昭和53(オ)55 建物収去土地明渡

裁判年月日・裁判所
昭和53年7月17日 最高裁判所第二小法廷 判決 その他 福岡高等裁判所 昭和50(ネ)66
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【DRY-RUN】主    文      原判決中、建物収去土地明渡及び昭和五二年二月四日から右土地明渡ず みまでの損害金の各請求に関する部分を破棄し、右部分につき本件を福岡高等裁判 所に差し戻す。      上告人の

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判決文本文2,440 文字)

主    文      原判決中、建物収去土地明渡及び昭和五二年二月四日から右土地明渡ず みまでの損害金の各請求に関する部分を破棄し、右部分につき本件を福岡高等裁判 所に差し戻す。      上告人のその余の上告を棄却する。      前項の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人安田幹太、同安田弘の上告理由一について  所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審 の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するこ とができない。  同二ないし五について  原審は、上告人が借地法一〇条に基づく建物買取請求権を行使した当時、本件建 物は建築以来ほぼ四〇年を経過し、取引上の価値を有しなかつたとの事実を認定し、 このような建物について建物買取請求権を認めるのは相当でないから、上告人のし た建物買取請求権行使の意思表示は無効であるとして、被上告人らの建物収去土地 明渡の請求を認容するとともに、本件土地の不法占拠による損害金の請求を建物買 取請求権行使の翌日である昭和五二年二月四日以降の分についても認容した。そし て、右事実認定に関して原判決が挙示する唯一の証拠である鑑定人Dの鑑定書(以 下「本件鑑定書」という。)には、「本件建物は建築されてから四〇年程度経過し ている。」との記載及び「建物を現状のまま一括して使用しようとする者に売却す る場合を仮定し、その相当売買価格」の鑑定評価額として、「借地権のない場合  0円」との記載がある。 - 1 -  しかしながら、医師である上告人が本件建物で医院を開業中であることは原審の 適法に確定するところであり、本件鑑定書には、本件建物は、維持管理が良好であ つて、建物の 0円」との記載がある。 - 1 -  しかしながら、医師である上告人が本件建物で医院を開業中であることは原審の 適法に確定するところであり、本件鑑定書には、本件建物は、維持管理が良好であ つて、建物のデザイン及び外観の旧式化や医院として多数の人が来集することから 要求される安全性の確保をしんしやくした社会的耐用年数を考慮しても、なお一〇 年の残存耐用年数を有し、借地権があると仮定した場合、建物を現状のまま一括し て使用する者に売却するときの相当売買価格は、建物の再調達原価に減価償却を施 して算出した七〇二万八〇〇〇円とするのが相当であり、また、借地権の価格は二 九二一万一〇〇〇円である旨の記載があるのであり、借地権がない場合の相当売買 価格の鑑定評価額を零円とする理由としては、建物を解体撤去するのが妥当で、古 材は解体費用に満たない旨の記載があるにすぎず、解体撤去を妥当とする根拠の記 載はない。本件鑑定書の以上のような記載を総合して考察すると、本件建物の残存 耐用年数はなお一〇年あるというのであり、借地権があるとすれば取引が可能であ ることを前提として、その場合の相当売買価格が算定、評価されているのであるか ら、借地権がない場合に解体撤去を妥当とする根拠が、建物自体の朽廃等を理由と するものでないことは明らかであり、他に特段の事情のない限り、それは、存立の 基盤となる土地の使用権を欠く建物は解体撤去のほかはないとの考慮に基づくもの と推測するほかはない。ところが、借地法一〇条の建物買取請求権が行使されると、 建物はその敷地につき使用権原を有する者の所有となり、建物としてその存立を続 けることができる状態となるのであるから、この場合に、建物を取得する者が敷地 の使用権原を取得することができない場合の取引を想定し、その一般取引社会にお ける取引上の価値が零であるというだけで、買 を続 けることができる状態となるのであるから、この場合に、建物を取得する者が敷地 の使用権原を取得することができない場合の取引を想定し、その一般取引社会にお ける取引上の価値が零であるというだけで、買取請求の目的となつた建物の時価を 零と算定して建物買取請求権の成立を否定するのは相当でない。したがつて、原審 が、同条の建物買取請求権の成否を判断するにあたり、本件鑑定書に前記のような 各記載があるにもかかわらず、本件建物が建築後四〇年を経過したものであり、借 - 2 - 地権がない場合の相当売買価格は雫円である旨の記載部分があることから、他に特 段の理由を説示することもなしに、右記載部分のみを採用して本件建物を取引上無 価値であると認め、建物買取請求権の成立を否定したのは、借地法一〇条の解釈を 誤つた結果、採証法則に違背し、ひいて理由不備、理由齟齬の違法に陥つたものと いうべきであり、この違法は、原判決中、建物収去土地明渡の請求及び昭和五二年 二月四日以降の損害金の請求を認容した部分に影響を及ぼすことが明らかであるか ら、論旨は理由があり、原判決中右の部分は破棄を免れない。そして、本件建物買 取請求権行使の効果について更に審理を尽くさせるため、右部分につき本件を原審 に差し戻すのが相当である。  よつて、民訴法四〇七条、三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官 全員一致の意見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第二小法廷          裁判長裁判官    本   林       讓             裁判官    大   塚   喜 一 郎             裁判官    吉   田       豊             裁判官    栗   本   一   夫 - 3 -         裁判官    吉   田       豊             裁判官    栗   本   一   夫 - 3 -

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