令和2(ネ)10047 特許実費等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和3年1月14日 知的財産高等裁判所 2部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 平成31(ワ)3197
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判決文本文34,756 文字)

令和3年1月14日判決言渡令和2年(ネ)第10047号特許実費等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成31年(ワ)第3197号)口頭弁論終結日令和2年11月16日判決 旧商号第一精工株式会社控訴人(一審被告) I-PEX株式会社 同訴訟代理人弁護士重冨貴光長谷部陽平和田祐以子 被控訴人(一審原告) 株式会社ワコー 同訴訟代理人弁護士岩永利彦 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由以下,用語の略称及び略称の意味は,原判決に従う。証拠は,特に記載しない限り枝番を全て含む。 第1 控訴の趣旨 1 原判決のうち控訴人敗訴部分を取り消す。 2 上記の部分に係る被控訴人の請求を棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,控訴人との間で特許権の実施許諾等に係る契約を締結した被控訴人が,同契約上控訴人において支払義務を負う費用のうち,平成29年10月1日から平成30年3月31日までの平成29年度第2半期における特許に係る出願,登録及び維持に要する費用(特許実費)が4512万6043円であり,また,平成30年4月1日から同年6月29日までの期間の実施料が220万7070円であると主張して,控訴人に対し,上記契約に基づき,特許実費4512万6043円から既払の6万5200円を控除した残額4506万0843円及びこれに対する約定の弁済期の翌 実施料が220万7070円であると主張して,控訴人に対し,上記契約に基づき,特許実費4512万6043円から既払の6万5200円を控除した残額4506万0843円及びこれに対する約定の弁済期の翌日である平成30年6月13日から平成29年法律第45号による改正前の商法514条の商事法定利率年6%の割合による遅延損害金並びに実施料220万7070円及びこれに対する訴状送達により請求した日の翌日である平成31年2月20日から支払済みまで約定の年14.6%の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。 原判決は,被控訴人の特許実費の請求は全て認容し,実施料の請求は全て棄却したところ,控訴人が本件控訴を提起した。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実),争点及び争点に関する当事者の主張は,(1)のとおり補正し,(2)のとおり当審における主張を追加するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第2 事案の概要」1~3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決の補正ア原判決2頁22行目の「別紙「契約条項」」を「本判決別紙「契約条項」」に改める。 イ原判決3頁14行目冒頭から15行目末尾までを,「(6) 本件契約に基づく平成29年度第2半期の特許実費として控訴人から支払われた額は,特許第4948630号の特許実費についての6万5200円である。」に改める。 ウ原判決3頁16行目の「(6)」を「(7)」に,24行目の「民法」を 「平成29年法律第44号による改正前の民法(以下,同じ。)」に,26行目の「(7)」を「(8)」に,それぞれ改める。 エ原判決7頁1行目の末尾の次に「本件契約書5条1項を,本件特許権等について専用実施権を設定する可能性がある限り全 (以下,同じ。)」に,26行目の「(7)」を「(8)」に,それぞれ改める。 エ原判決7頁1行目の末尾の次に「本件契約書5条1項を,本件特許権等について専用実施権を設定する可能性がある限り全ての費用を控訴人が負担する規定と解すると,原則である上記コンサルタント契約の適用の余地がなくなってしまう。」を加える。 オ原判決9頁12行目の末尾の次に次のとおり加える。 「これ以外の販売に係る控訴人の製品は,いずれも,本件特許権等の特許発明の技術的範囲に属さない(控訴人の製造販売するトルクセンサは,本件特許権等のうちのトルクセンサに関する特許である特許第4948630号及び特許第4963134号に係る発明の技術的範囲に属さない。)。」(2) 当審における主張ア争点1(控訴人が支払義務を負う特許実費の範囲)について【控訴人】(ア) 原判決の判断についてa 本件契約本件契約締結当時,控訴人は本件製品の開発途上にあり,また,被控訴人は本件契約締結後も様々な特許出願を行うことが予定されていたため,本件契約締結時点において,控訴人が被控訴人から実施許諾を受けるべき特許を個別具体的に特定することは不可能であった。そのため,本件契約においては,本件契約締結時に控訴人が開発していた本件製品を技術的範囲に含む特許権等を「本件特許権等」と定義し,同時に本件製品を技術的範囲に含む可能性が高い(開発等した本件製品が技術的範囲に含まれる)と考えられた被控訴人保有の特許権等を別紙1で特定した(1条1号)。このようにして,控訴人が開発等した本件製品を技術的範囲に含む本件特許権等(1条1号)について専用実施権の設定,許諾を受けることとした(2条1項)。そして,控訴人はそのような実施許諾の対価として実施料を支払う こととし(4条) 件製品を技術的範囲に含む本件特許権等(1条1号)について専用実施権の設定,許諾を受けることとした(2条1項)。そして,控訴人はそのような実施許諾の対価として実施料を支払う こととし(4条),さらに,控訴人が専用実施権を有する本件特許権等については,被控訴人が実施することが不可能となり当該特許権等に係る独占的利益を控訴人のみが得る立場を有することになることから,その特許権等の取得のための費用(特許実費)については控訴人が負担することとした(5条)。 本件契約の内容は,以上のとおりであるから,実施料の算定対象を被控訴人保有特許権の技術的範囲に含まれない控訴人製品にまで拡大し,また,特許実費の支払対象を控訴人が専用実施権の設定を受けていない特許権等にまで拡大する原判決の判断は誤っている。 b 本件契約書5条1項の「専用実施権又は独占的通常実施権を有している」の意味について(a) 原判決は,本件契約書には,特許実費の支払対象を専用実施権又は独占的通常実施権の設定された特許権のみであると明確に限定する旨の規定はなく,かえって,既に成立した特許権のみならず,出願中の特許,将来出願される特許及び将来成立する特許権を含めて専用実施権又は独占的通常実施権の設定及び許諾の対象とし,かつ,特許実費の支払対象として出願中の特許を含める規定が設けられていると判示する。 しかし,本件契約書5条1項の「専用実施権・・・を有している」の文言こそが特許実費の支払対象を専用実施権の設定された特許権のみであると明確に限定している。専用実施権を有するとの文言について原判決の理解をした場合,本件契約書9条2項は差止請求権の行使権限を有しない者に差止請求権の行使を義務付ける不当かつ履行不能な規定となってしまう。 (b) 原判決は,本件契約書5条2項を, 判決の理解をした場合,本件契約書9条2項は差止請求権の行使権限を有しない者に差止請求権の行使を義務付ける不当かつ履行不能な規定となってしまう。 (b) 原判決は,本件契約書5条2項を,出願中の特許,将来出願される特許及び将来成立する特許権を含めて専用実施権又は独占的通常実施権の設定及び許諾の対象としている規定であると判示する。 しかし,同規定が「当該変更通知がなされた対象特許権及び/又は出願中の特許については,前項の費用負担義務を免れる」としているのは,出願中の特許につ いて仮専用実施権の設定(特許法34条の2第2項において専用実施権の設定とみなされる。)があり得るからであって,同規定も5条1項と併せて専用実施権を有するか否かで特許実費負担義務の存否を峻別するものである。 したがって,本件契約書中に特許実費の支払対象として専用実施権のない単なる出願中の特許を含める規定は存在しない。 (c) 原判決は,「専用実施権又は独占的通常実施権を有している」との文言は,専用実施権又は独占的通常実施権が法律上有効に成立するか否かを問わないと解することの理由の一つとして「本件特許権等」に本件契約書の別紙1に出願中の特許が含まれることも指摘するが,「本件特許権等」に出願中の特許が含まれること(1条1号)と,特許実費負担の対象が「専用実施権・・・を有している本件特許権等に限」られること(5条1項)とは全く別個の問題である。 (d) 原判決は,被控訴人が,本件契約締結前の交渉においても,本件契約締結後も,一貫して,特許実費の対象が控訴人において専用実施権の設定登録を受けた特許権に限られないことを前提とした行動をとっていると判示する。 しかし,後記c(b)のとおり,被控訴人は,本件契約締結前の交渉において,特許実費の対象が控訴人 において専用実施権の設定登録を受けた特許権に限られないことを前提とした行動をとっていると判示する。 しかし,後記c(b)のとおり,被控訴人は,本件契約締結前の交渉において,特許実費の対象が控訴人において専用実施権の設定登録を受けた特許権に限られることを認めている。 また,被控訴人が,本件契約の締結後に行っていた,専用実施権の設定登録がされていない特許権等についての特許実費の請求は,仮払いの請求である。 (e) 原判決は,控訴人が,本件契約締結前の時点で,明確に専用実施権が設定登録された特許権に限り特許実費の支払の対象とする旨の意向を示していたとまでは認め難いと判示する。 しかし,後記c(b)のとおり,控訴人は,本件契約締結前の時点で,明確に専用実施権が設定登録された特許権に限り特許実費の支払の対象とする旨の意向を示している。 (f) 控訴人が,本件契約書は,本件コンサルタント契約において,被 控訴人が単独でした発明の出願に関する費用は被控訴人の負担とする定めがあることを前提とした上で,その例外として,控訴人が専用実施権を有するものについてその特許実費を負担することを定めたものであると主張したのに対し,原判決は,本件コンサルタント契約の上記条項は,最初のコンサルタント契約時から同内容のままであったのに対し,最初のコンサルタント契約締結から約1年して交渉が開始されて本件契約が締結されるに至ったことからすると,本件契約の締結により,被控訴人が単独で発明して出願し権利者となった特許についても,本件契約の対象となる限りは,本件契約に従って特許実費を負担する旨の合意がされたものと解することについて,不合理な点はないと判示する。 しかし,本件コンサルタント契約は,本件契約の締結後にも度重ねて締結されているところ,本件契約 契約に従って特許実費を負担する旨の合意がされたものと解することについて,不合理な点はないと判示する。 しかし,本件コンサルタント契約は,本件契約の締結後にも度重ねて締結されているところ,本件契約の締結後に締結された平成28年4月1日付及び平成29年4月1日付けのコンサルタント契約(乙22の1・2)5条4号においては,再度,再々度,被控訴人が単独でした発明の出願に関する費用は被控訴人の負担とすることが確認されているのであるから,本件契約により本件コンサルタント契約の同規定が修正されたと解することはできない。本件契約は,本件コンサルタント契約において,被控訴人が単独でした発明の出願に関する費用は被控訴人の負担とする定めがあることを前提とした上で,その例外として,控訴人が専用実施権を有するものについてその特許実費を負担することを定めたものである。 (g) 控訴人が特許実費を負担する必要があることを専用実施権設定の要否の検討の際の考慮要素としている旨の控訴人の主張に対し,原判決は,関連する控訴人社内メール(乙2)以降も含め,控訴人が被控訴人に対し,専用実施権を設定していないものも含めて被控訴人が有し又は単独で発明し出願した本件製品に関する特許権及び出願中の特許を対象として特許実費を支払っていたのであるから,控訴人内部におけるやり取りの内容が,本件契約に関する原判決の解釈を左右するものであるとはいえないと判示する。 しかし,控訴人の支払は仮払いである。 そして,仮に,特許実費の支払対象が原判決の解釈(専用実施権を設定していないものも含めて特許実費の支払対象となるとの解釈)のとおりであったならば,本件契約の当事者である控訴人が特許実費を負担する必要があることを専用実施権設定の要否の検討の際の考慮要素とすることはあり得ない。 も含めて特許実費の支払対象となるとの解釈)のとおりであったならば,本件契約の当事者である控訴人が特許実費を負担する必要があることを専用実施権設定の要否の検討の際の考慮要素とすることはあり得ない。 (h) 本件特許権等の出願等は,専ら被控訴人がその裁量で自己の権利として管理しており,控訴人が判断できるのは本件特許権等について専用実施権の設定登録を受けるか否かの点のみであることから,本件契約書5条1項は,控訴人において専用実施権の設定登録を受けた特許権のみを特許実費の支払対象とするものと解するべきである旨の控訴人の主張に対し,原判決は,控訴人は,被控訴人から,出願した特許の概要の説明を受けていたほか,必要に応じて被控訴人に対して被控訴人の出願に係る特許の明細書や請求項等の出願書類の写しの提供を求めていたものであり,控訴人は,これらを踏まえ,本件契約書2条3項に基づき,いつでも専用実施権の許諾を受けた権利につき非独占的通常実施権に変更し,特許実費の負担を免れることができたのであるから,控訴人の上記主張は,特許権又は出願中の特許で,被控訴人,控訴人間において専用実施権若しくは独占的通常実施権を設定する旨の合意又はこれらと同等の許諾をする旨の合意がされていれば「専用実施権又は独占的通常実施権を有している」といえるとの解釈を左右するものであるとはいえないと判示する。 しかし,本件契約書5条2項は「変更通知をしたときは・・・前項の費用負担義務を免れるものとし,以降は,乙が自己の責任と費用をもって当該対象特許権及び/又は出願中の特許の維持を行うものとする。」と規定しており,控訴人は,たとえ変更通知を発送したとしても,変更通知前に発生した費用の負担を免れることはできない。そして,被控訴人は出願を予定している特許等の内容を事前に控訴人に開示 のとする。」と規定しており,控訴人は,たとえ変更通知を発送したとしても,変更通知前に発生した費用の負担を免れることはできない。そして,被控訴人は出願を予定している特許等の内容を事前に控訴人に開示,説明していないし,控訴人もそれを求めていない。 c 本件契約書5条1項の「専用実施権又は独占的通常実施権を有している本件特許権等」の「本件特許権等」は,本件製品を技術的範囲に含むものに限 られるかについて(a) 原判決は,本件契約書5条1項の「本件特許権等」は,本件製品を技術的範囲に含むものに限られないとし,その理由として,本件契約書1条1号の定義において本件特許権等について本件製品を技術的範囲に含むとする概括的な表現とされていることを挙げる。 しかし,「技術的範囲」は特許法70条,71条等に明記された法令用語であるから,本件契約書1条1号の「本件製品を技術的範囲に含む」を「本件製品がその技術的範囲に属する」以外の意味で理解することはできない。 また,本件契約の締結時において,少なくとも,被控訴人は力覚センサに関する特許2件(特許第5459890号(乙23),特許5497969号(乙24))を有し,株式会社トライフォース・マネジメントは力覚センサに関する特許3件(特許第4963138号(乙25),特許第4987162号(乙26),特許第5248708号(乙27))及び加速度センサに関する特許1件(特許第5640169号(乙28))を有し,また,株式会社トライフォース・マネジメントは力覚センサに関する特許出願1件(特許第5765648号(乙29))を有していたが,当時控訴人が開発,販売を予定している本件製品は,これらの技術的範囲に属するものではないことから,本件契約書の別紙1には記載されていない。このことからも,本件契約書1 号(乙29))を有していたが,当時控訴人が開発,販売を予定している本件製品は,これらの技術的範囲に属するものではないことから,本件契約書の別紙1には記載されていない。このことからも,本件契約書1条1号の「本件製品を技術的範囲に含む」は「本件製品がその技術的範囲に属する」を意味することが明らかである。 さらに,被控訴人は,力覚センサや加速度センサの製造販売等を中核的事業としており,従前より圧電型加速度センサや薄型力覚センサを製造販売してきた(乙30~33)。本件契約において,専用実施権の許諾対象を「本件製品がその技術的範囲に属する特許権等」に限定することなく「本件製品のいずれかに関する発明を含む特許権等」まで広げた場合,被控訴人はもはや力覚センサや加速度センサを製造販売することができなくなり,自身の中核的事業を失うことになるのであるか ら,本件契約の当事者である被控訴人及び控訴人がそのような広範囲,包括的に専用実施権の設定を行うことはあり得ない。 (b) 原判決は,本件契約締結に至る交渉の状況について,控訴人は,いったんは許諾特許を使用する商品の売上高の3%をランニング・ロイヤルティとして支払う旨の提案をしたものの,その後に,許諾特許を使用する商品との限定を付すことなく,本件製品に加えてのコンサルタント契約期間中の被控訴人単独開発製品を対象商品としてその売上高の3%をランニング・ロイヤルティとして支払う旨の提案をし,これらの経緯を踏まえて本件契約書が作成され,その後,ランニング・ロイヤルティの支払条件として本件特許権等の実施の有無やその数については何ら触れられないまま,本件製品の正味販売価格に実施料率を乗じた額のランニング・ロイヤルティを支払う旨を定めた本件契約書が作成されたと判示している。 しかし,第三次提案(乙7)におけ の数については何ら触れられないまま,本件製品の正味販売価格に実施料率を乗じた額のランニング・ロイヤルティを支払う旨を定めた本件契約書が作成されたと判示している。 しかし,第三次提案(乙7)における「2次案(第一精工殿提案)」列・「特許使用料」行の欄の「Runnig:3%(15年間又は総額30億円)」の記載は,第二次提案(乙6)の「(2)RunningRoyalty:許諾特許を使用する商品の売上高の3%を支払う。※支払は契約日から15年間もしくはロイヤルティ総額が30億円に達した時のいずれか早い時点までとし,これにて支払完了(PaidUp)とする。」を簡略化して表示したものである。そして,第三次提案において,被控訴人は,第二次提案を受け入れる箇所(第二次提案から変更のない箇所)を黒字で記載し,変更を希望する箇所を青字で記載している。したがって,第二次提案におけるRunningRoyaltyの提案のうち,第三次提案において被控訴人から変更提案がされたのは「※支払は契約日から15年間もしくはロイヤルティ総額が30億円に達した時のいずれか早い時点までとし,これにて支払完了(PaidUp)とする。」のみであり,「許諾特許を使用する商品の売上高の3%を支払う。」という点については第三次提案(乙7)においても変更提案はなく,控訴人と被控訴人との間において合意に至っている。このように既に合意に至った事項(「許諾特許を使用する商品の売上高の3%を支払う。」)について控訴 人が自己に不利な変更を再提案することはあり得ず,第四次提案(乙8)における「(2)RunningRoyalty:3%(対象商品の売上高ベース)」は,第二次提案における「(2)RunningRoyalty:許諾特許を使用する商品の売上高の3%を支払う。」を簡略化して 「(2)RunningRoyalty:3%(対象商品の売上高ベース)」は,第二次提案における「(2)RunningRoyalty:許諾特許を使用する商品の売上高の3%を支払う。」を簡略化して記載したものにすぎない。 なお,このような簡略化は,他の箇所(例えば,①第二次提案の「(1)契約金(一時金):2項の商品の許諾特許に要した費用全額(実費)」を第四次提案では「(1)契約金(一時金):許諾対象特許費用(実費集計)」とする,②第二次提案の「1.ライセンス契約第一精工は,ワコー殿(ワコー,トライフォース・マネジメント,A氏)から下記商品に関する「専用実施権(独占権)」を許諾いただく。」を第四次提案では「3.許諾実施権:専用実施権」とする等)においても同様に行われている。 d 仮払いについて原判決は,本件契約書上,支払対象とならない特許実費に関する仮払いやその精算に関する定めは存在しない上に,控訴人が,被控訴人の特許実費の請求に応じてその支払をするに当たり,仮払いであることや後に精算する必要があることを示すことなく支払をしたことが認められるほか,Bは,過去の特許実費の支払につき,仮払いという説明ではなく,支払当時将来的に独占的な実施権を得られるであろうとの期待から自発的に支払ったなどと説明していたのであって,他に控訴人が被控訴人に対して仮払いであることや精算の必要性があることを支払の際に示していたことをうかがわせる証拠もないと判示する。 しかし,被控訴人が控訴人に対し,本件契約に基づき控訴人が負担すべき特許実費の範囲を超える請求をしてきたのは,本件契約の締結後であるから,本件契約書に仮払いや精算に関する定めが存在するはずはない。 また,被控訴人が出願した特許等の中には,将来,登録されかつ専用実施権を設定するものも存在 求をしてきたのは,本件契約の締結後であるから,本件契約書に仮払いや精算に関する定めが存在するはずはない。 また,被控訴人が出願した特許等の中には,将来,登録されかつ専用実施権を設定するものも存在し得るため,被控訴人の請求額及び控訴人の支払額の全てが返還の対象となるものでもない。したがって,当時控訴人の取締役の地位にあった被 控訴人代表者と既に仮払いの合意がある状況下で,都度の請求,支払の書類に仮払いや精算について記載するはずもない。 さらに,Bのメール(甲29)の「支払当時,独占的な実施権を将来的に当社が得られるであろうとの期待から自発的にお支払したものに過ぎず,契約書に照らして当社が支払い義務を負うものではございません。」及び「独占的な実施権を将来的に当社が設定しないことが明らかな案件の費用であることから,当社は支払いに応じかねます。」の記載から,控訴人が,本件契約書上,専用実施権を設定していない特許等の特許実費の支払義務を負うものではないとの理解をしていることは明らかであり,そのような理解に基づく支払が仮払いでないとするならば,それは寄付又は贈与であり,税務上も問題となり得る支払となる。上場会社である控訴人がそのような支払を行うはずはなく,また,現に,税務署からの指摘も受けていない。控訴人が支払義務のない支払を行うこと自体が仮払いであることの証左であって,仮に仮払いでないとするならば端的に被控訴人が不当利得を得ているにすぎない。 (イ) 被控訴人の主張についてa 被控訴人は,本件契約書5条1項と9条2項について,同じ文言だからといって同じように解釈しなければならないわけではないと主張する。 しかし,契約書において同じ用語を多義的に用いれば,契約が多義的に解釈され,契約の安定性を損ない,明らかに混乱が生じる。した だからといって同じように解釈しなければならないわけではないと主張する。 しかし,契約書において同じ用語を多義的に用いれば,契約が多義的に解釈され,契約の安定性を損ない,明らかに混乱が生じる。したがって,同じ用語は同じ意味で用いるのが契約書ドラフティングの大原則である。そして,本件契約書においては,「専用実施権を設定する旨の合意をし又はこれらと同等の許諾をする旨の合意をした本件特許権等」を表現するのに,「専用実施権を有している」との文言を用いなければならない事情はない。 被控訴人は,独占的通常実施権者であっても,債権者代位などの方法により差止請求を起こすことはできるのであるから,差止請求権のために専用実施権の設定登録までも絶対必要であるわけではないと主張するが,本件契約書には被控訴人が主 張する「債権者代位」はどこにも記載されておらず,本件契約書9条2項が,控訴人が債権者代位をして差止請求権を行使する場面を想定して規定されたものでないことは明らかである。 b 被控訴人は,本件契約書5条2項が仮専用実施権の設定を想定していることを認めた上で,控訴人は,本件契約書5条2項により,専用実施権を非独占的通常実施権に変更していると主張する。 しかし,本件変更通知(乙4)に記載の特許については全て専用実施権の設定登録がされている(乙18,乙38~40)。 c 被控訴人は,本件コンサルタント契約と本件契約が独立したものであると主張し,その理由として,①本件コンサルタント契約の5条の文言が変わらなかったこと,②本件コンサルタント契約と本件契約とはカバーする技術領域が異なることを挙げる。 しかし,①については,本件契約書5条の特許実費負担ルールが本件コンサルタント契約の5条の負担ルール通りであったからこそ,本件コンサルタント契約 件契約とはカバーする技術領域が異なることを挙げる。 しかし,①については,本件契約書5条の特許実費負担ルールが本件コンサルタント契約の5条の負担ルール通りであったからこそ,本件コンサルタント契約の5条は変更せずに一貫して維持されているのであり,本件コンサルタント契約の5条の文言が変わらなかったことは,本件契約書5条に関する控訴人の解釈が正当であることを示している。 また,②については,本件コンサルタント契約の1条3号において「高感度加速度センサ」は「圧電効果を利用し,3次元空間の加速度を3軸成分に分けて検出するセンサを指す。」と定義されており,本件契約書1条3号の「圧電型加速度センサ」に該当することは明らかであるから,本件コンサルタント契約と本件契約の技術領域は何ら異ならない。 d 被控訴人は,乙2の返信メールが証拠として提出されていないことを指摘する。 控訴人は,当初,前回の専用実施権設定登録後に新たに権利化された8件の特許について,専用実施権設定登録の検討を開始した(乙2)。8件の特許について, 専用実施権設定登録をするか否かの判断基準は,「新たに権利になった8件を使用した製品がなく,今後もそのような製品が予想されず,更には,専用実施権を新たに設定することについて,ワコー様とのビジネス戦略の理由等も特にない。」か「新たに権利になった発明を使用した製品がある,または,今後そのような製品が予想される。」かのいずれかである(乙2)。乙2のメールの後,控訴人社内で会議が行われ,その結果,控訴人は,8件のうち2件の特許については「専用実施権の設定登録がされている期間中,ランニング・ロイヤルティ,最低保証実施料の他,権利の維持費用等の実費までも支払わなければなりません」(乙2)というデメリットを回避するために専用実施権の設定 用実施権の設定登録がされている期間中,ランニング・ロイヤルティ,最低保証実施料の他,権利の維持費用等の実費までも支払わなければなりません」(乙2)というデメリットを回避するために専用実施権の設定登録をすべきでないと判断し,6件の特許のみ専用実施権の設定登録を行った(乙39,45,46)。このように,控訴人は,専用実施権設定登録の対象特許を限定し,8件の特許中6件の特許のみ専用実施権設定登録をしているのであるから,本件契約書のランニング・ロイヤルティ及び特許実費の負担範囲についての原判決や被控訴人の理解が誤りであることは明らかである。 e 被控訴人は,特許法で「技術的範囲」だけが単独で用いられることはなく,常に,「特許発明の技術的範囲」として用いられている,同じ言葉は同じ意味で解釈される場合もあるが,常にそうとは限らないなどと主張する。 しかし,本件契約書1条1号で使用される「技術的範囲に含む」という表現は「技術的範囲に属する」との意味で,特許権の権利範囲属否の文脈で裁判例上も多用される常用表現である。また,そのような常用表現を本件契約書において常用の意味とは異なる意味で用いるのであれば,本件契約書1条の定義規定中において当該用語の特別な意味が定義されるはずであるが,本件契約書において「技術的範囲」を常用と異なる特別な意味とする定義規定は置かれていない。 f 被控訴人は,本件契約書に掲載されなかった特許として控訴人が指摘した7件の特許について,いずれも本件契約書の許諾対象特許ではないと主張する。 しかし,上記7件の特許中少なくとも5件の特許は本件コンサルタント契約1条に記載の各センサの要素を明確に充足し,また,その余の2件の特許(乙26,29)についても軸まわりのトルクを検出するセンサであることからトルクセンサである とも5件の特許は本件コンサルタント契約1条に記載の各センサの要素を明確に充足し,また,その余の2件の特許(乙26,29)についても軸まわりのトルクを検出するセンサであることからトルクセンサであることは明らかである。したがって,いずれも本件契約書の許諾対象特許である。 g 被控訴人は,自社のホームページに掲載している製品について現に販売していないなどと主張する。 しかし,ホームページに掲載していながら販売はしていないとの主張には無理がある。 また,特許発明の実施は「譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む)」を含むのであるから,ホームページやカタログ等への掲載も特許発明の実施となる。 h 被控訴人は,本件契約締結に至る交渉の状況について,第四次提案(乙8)の記載を指摘する。 しかし,ランニング・ロイヤルティに関する規定は,第二次提案(乙6)において「(2)RunnningRoyalty:許諾特許を使用する商品の売上高の3%を支払う。」として定めた内容をそのまま第四次提案(乙8)において「(2)RunnningRoyalty:3%(対象商品の売上高ベース)」と簡略化して規定されたものである。また,一時金に関する規定は,第二次提案(乙6)において「2項の商品の許諾特許に要した費用全額(実費)」として定めた内容をそのまま第四次提案(乙8)において「許諾対象特許費用(実費集計)」と簡略化して規定されたものである。このように,両規定は,それぞれ第二次提案から第四次提案までの各提案を経て定められた内容を簡略化しながら記載したものであり,両規定の表記が分かれていることは,何ら規定内容の理解の妨げにならない。 【被控訴人】(ア) 本件契約書5条1項の「専用実施権又は独占的通常実施権を有している」の意味について の表記が分かれていることは,何ら規定内容の理解の妨げにならない。 【被控訴人】(ア) 本件契約書5条1項の「専用実施権又は独占的通常実施権を有している」の意味について a 本件契約書9条2項について本件契約9条2項に「甲が専用実施権を有する・・・」とあるが,それぞれの条項は,それぞれの条項の目的等に従い,解釈すべきであって,同じ文言だからといって同じように解釈しなければならないわけではない。 また,独占的通常実施権者であっても,債権者代位などの方法により差止請求をすることはできるのであるから,差止請求のために専用実施権の設定登録が絶対に必要なわけではない。 したがって,本件契約9条2項に基づく控訴人の主張は理由がない。 b 本件契約書5条2項が設けられたのは,出願中の特許について仮専用実施権の設定があり得るからであるとの控訴人の主張について本件契約書5条2項により,専用実施権の許諾だけがあり設定登録を行っていないものについても,「・・・当該変更通知がなされた対象特許権及び/又は出願中の特許については,前項の費用負担義務を免れ」得るのであり,現に控訴人も,同項により,専用実施権を非独占的通常実施権に変更している(甲29,乙4)。 c 控訴人は,本件契約締結前の時点で,明確に専用実施権が設定登録された特許権に限り特許実費の支払の対象とする旨の意向を示していると主張する。 しかし,控訴人が,専用実施権が設定登録された特許権に限り特許実費の支払の対象とする旨の意向を示したのは,本件の争いが生じた後のことである。それ以前に,控訴人は特段の異議も文句も唱えることなく,特許実費を支払い続けていた(甲24~28)。 d 本件契約は,本件コンサルタント契約において,被控訴人が単独でした発明の出願に る。それ以前に,控訴人は特段の異議も文句も唱えることなく,特許実費を支払い続けていた(甲24~28)。 d 本件契約は,本件コンサルタント契約において,被控訴人が単独でした発明の出願に関する費用は被控訴人の負担とする定めがあることを前提としているとの控訴人の主張について本件コンサルタント契約と本件契約とは,基本的に互いに独立したものであり,このことは,本件コンサルタント契約の5条の文言が,数度の更新によっても全く 変化しなかったことからも明らかである。 また,本件コンサルタント契約において,開発する技術領域は,①トルクセンサ,②マイクロ発電機,③高感度加速度センサ,④触覚センサ,⑤MEMS ミラーである(1条)のに対し,本件契約において許諾する技術領域は,①圧電型加速度センサ(L 字タイプ),②触覚センサ,③トルクセンサ,④マイクロ発電機,⑤MEMS ミラーであって(1条3号),異なる。 e 控訴人が特許実費を負担する必要があることを専用実施権設定の要否の検討の際の考慮要素としていたとの控訴人の主張について乙2のメールの宛先であるC常務は,専用実施権の設定登録の有無に関係なく,特許実費の支払を行った。 そして,本件の争いが勃発する以前に控訴人が専用実施権の設定登録に関し何らかの検討を行ったことが分かる証拠は,乙2のみであるところ,乙2の件名が「ご回答頂けますと幸いです」とあり,回答を期待する内容であるのにかかわらず,控訴人からは,その回答メールの提出がないことからすると,乙2のあとの返答メールが,控訴人に不利なものだったと推認される。 (イ) 本件契約書5条1項の「専用実施権又は独占的通常実施権を有している本件特許権等」の「本件特許権等」は,本件製品を技術的範囲に含むものに限られるかについて 利なものだったと推認される。 (イ) 本件契約書5条1項の「専用実施権又は独占的通常実施権を有している本件特許権等」の「本件特許権等」は,本件製品を技術的範囲に含むものに限られるかについてa 本件契約書1条1号の「本件製品を技術的範囲に含む」を「本件製品がその技術的範囲に属する」以外の意味で理解することはできないとの主張について特許法70条の表題は,「(特許発明の技術的範囲)」であり,特許法で「技術的範囲」だけが単独で用いられることはなく,常に,「特許発明の技術的範囲」として用いられている。 同じ言葉は同じ意味で解釈される場合もあるが,常にそうとは限らない。 控訴人が掲げた七つの特許については,そもそも本件契約の対象ではないから,本件契約の別紙1に記載されなかったのである。乙23~27は触覚センサではなく,乙28は圧電型加速度センサではなく,乙29も触覚センサではないから,本件契約の別紙1に記載されなかったのは当然である。 また,被控訴人は,平成19年から,圧電型加速度センサも,薄型力覚センサ(触覚センサ)も製造販売していない。確かに,乙30等は被控訴人のホームページであるが,当該ホームページ掲載の全部の製品等について現に製造販売しているわけではない。 b 本件契約締結に至る交渉の状況の控訴人の主張について乙8では,「(1)契約金(一時金):許諾対象特許費用(実費集計)」,「(2)RunningRoyalty:3%(対象商品の売上高ベース)」と,控訴人自身が乙8内できちんと書き分けており,控訴人が,許諾特許を使用する商品との限定を付すことなく,本件製品に加えて被控訴人単独開発製品を対象商品としてその売上高の3%をランニング・ロイヤルテイとして支払う旨の提案をしたのは明らかである。 イ争 特許を使用する商品との限定を付すことなく,本件製品に加えて被控訴人単独開発製品を対象商品としてその売上高の3%をランニング・ロイヤルテイとして支払う旨の提案をしたのは明らかである。 イ争点2(控訴人が支払義務を負うランニング・ロイヤルティの範囲)について【控訴人】(ア) 原判決は,本件契約書4条1項2号の「本件特許権等が有効に存続している国において」のうち「有効に存続している」との文言に照らすと,本件特許権等のうち同号の対象となるのは,現に有効に存続している特許権,又は出願後に取り下げられたり,拒絶査定が確定した等の事情が存在せず,特許権として発生する余地のある特許出願であり,まだ出願すら存在しない将来所有すべき出願中の特許又は特許権については除かれると解するべきであると判示する。 しかし,「存続」の用語は,特許法に明記された法令用語であって特許権について用いられ(特許法112条の2第2項),特許出願については用いられない。ま た,「有効に存続」との用語は,最高裁平成12年4月11日第三小法廷判決・民集54巻4号1368頁においても使用される常用表現であり,特許権について使用される。また,そもそも特許出願は出願であって権利ではないから「有効(性)」及び「存続」は観念し得ない。したがって,本件契約書4条1項2号の「本件特許権等が有効に存続している国において」の文言に照らすと,本件特許権等のうち同号の対象となるのは,現に有効に存続している特許権のみであり,特許出願等は対象になり得ない。 この点,被控訴人は,本件契約書4条1項2号の「存続」の用語について,広辞苑の記載を指摘するが,特許実施許諾契約書で使用される用語について,特許法において明確な用語法が特定されているにもかかわらず,広辞苑の用語法に は,本件契約書4条1項2号の「存続」の用語について,広辞苑の記載を指摘するが,特許実施許諾契約書で使用される用語について,特許法において明確な用語法が特定されているにもかかわらず,広辞苑の用語法によるべき理由は全く存在しない。 (イ) 原判決は,本件契約書4条1項2号は,本件特許権等が有効に存続している国において本件製品を販売したときに当該国における販売分についてランニング・ロイヤルティの支払義務を課すものであるから,ランニング・ロイヤルティの支払義務につき,本件特許権等に含まれる特許権又は出願中の特許が存在する国における本件製品の販売に限定することを定めたと解するのが自然であると判示する。 a しかし,前記(ア)のとおり,本件特許権等のうち本件契約書4条1項2号の対象となるのは,現に有効に存続している特許権のみであり,特許出願等は対象になり得ない。 b 本件契約においては,ランニング・ロイヤルティ(実施料)は「本契約第2条の実施許諾の対価」(同4条1項柱書)と規定されている。 そして,本件契約書2条1項は,実施許諾の内容を「乙は,甲に対し,本件特許権等の有効期間中,本件特許権等に基づき,甲が全世界において本件製品を開発,製造・・・することにつき,専用実施権(専用実施権に対応する外国の実施権を含む)を設定及び許諾する。」と特定しており,本件特許権等に基づかない本件製品 の開発等については実施許諾の対象に含まれていない。また,「本件特許権等」の定義については,本件契約書1条1号は「『本件特許権等』とは,本件製品を技術的範囲に含む乙が現に所有し又は将来に所有すべき特許権及び出願中の特許・・・」と規定し,「本件特許権等」は,控訴人が開発,製造等する製品を技術的範囲に含むものに限定,特定されている。 件製品を技術的範囲に含む乙が現に所有し又は将来に所有すべき特許権及び出願中の特許・・・」と規定し,「本件特許権等」は,控訴人が開発,製造等する製品を技術的範囲に含むものに限定,特定されている。 したがって,本件契約書2条による実施許諾の対象は,控訴人が開発,製造等する製品(トルクセンサ等)を技術的範囲に含む特許権等である。 このような前提の下,本件契約書4条1項2号は,控訴人が,控訴人の製品(トルクセンサ等)を技術的範囲に含む特許権等が有効に存続している国において,当該製品,すなわち特許権等の実施品を販売したときは,被控訴人に対し,当該製品の正味販売価格の3%相当額のランニング・ロイヤルティを支払うものと規定している。したがって,同4条1項2号は,本件特許権等を実施した本件製品の販売についてランニング・ロイヤルティの支払義務を定めたものである。 (ウ) 原判決は,多数の特許権等を一括して実施許諾する際に,実施許諾の対象となる特許権及び出願中の特許の技術的範囲に属するか否かにかかわらず,製品の名称を特定しその販売額に応じてランニング・ロイヤルティを定めれば,実際に実施する特許権等の数にかかわらずランニング・ロイヤルティを一定額にとどめることができる上に,その算定に当たり実施の有無について争いとなることを防ぐこともできるという点において合理的なものであり,そのような合意をすること自体は何ら不自然なものではないと判示する。 しかし,特許発明の実施と無関係な実施料支払合意に合理性が認められるのは,「製品の名称」等により対象製品を限定的に特定した上で多数の特許権等を特定して「一括して」実施許諾するような場合である。そのような場合には,特許実施許諾契約の締結時点において対象特許及び対象製品が制限的に特定されるため,契約当事者をして 特定した上で多数の特許権等を特定して「一括して」実施許諾するような場合である。そのような場合には,特許実施許諾契約の締結時点において対象特許及び対象製品が制限的に特定されるため,契約当事者をして,特許実施許諾契約締結時に,実施許諾対象特許(特許群)の価値を理解,特定することが可能であり,また,対象特許と関連性の高い製品を対象製品 とする一方,関連性の低い製品を対象製品から除外することにより,対象製品の範囲を適切に調整,画定することができる。しかるに,本件契約書においては,締結時点において実施許諾対象特許を限定,特定することができず,また,時を経るに従い対象特許が入れ替わってしまうため,対象特許(特許群)の価値を理解,特定することが不可能である。また,実施許諾対象製品も「本件製品」として製品名等ではなく極めて大きな括りの種別(加速度センサ,力覚センサ,トルクセンサ等)で特定されているにすぎず,具体的に特定されていないことから,対象特許との関連性を考慮して対象製品の範囲を適切に調整,画定することも不可能である。さらには,本件契約の有効期間は「本契約締結日から本件特許権等の最終の存続期間満了の日まで」(10条)とされており,かつ,ライセンシー(控訴人)には,非独占的通常実施権の許諾を拒絶する権利も途中解約権も認められていない。したがって,本件契約書において,特許発明の実施と無関係な実施料支払合意の解釈を採用した場合,控訴人は,大きな括りの種別で特定される「本件製品」を製造販売する限り,未来永劫,本件特許権等の全てが「本件製品」を技術的範囲に含まない,「本件製品」とは無関係の無価値な特許,特許出願のみとなったとしても,本件製品の正味販売額の3%を被控訴人に支払い続けなければならない立場に置かれることになる。本件契約書において,特許発 含まない,「本件製品」とは無関係の無価値な特許,特許出願のみとなったとしても,本件製品の正味販売額の3%を被控訴人に支払い続けなければならない立場に置かれることになる。本件契約書において,特許発明の実施と無関係な実施料支払合意をすることに合理性は全く認められず,当事者がそのような合意をしたとも解されない。 むしろ,本件契約書4条1項2号は,「本件特許権等が有効に存続している国において本件製品を販売したときは」と規定し,あくまで発明実施に係る本件製品を実施料支払対象としている。 したがって,原判決の上記判断は誤っている。 【被控訴人】(ア) 控訴人は,「存続」の用語は,特許権について用いられると主張するが,広辞苑によると,「存続」とは,「ひきつづいて存すること。存在し続けること。」とある。 (イ) 控訴人は,本件契約書では,実施許諾対象製品は「本件製品」として製品名等ではなく極めて大きな括りの種別(加速度センサ,力覚センサ,トルクセンサ等)で特定されているにすぎないと主張する。 しかし,本件契約で実施許諾したのは,「①圧電型加速度センサ(L 字タイプ),②触覚センサ,③トルクセンサ,④マイクロ発電機,⑤MEMS ミラー」(1条)のみであって,圧電型加速度センサ(L 字タイプ)以外の加速度センサは実施許諾していないし,力覚センサについても実施許諾していない。 (ウ) 控訴人は,特許発明の実施と無関係な実施料支払合意に合理性が認められるのは,「製品の名称」等により対象製品を限定的に特定した上で多数の特許権等を特定して「一括して」実施許諾するような場合であると主張するが,特許発明の実施と無関係にされる実施料の支払合意に合理性が認められる場合は,上記の場合に限らない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁 を特定して「一括して」実施許諾するような場合であると主張するが,特許発明の実施と無関係にされる実施料の支払合意に合理性が認められる場合は,上記の場合に限らない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,被控訴人の請求は,控訴人に対して,特許実費として,4506万0843円及びこれに対する平成30年6月13日から支払済みまで年6%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないと判断する。 その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3争点に対する判断」1~3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決11頁24行目末尾の次に行を改めて次のとおり加える。 「エ控訴人と被控訴人は,本件コンサルタント契約を更新する目的で,平成28年4月1日,平成29年4月1日にも,それぞれ,それまでの契約と同内容の契約を締結した(乙22の1・2)。」(2) 原判決14頁11行目の「支払っていた」を「支払っていたが,その際に,控訴人の製造,販売する製品が,本件特許権等に係る発明の技術的範囲に含まれるか否かについては検討したことはなく,また,支払に当たって,後に正確な金額を 算定し,精算することを前提に支払うものであるとの説明をしたことはなかった」に改め,同行目の「29」の次に「44,45,弁論の全趣旨」を加える。 (3) 原判決14頁19行目の「依頼した(乙2)」を「依頼するメールを送信した(以下,同メールを「乙2メール」という。乙2)が,乙2メールにおいて,本件契約上,控訴人の製造,販売する製品がその技術的範囲に含まれない発明に係る特許権の特許実費を支払う必要はないことや,上記8件の特許について,控訴人の製造,販売する製品がその発明の技術的範囲に含まれるか否かの 控訴人の製造,販売する製品がその技術的範囲に含まれない発明に係る特許権の特許実費を支払う必要はないことや,上記8件の特許について,控訴人の製造,販売する製品がその発明の技術的範囲に含まれるか否かの検討を求めることはなかった」に改める。 (4) 原判決14頁19行目末尾の次に行を改めて次のとおり加える。 「控訴人は,Bが乙2メールにおいて指摘した8件の特許のうち,6件の特許について専用実施権の設定登録をした(乙39,45,46,弁論の全趣旨)。」(5) 原判決14頁25行目の「支払った。」の次に,「控訴人は,その支払の際,支払対象となる本件特許権等に係る発明の技術的範囲に控訴人の製造,販売する製品が含まれるか否かについては検討しなかった。」を加える。 (6) 原判決15頁19行目の「乙3」を「以下,同通知を「乙3変更通知」という。乙3」に改める。 (7) 原判決16頁3行目の「発明を含むものであり」を「ものから,乙3変更通知により,同特許権について控訴人が有する専用実施権が非独占的通常実施権に変更されたものを除いたものであり」に改める。 (8) 原判決17頁11行目末尾の次に行を改めて次のとおり加える。 「キ Bは,上記の各メールにおいて,本件契約上,控訴人の製造,販売する製品がその技術的範囲に含まれない発明に係る特許権の特許実費を支払う必要はないとの説明はしておらず,また,ランニング・ロイヤルティの支払義務については言及していない。」(9) 原判決17頁13行目冒頭から20頁2行目末尾までを次のとおり改める。 「(1)ア特許実費の支払義務を負う対象となる権利の範囲について,本件契約 書5条1項は,「専用実施権又は独占的通常実施権を有している本件特許権等」と規定していることから,控訴人は,専用 「(1)ア特許実費の支払義務を負う対象となる権利の範囲について,本件契約 書5条1項は,「専用実施権又は独占的通常実施権を有している本件特許権等」と規定していることから,控訴人は,専用実施権の設定登録がされた特許権についてのみ,それらの特許実費を負担することになるのかが問題となる。 (ア) 出願中の特許について本件契約書1条1号は,「本件特許権等」について,出願中の特許も含まれるものと定義していること,本件契約書5条1項は,「当該特許権又は出願中の特許に係る出願,登録及び維持に要する実費(以下「特許実費」という。)を負担する」と規定していること,本件契約書5条2項は「2条3項に基づく非独占的通常実施権への変更通知をしたときは,当該変更通知がなされた対象特許権及び/又は出願中の特許については,前項の費用負担義務を免れるものとし」と規定していることからすると,本件契約書5条1項により控訴人が負担することになる特許実費には,出願中の特許についての特許実費も含まれることは明らかである。 そして,出願中の特許については,専用実施権の設定や独占的通常実施権の許諾はできないから,それが特許権の設定登録がされた後に本件契約上専用実施権や独占的通常実施権の対象となるのであれば,特許実費の支払義務を負う対象となるというべきである。なお,出願中の特許については,仮専用実施権の設定や仮通常実施権の許諾をすることができる(特許法34条の2,34条の3)が,本件契約書には,仮専用実施権の設定や独占的仮通常実施権の許諾がされたものに限り,控訴人がその特許実費を負担する旨の規定はないから,控訴人がその特許実費を支払う義務がある出願中の特許がこれらのものに限られると解することはできない。 したがって,出願中の特許についても,本件契約書2条3項に基づく非 費を負担する旨の規定はないから,控訴人がその特許実費を支払う義務がある出願中の特許がこれらのものに限られると解することはできない。 したがって,出願中の特許についても,本件契約書2条3項に基づく非独占的通常実施権への変更がされていないものであれば,控訴人がその特許実費を支払う義務があるというべきである。 (イ) 特許権の設定登録がされた特許権について本件契約書2条1項,2項は,本件特許権等につき,当初は,専用実施権の設定合意をするが,本件契約締結日から3年経過したときに,その専用実施権が独占的 通常実施権に変更される旨規定しており,本件契約においては,専用実施権の設定合意がされ,その設定登録がされていなくても,その専用実施権は,3年経過後に独占的通常実施権に変更されるものとされているのであるから,本件特許権等のうち特許権の設定登録がされた特許権については,「専用実施権又は独占的通常実施権を有している本件特許権等」とは,本件契約書2条1項により専用実施権の設定の合意がされた特許権及び本件契約書2条2項により同専用実施権が独占的通常実施権に変更された特許権を意味し,控訴人は,そのような特許権であり,本件契約書2条3項に基づく非独占的通常実施権への変更をしていないものであれば,専用実施権の設定登録がされているかどうかにかかわらず,それらの特許実費を支払う義務があるというべきである。 イ次に,本件契約書1条1号において,「本件特許権等」が「本件製品を技術的範囲に含む」ものと定義されていることから,その意味が問題となる。 本件契約書1条3号は,「本件製品」について,「(1)圧電型加速度センサ(L字タイプ),(2)触覚センサ(薄型力覚センサ),(3)トルクセンサ,(4)マイクロ発電機,及び(5)MEMSミラーを意味する。」と定め 条3号は,「本件製品」について,「(1)圧電型加速度センサ(L字タイプ),(2)触覚センサ(薄型力覚センサ),(3)トルクセンサ,(4)マイクロ発電機,及び(5)MEMSミラーを意味する。」と定めており,そこに控訴人が製造,販売するあるいは製造,販売する予定の製品といった限定はないから,本件契約上,「本件製品」とは,これらの技術分野の製品一般を意味するものである。 したがって,「本件製品を技術的範囲に含む」とは,これらの技術分野を技術的範囲に含むことを意味し,「本件特許権等」は,これらの技術分野に関する特許権又は出願中の特許を意味すると解するのが相当である。 ウそして,本件契約についての以上の解釈は,前記1(2)で認定した本件契約締結に至る経緯,前記1(3)で認定した本件契約締結後の当事者のやり取りの状況等及び前記1(5)アで認定した控訴人による本件契約に基づく特許実費の支払状況とも矛盾なく整合するものであって,これ以外の解釈をすることはできない。 (2) 以上のとおり,控訴人は,被控訴人に対して,本件製品(圧電型加速度センサ(L字タイプ),触覚センサ(薄型力覚センサ),トルクセンサ,マイクロ発電 機,及びMEMSミラーの技術分野)に関する出願中の特許,専用実施権の設定の合意がされた特許権及び同特許権から独占的通常実施権の許諾のある特許権に変更された特許権のうち,上記の専用実施権又は独占的通常実施権が非独占的通常実施権に変更されていないものについての特許実費を支払う義務を負うが,前記1(7)アのとおり,平成29年度第2半期における上記範囲の特許実費は,4512万6043円である。」(10) 原判決20頁23行目の「明確に」を削り,同頁24行目の「とまでは認め難い。」を「とはいえない。」と改め,同頁24行目の「そうす る上記範囲の特許実費は,4512万6043円である。」(10) 原判決20頁23行目の「明確に」を削り,同頁24行目の「とまでは認め難い。」を「とはいえない。」と改め,同頁24行目の「そうする」から25行目末尾までを削る。 (11) 原判決21頁1行目冒頭から22頁12行目末尾までを次のとおり改める。 「イ控訴人は,控訴人の特許実費の支払について,後に精算することを前提とした仮払いである旨主張する。 しかし,債務の履行として金銭の支払をするに当たって,その金額が確定的なものではなく,後に精算する予定で支払う趣旨である場合は,通常,その旨を明示するはずであるが,前記1(3)のとおり,控訴人は,被控訴人に対して特許実費を支払う際に,同支払が確定的なものではなく,後に精算する予定であるとの説明をしたことはなかったのであり,また,本件証拠上,本件契約を締結した頃に,控訴人と被控訴人との間で,特許実費の支払方法について,後に精算をすることを前提として支払うことを合意したと認めることもできない。 また,控訴人が被控訴人に支払ってきた特許実費が仮払いの趣旨であったことを立証するための証拠としては,控訴人の会計帳簿等が考えられるところ,控訴人は,そのような証拠を全く提出していない。 以上からすると,控訴人がしてきた特許実費の支払が仮払いの趣旨でしたものと認める余地はなく,控訴人の上記主張は理由がない。 ウ控訴人は,本件契約は,本件コンサルタント契約において,被控訴人が単 独でした発明の出願に関する費用は被控訴人の負担とする定めがあることを前提とした上で,その例外として,控訴人が専用実施権を有するものについてその特許実費を負担することを定めたものであると主張する。 しかし,本件契約書2条3項に基づき非独占的通常実施権 めがあることを前提とした上で,その例外として,控訴人が専用実施権を有するものについてその特許実費を負担することを定めたものであると主張する。 しかし,本件契約書2条3項に基づき非独占的通常実施権に変更された特許権については,控訴人は,その特許実費の負担義務を免れるのであり(5条2項),その場合は,本件コンサルタント契約の費用負担に係る規定に従うことになるのであるから,本件コンサルタント契約が適用される余地がなくなるものではなく,控訴人が専用実施権の設定登録を受けたもののみについて,その特許実費を負担することを定めたものと解さなくても,何ら不合理ではない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 エ控訴人は,乙2メールを根拠として,控訴人が特許実費を負担する必要があることを専用実施権設定の要否の検討の際の考慮要素としていたと主張する。 しかし,前記1(5)アのとおり,控訴人は,専用実施権の設定登録がされていない特許権についての特許実費を支払ってきたのであるから,控訴人の上記主張は理由がない。 この点,控訴人は,乙2メールに指摘されている8件の特許権について,専用実施権の設定登録をするか否かを検討した結果,6件の特許権のみに専用実施権の設定登録をした旨主張するが,前記1(5)アのとおり,控訴人は,専用実施権の設定登録をしなかった2件の特許権についても,その特許実費を支払ったのであるから,6件の特許権のみに専用実施権の設定登録をしたという事実から,控訴人が,特許実費を負担する必要があることを専用実施権設定の要否の検討の際の考慮要素としていたと認めることはできない。 オ控訴人は,本件特許権等の出願等は,専ら被控訴人がその裁量で自己の権利として管理しており,控訴人が判断できるのは本件特許権等について専用実施権の設定登録を受け ていたと認めることはできない。 オ控訴人は,本件特許権等の出願等は,専ら被控訴人がその裁量で自己の権利として管理しており,控訴人が判断できるのは本件特許権等について専用実施権の設定登録を受けるか否かの点のみであることから,本件契約書5条1項は,専用実施権の設定登録を受けた特許権のみを特許実費の支払対象とするものと解すべき であると主張する。 しかし,前記1(3)のとおり,控訴人は,被控訴人から,出願した特許の概要の説明を受けていたほか,必要に応じて被控訴人に対して被控訴人の出願に係る特許に係る明細書や請求項等の出願書類の写しの提供を求めていたものであり,これにより,本件契約により控訴人が負担することとなる特許実費の対象となる特許権や出願中の特許を把握することができたといえる。そして,本件契約締結に当たっても,控訴人は,上記の方法により特許実費の対象となる特許権や出願中の特許を把握できるものと考えていたというべきであるから,控訴人が,専用実施権の設定登録をしていない特許権の特許実費を負担する契約を締結するのが不合理であるということはできない。 この点,控訴人は,本件契約書5条2項によって非独占的通常実施権に変更できるとしても,同変更通知前に発生した費用の負担を免れることはできないところ,控訴人は,被控訴人から,被控訴人が出願を予定している特許については,その内容の説明を受けていないと主張するが,特許実費に占める当初の特許出願に要する費用の額の割合を考慮すると,控訴人の上記主張事実のみをもって,専用実施権の設定登録をしていない特許権の特許実費を控訴人が負担することが不合理であり,控訴人がそのような契約を締結するはずがないとはいえないというべきである。 カ控訴人は,本件契約書5条1項の「専用実施権・・・を有している」の文 権の特許実費を控訴人が負担することが不合理であり,控訴人がそのような契約を締結するはずがないとはいえないというべきである。 カ控訴人は,本件契約書5条1項の「専用実施権・・・を有している」の文言について,専用実施権の設定登録をしている必要がないと解した場合,本件契約書9条2項の「甲が専用実施権を有する」も同様に,専用実施権の設定登録をしている必要がないと解すべきであり,そうすると,同9条2項は,控訴人は,専用実施権の設定登録をしていない場合に,当該特許権の侵害者に対して差止請求訴訟を提起することを規定したことになり,不合理であると主張する。 しかし,本件契約書9条2項の「専用実施権を有する」とは,差止請求訴訟の提起等について定める同項の内容からすると,専用実施権の設定登録をした場合を意味するものと解されるが,そうであるからといって,本件契約書5条1項の「専用 実施権・・・を有している」を,専用実施権の設定登録をした場合を意味するものと解さなければならないことにはならない。 この点,控訴人は,契約書においては,同じ用語は同じ意味で用いるのが大原則であると主張するが,全ての契約書において,そのように用語が用いられているとは限らないというべきである。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 キ控訴人は,平成26年11月5日に控訴人がした第二次提案においては,「(2)RunningRoyalty:許諾特許を使用する商品の売上高の3%を支払う。」と記載されていたのが,被控訴人が平成27年1月30日にした第三次提案においては,被控訴人は,第二次提案の上記の部分を受け入れ,その結果,同年2月24日に控訴人が第四次提案をしたのであるから,第四次提案においては,「(2)RunningRoyalty:許諾特許を使用する商品の売上 訴人は,第二次提案の上記の部分を受け入れ,その結果,同年2月24日に控訴人が第四次提案をしたのであるから,第四次提案においては,「(2)RunningRoyalty:許諾特許を使用する商品の売上高の3%を支払う。」の部分に変更はなく,ただ,簡略化して,「(2)RunningRoyalty:3%(対象商品の売上高ベース)」と記載したものであるとして,控訴人は,本件契約締結前の時点で,本件特許権等を実施する製品に限り特許実費の支払の対象とする旨の意向を示していると主張する。 しかし,仮に,控訴人が,被控訴人の有する特許権を実施する製品に限り,ランニング・ロイヤルティを支払う義務があると認識していたのであれば,控訴人がした第二次提案における「許諾特許を使用する」との文言を第四次提案において省くことはあり得ないことであり,上記文言を第四次提案において省いたことは,被控訴人の有する特許権に係る発明の技術的範囲に含まれない製品であっても,これを販売すればランニング・ロイヤルティを支払う義務があるという認識を有していたことを推認させるものである。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 ク控訴人は,控訴人の製品を技術的範囲に含まない特許発明に係る特許第5459890号,特許5497969号,特許第4963138号,特許第498 7162号,特許第5248708号,特許第5640169号及び特許第5765648号は,本件契約書の別紙1に記載されていないことを根拠として,本件契約においては,控訴人は,控訴人が製造,販売する製品を技術的範囲に含む発明に係る特許権の特許実費のみを負担することになっている旨主張する。 しかし,本件契約の対象となる本件特許権等が,控訴人が製造,販売する製品がその技術的範囲に属するものに限られないことは, に含む発明に係る特許権の特許実費のみを負担することになっている旨主張する。 しかし,本件契約の対象となる本件特許権等が,控訴人が製造,販売する製品がその技術的範囲に属するものに限られないことは,前記(1)イで判示したとおりである。本件契約書1条1項は,本件特許権等には,「別紙1に係る対象特許目録記載の特許権及び出願中の特許・・・が含まれる」と規定しており,本件契約書の別紙1に記載された特許権等は,本件特許権等の一部を示すものにすぎないから,上記の各特許が本件契約書の別紙1に記載されていないからといって,「本件特許権等」が,控訴人が製造,販売する製品を技術的範囲に含む発明に係る特許権を意味するものと解することはできないというべきであり,控訴人の上記主張は理由がない。 ケ控訴人は,本件契約において,専用実施権の許諾対象を「本件製品のいずれかに関する発明を含む特許権等」まで広げた場合,被控訴人はもはや力覚センサや加速度センサを製造販売することができなくなり,自身の中核的事業を失うことになるのであるから,本件契約の当事者である被控訴人及び控訴人がそのような広範囲,包括的に専用実施権の設定を行うことはあり得ないと主張するが,被控訴人がどのような事業を行うかは,被控訴人の経営判断によるものであって,控訴人の上記主張のような理由により本件契約を解釈することはできない。」(12) 原判決22頁13行目の「ウ」を「コ」に改め,同頁26行目の「本件変更通知により」の後に「,本件変更通知以降」を加え,23頁12行目冒頭から23行目末尾までを削り,24頁2行目の「2(3)及び(4)」を「1(4)及び(5)」に改める。 (13) 原判決24頁6行目冒頭から25頁4行目末尾までを次のとおり改める。 「(1)ア本件契約書4条1項2号 頁2行目の「2(3)及び(4)」を「1(4)及び(5)」に改める。 (13) 原判決24頁6行目冒頭から25頁4行目末尾までを次のとおり改める。 「(1)ア本件契約書4条1項2号は,「甲は,本件特許権等が有効に存続している国において本件製品を販売したときは,当該国における販売分について,乙に対し,ランニング・ロイヤルティとして,本件製品の正味販売価格の3%相当額(税別)を支払う。」というものであり,本件製品の正味販売価格の3%をランニング・ロイヤルティとして支払うことを規定し,控訴人の販売する製品が,被控訴人の有する特許権に係る発明の技術的範囲に含まれるものであるとの限定はないから,そのような限定はなく,控訴人は,本件製品を販売したときは,ランニング・ロイヤルティを支払う義務があるものということができる。 そして,本件契約についての上記解釈は,①前記1(2)のとおり,本件契約締結に向けた交渉において,控訴人が平成26年11月5日にした提案では,許諾特許を使用する商品の売上高を基礎としてランニング・ロイヤルティを算定することとしていたが,平成27年2月24日にした提案においては,対象商品の売上高を基礎としてランニング・ロイヤルティを算定することとし,「許諾特許を使用する」との部分を削除したこと,②前記1(5)イで認定した控訴人による本件契約に基づくランニング・ロイヤルティの支払状況及び③前記1(5)イ,(7)のとおり,控訴人と被控訴人との間で,平成29年度第2半期における特許実費の支払義務についての紛争が生じた後に,Bは,被控訴人に対し,メールで,支払を拒絶する理由を説明したが,その際には,ランニング・ロイヤルティの支払義務については言及せず,平成30年10月16日には,被控訴人に対し,同年4月1日から同年9月30日 訴人に対し,メールで,支払を拒絶する理由を説明したが,その際には,ランニング・ロイヤルティの支払義務については言及せず,平成30年10月16日には,被控訴人に対し,同年4月1日から同年9月30日までのランニング・ロイヤルティとして,従来と同様に,被控訴人が販売した製品が被控訴人の有する特許権に係る発明の技術的範囲に含まれるか否かを区別せずに算定した額を支払う旨報告したこととも矛盾なく整合するものであって,これ以外の解釈をすることはできない。 イまた,「本件特許権等」には,出願中の特許も含まれることからすると,本件契約書4条1項2号の「本件特許権等が有効に存続している国」とは,現に有効に存続している特許が登録されている国のほか,出願後に取り下げられたり,拒 絶査定が確定した等の事情が存在せず,特許登録がされる余地のある特許出願がされている国をも含むものと解するのが相当である。 ウ以上からすると,控訴人は,本件契約に基づき,本件特許権等に係る特許登録がされている国又は特許登録がされる余地のある本件特許権等に係る特許出願がされている国において本件製品を販売したときは,控訴人の販売する製品が被控訴人の有する特許権に係る発明の技術的範囲に含まれるか否かにかかわらず,本件製品の正味販売価格の3%相当額のランニング・ロイヤルティを支払う義務を負うものと解するのが相当である。」(14) 原判決25頁20行目の「これを」から21行目末尾までを次のとおり改める。 「特許が出願されてはいるが,特許権の設定登録のされていない国においても,本件製品を販売したときに,ランニング・ロイヤルティの支払義務が生じるとすることも不合理ではない。」(15) 原判決26頁4行目の「主張する。」から9行目末尾までを「主張するが,前記2(3)キ 本件製品を販売したときに,ランニング・ロイヤルティの支払義務が生じるとすることも不合理ではない。」(15) 原判決26頁4行目の「主張する。」から9行目末尾までを「主張するが,前記2(3)キのとおり,控訴人の同主張は理由がない。」に改める。 (16) 原判決26頁9行目末尾の次に行を改めて次のとおり加える。 「ウ控訴人は,「存続」の用語は,特許法に明記された法令用語であって特許権について用いられること,特許出願は出願であって権利ではないから「有効(性)」及び「存続」は観念し得ないことから,本件契約書4条1項2号の「本件特許権等が有効に存続している国において」の「本件特許権等」とは,現に有効に存続している特許権を意味し,出願中の特許は含まれないと主張する。 しかし,本件契約書1条は,「本件特許権等」の定義として,出願中の特許も含むと規定しているのであるから,4条1項2号の「本件特許権等」にも出願中の特許が含まれるものと解することができる。 そして,出願中の特許についても,出願後に取り下げられたり,拒絶査定が確定した等の事情が存在せず,特許登録がされる余地のある場合を,契約書において 「有効に存続している」と表現することが不自然であるとはいえないから,同文言を理由に,出願中の特許が本件契約書4条1項2号の「本件特許権等」に含まれないと解することはできない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 エ控訴人は,本件契約書4条1項柱書は,ランニング・ロイヤルティは,「本件契約第2条の実施許諾の対価」であると規定しているところ,本件契約書2条による実施許諾の対象は,控訴人が開発,製造等する製品を技術的範囲に含む特許権等であるから,4条1項2号は,控訴人が,控訴人の製品を技術的範囲に含む特許権等が有効に存続している ころ,本件契約書2条による実施許諾の対象は,控訴人が開発,製造等する製品を技術的範囲に含む特許権等であるから,4条1項2号は,控訴人が,控訴人の製品を技術的範囲に含む特許権等が有効に存続している国において,当該製品を販売したときに,当該製品の正味販売価格の3%相当額のランニング・ロイヤルティを支払うものと規定したものであると主張する。 しかし,前記2(1)イのとおり,本件契約書1条1号の「本件製品を技術的範囲に含む」とは,1条3号に規定された技術分野を技術的範囲に含むことを意味し,「本件特許権等」も,1条3号に規定された技術分野の特許権又は出願中の特許を意味するところ,それらの特許権等について本件契約書2条によって実施許諾がされているのであるから,控訴人は,上記の技術分野に関する製品を販売したのであれば,本件契約書4条1項2号によってランニング・ロイヤルティを支払う義務が生じるというべきである。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 オ控訴人は,本件契約書において,本件特許権等に係る特許発明と無関係な実施料を支払うとの合意があったものと解釈した場合,控訴人は,大きな括りの種別で特定される「本件製品」を製造販売する限り,本件特許権等に係る発明の全てが「本件製品」を技術的範囲に含まない,「本件製品」とは無関係のもののみとなったとしても,本件製品の正味販売額の3%を被控訴人に支払い続けなければならない立場に置かれることになり,したがって,当事者が上記のような合意をしたと解することはできないと主張する。 しかし,本件契約のランニング・ロイヤルティの定めに合理性があることは,前記アで判示したとおりであって,控訴人が主張する上記の事情は,前記(1)の判断を何ら左右するものではない。」 2 よって,原判決は正当であ 約のランニング・ロイヤルティの定めに合理性があることは,前記アで判示したとおりであって,控訴人が主張する上記の事情は,前記(1)の判断を何ら左右するものではない。」 2 よって,原判決は正当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官森義之 裁判官佐野信 裁判官中島朋宏 (別紙) 契約条項 前文第一精工株式会社(以下「甲」という。)と株式会社ワコー(以下「乙」という。)は,乙が有する本件特許権等(定義は1条のとおり)の実施許諾に関し,以下のとおり契約を締結する。 1条(定義)本件契約において,別段の定めがある場合を除き,次の各用語は,次に定める意味を有するものとする。 ① 「本件特許権等」とは,本件製品を技術的範囲に含む乙が現に所有し又は将来に所有すべき特許権及び出願中の特許(これらに対応する外国における特許権及び出願中の特許を含む。本号において以下同じ。)の総称を意味する。本件特許権等には別紙1(判決注・本件契約書に添付された別紙である。)に係る対象特許目録記載の特許権及び出願中の特許,並びにこれらの特許権及び出願中の特許に関する分割出願,継続出願,一部継続出願,再発行,更新,延長及び追加が含まれる。 約書に添付された別紙である。)に係る対象特許目録記載の特許権及び出願中の特許,並びにこれらの特許権及び出願中の特許に関する分割出願,継続出願,一部継続出願,再発行,更新,延長及び追加が含まれる。 ③ 「本件製品」とは,(1)圧電型加速度センサ(L字タイプ),(2)触覚センサ(薄型力覚センサ),(3)トルクセンサ,(4)マイクロ発電機,及び(5)MEMSミラーを意味する。 ④ 「正味販売価格」とは,甲が第三者に本件製品を販売した販売高の税抜金額を意味する。 2条(本件特許権等の実施許諾) 1 乙は,甲に対し,本件特許権等の有効期間中,本件特許権等に基づき,甲が全世界において本件製品を開発,製造(製造委託を含む。),販売,使用,販売の申出,輸出及び輸入することにつき,専用実施権(専用実施権に対応する外国の実施 権を含む。)を設定及び許諾する。乙は,本件契約締結後速やかに,甲が本項所定の専用実施権の設定登録を行う手続に協力する。 2 前項の定めにかかわらず,本件契約締結日から3年間を経過したときは,前項の専用実施権は独占的通常実施権(独占的通常実施権に対応する外国の実施権を含む。)に変更されるものとする。ただし,本項本文の変更を除き,甲が有する実施権の内容については維持されるものとする。 3 本件契約における他の定めにかかわらず,甲は,本件契約の有効期間中,自己の選択により,本件製品の全部又は一部を単位として,本件契約に定める専用実施権及び独占的通常実施権を非独占的通常実施権に変更する権利を有する。甲は,当該変更をするときは,書面による変更通知を乙に対して行うものとする。甲による当該変更通知をもって甲の実施権は変更対象製品について非独占的通常実施権に変更されるものとするが,独占性以外の実施権の内容については維持されるものとす る変更通知を乙に対して行うものとする。甲による当該変更通知をもって甲の実施権は変更対象製品について非独占的通常実施権に変更されるものとするが,独占性以外の実施権の内容については維持されるものとする。 4 甲及び乙は,甲乙間で別途締結するコンサルタント契約の有効期間中に乙が開発した製品について,甲が当該製品の事業化を希望したときは,乙は甲に対して当該製品に関する特許権及び出願中の特許の実施許諾を含む契約締結に関する優先交渉権を付与するものとし,両者は契約締結に向けて誠実に協議するものとする。 3条(甲乙共有の発明及び考案に係る知的財産権の実施)甲及び乙は,2条4項のコンサルタント契約の有効期間中に甲乙が共同で成した発明及び考案(以下「共同特許」という。)については,相手方に何らの支払を要せず甲乙それぞれが自ら実施できることを相互に確認し,本件製品を技術的範囲に含む甲乙共有の発明及び考案に係る知的財産権について乙又は甲が単独での実施を希望し,相手方と協議の上その承諾を得て独占的に実施(第三者への実施委託を含む。)及び実施許諾を行う権限(以下「完全独占実施権」という。)を得たときは,当該相手方が当該知的財産権を自己又は第三者をして実施しないことを条件に,本項に定める知的財産権の出願,登録及び維持に要する実費を負担するほか,完全独 占実施権を有している期間に限り,完全独占実施権を実施して本件製品を販売したときは,相手方に対し,完全独占実施権設定の対価として,本件製品の正味販売価格の3%相当額(税別)を支払う。ただし,完全独占実施権の実施対象製品が本件契約書4条1項2号所定のランニング・ロイヤルティ支払対象の本件製品と重複し甲がランニング・ロイヤルティを支払う場合,甲は,本項所定の完全独占実施権設定の対価の支払義務を負わない。 象製品が本件契約書4条1項2号所定のランニング・ロイヤルティ支払対象の本件製品と重複し甲がランニング・ロイヤルティを支払う場合,甲は,本項所定の完全独占実施権設定の対価の支払義務を負わない。 4条(実施料) 1 甲は,乙に対し,2条の実施許諾の対価(以下「実施料」という。)を支払う。 ① 一時金甲は,乙に対し,本件契約締結日から60日以内に,本件契約締結日時点において本件特許権等の出願に関して乙が支出した別表1(判決注・本件契約書に添付された別表である。)に示す特許の実費総合計6748万8800円を一括して支払う。 ② ランニング・ロイヤルティ甲は,本件特許権等が有効に存続している国において本件製品を販売したときは,当該国における販売分について,乙に対し,ランニング・ロイヤルティとして,本件製品の正味販売価格の3%相当額(税別)を支払う。 ③ 最低保証実施料前2号のほか,甲は,2条1項及び2項に定める専用実施権又は独占的通常実施権を有している期間に限り,乙に対し,1年間(始期を毎年4月1日,終期を翌年3月31日とする。)当たり以下に定める最低保証実施料を支払う。具体的には,本項前②号にて定めるランニング・ロイヤルティの実績金額が本号所定の最低保証実施料に係る金額に満たない場合に限り,甲は,最低保証実施料と実績金額の差額分を乙に支払う。 (i) 2条4項のコンサルタント契約の有効期間中 1年間当たり1500万円 (税別)(ii) (i)以外の場合 1年間当たり3500万円(税別) 2 甲は,本条前項②号に係るランニング・ロイヤルティに関し,本件契約期間中の各半期(第1半期を4月1日~9月30日,第2半期を10月1日~3月31日とする)の終了後30日以内に当該半期における本件製品別の正味販売価格合計,主要 ニング・ロイヤルティに関し,本件契約期間中の各半期(第1半期を4月1日~9月30日,第2半期を10月1日~3月31日とする)の終了後30日以内に当該半期における本件製品別の正味販売価格合計,主要販売先及びランニング・ロイヤルティ額を乙に報告するとともに,当該報告に基づいて乙が請求書を甲に送付して甲が受領した日から30日以内に当該ランニング・ロイヤルティ額を支払う。 4 甲が,乙に対し,実施料を支払期限までに支払わなかった場合,甲は当然に期限の利益を失い,加えて,当該支払期限から実際に支払を行う日までの期間につき,年14.6%の割合による遅延損害金を乙に支払う。 5条(本件特許権等に関する費用) 1 甲は,2条1項及び2項に定める専用実施権又は独占的通常実施権を有している本件特許権等に限り,当該特許権又は出願中の特許に係る出願,登録及び維持に要する実費(以下「特許実費」という。)を負担する。ただし,当該独占的通常実施権下において乙が自己の実施権を行使しようとするときはあらかじめ甲に通知するものとし,以降の費用負担は甲乙折半とする。 2 甲が本件特許権等の全部又は一部について2条3項に基づく非独占的通常実施権への変更通知をしたときは,当該変更通知がなされた対象特許権及び/又は出願中の特許については,前項の費用負担義務を免れるものとし,以降は,乙が自己の責任と費用をもって当該対象特許権及び/又は出願中の特許の維持を行う。 3 乙は,本件契約期間中の各半期(第1半期を4月1日~9月30日,第2半期を10月1日~3月31日とする)の終了後30日以内に当該半期における特許実費を集計して,その明細及び支払先とともに甲に報告する。甲は当該報告に基づいて乙が請求書を甲に送付して甲が受領した日から30日以内に特許実費を支払う。 9条(侵害の排除) に当該半期における特許実費を集計して,その明細及び支払先とともに甲に報告する。甲は当該報告に基づいて乙が請求書を甲に送付して甲が受領した日から30日以内に特許実費を支払う。 9条(侵害の排除) 1 甲は,本件特許権等が第三者により侵害されている事実を発見したときは,速やかにその旨を乙に報告する。 2 前項の場合,甲及び乙は,本件特許権等の侵害排除を目的とする対応策について協議し,特許侵害者について十分吟味した上で,甲が専用実施権を有する期間は,甲が本件特許権等の侵害者に対して差止請求訴訟等を提起し,乙は必要に応じてこれに協力するものとする。また,専用実施権終了後は,乙が本件特許権等の侵害者に対して差止請求訴訟等を提起し,甲は必要に応じてこれに協力するものとする。 10条(契約期間)本件契約の有効期間は,本件契約締結日から本件特許権等の最終の存続期間満了の日までとする。ただし,理由の如何を問わず,本件特許権等の存続期間満了前に本件特許権等がすべて消滅した場合には,本件契約は当該全部消滅日をもって自動的に終了する。 11条(契約の解除) 1 甲及び乙は,相手方が本件契約に定める義務に違反した場合は,催告の上,本件契約を解除することができる。 以上

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