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昭和38(ツ)22 損害賠償請求事件

裁判所

昭和38年12月4日 広島高等裁判所 棄却

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1,808 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人の上告理由は別紙のとおりである。職権を以て考えるに、上告人の本訴請求は、要するに、被上告人が上告人の債務者である訴外Aに対し、全債権者協議の上平等分配するからといつわり申し向けて、同人からその所有の本件物件を詐取して同人の債務の一般担保である責任財産を減少せしめ、もつてこれにより担保せらるべき上告人の債権を侵害したことを理由として、被上告人に対し直接の不法行為責任を問うものにほかならないことは、原判決事実摘示に照らして明らかであり、記録によるも右事実摘示に誤りがあるとは認められない。<要旨>しかし、担保権等を有しない通常の債権者は債務者の一般責任財産について直接の権利を有するものではな</要旨>く、債務者の責任財産に対する債権者の利益を保護するための制度として、法は債権者に債権者代位権及び債権者取消権を認めているのであるから、第三者において債務者の責任財産を減少せしめる行為が一般債権者に対する不法行為を構成するのは、第三者が債権者の権利の実行を困難ならしめる目的を以て、債務者を教唆し若しくはこれと通謀して犯罪行為(刑法第九六条の二参照)またはこれに類する不正な手段により債務者の責任財産の隠匿、損壊或は仮装譲受をなしまたは仮装の債権を取得した如き特別の場合に限られるものといわねばならぬ。この場合、債務者の財産に生じた損害については、第三者は債務者と共同不法行為者の立場に立つ関係上債務者に対し損害賠償責任を負わないのが通例であるから、債権者にとつては、債権者代位権の行使により救済を受けることができないわけである。これに反し、単に第三者が故意若しくは過失により債務者の責任財産を減少せしめ一般債権者の権利実行 のが通例であるから、債権者にとつては、債権者代位権の行使により救済を受けることができないわけである。これに反し、単に第三者が故意若しくは過失により債務者の責任財産を減少せしめ一般債権者の権利実行を困難ならしめたのに止まる場合は、債権侵害として債権者に対する直接の不法行為責任を負うべきものということはできない。 反し、単に第三者が故意若しくは過失により債務者の責任財産を減少せしめ一般債権者の権利実行 のが通例であるから、債権者にとつては、債権者代位権の行使により救済を受けることができないわけである。これに反し、単に第三者が故意若しくは過失により債務者の責任財産を減少せしめ一般債権者の権利実行を困難ならしめたのに止まる場合は、債権侵害として債権者に対する直接の不法行為責任を負うべきものということはできない。このような場合には、法は債権者代位権または債権者取消権によつて債権者の救済を予定しているものと解するのが相当である。ところで、上告人の主張によれば、被上告人は債務者Aの財産を詐取したというのであつて、被上告人がAと共謀してA所有の本件物件を毀滅或は隠匿したことは上告人の主張しないところであるから、Aにおいて被上告人の詐欺に因る意思表示を取消して被上告人に対し原状回復或は不当利得の返還を求め、または右取消をなさず、詐欺による不法行為を理由としてただちに被上告人に対し損害賠償を求めることができる訳であり、債務者が他に資力のない以上、債権者である上告人は債務者Aに代位して右の各権利を行使しうる筈である。してみると上告人の主張する事実自体はまさに、法が債権者代位権により責任財産の確保がなされるべきことを予定した場合に該当するものと考えられるから、上告人に対する直接の不法行為の成立はこれを否定すべきものといわねばならない。したがつて、上告人の本訴請求はその主張自体失当として棄却せられるべきものであるから、該請求を棄却すべきものとした原判決はその理由を異にするけれども結局維持せられるべきであり、上告理由に対する判断をするまでもなく、本件上告は理由なきに帰する。よつて、本件上告を棄却することとし、民事訴訟法第四〇一条、第九五条、第八九条にしたがい、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官松本冬樹裁判官胡田勲裁判官長谷川茂治) なきに帰する。よつて、本件上告を棄却することとし、民事訴訟法第四〇一条、第九五条、第八九条にしたがい、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官松本冬樹裁判官胡田勲裁判官長谷川茂治)

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