平成28(行ウ)288 退去強制令書発付処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年6月16日 東京地方裁判所 その他
ファイル
hanrei-pdf-87421.txt

判決文本文41,398 文字)

平成29年6月16日判決言渡平成28年(行ウ)第288号退去強制令書発付処分取消等請求事件 主文 1 本件訴えのうち,在留特別許可処分の義務付けを求める部分を却下する。 2 東京入国管理局長が原告に対して平成27年11月18日付けでした出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出には理由がない旨の裁決を取り消す。 3 東京入国管理局主任審査官が原告に対して平成28年2月18日付けでした退去強制令書発付処分を取り消す。 4 訴訟費用は,これを2分し,それぞれを原告と被告の各負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第2項と同旨 2 主文第3項と同旨 3 東京入国管理局長は,原告に対し,在留資格を「定住者」,在留期間を「5年」とする在留特別許可処分をせよ。 第2 事案の概要本件は,中華人民共和国(以下「中国」という。)の国籍を有する男性である原告が,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)24条4号ロ(不法残留)の退去強制対象者に該当するとの東京入国管理局(以下「東京入管」といい,その長を「東京入管局長」という。)入国審査官の認定が誤りがないとの東京入管特別審理官の判定に対し,入管法49条1項の規定による異議の申出をしたが,法務大臣から権 限の委任を受けた東京入管局長が平成27年11月18日付けでその異議の申出には理由がない旨裁決し(以下「本件裁決」という。),これを受けて東京入管主任審査官が原告に対し平成28年2月18日付け退去強制令書(以下「本件退令」という。)を発付したため,原告が,東京入管局長及び東京入管主任審査官の所属する被告国に対し,原告には,中国残留邦人3世の中国国籍の女性と婚姻して,2子を含む家族4人で本邦に定着 (以下「本件退令」という。)を発付したため,原告が,東京入管局長及び東京入管主任審査官の所属する被告国に対し,原告には,中国残留邦人3世の中国国籍の女性と婚姻して,2子を含む家族4人で本邦に定着して生活している等の事情があるのに,原告の在留を特別に許可しないでした本件裁決は,裁量権の範囲をこえ又はその濫用があるもので違法であり,これを受けてされた本件退令発付処分も違法であるとして,これらの各取消しを求めるとともに,東京入管局長による在留特別許可処分の義務付けを求める事案である。 1 前提事実(概ね当事者間に争いがなく,乙1及び後掲各証拠によっても認められる。)(1) 原告は,昭和47年(1972年)▲月▲日に中国で出生した同国国籍を有する男性である。 (2) 原告は,平成3年4月7日,在留資格を当時の「就学」,在留期間を6月とする上陸の許可を受けて本邦に入国した後,数回にわたり6月又は3月の在留期間更新許可を受けていたが,最終の在留期限である平成5年1月7日を経過して本邦に残留した。 (3) 原告は,本邦で出会った中国国籍のP1(中国残留邦人の孫で,日本名はP2。)と,平成8年▲月▲日に駐日中国大使館で婚姻手続をした上,自ら入国管理当局に出頭して,同月12日に本国に送還された。 (4) 原告は,入管法(平成11年法律第135号による改正前のもの)5条1項9号所定の上陸拒否期間1年を経過した後の平成9年7月3日,在留資格を「定住者」,在留期間を1年とする上陸の許可を受 けて本邦に再度入国した。 原告(この頃には日本名としてP3も名乗るようになっていた。)は,その後5回にわたり1年の在留期間更新許可を受け,さらに,平成15年7月11日,3年の在留期間更新許可を受けた。 (5) この間,原告夫婦の間には,平成11年 てP3も名乗るようになっていた。)は,その後5回にわたり1年の在留期間更新許可を受け,さらに,平成15年7月11日,3年の在留期間更新許可を受けた。 (5) この間,原告夫婦の間には,平成11年▲月▲日に長女・P4(日本名・P5)が,平成13年▲月▲日に長男・P6(日本名・P7)が出生した。 (6) 原告は,平成17年▲月▲日,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(平成17年法律第119号による改正前のもの。 以下「風営法」という。)違反の罪で罰金30万円の略式命令を受けた(乙2,乙27の1・2。以下「本件風営法違反前科」という。)。 (7) 原告は,平成18年▲月▲日,P1と離婚したが,同年7月25日,在留資格を「投資・経営」,在留期間を1年とする在留資格変更許可を受けた。 原告は,その後3回にわたり1年の在留期間更新許可を受け,さらに,平成22年7月20日,3年の在留期間更新許可を受けた。 (8) 原告は,平成25年▲月▲日,中国人男性2名と共謀の上,東京都○区α において,被害者2名に対して暴行を加え,よってうち1名に高次脳機能障害の残存の可能性がある全治不明の外傷性くも膜下出血,びまん性軸索損傷,脳挫傷の傷害を負わせるとともに,他の1名に全治約10日間を要する額部及び口唇擦過創の傷害を負わせるという事件(以下「本件傷害事犯」という。)を起こした(乙3)。 (9) 原告は,平成25年▲月▲日,P1と再婚し,同年8月22日,在留資格を「定住者」,在留期間を1年とする在留資格変更許可を受け,これにより在留期限は平成26年8月22日までとされた。 (10) 原告は,平成25年▲月▲日,東京地方裁判所において,本件傷 害事犯につき,懲役2年6月,執行猶予5年の刑に処する旨の判決(以下「本件刑事判決」という。 8月22日までとされた。 (10) 原告は,平成25年▲月▲日,東京地方裁判所において,本件傷 害事犯につき,懲役2年6月,執行猶予5年の刑に処する旨の判決(以下「本件刑事判決」という。)を宣告され,同判決は控訴なく確定した(乙2,3)。 (11) 原告は,平成26年8月20日,入管法69条の2,同法施行規則61条の2第7号により法務大臣の権限の委任を受けた東京入管局長に対し,同法21条2項に基づき,在留期間の更新を申請した(乙4。以下「本件更新申請」という。)。 東京入管局長は,同年10月20日,原告に対し,在留状況が良好と認められないことを根拠として,本件更新申請を許可しない処分をし(以下「本件更新不許可処分」という。),その旨通知したところ,その通知書の1通には,「申請内容を出国準備を目的とする申請に変更する場合は,在留期限から2か月を経過する前に必ず,別紙の申出書を提出の上,手続を行って下さい。手続きをされないまま,在留期限から2か月を経過した場合は,本邦に滞在することができなくなります。」との注意書きが付された(乙5ないし7)。 (12) 原告については,本件更新不許可処分がされたことにより入管法21条4項,20条5項に基づく特例の在留期限も到来したことから,翌平成26年10月21日に入管法24条4号ロ(不法残留)該当の容疑が立件された。 東京入管入国審査官は,平成27年2月18日,原告が同号ロの退去強制対象者に該当すると認定し,同日,原告にこれを通知したところ,原告は,同日,口頭審理の請求をした(乙16)。 (13) 東京入管特別審理官は,平成27年10月30日,上記(12)の東京入管入国審査官の認定が誤りがないと判定し,同日,原告にこれを通知したところ,原告は,同日,法務大臣に対して異議の申出をし (13) 東京入管特別審理官は,平成27年10月30日,上記(12)の東京入管入国審査官の認定が誤りがないと判定し,同日,原告にこれを通知したところ,原告は,同日,法務大臣に対して異議の申出をした(乙18,19)。 (14) 入管法69条の2,同法施行規則61条の2第10号,11号により法務大臣の権限の委任を受けた東京入管局長は,同法50条1項に基づき原告の在留を特別に許可しないで,平成27年11月18日付けで,上記(13)の原告の異議の申出には理由がない旨裁決し(本件裁決),同日その旨の通知を受けた東京入管主任審査官は,平成28年2月18日,原告に対し,本件裁決を通知するとともに,退去強制令書(本件退令)を発付した(乙20ないし23)。 2 主な争点及び当事者の主張本件の主な争点は,(1)原告の在留を特別に許可しないでした本件裁決の適否(争点1)及び(2)在留特別許可処分の義務付けを求める訴え部分(以下「本件義務付けの訴え」という。)の適否(争点2)であり,これらに関する当事者の主張は以下のとおりである。 (1) 原告の在留を特別に許可しないでした本件裁決の適否(争点1)(原告の主張)ア違法性判断の方法被告は,在留特別許可は退去されるべき外国人に恩恵的に与え得るものにすぎないから,その許否判断には法務大臣及びその権限の委任を受けた地方入国管理局長(以下「法務大臣等」という。)に極めて広範な裁量が認められており,その裁量権の逸脱濫用に当たるとして違法とされるような事態は容易には想定し難いと主張する。 しかし,法務省入国管理局が,平成18年10月に策定,公表し,平成21年7月に改訂,公表した「在留特別許可に係るガイドライン」(以下,改訂後のものを単に「ガイドライン」という。)は,在留特別許可の しかし,法務省入国管理局が,平成18年10月に策定,公表し,平成21年7月に改訂,公表した「在留特別許可に係るガイドライン」(以下,改訂後のものを単に「ガイドライン」という。)は,在留特別許可の判断基準が不明確であるとの批判を受け,法務省入国管理局内部で慎重に検討,作成の上,公表されたものであり,入 国管理当局内部において,担当者は,上司の決裁を仰ぐために作成する「事案概要書」記載のとおり,ガイドラインに当てはめて,積極要素と消極要素とを考慮して在留特別許可の許否を判断する運用をしているから,法務大臣等は,個別案件について在留特別許可処分をする際,ガイドラインに拘束され,これが示した基準から離れた判断をすることは,平等原則ないし比例原則に反し,裁量権の逸脱・濫用となり,違法である。法務大臣等に広範な裁量があるとされているのは,法で確定的な要件・基準を定めない場合に,法務大臣等が,社会情勢等を加味して一般的基準を定立した上,運用することを許す趣旨であるところ,この裁量に基づいて定立されたのがガイドラインであるから,この基準の定立及びその公表により,この基準に則って処分をしなければ,信義則に反し,また,平等原則に違反し,その結果,具体的個別的判断の場合における要件裁量,効果裁量は否定される。 そして,基準に当てはめる前提となる事実認定においては,いうまでもなく,裁量はなく,全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には,裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものとして違法となる。 イ原告の在留を特別に許可すべき積極事情(ア) P1との婚姻関係原告は,平成9年7月3日以降,中国残留邦人3世で「定住者」の在留資格を有するP1の配偶者としての地位にあり,原告ら夫婦には,相互の信頼関 を特別に許可すべき積極事情(ア) P1との婚姻関係原告は,平成9年7月3日以降,中国残留邦人3世で「定住者」の在留資格を有するP1の配偶者としての地位にあり,原告ら夫婦には,相互の信頼関係と深い愛情に基づく真摯な婚姻関係があり,その婚姻関係は,互いにとってまさに人格の一部となっている。原告ら夫婦は,ガイドラインにおける積極要素である「夫婦の間に子がいるなど,婚姻が安定かつ成熟していること」に正に 該当する。 被告は,原告とP1が平成25年▲月▲日に再婚した理由が,在留資格変更申請を有利に進めるために行われたものであり,再婚後の期間が約3年と短いことも考慮すると,安定かつ成熟した婚姻関係とはいい難く,要保護性が低いと主張するが,原告は,些細な喧嘩がきっかけでP1と1度離婚したものの,その後も交流を継続し,主に子らを中心とする相互扶助に基づく精神的・経済的協力関係があった。特に平成23年3月のいわゆる東日本大震災以降は,家族の必要性を互いに再認識し,同居して家族生活を送っていたものの,法形式上の婚姻手続をとる必要を感じなかったことから,再婚の時期を逸していたところ,原告は,逮捕されたことによって改めて家族の必要性を感じるとともに法的に婚姻する必要を感じ,再婚したものである。P1にとっても,婚姻の有無と関係なく,原告は家族であり,原告が逮捕された際も,P1は迷わず原告を支援した。原告とP1とが形式上逮捕の後に婚姻の届出をしたことをもって,同人らの間の真摯な婚姻関係を否定するのは誤りである。 (イ) 子らとの親子関係また,上記のとおり,原告は,1度離婚した後も,子らの父親としての役割を果たそうと努力し,子らの人生を導くよう心掛けてきた。本件口頭弁論終結時現在,原告の長女は17歳,長男は15歳の未成年で心身 また,上記のとおり,原告は,1度離婚した後も,子らの父親としての役割を果たそうと努力し,子らの人生を導くよう心掛けてきた。本件口頭弁論終結時現在,原告の長女は17歳,長男は15歳の未成年で心身の発達途上にあり,子らは原告を尊敬し,慕っている。原告は,これからも,日本において子らと生活を共にしながら,子らの成長を父親として支えたいと考えている。 被告は,原告の出捐がなくともP1の収入から子らが扶養できること等,特に経済面で原告が帰国しても子らの養育に問題がな いとし,原告のみが帰国することになっても,子らの監護養育に支障が生じないと主張するが,親子の関係の本質は,精神的つながりにこそあるところ,原告は,離婚後再同居前も子らとの精神的交流を深めてきたし,再同居後から現在も,思春期の子らの成長に深く寄与してきた。特に,原告は,自らを反面教師として長男に成長してほしいと願い,本件傷害事犯の裁判を長男に傍聴させ,長男は自省し,精神的に成長した。このような精神的な教育,親子関係の構築は,その意に反して別居し,たまに交流をする程度では決して築くことができない。 (ウ) 本邦への定着性と人道的配慮の必要性原告は,中国に帰国していた1年半ほどを除いて,満19歳で留学生として最初に来日して以来,20年以上の長年日本に居住し生計を立ててきたため,日本語が堪能であり,日本の文化にもなじむなど,日本への定着性が極めて高い。 原告の妻であるP1は,中国残留邦人3世で17歳時に来日し,以降,日本で生活し,家族は全員日本に在住しており,生活の本拠は日本だけにしかない。また,原告の子らは日本生まれの日本育ちであって,長女は高校3年生,長男は高校1年生で,いずれも日本でしか教育を受けたことがなく,中国への渡航は幼児の時1回のみで,中国語は 拠は日本だけにしかない。また,原告の子らは日本生まれの日本育ちであって,長女は高校3年生,長男は高校1年生で,いずれも日本でしか教育を受けたことがなく,中国への渡航は幼児の時1回のみで,中国語はできず,中国語での学校教育を受けることは不可能で,中国での生活を拒否しているばかりでなく,その心身の健全な成長のため,このまま日本で生活するほかない。被告は,P1も子らも「定住者」の在留資格を持つ外国人であることを理由に,その婚姻関係や親子関係の保護の必要性が,日本人又は永住者との関係よりも低いと主張するが,「定住者」の在留資格を有する者の日本とのつながり及びその配偶者の保護の必要 性の有無は,個別具体的に検討すべきであるところ,原告は,日系3世であってそのルーツが日本にあるP1と婚姻し,日本で生まれ育った子らを養育するなどの生活の本拠が全て日本にあるのであり,その定着性は極めて高い。 原告が帰国を余儀なくされた場合,思春期の子らは,父親との密な交流が断絶され,その精神的成長に対する悪影響は計り知れず,本件については,子らのためにも,原告に対する人道的配慮が必要である。家族生活への不当な干渉が排除されるべきこと,家族が維持,保護されるべきことは,人権条約の中でも最も基本的かつ包括的なものと位置付けられる国際人権規約においても,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約10条,市民的及び政治的権利に関する国際規約17条,23条で保障されている。また,子が親と分離されないことは,子どもの権利に関する条約9条1項でも保障されているように,子の成長にとってかけがえのない重要な権利である。被告は,P1らが本邦と本国を往来したり,電話,電子メールやインターネット等により交流したりする手段を行使することにより,家族関係を維持することも ,子の成長にとってかけがえのない重要な権利である。被告は,P1らが本邦と本国を往来したり,電話,電子メールやインターネット等により交流したりする手段を行使することにより,家族関係を維持することも可能であって,原告の退去強制は,P1らとの完全な別離を意味するものではないと主張するが,これは,家族関係,親子関係が個人の人格そのものであり,最も大切であることを軽視した,誤った価値観に基づくものである。 また,原告は,肥大型心筋症,冠攣縮性狭心症,脂質異常症の重大な疾病を抱え,継続的,定期的に通院加療中であるところ,今後も日本において治療の継続の必要がある。 ウ原告の在留を特別に許可するに当たっての消極事情について(ア) 不法残留について 被告は,原告が申請内容を出国準備とする申出書を提出しなかったことから,原告の我が国の出入国管理制度を軽視する態度は甚だしいとして,これは在留特別許可の許否判断に当たり消極的な事情として考慮されるべきであると主張する。 しかし,原告は,妻と子らとの生活を守るためには,中国に帰国することはできないと考え,止むに止まれず,上記申出書の提出をしなかったものである。被告はあたかも法律の軽視であるように主張するが,誤りである。 なお,原告は,平成8年3月12日に退去強制されたことがあるが,これは,自ら入国管理局に出頭し,帰国したものであり,その悪質性がないこと,帰国により違反が治癒されたことは,翌平成9年7月3日に「定住者」「1年」の在留資格を取得したことからも明らかである。 ガイドラインにも,不法残留それ自体が在留特別許可の許否の判断に当たっての消極要素として定められていない。 (イ) 刑罰法令違反について被告は,本件傷害事犯の責任が重大であったこと,原告には本件風営 インにも,不法残留それ自体が在留特別許可の許否の判断に当たっての消極要素として定められていない。 (イ) 刑罰法令違反について被告は,本件傷害事犯の責任が重大であったこと,原告には本件風営法違反前科があること等から,原告には粗暴な傾向のほか,我が国の刑罰法令を軽視する態度が著しいといわざるを得ないと主張する。 しかし,本件傷害事犯は,重大犯罪と評価されるものでは到底ない上,既に有罪判決を受けて,その刑事責任を果たしたといい得る。また,原告は,自らが行った行為を認め,1000万円もの被害弁償を行い,さらに,本件傷害事犯に係る労働者災害補償保険給付(以下「労災給付」という。)の求償金についても,被害者に対する1つのけじめであると考え,自らの貯金等から捻出 し,支払を続けている。ガイドラインは,在留特別許可の許否に際して特に考慮する消極要素として挙げている「重大犯罪等により刑に処せられたことがあること」の例として「凶悪・重大犯罪により実刑に処せられたことがあること」を掲げているが,原告は2度の刑罰法令違反のいずれも実刑に処せられたものではなく,凶悪・重大犯罪を起こしたものではない。 原告は,本件傷害事犯を機に,勾留中,自らの言動や行動の傾向等につき,深く反省した。その中で,本件風営法違反前科に処せられた際には,自分なりの反省をしてはいたものの,その自覚が浅く,反省が不十分であったことを痛感し,自分の至らなさを真摯に反省し,自ら更生しており,実質的にも責任を果たしたと評価できる。原告は,現在でも,日々自らを省みて,本件傷害事犯の原因が自らの傲慢さや短気な性格にあることを真摯に受け止め,その原因を分析し,2度と法を犯さないことを誓っている。 原告は,深い反省の末,人生の根本的価値観や生活観,人生観を変え,現在では 害事犯の原因が自らの傲慢さや短気な性格にあることを真摯に受け止め,その原因を分析し,2度と法を犯さないことを誓っている。 原告は,深い反省の末,人生の根本的価値観や生活観,人生観を変え,現在では,欲を出さないようになったためほとんど怒ることがない上,怒りそうになっても,その度に本件傷害事犯のことや家族のことが思い浮かぶため,怒りが生じない。原告が,2度と社会に迷惑を掛け,法に違反することはない。 原告が粗暴な性格であり,日本の刑罰法令を軽視する態度が著しいとする事実認定は誤りであり,これらの原告の前科を過大評価するのは誤りである。 (ウ) 居住地登録及び中長期在留者の住居地届出義務違反について被告は,原告が,外国人登録法(平成21年法律第79号(以下「入管法等改正法」という。)による廃止前のもの。以下「外 登法」という。)上の居住地登録変更の申請義務及び入管法上の中長期在留者の住居地届出義務に違反したことから,原告の在留状況が悪質であり,出入国管理秩序を乱すものであると主張する。 しかし,原告は,実際に生活している場と異なる場所に住所地を登録したことが法律に違反する行為であると全く知らなかったのであり,これらの法違反につき,法の不知という原告の落ち度こそあれ,これをもって原告の在留状況が悪質であるとする事実認定は誤りである。また,原告は,全く関係のない住所地に登録したのではなく,実質的に反社会性の高い違反とはいえず,当該行為が出入国管理秩序を大きく乱すものであるとする事実認定も誤りである。原告は,現在は,住所の届出義務があり,自分にその義務違反があったことを真摯に受け止め,反省している。 エまとめ以上のように,原告には,ガイドライン上,積極要素こそあれ消極要素とされるべき事情はなく,ガイドライン 出義務があり,自分にその義務違反があったことを真摯に受け止め,反省している。 エまとめ以上のように,原告には,ガイドライン上,積極要素こそあれ消極要素とされるべき事情はなく,ガイドラインに定める在留特別許可処分の要件を満たしていたのであり,これを満たしていないとした本件裁決は,判断の基礎とされた重要な事実に誤認があり,平等原則,比例原則に反するほか,過大に評価すべきでない消極的要素を過大視し,適正に評価すべき積極的要素を斟酌していないもので,その権限の行使に当たり,裁量権の逸脱ないし濫用があり,違法であるから,取り消されるべきである。 本件裁決は違法であるから,これに引き続き行われた本件退令発付処分もまた違法であり,取り消されるべきである。 (被告の主張)ア違法性判断の方法(ア) 国家は外国人を受け入れる義務を国際慣習法上負うもので はなく,特別の条約ないし取決めがない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうか,また,これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを自由に決することができるのであり,憲法上も,外国人は,在留の権利ないし引き続き本邦に在留することを要求する権利を保障されているものでない。在留特別許可は,許可するか否かという効果についても法務大臣の裁量が認められており,その許否に関する法務大臣の裁量の範囲は,相当性の要件が定められている在留期間の更新の許否に関する裁量の範囲よりも質的に格段に広範なものであることは明らかであり,この理は法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長にも妥当する。 外国人の我が国への出入国は,政治経済はもちろん,国民生活一般へ重大な影響を与えるものであることから,我が国は,外国人の無秩序,無制限な出入国及び滞在を認めず,国益の保持を目的として入管法を定 外国人の我が国への出入国は,政治経済はもちろん,国民生活一般へ重大な影響を与えるものであることから,我が国は,外国人の無秩序,無制限な出入国及び滞在を認めず,国益の保持を目的として入管法を定め,入管法は,在留資格制度を中核とする出入国管理制度を設けたのであるから,このような出入国管理制度に違反する行為は,重要な国家社会的法益を侵害するものである。 入管法24条に列挙された退去強制事由に該当する者は,類型的に見て我が国社会に滞在させることが好ましくない外国人といえるのであり,在留特別許可の許否の判断に当たっては,当該外国人に上記事由が存在することを前提とした上で,恩恵として,在留を特別に許可することが我が国の国益に合致するか否かを検討する必要がある。このような判断は,国内はもとより国際的にも広範な情報を収集,分析し,先例にとらわれず,時宜に応じて的確かつ慎重に行う必要があり,時には高度に政治的な判断を要求される場合もあり得ることなどに鑑みれば,法務大臣等の極 めて広範な裁量に委ねるのが適当である。 このような広範な裁量権が認められていることから,法務大臣等の判断の適否に対する司法審査の在り方は,法務大臣等の第1次的な裁量判断が存在することを前提として,裁量権を付与した目的を同判断が逸脱し,又はこれを濫用したと認められるかどうかを判断すべきであり(行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)30条参照),在留特別許可を付与しないという法務大臣等の判断が裁量権の逸脱濫用に当たるとして違法とされるような事態は容易には想定し難い。極めて例外的にその判断が違法となり得る場合があるとしても,それは,法律上当然に退去強制されるべき外国人について,なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由があったにもかかわらずこれ めて例外的にその判断が違法となり得る場合があるとしても,それは,法律上当然に退去強制されるべき外国人について,なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由があったにもかかわらずこれが看過されたなど,在留特別許可の制度を設けた入管法の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情が認められる場合に限られるというべきであり,この特別な事情の主張立証責任は原告にある。 (イ) ガイドラインは,在留特別許可の許否の判断に当たって考慮すべき当該外国人の個別的事情を,「積極要素」と「消極要素」とに分けて類型的に分類し,在留特別許可方向で検討する例,退去方向で検討する例を一般的抽象的に例示したものであり,在留特別許可を付与するか否かはガイドラインに例示された事情だけで判断されるものではないから,仮に,ガイドラインに示された「積極要素」に該当すると評価できる事情が存在したとしても,そのことだけで当然に在留特別許可を付与すべきであるということにはならず,まして在留特別許可をしなかったことが法務大臣等に与えられた裁量権の逸脱・濫用になるということはない。 ガイドラインを根拠として本件裁決の違法をいう原告の主張は, 入管法50条1項の趣旨を正解しないものであって,理由がない。 イ原告の在留を特別に許可すべきでない消極事情(ア) 退去強制事由たる不法残留原告は,過去に不法残留により本邦から退去強制された経歴を有するところ,平成26年10月20日,東京入管局長から,本件更新申請について,申請どおりの内容では許可できない旨及び申請内容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば在留期限から2か月を経過する前に申出書を提出されたいとの旨の通知を受けたにもかかわらず,同申出書を提出せず,本件更新不許可処分の通知を受けた後も引 容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば在留期限から2か月を経過する前に申出書を提出されたいとの旨の通知を受けたにもかかわらず,同申出書を提出せず,本件更新不許可処分の通知を受けた後も引き続き本邦内にとどまり,もって在留期間を経過して再び本邦に不法残留したものであり,これにより,原告の入管法違反は,2度目となった。 不法残留については,入管法70条1項5号により懲役刑も科し得る違法性の高い犯罪行為とされていることに照らせば,このような刑罰規定に該当する行為は,それ自体が重要な国家社会的な法益の侵害である。したがって,理由や目的のいかんを問わず,不法残留したとの事実だけをみても,原告の在留状況は悪質というべきであり,原告の在留特別許可の許否判断に当たって重要な消極要素として考慮されるべきである。 (イ) 刑罰法令違反a 原告の本件傷害事犯の犯行態様は危険,粗暴かつ悪質であり,被害結果も甚大である。 本件刑事判決は,本件傷害事犯に至る経緯に酌むべき事情は乏しいとして,その量刑の理由で,①被害者1名に対して取り返しのつかない深刻な傷害を負わせたという点で,その結果は甚大である,②被害者1名に対し,重量のある用具を用いるな どして一方的かつ執拗に暴行を加えており,犯行態様は重い,③もう1名の被害者に対する暴行も,顔面等を足で蹴るという強度のもので,同人が当初は厳しい処罰感情を表明していたのも無理はない,④仮に原告を含む被告人らの暴行の発端が,被害者のうち1名が原告の携帯電話を奪って破壊したことによることが事実であるとしても,その理由は原告を含む被告人らの粗暴な振る舞いにあったのであり,強度の暴行を正当化する理由には到底ならないと述べている。さらに,原告個別の事情に関し,被告人らの中で目上の者であり,被害 るとしても,その理由は原告を含む被告人らの粗暴な振る舞いにあったのであり,強度の暴行を正当化する理由には到底ならないと述べている。さらに,原告個別の事情に関し,被告人らの中で目上の者であり,被害者2名のいずれに対しても,最初の暴行を加えた点では責任が重いとも判示している。 本件傷害事犯に対する原告の責任は相当に重大であることは明らかである。 b 本件風営法違反前科は,原告が経営していたスナックの従業員が風営法22条1項1号所定の客引き行為に及んだため,代表者である原告が両罰規定により処罰されたものであり,同行為は,法定刑上,懲役刑も科し得るものであるから違法性が高いものであり,かかる行為を従業員に許していた原告の責任は重いといわざるを得ない。 c 以上のとおり,原告は,複数の前科を有するのであって,粗暴な傾向のほか,我が国の刑罰法令を軽視する態度が著しいといわざるを得ず,これらの犯歴をみても,原告に在留特別許可の恩恵を付与すべきではないことは明らかである。 (ウ) 居住地登録変更申請及び中長期在留者の住居地届出義務違反a 原告は,平成15年6月2日に東京都○区β 所在の都営住宅 (以下「β のアパート」という。)を居住地とする旨の居住地変更の登録を受けた後,平成23年3月7日に東京都○区γ 所在のマンション(以下「γ のマンション」という。)を居住地とする旨の居住地変更の登録を受けているが,平成18年▲月▲日に離婚した後にγ に引っ越した旨の原告の供述によれば,原告がγ に転居してから居住地変更の登録を受けるまで,約4年11か月も放置していたことになる。原告が,外登法8条1項の新居住地に移転した日から14日以内に居住地登録変更の申請をしなければならない義務に違反したことは明らかである。 また,原告 ,約4年11か月も放置していたことになる。原告が,外登法8条1項の新居住地に移転した日から14日以内に居住地登録変更の申請をしなければならない義務に違反したことは明らかである。 また,原告が平成24年5月29日に居住地変更の登録を受けた東京都○区δ 所在のマンション(以下「δ のマンション」という。)は,原告の供述によれば,β のアパートに居住していたにもかかわらず,原告が経営していた株式会社P8(以下「P8」という。)の所在地を居住地として変更登録をしたというのであり,その理由について,原告は,妻のP1が経営していたキャバクラの税務調査に巻き込まれたくないことを挙げ,極めて身勝手な理由により,居住地に関して虚偽の登録を行っていたというのである。 このような原告の行為は,本邦に在留する外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ,もって在留外国人の公正な管理に資することを目的とする外登法の趣旨(同法1条)に反し,罰則規定にも抵触するものであるから,原告に対する在留特別許可の許否の判断に当たり,これを消極的事情として斟酌するのは当然である。 b さらに,平成24年7月9日,入管法等改正法により外登法 が廃止され,入管法において,中長期在留者は,新住居地に移転した日から14日以内に,市町村長を経由して法務大臣に新住居地を届け出るよう義務付けられたところ,原告は,平成23年3月17日か18日頃から,現住居地であるβ のアパートに再び居住しているにもかかわらず,当該転居について届出をしたのは,その約2年3か月後の平成25年6月6日であった。 このような原告の行為は,中長期在留者に係る住居地等の情報を正確かつ最新の内容に保つように努め,もって適法に滞在する外国人の利便性を向上させる措置を講じた入管法等改正法の趣 6月6日であった。 このような原告の行為は,中長期在留者に係る住居地等の情報を正確かつ最新の内容に保つように努め,もって適法に滞在する外国人の利便性を向上させる措置を講じた入管法等改正法の趣旨にもとる上,罰則規定にも抵触するものであるから,原告に対する在留特別許可の許否の判断に当たり,これを消極的事情として斟酌するのは当然である。 ウ原告の在留を特別に許可するに当たっての積極事情について(ア) P1との婚姻関係について退去強制事由のある外国人に「定住者」の在留資格を有する配偶者がいることは,法務大臣等が当該外国人に対して特別に在留を許可すべきか否かの判断をする際に斟酌される事情の1つとはなり得るものの,その裁量権の行使に対する制約になると解することはできない。 また,外国人である永住者については,本国に帰国する可能性もないとはいえないから,本邦とのつながりは,日本人と本邦とのつながりと比較すれば相対的に弱いということができ,それゆえ,永住者の配偶者を保護する必要性の程度も,日本人の配偶者に対するものとは自ずから異なるというべきところ,まして,永住者より更に日本とのつながりが弱い定住者であれば,その配偶者を保護すべき必要性も更に低いことはいうまでもなく,この点 は,配偶者が中国残留邦人を祖母にもつ日系3世として「定住者」の在留資格をもって本邦に在留している場合であっても異ならない。 そして,P1は,平成25年▲月▲日に原告と再婚した理由について,婚姻の動機が,在留更新許可を受けるためであったことを認めており,原告とP1は,原告が逮捕されたのを契機に,在留資格変更申請を有利に進めることを意図して婚姻の手続を進めたものであるから,再婚後の期間が約3年と短いことも考慮すると,安定かつ成熟した婚姻関係と り,原告とP1は,原告が逮捕されたのを契機に,在留資格変更申請を有利に進めることを意図して婚姻の手続を進めたものであるから,再婚後の期間が約3年と短いことも考慮すると,安定かつ成熟した婚姻関係とはいい難く,必ずしも要保護性が高いとはいえないというべきである。 原告とP1との婚姻関係は,在留特別許可の許否判断において格別有利に斟酌すべき事情にはならないというべきである。 (イ) 子らとの親子関係について「定住者」の在留資格を有する外国人との親子関係も,在留特別許可の許否の判断に当たり,斟酌され得る一事情にすぎない。 また,当該児童が我が国の国籍を有していた場合でさえ,そのことのみを理由に当該児童を扶養する外国人親が我が国に引き続き在留することを保障されるものではなく,我が国における監護・養育の権利の行使又はその義務の履行は,その外国人が本邦に在留することができるという枠内においてのみ可能となるものであり,そのことは在留特別許可の許否の判断に当たり,直ちに格別重視すべき要素とはならないのであるから,これとの対比において,子が「定住者」の在留資格を有する外国人である事案では,より一層保護の必要性が低くなるものというほかない。 そして,原告は,平成18年▲月▲日にP1と離婚した際,子らの親権者をP1と定め,離婚後二,三年間を経てだんだん会う 頻度は減っていた旨供述しているとおり,同居を開始したと供述する平成23年3月17日か18日頃までの間,子らと別居し,時折会う程度に過ぎなかった。その間は,P1が就労して子らを養育し,原告は,別居期間中,子らの養育費を払っていなかったのであり,P8を閉鎖した後も,P1がP1の姉の店で勤務して得た収入により子らの生活費を賄っていた。本邦には,P1の母及び兄弟が在留しており,原 ,原告は,別居期間中,子らの養育費を払っていなかったのであり,P8を閉鎖した後も,P1がP1の姉の店で勤務して得た収入により子らの生活費を賄っていた。本邦には,P1の母及び兄弟が在留しており,原告の子らの監護養育につき援助を受けることも可能である。これらの事情に照らせば,子らの養育は,相当期間にわたり専らP1が行っていたのであり,加えて,原告が帰国しても養育費をP1らに送金することは可能であるから,子らが本邦での在留を継続するという選択をした場合であっても,P1やP1の親族の援助によってその監護養育は十分に可能である。 原告と子らとの婚姻関係は,在留特別許可の許否判断において格別有利に斟酌すべき事情にはならないというべきである。 (ウ) 本国に送還することによる特段の支障について原告は,本国である中国で生まれ育ち,本国の中学校を卒業して,平成8年3月12日に退去強制された後,上海において土地を購入し,米を作って売る仕事をして生活を営んできたものであり,平成9年7月3日に本邦入国後,為替の情報サイトを運営する会社や複数の飲食店を経営した経験を有している。上記の成育歴及び稼働経験等に照らせば,原告が本国で就労して生活する上で支障はない。そして,本国には原告の両親が生活しており,原告の供述によれば,原告は,両親が本国に所有する分譲マンション2つを相続する予定であるというのであるから,原告が本国に送還されたとしても,生活するに当たり,両親の援助を受けるこ とが十分期待できる。原告が本国に帰国したとしても,本国での生活に特段の支障はないというべきである。 原告は,原告の子らが中国での生活を拒否しているため,原告が帰国すれば,思春期の子らの精神的成長に対する悪影響は計り知れない旨主張するが,原告が本邦から退去強制さ の支障はないというべきである。 原告は,原告の子らが中国での生活を拒否しているため,原告が帰国すれば,思春期の子らの精神的成長に対する悪影響は計り知れない旨主張するが,原告が本邦から退去強制された場合であっても,P1らが父親との密な交流を重視するのであれば原告と共に中国に帰国して原告と同居することも可能である。実際にも,原告及びP1は,口頭審理において,家族で一緒に生活することを重視し,退去強制の結果が出れば中国に帰国することも念頭に置いている旨を述べている。仮にP1及び子らが本邦での生活を継続することになったとしても,現代のように国際化が進んだ社会においては,仕事などの事情により家族が異なる国で生活することはある程度起こり得ることであって,そのような事情が原告に限って生ずる特殊な事情とはいえない。P1らが,本邦と本国を往来したり,電話,電子メールやインターネット等により交流したりすることは可能であるから,これらの手段を行使することにより,家族関係を維持することも可能であって,原告の退去強制は,P1らとの完全な別離を意味するものではない。さらに,原告が送還されることにより,原告がP1らと離れて暮らすことになったとしても,それは,原告が入管法違反により自ら招いた事態であるから,原告が当然に受忍すべきものであることはいうまでもなく,その責任を出入国管理行政に転嫁することはもとより許されるものではない。 なお,原告の疾病は,通院頻度は1か月半から2か月に1回程度というのであり,その治療法も内服薬を服用する程度であるから,到底重篤な症状とはいえないし,そもそも外国人について, 本邦の社会保障制度や医療水準を前提とした医療を受ける法的地位ないし利益が保障されているものでもない。 原告を本国へ送還することに特段の支障 状とはいえないし,そもそも外国人について, 本邦の社会保障制度や医療水準を前提とした医療を受ける法的地位ないし利益が保障されているものでもない。 原告を本国へ送還することに特段の支障があるとは認められない。 エまとめ上記イのような原告の在留状況は相当に悪質であり,出入国管理秩序を大きく乱すものといえるから,在留特別許可の許否判断に当たり,重大な消極事由として考慮されなければならず,本件裁決に際して,原告に在留特別許可が付与されなかったことにつき,同制度を設けた入管法の趣旨に反するような極めて特別な事情があったとは認められないから,東京入管局長の判断に裁量権の逸脱,濫用はなく,本件裁決は適法であり,本件裁決が適法である以上,本件退令発付処分も当然に適法であるというべきである。 (2) 本件義務付けの訴えの適否(争点2)(原告の主張)ア被告は,入管法は,退去強制令書発付処分の撤回を求める申請権を当該処分を受けた外国人に認めているとはいえない旨主張し,これを前提として,本件義務付けの訴えがいわゆる「非申請型」の義務付けの訴えであるとする。 しかし,日本の入管法の母法であるアメリカ法においては,在留特別許可を求める申立ては申請権のある申立てとして規定されており,法制定の経緯から,在留特別許可の申出は申請である。入国管理実務上も,在留特別許可の申出に際して,陳述書の書式が定められ,必要書類のリストも用意されているなど,その申出は申請として扱われている。さらに,入管法は,同法49条1項の異議の申出権を同法50条1項の在留特別許可を求める申請権としての性 質を併せ有するものとして規定し,かつ,当該申請に対しては在留特別許可を付与するか否かの応答をすべき義務を法務大臣に課したものと解するのが自然で 項の在留特別許可を求める申請権としての性 質を併せ有するものとして規定し,かつ,当該申請に対しては在留特別許可を付与するか否かの応答をすべき義務を法務大臣に課したものと解するのが自然である。 したがって,退去強制令書発付処分を受けた外国人には,在留特別許可申請権があるから,本件義務付けの訴えは,行訴法3条6項2号の申請型である。 イ被告は,入管法49条1項に基づく異議の申出に理由がない旨の裁決が既に存在する場合には,同裁決の効力が失われて法務大臣等が改めて同条3項の裁決をすることが可能な状況が復活しない限り,法務大臣等は入管法50条1項に基づく在留特別許可をする法的権限を有しないから,本件義務付けの訴えは,行政庁に法的に権限のない処分を求めるものであると主張する。 しかし,入国管理実務上,法務大臣等の裁決がされ,それに基づいて退去強制令書が発付されている案件においても,当事者が申し出ることにより,再度審理がされ,在留特別許可処分がされることがあり,「再審情願」と呼ばれているところ,少なくとも行政解釈上,これは適法なものとして実際に運用されているのであるから,本件義務付けの訴えは,法的権限のない処分を求めるものではない。 東京入管局長は,本件裁決を見直し,原告に対し,改めて在留特別許可処分をすることができる。在留特別許可処分の義務付けには,当然従前の裁決の取消しないし撤回が含まれているのであるから,異議の申出に理由がない旨の従前の裁決の効力が存在したままの状態で在留特別許可処分がされることになる旨の被告の主張は当たらない。 ウ被告は,取消訴訟を提起してこれに勝訴すればその目的を達することができるから,本件義務付けの訴えは「損害を避けるため他に 適当な方法がない」との要件を満たさない旨主張する。 い。 ウ被告は,取消訴訟を提起してこれに勝訴すればその目的を達することができるから,本件義務付けの訴えは「損害を避けるため他に 適当な方法がない」との要件を満たさない旨主張する。 本件義務付けの訴えは,上記アのとおり申請型なので,そもそも同要件の充足は不要だが,仮に非申請型であるとしても,取消訴訟で勝訴し,その確定判決上の一定の事実認定及び法律判断に法務大臣等が拘束されるとしても,法務大臣等は,依然として,在留特別許可処分をするか否かは広範な自由裁量に服すると解釈しており,原告が適切に救済される担保は一切ない。しかも,在留特別許可処分をするとして,入管法上定められた在留資格のうち,いずれの在留資格を付与し,在留期間をどの程度にするかは,行政解釈上,法務大臣等の広範な裁量に委ねられており,かつ,取消訴訟の主文を導く事実認定,法律判断には,論理上,いずれの在留資格,在留期間が適切であるかの判断が含まれるとは限らない。 以上のとおり,取消訴訟での勝訴によっては,原告の救済は担保されていないから,本件義務付けの訴えは,「その損害を避けるため他に適当な方法がないとき」に該当する。 エ原告は,在留特別許可処分がされないことにより重大な不利益があり,かつ,他に適当な方法がない。そして,「定住者」である家族らとの身分関係があり,日本への定着性が極めて強い原告には,「定住者」「5年」の在留特別許可が与えられるべきである。 (被告の主張)ア義務付けの訴えは,申請型として,「行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において,当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき」との類型が行訴法3条6項2号に定められ,非申請型として,同号の場合を除く,「行政庁が 請又は審査請求がされた場合において,当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき」との類型が行訴法3条6項2号に定められ,非申請型として,同号の場合を除く,「行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき」が同項1号に定め られている。 この点,前記(1)の被告の主張ア(ア)のような恩恵的措置としての在留特別許可の性質に照らすと,在留特別許可を付与するかどうかの判断を求める手続上の権利を退去強制事由が認められる外国人に付与する必要性がないにもかかわらず,入管法が特に異議の申出をした容疑者に在留特別許可の許否の判断(応答)を求めるについて,申請権等の手続上の権利を付与する立法政策を採用しているというためには,明確な明文上の根拠が必要であるというべきである。しかし,入管法には,容疑者に在留特別許可の付与を求める申請権があることを認めた明文の規定はなく,入管法は,その申請権を外国人に認めているとはいえないから,在留特別許可をすべき旨を命ずることを求める義務付け訴訟は,行訴法3条6項2号の「行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合」には当たらず,同項1号の「非申請型」に当たる。 イ非申請型の義務付けの訴えにおいては,当該処分を行う権限が行政庁にあることが当然の前提となり,それが訴訟要件となることは明らかであるところ,入管法50条1項の規定は,法務大臣等が,同法49条1項に基づく異議の申出に対して同条3項の裁決をするに当たって,在留を特別に許可することができることを定めたものであり,その異議の申出には理由がない旨の裁決を受けた者に対して,その裁決の効力が存続したままの状態で在留特別許可をする根拠とはならない。したがって,同条1項に基 可することができることを定めたものであり,その異議の申出には理由がない旨の裁決を受けた者に対して,その裁決の効力が存続したままの状態で在留特別許可をする根拠とはならない。したがって,同条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決が既に存在する場合には,同裁決の効力が失われて法務大臣等が改めて同条3項の裁決をすることが可能な状況が復活しない限り,法務大臣等は,同法50条1項に基づく在留特 別許可をする法的権限を有しない。 前記(1)の被告の主張のとおり,本件裁決は適法であり,その効力は存続しているのであるから,本件在留特別許可の義務付けの訴えは,法務大臣等に対して法令上行う権限のない行為を求めるものであって,訴訟要件を欠いており,不適法であるといわざるを得ない。入管法上,退去強制令書の発付を受けた外国人について,再審査の手続は何ら法定されておらず,仮にその「再審査の申請」なるものを行っても,それに対する決定等の応答を求める権利を有するものではないから,原告の主張する再審情願をもって,法務大臣等に在留特別許可の付与を義務付ける前提となる法的権限があると解することはできない。 ウまた,非申請型の義務付けの訴えにおいては,行訴法37条の2第1項により,「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないとき」との救済の必要性,補充性に関する要件が訴訟要件とされているところ,原告は,本件裁決又はこれを前提とする本件退令発付処分の取消訴訟を提起して,これに勝訴すれば,同法33条により,法務大臣等は,取消判決の主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断に拘束されることになるから,当該判決後になされる法務大臣等の裁決により,その目的を達することができることに 33条により,法務大臣等は,取消判決の主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断に拘束されることになるから,当該判決後になされる法務大臣等の裁決により,その目的を達することができることになる。 そうすると,仮に,在留特別許可が付与されないことにより,原告に重大な損害が生ずるおそれがあるとしても,その損害を避けるためには,上記取消訴訟を提起するという方法があるから,同法37条の2第1項の「その損害を避けるため他に適当な方法がない」との要件を満たさないというべきである。通常の場合であっても, 法務大臣等によって在留特別許可がされる場合に,希望する在留資格及び在留期間が与えられるということは保障されていないのであって,在留特別許可によりいかなる在留資格が与えられたとしても,そのことが原告の損害と評価されるべきものではないから,原告に対し,その希望する在留資格及び在留期間を定めた在留特別許可が与えられない限り,原告の権利が救済されないとする原告の主張の前提自体が誤りである。 エ本件義務付けの訴えは,訴訟要件を欠く不適法な訴えである。 第3 当裁判所の判断 1 原告の在留を特別に許可しないでした本件裁決の適否(争点1)(1) 裁決行政庁の裁量についてア国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうか,また,これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを,当該国家が自由に決定することができるものとされているから,憲法上,外国人は,我が国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん,在留の権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものでもないと解すべきである(最高裁判所昭和53年10月4日大法廷判決 自由を保障されているものでないことはもちろん,在留の権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものでもないと解すべきである(最高裁判所昭和53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)。 この憲法の趣旨を前提として,入管法は,外国人に対し,原則として一定の期間を限り,特定の在留資格により我が国への上陸を許すこととした上で,その在留期間が経過し又は在留資格を取り消される等の退去強制事由に該当する者は,出国命令対象者となる所定の要件に該当するか否かにより,出国命令により定められた出国期限までに,あるいは直ちに我が国から退去しなければならないもの としている。 イもっとも,入管法50条1項は,外国人が上記の退去強制事由に該当するとの入国審査官の認定が誤りがないとの特別審理官の判定に対し,当該外国人から異議の申出がされた場合,法務大臣においてその異議の申出が理由がないと認める場合でも,当該外国人の在留を特別に許可することができるという在留特別許可の制度を設けているが,これを認めるための要件は,本邦との強い関係性を示す一定の事情や他人の支配下に置かれて本邦に在留するという人道的に考慮すべき事情のほかは,概括的に「法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」と規定するにとどめ,それ以上に,その許否の判断の要件ないし基準となる事項を定めていない。 これは,外国人に対する在留特別許可の許否を決するに当たっては,国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定などの国益を保持する見地から,当該外国人の在留中の一切の行状,国内の政治・経済・社会等の諸事情,国際情勢,外交関係,国際礼譲など諸般の事情を総合的に考慮して,時宜に応じた的確な判断をすることが必要で の国益を保持する見地から,当該外国人の在留中の一切の行状,国内の政治・経済・社会等の諸事情,国際情勢,外交関係,国際礼譲など諸般の事情を総合的に考慮して,時宜に応じた的確な判断をすることが必要であり,このような判断は,出入国管理行政の責任を負う法務大臣の裁量に任せるのでなければ適切な結果を期待することができないと考えられることから,その判断を法務大臣の広範な裁量権に委ねる趣旨であると解される。そして,この理は地方入国管理局長が法務大臣から権限の委任を受けてその許否の判断をする場合においても基本的に変わらないと考えられる。 ウしたがって,退去強制対象者である外国人の在留を特別に許可するか否かについての法務大臣等の判断は,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等によりその判断が全く事実の基礎を欠 き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等によりその判断が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限って,裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものとして違法であるというべきである(行訴法30条参照)。 そこで以下,上記の見地に立って,東京入管局長による本件裁決に,裁量権の範囲をこえ又はその濫用がある違法があったといえるかを検討する。 (2) 認定事実前提事実及び後掲各証拠によれば,以下の各事実が認められ,これらに反する証拠は信用することができない。 ア原告の来歴,初来日とP1との結婚及び帰国(ア) 原告は,昭和47年(1972年)▲月▲日,中国上海市において出生した同国国籍を有する男性である(前提事実(1))。 原告は,平成2年7月に上海市内の中学校を卒業後,平成3年4月7日,在留資格を当時の「就学」,在留期間を6月とする上陸の許可を受けて本邦に入国し,以後,数回にわたり6月又 る(前提事実(1))。 原告は,平成2年7月に上海市内の中学校を卒業後,平成3年4月7日,在留資格を当時の「就学」,在留期間を6月とする上陸の許可を受けて本邦に入国し,以後,数回にわたり6月又は3月の在留期間更新許可を受け,東京都内で日本語学校に通っていたが,しばらくして退学し,最終の在留期限である平成5年1月7日を経過して本邦に残留し,以後,不法就労していた(前提事実(2),甲9の1頁,乙8の5頁・24頁,乙11の2~3頁,乙15の5頁)。 (イ) P1は,昭和44年(1969年)▲月▲日に中国残留邦人の孫に当たる日系3世として中国黒龍江省で出生し,昭和62年1月8日に家族とともに来日して以降,「定住者」の在留資格で本邦に在留する者であり(乙25),原告は,平成5年ないし平成6年頃,友人とスナックに赴いた際,その店がP1の姉が経営 する店で,P1が手伝いをしていたことから,P1と知り合った(乙11の3頁,乙15の5~6頁)。 原告とP1は,知り合って約3か月後から交際を始め,その頃,P1は,原告が不法残留の状態にあることを原告から告げられたが,両名は別離することを危惧し,当面,その状態を放置して,交際を続けた。原告とP1は,交際を開始して更に約半年後に東京都○区内で同棲を始めた。((イ)全体につき,甲9の1頁,乙10の5~6頁)(ウ) 原告は,平成8年▲月▲日に駐日中国大使館でP1との婚姻手続をした上,挙式する等のためもあり,間もなく入国管理当局に出頭して退去強制手続を受け,同月12日にP1ともども本国に帰国した(前提事実(3),甲9の1~2頁,乙10の6頁,乙15の6頁)。その退去強制手続の際,当時は,退去を強制された者で退去した日から1年を経過していないものについて,本邦に上陸することができないも た(前提事実(3),甲9の1~2頁,乙10の6頁,乙15の6頁)。その退去強制手続の際,当時は,退去を強制された者で退去した日から1年を経過していないものについて,本邦に上陸することができないものとされていたこと(平成11年法律第135号による改正前の入管法5条1項9号)から,原告は担当係官からその旨の説明を受けた。(乙11の3~5頁)原告は,その帰国中,稲作地を購入し,米を販売する仕事を営んだが,倒産し,平成9年には土地を手放した(乙17の12頁,原告本人20頁・22頁)。 イ原告夫婦の再来日と離婚(ア) 原告は,平成9年7月3日,P1と共に,在留資格を「定住者」(原告については在留期間を1年)とする上陸の許可を受けて再来日し,同月7日に東京都○区内に外登法上の新規登録を申請して登録され,同月22日には,通称として日本名のP3が記録される等の変更登録がされた(乙11の4頁)。原告は,以後 5回,1年の在留期間更新許可を受け,この間,パチンコ店や貿易会社などで稼働するなどした。 P1は,平成11年▲月▲日に原告との間の長女を,平成13年▲月▲日に同じく長男を,それぞれ出産し,原告ら家族は,平成15年6月2日,同年5月1日から○区内のβ のアパートに居住地を変更した旨を申請して,その旨の変更登録を受けた。次いで,原告は,同年7月11日,3年の在留期間更新許可を受け,その在留期間を平成18年7月3日までとされた。((ア)全体につき,前提事実(4)及び(5),甲9の1~2頁,乙1,乙8の24頁,乙10の6頁,乙15の6頁)(イ) 原告は,平成15年頃から,α で小規模のスナック「P9」を自営し,間もなく,規模を拡大したキャバクラ「P10」を開業したが,平成16年▲月▲日,同店の営業に関し従業員が客引きを 6頁)(イ) 原告は,平成15年頃から,α で小規模のスナック「P9」を自営し,間もなく,規模を拡大したキャバクラ「P10」を開業したが,平成16年▲月▲日,同店の営業に関し従業員が客引きをした風営法違反の罪により,経営者の両罰規定に基づき,同年12月22日に略式起訴され,平成17年▲月▲日,罰金30万円の略式命令を受けた(本件風営法違反前科。前提事実(6),甲9の4~5頁,乙8の20頁,乙15の6頁,乙17の12~13頁,乙27の1・2)。 (ウ) 原告は,平成17年7月頃,かねて為替関係の仕事を希望していたこともあって,為替の分析と情報提供サイトの運営を業とするP8を設立し,自ら代表取締役に就任した。これに伴い,原告は,家に帰る時間が短くなり,P1は,原告の女性関係を疑うようになって,両名の関係は悪化した。加えて,子らを厳しく育てるべきであるという考えの原告と,これに反対するP1及びP1の母は,教育方針を巡っても対立したことなどから,両名は,平成18年▲月▲日,子らの親権者を母と定めて離婚した(前提 事実(7))。原告は,離婚に際し,開業を継続していたP10の経営権をP1に譲り,P8の事務所を置いていたγ のマンションに生活の本拠を移した。(甲9の1~3頁・7~12頁,乙8の7頁,乙15の7頁,乙17の11~12頁・14頁,原告本人1頁・3頁)(エ) 原告は,平成18年7月25日,在留資格を「投資・経営」,在留期間を1年とする在留資格変更許可を受け,離婚後約半年間は,子らにも離婚の事実を伏せつつ,週に1回程度,β のアパートに立ち寄る生活を続けていたが,β のアパートに赴く頻度は減り,やがて絶えた(甲9の2~3頁,原告本人1~2頁)。もっとも,原告は,子らなどとの交流は続け,平成21年にも長男と2人で のアパートに立ち寄る生活を続けていたが,β のアパートに赴く頻度は減り,やがて絶えた(甲9の2~3頁,原告本人1~2頁)。もっとも,原告は,子らなどとの交流は続け,平成21年にも長男と2人で京都に旅行に行くような関係にあった(乙8の7頁)。 原告は,この間3回,1年の在留期間更新許可を受けた後,平成22年7月20日に3年の在留期間更新許可を受け,在留期間を平成25年7月20日までとされた。また,平成23年3月7日,β のアパートから,当時,生活の本拠としていたγ のマンションに居住地の変更登録をした(乙1)。((エ)全体につき,前提事実(7),乙15の7~8頁)ウ原告とP1の復縁と家族との再同居(ア) 平成23年3月11日,いわゆる東日本大震災が発生し,γのマンションで地震に遭った原告は,直ぐにP1に架けた電話が1度は通じたものの,P1が子らを学校に迎えに行くと電話を切ったきり,その後電話もメールもつながらなくなったことから,心配になって,β のアパートに向かおうとした。しかし,鉄道は麻痺し,タクシーも拾えず,原告は,約4時間歩き,ようやくP1に通じた電話で,あと三,四十分で着く旨を告げ,そのまま歩 き切って,子らの無事を確認した。 P1も,それまで家を顧みず,普段は歩くのを好まない原告が,そうまでして家族のことを思った行動に出たことに心を動かされ,さらに約1週間後,家族も受け入れて,原告がβ のアパートを本拠として生活を再開するようになったことなどを見るにつけ,次第に原告とよりを戻す気持ちを抱くようになり,β のアパートと同じ都営住宅の別の棟に住むP1の母も,原告を見直すようになった。((ア)全体につき,甲9の3頁・8頁,乙8の8頁・17頁,乙17の19頁,原告本人3~4頁)(イ) この頃,P β のアパートと同じ都営住宅の別の棟に住むP1の母も,原告を見直すようになった。((ア)全体につき,甲9の3頁・8頁,乙8の8頁・17頁,乙17の19頁,原告本人3~4頁)(イ) この頃,P1は,「P11」というキャバクラを経営するようになっていたが,収益は芳しくなく,税務調査も入っていたことから,原告は,その経営には関わらないようにしていた。一方,原告は,P8の業務内容をキャバクラの経営に切り替えることとし,平成25年初めまでにα にクラブ「P12」を新規開業した。 以降,P8は,為替情報提供サイトを閉じ,P12の売上や従業員の出勤及び給与の管理などをP1に任せて,同人に給与を支払うようになった。(甲9の4頁,乙8の9頁・12~13頁,乙10の7頁,乙15の10~11頁,乙17の11~14頁,乙25)エ本件傷害事犯とそのてん末(ア) 平成25年▲月▲日朝,原告は,年下の中国人友人男性から飲みに行くことを誘われ,同様の立場のもう1名とも誘い合わせて,数店ではしご酒をした後,3人でP12のそばで1階に行きつけの飲食店が入居するビルの4階にあるキャバクラに入ろうとしたところ,同店店員のIからショータイム中だとして入店を断られたため,原告らは,客を入れられないとはどういうことだ と抗議して諍いになった。原告が連れていた1名がIを殴打したことから,別の店員が出てきて,通報した旨を告げ,原告が,もういいと言って,帰ろうとエレベータを待っていると,Iが,原告らが帰るのを止めようとしてか,原告の折りたたみ式携帯電話を奪おうとしたことから,原告との間でもみ合いになって原告の携帯電話が折れ,これに怒った原告が,手拳でIを数回殴打した。 原告ら3名は,Iもエレベータに乗せた上,うち原告の連れの1名において4階の店舗前にあ たことから,原告との間でもみ合いになって原告の携帯電話が折れ,これに怒った原告が,手拳でIを数回殴打した。 原告ら3名は,Iもエレベータに乗せた上,うち原告の連れの1名において4階の店舗前にあったパイプ椅子を携えて1階に降り,怖じ気付いたIにエレベータから下りるように促すと,Iは抵抗せずに応じた。原告の連れのうち1名は,重量約1.8キログラムのパイプ椅子でIの頭部を数回殴り,更に倒れたIを数回足蹴にし,さらに,もう1名は,1階のエレベータホールにあった重量約6キログラムのスタンド式灰皿を,座り込んだIの頭部目がけて投げ付けた。この間,原告は,原告らとIの間に入って止めようとした別の店員を2発殴ったところ,次いで連れの者たちが同人の顔面等を足蹴にするなどした。 1階の行きつけの飲食店にいた原告と顔見知りの店員が,原告に対し,大変なことになると言って,止めに入ったことから,原告は,連れの2名に暴行を止めるよう働き掛けた。 これら原告らの一連の暴行により,Iは,外傷性くも膜下出血,びまん性軸索損傷,脳挫傷の傷害を負って,後に高次脳機能障害と診断されるとともに,記憶障害の可能性が残り,もう1名の被害者は,全治約10日間を要する額部及び口唇擦過創の傷害を負った。((ア)全体につき,前提事実(8),甲9の4~5頁,甲13の4,乙3,乙8の10頁,乙17の15~17頁,原告本人11~15頁・23~24頁) (イ) 原告は,上記(ア)の傷害の被疑事実(本件傷害事犯)により逮捕,勾留された。P1はこれを聞いて最初憤慨したものの,勾留中の原告を面会に訪れた。原告は,P1に対し,事情と示談の意向とを説明した。P1は当初,原告が逮捕,勾留されたことを子らに伏せていたが,数日後に長女から事情を質されたため,長男に対しても事情を説 留中の原告を面会に訪れた。原告は,P1に対し,事情と示談の意向とを説明した。P1は当初,原告が逮捕,勾留されたことを子らに伏せていたが,数日後に長女から事情を質されたため,長男に対しても事情を説明したところ,長男は,原告との面会を希望して原告が留置されている警察署を訪れた。(甲9の4頁,乙17の15頁・19~20頁)(ウ) P1は,原告の在留期限が平成25年7月20日に迫っていたことから,同年6月初め頃,行政書士に相談したところ,行政書士から,原告の「投資・経営」の在留資格での在留期間更新許可はされないことが見込まれるとして,在留資格が欲しいのであれば,結婚して「定住者」への在留資格変更申請をする方法しかないだろうと言われた。P1は,同月6日,原告の同年5月1日からのβ のアパートへの転居を届け出るとともに,中国大使館関係者も連れて勾留中の原告の下に面会に赴き説明もして,必要書類に原告の署名押印を得,同年▲月▲日,○区長に原告との再婚を届け出た(乙4の4~5丁,乙17の21頁)。この間,P1は,自分の父親が亡くなった日を除き,面会のできる平日は毎日,原告を面会に訪れた。 原告は,代理人を介して,直ちに「定住者」への在留資格変更申請をしたところ,同年8月22日にこれを許可され,在留期間は1年後の平成26年8月22日までとされた。((ウ)全体につき,前提事実(9),甲9の1頁・5~6頁,乙1,乙8の9頁・11頁,乙10の9~10頁.乙15の9頁,原告本人5頁・17~18頁・24~25頁) (エ) 前後して,原告は,本件傷害事犯の被害者らに謝罪文等を送り,共犯者2名とともに,Iに対し1100万円,もう1名の被害者に対し51万円を支払い,両名は,原告らを宥恕し又は寛大な処分を希望する旨の示談を成立させた。この示談 傷害事犯の被害者らに謝罪文等を送り,共犯者2名とともに,Iに対し1100万円,もう1名の被害者に対し51万円を支払い,両名は,原告らを宥恕し又は寛大な処分を希望する旨の示談を成立させた。この示談金合計1151万円のうち,共犯者2名が負担したのは100万円のみで,その余の1051万円は,原告が,自身及びP1の貯金から拠出して支払った。(甲9の5頁,乙9の2頁,乙15の9頁,乙17の16頁・18頁)本件傷害事犯に係る公判廷には,P1もいわゆる情状証人として出頭し,今後原告を監督することを誓約し,原告自身も,今後は飲酒せず,飲酒するとしてもP1に同席してもらう旨を述べた(原告本人15頁)。 原告は,平成25年▲月▲日,東京地方裁判所において,本件傷害事犯につき,懲役2年6月,執行猶予5年の刑に処されて(本件刑事判決),身柄を解かれ,同判決は控訴なく確定した(前提事実(10),甲9の5頁,乙10の4頁)。((エ)全体につき,乙3,乙8の11~12頁)(オ) 原告は,身柄を解かれた後も,他の犯罪者が著した手記やブログを読んで,勾留中から継続していた犯罪者となる原因を探求する考察を深めた。原告は,本件刑事判決以来,酒量を減らすとともに,酒席にはP1を同席させることが多く,同席できない場合でも前後のP1への電話は欠かさないようにしているほか,P1やかつての従業員,友人など周囲の数名以上からも,事件以来,性格が丸くなったといわれるようになっている。(甲5,乙17の10頁,原告本人7~8頁・21~22頁)(カ) 原告は,本件傷害事犯を業務災害としてIに支払われた労災 給付額1241万2121円につき,労働者災害補償保険法12条の4第1項のいわゆる第三者行為による求償権に基づき,東京労働局長から損害賠償請求されたもの 業務災害としてIに支払われた労災 給付額1241万2121円につき,労働者災害補償保険法12条の4第1項のいわゆる第三者行為による求償権に基づき,東京労働局長から損害賠償請求されたものについて債務承認書を提出した上,うち少なくとも68万2030円を,上記(エ)の示談金とは別に,分割請求に応ずる形でこれまで支払ってきている(甲13の1~4,甲14の1~19,原告本人8頁)。 オ本件更新不許可処分と原告に対する退去強制手続(ア) 原告は,在留期限が2日後に迫った平成26年8月20日,東京入管局長に対し,本件更新申請をしたところ,東京入管局長は,同年10月20日,原告に対し,在留状況が良好と認められないことを理由として本件更新不許可処分をし,その旨通知した。 その際,原告は,申請内容を出国準備を目的とする在留資格変更申請に変更することを慫慂されたが,弁護士や行政書士とも相談した上,収容されることを覚悟で,出国を前提とした在留資格変更申請には切り替えず,日本での家族との生活の継続を希望することとした。(前提事実(11),甲9の6頁,乙10の5頁・10~11頁,乙17の5~6頁)(イ) 東京入管入国警備官は,平成26年11月19日に原告とP1を取り調べるとともに,同年12月2日に再度原告を取り調べ,東京入管主任審査官が原告の不法残留の容疑事実により平成27年2月16日に発付した収容令書を同月18日に執行して,原告を東京入管収容場に収容し,東京入管入国審査官に引き渡した(乙8ないし13)。 東京入管入国審査官は,同日,違反審査をして,原告が入管法24条4号ロ(不法残留)の退去強制事由に該当すると認定し,これを原告に通知したところ,原告は,即日,口頭審理を請求し た(前提事実(12),乙15)。原告は同日,仮 をして,原告が入管法24条4号ロ(不法残留)の退去強制事由に該当すると認定し,これを原告に通知したところ,原告は,即日,口頭審理を請求し た(前提事実(12),乙15)。原告は同日,仮放免を許可された(乙14)。 (ウ) 東京入管特別審理官は,平成27年10月30日,P1も出席した場で,原告を口頭審理し,上記(イ)の東京入管入国審査官の認定が誤りがないと判定し,これを原告に通知したところ,原告は,即日,法務大臣に対し異議の申出をした(前提事実(13),乙17)。 (エ) 法務大臣の権限の委任を受けた東京入管局長は,平成27年11月18日付けで,上記(ウ)の原告の異議の申出には理由がない旨の本件裁決をし,同日にその旨の通知を受けた東京入管主任審査官は,平成28年2月18日,原告に対し,本件裁決を通知するとともに,本件退令を発付した(前提事実(14))。東京入管入国警備官は,同日,本件退令を執行して原告を東京入管収容場に収容したが,原告は同日,仮放免を許可されて出所した(甲9の7頁,乙23,24)。 カ原告及びその家族の状況(ア) 原告の子らは,中国国籍であるが,本邦で出生,成育し,専ら日本語で教育を受けてきて,国語(日本語)の成績も良好であり,「定住者」の在留資格を有している(甲7,8,甲9の15頁,乙10の3頁,乙15の4~5頁,原告本人9頁)。原告の子らは,中国には1度短期間の旅行をしたことしかなく,中国語もP1の母に教わって簡単な言葉を解せる程度である(甲9の7頁,原告本人21頁)。(甲10)(イ) 原告は,家での子らとの会話は専ら日本語で行っており,P1は原告のことを日常「パパ」と呼んでいる(乙10の2頁)。 遅くとも東京入管特別審理官による口頭審理時までには,P1の 目から見ても,以前 ,家での子らとの会話は専ら日本語で行っており,P1は原告のことを日常「パパ」と呼んでいる(乙10の2頁)。 遅くとも東京入管特別審理官による口頭審理時までには,P1の 目から見ても,以前は仕事が第一であった原告が,子らのことをよく考えるようになり,本件刑事判決以前よりも子らとのコミュニケーションが取れるようになっていると映っており,原告自身,家族と一緒にいられることが第一であり,お金は二の次でほどほどに得られればよいとの考えを持つに至っていた(乙17の17~18頁)。原告は,当裁判所においても,人生で大切なものは,一に家族で二に健康であり,お金は大事ではない旨述べている。 (原告本人9頁)(ウ) 原告は,高血圧の治療のため,平成26年12月当時,○病院に通いつつ,医師から服用を勧められていた治療薬については,生活改善を希望して服用しないようにしていたが,平成28年12月時点では,肥大型心筋症,冠攣縮性狭心症,脂質異常症の診断名で○病院に外来通院し,血管拡張剤や降圧剤,中性脂肪量を下げる作用のある内服薬の処方を受けている(甲4,甲9の13頁,甲11,12,乙8の19頁,乙10の13頁,乙11の5頁,原告本人8~9頁)。 (エ) 原告は本件傷害事犯以前,日本への帰化申請を考えることもあったものの,本国上海市に健在している両親の存命中は控えておこうという思いもあって,実際の申請には至っていなかった(甲10,乙8の24頁)。原告の両親は本国に分譲マンションを2つ所有しているが,本国に両親以外の原告の家族はいない(原告本人10頁)。(乙17の7~8頁・21頁)(オ) 現在,原告家族の家計は,P1が姉の飲食店をパートで手伝っている給与と貯金の取崩しに頼っている(甲9の16頁,乙17の9頁)。 (3) 検討 (乙17の7~8頁・21頁)(オ) 現在,原告家族の家計は,P1が姉の飲食店をパートで手伝っている給与と貯金の取崩しに頼っている(甲9の16頁,乙17の9頁)。 (3) 検討 ア原告の在留を特別に許可するに当たっての消極事情(在留状況等)について(ア) 不法残留について被告は,その理由や目的の如何を問わず,不法残留した事実は悪質であり,重要な消極要素として考慮されるべきである旨主張する。 確かに,本件更新不許可処分が効力を生じている以上,原告が法的に不法残留の状態にあることは否定すべくもない。しかし,前記認定事実によれば,原告は,適法な在留期間中に本件更新申請をしたものの,これが認められずに本件更新不許可処分となったために,在留期間を経過して本邦に在留する不法残留状態に至ったものであり,このような経過からすると,在留期間を遵守して適法な在留資格を得ようとする意思はあったものと認められる。そして,原告が,当時,本件刑事判決を受けており,いったん帰国すると本邦に再度上陸することが困難となることからすると,原告においては,本件更新不許可処分等の適否を争って適法な在留資格を得るべく訴訟を提起するため,本邦に留まる現実的な必要性が生じており,そのために帰国しないという選択をすることにはそれなりの理由があったということができる。 これらの点を勘案すると,原告の不法残留は,必ずしも本邦の出入国管理秩序の根幹をなす在留資格制度を軽視していたものとはいえず,原告に強い悪質性があるとまでいうのは困難であるから,原告の在留特別許可の許否の判断に当たって,この点が消極要素となり得る程度は,限定的なものにとどまると解される。 なお,原告が過去に不法残留をして平成8年に1度退去強制歴があり,今回の不法残留が2度目の 留特別許可の許否の判断に当たって,この点が消極要素となり得る程度は,限定的なものにとどまると解される。 なお,原告が過去に不法残留をして平成8年に1度退去強制歴があり,今回の不法残留が2度目のものであることについても, 今回の入国が,その退去強制後,当時の上陸拒否期間を経過して正規に再度上陸の許可を受けて入国したものであることからすれば,過大視することは相当でないものと解される。 (イ) 本件傷害事犯等の刑罰法令違反について被告は,本件傷害事犯の犯行態様は危険,粗暴かつ悪質であり,被害結果も甚大であり,また,本件風営法違反前科もあることからして,原告には,我が国の刑罰法令を軽視する態度が著しいといわざるを得ず,これらの犯歴をみても,原告に在留特別許可の恩恵を付与すべきではない旨主張する。 この点,前記(2)の認定事実エ(ア)のとおり原告が本件傷害事犯に果たした役割や行動に鑑みても,その犯情は悪質なものであって,当時の在留状況が良好であるとはいえないと判断されたとしても,必ずしも不合理であったとはいえない。 しかしながら,前記(2)の認定事実エ( エ) ないし(カ) 及びカ(イ)並びに証拠(甲9の12~14頁,乙15の9頁,原告本人7~8頁・21~23頁)によれば,原告は,本件傷害事犯を起こした後,その被害者であるIらとの間で,少なくない額の示談金の大部分を拠出して示談に至り,被害者らにおいて原告らの寛大な処分を求め又は原告らを宥恕する旨の意思の表明を得て,本件刑事判決においてその刑の執行を猶予されたばかりでなく,本件刑事判決後も,本件傷害事犯に至った真の原因を究明しようと犯罪心理を学ぶための具体的な行動にも出て,自己を分析し,考察を深めるなどした結果,本件傷害事犯の原因の深いところには,自分がこれまで 本件刑事判決後も,本件傷害事犯に至った真の原因を究明しようと犯罪心理を学ぶための具体的な行動にも出て,自己を分析し,考察を深めるなどした結果,本件傷害事犯の原因の深いところには,自分がこれまで,金銭を中心とする社会的な成功に価値を置き,経済力や権力に物を言わせて他者を見下すような態度を取ってきていたことがあったと気付き,家族や健康があってこその人生 であるとその世界認識を改めるに至り,本件傷害事犯以前とは価値観や人生観を根本的に変容させていることが認められる。また,こうした内省に基づく原告の価値観の変容は,その内心のものにとどまらず,本件傷害事犯に係る労災給付額の求償債務を承認し,東京労働局長からの分割請求額の支払を継続してきていることにも表れているといえるし,P1をはじめとする家族や周囲の者からも生活態度の変容を認められて評価されるに至っており,本件裁決前の口頭審理時の発言などからも,こうした価値観の変容はうかがい知ることのできる状況にあったことも認められる。そして,原告は,原告本人尋問において,通り一遍の皮相な反省をしただけであれば到底思いも及ばないと考えられる自分なりの表現で,二度と同様の失敗を起こさない旨の強い意志を示していることにも照らすと,本件裁決時においても,原告の粗暴傾向は,本件傷害事犯当時と比して有意に減退しており,その遵法精神も向上していたものと推認されるところである。 しかるに,被告の上記主張に照らすと,東京入管局長は,本件傷害事犯を含む原告の前科や同事犯の犯情の重さについてのみ着目し,上記で判示したような本件傷害事犯後における原告の変容(すなわち,本件裁決時における原告の将来の粗暴性・犯罪傾向の程度の評価に関する基礎事情となるもの)を適切に認定していなかったことがうかがわれる。 こ したような本件傷害事犯後における原告の変容(すなわち,本件裁決時における原告の将来の粗暴性・犯罪傾向の程度の評価に関する基礎事情となるもの)を適切に認定していなかったことがうかがわれる。 これに対し,被告は,原告が本件傷害事犯の刑事裁判において,今後は飲酒しないようにし,仮に飲酒するとしてもP1を同席させる旨を誓約していたにもかかわらず,原告がP1を同席させることなく外出先での飲酒を繰り返していたとして,原告が本件傷害事犯について真に反省をしているとはいい難い旨主張する。し かし,前記認定事実エ(オ)によれば,原告は,本件刑事判決後,酒量自体を減らすとともに,酒席にP1を同席させることをなるべく実践しつつも,それができない場合においても前後のP1への電話は欠かさないこととして,二度と同様の事件を起こさないようにしていることに照らすと,上記の被告の評価は正鵠を射ているものとはいえない。 また,被告は,本件傷害事犯の他の共犯者ら2人が永住者の在留資格を有していたために退去強制の対象とされていないことについて,原告が不公平感を吐露していることをもって,身勝手であり,真摯な反省であるとはいえない旨主張する。しかし,上記のような本件傷害事犯の共犯者との取扱いの公平性に関する事情は,原告に対する在留特別許可の許否の判断に際して一応検討を要する要素にはなり得ることからすると,それを指摘したことをもって真摯な反省に欠けると評価することは,必ずしも合理的ではない。 (ウ) 居住地登録変更申請及び中長期在留者の住居地届出義務違反について①原告が平成18年▲月にP1と離婚した後,β のアパートからγ のマンションへの居住地の変更登録をしたのが平成23年3月になってからであったこと,②原告は,β のアパートに居住していたの て①原告が平成18年▲月にP1と離婚した後,β のアパートからγ のマンションへの居住地の変更登録をしたのが平成23年3月になってからであったこと,②原告は,β のアパートに居住していたのに,平成24年5月にδ のマンションへの居住地の変更登録をし,β のアパートを住居地として届け出たのが平成25年6月であったことは,いずれも,外登法又は入管法等改正法の目的を一定程度阻害する行為であったことは否定できない。 もっとも,いずれにおいても原告と連絡の取れない場所に居住地又は住居地が置かれるなどして原告が所在を不明にしたとい ったまでの実態はなかったと認められ,上記の各行為が,被告における出入国管理行政に実害をもたらしたという事情があることまではうかがわれないことにも鑑みると,原告の在留特別許可の許否の判断に当たって,これらの点を消極事情として過大視することは相当ではないと考えられる。 イ原告の在留を特別に許可するに当たっての積極事情(家族関係等)について(ア) 定住者であるP1との婚姻関係被告は,原告が,定住者であるP1と平成25年▲月▲日に再婚したのは,在留資格変更申請を有利に進めることを意図したものであり,再婚後の期間が約3年と短いことも考慮すると,安定かつ成熟した婚姻関係とはいえないと主張する。 しかしながら,上記ア(イ)に判示したとおり,原告は,本件裁決時までには,その価値観や人生観,生活態度を,本件傷害事犯当時とは根本的に変容させていることが認められるところ,P1は,本件傷害事犯による原告の勾留後,父が逝去した1日を除いて,面会が可能な曜日には毎日原告を面会に訪れ,上記の示談金の一部を自身の貯金からも負担し,また,刑事裁判に証人として出廷して原告の監督を誓ったばかりでなく,更に原告が家 後,父が逝去した1日を除いて,面会が可能な曜日には毎日原告を面会に訪れ,上記の示談金の一部を自身の貯金からも負担し,また,刑事裁判に証人として出廷して原告の監督を誓ったばかりでなく,更に原告が家族優先の価値観を持つに至ったことを評価するなどしており,夫婦相互に家族としての重要性を再認識するに至っていることからすると,再婚後の原告とP1の婚姻関係は,10年間に及んだ離婚前の婚姻期間中よりも,むしろ強固な信頼関係に支えられたものに昇華していることがうかがわれる。 そうであるとすれば,その再婚が本件傷害事犯を契機とするものであったという事情や,再婚手続から本件裁決の通知までの期 間が3年に満たないという事情を考慮したとしても,原告とP1との婚姻関係は,真摯なものであり,安定かつ成熟した夫婦関係として評価すべきものと考えられ,在留資格変更申請を有利に進めることを目的としたものにとどまると評価することは合理的であるとはいえない。 なお,被告は,退去強制事由のある外国人に「定住者」の在留資格を有する配偶者がいる事実は,当該外国人の在留を特別に許可するか否かに関する法務大臣等の裁量権の行使に対する制約になるものではないとの趣旨の主張をするが,そのような事実は,被告自らも認めるとおり,その許否の判断に当たって斟酌されるべき事情にはなり得ると考えられるものであり,とりわけ当該配偶者との婚姻関係が安定かつ成熟したものである場合には,その許否の判断に影響を与える重要な基礎事実であると解される。 (イ) その他の積極事情(送還の支障,子らとの関係等)について被告は,原告の成育歴,稼働経験及び健康状態等に照らし,本国で就労して生活する上で支障がなく,また,原告の子らが本邦での在留を継続するとしてもその監護養育には支障が生じない の関係等)について被告は,原告の成育歴,稼働経験及び健康状態等に照らし,本国で就労して生活する上で支障がなく,また,原告の子らが本邦での在留を継続するとしてもその監護養育には支障が生じない旨主張する。 この点,前記(2)の認定事実及び弁論の全趣旨によれば,原告の配偶者であるP1は中国残留邦人3世であること,原告とP1は,いずれも20歳前に来日し,一時帰国したことはあったが,再来日後20年弱の期間にわたり,適法な在留資格の下で本邦で生活し,本邦において生計を立ててきたものであること,両名には,本邦で出生,成育した未成年の実子が2名おり,これらの子は中国国籍ではあるものの,定住者の在留資格を有し,専ら日本語で公教育を受けてきていて現に中等教育機関に在学しており,原告 は,離婚し別居していた期間を除き,これらの子を扶養し,監護養育していたことが認められるところ,これらの事情からすると,原告については,本邦での滞在期間が若年時から相当長期間に及び,本邦への定着性が高いということができるし,また,原告の子らが,今後,中国で継続的に生活をすることは現実的ではないという側面が強いといわざるを得ない。 被告は,原告及びP1が,口頭審理時に,原告が送還された場合には家族全員で帰国すると発言していた旨主張する。しかし,上記の発言は,その文脈上,原告が退去強制となることは想定したくないことを第一の前提としつつ,どうしても送還されることとなった最悪の場合の選択肢として述べたものであると認められ(乙17),原告の子らが中国で生活することに支障がない旨を述べた趣旨ではないと考えられる。 そうすると,原告を本国に送還することは,本邦において原告とP1との安定かつ成熟した夫婦関係の下に成立している子らを含む家族関係を,相当程度分断 支障がない旨を述べた趣旨ではないと考えられる。 そうすると,原告を本国に送還することは,本邦において原告とP1との安定かつ成熟した夫婦関係の下に成立している子らを含む家族関係を,相当程度分断するか,その家族の少なくとも一部に甚大な生活上の支障をもたらすかの結果を強いることとなるものというべきであって,それにもかかわらず,その送還に特段の支障がないと評価するのは必ずしも合理的な判断であるとはいえない。 ウ総合判断以上で判示したところによると,東京入管局長は,本件裁決に際して,原告の在留を特別に許可するか否かを判断するに当たり,①その消極事情(在留状況等)に関しては,原告が不法残留となったことや,原告が本件傷害事犯等の刑罰法令違反を犯したことなどの事情を過大に評価しており,特に,後者については,犯行時の犯情 のみを捉えるにとどまり,その後の真摯な内省によりその粗暴な傾向等が変容していたことを認定していなかったことが認められ,②他方,積極事情(家族関係等)に関しては,原告とP1との再婚は安定かつ成熟した真摯なものと評価すべきであったのに,これを在留資格変更申請を有利に進めることを目的とするものにとどまると誤認し,それに伴い,原告の送還の支障に関する事情についても十分な評価をしなかったことが認められる。 そうすると,東京入管局長が本件裁決に際して原告の在留を特別に許可しないとした判断には,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があることによりその判断が全く事実の基礎を欠くというべき部分や,事実に対する評価が明白に合理性を欠くというべき部分があり,家族と共に本邦に定着性を有している原告の本邦における改善の機会を全く付与しないという点において,社会通念上著しく妥当性を欠くものであったことが明らかであるから,本件 性を欠くというべき部分があり,家族と共に本邦に定着性を有している原告の本邦における改善の機会を全く付与しないという点において,社会通念上著しく妥当性を欠くものであったことが明らかであるから,本件裁決には,その裁量権の範囲をこえ又はその濫用がある違法があったものというべきである。 本件裁決の取消しを求める原告の請求は理由がある。 2 本件退令発付処分の適否本件裁決が違法である以上,これを受けてされた東京入管主任審査官による本件退令発付処分も違法であり,その取消しを求める原告の請求も理由がある。 3 本件義務付け訴えの適否(争点2)(1) 本件義務付けの訴えは,東京入管局長において入管法50条1項4号に基づく在留特別許可処分の義務付けを求めるものである。 前記1(1)に判示したように,憲法上,外国人については,在留の権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利が保 障されているものではなく,入管法50条1項4号が「特別に」在留を許可すべき事情があると認めるときという文言をもって,その要件を規定していることをも勘案すれば,同号に定める在留特別許可は,退去強制対象者として本来的に退去させられるべき外国人について,なお特別に在留を許可すべき事情があると認めるときに,法務大臣等が恩恵的措置としてこれを付与するという性質のものと解すべきであり,入管法が,外国人の在留資格の変更(20条2項)や在留期間の更新(21条2項)等についてはその申請権があることを明示しているのに対して,在留特別許可については,その申請権を認める明文の規定を置かず,その申請権があることを前提として定められた規定も見当たらないことを考慮すれば,同法が退去強制対象者たる外国人に在留特別許可の申請権を認めているものと解することはできない。 める明文の規定を置かず,その申請権があることを前提として定められた規定も見当たらないことを考慮すれば,同法が退去強制対象者たる外国人に在留特別許可の申請権を認めているものと解することはできない。 この点,原告は,同法49条1項の異議の申出権は,実務運用上も,同法50条1項の在留特別許可を求める申請として扱われ,法律上もその性質を併せ有するものとして規定されているという趣旨とみられる主張をするが,同法49条1項の異議の申出は,容疑者が退去強制対象者に該当するとの入国審査官の認定に誤りがないとの特別審理官の判定に異議がある場合における当該容疑者による不服申立ての方法として規定されているものであって,法務大臣等が在留特別許可をしない場合であっても,その旨を当該容疑者に通知する旨の規定はないこと(同条6項参照)等に照らしても,上記の異議の申出が上記在留特別許可の付与を求める申請権としての性質を併せ有すると解することはできない。そして,実務の運用により法の規定の趣旨を改変できるものでもない。 したがって,退去強制対象者たる外国人に在留特別許可の申請権があることを前提に,本件義務付けの訴えがいわゆる申請型の義務付け の訴えであるとする原告の主張は採用することができず,入管法50条1項に基づく在留特別許可処分の義務付けを求める訴えは,行訴法3条6項2号のいわゆる申請型の義務付けの訴えには当たらず,同項1号のいわゆる非申請型の義務付けの訴えに当たるものというべきである。 (2) 非申請型の義務付けの訴えは,行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないときに提起することが許されている(行訴法3条6項1号)ところ,原告が求める処分をすべき法的権限を行政庁が有することを当然の前提にしているものと解される。 もっと あるにかかわらずこれがされないときに提起することが許されている(行訴法3条6項1号)ところ,原告が求める処分をすべき法的権限を行政庁が有することを当然の前提にしているものと解される。 もっとも,前記1のとおり,原告の本件裁決取消請求は理由があるものと認められるところ,本件裁決が取り消されることにより,東京入管局長は,原告について再び在留特別許可処分をする法的権限を有するところとなるものである。この点,厳密には,本件裁決を取り消す効力が発生するのはその取消請求認容判決の確定時であるが,申請型の義務付けの訴えにおいても,処分又は裁決が取り消されるべきものである等のときには訴えを提起することができるとされ,むしろ,これを併合提起しなければならないものとして,紛争の一回的解決を図っていること(行訴法37条の3第1項2号,3項)との権衡を考慮すれば,判決をもって入管法49条1項の規定による異議の申出には理由がない旨の裁決を取り消すべきときには,同取消請求に係る訴えと併合して提起された同法50条1項の在留特別許可処分の義務付けの訴えについては,当該裁決行政庁は,当該在留特別許可処分をする法的権限を有するものとして,行政庁が処分権限を有するものでなければならないとの訴訟要件は満たすものと解するのが相当である。 (3) そこで進んで,本件義務付けの訴えが「損害を避けるため他に適 当な方法がないとき」に提起されたものとして,いわゆる補充性の要件を満たすかを次に検討する。 この点,処分又は裁決を取り消す判決は,その事件について,処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束し(行訴法33条1項),審査請求を却下し又は棄却した裁決が判決により取り消されたときは,その裁決をした行政庁は,判決の趣旨に従い,改めて審査請求に対する裁 裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束し(行訴法33条1項),審査請求を却下し又は棄却した裁決が判決により取り消されたときは,その裁決をした行政庁は,判決の趣旨に従い,改めて審査請求に対する裁決をしなければならない(同条2項,3項)。 そうすると,退去強制対象者たる外国人は,上記(1)に判示したとおり,在留特別許可処分の申請権は認められないものの,在留特別許可をしないでされた裁決が,裁決行政庁の裁量権の範囲をこえ又はその濫用がある違法があったことを理由として,判決により取り消されたときは,その判決理由を含めた趣旨に従い,改めて裁決をしなければならないことに帰着するから,通常は,在留特別許可をしないでされた裁決の取消しの訴えを提起して当該請求について認容判決を得ることにより,その目的を達することができるものと解される。したがって,そのような裁決の取消しの訴えを提起して当該請求について認容判決を得たとしても,原告が重大な損害を避けるためなお目的を達することのできない裁決等がされる蓋然性が高いなどの特段の事情がある場合であれば格別,そのような特段の事情もないままに,入管法50条1項に基づく在留特別許可処分の義務付けの訴えを提起する以外には適当な方法がないという補充性の要件を満たすとはいえないと解するのが相当である。 これを本件についてみると,原告が,本件裁決取消請求の認容判決を得るだけではなおその目的を達成することのできない裁決等がされる蓋然性が高いなどの特段の事情があるとまでは認められないというべきであるから,本件義務付けの訴えは,原告の重大な損害を避 けるため入管法50条1項に基づく在留特別許可処分の義務付けの訴えを提起する以外に適当な方法がないという,補充性の訴訟要件を満たすとはいえない。 原告は,本件裁 原告の重大な損害を避 けるため入管法50条1項に基づく在留特別許可処分の義務付けの訴えを提起する以外に適当な方法がないという,補充性の訴訟要件を満たすとはいえない。 原告は,本件裁決取消請求認容の判決を受けた裁決行政庁が原告に対して在留特別許可処分をするとして,いずれの在留資格を付与し,在留期間をどの程度にするかの点につき,適切に救済される担保がない旨を主張するが,上記のとおり,裁決行政庁は,行訴法33条2項,3項の規定により,その判決の趣旨に従い,改めてこれに対する裁決等をしなければならないものと解されるから,法的担保がないとの指摘は当たらない(なお,念のため付言すれば,在留特別許可と合わせて,「短期滞在」や,出国準備を目的とする「特定活動」などの在留資格を付与する決定がされるのでは,本判決の趣旨に従った措置であるといえないことは,争点1について前記1に判示したところから明らかである。)。 (4) 以上によれば,東京入管局長は,本判決により本件裁決が取り消されることにより,原告に対し,入管法50条1項に基づく在留特別許可処分をする法的権限を有すべきこととなると認められるものの,原告の重大な損害を避けるため同処分の義務付けの訴えを提起する以外に適当な方法がないという補充性の訴訟要件を満たすとはいえず,本件義務付けの訴えは不適法である。 4 結論よって,原告の本件裁決取消請求及び本件退令発付処分取消請求はいずれも理由があるからこれらを認容するとともに,本件義務付けの訴えは不適法であるからその訴え部分を却下することとし,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民事訴訟法64条本文,61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官 主文 訴訟費用の負担につき行訴法7条,民事訴訟法64条本文,61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官平山馨 裁判官馬場潤

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る