主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人二瓶茂、同石田道明の上告趣意のうち、死刑制度に関する刑法(平成七年法律第九一号による改正前のもの)九条、一一条、二四〇条後段の各規定の違憲をいう点は、右各規定が定める死刑制度及びその執行方法が憲法前文、一三条、一四条、三一条、三六条に違反しないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一頁、最高裁昭和二六年(れ)第二五一八号同三〇年四月六日大法廷判決・刑集九巻四号六六三頁)の趣旨とするところであるから、所論は理由がなく、その余は、違憲をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。 所論にかんがみ記録を調査しても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない(本件犯行当時、被告人が心神喪失又は心神耗弱の状態になかったとした原判決の判断は、正当として是認することができる。また、本件は、銀行強盗等をするには警察官からけん銃を奪うしかないと考え、自宅近くの派出所に狙いを定め、あらかじめ偵察用のレンタカーを借り受け、双眼鏡を購入し、警察官殺害の凶器としてサバイバルナイフ、血を拭き取るためのタオル、指紋を残さないための軍手を用意するなど周到な準備をした上、人通りの少なくなった深夜に現場に赴き、レンタカー内から双眼鏡で偵察するなどした後、勤務中の警察官の背後からいきなり襲いかかり、所携のサバイバルナイフでその背部、胸部を連続して突き刺し、急を知って駆けつけた相勤の警察官の胸部等をも数回突き刺してけん銃を奪おうとしたが、警察官らが抵抗したためけん銃強取の目的は遂げなかったものの、右警察官両名をいずれも殺害したという事案であって、罪質は極めて悪質 けつけた相勤の警察官の胸部等をも数回突き刺してけん銃を奪おうとしたが、警察官らが抵抗したためけん銃強取の目的は遂げなかったものの、右警察官両名をいずれも殺害したという事案であって、罪質は極めて悪質であり、動機に酌量の余- 1 -地はなく、計画的な犯行で、その態様も執ようかつ残虐であり、結果も極めて重大であることなどに照らすと、被告人の生育歴、犯行時の年齢、前科・前歴のないことなど、被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても、被告人の罪責は誠に重く、原判決が維持した第一審判決の死刑の科刑は、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。)。 よって、同法四一四条、三九六条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 検察官松尾邦弘公判出席平成一〇年九月一七日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官井嶋一友裁判官小野幹雄裁判官遠藤光男裁判官藤井正雄裁判官大出峻郎- 2 -
▼ クリックして全文を表示