平成12(行コ)8 仮換地指定処分取消請求控訴事件(原審・福井地方裁判所平成7年(行ウ)第4号)

裁判年月日・裁判所
平成13年2月5日 名古屋高等裁判所 金沢支部 公用負担・公用収用など
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判決文本文3,785 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人ら(1) 原判決を取り消す。 (2) 被控訴人が,控訴人Aに対し,平成6年5月20日付けでした原判決別紙物件目録(一)ないし(五)記載の各土地についての仮換地指定処分を取り消す。 (3) 被控訴人が,控訴人Bに対し,平成6年5月20日付けでした原判決別紙物件目録(六)記載の土地についての仮換地指定処分を取り消す。 (4) 被控訴人が,控訴人Cに対し,平成6年5月20日付けでした原判決別紙物件目録(七)記載の土地についての仮換地指定処分を取り消す。 (5) 被控訴人が,控訴人Dに対し,平成6年5月20日付けでした原判決別紙物件目録(八)及び(九)記載の各土地についての仮換地指定処分を取り消す。 (6) 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2 被控訴人主文同旨第2 事案の概要 1 本件は,土地区画整理事業の施行者である被控訴人が同事業の施行地区内に土地を所有していた控訴人らに対して,平成6年5月20付けで行った仮換地指定処分(控訴人Aの所有する原判決別紙物件目録(一)ないし(五)の各土地〈以下同目録記載の土地をその番号に従い「土地(一)」,「土地(二)」という。〉に対して土地(一〇)を,控訴人Bの所有する土地(六)に対して土地(一一)を,控訴人Cの所有する土地(七)に対して土地(一二)を,控訴人Dの所有する土地(八)及び土地(九)に対して土地(一三)を,それぞれ指定した処分。以下,これらの各処分を併せて「本件処分」という。)について,控訴人らが被控訴人に対して,同処分には事業計画等の公告の手続的瑕疵及び照応の原則違反等の違法があるとして,その取消しを求めた事案である。 2 原審は,本件処分に違法 「本件処分」という。)について,控訴人らが被控訴人に対して,同処分には事業計画等の公告の手続的瑕疵及び照応の原則違反等の違法があるとして,その取消しを求めた事案である。 2 原審は,本件処分に違法は認められないとして,控訴人らの請求をいずれも棄却した。そこで,これに不服のある控訴人ら(原審原告ら)が,本件控訴に及んだ。 3 当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨によって認められる事実並びに争点及び争点に関する当事者双方の主張は,次のとおり控訴人らの当審における補充主張を付加するほかは,原判決「第二事案の概要」の一及び二に記載のとおりであるから,これらを引用する。但し,原判決11頁末行と17頁3行目の「分筆」を「分割」と改める。 (控訴人らの新たな主張)(1) 福井都市計画事業北部第七土地区画施行規程(以下「規程」という。)18条3項違反規程18条3項は,権利者が地積更正の申請をしない場合でも,施行者が基準地積(登記地積)が明らかに事実と相違すると認める宅地及び特に地積について実測する必要があると認める宅地については,その宅地の所有者及び宅地に隣接する土地所有者の立会を求めて,その宅地を実測してその基準地積を更正することができる,と定めている。 然るところ,控訴人Aの所有する土地(一)ないし(五)の各土地は,登記地積と現況が異なるうえ,南側隣接地との境界もあいまいで,その隣接地との間にある筈の国有地が両土地に取り込まれて存在が確認できないなど,地積の問題のみならず,極めて問題の多い土地であることが明らかである。したがって,かかる宅地こそ,規程18条3項の「基準地積が明らかに事実に相違すると認める土地」であり,かつ,「特に地積について実測する必要がある土地」に該当するというべきである。それにもかかわらず,被控訴人は,これを怠り そ,規程18条3項の「基準地積が明らかに事実に相違すると認める土地」であり,かつ,「特に地積について実測する必要がある土地」に該当するというべきである。それにもかかわらず,被控訴人は,これを怠り,漫然と規程18条4項によって対処したものであり,違法を免れない。 (2) 国有地の時効取得控訴人Aは,昭和42年2月22日に土地(一)ないし(五)の各土地を前主Eから贈与されて所有権を取得して以降,同土地及びその南側に存在していた公共用財産としての形態・機能を全く喪失した国有地(農道)40.78平方メートルのうち27.10平方メートルを一体として,所有の意思を持って占有を開始し,その占有は,現在に至るまで継続している。 以上により控訴人Aは,上記占有に係る国有地を占有開始後10年を経過した昭和52年2月21日に時効取得したので,平成12年7月10日の本件口頭弁論期日において,上記取得時効を援用するとの意思表示をした。 被控訴人は,本件土地区画整理事業の遂行の過程で土地(一)ないし(五)の各土地及びその周辺土地の公図その他の資料を調査している筈であるから,前記国有地が取得時効により控訴人Aの所有に帰している可能性を充分予測し,考慮すべきであったのに,これを看過し,何ら対応をしなかったことは,施行者としての義務を怠ったものであり,違法というべきである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件処分に違法はないとして控訴人らの請求をいずれも棄却すべきであると判断するが,その理由は,次のとおり原判決を削除・訂正し,控訴人らの当審における補充主張に対する判断を示すほかは,原判決「第三争点に対する判断」の一ないし四に記載のとおりであるから,これを引用する。当審で新たに取り調べた証拠(甲47ないし50,乙24ないし27)を加えて検討しても,同認定 判断を示すほかは,原判決「第三争点に対する判断」の一ないし四に記載のとおりであるから,これを引用する。当審で新たに取り調べた証拠(甲47ないし50,乙24ないし27)を加えて検討しても,同認定・判断を左右しない。 (1) 原判決25頁4行目から26頁初行目までを,次のとおり改める。 「そして,施行規則4条の4及び同条の5にいう「所定の手段」とは,その趣旨から官報や公報などと同じく,広く世に公表する方法として公的に定められている手段と解すべきところ,証拠(乙3の1,2,乙4,弁論の全趣旨)によれば,本件においては,施行者が地方公共団体である福井市であることから,被控訴人は,地方自治法16条の規程により福井市が条例,規則,規程並びに市長の告示などを公表する方法として制定した公告式条例及び同規則に基づき,その定めるところに従って所定の事項を公告したことが認められる。 これによれば,被控訴人がした公告は,福井市が条例と規則により一般に広く公表する方法として定めた手段に基づくものであり,施行規則4条の4及び同条の5の要件を充足するものということができる。」(2) 原判決37頁4行目の「分筆」を「分割」と改める。 (3) 原判決40頁10行目から41頁初行目の「ところ,」までを削除する。 (4) 控訴人らの当審における補充主張に対する判断① 規程18条3項違反の主張について控訴人らは,被控訴人は土地(一)ないし(五)の各土地を規程18条3項により実測すべき義務があったと主張するが,規程18条3項は,「施行者は(中略)必要があると認める宅地については(中略)実測してその基準地積を更正することができる。」と定めているにすぎず、実測するか否かは施行者の裁量に委ねられていると解されるから,土地(一)ないし(五)の各土地を被控訴人が実測をしなかったと 中略)実測してその基準地積を更正することができる。」と定めているにすぎず、実測するか否かは施行者の裁量に委ねられていると解されるから,土地(一)ないし(五)の各土地を被控訴人が実測をしなかったとしても,それが直ちに違法となるものではない。 ② 国有地の時効取得の主張について控訴人Aは,国有地を時効取得していたと主張するが,同控訴人が取得時効を援用したのは本件処分の後である平成12年7月10日であり,しかも援用の相手方は国ではなく被控訴人であることは,当裁判所に顕著である。したがって,同控訴人の時効援用は,援用の相手方となるべき者に対するものではなく,その効力を有するものでない。また,行政処分の違法性は,その処分時を基準として判断すべきものであるから,本件処分後の時効取得の援用によって,本件処分が遡って違法になる理由はなく,いずれにしても,同控訴人の時効取得の主張は失当である。 控訴人Aは,同控訴人が国有地を時効取得している可能性を被控訴人は予測し考慮すべきであったと主張するが,仮に施行者において時効取得の成立を予測することが可能であれば,後の紛争を防止するためも処分前に何らかの措置を講じることが望ましいということはできるが,そうした配慮をしなかったとしても,そのこと故に本件処分が違法となるものではない。したがって,この点の主張も採用できない。 2 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所金沢支部第1部裁判長裁判官川崎和夫裁判官本多俊雄裁判官榊原信次

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