主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告ら(1) 被告岡山県知事は,同チボリ・ジャパン株式会社(以下「被告会社」という。)に対し,別紙1物件目録記載の建物等(以下「本件建物等」という。)を使用させてはならない。 (2) 被告甲及び被告会社は,岡山県に対し,各自2億2950万円及びこれに対する平成9年10月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被告甲及び被告会社は,岡山県に対し,平成9年10月1日から(1)項の使用停止までの間,各自1か月7650万円の割合による金員を支払え。 (4) 訴訟費用は被告らの負担とする。 (5) (2)項及び(3)項につき仮執行宣言 2 被告ら(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。 (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。 (3) 仮執行宣言を付するときは,担保を条件とする仮執行免脱宣言第2 事案の概要本件は,岡山県の住民である原告らが,被告岡山県知事が岡山県所有の本件建物等を被告会社に無償で貸し付けたことが地方自治法(以下「法」という。)244条の2第3項に反する公の施設の管理委託となるし,普通財産の貸付であるとしても岡山県条例や法237条2項に反し,さらに,法232条の2の「寄附又は補助」に当たるが,被告会社の事業には公益性がないから違法であるとして,被告岡山県知事に対して本件建物等の貸付の差止を,岡山県知事である被告甲及び被告会社に対して適正賃料相当額の賠償(附帯請求は訴状送達の日の翌日である平成9年10月25日から民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払請求。)及び本件建物等の使用停止までの間の適正賃料相当の損害金の連帯支払をそれぞれ請求した事案である。 1 争いのない 翌日である平成9年10月25日から民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払請求。)及び本件建物等の使用停止までの間の適正賃料相当の損害金の連帯支払をそれぞれ請求した事案である。 1 争いのない事実等(証拠により明らかな事実を含む。)(1) 原告らは,いずれも岡山県の住民である。 (2) 被告甲は,平成9年7月1日から口頭弁論終結の日である平成13年5月30日まで岡山県知事の地位にあり,被告会社は,遊園地の運営,設計等のコンサルティングを業とする会社である。 (3) 本件建物等は,被告会社が建築する別紙2被告会社建築施設記載の施設と一体となって乙公園を運営するための施設であるところ,岡山県は,153億円を支出して本件建物等を遅くとも平成9年7月1日までに建設した。 (4) 被告岡山県知事は,岡山県議会平成9年6月定例会において,本件建物等を被告会社に対し,契約締結日から10年間無償で貸し付けるとの内容の議案を提出し,同年7月1日,岡山県議会の議決を経て,同日,被告会社との間で無償貸付契約を締結した(以下「本件無償貸付」という。)。 (5) 原告らは,岡山県監査委員に対し,平成9年7月8日,法242条1項により,被告岡山県知事が本件無償貸付を停止すべきであるのにこれを停止しないとして,本件無償貸付の停止及び被告会社からの適正賃料額の徴収を内容とする住民監査請求をしたところ,岡山県監査委員は,原告らに対し,同年9月4日付けで原告らの監査請求を棄却する旨の監査結果を通知し,この通知は同月5日ないしその数日後に原告らにそれぞれ届いた(甲4)。 (6) 原告らは,同年10月1日に本件訴えを提起した。 2 主たる争点(1) 本件建物等は「公の施設」(法244条1項)に当たるか。 ア原告の主張本件建物等は,住民の福祉を増進する目的を持って,住民の利 告らは,同年10月1日に本件訴えを提起した。 2 主たる争点(1) 本件建物等は「公の施設」(法244条1項)に当たるか。 ア原告の主張本件建物等は,住民の福祉を増進する目的を持って,住民の利用に供するために設けられた施設である。このことは,岡山県が,時代の変化に対応した幅広い余暇活動の場を提供することと,本件建物等に対する投資による経済効果,雇用の場の創出,観光資源の創造,関連産業の振興並びに投資の波及効果としての地域産業の振興及び所得の増大等を本件建物等の設置目的として主張していることからも明らかである。したがって,本件建物等の管理を岡山県自身が行わず,他の法人等に委託する場合には,法244条の2第3項に従ってこれを行わなければならないところ,被告会社は,岡山県が公の施設である本件建物等を管理委託するために必要な要件を充たしておらず,本件無償貸付は違法である。 イ被告の主張本件建物等は法238条2項の「普通財産」に当たるから,これらの管理を被告会社に委託しても問題はない。 すなわち,岡山県は,当初より本件建物等を岡山県自身が直接運営管理することを意図しておらず,民間の活力を利用する方が,本件建物等の設置目的に適うと判断し,第三セクターたる被告会社に運営管理をさせるとの方針のもとに本件建物等を設置したのである。したがって,本件建物等は行政財産ではなく普通財産であり,法237条2項,238条の5第1項により被告会社に無償で貸し付けることができる。 (2) 本件無償貸付は普通財産の無償貸付として適法か。 ア手続の適法性について(ア) 原告の主張法237条2項は,地方財政法8条の趣旨を踏まえて解釈されるべきであり,法237条2項により普通財産の無償貸付は原則として禁止されている。一方,国有財産法22条は,普通財産の無償貸付 原告の主張法237条2項は,地方財政法8条の趣旨を踏まえて解釈されるべきであり,法237条2項により普通財産の無償貸付は原則として禁止されている。一方,国有財産法22条は,普通財産の無償貸付について,相手方が公共団体であること及び貸与施設の経営が営利を目的としたり利益をあげる場合に当たらないことを要件としている。法237条2項は,このような実体的要件を定めていないが,国有であれ,公有であれ,財産は,常に良好な状態においてこれを管理し,その所有の目的に応じて最も効率的に運用しなければならないことは同様であり,かつ,前記のとおり,地方自治法においても無償貸付は原則として禁止されているのであるから,地方自治法も,地方公共団体の普通財産の無償貸付又は著しく低い対価による貸付につき,国有財産法22条における実体的規制と同質的な実体的規制要件の設定を条例又は議会の議決に委ねているものと解される。 したがって,財産の交換,譲渡,無償貸付等に関する条例(昭和39年岡山県条例第3号。以下「県条例」という。)4条の規定も,国有財産法22条の上記実体的規制に則って解釈する必要がある。よって,県条例4条2号の「その他県の事務又は事業の遂行上知事が必要と認めるとき」とは,知事の広い裁量を認める趣旨ではなく,同条1号の「国,地方公共団体その他の公共団体において,公用若しくは公共用又は公益事業の用に供するとき」に準じるような限定した内容に解釈されなければならず,岡山県の事務に準じる事業である必要があり,かつ,営利・利益を目的とするものであってはならないと解するべきである。そして,このような条例が制定されている場合には,議会の議決は,これら条例の要件に準じて行われるべきである。 しかし,被告会社は,地方自治法上の公共的団体に該当しない上,同社の事業は営利事 ある。そして,このような条例が制定されている場合には,議会の議決は,これら条例の要件に準じて行われるべきである。 しかし,被告会社は,地方自治法上の公共的団体に該当しない上,同社の事業は営利事業である。したがって,本件議会の議決は,県条例4条,法237条2項に反し違法であり,この議決に従って行われた本件無償貸付も違法である。 (イ) 被告の主張普通財産として法238条の5により貸付を行う場合に,適正な対価のない貸付を行うためには条例又は議会の議決が要求されている(法237条2項)。そこで,岡山県は,本件建物等を普通財産として被告会社に貸し付けるに際し,法96条1項6号に基づいて議会に議案を上程した上で議会の議決を得て,本件無償貸付を行ったのであり,本件無償貸付は適正な手続を経ている。 イ公益性の要件について(ア) 原告の主張本件無償貸付は,本来徴収すべき賃料を徴収しない貸付であるから,債務の免除に他ならず,法232条の2の「寄附又は補助」に該当する。 したがって,同条に基づき,公益上必要ある場合にのみ本件無償貸付は許されるところ,公益上の必要があるか否かは,一応,当該地方公共団体の長及び議会が個々の事例に則して判断するが,これは全くの自由裁量行為ではなく,客観的に公益上必要であると認められなければならない。そして,地方公共団体が行う公金の支出には,すべからく公共性が必要であるところ,法が特に232条の2において,寄附又は補助について公益上の必要性という要件を設けているのであるから,寄附又は補助については,一段高い公共性の絞りをかけたものと解すべきである。 そうであるならば,法232条の2の「公益上必要がある場合」といえるためには,以下の7つの要件を具備することが必要である。 ① 当該地方公共団体に財政上の余裕があること。 ② ものと解すべきである。 そうであるならば,法232条の2の「公益上必要がある場合」といえるためには,以下の7つの要件を具備することが必要である。 ① 当該地方公共団体に財政上の余裕があること。 ② 目的・趣旨が公益性を有すること。 ③ 対象となる事業活動が地方公共団体又はその住民の大部分の利益につながること。 ④ 方法等が相当であること。 ⑤ 対象者として適正な性格を有すること。 ⑥ 寄附又は補助により,公正さ,公平さ等他の行政目的を阻害し,行政全体の均衡を損なうおそれのないこと。 ⑦ 手続が適法になされ,事後的な検査体制が整備されていること。 ところが,本件無償貸付は,これらの7つの要件が具備されていない。 a 財政上の余裕について平成8年度決算において,岡山県の公債費比率は20.1パーセントとなり,平成9年度決算では22.8パーセントとさらに悪化した。また,起債制限比率も平成8年度決算で15.5パーセントとなり,公債費比率,起債制限比率とも全国最悪の数値となっている。さらに,起債制限比率は平成11年度には19.9パーセントに達することが予想されている。 経常収益率は90.1パーセントであり,全国41位である。 また,財源不足を補うために財政調整基金,県債管理基金及び長期投資準備基金のほとんど全額を取り崩しており,平成10年度には基金残高は16億円となる見込みである。 このように財政上の余裕がないために,岡山県では社会的弱者対策や女性施策,文化教養施策が凍結されたり見直されたりしており,また,単県医療費助成事業が減縮されたり,社会教養諸施設整備事業が休止され,私学助成事業や単県医療費公費負担制度推進交付金が縮小されたりしている。また,丙公園,丁,戊周辺設備,己公園といった地方公共団体本来の事務とされている公園事業が凍結され,県民の 整備事業が休止され,私学助成事業や単県医療費公費負担制度推進交付金が縮小されたりしている。また,丙公園,丁,戊周辺設備,己公園といった地方公共団体本来の事務とされている公園事業が凍結され,県民の生活や福祉がないがしろにされている。 b 目的・趣旨が公益性を有するか否かについて乙公園の入園料は2000円であり,公的機関が関与する施設としては異常に高額である。また,乙公園に設置されているアトラクション施設は,大型遊園地に設置されている絶叫マシーン等の遊具類に他ならず,これら20のアトラクションを利用するためには,入園料以外に利用券が必要であり,単券で購入すればS券は740円,A券は530円,B券は320円となっている。その上,多くのアトラクションに年齢制限等の利用制限があり,老人から子供まで楽しめるものではなく,岡山県民の利益を全く考慮しないものである。そして,これらアトラクションの他に23の物販施設,23の飲食施設が約12ヘクタールの敷地内にあり,乙公園は,文化教養施設や憩いの場ではありえず,純然たる営利事業として本来民間の手によって行うべき大型レジャーランドないしアミューズメント系レジャー施設に他ならない。 その上,乙公園の入園者は徐々に減少しており,その経営が破綻に至ると思われるし,同公園による経済効果も極めて乏しく,同公園は,光公害や騒音公害等を発生させるものであって,迷惑施設である。 したがって,乙公園は,県民の福利増進とは全く無関係である。 c 方法等が相当であることについて寄附又は補助を行うと,私企業間の公正かつ自由な競争秩序を犠牲にすることになる。また,寄附又は補助がなされるに当たっては濫費を防止する必要もある。したがって,寄附又は補助を行う際には,必要最小限度の支出方法を採用し,必要最小限度の支出がされることが要 を犠牲にすることになる。また,寄附又は補助がなされるに当たっては濫費を防止する必要もある。したがって,寄附又は補助を行う際には,必要最小限度の支出方法を採用し,必要最小限度の支出がされることが要請される。 被告会社は営利を目的とする商法上の株式会社であり,乙公園は純然たる大型遊園地であるから,100億円以上の資金を投入して建設整備した本件建物等を入場料や乗物使用料を徴収する被告会社のために無償で貸与する理由は全く存せず,本件無償貸付は相当性の基準を逸脱する。 d 対象者たる被告会社の性格の検討被告会社は,遊園地の経営や管理のほか,運送業,ホテル経営,広告代理業,物品販売及び輸出入業等を事業目的とする純然たる営利企業で商法上の株式会社であるから,その目的自体に何ら公益的使命を見いだすことはできない。 また,被告会社の資本構成は,岡山県が12.43パーセント,倉敷市が9.32パーセント,その余が民間であり,岡山県の出資比率は4分の1未満であるから,同県の監査・監督が全く及ばないし,公の施設を管理委託することができる団体にも当たらない。 さらに,平成11年3月31日時点における被告会社の取締役数は19名であるが,そのうち取締役会長が岡山県知事,取締役副会長が倉敷市長となっており,さらに岡山県議会議長と倉敷市議会議員がそれぞれ平取締役に就任してはいるが,いずれも名誉職的な役職にすぎず,むしろ,取締役のうち8名が民間出資会社の役員が占め,取締役会は民間主体の構成となっている。 その上,被告会社は第三セクターであるところ,第三セクターについては,地方自治制度上の位置づけが不明確であることや,地方自治体や住民による統制権限が不十分で実効性に乏しいといった問題点があり,そもそも被告会社のような第三セクターに対して,地方公共団体が,出資を行い, 方自治制度上の位置づけが不明確であることや,地方自治体や住民による統制権限が不十分で実効性に乏しいといった問題点があり,そもそも被告会社のような第三セクターに対して,地方公共団体が,出資を行い,行政事務を委ね,第三セクターを通じて行政目的を追求して良いかという根本的な問題がある。 以上のことから,被告会社は,岡山県が担うべき公益目的実現のための諸活動とは全く無関係な純然たる営利企業であり,同社の行う乙公園事業は,県民の福祉増進とは全く無関係な事業である。 e 公正さ,公平さ等他の行政目的を阻害し,行政全体の均衡を損なうおそれの有無について乙公園事業については県知事選挙あるいは倉敷市長選挙において大きな争点となった。にもかかわらず,岡山県は十分な議論や説明を尽くすことなく強引に同事業を押し進めたため,県民の多くは県行政に対する大きな不信を感じるに至っている。したがって,乙公園事業は,岡山県の他の行政目的を阻害し,行政全体の均衡を損なう。 f 手続が適法になされ,事後的な検査体制が整備されているか否かについて手続に関する要件は,対象者の公益性の程度によって異なるべきであり,対象者の性格に応じて,手続要件を個別的に設定すべきである。 被告会社は,前記のとおり,遊園地の経営及び設計並びに運営のコンサルティング等を目的とする営利企業であり,バス,私鉄,電力等の公益事業や,機械,電子,ソフトウェア等の先端技術産業,繊維,石炭等の構造不況産業あるいは中小企業などとは異なる。したがって,被告会社に対し,巨額な費用を投入した本件建物等のようなものを無償貸付する場合には,使途や期限等の重要事項について明確な基準を設定した個別の条例を制定することが最低限必要である。しかし,本件では,本件無償貸付につき,単に議会の議決がなされたにすぎないから,手続が 貸付する場合には,使途や期限等の重要事項について明確な基準を設定した個別の条例を制定することが最低限必要である。しかし,本件では,本件無償貸付につき,単に議会の議決がなされたにすぎないから,手続が適正になされ,事後的な検査体制が整備されているとはいえない。 (イ) 被告の主張法232条の2にいう「補助」は,まさしく直接の対価関係のない金銭給付であり,直接の金銭給付ではない普通財産の無償貸付は,同条の規制には服さず,法237条2項の規制に服する。 したがって,本件無償貸付には法232条の2の適用はない。 ただし,法237条2項の議会の議決に裁量の濫用があるか否かを判断する際の一要素として公益上の必要性ないし公共性は考慮される。 a 乙公園事業について(a) 乙公園事業は岡山県が自己の事業として遂行してきた事業である。岡山県は,時代の変化に応じた幅広い余暇活動の場を提供し,経済効果や雇用の場の創出,観光資源の創造,関連産業の振興,波及効果として地域産業の振興及び所得の増大等を達成する目的を有しているものであり,これらの目的には公益性がある。 乙公園には,デンマークの文化を紹介する施設が整備され,各種コンサートの催し,市民参加型の文化行事の催しなどがある。また,同公園は,来園者に憩いの場を提供するため,豊かな緑と四季折々の花々,噴水,多数のベンチなどを配しており,いわゆるライド類を利用しなくても十分に楽しみ,くつろぐことができる公園であり,岡山県民の憩いの場である。したがって,同公園は,教養文化施設としての性格を有している。 経済効果としても建設効果やランニング効果等様々なものが考えられるところ,開園初年度の調査結果からも,県内の生産増加につながった額は615億円,その波及効果が537億円と推計され,ランニング効果として,入園者390 建設効果やランニング効果等様々なものが考えられるところ,開園初年度の調査結果からも,県内の生産増加につながった額は615億円,その波及効果が537億円と推計され,ランニング効果として,入園者390万人の消費額が746億円,県内各部門の生産額増加につながったものが716億円,その波及効果が600億円と推計されている。その他,岡山県のイメージアップ,滞在型観光機能の強化,コンベンション都市としての魅力強化,都市の活性化などの影響が生じた。 以上のように,前記の目的が現に達成されている。 (b) また,乙公園事業の行政目的は,岡山県の今後5か年の施策を展開していく上での基本指針に当たる第4次総合福祉計画(平成3年度から平成7年度)では,①「中四国の広域交流」を行う上での「交流施設の整備」,②「魅力ある地域文化の創造」を行うための「文化交流拠点の形成」,③「観光・リゾートの振興」を行うための「観光・リゾート拠点の整備」,第5次総合福祉計画(平成8年度から平成12年度)では,①「魅力ある都市の創造」を行う上での「市街地整備」,②「リゾートの振興」を行うための「リゾート拠点の整備」,③「魅力ある地域文化の創造」を行うための「文化交流拠点の形成」,④「観光の振興」を行うための「広域観光への対応」,⑤「国際交流・協力」を行う上での「学術,教育・文化,スポーツ等の交流促進」や「交流基盤の整備」として位置づけられているが,これらのいずれも行政目的としての妥当性が認められるものである。 そして,乙公園事業においてこれらの行政目的は十二分に達成されており,同事業は地方公共団体自ら行うにふさわしい事業である。 すなわち,乙公園内では数多くのクラシック音楽やポピュラー音楽等のコンサートが随時開かれ,住民参加型の音楽や絵画等の発表会が行われ,「文化交流拠点の形 地方公共団体自ら行うにふさわしい事業である。 すなわち,乙公園内では数多くのクラシック音楽やポピュラー音楽等のコンサートが随時開かれ,住民参加型の音楽や絵画等の発表会が行われ,「文化交流拠点の形成」という目的を果たしている。 「観光・リゾート拠点の整備」という目的については,年間入場者が200万人を超え,他府県からも多数の来園者を迎えていること,また,岡山県全体に大きな経済的効果をもたらしていることからして十二分に達成している。 同公園内にはデンマークのコペンハーゲンを紹介する施設が整備され,海外の著名な芸術家を招いた催し等を開催するなどし,また,デンマークの王室関係者も来園するなど,「国際交流」という目的のために数多くの行事が行われている。 b 被告会社について岡山県は,平成9年3月25日,被告会社との間で,被告会社が管理運営する乙公園の公益性を担保するために「乙公園の管理及び運営に関する基本協定書」を締結したが,同協定書では,乙公園の事業計画等について被告会社が岡山県の意見を最大限尊重すること,同公園の管理運営に関して岡山県の意向を反映させる他の常設機関として岡山県等により構成される乙公園運営協議会の設置等が定められている。 この基本協定書や乙公園運営協議会の存在により,被告会社は,岡山県や倉敷市に対し,乙公園の管理運営について同公園が地方公共団体が行う事業にふさわしい公益性を持つように管理運営すること及び現実の管理運営にも岡山県や倉敷市の意向をできる限り尊重することを約束しており,岡山県は,乙公園について岡山県の事業として推進してきた公園にふさわしい「公益性」を活かした管理運営を行うようコントロールできる枠組みを構築している。 (3) 責任及び損害について原告の主張ア被告岡山県知事は,岡山県の長として,本件無償貸付が きた公園にふさわしい「公益性」を活かした管理運営を行うようコントロールできる枠組みを構築している。 (3) 責任及び損害について原告の主張ア被告岡山県知事は,岡山県の長として,本件無償貸付が違法である以上,本件建物等の使用を停止させる義務があるにもかかわらず,これを停止させない。 また,被告甲は,岡山県知事として,故意又は過失により被告会社に対して違法な本件無償貸付を行い,被告会社は,違法な貸付であることを知り又は知りうべきであったにもかかわらず本件建物等を無償で借り受けた。 イ前記アの被告らの行為により,岡山県は,本件建物等の適正賃料相当分の損害を被り又は将来も被り続けることが明らかであるところ,本件建物等の適正賃料は,年間,同建物の建設予定額である153億円の6パーセントに当たる9億1800万円(月額7650万円)を下らない。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件建物等は「公の施設」に当たるか)について(1) 地方自治法は,244条以下に公の施設についての規定を置き,各種の規制を設けている。これは,公の施設が,住民の福祉を増進する目的を持って,当該地方公共団体の住民の利用に供するために設けられた施設であって,公共の利益のために多数の住民に対して均等に役務を提供することを目的とし,その公正な管理を確保する必要があるからである。 そこで,本件建物等がこのような観点から公の施設にるかを以下検討する。 (2) 前記第2,1の争いのない事実等,証拠(甲20の1,2,乙22,23,28の3,4,83,139の2,162の1,162の3,163の2,163の4ないし6,167,170,186,193ないし237〔枝番を含む〕,247ないし254,256ないし269,270の1ないし5,271ないし274)及び弁論の全趣旨によると, 63の2,163の4ないし6,167,170,186,193ないし237〔枝番を含む〕,247ないし254,256ないし269,270の1ないし5,271ないし274)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 ア乙公園事業の経緯(ア) 岡山市は,昭和62年10月31日,市政100周年記念事業の一環としてデンマークの乙公園の岡山市への誘致計画を発表した。 (イ) 昭和63年7月,乙公園誘致計画を推進し実現するための会社として,株式会社センチュリー・パーク・チボリが設立され,岡山市は,旧日本国有鉄道の処分予定地であった岡山操車場跡地に乙公園を建設すべく,日本国有鉄道精算事業団との交渉を開始した。 (ウ) 岡山県は,岡山市からの乙公園誘致計画への協力要請を受け,株式会社センチュリー・パーク・チボリに1000万円の出資を行い,昭和63年7月に同社が設立され,同誘致計画は岡山県や岡山県財界の支援のもとに推進されることとなったが,岡山市は,平成3年7月に乙公園誘致計画から撤退した。 (エ) 岡山県は,乙公園誘致計画は,来るべき21世紀に向けて岡山の活性化やイメージアップを図るとともに,子供から年寄りまでが楽しむことができ,文化の薫り高い魅力ある地域づくりを進めるために極めて有意義な事業であること,同計画のために既に43億円もの民間資金が支出されており,岡山県が同計画から撤退することとなれば行政に対する信頼が失われるおそれがあること及び株式会社センチュリー・パーク・チボリ社から営業譲渡を受けた被告会社は,デンマークの乙公園を管理運営するチボリ・インターナショナル社との間で既に種々の契約を締結しており,同計画がなくなれば,チボリ・インターナショナル社から多額の損害賠償請求をされる懸念があるのみならず,同計画が発表された後にデンマーク皇太子に ンターナショナル社との間で既に種々の契約を締結しており,同計画がなくなれば,チボリ・インターナショナル社から多額の損害賠償請求をされる懸念があるのみならず,同計画が発表された後にデンマーク皇太子にわざわざ来岡してもらう等していたことからも,国際的信義にもとることになりかねないことなどを考慮し,その結果,岡山県と岡山県財界が中心となって同計画を続行することとした。 そして,岡山県の要請により,倉敷市が乙公園誘致計画に参画することになり,岡山県,倉敷市,岡山県財界が協力してJR山陽本線庚駅北に隣接する倉敷市a町の倉敷紡績株式会社(以下「クラボウ」という。)倉敷工場跡地約12ヘクタールにデンマークの乙公園を模範とした公園を建設する計画を乙公園事業と称して推進することとした。 岡山県は,乙公園事業が,中四国の広域交流,魅力ある地域文化の創造,観光・リゾート拠点の整備と観光の振興,魅力ある都市の創造,県民のリゾートやレクリエーション拠点の整備,魅力ある地域づくり,国際交流の振興などにも資する極めて公共性の高い事業であると位置づけ,同事業は岡山県の第4次(平成3年度から平成7年度)及び第5次(平成8年度から平成12年度)総合福祉計画にも組み込まれた。 (オ) 乙公園事業は当初は民間(被告会社)が施設を設置して運営する構想であったが,平成6年2月25日,県議会乙公園特別委員会で,採算性と文化性や市民公園の要素との兼ね合いを検討考慮した結果,公園の基盤部分(樹木,花壇,湖,噴水,散策路,ベンチ,イルミネーション等)及び教養文化施設(野外劇場,多目的シアター,ランドマークタワー,辛,壬,癸)を岡山県が整備し,レストラン,物品販売,遊具施設を被告会社が整備する旨が発表され,以後,この枠組みに基づいて事業展開を図ることとなり,その結果,岡山県の乙公園事 ー,ランドマークタワー,辛,壬,癸)を岡山県が整備し,レストラン,物品販売,遊具施設を被告会社が整備する旨が発表され,以後,この枠組みに基づいて事業展開を図ることとなり,その結果,岡山県の乙公園事業に対する負担は,被告会社に対する15億円の追加出資,本件建物等の建設費約185億円及び被告会社に対する35億円の無利子貸付となった。 そして,これらについては,同年2月の岡山県議会定例会にて報告がなされた。 (カ) 岡山県と被告会社は,平成9年3月25日,「乙公園の管理及び運営に関する基本協定書」(乙271)を取り交わしたが,同協定書には,乙公園はデンマークの伝統ある都市型公園である乙公園の基本理念に基づいて整備された公園で,県民福祉の増進,岡山県の経済,文化等の発展に寄与することを目的とし,公共性及び文化性を保持する公園とする(2条),前条の目的及び性格を実現するため,岡山県が整備する施設と被告会社が整備する施設からなる乙公園を民間の手法の活用の理念のもとに被告会社が有機的かつ一体的に管理及び運営することを確認し,被告会社は,乙公園を本基本協定書の条件に従って管理及び運営を行う(3条),被告会社は,①県民福祉の増進及び岡山県の経済,文化等の発展を目的とした管理運営を行う,②地域の伝統的文化と調和し,環境保全に十分配慮した管理運営を行う,③高齢者,身体障害者等が利用しやすい管理運営を行う,④乙公園の年間の企画の中には,芸術及び文化の発展に寄与する企画,教育活動に寄与する企画,幼児及び高齢者向けの企画,国際交流の促進に寄与する企画を盛り込むものとする(4条),被告会社は,営業年度毎にあらかじめ乙公園内で実施する企画等を含む事業計画案を岡山県に提出し,岡山県はこれについて意見を述べることができる,被告会社は岡山県の意見を最大限尊重しなければなら 条),被告会社は,営業年度毎にあらかじめ乙公園内で実施する企画等を含む事業計画案を岡山県に提出し,岡山県はこれについて意見を述べることができる,被告会社は岡山県の意見を最大限尊重しなければならない(5条),乙公園の管理運営に関し,岡山県の意向を反映させるための常設の機関として,岡山県,被告会社,学識経験者及び岡山県と被告会社が協議して依頼した者から構成される乙公園協議会(仮称)を設置する(6条)等の条項が記載されている。 そして,この6条により,乙公園運営協議会の初回が,岡山商科大学教授を座長として,岡山県副知事,岡山県企画部長,岡山県議会関係者,倉敷市関係者,倉敷市婦人協議会会長,乙公園周辺対策協議会会長,被告会社社長等を構成員として平成9年6月23日に開催され,以後,同協議会は継続的に開催され,乙公園の管理運営方法について協議がなされている。 イ乙公園の概要等(ア) 開園時間とチケット料金乙公園の開園時間は,通常期が午前10時から午後8時まで,ゴールデンウィークや夏休みなどの繁忙期は午前9時から午後10時までとなっている。同公園の入園料は大人(18歳から64歳)が2000円,中人(12歳から17歳)が1700円,小人(6歳から11歳)及び高齢者(65歳以上)が1000円と設定され,午後5時以降の入園券であるイブニングチケットは大人1000円,中人800円,小人及び高齢者500円と設定されている。この他に,各種アトラクションを利用するためのS券,A券,B券がそれぞれ1枚740円,530円,320円で販売されており,アトラクション券が5枚綴りになっているアトラクション回数券(2100円),いずれのアトラクションも乗り放題となるフリーアトラクション券(園外購入時大人及び中人2520円,小人2210円,高齢者2100円,園内購 が5枚綴りになっているアトラクション回数券(2100円),いずれのアトラクションも乗り放題となるフリーアトラクション券(園外購入時大人及び中人2520円,小人2210円,高齢者2100円,園内購入時大人及び中人2730円,小人2420円,高齢者2310円)が販売されている。障害者(身体・知的・精神)は,入園料が半額に,フリーアトラクション券は割引になり,介護者1名が入園無料となり,介護者が付添いをしてアトラクションを利用する場合,介護者のアトラクション代も無料となる。 また,甲2との名称で年間入園券が,大人6000円,中人5000円,小人及び高齢者3000円の料金で発行されている。 (イ) 施設乙公園には数多くの樹木と年間約60万株の花が植えられており,その緑被率は約45パーセントとなっている。乙公園のガイドマップには,園内の花暦が記され,開花時期がわかるようになっている。 その他,別紙3アトラクション施設一覧表,別紙4ショッピング施設一覧表,別紙5フード&レストラン施設一覧表,別紙6カルチャー施設一覧表,別紙7劇場施設一覧表のようにアトラクション施設,ショッピング施設,フード・レストラン施設,カルチャー施設,劇場施設が設置されている。このうち,ショッピング施設の中の12施設及びフード・レストラン施設の中の6施設は,デンマークの乙公園が建設された当初の19世紀のデンマークの街並みを再現した「乙2」の中にある。 また,園内には噴水が15箇所にあり,彫刻が6箇所にある。 以上の他,総合情報窓口に当たる「ゲストサービスセンター」や救護室,ベビーセンター等の施設が設置されている。 (ウ) 催事乙公園では以下のような催しがされている。 a デンマークの自然文化の紹介b デンマークの演奏家を含む内外の演奏家の招聘及び演奏会の開催,備中神楽の センター等の施設が設置されている。 (ウ) 催事乙公園では以下のような催しがされている。 a デンマークの自然文化の紹介b デンマークの演奏家を含む内外の演奏家の招聘及び演奏会の開催,備中神楽の上演c 公園内の劇場でのアンデルセン童話の紹介d 岡山県民参加の音楽発表会,小中学校の児童生徒参加の写生会,高校及び一般の吹奏楽団参加の吹奏楽祭,保育園児によるパレード(エ) 入園者開園1年目及び2年目に行われたアンケートの結果によると,入園者の比率は,県内からの入園者が初年度は29.6パーセント,2年目は21.1パーセントであり,そのうち倉敷市内からの入園者は初年度も2年目も9.9パーセントであった。県外からの入園者は初年度が70.1パーセントであり,2年目が78.3パーセントであった。 入園客の予測は,テーマパークや遊園地の入園客数が,広域交通網の整備状況,人口集積,近隣観光地などの立地条件と設備の規模や内容,広告宣伝による施設イメージが相まって決定されることを考慮して,時間距離モデル法(テーマパークの距離別集客率より類推した距離モデルから予測する手法で,主たる商圏からの集客数を,距離別商圏人口に距離別集客率〔他のテーマパークの距離別集客率から類推した率。〕を乗じて算出し,これに150キロメートルより遠い広域からの集客数を加えて,年間入場者予測数を算出する手法。)により行われている。距離別集客率を定めるにっては,丙2,丁2,戊2,己2及び庚2の距離別集客率が参考とされ,乙公園の距離別集客率は,第一次商圏(0ないし50キロメートル)が14. 1パーセント,第二次商圏(50ないし100キロメートル)が7.0パーセント,第三次商圏(100ないし150キロメートル)が5.6パーセントと算定されている。 ウ本件建物等の性質(ア) 本件建 1パーセント,第二次商圏(50ないし100キロメートル)が7.0パーセント,第三次商圏(100ないし150キロメートル)が5.6パーセントと算定されている。 ウ本件建物等の性質(ア) 本件建物等のうち,辛は,ギャラリーや講演会,パーティーなどを開催できる多目的ホールを備えた施設であり,音楽会や応募市民による音楽や演劇の発表等に使用されている。多目的シアター(辛2)は,クラシック音楽やデンマーク音楽等の演奏の外,中四国から募集したアマチュアバンドの演奏等を行っている。ランドマークタワー(壬2)は,デンマークの城の特徴をとらえた建造物で,内部には展示施設があり,デンマークの文化を紹介している。野外劇場(癸2)では,邦楽や地元高校生の吹奏楽の演奏の外,備中神楽の上演等を行っている。壬ではミュージカルの上演を,癸ではクラシックやジャズの演奏を行っている。こどもの遊び場は,小さい子供たちのための遊び場と,付添いの大人のための休憩所から成り立っており,遊具や噴水が子供の大きさに合わせて配置されている。これらの施設は,乙公園の入園料を支払えば全て無料で利用することができる。 樹木一式,照明施設一式及び園路広場一式は,乙公園内にある樹木,照明及び道と広場であり,その他の建物や設備は同公園を維持管理するために必要な施設である。 (イ) 本件建物等は,乙公園内に建設され,上記(ア)のような性質から,同公園の他の施設と一体として利用されることが当初から予定されており,現に被告会社が建築した別紙2被告会社建築施設記載の施設と一体として同公園の運用に供され,来園者に利用されている。 エ被告会社への出資状況等被告会社の発行済株式総数は32万1800株であるところ,そのうち,岡山県は4万株を,倉敷市は3万株を,それぞれ保有している。 (3) 以上の事実に 者に利用されている。 エ被告会社への出資状況等被告会社の発行済株式総数は32万1800株であるところ,そのうち,岡山県は4万株を,倉敷市は3万株を,それぞれ保有している。 (3) 以上の事実によれば,被告会社に対する岡山県の出資比率は約12.43パーセントであり,倉敷市の出資比率は約9.32パーセントであるから,双方の保有する被告会社の株式を合計しても出資比率は約21.75パーセントにしかならない。したがって,被告会社は,①普通地方公共団体が資本金,基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人(地方自治法施行令173条の3第1号)にも,②公の施設の管理を委託しようとする普通地方公共団体が資本金,基本金その他これらに準ずるものの4分の1以上を出資している法人(地方自治法施行令173条の3第2号,地方自治法施行規則17条柱書)にも当たらず,法244条の2第3項にいう「普通地方公共団体が出資している法人で政令に定めるもの」に該当しない。 ところで,岡山県は,第4次及び第5次総合福祉計画にて,乙公園事業を県民のリゾートやレクリエーション拠点の整備としての意味を持つと位置づけているし,公園の基盤部分及び教養文化施設を岡山県が整備することとするに当たって,文化性や市民公園としての要素を保持する必要があることを考慮している上,「乙公園の管理及び運営に関する基本協定書」の中には,乙公園の目的の1つとして県民福祉の増進に寄与することがあげられていること,同公園の年間の企画の中には,芸術及び文化の発展に寄与する企画,教育活動に寄与する企画,幼児及び高齢者向けの企画を盛り込む旨が定められていることなどからすると,岡山県が,県民の福祉増進を乙公園事業の目的の1つに据えていることは明らかである。実際にも,乙公園では,岡山県民参加の音楽発 幼児及び高齢者向けの企画を盛り込む旨が定められていることなどからすると,岡山県が,県民の福祉増進を乙公園事業の目的の1つに据えていることは明らかである。実際にも,乙公園では,岡山県民参加の音楽発表会や小中学校の児童生徒参加の写生会,高校及び一般の吹奏楽参加の吹奏楽会,保育園児によるパレード等といった住民参加型の各種イベントが催されていることが認められる。 しかし,乙公園事業の目的には,県民のリゾートやレクリエーション拠点を整備することのほか,中四国の広域交流,魅力ある地域文化の創造,観光・リゾート拠点の整備,魅力ある地域づくり,国際交流の振興なども掲げられている。また,乙公園を利用するには,大人2000円等の入園料が必要であり,アトラクションを利用する場合にはさらに別料金を支払う必要がある。そして,入園客の予測方法を見ると,乙公園は県外からの利用者を期待していることが認められ,現に開園1年目と2年目のアンケート結果から,入園者の約70パーセントが県外からの客であることがうかがわれることからすると,乙公園は,都市公園や自然公園とは明らかに異なる性質を有し,余暇時間の増大や来るべき高齢者社会への施策として建設された岡山県民のための憩いの場というよりは,むしろ,岡山県の観光の振興を図る等の経済的効果を目的として建設された,県外人に対してもアピールのできる魅力的な観光拠点として建設されたものとしての性格が強いと認められる。 そうすると,乙公園事業が,住民の利用に供し,住民の福祉を増進する目的を持っていないとまではいえないものの,乙公園は,道路,公園,公民館のような公の施設とは異なり,多数の住民に対して均等に役務を提供することを目的とし,その公正な管理を確保する必要がある施設であるとはいえない。したがって,乙公園内に存し,乙公園の一部として ,公民館のような公の施設とは異なり,多数の住民に対して均等に役務を提供することを目的とし,その公正な管理を確保する必要がある施設であるとはいえない。したがって,乙公園内に存し,乙公園の一部として管理運営されている本件建物等も,法244条1項にいう「公の施設」には当たらす,法244条の2第3項の適用を受けないから,この点についての原告の主張には理由がない。 2 争点(2)(本件無償貸付は普通財産の無償貸付として適法か)について(1) 手続の適法性について財産の管理は,地方公共団体の長の権限である(法149条6号)から,普通財産を行政財産とし,行政財産を普通財産とすることは,原則として長の権限である。そして,本件建物等は,普通財産として管理する旨決せられ,行政財産の要件を充たさないから,普通財産である。 そこで,本件建物等を普通財産として無償貸付するに当たってなされた手続が適法であるか否かについて判断する。 法237条2項は,地方公共団体の財政の健全な運営を確保するため,地方公共団体の普通財産について,適正な対価によらない譲渡,貸付を原則として禁止する一方,地方公共団体が公共的施策の実施等公益上の目的のためその普通財産を無償又は特に低廉な対価のもとに譲渡し又は貸し付けることが必要な場合があることを考慮し,そのような場合については,条例又は議会の議決により,この禁止を解除して無償又は低廉な価格で譲渡又は貸付ができることとしたものであって,この禁止を解除すべき場合についての一般的原則は条例で定めるが,臨時的なものなど条例の定める一般的原則によることができない場合については,個別的に議会において,上記禁止の解除の当否について判断の上議決することを当然に予定しているものと解すべきである。 そうすると,法237条2項は,普通財産の無償又は特 ことができない場合については,個別的に議会において,上記禁止の解除の当否について判断の上議決することを当然に予定しているものと解すべきである。 そうすると,法237条2項は,普通財産の無償又は特に低廉な対価による譲渡又は貸付に際し,条例と議会の議決という2つの方法の選択を認めたと解すべきであるところ,原告が主張するように,議会の議決が条例に準じなければならないとすれば,同条項が2つの方法の選択を認めた意味がなく,このような解釈をとることはできない。 また,原告は,法237条2項に定められている「条例又は議会の議決」は,国有財産法22条が定める実体的要件と同質の規制に服するから,県条例4条2号に該当するためには,当該施設の経営が岡山県の事務ないし事業であること,かつ,営利や利益を目的としないことが必要であると主張するが,国有財産法22条は1項において具体的に無償貸付を行うことができる場合を列挙し,2項において1項の無償貸付は,公共団体における当該施設の経営が営利を目的とし,又は利益をあげる場合には,これを行うことができないと定めるところ,法237条2項にはこのような要件が定められていないことからすると,地方自治法は効率の良い財産運営か否かの判断を地方公共団体の議会に委ねたと解すべきであり,地方公共団体が普通財産の無償貸付を行う際に,国有財産法と同じ要件を要求することは妥当ではない。 したがって,県条例4条2号を原告の主張するように限定的に解釈する理由はなく,本件無償貸付についての議決は県条例4条に反しない。 よって,県条例4条に違反する本件議決は違法であるとの原告の主張には理由がない。 (2) 公益性の要件についてア原告は,本件無償貸付には法232条の2の適用があるとするので,そこにいう公益上の必要性の有無につき検討する。 件議決は違法であるとの原告の主張には理由がない。 (2) 公益性の要件についてア原告は,本件無償貸付には法232条の2の適用があるとするので,そこにいう公益上の必要性の有無につき検討する。 地方公共団体の長は,地方自治の本旨の理念に沿って,住民の福祉の増進を図るために地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担う地方公共団体の執行機関として,住民の多様な意見及び利益を勘案し,補助の要否についての決定を行うものであり,その決定は,事柄の性質上,諸般の事情を総合的に考慮した上での政策的判断を要するものであるから,公益上の必要性に関する判断に当たっては,寄附又は補助の要否を決定する地方公共団体の長に一定の裁量権があるものと解される。他方で,法が地方公共団体による補助金の交付について公益上の必要性という要件を課した趣旨は,恣意的な補助金の交付によって当該地方公共団体の財政秩序を乱すことを防止することにあると解される以上,地方公共団体の長の裁量権の範囲には一定の客観的限界があり,当該地方公共団体の長による公益上の必要性に関する判断に裁量権の逸脱又は濫用があったと認められる場合には,当該補助金の交付は違法と評価されることになるものと解するのが相当である。そして,地方公共団体の長が特定の事業について補助金の交付をする際に行った公益上の必要性に関する判断に裁量権の逸脱又は濫用があったか否かは,当該補助金交付の目的,趣旨,効用及び経緯,補助の対象となる事業の目的,性質及び状況,当該地方公共団体の財政の規模及び状況,議会の対応,地方財政に係る諸規範等の諸般の事情を総合的に考慮した上で検討することが必要であると解される。 ところで,原告らは,公益上の必要性があるかどうかの判断基準として7つの要件を主張しているが,これらの要件によって判断するこ の諸般の事情を総合的に考慮した上で検討することが必要であると解される。 ところで,原告らは,公益上の必要性があるかどうかの判断基準として7つの要件を主張しているが,これらの要件によって判断することが必須であるかどうかはともかくとしても,本件無償貸付の公益上の必要性の判断に当たって,考慮すべき事項ではある。 イそこで,本件について事実関係を検討するに,前記第2,1の争いのない事実等,証拠(甲18,19,22,23,乙94の1,2,164の1ないし35,270の1,3,4,274)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 被告会社の性格a 設立被告会社は,乙公園の建設,管理運営を主たる業務として,岡山県,岡山商工会議所,地元民間企業19社の共同出資(岡山市は追加出資の予定であったが撤退し,後に倉敷市が追加出資)により,平成2年2月20日に第三セクター方式による株式会社として設立された。 被告会社の設立当初の資本金は48億円であり,そのうち5億円を岡山県が出資し,その他は地元民間企業が出資した。その後,被告会社は数回にわたって増資を行い,同社の資本金は平成9年1月に160億9000万円となって現在に至っているが,前記1(2)エで述べた岡山県及び倉敷市の出資以外は民間企業が出資している。 b 経営体制平成11年3月31日時点における被告会社の経営体制は別紙8取締役及び監査役一覧表のとおりであり,取締役19名の中に,取締役会長として岡山県知事が,取締役副会長として倉敷市長が,平取締役として岡山県議会議長及び倉敷市議会議員が就任しており,岡山県及び倉敷市関係者の占める役職と比率は現在まで変動していないとうかがわれる。 c 被告会社の商業登記簿には,目的として,①遊園地の経営及び設計並びに運営のコンサルティング,②ス が就任しており,岡山県及び倉敷市関係者の占める役職と比率は現在まで変動していないとうかがわれる。 c 被告会社の商業登記簿には,目的として,①遊園地の経営及び設計並びに運営のコンサルティング,②スポーツ施設,遊技場,興行場等レジャー施設の運営管理,③宿泊施設,飲食店の経営,④土産品店,遊園地内での売店の経営,⑤診療所の経営,⑥芸能,スポーツその他の催事の企画に関する事業,⑦美術館,博物館,図書館,展示場,多目的ホールの経営,⑧外国語,芸能,美術,服装,音楽等の講座の主催及び運営,⑨陸上運送事業及び湖沼水運業,⑩索道による旅客輸送,⑪不動産の賃貸借,斡旋及び管理,損害保険代理業,⑫旅行斡旋業,広告代理業,両替業,⑬酒,煙草,切手,収入印紙,医薬品,塩,米穀類,古美術品,衣料品,食料品及び日用品雑貨等の販売並びに輸出入業,⑭前各号に附帯関連する一切の事業と記載されているが,これらは乙公園の設置及び管理運営に必要な範囲で行われる。 (イ) 乙公園の経営状況平成9年度及び平成10年度の収支計画では,平成9年度については,総売上高が89億0100万円,経常損失が28億4300万円,当期損失が19億3500万円であり,平成10年度については,総売上が129億5100万円,経常損失が27億8700万円,当期損失が12億4900万円とされているところ,実際の数値は,平成9年が,総売上高が126億1300万円,経常損失が10億2400万円,当期損失が1億5900万円であり,平成10年度が,総売上高が117億2400万円,経常損失が11億6500万円,当期損失が3億8000万円であった。 (ウ) 波及効果a 乙公園建設時の経済効果については,開園後1年経過時点で行われた調査によると,官民双方により乙公園に関連して行われた投資額は合計707億円である。 3億8000万円であった。 (ウ) 波及効果a 乙公園建設時の経済効果については,開園後1年経過時点で行われた調査によると,官民双方により乙公園に関連して行われた投資額は合計707億円である。 この実績値を部門別に推計すると,建築部門が293億円,土木部門が151億円,遊戯器械などをはじめとしたその他一般部門が262億円となり,このうち県内生産額の増加につながった直接生産効果の額は615億円である。そして,これらの各部門に生じた生産活動により産業相互間の投入関係を通じて産業全体に波及する第1次生産波及効果は直接生産効果の615億円と合わせて876億円と推計され,第1次生産波及効果により,企業所得が増大し,新たに消費を生み出す,第2次生産波及効果は,312億円と推計されている。そして,これらの生産を生み出すための労働投入による雇用効果は,勤務時間の延長やパートタイマーの雇用などを含めて,約7300人と推計されている。 乙公園開園後の経済効果については,開園後1年間の入園者は約390万人であるところ,これらの入園客の観光総消費額(宿泊費,交通費,土産代,食事代など)は,合計746億円と推定され,このうち716億円が県内生産の増加に結びついたと推計されている。以上より,乙公園の開園後1年間に岡山県内に生じた最終需要は,観光総消費額746億円,民間随伴投資額17億円,被告会社の追加投資額3億円の合計766億円と推定されている。このうち,県内各部門の生産につながった生産額は,716億円,これによる第1次生産波及効果は969億円,第2次生産波及効果は347億円と推計されている。また,これらから生じる雇用効果は年間6700人と推計されている。 b また,乙公園と美観地区との間に,新たな人の流れが生まれているといわれていること,宿泊業は,売上高が増 47億円と推計されている。また,これらから生じる雇用効果は年間6700人と推計されている。 b また,乙公園と美観地区との間に,新たな人の流れが生まれているといわれていること,宿泊業は,売上高が増加した業者が90パーセント以上あること,宿泊客が30から40パーセント増加していること,全体の30パーセント以上の業種の業者の売上が増加していること,特に,庚駅周辺の宿泊施設は,同年8月にはほぼ満室状態であり,飲食業者についても,庚駅周辺の飲食業者の売上が大幅に増加していることが認められる。 一方,乙公園の相乗効果による人出増や土産物売上が期待された美観地区では期待通りの効果が上がらず,売上も例年並みであると認められる。 c その他の地域経済や地域社会の活性化に対する影響として,岡山県の知名度向上,滞在型観光への観光形式の変化,コンベンション都市としての魅力強化,倉敷市中心部の活性化などが認められる。 (エ) 岡山県の財政状況岡山県の平成9年度の公債費比率は22.4パーセント,平成8年度の起債制限比率は15.5パーセントであり,これらはいずれも全国都道府県中最下位である。また,平成8年度の経常収益率は90.1パーセントと全国都道府県中41位である。財政力指数は,平成8年度までの3か年の平均が0.47514であり,全国都道府県中20位となっている。 (オ) 光公害,騒音公害等乙公園の入園者のうち約50パーセントが自家用車を利用して同公園に来ていることがアンケート調査からうかがわれ,ゴールデンウィーク等の繁忙期には同公園の周囲の道路で交通渋滞が生じることがうかがわれるが,同公園に来園する自動車の台数及びこれらの自動車にのみ起因する騒音の大きさについては証拠がない。 また,乙公園に設置されたジェットコースターである甲3と一番近い民家との距離は ことがうかがわれるが,同公園に来園する自動車の台数及びこれらの自動車にのみ起因する騒音の大きさについては証拠がない。 また,乙公園に設置されたジェットコースターである甲3と一番近い民家との距離は82メートルであり,民家での騒音は54デシベルであること,甲3には低騒音機種が導入され,乙公園の外側に防音壁を設置していることが認められ,騒音公害が発生しているとの証拠はない。また,光公害の発生についても証拠はない。 ウこれらの事実に基づいて本件無償貸付の公益上の必要性の判断につき,裁量の濫用ないし逸脱があったか否かを判断する。 乙公園の入園料は,大人2000円,中人1700円,小人1000円という決して安くはない設定がされており,年間入園券も大人6000円,中人5000円,小人3000円という値段であるから,住民が余暇に通常の公園を訪れるのと同じような感覚で,気軽に乙公園を訪れてベンチや芝生で憩うということは考えにくい。また,高齢者の入園料は1000円であり,年間入園券も3000円と優遇されているものの,通常の公園と同様の利用ができるほど安価ではない。さらに,入園客数の予測手法からも明らかなように,乙公園は県内の住民のみならず県外からの多数の入園者を期待している施設であることが認められる。これらのことから乙公園事業の県民に対するレクリエーション拠点の整備としての一面が否定されるものではないものの,その効果は薄いといわざるをえない。 さらに,岡山県の財政力指数は他の都道府県と比較して特に悪いとは認められないものの,公債費比率,起債制限比率及び経常収益率は他の都道府県に比して悪いと認められるところ,このような財政状況において,約150億円もの建設費をかけた本件建物等を何らの対価もなく法的には営利を目的とする株式会社としての性格を有する被告会社 率は他の都道府県に比して悪いと認められるところ,このような財政状況において,約150億円もの建設費をかけた本件建物等を何らの対価もなく法的には営利を目的とする株式会社としての性格を有する被告会社に貸し付けることが最善の策であったかは疑問なしとしない。 しかし,乙公園事業は,もともとは岡山市政100周年記念事業であったものであり,岡山県はいわば岡山市の記念事業を援助する立場にすぎなかったものであるが,岡山市が乙公園事業から撤退したことにより,岡山市を援助して同事業のために公金を支出していた岡山県は,同事業のために資金を提供した民間企業や,被告会社の契約相手であるチボリ・インターナショナル社との信頼関係,さらにはデンマーク王国との国際的信義を維持する必要性を考慮せざるをえなくなり,乙公園事業が,中四国の広域交流,魅力ある地域文化の創造,観光・リゾート拠点の整備と観光の振興,魅力ある都市の創造,県民のリゾートやレクリエーション拠点の整備,魅力ある地域づくり,国際交流の振興などに資することも勘案した上で,乙公園事業を岡山県が主導して推進するとの選択をしたものである。このような経緯からすると,岡山県が主導して乙公園事業を推進することを選択したことはやむを得ない面もうかがわれるし,乙公園事業を推進するために本件無償貸付を行うに当たって岡山県の意図は公益性を有するものを目指していたと認められる。 また,被告会社は,法的には営利を目的とする株式会社であるが,その目的は専ら乙公園の設置及び管理運営であって,商業登記簿に記載されている諸々の目的もこれを達成するために必要な事項として記載されていると認められるし,岡山県と被告会社との間に前記1(2)ア(カ)のような取決めが存し,岡山県による事後的な検査や制御体制が整っていること等の特質を有している。したが ために必要な事項として記載されていると認められるし,岡山県と被告会社との間に前記1(2)ア(カ)のような取決めが存し,岡山県による事後的な検査や制御体制が整っていること等の特質を有している。したがって,被告会社が第三セクター方式によって設立されているということや,法244条の2第3項で公の施設の管理を委託できる法人でないことのみをもって公益性がないとはいえない。 原告は,乙公園事業については県知事選挙や倉敷市長選挙において大きな争点となったにもかかわらず,岡山県は十分な議論や説明を尽くさずに強引に同事業を進めたため,県民の県行政に対する不信をよび,他の県行政目的を阻害し,行政全体の均衡を損なうと主張しているところ,乙公園事業が岡山県知事選挙や倉敷市長選挙で大きな争点の1つとなったことは認められるものの,その他の主張についてはこれを認めるに足る証拠はない。 ただ,前記1(2)イ(乙公園の概要等)によれば,乙公園には樹木や草花が多く植えられ,園内を散策することや,壬2内で紹介されているデンマークの様子を見聞したり,各種音楽会を鑑賞すること,乙2で19世紀のコペンハーゲンの様子に触れたり,園内の物販店でデンマークの飲食物や名産品を入手することによって,いわゆるアトラクション施設を利用しなくても同公園内での時間を楽しむことができ,教養文化施設としての一面を有しないわけではないが,同公園内には,別紙3「アトラクション施設一覧表」記載のようなアトラクション施設が設置され,これら施設は一般的に遊園地等に設置されている遊戯施設と何ら変わらない。これらアトラクション施設の中には,乙3,丙3,丁3などのようにデンマークの文化を彷彿させるものもないではないが,これらの施設もその性質上,搭乗して楽しむことに主たる目的があると認められる。したがって,乙公園 ラクション施設の中には,乙3,丙3,丁3などのようにデンマークの文化を彷彿させるものもないではないが,これらの施設もその性質上,搭乗して楽しむことに主たる目的があると認められる。したがって,乙公園は,都市公園や自然公園とは明らかに異なり,テーマパークないしアミューズメントパークとしての性格を強く有すると認められる。 しかし,行政に対する住民の需要が多様化している現在においては,問題となっている事業がテーマパークやアミューズメントパークとしての性格を有するということのみをもって公益性を欠くということはできない。 また,原告らが主張するような公害が発生したと認めるに足る証拠はない。 そして,乙公園事業の経済効果について見てみると,乙公園の建設に当たり,官民双方から投資が行われたことによる産業への直接の効果は前記イ(ウ)のとおりである。さらに,これから波及する第1次生産波及効果及び第2次生産波及効果の実際の金額は不明であるものの,推計で示されているとおり,相当の高額になることがうかがわれ,これら生産増大による雇用効果も,乙公園の建設に直接携わる人員の雇用があることは当然のことであるが,その他の第1次生産波及効果及び第2次生産波及効果を生み出すための人員の雇用が相当数あることもうかがわれる。乙公園は,全国的にも名が知られるに至った施設であり,県の内外から観光客が訪れ,平成9年度及び10年度の入園者数は,それぞれ298万人と250万人であるところ,これらの観光客が費消した実際の観光総消費額は明らかでなく,推計として766億円という額が算出されているにすぎないが,これに類似する相当高額な観光消費がなされたことは想像に難くなく,現に,宿泊業は売上高が増加した業者が90パーセント以上あり,宿泊客が30から40パーセント増加していること,庚駅周辺の すぎないが,これに類似する相当高額な観光消費がなされたことは想像に難くなく,現に,宿泊業は売上高が増加した業者が90パーセント以上あり,宿泊客が30から40パーセント増加していること,庚駅周辺の飲食店業の売上が増加したことが認められる。 以上のことから,乙公園は,県民及び県外の観光客を対象とした大型観光資源としての意味を持ち,その経済効果による地域振興の効果や,岡山県の知名度及びイメージの向上等の効果を有していると認められる。 これらを総合すれば,仮に原告の主張するように本件無償貸付に法232条の2の適用があるとしても,未だ岡山県知事の本件無償貸付の公益上の必要性の判断に裁量権の濫用ないし逸脱があったとまでは認められない。 ゆえに,被告会社についても原告ら主張の違法は認められない。 3 以上の次第であるから,原告らの請求はいずれも理由がないから棄却し,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第2民事部裁判長裁判官小野木等裁判官政岡克俊裁判官内山真理子
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