令和4(ワ)395 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年5月21日 京都地方裁判所
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判決文本文34,415 文字)

令和4年(ワ)第395号損害賠償等請求事件判決 主文 1 被告b、被告c、被告e及び被告fは、原告会社に対し、連帯して、2億7411万0635円及びうち2億4911万0635円に対する令和2年10月 24日から、うち2500万円に対する同年7月13日から各支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 原告会社のその余の請求及び原告aの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、原告会社と被告b、被告c、被告e及び被告fとの間に生じたものは、被告b、被告c、被告e及び被告fの連帯負担とし、原告会社と被告dと の間に生じたものは、原告会社の負担とし、原告aと被告らとの間に生じたものは、原告aの負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求(不法行為に基づく損害賠償請求・以下「請求A」という。)⑴ 被告らは、原告会社に対し、連帯して、2億7411万0635円及びこれに対する令和2年7月13日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告らは、原告aに対し、連帯して、550万円及びこれに対する令和2年 7月13日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告らに対する予備的請求(債権者代位構成・以下、同構成による請求を「請求C」という。)被告らは、原告会社に対し、連帯して、2億5000万円及びこれに対する令和2年7月13日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 被告cに対する予備的請求1(不当利得返還請求・以下「請求B」という。) 被告cは、原告会社に対し、2億4911万0635円及びこれに対 年3%の割合による金員を支払え。 3 被告cに対する予備的請求1(不当利得返還請求・以下「請求B」という。) 被告cは、原告会社に対し、2億4911万0635円及びこれに対する令和2年10月24日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 4 被告cに対する予備的請求2(請求C)被告cは、原告会社に対し、2億5000万円及びこれに対する令和2年7月13日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、原告会社が、被告bの被告cに対する債務の弁済金として、被告d名義の口座に被告b名義で2億5000万円を送金し、同金員は被告dから被告cに交付されたことについて、原告会社及びその代表取締役である原告aが、被告らに対し、次の各請求(各遅延損害金請求を含む。)をする事案である。 ⑴ 原告会社の主位的請求及び原告aの請求【請求A】ア被告c、被告d、被告bについて被告c、被告d及び被告bが共謀の上、又は被告d及び被告bが被告cを幇助して、①被告bの被告cに対する借入金債務を弁済すれば、10億円の融資をする旨虚偽を申し向けて、原告会社代表者(原告a)にその旨誤信さ せ、2億5000万円を送金させたうえ、脅迫によりその返還請求を断念させたこと、②被告bの被告cに対する借入金債務は、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)の規制の上限を超える違法金利によるものであったところ、そのような違法な契約に基づいて債務の弁済を要求したり、弁済を受領したりしたこと、若しくは、③契約 準備段階の信義則上の義務に違反して、融資条件を告知せず又は契約交渉を不当破棄したことにより、原告会社が損害を被ったものであり、被告c、被告 たり、弁済を受領したりしたこと、若しくは、③契約 準備段階の信義則上の義務に違反して、融資条件を告知せず又は契約交渉を不当破棄したことにより、原告会社が損害を被ったものであり、被告c、被告d及び被告bは共同不法行為責任を負うと主張して、原告会社が、同被告らに対し、連帯して、民法709条、719条による損害賠償請求権に基づき、2億7411万0635円(上記送金額及びこれに対する令和2年7月 13日(送金日)を起算日とし、同年10月23日(被告bによる最終の弁 済日)までの確定遅延損害金211万0635円に対し、被告bによる弁済金300万円を充当したもの並びに弁護士費用2500万円の合計額)を求めるとともに、原告aが、①により原告会社の経済的損失にとどまらない精神的苦痛を被ったと主張して、同被告らに対し、連帯して、550万円(慰謝料500万 円及び弁護士費用50万円)の支払を求めるものイ被告e及び被告fについて被告e及び被告fは、被告c及び被告dが所属する指定暴力団の代表者であり、上記アの各不法行為は威力利用資金獲得行為として行われたものであるとして、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴対法」 という。)31条の2による損害賠償請求権に基づき、被告e及び被告fに対し、他の被告らと連帯して、上記アと同様の支払を求めるもの⑵ 原告会社の予備的請求ア被告cについて【請求B】原告会社が被告b名義で支払い、被告cが受領した2億5000万円につ き、被告cの利得は法律上の原因を欠く(被告bの被告cに対する借入金債務の弁済名目であったとしても、同債務は違法金利による金銭消費貸借契約に基づくものであり、暴利行為として公序良俗に反し無効である)として、原告会社が、被告 原因を欠く(被告bの被告cに対する借入金債務の弁済名目であったとしても、同債務は違法金利による金銭消費貸借契約に基づくものであり、暴利行為として公序良俗に反し無効である)として、原告会社が、被告cに対し、民法704条に基づき、2億4911万0635円(請求Aと同様の計算により、原告会社の損失2億5000万円に被告 bの弁済金を充当したもの)の支払を求めるものイ被告らについて【請求C】仮に、2億5000万円の支払は、原告会社ではなく、被告bが、被告cに対する債務の弁済をしたものであるとした場合、以下の権利関係に基づき、原告会社の被告bに対する債権を保全するため、債権者代位権に基づき、被 告bの有する各損害賠償請求権を行使して、被告らに対し、連帯して、2億 5000万円の支払を求め、または、被告bの被告cに対する不当利得返還請求権を行使して、同被告に対し、2億5000万円の支払を求めるもの 原告会社は、被告bに対し、前記⑴アの不法行為に基づく損害賠償債権、又は2億5000万円の立替金求償債権を有しているところ、被告bは無資力である。 被告bは被告cに対し、前記⑴ア②のとおりの不法行為に基づく損害賠償請求権、又は同⑵アのとおりの不当利得返還請求権を有している。 被告dは、被告cと共謀の上、又は被告cを幇助して上記不法行為に加功したものであるから、被告bは被告dに対し、不法行為による損害賠償請求権を有している。 被告bは被告e及び被告fに対し、前記⑴イのとおりの暴対法31条の2による損害賠償請求権を有している。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠(特記しない限り各枝番を含む。以下同様)及び弁論の全趣 告fに対し、前記⑴イのとおりの暴対法31条の2による損害賠償請求権を有している。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠(特記しない限り各枝番を含む。以下同様)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者 ア原告ら原告会社は、企業の組織変更や経営等に関するコンサルティング業務を行う株式会社であり、原告aは原告会社の代表取締役である(甲1)。 イ被告ら被告bはいわゆる金融ブローカーとして活動する者である。 被告eは特定抗争指定暴力団g組の代表者である組長、被告fはg組の副組長兼同組の二次団体である二代目h組の組長である(甲4、10)。 令和2年7月12日当時、被告cはh組の組長代行でc組の組長であり、被告dはh組の若頭補佐であった(甲4)。 被告cは、本件とは別に、貸金業法の登録を受けないで、業として、平 成30年9月26日頃及び令和2年2月7日頃に現金貸付行為をしたと して、令和4年10月4日、貸金業法違反被告事件(京都地方裁判所令和4年(わ)第557号)につき有罪判決を受けた(甲21)。 被告c(▲▲▲▲年▲月▲日生)は、令和6年2月7日確定の審判をもって成年後見が開始され(京都家庭裁判所令和5年(家)第30131号)、成年後見人が選任された。 ⑵ 原告会社から被告dを経由した被告cに対する金銭の交付ア令和2年7月13日、原告会社から被告bの名義で、被告d名義の口座(以下「被告d口座」という。)に2億5000万円が送金され(以下「本件送金」ということがある。)、同日、被告cは被告dから同金員を受け取った(甲6、7、丙2)。 イ ⑵アの金員については、被告cから原告会社に対して返還されていない 万円が送金され(以下「本件送金」ということがある。)、同日、被告cは被告dから同金員を受け取った(甲6、7、丙2)。 イ ⑵アの金員については、被告cから原告会社に対して返還されていない(争いなし)。 ⑶ 被告bは、本件送金に関し、原告会社に対して、令和2年10月9日、同月16日、同月23日にそれぞれ100万円ずつを支払った(争いなし)。 ⑷ 本件に関連する刑事処分等 本件については、本件送金に関して被告b、被告c及び被告dを被疑者とする原告aに対する詐欺事件、同原告に金員返還請求を断念させたことに関して被告c及び被告dを被疑者とする恐喝事件として捜査されていたが、いずれも令和3年12月23日不起訴処分となった。その後、京都第二検察審査会において審査が行われ、令和4年7月5日、被告bは、上記詐欺事件について起訴 相当、被告c及び被告dは同詐欺事件について不起訴不当、上記恐喝事件について不起訴相当と議決された(甲22)。 3 主な争点⑴ 被告らが原告らに対してした不法行為に基づく損害賠償請求について【請求A】 ア被告c、被告d及び被告bが、原告らに対して、欺罔行為及び脅迫行為(以 下「欺罔行為等)という。)をしたか(争点①)イ被告bの被告cに対する債務が違法金利により公序良俗に反するものであり、被告c、被告d及び被告bが、原告会社に対して、債務返済を請求・受領した行為が不法行為となるか(争点②)ウ被告c、被告d及び被告bが、原告会社に対する信義則上の義務に違反し たか(争点③)エ被告c、被告dによる上記各不法行為が成立する場合、それらが、威力利用資金獲得行為(暴対法31条の2)を行うについて他人の生命、身体又は財産を侵害したときに該当するか( たか(争点③)エ被告c、被告dによる上記各不法行為が成立する場合、それらが、威力利用資金獲得行為(暴対法31条の2)を行うについて他人の生命、身体又は財産を侵害したときに該当するか(争点④)⑵ 原告会社の被告cに対する不当利得返還請求について【請求B】 原告会社が送金した2億5000万円を被告cが受領したことにつき、争点②と同様の理由により、法律上の原因がないといえるか(争点⑤)⑶ 原告会社の被告bに対する債権を被保全債権として、その余の被告らに対する被告bの債権を代位行使する旨の債権者代位権に基づく請求について【請求C】 主な争点は、原告会社の被告bに対する債権につき争点①から③、被告bの被告c、被告dに対する債権につき争点②・⑤、被告bの被告e及び被告fに対する債権につき争点④と同旨 4 争点に対する当事者の主張⑴ 争点①(被告c、被告d及び被告bが、原告らに対して、欺罔行為等をした か)について(原告らの主張)ア原告会社代表者である原告aは、本件送金をする前の令和2年7月9日及び12日、被告cに対し、2億5000万円の送金さえ行えば確実に10億円の融資が実行されるのかについて何度も質問したところ、被告cは、「ち ゃんと6億円は手元に用意してある。」などと応答するとともに、10億円 の融資の条件等を記載した書面(甲5)の作成に応じるなど、原告aの融資実行に対する信用を得るための言動を繰り返し行い、同月13日、原告会社に本件送金をさせた。 ところが、本件送金を受けた後の同日午後には、被告cは、本件送金の返金を求める原告aに対し、「うちの組織に何か文句があるんか。」などと恫喝 し、脅迫によって原告会社の返還請求を断念させた。 ところが、本件送金を受けた後の同日午後には、被告cは、本件送金の返金を求める原告aに対し、「うちの組織に何か文句があるんか。」などと恫喝 し、脅迫によって原告会社の返還請求を断念させた。 これらの被告cの行為は、当初から原告会社に融資をする意思がないにもかかわらず、原告会社から金員を詐取する目的でなした欺罔行為及び脅迫行為であり、不法行為に当たる。 イ被告dは、被告cの指示のもと、原告会社と被告dとの間の借用書(甲5) の作成、送金先口座の提供をし、さらには、原告会社から被告d口座に送金された2億5000万円を引き出し、被告cに交付するなどの行為に及んだ。 また、原告aが、本件送金の返還を求めると、令和2年7月13日、「代行を怒らせたら俺も止められない。そのままそこに居続けたらあなたの身も危ないよ。」などと述べ、被告cに対する金銭返還請求をそれ以上行えば、暴力団 による加害行為の可能性があることを告知した。 このように被告dは、被告cの指示のもと、同人による前記不法行為の一部の行為ないしそれを援助、助長する行為を行っており、共同不法行為責任を負う。 ウ被告bは、被告cから借入金の返済を強く求められていたことから、被告 cに原告aへの融資を実行する意思はなく、あくまでも被告bへの債権回収を意図していることを承知しながら、原告aを被告cに引き合わせ、被告cから融資を受けられるものと原告aに信用させるために、被告cには資力があり、過去にも融資実績があるかのような言動を繰り返し行った。 このように、被告bは、被告cの上記意図を理解した上で、上記行為に及 んでおり、被告bも共同不法行為責任を負う。 エ上記アないしウの被告c、被告d及び被告bの一連 このように、被告bは、被告cの上記意図を理解した上で、上記行為に及 んでおり、被告bも共同不法行為責任を負う。 エ上記アないしウの被告c、被告d及び被告bの一連の行為は、原告aに対し、原告aを欺罔して2億5000万円を用立てさせ、暴力団の威力を示して本件送金の返還を断念させる行為であるから、原告aとの関係でも、不法行為に当たる。 (被告cの主張) ア被告cが、被告d口座に送金された2億5000万円を受領したことは認めるが、その余の事実は否認する。 被告cは、令和2年7月頃、被告bの紹介で原告aから融資の依頼を受け、原告aから計画している事業の説明などを受けたものの、初対面で素性もわからない人間に金を貸すことはできない旨述べて断った。被告cと原告aと の間にそれ以上のやり取りはない。 イ被告cと被告bは、平成28年2月16日、被告bが平成20年頃被告cに対して架空の不動産投資を持ち掛けたことによる損害賠償請求権4億円及びこれに対する遅延損害金5000万円を目的として、準消費貸借契約を締結し、債務確認弁済約定書を作成した。令和元年9月17日、被告bが2 億2000万円を返済し、被告cと被告bは、上記残元本2億3000万円について、返済日を令和2年1月末日とする合意を再度行った。その際、上記債務確認弁済約定書の末尾に被告bの手で追記がなされた。 上記経緯の下で被告cが受領した2億5000万円は、残元本の2億3000万円に被告bが自主的に付した遅延損害金である2000万円を加え たもので、被告bによる上記債務の弁済として受領したものである。 (被告dの主張)ア否認する。 原告a及び被告bは、令和2年7月9日ころ、融資の依頼のために被告c宅を訪れ、被告 たもので、被告bによる上記債務の弁済として受領したものである。 (被告dの主張)ア否認する。 原告a及び被告bは、令和2年7月9日ころ、融資の依頼のために被告c宅を訪れ、被告cと面談したが、その融資の依頼は、原告aと被告bが共同 事業の資金を得る目的で行ったものであり、融資先は原告会社ではなく、被 告bを予定していた。もっとも、被告dはこの日の面談に関わっていない。 また、被告cは、同年春から夏にかけての頃、被告bが原告aを伴わずに被告c宅を訪ねて融資を申し入れた際、被告bに対して、融資の条件として、被告bの借金の完済、訴外iの口利き(暴力団が行う貸金等において、借主に不払いが発生した場合、口利きを行った者が貸主から履行請求を受けると いうもの)が必要であることを伝えていた。原告会社は、iの口利きが得られなかったために融資が受けられなかったに過ぎない。 イ被告dは、令和2年7月12日に被告cから口座を貸すよう電話で依頼されて、同被告宅での面談に途中から同席した。その際、被告bが被告cに対する債務を返済するので、口座を持っていない被告cの代わりに送金を受け 取ってくれと説明されたにとどまる。同月13日、被告d口座に2億5000万円の送金があったが、同入金は被告bの名義で行われたものであり、被告dは被告bからの上記債務の返済金であると考えていた。 また、原告らが提出する借用書(甲5)は、被告dが、同月12日、被告c宅での面談に同席した際に、原告a又は被告bに依頼されて署名したもの であるが、被告dが署名した時点では白紙であり、印字部分は存在しなかった。 (被告bの主張)否認する。 被告bには、被告c及び被告dと共謀して、原告らを騙す意図はなかっ であるが、被告dが署名した時点では白紙であり、印字部分は存在しなかった。 (被告bの主張)否認する。 被告bには、被告c及び被告dと共謀して、原告らを騙す意図はなかった。 被告c及び被告dからは、被告bの債務を弁済すれば必ず融資を実行すると言われていた。 もっとも、被告bは、原告aが2億5000万円を用意することは難しいと考えていたため、原告aに対して、被告bの債務の代理弁済を促すようなことはしていない。原告aから「お金が用意できるかもしれないから京都に連れて 行ってほしい」と頼まれて、原告aと被告cとが面談する機会を改めて用意し たが、その際、被告bは、被告cから原告aに対する10億円の融資が実行されると確信していた。 ⑵ 争点②(被告bの被告cに対する債務が違法金利により公序良俗に反するものであり、被告c、被告d及び被告bが、原告会社に対して、債務返済を請求・受領した行為が不法行為となるか)について (原告会社の主張)ア被告bと被告cとの間に存在したとされる金銭消費貸借契約の内容は、以下のとおりである。 契約日平成20年ころ貸付金額 3億円 利率月利10%(年利120%)イ出資法が、出資法の上限を超える利息の契約をしたり、当該割合を超える利息を受領したり、その支払を要求した者に対し、刑事罰をもって臨んでいる趣旨に鑑みると、同法の上限を超える利息の契約自体が公序良俗に反するものとして無効であるとの評価を受けるべきであるのみならず、同契約に基 づいて利息を受領したり、支払を要求するといった行為は、その行為の悪性が著しいということができ、当該行為自体が不法行為に当たる(大阪地方裁判所平成28 受けるべきであるのみならず、同契約に基 づいて利息を受領したり、支払を要求するといった行為は、その行為の悪性が著しいということができ、当該行為自体が不法行為に当たる(大阪地方裁判所平成28年5月27日判決・判例時報2318号69頁)というべきであり、これを債務者でない第三者に対して行う行為の悪性は顕著である。 ウ原告会社が支払を求められ、送金に応じた2億5000万円は、上記金銭 消費貸借契約における違法な高金利に基づく残高であり、直接の脅迫行為、欺罔行為が介在していなかったと仮定しても、被告c及び被告dが、原告会社に対し、このような金銭の支払を要求する行為、同金員を受領する行為自体が不法行為を構成する。 そして、被告bは、被告c及び被告dを幇助したから、上記行為について、 被告bも責任を負う。 (被告cの主張)ア否認する。 原告会社が主張する内容の金銭消費貸借契約は存在しない。被告cと被告bとの間の準消費貸借契約締結等の経緯は前記第2の4⑴(被告cの主張)イのとおりであり、同準消費貸借契約に基づく遅延損害金の年利は約19. 4%にとどまる。 イまた、出資法の上限を超える利息契約に基づく利息の受領、支払要求行為が常に不法行為に該当すると解するべきではなく、利息契約締結の経緯や受領、支払要求行為の態様を総合考慮するべきである。 本件では、原告会社が引用する裁判例の事案のように、元本額を大きく超 える利息を受領していたといった事情はなく、また、弁済の受領によって原告会社に損害を与えたということができるかも疑問であり、弁済の受領は不法行為に当たらない。 (被告dの主張)ア被告dに被告b・被告c間の金銭消費貸借契約の利率が極めて高いも によって原告会社に損害を与えたということができるかも疑問であり、弁済の受領は不法行為に当たらない。 (被告dの主張)ア被告dに被告b・被告c間の金銭消費貸借契約の利率が極めて高いもので あったという認識はなかった。 被告dは、本件送金を受ける前日に同席した以外は、原告a及び被告bと会っておらず、本件送金の経緯については詳しくは知らなかった。また、被告dは、以前被告cから、被告bが被告cに対して詐欺を行ったことを理由とする損害賠償請求権を貸金債権とする旨の弁護士作成に係る合意書を見 せられたことがあり、本件送金に関しても、被告cからは、被告bから受けた詐欺に係る金銭が返ってくることになったと聞いていた。 したがって、被告dは、本件送金は適法なものであると考えていた。 イまた、被告dが、本件送金のための送金先口座を提供したのは、被告cが口座を持っていないので貸してほしいなどと述べたために、被告cに代わっ て受け取ることとしたに過ぎない。被告dは、被告bに対して、振り込むの であれば自らの口座で構わない旨述べて、金銭を受け取っただけであり、支払を要求していない。 (被告bの主張)原告会社の主張はいずれも否認ないし争う。 ⑶ 争点③(被告c、被告d及び被告bが、原告会社に対する信義則上の義務に 違反したか)について(原告会社の主張)ア信義則上の告知義務について原告会社が現に被告cに融資を申し込み、その条件等を確認する借用書(甲5)が作成されていること、被告c及び被告dから、本件送金の振込 先口座及び振込人名義について具体的な指示がなされていることなどからすれば、被告cと原告会社との間には、10億円の融資を実現するための交渉が ていること、被告c及び被告dから、本件送金の振込 先口座及び振込人名義について具体的な指示がなされていることなどからすれば、被告cと原告会社との間には、10億円の融資を実現するための交渉が具体的に進行していたといえる。 このように契約準備段階に入った者は、一般市民間における関係とは異なり、信義則の支配する緊密な関係に立ち、のちに契約が締結されたか否 かを問わず、相互に相手方の人格財産を害しない信義則上の義務を負う。 しかし、実際には、原告会社が、訴外bに代わって2億5000万円を返済しても、iによる保証などの条件が成就することは考えられなかったのであるから、被告cが10億円の融資を実行する見込みはなかったか、もしくは、その可能性は極めて低かったといえる。 そうであるにもかかわらず、被告c及びその契約準備行為に関与した被告dは、原告会社に対し、本件送金の前に、被告cによる融資の実行はiの保証を含め融資条件があることやその条件の内容を告知せず、原告会社に10億円の融資が実行されるものとの誤信を抱かせたのであり、少なくとも、この点に上記信義則上の義務の違反がある。 したがって、被告c及び被告dは、原告会社に対し、その誤信を生ぜし め、融資実行のための本件送金をさせたことにつき、不法行為に基づく損害賠償義務を負う。 イ契約交渉の不当破棄について令和2年7月13日(本件送金の当日)に6億円、その1週間後である同月20日に4億円の融資がされる旨の借用書(甲5)が交付されている ことからすれば、遅くとも本件送金までに、少なくとも、10億円の融資に関する契約が成立するものと、原告会社が合理的な期待を有する状態に至ったことは明らかであるから、原告会社と被告c及び被告dとは、 ことからすれば、遅くとも本件送金までに、少なくとも、10億円の融資に関する契約が成立するものと、原告会社が合理的な期待を有する状態に至ったことは明らかであるから、原告会社と被告c及び被告dとは、上記アと同様に、相互に相手方の人格財産を害しない信義則上の義務を負う。 このように契約交渉の一方当事者が、交渉の結果に沿った契約の成立を 期待し、そのための資金調達などの準備を進めるのが当然であるとみられるような段階に達した場合には、その相手方当事者が、その期待を裏切り、一方的に契約交渉を破棄することは、前記信義則上の義務違反として不法行為を構成する。 したがって、被告cが、原告会社から本件送金を受けた後、一方的に融 資を拒絶した行為は、原告会社に対する不法行為である。 ウ以上のとおり、被告c及び被告dは、原告会社の受けた損害を賠償する責任を負い、被告bも、被告c及び被告dを幇助したから、共同不法行為責任を負う。 (被告cの主張) ア 10億円の融資を実現するための交渉が具体的に進行していたとの主張は否認する。借用書(甲5)の作成経緯は不明であるが、被告dに宛てたものであって、被告cは一切関与していない。また、被告dが、被告bに送金先口座を伝える目的で被告d口座の番号を記載したメモを作成したとしても、これをもって融資に関する交渉が具体的に進行していたということはで きない。 そうすると、結局は、被告cが、原告aに対し、被告bの債務を肩代わりすれば、10億円の融資をする旨述べたかの問題に帰着するが、そのような事実がないことは前記第2の4⑴(被告cの主張)アで述べたとおりである。 イ契約交渉の不当破棄に関しても、被告cは原告会社の融資申込みを即座に断 する旨述べたかの問題に帰着するが、そのような事実がないことは前記第2の4⑴(被告cの主張)アで述べたとおりである。 イ契約交渉の不当破棄に関しても、被告cは原告会社の融資申込みを即座に断っているから、10億円の融資に関して契約準備段階に入ったとはいえな い。 (被告dの主張)ア被告dに信義則上の告知義務が発生するという主張は争う。契約準備段階における信義則上の義務を負うのは、契約当事者になろうとする者に限定すべきであり、そのような者以外には信義則上の告知義務は発生しない。 本件送金の基礎に、原告会社から被告cに対する金銭消費貸借契約の申込みがあったとしても、被告dは、上記金銭消費貸借契約の当事者になる予定は全くなかったのであるから、被告dには信義則上の告知義務は発生しない。 また、そもそも原告会社は、被告cが暴力団員であり無登録貸金業者であることを認識しながら融資を受けようとしたのであり、その期待は法的保護 に値しない。 イ仮にアの点を措いても、被告dは、令和2年7月13日の送金の時点で、被告bの経済力を知らず、また、被告bがiを介さずに、融資の依頼をしているとは思っていなかった。 したがって、被告dには、原告会社主張の信義則上の告知義務はない。 ウ被告dは、本件送金当日の朝、原告aから電話を受けたが、その際「bの債務を肩代わりしてまでする必要はないのではないか。よく考えた方が良い。 bからの振り込みなら受け取ると言ったが、aさんからの振り込みなら受け取れない。」旨を伝えた。 したがって、仮に被告dに信義則上の告知義務があるとしてもその違反は ない。 (被告bの主張)原告会社の主張はいずれも否認ないし争う。 ⑷ 争点④(被 えた。 したがって、仮に被告dに信義則上の告知義務があるとしてもその違反は ない。 (被告bの主張)原告会社の主張はいずれも否認ないし争う。 ⑷ 争点④(被告c、被告dによる上記各不法行為が成立する場合、それらが、威力利用資金獲得行為(暴対法31条の2)を行うについて他人の生命、身体又は財産を侵害したときに該当するか)について (原告らの主張)ア暴対法31条の2の規定の立法趣旨やその文理に照らすと、同条本文の「威力を利用」する行為については、資金獲得のために威力を利用するものであればこれに含まれ、被害者又は共犯者に対して威力が示されることは必要ではないと解するのが相当である。また、「威力を利用して」とは、当該指 定暴力団に所属していることにより資金獲得行為を効果的に行うための影響力又は便益を利用することをいい、当該指定暴力団員としての地位と資金獲得行為とが結び付いている一切の場合をいうと解するのが相当である。 イ被告c及び被告dによる詐欺行為は、無資力の被告bに代わる第三者からの債権回収を意図したものであるが、被告bが、被告cの行為に協力す ることとしたのは、被告cが指定暴力団の主要幹部であり、同被告から脅迫的な督促を受けていたからに他ならない。また、被告cは、被告d、被告bと意を通じ、原告らに対して、暴力団組織の存在を示し、原告会社が支払った2億5000万円の返還請求を断念させるような言動を行っている。このように、被告cが、被告bに対する債権を回収する目的で原告 会社から金銭を支払わせ、さらにその返還を威迫により妨害した一連の行為は、威力利用資金獲得活動に該当する。 また、被告c及び被告dの弁済受領行為についても、違法な高金利での貸付けを前提とし、その債 社から金銭を支払わせ、さらにその返還を威迫により妨害した一連の行為は、威力利用資金獲得活動に該当する。 また、被告c及び被告dの弁済受領行為についても、違法な高金利での貸付けを前提とし、その債権を回収し、または回収を図る行為であるから、無登録での貸金業、すなわちいわゆるヤミ金融業として威力利用資金獲得 活動に位置付けられる事業に属する行為であるといえる。 信義則上の義務違反の不法行為についても、原告会社が、ヤミ金融業を営む被告cに対し、融資を申し込み、その融資をめぐる契約交渉過程で生じたものであるから、被告cの事業の範囲、もしくは事業と密接に関連する行為に当たる。したがって、上記信義則上の義務違反の不法行為は、威力利用資金獲得活動に密接に関連する行為に当たるから「威力利用資金獲 得行為を行うについて他人の生命、身体又は財産を侵害したとき」に当たる。 ウしたがって、被告e及び被告fは、暴対法31条の2に基づく賠償責任を負う。 (被告e、被告fの主張) ア争う。 本件送金が、被告bの被告cに対する損害賠償債務の弁済ということであれば、被告cが「生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得」たとは評価できないし、被告e及び被告fが「直接又は間接にその生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得」たものにも当 たらない。 イそもそも、被告cが「信用を補完しろ」と述べて担保を要求したことは明らかであり、令和2年7月12日の時点では、客観的には金銭消費貸借契約の交渉半ばにも至っていない状況だった。原告aは、まずは2億5000万円の返済を行って信用の代わりにしようとしたが、被告cの要求した担保た り得ないものであるから、被告cが融資を断ったにすぎ の交渉半ばにも至っていない状況だった。原告aは、まずは2億5000万円の返済を行って信用の代わりにしようとしたが、被告cの要求した担保た り得ないものであるから、被告cが融資を断ったにすぎない。 ⑸ 争点⑤(原告会社が送金した2億5000万円を被告cが受領したことにつき、争点②と同様の理由により、法律上の原因がないといえるか)について(原告会社の主張)ア令和2年7月13日、原告会社から送金された2億5000万円は、被告 cの指示に従って、被告bの名義で被告d口座に送金された上、被告dが、 すぐに出金して被告cに交付し、もって、被告cがこれを受領した。 イ前記第2の4⑵(原告会社の主張)アで述べたとおり、被告cと被告bとの間で締結された金銭消費貸借契約は、月利10%と著しく高利であるから、公序良俗に反して無効である。 ウよって、被告cが、原告会社が送金した2億5000万円を受領したこと は不当利得に当たる。 (被告cの主張)前記第2の4⑴(被告cの主張)イのとおり、被告bの被告cに対する債務は金銭消費貸借契約に基づくものではない。仮に本件送金が金銭消費契約に基づく返済金であるとしても、高利とは認められないから、いずれにしても、被告cが これを受領したことには法律上の原因がある。 第3 当裁判所の判断 1 当事者間に争いのない事実、前記前提事実に加え、証拠(各項末尾に掲記するもののほか、甲8、13、丙7、原告a本人、被告b本人、被告d本人。ただし、以下の認定に反する部分は、その余の関係各証拠に照らし、採用できない。)及び 弁論の全趣旨によって認められる事実(以下「認定事実」という。)⑴ 被告bと被告cの金銭消費貸借関係等ア被告c 反する部分は、その余の関係各証拠に照らし、採用できない。)及び 弁論の全趣旨によって認められる事実(以下「認定事実」という。)⑴ 被告bと被告cの金銭消費貸借関係等ア被告cは、京都で名の知れた、いわゆるヤミ金融業者である。 被告bは、平成20年頃、暴力団員であるiの紹介で、暴力団員であることを認識したうえで、ヤミ金融業者として被告cと知り合った。 イ被告bは、当時、株式会社jの代表取締役を務めるなど複数の事業に関わっていたところ、iの「口利き」(暴力団が行う貸金等において、借主に不払いが発生した場合、口利きを行った者が貸主から履行請求を受けるというものであり、保証に当たるものと解される。)で、被告cとの間で3億円の金銭消費貸借契約を締結した(以下「本件金銭消費貸借」ということがある。)。 被告bは、当初の借入れの後も1億円や数千万円などといった金員を被告c から借り入れていた。 ウ株式会社jは、関連会社の不正流用事件の関係者からの第三者申立てにより平成22年9月8日に東京地方裁判所の破産手続開始決定を受け、平成24年7月頃破産手続を終結した。被告bは、これに関連する背任事件で有罪となって平成23年9月から平成27年12月24日まで刑務所に収容さ れた。被告b自身も破産手続を経たものの免責不許可決定を受け、被告bによれば、出所時点で約220億円の債務が残存していた(甲15、16)。 エ被告bは、出所後、iも同席して被告cとの間で、服役期間中の利息を1億5000万円として、当該時点の元利金合計4億5000万円を元本とする借入金債務(本件金銭消費貸借を原因債権とする準消費貸借による債務と 解されるが、以後の同債務についても、「本件金銭消費貸借」ということ として、当該時点の元利金合計4億5000万円を元本とする借入金債務(本件金銭消費貸借を原因債権とする準消費貸借による債務と 解されるが、以後の同債務についても、「本件金銭消費貸借」ということがある。)を確認し、平成27年12月24日以降の金利を月1%とするなどと合意し、被告cの依頼を受けた弁護士が作成した債務確認弁済約定書と題する書面に、金額を4億5000万円、日付を平成28年2月16日と書き入れ、署名押印するなどして、被告cに差し入れた(丙1)。 オ被告bは、借入金返済の遅滞が続くと厳しい督促があることから、被告cに対して遅滞を謝罪するために、iと共に謝りに行くこともあったところ、被告cが、iに対して、責任を取れと迫るなどして両者がもめることもあった。 カ令和元年9月17日頃までに、被告bの知人である訴外kから2億円余が 被告cに支払われ、本件金銭消費貸借に基づく残元本は2億円程度となっていた。なお、kは、上記の支払につき不法行為による損害ないし不当利得に当たるとして、被告c及び被告eを相手方として東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した(甲12)。 ⑵ 原告aが被告bから被告cを紹介されるに至った経緯について ア原告aは、令和元年秋頃に、知人から、資金調達のプロなどと説明されて、 被告bと知り合ったが、本件以前には、被告bに資金調達の依頼をしたことはなかった。 なお、令和2年当時、被告bは、株式会社lの代表者を務めるとともに金融ブローカーを業とするなどしていた。 イ令和2年3月頃、原告会社は、新たな事業参画のため同年六、七月頃まで に少なくとも五、六億円の資金を用立てる必要を生じたが資金調達に難航し、原告aは、被告bに対し、資金調達先の紹介を依頼した。 令和2年3月頃、原告会社は、新たな事業参画のため同年六、七月頃まで に少なくとも五、六億円の資金を用立てる必要を生じたが資金調達に難航し、原告aは、被告bに対し、資金調達先の紹介を依頼した。 ウ被告bは、原告aを被告cに会わせる前に、四、五人の投資家を紹介したが、いずれも話がまとまらなかった。 令和2年5月下旬から同年6月頃、被告bは、原告aに対し、「京都に最強 の資産家がおり、10億円くらいポンと貸してくれるが、被告bがその資産家から借りている2億5000万円の返済が必要となる」などと述べて被告cの話をした。 なお、被告bは、被告cに対する債務を2億5000万円と述べた内訳として、平成20年頃に借り入れた3億円(本件金銭消費貸借)の残元本2億 円に、未払利息として3000万円を加え、更に、被告cからの新たな融資を促すために、被告bが任意に2000万円を上乗せしたものであると説明する。 エ原告aは、資金調達ができないまま期限が近付いたことから、被告cに引き合わせてもらうよう、被告bに依頼した。 被告bは、原告aを被告cに引き合わせる前に、被告cに電話をして、10億円を借りたい人がいる旨を申し伝えた。被告cからは、被告bの借金が残っている、それを返したら貸してやるという趣旨の話をされた。被告bは、返済金として2億5000万円を持っていくのでよいかなどと話し、被告cとの間で借入金返済額を確認した。 ⑶ 被告c宅における令和2年7月9日の第1回面談(以下「第1回面談」とい う。)ア第1回面談前に、被告bは、被告cの素性を尋ねた原告aに対し、昔やんちゃをしていたが、今は好々爺であると説明し、被告cが現役の暴力団員であることは説明しなかった。 イ原 う。)ア第1回面談前に、被告bは、被告cの素性を尋ねた原告aに対し、昔やんちゃをしていたが、今は好々爺であると説明し、被告cが現役の暴力団員であることは説明しなかった。 イ原告aは、被告bとともに融資の申込みをするために、被告cと面談した。 このとき、原告aは、被告cと初めて顔を合わせた。 上記3名のほかに面談に同席したのは被告cの妻のみであり、被告dは第1回面談には同席していない。 ウ被告bは、被告cに対し、原告aを、長く個人的な付き合いがある被告bの先輩であり、事業を一緒に行っているパートナーだと説明した。 エ融資及び本件送金についての面談内容原告aは、被告cに対し、原告会社が計画している事業の内容を説明して、その資金として10億円の融資を依頼した。これに対し、被告cは、6億円を現金で自宅に置いているから、被告bの債務2億5000万円の返済が済めば、即融資をしてやる旨を述べた。また、被告cは、返済は原告会社から ではなく、被告bが貸付けを受けて、被告cに返済する形をとること、現金で支払うことを要求した。原告aは現金を持ち運んでの支払に難色を示し、結論が出ないまま面談を終えた。この時点では、融資の実行日や条件、次回面談の日取りについては、決まっていなかった。 ⑷ 第1回面談後の原告a、被告bの行動 ア原告aは、被告bに対し、次の段取りや条件等を考えようと話を持ち掛けたところ、被告bがそうした調整は自分がやると言い、原告aは被告bに任せることとした。 イ原告aは、金利や返済期限については、融資を受けた後に被告bに任せて調整すればよいなどと考え、令和2年7月13日までに、被告bに対しても 被告cに対しても特に協議を求めることはなかった。 原告aは、金利や返済期限については、融資を受けた後に被告bに任せて調整すればよいなどと考え、令和2年7月13日までに、被告bに対しても 被告cに対しても特に協議を求めることはなかった。 他方、原告aは、被告bとの間で、被告cからの融資を成功させた場合の被告bの報酬(手数料)を3000万円と取り決めた。 ウ原告aは、「借用書」(甲5)の印字部分を作成して次回面談に持参することとした。 エ被告bは、被告cとの次回面談を令和2年7月12日と取り決めたが、一 連の面談等の経過全体を通じて、被告cとの間で、原告会社への融資に関して金利、担保等の話をしたことはなかった。 ⑸ 被告c宅における同月12日の第2回面談(以下「第2回面談」という。)ア原告a及び被告bと被告cとの第2回面談の序盤、被告cは、被告bに向かって「信用を補完しろ」又は「補完しろ、信用だ」などと何度か発言した が、被告bは特に回答をせず、意味を問い返すこともなかった。 原告aは、被告cに対して、上記発言の意図を尋ねないまま、横から口を挟む形で、融資金の使途となる事業内容を再度説明した。被告cは、これに対して特に何も言わず、その後は信用の補完などの発言はしなかった。 イ話合いの内容は、被告bの債務返済方法に移り、送金先口座として被告d 口座を借りる話になった。被告cは、電話で被告dを呼び出し、被告dが途中から参加した。 その後、具体的な送金方法を中心に話し合われ、送金先口座として被告d口座を使用すること、翌13日に送金を実行することが決まった。被告dは、被告d口座の番号等をメモに記載して原告a又は被告bに交付した。原告a は、これを受け取り、同メモに「bの名前で」と書き込んだ(甲6)。 ウ原告a 金を実行することが決まった。被告dは、被告d口座の番号等をメモに記載して原告a又は被告bに交付した。原告a は、これを受け取り、同メモに「bの名前で」と書き込んだ(甲6)。 ウ原告aは、持参した借用書を被告c及び被告dに示し、銀行に原因証書として示すために必ず必要であるなどと説明して、誰かサインしてほしい旨依頼した。被告cは名前を外に出せないとして署名せず、代わって被告dが住所氏名を記載した。 当該借用書の印字部分は、原告会社が10億円を借り受けることを令和2 年7月13日付けで約諾し、署名者が相違ない旨確認する内容となっており、10億円の貸金の詳細として、令和2年7月13日に6億円、同月20日に4億円を実行する旨の記載があるほか、返済期限、金利、返済方法、遅延損害金、特記事項についても記載がある。しかし、これらの返済期限等の記載は、原告aが被告cとの間の取決め等のないまま、被告cからの融資金を現 金で銀行に持ち込む際に、正常な融資として通りやすいような条件を仮に記載したものであり、原告aは、融資の際には別の契約書を作成するつもりであった(甲5、20)。 ⑹ 第2回面談後から本件送金までの当事者の行動ア第2回面談の帰路、原告aは、被告bに対し、被告cが現役の暴力団員で はないかと問い質し、被告bはそうだと回答した。 イ被告bは、原告aから、「信用を補完しろ」という被告cの発言の意図を尋ねられたが、「発言の意図はよくわからないけれども、原告aが事業内容等を説明して、被告cが納得していたので、これでいいんじゃないか」などと応答した。 ウ原告会社が同社口座から2億5000万円を送金するには、同社パソコンを使う必要があったため、原告aは、被告bとの間で翌13日の段取 ていたので、これでいいんじゃないか」などと応答した。 ウ原告会社が同社口座から2億5000万円を送金するには、同社パソコンを使う必要があったため、原告aは、被告bとの間で翌13日の段取りを取り決めた。具体的には、原告aが金融機関の取引開始時間に本件送金を行い、すぐに京都に向かい、昼頃までに被告cの自宅で金銭消費貸借契約書を作成し、融資を受けることとし、被告bは、契約書の文案に修正等を求められる 場合に備えて、先に契約書面を持って被告c宅に向かうという段取りとした。 ⑺ 同月13日の当事者の行動ア原告aは、被告b名義で、原告会社口座から被告d口座に、2億5000万円を送金した。 被告dは、入金を確認して出金手続をとり、被告cに届けに行く旨の電話 を入れたほか、iにも電話をかけ、2億5000万円が返済されたのでもう 心配することはないなどと伝えた。被告dは、出金した2億5000万円の現金を被告cに届けて交付した(甲7、丙2)。 イ原告会社からの本件送金後、原告aは、京都に向かう途中で、被告bから、被告cがiの保証を要求している旨の電話を受けた。 この電話を受け、原告aと被告bは、一緒に被告c宅に赴いたところ、被 告cは、被告bに対し、iの保証はどうなっている、iの保証をとれなどと繰り返し発言し、被告bにiに電話をさせた。被告bから電話を代わった被告cは、お前が保証しろなどと怒鳴り、iと言い争いになるなどした。 ウ被告bは、iのところへ行くと言ってその場を離れ、被告c宅には、原告aが一人残された。原告aは、融資を実行するよう頼み、だめなら2億50 00万円を返してくれなどとも頼んだが、被告cはいずれにも応じなかった。 そのやりとりの中の何らかの時点で被告cは、原告aに対し、「俺の組 た。原告aは、融資を実行するよう頼み、だめなら2億50 00万円を返してくれなどとも頼んだが、被告cはいずれにも応じなかった。 そのやりとりの中の何らかの時点で被告cは、原告aに対し、「俺の組織」という言葉を出した。 エ原告aは、被告dに電話を架けた後、京都駅で被告bと合流して、大阪に住むiに会いに行ったが、iは、保証に応じなかった。 2 事実認定の補足説明⑴ 本件送金のもとになった、被告bが被告cに対して負っていた債務の性質についてア本件送金当時、被告bが被告cに対して負っていた債務に関しては、平成28年2月16日付けで、原因債権を「被告bが代表者を務めていた株式会 社jの被告cからの借入金についての連帯保証人ないし被告b個人として負担している借入金返還債務(保証債務)」であるとする「債務確認弁済約定書」(丙1)が被告bによって作成されている。かかる内容は被告b本人尋問の結果に沿うことに加え、前記認定事実のとおり、被告cがいわゆるヤミ金融業者であり、被告bがiの「口利き」によって被告cから金を借りていて、 本件送金の頃までiがその返済に関わっていたと認められること(認定事実 ⑴ア、イ、エ、オ、⑺ア)からしても、本件送金の対象となった被告bの被告cに対する債務は、被告bが、「口利き」と称するiの保証を得て、被告cとの間で締結した金銭消費貸借契約に基づく債務であると認めることが自然であり、本件全証拠に照らしても、これを覆すに足りるものはない。 したがって、本件送金は、被告bの被告cに対する借入金債務(本件金銭 消費貸借)に対する弁済としてなされたものと認めるのが相当である。 イこれに対して、被告cは、本件送金のもとになった債務は、丙1と同じ日付で作成された「損 に対する借入金債務(本件金銭 消費貸借)に対する弁済としてなされたものと認めるのが相当である。 イこれに対して、被告cは、本件送金のもとになった債務は、丙1と同じ日付で作成された「損害賠償確約書」(乙1)記載のとおり、被告bが、「架空の不動産投資話により被告cから不動産購入代金名下に詐取した金員」の損害賠償債務であり、丙1はこれを準消費貸借契約にしたものであると主張す る。 しかし、乙1からは架空の不動産投資が何を指すかは全く判然としない。 その他、被告bが、被告cに対して、架空の不動産投資による詐欺行為を行っていたことを示す的確な証拠はない。加えて、被告cの主張するところからすれば、詐欺による損害賠償債権に基づく準消費貸借契約を新たに締結す る際の書面として、弁護士が関与しながら、あえて、その時点で既に存在しない株式会社jの借入金の連帯保証債務ないし被告b個人の借入金返還債務などといった、真実と異なる債務を記載した「債務確認弁済約定書」を作成することも合理的に理解し難い。これらによれば、被告cの主張は採用できない。 ウ被告cは、乙1が弁護士関与の下作成されたものであり、仮に架空の不動産投資が誤りであるならば、被告bがその場で異議を述べるはずなのにこれがないことからして、被告bが被告cを不動産投資詐欺で欺いたことを自認している旨主張する。しかし、被告bが被告cに4億5000万円(平成28年2月16日当時)もの債務を負っていたこと等、被告bと被告cの関係 性からすれば、被告bが異議を述べなかったことをもって、被告bが不動産 投資詐欺を行った事実を認めたものとは容易に認められない。 エさらに、被告cは、被告bは、本件金銭消費貸借による融資の使途であった事業について覚 ことをもって、被告bが不動産 投資詐欺を行った事実を認めたものとは容易に認められない。 エさらに、被告cは、被告bは、本件金銭消費貸借による融資の使途であった事業について覚えておらず、多額の融資を受けた具体的な理由を説明できていないこと、丙1の連帯保証人欄は被告bが偽造したものであることからして、丙1が本件金銭消費貸借を反映したものであるという被告bの供述は 信用できないと主張する。また、被告e及び被告fも、被告bの従前の原告aへの不誠実な態度等に鑑みれば、被告bの供述は信用できない旨主張する。 しかし、被告b本人尋問の結果のうち前記認定事実に沿う部分については、その余の関係各証拠に照らして信用しうる。丙1の連帯保証人欄を被告bが偽造したことは、上記判断を左右するものではない。 ⑵ 借用書(甲5)の作成状況(認定事実⑸ウ)について被告dは、甲5の署名部分が自筆であることは認めるが、署名した当時、甲5は白紙であった旨主張する。 しかし、被告dの2か所の署名(上段部分の氏名、下段部分の住所、氏名)はいずれも印字されたものに合わせる形でなされている。借用書下段部分の被 告dの署名は住所と氏名のみであるにもかかわらず、下段部分には、「住所」「氏名」欄の間に「社名」欄が印字されていることなどの同書面の体裁も踏まえると、白紙の状態で被告dが署名した部分に合わせて事後的に印字部分をプリントアウトしたとは解し難く、被告dは、甲5の印字部分の存在する状態で、これに署名したと認めるのが相当である。これに反する被告dの供述等(丙7、 被告d本人)は採用できない。 ⑶ 第1回面談における融資及び本件送金についての面談内容(認定事実⑶エ)についてア被告cは、原告aとのやり取 。これに反する被告dの供述等(丙7、 被告d本人)は採用できない。 ⑶ 第1回面談における融資及び本件送金についての面談内容(認定事実⑶エ)についてア被告cは、原告aとのやり取りは、令和2年7月頃、被告bから原告aを紹介され、原告aから融資の依頼を受けたものの、原告aとは初対面で素性 も分からなかったことから融資を断ったというやり取りに尽きる旨主張す る。 イしかし、資金調達先を探していた原告aと被告cは令和2年7月9日の第1回面談が初対面であり(認定事実⑶イ)、同月13日に原告会社から被告d口座に被告b名義で2億5000万円が送金されていること(認定事実⑺ア)、第1回面談において原告aが10億円の借入れを申し入れたこと、そ の際、被告cが6億円を現金で自宅に置いているという話をしたこと(この点の原告aの供述は、被告cが現金での支払にこだわっていたことと整合し、具体性もあり、信用できる。なお、融資を依頼したのが原告aであることは、被告cの主張とも合致する。)が認められる。これらの事実に照らせば、初対面の人間が、しかも融資を求めているのに、融資を拒絶されながら、逆に数 億の債務の弁済を肩代わりしたりその弁済資金を用立てることは通常考え難く、被告bの債務を弁済すれば、原告会社(原告a)の申入額である10億円、あるいは少なくとも被告cが現金で保管している6億円をすぐに融資する話があったこと、すなわち、被告cが10億円、あるいは少なくとも6億円を融資する旨を明示的に述べたと認めることができる。これに反する被 告cの主張は採用できない。 ウなお、原告らは、第1回面談時に、具体的な貸付時期は不明であるものの、被告cが、本件金銭消費貸借の残債務弁済後に6億円、弁済後1週間後 。これに反する被 告cの主張は採用できない。 ウなお、原告らは、第1回面談時に、具体的な貸付時期は不明であるものの、被告cが、本件金銭消費貸借の残債務弁済後に6億円、弁済後1週間後に4億円を貸し付けることが合意されたとも主張し、原告aと被告bの供述にはこれに沿う部分がある。また、第2回面談時に被告dが署名した借用書(甲 5)にも同旨の記載がされている。 しかし、同借用書は、返済期限、金利、返済方法等の借入条件について、いずれも被告cとの協議を経ずに、原告aが、正常な取引として通りやすいような記載を仮にしたものであり、被告c及び被告dに対して署名を求めた際にも、銀行への提出のためのものと説明していること(認定事実⑸ウ)、原 告a自身、令和2年7月13日には別の契約書を作成することを予定してい たこと(認定事実⑸ウ、⑹ウ)からすると、同書面の存在をもって、その記載内容に従った貸付実行時期及び金額の融資について第1回面談時に確定的な合意が成立していたとは直ちに認められない。 また、原告a及び被告bの供述も、原告会社が被告cに10億円の融資を申し入れ、それを前提に話を進めていたこと、被告cが、被告bの債務を返 済すれば、6億円はすぐに融資する旨発言し、融資実行の交渉が継続されたこと以上に、確定的な融資の合意があったとまで認めるに足りるものではない。 3 争点①(被告c、被告d及び被告bが、原告らに対して欺罔行為等をしたか)について ⑴ 被告cの欺罔行為等についてア欺罔行為について原告らは、被告cが、当初から融資をする意思がないにもかかわらず、原告会社に対する融資実行が得られると誤信させる欺罔行為を行ったと主張する。 第1回面談において、10億円の融資を申し入れ 原告らは、被告cが、当初から融資をする意思がないにもかかわらず、原告会社に対する融資実行が得られると誤信させる欺罔行為を行ったと主張する。 第1回面談において、10億円の融資を申し入れた原告aに対し、被告cが、6億円を現金で自宅に置いているから、被告bの借入金債務の返済が済めば、すぐ融資するとの趣旨を述べたと認められることは、認定事実⑶エ及び前記第3の2⑶のとおりである。しかし、第2回面談の序盤に、被告cは、被告bに対して「信用を補完しろ」などと何度か発言しており、その時点で は、融資の前提ないし条件とされる被告bの借入金債務の返済につき、支払方法が折り合わず、融資の実行日や条件も何ら詰められておらず、同時点で被告cが融資を確約する言動をしていたとはいえない。 そして、融資実行の交渉の席で、信用という言葉が貸主から出たとき、貸主の意図として、人的または物的担保を問題にしている可能性が相応にある と通常理解しうるというべきであり、これに反する原告らの主張は採用し難 い。原告会社が申し入れた融資は10億円と極めて多額の融資であること、被告cが被告bとの間の金銭消費貸借にiの保証を得ていたことも踏まえると、被告cはiの保証を含む何らかの担保を要求した可能性がそれなりに高い。このような発言を重ねて行うことは、被告cが原告会社から2憶5000万円を詐取するための言動とは必ずしも整合せず、被告cとしては、原 告会社から2憶5000万円の支払に加えiの保証等相応の担保が提供されれば、融資を行う意思があった可能性を否定できない。 また、借用書(甲5)の作成については、原告aが被告cと相談等をせずに事前に書面を用意して、被告c及び被告dに対して銀行提出に必要であると説明して、誰かサインしてほしいなどと述 性を否定できない。 また、借用書(甲5)の作成については、原告aが被告cと相談等をせずに事前に書面を用意して、被告c及び被告dに対して銀行提出に必要であると説明して、誰かサインしてほしいなどと述べて署名を得た経緯(認定事実 ⑸ウ)からすると、これに応じたことが被告cないし被告dによる欺罔行為であるとは認められない。 そうすると、前記認定事実で認定される事実経緯からは、被告cが、当初から融資をする意思もないのに、融資が必ず得られると原告らに誤信させる言動をしたとまではいえない。その他本件全証拠に照らしても、被告cに欺 罔行為もしくはその故意までは認め難い。 イ脅迫行為について認定事実⑺ウのとおり、暴力団員である被告cが、原告aから融資の実行や本件送金の返還を求められた際に、組織について言及したこと自体は認められるものの、証拠(甲8、原告a本人)によっても、その具体的文言及び 前後の会話の具体的内容は明らかではない。被告cは、この発言の前にiの保証はどうなっているなどとも発言し、被告bに指示してiに電話を架けさせるなどしており、それを受けて被告b及び原告aがiに会いに行くこととなった経緯等からすると、被告cが「組織」に言及した発言は、融資実行のための担保を要求する中でのものなのか、2憶5000万円の返還を断念さ せることに向けられたものなのかも判然とせず、この点の被告cの言動を取 り上げて、原告らに対する脅迫によって、本件送金の返還請求を断念させたものとまでは認定できない。 また、暴力団員であることを背景として、組織という文言を出したこと自体、原告aに恐怖心を与えたことは想像に難くないものの、一連のやり取りが原告会社のための融資依頼及び本件送金に向けられたものであり、具体的 であることを背景として、組織という文言を出したこと自体、原告aに恐怖心を与えたことは想像に難くないものの、一連のやり取りが原告会社のための融資依頼及び本件送金に向けられたものであり、具体的 発言やその趣旨が判然としないことは上記に述べたとおりである。そうすると、認定しうる発言のみをもって、直ちに原告aに対する不法行為に当たるとまではいえない。 ウ以上によれば、被告cにつき、原告らに対する欺罔行為等を原因とする不法行為責任(請求Aの①)は認められない。 ⑵ 被告dの欺罔行為等についてア欺罔行為について被告dは、第2回面談の途中から加わり、原告aの求めに応じて、借用書(甲5)に被告cに代わって署名等をし、また、原告a、被告c及び被告bという関係者の合意の下、本件送金に被告d口座を使用させ、送金された金 員を出金して被告cに交付したことが認められる。 しかし、これらの行為は、口座の貸し借りの問題性はともかくとして、直ちに原告らに対する欺罔行為に当たるものではない。また、上記3⑴アのとおり、被告cに欺罔行為による不法行為が認められない以上、被告dの上記行為が、被告cの欺罔行為の一部、又は欺罔行為を幇助したものということ もできない。 イ脅迫行為について原告らは、令和2年7月13日に原告aが被告dに対し、本件送金の返還を求めた際、被告dが「代行を怒らせたら俺も止められない。そのままそこに居続けたらあなたの身も危ないよ。」などと述べたと主張し、原告a本人 は、被告cとのやり取り(認定事実⑺イ、ウ)の後、わらにもすがる思いで、 どうすればよいか教えてほしいと思って、被告dに電話をしたところ、被告dは、「代行(被告c)を怒らせたら止められないから cとのやり取り(認定事実⑺イ、ウ)の後、わらにもすがる思いで、 どうすればよいか教えてほしいと思って、被告dに電話をしたところ、被告dは、「代行(被告c)を怒らせたら止められないから、どうすることもできない。そういう状況でそこにとどまっていることはリスクがあるので、被告bがまだ京都にいると思うから、合流したらどうか」などと述べた旨供述する。 しかし、仮に原告aの供述を前提としても、その発言の経緯等からすると、上記被告dの発言を取り上げて、原告aを畏怖させ、本件送金の返還を断念させるものとは直ちに認め難く、他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。 ウ以上によれば、被告dについても、原告らに対する欺罔行為等を原因とす る不法行為責任(請求Aの①)はいずれも認められない。 ⑶ 被告bの欺罔行為等についてア欺罔行為について原告らは、要旨、被告bは、本件金銭消費貸借に基づく債務の返済を迫られていたため、被告cが融資を実行する意思のないことを承知しながら、原 告らに対し、被告cから融資を受けられると誤信させる言動を繰り返して原告らにその旨誤信させ、本件送金をさせたと主張する。 この点、被告bは、令和2年5月頃当時、被告cに対して2億円以上の債務を抱え、返済期限を過ぎていたことが窺われること(丙1、認定事実⑴)に加え、原告aに対して、融資を受けるには被告b自身の債務の返済が条件 になることを伝え、被告cと返済額を確認するなどしたこと(認定事実⑵)からして、自己の債務の弁済を目的の一つとして、被告cに対し、原告aを紹介したことは明らかといえる。 そして、被告bは、原告aに対し、被告cと融資条件等の調整をするかのような発言をし、原告会社に対する融資が成功すれば報酬として3000万 被告cに対し、原告aを紹介したことは明らかといえる。 そして、被告bは、原告aに対し、被告cと融資条件等の調整をするかのような発言をし、原告会社に対する融資が成功すれば報酬として3000万 円をもらう約束までしていたにもかかわらず、被告cと融資の条件を調整し ていない(認定事実⑷ア、イ、エ)。加えて、「信用を補完しろ」という被告cの発言が、被告bに向けたものであり、自らが被告cから3億円を借り入れた際にはiの「口利き」を要したことからして、被告bは、被告cがiの保証等の担保を要求する意図を有することを認識していたと推認されるにもかかわらず、沈黙していたのであり、被告bはあえて発言を避けているこ とがうかがわれる。さらに、原告aから上記被告cの発言の意図を聞かれた際も、「いいんじゃないか」などと問題がないように答え(認定事実(6)イ)、担保を要求される可能性を説明していないし、もちろんiの保証等担保の提供について調整していない。 その一方で、被告bの債務を返済すれば、10億円くらいポンと貸してく れるなどと、融資が確実であるかのような説明をし、原告aが気づくまで被告cが現役の暴力団員であることも秘していた(認定事実⑵ウ、⑶ア)。 つまり、被告bは、被告cとの間の取引には相当の不安材料もあったにもかかわらず、原告会社の融資に関する調整をするかのように原告aに告げながら、融資の具体的な実現に向けた調整等を何らせず、その上で、融資に不 安材料がないかのような説明をし、信用を補完しろ等、被告cから融資の実現への障壁が示唆されたときにも、あえて発言を避けて、融資の実現に不安はないというように振る舞っており、意図的に融資の困難さを顕在化させないようにしていたと認められる。 イこれに対し、被告bは、本件 障壁が示唆されたときにも、あえて発言を避けて、融資の実現に不安はないというように振る舞っており、意図的に融資の困難さを顕在化させないようにしていたと認められる。 イこれに対し、被告bは、本件送金をすれば、被告cからの借入金債務が完 済されるため、原告会社に対する融資は確実に実行されるものと信じていたと主張し、その旨供述するが、上記のとおりの被告bの行動等を踏まえると採用できない。 ウ以上によれば、被告bは、原告会社の資金調達先として被告cを紹介し、融資の交渉に関与するに際して、被告cがiの保証等担保を提供しなければ 融資に応じないであろうことを認識しながら、後述の被告cの信義則上の義 務違反行為に乗じて、あえて原告aに融資の実現が困難であることを知らせず、かえって、融資の実現に不安がないかのような言動を続け、原告会社に対し、本件送金をすれば融資の実行がされるものと誤信させて、被告bの借入金債務の返済(本件送金)を行わせたものというべきである。このような被告bの行為は、欺罔行為として不法行為に当たると解するのが相当である。 そして、上記不法行為は、被告cの後記5のとおりの信義則上の義務違反による不法行為(争点③)に乗じて行われ、本件送金による原告会社の損害を発生させたものであるから、被告bは原告会社に対し、被告cとの共同不法行為責任(主位的請求たる請求Aの①)を負う。 エ原告aに対する不法行為責任について 原告aは、被告bの欺罔行為に係る慰謝料を請求するが、その欺罔行為は原告会社による送金行為に向けられたものであり、原告会社の損害として認められるところを超えて、原告a個人に損害を生じたとは認め難く、原告aの被告bに対する慰謝料請求は理由がない。 4 争点②及び争点⑤(被告b る送金行為に向けられたものであり、原告会社の損害として認められるところを超えて、原告a個人に損害を生じたとは認め難く、原告aの被告bに対する慰謝料請求は理由がない。 4 争点②及び争点⑤(被告bの被告cに対する債務が違法金利により公序良俗に 反するものであり、被告c、被告d及び被告bが、原告会社に対して、債務返済を請求・受領した行為が不法行為となるか、又は被告cの債務返済の受領が法律上の原因がないといえるか)について⑴ 原告会社は、被告cと被告bとの間の金銭消費貸借契約は、月利10%(年利120%)という出資法に違反する高利の契約であり、同契約自体が公序良 俗違反により無効であるとともに、これに基づく残債務の請求及び受領行為は不法行為に当たると主張する。 しかしながら、被告bの被告cに対する金銭消費貸借に関して作成された「債務確認弁済約定書」には、利息の記載がなく(丙1)、認定事実⑴エからすると、平成23年9月以降の本件金銭消費貸借の年利は、年利12%前後と算 定される。 ⑵ この点、被告bは金利が月10%であった旨、原告会社の主張に沿う供述をするものの、被告bは、被告cとの間で、本件金銭消費貸借の後も1億円や数千万円を借りていたり(認定事実⑴イ)、被告cの新たな融資を引き出すため、本件金銭消費貸借の残債務に任意に上乗せをして返済することもあったこと(認定事実⑵ウ)が認められる一方、従前の返済実態は全く不明であり、平成 23年9月より前に限っても、本件金銭消費貸借の現実の金利が年120%であったとまで認めることはできない。他に本件金銭消費貸借につき、当初を含め年120%の利率であったと認めるに足りる的確な証拠もない。 ⑶ 原告会社は、被告bの供述は、被告cの貸金業法違反被告事件(前提事 まで認めることはできない。他に本件金銭消費貸借につき、当初を含め年120%の利率であったと認めるに足りる的確な証拠もない。 ⑶ 原告会社は、被告bの供述は、被告cの貸金業法違反被告事件(前提事実⑴イ)において、被告cが月10%の利息で金貸しをしている旨の第三者 供述があることと一致(甲21)しており、信用できる旨主張する。しかし、被告bの供述は、借入れの際に、金利の記載はともかくとして借用証書を作成したか否か、借入金額の多寡等、上記の第三者供述と必ずしも一致するものではない。いずれにせよ、本件金銭消費貸借の具体的内容、被告bの返済実態等を含む被告cとの間の金銭消費貸借の経緯が不明であることからすると、被告 cが暴力団幹部であり、いわゆるシノギとしてヤミ金融業を営み、被告b以外の第三者に対して、月利10%などとする高利の貸付行為をしていたと認められること(甲21)を勘案しても、被告bの被告cに対する本件金銭消費貸借並びにこれに基づく残債務の請求及び受領行為が、公序良俗違反により無効であるとまでは認定できないというほかない。 ⑷ 以上によれば、被告bの被告cに対する債務が違法金利により公序良俗に反し、契約自体が無効であるとともに債務返済の請求・受領行為が不法行為に当たるとする原告会社の主張(争点②、⑤)は採用できず、これを前提とする不法行為による損害賠償請求(請求Aの②)、不当利得返還請求(請求B)及び債権者代位構成の請求(請求C)は、その余の点につき判断するまでもなく、い ずれも理由がない。 5 争点③(被告c、被告d及び被告bが、原告会社に対する信義則上の義務に違反したか)について⑴ 被告cの責任についてア被告cと原告会社との間の融資に関する第1回面談及び第2 5 争点③(被告c、被告d及び被告bが、原告会社に対する信義則上の義務に違反したか)について⑴ 被告cの責任についてア被告cと原告会社との間の融資に関する第1回面談及び第2回面談の交渉については、認定事実⑶及び⑸に記載し、前記3⑴アに述べたとおりであ り、第1回面談時に、原告aが原告会社の行おうとする事業を説明して、その資金として10億円の融資を申し入れ、被告cが、6億円を現金で自宅に置いているから、被告bの借入金債務2億5000万円の返済が済めば、即融資をしてやる旨を明示的に述べたこと、第2回面談において、原告aが再度事業内容を説明した後は、被告cは何も言わず、以後は、本件送金の具体 的方法の話に移行していることが認められる。さらに、真実の合意内容を反映したものではないとはいえ、融資の実行日を本件送金と同日などと想定した借用書(甲5)を原告aが被告cに提示し、被告cに代わって被告dが署名しており、本件送金が第2回面談の翌日に実行されること及びその具体的方法は、融資の当事者である被告cと原告会社(原告a)との間で取り決め られている(認定事実⑸イ)。 そして、第2回面談の序盤に、被告cは、「信用を補完しろ」と発言しているけれども、かかる曖昧な言辞を告げるのみで、iの保証やそれに代わり得る担保などといった具体的に要求する条件を明示せず、その後、原告aが融資目的の事業内容を説明した後には、被告cは何ら発言をしていない(認定 事実⑸)。信用の補完という発言が、被告cが融資の条件としての担保について言及したものだったとしても、原告aがその趣旨を理解せず、むしろ事業の信用性を問題とされていると誤解した言動をしていることを被告cは認識し、あるいは容易に認識し得たというべきであるにもかかわらず、誤解 及したものだったとしても、原告aがその趣旨を理解せず、むしろ事業の信用性を問題とされていると誤解した言動をしていることを被告cは認識し、あるいは容易に認識し得たというべきであるにもかかわらず、誤解を解くような行動を一切とらず、融資の条件についてさらに協議をすること もしていない。 なお、被告cは、被告bに向かって上記発言をしているが、被告cの主張(前記第2の4⑴(被告cの主張)ア)によっても、被告cは、被告bは紹介者であり、融資の依頼をしたのは原告aと認識していたというのである。 仮に被告cが、被告bも原告会社の事業に参加するものとして、名義上は被告bを借主とすることを考えていたとしても、原告aが事業の説明をしてい ることや、銀行提出用等と説明されたとしても、原告会社名義の借用書(甲5)の作成を求められたこと、被告bとの従前からの関係や借入金の返済状況に照らして被告bに返済能力が乏しいことは十分認識していたと認められること(認定事実⑴)からして、現実の融資先は、事業主体である原告会社であり、かつ、本件送金の出捐者が原告会社であり、仮にそうでないとし ても原告aであることは、被告cにおいて十分認識していたものというべきである。 イ以上の事実経緯からすれば、本件融資の返済期限、年利等の条件が未だ詰められていなかったとしても、本件送金が、融資の実行のための重要な準備行為としてなされるものであることは、交渉経過に基づいて原告会社と被告 cの両者が認識していたことであり、本件送金さえ行えば融資の重大な障害が解消され、後から付加される条件等は融資それ自体を反故にするものではないと期待して、原告会社が、10億円、少なくとも即時に6億円の融資が実行されることについて強い信頼を抱いたことには相当の理由が が解消され、後から付加される条件等は融資それ自体を反故にするものではないと期待して、原告会社が、10億円、少なくとも即時に6億円の融資が実行されることについて強い信頼を抱いたことには相当の理由があったということができる。 ところが、被告cは、原告会社が本件送金後に即時少なくとも6億円の融資が得られるとの過大な期待を抱いて、融資の準備行為として本件送金を実行することを認識していながら、融資の他の条件等として、iの保証が必要であることを原告会社に明確に告げず、原告会社から本件送金がされた後になって、iの保証という融資条件を途端に具体化させて、融資に応じなかっ たものである。10億円ないし6億円という借入金について第三者の人的保 証を即時に取得することは通常極めて困難であることも考え併せれば、被告cは、原告会社(原告a)の誤解を認識しながら、融資の重要な条件を伝えず、その上で原告会社が同条件を満たさなかったことをもって、契約交渉を破棄したということができ、契約準備段階における信義則上の義務に違反するものとして、当該準備行為により原告会社に生じた損害を賠償する責任を 負う(請求Aの③)と解するのが相当である(最高裁判所第3小法廷昭和58年4月19日判決・集民138号611頁、同第2小法廷平成18年9月4日判決・集民221号63頁、同第3小法廷平成19年2月27日判決・集民223号343頁等参照)。 なお、原告会社は、被告cが暴力団員でありヤミ金融業者であることを知 りながら、融資を受けようとしたものであるが、そのことから直ちに、契約締結に向けられた原告会社の信頼が一切法的保護に値しないというものではないし、原告会社が契約準備行為として行った本件送金が不法原因給付に当たるものでもない。 ⑵ 被告d 、そのことから直ちに、契約締結に向けられた原告会社の信頼が一切法的保護に値しないというものではないし、原告会社が契約準備行為として行った本件送金が不法原因給付に当たるものでもない。 ⑵ 被告dの責任について ア本件において想定されていた融資(金銭消費貸借契約)の当事者は被告cであることに争いはない。被告dは、融資の前提となった本件送金に用いられる口座を貸したことが認められるものの、そのことを超えて、金銭消費貸借契約締結に主体的に関わったとは認められないから、契約準備段階の当事者として、原告会社に対する信義則上の義務を負うとはいえない。 したがって、争点③につき、被告dの責任(請求Aの③)は認められない。 イ原告会社は、借用書(甲5)に被告dが署名するなどしたことを指摘して、自らは直接の契約当事者になることを予定していない者であっても、契約の準備行為に関与した者として、信義則上の義務を負うべきであると主張する。 しかし、認定事実⑸ウのとおり、被告dが、借用書(甲5)に署名したの は、あくまで、被告cの名前を出さないようにするためであると原告aも認 識していたのであるから、被告dが署名したことをもって、原告会社との関係で、融資(金銭消費貸借契約)の当事者と同等に契約締結準備行為に関与したということはできない。 よって、原告会社の上記主張は採用できない。 ウまた、原告会社は、被告dが本件送金の口座を貸すなどして被告cを幇助 したから不法行為責任を負うとも主張する。 しかし、被告dは、第1回面談に同席しておらず、第2回面談の途中で被告cから口座を貸すよう呼び出されたものであり(認定事実⑸イ)、被告dが、第2回面談に参加するより前に、原告会社と被告cとの間で検討 しかし、被告dは、第1回面談に同席しておらず、第2回面談の途中で被告cから口座を貸すよう呼び出されたものであり(認定事実⑸イ)、被告dが、第2回面談に参加するより前に、原告会社と被告cとの間で検討された融資の交渉に関与し、それらを認識していたと認めるに足りる証拠はない。 そうすると、被告cが原告会社に対する信義則上の義務に違反したとしても、被告dが当該不法行為を幇助し、そのことに故意または過失があるとは認められない。 よって、この点の原告会社の主張も採用できない。 6 争点④(被告c、被告dによる上記各不法行為が成立する場合、それらが、威 力利用資金獲得行為(暴対法31条の2)を行うについて他人の生命、身体又は財産を侵害したときに該当するか)について⑴ 認定事実⑴及び前記第3の2⑴に認定判断したとおり、本件送金の対象となった債務は、被告cがいわゆるシノギとして営むヤミ金融業における取引である本件金銭消費貸借に基づくものであるから、被告cは、本件送金によって、 「生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得」たということができる。 ⑵ そして、暴対法31条の2にいう「威力を利用して」とは、当該指定暴力団に所属していることにより資金獲得行為を効果的に行うための影響力又は便益を利用することをいい、当該指定暴力団員としての地位と資金獲得行為とが 結び付いている一切の場合をいうと解するのが相当であるところ、本件送金は、 暴力団員としてヤミ金融業を行っていた被告cへの借入金の弁済として行われたものであり、さらに、被告cは、原告会社代表者たる原告aに対し、脅迫行為とまでいえないとしても、融資や本件送金の返還の依頼を拒む趣旨のやり取りにおいて、自己の暴力団組織の存在を示して交渉をしている( ものであり、さらに、被告cは、原告会社代表者たる原告aに対し、脅迫行為とまでいえないとしても、融資や本件送金の返還の依頼を拒む趣旨のやり取りにおいて、自己の暴力団組織の存在を示して交渉をしている(認定事実⑺ウ)ことからも、「威力を利用し」た行為であると認められる。 よって、暴対法31条の2に基づき、被告e及び被告fは被告cと連帯して、原告会社に対する損害賠償責任を負う(請求Aの③)。 7 被告らの責任に関する小括以上によれば、原告会社の主位的請求のうち、被告cについて原告会社に対する信義則違反を理由とする不法行為責任が、被告bについて原告会社に対する欺 罔行為による不法行為責任が認められ、上記被告cの不法行為責任について被告e及び被告fには暴対法31条の2に基づく責任が認められ、これらは不真正連帯責任の関係となると解される。 原告会社の被告dに対する請求は、その余の点につき判断するまでもなく、いずれも理由がない。 原告aの請求は、その余の点につき判断するまでもなく、いずれも理由がない。 8 原告会社の損害⑴ 以上に判断したところに基づけば、被告c及び被告bの不法行為により原告会社は、本件送金相当額2億5000万円の損害を被ったと認められる。 もっとも、被告bが原告会社に対して令和2年10月23日までに合計300 万円を弁済しているから(前提事実⑶)、残損害額は、各弁済日までに発生した遅延損害金合計211万0635円と元本に弁済金を順次充当した残額である2億4911万0635円となる。 ⑵ なお、本件に顕れた事実関係からすると、原告会社(原告a)は、返済期限や利息など融資の具体的条件が未だ詰められていないことを認識していたに もかかわらず、また被告cの発言から担保 なる。 ⑵ なお、本件に顕れた事実関係からすると、原告会社(原告a)は、返済期限や利息など融資の具体的条件が未だ詰められていないことを認識していたに もかかわらず、また被告cの発言から担保の要求等を予測し得ないものではな かったにもかかわらず、確認を怠ったまま、第2回面談の翌日に本件送金を行ったものであり、相当軽率な行動をとっていることは否定できない。 しかしながら、被告cが、融資の重要な条件としてiの保証を要求するならば、その旨明示することは容易で、かつ契約締結の準備交渉において必要なことであったにもかかわらず、具体的な条件を明示せず、本件送金の直後に融資 交渉を破棄した被告cの信義則違反の程度も大きい。 また、これにより原告会社に準備行為として被らせた損害は、被告bの被告cに対する債務の第三者弁済であり、融資に係る金銭消費貸借契約が実現しない場合にこれを原告会社に返還させたとしても、衡平上、被告cに過大な負担を負わせるものとはいえない。 したがって、原告会社の損害につき、損害の衡平な分担を図る趣旨から減額することはしないものとする(なお、被告bについては欺罔行為による不法行為が認められるところであり、同被告との関係での衡平は問題とならない。)。 ⑶ そして、本件事案の内容、認容額その他一切の事情を総合考慮し、原告会社が本訴提起追行のために要した弁護士費用2500万円を本件不法行為によ る損害として相当と認める。 ⑷ よって、原告会社の損害は、合計2億7411万0635円と認められる。 第4 結論以上によれば、原告会社の請求は主文第1項の限度で理由があるからこれを認容し、原告会社のその余の請求及び原告aの請求は理由がないからいずれも棄却 することとして、主文のとおり判決す 主文 以上によれば、原告会社の請求は主文第1項の限度で理由があるからこれを認容し、原告会社のその余の請求及び原告aの請求は理由がないからいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 理由 京都地方裁判所第4民事部裁判長裁判官池町知佐子 裁判官船戸容子 裁判官熊野結衣子

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