【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告が原告に対してなした昭和五〇年二月二八日付更正及び賦課決定処分中、 本税四一
○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が原告に対してなした昭和五〇年二月二八日付更正及び賦課決定処分中、本税四一七万六四〇〇円から一六万一二〇〇円を減額した残余の部分及び過少申告加算税二〇万八八〇〇円から八一〇〇円を減額した残余の部分をいずれも取消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第二原告の請求原因一原告は、昭和四六年五月ころまでガソリンスタンドを経営していたが、同年中にガソリンスタンドの建物、敷地、構築物、営業権等一切を売却処分して廃業した。昭和四六年分の所得税について、原告のした確定申告、これに対する被告の更正及び過少申告加算税の賦課決定(以下、右更正を「本件更正」と、右過少申告加算税の賦課決定を「本件決定」という。)並びに国税不服審判所長がした審査裁決の経緯は、別表一記載のとおりである。 二しかし、被告がした本件更正(審査裁決により維持された部分。以下同じ。)は、原告の所得を過大に認定したものであるから違法であり、したがつて、また、本件更正を前提としてされた本件決定も違法である。 よつて、本件更正及び本件決定の取消を求める。 第三請求原因に対する被告の認否及び主張一請求原因に対する認否請求原因一の事実は認めるが、同二の主張は争う。 二本件更正及び本件決定の適法性原告の昭和四六年分の所得金額の内訳は別表二記載のとおりであり、その算出根拠は次のとおりである。 1 事業所得金額原告の申告額を事業所得金額と認定した。 2 譲渡所得金額(一) 収入金額等原告は、訴外株式会社遠州日石(以下「遠州日石」という。)に対し、原告所有の別表三の「物件」欄記載の物件(以下「本件譲渡物件」という。)を合計二二〇〇万 した。 2 譲渡所得金額(一) 収入金額等原告は、訴外株式会社遠州日石(以下「遠州日石」という。)に対し、原告所有の別表三の「物件」欄記載の物件(以下「本件譲渡物件」という。)を合計二二〇〇万円で昭和四六年六月三〇日及び同年七月三〇日の二回にわたり譲渡した。本件譲渡物件はいずれも昭和四二年一〇月以降に取得したものであるから、本件譲渡による所得は所得税法三三条三項一号の「資産の譲渡でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(以下「短期譲渡所得」という。)」に該当する。また、個人が昭和四五年一月一日から同五〇年一二月三一日までの間に、その所有する土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物の譲渡をした場合、租税特別措置法三二条一項(昭和三二年三月三一日法律第二六号、昭和四四年法律第一五号追加)の規定により、所得税法二二条、八九条、九一条及び一六五条の規定にかかわらず、当該譲渡に係る所得は、他の所得と区分して課税される(以下「分離課税」という。)こととなるところ、原告の右短期譲渡のうち、別表三の番号1ないし7の土地・建物及び構築物の譲渡に係る所得は、分離課税の対象となる短期譲渡による所得(以下「分離短期譲渡所得」という。)に該当し、別表三の番号8ないし10の物件の譲渡に係る所得は総合短期譲渡所得ということになる。 (二) 取得費(1) 土地(別表三の1ないし5)原告は、静岡県榛原郡<地名略>外四筆の土地一一九九・二九平方メートルを昭和四五年一二月一一日訴外Aから代金五五〇万円で取得した。そして、原告は、右土地のうち原告の業務の用に供していた別表三の1ないし5の土地五五八・四四平方メートルを遠州日石に譲渡した。したがつて、土地の取得費は所得税法三八条一項の規定により二五六万三〇〇〇円となる(550万 地のうち原告の業務の用に供していた別表三の1ないし5の土地五五八・四四平方メートルを遠州日石に譲渡した。したがつて、土地の取得費は所得税法三八条一項の規定により二五六万三〇〇〇円となる(550万×558.44m2/1199.29m2(46.6%)=2、563、000円)。 (2) 建物(別表三の6)原告は別表三の6の建物を昭和四二年一〇月二〇日新築したが、その費用は二三三万円であつた。また、右新築の日から昭和四六年六月三〇日の譲渡の日までの減価償却費は所得税法三八条二項一号の規定により一二万七七三〇円と算定される。よつて、右建物の取得費は所得税法三八条二項の規定により二二〇万二二七〇円となる。 (3) 構築物(別表三の7)原告は別表三の7の構築物を昭和四二年一〇月二〇日に三〇万円で取得した。また、右取得の日から昭和四六年六月三〇日の譲渡の日までの減価償却費は、所得税法三八条二項一号の規定により六万七二七五円と算定される。よつて、右構築物の取得費は所得税法三八条二項により二三万二七二五円となる。 (4) ガソリンスタンド設備(別表三の8)原告は別表三の8のガソリンスタンド設備を昭和四二年一〇月二〇日に三九〇万七九八〇円で取得した。また、右取得の日から昭和四六年六月三〇日の譲渡の日までの減価償却費は、所得税法三八条二項一号の規定により一二六万三二二円と算定される。よつて、右ガソリンスタンド設備の取得費は、所得税法三八条二項の規定により二六四万七六五八円となる。 (5) 什器備品(別表三の9)原告は別表三の9の什器備品を昭和四二年一〇月二〇日に三八万二〇円で取得した。また、右取得の日から昭和四六年六月三〇日の譲渡の日までの減価償却費は、所得税法三八条二項一号の規定により一三万八八九円と算定される。よつて、右什器備品の取得費は所得税法三八 八万二〇円で取得した。また、右取得の日から昭和四六年六月三〇日の譲渡の日までの減価償却費は、所得税法三八条二項一号の規定により一三万八八九円と算定される。よつて、右什器備品の取得費は所得税法三八条二項の規定により二四万九一三一円となる。 (6) 営業権(別表三の10)右営業権は原告が他から有償で取得したものではなく、原告自身が昭和四二年一〇月ガソリンスタンドを新たに開業して以来原告の企業努力により逐次発生したものであるから、取得費は零である。 (三) 譲渡費用(1) 家屋取壊し及び移転費用原告は本件譲渡に際して、本件譲渡物件である土地の上に存した家屋の取壊しを行ない、そのために取壊し及び移転費用として一六万円を支払つたが、これは所得税法三三条三項の規定の譲渡費用に該当する。 (2) 登記費用原告は遠州日石との間で、本件譲渡に係る登記費用を各自半分ずつ負担する旨約し、遠州日石は登記費用として一五万一〇四〇円を負担したので、原告の負担した登記費用も一五万一〇四〇円と認定した。右登記費用は所得税法三三条三項の規定の譲渡費用に該当する。 (四) 分離短期譲渡所得金額別表三の1ないし7の物件について、収入金額の合計は一九四五万一三四八円、取得費の合計は四九九万七九九五円である。また、譲渡費用の合計は三一万一〇四〇円であるところ、右金額は本件譲渡全体に対する譲渡費用であるので、分離短期譲渡所得の部分については、311、040円×19、451、348円(分離短期譲渡所得の収入金額)/22、000、000円(総収入金額)=275、022円が譲渡費用である。よつて、分離短期譲渡所得金額は租税特別措置法三二条一項の規定により一四一七万八三三一円となる。 (五) 総合短期譲渡所得金額総合短期譲渡所得の対象となる譲渡物件は、分離短期譲渡所得の対象となる別 。よつて、分離短期譲渡所得金額は租税特別措置法三二条一項の規定により一四一七万八三三一円となる。 (五) 総合短期譲渡所得金額総合短期譲渡所得の対象となる譲渡物件は、分離短期譲渡所得の対象となる別表三の1ないし7を除く別表三の8ないし10の物件である。別表三の8ないし10の物件の譲渡による収入額は二五四万八六五二円、取得費の合計は二八九万六七八九円、譲渡費用は三万六〇一八円(全体の譲渡費用から分離短期譲渡所得の譲渡費用を差引いたもの)であるから、総合短期譲渡所得金額は所得税法三三条三項の規定によりマイナス三八万四一五五円となる。 3 所得控除額別表二記載のとおりである。 4 課税される所得金額 1 の事業所得金額と2の短期譲渡所得金額との合計額から、3の所得控除額を控除した金額である。 以上のとおり原告の昭和四六年分の課税される所得金額は一一一九一万一〇〇〇円であるから、その範囲でなされた本件更正及びこれを前提とする本件決定に違法はない。 第四被告の主張に対する原告の認否及び反論一事業所得について原告の昭和四六年分の事業所得は、原告の申告額のほかに、申告遺脱分としてBに対する油等の売掛金の貸倒金一三一万三九七三円を必要経費として計上すべきである。 二譲渡所得についてl 収入金額等については被告の主張を認める。 2 鬼得費については被告主張の金額のほか、原告が別表三の1ないし5の土地購入の際のBの尽力に対する謝礼として同人に支払う旨約束し現金の支払に代えて同人の他からの債務の弁済に充てた一〇〇万円を、分離短期譲渡所得算出の際の取得費として計上すべきである。 3 譲渡費用については被告主張第三の二の2の(三)の(1)の家屋取壊し及び移転費用と(2)の登記費用については被告の主張を認めるが、そのほかに次の費用を譲渡費用として計上すべ て計上すべきである。 3 譲渡費用については被告主張第三の二の2の(三)の(1)の家屋取壊し及び移転費用と(2)の登記費用については被告の主張を認めるが、そのほかに次の費用を譲渡費用として計上すべきである。 (一) 私有道路建設費用別表三の3ないし5の土地の売却に際し遠州日石のために私有道路を設置する特約を結んだので、原告は右特約に基づき私有道路を設置したが、その費用として二二四万六二六〇円を支出した。右金額は分離短期譲渡所得算出の際の譲渡費用として計上すべきものである。 (二) 本件譲渡物件売却の仲介手数料原告がBに対し、本件譲渡物件の売却の仲介手数料として支払う旨約し、現金の支払に代えて同人の他からの弁済に充てた七七八万六〇六二円(土地取得の際の謝礼と右売却手数料の合計八七八万六〇六二円の支払先、支払金額、支払日は別表四のとおり)は、本件譲渡物件の譲渡に要した費用であるから、右金額は分離短期譲渡所得及び総合短期譲渡所得算出の際の譲渡費用として計上すべきものである。 三所得控除額については被告の主張を認める。 第五原告の反論に対する被告の認否及び再反論一 Bに対する油等の売掛金の貸倒金について右売掛金が貸倒金であるとの事実は、所得税法五一条二項の規定により定められている貸倒金の必要経費算入の要件が欠けているから、これを否認する。 二 Bに対する土地購入の際の謝礼について 1 原告主張の謝礼の支払事実は否認する。 2 仮に原告がBに対し一〇〇万円を支払つたとしても、右金員は原告が別表三の1ないし5の土地を買受けるに先立ち、右土地にAの債務の担保として設定されていた根抵当権設定登記の抹消登記手続や、右土地を取得するための資金調達にBが尽力したことに対する謝礼であつて、これは右土地を取得するために直接必要とした費用に当たらないばかりか、お として設定されていた根抵当権設定登記の抹消登記手続や、右土地を取得するための資金調達にBが尽力したことに対する謝礼であつて、これは右土地を取得するために直接必要とした費用に当たらないばかりか、およそ取得のための費用ともいいえない性質のものであるから、取得費に算入すべきではない。 三私有道路建設費用について原告と遠州日石との別表三の3ないし5の土地の売買契約において私有道路の建設が付帯して約されていたとしても、右売買契約の履行は私有道路の建設とは無関係になされたものであり、右売買契約後になされた私有道路の建設は原告の住居の改築の際、その付帯工事としてなされたものであるから、私有道路建設費用は右土地の譲渡費用ということはできない。 仮に私有道路建設費用が譲渡費用に当たるとしても、その金額は遠州日石が右土地代金の支払を私有道路建設の担保として留保した一〇〇万円とするのが相当である。 四 Bに対する本件譲渡物件売却の仲介手数料について 1 原告とBとは、本件譲渡物件売却の仲介契約も、仲介に対する報酬契約もしたことはない。 2 Bは本件譲渡物件売却の代金の一部の融資を受けることを目的として右売却に関与したものであるが、右関与は売却の仲介行為といえるものではない。 3 原告によるBの債務の支払事実について別表四の番号19、20、21、23、25、26、27、28、30、32、36、37、38、41、72の、合計七九万八七三九円については、別表四記載のBの各債権者に対する支払事実を認める。別表四の番号1、2、6、7、13、17、22、35、39、40、42、43、44、45、46、67、68、70(但し手形番号〇〇三四三額面一〇万円のみ)の合計一八二万一三五〇円については、原告の取引金融機関で決済された手形、小切手であることは認めるが、別表四記載 、43、44、45、46、67、68、70(但し手形番号〇〇三四三額面一〇万円のみ)の合計一八二万一三五〇円については、原告の取引金融機関で決済された手形、小切手であることは認めるが、別表四記載のBの各債権者に対する支払である点は争う。これらは原告自身の債務である可能性もあり(別表四の番号44が一例)、また、Bが自ら支払つた債務である可能性もある。別表四の番号3、4、5、8、9、10、11、12、14、15、16、18、24、29、31、33、34、47、48、58、59、60、61、62、63、64、65、66、69、70(手形番号〇〇三四三を除く)、71の合計三四七万五〇〇〇円については、原告の取引金融機関で決済されていないから、別表四記載のBの各債権者に対する支払事実は否認する。その余のものについても支払事実を争う。 4 仮にBが本件譲渡物件の売却に関与したことに対して認容される仲介手数料が存在するとしても、それは宅地建物取引業法に定められている報酬額算定基準を適用して算出された七二万円にとどまるものである。 第六証拠関係(省略)○ 理由一請求原因一の事実については、当事者間に争いがない。 二原告は、本件更正のうち所得金額が原告の確定申告に係る金額を超える部分は被告の過大認定であり、したがつて、また、本件更正を前提としてされた本件決定も違法である旨主張するので、以下この点についで判断する。 1 事業所得原告は、申告額のほかBに売却した油等の代金合計一三一万三九七三円の売掛金(以下単に「売掛金」という。)を貸倒金として昭和四六年分の必要経費に算入すべきであると主張するので検討する。原告本人尋問の結果及びこれにより真正に成立したと認められる甲第一〇号証の一ないし三二によれば、原告は昭和四五年二月から昭和四六年六月までの間にB 必要経費に算入すべきであると主張するので検討する。原告本人尋問の結果及びこれにより真正に成立したと認められる甲第一〇号証の一ないし三二によれば、原告は昭和四五年二月から昭和四六年六月までの間にBに対し合計一三一万三九七三円相当のガソリン、軽油等を売却したこと、右売上金は原告が売却の都度帳簿に記載したこと、原告はBに対し毎月一度、当月分の売却代金の請求書を送付したことが認められる。ところで、貸倒金を必要経費として計上するためには、当該年度中に債務者の事業閉鎖、行方不明など客観的に見て確実に回収不能と認めるほかはない事態が存したか、或いは債権者が回収困難と判断して債権を放棄した事実が存したことを要すると解すべきところ、証人Bの証言、原告本人尋問の結果によれば、Bは昭和四六年半ばころ、それまで営んでいた砂利運搬業が倒産したため他の債権者から差押を受けたこと、資産状態が相当悪化していたことが認められるものの、右売掛金の回収が確実に不可能な状態であつたと認めるに足りる証拠はなく、また、原告本人尋問の結果によれば、原告は昭和四七年三月一五日の確定申告時においてBが将来事業を立て直して右売掛金を弁済するであろうとの予想のもとに右売掛金を貸倒金として申告しなかつたものであることが認められるから、原告は昭和四六年中に右売掛金を回収不能と判断して放棄した事実はないことが認められる。したがつて、右売掛金は昭和四六年の貸倒金として必要経費に算入されるべきではない。 よつて、事業所得金額は当初の原告申告額でかつ被告主張の金額であるマイナス一六四万三六〇〇円と認めるのが相当である。 2 譲渡所得譲渡所得のうち別表二の一、二の備考欄(一)ないし(六)記載の収入金額、取得費、譲渡費用の内訳及び金額並びにその算出根拠については、当事者間に争いがない。そこで、その余の 相当である。 2 譲渡所得譲渡所得のうち別表二の一、二の備考欄(一)ないし(六)記載の収入金額、取得費、譲渡費用の内訳及び金額並びにその算出根拠については、当事者間に争いがない。そこで、その余の取得費及び譲渡費用について検討する。 (一) Bに対する土地購入の際の謝礼の取得費算入について原告は別表三の1ないし5の土地をAから買受けるに際し、Bの尽力に対して謝礼一〇〇万円を支払つたから、右金額を右土地の取得費として算入すべきであると主張するので、検討する。 成立に争いのない乙第五号証の一、証人Bの証言により真正に成立したと認められる乙第一一号証、証人Bの証言、原告本人尋問の結果によれば、昭和四五年一二月ころBは原告の依頼を受けて、原告がガソリンスタンド経営のため実弟のAから賃借していた土地を買受けるに際し、Aの経営する大塚鉄工所が設定していた右土地を目的とする抵当権を消滅させ、また、島田信用金庫(初倉支店)から原告が右土地の購入資金を借受けることに尽力したことが認められるものの、原告がBに対し右土地の取得の仲介行為を依頼し、報酬を支払う旨約したと認めるに足りる証拠はなく、また、証人Cの証言により真正に成立したと認められる乙第九号証によれば、Bが原告と共にAに対し右土地を原告に売却してくれるよう依頼に赴いたが、Bの右行為は原告にとつてかえつて不利益に作用したことが認められるから、Bの右行為をもつて右土地購入の仲介行為と評することは困難であり、したがつて、原告とBとの間には土地購入の仲介及び報酬契約はなかつたと認めるのが相当である。したがつて、仮に原告がBの債務の代払いとして、昭和四五年一二月大石幸男に五三万円・同年一〇月三〇日池ヶ谷金太郎に三〇万円を支払つた事実があるとしても、それはBの抵当権消滅や資金借入の際の尽力に対する謝礼というべき 原告がBの債務の代払いとして、昭和四五年一二月大石幸男に五三万円・同年一〇月三〇日池ヶ谷金太郎に三〇万円を支払つた事実があるとしても、それはBの抵当権消滅や資金借入の際の尽力に対する謝礼というべきものであつて、右土地取得のために要した費用というべきものではない。 よつて、Bに対する土地購入の際の謝礼を取得費に算入するのは相当ではない。 (二) 私有道路建設費用の譲渡費用算入について成立に争いのない甲第七号証の一、乙第四号証、乙第五号証の三ないし五、原本の存在・成立ともに争いのない甲第七号証の二、証人Dの証言、原告本人尋問の結果によれば、原告は昭和四六年七月二七日遠州日石に対し原告所有の別表三の3ないし5の土地を代金六〇〇万円で売却する契約を締結したが、その際、原告所有の静岡県榛原郡<地名略>の土地に私有道路を建設して、県道から別表三の3の土地(この土地は昭和四六年八月一一日分筆前は榛原郡<地名略>であつた。)に出入する車輌等の通行のため遠州日石に無償で使用させる旨の特約を結んで、その旨記載した覚書を作成し(甲第七号証の二)、昭和五〇年春ころ<地名略>の土地上にあつた原告の居宅を県道から奥の方向に数メートル移動させ、右土地上に幅員四メートルの私有道路を建設し、同年八月一三日遠州日石に対し右私有道路を無償で使用させる旨の契約をしたことが認められる。以上の事実によれば、私有道路の建設は別表三の3ないし5の土地の売買契約成立に不可欠の特約であつたものと解されるから、この特約に基づいてなされた私有道路の建設に要した費用は別表三の3ないし5の土地の譲渡に直接要した費用であるものと認められる。次にその金額について検討すると、原告は私有道路建設費用として二二四万六二六〇円を支出したと主張し、原告本人尋問の結果真正に成立したと認められる甲第八号証の二ない 接要した費用であるものと認められる。次にその金額について検討すると、原告は私有道路建設費用として二二四万六二六〇円を支出したと主張し、原告本人尋問の結果真正に成立したと認められる甲第八号証の二ないし一九によれば、原告は昭和五〇年四月以降大杉組等に対し工事費として合計二二七万二二五〇円を支払つたことが認められるが、原告本人尋問の結果真正に成立したと認められる甲第九号証の一ないし一九によれば、右工事費の中には原告の居宅の移動と私有道路建設工事費のほかに原告の居宅の内部改装工事等の費用もかなり含まれていることが認められるから、原告主張の二二四万六二六〇円の全部を私有道路建設費用と認めることはできない。ところで、成立に争いのない乙第六号証の九、証人Dの証言、原告本人尋問の結果によれば、原告と遠州日石とは別表三の3ないし5の土地の売買契約に際し、遠州日石が私有道路の建設を担保する目的で売買代金中一〇〇万円の支払をその完成まで留保し、私有道路が建設されない場合には原告は右一〇〇万円の請求権を放棄する旨の合意をしたこと、昭和五〇年八月に私有道路が完成してその無償使用契約が締結された際、遠州日石は留保していた前記土地代金未払分一〇〇万円を原告に支払つたことが認められるから、原告と遠州日石とは右土地の売買契約当時、私有道路建設費を一〇〇万円と見積つていたものと解するのが相当である。なお、前掲甲第七号証の一によれば、昭和五〇年八月私有道路使用契約に際し、原告は将来私有道路を廃棄し新たな私有道路を建設しない時は遠州日石に対し一〇〇万円を支払う旨約したことが認められ、これによれば、昭和五〇年八月の本件私有道路完成後において、原告は住居の移動を伴なわない私有道路建設の工事費として一〇〇万円を相当としていたことが認められるから、昭和四六年から同五〇年の物価上昇 、これによれば、昭和五〇年八月の本件私有道路完成後において、原告は住居の移動を伴なわない私有道路建設の工事費として一〇〇万円を相当としていたことが認められるから、昭和四六年から同五〇年の物価上昇率を考慮すると、原告は昭和四六年の右土地の売買契約時においては、住居の移動工事を伴なう私有道路建設工事費として一〇〇万円を相当と見積つていたことが窺われるのである。更に、原告が右私有道路建設のための工事費として実際一〇〇万円を超える額を支出したとしても、それは土地売買契約後原告が直ちに工事に着手しなかつたため物価が上昇した等の事情にもよるものと考えられ、原告の工事着手の遅延に基づく費用の増大分を譲渡費用に算入するのは相当ではないから、右超過分を譲渡費用と認めることはできない。以上により、右土地の譲渡に直接要した費用と認められる私有道路建設費の金額は、昭和四六年七月の売買契約時の見積額である一〇〇万円と解するのが相当である。 よつて、別表二の二の分離短期譲渡所得金額のうち、(六)の譲渡費用の金額に右一〇〇万円を加算すべきである。 (三) Bに対する本件譲渡物件売却の仲介手数料の譲渡費用算入について前掲乙第一一号証、証人D、同Bの各証言、原告本人尋問の結果によれば、昭和四六年六、七月ころ、Bは原告の依頼により本件譲渡物件売却に尽力し、遠州日石と交渉を重ね、その結果当時の時価である総額二二〇〇万円で本件譲渡物件を売却することができたことが認められる。また、右の各証拠によれば、原告はBの多数の債権者に対する多額の債務を原告の資金で弁済したことが認められ、原告主張の弁済金八七八万六〇六二円(仲介手数料のみとしては七七八万六〇六二円)のうち別表四の番号19、20、21、23、25、26、27、28、30、32、36、37、38、41、72の合計七九万八七三 の弁済金八七八万六〇六二円(仲介手数料のみとしては七七八万六〇六二円)のうち別表四の番号19、20、21、23、25、26、27、28、30、32、36、37、38、41、72の合計七九万八七三九円については、原告が弁済したBの債務であることが当事者間に争いがない。しかしながら、前掲乙第一一号証、証人Bの証言によれば、原告は本件譲渡物件の売却をBに依頼するに際し、同人に対し仲介手数料を支払う旨明示的に約束したことはなく、また、仲介手数料の支払に代えてBの債務を弁済する旨述べたこともなく、ただ、本件譲渡物件を売却することができた時に余裕があれば売却代金の一部を同人に融資すると約束したにすぎないことが認められ、これに反する原告本人尋問の結果は信用できない。したがつて、原告とBとの間では、仲介手数料に関する合意は明示的になされなかつたと認めるほかはない。しかしながら、前掲乙第一一号証、証人Bの証言、原告本人尋問の結果によれば、原告がBの債務を弁済した動機の中には、Bの本件譲渡物件の売却の際の尽力に対する謝礼の趣旨も含まれており、Bも自己の債務の弁済をしてもらうことについて同様の認識を有していたことが窺われること、原告はBの債務を弁済したほかにはBに対し結局売却代金の一部を融資した事実はないことが認められる。以上の事実を総合すれば、原告とBとの間には、Bの債務の弁済額中の相当額については仲介手数料に代わるものであるとする旨の黙示的な合意が存在していたものと解するのが相当である。そこで仲介手数料相当額について検討すると、宅地建物取引業法には仲介手数料につき、同法に基づく免許を有する者は建設大臣が定めて告示した額を超える報酬を受けてはならない旨定められているのであるから、同法に基づく免許を有しないBが(同人の証言により同人が免許を有しないこと につき、同法に基づく免許を有する者は建設大臣が定めて告示した額を超える報酬を受けてはならない旨定められているのであるから、同法に基づく免許を有しないBが(同人の証言により同人が免許を有しないことが認められる)受けるべき報酬としては、右告示の額を限度として認めるのが相当と解されるところ、本件譲渡物件の売買価額二二〇〇万円について右告示に基づき報酬額を計算すると、それは七二万円となるから、右金額を仲介手数料と認めるのが合理的である。 以上によれば、別表二の一の(2)の総合短期譲渡所得の(三)譲渡費用については、前記七二万円のうち、72万円×2、548、652円(総合短期譲渡所得の収入金額)/22、000、000円(総収入金額)=83、410円を加算すべきであり、別表二の二の分離短期譲渡所得の(六)譲渡費用については、72万円×19、451、348円(分離短期譲渡所得の収入金額)/22、000、000円(総収入金額)=636、590円を加算すべきである。 そうすると、総合短期譲渡所得については、譲渡費用は被告主張額三万六〇一八円にBに対する仲介手数料八万三四一〇円を加算した一一万九四二八円となるから、総合短期譲渡所得金額はマイナス四六万七五六五円となり、分離短期譲渡所得については、譲渡費用は被告主張額二七万五〇二二円に私有道路建設費用一〇〇万円とBに対する仲介手数料六三万六五九〇円を加算した一九一万一六一二円となるから、分離譲渡所得金額は一二五四万一七四一円となる。 3 以上のとおりであるから、別表五のとおり総所得金額は事業所得金額マイナス一六四万三六〇〇円に総合短期譲渡所得金額マイナス四六万七五六五円を加算した金額マイナス二一一万一一六五円となり、分離短期譲渡所得金額は一二五四万一七四一円であるから、課税される所得金額は、-2、111、 万三六〇〇円に総合短期譲渡所得金額マイナス四六万七五六五円を加算した金額マイナス二一一万一一六五円となり、分離短期譲渡所得金額は一二五四万一七四一円であるから、課税される所得金額は、-2、111、165円(総所得金額)+12、541、741円(分離短期譲渡所得金額)-238、995円(所得控除額)=10、191、000円(千円未満切捨)となる。 そうすると、課税される所得金額についての裁判所の右認定額は、国税不服審判所の審査裁決における認定額一〇〇三万八〇〇〇円を上まわることになるから、本件更正に違法はなく、右を前提としてされた本件決定にも違法はないというべきである。 三してみると、本件課税処分には原告主張の違法はない。よつて、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官松岡登紙浦健二稲葉耶季)別表三、四(省略)(注)右表のΔ印は、赤字の数額を意味する。
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