平成28(ワ)21473 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年9月25日 東京地方裁判所
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判決文本文28,578 文字)

令和2年9月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成28年(ワ)第21473号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和2年6月16日判 決主 文 1 別紙認容額一覧表A欄記載の各被告は,それぞれ,同表B欄記載の被告らと連帯して,同表C欄記載の原告に対し,同表D欄記載の金員及びこれに対する同表E欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,次のとおりの負担とする。 ⑴ 原告A1と被告ら(被告B10を除く。)との間に生じた費用を5分し,その1を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とする。 ⑵ 原告A2と被告ら(被告B10を除く。)との間に生じた費用を5分し,その1を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とする。 ⑶ 原告A3と被告ら(被告B9を除く。)との間に生じた費用を10分し,そ の1を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とする。 ⑷ 原告A4と被告ら(被告B9を除く。)との間に生じた費用を5分し,その3を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とする。 ⑸ 原告A5と被告ら(被告B9を除く。)との間に生じた費用を5分し,その1を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とする。 ⑹ 原告A6と被告ら(被告B9を除く。)との間に生じた費用を20分し,その7を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とする。 ⑺ 原告A7と被告ら(被告B9を除く。)との間に生じた費用を20分し,その7を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とする。 ⑻ 原告A8と被告ら(被告B9を除く。)との間に生じた費用を5分し,その 1を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とす 0分し,その7を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とする。 ⑻ 原告A8と被告ら(被告B9を除く。)との間に生じた費用を5分し,その 1を同原告の負担とし,その余を同被告らの負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求別紙請求額一覧表a欄記載の各被告は,それぞれ,同表b欄記載の被告らと連帯して,同表c欄記載の原告に対し,同表d欄記載の金員及びこれに対する同表 e欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要原告らは,いずれも,電話による欺罔行為によって金員支払の必要があると誤信して現金を送付し,これを詐取された,いわゆる特殊詐欺の被害者又はその相続人である。 本件は,原告らが,①被告B9は,原告A1及び原告A2との関係で,被告B10は,その余の原告らとの関係で,上記特殊詐欺の遂行に関し,それぞれ,いわゆる架け子グループを主導した者であり,被告B11は,全原告との関係で,上記特殊詐欺の遂行に関し,いわゆる受け子グループを主導した者であると主張して,原告A1及び原告A2は被告B9及び被告B11に対し,その余の原告ら は被告B10及び被告B11に対し,それぞれ,共同不法行為に基づく損害賠償として,詐取された金銭から損害填補額を控除した金員,慰謝料及び弁護士費用相当額の損害賠償金の各合計額並びにこれに対する最後の不法行為日から支払済みまでの民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するとともに,②上記特殊詐欺は, 「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(以下「暴対法」という。)3条の規定により指定された暴力団であるOの構 5分の割合による遅延損害金の支払を請求するとともに,②上記特殊詐欺は, 「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(以下「暴対法」という。)3条の規定により指定された暴力団であるOの構成員(指定暴力団員)である上記被告らが,暴対法31条の2の威力利用資金獲得行為を行うについてしたものであり,亡B12(以下「B12」という。)はOを代表する者,被告B7及び被告B8はOの運営を支配する地位にある者であると主張して,B12の相続人又 はその承継人である被告B1,被告B2,被告B3,被告B4,被告B5及び被 告B6(以下,B12の相続人又はその承継人である被告らを併せて「被告B1ら」という。)並びに被告B7及び被告B8に対し,暴対法31条の2に基づく損害賠償として,上記①記載の被告らと連帯して金員の支払を請求し,併せて上記②と選択的に,③上記特殊詐欺はOの事業の執行についてされたものであり,B12は上記①記載の被告らの使用者,被告B7及び被告B8はB12に代わって 上記事業を監督する者であると主張して,被告B1らに対しては,民法715条1項に基づく損害賠償として,被告B7及び被告B8に対しては,同条2項に基づく損害賠償として,それぞれ上記②と同旨の請求をする事案である。 1 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者及び関係者ア原告らは,後記⑵のとおり,平成26年1月から同年7月までの間に,特殊詐欺の被害を受けた者又はその相続人である。 被害者の一人であるA9は,令和元年5月に死亡した。A9の子である原告A6及び原告A7(各法定相続分は2分の1。以下「原告A6ら」という。) は,A9の訴訟上の地位を承継した。 イ Oは,暴対法3条の 人であるA9は,令和元年5月に死亡した。A9の子である原告A6及び原告A7(各法定相続分は2分の1。以下「原告A6ら」という。) は,A9の訴訟上の地位を承継した。 イ Oは,暴対法3条の規定により指定された暴力団(以下「指定暴力団」という。暴対法2条3号)である。東京都公安委員会は,平成25年6月17日,同委員会告示第199号により,上記指定を公示し,平成28年6月20日にも,同委員会告示第219号により,上記指定を公示した(暴対法7 条1項。甲1,40)。 Oには,O本部,その傘下に二次組織のP,Pの傘下に三次組織のQ組及びR組,Q組の傘下に四次組織のS組及びT組が存在する(甲3,4)。 ウ B12は,前記イの各告示において,Oを代表する者として公示された者である(甲1,40)。 B12は,平成29年9月12日に死亡した。B12の妻である被告B1 (法定相続分は2分の1),B12の子である亡B14(令和元年7月19日死亡)の夫である被告B2及び子である被告B3(亡B14から承継した各法定相続分は16分の1),B12の子である被告B4及び被告B5,並びにB12の子である亡B15(平成28年11月29日死亡)の子である被告B6(各法定相続分は8分の1)は,B12の訴訟上の地位を承継した。 エ被告B7は,平成10年6月から平成26年4月17日までOの会長の地位にあり,同月18日以降はOの特別相談役の地位にある者である(甲2の2,乙イ1,28)。 オ被告B8は,遅くとも平成17年4月から平成26年4月17日までOの会長代行の地位にあり,同月18日以降はOの会長の地位にある者である (甲2の2,乙イ2)。 カ被告B9は,後記⑵の原告らに対する特殊詐欺が行われた当時,Oの二次組織 年4月17日までOの会長代行の地位にあり,同月18日以降はOの会長の地位にある者である (甲2の2,乙イ2)。 カ被告B9は,後記⑵の原告らに対する特殊詐欺が行われた当時,Oの二次組織であるPの総長室長の地位にあり,Oの三次組織であるR組の組長の地位にあった者である(甲3,43の2,甲85,乙イ23)。 キ被告B10は,後記⑵の原告らに対する特殊詐欺が行われた当時,Oの二 次組織であるPの事務長の地位にあり,Oの三次組織であるQ組の組長代行の地位にあった者である(甲3,43の2,甲83,85)。 ク被告B11は,後記⑵の原告らに対する特殊詐欺が行われた当時,Oの四次組織であるS組の組長の地位にあった者である(甲3,4,43の2,甲83)。 ケ弁論分離前被告B13(以下「B13」という。)は,後記⑵の原告らに対する特殊詐欺が行われた当時,Oの四次組織であるS組の組長代行の地位にあった者である(甲3,4,43の2,甲83)。 コ Cは,Oの三次組織であるQ組の理事長の地位にあり,Oの四次組織であるT組の組長の地位にあった者である。Cは,平成25年6月,別件の詐欺 等の被疑事実で逮捕及び起訴され,新潟地方裁判所長岡支部で懲役7年の実 刑判決を受けた(甲10,11,83,乙ニ14,16)。 サ Dは,Oの三次組織であるQ組の組長の地位にある者である(甲3,83,乙イ34)。 ⑵ 原告らに対する特殊詐欺ア原告らに対する特殊詐欺の概要 本件の特殊詐欺は,受け子グループ(以下「本件受け子グループ」という。)が,アパートの一室等に被害者から詐取した金銭の送付先となる私設私書箱を複数設置し,「U」と呼称されていた架け子グループ(以下「本件架け子グループU」という。)及び「V」と呼称されて プ」という。)が,アパートの一室等に被害者から詐取した金銭の送付先となる私設私書箱を複数設置し,「U」と呼称されていた架け子グループ(以下「本件架け子グループU」という。)及び「V」と呼称されていた架け子グループ(以下「本件架け子グループV」といい,両者を併せて「本件架け子グ ループ」という。)が,被害者を欺罔して,被害者に詐取金を私設私書箱へ送付させ,本件架け子グループが本件受け子グループに詐取金の送付予定を伝達し,本件受け子グループが詐取金を回収して,本件架け子グループと本件受け子グループとの間で詐取金を分配する仕組みであった。 被告B9は,本件架け子グループUを,被告B10は,本件架け子グル ープVをそれぞれ統括していた者である(甲5,15,31,32,35,79,84,85,証人B13・25,26頁)。 被告B11及びB13は,本件受け子グループを統括していた者である(甲10,12,27,33,36,57,58,80,85,87の2)。 Eは,被告B10の指示に従い,本件架け子グループVが利用する携帯 電話の準備等に関与した(甲34,63,77)。 S組の構成員であるF,G,Hら並びに暴力団の構成員ではないI,J,K,L及びMは,本件受け子グループにおいて,詐取金の送付先となる私設私書箱の設置,詐取金の受け取りや運搬回収等に関与した(甲5,12~33,35~37,50~53,57,58,60~62,64~66, 72~76,81,83~86)。 イ原告A1について本件架け子グループUの被告B9並びに本件受け子グループの被告B11及びB13(以下「被告B9ら」という。)は,他の数名の者らと共謀の上,平成26年1月7日頃から同年4月3日頃までの間,原告A1(当時63歳)に ープUの被告B9並びに本件受け子グループの被告B11及びB13(以下「被告B9ら」という。)は,他の数名の者らと共謀の上,平成26年1月7日頃から同年4月3日頃までの間,原告A1(当時63歳)に対し,電話にて,原告A1が実体のない架空会社の社債の名 義貸しに関与しており,その行為が違法行為であって,金員を交付しないと損害賠償請求される等の虚偽の事実を申し向け,原告A1をしてその旨誤信させ,以下の各現金をそれぞれの日に指定場所に送付させて,これを詐取した(以下「本件詐欺行為1」という。甲50~52,87の1,87の2,甲99)。 ① 平成26年 1月10日 300万円② 平成26年 1月14日 1200万円③ 平成26年 1月16日 200万円④ 平成26年 4月 3日 300万円合計 2000万円 ウ原告A2について被告B9らは,他の数名の者らと共謀の上,平成26年1月下旬頃から同年4月上旬頃までの間,原告A2(当時83歳)に対し,電話にて,実体のない架空会社から1500万円が返金される等の虚偽の事実を申し向け,原告A2をしてその旨誤信させ,返金費用名下に以下の各現金をそれ ぞれの日に指定場所に送付させて,これを詐取した(以下「本件詐欺行為2」という。甲50~52,88の1,88の2,甲99)。 ① 平成26年 2月 5日 500万円② 平成26年 2月 6日 100万円③ 平成26年 2月11日 100万円 ④ 平成26年 2月14日 300万円 ⑤ 平成26年 2月19日 500万円⑥ 平成26年 3月 3日 500万円⑦ 平成26年 4月 3日 ④ 平成26年 2月14日 300万円 ⑤ 平成26年 2月19日 500万円⑥ 平成26年 3月 3日 500万円⑦ 平成26年 4月 3日 100万円合計 2100万円エ原告A3について 本件架け子グループVの被告B10並びに本件受け子グループの被告B11及びB13(以下「被告B10ら」という。)は,他の多数の者らと共謀の上,平成26年4月上旬頃から同年7月下旬頃までの間,原告A3(当時79歳)に対し,電話にて,実体のない架空会社の公共事業債の債券を購入できる権利が当たり同債券を購入すれば高い金額で買い取る等の 虚偽の事実を申し向け,原告A3をしてその旨誤信させ,購入代金等の名目で以下の各現金をそれぞれの日に指定場所に送付させて,これを詐取した(以下「本件詐欺行為3」という。甲50,89,94,98,99)。 ① 平成26年 4月15日 200万円 ② 平成26年 4月18日 1000万円③ 平成26年 4月22日 1500万円④ 平成26年 4月30日 2500万円⑤ 平成26年 6月27日 200万円⑥ 平成26年 7月 2日 400万円 ⑦ 平成26年 7月 9日 1000万円⑧ 平成26年 7月22日 600万円合計 7400万円オ原告A4について被告B10らは,他の多数の者らと共謀の上,平成26年3月19日頃 から同年4月14日頃までの間,原告A4(当時82歳)に対し,電話に て,実体のない架空会社の公共事業債の債券を購入すれば高い金額で買い取る等の虚偽の事実を申し向け,原告A4をしてその旨誤 から同年4月14日頃までの間,原告A4(当時82歳)に対し,電話に て,実体のない架空会社の公共事業債の債券を購入すれば高い金額で買い取る等の虚偽の事実を申し向け,原告A4をしてその旨誤信させ,購入代金名下に以下の各現金をそれぞれの日に指定場所に送付させて,これを詐取した(以下「本件詐欺行為4」という。甲50,90,98,99)。 ① 平成26年 3月19日 100万円 ② 平成26年 3月26日 400万円③ 平成26年 4月 3日 400万円④ 平成26年 4月 9日 100万円⑤ 平成26年 4月14日 100万円合計 1100万円 カ原告A5について被告B10らは,他の多数の者らと共謀の上,平成26年3月26日頃から同年4月15日頃までの間,原告A5(当時84歳)に対し,電話にて,実体のない架空会社の公共事業債の債券を購入できる権利が当たり同債券を購入すれば高い金額で買い取る等の虚偽の事実を申し向け,原告A 5をしてその旨誤信させ,購入代金名下に以下の各現金をそれぞれの日に指定場所に送付させて,これを詐取した(以下「本件詐欺行為5」という。甲50,91,98,99)。 ① 平成26年 4月 2日 230万円② 平成26年 4月 4日 800万円 ③ 平成26年 4月 7日 1000万円④ 平成26年 4月 9日 1000万円⑤ 平成26年 4月15日 1400万円合計 4430万円キ A9について 被告B10らは,Hほか氏名不詳者らと共謀の上,平成26年6月上旬 頃から同月24日頃までの間,A9(当時72歳)に対し 合計 4430万円キ A9について 被告B10らは,Hほか氏名不詳者らと共謀の上,平成26年6月上旬 頃から同月24日頃までの間,A9(当時72歳)に対し,電話にて,同人が実体のない架空会社の社債の名義貸しに関与しており,その行為が違法行為であって,金員を交付しないと処罰される等の虚偽の事実を申し向け,同人をしてその旨誤信させ,以下の各現金をそれぞれの日に指定場所に送付させて,これを詐取した(以下「本件詐欺行為6」という。甲2 5,53,92の1~92の3)。 ① 平成26年 6月18日 500万円② 平成26年 6月24日 250万円合計 750万円ク原告A8について 被告B10らは,他の多数の者らと共謀の上,平成26年2月下旬頃から同年3月24日頃までの間,原告A8(当時61歳)に対し,電話にて,実体のない架空会社の公共事業債の債券を購入すれば高い金額で買い取る等の虚偽の事実を申し向け,原告A8をしてその旨誤信させ,購入代金等の名目で以下の各現金をそれぞれの日に指定場所に送付させて,これ を詐取した(以下「本件詐欺行為7」といい,本件詐欺行為1ないし7を併せて「本件詐欺行為」という。甲50,93,98,99)。 ① 平成26年 2月28日 200万円② 平成26年 3月 4日 400万円③ 平成26年 3月 7日 200万円 ④ 平成26年 3月11日 560万円⑤ 平成26年 3月24日 400万円合計 1760万円⑶ 本件詐欺行為に関する刑事処分ア被告B9は,原告A1及び原告A2を含む被害者に対する詐欺被告事件 6年 3月24日 400万円合計 1760万円⑶ 本件詐欺行為に関する刑事処分ア被告B9は,原告A1及び原告A2を含む被害者に対する詐欺被告事件 (東京地方裁判所平成27年刑(わ)第1753号,第2002号,第22 75号,第3021号)において,平成28年8月18日,本件詐欺行為1及び2に関し,他の犯罪事実と併せて懲役8年の実刑判決の宣告を受け,東京高等裁判所に控訴したが,控訴は棄却され,判決はその後確定した(甲51,52)。 イ被告B10は,原告A3,原告A4,原告A5及び原告A8を含む被害者 に対する詐欺,詐欺未遂被告事件(東京地方裁判所平成27年刑(わ)第172号,第360号,第573号,第958号,第1046号,第1266号,第1395号,第2787号)において,平成28年3月14日,本件詐欺行為3ないし5及び7に関し,他の犯罪事実と併せて懲役刑の実刑判決の宣告を受け,判決はその後確定した(甲98,被告B10・1頁)。 ウ被告B11は,原告A1,原告A2,原告A3,原告A4,原告A5及び原告A8を含む被害者に対する詐欺,詐欺未遂被告事件(東京地方裁判所平成26年刑(わ)第3362号,同平成27年刑(わ)第172号,第455号,第549号,第1046号,第1266号,第1753号,第2002号,第2275号,第2787号,第3021号)において,平成28年 5月13日,本件詐欺行為1ないし5及び7に関し,他の犯罪事実と併せて懲役刑の実刑判決の宣告を受け,判決はその後確定した(甲50,被告B11・1頁)。 エ B13は,原告A1,原告A2,原告A3,原告A4,原告A5及び原告A8を含む被害者に対する詐欺,詐欺未遂被告事件(東京地方裁判所平成2 け,判決はその後確定した(甲50,被告B11・1頁)。 エ B13は,原告A1,原告A2,原告A3,原告A4,原告A5及び原告A8を含む被害者に対する詐欺,詐欺未遂被告事件(東京地方裁判所平成2 6年刑(わ)第3362号,同平成27年刑(わ)第172号,第360号,第617号,第1266号,第1753号,第2002号,第2275号,第2787号,第3021号)において,平成28年8月19日,本件詐欺行為1ないし5及び7に関し,他の犯罪事実と併せて懲役刑の実刑判決の宣告を受け,判決はその後確定した(甲99,乙イ31,証人B13・1頁)。 オ Hは,原告A3及びA9を含む被害者に対する詐欺,詐欺未遂被告事件(東 京地方裁判所平成26年刑(わ)第3362号,平成27年刑(わ)第541号,第1047号)において,本件詐欺行為3及び6に関し,他の犯罪事実と併せて懲役刑の実刑判決の宣告を受け,判決はその後確定した(甲25,53)。 2 暴対法の定め 暴対法は,指定暴力団の代表者等の損害賠償責任について,次のとおり規定している。 (威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任)第31条の2 指定暴力団の代表者等は,当該指定暴力団の指定暴力団員が威力利用資金獲得行為(当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持,財産の形 成若しくは事業の遂行のための資金を得,又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為をいう。以下この条において同じ。)を行うについて他人の生命,身体又は財産を侵害したときは,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし,次に掲げる場合は,この限りでない。 1号当該代表者等が当該代表者等以外の当該指定暴力団の指定暴力団員 が行う威力利用資金獲得行為により直接又は間接にその生計の維 償する責任を負う。ただし,次に掲げる場合は,この限りでない。 1号当該代表者等が当該代表者等以外の当該指定暴力団の指定暴力団員 が行う威力利用資金獲得行為により直接又は間接にその生計の維持,財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得,又は当該資金を得るために必要な地位を得ることがないとき。 2号当該威力利用資金獲得行為が,当該指定暴力団の指定暴力団員以外の者が専ら自己の利益を図る目的で当該指定暴力団員に対し強要したこ とによって行われたものであり,かつ,当該威力利用資金獲得行為が行われたことにつき当該代表者等に過失がないとき。 3 争点⑴ 本件詐欺行為1及び2に係る被告B9及び被告B11の共同不法行為責任の有無(争点1) ⑵ 本件詐欺行為3ないし7に係る被告B10及び被告B11の共同不法行為 責任の有無(争点2)⑶ 被告B9,被告B10,被告B11らが暴対法31条の2にいう指定暴力団員に当たるか(争点3)⑷ B12,被告B7及び被告B8が暴対法31条の2にいう指定暴力団の代表者等に当たるか(争点4) ⑸ 本件詐欺行為が暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為に当たるか(争点5)⑹ 使用者責任に基づく損害賠償請求権の成否(争点6)⑺ 原告らの損害(争点7)⑻ 過失相殺の当否(争点8) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(本件詐欺行為1及び2係る被告B9及び被告B11の共同不法行為責任の有無)について(原告A1及び原告A2の主張)被告B9及び被告B11は,教唆,指示,報告,役割分担,犯行ツールの提 供,経費分担,詐取金の配分など相互に関連共同して本件詐欺行為1及び2を行ったことから,原告A1及び原告A2に対し,共同不法行為責任を負う B11は,教唆,指示,報告,役割分担,犯行ツールの提 供,経費分担,詐取金の配分など相互に関連共同して本件詐欺行為1及び2を行ったことから,原告A1及び原告A2に対し,共同不法行為責任を負う。 (被告B9及び被告B11の主張)争う。 ⑵ 争点2(本件詐欺行為3ないし7に係る被告B10及び被告B11の共同不 法行為責任の有無)について(原告A3,原告A4,原告A5,原告A6ら及び原告A8の主張)被告B10及び被告B11は,教唆,指示,報告,役割分担,犯行ツールの提供,経費分担,詐取金の配分など相互に関連共同して本件詐欺行為3ないし7を行ったことから,原告A3,原告A4,原告A5,原告A6ら及び原告A 8に対し,共同不法行為責任を負う。 (被告B10及び被告B11の主張)争う。 ⑶ 争点3(被告B9,被告B10,被告B11らが暴対法31条の2にいう指定暴力団員に当たるか)について(原告らの主張) 被告B9,被告B10,被告B11らOの傘下組織の構成員は,本件詐欺行為当時,暴対法31条の2にいう指定暴力団員であった。 ア暴対法31条の2にいう指定暴力団員とは,指定暴力団の構成員を指し(暴対法9条,2条5号,6号),指定暴力団の傘下組織の構成員を含む。 イ被告B9及び被告B10はOの二次組織であるPの構成員,被告B11は Oの四次組織であるS組の構成員である。P及びS組はOの傘下組織であるから,被告B9,被告B10及び被告B11は,指定暴力団員であり,その他のOの傘下組織の構成員らも,指定暴力団員である。 ウ ①Oの傘下組織の構成員がOの役職名や代紋等を使用していること,②Oは,本件詐欺行為当時,構成員相互の盃事による序列的擬制的血縁関係の連 鎖により構成 の構成員らも,指定暴力団員である。 ウ ①Oの傘下組織の構成員がOの役職名や代紋等を使用していること,②Oは,本件詐欺行為当時,構成員相互の盃事による序列的擬制的血縁関係の連 鎖により構成され,B12を頂点とする階層的組織を形成した上で,B12の意を受けて執行部で決定した事項については,二次組織,三次組織,四次組織へと順次伝達され,B12の意思が末端組織の構成員にまで伝達・徹底されていたこと,③傘下組織の構成員がOの会費(いわゆる上納金)を負担していたことから,Oの傘下組織であるP,S組等の構成員が指定暴力団で あるOの構成員(指定暴力団員)であることは明らかである。 (被告B1ら,被告B7及び被告B8の主張)否認ないし争う。 ア暴対法31条の2にいう指定暴力団員とは,当該指定暴力団の構成員のみを指し,当該指定暴力団の傘下組織の構成員は含まない。 イ本件詐欺行為当時,指定暴力団であるOの二次組織ないし四次組織の構成 員にすぎなかった被告B9,被告B10,被告B11らは,Oの構成員ではなかった。 ⑷ 争点4(B12,被告B7及び被告B8が暴対法31条の2にいう指定暴力団の代表者等に当たるか)について(原告らの主張) B12,被告B7及び被告B8は,暴対法31条の2にいう指定暴力団の代表者等に当たる。 ア暴対法31条の2にいう代表者等とは,当該暴力団を代表する者又はその運営を支配する地位にある者をいう(暴対法3条3号)。 イ B12は,本件詐欺行為当時,東京都公安委員会により指定暴力団である Oを代表する者として公示されていたこと,Oにおいて総裁と認識され,Oの会長職よりも高い地位にあることからすると,B12がOの階層において最上位に位置するから,B12は指定暴力団で 団である Oを代表する者として公示されていたこと,Oにおいて総裁と認識され,Oの会長職よりも高い地位にあることからすると,B12がOの階層において最上位に位置するから,B12は指定暴力団であるOを代表する者に当たる。 ウ被告B7は,平成10年6月から平成26年4月17日までOの会長(序列第2位),同月18日以降はOの特別相談役(序列第3位)(及びOの二次 組織であるW七代目総長)であり,Oの最高幹部であるから,被告B7は指定暴力団であるOの運営を支配する地位にある者に当たる。 エ被告B8は,遅くとも平成17年4月から平成26年4月17日までOの会長代行(序列第5位),同月18日以降はOの会長(序列第2位)であり,Oの最高幹部であるから,被告B8は指定暴力団であるOの運営を支配する 地位にある者に当たる。 (被告B1ら,被告B7及び被告B8の主張)否認ないし争う。 ア暴対法31条の2の責任主体は,暴対法3条3号が規定する当該暴力団を代表する者又はその運営を支配する地位にある者のいずれかである。 暴対法3条3号が規定する当該暴力団を代表する者とは,名実共に指定暴 力団の代表としてその頂点に立つ者をいい,その運営を支配する地位にある者とは,仮に名目上の代表でなくとも実質的に指定暴力団を支配してその頂点に立つ者をいう。 イ B12は,平成10年11月,Oの会長から退き,平成17年4月,Wの総長からも退いているから,本件詐欺行為当時,Oを代表する者ないしその 運営を支配する地位にある者には当たらない。 ウ被告B7は,平成26年4月18日以降,Oの会長から退いて特別相談役となり,Oにおける重要事項の決定に関与し得る立場ではなく,Oの頂点に立つ者ではなかったから,Oを代表する者ないし たらない。 ウ被告B7は,平成26年4月18日以降,Oの会長から退いて特別相談役となり,Oにおける重要事項の決定に関与し得る立場ではなく,Oの頂点に立つ者ではなかったから,Oを代表する者ないしその運営を支配する地位にある者には当たらない。 エ被告B8は,平成26年4月17日以前,Oの会長代行であり,会長の下で執行部を構成する一人にすぎず,Oの頂点に立つ者ではなかったから,Oを代表する者ないしその運営を支配する地位にある者には当たらない。 ⑸ 争点5(本件詐欺行為が暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為に当たるか)について (原告らの主張)本件詐欺行為は,暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為に当たる。 ア暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為とは,当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持,財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得,又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為をいう。 「威力を利用して」とは,当該指定暴力団に所属していることにより資金獲得活動を効果的に行うための影響力又は便益を利用することをいい,当該指定暴力団の構成員としての地位と資金獲得行為とが結びついている一切の場合をいう。 「威力を利用して」とは,暴対法9条が規定する「威力を示して」とは異 なり,威力を相手方(被害者)に認識させることは不要である。 暴対法31条の2の賠償責任が認められる根拠は,①指定暴力団の代表者等は,配下の指定暴力団員が資金獲得のために当該指定暴力団の威力を利用することを容認しているところ,このような資金獲得のための威力利用は,他人の権利利益を侵害する可能性が高いこと(予見可能性),②指定暴力団の代表者等の統制は末端の指定暴力団員にまで及んでおり,代表者等は上記 認しているところ,このような資金獲得のための威力利用は,他人の権利利益を侵害する可能性が高いこと(予見可能性),②指定暴力団の代表者等の統制は末端の指定暴力団員にまで及んでおり,代表者等は上記 ①の権利利益の侵害を防止することができる立場にあること(回避可能性),③指定暴力団員による資金獲得行為は,当該指定暴力団の威力の維持拡大に資するとともに,指定暴力団の代表者等を頂点とする上納金システムを有効に機能させているという意味で,代表者等は威力利用資金獲得行為による利益を享受している立場にあること(利益の享受)にある。このような暴対法 31条の2の賠償責任が認められる根拠は,暴力団の威力を被害者に対して直接示して行う恐喝やみかじめ料の要求のほか,暴力団の威力を背景としてその他の者の新規参入や取締機関への通報を阻止することにより初めて成立し得るような行為であり,暴力団員が典型的に行っている特殊詐欺行為にも当てはまるものである。 イ本件受け子グループには,指定暴力団であるOの指定暴力団員が多数関与していたところ,指定暴力団員である被告B9,被告B10,C,被告B11,B13,H,F,Gらは,本件受け子グループのメンバーの中に指定暴力団員が存在していることを認識していた。 暴力団組織において厳しい上下関係と規律があり,暴力的制裁が横行して いることは周知の事実である。指定暴力団員が特殊詐欺による資金獲得行為に関与する場合には,必然的に,当該指定暴力団員が,指定暴力団の威力を利用して,内部への統制と外部への対抗を担っていること,すなわち,当該威力が現実に使用される可能性・危険性が極めて高いことが,特殊詐欺に関与する者らにおいて強く意識されることになる。そのため,当該詐欺グルー プに指定暴力団員が参加してい ること,すなわち,当該威力が現実に使用される可能性・危険性が極めて高いことが,特殊詐欺に関与する者らにおいて強く意識されることになる。そのため,当該詐欺グルー プに指定暴力団員が参加していることを認識している者に対しては,指定暴 力団員が存在することのみにより,内部への統率力及び外部への対抗力が発揮され,当該指定暴力団の威力が利用されることになる。 したがって,本件受け子グループのメンバーがそのメンバーの中に指定暴力団員が存在していることを認識していた事実をもって,指定暴力団であるOの構成員としての地位と資金獲得行為である本件詐欺行為との間に結び つきが認められる。 ウまた,本件特殊詐欺は,指定暴力団であるOの構成員としての地位を利用して,詐欺組織のメンバーの勧誘,詐欺組織内部の統制,外部(外敵)との交渉や攻撃からの防衛,他人名義の携帯電話等の道具の入手などを効果的に行っていたことから,指定暴力団であるOの構成員としての地位と資金獲得 行為である本件詐欺行為との間に結びつきが認められる。 (被告B1ら,被告B7及び被告B8の主張)否認ないし争う。本件詐欺行為は,暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為には当たらない。 ア暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為とは,暴力団の威力の利用 と指定暴力団による資金獲得行為との間に密接な牽連関係がある場合をいう。 暴力団の威力の利用とは,被害者側に対し,暴力団員であることを告げること,入れ墨や指の欠損など暴力団特有の形態を示すこと,暴力団の事務所への来所を要請することなど,暴力団の威力を被害者側に対して利用するこ とを前提としている。 暴対法31条の2が新設された当時,暴力団の構成員が関わる特殊詐欺事案が社会問題化し の事務所への来所を要請することなど,暴力団の威力を被害者側に対して利用するこ とを前提としている。 暴対法31条の2が新設された当時,暴力団の構成員が関わる特殊詐欺事案が社会問題化し,これが議論された形跡はなく,むしろ暴力的不法行為等(暴対法2条1号)の暴力団の典型的な行為類型について,使用者責任の要件を緩和して被害者救済の道を広げることが暴対法31条の2の立法趣旨 であり,特殊詐欺行為が暴力的不法行為等から除外されていることからする と,特殊詐欺行為が暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為に該当することは想定されていない。 イ本件詐欺行為は,原告らに対しOの名称や代紋を直接的に利用することによって,原告らを畏怖ないし困惑させたものではないこと,被告B9,被告B10,被告B11らは,Oの組織的な背景によることなく,個人的な人間 関係により紹介や依頼等を受けて本件詐欺行為に関与したことからすると,本件詐欺行為において指定暴力団であるOの威力を利用したとはいえない。 ウ仮に原告らが主張するとおり暴力団の威力を相手方(被害者)に認識させることは不要であるとしても,本件詐欺行為に係る組織の内部統制等のためにOの威力が利用された事実もない。 ⑹ 争点6(使用者責任に基づく損害賠償請求権の成否)について(原告らの主張)B12は,本件詐欺行為当時,本件詐欺行為を主導した被告B9,被告B10,被告B11らの使用者であり,以下のとおり本件詐欺行為はB12ないしOの事業の執行について行われた不法行為である。また,被告B7及び被告B 8はB12に代わって本件詐欺行為を監督する立場にあった。したがって,被告B1らは,原告らに対し,民法715条1項に基づく損害賠償責任を負い,被告B7及び被告B8 。また,被告B7及び被告B 8はB12に代わって本件詐欺行為を監督する立場にあった。したがって,被告B1らは,原告らに対し,民法715条1項に基づく損害賠償責任を負い,被告B7及び被告B8は,原告らに対し,同条2項に基づく損害賠償責任を負う。 ア争点3及び5についての原告らの主張のとおり,本件詐欺行為は,指定暴 力団であるOの構成員により,Oの威力を利用した資金獲得行為として組織的に行われたものであるから,B12ないしOの事業の執行について行われたものである。 イこれに加えて,本件詐欺行為は,本件受け子グループを統括していたOの構成員であるCが逮捕された後,Oの別の構成員である被告B11が引き継 ぎ,被告B11が逮捕された後にはB13が引き継いでおり,人員の変更に かかわらず,Oの構成員によって組織的かつ継続的に遂行されていた。また,本件詐欺行為による詐取金は,Oの構成員間で承継され,上納金制度によりOの組織としての活動に供されていた。 (被告B1ら,被告B7及び被告B8の主張)否認ないし争う。 ア争点4についての被告B1ら,被告B7及び被告B8の主張のとおり,B12は,平成10年11月,Oの会長から退き,平成17年4月,Wの総長からも退いているから,B12は本件詐欺行為を行った被告B9,被告B10,被告B11らの使用者ではないし,被告B7及び被告B8は,本件詐欺行為の一部ないし全部について,B12の代理監督者ではない。 イまた,本件詐欺行為は,OやB12の事業ではない。 Oは,綱領において振り込め詐欺等を禁止してこれに関係した者を破門,絶縁の対象とすることを周知徹底しており,現に被告B9,被告B10,被告B11らは本件詐欺行為に関与したことを理由にOの二次組織ないし は,綱領において振り込め詐欺等を禁止してこれに関係した者を破門,絶縁の対象とすることを周知徹底しており,現に被告B9,被告B10,被告B11らは本件詐欺行為に関与したことを理由にOの二次組織ないし四次組織から破門された。 本件詐欺行為を行った被告B9,被告B10,被告B11らは,本件詐欺行為の事業主というべき本件架け子グループの指揮監督の下,リスクの高い詐取金を受け取る仕事を低廉な報酬で請け負っていたにすぎない。 ⑺ 争点7(原告らの損害)について(原告らの主張) 本件詐欺行為により,原告らは,以下のとおりの損害を被った。 高齢である原告らは,本件詐欺行為において,本件架け子グループから執拗に欺罔行為を受けて著しい不安に陥れられ,それまで形成してきた資産を奪われたことにより著しい苦痛を受けたことから,原告らが被った精神的損害を金銭的に評価するとそれぞれ300万円が相当である。 また,弁護士費用は,財産的及び精神的損害の2割が相当である。 ア原告A1① 財産的損害 2000万0000円② 精神的損害 300万0000円③ 損害填補額 ▲5万0000円④ 弁護士費用 459万0000円 差引合計 2754万0000円イ原告A2① 財産的損害 2100万0000円② 精神的損害 300万0000円③ 損害填補額 ▲6万0000円 ④ 弁護士費用 478万8000円差引合計 2872万8000円ウ原告A3① 財産的損害 7400万0000円② 00円 ④ 弁護士費用 478万8000円差引合計 2872万8000円ウ原告A3① 財産的損害 7400万0000円② 精神的損害 300万0000円 ③ 損害填補額 ▲1580万0000円④ 弁護士費用 1224万0000円差引合計 7344万0000円エ原告A4① 財産的損害 1100万0000円 ② 精神的損害 300万0000円③ 損害填補額 ▲832万0000円④ 弁護士費用 113万6000円差引合計 681万6000円オ原告A5 ① 財産的損害 4430万0000円 ② 精神的損害 300万0000円③ 損害填補額 ▲1786万0000円④ 弁護士費用 588万8000円差引合計 3532万8000円カ原告A6ら(A9) ① 財産的損害 750万0000円② 精神的損害 300万0000円③ 損害填補額 ▲0円④ 弁護士費用 210万0000円差引合計 1260万0000円 各原告につき 630万0000円キ原告A8① 財産的損害 1760万0000円② 精神的損害 300万0000円③ 損害填補額 ▲31万0000円 ④ キ原告A8① 財産的損害 1760万0000円② 精神的損害 300万0000円③ 損害填補額 ▲31万0000円 ④ 弁護士費用 405万8000円差引合計 2434万8000円(被告らの主張)否認ないし争う。 ⑻ 争点8(過失相殺の当否)について (被告B1ら,被告B7及び被告B8の主張)仮に本件詐欺行為について被告らに何らかの責任があるとしても,原告らは,本件詐欺行為当時,相応の社会人経験や判断能力を有していたこと,本件詐欺行為により現金を送付する際,現金送付が禁止されているゆうパックを利用して,ゆうパックの品目を食品や書類等と偽って申告をしていたこと,本件詐欺 行為により現金を送付する前に警察や金融機関からの忠告があったにもかか わらずこれを無視したことを考慮すれば,原告らにおいて相応の過失相殺をするべきである。 (原告らの主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(前記前提事実のほか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。)⑴ O及び暴力団による特殊詐欺についてア Oは,組織を代表する総裁の統制の下に,会長,特別相談役,最高顧問,特別顧問,常任顧問,会長代行等の幹部から末端の組員まで合計29の階層 構造を有している。一次組織の幹部は,二次組織の首領の地位を兼ねており,一次組織の長(総裁)は,二次組織の首領との間で,二次組織の首領は三次組織の首領との間で,それぞれ互いに擬制的血縁関係を結び,重層的な大規模集団を形成している。Oにおける最終的な決定権限は総裁にあり,その決定事項は二次組織や三次組織に伝達され,厳しい 織の首領は三次組織の首領との間で,それぞれ互いに擬制的血縁関係を結び,重層的な大規模集団を形成している。Oにおける最終的な決定権限は総裁にあり,その決定事項は二次組織や三次組織に伝達され,厳しい制裁等を背景に,下部組織 の構成員に対して絶対的な強制力を有しており,上部組織と下部組織の構成員間においても絶対的服従関係がある(甲2の2,甲6,41,弁論の全趣旨)。 イ Oの下部組織の構成員は,自らを表示する場合には,「O」を冒頭に掲げ,下部組織の家名や組名を付して,所属する組織を明示している。同構成員は, Oの名称や代紋の使用を許可されるが,その地位に応じた金員を定期的に上部組織に対し上納する義務を負う(甲3,4,6,42,乙イ7~9,弁論の全趣旨)。 ウ本件詐欺行為が行われた平成26年中に特殊詐欺で検挙された暴力団の構成員は698人で,特殊詐欺の検挙人員全体の35.2%を占めており, 特殊詐欺が暴力団の資金獲得源となっている(甲8,41)。 ⑵ 本件詐欺行為における被告B9,被告B10,被告B11らの役割ア原告らに対する特殊詐欺の概要は,前提事実⑵アのとおりである。 イ被告B9は,本件詐欺行為当時,本件架け子グループUの上位者として,本件架け子グループUのメンバーを統制し,配下の者に本件架け子グループUの仕事を行わせ,本件架け子グループUと本件受け子グループとの間の報 酬の配分の調整を行うなどし,本件詐欺行為1及び2を含む特殊詐欺により報酬を得ていた(甲5,31,79)。 ウ被告B10は,本件詐欺行為当時,本件架け子グループVの上位者として,本件架け子グループVのメンバーを統制し,配下の者に詐欺で利用する携帯電話や実体のない架空会社の社債の準備などを行わせ,本件受け子グループ 詐欺行為当時,本件架け子グループVの上位者として,本件架け子グループVのメンバーを統制し,配下の者に詐欺で利用する携帯電話や実体のない架空会社の社債の準備などを行わせ,本件受け子グループ に対する詐取金の回収などの指示連絡,本件架け子グループVと本件受け子グループとの間の報酬の配分の調整を行うなどし,本件詐欺行為3ないし7を含む特殊詐欺により報酬を得ていた(甲5,15,31,79)。 エ被告B11は,本件詐欺行為当時,本件受け子グループの上位者として,本件受け子グループのメンバーを統制し,配下の者に被害者が詐取金を送付 する私設私書箱の設置などを行わせ,各メンバーの役割の決定,本件架け子グループと本件受け子グループとの間の連絡,各メンバーの報酬や経費の管理を行うなどし,本件詐欺行為を含む特殊詐欺により報酬を得ていた(甲5,85)。 オ B13は,本件詐欺行為当時,本件受け子グループの被告B11に次ぐ上 位者として,被告B11を補佐し,被告B11の不在時において,前記エの指示や連絡などを行い,本件詐欺行為を含む特殊詐欺により報酬を得ていた(甲32,80,証人B13・25,26,28頁)。 ⑶ 本件詐欺行為に至る経緯ア本件架け子グループUの上位者である被告B9は,平成23年11月から 12月頃,Cに対し,架空の会社を立ち上げ,同会社名義での預金口座を開 設する等した上で,本件架け子グループUによる特殊詐欺の被害者から詐取金を受け取る仕事をするよう指示した。 Cは,被告B9がOのPの幹部であると認識しており,X(現在のPの当時の名称)において上位の立場である被告B9の頼みであること等を理由に,被告B9の指示に応じることとした。 Cは,後記のとおり自身の舎弟となった被告B11及びB しており,X(現在のPの当時の名称)において上位の立場である被告B9の頼みであること等を理由に,被告B9の指示に応じることとした。 Cは,後記のとおり自身の舎弟となった被告B11及びB13に指示して,架空会社の立ち上げ,預金口座の開設,私設私書箱の設置の準備などを行わせ,本件受け子グループを結成した(甲10,11,85,被告B9・2頁)。 イ本件架け子グループVの上位者である被告B10は,平成24年末から平成25年1月頃,Cに対し,本件受け子グループにおいて,本件架け子グル ープVによる特殊詐欺の被害者から詐取金を受け取る仕事をするよう指示した(甲10)。 ウ本件受け子グループの上位者であるCは,平成25年6月に逮捕されたことから,被告B9及びCは,被告B11に対し,本件受け子グループの上位者として仕事を引き継ぐよう指示し,被告B11はこれに従った(甲5,5 7,被告B11・39,40頁)。 エ被告B11は,平成24年2月頃から,Cによる特殊詐欺の受け子グループの仕事を手伝っていた。被告B11は,同年5月頃,Cから,Pに加入し,Cの舎弟となるよう勧誘された。その際,Cは,被告B11に対し,Cの舎弟になれないなら特殊詐欺の受取役の給料は払えない旨伝えた。これを受け て,被告B11は,Pに加入し,Cの舎弟となった。 被告B11は,前記ウのとおり,Cが逮捕された平成25年6月から,本件受け子グループの上位者として仕事を行った(甲11,57,58,85,被告B11・58頁)。 オ B13は,平成23年夏頃,Cの勧誘を受けて,Q組に加入し,Cの舎弟 となった。Cは,平成24年1月から同年2月頃,B13に対し,B13が 当時従事していた工事現場での仕事を辞めて,特殊詐欺の仕事をするよう ,Cの勧誘を受けて,Q組に加入し,Cの舎弟 となった。Cは,平成24年1月から同年2月頃,B13に対し,B13が 当時従事していた工事現場での仕事を辞めて,特殊詐欺の仕事をするよう指示した。B13は,CがQ組の兄貴分であり,Cの指示には逆らえなかったことから,上記指示に従い,本件受け子グループの仕事を行った(甲11,78,証人B13・22,43頁)。 B13は,前記ウのとおり,Cが逮捕された平成25年6月から,被告B 11に次いで,本件受け子グループの上位者として仕事を行った。B13は,Q組のCから本件受け子グループの上位者としての地位を引き継ぐ際に,Q組の組長であるDに対し,10万円を支払った(甲12)。 B13は,本件架け子グループUによる特殊詐欺の報酬に関して,被告B9から言われた報酬は,リスクの割には安い金額であったが,Pの大幹部で ある被告B9から言われたことなので仕方なくその金額で引き受けた(甲79)。 カ本件受け子グループは,平成26年7月末に被告B11が逮捕されたことから,詐取金の受領等の仕事を止めていたところ,被告B9及び被告B10は,B13に対し,本件受け子グループの仕事の再開を指示した。これを受 けて,B13は,被告B11に代わり,本件受け子グループの上位者として,本件架け子グループによる詐取金の受領等を再開した(甲11,84)。 ⑷ 被告B10による指示命令被告B10は,DからEを紹介され,被告B10は,Eに対し,本件架け子グループVが利用する他人名義の携帯電話の調達や架空会社のパンフレット 及び債券などの作成をさせた。 Eは,平成24年頃から,被告B10がOのPの構成員であることを認識していたことから,被告B10からの指示を断ることができなかっ 達や架空会社のパンフレット 及び債券などの作成をさせた。 Eは,平成24年頃から,被告B10がOのPの構成員であることを認識していたことから,被告B10からの指示を断ることができなかった。被告B10は,上記Eの認識を了知していた(甲22,34,63,77,被告B10・3,7頁)。 ⑸ 被告B11による指示命令 ア被告B11は,平成25年夏頃,Fを勧誘し,FはQ組に加入し,被告B11の舎弟となった。 被告B11は,平成25年12月10日以降,Fに対し,被告B11が管理していた株式会社の商号を変更する登記手続をさせた。また,被告B11は,平成26年2月以降,Fに対し,私設私書箱から回収した荷物の仕分け や詐取金を数える仕事などをさせていた。 Fは,被告B11に対し,特殊詐欺の仕事を断ろうとしたが,被告B11が暴力団員であり,自身の兄貴分であったことから,被告B11の指示命令に従わざるを得なかった(甲15,22,33,60,61)。 イ被告B11は,平成25年6月頃,Hに対し,特殊詐欺による詐取金の運 搬回収役の仕事をさせていた。 Q組の構成員であったHは,被告B11の舎弟であるFの勧誘を受けて,平成26年1月頃,被告B11が組長を務めるS組の構成員となり,被告B11の舎弟となった。 被告B11は,平成26年4月頃,Hに対し,私設私書箱に荷物が届くの を見張る仕事をさせ,同年5月末頃,架空会社のパンフレットや社債債券などを被害者に発送させたり,私設私書箱において詐取金を回収する仕事をさせたりした(甲19,20,21,24,28,65)。 ウ被告B11は,平成25年7月下旬頃,DからMを紹介され,被告B11は,Mに対し,詐取金を回収する運搬回収役の仕事を行わせた。 する仕事をさせたりした(甲19,20,21,24,28,65)。 ウ被告B11は,平成25年7月下旬頃,DからMを紹介され,被告B11は,Mに対し,詐取金を回収する運搬回収役の仕事を行わせた。 Mは,本件受け子グループに加入する際,DがQ組の組長であること,被告B11が暴力団員であることを認識していたことから,特殊詐欺の仕事を勝手に辞めれば自分の家族に危害を加えられるのではないか等と思い,怖くて辞めることができなかった(甲12,29,32,55,62,乙イ30,34,被告B11・63,64頁)。 エ被告B11は,O傘下のYの構成員であるNからJ及びIを紹介され,被 告B11は,平成25年11月以降,Iに対し,詐取金の送付先となる私設私書箱を設置するアパートをI名義で契約させた。また,被告B11は,同年12月頃,J及びIに対し,私設私書箱で詐取金を受け取る仕事をさせた。 J及びIは,NがO傘下のYの構成員ないし関係者であることを認識していた。Jは,被告B11の言動から被告B11が暴力団員であると思ってい たことから,特殊詐欺の仕事を辞めることはできなかった。Iは,平成25年頃,N又はJのいずれかから話を聞いて,被告B11がQ組の構成員であることを認識していたことから,受け子の仕事を辞めれば,自身の運転免許証の写しを見て実家に来るかもしれないと心配していた(甲13,14,16,33)。 オ被告B11は,平成26年2月中旬以降,Lに対し,架空会社のパンフレットや社債債券などを特殊詐欺の被害者に発送させた。 Lは,被告B11が私設私書箱に送付された荷物を乱暴に開けて詐取金を数え始めた様子を目撃したときに,被告B11から「裏切るなよ」と言われたことがあった。また,Lは,被告B11と に発送させた。 Lは,被告B11が私設私書箱に送付された荷物を乱暴に開けて詐取金を数え始めた様子を目撃したときに,被告B11から「裏切るなよ」と言われたことがあった。また,Lは,被告B11と他の男性との会話を聞き,被告 B11が暴力団員であると認識していたことから,本件受け子グループの仕事を辞めることができず,被告B11の指示に従っていた(甲18,22,64)。 カ被告B11は,平成26年2月中旬以降,Kに対し,私設私書箱において詐取金の受取役の仕事をさせた。 特殊詐欺による詐取金の送付先である私設私書箱を管理する仕事をしていた者が,被告B11に対し,仕事を辞めたい旨伝えたところ,被告B11は,その者に対し,「カタギの前だからこれでも我慢しているんだよ」と怒鳴りつけ,Kはその様子を目の前で見ていた。Kは,被告B11の上記発言を聞いて,被告B11が暴力団関係者であると認識した。Kは,被告B11に 自宅の住所を知られており,仕事を辞めると言えばひどい目に遭わされるの ではないかと思い,本件受け子グループの仕事を辞めると言い出せず,被告B11の指示に従っていた(甲17,62,72,73,74,75)。 キ被告B11は,平成26年3月上旬頃,S組の構成員であるGに対し,それまでB13が担当していた本件架け子グループと本件受け子グループとの間で連絡をする仕事等を引き継がせた。 Gは,平成25年秋頃,被告B11から,被告B11がOのQ組の構成員であることを聞いていたこと,被告B11,B13,F及びHが,Q組の構成員であり,Q組のシノギ,すなわち収入源として特殊詐欺を行っていることを認識していたことから,被告B11の指示を断れば,妻や子供に仕返しをされるかもしれないと思っていた(甲26,6 Hが,Q組の構成員であり,Q組のシノギ,すなわち収入源として特殊詐欺を行っていることを認識していたことから,被告B11の指示を断れば,妻や子供に仕返しをされるかもしれないと思っていた(甲26,66)。 ⑹ 本件詐欺行為による詐取金についてB13は,被告B11を通して,O本部やPに対し,本件詐欺行為による詐取金の一部を原資として,上納金を支払っていた(甲31,32,証人B13・25,27,39頁,被告B11・38頁)。 2 争点1(本件詐欺行為1及び2に係る被告B9及び被告B11の共同不法行為 責任の有無)について前記事実関係によれば,被告B9及び被告B11は,他の共犯者らと共に相互に関連共同して本件詐欺行為1及び2を行ったことが認められるから,同被告らは,原告A1及び原告A2に対し,共同不法行為責任を負う。 3 争点2(本件詐欺行為3ないし7に係る被告B10及び被告B11の共同不法 行為責任の有無)について前記事実関係によれば,被告B10及び被告B11は,他の共犯者らと共に相互に関連共同して本件詐欺行為3ないし7を行ったことが認められるから,同被告らは,原告A3,原告A4,原告A5,原告A6ら及び原告A8に対し,共同不法行為責任を負う。 4 争点3(被告B9,被告B10,被告B11らが暴対法31条の2にいう指定 暴力団員に当たるか)について⑴ 暴対法にいう「指定暴力団員」とは,指定暴力団又は指定暴力団連合の構成員を指す(暴対法9条,2条5号,6号)。そして,暴対法における暴力団の「構成員」という概念は,当該暴力団の構成団体の構成員を含むものとして観念されている(暴対法2条2号参照)。 そうすると,暴対法にいう「指定暴力団員」には,当該指定暴力団を構成する傘 の「構成員」という概念は,当該暴力団の構成団体の構成員を含むものとして観念されている(暴対法2条2号参照)。 そうすると,暴対法にいう「指定暴力団員」には,当該指定暴力団を構成する傘下組織の構成員が含まれるものと解される。 ⑵ ところで,暴対法31条の2は,指定暴力団員がその所属する指定暴力団の威力を利用して行う資金獲得行為により発生した損害について,直接の加害者である末端の指定暴力団員には十分な資力がなく,損害の回復がされないおそ れがある一方で,①指定暴力団の代表者等は,配下の指定暴力団員が資金獲得のために当該指定暴力団の威力を利用することを容認しているところ(暴対法3条),このような威力を利用して行う資金獲得行為は,他人の権利利益を侵害する可能性が高いこと,②指定暴力団の代表者等の統制は末端の指定暴力団員にまで及んでいることから,指定暴力団の代表者等は指定暴力団員の資金獲 得行為による権利侵害を防止し得る立場にあること,③指定暴力団員による資金獲得行為は,当該指定暴力団の威力の維持拡大に資するとともに,指定暴力団の代表者等は,いわゆる上納金システムにより指定暴力団員による資金獲得行為による利益を享受する立場にあることから,指定暴力団の代表者等に配下の指定暴力団員の威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任を負わせるもの とし,民法715条の規定を適用して代表者等の損害賠償責任を追及する場合において生じる被害者側の主張立証の負担の軽減を図ることとしたものである(甲38参照)。 このような暴対法31条の2の立法趣旨は,指定暴力団を構成する傘下組織の構成員が当該指定暴力団の威力を利用して行う資金獲得行為についても妥 当するから,同条にいう指定暴力団員の範囲を前記⑴と別異に解すべき理由は 立法趣旨は,指定暴力団を構成する傘下組織の構成員が当該指定暴力団の威力を利用して行う資金獲得行為についても妥 当するから,同条にいう指定暴力団員の範囲を前記⑴と別異に解すべき理由は ない。 したがって,暴対法31条の2にいう「指定暴力団員」には,当該指定暴力団を構成する傘下組織の構成員が含まれると解するのが相当である。 ⑶ 前記事実関係によれば,本件詐欺行為当時,Oは,指定暴力団の指定を受けていたこと,被告B9は,Oの二次組織であるPの構成員兼三次組織であるR 組の構成員であったこと,被告B10は,Oの二次組織であるPの構成員兼三次組織であるQ組の構成員であったこと,被告B11は,Oの四次組織であるS組の構成員であったことが認められるから,被告B9,被告B10及び被告B11は,いずれも指定暴力団であるOを構成する傘下組織の構成員であり,指定暴力団員に当たる。また,その他のOを構成する傘下組織の構成員らも, 全て指定暴力団員に当たる。 5 争点4(B12,被告B7及び被告B8が暴対法31条の2にいう指定暴力団の代表者等に当たるか)について⑴ 暴対法にいう暴力団の「代表者等」とは,当該暴力団を「代表する者」,すなわち暴力団の首領のほか,「その運営を支配する地位にある者」,すなわち暴力 団特有の階層構造においてその運営を支配する立場にある者を指す(暴対法3条3号)。 そして,暴対法31条の2の立法趣旨が前記のとおりであることからすれば,同条は,被害者保護の観点から,指定暴力団の「代表者等」に当たる者には広く損害賠償責任を負わせる趣旨の規定と解されるから,同条にいう「代表者等」 の意義を上記と別異に解すべき理由はなく,指定暴力団を「代表する者」か「その運営を支配する地位にある者」のいずれ は広く損害賠償責任を負わせる趣旨の規定と解されるから,同条にいう「代表者等」 の意義を上記と別異に解すべき理由はなく,指定暴力団を「代表する者」か「その運営を支配する地位にある者」のいずれかに当たる者であれば,全て同条の損害賠償責任を負うと解するのが相当である。 ⑵ 前記事実関係によれば,B12は,平成25年6月17日及び平成28年6月20日,東京都公安委員会により指定暴力団であるOを代表する者として公 示されていた者であり,証拠(甲2の2,乙イ1)によれば,B12は,この 間,Oの最上位の地位である総裁の地位にあったことが認められるから,B12は,本件詐欺行為当時において,指定暴力団であるOを代表する者に当たる。 なお,平成17年4月付けの挨拶状(乙イ1)によれば,B12がOの二次組織であるWの総長を引退したことが認められるが,このことは,上記認定を妨げるものではない。 ⑶ また,前記事実関係によれば,被告B7は,平成10年6月から平成26年4月17日までOの会長,同月18日以降はOの特別相談役であるところ,会長は総裁に次ぐ地位であり,特別相談役は暴力団特有の階層構造において上位の地位であって,いずれもOの幹部としてその運営に強い影響力を有することは明らかであるから,被告B7は,本件詐欺行為当時において,指定暴力団で あるOの運営を支配する地位にある者に当たる。 ⑷ さらに,前記事実関係によれば,被告B8は,遅くとも平成17年4月から平成26年4月17日までOの会長代行,同月18日以降は,Oの会長であるところ,会長代行は暴力団特有の階層構造において上位の地位であり,会長は総裁に次ぐ地位であって,いずれもOの幹部としてその運営に強い影響力を有 することは明らかであるから,被告B8は,本 あるところ,会長代行は暴力団特有の階層構造において上位の地位であり,会長は総裁に次ぐ地位であって,いずれもOの幹部としてその運営に強い影響力を有 することは明らかであるから,被告B8は,本件詐欺行為当時において,指定暴力団であるOの運営を支配する地位にある者に当たる。 ⑸ 以上より,本件詐欺行為当時において,B12,被告B7及び被告B8は,暴対法31条の2にいう指定暴力団の代表者等に当たり,いずれも同条に基づく損害賠償責任を負うべき立場にあると認められる。 6 争点5(本件詐欺行為が暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為に当たるか)について⑴ 暴対法31条の2は,威力利用資金獲得行為を,「当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持,財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得,又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為」と定義する。 「威力を利用」するとは,威力利用資金獲得行為の態様を暴力的不法行為等 (暴対法2条1号)に限定するものではなく,また,暴力的要求行為における「威力を示(す)」(暴対法9条)とも異なり,より幅の広い行為態様を意味するものと解される。また,暴対法31条の2は,「威力を利用」する相手方を被害者に限定していない。 このような暴対法31条の2の文言や前記のとおりの立法趣旨に照らすと, 同条にいう「威力利用資金獲得行為」に当たるためには,指定暴力団員が資金獲得行為を実行する過程において,当該指定暴力団の威力が何らかの形で利用されていれば足り,被害者に対して威力が示されることは必要ではないと解するのが相当である。 ⑵ 前記事実関係によれば,本件詐欺行為のような特殊詐欺は,暴力団の新たな 資金獲得源となっているところ,本件詐欺行為においては,Pの幹部である被 ことは必要ではないと解するのが相当である。 ⑵ 前記事実関係によれば,本件詐欺行為のような特殊詐欺は,暴力団の新たな 資金獲得源となっているところ,本件詐欺行為においては,Pの幹部である被告B9が,傘下のS組の構成員であるB13に対し,特殊詐欺による報酬の取り分の提案を受け入れさせたこと,S組の組長である被告B11が,S組の構成員であり被告B11の舎弟であるF及びH並びにS組の構成員であるGに対し,本件受け子グループの仕事などを指示して従わせていたことなどが認め られることからすると,本件詐欺行為は,Oの傘下で二次組織であるP,Pの傘下で三次組織であるQ組ないしR組,Q組の傘下で四次組織であるS組の各構成員が中心となって,階層構造における絶対的服従関係を背景として指定暴力団であるOの威力を利用して実行された資金獲得行為であると言わざるを得ない。 また,Pの幹部である被告B10が,Oの構成員ではないEに対し,Eが被告B10はPの構成員であると認識していたことを了知した上で,本件架け子グループが利用する他人名義の携帯電話の調達や架空会社のパンフレット及び債券などの作成を指示して従わせていたこと,被告B11が,Oの構成員ではないKに対し,Kの前で自身が暴力団関係者であると認識され得る言動をし た上で,本件受け子グループの仕事を指示して従わせていたことなどが認めら れることからすると,本件詐欺行為は,客観的にみればOの外部の関係者に対しても指定暴力団であるOの威力が利用されて実行されていたと認められる。 ⑶ 以上によれば,本件詐欺行為は,暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為に当たると認められる。 したがって,争点6(使用者責任に基づく損害賠償請求権の成否)について 判断するまでもな ⑶ 以上によれば,本件詐欺行為は,暴対法31条の2にいう威力利用資金獲得行為に当たると認められる。 したがって,争点6(使用者責任に基づく損害賠償請求権の成否)について 判断するまでもなく,被告B1ら,被告B7及び被告B8は,原告らに対し,暴対法31条の2に基づく損害賠償責任を負い,これらの損害賠償債務は,前記2及び3の被告B9,被告B10及び被告B11の損害賠償債務と併せて,被告B1ら間の相互の関係(法定相続分に応じて分割債務となる。)を除き,互いに不真正連帯の関係に立つものと解される。 7 争点7(原告らの損害)について⑴ 原告らが本件詐欺行為により詐取された金員は,前記前提事実のとおりであり,また,弁論の全趣旨によれば,原告A6らを除く原告らがそれぞれの主張するとおりの一部弁済を受けたことが認められるから,原告らの賠償請求し得る財産的損害は以下のとおりである。 ア原告A1 1995万0000円イ原告A2 2094万0000円ウ原告A3 5820万0000円エ原告A4 268万0000円オ原告A5 2644万0000円 カ原告A6ら 各375万0000円キ原告A8 1729万0000円⑵ 原告らは,本件詐欺行為により精神的損害としてそれぞれ300万円の損害を被った旨主張するが,原告らが本件詐欺行為により直接的に被った損害は現金の喪失であり,本件詐欺行為の態様を考慮しても,前記⑴で認定した財産的 損害に付されることとなる法定利率による遅延損害金を上回るほどの精神的 損害を被ったとは認められないから,上記主張は採用できない。 ⑶ 本件詐欺行為と相当 ,前記⑴で認定した財産的 損害に付されることとなる法定利率による遅延損害金を上回るほどの精神的 損害を被ったとは認められないから,上記主張は採用できない。 ⑶ 本件詐欺行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額は,本件事案の内容等諸般の事情を斟酌すると,前記⑴で認定した財産的損害の1割と認めるのが相当である。 ⑷ したがって,原告らの賠償請求し得る損害の総額は以下のとおりである。 ア原告A1 2194万5000円イ原告A2 2303万4000円ウ原告A3 6402万0000円エ原告A4 294万8000円オ原告A5 2908万4000円 カ原告A6及び原告A7各412万5000円キ原告A8 1901万9000円 8 争点8(過失相殺の当否)について被告B1ら,被告B7及び被告B8は,原告らにおいて過失相殺をするべきである旨主張するが,前記認定のとおり,本件詐欺行為は,指定暴力団であるOの 構成員が中心となって組織的に行われた故意による不法行為であり,その違法性の高さに鑑みれば,仮に被害者である原告らに過失があったしても,これを考慮して損害賠償の額を定めるのは相当ではないから,上記主張は採用できない。 第4 結論以上によれば,原告らの請求は,主文第1項の限度で理由があるからその限度 でこれを認容し,その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第25部 裁判長裁判官古田孝夫 裁判官島尻香織 裁判官白井宏和 東京地方裁判所民事第25部 裁判長裁判官 古田孝夫 裁判官 島尻香織 裁判官 白井宏和

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