令和5(わ)1057 殺人被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年4月26日 横浜地方裁判所
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判決文本文1,398 文字)

令和6年4月26日宣告令和5年(わ)第1057号殺人被告事件主文被告人を懲役8年に処する。 未決勾留日数中180日をその刑に算入する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和5年7月23日午前7時40分頃、神奈川県横須賀市(住所省略)先路上に停車中の自動車内及びその直近において、長男であるA(当時49歳)を殺害しようと決意し、その頸部をロープで絞め付け、よって、同日午前8時59分頃、同市(住所省略)B病院において、同人を頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害した。 (量刑の理由)犯行態様は、無抵抗の被害者の首をロープで絞め続けたものであり、被害者を確実に殺害しようという強い殺意が認められ、悪質である。 そして、本件犯行に至る経緯は、次のとおりであったと認められる。 被告人は、令和5年7月4日、熊本で暮らしていた被害者の妻から、被害者がうつ病にり患し、借金があること、離婚を考えていること等の連絡を受け、熊本に向かった。被告人は、被害者の借金を返済するなど身辺整理をした上で被害者を横須賀市内の被告人方に連れ帰ろうとしたが、被害者は、行方不明になったり、暴れたりするなどした。被告人は、同月16日から被害者と被告人方で同居し始めたものの、被害者との会話はなく、被害者の動静を不安に感じ外出できずにいた。このような状況下で、被告人は、市役所や病院などの関係機関に相談するなどしていたものの、被害者との生活に思い悩み、将来への経済的な不安感を抱いて、被害者を殺して自殺する、被害者を殺して自首するなどという考えをメモに書いては破るなど していたが、犯行当日、被告人は、犯行現場において、被害者に対し「頑張ってほしい。」などと言ったものの、被害者が「熊本に帰りたい。」と返 殺して自首するなどという考えをメモに書いては破るなど していたが、犯行当日、被告人は、犯行現場において、被害者に対し「頑張ってほしい。」などと言ったものの、被害者が「熊本に帰りたい。」と返答したことにより、これ以上の回復は期待できないと考え、犯行に及んだ。 被告人が、親としての強い責任感から被害者を引き取り、関係機関に相談するなどし、自殺を考えるほど被害者との生活に思い悩んでいた点には同情の余地があると言えるものの、実際には、周囲の協力や関係機関の適切な支援を受けられる見込みがあり、経済的にも切迫してはいない状況であったにもかかわらず、被告人は、同居してから僅か7日で、被害者の病状がよくなることはなく、経済的にも生活していくことは難しいと決めつけ、他の人には迷惑をかけられないので殺すしかないと思い込み、犯行に及んだ。このような被告人の犯行に至る意思決定は、余りに早計かつ独善的であると言わざるを得ず、相応の非難は免れない。 そうすると、本件は、同種事案(殺人、単独犯、動機:その他の家族関係、処断罪と同一又は同種の罪の件数:1件、被告人から見た被害者の立場:子)の量刑傾向の中で重い部類には当たらないが、酌量減軽をするような軽い事案にも当たらない。 その上で、被告人が反省していることなどの事情も考慮し、被告人を主文の刑に処するのが相当と判断した。 (求刑懲役10年)令和6年4月26日横浜地方裁判所第5刑事部裁判長裁判官中山大行 裁判官菅野裕希 裁判官安藤幸歩

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