昭和57(う)302 議員における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和59年4月27日 東京高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-20353.txt
🤖 AI生成要約2026/3/13

【DRY-RUN】目  次  主   文  理   由  (略語例について)  第一 控訴趣意第一(不法に公訴を受理した等の主張)について  (弁護人の主張)   一 証人喚問決定の憲法一四条違反   二 証人喚問権の

タグ

キーワード(AI生成)

判決文本文108,121 文字)

目次 主文 理由 (略語例について)第一控訴趣意第一(不法に公訴を受理した等の主張)について(弁護人の主張)一証人喚問決定の憲法一四条違反二証人喚問権の主体の問題三告発と会期不継続の原則との関係等四告発した委員会の目的と権限五告発状の形式及び内容等六証人尋問の実施方法の違法七予算審査権の犯罪捜査目的による濫用(当裁判所の判断)一憲法一四条違反の主張について二証人喚問権の主体の問題について三告発と会期不継続の原則との関係等について四告発した委員会の目的と権限について五告発状の形式及び内容等について六証人尋問方法の不当性を主張する点について七予算審査権を犯罪捜査目的で濫用したとの主張について八結論第二控訴趣意第二(証拠調における訴訟手続の法令違反の主張)について一証拠能力のない嘱託証人尋問調書を証拠に採用したとの主張(弁護人の主張) 1 外国に対する嘱託証人尋問の一般的違法性 2 本件嘱託証人尋問手続施行上の具体的違法性(一) 嘱託権限の欠如(二) 米国法上の嘱託証人尋問の要件の欠如(三) 嘱託尋問の実施方法における違法(四) 証言に対する免責付与についての違法 3 嘱託証人尋問の際予定された使用目的の逸脱 4 刑訴法三二一条一項三号書面該当性の判断の誤り 5 本件証言調書の採用後の取調方法の違法(当裁判所の判断) 1 外国に対する嘱託証人尋問の一般的違法性の主張について 2 本件嘱託尋問手続施行上の具体的違法性の主張について(一) 嘱託権限の欠如の主張について(二) 米国法上の要件の欠如の主張について(三) 尋問実施方法の違法の主張について( 2 本件嘱託尋問手続施行上の具体的違法性の主張について(一) 嘱託権限の欠如の主張について(二) 米国法上の要件の欠如の主張について(三) 尋問実施方法の違法の主張について(四) 証言に対する免責付与について(1) 不起訴宣明がなされた経緯等(2) 不起訴宣明の性質及び効力について(3) 不起訴宣明による証言の取得と国内法との関係 3 証言調書の使用は嘱託の目的外であるとの主張について 4 刑訴法三二一条一項三号書面該当性を争う主張について 5 証言調書の採用後の取調方法の違法の主張について二証拠能力のない証拠物等を証拠に採用したとの主張(弁護人の主張)(当裁判所の判断)第三控訴趣意第三(被告人がA1に対しL-〇一一型機の購入を從慂した関係の訴因についての主張)について一理由不備ないし理由そごの主張(弁護人の主張)(当裁判所の判断)二被告人の国会証言の趣旨に関する事実誤認(弁護人の主張)(当裁判所の判断)三從慂行為の事実認定上の事実誤認(弁護人の主張) 1 從慂に至る動機についての誤認(一) B1証言とハワイ会談の情報収集依頼の件(二) 被告人の検面供述と前記情報収集を依頼された件 2 從慂行為の有無についての事実誤認(一) A1と被告人の各検面供述の信用性(二) 他人の話の伝達と「從慂」の評価(当裁判所の判断) 1 從慂に至る動機についての誤認の主張について(一) B1のハワイ会談に関する情報収集依頼の供述について(二) 情報収集依頼に関する被告人の検面供述について 2 從慂行為の有無について(一) ハワイ会談における話合の内容と本件從慂行為との関係について(二) A1の検面供述の信用性について(三) 報収集依頼に関する被告人の検面供述について 2 從慂行為の有無について(一) ハワイ会談における話合の内容と本件從慂行為との関係について(二) A1の検面供述の信用性について(三) 被告人の検面供述の任意性・信用性について(四) 慫慂行為とはならないとの主張について(五) 結論第四控訴趣意第四(被告人がB1からP3C型機売込の援助を要請された関係の訴因についての主張)について一理由不備ないし理由そごの主張(弁護人の主張)(当裁判所の判断)二 「四者会談」に関する事実誤認の主張(弁護人の主張) 1 偽証の前提となる客観的事実の誤認 2 国会証言部分の虚偽陳述の犯意の誤認(当裁判所の判断) 1 偽証の前提となる客観的事実の誤認の主張について(一) 「四者会談」の時期と社有自動車行動表の記載(二) 「四者会談」とB2日記による裏付けの有無(三) 「四者会談」の認定の可否 2 予備的検討第五控訴趣意第五(被告人がa国際空港で二〇万ドルを受領した関係の訴因についての主張)について一国会証言の趣旨に関する理由不備ないし事実誤認(弁護人の主張)(当裁判所の判断二二〇万ドル受領の事実認定における事実誤認(弁護人の主張)一 B2の本件授受に関する証言の信用性について 2 B1証言の信用性について 3 C1及びC2の供述の信用性について 4 支払原因の不存在等 5 本件二〇万ドルとC3の報酬等との関係 6 本件授受の時間的可能性 7 被告人の同行者らの供述(当裁判所の判断) 1 B2の供述の信用性について(一) 一般的信用性を認めるべき事情(二) B2の本件授受に関する供述の内容(三) D1の大陪審証言調書の供述(四) 授受の前後 裁判所の判断) 1 B2の供述の信用性について(一) 一般的信用性を認めるべき事情(二) B2の本件授受に関する供述の内容(三) D1の大陪審証言調書の供述(四) 授受の前後にわたる状況について(五) B2日記の本件授受当日の記載等について(六) 弁護人の主張する偽装工作説とB2証言を裏付ける客観的証拠の有無について(七) C3領収証の作成の真否について(八) 授受後の金員の動きについて(九) その余の弁護人の主張について 2 B1証言及びC2の供述の信用性について 3 結論第六破棄自判の裁判(罪となるべき事実)(証拠の標目)(法令の適用及び量刑の事情)(訴因の一部の無罪理由) 主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役一〇月に処する。 この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。 訴訟費用中、原審における証人A2、同A3、同A1に支給した分の二分の一、及び同証人A4、同A5、同A6、同A7、同A8に支給した分並びに当審における鑑定人C4に支給した分は、被告人の負担とする。 理由 本件控訴の趣意は、弁護人黒澤長登、同鹿道正和、同中利太郎、同長畑裕三、同大沢一郎、同荒川正三郎連名の控訴趣意書に、これに対する答弁は検察官石黒久・、同山本和昭、同飯田英男連名の答弁書に、各記載されたとおりであるから、これらを引用する。 (略語例について)以下においては、次のような略語を使用することがある。 議院証言法議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律外為法外国為替及び外国貿易管理法C5社 C5・コーポレイシヨンL A I C 院証言法議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律外為法外国為替及び外国貿易管理法C5社 C5・コーポレイシヨンL A I C6・インコーポレイテツドLAAL C7全日空 C8株式会社日航 C9株式会社丸紅 C14株式会社コーチヤン B1クラツター B2D1 D1L―一〇一一 L―一〇一一型ジエツト旅客機P 3 C P3C型対潜哨戒機国会証言衆議院予算委員会における証人としての供述何某の証言原審公判廷における証人何某の供述(別件公判における証人としての尋問調書中の供述も含む。)被告人の公判供述被告人の原審公判廷における供述(別件公判における証人としての尋問調書中の供述も含む。)検面調書検察官に対する供述調書、その作成日付は算用数字で年月日を略記する。 検面供述検察官に対する供述調書中の供述コ嘱何巻何頁 B1に対する嘱託証人尋問調書の原文の該当頁ク嘱何巻何頁 B2に関して右と同様摘要中の特別勘定ク嘱四巻に添付された副証二七Dの摘要と称する文書綴中、B2作成のスペシヤル・アカウントと題するメモ(原審で後にそのC11・コピーが独立の証拠として採用されたもの)なお、原審で取調べられた書証・証拠物の引用は、原審における請求番号(書証の場合)または押番号の符号番号(証拠物の場合)をそのまま使用して引用する。 第一控訴趣意第一(不法に公訴を受理した等の主張)について(弁護人の主張)所論は、要するに、被告人の本件 号(書証の場合)または押番号の符号番号(証拠物の場合)をそのまま使用して引用する。 第一控訴趣意第一(不法に公訴を受理した等の主張)について(弁護人の主張)所論は、要するに、被告人の本件衆議院予算委員会における証人喚問手続ないし偽証告発手続には、以下記載の諸点において告発を無効にさせるような瑕疵があり、あるいは証人尋問の実施方法・尋問目的において違法があつて、なされた証言が議院証言法上の適法な証言にあたるとはいえないから、かような瑕疵のある告発を基礎とした本件公訴は、刑訴法三三八条四号により棄却されるべきであつたのに、原判決がその措置に出ないで実体判決をしたのは、同法三七八条二号所定の不法に公訴を受理した場合にあたり、また、適法な証言でない被告人の証言を適法視し、偽証であるとして有罪としたのは、事実を誤認しまたは法令の適用を誤つたものである、というのであり、その理由として次のとおり主張する。 一証人喚問決定の憲法一四条違反前記予算委員会の被告人の証人喚問は、当時のマスコミの報道(C5社の対外不正支払問題に被告人も関与しているとするもの)の影響や、PXL問題に関しC12ら政府与党側政治家に疑惑があるとして証人喚問を主張した野党側議員の動きに対応する与党側議員の党利党略により、右C12ら政治家は喚問されなかつたのに対し、被告人は、そのほとんとが民間人である他の証人らと共に、差別的に証人喚問を決定され、また前記委員会は同じ予算三案の審査に関し、他の問題については多数の者を参考人として喚問しているのに、被告人を証人として喚問した点も不公平であるから、被告人の証人喚問決定自体が憲法一四条の法の下の平等の原則に違反して無効であり、ひいては本件偽証の告発も無効となる。 二証人喚問権の主体の問題国会の証人喚問権の主体は各議院であ 平であるから、被告人の証人喚問決定自体が憲法一四条の法の下の平等の原則に違反して無効であり、ひいては本件偽証の告発も無効となる。 二証人喚問権の主体の問題国会の証人喚問権の主体は各議院であつて、議院の内部機関である常任委員会ではなく、衆議院規則五三条も衆議院内部の手続・規律を定めるのみで国民の権利・義務に効力を及ぼす性質のものではないから、これをもつて議院が常任委員会に証人喚問権を委譲したと解すべきではなく、委員会が証人喚問を決定しても、対外的には議院でこれを認める議決をすることを必要とし、そのうえで議長から証人に決定を伝達する筋合であると解すべきところ、本件被告人の証人喚問については衆議院の議決はされていないから、予算委員会かした喚問決定は無効であり、ひいては本件偽証の告発も無効となる。 三告発と会期不継続の原則との関係等本件証人喚問が実施された第七七回国会においては、被告人の偽証告発問題は予算委員会及び同理事会の議題に上つたが、案件として未決のまま会期が終了したと解する余地があるのに、新たな第七八回国会の予算委員会において被告人に対する告発の動議が提出され、なんら実質的審議もなく可決された経過からすると、右告発の動議はその実質を備えていないもので、前国会の未決の案件をそのまま後国会に継続したと見るべきであるから、本件告発は国会法六八条の会期不継続の原則に違反する疑いがあつて無効である。また、同法四七条二項(懲罰事案の閉会中審査の特例)が改正追加されたことと比較しても、偽証の有無を最もよく判断できるのは当該証言の行なわれた委員会であり、偽証の告発は懲罰以上に重大な事項であるので、告発は当該証言が行なわれた委員会自体によりなされる必要があると解すべきところ、本件告発を行なつた予算委員会の構成員中、被告人の証言した委員会に 会であり、偽証の告発は懲罰以上に重大な事項であるので、告発は当該証言が行なわれた委員会自体によりなされる必要があると解すべきところ、本件告発を行なつた予算委員会の構成員中、被告人の証言した委員会に出席していた者は過半数に足りず、したがつて本件告発は前後の予算委員会の実質的同一性が失われている点で無効である。 四告発した委員会の目的と権限予算委員会の審査権についても、第七七回国会においては予算三案の審査と予算の実施状況に関する国政調査を取り扱つたのに対し、第七八回国会においては後者の国政調査のみを取り扱い、活動範囲が縮少されていたので、前国会の予算審査に関しC5問題について喚問した被告人の証言の偽証告発の問題は、後国会の同委員会の目的の範囲外であつたから、同委員会がした右告発の議決はこの点からしても無効である。 五告発状の形式及び内容等告発の形式についても、本件告発状は衆議院予算委員長C13作成名義となつているが、議院証言法八条本文によると、偽証告発の権限は証人喚問をした委員会にあるから、委員長名義による告発は違法であり、たとい同委員会において告発手続は委員長に一任する旨議決したとしても、告発の主体を委員長に変更することまでは委任できないから、やはり違法な告発であつて無効である。 また、告発状に記載された被疑事実は、「被告発人はトライスターの売り込みについて、C5社のB1社長から依頼があつたので、わかりましたとは言つたがそのまま聞き流しにして誰にも話をしたことはない旨、C5社あるいはC8に関することでC3と話し合つたことはない旨証言したが、これらの証言は偽証の疑いが濃厚である。」というだけであつたのに、本件公訴事実には右告発にかかる事実のほかに、被告人は右B1からP3Cオライオンという言葉を聞いたことは全然ない旨及びC5 言したが、これらの証言は偽証の疑いが濃厚である。」というだけであつたのに、本件公訴事実には右告発にかかる事実のほかに、被告人は右B1からP3Cオライオンという言葉を聞いたことは全然ない旨及びC5社が右C3に支払つた金の一部を受領したことはない旨証言して偽証した点も付加されているところ、三権分立の立場から検察官としては国会の告発にかかる被疑事実を尊重すべきであつて、たとい同一機会における証言中の事実であつても、右告発にかかる被疑事実と異なる事実を付加して起訴することはできないと解すべきであるから、原判決は右付加事実については告発そのものがないとして公訴を棄却すべき旨を主文もしくは判決理由中で示すべきであつたのに、右二つの付加事実について有罪の認定をした点も違法である。 六証人尋問の実施方法の違法被告人の証人尋問の実施方法についても、(イ)あらかじめ本人に尋問事項を知らせることも、証言時までに十分な記憶喚起の時間的余裕を与えることもなく、(ロ)尋問に際し弁護士の補佐を認めるべきであつたのにこれを認めず、(ハ)宣誓及び証言の拒否権の告知が法規上の義務とされておらず、(ニ)尋問の際に誘導尋問、威嚇的・侮辱的尋問等不適当な尋問が続出して被告人をとまどわせ、または答弁に窮せしめたのに、委員長においてなんら制限措置を行なわず、(ホ)被告人の健康状態が不良で、公開の席で尋問に耐えることが困難であつたのに、これに対する配慮もなされず、(ヘ)テレビカメラによる撮影・放送を許可したため、尋問者側はこれを意識して演説口調に終始するなど適切な尋問に欠け、被告人も国民注視の中でさらし者にされて屈辱感を味わされた等の点で、被告人の人権を無視しその正当な防御権を侵害した違法ないし不当があるから、右尋問の結果取得された証言は違法に収集されたもので有効な証言でな 国民注視の中でさらし者にされて屈辱感を味わされた等の点で、被告人の人権を無視しその正当な防御権を侵害した違法ないし不当があるから、右尋問の結果取得された証言は違法に収集されたもので有効な証言でないことに帰し、偽証罪の対象とならない。 七予算審査権の犯罪捜査目的による濫用被告人に対する尋問及び証言の内容からすると、捜査機関の持つ犯罪捜査権を代つて行使することはできない衆議院予算委員会が、自らC5問題の犯罪の捜査に乗り出し、しかも事件に関係のない被告人を証人に喚問して犯罪人のごとく尋問したことが明らかであるが、これは予算委員会の予算審査権を濫用した越権行為であり、違法であるから、被告人の証言は議院証言法が予定する適法な証言には該当せず、その真偽を問わず同法の適用を認めるべきではない。 (当裁判所の判断)一憲法一四条違反の主張について関係証拠によると、本件被告人の証人喚問決定当時のC5事件に関する報道では、B1の米国上院における証言内容から、C5社から日本側で不正に金員の支払を受けた疑いのある人物として、C3、C14のC15・C16・C17のほか、被告人の名も挙げられていたが、右C15らから更に右金員を受けとつたとされる政府高官等の政治家の名は全く出ていなかつたこと、本件喚問決定当日の衆議院予算委員会において、C18委員がいわゆるPXL国産化白紙還元問題とC5社の不正支払問題が関連する疑いがあるとして、C12ほか二名の政治家の証人喚問を要求したが、右疑いは同議員の憶測によるにすぎないと見られ、結局喚問決定には至らなかつたこと、当時の報道によるB1証言の内容からすれば、前記C3に関する巨額の脱税や外為法違反、前記C15らからの政府高官に対する贈賄等の容疑が推測され、米国国会の動きに対応して日本の国会においても、早急にB1証言 の報道によるB1証言の内容からすれば、前記C3に関する巨額の脱税や外為法違反、前記C15らからの政府高官に対する贈賄等の容疑が推測され、米国国会の動きに対応して日本の国会においても、早急にB1証言に名前の出た前記C3以下の人物について事情をただす必要があると考えられたことを認めることができ、右のような情況下では被告人を含む民間人が、ことさら政治家と差別されて証人喚問を決定されたということはできない。また、他の参考人らとの差別という点も、当該参考人らは不況・雇傭問題に関しC19連会長らの意見とか、C20会長のC12前首相邸保釈見舞の事情等、犯罪容疑とは関係のない事柄について喚問されたことが認められ、被告人らの場合とは聴取すべき問題の性質を異にしていたのであるから、一方は証人、他方は参考人という取扱の差が出ても当然であつて、なんら不合理な差別をしたというには当らない。そうすると、被告人の証人喚問決定が憲法一四条に違反するとの主張はその前提を欠くもので採用し難い。 二証人喚問権の主体の問題について原判決も説示するような国会の委員会制度の実情、衆議院規則五三条・議院証言法一条・二条・五条一項・八条等の文言解釈、偽証等の罰則が議院証言法自体に規定されている法形式等からすれば、右規則五三条は、衆議院が証人決定権を含む証人喚問権を内部機関である委員会に委譲し、ただ証人喚問権の行使手続については、外部に対する関係上、議院の代表者である議長を経由させることにした趣旨であると解するのが相当であつて、この点について原判決の説示するところはおおむね相当として是認することができる。所論のように、衆議院自体が証人喚問権の主体であつて、委員会の喚問決定のほかに衆議院の議決を要するものとは解せられないから、この点の所論は失当である。 三告発と会期不継続の 是認することができる。所論のように、衆議院自体が証人喚問権の主体であつて、委員会の喚問決定のほかに衆議院の議決を要するものとは解せられないから、この点の所論は失当である。 三告発と会期不継続の原則との関係等について被告人の証人喚問の行なわれた第七七回国会の予算委員会において、被告人に対する偽証告発の問題がその会期中(閉会中審査を含む)に案件として提出されたことは、本件の証拠上これを認めるべきものがない。所論の国会法六八条の会期不継続の原則は、議案として議院または委員会に上程されたが議決に至らなかつた案件について適用される規定であるから、本件の場合には適用の余地がないというべきである。前国会で審議の対象とならなかつたということが、その問題を後国会で審議することの妨げとなるべき道理はない。原判決のこの関係の説示部分の判断も相当であつてこれを是認することができる。所論は第七七回国会において、被告人の告発の案件が未決のまま終了したと解する余地があるというが、そのように解する余地は認められない。 また、懲罰事案については会期末に生じた場合の処理のため、特に閉会中の審査を認めたものと見られるから、これと偽証告発との比較均衡を論ずるのは相当でない。偽証の判断と告発の判断が同一の委員の構成する委員会でなされるべきであるという点も、それが望ましくはあつても、そうしなければ違法であるというほどの問題ではなく、証人尋問をした委員会と偽証の告発をする委員会が、法律上同一であれば足りると解すべきである。原判決のこの点に関する同趣旨の判断も相当であつて是認てきるから、会期不継続の原則を援用する告発の無効の主張も失当というべきである。 四告発した委員会の目的と権限について所論は、本件告発は後国会では予算委員会の権限外であつたと主張する。しかしながら から、会期不継続の原則を援用する告発の無効の主張も失当というべきである。 四告発した委員会の目的と権限について所論は、本件告発は後国会では予算委員会の権限外であつたと主張する。しかしながら、議院において証人尋問を行なつた委員会は、前記のように議院から証人喚問権の委譲を受けた効果として、当該証人尋問に際して生じた偽証の容疑につき告発をなす固有の権能を有すると解すべきであり、前国会と後国会とで審査案件に変動があつても、右固有の権能は影響を受けないと解するのが相当である。この点の所論も失当というほかはない。 五告発状の形式及び内容等について本件告発状は衆議院予算委員長作成名義であるが、本文には同委員会の決議に基づき告発する旨明記されているから、右告発の行われた際の会議録にも照らし、同委員会が告発の主体であつて、委員長は同委会から告発の手続を一任されてこれを代行したものと解すべきである。原判決のこの点の判断も相当とめられる。また、告発状記載の被疑事実以外に、本件公訴事実にP3C関係と二〇万ドル授受の関係の訴因が付加されているが、これらは一個の宣誓の下に同一機会になされた証言中の各偽証部分であつて、全体的に単純一罪を構成すると考えるべきであるから、告訴告発不可分の原則(刑訴法二三八条一、二項)により、本件告発の効力は本件証言時の証言内容の偽証の点のすべてに及ぶと解すべきである。所の三権分立尊重論も、右原則を排除するほどの特別の事情というには当らない。 原判決が右付加された事実につき公訴棄却をすることなく異体判断をしたことも相当と認められる。よつて、この関係の所論もすべて失当である。 六証人尋問方法の不当性を主張する点について所論の(イ)、(ロ)の点は、刑訴法上の証人尋問でも保障されていない事柄であり、これら及び(ハ)以下の点 。よつて、この関係の所論もすべて失当である。 六証人尋問方法の不当性を主張する点について所論の(イ)、(ロ)の点は、刑訴法上の証人尋問でも保障されていない事柄であり、これら及び(ハ)以下の点も、すべて自律権能を有する国会各議院ないし当該証人尋問を実施する委員会の裁量により決せられるべき事柄であると認められる。(ニ)の尋問方法が不適当であつたという点も、議員のすべてが法律家でない以上、ある程度は相当でない尋問があつてもやむを得ないところである。また、(ニ)、(ホ)、(ヘ)の点については、証拠物である証人尋問の状況を録取したビデオテープ(符52の1・2)を見ても、被告人は内面の状態はともかくとして外見上は、当初は緊張していたが次第に落ちつきを見せ、時には笑顔を見せたこともあり、余裕を持つて尋問に応答していた一面のあることが認められるから、所論のように被告人の人権を無視し、正当な防御権を侵害した尋問方法であつたとはいえない。 もつとも、証人に弁護士の付添(随伴)を認めることは、昭和五四年二月以降の第八七回国会における、C21・C22両社の不正支払問題に関する証人尋問においては実現を見ており、また、本件被告人らに対する証人尋問の質間者の態度ないし尋問方法が必ずしも適切でなかつたことは、尋問に関与した国会議員のうちからも後日反省の弁か述べられるほどであつたが、これらの点は前記のとおり国会が自律権を有する証人尋問の実施方法の相当性の問題であつて、証人尋問の手続の効力に影響を及ぼすものではなく、偽証罪の成立する場合に、その責任判断に際して考慮すべき情状の問題にすぎないというべきである。この点の所論も失当というほかはない。 七予算審査権を犯罪捜査目的で濫用したとの主張について当時一般に報道されていたC5事件の疑惑の情況とその中における被 情状の問題にすぎないというべきである。この点の所論も失当というほかはない。 七予算審査権を犯罪捜査目的で濫用したとの主張について当時一般に報道されていたC5事件の疑惑の情況とその中における被告人の立場を考えれば、被告人の証人喚問には、ある程度犯罪容疑について問いただす一面があつたことは否めないが、国政レベルにおいて、予算審査に関し過去の運輸行政の適否にも関係し、国民の重大関心事であつたC5事件について被告人の関与の有無・程度を問いただすことが主眼であつたと認められ、捜査機関に代つて犯罪捜査を行なう目的で行なわれたとは認められない。右証人尋問の結果、捜査機関において特定の犯罪容疑につき捜査の端緒を得たとしても、それはいわゆる反射的効果にすぎないものというべきである。なお、被告人と事件との関係の有無は、尋問してみなければわからない事柄であるから、事件に関係しているという合理的な疑いさえ存すれば、証人として喚問する必要性が認められるというべきである。本件被告人に対する証人尋問が、内容的に犯罪捜査目的であつて、予算審査権ないし国政調査権を濫用して行なわれたとは認められず、右尋問は適法に行なわれたと認められるから、この点の所論も失当である。 八結論以上判断したとおり、被告人の国会における証人喚問手続ないし偽証告発手続に所論のような瑕疵があつたこと及び証人尋問の実施方法・尋問目的に所論のような違法があつたことは認められないから、原判決が告発の無効を前提とする公訴棄却の措置をとらなかつたこと及び被告人の証言を議院証言法上の適法な証言として取扱つたのは相当であり、また、告発と公訴事実との関係に不一致はないから、公訴事実のすべてにつき実体判断したことも相当であつて、原判決には所論のような違法はないからこの関係の論旨は理由がない。 第二 つたのは相当であり、また、告発と公訴事実との関係に不一致はないから、公訴事実のすべてにつき実体判断したことも相当であつて、原判決には所論のような違法はないからこの関係の論旨は理由がない。 第二控訴趣意第二(証拠調における訴訟手続の法令違反の主張)について一証拠能力のない嘱託証人尋問調書を証拠に採用したとの主張(弁護人の主張)所論は、要するに、原判決が本件の有罪認定の証拠としたB1及びB2の各嘱託証人尋問調書(以下単に本件証言調書ということがある)は、わが憲法及び刑訴法に違反して収集されたものであり、また、形式的・内容的に見ても不備があつてその証拠能力を否定すべきであるのに、これらの調書を証拠に採用し、これらに依拠して被告人を有罪とした原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある、というのであつて、その理由として次のとおり主張する。 1 外国に対する嘱託証人尋問の一般的違法性現行の刑訴法は、わが国の裁判所または裁判官が、外国の裁判所または裁判官に対し証人尋問を嘱託する権限を認めていない。このことは民訴法二六四条に対応する規定がないことから明らかであり、外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法も外国の嘱託による受動的証拠調につき規定するのみで、外国に対する能動的証拠調までは認めていないし、同法一条ノ二・一項六号の相互保証主義の規定を右権限を認めた趣旨に解釈するとしても、日米両国間で右相互保証主義の内容が実質的に満たされているとは認め難い。 旧日満司法事務共助法等の立法例を見ても、外国に対する強制処分または強制捜査の嘱託は、法律の明文を要することを裏書している。原裁判所は本件証言調書の採用決定において、刑事事件に関して当該嘱託の権限は裁判所固有の訴訟指揮権にその根拠を見出すべきであるとの見解を示し、証拠開示命令 託は、法律の明文を要することを裏書している。原裁判所は本件証言調書の採用決定において、刑事事件に関して当該嘱託の権限は裁判所固有の訴訟指揮権にその根拠を見出すべきであるとの見解を示し、証拠開示命令に関する昭和四四年四月二五日の最高裁決定を援用したが、右最高裁決定は厳しい条件の下に証拠開示に関し訴訟指揮権の発動を認めたものにすぎず、本件嘱託のような強大な権限にまでその論理を推及すべきではない。もともと刑訴法一六三条が国内の証拠調の嘱託のみ規定しているのは、外国への嘱託は禁止している趣旨に解すべきであり、原裁判所のような見解をとれば、法律の認めない証拠収集の一方式を是認することになり、法的安定性を害するに至る。 以上の点から見ると、わが国の法制度上、刑事事件については、裁判官は外国に対する証拠調の嘱託の権限を有しないと解すべきであるのに、これがあるとして進められた本件嘱託証人尋問手続は明らかに違法である。 2 本件嘱託証人尋問手続施行上の具体的違法性(一) 嘱託権限の欠如東京地方検察庁検察官が刑訴法二二六条に基づき東京地方裁判所裁判官に対しB1、B2外一名に対する証人尋問を請求し、その方法として本件米国司法機関に対する証人尋問の嘱託を要請したのを受けて、同裁判官は米国側司法機関に対し米国法による証人尋問の実施方を嘱託したが、右刑訴法二二六条による証人尋問は日本の刑訴法の規制する証人に対して認められるのみで、米国法による証人に対して認められるものではないから、右裁判官は権限外の事項を処理したものであつて違法である。原裁判所は、刑訴法二二六条所定の裁判官は受訴裁判所と同等の権限を有するとし右嘱託の実施権限を肯定したが、刑訴法二二六条に基づき捜査に関与する裁判官には裁判所に認めれるような訴訟指揮権はないから、訴訟指揮権を根拠に嘱託権限 所定の裁判官は受訴裁判所と同等の権限を有するとし右嘱託の実施権限を肯定したが、刑訴法二二六条に基づき捜査に関与する裁判官には裁判所に認めれるような訴訟指揮権はないから、訴訟指揮権を根拠に嘱託権限を認めることもできない。 (二) 米国法上の嘱託証人尋問の要件の欠如前記刑訴法二二六条による請求を受けた裁判官は、捜査手続の一環として捜査目的のために奉仕する一機関にすぎないのに、嘱託を受けた米国側において米国法上の嘱託尋問に関する合衆国法典二八編一七八二条に規定する「外国司法機関」からの嘱託にあたると判断し処理したのは誤りであるから、違法な手続としてその証人尋問調書も無効となる。 (三) 嘱託尋問の実施方法における違法米国法上、嘱託証人尋問の実施に関し共同コミツシヨナー(執行官)を置くことは認められていないのに、本件では三名のコミツシヨナーを置き、一名を証人尋問の主宰者とし、他の二名を証人尋問の担当者としたこと、また立会権限が不明のまま日本の検察官二名を立ち会わせたうえ、強力で一方的な尋問を行ない、かつ本件の被疑者側の反対尋問権につきなんら考慮を払わないままで終つたのは、米国憲法五条(修正六条の誤記と認める)に反するのみならず、わが憲法三七条二項にも反する違法な手続である。 (四) 証言に対する免責付与についての違法「A」 B1の証人尋問においては、同人が日本における自己負罪のおそれを理由に供述拒否の申立をしたのに対し、東京地検検事正・検事総長・最高裁判所による一連の不起訴宣明がなされていたが、これらはなんら法的効果を伴わないものであつたのに、米国裁判所側の曲解により証言に対する免責(イミユニテイ)付与がなされたとして、同人の証言拒否を認めないで既に施行していた証人尋問調書四通の伝達を認め、更に爾後の尋問手続を進めて証言させた点 たのに、米国裁判所側の曲解により証言に対する免責(イミユニテイ)付与がなされたとして、同人の証言拒否を認めないで既に施行していた証人尋問調書四通の伝達を認め、更に爾後の尋問手続を進めて証言させた点で、明らかに同証人の自己負罪拒否特権を侵害した違法があり、「B」B2の尋問の場合も、同人が右同様に証言拒否の申立をしたのに対し、右同様一連の宣明にはなんらの法的効果がなかつたのに、立ち合つた日本の検察官がトランザクシヨナル・イミユニテイ(訴追免責)の付与であるように発言し、当該免責が付与されたと誤解させて、強制的に証言をさせた点で前同様の違法がある。 原裁判所は、本件嘱託証人尋問調書の採用決定において、検察官側の不起訴宣明は公訴権の放棄であるとの見解をとり、免責は有効であるとして本件証言手続ないし証言調書を適法・有効視したが、これは現行法に即しない理論であつて、到底支持することができない。 3 嘱託証人尋問の際予定された使用目的の逸脱本件証言調書は、嘱託書に明示された被疑者及び被疑事実にかぎり、その明示された被疑者の訴追または処罰のために使用すべきことが、嘱託の性質上当然に日米両国間に合意・予定されていたのに、右被疑者の中に含まれていなかつた被告人に対して本件証言調書を証拠に使用したことは、嘱託の目的外の使用であつて違法である。 4 刑訴法三二一条一項三号書面該当性の判断の誤り原裁判所は本件証言調書の採用決定において、これらが右法条所定の要件を具備していると判断したが、(イ)右調書の形式自体に共同コミツシヨナー三名による認証がなく、主宰者でない者一名の認証のみが調書添付の証明書になされていて、手続の公正さを確認できない形式的不備があるうえ、(ロ)刑訴法三二一条一項三号所定の公判期日等における供述不能という要件も満たしておらず(この点 ない者一名の認証のみが調書添付の証明書になされていて、手続の公正さを確認できない形式的不備があるうえ、(ロ)刑訴法三二一条一項三号所定の公判期日等における供述不能という要件も満たしておらず(この点については、B1とB2のC23検事宛の各書簡を見ると、両名は再度の考慮によつて公判に出頭する可能性を示している。)、また証言内容を実質的に見ても、いわゆる不可欠性・特信性及び任意性の要件を具備しているとは認め難いのに、原裁判所がこれらの要件があると認めて右法条一項三号書面に該当すると判断し証拠に採用したのは、判決に影響を及ぼすべき訴訟手続の法令違反である。 5 本件証言調書の採用後の取調方法の違法原審裁判長は、本件の第二四回準備手続期日において、本件証言調書の取調に関して「裁判所が証拠として採用したのは証人尋問調書の英文による原本であつて、訳文は当事者の理解を助けるためのものであり、証拠調は便宜それを朗読するという方法をとるにすぎない。」との見解を示し、原裁判所は本件証言調書の英文による原本のみを証拠としてその取調をしたが、これは裁判所法七四条に違反する違法な措置である。 (当裁判所の判断)<要旨第一>1 外国に対する嘱託証人尋問の一般的違法性の主張について</要旨第一>所論1の点については、わが刑訴法上民訴法二六四条に対応する規定が存在せず、同条の準用を認めた規定も存在しないけれども、それだけの事情から外国に対する証人尋問等の嘱託権限が否定されているとは断定し難く、外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法一条一項、一条ノ二・一項三号及び六号によれば、刑事事件についても外国裁判所からの証拠調の嘱託について、いわゆる相互保証主義のもとに施行することが規定されているのであつて、これはわが国の裁判所から外国の裁判所に対する刑事事件の証拠調の嘱託が 、刑事事件についても外国裁判所からの証拠調の嘱託について、いわゆる相互保証主義のもとに施行することが規定されているのであつて、これはわが国の裁判所から外国の裁判所に対する刑事事件の証拠調の嘱託があり得ることを予定しているものというべきである。 民訴法二六四条一項は、わが国の裁判所が外国裁判所に対し証拠調の嘱託権限を有することを当然の前提として、その行使の方法について規定したものと解することができる。 そして、昨今の国際的取引も含む国際交流の進展した社会情勢下においては、刑事事件の捜査ないし審理において、国内に存在する証拠のみでは足らず、国外に存在する証拠についても収集する必要性が高い場合が容易に予想され、かような場合に刑訴法一条にいう事案の真相を明らかにするためには、相手国の受託が可能でかつ当該嘱託の実施が刑事手続全体の趣旨に特に反しないと認められる限り、刑訴法一六三条一項の合理的解釈として、わが国の裁判所ないし裁判官は訴訟指揮権に基づき外国裁判所に対する証拠調の嘱託をなす権限を有すると解するのが相当である。所論のうち法的安定性を害するとの点は、被疑者・被告人に不利な証拠に限らず、利益な証拠を収集するためにも嘱託をなすことが可能であるから、右嘱託を否定すべき弊害というには足りない。また、本件当時日米両国間に前記共助法にいう相互保証の条件充足がなかつたという点も、本件嘱託尋問に先立ち昭和五一年三月二三日、日本国法務省と米国司法省との間で、いわゆるC5事件に関する両国間の司法共助を含む「C5社問題に関する法執行についての相互援助のための手続」と題する書面が取り交わされていたことからすれば、少なくとも本件嘱託尋問に関するかぎり右条件は充足されていたというべきである。所論の指摘するその他の諸点も以上の解釈を妨げるほどの理由とするには足りない 題する書面が取り交わされていたことからすれば、少なくとも本件嘱託尋問に関するかぎり右条件は充足されていたというべきである。所論の指摘するその他の諸点も以上の解釈を妨げるほどの理由とするには足りないというべきであつて、原裁判所が昭和五三年九月二一日付証拠決定(以下原証拠決定という)の第一章において示した右と同趣旨の判断は、相当としてこれを是認することができる。 2 本件嘱託尋問手続施行上の具体的違法性の主張について(一) 嘱託権限の欠如の主張について所論2の(一)の点については、本件証人尋問の嘱託方を刑訴法二二六条により東京地方検察庁検察官から請求された東京地方裁判所C24裁判官は、前説示の理由によりその訴訟指揮権(右裁判官は公判審理前の証拠保全の手続のみを主宰する者であるが、右手続の主宰者としてその手続の目的遂行のためにする広義の訴訟指揮権を有する。)に基づき、刑訴法一六三条一項に準拠し、米国の裁判所に対し本件B1らの証人尋問の嘱託をなす権限を有していたと認められ、また、受託国における証人尋問は受託国の国内法により行われるべきことは、司法共助の国際慣行であると認められるから、この点は前記1の所論と同様にその理由がないことが明らかである。 (二) 米国法上の要件の欠如の主張について次に2の(二)の点については、嘱託証人尋問の受託国である米国側において、同国国内法上の受託実施の要件として判断すべき問題であつて、嘱託国側としては受託国裁判所の判断に明白かつ重大な誤りがない限りこれを受け入れるべきであるうえ、前記のとおり嘱託を行なつた東京地裁C24裁判官の立場は、広義における訴訟指揮権の発動を求められた立場にあり、その嘱託行為は司法権発動の一環をなしていると解し得る以上、同裁判官の地位を合衆国法典二八編一七八二条の「外国の司法機関 裁C24裁判官の立場は、広義における訴訟指揮権の発動を求められた立場にあり、その嘱託行為は司法権発動の一環をなしていると解し得る以上、同裁判官の地位を合衆国法典二八編一七八二条の「外国の司法機関」に該当すると判断することは十分可能であつて、受託国裁判所の右判断に明白かつ重大な誤りがあるとは認められないから、この点の所論も失当である(なおこの点につき、証人らからの同一趣旨の異議申立に対し、カリフオルニア州C25地区連邦地方裁判所がこれを棄却し、右決定は連邦高等裁判所により維持されている。)。 (三) 尋問実施方法の違法の主張について所論2の(三)の点については、米国側における証人尋問の方式・手続については前説示と同様の理由により、受託国である米国側が米国法に則つて適式に行なつた手続は、明白かつ重大な誤りが認められない限り適法に行われたものとして取り扱うのが相当であり、また実質的に見た場合にも、受託裁判所はコミツシヨナー(執行官)としてD2元判事一名を任命して証人尋問手続を主宰させ、他の検察官二名はコー・コミツシヨナー(副執行官)として証人に対して発問することを担当させていてその役割は厳格に守られていたこと、実際の証人尋問の進行においても、尋問に立ち会つた証人の弁護人から適宜異議申立や証人に対する助言がなされていて、所論のように一方的・糾問的な尋問が行なわれたというにはあたらないこと、証人尋問に被疑者側の弁護人を立ち会わせなかつたという点も、嘱託に際し検察官の希望によりそのような要請をつけて嘱託を行つた結果であるところ、当時におけるいわゆるC5事件の容疑の内容、政府高官を含む被疑者ないし関係者と見られる者の地位等からすると、捜査内容の漏洩防止の必要性は極めて高かつたことが認められ、米国側の手続に明白かつ重大な誤りは認められず、右嘱託 C5事件の容疑の内容、政府高官を含む被疑者ないし関係者と見られる者の地位等からすると、捜査内容の漏洩防止の必要性は極めて高かつたことが認められ、米国側の手続に明白かつ重大な誤りは認められず、右嘱託を行つた裁判官の措置も合理的裁量の範囲内であつて相当であつたものというべきである(刑訴法二二八条二項参照。)。 また、被疑者側弁護人を立ち会わせないで行つた証人尋問の調書は、それ自体当然に証拠能力を有するものではなく、後記のとおり刑訴法三二一条一項三号の要件を具備していると認められる場合にはじめて証拠能力を持つことになるのであるから、所論のように右立会の欠如が、わが憲法三七条二項の保障する公判審理における被告人の証人審問権ないし喚問権を侵害するものとは認められない。 この点の所論も理由がない。 <要旨第二>(四) 証言に対する免責付与について</要旨第二>所論2の(四)の点については、本件不起訴宣明がなされた経緯及びその後の経過は、関係証拠ないし資料によれば次のとおりであつたと認められる。 (1) 不起訴宣明がなされた経緯等(イ) 本件嘱託証人尋問請求に際し、日本の検察官は、事前のB1、B2らに対する事情聴取のための意向打診の結果から、同人らが嘱託による証人尋問の際も自己負罪拒否特権により供述を拒否するであろうことを予想し、その場合に対処するため、昭和五一年五月二〇日付検事総長名義の「右各証人の証言内容及びこれに基づき将来入手する資料中に、仮に日本国の法規に抵触するものがあるとしても、証言した事項については右三名を日本国刑訴法二四八条により起訴を猶予するよう、東京地方検察庁検事正に指示している。この意思決定は当職の後継者を拘束するものである。」旨の宣明書及びこれを受けた同月二二日付東京地方検察庁検事正名義の「右各証人の……あるとして 訴を猶予するよう、東京地方検察庁検事正に指示している。この意思決定は当職の後継者を拘束するものである。」旨の宣明書及びこれを受けた同月二二日付東京地方検察庁検事正名義の「右各証人の……あるとしても」までは前同文に続き、「証言した事項については右証人三名を日本国刑訴法二四八条によつて起訴を猶予する。この意思決定は当職の後継者を拘束するものである。」旨の宣明書が各発せられていたので、この事情が本件証人尋問請求に際し検察官側から東京地方裁判所の担当裁判官に伝えられた。 (ロ) そこで、右請求を受けたC24裁判官は、これを米国側司法機関に嘱託するに際し、検察官の要請を容れ、「日本国の検察当局は各証人の証言内容及びこれに基づき将来入手する資料中に仮に日本国の法規に抵触するものがあるとしても、日本国刑訴法二四八条によつて起訴を猶予する意思がある旨を証人に告げたうえ尋問されたい」旨を嘱託書に付記してこれを米国側に伝達した。 (ハ) 右嘱託を受けた米国の管轄裁判所(カリフオルニア州C25地区連邦地方裁判所)により、本件証人尋問を主宰する執行官(コミツシヨナー)に任命されたD2は、同年六月二五日、B1を同裁判所に出頭させて証言を命じたが、同人は日本国において刑事訴追を受けるおそれがあることを理由に証言を拒否し、そのころ、B2外一名も同様に証言を拒否する意向を右執行官に表明した。そこで、前記各宣明書(謄本)がそのころ各証人に交付されたが、右宣明によつて日本国の法規上適法に免責が得られたか否かにつき、証人らの弁護人から異議申立等があつたため、証人尋問手続は一時停滞した。 (ニ) そこで同年七月六日、同裁判所の所長代行D3判事は、右証言拒否に関し、証人らの証言録取(すなわち証人らに対する尋問)をただちに開始すべきこと、すべての手続を非公開で行うべきこと 停滞した。 (ニ) そこで同年七月六日、同裁判所の所長代行D3判事は、右証言拒否に関し、証人らの証言録取(すなわち証人らに対する尋問)をただちに開始すべきこと、すべての手続を非公開で行うべきこと、本件証人が右証言において明らかにしたあらゆる情報を理由として、また、右証言の結果入手されるあらゆる情報を理由として、日本国領土内において起訴されることがない旨を明確にした、日本国最高裁判所のオーダーまたはルールを日本国政府が当裁判所に提出するまで、本件嘱託書に基づく証言調書を伝達してはならないことを命令した。 (ホ) 右命令によつて米国でのB1に対する尋問手続は進行し始めたが、証言調書の伝達に右のような条件が付されたので、日本側ではこれに対応する措置として、検事総長の名義で、先の宣明書の内容を再確認したうえ、「本件につき、捜査及び最終処理をする唯一の機関である東京地方検察庁の検事正が正式に右のような措置(注前記起訴猶予の確約)をとり、これが右各証人に伝達され、これにより当該証人尋問が実施された以上、かりそめにも、将来右の措置に反する公訴が提起されることは全くあり得ないものであり、当職は、ここに改めて前記玉名の証人に対し、その証言及びその証言の結果として入手されるあらゆる情報を理由として、日本国領土内で公訴を提起しないことを確約する。」旨記載した同年七月二一日付宣明書を発するとともに、これを最高裁判所に提出し、最高裁判所はこれに基づき同月二四日、「検事総長の右確約が将来にわたりわが国のいかなる検察官によつても遵守され、本件各証人らがその証言及びその結果として入手されるあらゆる情報を理由として公訴を提起されることはないことを宣明する。」との宣明書を発し、右各宣明書の内容は同日中に外交ルートを経て前記米国の裁判所に伝達された。これに対し同所長 結果として入手されるあらゆる情報を理由として公訴を提起されることはないことを宣明する。」との宣明書を発し、右各宣明書の内容は同日中に外交ルートを経て前記米国の裁判所に伝達された。これに対し同所長であるD4判事は右宣明書によつて前記D3決定に定める条件が充足されたものと認め、同日、証言の録取及びB1について同月六日ないし九日に行われていた四日分の証言調書の交付を命じ、その後もB1の証人尋問は、日本国における刑事免責が適法に与えられたとの前提のもとに手続が進められ、その証言を録取した調書が作成され、日本側に交付された。 (ヘ) 一方、B2は、同年七月九日D2執行官から証言を命じられた際、日本国及び米国内の双方で刑事訴追を受けるおそれがあることを理由に証言を拒否したが、その後前記D4判事の命令が確定した結果、日本国での刑事訴追のおそれを理由とする証言拒否は維持できなくなり、次いで同年九月一三日米国における刑事免責付与及び証言命令が発せられたため、証言拒否の根拠をすべて失うに至り、爾後同人に対する証人尋問も、日本国及び米国における刑事免責が適法に与えられたとの前提のもとに進められ、その証言を録取した調書が作成され、日本側に交付された。 (ト) なお、米国法上の刑事免責の根拠法規である合衆国法典一八編六〇〇二条によれば、「証人が連邦の裁判所の手続において、自己負罪(拒否)の特権に基づき証言しまたはその他の情報を提出することを拒否した場合において、当該手続を統轄する者が本節に基づく命令を告知したときは、当該証人は自己負罪(拒否)の特権に基づき当該命令に従うことを拒否することはできない。ただし、当該命令に基づき強制された証言あるいはその他の情報(右証言またはその他の情報から直接間接を問わず入手したいかなる情報をも含む。)は、偽証・虚偽供述その他 に従うことを拒否することはできない。ただし、当該命令に基づき強制された証言あるいはその他の情報(右証言またはその他の情報から直接間接を問わず入手したいかなる情報をも含む。)は、偽証・虚偽供述その他当該命令に対する不服従により訴追する場合を除き、いかなる刑事事件においても、これを当該証人に対し不利に用いてはならない。」とされている。 (2) 不起訴宣明の性質及び効力について以上の経過ないし事実を率直に観察して考察すると、米国側裁判所当局者は、日本の検察当局の当初の不起訴宣明(それは全体の文章的表現、特に「証言した事項に関しては」までを見ると、検察官の意図としては米国の以前の法制度上の訴追免責を与えようとした趣旨であつたと見られなくもないが、「刑訴法二四八条により起訴を猶予する」という文言によるかぎり、文字どおり同条による起訴猶予の確約にすぎないと見られる。)では本件証人らの刑事免責には不十分であるとして、前記合衆国法典一八編六〇〇二条に基づく「当該証言及びこれに由来する証拠の当該証人に対する刑事手続上の不利益な使用の禁止」(いわゆるUDUイミユニテイ、USEANDDERIVATIVEUSEIMMUNITY)の確約を求めたものであり、これに対し日本の検察当局は、後の検事総長の宣明書によつてまさに右確約を行なったものであつて、最高裁判所の宣明書は、検事総長の右確約を事実として確認したものと解するのが相当である。 右検事総長の第二次宣明書は、最高裁判所あての形式をとつているが、このような形式は、最高裁のオーダーまたはルールを要求したD3決定に答えるものとして、最高裁の宣明書を得るための手段にすぎないと考えられ、公訴権の行使に関する宣明書の性質及びその宣明内容に鑑み、検事総長の第二次宣明書は、その内容を相手国である米国に対し宣言な 定に答えるものとして、最高裁の宣明書を得るための手段にすぎないと考えられ、公訴権の行使に関する宣明書の性質及びその宣明内容に鑑み、検事総長の第二次宣明書は、その内容を相手国である米国に対し宣言ないし声明する作用においては、第一次の宣明書と変りはないというべきである。そして、検事総長の第二次宣明は、一応は第一次宣明の内容を再確認する文言の記載はあるが、「当職はここに改めて」以下の文言は、第一次宣明を維持しつつ、それに加えて全く新たな確約を含める内容のものであつて、D3決定の要求した内容を充足する確約を、文字どおり最高裁判所のオーダーまたはルールという形式においてではなかつたものの、公訴権行使の最高の国家機関である検事総長として与えたものであり、まさにD3決定が日本国に要求したことの実質をそのとおり国家として応諾したものにほかならないと認めるべきである(なお、検事総長と具体的事件との関係については、検察庁法一二条による事務引取権の行使としてなされたものと理解することができる。また、証人に対し起訴猶予の確約をするのであれば、東京地方検察庁の検事正がこれに当るのが相当であろうが、国際刑事司法共助の場において、嘱託国として受託国に対し証拠の使用免責を確約する場合には、むしろ日本全国の検察官を統括する検事総長がこれをする方が適当であると考えられる。最高裁判所の宣明書も「検事総長の右確約が(中略)わが国のいかなる検察官によつても遵守され」るとしている。)。右検事総長の第二次宣明を単に第一次宣明を再確認したのにとどまると見ることは相当でなく、また、前記日本の検察当局の一連の宣明をもつて、B1ら証人に対する公訴権を放棄したものと解したり、もしくは単なる不起訴の確約であつて法律上は起訴を妨げる等の効力もないと解したりすることは、事態を的確に把握したもの の検察当局の一連の宣明をもつて、B1ら証人に対する公訴権を放棄したものと解したり、もしくは単なる不起訴の確約であつて法律上は起訴を妨げる等の効力もないと解したりすることは、事態を的確に把握したものとはいい難い。 ところで、「その証言及びその証言の結果として入手されるあらゆる情報を理由として、日本国領土内で公訴を提起しないことを確約する」という検事総長の第二次の宣明は、前記米国法上の強制証言及びそれに由来する証拠の不利益使用禁止以上に、いわゆる訴追免責まで与えたのではないかと見られる余地もあるが、右宣明は、証拠の使用禁止による免責制度をとる米国側の裁判所当局者であるファーガソン判事の決定によつて要求された内容のとおりの文言で答えたものであり、「その証言及びこれに由来する証拠によつては公訴を提起しない」ことは、刑事手続において当該証拠を不利益に使用しないことの最も端的で効果的な方法であるといえるから、右確約は訴追免責ではなく、強制証言及びこれに由来する証拠に基づく不起訴の宣明という形式で、前記証拠の不利益使用禁止による免責を与えたものと解すべきである(そうすると、訴追免責とは異なり、強制証言及びこれに由来する証拠以外の他の情報源から別個に入手した証拠に基づき起訴することは妨げないということになる。しかし、それは理論上可能ではあるとしても、本件嘱託尋問の場合には他に有力な情報源をほとんど期待できない状況であつたと見られるうえ、米国における前記イミユニテイ制度の運用の実情として、強制証言後にこれと独立の情報源から入手した証拠に基づいてその証人を起訴した場合には、検察官はその証拠が独立の情報源から得られたもので、免責証言が直接的にも間接的にも後の訴追に使用されていないことを積極的に立証する重い立証責任を課されていることが窺われるから、実際上は た場合には、検察官はその証拠が独立の情報源から得られたもので、免責証言が直接的にも間接的にも後の訴追に使用されていないことを積極的に立証する重い立証責任を課されていることが窺われるから、実際上はそのような新証拠の入手及びそれが強制証言に由来しないことの立証はほとんど不可能と見られることからして、右証拠の使用禁止による免責は事実上訴追免責と変らぬ効果があると認められる。所論(四)の「B」の尋問に立ち会つたC23検事の発言も、その趣旨のものであつたと理解することが可能である。)。 右のように解するならば、米国側裁判所が右検事総長の第二次宣明及びこれを確認する最高裁判所の宣明を、D3決定の要求した条件を充足するものとして受け入れ、B1らに対する日本側の免責が与えられたとして爾後の手続を進行させたことを、極めて自然に理解することができる(B1については、検事総長の第二次宣明前に証言をしているが、同人は米国法上の証言拒否権は行使していなかつたのであるから、その証言の内容が日本側に伝わらないよう措置したうえ、その証言を命じたD3決定が同人の証言拒否権を侵害したものとはいえない。)。 また、右検事総長の第二次宣明が、日本の法制度上B1らの供述拒否権を消滅させるに足りるものであつたかについて検討すると、わが国の憲法三八条一項は米国憲法修正五条と同じく自己の刑事責任に関する不利益な供述の拒否権を保障するものと解されているところ、右第二次の宣明は、一国の公訴権行使を独占する機関の最高責任者が、司法権の頂点に立つ最高裁判所の確認まで得て前記内容の確約を行なつたもので、わが国としては司法共助に関する国際慣習・国際礼譲ないし国際信義上、将来にわたりこれを遵守すべき国際的義務を負つたものと解すべきであるから、B1らが右確約に反し、同人らの証言及びこれに由来す もので、わが国としては司法共助に関する国際慣習・国際礼譲ないし国際信義上、将来にわたりこれを遵守すべき国際的義務を負つたものと解すべきであるから、B1らが右確約に反し、同人らの証言及びこれに由来する証拠に基づき処罰を求められるようなことがあれば、それは国家の国際的義務違反行為として国内法上もその適法性を認め難くなり、裁判所を始め訴訟関係者においても、これを遵守すべき法的拘束力を生じたものというに妨げない(憲法九八条二項、九九条参照)。 そうであれば、B1らがわが国において、右確約に応じてなした証言及びこれに由来する証拠に基づき処罰されることは全くあり得ないことが法的にも保障された以上、同人らは日本において自身の証言に基づき直接または間接に訴追ないし処罰されるおそれがあることを理由として、前記憲法上の供述拒否権を行使する利益がなくなつたと認めることができる。 また、一歩を譲つて、右確約は対外的に国際道義上の義務を負つたのにとどまり、国内法上は直ちに法的拘束力を生ずる根拠は十分ではないと解すべきものとしても、前記のように最高裁判所の確認の宣明と共に対外的に宣明され、国際信義上覆えすことはできないものとして公的に確約された経緯からして、わが国の司法関係者、とりわけ検察当局は、右確約を最大限尊重すべき立場に立たされるのであつて、右確約に反して、B1らの証言及びこれに由来する証拠を同人らの不利益に使用することは、事実上全くあり得ないことが期待できる。したがつて、わが国の実定法上は前記証拠の不利益使用禁止の保障が認め難いとしても、実際問題としては右不利益使用の危険は極めて少ないということができ、かような事実上の保障だけではB1らの供述拒否権が侵害されたと見るべき余地は残るとしても、もはや形骸的なものであるその供述拒否権の侵害は、その程度が極めて 益使用の危険は極めて少ないということができ、かような事実上の保障だけではB1らの供述拒否権が侵害されたと見るべき余地は残るとしても、もはや形骸的なものであるその供述拒否権の侵害は、その程度が極めて軽微というべきであるから、当該証人以外の者にこれを使用する場合、本件証言調書の証拠能力に影響を及ぼすほどの違法にあたるということはできない。 そうだとすると、検事総長の前記確約により、B1らがその証言に基づき日本において処罰されるおそれはないことが、法律上あるいは事実上高度に保障されたものと認められる結果、B1らの自己負罪を理由とする供述拒否権は消滅したか、あるいは消滅しないまでもそれに近い状態にまで存在意義を縮少していて、証言手続の適法性及び証言調書の証拠能力に影響するほどの、供述拒否権の違法な侵害はなかつたということができる。 (3) 不起訴宣明による証言の取得と国内法との関係そこで、次に、わが国の国内法上右のような免責を与えて供述を取得することが適法であるか否かが問題となるが、「供述拒否権の侵害」の問題としては、その主体はB1らであつて、被告人はB1らが右拒否権を行使する場合に反射的利益を受けるにすぎないから、被告人はB1らに対する供述拒否特権の侵害の有無については、これを理由として本件証人尋問調書の証拠能力を争う適格は、原則として有しないと見られる。しかしながら、わが法制度上容認し難いような重大な人権の侵害を伴い、あるいは虚偽の供述を誘発する危険が高いなど、著しく不公正な方法によつて右特権を失わせた場合は、その特権侵害によつて得られた供述を証拠に使用される関係にある被告人は、違法捜査の抑制の観点または虚偽の証拠により処罰を受けるおそれがあるとの観点等から、その証拠の許容すべきでないことを主張することができると解すべきである。 を証拠に使用される関係にある被告人は、違法捜査の抑制の観点または虚偽の証拠により処罰を受けるおそれがあるとの観点等から、その証拠の許容すべきでないことを主張することができると解すべきである。 本件において弁護人側が、本件証人尋問調書を違法収集証拠であると主張しているのは、右の趣旨からであると解されるので、前記観点から検討を進めると、前記のような免責の付与による供述の強制は、事件関係者の一部の者に取引による自白ないしは約束による自白をさせて不当に利益を与えるもので、わが国の司法制度の基本理念と相容れないという疑いがないとはいえない。しかしながら、個々の事件の具体的事情の下で特に合理的必要性があり、右のようにして証言を強制して、特段に不公正感ないし虚偽供述誘発のおそれを生ぜしめない情況的保障のある例外的場合に、かような措置も訴追裁量権の高度の刑事政策的判断に基づく行使の範囲内であつて、違法ではいと解すべきである。本件の場合にこれを見ると、本件嘱託尋問に関する諸事情として「イ」 B1及びB2は、当時米国に居住する米国人であつて、わが国の捜査権・裁判権はこれに直接行使できず、事案の性質上身柄引渡しの請求もできなかつたことから、同人らに対する被疑事実について捜査を進めてもその目的は達し難い状況にあつたことは明らかであつて、そういう状況では、既にC26委員会での証言調書等から窺われる事件の概要と同人らの立場・役割等(同人らがC14またはC8側の被疑者からトライスターの売込に関し政府高官への贈賄資金等に必要であるとして金員を要求され、これに同意して当該金員を右両社側の被疑者に交付したという関係)にも鑑み、同人らに免責を与えてC5事件の内容に関する核心的な供述を得、これを右事件全体の解明に役立てることは、わが刑訴法の基本理念である実体的真実発 該金員を右両社側の被疑者に交付したという関係)にも鑑み、同人らに免責を与えてC5事件の内容に関する核心的な供述を得、これを右事件全体の解明に役立てることは、わが刑訴法の基本理念である実体的真実発見主義に合致するとともに、右事件の内容が政府高官の外国企業からの収賄容疑を含むわが国の威信にもかかわる重大なもので、しかも当時右事件の被疑事実中には公訴時効の切迫しているものもあつた関係上、免責を与えてでも右証言を得る必要性は極めて高度であつたと認められること、「ロ」 右B1らは前記のようにもともと日本において起訴され裁判に付される可能性が乏しかつたうえに、同人らが法制度として証言の使用免責が認められ、この制度に社会的に慣熟していると見られる米国の市民であることからすると、同人らに前記のような免責を与えても、わが国の法制度ないし法的感情上、許容し難いほどの不公正感は生ぜしめないと思われること、「ハ」 米国側裁判所で行なわれた尋問手続は、前述のとおり手続を主宰する執行官のもとに宣誓し偽証の制裁を告知されたうえ、証人らの弁護人の立会もあり、訴訟に類似した尋問方式で進められていて、虚偽の供述を誘発しないような手続の公正さは客観的に保障されていたと認められること、「ニ」 前記免責はB1らの証言内容のいかんとは無関係に与えられたものであり、同人らは尋問者の意向に沿つた供述を求められたのではなく、あくまでも自己の記憶に基づく事実の供述を求められ、その限度で尋問に答えたものであつて、利益誘導による供述ではないことなどの諸点を認めることができ、このような諸事情を総合考察すると、右嘱託尋問手続において、B1らに免責を与えて証言を強制した手続に、わが法制度から見て許容し難いほどの「取引」に類似した不公正感ないし不公平感や、虚偽の供述を誘発する危険性が 事情を総合考察すると、右嘱託尋問手続において、B1らに免責を与えて証言を強制した手続に、わが法制度から見て許容し難いほどの「取引」に類似した不公正感ないし不公平感や、虚偽の供述を誘発する危険性があつたとは認められない。そうすると、検察官による本件免責の付与は、高度の刑事政策的判断に基づく訴追裁量権の行使の範囲内であつて違法ではなく、その結果作成された証言調書に、わが法制度上証拠として許容し難いほどの違法性があるとは認められないというべきである。 以上のとおりであるから、原裁判所が本件不起訴宣明を公訴権の放棄であると解したのは相当でないが、本件免責付与に関しては訴訟手続上の違法はなかつたとして、本件証言調書の証拠としての許容性を認めたその結論の部分は相当として是認することができる。 そうすると、右免責付与の点の違法を主張する所論は理由がない。 3 証言調書の使用は嘱託の目的外であるとの主張について所論は、司法共助において受託国が嘱託国の請求を応諾するにあたり、共助によつて得られた証拠を共助の請求にかかる被疑者及び被疑事実の訴追・処罰のためにのみ使用すべき旨の明示の条件を付した場合、嘱託国の公訴権の行使は右条件によつて制限されるという、いわゆる「特定主義」に基づく主張であると解されるが、本件嘱託手続においては、日米両国間に証拠を使用する被疑者及び被疑事実を限定するという合意がなされたこと、または受託国である米国側から嘱託の結果得られた証拠を特定の事件以外には使用を認めないとの条件が付されていたということは、関係証拠上これを認めることができない。前記「C5社問題に関する法執行についての相互援助の手続」は、「C5社及びその子会社または関連会社の日本における販売活動に関連する非合法な疑いのある行為」に関しての取り決めであるが、その3項( い。前記「C5社問題に関する法執行についての相互援助の手続」は、「C5社及びその子会社または関連会社の日本における販売活動に関連する非合法な疑いのある行為」に関しての取り決めであるが、その3項(提供される資料の使用目的)及び5項(同資料の裁判での利用関係)によつても、日本において裁判または審理の対象とすべき事件の範囲はなんら限定されていない。また、米国側から付された条件としては、前記D3決定によるB1及びB2らに対する本件証言調書等の不利益使用禁止の点のみであると認められる(なお、B1、B2に対する各嘱託尋問事項中には、被告人に関する事項も含まれていたことに留意すべきである。)。 よつて、右特定主義を理由とする所論は、その前提を欠くもので失当である。 4 刑訴法三二一条一項三号書面該当性を争う主張について所論4のうち、(イ)の証言調書の認証形式の不備を主張する点は、受託国の裁判所が副執行官一名の署名で足りるとした以上、嘱託国側でこれに異を唱える必要はなく、右副執行官の認証(証言調書と一体となつていると認められる)及び各証人の署名があることにより、証言手続の公正及び証言内容の正確性を認めるに十分であるから、右主張は理由がない。 (ロ)の刑訴法三二一条一項三号所定の要件の判断を誤つたという点については、まず公判期日等における供述不能の点に関し、所論はB1及びB2は、検察官において努力をすれば公判期日に出頭の可能性があつたのに、検察官の怠慢によりその手段を尽さなかつたので、右両名の不出頭は検察官が誘発したのと同様であると主張するけれども、前記のとおりB1及びB2が嘱託尋問手続において自己負罪拒否特権を主張して供述を拒否し、刑事上の免責付与によりょうやく証言するに至つた経過や、右両名が本件の原審公判開始後、日本の検察官からの問い合せに対 のとおりB1及びB2が嘱託尋問手続において自己負罪拒否特権を主張して供述を拒否し、刑事上の免責付与によりょうやく証言するに至つた経過や、右両名が本件の原審公判開始後、日本の検察官からの問い合せに対し、日本の裁判所に証人として出頭する意思はない旨回答した事実(右両名の検察官への各手紙のうち所論の指摘する拒絶の理由の部分は、社交辞令的文言であるにすぎず、出頭を拒否する意思は強固であつたと認められる。)等に鑑みれば、右両名は原審公判当時証人として来日する意思がなかつたことは明らかであつて、通常の可能な手段を尽しても公判期日に出頭させることができない場合にあたつていたというべきである。 次に、不可欠性の点について考察すると、B1及びB2の各供述は、本件公訴事実中P3C関係及び二〇万ドル授受の関係では、被告人に対するP3C売込の援助の依頼または二〇万ドルの授受について直接ないし間接の相手方当事者としての供述であつて、事柄の性質上最も有力な証拠方法というべきであるから右訴因の立証のためには不可欠であり、C8のA1に対するL―一〇一一型機購入慫慂の関係においても、右両名の供述はその動機・原因関係について、B1が被告人にL―一〇一一型機のC8への売込援助の依頼をした結果、被告人がA1に対し前記慫慂行為に及んだという関係にあるとされていて、右訴因の立証上重要な間接事実を含むと認められるから、これも右訴因の関係で不可欠というに妨げない。 更に、特信性の点については、所論は、原証拠決定が特信性を担保すべき事情として挙示している事実、すなわち、「A」 本件証人尋問は公平な第三者的立場において副執行官の尋問を規制できる法曹有資格者である執行官の面前において、米国法による証人尋問手続に準拠して行われ、その尋問及び供述を速記者が逐一録取したものであること、 尋問は公平な第三者的立場において副執行官の尋問を規制できる法曹有資格者である執行官の面前において、米国法による証人尋問手続に準拠して行われ、その尋問及び供述を速記者が逐一録取したものであること、「B」 右執行官は本件証人らに対し宣誓及び偽証罪の制裁の告知を適宜かつ懇切に行つており、証人に対し真実を述べる方向への心理的圧力となつていること、「C」 両証人の弁護人が終始尋問に立ち合い、異議申立及び証人への助言等の活動を行なつていて、これが尋問者の片寄つた尋問を抑制し、客観的立場に立つた証言がなされる方向に役立ち、かつ偽証罪の危険から証人を護り真実を供述させる方向にも役立つていること、「D」 客観的資料を提示しての尋問が、記憶の喚起・是正等に寄与することから正確な供述の確保に資するとともに、虚偽の供述の防止にも役立つていること、「E」 尋問及び応答の状況から窺える証人らの供述態度が誠実であること、「F」 B1は米国法上の証言拒否特権を行使せずに証言し、その証言が米国内の刑事手続等において使用される可能性があることを注意されながら、あえて米国法上も違法となるような、自己に不利益な事実を供述していることからも、供述に信用性があると考えられること、「G」 B1もB2も、被告人・C3・C27ら日本側関係者を特に嫌忌し、偽証罪の危険を冒してまで、故意にこれらの者を陥れるため虚偽の供述をなすべき立場にないこと、及び、前記刑事免責との関係において、B1らが自己保身のため虚偽の事実を述べる必要性は認められず、また同人らが執行官・副執行官及び日本側立会検察官らの意を汲み、これに迎合して虚偽の供述を行なつたような事情も認められないこと、以上の諸点につき逐一反論を加えている。 しかしながら、原審で取調べられたB1及びB2の各証人尋問調書の形式 会検察官らの意を汲み、これに迎合して虚偽の供述を行なつたような事情も認められないこと、以上の諸点につき逐一反論を加えている。 しかしながら、原審で取調べられたB1及びB2の各証人尋問調書の形式・内容等を子細に検討すれば、前記「A」ないし「G」の諸事情があるとし、これらの諸事情から右両名の供述には特信性が認められるとした原証拠決定の判断は、おおむね相当であつてこれを是認することができる。 所論は、本件証人尋問手続及び証言内容等の全体的・大局的観察を度外視し、局部的事実をとらえて手続の不公平さを論じたり、あるいは原証拠決定は、検面調書との比較において、供述のなされた外部的・付随的情況を主体とし、これに供述内容中の応答状況や不利益供述がなされていること等を加味したうえ、類型的に供述の信用性が担保されている場合にあたると判断しているのに、あたかも絶対的信用性があると判断したように前提を曲解して立論していると思われる等、到底これを採用することができない。 また、所論は、任意性の点について、原証拠決定がB1らは本件不起訴宣明によりその供述事項に関し確定的に起訴されない地位にあり、なんら検察官の反感を顧慮することなく自由に供述し得たとした判断部分を、右不起訴宣明が免責付与の効力がないことを理由に反駁しているが、その前提が首肯できないことは前説示のとおりであるから右所論も理由がなく、前記免責付与の効果等からして、B1らの供述には任意性が認められるとした原証拠決定の判断は、相当であつてこれを是認することができる。 以上のとおりであるから、本件B1及びB2の各証言調書か刑訴法三二一条一項三号所定の要件を具備するとした原裁判所の証拠決定は相当であつて、なんら所論のような判断の誤りはないから、この点の論旨は理由がない。 5 証言調書の採用後の取調方 2の各証言調書か刑訴法三二一条一項三号所定の要件を具備するとした原裁判所の証拠決定は相当であつて、なんら所論のような判断の誤りはないから、この点の論旨は理由がない。 5 証言調書の採用後の取調方法の違沫の主張について原審第二四回準備手続期日の調書によると、被告人の弁護人が右証言調書の翻訳の正確性に関し「仮に、検察官側の訳文と弁護人側の訳文とにくいちがいがあつた場合の、裁判所の見解をうかがいたい。」と述べたのに対し、原審裁判長が所論引用のような見解を表明したことが認められる。しかしながらその際検察官側が作成した右各証言調書の日本語の訳文も、英文の調書と同時に取調べられていて、右裁判長の見解は所論引用の部分に続いて、「その訳文が正確でないという指摘があれば、その点について原文を検討し、それによつて心証をとるということになる。」となつていることも考慮すると、本件証言調書は英文の方か主体であり、日本語の訳文は補助的な役割を果し、誤訳の問題がある場合は原文によつて正確な訳を検討し心証をとる旨を表明したのにすぎず、日本語の訳文は証拠とならない旨を表明したものではないと認められる。そうすると、所論は誤つた前提に立つた主張であつて、これまた採用できない。 二証拠能力のない証拠物等を証拠に採用したとの主張(弁護人の主張)所論は、原判決が有罪認定の証拠として掲げるC3領収証カラー写真四七枚(甲(一)203)、「摘要」領収証(メモ)写真(甲(一)204)、B2作成のC10と題するメモ(写)(甲(一)207)、小切手(NO.三三〇七七)(写)一枚(符89)、C3とロッキード社間のマーケッテイング・コンサルタント契約書(写)一通(三枚)(符141)、同修正一号契約書(写)一通(一枚)(符142)、同修正四号契約書(写)一通(一枚)(符143)、同 9)、C3とロッキード社間のマーケッテイング・コンサルタント契約書(写)一通(三枚)(符141)、同修正一号契約書(写)一通(一枚)(符142)、同修正四号契約書(写)一通(一枚)(符143)、同修正五号契約書(写)一通(一枚)(符144)の証拠物のうち、 1 クラッター作成のC10と題するメモ(C11・コピーによる写)は、前記B2に対する証人尋問において、その原本が証人尋問を通じ証言内容を明らかにし、証人の記憶を喚起するために用いられ、その謄本(C11・コピー)が証人尋問調書に添付されて証言の内容となり、これと不可分の一体をなしていると解されるから、米国側コミッシヨナーはこれをB2の証言調書と独立の証拠としてわが国に伝達したものではなく、それ自体では独立して証拠能力がないのに、原判決がこれを独立の証拠として取り扱い、有罪の証拠に思いたのは違法であり、内容的にも刑訴法三二三条三号書面としての要件を具備しないのに、同号該当書面として採用した点でも違法があり、 2 その他の証拠については各原本の真正が争われていて、原本によらなければその真正か否かの判断ができない場合であるから、各写しによる証拠調請求はこれを許容すべきではないのに安易にこれを許容し、 3 C3領収証カラ―写真、摘要カラー写真、マーケツテイング・コンサルタント契約書(写)、同修正一号・四号・五号各契約書(写)については、原裁判所は検察官が供述証拠として取調請求したのに対し、当該文書の存在・形状等に関する非供述証拠として採用決定し、当事者の意思を無視している点で二重に違法を犯したものであり、 4 C3領収証について真正か否かは判決理由中で判断するといいながら原判決はその判断も遺脱しており、 5 前記小切手(写)は本件と直接関係がない証拠であるのに、これを証拠に挙示した点 のであり、 4 C3領収証について真正か否かは判決理由中で判断するといいながら原判決はその判断も遺脱しており、 5 前記小切手(写)は本件と直接関係がない証拠であるのに、これを証拠に挙示した点で違法であつて、これらの違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであると主張する。 (当裁判所の判断)証拠能力のない証拠物等を証拠に採用した違法があるという右主張について検討すると、 1 まず、B2作成のC10と題するメモ写(C11・コピーによる)は、クラッターの前記証言調書の第四巻に、副証27Dとして添付された「摘要」と題する一連の書証(写)の中に右C10の分も含まれ、右証言と一体をなすものとして右証言調書と共に証拠に採用されたが、その後検察官から独立の証拠として右C10のC11・コピーによる写の取調か請求され、原裁判所は右証言と切り離しても独立の証拠価値があるとして、昭和五六年一月二二日付証拠決定でこれを採用し取調べた経過が本件訴訟記録上明らかであり、またその記載事項はB2が在日中自己の職務に関連し、C5社のL―一〇一一型機の日本への売込み活動に関する同社の資金の出入りを克明に記録していたものであつて、B2の供述によるその記入状況等からすれば、商業帳簿である金銭出納帳とはいえないとしても、これに類する書面で特に信用すべき情況の下に作成された書面の性質を持つと見ることができるから、原裁判所がこれを刑訴法三二三条三号の書面(証拠物たる書類)に該当するとし、記載内容の重要性に鑑み、独立の証拠価値を有するとして証拠に採用した措置は相当としてこれを是認することができる。 2 更に、C3領収証カラー写真、「摘要」領収証カラー写真、C5社とC3間のマーケツテイング・コンサルタント契約書(写)、同修正一号・四号・五号各契約書(写)等を証拠に採用した することができる。 2 更に、C3領収証カラー写真、「摘要」領収証カラー写真、C5社とC3間のマーケツテイング・コンサルタント契約書(写)、同修正一号・四号・五号各契約書(写)等を証拠に採用した点について見ると、これらの原本はいずれも米国内に存在していてこれをわが国の本件訴訟手続において提出することは不可能もしくは著しく困難であつたと認められる(C5社もしくはB2が、その所持する前記原本を、日本側の要請に応じて任意提出する可能性は極めて小さかつたと見られることは、原裁判所の前記昭和五六年一月二二日付証拠決定中に説示されているとおりである。)から、原本の存在とその写の正確性が確かめられる場合は、その写に写としての証拠価値が認められるかぎり、これを証拠として採用することになんら妨げはないと解すべきであつて、これと同趣旨に出た右証拠決定中の判断は相当として是認することができる。 3 また、供述証拠として請求されたものを非供述証拠、すなわち原本の存在・その形状・保管状況等を立証する証拠として採用したという点は、当該請求及び採用に至る経過を見れば、検察官としては供述証拠として採用されない場合には、右のような非供述証拠として採用されることを期待し、予備的に請求する意思があつたものと認めることができるから、所論のように当事者主義に反する措置であつたということはできない。また、各写の形状・内容等を検討しても、各原本の存在すること、その形状・保管状況等の立証について独立の証拠価値がないとはいえないから、この点から見てもこれらを写として証拠に許容した原裁判所の措置は適法である。 4 C3領収証が真正であるか否かの判断は、C3自身に対する判決の場合は格別として、被告人に対する本件公訴事実の判断においては直接の関連性がなく、これを判断すべき必然性がない 措置は適法である。 4 C3領収証が真正であるか否かの判断は、C3自身に対する判決の場合は格別として、被告人に対する本件公訴事実の判断においては直接の関連性がなく、これを判断すべき必然性がないから、この点を原判決の理由不備のようにいう所論も失当である。 5 また小切手写の番号ちがいの点は、なるほど本件公訴事案中のa空港における二〇万ドルの授受と関係がある小切手の番号はNo○△□□□であつて、原判決が証拠として記載した番号No○○□□□というのは本件と関係がない小切手の番号であると認められるが、この点について当該各写を検討すると、一枚の用紙に右二通の小切手が上下にコピーされていた(符89参照)ため、右二〇万ドルの関係の小切手写を証拠として挙示するに際し、単にその番号を見誤つて誤記したにすぎないと認められるから、所論のように無関係の証拠を挙示した瑕疵があるというにはあたらない。 以上のとおりであつて、証拠調手続における違法を主張する所論はすべて理由がないことに帰する。 第三控訴趣意第三(被告人がA1に対しL―一〇一一型機の購入を慫慂した関係の訴因についての主張)について一理由不備ないし理由そごの主張(弁護人の主張)所論は、要するに、原判決のこの関係部分の事実の摘示は、原判示程度では議院証言法六条所定の虚偽陳述罪の事実摘示として不十分であり、かつ判示の客観的事実と判示証言との間にくいちがいがあるので、理由不備ないし理由そごの違法があるというのであり、その理由として次のように主張する。 被告人のこの関係の国会証言は、〔その一〕B1からの依頼に対し機会があつたら話してみようと言つたが、そのまま聞き流したという点及び〔その二〕C8の何人に対しても、C5社のエアバスを買つてやつてくれ等とは一度も言つたことがないという点の二つ 1からの依頼に対し機会があつたら話してみようと言つたが、そのまま聞き流したという点及び〔その二〕C8の何人に対しても、C5社のエアバスを買つてやつてくれ等とは一度も言つたことがないという点の二つの部分から成り立つているところ、〔その一〕の点では虚偽陳述の前提である客観的事実として、「被告人が昭和四七年九月中旬ころC28応接室において、B1から」L―一〇一一型機をC8に購入せしめるよう尽力してもらいたいとの懇請を受け」たと摘示するのみで、この懇請を受けて被告人がいかに応答したかの点は摘示されていない。また、〔その二〕の点では虚偽の陳述とされた客観的事実として、「そのころC8副社長A1に対し、内閣総理大臣C12から聞いたハワイ会談におけるD5米大統領の意向を伝える形をとるなどして、婉曲に同社が右航空機を購入するよう慫慂し」たと摘示されているが、これだけの判示で航空機購入の慫慂をしたとは何人も理解することができないから、右二点とも虚偽の陳述の事実の摘示としては極めて不十分であつて、理由不備の違法がある。また、婉曲に購入を慫慂したということには、右航空機を買つてやつてくれ等と直裁に言つたことを包含しない趣旨に解されるから、被告人のエアバスを買つてやつてくれ等と直裁に言つたことはない旨の証言は、婉曲に慫慂したとの事実に対応する虚偽の陳述というにはあたらないので、この点でも原判決には理由のくいちがいがある。 (当裁判所の判断)そこで、右所論について順次検討すると、原判決のこの関係部分の事実摘示は、被告人の国会における証言部分も、その前提である客観的事実の部分も、所論のように分断して個別的に観察すべきではなく、全体としての証言及び全体としての客観的事実を包括的に観察してその趣旨を理解すべき性質のものであつて、この観点から考察すると、原判示客観 実の部分も、所論のように分断して個別的に観察すべきではなく、全体としての証言及び全体としての客観的事実を包括的に観察してその趣旨を理解すべき性質のものであつて、この観点から考察すると、原判示客観的事実を摘示した部分は、被告人がB1から当該懇請ないし依頼を受けて応諾した結果、これに対応してA1に対する判示慫慂行為に及んだという趣旨であることが明らかである。 また、右慫慂行為の摘示も、日時・場所・方法等で他の事実とまぎれがない程度に特定されていて、所論のように具体性に欠けるとはいえない。所論は、他国の大統領であるD5の意向を伝えただけでは購入への働きかけをしたことにはならないようにいうが、原判決は「内閣総理大臣C12から聞いた」ハワイ会談におけるD5米大統領の意向を伝える形をとるなどして、と判示しているのであつて、自国政府の最高の地位にあつて、所管大臣を通じて航空行政にも影響力を有すると見られるC12首相の話としてD5大統領の意向を伝える形で婉曲に購入を誘いすすめ、A1に対し大きな影響力を及ぼしたという趣旨に理解することができるから、その点でも航空機購入の慫慂行為の事実摘示として不十分であるとはいえない。 また、「C8の何人に対しても、C5社のエアバスを買つてやつてくれ等とは一度も言つたことがない」との国会の証言部分は、「等とは」、「一度も……ない」との表現から解釈すると、そのようなことは、直接的であると間接的であるとを問わず一切言つたことがないという趣旨に理解するのが相当であるから、この点の証言が前記A1に対しC5社の航空機の購入を碗曲に慫慂したとの客観的事実との関係で、虚偽の陳述にあたることは明らかである。そうすると、原判決には所論のような理由不備ないし理由のくいちがいはないから、この点の論旨は理由がない。 二被告人の国会証言の したとの客観的事実との関係で、虚偽の陳述にあたることは明らかである。そうすると、原判決には所論のような理由不備ないし理由のくいちがいはないから、この点の論旨は理由がない。 二被告人の国会証言の趣旨に関する事実誤認(弁護人の主張)所論は、右国会証言の真偽の点は別として、原判決が被告人において、衆議院予算委員会の証人尋問に際し、「B1からの依頼に対し、機会があつたら話してみようとは言つたが、そのまま聞き流し、C8の何人に対しても、C5社のエアバスを買つてやつてくれ等とは一度も言つたことがない」旨証言したと認定したこと自体について、機会があつたら云々の点は被告人の内心の考えにすぎなかつたのにこれをB1に応答したように誤認し、また被告人の実際の証言はB1とは二、三回会つた際に同人から依頼を受けたが聞き流したというのにすぎないのに、被告人は昭和四七年九月中旬ころ、C28応接室において、B1からL―一〇一一型機をC8に購入せしめるよう尽力してもらいたいと依頼され、そのまま聞き流したと証言したように認定するなど、被告人の実際の証言の趣旨を誤認した点で、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある、というのである。 (当裁判所の判断)そこで、被告人の当該証言のなされた衆議院予算委員会の会議録(甲(一)112の告発状に添付)によつて検討すると、被告人はC29委員長の質問(第八問・第九問・第一五問ないし第一七問)に対して、「(B1から)C8ヘエアバスを売りたいのだけれど、何とかひとつ大株主として話をしてもらえないかと言われましたけれども、私もそのまま聞き流したものですから、C8の何人にも私は、その機種選定、それからC5のエアバスを買つてやつてくれ、やつてくれないかというようことは一切申し上げておりません。」と述べ、C8に対してエアバスの のまま聞き流したものですから、C8の何人にも私は、その機種選定、それからC5のエアバスを買つてやつてくれ、やつてくれないかというようことは一切申し上げておりません。」と述べ、C8に対してエアバスの売込を督促というか、あるいは推薦したとかいうようなことは一度もない旨を明確に証言しており、更にC30委員の前記聞き流したという点の補充質問(同委員の第四問)である「聞き流すといつても、実際は非常にむずかしいことなんですね。何か言わなければなりませんね。向うがぜひC8に対する工作を頼むと言つた。それに対して一言も口をきかないということは、これはできないと思いますね。それで、そうとあれば、やはり少なくともわかつたというか、そうでなければだめだというか、どちらかしかないんで(中略)その点は大事な問題だから、再度お答えをいただきたい。」との質問に対して、「まあ機会があつたらば話してみよう、ということでございますね。」と答えていることが認められ、右「機会があつたらば云々」という点は、B1から前記依頼の話があつた際に、同人に対する応答としてそのように言つたという趣旨に理解するほかはない。すなわち、被告人は、前記B1からの依頼の話はあつたが聞き流したという点の、さらに具体的な応答状況の補足説明を求められて右のような応答をした旨証言していると認められる。そうすると、原判決が認定・摘示した前記被告人の証言部分は、実際の国会証言の趣旨のとおりであつて、なんら事実の誤認はないことになる。 また、B1から被告人に右依頼があつた時期の認定を争う主張については、被告人の証言では、B1とは二、三回会つたことがあるというだけで、依頼のあつた時期まで特定していないことが認められるが、被告人は時期はともかく依頼そのものはあつたということを前提としてその際聞き流したと証言してい は、B1とは二、三回会つたことがあるというだけで、依頼のあつた時期まで特定していないことが認められるが、被告人は時期はともかく依頼そのものはあつたということを前提としてその際聞き流したと証言している趣旨に解される。そうすると、原判決が客観的事実として摘示している「昭和四七年九月中旬ころ、C28応接室において……コーチャンから……懇請を受け」たという事実が証拠上認定できるならば、それに対応する虚偽陳述の部分として「B1からの依頼に対し……」と摘示することは、なんら差支えがないものというべきである。この点の所論も理由がないことが明らかである。 よつて、被告人の国会証言の趣旨に関する事実の認定において、原判決に所論のような事実の誤認はないから、この点の論旨は理由がない。 三慫慂行為の事実認定上の事実誤認(弁護人の主張)所論は、要するに、原判決がこの関係の虚偽陳述の前提となる客観的事実として、「被告人は……真実は「1」昭和四七年九月中旬ころ同社(C28)応接室において、C3同席のうえC5・コーポレイション社長アーチボルト・カール・B1から、同社製造のエアバス級ジエツト旅客機L―一〇一一型機をC8株式会社に購入せしめるよう尽力してもらいたいとの懇請を受け、そのころ、同社副社長A1に対し、内閣総理大臣C12から聞いたハワイ会談におけるD5米大統領の意向を伝える形をとるなどして、婉曲に同社が右航空機を購入するよう慫慂し」たと認定した部分について、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるというのであり、その理由として次のとおり主張する。 1 懲慂に至る動機についての誤認原判決では前記從慂に至る動機として、被告人の検面調書(51・12・1付、51・9・21付等)によれば、C12・D5の日米首脳ハワイ会談が終つて間もない昭和四七年 1 懲慂に至る動機についての誤認原判決では前記從慂に至る動機として、被告人の検面調書(51・12・1付、51・9・21付等)によれば、C12・D5の日米首脳ハワイ会談が終つて間もない昭和四七年九月中旬ころ、まずB1との二回目の会談で、B1から、C8に対するエアバス売込の話か依然として進まないが、C8の方に話してくれたか、それからC12・D5のハワイ会談でエアバス導入の話が出たかどうか、特にD5からC12総理に、トライスターを日本で買つてくれればありがたいという意味の話が出たかどうか、誰か政府筋の人に聞いてもらいたいとの趣旨の話があつたとしたうえ、右B1との会談後、同じころにC12総理から、「実はこの前D5との会談があつた時、D5から、日本が導入するエアバスはC5社のトライスターにして貰えばありがたいんだがなあ、そうして貰いたいんだがなあと言われたんですよ、C8の方はどういう方針かなあ」との話を聞いたとし、これはC8にその話をしてくれという意味に受けとれるものだつたとして、先述のようにB1からC8に対するトライスターの売込について、C8の方に話してもらいたいと頼まれていたこともあつたから、私はC8にトライスターを購入させることが、日本のためにもアメリカのためにもなることだと理解し、C8のA1副社長に右のことを理解してもらうために、前記D5会談の話をA1に伝えた旨の供述記載があり、B1との二回目の会談と前後してC12総理からの話があつて、この二つの出来事がA1に対する慫慂の動機となったように認定されている。 しかしながら、(一) B1証言とハワイ会談の情報収集依頼の件右B1との二回目の会談時に、B1が被告人に対し、前記のようなハワイ会談に関する情報収集ないし調査の依頼をしたという点は、B1の全証言を検討してもこれを認めるような とハワイ会談の情報収集依頼の件右B1との二回目の会談時に、B1が被告人に対し、前記のようなハワイ会談に関する情報収集ないし調査の依頼をしたという点は、B1の全証言を検討してもこれを認めるような具体的供述は存在せず、右会談に関係したB2及びC31もこの点につき何も供述していないから、B1の右依頼なるものはもともとなかつたものと認めるべきであるのに、原判決がB1の証言の抽象的・断片的な関連部分をつなぎ合せて、同人の証言により右依頼の件は優に認められるとした(原判決五四頁、弁護人の事実上の主張についての一の4項・第二回会談の内容・状況<争点「5」「6」>以下の認定理由の説示部分)のは、慫慂の動機とされるB1との第二回会談の内容に関し、採証法則を誤り事実の誤認をしたもので、右誤認は次の被告人の検面供述の信用性についての原判決の判断に、直接重大な影響を及ぼすものである。 (二) 被告人の検面供述と前記情報収集を依頼された件前記B1からハワイ会談に関する情報収集を依頼されたことを認めている被告人の検面調書中の当該供述部分は、その依頼に対しどんな行動をしたのか、またはしなかつたのかが不明のままであり、また、そのころC12事務所を訪問した際、C12総理からハワイ会談の話を聞かされたという供述もあるが、それとB1の依頼との関連について全く説明がなく、また右C12総理から聞いた話を、依頼されていたB1に伝えたのか否かという点も全く説明がないなど、不自然・不合理な点が多いうえ、右検面調書中にはB1の初回の訪問の際、事前にC3から連絡があつたような気がするというなど、客観的事実に反する供述部分も存在し、これらの点から見て取調官の誘導による供述ないしは押しつけによる供述であつて信用性がないことは明らかであるのに、原判決が右供述部分は十分信用に値すると判断 うなど、客観的事実に反する供述部分も存在し、これらの点から見て取調官の誘導による供述ないしは押しつけによる供述であつて信用性がないことは明らかであるのに、原判決が右供述部分は十分信用に値すると判断したのは、前記B1の証言の信用性の判断とも関連する事実の誤認である。 2 慫慂行為の有無についての事実誤認慫慂行為の有無についても、関係証拠としてはこれを認めているA1及び被告人の各検面調書の供述しか存在しないところ、(一) A1と被告人の各検面供述の信用性発端と見られるA1の検面調書(51・8・9付)の供述は、B1らか当時戦略として流したD5のC5社肩入れ説のデマ情報に検察官が躍らされて、A1を追及・誘導して無から有を生ぜしめたもので信用性がなく、被告人の検面調書(51・9・17付、51・9・21付等)の供述も前記のとおり信用性がないところ、両名の供述の筋道となつている、被告人かC12から聞いた話の内容である「ハワイ会談でD5大統領からC12総理に、C8がトライスターに決めてくれるといいんだがという話があつた」との前提事実についてはなんら立証がなされていないし、C12総理から右ハワイ会談の話を聞いたとする被告人の前記調書中の供述にもその裏付け証拠はないから、右A1及び被告人の各供述のみで本件慫慂行為の事実があつたと認定することは許されないのに、原判決が右両名の供述には十分信用性があるとして右慫慂行為とされる事実を認定したのは、審理不尽のため事実を誤認したものである。 (二) 他人の話の伝達と「慫慂」の評価右事実が認められるとしても、ただC12総理の話をA1に伝え、あるいはD5大統領のC12総理に対する話を紹介したにすぎない行為をトライスター購入の慫慂行為と評価するのは相当でなく、かつ被告人にはC12総理の話を取り次ぐだけで、 だC12総理の話をA1に伝え、あるいはD5大統領のC12総理に対する話を紹介したにすぎない行為をトライスター購入の慫慂行為と評価するのは相当でなく、かつ被告人にはC12総理の話を取り次ぐだけで、A1に対し航空機の購入を慫慂する意思がなかつたことは証拠上明らかであるのに、原判決が両当事者の認識ないし立場、当時の客観的状況、被告人のC8への影響力などを総合勘案すると、被告人自身が航空機の購入を婉曲に勧めたものであると判断したのは事実の誤認であり、この点はA1の前記供述中にある、A1が被告人から聞いた話を社長であるA8に伝えたところ、同人は別に驚いた様子もなく平然としていたという状況にそぐわないところから見ても明らかである。 (当裁判所の判断) 1 慫慂に至る動機についての誤認の主張について(一) B1のハワイ会談に関する情報収集依頼の供述についてそこで、右1の(一)の主張から検討する。所論は原判決が、被告人・B1の第二回会談の際、B1から被告人にハワイ会談に関する情報収集の依頼をした事実があると認めたのは、慫慂の意思と動機に関する事実の誤認であると主張する。しかしながら、本件A1に対する慫慂関係の訴因は、前記のとおり、被告人がB1からL―一〇一一型機をC8に購入せしめるよう尽力してもらいたいとの懇請を受け、C8副社長であるA1に対し前記のような慫慂行為を行なつたというのが虚偽陳述の前提事実とされていて、右関係のいわゆる罪体となる事実としては、被告人がB1から右のような懇請を受けたか否か、これを受けて被告人からA1に対する慫慂行為がなされたか杏かが問題となるだけであつて、所論のハワイ会談の情報収集依頼の件が、右慫慂行為の意思と動機に直接関連するとされているものではない。のみならず、所論引用の被告人の検面調書の供述記載によると、B1の か杏かが問題となるだけであつて、所論のハワイ会談の情報収集依頼の件が、右慫慂行為の意思と動機に直接関連するとされているものではない。のみならず、所論引用の被告人の検面調書の供述記載によると、B1の前記依頼の件とは無関係に、被告人はC12からハワイ会談でD5がトライスター推奨の話をしていた旨の話をされ、C8にその話をしてくれという意味に受けとつたこと、その前からB1からトライスターの売込について、C8の方に話してもらいたいと頼まれていたこともあつたから、C8にトライスターを購入させることが日米両国のためになることだと理解し、C8のA1に右のことを理解してもらうために右C12の話を伝達したというのであつて、B1との関係はB1のC8へのトライスター売込についての援助の依頼が、A1に対する慫慂行為の動機の一つになつたという趣旨の供述であつて、ハワイ会談に関する情報収集依頼の件が右動機となつたという趣旨の供述は、右検面調書全体を精査しても見出すことができない。 そうすると所論が「慫慂の意思と動機についての事実の誤認」というのは全く当らない表現であつて、B1・被告人の第二回会談の際、B1から被告人にハワイ会談に関する情報収集を依頼したか否かは、C8に対するL―一〇一一型機の売込援助の話のほか、右依頼があつたように供述している被告人の検面供述の当該部分、ないしはこれを含む全体の供述部分の信用性の判断に関し、その真実性の有無について検討すれば足りる一事情にすぎないというべきである。 よつてこの観点から関係各証拠を検討する。B1がC5社製造にかかるL―〇一一型機(愛称トライスター)の日本における販売活動に関し、被告人と接触をはかつた動機、及び昭和四七年七月二九日ころ被告人と第一回目の会談を行なつた経過・状況、さらに同年八月二〇日ころ再来日した直後の同 型機(愛称トライスター)の日本における販売活動に関し、被告人と接触をはかつた動機、及び昭和四七年七月二九日ころ被告人と第一回目の会談を行なつた経過・状況、さらに同年八月二〇日ころ再来日した直後の同月二二日ころ、L―一〇一一型機の販売活動に被告人の援助を求めることに関し、C5社とコンサルタント契約を結んでいたC3と会談したこと及びその内容等については、B1証言を含む関係各証拠によれば、すべて原判決が第二弁護人の事実上の主張についての一の2項(四五ないし四七頁)のB1が被告人を知るに至つた経緯<争点「1」ないし「3」>の(一)「イ」「ロ」の項に認定するとおりであると認められる。そこで、右事実を踏まえたうえでさらに原判決が摘示するB1の関連供述部分を総合して検討すると、次の事実、すなわちB1は、被告人をC9・C8両社の社長ら幹部からの情報収集及び右幹部らへのL―一〇一一型機の売込のあつせん並びに大型航空機導入問題に関する日本政府筋からの高度の情報収集に有力な人物としてこれに接触し、被告人にそれらの援助を求めた経過の中で、昭和四七年九月一六日ころC3も同席して行われた第二回会談の際、C8に対するL一〇一一型機売込のあつせんの再依頼と共に、同年八月三一日及び九月一日の両日ハワイで行われたC12・D5の日米首脳会談において、日本側の大型航空機導入問題がどのように論議されたか、特にD5大統領がC5社のL―一〇一一型機を推奨ないし支持する発言をしたかどうかにつき、当時のC12総理と親密な間柄であり、その種の政治的情報について入手の能力と機会があると見られていた被告人に対し、その調査ないし情報収集の依頼をしたという事実を認めるに難くはない。 B1の関連供述部分を、被告人の検面調書における「B1との二回目の会談の際に、B1から、ハワイ会談でD5からC いた被告人に対し、その調査ないし情報収集の依頼をしたという事実を認めるに難くはない。 B1の関連供述部分を、被告人の検面調書における「B1との二回目の会談の際に、B1から、ハワイ会談でD5からC12先生に、トライスターを日本で買つてくれればありがたいという話が出たかどうか、誰か政府筋の人に聞いてもらいたいとの依頼を受けた」旨の供述記載部分と比較対照して見ると、D5が云々という具体的文言の有無に差は見られるけれども、B1としては自社製造のL―一〇一一型機(愛称のトライスターは昭和四七年七月ころから宣伝用に使用されていた)の日本側への売込に関し、自社の浮沈にかかわる故に、右ハワイ会談で日米首脳がどのように話し合つたか、特にD5がトライスターを支持する発言をしたかにつき重大な関心を有していたこと、そして、その種情報収集源として適役と考えた被告人に対し政府筋からの右情報の収集を依頼したことを十分認定でき、このことは、副証一二号のB1のメモ日記の九月二二日の記載によつても裏付けられているということができる。そして当該B1の供述が、被告人の前記検面調書における供述と具体的には一致しなくても、その趣旨において同一と認められるならば、被告人の当該供述の補強証拠とするに十分であつて、原判決が前記B1の依頼の件は同人の供述により優に認められるとした説示部分(原判決六一・六二頁)は、結局において右と同趣旨を説示すべきところ、その表現にやや適切さを欠いたにすぎないというべきである。 所論は、D5がどう発言したかということは、B1としては重大な事柄であるから、記憶の忘失等は考えられず、被告人の供述のとおりの事実であれば、これに一致する供述が得られるはずであると主張する。しかしながら、トライスターの売込のため多方面にわたり奔走し活動していたB1と、その働きか の忘失等は考えられず、被告人の供述のとおりの事実であれば、これに一致する供述が得られるはずであると主張する。しかしながら、トライスターの売込のため多方面にわたり奔走し活動していたB1と、その働きかけの一対象であつた被告人とでは、同一事項に関しても印象度や記憶の強さ等に差異を生ずることは十分あり得ると考えられ、所論のように考えるのは相当でなく、前記のとおり被告人の供述の信用性判断の事情としては、両者の供述はその趣旨において一致していれば足りるというべきであるから、右所論も理由がない。 また、原判決の引用するB1証言の同年八月二二日ころ及び同月二八日ころの時点の各情況に関する部分は、直接にはC14のC16との会談状況に関してのものではあるが、B1が日本におけるL―一〇一一型機の販売のための情報収集原兼販売活動の協力者として、C3・被告人・C14のC16の三つのルートを持つていたことは、B1の証言全般を通じて明らかであるから、C16との会談の時持つていた前記のようなハワイ会談に関する関心事項は、C3や被告人に対しても共通の情報収集の対象事項であつたと考えられ、特に被告人は当時のC12首相との関係において、C3やC16とは異なる独自の立場にあると見られていた(このことは原判決引用のコ嘱二巻一四四・一四五頁、三巻一〇六・二〇七頁の各供述部分のほか、副証二四A号の情報ルート図及びこれについてのB1の説明部分等により明らかである。)関係上、B1がC16とは別個に被告人に対し、前記ハワイ会談に関する情報収集を依頼するメリツトは大きかつたと考えられる。そうであれば、右C16との会談に際しB1がハワイ会談の内容につき重大な関心を持つていたという事実は、当のハワイ会談終了後間もないB1と被告人の第二回会談に際しても、その会談内容の認定に関し重要な間接事実 れば、右C16との会談に際しB1がハワイ会談の内容につき重大な関心を持つていたという事実は、当のハワイ会談終了後間もないB1と被告人の第二回会談に際しても、その会談内容の認定に関し重要な間接事実となるものというべきである。更に、当時B1らにおいて、D5及び米国政府が日本政府にC5社を助けることを望んでいる旨の話を戦略として広めるように努めていたこと、被告人がハワイ会談当時bに滞在していたことを承知したうえで、第二回会談時被告人を訪問していること等の、B1証言によつて認められる情況的事実も、B1がハワイ会談においてC5社の名が出ることを期待していたこと、及び一般的に見て被告人が右会談の際、現地において情報入手の可能性があつたのではないかと期待していたことを窺わせる間接事実といえるから、これらも前記会談内容についての認定に資する事情とするに妨げない。なお、B1証言の信用性に関して、原判決が同人の他の供述部分との前後矛盾性、または他証拠との矛盾点を逐一検討したうえ、結局信用性が認められると判断した部分も、おおむね相当であつてこれを是認することができる。 更に、所論は、当審において、B1の証言には被告人に依頼する前提として、D5がハワイ会談でトライスター支持の発言をしたことの情報をどうして入手したのか、被告人に右発言の有無について情報収集を依頼したのであれば、その結果はどうであつたのか等に関し供述がなく、論理的整合性に欠ける点もその供述に信用性を認め難い理由として付加主張する。しかしながら、B1は前記のようにハワイ会談においてD5がL―一〇一一型機を支持する発言をするかどうかにつき、並々ならぬ関心を有していたのであるから、所論のように具体的に誰かからD5が右発言をしたことを聞いていたということが、被告人に対する情報収集依頼の動機として不可 を支持する発言をするかどうかにつき、並々ならぬ関心を有していたのであるから、所論のように具体的に誰かからD5が右発言をしたことを聞いていたということが、被告人に対する情報収集依頼の動機として不可欠であるというわけではなく、また右依頼の結果については、B1は全く証言していないのではなく、被告人が二階堂官房長官に会つた結果C5社が良好な状態を保つている旨回答してきてくれたと供述しているのであつて、それが全く依頼の趣旨に合わない無意味な報告ともいえないことは、B1の当該供述の趣旨からして明らかであるから、所論は当を得たものとはいえない。 また、所論中B1・被告人の第二回会談の関係者であるC31及びクラッターの各供述に、前記ハワイ会談に関する情報収集依頼の件についてのB1の供述を裏付けるものがないという点は、右両名の当時の立場(C31は通訳者にすぎず、B2は右会談には同席せずB1から話を聞いただけである。)や会談内容への関心の程度がB1とは差異があつたと見られるうえ、両名とも右会談の具体的内容について、特に詳細に記憶を有していた事情があるとは認め難いことからすると、右依頼の件に関する供述が両名の供述中に見られないからといつて、両名は積極的に右依頼の話がなかつたと否定しているわけではないから、B1の前記供述とは矛盾するとはいえない。そうすると、この点もB1の供述により当該依頼があつた事実を認める妨げとはならない。 原判決の右同旨の説示部分(五〇頁)につき、所論はあれこれ論難しているが、B2がその日記の47・9・16の欄にB1と被告人との会談かあつたと見られる記載をしていることは、B2がB1から少なくとも、右両者の会談が当該日時にあつたことを確実に聞いていた事実を推測させるだけのものであり、B2が右会談の内容を特に印象深く聞いたために、これを 見られる記載をしていることは、B2がB1から少なくとも、右両者の会談が当該日時にあつたことを確実に聞いていた事実を推測させるだけのものであり、B2が右会談の内容を特に印象深く聞いたために、これを記載したということ等まで推測させるものではなく、原判決もその趣旨で判示していると解されるから所論は理由がない。 また、C31の供述がないと主張する点も同人に対する検察官の多数回に及ぶ取調は、ほとんどがC3に関する外為法違反等の容疑の解明のためのものであつて、B1と被告人の会談に関することは、その中の一情景的に現われてきた部分にすぎないと認められるから、C3関係と比較して少数回・短時間であつた被告人との会合状況について、通訳者であるC31が逐一詳細な記憶を有し、検察官の質問に逐一自発的にすべて供述する筈であると見ることは、人の記憶力の限度のほか、C3や被告人のような勢威ある人物に対する忌揮・遠慮の感情等、必ずしも率直には供述し難いと考えられる人情の機微をも無視した見解であつて、到底これに賛同することができない。 以上の検討結果によれば、被告人・B1の第二回会談において、B1から被告人に対し、L―一〇一一型機のC9及びC8に対する売込についての援助の依頼のほか、被告人の検面供述にいうようなハワイ会談に関する情報収集ないし調査の依頼もされているという事実がB1の供述によつて、少なくとも被告人の供述を裏付ける程度において認定することができるといえるから、これと同趣旨に出た原判決には所論のような採証法則違反による事実の誤認はない。 (二) 情報収集依頼に関する被告人の検面供述についてよつて、次に、被告人の検面調書中の前記情報収集依頼の件を認める供述の信用性について検討すると、右供述は検面調書の全体を通じて見ても、そのころC12からハワイ会談の話を る被告人の検面供述についてよつて、次に、被告人の検面調書中の前記情報収集依頼の件を認める供述の信用性について検討すると、右供述は検面調書の全体を通じて見ても、そのころC12からハワイ会談の話を聞いたとしながら、そのこととB1の依頼との関係や、情報収集を依頼されでいたB1に右話の件を伝えたか否かについて供述がないなど、論理的整合性に不十分な点があることは否定できない。しかしながら右の点は、関係証拠により認められる検察官による被告人の取調方法が、後記のように病臥中の被告人を臨床尋問し、三、四〇分程度取調べては適宜休憩して医師の診察等を受けるという短時間の断続的取調に終始せざるを得なかつた関係上、検察官において勢い最重点的と見られる事項に絞つて被告人を尋問し、その関係の供述調書を作成することで精一杯であつたため、論理的整合性の検討ないしその観点からの追及まで行う余裕がなかつた状況が窺われるのであるから、右関係において突込みが不足の供述調書ではあつても、右不足の点が供述全体の信用性を疑わせるほどの不自然ないし不合理というにはあたらない。また右取調に対する被告人の対応状況も、後記のとおり病臥中とはいえ、身体的にも精神的にも不安のない客観的状況のもとで、質問に対し任意に供述することが可能であつたと認められるほか、C12及びC3に累を及ぼすことは供述を回避しようとする傾向が顕著であつたと認められるので、第一回の取調で事柄の重要性を余り意識せずハワイ会談に関する情報収集依頼の件を供述したが、その依頼に対してどのようにしたかの点を追及されて累を他に及ぼすことに気づき、その関係の供述は回避する態度に変つたものと推測され(51・9・21付調書では右の点を質問されて、よく憶えていないと供述している。)、たたC12からハワイ会談の話を聞いたという件は、A1 とに気づき、その関係の供述は回避する態度に変つたものと推測され(51・9・21付調書では右の点を質問されて、よく憶えていないと供述している。)、たたC12からハワイ会談の話を聞いたという件は、A1に対しC12総理がハワイ会談てD5か云々の話をしていた旨話したことは当初から認めていた関係上、その話の出所を追及されてやむを得ず認めるに至つたものと推測するに難くない。また供述調書上はハワイ会談の話はC12の方から積極的に話があり、C8に伝えてほしい意向のように被告人が受けとつたというのであるから、被告人としては当面はC8のA1に話を伝えれば足り、B1の依頼の件はこれとは別個の問題であると考えていた可能性もある。このように見るならば、右B1の依頼の件の話が調書上立ち消えの形になつていることも、必ずしも理解し難い不自然・不合理な事柄というにはあたらない。被告人の検面調書の不利益供述部分の任意性については、後記説示のとおり十分これを肯認できるところであるが、右不利益供述の一部であるB1からハワイ会談に関しD5あ発言の有無の情報収集を依頼されたという点は、原判決も指摘するように、検察官において当時これを誘導すべき資料を持つていなかつたと見られるのに、被告人が第一回の取調でこれを供述したということに徴し、それだけに任意性を推認させる事情が高いというべきであり、所論のようにこの部分だけが論理的整合性を欠く点で任意性・信用性に疑問かあるということはできない。 また、所論指摘の被告人の検面調書中に原判決も認定する客観的事実に反する部分があるという点も、これはC3がB1と被告人の第一回会談の紹介に関与しているかどうか、右第一回会談の際B1から被告人にL―一〇一一型機売込の援助の依頼があつたかどうかに関する部分であるところ、原判決は右の点については虚偽陳述 がB1と被告人の第一回会談の紹介に関与しているかどうか、右第一回会談の際B1から被告人にL―一〇一一型機売込の援助の依頼があつたかどうかに関する部分であるところ、原判決は右の点については虚偽陳述の成否の判断上判断の必要を見ないとして判断を避けているのであつて(四七頁2の(二))、右のような事実がなかつたと認定したものでないことは明白であるから、この点の所論は前提を誤つた失当な主張というべきである。 以上のとおり、被告人の検面調書の当該供述部分に信用性があるとした原判決の判断は相当と認められるから、この点の所論も理由がない。 2 慫慂行為の有無について次に、慫慂行為の有無について、原判決の挙示する関係各証拠を検討すると、原判決のこの関係の判断も相当として是認することができ、当審における事実取調の結果によつても右判断を動かすには足りない。以下、所論に鑑み若干付言する。 (一) ハワイ会談における話合の内容と本件慫慂行為との関係についてハワイ会談で実際にD5・C12両首脳間で、トライスター購入に関する話があつたということと、被告人がC12から右話があつた旨聞かされたということ及び被告人からA1にC12総理から右話があつたとして伝えたということとの間には、前者がなければ後二者もあり得ないという必然性はない。なんとなれば、C12がD5の言葉を創作して被告人に話をした可能性もあり得るからである。すなわち、右C12がC5社の販売代理店であるC14の社長C15らから、C14及びC5社の利益のため、内閣総理大臣としての職務権限に基づきL―一〇一一型機をC8に購入せしめるよう尽力されたい旨請託を受け、昭和四七年一〇月に右売込の成功を見た後、現金五億円の供与を受けて賄賂を収受したという右C12に対する起訴事実が真実であるとすれば、かような立場にあつ C8に購入せしめるよう尽力されたい旨請託を受け、昭和四七年一〇月に右売込の成功を見た後、現金五億円の供与を受けて賄賂を収受したという右C12に対する起訴事実が真実であるとすれば、かような立場にあつたC12がC8への働きかけのため、右のような話を創作することも十分あり得ることと考えられるからである。 したがつて、ハワイ会談で右話があつたことが立証されなくても、後二者の関係証拠に信用性が認められるならば、本件慫慂行為の事実を認定するのになんら妨げはないというべきである。 (二) A1の検面供述の信用性についてそして、この関係の証拠の発端と見られるA1の検面調書(51・8・9付)の供述の信用性について見ると、同供述は「D5・C12のハワイ会談後間もない昭和四七年九月中旬ころ、C28本社で私が被告人と会つたときに、被告人から『実はハワイ会談のとき、C12(C12の意味)がD5と会談したあとで、D5から、C8がトライスターに決めてくれるといいんだがという話があつたそうだよ、この間C12に会つたらそう言つていたよ。』という話があつた。言いかたは娩曲だつたが、要するに被告人としてはC8にトライスターを採用してくれということを言おうとしたのだと思つた。私はそのように受けとつた。」という内容である(同調書四項)。そして、右供述がなされるに至つた経緯については、当時の取調状況に関して、A9検事の証言と、A1自身の公判段階での証言とが強制ないし誘導等の有無をめぐつて対立している。しかしながら、A1が取調中居眠りをして立たされ叱責されたという状況の説明や自己の記憶にない事項を調書に記載され、これに署名するに至つたという理由の説明及びA1が保釈になる直前ころ作成して検察官に提出した反省の言葉を記載した上申書の作成事情等の説明を見ても、A1の証言には不自 記憶にない事項を調書に記載され、これに署名するに至つたという理由の説明及びA1が保釈になる直前ころ作成して検察官に提出した反省の言葉を記載した上申書の作成事情等の説明を見ても、A1の証言には不自然・不合理・誇張と思われる点が多く、A9証言にはそれらの点が認められないことからして、A9証言の方に信用性があると認められる。右A9証言によると、A1は取調の当初はかたくなに取調に対し反抗的態度を示していたが、C32元C8社長の話をするなどして説得を続けるうち右態度を改め、自己の容疑事実(C8がC5社からトライスター機の購入に関しリべートの金員を受領し、そのことを承知していたのに、国会の証人尋問において、そのようなことは知らない旨偽証した議院証言法違反の容疑及びこれに関連する容疑)につきありのままに話す心境になつて供述を続けていた過程において、たまたま若狭・A1がC12の私邸を訪問した際、被告人がその紹介の労をとつてくれたとの供述が出たので、これに関連して同検事がA1に被告人に対するその他の依頼関係等について問いただしているうち、こういうこともありましたと言つて、全く任意に自発的に、被告人からC12総理に会つたらハワイ会談でD5大統領が云々と言つていたという話をされた言旨かされた件を供述したことが認められ、右供述経過からすれば、右A1の供述はその信用性を認めるに十分である。また、右A1の同じ検面調書における供述中、昭和四七年一〇月二四日、若狭社長と共にC12総理を官邸に訪問した際、C12総理からハワイ会談でD5大統領がトライスターを推奨する話をしていた旨話されたとの供述(同調書五項)は、前記と同様の供述経過からこれも十分信用性があると認められるところ、A8の検面調書(51・8・11付)の四項においてもほぼ同趣旨の供述がなされていて、これによつ 旨話されたとの供述(同調書五項)は、前記と同様の供述経過からこれも十分信用性があると認められるところ、A8の検面調書(51・8・11付)の四項においてもほぼ同趣旨の供述がなされていて、これによつて補強されでいると認めることができる(右若狭の検面調書の供述の信用性は、A1の場合と同様に、取調状況に関するA2検事の証言と若狭本人の証言を比較検討した場合、前者の証言の方により信用性があると認められ、また内容的にもA1の前記検面調書の供述とほぼ符合していること等からして、これを認めるに十分である。)。これらの供述は、同じ人物から他の者も相前後した時期に同じような内容の話を聞いたという点で、間接的にではあるが、後記の「ハワイ会談が終つて間もないころ、c会館のC12事務所で、C12からハワイ会談でD5が云々といつた話を聞かされた」という被告人の検面調書中の供述の補強証拠とするに足りるものであるといえる。 なお、所論はA1の前記供述が検察官の誘導による架空のものである根拠として、B1が被告人と会談したときに、たまたまA1も来合せていて、被告人からA1を紹介してやろうかと言われたというB1の供述部分(コ嘱五巻五四二頁)を引用し、右は第二回会談のあつた九月一六日以外には考えられないから、A1の検面供述によるとその同じ日に被告人からハワイ会談におけるD5・C12間の話し合いの内容を告げられたことになり、被告人はその情報を求めにきていたB1に対し、A1に対するのと同趣旨の話をして然るべきはずなのに、B1の供述にはそのような話はなく、その後における被告人からの報告にも右趣旨の話があつたとされていないのは、著しく不合理であると主張している。しかし、A1の右供述は、ハワイ会談後間もない九月中旬ころ、C28に赴いたときに、被告人から前記ハワイ会談の話を告げられ にも右趣旨の話があつたとされていないのは、著しく不合理であると主張している。しかし、A1の右供述は、ハワイ会談後間もない九月中旬ころ、C28に赴いたときに、被告人から前記ハワイ会談の話を告げられたというものであり、一方でA1は被告人とは他の用件等で何回も会つていたというのであるから、右ハワイ会談の話を聞いた九月中旬ころというのが、B1が被告人と会談した九月一六日と同日であると限られるわけではない。右引用にかかるB1の証言部分によれば、被告人からA1を紹介しようかと言われたが、既に知つていたから断つたというのであるところ、関係証拠によればB1は昭和四七年六月中旬ころ来日してC8本社を初訪問したほか、同年七月下旬ころL―一〇一一型機のデモフライトの際陣頭指揮のために来日しているが、A1は右デモフライトに搭乗していること、B1は右七月の来日中の最後の日の二九日に被告人を初めて訪問していることが認められ、右訪問時には前記経緯から見て、既にA1とは面識を得ていた可能性があるから、B1がC28でA1と来合せたというのは、右第一回の七月の訪問の際である可能性も考えられる。もつとも第二回訪問の九月一六日にもA1が来ていた可能性もないとはいえないが、その日にはA1は他の用件のみを果しに来ていた可能性も考えられるのであつて、もし被告人からハワイ会談の話をされた際に、面識のあるB1らが来合せていたのであれば、そのことがA1の印象に残り、検察官に対しその旨供述しているはずであると思われるのに、同人の検面調書にそのような記載がないことからすると、A1が被告人からハワイ会談の話をされたというのは、右九月一六日ではなく別の日であると認めるのが相当である。 すると前記所論は、右九月一六日にA1が被告人からハワイ会談の話を聞いたと設定する点で、その前提を誤つている イ会談の話をされたというのは、右九月一六日ではなく別の日であると認めるのが相当である。 すると前記所論は、右九月一六日にA1が被告人からハワイ会談の話を聞いたと設定する点で、その前提を誤つているものというべきであるから、これを採ることができない。 (三) 被告人の検面供述の任意性・信用性についてそこで、次に右A1の供述に対応する被告人の検面調書の供述の任意性・信用性について検討する。被告人の検面調書中の不利益な供述及びその記載がなされた経緯については、被告人は原審公判段階において(別件C12等の公判における証人としての供述も含む)、取調にあたつたA10検事やC33検事から執拗に誘導ないし押しつけ的取調をされ、病臥中であつたため根負けして、やむを得ず相槌を打たされた結果そうなつたように供述しているのであるが、一方においてA1に対する慫慂行為の件及びその動機となつたC12からハワイ会談の話をされた件について、検事とは押問答をしたが最後まで認めなかつた、検事調書は自分の言つたとおり書いてあると信じていたが、裁判が始まつて調書の内容を見てはじめて違つていることがわかつた(乙16・乙17の別件公判における証人尋問調書)とか、右二つの事項は検事の読み聞けのときは耳に入らなかつた(原審五六回公判供述)とか、耳には入つたが内容が理解できなかつた(原審六一回公判供述)などと供述している点で前後矛盾しているところがある。次に、右読み聞け時の理解の点も、被告人自身、毎回取調内容は取調終了後邸内に待機していた弁護人に報告していたことを認めていること、51・9・21付調書に例をとつても、その五項の記載はそれ以前の記載事項の読み聞け後、被告人が追加申し出をした結果追加録取されたものと認められること等からして、被告人の読み聞けに関する理解は十分であつたと認 21付調書に例をとつても、その五項の記載はそれ以前の記載事項の読み聞け後、被告人が追加申し出をした結果追加録取されたものと認められること等からして、被告人の読み聞けに関する理解は十分であつたと認められる。また、検面調書中にはB1との会談にC3が同席したことや、C3からC5社関係で金をもらつたことは終始否定し、B1のいう陰謀の件についても自己の関与を否定するなど、自己の言い分を通している部分が少なくないほか、記憶がないこと、または記憶がはつきりしないという点はそのとおり記載されている部分も随所に見られること等からすれば、被告人は検事の追及に対し否定するところは否定し通し、記憶がないとかはつきりしないとかの点はそのとおり供述していたことが明らかである。そうすると不利益な供述部分はすべて検事の押しつけの結果であるようにいう公判供述は、にわかに信用することができない。 他方において、被告人の不利益供述のほとんどを引き出したと見られるA10検事の証言を見ると、同検事の取調状況についての供述は具体的で自然であり、微細な点はともかく、大筋において同検事作成の取調状況報告書の記載及び作成された供述調書の記載状況とよく合致し、被告人の公判供述と比較してより信用性があると認められる。 すなわち、前記51・9・21付調書の五項の追加録取の点も、同検事が被告人のいうがままに供述を録取したことの一例であるが、他にも第一回の取調の際、被告人は同検事の尋問に対し、A1にC12・D5会談の話をしたこと、その内容はD5がC12総理にC5社の飛行機を推奨したというものであつたことは抵抗もなく認めたが、その話は誰から聞いたのかと追及すると供述をしぶり出し、A1に話したこと自体もはつきりしないと供述を後退させてしまつたので、そのままに調書を作成したという点、第二回の取調 ことは抵抗もなく認めたが、その話は誰から聞いたのかと追及すると供述をしぶり出し、A1に話したこと自体もはつきりしないと供述を後退させてしまつたので、そのままに調書を作成したという点、第二回の取調で右話はC12から聞いたのではないかと追及したが、理屈としてはそのはずだが思い出せない、と言つてC12に関することは避けようとする態度であつたので、第三回の取調であれこれ利害を考えず事実を話すよう縷々説得したところ、ようやくC12から聞いたことを思い出したとしてこれを認めたという点等は、各調書の関係部分の記載とよく符合しており、被告人の任意の供述をそのまま録取したものと認められる。また、取調状況報告書に記載されているように、取調時間が短時間に制約されていたことと、作成された供述調書の分量とを比較しても、被告人がいうような押問答を繰返していたのでは、到底そのような分量の調書作成はできなかつたはずあると認められる。 なお、関係証拠により被告人の取調当時の客観的状況を見ると、被告人は高血圧症兼冠不全のため狭心症の発作を頻発して病床にあつたが、右発作は生命に危険をきたすほどではなく、右被告人の病状を考慮し、A10・C33両検事は主治医であるC34医師と十分打ち合せ、同医師の要望に従い取調は必ず事前に同医師の診察を経て取調可能の場合に行なうこととし、取調時間も三〇分から四〇分程度休憩し(ただし九月末に被告人が諸検査のため入院し、動脈瘤の疑いが晴れて退院した後は、一時間を超える場合もあつた)、医師の診察を受けるようにし、医師の所見で体調不良の場合は取調を打ち切るなど、極めて慎重な取調方法をとつたほか、被告人側でも取調の間中C34医師及び時には家族が隣室に待機し、適宜被告人の容態を観察できる態勢にあり、被告人の依頼した弁護士も別室に待機していて、適宜被告 など、極めて慎重な取調方法をとつたほか、被告人側でも取調の間中C34医師及び時には家族が隣室に待機し、適宜被告人の容態を観察できる態勢にあり、被告人の依頼した弁護士も別室に待機していて、適宜被告人に助言等ができる態勢にあつたことが認められ、かような状況からすれば、取調場所が被告人の住み慣れた自宅であつたことと相侯つて、被告人は身体的にも精神的にも不安等のない、まさに任意の供述が可能な状態での取調を受けたものと認められ、この点は原判決も適切に説示するとおりである。 以上のように信用性があると認められるA10検事の証言と被告人の取調の際の前記客観的状況及び同検事作成の検面調書自体の記載内容がおおむね自然な進展をたどつていること等を総合すれば、被告人の当該不利益供述部分は、被告人が任意に供述したものと認めるに十分である。さらにC33検事作成の検面調書の不利益供述部分についても、同検事の取調状況についての証言と被告人の公判供述を対比すれば、前同様の理由で前者の方により信用性があるといわざるを得ず、右C33検事の証言によればその任意性を認めるに十分である。 また、右A10・C33両検事の証言を通じて、被告人は検察官の取調に対し質問を的確に理解し、自からの考えに基づき応答する能力を保持していたのみならず、特にC12及びC3に関することはできるだけ供述を回避する態度に終始していたことも窺われ、右のような状況下で被告人が任意に自己及びC12らに不利益な供述をしたことは、その供述に信用性があると推測させる有力な事情の一つということができる。 ところで、被告人の検面調書中のA1に対する慫慂関係の供述内容を見ると、おおよそ次のとおりである。すなわち、「C8のA1とは何回も会つたことがあるが、昭和四七年九月か一〇月ころ、C28でA1と会つたときに、C 人の検面調書中のA1に対する慫慂関係の供述内容を見ると、おおよそ次のとおりである。すなわち、「C8のA1とは何回も会つたことがあるが、昭和四七年九月か一〇月ころ、C28でA1と会つたときに、C12・D5会談の際、D5が日本でC5社のトライスターを導入してもらえば結構だが、とC12総理に言つていたそうだということを話した。」(51・9・17付六項、他に51・9・21付三頂、51・9・24付一項、51・12・1付七項もほぼ同旨)、及びその動機、原因関係については「ハワイ会談が終つて間もないころ、私がc会館のC12事務所に行つてC12先生と雑談をした際に、C12先生から、『実はこの前ハワイ会談があつたときに、D5から、日本が導入する飛行機はC5社のトライスターにして貰えばありがたいんだかなあ、そうして貰いたいんだがなあと言われたんですよ、C8の方はどういう方針かなあ』と言われた。大体、政治家の話は口ではつきりいわず、遠まわしにいうことが多いので、右話はC8に伝えてくれとは言葉でいわなくても、そのような趣旨に受けとることもできた。しかし、私は頼まれたからという気持だけでそのことをA1副社長に話したのではない。コーチャン氏からトライスターの売込について何回か頼まれていたし、C12先生も私にわざわざ話してくれたことだから、この際C8にトライスターを買わせることが日米両国のためになることだということを理解してもらうためだつた。C8に対して圧力をかける気持でA1さんに話したのではない。」(51・9・24付一項、51・12・1付七項)というのである。 右供述は、発端となるC12総理からハワイ会談におけるD5大統領の話を聞かされたという部分に前述のとおり間接的な補強証拠もあり、被告人からA1に右C12総理の話を伝えたという点も、被告人・A1の各供述 供述は、発端となるC12総理からハワイ会談におけるD5大統領の話を聞かされたという部分に前述のとおり間接的な補強証拠もあり、被告人からA1に右C12総理の話を伝えたという点も、被告人・A1の各供述がほとんど符合していて相互に補強し合つていること、被告人の検面調書の不利益な供述が、前記説示のような取調状況から見て任意性に疑問の点はないと認められること、及びC12からハワイ会談の話をされこれをC8のA1副社長に伝えたという供述は、被告人の国会証言との関係で自己に不利益であるのみならず、C12やA1までC5疑惑に巻き込むことになるのに、あえて任意に供述されていることから見て虚構の供述とは考えられないこと等の諸事情を参酌すれば、その信用性は極めて高いと認められる。 かように信用性の認められるA1及び被告人の各検面供述等によれば、本件慫慂行為と目される事実の存在を認めるに十分である。 よつて、原判決がA1及び被告人の各検面供述等により、本件慫慂行為の事実を認めたのは相当であつて、右認定に所論のような審理不尽や事実の誤認はない。 (四) 慫慂行為とはならないとの主張について次にC12の話を伝達しただけでは慫慂行為にならないという主張(所論2の(二)の点)については、右話を伝達されたA1自身が被告人の話は婉曲にトライスターの購入をすすめているものと理解したと供述していること、被告人も検面供述でC8がトライスターを購入することが日米両国のためになることだと理解したから、そのことをA1に理解してもらうためにA1に話したと供述していること、事態を客観的に見ても、内閣総理大臣として政・財界等への発言力・影響力の大きいC12が、D5大統領の話に籍口してトライスター購入を推奨ないし支持するような話をしていた旨を、財界の実力者であり、C8の大株主・社賓とし ても、内閣総理大臣として政・財界等への発言力・影響力の大きいC12が、D5大統領の話に籍口してトライスター購入を推奨ないし支持するような話をしていた旨を、財界の実力者であり、C8の大株主・社賓として同社への発言力も少なくなく、C12の親しい友人として知られている被告人が、同社の新機種選定の最終段階の時期において、同社の副社長であり同社の窓口として被告人と接触していたA1に伝えたことは、A1をしてC12の話の影響力のみならず、被告人自身も同社への発言力を背景に、C12と同じ意向で右話をしていると察知させるに足りるものであつたといえること等からすれば、被告人の行為は単なる伝達行為または紹介行為にとどまらず、被告人自らA1に対しトライスターの購入を遠まわしに誘いすすめたもの、すなわち婉曲に慫慂したものであると評価するに十分である。 所論は、被告人には慫慂の意思がなかつたとして、前記被告人の検面供述部分のほか、「A1に話した際、C8に圧力をかける気持はなかつた」という供述部分を援用するのであるが、「慫慂」とは前記のように誘いすすめるというだけの意味であつて、相手方に圧力をかける認識は必要とせず、被告人は前記のように「C8にトライスターを買わせることが日米両国のためになることだと理解し……」と供述していて、C8にトライスターを購入させる目的を意識して話したことを認めているのであるから、これは右購入を誘いすすめる認識として十分であると認められ、主観点にも慫慂の意思はあつたといえるから、右所論も理由がない。 なお、A1の検面供述と若狭の検面供述との間には、A1から若狭に被告人の慫慂行為について報告しているかどうかという点につきくいちがいがあるけれども、A1が「被告人の話は若狭の既定方針とも合致していたので、若狭は別に驚いた様子もなかつた」と供述 、A1から若狭に被告人の慫慂行為について報告しているかどうかという点につきくいちがいがあるけれども、A1が「被告人の話は若狭の既定方針とも合致していたので、若狭は別に驚いた様子もなかつた」と供述していることから見れば、若狭はさして感銘を生ずるような受け取り方をせず、これを軽く聞き流した状況が窺われ、そうすると、同人の印象が薄かつたため記憶に残らなかつたとも考えられるから、若狭が報告を受けた件を否定している一事をもつて、本件慫慂の直接当事者たるA1の供述内容を否定する根拠とは認め難い。原判決の同趣旨の説示部分も相当と認められる。 (五) 結論以上のとおりであるから、被告人のA1に対する慫慂行為の存在に関する原判決の事実の認定は相当であつてなんら事実の誤認はない。また、その事実を前提として、被告人が国会証言中において右事実に反する虚偽の陳述をしたとする原判決の認定も、関係証拠に照らし相当と認められるから、右A1に対する慫慂関係の事実誤認の主張はすべて理由がない。 第四控訴趣意第四(被告人がB1からP3C型機売込の援助を要請された関係の訴因についての主張)について一理由不備ないし理由そごの主張(所論には事実誤認の主張も含まれているものと解する。)(弁護人の主張)所論は、要するに、原判決はこの関係の前提事実として、「被告人は真実は……「2」昭和四七年七月下旬ころC28株式会社応接室においてC3同席のうえ、B1からC5社製造にかかる対潜哨戒機P3C型オライオンに関して種々説明を受け、同航空機を日本政府に売却するについての援助を要請され、これについて右C3と協議し」たとの事実を認定したうえ、国会証言における虚偽の陳述として、「B1からPXLあるいはP3Cオライオンといつたような言葉を聞いた覚えは全然ない、C5社に関することで れ、これについて右C3と協議し」たとの事実を認定したうえ、国会証言における虚偽の陳述として、「B1からPXLあるいはP3Cオライオンといつたような言葉を聞いた覚えは全然ない、C5社に関することでC3と話し合つたことは断じてない」旨証言した事実を認定しているが、右前段の事実と後段の事実との間には次のようなくいちがいがある。(1)右証言中PXLまたはP3C関係の部分は、そういう言葉に関する記憶の有無を尋ねられてこれを否定したのにすぎないから、右陳述を虚偽とするためには、その前堤としてB1が前記説明をした際に、PXLあるいはP3Cオライオンという言葉を使つて説明したという事実が必要であるところ、原判決はその事実を摘示していないから、前提たる事実の認定と虚偽とされた証言の認定の間にくいちがいがあり、(2)また、B1から前記のような言葉を聞いた覚えはないと証言したとの認定が、B1自身の言葉として聞いた覚えがないという趣旨であれば、被告人は英語を全く解しないから、覚えがないと答えたのは当然であつて罪とならないし、通訳を介して通訳の言葉の中で聞いたことがないという趣旨だとすれば、挙示した証拠中にこの時の会話を通訳した者の供述が存在しなければならないところ、そのような証拠は全く存在しないから、この点においても原判決には理由不備があり、(3)実質的に見ても「C5社に関することでC3と話し合つたことは断じてない」旨証言したとの部分は、証拠上は被告人は一般的にC5社に関すること、またはC8に関することでC3と話し合つたことはない旨証言したにとどまり、原判示の日時ころB1との会合の席上このような話合をしたことはない、と証言したわけではないから、原判決の右部分の認定は明らかに被告人の証言内容を歪曲したものであつて不当である(反論書八、九頁)、というのである。 ころB1との会合の席上このような話合をしたことはない、と証言したわけではないから、原判決の右部分の認定は明らかに被告人の証言内容を歪曲したものであつて不当である(反論書八、九頁)、というのである。 (当裁判所の判断)そこで検討すると、(1)、(2)の点については、原判示「B1から、前記C5社製造にかかる対潜哨戒機P3C型オライオンに関して種々説明を受け」たとする認定部分は、合理的に解釈して当然にP3C型オライオンという言葉を使つて、通訳を介して説明を受けたという趣旨であると理解すべきである。また、右関係の証拠であるB1及びクラッターの各証言調書の供述は、通訳を介して被告人と会談したことを当然の前提としてなされていると認められるので、P3Cまたはオライオンの用語を日本語に通訳した場合、その符号または呼称のとおり伝えるほかないと考えられることからしても、関係証拠としては右両名の証言調書があれば足り、その上に通訳に当つた者の供述までは必要でないというべきである。そうすると、前記(1)(2)の主張は理由がない。 次に(3)の点について見ると、所論指摘の「C5社に関することでC3と話し合つたことは断じてない」との被告人の証言部分は、これを前記予算委員会の会議録によつて検討すると、C35委員の質問の第九ないし第一一問に対応する証言部分がこれに該当すると認められるところ、これに先立つ同委員の第一問ないし第八問は、B1の米国上院での証言中、トライスターの売込の問題でC3と同様に被告人と戦略的な相談をした旨、被告人は非常に影響力のある人物であるため大きな助けとなつた旨、あるいは、C3及び被告人とは何回も売込の戦略について話し合つた旨の部分に関連しての質問であつて、同委員の第九問中の「その後C3氏とこの関係でお話し合いをしたことがあるかどうか、伺い けとなつた旨、あるいは、C3及び被告人とは何回も売込の戦略について話し合つた旨の部分に関連しての質問であつて、同委員の第九問中の「その後C3氏とこの関係でお話し合いをしたことがあるかどうか、伺います」との部分における「この関係」とは、前の質問から続いているトライスター売込の戦略関係を指すと解するほかはないから、右第九問に対し被告人がC3とのつきあい関係のみを答えたのに続き、同委員がした「そのおつきあいはわかりましたが、その後C5社に関すること、あるいはC8に関することでお話し合いをしたことがありませんか」との第一〇問及び重ねて同趣旨の第一一問も、トライスター売込の戦略の関係のみの質問であつて、P3C型機の日本政府への売込援助の要請の関係は含んでいないと認めるのが相当である。このことは、同委員の次の第一二問でC3とC5社とのP3Cの契約について、第一三問ないし第一六問でPXL国産化白紙還元問題について被告人の認識の有無をただし、第一七問で「この問題(右PXL国産化白紙還元の問題を示す)については全然C3氏と話し合つたことはないですね」と改めて質問し、被告人が「全然ございません」と答えているやりとりの経過からも認められるばかりでなく、衆議院予算委員長名義の本件の告発状の被疑事実において、「被告発人は、トライスターの売り込みについて、C5社のB1社長から依頼があつたので、わかりましたとは言つたがそのまま聞き流しにし、だれにも話したことはない旨、C5社あるいはC8に関することでC3と話し合つたことはない旨証言した。」とされていて、トライスター売込の関係で右C3と話合つた件を否定したことをとらえて偽証の疑いをかけている趣旨の記載になつていることからしても窺うことができるというべきである。 そうすると、原判決が採り上げた被告人の当該証言部分は 関係で右C3と話合つた件を否定したことをとらえて偽証の疑いをかけている趣旨の記載になつていることからしても窺うことができるというべきである。 そうすると、原判決が採り上げた被告人の当該証言部分は、前記前提事実として認定された「B1からP3C型機の日本政府への売込の援助を要請されてC3と協議した」との事実に対応した証言であるとは認め難いから(むしろ被告人の右証言部分は、原判決が認定した前提事実「1」の「昭和四七年九月中ころ……C3同席のうえ、B1から……L―一〇一一型機をC8株式会社に購入せしめるよう尽力をしてもらいたいとの懇請を受け」たという事実に対応する証言であると認められるが、件公訴事実は右の関係では単に「C3同席のうえ」とあるだけで、右懇請についてC3と協議したとはしていないから、右「C5社に関すること、あるいはC8のことでC3と話し合つたことは断じてない」との証言部分を、B1がL―一〇一一型機売込援助を懇請した際に、C3と話し合いをしたという事実との関係で、虚偽の陳述ととらえているのではないことも、原判決の指摘するとおり《四四頁》である。)、右前提事実との関係で虚偽陳述となる余地がなく、原判決が当該被告人の証言部分が、前記前提事実(P3C売込に関するもの)との関係において虚偽の陳述であると認定したのは、事実を誤認したものといわざるを得ない。 二 「四者会談」に関する事実誤認の主張(弁護人の主張)所論は、要するに次のとおりである。 1 偽証の前提となる客観的事実の誤認原判決は、前記P3C型機売込援助要請に関する前提事実として前記「2」の事実を認定し、右認定の理由説示において、「A」B1はC8に対するL―一〇一一型機販売計画が成功した後、被告人からもP3Cの売込についてL―一〇一一型機売込に関してと同様の援助を得よう 前記「2」の事実を認定し、右認定の理由説示において、「A」B1はC8に対するL―一〇一一型機販売計画が成功した後、被告人からもP3Cの売込についてL―一〇一一型機売込に関してと同様の援助を得ようと考え、昭和四八年七月二三日から同月二九日まで来日した間に、B2とともにC28本社に被告人を訪ね、同社応接室でC3同席の下に被告人と会談したこと(以下「四者会談」という)、「B」右「四者会談」において、B1は被告人に対しP3C型機の性能等に関する説明をし、同機採用の利点等を指摘して、同機の日本政府への売込について前回同様に情報収集・説得活動等の援助をしてもらいたい旨依頼し、これについて被告人はC3とも協議したこと、「C」右席上、被告人は従前取決められていたP3Cの売込にかかるC3への手数料の額は適正でなく、増額すべきであるとのC3の主張に同調して、B1に対し、C5社が当該売込を成功させたいならば、C3に対する手数料を増額するように口添え説得したこと、「D」そこで、B1は、被告人の右手数料増額勧告は、P3C販売活動に対する援助の意向をも包含するものと推測し、これに同意したものであるが、かような経緯から、B1らは被告人が援助を約束したものと理解したこと、「E」その後、右「四者会談」の結果を踏まえたC3・B2間の交渉の末、P3Cの売込が成功した場合のC3の手数料等を総計二五億円とする旨の、同年七月二七日付マーケツティング・コンサルタント契約修正四号契約書が右日付ころ作成されたこと等の事実が認められるが、右「四者会談」の存在についてはB1とB2の各証言のほか、社有自動車行動表(符20)の記載という客観的証拠の存在によつても裏付けられていて、右行動表によると前記B1が来日中の昭和四八年七月二八日、B1がB2と窺われる外一名とともに、午前九時三五分にC2 、社有自動車行動表(符20)の記載という客観的証拠の存在によつても裏付けられていて、右行動表によると前記B1が来日中の昭和四八年七月二八日、B1がB2と窺われる外一名とともに、午前九時三五分にC28本社を意味すると見られる「d」に赴き、約三〇分間同所に滞留したことが明らかであつて、この事実は「四者会談」の存在を裏付けるに十分であると説示しているのである。 ところで、原判決の前記理由説示を通観すると、原判決は前記「四者会談」は昭和四八年七月二八日に行われたと認定していると解されるところ、(イ)B2日記の同日分の、B2がC36とともにC8ゴルフトーナメントに参加し、B1がC31・C3・C37(C38社長)と会談した旨の各記載及び当日の社有自動車行動表の記載から、B2はB1と別行動をとつたことが推測され、また、B2日記の同月二七日分には、B1とB2が揃つてC31・C3・C27(C3の秘書)らとP3の関係で会談した旨の記載があり、これが前記行動表の同月二七日分の記載とも符合していることのほか、C3の腹心の秘書でC3の前記のような手数料増額要求に同調し口添えできるC27の立場及び同年七月二七日付の前記修正四号契約書の作成日付からすると、C3の右手数料増額についての合意は七月二七日の会談で成立したものと見るのが合理的であつて、他にB2日記の七月二三日ないし二六日及び二九日の記載を見ても、前記「四者会談」の存在を裏付けるものはないから、B1は記憶ちがいによりC27を被告人と混同して証言した疑いがあり、(ロ)B1を乗せた車の前記社有自動車行動表の七月二八日分の行先の記載中の「d」が、C28本社を意味するとは限られないことは、昭和四八年一〇月四日分の同じ記載の行先が、当日所用で仙台市に出張していて不在であつた被告人をB1が尋ねて会談することは不可能 分の行先の記載中の「d」が、C28本社を意味するとは限られないことは、昭和四八年一〇月四日分の同じ記載の行先が、当日所用で仙台市に出張していて不在であつた被告人をB1が尋ねて会談することは不可能であつたため、C28を意味しないと見られることからしても明らかであり、(ハ)その他右「四者会談」に関するB1の証言は、事態の経過ないし推移に関する説明に欠ける点が多く、B2の証言も漠然としているうえ、C3の手数料増額要求と被告人の関与の件は述べていない等、右両名の関係供述部分は信用性に乏しく、ことに前記「四者会談」で被告人とC3が協議したことは、右両名の供述等によつてもこれを認めるべき資料がないので、原判決が前記説示の理由により前記前提事実を認定したのは、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認である。 2 国会証言部分の虚偽陳述の犯意の誤認仮に、月日及び同席者の点はともかく、B1が被告人に対しP3Cに関する説明を行ない、その売込について被告人の援助を要請した事実が存在するとしても、その要請はB1側の一方的行為にすぎなかつたと見る余地があるから、被告人としてはその事実について記憶を失つていたため、否定的な陳述をしただけであつて、そのような事実を秘匿するためにことさら虚偽の陳述を行なつたものではない可能性があるのに、原判決が虚偽陳述の犯意があつたと認定し、本件訴因を有罪としたのは、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認である。 所論は以上のとおり主張する。 (当裁判所の判断) 1 そこで、まず偽証の前提となる客観的事実の誤認の主張から検討すると、原判決が認定した前提事実は、前記のとおり「被告人は昭和四八年七月下旬ころ、C28株式会社応接室においてC3同席のうえ、B1からP3C型機の日本政府への売込について援助を要請され、これについ ると、原判決が認定した前提事実は、前記のとおり「被告人は昭和四八年七月下旬ころ、C28株式会社応接室においてC3同席のうえ、B1からP3C型機の日本政府への売込について援助を要請され、これについて右C3と協議し」たとされているところ、所論も引用するその認定理由の説示(原判決一三二頁2 本件会談の状況の(一)項及び(二)項)を併せ考えると、原判決は、右前提事実であるB1・C3・被告人の会談は、昭和四八年七月二八日、あるいは同月二三日から二九日までの間に前記場所で、B2を含む「四者会談」として行われたように認定していることが明らかである。 (一) 「四者会談」の時期と社有自動車行動表の記載ところで、右日時ないし時期ころ、右のような「四者会談」が行われたことにつき、原判決挙示の関係各証拠により検討すると、原判決がいうような内容の「四者会談」について、B1の証言は、右会談が一九七三年(昭和四八年)にあつたことを認めながら(コ嘱二巻一二五頁)、その時期ないし日時については明確に供述することができず、その時期の特定のために同年中の五回にわたる来日の記録を告げられても「それでは全くのところ助けになりません」と答え(同三巻二一二頁)、結局同年七月二七日付のC3の前記修正四号契約書を見て、この修正契約がその会合の結果なされているので、会談は同月の来日期間中のその日付前に行われているはずである(同二一五頁)と供述するにとどまつている。一方でB2の証言によれば、右会談があつたことは認めているものの、その日時についてはこれを特定するための質問がないため、不明のままになつていることが認められる(B2日記の同年七月二七日の記載について、前記修正四号契約書はこの会談で合意に達したのかと質問されて、そうであろうと答えているが、同日の会談とは後記のようにC3・ ままになつていることが認められる(B2日記の同年七月二七日の記載について、前記修正四号契約書はこの会談で合意に達したのかと質問されて、そうであろうと答えているが、同日の会談とは後記のようにC3・C27・C31との間のものであつて、被告人を含む会談とは別個であると認められる。)。 そこで、原判決の援用する社有自動車行動表(C14がC5社関係の東京支社のために提供していた運転手つき乗用車の行動記録)を見ると、原判決摘示のとおりB1が来日中にしばしば右乗用車を利用し「d」に赴いていることが認められるうえ、当時C28本社は東京都中央区ef丁目にあつたことも事実であることが認められるが、dと呼ばれる東京駅東側乗降口近辺に所在する会社・事業所等の数は多いので、他に右dの記載とC28本社との結びつきを認めるべき証拠がないかぎり、右「d」の記載が直ちにC28本社訪問を意味するとは解し難く、原判決が右行動表の記載だけから、コーチャンが来日中足繁く訪問すべき対象としては、dにはC28しかないものと考えられるとしたのはにわかに首肯することができない。 右行動表の記載からは、B1がdで下車して後、C28本社を訪問した可能性がある、という程度の判断ができるにすぎないというべきである。 更に、当審における事実取調の結果によると、右行動表の「d」の記載例中、昭和四八年一〇月四日の場合は、被告人は当日朝から夕方まで仙台市に出張中(往復国鉄利用)で、行動表記載の時間帯には会社にはいなかつた可能性が十分に認められ、これを覆えすに足りる反証はないから、同日の「d」の記載はC28本社の訪問とは関係がないと見るべき余地がある。そうすると、同年七月二八日の「d」の記載についても、それがC28本社訪問を意味する可能性はあつても、確実にそうであるという断定はできないといわなければ 社の訪問とは関係がないと見るべき余地がある。そうすると、同年七月二八日の「d」の記載についても、それがC28本社訪問を意味する可能性はあつても、確実にそうであるという断定はできないといわなければならない。 (二) 「四者会談」とB2日記による裏付けの有無更に、当審において取調べたB2日記の昭和四八年七月二三日から二九日までの記載部分を、B2の証言及び同人が東京事務所において使用していたデスクカレンダー一綴(符140)の記載と併せて検討しても、B1が昭和四八年七月下旬に来日した前記期間内に、前記のような「四者会談」があつたことを認め、または窺わせるような記載は、これを見出すことができない。 すなわち、原判決が説示する昭和四八年七月二八日の欄には、―(C8 GolfTournament―C39/C40)―C41/C42―C44―C43―P3 Licenseagreedとの記載があり、B2はC36(C5社の子会社であるC7日本支社の支配人)とともにC8ゴルフトーナメントに参加していたことが窺われるほか、B1はC31(C41)を通訳としてC3(C42)・C37C38社長と会談し、その結果P3Cのライセンスについて合意が成立したことが認められ、これらのことは前記行動表の当日のB1らの行動の記載とも符合すると認められる。しかし、同日、B1・B2・C3・被告人の四者が会談したことについては、これを窺わしめる記載は全くない。 かえつて、右前日の同月二七日の欄には、2:00 C41/C42/C45―P3 C44/C39と、B1及びB2が二時にC31(C41)を通訳としてC3(C42)・C27(C45)とP3に関して会談した趣旨の記載があり、B2の証言によつても同日そのような会談があつたことが認められ(ク嘱四巻四二〇頁)、このことは前 C31(C41)を通訳としてC3(C42)・C27(C45)とP3に関して会談した趣旨の記載があり、B2の証言によつても同日そのような会談があつたことが認められ(ク嘱四巻四二〇頁)、このことは前記行動表に「使用者B1ら三名、13:50h町発、14:00i着、待時間一時間」とあることとも符合する(C3の事務所がiのj橋近くにあつたことにつき、C1の検面調書等参照。)。しかし、右会談に被告人が参加したことは、同日記にこれを窺わしめるような記載はなく、B2の証言についても同様である。 また、B1の右両日以外の前記来日期間中の各記載部分を見ても、七月二三日と二九日は各来日・離日の当日であつてその旨の記載があるにすぎず、時間的にも被告人と会談する余裕があつたとは認め難いし、二四日は2:30 KHIC44/C39/C40と、B1及びB2が午後二時半に前記C36と共にC38を訪問したことを窺わせる記載があり、二五日は7:30 C41/C42/C44と、午後七時半からB1がC31・C3と会談したことを窺わせる記載があり、二六日は10:15 C46/C44/C39 DeliveryP3Cと、午前一〇時一五分からB1及びB2がC14のC16と引渡し(L―一〇一一型機の関係と思われる)及びP3Cのことで会談したこと、11:00 C47―C44/C39/C40と、午前一一時にB1及びB2が前記C36と共にC8の若狭社長を訪問したこと並びに5:00 C41/C42/C45―C44/C39 JALC48と、午後五時からB1及びB2がC31・C3・C27とC9・C48のことで会談したことを各窺わせる記載があり、これらの記載は前記社有自動車行動表の記載によるB1らの動きと対照してほぼ符合しまたは矛盾がないと認められるが、被告人の名前またはこれを示す符号等は 48のことで会談したことを各窺わせる記載があり、これらの記載は前記社有自動車行動表の記載によるB1らの動きと対照してほぼ符合しまたは矛盾がないと認められるが、被告人の名前またはこれを示す符号等は、これらの期間を通じてこれを見出すことができない。 ただし、前記行動表の記載に関し原判決の指摘する昭和四九年六月一八日と同月二二日のB2日記の記載欄には、C48―C44/C39/C41 C50 (Difficult)(18日)、C48―C44/C39/C41 C50/P3/C8 747SR (No 10)(22日)と記載があり、OがE1を意味するとすれば、コーチャンとB2とはその頃被告人と会談したことが窺われるが、これらの会談は昭和四九年中のことであるうえ、C3が同席したとはされておらず、内容的にもC50(C50)関係が主体の会談と見られるから、もとよりB1らのいうP3C関係の「四者会談」に該当しないことは明らかであつて、このように被告人と会談したことの記載が他にもある以上(なお、A1慫慂関係に関してであるが、昭和四七年九月一六日の欄には((C44―C51))と、B1と被告人の第二回会談を窺わせる記載があり、同年一〇月五日の欄には、((C44/C41/C52))((C44/C41/C42))と、B1証言にいう「陰謀」対策の件で、B1がC31を通訳として被告人((B1は被告人にCURLYという暗号名をつけていたので、C52はその頭文字と見られる。》及びC3と順次会談したことを窺わせる記載があり、これらの記載についてB2は、それらの会談があつたことをB1から聞いて記載した旨供述している。)、前記昭和四八年七月下旬の諸会談の記載に、被告人を示すOまたはC52の文字がなく、右期間全般にわたつて見ても同文字の記載がないことは、右期間内にB1らと被告人 1から聞いて記載した旨供述している。)、前記昭和四八年七月下旬の諸会談の記載に、被告人を示すOまたはC52の文字がなく、右期間全般にわたつて見ても同文字の記載がないことは、右期間内にB1らと被告人との会談は行われなかつたのではないかという疑いを生じさせるものといわざるを得ない(なお、前記昭和四九年六月一八日及び二二日のB2日記の記載については、B2の証言中に説明がないので、右両日にB1がC28本社で被告人と会談したことまでは認定し難く、これをもつて前記社有自動車行動表のdの記載をC28本社と結びつける資料とはなし難い。)。 そして、右B2日記が、B2において在日中の自己及びB1の行動状況について、重要と見られることはほぼ漏れなく記載するようにしていた性質のものであり、また、コーチャンと被告人の前記第二回会談の件及び「陰謀」対策のためB1が被告人と会談した件について、同席しなかつたB2がB1からそれらのことを聞いて記載したものであると認められることからして、B1のいうP3C関係のC3・被告人との会談が、B2を抜きにして行われたものとしても(七月二八日午前中B1がdに赴いたことは、その可能性を一応推測させるものである。)、B1は被告人がC3のP3Cの売込関係の手数料増額要求を支持し、B1がこれを被告人のC5社のP3C売込活動に対する援助の意思表明と理解し、右増額に同意したという重要な会談について、B2に話さなかつたはずはないと考えられるから、B2日記にその旨の記載もないことは、問題の会談が右三者会談の形式としても行われなかつたのではないかとの疑いを生ぜしめるに足りるものである。 もつとも、B2日記にも記載漏れがあり得るから、社有自動車行動表の記載ではB1に時間の余裕があつたと認められる二四日ないし二七日において、他に用事のない時間帯に いを生ぜしめるに足りるものである。 もつとも、B2日記にも記載漏れがあり得るから、社有自動車行動表の記載ではB1に時間の余裕があつたと認められる二四日ないし二七日において、他に用事のない時間帯に、B1がC3及び被告人と会談したと見ることも、一つの推論として可能であるとはいえる。しかしながら、反対尋問による吟味の機会が与えられなかつたB1らの証言に、裏付け証拠の不足という弱点が見出される場合に、その弱点を推論によつて補充しようとすることは、反対尋問の吟味に代り得るほどの高度の信用性が要求される証拠方法の評価としては相当でないといわざるを得ず、また、日記の記載漏れということはあり得るとしても、その記載漏れ自体、前記のように所論の期間中に被告人以外の者との諸会談については記載があるのに、それらに劣らぬ重要性を持つと見られる会談がなぜ記載漏れとなつたのかという別の疑問を生じ、この疑問を解消するほどの事情は関係各証拠によつても発見できないから、結局、右推論によつて前記疑いを打ち消すことはできないというべきである。 また、右に加えて、次のような疑いも生ずることは、これを看過することができない。すなわち、前記のとおり七月二七日にはB1・B2・C3・C27の四名の会談(C31は通訳と見られる)がP3Cに関して行われていることが認められるうえ、所論のとおりC27がC3の秘書ながら(B1証言によると実権を持つている秘書という。)、C3の手数料増額要求の件でC3を支持する発言をする可能性もあつたと思われること(B1はC27の名を記憶していて、C3との会談の際一回か二回はいた、しかしC27は会談に参加したことはなかつた旨供述しているが((コ嘱二巻七七頁、六巻五九八頁))、常にそうであつたとは断定し難いし、B2がC27の名を日記に会談当事者と読めるように記載 か二回はいた、しかしC27は会談に参加したことはなかつた旨供述しているが((コ嘱二巻七七頁、六巻五九八頁))、常にそうであつたとは断定し難いし、B2がC27の名を日記に会談当事者と読めるように記載したのは、同人が単にC3の従者の役にとどまらず、会談内容について発言したからではないか、という推測が可能である。)、右P3C関係のC3の手数料増額に関するC5社との修正四号契約書が右同日付で作成されていることからすると、同日の右四名の会談で右契約書所定の合意が成立したと見るべき蓋然性が相当に高いから、B1は、C27が出席していた四者の会談を被告人の出席していた会談のように思い誤つて証言したのではないか、という疑いが生するのである。 そして、被告人とC27の立場の大きな相違を考慮しても、右疑いについて、これを解消できるほどの事情を発見することができない。 (三) 「四者会談」の認定の可否そうすると、B1とB2の証言にいう被告人を含む「四者会談」の時期がもともと不明確であつたうえ、社有自動車行動表の記載も右会談が昭和四八年七月下旬のB1の在日期間中に行われたことの裏付け証拠とするには足らず、B2日記という関係当事者の記録でも右会談の存在を裏付けることができず、かえつて右期間中に「四者会談」は行われなかつたのてはないかという疑い及びB1がC27を含む会談のことを被告人を含めての会談と誤つて証言したのではないかという疑いが生じているのであるから、原判決のいう「四者会談」が昭和四八年七月下旬ころ、あるいは認定理由に説示する同月二三日から二九日までの間に存在したとの前提事実「2」を、合理的疑いを超えて認めるに足りる証拠が十分でないといわなければならない。 以上のとおり、原判決が前記時期に「四者会談」が存在したように認定したのは事実の誤認であつて、 したとの前提事実「2」を、合理的疑いを超えて認めるに足りる証拠が十分でないといわなければならない。 以上のとおり、原判決が前記時期に「四者会談」が存在したように認定したのは事実の誤認であつて、右認定事実はP3C関係の虚偽陳述の前提とされているのであるから、これが認め難い以上虚偽陳述の事実の認定もできないことになり(C5社に関することで……との証言部分は、右前提事実とも対応していないことは前説示のとおりである。)、結局この訴因の関係は犯罪の証明がないことに帰し、右誤認は判決に影響を及ぼすことが明らかであるというべきである。この関係の所論はその余の点の判断に立ち入るまでもなく理由がある。 2 予備的検討なお、前記「四者会談」の存在が確認できないとしても、本件訴因の前提事実としては、被告人がそのころB1との会談の中で、B1からP3C型オライオンに関して種々説明を受け、日本政府への売込の援助を要請された際に、B1から「P3Cオライオン」という言葉を聞かされたことさえあれば足りる筋合であるところ、B1の証言はそのいう会談の形式ないし態様までは措信できないものの、前記四者会談があつたとされるころ、B1と被告人がともかく会談し、B1から被告人に対し右説明ないし援助の要請をしたとの点に限定してこれを措信することができるならば、被告人が国会証言において、「(B1との話の中で)B1からPXLあるいはP3Cオライオンといつたような言葉を聞いた覚えは全然ない。」旨証言した部分に関し、虚偽陳述の外形が成立する余地があるように見える。しかし、B1の証言の趣旨は、C3と被告人が同席した会談において、B1から被告人に対しP3Cに関する性能等を説明し、その日本政府に対する売込の援助を要請したところ、被告人はC5社とC3間の従前の約定による同型機の販売手数料が適 C3と被告人が同席した会談において、B1から被告人に対しP3Cに関する性能等を説明し、その日本政府に対する売込の援助を要請したところ、被告人はC5社とC3間の従前の約定による同型機の販売手数料が適正でないとし、C3の右手数料を増額するよう主張し、あるいはC3の右増額要求を支持する発言をしたので、B1としては被告人が右の対応をしたことから被告人において右要請に同意したものと理解し、右C3の増額要求に同意したというものであつて、そのような被告人の積極的関与の場面があつたとすれば、被告人としてはB1からP3Cオライオンという言葉を聞かされたことを憶えていないはずはないと思われるが、前説示のとおり被告人がC3の手数料増額要求を支持する発言をしたというコーチャンの証言部分に、記憶ちがいの疑いがあつてその点が確実とはいえないのであるから、B1が被告人にP3C型機の性能等を説明し、売込援助の要請をしたことがあつたとしても、それは被告人の積極的発言のない通常の会話として行われたにすぎないと考えられる。しかるに、被告人は純然たる民間人であり、客観的に見てL―一〇一一型機のC8への売込の場合とは異なり、売込先との特別な関係も考えられず、軍用機に対する特別の関心を持つていた事情も証拠上認められないことからすれば、B1からP3C型機の売込援助要請につきとおり一辺の話をされたとしても、対潜哨戒機の話ということは格別として、P3Cとか、オライオンという機名についてまで、いちいち記憶にとどめていなかつた可能性はこれを払拭できないところといわなければならない(なおPXLという言葉をC5社側の者が使つたとするのは不自然である。)。 そうすると、当該被告人の証言部分を導き出したC18委員の質問が、「B1さんと会われたときに、会われた言葉の中で、B1さんの方から、PXL う言葉をC5社側の者が使つたとするのは不自然である。)。 そうすると、当該被告人の証言部分を導き出したC18委員の質問が、「B1さんと会われたときに、会われた言葉の中で、B1さんの方から、PXLあるいはP3Cオライオンといつたような言葉を聞かれた覚えはございませんか。」というものであつて、B1が言つた言葉についての記憶をただすものとしか見られないこととの関係上、被告人がこれに対し「全然ありません」とその記憶がない旨証言したとしても、被告人には真実右のような言葉についての記憶がなかつた可能性を否定し難いというべきであるから、たとい前記四者会談をB1・被告人だけの会談に減縮し、時期的枠を取りはずした訴因の形とした場合でも、被告人の証言が虚偽陳述であると断定することはできず、結局この訴因の関係は犯罪の証明がないとするほかはない。 第五控訴趣意第五(被告人がa国際空港で二〇万ドルを受領した関係の訴因についての主張)について一国会証言の趣旨に関する理由不備ないし事実誤認(弁護人の主張)所論は、要するに、原判決は被告人が「昭和四八年一一月初旬ころ、アメリカ合衆国a国際空港サテライト□内のC53接客用個室において、B1の指示を受けたジヨン・ウィリアム・B2らから、C5社のC3に対する支払金員の一部である米国通貨二〇万ドルを受領した」との事実を前提事実として、国会証言において「B1がC3に対して支払われた七〇〇万ドルの一部が被告人に渡つたと思われるような証言をしているが、それは事実ではなく虚偽である旨証言した」との事実を虚偽陳述にあたるとして各認定・摘示しているが、被告人の当該国会における証言は、「C5社がC3に対し現実に支払つた金員の一部を、C3から被告人が受けとつたと思われる」というようなB1の米国上院における証言を否定した趣旨 て各認定・摘示しているが、被告人の当該国会における証言は、「C5社がC3に対し現実に支払つた金員の一部を、C3から被告人が受けとつたと思われる」というようなB1の米国上院における証言を否定した趣旨のもので、前記a空港でC5社から直接二〇万ドルを受けとつたという事実関係を前提とした証言とは見られないから、被告人はなんら虚偽の陳述をしたというにあたらず、これを虚偽陳述にあたるとした原判決には、審理不尽に基づく理由不備もしくは事実誤認の違法がある、というのである。 (当裁判所の判断)そこで、関係証拠である前記国会証言の会議録に即して検討すると、所論にいう被告人の証言部分は、C29予算委員長の質問の最後の「B1氏が、C3氏に対して支払われた七百万ドルの一部があなた、E1氏に渡つたと思うというような、またそう思われるような、あるいは疑いを持たれるような証言をされておりますが、これについては事実でありますか、あるいは虚偽でありますか、その点をお聞かせを願いたいと思います。」との質問に対し、「事実ではございません。虚偽でございます。」と答えた部分がこれにあたると見られるところ、右C29委員長の質問は、B1の証言について、所論のような「C5社がC3に対し現実に支払つた金員の一部を被告人がC3から受けとつたと思う」という趣旨に限定したうえでの質問とは解されない。右質問の全体を見ると、右質問はB1証言が、C5社からC3に対して支払うべき金員の一部が結果的に被告人に渡つたと思うという趣旨も含むように受けとれるが、その場合も含めて実際はどうなのかという内容であると認めるのが相当である。右のように、「またそう思われるような、あるいは疑いを持たれるような」という慎重な言い廻しからすると、「C3氏に対して支払われた」という表現部分は、支払原因としてC3に対す と認めるのが相当である。右のように、「またそう思われるような、あるいは疑いを持たれるような」という慎重な言い廻しからすると、「C3氏に対して支払われた」という表現部分は、支払原因としてC3に対する出金であつて、C3の指示等により第三者の手に当該金員が渡された場合を除外する趣旨であるとは解し難く、また「E1氏に渡つたと思う」との表現部分も、C3の手を経由してという限定を付しているとは認め難いからである。 また、「これについては事実でありますか、虚偽でありますか」という質問部分は、右B1証言についてその真否を尋ねるようでもあるが、質問全体の趣旨からすると、B1の証言するような疑惑については、事実であるか否かを尋ねた趣旨であると解すべきである。そして被告人自身も、右のような質問の趣旨は当然に理解し得たと考えられる。(なお、念のために付言すれば、被告人は、C29委員長の次の質問者C35委員が第一八問において「わが党の新聞局長C54代議士がアメリカに調査に行つて、帰つてきての報告によると、D6委員長と会つたときに、B1証言を通じてC3氏に渡つた工作資金がE1氏に流れているらしいとあつた、とはつきり言つておつたとのことでありますが(中略)この点をもう一度明快に、はつきりとお答えいただきたい。」と、前記C29委員長の質問と同趣旨の質問を繰り返したのに対し、「いまお問い合わせの件は全くございません。」と、B1のいう疑惑について否定の証言をしていることが明らかである。)そうすると、被告人がB1の指示を受けたB2から、C5社のC3に対する支払金員の一部である米国通貨二〇万ドルを受領したことが真実存在するならば、その事実はB1証言による被告人の疑惑についての前記C29委員長の質問に対し、被告人が否定した対象に含まれていたと認められるから、虚偽陳述罪の る米国通貨二〇万ドルを受領したことが真実存在するならば、その事実はB1証言による被告人の疑惑についての前記C29委員長の質問に対し、被告人が否定した対象に含まれていたと認められるから、虚偽陳述罪の成立することは明らかであるというべきである。 よつて、右国会証言の趣旨に関する原判決の認定ないし事実摘示は相当であつて、所論のような理由不備もしくは事実の誤認はないから、この点の論旨は理由がない。 二二〇万ドル受領の事実認定における事実誤認(弁護人の主張)所論は、要するに、原判決が前記前提事実として認定した、被告人がa国際空港においてB2から二〇万ドルを受領したとの事実について極力これを争い、原判決の右認定には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある、というのである。そして原判決の認定理由の説示が誤つているとして次のとおり主張する。 1 B2の本件授受に関する証言の信用性について(一) 本件授受に関する直接的証拠であるB2の右証言については、客観的資料であるB2日記の授受当日である昭和四八年一一月三日の欄にある4:30 C55CC 9 HOLES との記載を、同人が同日午後四時三〇分からC55・カントリークラブにおいて九ホールのゴルフのプレイを行つたことを示しているとすれば、被告人の同日午後四時一八分の前記空港到着時刻、同空港と右ゴルフ場との距離関係に鑑み、B2が二〇万ドルを被告人に交付することは物理的に不可能となるので、かように客観的資料と矛盾するB2の証言には重大な疑問があるのに、原判決は独自の解釈により、当日午後四時三〇分からの九ホールのゴルフプレイは日没のため物理的に不可能であるとし、同日記の他の記載例からすれば前記4:30の記載はゴルフの開始時刻を示すものではなく、むしろ本件金員授受のなされたおおよその時刻を からの九ホールのゴルフプレイは日没のため物理的に不可能であるとし、同日記の他の記載例からすれば前記4:30の記載はゴルフの開始時刻を示すものではなく、むしろ本件金員授受のなされたおおよその時刻を記載したものと推定できるとし、右日記の記載はB2証言により本件授受の事実を認定するに支障とならないと判断したが、現地で同時刻からの二人組の九ホールのゴルフプレイをすることは不可能ではなく、また、同日記の他の記載例からする解釈も合理性を欠いているから、右判断は誤りであることが明白である。 (二) B2は授受の時刻について、「アラウンド・ミツドデイ・サムタイム」と表現しているところ、ミツドデイとは正午であり、正午を含む前後十数分の時間帯と解すべきであるから、前記被告人の到着時刻とは合わない不自然な供述であり、これは前記日記の4:30 C55CC 9 HOLES の記載を見てそれとの抵触を避け、作為的にミツドデイ云々と供述した疑いがあるのに、原判決が「アラウンドミツドデイ・サムタイム」を、早朝深夜を除く日中、デイタイムに近い意味に理解できるから不自然ではない、とした判断も独断であつて誤りである。 (三) 原判決は、本件授受の証言が尋問者も予期しなかつたのに、客観的資料に基づき全く自発的になされたという証言の経緯の点、本件授受が場所・対象物・相手方の点で三重の意味で異例の支払として強く印象に残つたと推認され、示された「摘要」の記載から記憶を甦らせたものとして高度の信用性があると評価できるとした点、空港における授受の状況の供述が、体験者でなければ知り得ない事項につき、他証拠により認められる客観的事実と符合していることも信用性が高いと認められる理由とした点、授受の場所についてジエツトウエイと同じ階にある小さな個室だつたと自説を固持した証言部分が、後日実 につき、他証拠により認められる客観的事実と符合していることも信用性が高いと認められる理由とした点、授受の場所についてジエツトウエイと同じ階にある小さな個室だつたと自説を固持した証言部分が、後日実況見分の結果、当時はVIPルームであつた右個室の存在が確かめられたという点、B2証言は虚構であると仮定した場合に、さまざまな不合理な結果が生ずるとした点を根拠として右証言が全体として信用できると判断しているが、それら根拠のいずれにも批判を免れない独断的思考があるから、右判断は誤りである。 (四) B2証言を検討した場合、C3から本件授受の実施を依頼されたという状況が具体性・明確性を欠くこと、C3へ二〇万ドルを支払う根拠について、修正一号契約書の約定に反し不合理な説明に終始していること、C3の要求を受けてから授受に至るまでの経過についての供述も、不明瞭かつあいまいに終始していること、授受の状況についての供述を見ても、渡す前に金額を勘定しなかつたという点、鞄(アタツシュ・ケース)をどのようにして渡したかという点、授受の場所である個室を誰が予約したかという点等に不自然さや前後矛盾が見られること等の状況からして、原判決がそれでも右証言に信用性があるとした判断は経験則に反する誤つた判断である。 2 B1証言の信用性について本件授受についてはB2から事前・事後に報告を受け、了承していた旨のB1の証言は、B2の尋問終了後にD7検事の露骨な誘導尋問に対し最少限の応答をしたのにとどまり、B2と打ち合せた疑いがあつて信用性に乏しいと見られるのに、原判決が右証言の信用性を肯定したのは誤りである。 3 C1及びC2の供述の信用性についてB2証言の補強証拠とされる右両名の各検面調書の供述は、(一)C1についてはB2と被告人との打合せがあつたらしい状況を供述す 用性を肯定したのは誤りである。 3 C1及びC2の供述の信用性についてB2証言の補強証拠とされる右両名の各検面調書の供述は、(一)C1についてはB2と被告人との打合せがあつたらしい状況を供述するのみで、B2日記に記載された同じころのB2とC3・C1との会談についてふれていない点で大きなそごがあり、C1がC28本社までついて行つて被告人に会う前に追い返されたという点も不自然であつて信用性に乏しく、(二)C2については、被告人の出迎えの際、C9の支店長も出迎えていた、被告人一行が荷物を受けとつた記憶はない、C56への乗り継ぎに地下道を案内したと思う等と述べている点で他の証拠から認められる事実と反する点が多く、被告人が一行から離れて一時いなくなつたという供述部分だけに特に信用性があるとは認め難いのに、原判決が両名の供述に信用性があるとし、B2証言の補強証拠としての価値を認めたのも誤つた判断である。 4 支払原因の不存在等本件授受の前提として、C3と被告人間、被告人とB2間で、検察官冒頭陳述のような授受に関する打合せがなされた事実についてはなんら立証がないのに、原判決が他の間接事実から右打合せの存在は推認できると判断した点、C3・被告人間に本件二〇万ドルについて支払原因があつたか否かは、B2証言の真偽を判断するうえで看過できない重要問題であるのに、原判決が授受の結果が認められれば縁由は問題外であるように判断した点、確証がないのに、被告人はL―一〇一一型機の売込に関しC3と種々協議・実行していること、P3Cの売込関係についても、C3の手数料増額要求を支持・同調し、B1にこれを同意させたこと等C3を援助した状況が窺われるとし、かような状況からすれば、C3がL―一〇一一型機販売成功の手数料の一部を、被告人に受領させることにしてもなんら不合理 要求を支持・同調し、B1にこれを同意させたこと等C3を援助した状況が窺われるとし、かような状況からすれば、C3がL―一〇一一型機販売成功の手数料の一部を、被告人に受領させることにしてもなんら不合理でないと判断した点は、いずれも誤つた判断である。 5 本件二〇万ドルとC3の報酬等との関係C3名義の領収証をB2作成の摘要中の特別勘定のC3に対する支払状況の記載と対照した場合、C5社からC3とのコンサルタント契約どおりには毎年支払われていないし、契約外の支払さえなされていて、支払はB2の専断に委ねられていたと見られ、B2がそのうちの五千万円を着服したのではないかという疑いすら持たれるし、本件二〇万ドルの領収証についても一時の支払なのに二枚に分けて発行されているがその理由が不明である等、疑問点が多々あるのに、原判決の説示はその説明を欠いたり、十分納得できる説明がなされていない点で合理性に乏しいところがある。 6 本件授受の時間的可能性a空港における乗継時間が短時間であつたから、被告人は本件金員授受のための時間的余裕がなかつたとの弁護人の主張に対し、原判決が実況見分の計測の結果によればその余裕はあつたと認められるとした判断も、多人数の移動の場合の実情に合わない不合理な判断である。 7 被告人の同行者らの供述本件当時a空港に被告人と同行したA11・A12・A13・A14及び被告人を現地で出迎えたA15ら弁護側証人が、本件授受が行われるような機会がなかつた旨供述しているのに、原判決が右証人らはいずれもC28の社員またはその取引先の関係者である等の理由で、これらの証言には信用性を認め難いとしたのは、証言の正当な評価を誤つたもので不当である。 (当裁判所の判断)そこで、検討すると、原判決の挙示する関係各証拠に当審における事実取調の結 等の理由で、これらの証言には信用性を認め難いとしたのは、証言の正当な評価を誤つたもので不当である。 (当裁判所の判断)そこで、検討すると、原判決の挙示する関係各証拠に当審における事実取調の結果を併せて考察すれば、本件授受の事実及びこれを前提として被告人の虚偽陳述を認めた原判決の認定は、相当としてこれを是認することができる。 所論に鑑み、所論が最も強調するB2の供述の信用性の判断を中心に、その理由の要点を示すと、およそ次のとおりである。 1 B2の供述の信用性について(一) 一般的信用性を認めるべき事情B2の証言調書中、本件授受に関する供述がなされた経緯を見ると、原判決が弁護人の事実上の主張についての判断の三項の3 B2証言の信用性(その一、総論的判断)の(一)項(原判決一五六頁以下)に説示するとおりであると認められる。すなわち、それは尋問者も予期しなかつた事項につき、客観的資料に基づき、全く自発的になされたものと評価することができ、また、本件授受の場所・授受の対象物・授受の相手方が、他のC3に対する数多くの支払と異なつていて、三重の意味において唯一異例の支払と見られることから、他の場合よりも強く印象に残つたであろうと考えられ、摘要という客観的資料に基づき直ちにその記憶を喚起し得たものと推測される。そして、以上のことはB2の供述に信用性があると推認させる一般的事情ということができる。 しかしながら、それだけの事情から直ちにB2の本件授受に関する供述に高度の信用性があると認めることは尚早であるから、さらに信用性を吟味するため、具体的供述内容について客観的証拠による裏付けの有無を検討する必要がある。 そこで、以下にB2の本件授受に関する具体的供述について、前記意味での具体的信用性の有無を検討することとする。 (二) B2の本 供述内容について客観的証拠による裏付けの有無を検討する必要がある。 そこで、以下にB2の本件授受に関する具体的供述について、前記意味での具体的信用性の有無を検討することとする。 (二) B2の本件授受に関する供述の内容B2の供述する本件授受に至る経過や、本件授受の状況等についての供述の要旨は次のとおりである。 「A」 本件交付は一九七三年一一月三日a国際空港のC53の建物で行われた。その時立ち会つた人はD1氏(注、B1の供述によると、C6の財務担当者)だけだつた。それは現金だつたが、何ドル札だつたか憶えていない。D1氏が金を持つていた(から私は金の勘定はしていない)。それをE1氏に渡したのは、D1氏のように思うが、この点については確かではない。E1氏とD1氏はそれまで会つたことがなかつた。私は彼らを空港で紹介した(ク嘱五巻三五四・三五五頁)。 「B」 E1氏と空港で会う手筈については、この交付について私がC3氏から要求を受けたとき、それが受け入れられるかどうかをkのC5社に照会し、受け入れられるという返事だつたので、そのことをC3氏に伝えたが、しばらくして彼は私に、私が自ら合衆国へ行つて、この交付が適切に行われるよう立ち会つてくれと言つてきた。それで、当初はaで他の人がそれを交付する手筈だつたが、私自身の立会をC3氏から要求されたので、私は再びロスアンゼルスのB1氏の方に連絡してC3氏の要求を伝えたら、来てくれという返事だつた(同三五六頁)。C3氏は、私に東京で支払わないで合衆国で支払つてくれと特に要求したのだが、そうする理由は説明しなかつた。私から彼に尋ねたかどうかも憶えていない(同三五七頁)。 「C」 D1氏をロスアンゼルスの下町で私の車に乗せて一緒に空港へ行つて、E1氏の飛行機が着くのをしばらく待つた。その飛行機はbから かつた。私から彼に尋ねたかどうかも憶えていない(同三五七頁)。 「C」 D1氏をロスアンゼルスの下町で私の車に乗せて一緒に空港へ行つて、E1氏の飛行機が着くのをしばらく待つた。その飛行機はbから来たと思う。E1氏は金を受けとつた後、ロスアンゼルスから去つたか、滞在したかは知らない。一緒にいた時間ははつきりしないが、一〇分から一五分位だつたと思う。交付の時刻は、私の記憶では真昼の前後ころだつた(原文・Itwasaroundmiddaysometime)、一二時の前か後かははつきりしない。私の記憶では真昼です(同三五七・三五八頁。この時刻の点の訳文が「昼間」となつているのは不正確と認められる。)。 「D」 (空港では)私がC53の個室の一つを使わせてもらうよう話を決めてあつた。E1氏が到着し、彼がほかの人達と一緒に出てきたが、そのグループと離れて私と一緒にD1氏がアタツシユケースを持つて待つている部屋へ行き、彼が……いや、はつきりはしないが私が渡したと思うが、E1氏はアタツシユケースを受けとつた。 私がアタッシュケースの鍵を彼に渡し、それをあけて中身を確認するようにいうと、彼はそうした。私も中身を見たが、合衆国ドルで、標準的な銀行の束だつたように思う。E1氏が現金を数えたかどうかについては、そうしたという記憶はない。彼はそそくさとした様子で(原文・Hemayhaveinacursorymanner)坐りもせず、それぞれの札を数えはしなかつた(同三五八・三五九頁。この所の訳文も必ずしも正確とはいえない。)。 「E」 C3氏からの前記交付の要求は、はつきりしないが一一月三日より一〇日から二週間位前に、C3氏から直接言われたと思う。C3氏は、E1氏にその支払をする理由は言つてくれなかつた。私がC3氏から要求されたのは、 からの前記交付の要求は、はつきりしないが一一月三日より一〇日から二週間位前に、C3氏から直接言われたと思う。C3氏は、E1氏にその支払をする理由は言つてくれなかつた。私がC3氏から要求されたのは、C5社がこの支払をE1氏にすること、及びそれをL―一〇一一のコンサルタント契約に基づくC3氏への手数料支払義務の一部の履行として支払うこと、そしてL―一〇一一の手数料としては、七号機と八号機について支払うべき分である、ということだつた。C3氏はそのとき、その支払に対する領収証は自分が書くと言つた(同三五九―三六二頁)。 「F」 B2日記の七三年一〇月・一一月の記載を示されながら、一〇月一五日、iのC3事務所でC31・C3両氏と会い、同月二四日にもC31氏とiで会つているが、前述のC3氏から本件授受の要求を受けたのは、右二つの会合のどちらであつたかは思い出せない。一〇月三〇日の「C41」(C31)「交付―銀行報告」とある記載は、本件授受と関係があるのか全くはつきりしないが、この種支払に関する合衆国政府への報告義務の問題があつたような気がする。同日の「C42/Toshi」「授受の状況」とある記載は、C42はC3、ToshiはC1であり、これが私自身の授受への立会を要求された会合であるかどうかは、そうだつたかも知れないが、現在記憶していない。一〇月三一日の「テレコソーC58」「資金OK」とあるのは、現金が準備できた、またはできるだろうというD8氏(他の証拠によるとC5社の財務部副部長)への通告かと思う。D1氏には、私が合衆国に着く前か後か思い出せないが、この交付に関与するように頼んでいる。それは同氏に直接だつたかも知れないが、あるいはD8氏に対してであつたかも知れない。 右と同じ日(一〇月三一日)に「テレコンーC44―C48」―P3C―授受L この交付に関与するように頼んでいる。それは同氏に直接だつたかも知れないが、あるいはD8氏に対してであつたかも知れない。 右と同じ日(一〇月三一日)に「テレコンーC44―C48」―P3C―授受Lとあるのは、私がB1氏とC48・P3Cの件及び本件二〇万ドルのことで話し合つたことだと思うが、右話し合いの内容がどうであつたかは思い出せない。しかし、C3氏の私自身の立会要求の件を私がコーチャン氏に相談したのは、たぶん右同日かまたはそのころだつたと思う(七巻五八六―五九四頁)。 「G」 D1氏が金を入れて持つていたアタツシユケースは、たしか新品の黒皮のアタツシユケースだつたと思う。私はその金を勘定はしなかつた。E1氏と一緒に飛行機を降りた連れの人々は皆日本人だつたと思うが、はつきりしたことはいえない。彼らは一分隊位たつたが(原文 Itwasquiteacontingent,この点の訳文も不正確と認められる。)五人から一〇人位はいたように見えた。E1氏がどんな服装であつたかは憶えていない。先日この授受が行われたと言つた個室は、小さな個室で、乗降客が飛行機の所に行くジエツトウエイという通路と同じ階にあつた。その部屋を手配したのはD1氏だつたと思う。E1氏は鞄を渡されたとき、ただ「ありがとう」と言つただけである。彼はそのアタツシユケースを持つて行つた。私は彼からは、その時もその後も領収証は受けとつていない(同五九七―六〇一頁)。 およそ以上のような供述内容であるところ、まずその核心をなすa空港における授受の状況に関しては、原審当時においてはこれを直接裏付けるような他の証拠はなく、ただB2の供述にいう被告人の空港到着状況が、弁護側証人による当該状況とおおむね符合していると見られること(もつとも、原判決のいうような体験者でなければ知り得ないと 接裏付けるような他の証拠はなく、ただB2の供述にいう被告人の空港到着状況が、弁護側証人による当該状況とおおむね符合していると見られること(もつとも、原判決のいうような体験者でなければ知り得ないというほどの個別的・具体的な状況とはいえない。)、B2が授受した場所であると供述している小さな個室が、後日クラッターの指示や日本の検察官の実況見分等により、被告人の出てきたジエツトウエイと同一階て至近距離の所に実在し、当時C53がVIPルームとして使用していた小部屋に該当すると確かめられたこと、等がB2の供述を裏付ける状況ないし事実てあると見られるだけであつた(所論は、右VIPルームとしての使用は、重要な旅客のためにはいつでも開放されているので、一般公衆用に供しない意味でのプライベート・ルームには該当しないようにいうが、関係証拠によれば同室は、VIPルームとしての使用のほか、C53の顧客の請求により使用が許されていたことが認められ、特定の顧客のために専用に供される意味では、プライベート・ルームと表現することも、あながち誤りであるとはいえないから、右所論は当を得たものとはいえない。)。 (三) D1の大陪審証言調書の供述ところが当審において、本件授受の際B2に同行したというD1の大陪審証言調書(抄本)が取調へられたが、その内容はB2の前記供述を直接的に補強する性質のものと思われる。なお、弁護人は最終弁論において、右D1の証言調書の証拠能力につき言及しているが、この点は当裁判所が先に同調書の証拠採用決定において判断したとおりであつて、これを変更すべき理由は認められない。 D1の供述の要旨は次のとおりである。 「合衆国において、私が関与した(C5社の疑惑の)支払として、我々がC59社から取得した総額二〇万ドルの米国通貨の交付があつた。それは一〇月 は認められない。 D1の供述の要旨は次のとおりである。 「合衆国において、私が関与した(C5社の疑惑の)支払として、我々がC59社から取得した総額二〇万ドルの米国通貨の交付があつた。それは一〇月だつたと思う。私はそれをC59社の会計室で数えて我々の金庫室に戻した。B2氏は、翌日それをある人に持つて行かねばならないと言つた。私は彼が一人で行くことについて忠告し、会社のためにも彼自身のためにも、私が彼に同行した方がよいと示唆した。」(なお、一九七三年一〇月三〇日付C6の振出、金額二〇万ドルの自己の署名のある小切手及びその振出請求書の写を示され、これがその時の米国通貨購入のためのものであつたことを認めている。)「我々はa空港のC53のターミナルに行き、そこのVIPルームで三人の東洋人の紳士と会つた。私は声の聞える範囲外にいて、B2(B2のこと)は三人のグループの中央にいた人の方に行き、握手をして、彼に二〇万ドル入りのブリーフケースを渡し、そして別れた。私は紹介されなかつた。私は(相手の)名前も聞かなかつたし、その会話も聞かなかつた。その金をどこで誰が最終的に受領するのか、私は知らなかつた。しかし、私はその後C3からの領収証を受けとつた。」以上のD1の供述を検討すると、それは一連のC5社の対外不正支払等の米国国内法違反容疑について証言している中の一場面の供述であるため、簡潔にすぎる嫌いはあるけれども、B2とD1がa国際空港に同行したこと、C53の建物のVIPルームでB2が被告人と思われる人物と会い、二〇万ドルが入つたアタツシユケースまたはブリーフケース(B2の供述ではブリーフケースとも言つている。)をその人物に渡したこと、その後右支払についてC3名義の領収証が送付されたことの諸点において、B2とD1の供述は一致していると見ることができ、 フケース(B2の供述ではブリーフケースとも言つている。)をその人物に渡したこと、その後右支払についてC3名義の領収証が送付されたことの諸点において、B2とD1の供述は一致していると見ることができ、B2の本件授受の状況の供述の基本的部分は、D1の供述により裏付けされているということができる。 もつとも、B2の供述ては被告人が同行者から離れて、一人で金を受け取つたようにいい、また、D1を被告人に紹介したようにいう点がD1の供述とくいちがつているが、被告人に同行者がいたという点では一致しているうえ、被告人にはC28の社員である秘書と通訳担当者が身辺に付いていたことも考えられるところ、授受の相手方以外にも近くに人がいたかどうかの認識は、B2とD1の立場の相違(前者は授受の責任者であつて授受の相手方により多く注意を払うであろうし、後者は授受の安全を見守る護衛者的立場であつたから、相手方の周辺にも当然に注意を払つたであろうと考えられる。)からすれば、右認識に差異が生じても不自然ないし不合理とはいえず、見守り役として臨んだD1の供述の方に信用性があると認められ、また、VIPルームの中に入室したのは被告人だけという可能性もあり得るから、B2が入室後のことだけ供述していると解すれば、矛盾はないことになる。次に紹介の有無の点は、B2の供述を検討すると、D1と被告人はそれまでに会つたことがあるか、という質問に対し否定の答えをしたのに続き、「あなたは彼らを空港で紹介したのか」という質問に対し、「はい」と答えただけであるから、記憶が不明確であつたのに、両者は初対面であつたから紹介したであろうという推測による供述にすぎないと認める余地があり、そうでなくても記憶の錯誤による思いちがいの可能性を否定できないから、この紹介の有無の点も紹介される立場にあつたD1の供 あつたから紹介したであろうという推測による供述にすぎないと認める余地があり、そうでなくても記憶の錯誤による思いちがいの可能性を否定できないから、この紹介の有無の点も紹介される立場にあつたD1の供述の方が真実に近いと認めるべきである。 このように見るならば、右程度のそごは本件授受の状況についての右両者の供述が、基本的には一致していると認めるのに妨げとはならないというべきである。また、本件授受にD1が立ち会うに至った経過についても、B2が依頼したからか、D1が自分から買つて出たのかの点でそごが見られるが、これは授受に至る経過的な事実に関するものにすぎず、前同様に記憶の不明確化または錯誤の起り得る事柄と思われるから、この点も両者の供述の基本的な一致性を損なうほどの事情とはいえない。 そして、右D1の供述は、当裁判所が先にその証言調書の採用決定において説示したとおり、米国の大陪審の証人尋問手続において、一般的に虚偽の供述を排除し、真実の供述が得られやすいような状況のもとてなされたものであるうえ、C6の二〇万ドルの小切手によりC59社から米国通貨二〇万トドを引出し、a空港における交付の準備をしたという点は、本件の原審において取調済のC6振出の二〇万ドルの小切手及びその振出請求書の各写(甲(二)99・98)、D9の証人尋問調書写(甲(一)298)によればその裏付けは十分であると認められ、その点からしても供述の具体的信用性は高いと思われる。更に、右のようにB2の本件授受の状況についての供述と、D1の同じ事項についての供述が、細かい点では差異がありながら基本的には一致していることは、両者の証人尋問が別個の機会に別個の目的で、別個の機関により行われていることをも考慮すると、両者の間に通謀等がないままに(前記のように基本的部分以外の点でくいちがいが多 基本的には一致していることは、両者の証人尋問が別個の機会に別個の目的で、別個の機関により行われていることをも考慮すると、両者の間に通謀等がないままに(前記のように基本的部分以外の点でくいちがいが多少見られることは、かえつて通謀による打ち合せ等がなかつた証左になると考えられる。)、おのずから一致した供述が得られたと考えられ、このことは本件授受が実在したからこそ、これを実際に体験した両者の供述が一致したものと見るべき事情であるといえる。 弁護人は右D1の供述について、同じ証言調書中の他の供述事項(C5社のC3に対する支払金調達の他の一口三、〇〇〇万円の関係)等に関し、米国通貨の国外移送についての責任追及を回避するため、責任のがれ的な虚偽の供述をしているので、本件授受に関する供述部分にも信用性がないようにいうが、たとい所論のとおり国外移送の関係において虚偽の供述をしているとしても、本件授受は米国の国内での支払であるから、これについては他の国外移送の関係とは事情が異なり、責任を追及されるおそれがないと見られるのであつて、あえて虚偽の供述をなす必要性は認められないから右所論は失当である。 また、弁護人は、D1が二〇万ドルの交付先が誰であるかB2から話をされず、空港においても紹介されなかつたと供述している点は、C6の支払責任者としての立場からすると不自然・不合理であるようにもいうが、D1の供述を通観すると、本件二〇万ドルの授受はC3に対する支払として、C3から領収証が出される事情は察知していたことを窺うに難くないから、従来B2の要求どおりにC3に対する支払の資金を調達する立場にあつたD1としては、C3への支払関係で第三者に渡すと言われれば、それ以上B2に問いただす必要はなく、a空港でも本件金員が無事に相手に渡りさえずればよいとして、あえて相手 支払の資金を調達する立場にあつたD1としては、C3への支払関係で第三者に渡すと言われれば、それ以上B2に問いただす必要はなく、a空港でも本件金員が無事に相手に渡りさえずればよいとして、あえて相手の東洋人の紳士の名前の詮索もしなかつたということが考えられるのであつて、このように見られる以上所論のように不自然・不合理であるというには当らない。 (四) 授受の前後にわたる状況について次に、B2証言の信用性に関し、授受の前後にわたる状況について裏付けの有無を検討する。 まず、C3の当初の要求の時点では他の者が本件授受を担当することになつていたが、その後C3がB2自身の立会を要求したため、そのように変更されたという経過の点は、B2が一九七三年一〇月二六日付、C5社側D10あてテレツクスにより、同月二九日(月曜日)からの週の間(この点は所論のように金曜日に発信しているからといつて、木曜日までの趣旨と解するのは不自然である。)は東京支社には旅行予定はない旨連絡していた(符137、テレツクス綴)のに、その後右の週間中の一一月二日(金曜日)には予定を変更してC60でロスアンゼルスヘ飛んでいること、及び前記B2供述の「F」に示したように、B2日記によると同人は、同年一〇月三〇日にはC1を通訳としてC3と「授受の状況」について話し合つたと見られるほか、翌三日にはC5社の財務部副部長のD8に電話して資金の準備ができたかどうか確認をし(この点尋問者の質問が不十分であるが、D8が資金供給担当者、B2が資金受領着である事柄の性質上、右のように証言した趣旨に理解すべきである。また、右の資金とは、後記摘要中の特別勘定によれば、B2が別途C14に交付すべき五億円は同月一二日に半額の支払が完了し、同月末で同資金用に一億円を超える貯えがあり、残額は翌年一月と二月に支 きである。また、右の資金とは、後記摘要中の特別勘定によれば、B2が別途C14に交付すべき五億円は同月一二日に半額の支払が完了し、同月末で同資金用に一億円を超える貯えがあり、残額は翌年一月と二月に支払われているから、一〇月末に急いで残額の資金準備を確かめる必要性は認め難く、資金OKとある旦記の記載からしても、最も支払日時が迫つていた本件授受の分を指すと解するのが相当である。)、また、B1とも電話でC48・P3Cの件のほか、本件授受に関して話し合つたことが認められ、B2自身も「C3からの本件授受の立会要求の件をB1氏に相談したのはたぶん右三一日またはそのころだつたと思う」と供述していることからして、B2が右一〇月三〇日ころ、C3から本件授受に立ち会うよう要求を受け、翌三一日ころ右要求の件をB1に相談したことは、ほぼ確実と認めることができる。また、C1の証言及び検面供述も、C28でB2に追い返されたようにいう部分は、かかわり合いになるのを避けているためであるような印象を否定てきないが、その余の部分は信用性に疑問はないと認められ、右一〇月三〇日ころのB2とC3の会談及びその内容について、間接的ながら補強証拠とするに足りるものである。また、本件二〇万ドルに対応する領収証として、一ドル二六五円に換算した昭和四八年一一月三日付の、C3名義の金額合計五、三〇〇万円の領収証(半額ずつの二通)が後日B2に交付され、これが他の場合と同様にC31の英訳文を添えたうえでC5社に届けられて、少なくともB2及びC31においてはC3の他の領収証と同様、C3が発行したものとして怪しまなかつた経過が窺われることも、B2がC5社のL―一〇一一型機の日本における販売活動資金の全収支状況等を記録していた摘要中の特別勘定のメモに、本件二〇万ドルはD1から支出され、C3のマーケ て怪しまなかつた経過が窺われることも、B2がC5社のL―一〇一一型機の日本における販売活動資金の全収支状況等を記録していた摘要中の特別勘定のメモに、本件二〇万ドルはD1から支出され、C3のマーケツテイング・コンサルタント契約修正一号契約書に基づくC8に対するL―一〇一一型機の販売手数料の七号機分(一二万ドル)と八号機分の三分の二(八万ドル)として処理された旨記載されていること(スペシヤル・アカウントと題するメモ写、甲(一)207)と併せて、B2がC3から本件授受に関して要求をされたという前記「E」の部分の供述を裏付けていると認めることができる(なお、右特別勘定の記載によれば、右八号機分の販売手数料の残額四万ドルは、一九七五年五月七日、九号機・一〇号機分各一二万ドルと合せて計二八万ドル(円換算で八、一三四万円)がC3に支払われたことになつており、同日付の同金額のC3名義領収証の存在と符合している。)。 このように見てくると、本件授受に至る経過及び授受の際の状況等に関するB2の供述は、細目の点はともかく、大筋においてはD1の供述その他の客観的証拠によつて十分裏付けされており、右両者間に通謀による偽装工作があつたことが疑われない限り、両者の供述は相互に補強されることにより、高度の信用性を有するものということができる。 (五) B2日記の本件授受当日の記載等についてところが、弁護人は原審以来、本件授受があつたとするクラッターの供述は、同人が本件二〇万ドルを他のなんらかの用途に流用しながら、米国内での支払であるためその支払先を隠蔽する手段として、かねて面識があり再々渡米したことのある被告人に支払つたように偽装工作し、D1の協力を得て出金関係も形式を整えたうえ、支払先を被告人に押しつけたものであつて虚偽の供述であるように主張し、これを基調 かねて面識があり再々渡米したことのある被告人に支払つたように偽装工作し、D1の協力を得て出金関係も形式を整えたうえ、支払先を被告人に押しつけたものであつて虚偽の供述であるように主張し、これを基調としてB2の供述に信用性がない理由を縷々主張しているのであるが、右B2の偽装工作説(したがつてD1との通謀説)を踏まえて、の根拠として主張されていると見られる主な論点を検討してみると、(1) まず弁護人が主張しているB2証言と最も矛盾・対立するB2日記の本件授受当日の4:30 C55CC 9HOLESの記載は、それがB2の行動を正確に記録したものであるならば、まさに本件授受とは両立し得ないことになるが、右記載が正確であるという前提が確かめられていないので、原審以来右記載の正確性に関し、現地における午後四時三〇分からの二人組による九ホールのゴルフプレイの能否の点が問題とされてきた。 しかしながら、右プレイが可能であるとしたところで、B2が当日そのとおりプレイし、その旨旦記に記載したものと直ちに断定することはできず、B2自身が日記の他の部分に関してではあるが、日記の記載に絶対誤りがないとはいえない旨供述していること(ク嘱七巻五九四頁)からすると、現地において一一月三日午後四時半からの九ホールのプレイの可能なことを論証してみても、それが当日実際にそのプレイをしたことを意味するものでなければ、直ちにB2証言の信用性に関し、致命的な疑いを生じさせることにはならないというべきである。 この点に関し、原判決が右4:30以下の記載の解釈として、現地における日没の関係から、当該時刻からの九ホールのゴルフプレイは物理的に不可能であると認めた点は、前提とした緯度が約一度誤っていたこと(当審の検察官提出の実況見分調書参照)もあり、依拠するC55CCのD11の供述 関係から、当該時刻からの九ホールのゴルフプレイは物理的に不可能であると認めた点は、前提とした緯度が約一度誤っていたこと(当審の検察官提出の実況見分調書参照)もあり、依拠するC55CCのD11の供述も「C55CCで二人組でプレイする場合、九ホールでは通常一時間半を要するが、一一月にはゴルフコースは遅くとも五時三〇分にはクローズするので、二人組で午後四時三〇分以降九ホールのプレイをすることは、通常不可能である。」というのであつて、絶対に不可能とするものではないから、いささか速断にすぎた嫌いがある。また、B2日記の他の記載例から推及して、4:30とC55CC以下の記載に結びつきがないと見た点も、同日記の他の記載例全般と対照すると必ずしもそのようには見られないから、原判決がそれらの理由から、4:30はゴルフとは関係がなく、本件授受のおおよその時刻を記載したものと推定されるとした点は、一つの推論としてその可能性はあるものの、それが正しいと断定すべき根拠はないといわなければならない。 右4:30 C55CC 9HOLES の記載の意味は、B2日記の他のゴルフに関する記載例全般と対照して見た場合は、当日その時刻から九ホールのゴルフプレイをした趣旨に見るのが最も素直な解釈であり、B2がその趣旨て記載した可能性は否定し難いところである。右記載が実体のない架空の記載であると見ることもできず(たとえば予定だけで実行しなかつたのであれば、後日抹消線を引くことも考えられる。)、また、日米の時差の関係で、B2が帰米した一一月二日にプレイしたのを、三日のつもりで誤記したように見ることも、B2が日米間をしばしば往復していて、時差には慣れていたと見られること(この点はB2の証言中の、一一月二日C60便て帰米した関係についての、D7検事との問答部分を見れば明らかである うに見ることも、B2が日米間をしばしば往復していて、時差には慣れていたと見られること(この点はB2の証言中の、一一月二日C60便て帰米した関係についての、D7検事との問答部分を見れば明らかである。)からして相当でないと考えられるからである。 しかしながら、ロスアンゼルスの当日の日没時刻と、C55CCにおける二人組の九ホールのプレイの通常の所要時間の関係からすると、原判決が疑念を持つたように、B2がゴルフをする気であれば、当日は土曜日でもあり、もつと明るい時間帯を随意に選べるはずであるのに、日没の関係で九ホールのプレイを終えることが危ぶまれるほどの時刻(この点は弁護人の現地における実況見分等によつても、右時刻から開始した場合右プレイを急ぎ目に行つてぎりぎりに完了できたというのであつて、余裕を持つて完了させ得る時刻でないことに変りはない。)になぜプレイを始めなければならなかつたか、という疑問も当然に考えられるのであつて、所論指摘のB2旦記のゴルフに関する全記載例を見ても、このように遅い時刻からのゴルフの記載例は他に見当らないこと(最も遅いもので午後三時である)及び検察官の現地における実況見分の際も、一般のプレイヤーの最終スタート時刻は午後三時五〇分までであつたことからすると、前記4:30以下の記載のうち、少なくとも時刻の部分は誤記ではないか、あるいはゴルフと関係がないのではないかという疑問を生ずることは避けられない。したがつて、原判決の考え方は、4:30が積極的に本件二〇万ドル授受の時刻を示すものと断定した点はともかく、右記載によつて直ちにB2が四時三〇分からゴルフを行つていたということにはならないとした点では誤つていなかつたということができる。右のように考えるならば、B2の説明がないことから、所論の解釈を含め、いろいろな可能性のうち、 が四時三〇分からゴルフを行つていたということにはならないとした点では誤つていなかつたということができる。右のように考えるならば、B2の説明がないことから、所論の解釈を含め、いろいろな可能性のうち、いずれが正しいとも断定の仕様がない前記4:30 C55CC 9HOLESの記載をもつて、直ちに本件授受の容疑事実と両立し得ない記載と見ることはできない。 結局は、右授受に関する証拠としてB2の証言以外にも確実なものがあつて、授受の事実が確実に認定できる場合には、右4:30以下の記載がその認定の妨げとなるとまではいえないことになる。 (2) 右のほか、弁護人は、B2証言の虚偽性の現われとして、授受の時刻についての同人の「アラウンド・ミツドデイ・サムタイム」という供述は作為的であると主張する。 しかしながら、B2が当該供述前に前記4:30以下の旦記の記載部分を見ていたという可能性はあるとしても、必ず見ていたと断定てきる事情は認められないし、多数日にわたる日記の記載を逐一点検することもなく執行官のもとに持参・提出したという可能性も否定できないから、右「アラウンド・ミツドデイ・サムタイム」という表現が、正午を含む前後の時間帯を指す趣旨であるとしても、そのことから直ちにB2が前記4:30以下の記載を意識して、これとの抵触を避けるため作為的な供述をしたものとは断定できない。同人が三年半以上も前のことでもあり、時刻に関する記憶の不明確なために思いちがいにより右のような供述をした可能性もあり得るのであつて(本件授受のため帰米した際、B2は正午ころロスアンゼルス国際空港に到着しているので、その時の印象が残っていて、これと授受当日の記憶とを混同して供述したものとも考えられる。)、この点の主張もB2証言の虚偽性に直ちに結びつくものとは認められない。 (3) 際空港に到着しているので、その時の印象が残っていて、これと授受当日の記憶とを混同して供述したものとも考えられる。)、この点の主張もB2証言の虚偽性に直ちに結びつくものとは認められない。 (3) その他にも所論はB2証言の前後矛盾、他の証拠との矛盾、不自然性・不合理性・論理的不整合性(授受の要求を受けてから実現に至るまでの経過の不明確性または説明の不足等を含む)等を緩々主張しているのであるが、所論の点が多々あるとしても、尋問の不足または拙劣さによる結果と思われる点もあり、なにぶん証言事項が三年以上前の古い事柄てあり記憶の忘失、または不明確化のために供述が不正確になる可能性もあり得るのであつて、これらの点もB2証言の信用性を根本的に疑わせる事情となるとは、にわかに断定し難いといわなければならない。 (六) 弁護人の主張する偽装工作説とB2証言を裏付ける客観的証拠の有無について弁護人の主張に立ち戻つて考えると、所論はB2とD1の通謀による偽装工作説を主張しているので、そうであれば右両者の供述がいかに一致しているにせよ、それは両者の通謀による結果であるということになる。そこで、B2証言の信用性を右偽装工作説の疑いを排除して明確に認めるためには、D1の供述以外に、B2証言の核心部分について、客観的で動かすことのできない裏付け証拠があるか否かが検討されなければならない。 更に、本件授受の関係において、直接証拠とされているB2、B1、D1らの証言調書は、いずれも米国における嘱託証人尋問または大陪審の証人尋問の結果得られたものであつて、被告人側に反対尋問による吟味の機会を与えていないため、被告人・弁護人としては反対尋問により確かめたい点は多々ありながらこれを実施する手段を持ち得なかつたという意味において、右証人らの供述は通常の公判廷の証言と比 問による吟味の機会を与えていないため、被告人・弁護人としては反対尋問により確かめたい点は多々ありながらこれを実施する手段を持ち得なかつたという意味において、右証人らの供述は通常の公判廷の証言と比べて不完全なものであることは否定できないところである。そこで、右不完全性、すなわち反対尋問の吟味による供述の真実性テストの手段の欠如を補い、反対尋問を実施したとしても結果に変りはないと認められるほどの高度の信用性が、右証人らの供述に認められることが公平な見地から見て必要であるが、右高度の信用性の有無の判断のためにも、B2の本件授受に関する供述に、客観的で動かすことのできない裏付け証拠があるか否かが検討れなければならない。 右の意味の裏付け証拠としては、二つのものが考えられる、その一は、本件授受に対応するC3名義の領収証は真正に作成されたか否かである。すなわち、本件授受があつたという昭和四八年一月三日付、金額各二、六五〇万円のC3の記名印と押印らしきもののある仮領収証二通(ただしの原本はC5社が保管しており、原審においては他のC3名義領収証四五通分と同様に、検官撮影のそのカラー写真が取り調べられた。)が、C3の意思に基づいて作成されたものと認定できれば、C5社のL―一〇一一型機売込活動にかかる支払に関する外国送金受領証に本件二〇万ドルの分だけがないこと、前記のとおりC6の小切手によりC59社から二〇万ドルが出金され(その日付は一一月一日である)、B2ないしD1の手に渡つたと認められることと相侯つて、C3が自己のコンサルタント契約(修正一号)に基づくC8への七、八号機分のL―一〇一一型機の追加報酬のうち二〇万ドルを、自らは国内で受け取つていないのに前記日付の領収証を出したということになり、これはB2の供述するとおり、C3の要求ないし依頼によりロス への七、八号機分のL―一〇一一型機の追加報酬のうち二〇万ドルを、自らは国内で受け取つていないのに前記日付の領収証を出したということになり、これはB2の供述するとおり、C3の要求ないし依頼によりロスアンゼルスにおいて右二〇万ドルが被告人に交付されているからこそである、と考えざるを得ない。 しからば、右領収証が真正に作成されているということは、本件授受があつたことを推認させる有力な間接事実というべきであり、逆に右領収証の真正が認定できないのであれば、それこそ弁護人主張のB2偽装工作説(弁護人はC3の領収証はC31を抱きこめばその作成は容易である旨、C31と通謀しての偽造説を主張していると見られる。)を裏付けることになる、というべきである。 その二は、本件授受されたという二〇万ドルが被告人の手元に入つたことの裏付け証拠があるか否かの点である(およそ贈収賄事件等で金員授受の有無が争われた場合に、授受されたという金員が、受領者とされる被告人の手元に入つていることが、預金通帳や家計簿等の客観的証拠によつて確認され、あるいは金員が費消された場合に、そのことが支払関係の記録等によつて確認できるならば、授受の事実は疑いの余地なく証明されたといえようが、右の確認ができない場合には、授受を認める贈賄者側の供述と出金関係の証拠だけで授受の事実を認定することには、いささかためらいを感ぜざるを得ないであろう。殊に本件においては弁護人側はB2とD1の共謀による偽装工作説を主張しているので、授受後の金員の動きに関する証拠の有無を検討する必要性が大きいというベきである。)。 すなわち、本件授受の有無について、被告人が当該二〇万ドルを入手していて他に支払つたことを認めるに足りる裏付け証拠があれば、これは極めて有力な間接事実になるものといわなければならない。 (七) すなわち、本件授受の有無について、被告人が当該二〇万ドルを入手していて他に支払つたことを認めるに足りる裏付け証拠があれば、これは極めて有力な間接事実になるものといわなければならない。 (七) C3領収証の作成の真否についてそこで、まず右C3名義の本件二〇万ドルに対応する領収証が真正に作成されたものか否かを検討すると、関係各証拠(甲(一)203及び204の検察官の報告書に添付された領収証カラー写真四七枚、領収証(メモ)写真一枚、甲(一)293の検察官の報告書謄本、B2作成のスペシヤル・アカウントと題するメモ(写)(甲(一)207)、C31の検察官に対する昭和五一年二月二六日付・同月二七日付・同月二八日付・同年三月三日付・同月五日付・同月九日付・同年四月一六日付・同月一九日付・同年五月六日付・同月一八日付各供述調書謄本、警察庁技官C61外二名作成の鑑定書謄本(甲(一)51)、科学捜査研究所技官C62作成の鑑定書謄本(甲(一)294)等)によれば、次のような事実を認めることができる。 「A」 C31は廣報宣伝業を営むC63株式会社の社長として、同社がC5社関係の海外宣伝活動の一部を担当していた関係で、同じh町ビルに事務所があつた前記C7社に駐在するB2と面識を得、またC3とは同人が戦犯容疑で巣鴨収容所にいたころ通訳として知り合い、その後C3の著者の英訳と出版に尽力してやったこともあつて、C3から特に信頼されていた者であるが、C5社のB1またはB2ないし右両者がC3と会うときは、必ずC31が通訳として立ち会うことになつていた。 「B」 C5社とC3間の一九六九年一月一五日付マーケツテイソグ・コンサルタント契約書(写)(符141)、同年六月一日付マーケツテイング・コンサルタント修正一号契約書(写)(符142)、一九七三年七月二七日付マ 社とC3間の一九六九年一月一五日付マーケツテイソグ・コンサルタント契約書(写)(符141)、同年六月一日付マーケツテイング・コンサルタント修正一号契約書(写)(符142)、一九七三年七月二七日付マーケツテイソグ・コンサルタント修正四号契約書(写)(符143)、同年一一月三〇日付マーケツテイング・コンサルタント修正五号契約書(写)(符144)の作成経過は、おおむね右各日付ころ、B2・C3・C31の三名が会合し、B2が用意してきた英文の契約書の内容をC31が逐一翻訳してC3に説明し、C3が納得したうえでB2・C3の両者がこれに署名し(基本契約書及び修正一号契約書)、またはC3が記名印を押し(修正四号・同五号各契約書)、さらにC3が自ら認印を押印して、いずれも真正に作成された。 「C」 前記C3名義の多数の領収証(仮領収証と題したものが多いか、便宜上「領収証」と呼称する。)が授受された経過は、一般的にはB2が前記コンサルタント契約に基づく、C5社のC3に対する顧問料ないし報酬としての金員を、C3宅またはC3事務所に持参してC3に交付する都度、C3からB2に手交されていたが、その多くの場合はその場で封筒に入れて手渡され、金額が多額で領収証を数通に分けて出すようB2が依頼した場合にはしばらく時日を置いた後、右同様にC3からB2に交付されるのをC31が目撃しており、B2は領収証を受けとつて二、三日以内にC31に依頼してその英訳文を作成させるのを通例としていた。 右の経過を通じて、C31はC3の記名印や認印をC3から預かつたことはなく、自らがC3名義の領収証(原本)の作成に関与したことは一切なかつた。 「D」 本件の二〇万ドルに見合う前記金額二、六五〇万円の領収証二通も、右のような経過の中において、C31がB2から英訳を依頼されてその英訳文を作 収証(原本)の作成に関与したことは一切なかつた。 「D」 本件の二〇万ドルに見合う前記金額二、六五〇万円の領収証二通も、右のような経過の中において、C31がB2から英訳を依頼されてその英訳文を作成・添付したことはC31が記憶して供述しているが、この領収証二通がC3からB2に対し交付された具体的状況については、C31に記憶がないためか、不明のままである(所論は、C31がこの件に深くかかわりを持つているために、B2との打合せでその事情を公けにすることができなかつたのではないかと推論しているが、これは単なる憶測にすぎないというべきである。)。 「E」 本件二〇万ドルに見合う前記領収証二通のカラー写真を、他のC3名義の領収証四五通のカラー写真と比較対照して見ると、昭和四七年一〇月二〇日付のものより前の領収証と後の領収証とは使用の用紙が異なつているが、右日付以後のものは本件の二通を含め同種類の用紙が使用されていて、C3の記名印及びC3の認印の印影は、すべて同一形状であり、前後を通じ同一の記名印及び認印が押捺されたものと認めることができる。 「F」 なお、前記摘要中の特別勘定のうち、C3に対する支払関係の記載を、前記C31の供述により真正に作成されたことが認められるC5社・C3間のマーケツテイング・コソサルタンート契約書、同修正一号契約書、同修正五号契約書に記載のC3に対する顧問料・販売手数料等の支払約定、及びC3名義の領収証四七枚等の各作成日付・受領金額と対照して検討すると、多少の支払時期のずれは見られるものの、全体的に見て右契約に対応した顧問料・販売手数料の支払がなされた計算になつていることを認めることができる(ク嘱六巻添付副証五四号参照)。 「G」 C3の検面供述によれば、対C5社関係の契約書・領収証には同一の認印が使用されていたが、そ 売手数料の支払がなされた計算になつていることを認めることができる(ク嘱六巻添付副証五四号参照)。 「G」 C3の検面供述によれば、対C5社関係の契約書・領収証には同一の認印が使用されていたが、それはC31に保管させて領収証の作成等に使用を一任していた、自分としてはC5社との基本契約書と修正一号契約書に署名しただけである、というのであるが、前記鑑定書二通によると、C3名義の四億四、〇〇〇万円のメモ領収証に記載された「C3」の署名と、右基本契約書及ひ修正一号契約書に記載されたC3の署名とは、同一人の署名と思われるとされており、また、C3名義の昭和五〇年七月二九日付領収証(追加提出分)二通に記載された手書きの日付部分は、C3の秘書C27の筆跡と対照して同一人の筆跡と推定されるともされていて、これらの点からすれば、C3またはC27が右領収証の作成に関与していることが認められ、右C3の供述は信用できないことが明らかである。 以上認定した事実によれば、当該C3名義の領収証二通は、C3の意思に基づいて真正に作成されたものと認めるのが相当である(C3本人の捜査・公判段階を通じて全領収証につき作成の真正を否認する供述は、右関係各証拠と対比し信用することができない。)。そうだとすると、前記(六)記載の理由により、この事実は本件授受が案在したことを裏付ける有力な間接事実であるということができる。 なお、念のため付言すると、B2偽装工作説を主張する所論中には、B2がC3とも通謀していたように論ずる部分もあるが、もしB2が自己の資金流用を隠蔽するためC3の協力を求めたとすれば、C3に架空の領収証を発行してもらえば足り、米国で支払われているという関係があつても、渡米したC3の代理人に渡したことにすればよいのであるから、これを被告人に支払つたように偽装すべき必要 たとすれば、C3に架空の領収証を発行してもらえば足り、米国で支払われているという関係があつても、渡米したC3の代理人に渡したことにすればよいのであるから、これを被告人に支払つたように偽装すべき必要性はそもそもないといわなければならない。また、C3がB2の作り上げた被告人に渡したという筋書に協力してやるため、自己名義の架空の領収証を作成したということは、五、三〇〇万円という多額の自己の報酬を犠牲にすることになり、C3とB2間にはそのようなことを許容するほどの親密な関係はなかつたと見られることからして、到底あり得ないことと考えられる(なお、一件分の支払に複数の小分けした領収証が作成されていることは、C3への他の支払についても類似の事例はいくつも認められるので、これまた偽装工作説の根拠とはなり得ない。)。 (八) 授受後の金員の動きについて次に、被告人がその金員を入手していて他に支払つたことの裏付け証拠があるか否かの点が問題になるが、検察官は原審において、「被告人は米国ネバタ州mのC64ホテルにおいて、C65が昭和四七年一〇月に同ホテルのカジノ賭博場で負つた一二〇万ドルの債務の支払保証をし、右債務の分割払の最終回分二〇万ドルが四八年一〇月の約定期日を過ぎて未払であつたところ、本件授受の当日ロスアンゼルスからラスべガスのC64ホテルに赴いて、本件二〇万ドルを右債務の支払にあてた」と主張し、右C64ホテル関係者作成の書面等を証拠として提出したのに対し、弁護人側は被告人はC65の右債務の支払保証をしたことがなく、同人の負債を肩代りして支払うべき理由は全くないとしてこれを争い、弁護人が直接右C64ホテルの関係者らと面接して事情聴取を経たうえ作成された同人らの公証人面前の宣誓供述書を証拠に提出したが、原判決は右検察官主張の事実についてはその有無 全くないとしてこれを争い、弁護人が直接右C64ホテルの関係者らと面接して事情聴取を経たうえ作成された同人らの公証人面前の宣誓供述書を証拠に提出したが、原判決は右検察官主張の事実についてはその有無を断定するに足りる証拠がないとの判断を示している(原判決二二四頁(三)項)。 そこで、関係証拠により右C64ホテルの債務支払の件を検討してみると、D12(本件当時C64ホテルの副社長兼総括支配人)外三名作成にかかる「E1の取引」と題する書面写(旧甲(一)255)、右四名名義でD13(当時C64ホテルの貸付支配人)の署名のある関係者殿と題する書面写(旧甲(一)256、I. O.UDISBURSEDと題する証拠物写(符132)、被告人及びC65の各日本人出帰国記録調査書(甲(一)262、同275)、D14の宣誓供述書(旧弁(一)60)、被告人の原審公判における供述(第七一回四、五丁、第七二回一三~二七丁)、検察官作成の昭和五一年一二月一五日付捜査報告書(甲(一)80)等を総合すれば、次のような事実を認めることができる。すなわち、被告人は、昭和四七年一〇月中ラスべガスのC64ホテルに宿泊した際、同行していたC65が同ホテルのカジノにおけるべカラ賭博で大敗をし、同ホテルに一五〇万ドルの債務を負つたため、同年一二月初旬ころ渡米した際、C65に代つてC64ホテル側の前記D12及びD14(同ホテルのカジノ支配人)らと交渉し、右債務を一二〇万ドルに減額させる代りに、同ホテル側が日本において取り立てる労を省き、米国ドルまたは銀行小切手で、翌年一月一五日に五〇万ドル、四月一日に二五万ドル、七月一日に二五万ドル、一〇月一日に二〇万ドルを各持参払する旨申し出たところ、右D12らはこれを被告人がC65の債務の支払引受をしたものと理解して右申し出を承諾した(ただし右三 月一日に二五万ドル、七月一日に二五万ドル、一〇月一日に二〇万ドルを各持参払する旨申し出たところ、右D12らはこれを被告人がC65の債務の支払引受をしたものと理解して右申し出を承諾した(ただし右三〇万ドルの減免は第一回の五〇万ドルが支払われたときとする条件つきであつた。)。その後、翌年一月一五日に、被告人とその一行はC64ホテルに来て、被告人が五万ドルの銀行小切手一〇枚で第一回の支払をしたが、その際被告人は次の二五万ドルは約束どおり四月一日に支払うと確約した。しかし、二回目の支払は同年四月二八日に五万ドルの小切手と現金で行われたが、右小切手と現金は被告人がハワイとロスアンゼルスのC28関連の支店等て調達したものであつた。三回目の支払は同年七月一二日に五万ドルの小切手五枚で行われたが、右の資金は被告人が前記海外の支店で仮払で出金させたものであつた。そして四回目の二〇万ドルは、約定の同年一〇月一日を過ぎても未払のままであつたところ、C65を含む被告人ら一行が、同年一一月三日午後五時a空港発のC56便て同日午後六時ころうスベガスに到着し、C64ホテルに投宿した際、全部現金でその支払がなされた。なお、被告人は右四回の支払の際いずれもC64ホテルに赴いているか、C65は前記被告人が支払交渉をした時も渡米しておらず、四回の支払についても初回と最後の時にその場に同席していただけであり、その二回の支払の際にもC64ホテルの関係者に、なんらかの目立つた言動によりその存在を印象づけた形跡は窺うことができない。 以上の認定は、主として前記「E1の取引」と題する書面の記載内容に依拠するものであるが、右書面はC64ホテルの用筆を用い、「秘密」D12よりフアイルヘとの表題を付し、内容はC64ホテルのC65に対する前記債権の減額と分割支払の交渉及び約束に関するも の記載内容に依拠するものであるが、右書面はC64ホテルの用筆を用い、「秘密」D12よりフアイルヘとの表題を付し、内容はC64ホテルのC65に対する前記債権の減額と分割支払の交渉及び約束に関するもので、同ホテルのカジノの業務に関する記録の性質を有し、前記D12、D14のほか、カジノ貸付支配人のD13、管財人のD15の四名のC64ホテルの幹部の署名がなされていること、及び右書面がC66という公的監督機関に提出されていた状況等からすると、明らかに同ホテルのカジノ営業の業務に関し、巨額の債権の減額及び分割払による徴収の関係の責任を明確にするための記録文書であると認められるのであつて、そのような書面の性質上、その記載内容の信用性は高いといわなければならない。しかるに、右D12は宣誓供述書において、右書面は営業上のものではなく、自己の個人的備忘のために作成したもので、内容的にも伝聞情報によることが多く、信用性が少ない旨を強調しているけれども、その供述内容を見ると、前記書面に一五〇万ドルの支払の交渉について彼が提案したとある部分の彼とは、被告人のことではなくE1グループを指している旨、「E1はその負債を保証しているものの、もし彼が保証を拒否したら云々」との記載についても、被告人は法的意味においていかなる負債をも保証したことはない旨の不合理な供述をしている。また、個人的備忘のための記録といいながらホテルの四人の幹部が署名した理由について、納得の行く説明をしていない。更に、一回目の支払の際「E1の取引」と題する書面では「彼は各五万ドルの銀行小切手一〇枚を我々に渡した」「このとき彼は、次の二五万ドルは約束どおり四月一日に払うと確約した」となつているのに、E1グループの誰かが渡したのであつて、被告人自身からはいかなる支払も受けとつたことはないとか、四月一 に渡した」「このとき彼は、次の二五万ドルは約束どおり四月一日に払うと確約した」となつているのに、E1グループの誰かが渡したのであつて、被告人自身からはいかなる支払も受けとつたことはないとか、四月一日の分の支払確約は被告人がしたが、その支払を自分でするとはいわなかつたから、C65または彼の代理人が支払をすると理解したとか述べ、被告人に関することはことさら責任をあいまいにする態度が顕著であつて、前記E1の取引と題する書面の記載と比較し、D12の宣誓供述書の信用性は乏しいものといわざるを得ない(なお、「E1の取引」と題する書面の記載のうち、本件C65の賭博以前のE1グループの賭博による債務の取立に関する部分は伝聞情報が多いと認められるが、本件C65の債務の支払について被告人が関与した状況については、事柄の性質上伝聞情報によるものとは考えられない。)。更に、D14及びD13の宣誓供述書においては、同人らが「E1の取引」と題する書面の性質につき、D12の宣誓供述書の内容を支持するような供述(D13は前記「関係者殿」と題する文書についても同趣旨)をし、四回の支払のすべてについては被告人のグループの誰かから支払を受けており、被告人からは直接いかなる支払も受けとつたことがない旨供述しているが、これまた不自然であるうえ、被告人が第二回及び第三回の支払ないし資金調達への関与を肯定していることと対比し、それらの部分は信用性に乏しいものというほかはない。これとともに、四回目の支払はE1グループの数名の日本人のうち、被告人でない誰かがしたが、その際帯封のない多量の札を勘定したら、二〇万ドルを超える余分があつたので、その超過部分は返却した旨の右三名に共通する供述部分も、信用性のある供述と認めることはできない。更に、D16の宣誓供述書に至つては、四回目の支払金の 勘定したら、二〇万ドルを超える余分があつたので、その超過部分は返却した旨の右三名に共通する供述部分も、信用性のある供述と認めることはできない。更に、D16の宣誓供述書に至つては、四回目の支払金の勘定に関して、D13が持つてきた金を再度勘定した際、日本語が書かれた数個の帯封があつた旨、他の三名とくいちがう供述もしているのであつて、右三名以上にその供述は信用性に乏しいというべきてある。以上の四名はすべてC64ホテルの関係者であり、被告人はハワイやロスアンゼルスのホテルの買収経営に実績を有し、C64ホテル側とも数次にわたり買収交渉を行なつていた関係上、同ホテル側としては被告人を将来経営者となる可能性のある人物として、いわば重要人物扱いをしでいたてあろうから、かような立場にあること及び証言手続が裁判所の関与しない公証人面前の簡略な方法によつていることを考慮すれば、右供述者四名に被告人に好意的で、本人の責任に関することはかばおうとする態度が見られるのは自然の成行きと見られるのであつて、右事情も同人らの供述に信用性を認め難い事情の一つというべきである。 右認定の事実から考察すると、C64ホテル側ではC65の四回合計一二〇万ドルの支払債務につき、被告人が支払の責任者となるものと理解し、三〇万ドルの減免と残額の分割払の申し出を承諾したもので、第一回分の支払は被告人が行ない、第二回・第三回分の支払も被告人が資金調達等に関与したことが認められるのであるから、第四回の支払についても債務者たるC65に前記のとおり特に注目すべき言動があつたと認められない以上、右支払は被告人ないし被告人の意を受けた者がしたものと認めるのが相当である(右C65は原審当時、公判外の記者会見において、右四回目の支払は自己がなした旨言明しているが(弁(二)78)、その支払を裏付ける は被告人ないし被告人の意を受けた者がしたものと認めるのが相当である(右C65は原審当時、公判外の記者会見において、右四回目の支払は自己がなした旨言明しているが(弁(二)78)、その支払を裏付けるに足る具体的根拠を示していないうえ、その発言がなされた場を考慮すれば、その信用性を認め難い。)。 ところで、被告人は、C64ホテルに対する四回目の支払をしたことを単に否認するだけで、被告人が支払つたと認められる二〇万ドルの出所について明らかにしょうとしないままである。そうすると、反対証拠として見るべきものがない以上、B2が供述する被告人への二〇万ドルの交付(ただし時刻が正午の前後ころという点は誤りであつて、関係証拠によれば午後四時二〇分ころと認められる)が、時間的・場所的にC64ホテルでの支払と極めて接近しており、支払金額の点でも一致していると見られることからすると、B2の交付した二〇万ドルが、C64ホテルに支払われた二〇万ドルの出所であると推認せざるを得ない。 そうだとすると、B2の本件授受に関する供述は、その供述に見合う金員が被告人の手元に入つていて、他に支払われたことが認定されること及び前記C3領収証の真正が認められることと相俟つて、確実にその信用性が認められるといわなければならない。 (九) その余の弁護人の主張についてまた、このように見るならば、前記4:30以下のB2日記の記載は、前説示のように同時刻からゴルフをしたという趣旨のものではないと解すればよく、弁護人のB2証言の信用性に関するその余の主張は、これを十分検討しても右判断を左右するに至らない。すなわち、a空港での被告人一行の乗り継ぎ時間が短かかつたことから、本件授受は時間的に不可能であるという点は、B2及びD1の供述する授受の状況、さらに前記VIPルームの所在位置等から するに至らない。すなわち、a空港での被告人一行の乗り継ぎ時間が短かかつたことから、本件授受は時間的に不可能であるという点は、B2及びD1の供述する授受の状況、さらに前記VIPルームの所在位置等からすれば、授受の所要時間はせいせい二、三分以内であると考えられるうえ、検察官の実況見分の結果(旧甲(一)212)によれば、乗り継ぎのための時間から荷物受領・再預け・乗り継ぎのための移動等に要する時間を差し引いても、授受を行う時間的余裕は十分にあつたと認められる(その詳細は原判決が当該項目について説示するとおりである。)。その余の主張するところは、要するにB2の供述の自己矛盾または他証拠との矛盾を含む不自然性・不合理性・論理的不整合性(摘要中の特別勘定の記載等、記録的なものについての説明不足、または欠如等の点を含む)等の主張につきるのであつて、これを逐一検討してみても前記授受にかかる金員の行方についての検討ほど、直ちに授受の有無の確実さまたは不確実さを明らかにし、ひいてはB2及びD1の供述が真実であるか作り事であるかを確定できるほどの、決定的要素を備えているとは認め難い(ただし、B2の供述の不自然性等の主張のうち、英語を解しない被告人がただ一人で授受を行なつたという点は、D1の供述によれば通訳等の随行者がいた可能性も認められるうえ、授受自体も前記のようにほとんど会話を必要とせず簡単に行われたと認められるので理由がなく、授受した金員を渡す前に勘定しなかつたこと、被告人から領収証をとらなかつたことの不合理性をいう点は、これもD1の供述により同人があらかじめ勘定していることが認められるから、平常金銭の出納を扱つている同人が勘定している以上、重ねてB2が勘定する必要性はなかつたというべきであり、更にD1がC6の財務担当者として本件授受に関与し授受を現認 定していることが認められるから、平常金銭の出納を扱つている同人が勘定している以上、重ねてB2が勘定する必要性はなかつたというべきであり、更にD1がC6の財務担当者として本件授受に関与し授受を現認したと認められる以上、C3からの領収証以外に被告人の領収証を必要とする事情は全く認め難いのであつて、他のC14関係の支払の場合と同様に論ずることはできないから、右主張の点も失当である。)。なお、本件二〇万ドルの支払根拠についてのB2の供述も、C3とのコンサルタント契約に基づくL―一〇一一型機のC8に対する七、八号機の販売手数料の先払であるとする点で明確であつて、摘要中の特別勘定の記載によつてもL―一〇一一型機売込関係のC3の報酬等は、支払が先行し契約書が追認する形をとるなど、契約書に従わない支払が多かつたことが窺われ、B1も右関係の支払は非常に融通がきいた旨証言していること(コ嘱七巻六一〇・六一一頁)に鑑み、C3の要求により、引渡前であつても引渡に至ることが確実と見られた、C8への七、八号機分の販売手数料の前払に応じたということは十分あり得ると考えられる。この点は、弁護人援用のB1副証九号・二八号・二九号等を検討しても、前記授受についての認定を覆えし、B2が本件二〇万ドルを他に流用したという疑いを抱かせるには至らない。前記摘要中の特別勘定の記載とC3名義領収証との対応関係について見ても、基本的には一致していると認めることができるから、右同様である。また、本件証拠上、C3と被告人間・被告人とクラツタ―間で検察官の冒頭陳述のような本件授受の打合せがなされたことについて具体的な立証がないという点は、本件授受の事実の有無が立証の主題であり、右授受が確実と認められる以上、それに至る経過の一部に不明の点があるとしても、授受の事実自体の存在を疑わせるには足 たことについて具体的な立証がないという点は、本件授受の事実の有無が立証の主題であり、右授受が確実と認められる以上、それに至る経過の一部に不明の点があるとしても、授受の事実自体の存在を疑わせるには足りないし(C3の通訳であつたC31の供述に、前記打合せ等を窺わせるものがないという点も、原判決がその第二の三の4の(一)(一七〇頁以下)で説示するとおり、積極的な反対証拠となるものではないから、右と同様である。なお、C31の立場ないし供述心理については、先に控訴趣意第三の三に対する判断のⅠの(一)において説示したとおりである。)、C3と被告人間に、本件二〇万ドルに関し支払原因が存在したことの立証がないという点も、右同様に立証の主題外のことであつて、右両名が否認しているため右原因が不明であるからといつて、それによつて本件授受の事実の存在が覆されるほどの事情であるとは認められない。 なお、被告人が本件当時a空港において、前記VIPルームに立ち寄つたことがなく、または本件授受を行なう機会がなかつたという被告人の同行者らの供述は、前記信用性が確実と認められるB2の供述、さらにはD1の供述と対比し、これを信用することができない。 また、所論中、当時の被告人の多数の同行者のうち一人も被告人が一時別行動をとつたことに気づいていないのは不自然であるという点(最終弁論要旨一八二頁)も、前述VIPルームが被告人らの出てきたゲ―トから至近距離で、乗り継ぎのため歩くコースの脇にあつて簡単に立ち寄ることができ、しかも授受に要した時間は前記のように短時間であつたと認められることからすると、格別注意を引くに至らない程度の出来事であつたと思われ、被告人が一時見えなくなつても、特に周囲の者に異常感を生じさせるほどのものではなかつたと考えられるから、右所論も理由がない。 とからすると、格別注意を引くに至らない程度の出来事であつたと思われ、被告人が一時見えなくなつても、特に周囲の者に異常感を生じさせるほどのものではなかつたと考えられるから、右所論も理由がない。 2 B1証言及びC2の供述の信用性について(所論2及び3の(二))前記のように、B2の本件授受についての供述は、金員の出所及び行き先に関して授受の確実な裏づけがあると認められることにより、十分に信用性があると認められ、また、D1の供述とも併せて本件授受の事実の存在を認めるに十分であるから、そのうえにB1の本件授受についてB2から事前に相談され、事後に報告を受けた旨の証言部分及びC2の検面調書中原判決の認定に照応する部分を補強証拠として付加する要を見ないのであるが、両名の右各供述部分は、高度の信用性までは認め難いが、前記認定にかかる本件授受の事実と客観的に合致している点からみて、その信用性を肯定することができ、そうするとその各供述に信用性ありとした原判断を誤りとすることはできない。この点の所論も理由がない。 3 結論右のように検討した結果、B2の証言中本件授受に関する供述部分は、枝葉の点は別として、その基本的な点において十分に信用性があると認められ、これを裏付けるに足りる客観的な他の物証等の証拠も存在し、D1の供述もまた補強証拠としての価値があると認められるから、これらを総合すれば本件授受がなされた事実はこれを認めるに十分である。 そうすると、これを認定した原判決は結論において相当であつて、事案の誤認はないからこの点の論旨も理由がない。 第六破棄自判の裁判以上検討した結果によれば、弁護人の控訴趣意中前記第三のP3C関係の事実誤認の主張については論旨は理由があるから、量刑不当の主張に対する判断はこれを省略し、刑訴法三九七条一項、三八 破棄自判の裁判以上検討した結果によれば、弁護人の控訴趣意中前記第三のP3C関係の事実誤認の主張については論旨は理由があるから、量刑不当の主張に対する判断はこれを省略し、刑訴法三九七条一項、三八二条により原判決を破棄し、同法四〇〇条但書を適用して被告事件について更に次のとおり判決する。 (罪となるべき事実)被告人は、東京都中央区ef丁目g番地(当時)に本店を有するC28株式会社の社主として同社の業務全般を統括しているものであり、C8株式会社の大株主として同社の社賓でもあつたものであるが、真実は、「1」昭和四七年九月中旬ころ、右C28本社応接室において、後記C5社の販売コンサルタソトであるC3同席のうえ、米国C5・コーポレイション社長B1から、同社製造のエアバス級ジエツト旅客機L―一〇二型機(愛称トライスター)を、C8株式会社に購入せしめるよう尽力してもらいたいとの懇請を受け、そのころ同社副社長A1に対し、内閣総理大臣C12から聞いた話として、同月初めころ行われたハワイ会談において、D5米国大統領がトライスターの日本での採用を希望していた旨伝える形をとるなどして、娩曲に同社が右航空機を購入するよう復旧濾し、また、「2」昭和四八年一一月三日ころ、アメリカ合衆国a国際空港サテライト□内のC53接客用個室において、前記B1の指示を受けたジヨン・ウィリアム・B2から、C5社の前記C3に対するトライスター売込に関する支払金員の一部である米国通貨二〇万ドルを受領したのにかかわらず、昭和五一年二月一六日、東京都千代田区永田町一丁目七番一号の衆議院予算委員会において、証人として法律により宣誓のうえ証言するに際し、自己の記憶に反し、「1」B1からの依頼に対し、機会があつたら話してみようとは言つたが、そのまま聞き流し、C8の何人に対しても、C5社 委員会において、証人として法律により宣誓のうえ証言するに際し、自己の記憶に反し、「1」B1からの依頼に対し、機会があつたら話してみようとは言つたが、そのまま聞き流し、C8の何人に対しても、C5社のエアバスを買つてやつてくれ等とは一度も言つたことがない、「2」B1が右航空機の売込に関しC3に対して支払われた七〇〇万ドルの一部が、被告人に渡つたと思うとか、そう思われるような、あるいは疑いを持たれるような証言をしているが、そのようなことは事実ではなく虚偽である旨証言し、もつて虚偽の陳述をしたものである。 (証拠の標目) (省略)(法令の適用及び量刑の事情)被告人の判示所為は、議院における証人の宣誓及び証言竿に関する法律第六条第一項に該当する。 そこで、被告人の情状について考察すると、本件は、昭和五一年二月初旬米国上院C67小委員会において、C5社の対外不正支払問題に関する調査資料が公開されたことに端を発し、同社の航空機の日本への売込活動をめぐる疑惑としてわが国民の耳目を聳動させたいわゆるC5事件に関し、国民の期待に応えてその真相を究明しようとして行つた、国会の予算審査権ないし国政調査権に基づく衆議院予算委員会での証人尋問において発生した偽証事件であるところ、かような全国民的関心の場である国会の証人尋問において、各委員から発せられた右疑惑に対する関与の有無についての質問に対し、当時右疑惑の重要関係者と見られていた被告人が前認定のとおり虚偽の陳述をなし、国会の重要な権能である予算審査権ないし国政調査権の行使を阻害した責任は、これを軽視し難いといわなければならない。しかし、一方で右証人尋問に至つた経緯及び証人尋問の状況について見ると、元来高血圧症で狭心症の持病を有した被告人が、ハワイ帰在中に証人喚問の件を知り、急拠帰国の途についたか、 いわなければならない。しかし、一方で右証人尋問に至つた経緯及び証人尋問の状況について見ると、元来高血圧症で狭心症の持病を有した被告人が、ハワイ帰在中に証人喚問の件を知り、急拠帰国の途についたか、過熱した報道陳の取材攻勢を避けるため韓国経由で大阪に帰着し、同所からpの山荘に到着、滞在しているうち狭心症の発作を起し、証人喚問当日は心身共に疲労した状況下で蒼惶として証人尋問に臨んだものであること、右証人尋問の場においても騒然とした環境や、質問者の質問方法等に適切さを欠くところもあつて、冷静に率直に事実を証言する雰囲気が形成されていたとはいい難いこと、一連のいわゆるC5事件で起訴された被告人らの間で被告人の占める地位は脇役的なものであつたと見られること、被告人の役割を強調したB1の米国上院における証言部分は、他の証拠によつて裏付けられておらず、必ずしも真実てあつたとはいい難いのに、本件予算委員会においては、これを前提にして被告人に対する追究が行われた嫌いがなくはないと思われること等の事情が認められ、更に偽証事件一般の量刑状況並びに被告人の健康状態及び企業経営者としての多年にわたる社会への貢献等も参酌すると、被告人に対し今直ちに実刑を科するのは酷に失すると思われ、今回は刑の執行を猶予するのが相当と考えられる。 よつて、所定刑期の範囲内て被告人を懲役一〇月に処し、刑法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、原審及び当審における訴訟費用は、刑訴法一八一条一項本文を適用して主文第四項記載のとおり被告人に負担させることとする。 (訴因の一部の無罪理由)本件公訴事実中、被告人が真実は昭和四八年七月下旬ころ、C28本社応接室において、前記C3同席のうえ、前記B1から、前記C5社の対潜哨戒機P3Cオライオンにつ とする。 (訴因の一部の無罪理由)本件公訴事実中、被告人が真実は昭和四八年七月下旬ころ、C28本社応接室において、前記C3同席のうえ、前記B1から、前記C5社の対潜哨戒機P3Cオライオンについて種々説明を受け、同航空機を日本政府に売却するについての援助を要請され、これについて右C3と協議したのに、前記衆議院予算委員会において証人として訓言するに際し、自己の記憶に反し、「B1からP3Cオライオンという言葉を聞かされたことは然ない」、「C5社あるいはC8のことでC3と話し合ったことは断じてない」旨証言し、もつて虚偽の陳述をしたという点は、前認定のとおりその前提事実を認めるに十分でない等の理由でその犯罪の証明がないことに帰するが、単純一罪の一部が認定から脱落するにすぎないから、特に主文において無罪の言渡をしない(なお、原判決において無罪とされた訴因の部分については、検察官から控訴の申立がない以上、攻撃防御の対象から除外されたと解すべきであるから、これについての判断は示さない。)。 よつて、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官海老原震一裁判官和田保裁判官杉山英巳)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る