(二) 推計の合理性についてまた、推計課税が適法であるためには、右に述べた推計の必要性のほかに、採用し 件各係争年分の総所得額を算定する必要があると判断したことは適法であるといわなければならない。(二) 推計の合理性についてまた、推計課税が適法であるためには、右に述べた推計の必要性のほかに、採用した推計方法自体に合理性があり、推計の基礎とした事実の選択が事案にとつて適切であること、すなわち推計の合理性を必要とする。本件についてこれをみるに、証人Gの証言によつてその成立を認める乙第三〇ないし第三三号証、証人Gの証言によれば、大阪国税局長は、本件訴訟の資料に供する目的で昭和五〇年六月二五日付で被告と宇治税務署長に対して通達をなし、下京税務署管内、宇治税務署管内に納税地を有し、家庭用電気器具小売業を営む個人事業者で本件係争年分につき被告主張の要件(事実摘示三の2の(四)の(1)ないし(4))に該当する者の全部につき報告を求めたこと、これに対して被告及び宇治税務署長はこれらの者を調査、抽出したうえ、被告は同月三〇日付で、宇治税務署長は同月二八日付で大阪国税局長が右通達で指定した要件を充足する同業者全部として、前者は二〇名、後者は五名の各住所、氏名、売上金額、売上原価、一般経費額、原価率(売上原価を売上金額で除したもの)、一般経費率(一般経費額を売上金額で除したもの)を記載した報告書(乙第三二、第三三号証)を作成のうえ、大阪国税局長に提出したこと(別紙二、三記載のとおり)、被告及び宇治税務署長は右報告書の提出に際し、納税者の秘密保持の見地から、右報告書を裁判所へ提出する場合は当該納税者の住所、氏名を明らかにしないよう申し添え、被告も本件訴訟において右同業者の住所、氏名を明らかにしていないこと、被告は右報告書に基づき同業者二五名の平均原価率を算出し、原告の売上原価を右平均原価率で除して原告の売上金額を推計したこと(主位的主張)が認められ、右認定 同業者の住所、氏名を明らかにしていないこと、被告は右報告書に基づき同業者二五名の平均原価率を算出し、原告の売上原価を右平均原価率で除して原告の売上金額を推計したこと(主位的主張)が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 かにしていないこと、被告は右報告書に基づき同業者二五名の平均原価率を算出し、原告の売上原価を右平均原価率で除して原告の売上金額を推計したこと(主位的主張)が認められ、右認定 同業者の住所、氏名を明らかにしていないこと、被告は右報告書に基づき同業者二五名の平均原価率を算出し、原告の売上原価を右平均原価率で除して原告の売上金額を推計したこと(主位的主張)が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。右認定事実によれば、被告は同業者二五名を無作為、機械的に選択したものであるから被告の恣意が介入する余地は少なく、これを選択するについても、場所的には原告の店舗の存する下京税務署管内と宇治税務署管内のうち宇治市及びこれに隣接する市町村に限定するなど、前記のような要件を設けているのであるから、原と右同業者との間における業態の同一性、営業規模の類似性について一応考慮を払つたといえるし、また、青色申告者はその営業に関する帳簿書類を備付け、事業所得に関する取引を正確に記帳するものであるから、右同業者二五名の収入金額等も正確に算出されたものというべく、これを基礎にして他の同業者の所得金額を推計することは一概に合理性を欠くものとはいえない。原告は、右同業者はいずれもその住所、氏名が明らかでないから、原告との立地条件の優劣、営業経験年数の多少、経営規模の大小、営業形態の異同等について全く不明であり、それらによつて原価率にかなり影響を及ぼすことは明らかであるから、右同業者の売上金額等を基礎資料とする推計には合理性がないと主張するが、同業者の住所、氏名を明らかにしない資料を基礎とする推計は、原告と同業者との間の立地条件の優劣等前記諸条件について反証をあげることを困難にする点の存することは否定しえないところであるけれども、所得税法二四三条は「所得税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者が、その事務に関して知ることのできた秘密を漏らし」た場合には刑罰に処する旨規定しており、個別に同業者の同意を得ることなく同業者の 「所得税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者が、その事務に関して知ることのできた秘密を漏らし」た場合には刑罰に処する旨規定しており、個別に同業者の同意を得ることなく同業者の売上金額、原価、経費、差引所得金額等と共にその住所、氏名を公表することはできないのであるから、他に秘密を保持しつつ同業者の原価率を立証すべき適切な資料も見当らないので、同業者の住所、氏名を明らかにしない資料に依拠することもやむをえないところであるし、被告において個別に同業者の立地条件、営業実績等を調査するなどして原告との類似性を個別的に主張立証する必要がある場合には、右の類似性につき原告において反論し反証をあげることは不可能ではないのみならず、原告において別の推計方法を主張し、あるいは原告側に存在するとみられる帳簿、伝票等を提示して容易に反証をなしうる途もあるから、同業者の住所、氏名を明らかにしないとの一事によつて、右のような推計を不合理なものということはできない。 の立地条件、営業実績等を調査するなどして原告との類似性を個別的に主張立証する必要がある場合には、右の類似性につき原告において反論し反証をあげることは不可能ではないのみならず、原告において別の推計方法を主張し、あるいは原告側に存在するとみられる帳簿、伝票等を提示して容易に反証をなしうる途もあるから、同業者の住所、氏名を明らかにしないとの一事によつて、右のような推計を不合理なものということはできない。しかしながら、別紙二、三に記載された同業者二五名を個別的にひとりひとりを仔細に検討すれば、売上原価について、昭和四一年分は最高が二三〇七万九五三〇円、最低が九一万八九三五円で両者の間に約二五倍の差異があり、昭和四二年分は最高が二八八六万五〇三八円、最低が五七万八六一〇円で両者の間に約五〇倍の差異がみられるし、原価率についても両年分を通じて最高は九二・四〇、最低は四五・〇三で相当の開きがあり、これらの事実から推察すると、二五名の同業者の中には営業規模、形態、条件において原告とかなり相異のある者が含まれていると考えられるので、右二五名の原価率をそのまま単純に算術平均した数値をもつて原告にあてはめることは、いささか不合理であるといわなければならない。そこで、被告の予備的主張について判断 者が含まれていると考えられるので、右二五名の原価率をそのまま単純に算術平均した数値をもつて原告にあてはめることは、いささか不合理であるといわなければならない。そこで、被告の予備的主張について判断するに、成立について当時者間に争いのない乙第四号証の一、証人Gの証言により原本の存在と成立が認められる乙第四号証の二ないし七、証人Gの証言、原告本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、被告は、前記のようにして抽出された二五名の同業者の中から、それらの者から提出されている各決算書等を調査検討したうえ、さらに、(1)原告と同様の、主たる販売先が近年の一般消費者で(特定の得意先に対する売上が総売上の三〇%以下のものをいい、当時原告の両店舗はいずれも開店後間がなく主たる販売先は店舗近在の一般消費者であつた。)、かつ、(2)月賦販売会社を通じての販売がないか、もしくは僅少であり(月賦販売手数料が総売上の三%未満のもの。)、(3)従事員数が原告(五名)と同じ程度の二名ないし六名で、(4)昭和四一年分の売上原価が原告のそれの五〇%ないし一五〇%の範囲内にあるという要件を備えた同業者として別紙四記載の三名(別紙二の1、2、4と同一)を選択したことが認められ、右認定に反する証拠はない。 在の一般消費者であつた。)、かつ、(2)月賦販売会社を通じての販売がないか、もしくは僅少であり(月賦販売手数料が総売上の三%未満のもの。)、(3)従事員数が原告(五名)と同じ程度の二名ないし六名で、(4)昭和四一年分の売上原価が原告のそれの五〇%ないし一五〇%の範囲内にあるという要件を備えた同業者として別紙四記載の三名(別紙二の1、2、4と同一)を選択したことが認められ、右認定に反する証拠はない。右の事実によれば、右のようにして選択された同業者三名は、いずれも営業規模、形態、条件において統一性があり、原告のそれと類似していることがうかがわれるので、原告の所得を算定する基準となるべき同業者として取扱うことに合理性があるといわなければならない。尤も、原告本人尋問の結果によれば、原告は京都市<以下略>と宇治市<以下略>に店舗を設けて家庭用電気器具小売業を始めた際、前者の店舗において、付近の新幹線敷地から集団的に立退いてきた約七〇世帯の人々らに、後日冷蔵庫等大きな商品を買つ 告は京都市<以下略>と宇治市<以下略>に店舗を設けて家庭用電気器具小売業を始めた際、前者の店舗において、付近の新幹線敷地から集団的に立退いてきた約七〇世帯の人々らに、後日冷蔵庫等大きな商品を買つてもらうことの宣伝として約六〇〇万円相当の照明器具を安売りし、斡旋料として一・五%位の金員を取得した事実が認められるが、それが昭和三九年、又は同四〇年てあつたか、あるいは本件係争年である同四一、四二年であつたかについて明確ではなく、仮に本件係争年であるとしても、一時期右のような安売りをすることは通常の経営方法として考えられるところであり、また、原告本人はその頃主として訪問販売の形態をとつていたと供述するが、原告が店舗を設置して販売していたことは前記認定のとおりであり、店舗販売のかたわら訪問販売をもすることは一般にみられるところであり、そのような同業者は他にも存在すると考えられるから特に異とするに足らず、他に被告主張の平均原価率による推計方法を不合理ならしめる程顕著な営業形態をとつていることを認めるに足りる証拠もない。(二) 売上金額についてそうだとすると、前記乙第三二号証によれば同業者三名の平均原価率は昭和四一年分については八三・〇〇%、昭和四二年分については八三・八七%である(いずれも小数点三位を切上げ、以下同じ。 ろであり、そのような同業者は他にも存在すると考えられるから特に異とするに足らず、他に被告主張の平均原価率による推計方法を不合理ならしめる程顕著な営業形態をとつていることを認めるに足りる証拠もない。(二) 売上金額についてそうだとすると、前記乙第三二号証によれば同業者三名の平均原価率は昭和四一年分については八三・〇〇%、昭和四二年分については八三・八七%である(いずれも小数点三位を切上げ、以下同じ。)と認められるから、昭和四一年分の売上金額は前記1において認定した売上原価一三八一万三五七〇円を右八三・〇〇%で除した一六六四万二八五五円となり、昭和四二年分のそれは前記1において認定した売上原価二二八六万七三六〇円を右八三・八七%で除した二七二六万五二四三円となる。3 一般経費について被告は、原告の一般経費を算出するについて、主位的主張として売上金額に同業者二五名の、また予備的主張として同業者三名の本件係争年分の各平均一般経 た二七二六万五二四三円となる。3 一般経費について被告は、原告の一般経費を算出するについて、主位的主張として売上金額に同業者二五名の、また予備的主張として同業者三名の本件係争年分の各平均一般経費率を乗ずるという推計方法をとつているので、その適否について判断するに、推計の必要性、合理性については、右売上金額について述べたところと同趣旨である。そうだとすると、前記乙第三二号証によれば、同業者三名の平均一般経費率は昭和四一年分については五・九三%、昭和四二年分については五・八〇%であると認められるから、昭和四一年分の一般経費は前記2において認定した同年の売上金額一六六四万二八五五円に右五・九三%を乗じた九八万六九二二円となり、昭和四二年分のはそれは同年の売上金額二七二六万五二四三円に右五・八〇%を乗じた一五八万一三八四円となる。4 雑収入(リベート)について官署作成部分については成立に争いなく、その余の部分については証人Gの証言により成立を認める乙第一〇、第一二、第一四、第一六、第一八、第二〇、第二三、第二四号証によると、昭和四一年分のリベートは合計一〇万四五八一円、昭和四二年分のそれは四九万九六六〇円で、その各内訳は被告主張(事実摘示三の2の(二)の(4)及び同(三)の(4))のとおりであることが認められる。5 専従者控除額について昭和四一年分の専従者控除額が一四万二五〇〇円であることについては当事者間に争いがない。 言により成立を認める乙第一〇、第一二、第一四、第一六、第一八、第二〇、第二三、第二四号証によると、昭和四一年分のリベートは合計一〇万四五八一円、昭和四二年分のそれは四九万九六六〇円で、その各内訳は被告主張(事実摘示三の2の(二)の(4)及び同(三)の(4))のとおりであることが認められる。5 専従者控除額について昭和四一年分の専従者控除額が一四万二五〇〇円であることについては当事者間に争いがない。6 事業所得金額について以上認定したところによれば、昭和四一年分の事業所得金額は、同年の売上金額から売上原価、一般経費及び専従者控除額を差引き、それに雑収入を加えた一八〇万四四四四円となり、昭和四二年分のそれは同年の売上金額から売上原価及び一般経費を差引き、それに雑取入を加えた三三一万六一五九円となる。六以上に び専従者控除額を差引き、それに雑収入を加えた一八〇万四四四四円となり、昭和四二年分のそれは同年の売上金額から売上原価及び一般経費を差引き、それに雑取入を加えた三三一万六一五九円となる。六以上によれば、原告の昭和四一年分の所得金額は一八〇万四四四四円となるから、その範囲内(前記のとおり裁決によつて一部取消された後の額)でなされた同年の本件更正処分は違法ではなく、また、原告の昭和四二年分の所得金額は三三一万六一五九円となるから、その範囲内(右同)でなされた同年の本件更正処分も違法ではない。よつて、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官上田次郎孕石孟則安原清蔵)別紙一昭和四一年分昭和四二年分(一) 四八万七八三〇円五九万九〇〇〇円(二) 一万〇九七〇円一万九八〇〇円(三) 二〇二万三二二〇円二九七万三六五五円(四) 三三万五〇〇〇円六〇万〇一〇〇円(五) 一四七万四一一五円二三〇万六六五六円(六) 一八万六一〇〇円四〇万四二〇〇円<略>
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