平成13(行ウ)7 臼杵市中国訪問旅費返還等

裁判年月日・裁判所
平成15年3月10日 大分地方裁判所
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判決文本文27,286 文字)

【住民訴訟による旅費等相当額の損害賠償請求が一部認められた例】平成15年3月10日判決言渡平成13年(行ウ)第7号臼杵市中国訪問旅費返還等請求住民訴訟事件 主文 1 被告Cは,臼杵市に対し,金48万1000円及びこれに対する平成13年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Dは,臼杵市に対し,金18万8500円及びこれに対する平成13年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用はこれを10分し,その7を原告らの負担とし,その余は被告C及び同Dの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告Cは,臼杵市に対し,金89万5300円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成13年4月1日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告D及び同Eは,臼杵市に対し,連帯して金124万2700円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告両名について平成13年4月1日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は被告らの負担とする。 4 仮執行宣言第2 事案の概要本件は,臼杵市の住民である原告らが,臼杵市が市制50周年記念事業の一環として同市の友好都市である中華人民共和国(以下「中国」という。)甘粛省敦煌市を親善訪問する訪問団(以下「本件訪問団」という。)に,臼杵市長,同市議会議長,同市議会議員5名及び同市職員3名(以下,これら10名の公務員を「本件公式訪問団員ら」という。)が参加して,敦煌市,西安市,桂林市,昆明市を訪問したことについて,その旅費等の支出が違法であると主張して,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基 」という。)が参加して,敦煌市,西安市,桂林市,昆明市を訪問したことについて,その旅費等の支出が違法であると主張して,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき,臼杵市に代位して,①臼杵市長である被告C及び同市議会事務局長であった被告Eについては,同号前段所定の「当該職員」に該当するとして,被告Cに対して,本件公式訪問団員ら中市長部局関係者に対し支出された旅費等及び土産品代相当額の損害賠償金を,被告Eに対し,本件公式訪問団員ら中議会関係者に対し支出された旅費等相当額の損害賠償金を,②同市議会議長である被告Dに対して,同号後段所定の「怠る事実に係る相手方」に該当するとして,本件公式訪問団員ら中議会関係者に対し支出された旅費等相当額の損害賠償金(被告C及び同Dに対しては,上記損害賠償と選択的に,同号後段所定の「当該行為に係る相手方」に該当するとして,同被告らが支給を受けた旅費等相当の損害賠償金又は不当利得金)及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 争いのない事実等(末尾掲記の証拠によって容易に認定することができる事実を含む。)(1) 当事者ア原告らは臼杵市の住民である。 イ被告Cは,臼杵市長であり,同市市長部局職員2名に対する本来的旅行命令権者であり,かつ本件公式訪問団員らに対する旅費等及び土産品代の本来的支出権者である(弁論の全趣旨)。 ウ被告Dは,臼杵市議会議長であり,議会事務局職員の旅行命令権者である。 エ被告Eは,臼杵市議会事務局長であり,臼杵市議会議員及び議会事務局職員の旅費等及び土産品代の専決による支出権者である(甲5の16,弁論の全趣旨)。 (2) 本件公式訪問団員らの本件訪問団参加ア被告Cは,本件訪問団を結成して自ら団長となり,被告Dに副団長を委嘱した。 旅費等及び土産品代の専決による支出権者である(甲5の16,弁論の全趣旨)。 (2) 本件公式訪問団員らの本件訪問団参加ア被告Cは,本件訪問団を結成して自ら団長となり,被告Dに副団長を委嘱した。 本件訪問団には,市長部局からは,臼杵市長である被告Cが,自ら団長となって参加したほか,同被告の随行員として総務部企画財政課主任F及び市民部健康課主事Gが参加し,臼杵市議会からは,同市議会議長であり,被告Cから委嘱されて副団長となった被告Dのほか,同市議会議員5名(H,I,J,K,L。以下,被告Dを含む議員ら6名を併せて「本件議員ら」という。)が参加し,また,同市議会事務局主任Mが随行員として参加した(以下,以上10名の本件訪問団参加による出張を「本件出張」という。)ほか,「臼杵市民の翼」との名称で広く臼杵市民に参加が呼びかけられ,総勢172名が参加した(丙12,13,弁論の全趣旨)。 イ本件出張の概要本件出張の概要は,以下のとおりであった(甲4の2及び3,甲5の2,丙26,28,弁論の全趣旨)。 (ア) 平成12年9月27日(以下,年が略されている場合は,平成12年のことである。)午前6時15分,臼杵市役所駐車場において結団式。 午前10時30分,大分空港発の航空機(チャーター便)で西安へ。更に航空機(チャーター便)で敦煌市へ。 午後7時30分から,敦煌市主催の歓迎・交流会に出席。 (イ) 9月28日午前7時30分,Gを除く本件公式訪問団員らによる敦煌市人民政府表敬訪問。Gは,ホテル待機。 その後,一同で,莫高窟等敦煌市内を視察。 午後5時30分から,訪問団主催の答礼夕食会に出席。 夕食会終了後,鳴沙山,月牙泉視察。 (ウ) 9月29日本件訪問団参加者のうち,被告Cを除く本件公式訪問団員ら及び一般市民は 内を視察。 午後5時30分から,訪問団主催の答礼夕食会に出席。 夕食会終了後,鳴沙山,月牙泉視察。 (ウ) 9月29日本件訪問団参加者のうち,被告Cを除く本件公式訪問団員ら及び一般市民は,敦煌空港から航空機で西安へ移動し,西安市内観光。 被告Cは,敦煌市に残り,午前8時40分,敦煌駅において,「日蘭友好400周年記念使節団(日蘭大陸横断レールクルーズ)」(以下「レールクルーズ」という。)の歓迎行事に出席。被告Cが,オランダの代表に,黒島に設置された「出会いの図」のレプリカ1点を記念に贈呈し,臼杵市が敦煌市と友好都市締結をしていること,石仏と敦煌遺跡がその縁を結んだものであることを伝えた。その後,敦煌市内の魔鬼城を視察し,敦煌泊。 (エ) 9月30日本件訪問団参加者のうち,被告Cを除く本件公式訪問団員ら及び一般市民は,西安市内観光の後,夕方,航空機で西安から桂林へ。 被告Cは,午前10時30分,敦煌発の航空機で西安へ向かい,西安で他の訪問団員と合流して,桂林へ移動。 (オ) 10月1日終日桂林市内視察。七星公園の見学,漓江下りの船に乗船等。 (カ) 10月2日午前11時ころ,桂林発の航空機で昆明へ移動。 午後,世界園芸博覧園(以下「博覧園」という。)視察。 その後,龍門,華亭寺等視察。 (キ) 10月3日昆明市内視察。F,G,Mは,本件訪問団の日程であった終日のフリータイムに参加。被告C及び本件議員らは,希望者に対するオプショナルツアーとして選択し得た,昆明博物館,石林コースに参加。 午後6時,さよならパーティー。 (ク) 10月4日午前11時,昆明発の航空機(チャーター便)で大分空港へ。 午後6時30分,臼杵市役所において解団式後,解散。 (3) 公金の支出本件出張に関して,市 パーティー。 (ク) 10月4日午前11時,昆明発の航空機(チャーター便)で大分空港へ。 午後6時30分,臼杵市役所において解団式後,解散。 (3) 公金の支出本件出張に関して,市長部局関係では,日当,ツアー料金,旅行雑費,支度料(以下,これらを併せて単に「旅費日当」という。)として,被告Cに合計30万0900円,Fに合計29万1800円,Gに合計28万7600円が支出された(以下,これらの支出合計88万0300円を「本件支出(1)」という。)。また,市議会関係では,本件出張に関して,旅費日当として,被告Dに合計30万0900円,同被告以外の本件議員らの各人にそれぞれ13万円,Mに29万1800円が支出されたほか,土産品代として1万5000円が支出された(以下,これらの支出合計125万7700円を「本件支出(2)」と,上記土産品代を「本件土産品代」といい,本件支出(1)及び(2)を併せて「本件支出」という。)。 そして,本件支出(1)に関する支出命令は総務課長が,本件支出(2)に関する支出命令は被告Eが,それぞれ専決により行った。また,Fに対する旅行命令は企画財政課長が,Gに対する旅行命令は健康課長が,それぞれ専決により行い,Mに対する旅行命令は,前記(1)ウ認定のとおり,被告Dが行った(甲3の1,4及び7,甲5の4,6,7,10及び16,丙34及び40,弁論の全趣旨)。 (4) 監査請求原告らは,平成12年12月26日,臼杵市監査委員に対し,本件支出について地方自治法242条1項に基づく監査請求をしたところ,同監査委員は,平成13年2月19日,同請求を理由のないものと認めて棄却した。 2 争点本件の争点は,①本件支出が,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するか(本件支出の必要最少限度性),②随行 ,平成13年2月19日,同請求を理由のないものと認めて棄却した。 2 争点本件の争点は,①本件支出が,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するか(本件支出の必要最少限度性),②随行職員(F,G及びM)及び本件土産品代への本件支出の適法性,③被告らの責任である。 (1) 本件支出の必要最少限度性について(原告らの主張)本件支出については,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項が求める必要最少限度性の要件を満たしているか否かを厳密に検討しなくてはならないところ,以下のとおり,本件出張には公務性・必要性が認められないので,本件支出は必要最少限度性に違反する。 ア現在の国際交流の在り方現在では,一般的に国際交流の重点が住民間の国際理解推進から実のある国際協力事業に移っていること,臼杵市の財政状況が極めて悪化していることからも,中身の伴わない単なるセレモニーだけの海外訪問を行うことは,全く不合理かつ不相当である。 「市民の翼」が,過去,平成7年,平成11年に行われているとしても,この間に上記のように国際交流に関する認識が変化しているにもかかわらず,何ら内容的な見直しがされることなく,従前と同様のレセプションと観光のみの訪問が行われた本件訪問団は問題である。 イ本件出張について(ア) 本件訪問団においては,旅程の9割を観光地の見学が占めており,旅程自体は,「三峡下りコース」や「シルクロードコース」を設ける等して,一般観光客の関心に配慮した内容になっている。また,本件訪問団の募集広告裏面には,9月29日以降の日程について,「西安市内観光」,「桂林市内観光」,「昆明フリータイム」と記載されており,本件出張の実態が観光にすぎなかったことを現している。また,本件訪問団の日程中,被告Cは,同月27日及び28日以外は ついて,「西安市内観光」,「桂林市内観光」,「昆明フリータイム」と記載されており,本件出張の実態が観光にすぎなかったことを現している。また,本件訪問団の日程中,被告Cは,同月27日及び28日以外は私服を着ており,同月28日夜の答礼夕食会の席では,「団長はこれまでです。これからは一般の旅行者と一緒になります。」と挨拶をしたというのであり,同月29日以降は公務とはいえないことを自認していたというべきである。しかも,同被告は,同月29日以降は,団長として訪問先で挨拶するという行為もしていない。 これらの事実に鑑みれば,本件訪問団は,観光自体が主体をなした旅行というべきであり,敦煌市親善訪問という目的から見て,必要性・不可欠性を有するものとは認められない。 なお,被告らは,市民帯同の訪問においてなるべく多くの参加者を得るために旅程が魅力的でなくてはならないと主張するが,このことは,参加した公務員について公務性を認めうる根拠とはならない。 (イ) 友好都市間の国際交流が国際協力として根付くためには,具体的な協議・交渉の場を設定することが必要であるところ,本件出張における公的な行事は,歓迎夕食会と短時間の人民政府表敬訪問,答礼夕食会という単なるセレモニーのみであり,敦煌市幹部との具体的な協議・交渉は全くなく,敦煌市民との交流行事も設定されておらず,後は莫高窟や鳴沙山,月牙泉等の観光のみである。そして,これらの行事について,そのほとんどが一般募集の市民と行動を共にしていることからしても,全体としてみれば,観光旅行に過ぎない。 (ウ) 被告Cのレールクルーズ歓迎行事への出席についてレールクルーズは,後に日本を訪問する予定のものであり,また,レールクルーズは,臼杵市を終着点とするように働きかけたが実現しなかったというのであるから,これをわざ ルーズ歓迎行事への出席についてレールクルーズは,後に日本を訪問する予定のものであり,また,レールクルーズは,臼杵市を終着点とするように働きかけたが実現しなかったというのであるから,これをわざわざ敦煌市において出迎える必要性はない。 また,レールクルーズ歓迎は,単なるセレモニーに終わり,何ら具体的な国際協力の内実を有していないことからして,「国際交流」の目的に必要最小限度性を有するものとは認められない。 (エ) 西安市以降の旅程について仮に友好都市である敦煌市との国際交流が必要だとしても,敦煌市から遠く離れた西安や桂林を訪問して観光することについては公務性は認められない。 (オ) 被告Cについては,出張用務が「敦煌市親善訪問臼杵市民の翼参加」とされているのだから,他都市の視察は出張用務に含まれていないというべきである。 (カ) 議員については,少なくとも視察研修旅行が公務であるといえるためには,下記の要件を充足する必要があると解すべきである。 ⅰ 当該地方公共団体の抱える政策課題についての見聞を広めることを目的として日程,訪問地が選定されていることⅱ 上記目的に沿って訪問調査が実施されていることⅲ 訪問先で中身のある説明や質疑応答がなされていることⅳ 訪問調査が行程の主要な部分を占めていること(必ずしも時間的多寡の問題ではない)ⅴ 旅行の費用が目的・効果との関係で著しく高額ではないことしかるに,本件出張が上記ⅲないしⅴの要件を欠いていることは明らかであり,このような観光一色の訪問で,主体的に調査を行うでもなく,復命書も随行した議会職員が作成したものに連名で署名をするといった程度の旅行に対し,高額の旅費を支出することは違法である。 (キ) 仮に敦煌市訪問についてのみ公務性を認めた場合の旅費について現に,本件出張につい 議会職員が作成したものに連名で署名をするといった程度の旅行に対し,高額の旅費を支出することは違法である。 (キ) 仮に敦煌市訪問についてのみ公務性を認めた場合の旅費について現に,本件出張について支出が生じている以上,旅程の一部だけに公務性が認められる場合には,日数の割合に応じて,公務性が認められない部分についての旅費を返還させるべきである。 (被告ら及び訴訟参加人の主張。以下,単に「被告らの主張」という。)本件出張には,以下のとおり,合理的な必要性があり,出張の内容及び日程についても合理性があるので,本件支出は地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反しない。 ア臼杵市における国際交流の推進臼杵市は,臼杵市総合計画基本計画において,国際交流についての基本方針を策定し,積極的に国際交流を推進している。国際化時代にあっては,地域が主体性をもった交流活動の推進が必要となっており,臼杵市においても同様である。臼杵市においては,友好都市等をはじめ外国都市との多面的な国際交流を通じて,市民の国際感覚を高め,21世紀を展望した気宇壮大な市民性を養うものとしており,スリランカ民主社会主義国キャンディ市等,臼杵市と歴史的に深い縁があるか,共通する文化を有する都市又は国の中から慎重に友好都市又はそれに準ずる都市を選んで交流を行っている。 また,臼杵市では,姉妹都市又は友好都市締結をしている都市の親善訪問又は友好的関係を発展させるための親善訪問について,市長を団長,議長を副団長に編成し,参加した市民の一人一人が国際交流員となる,市民を中心とした「市民の翼」方式の訪問団による交流を図っている。 原告らは,必要最小限度性の判断基準として,政策課題の遂行,政策課題との関連性を主張するが,国際交流の根本となるものは相互理解であって,その した「市民の翼」方式の訪問団による交流を図っている。 原告らは,必要最小限度性の判断基準として,政策課題の遂行,政策課題との関連性を主張するが,国際交流の根本となるものは相互理解であって,その内容は,政策課題に関するものに限られない。 また,原告らが主張するように国際協力は重要であるが,だからといって,住民の国際理解の推進が不要となるものではない。 イ臼杵市と敦煌市との従前の交流臼杵市と敦煌市は,それぞれ臼杵石仏,莫高窟という石造文化を有しているという共通性があり,平成4年11月,敦煌市委員会書記外4名が臼杵市を訪れ,臼杵市に対し,友好都市締結の要請をした。平成5年9月,臼杵市長を団長とした親善訪問団28名が敦煌市を訪問し,同月28日,「日本国大分県臼杵市と中華人民共和国敦煌市との友好都市の合意書」を締結し,平成6年3月には,臼杵石仏落成法要に,敦煌市副市長外2名が臼杵市を訪れ,同月30日,「日本国臼杵市と中華人民共和国敦煌市との友好協力提携協定書」を締結し,同年9月27日,臼杵市において,「日本国臼杵市と中華人民共和国敦煌市との友好都市提携協定書」の調印を行った。 この友好都市締結を受けて,平成7年10月,大分県知事を名誉団長,臼杵市長を団長,同市議会議長を副団長として,220名の「市民の翼」方式の親善訪問団が敦煌市を訪問し,友好都市締結訪問記念之碑を建立し,平成10年8月には,臼杵市長を団長,同市議会議長を副団長として,84名の臼杵市民が参加した「市民の翼」方式の親善訪問団が敦煌市を訪問した。敦煌市側からは,平成8年4月から1年間,敦煌市人民政府員1名が臼杵市において友好親善活動を行った他,同年10月に,敦煌市副市長外40名が,平成11年12月には,敦煌市人民対外文化交流協会会長外8名が,平成12年8月26日 月から1年間,敦煌市人民政府員1名が臼杵市において友好親善活動を行った他,同年10月に,敦煌市副市長外40名が,平成11年12月には,敦煌市人民対外文化交流協会会長外8名が,平成12年8月26日には,臼杵市制50周年記念式典に,敦煌市対外文化交流協会副会長が,それぞれ臼杵市を訪れた。 ウ本件訪問団の企画(ア) 敦煌市から「多くの市民の参加を得て訪問されたい」との招へいを請けて,本件訪問団は,臼杵市制50周年に当たり,臼杵市政50周年記念事業の一環として,市民参加の親善訪問団を募り,市民レベルでの交流を通じて,友好都市である臼杵市と敦煌市との友好,親善を一層促進することを目的としたものである。 ただ,中国の国情から,訪問団を臼杵市の公式訪問団として敦煌市に受け入れてもらうためには,行政・議会など公的関係者の同行が求められたため,臼杵市長である被告Cを団長とし,臼杵市議会を代表する立場として市議会議長である被告Dを副団長とすることとした。 (イ) 敦煌市との国際交流に関しては,従来から,市民を主体とした交流との考えから,旅程等について臼杵市敦煌市友好協会(いわゆる敦煌会。以下「敦煌会」という。)を主体として取り組んでおり,本件訪問団も,敦煌会を中心に,臼杵市と旅行会社である株式会社トラベル大分(以下「トラベル大分」という。)との協議により旅程を検討した。 旅程検討の際には,過去2回の訪問団が訪れた都市は極力省くこと,市民帯同の訪問であるから,なるべく多くの参加者を得るために,市民に魅力ある旅程であること,限られた日程を有効に活用できること,臼杵市の観光行政に反映できる都市であることを前提に検討がなされた。 (ウ) 西安市は,日本から敦煌市の中継都市で,中国の入国手続,税関検査の必要,及び唐の都長安であり日本と関係が深いことから, と,臼杵市の観光行政に反映できる都市であることを前提に検討がなされた。 (ウ) 西安市は,日本から敦煌市の中継都市で,中国の入国手続,税関検査の必要,及び唐の都長安であり日本と関係が深いことから,過去2回の訪問団も訪れており,本件訪問団も訪れることとなった。 桂林市は,中国の代表的な観光都市で,歴史と文化と自然を有効に活用した観光スポットは,臼杵市が目指す「まちづくり」のコンセプトと共鳴する部分も多く有しており,今後の方向性を模索する上で参考になるとの理由から,選定された。 昆明市は,歴史的遺物,自然風光,民族風俗をうまく活用し,近年注目を集めている観光都市であること,及び日本に帰国するための出国手続とチャーター便の関係から,選定された。 (エ) このほか,被告Cは,敦煌市において,レールクルーズ歓迎行事に出席することとなった。 西暦2000年は,西暦1600年に臼杵市佐志生の海岸にオランダ船デ・リーフデが漂着したことを契機に日本とオランダとの交流が始まった400周年に当たり,21世紀に向けて両国の更なる発展・飛躍を図るため,両国政府の要請により,「交流400周年記念事業実行委員会」が設立され,数多くの公式記念事業が行われた。臼杵市においても,平成12年4月19日に日蘭両国の皇太子臨席のもと,記念式典が実施された。 レールクルーズは,上記日蘭交流400周年記念事業の公式行事の一つであり,臼杵市は,事前にロッテルダム発臼杵行きの「チューリップエキスプレス」にするよう働きかけていたが実現しなかったため,被告Cは,使節団100人(オランダ側43人,日本側57人)を敦煌駅において出迎え,歓迎式典において,黒島に設置した「出会いの図」レプリカをオランダ側参加者代表に贈呈するなどして歓迎の意を表し,オランダとの交流・親善の促進を図った ダ側43人,日本側57人)を敦煌駅において出迎え,歓迎式典において,黒島に設置した「出会いの図」レプリカをオランダ側参加者代表に贈呈するなどして歓迎の意を表し,オランダとの交流・親善の促進を図ったものである。 (オ) なお,大分県出納長が名誉団長として本件訪問団に参加することとなり,大分県より昆明市の世界園芸博覧会跡地見学の要望が出されたため,これも加味した。 エ訪問団の募集本件訪問団の募集は,臼杵市役所企画財政課,敦煌会及びトラベル大分の共同で行われた。 オ議員の派遣手続平成12年8月11日付けで,被告Cから臼杵市議会に対し,同市議会議長に本件訪問団副団長として参加して欲しい旨の要請があり,同月16日,議会運営委員会において検討したが,結論が出なかった。そこで,同市議会は,同月18日,全員協議会を開催し,被告Cの考えを聞き,被告Cが,議会からもできるだけ多くの者が参加するよう要請した。そのため,同市議会では,同日,引き続き議会運営委員会を開催した結果,① 今回の訪問は公式訪問とする。 ② 旅費は公費を13万円限度で打ち切り支給する。 ③ 全日程を公務として参加する。 ④ 参加は希望者を募る。 の4点を決定した。 この決定を受けて,同年9月22日の本会議において,「敦煌親善訪問団員の派遣について」を議題とし,議長と参加希望者5名の計6名を派遣することを賛成多数で議決した。 なお,議員については,毎年,視察旅費を1人当たり13万円とする予算措置をして,視察研修のために支出する旅費として計上されているが,上記参加希望者5名が本件出張を行う旅費はその中から支出することが議決された。 カ議員派遣の目的国際化が進み,行政需要の拡大や住民ニーズの多様化が一層進展する中,議会にもそれらに柔軟に対応する能力が求められている。 件出張を行う旅費はその中から支出することが議決された。 カ議員派遣の目的国際化が進み,行政需要の拡大や住民ニーズの多様化が一層進展する中,議会にもそれらに柔軟に対応する能力が求められている。よって,国際的な視野に立って見識を高め,幅広い知識を涵養することが大切であるとの認識の下,本件訪問団への議員派遣が決定された。 また,行政の代表者である市長が本件訪問団団長として参加することを踏まえ,議会としても,市民レベルでの国際交流を支援し,かつ,本件訪問団を成功させるべく,全面的に協力することを目的とし,議長が議会の代表として訪問団副団長に就任することが引き受けられた。 キ西安市以降の旅程について(ア) 本件旅行日程は全て公務であって,西安市以降の日程も同様である。 (イ) 臼杵市にとって,本件訪問団は,市政の主要な国際交流事業として位置付けられている。 友好都市である敦煌市の訪問を主目的としつつ,その機会に,その他の都市等を視察,観光することは,相手国の理解により役立つものであり,国際交流の実を上げるものであり,一度に数か所を訪問することで経済的である。臼杵市総合計画においても,「姉妹都市をはじめとした外国都市と芸術・文化・歴史を通じての交流事業を推進する。」とあり,国際交流の実を上げるため,友好都市に限らずあらゆる都市と交流することが示されている。 本件訪問団が,敦煌市以外に訪問した西安市,桂林市,昆明市は,中国の代表都市であり,それぞれ,歴史的,文化的に見るべきものがあり,訪問者がその素養を高めるにふさわしい場所である。 そして,被告Cは,臼杵市の国際交流を推進する立場から,本件訪問団の団長として参加したのであって,団長としての立場上,臼杵市民らと行動を共にする必要があった。 (ウ) また,臼杵市においては,観光 そして,被告Cは,臼杵市の国際交流を推進する立場から,本件訪問団の団長として参加したのであって,団長としての立場上,臼杵市民らと行動を共にする必要があった。 (ウ) また,臼杵市においては,観光開発は極めて重要な将来性のある産業であり,観光は市の重要政策である。よって,諸外国を見聞して市の観光開発に生かすことは市の政策に寄与するものであり,この点からは,見聞すべきは,友好都市に限られない。 もとより観光が,官のみ,民のみという区別は不可能であり,観光客の多様な需要に対応する態勢を整備するためには,自ら観光をし,観光する者の立場に立って考えることが有効であるから,友好都市訪問の機会に,出来うる限り参考となる都市を見学することは,経済的かつ有益であって,臼杵市がリーダーシップをとって市民を観光に導くことは,役に立ちこそすれ,無駄ではない市長及び職員らは,訪問した他の都市の状況を視察し,臼杵市の観光行政に反映させる目的をも有していた。 (エ) 本件出張の日程を分断して,西安市以降の旅程の公務性が認められないとすることは,臼杵市をはじめ他の地方公共団体が取り組んでいる「市民の翼」方式の国際交流方式を否定するものにほかならず,地方公共団体の行う国際交流,観光行政に多大な影響を及ぼすものである。 (オ) 仮に敦煌市訪問についてのみ公務性を認めた場合の旅費について仮に,敦煌市訪問後,被告C,F及びGが本件訪問団を離団して単独で帰国したと想定すると,その旅費は,それぞれ別紙1,2,3のとおりとなり,本件出張の現実の旅費より高くなり,不合理である。 ク人数等からみた必要最小限度性(訪問の頻度及び規模)について上記のように,敦煌市が臼杵市を訪問したのは,友好都市提携の要請に来た初回を含めて計6回である。これに対し,臼杵市が敦煌市を訪問 。 ク人数等からみた必要最小限度性(訪問の頻度及び規模)について上記のように,敦煌市が臼杵市を訪問したのは,友好都市提携の要請に来た初回を含めて計6回である。これに対し,臼杵市が敦煌市を訪問したのは,本件訪問団を含めて4回,ほぼ2年に1度の割合であって,日中友好条約第3条の平等の原則に照らし,必要最小限度の頻度というべきである。 また,敦煌市が臼杵市を訪問した際の人員が,平成6年が9名,平成8年が40名,平成11年が9名であったことを考えれば,本件訪問団において,臼杵市側から10名が敦煌市を訪問したことは,やはり平等の原則に照らし必要最小限度の人数であったというべきである。 (2) 随行職員(F,G及びM)及び本件土産品代への本件支出の適法性(原告らの主張)ア被告Cの出張に公務性が認められない以上,同被告の秘書として随行したF及びGについても,公務性は認められない。 観光は商工振興課,文化財保護は教育委員会文化財課が所管であるところ,F及びGはいずれも観光行政と関係のない部署にあり,職務との関連性を有しない。 被告らは,F及びGの本件出張は研修目的をも有していたと主張しているが,研修の場合,支出は総務課の研修旅費からなされるのに対し,本件支出は企画財政課のふるさとづくり事業費からの支出となっていること,本件出張先でも被告Cの秘書的用務を行っていることから,同人らの出張は研修目的とはいえない。 イ本件議員らの出張に公務性が認められない以上,本件議員らに随行したMについても,公務性は認められない。 ウまた,本件訪問団はツアーであり,トラベル大分から少なくとも7人の添乗員が同行しており,敦煌市では同市職員が先導役を務めていたというのであるから,F,G,Mという3名もの職員が連絡窓口として同行する必要性は全く認められない あり,トラベル大分から少なくとも7人の添乗員が同行しており,敦煌市では同市職員が先導役を務めていたというのであるから,F,G,Mという3名もの職員が連絡窓口として同行する必要性は全く認められない。 エよって,F,G及びMへの本件支出は違法である。 オ同様の理由から,お土産品持参も必要性が認められないから,本件土産品代の支出も違法である。 (被告らの主張)F及びGは,臼杵市長である被告Cの秘書用務及び本件訪問団の連絡調整の役割を担うため本件訪問団に参加した他,研修目的をも有していた。 本件土産品代も,他国の訪問の際には国際的習慣として行われており,値段も1万5000円と高価とはいえない。 (3) 被告らの責任(原告らの主張)ア被告Cの責任(ア) 地方自治法242条の2第1項4号前段の責任被告Cは,自治体職員の出張旅費に関する裁判例の最近の厳しい傾向の認識を当然に持っていたものであるから,本件支出(1)及び本件土産品代への支出について,本来的支出権者としての指揮監督上の過失が認められる。 (イ) 同号後段の「当該行為に係る相手方」としての責任被告Cは,公務とは認められない出張であることを知り,又は容易に知り得たのに,旅費請求をして,同被告への本件支出をさせたのであるから,臼杵市に対し,支出金額相当の損害を与え,私費で旅費を支払うことを免れた現存利益があるから,不法行為に基づき損害を賠償し,又は不当利得に基づき不当利得金を支払う義務があるというべきである。 イ被告Dの責任(ア) 地方自治法242条の2第1項4号後段の「怠る事実に係る相手方」としての責任被告Dは,Mに対する旅行命令権者であり,また,本件議員らに対しては,被告Cからの参加依頼を受けて,本件訪問団参加の可否について議会に諮って議決を得た上,自ら本件訪 に係る相手方」としての責任被告Dは,Mに対する旅行命令権者であり,また,本件議員らに対しては,被告Cからの参加依頼を受けて,本件訪問団参加の可否について議会に諮って議決を得た上,自ら本件訪問団の副団長として他の議員らを率いて参加しており,実質的に旅行命令権者と同様の本質的関与をしている。 よって,被告Dは,本件土産品代以外の本件支出(2)に関し,故意又は過失によって違法な旅行命令等を行ったものであるから,不法行為によって,本件土産品代以外の本件支出(2)による支出額相当の損害を臼杵市に与えたものといえる。 (イ) 同号後段の「当該行為に係る相手方」としての責任被告Dは,公務とは認められない出張であることを知り,又は容易に知り得たのに,旅費請求をして,同被告への本件支出をさせたのであるから,臼杵市に対し,支出金額相当の損害を与え,私費で旅費を支払うことを免れた現存利益があるから,不法行為に基づき損害を賠償し,又は不当利得に基づき不当利得金を支払う義務があるというべきである。 ウ被告Eの責任(地方自治法242条の2第1項4号前段の責任)被告Eは,議員の海外出張に対する市民の目が厳しくなっていることの認識を当然に持っていたものであるから,本件土産品代以外の本件支出(2)の支出命令を行ったことについて,重過失が認められる。 (被告らの主張)ア被告Cの責任(ア) 本件訪問団は,敦煌市から「多くの市民の参加を得て訪問されたい」との招へいを受けて,市民参加の親善訪問団を募り,市民レベルでの交流を通じて友好都市である敦煌市との友好・親善を一層促進することを目的として構成された。このことは,臼杵市総合計画基本計画後期計画にも合致するものである。 また,「市民の翼」方式の訪問団は,本件訪問団以前から,市民参加の国際交流方式として を一層促進することを目的として構成された。このことは,臼杵市総合計画基本計画後期計画にも合致するものである。 また,「市民の翼」方式の訪問団は,本件訪問団以前から,市民参加の国際交流方式として定着し,大きな成果を得てきており,臼杵市以外の大分県下の市町村においても,「市民の翼」方式の国際交流に,地方自治体の長,議員が公費をもって参加してきた。 このような経緯に鑑みれば,被告Cは,本件支出(1)及び本件土産品代への支出が違法であると認識し得る状況にはなかったものであり,同支出について指揮監督上の注意義務を怠った過失があるとすることはできない。 (イ) 被告Cが支給を受けた旅費日当は,同被告の用途遂行のために費消したものであり,現存利益は存しない。 また,本件の旅費は,団体扱いのいわゆるパッケージによる旅費であって,これに参加すれば一律・定額の旅費が徴収される仕組みとなっており,これを分割して利得があるなどとすることはできない。 イ被告Dの責任(ア) 被告Dは,議会事務局職員の旅行命令権者であり,Mに対する旅行命令権は有していた。 しかし,出張命令権の根拠は,一般職員については任命権者の職務命令権であるところ,市議会議員は,住民による公選者であるから任命権者は存在せず,市議会議長は,市議会議員の旅行命令権者ではない。 地方議会は,普通地方公共団体の議決機関として,その権能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有しており,地方議会の活動として合理的な必要性が認められる事柄については,法令等によって特に禁止されていない限り議会の自主的な判断に基づいて行うことが出来ると解すべきであるから,議員を海外へ行政視察に派遣することも,議会の裁量によって行うことができ,これが裁量権の逸脱又は濫用と認められる場合に限り,違法となると 自主的な判断に基づいて行うことが出来ると解すべきであるから,議員を海外へ行政視察に派遣することも,議会の裁量によって行うことができ,これが裁量権の逸脱又は濫用と認められる場合に限り,違法となると解される。 そして,地方公共団体は,議会で実施を決定した海外行政視察の費用を公金から支出するに際しても,原則として議会の自立性を尊重すべきである。 本件議員らの本件出張についても,議会の議決に基づき行っており,裁量権の逸脱又は濫用もないものであるから,問題がない。 (イ) また,被告Dが支給を受けた旅費日当は,同被告の用途遂行のために費消したものであり,現存利益は存しない。 また,本件の旅費は,団体扱いのいわゆるパッケージによる旅費であって,これに参加すれば一律・定額の旅費が徴収される仕組みとなっており,これを分割して利得があるなどとすることはできない。 ウ被告Eの責任被告Eは,本件出張当時,本件支出(2)について専決による支出命令権を有していたいわゆる予算執行職員であるが,予算執行職員については,地方自治法243条の2第1項後段により,支出命令をするにつき故意又は重大な過失があった場合に限り損害賠償責任を負うと解すべきである。 しかし,被告Eは,本件支出(2)の支出命令をしたときに,本件支出(2)が違法であることについて重大な過失があったとはいえない。 第3 争点に対する判断 1 本件支出の必要最少限度性(争点(1))について(1) 地方自治法2条14項は,「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と,地方財政法4条1項は「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて,これを支出してはならない。」と,それぞれ地方公共団体の支出の必要最少限度性について規定しているが,この支出の必要 1項は「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて,これを支出してはならない。」と,それぞれ地方公共団体の支出の必要最少限度性について規定しているが,この支出の必要最少限度性は,地方財政法4条1項において「その目的を達成するため」と規定されているように,あくまでその行政目的を達成するための支出について要求されるものである。 しかして,普通地方公共団体の長は,当該普通地方公共団体を代表する職務を有する独任制の執行機関として,その権能を適切に果たすために合理的な必要性があるときは,自ら,国内又は海外に出張を行うことができ,出張目的や出張先,出張内容等の決定については,原則的に長の合理的な裁量に委ねられていると解すべきであるから,長の行う出張についての必要性や,出張内容の相当性等についての長の判断は,出張の目的,動機,態様等に照らし,これが著しく妥当性を欠いていると認められる場合に限り,裁量権を逸脱又は濫用したものとして違法となると解するのが相当である。 また,普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議決機関として,その権能を適切に果たすために合理的な必要性があるときは,その構成員である議員を国内又は海外に派遣することができ,派遣目的や派遣先,派遣内容等の決定については,原則的に議会の合理的な裁量に委ねられていると解すべきであるから,議員の派遣についての必要性や,派遣内容の相当性等についての議会の判断は,議員派遣の目的,動機,態様等に照らし,これが著しく妥当性を欠いていると認められる場合に限り,裁量権を逸脱又は濫用したものとして違法となると解するのが相当である。 よって,長の出張や議員の派遣については,決定された目的及び同目的達成のために選択された手段に裁量権の逸脱又は濫用がない限り,他の手 逸脱又は濫用したものとして違法となると解するのが相当である。 よって,長の出張や議員の派遣については,決定された目的及び同目的達成のために選択された手段に裁量権の逸脱又は濫用がない限り,他の手段を選択したとしたらより少ない支出で済んだとしても,選択された手段実施に伴う支出につき地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の違反は生じないというべきである。 そこで,以上を前提に,本件支出が地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するか否かを大分空港を発ち敦煌市を経て西安空港に着くまでの日程及び昆明空港から大分空港までの帰国便の日程(以下「西安空港に着くまでの日程等」という。)に対する部分と西安空港に着いて以降昆明空港から発つまでの日程(以下「西安空港に着いて以降の日程」という。)に対する部分に分けて検討する。 (2) 西安空港に着くまでの日程等に対する部分についてア前記争いのない事実等(2)イ,証拠(甲3の1ないし9,4の3及び5,5の1ないし15,6の1及び2,丙4,7の3,9,13,15,23,26ないし28,32,33,37の1及び2,証人F)及び弁論の全趣旨によれば,下記の事実が認められる。 (ア) 臼杵市は,臼杵市総合計画基本計画において,国際交流についての基本方針を策定し,姉妹都市,友好都市との都市間交流等の国際交流を積極的に推進している。 臼杵市と敦煌市は,それぞれ臼杵石仏,莫高窟という石造文化を有していることが契機となって,平成6年9月27日,臼杵市において,「日本国臼杵市と中華人民共和国敦煌市との友好都市提携協定書」の調印を行った。敦煌市との友好都市締結については,当時の臼杵市議会でもその是非が検討されたが,当時の臼杵市長が,仏教文化という共通の文化的な背景を持った都市との友好都市締結が,臼杵市及び臼杵磨 」の調印を行った。敦煌市との友好都市締結については,当時の臼杵市議会でもその是非が検討されたが,当時の臼杵市長が,仏教文化という共通の文化的な背景を持った都市との友好都市締結が,臼杵市及び臼杵磨崖仏のイメージアップにつながること,友好都市締結後は,相互の親善訪問の他,共通の文化財を持っている立場から,その維持・保存・継承・管理というような面で相互の情報交換,技術交換等を行うつもりである等と答弁した。 その後,臼杵市からは,平成7年10月,平成10年8月に,それぞれ,被告らの主張する「市民の翼」方式の親善訪問団が敦煌市を訪問し,当該親善訪問団には,いずれも,臼杵市長が団長,臼杵市議会議長が副団長として参加した。敦煌市側からは,平成8年4月から1年間,敦煌市人民政府員1名が臼杵市において友好親善活動を行い,同年10月には,敦煌市副市長外40名が臼杵市を訪問したほか,平成11年12月,平成12年8月26日にも,それぞれ,訪問団や交流員が臼杵市を訪れた。 (イ) 平成12年1月15日,敦煌市人民政府対外友好協会会長Nから,臼杵市長である被告C宛に,敦煌市と臼杵市の友好をもう一歩深め,関係を密にするため,敦煌市の中国国家旅行局が行う莫高窟発見百周年と敦煌学会創立百周年に,代表団を引率して参加して欲しい旨の招へいがあったため,被告Cは,本件訪問団を組織し,自らは団長となって敦煌市を訪問することとし,同年8月11日付けで,臼杵市議会議長である被告Dに対し,本件訪問団の副団長として参加して欲しい旨を依頼した。 (ウ) 臼杵市議会は,同年9月22日の本会議において,「敦煌親善訪問団員の派遣」を議題とし,同議会議長である被告Dにおいて,臼杵市と敦煌市が仏教文化遺跡の取り持つ縁で友好都市締結をし,交流活動を進めており,本年も敦煌市親善訪問を実施すること おいて,「敦煌親善訪問団員の派遣」を議題とし,同議会議長である被告Dにおいて,臼杵市と敦煌市が仏教文化遺跡の取り持つ縁で友好都市締結をし,交流活動を進めており,本年も敦煌市親善訪問を実施することに伴い,議員6名を派遣したいとして諮った結果,被告Dと参加希望があった議員5名(H,I,J,K,L)の計6名を派遣することを賛成多数で議決した。 (エ) 本件公式訪問団員らは,前記争いのない事実等(2)イ記載のとおりの日程で本件出張を行った。詳細を付加すれば,9月27日,被告Cは出発前の結団式において参加者に対する挨拶をし,本件公式訪問団員らは,敦煌市において,敦煌市主催の歓迎・交流会へ出席した。翌28日,Gを除く本件公式訪問団員らの敦煌市人民政府表敬訪問の際,被告Cは臼杵市長として挨拶をし,また,本件公式訪問団員らは,敦煌市幹部との懇談で,互いの市の概要や近況,問題点等について意見交換を行った。同日,本件公式訪問団員らは,答礼夕食会に出席して,答礼の挨拶をする等した。レールクルーズについては,日本とオランダとの交流が始まった400周年に当たる平成12年(西暦2000年)に,日蘭両国において記念事業が開催され,臼杵市においても,同年4月19日に日蘭両国の皇太子臨席の下,記念式典が実施されたことを受けて,本件訪問団が敦煌市に滞在する日と近接した日程で,同記念事業の一環として企画されたレールクルーズが敦煌市を来訪するものであったことから,この機会を利用してオランダとの交流を深めるため,被告Cがレールクルーズの歓迎行事に出席したものであった。 (オ) 本件公式訪問団員らの支出命令書の用務欄には,被告C,F及びG分については,「敦煌市親善訪問」,本件議員ら分及びM分については,「敦煌市親善訪問『臼杵市民の翼』」との記載がなされている。 イ以上の認定事 式訪問団員らの支出命令書の用務欄には,被告C,F及びG分については,「敦煌市親善訪問」,本件議員ら分及びM分については,「敦煌市親善訪問『臼杵市民の翼』」との記載がなされている。 イ以上の認定事実によれば,本件出張は,敦煌市人民政府対外友好協会会長からの訪問要請を受け,従前の交流の経緯もふまえて,臼杵市において,友好都市である敦煌市との交流をより深めるため,市長及び市議会議員を派遣することとしたものであり,本件出張の目的は,被告Cについては,主として敦煌市との国際交流,副次的にはオランダとの国際交流であり,本件議員らについては,敦煌市との国際交流であったことが認められる。そして,上記Nからの訪問要請は臼杵市長である被告C宛となっていること,過去2回行われた「市民の翼」方式の敦煌市親善訪問団にも臼杵市長が団長,臼杵市議会議長が副団長として参加していたこと,過去,敦煌市側が臼杵市を訪問した際にも,敦煌市副市長等の高官が訪れていることを考え合わせれば,敦煌市及びオランダに対する社交的儀礼からしても,臼杵市から市長,市議会議長という高官が赴くことは,合理的裁量の範囲内の行為として是認することができるものというべきであり,また,住民の代表者である市議会議員を派遣することも,合理的裁量の範囲内というべきである。 そして,国際交流事業として,具体的な政策協議を行うか,挨拶等の儀礼的行為にとどめるかは,相手方との関係,訪問に至る経緯等を総合考慮の上,地方公共団体がその裁量によって決すべき事項であり,政策協議等が行われなかったからといって,当該交流事業が裁量権逸脱又は濫用により違法と評価されるものではない。 よって,本件支出中西安空港に着くまでの日程等に対する部分は,その内容・額,上記本件出張の主目的及び副次的目的,本件出張に至る経緯並びに前記 量権逸脱又は濫用により違法と評価されるものではない。 よって,本件支出中西安空港に着くまでの日程等に対する部分は,その内容・額,上記本件出張の主目的及び副次的目的,本件出張に至る経緯並びに前記認定の日程をも総合考慮すれば,これが著しく妥当性を欠いており,裁量権を逸脱又は濫用したものとはいえず,この部分に対する支出は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するとはいえない(なお,敦煌空港から西安空港までの航空運賃及び昆明空港から大分空港までの航空運賃の支出は,本件出張自体が適法である以上,帰途に必要なものであるので,上記各法条に違反しない。)。 (3) 西安空港に着いて以降の日程に対する部分についてア前記争いのない事実等(2)イ,証拠(甲4の2及び3,5の2,6の1ないし3,7,丙26,28,証人F)によれば,9月28日の答礼夕食会の席上,被告Cは,「団長はこれまでです。これからは一般の旅行者と一緒になります。」と挨拶していたこと,本件出張の西安空港に着いて以降の日程(西安市内観光,七星公園の見学,漓江下りの船への乗船,博覧園,昆明博物館,石林見学等)において,訪問都市の担当職員から観光行政の施策等についての説明を受ける等,臼杵市と訪問都市との間での連携・協力関係の形成に役立つような交流は行われておらず,同日以降の日程は,臼杵市民の翼として参加を呼び掛けた一般市民に対し,本件訪問団参加の魅力を高めるために企画された観光コースにすぎないものであることが認められる。 以上の認定事実と前項の認定事実を総合すれば,本件出張の日程のうち西安空港に着いて以降の日程は,臼杵市と敦煌市ないしオランダとの国際交流という主ないし副次的目的との関連性がなく,その内容からみても,もっぱら観光を目的とするものであって,公務のための旅行というよう 安空港に着いて以降の日程は,臼杵市と敦煌市ないしオランダとの国際交流という主ないし副次的目的との関連性がなく,その内容からみても,もっぱら観光を目的とするものであって,公務のための旅行というような性質を有するものとは認め難いものであるから,本件出張をなす旨の被告Cの決定及び本件議員らを本件出張に派遣する旨の臼杵市議会の決定は,西安空港に着いて以降の日程部分については,裁量権を逸脱又は濫用した違法がある。 イなお,上記の点について,被告らは,臼杵市においては,観光開発は極めて重要な将来性のある産業であって,観光は市の重要政策であるから,友好都市である敦煌市訪問の機会に,出来うる限り参考となる都市を見学することは,経済的かつ有益であり,本件公式訪問団員らは,訪問した他の都市の状況を視察し,臼杵市の観光行政に反映させる目的をも有していたと主張する。 しかしながら,かかる主張は,本件出張目的の中に,敦煌市親善訪問以外に,西安市,桂林市,昆明市の観光施設を視察する目的があったことが前提となるものであるところ,上記各都市の観光施設を視察する必要性について検討がなされたことを窺わせる証拠はなく,かえって,前記ア認定のとおり,上記各都市の観光は臼杵市民の翼への参加を呼び掛けた一般市民に対し,本件訪問団参加の魅力を高めるために企画されたものであるし,前記(2)ア認定事実(支出命令書の用務欄の記載及び本件出張の態様)に照らしても,本件出張に上記各都市の視察目的が含まれていたものとは認められない。 ウまた,被告らは,被告Cは,本件訪問団の団長として参加したのであるから,その立場上,本件訪問団に参加した市民らと行動を共にする必要があった旨主張する。 しかし,証拠(甲5の2,証人F)及び前記争いのない事実等(2)を総合すれば,本件訪問団は,一般市民 であるから,その立場上,本件訪問団に参加した市民らと行動を共にする必要があった旨主張する。 しかし,証拠(甲5の2,証人F)及び前記争いのない事実等(2)を総合すれば,本件訪問団は,一般市民に対しては,「敦煌市親善訪問団員募集」を呼びかけつつ,旅程としては,「敦煌市親善訪問と西安・桂林・昆明の旅」として,親善訪問部分とその他の観光部分に分けた紹介をしていること,そして,本件訪問団に参加した一般市民は,この西安・桂林・昆明の観光コースに代えて,三峡下りの観光コースやシルクロードの観光コースも選択できたこと,実際に行われた旅程を見ても,敦煌市における行事には,一般市民が参加する形での地方都市間の国際交流行事(敦煌市主催の歓迎・交流会,訪問団主催の答礼夕食会等)が存在するものの,西安市,桂林市,昆明市においては,観光以外の日程はなかったこと,うち10月3日のスケジュールはいわゆるフリータイムになっており,一般市民の訪問団員らも,本件公式訪問団員らも,団体として行動したものではないことが認められる。 これらの事実を総合すれば,被告Cが本件訪問団の団長として参加したことから,一般市民である訪問団員らと行動を共にすべきであったのは,敦煌市における日程部分のみであったと認められ,それ以降の日程について,一般市民と行動を共にする必要があったものとは認められない。 エよって,本件出張の西安空港に着いて以降の日程については,公務性は認められず,同日程部分についての本件支出は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反し,違法となる。 2 随行職員(F,G及びM)及び本件土産品代への本件支出の適法性(争点(2))について(1) 前記争いのない事実等(2)ア認定のとおり,F,G及びMは,それぞれ,被告C及び本件議員らの随行員として本件出張を行ったも 及びM)及び本件土産品代への本件支出の適法性(争点(2))について(1) 前記争いのない事実等(2)ア認定のとおり,F,G及びMは,それぞれ,被告C及び本件議員らの随行員として本件出張を行ったものであるところ,前記1認定のとおり,西安空港に着くまでの日程等については,被告C及び本件議員らの本件出張は公務としての適格性を有すると認められ,被告C及び本件議員らの地位の重要性並びに臼杵市及び同市議会との連絡体制確保の要請等に鑑みれば,市長部局及び市議会それぞれに対し各1名の随行員を同行する必要性もあったと認められる。 しかしながら,西安空港に着いて以降の日程部分については,被告C及び本件議員らの公務性が認められず違法と認められるものであるから,随行員についても,同日程部分についての本件支出は違法となる。 また,被告Cの随行員としては,前記争いのない事実等(2)ア認定のとおり,F及びGが同行したものであるが,被告C1名に対し,何故2名の随行員が必要であったかについて,証拠(証人F)によれば,臼杵市からの連絡があった場合にはすぐに被告Cに連絡が取れるように,FかGのどちらかが国際携帯電話を携帯していた事実は認められるが,当該事実のみによっては,2名の随行員が必要であったことを認めることはできず,他にかかる必要性を認めるに足りる証拠はない。よって,被告Cの随行員としてはF1名で足りたものと認められる。 以上によれば,F及びMの旅費日当のうち西安空港に着いて以降の日程部分並びにG分の旅費日当の支出は違法となる。 (2) なお,被告らは,F及びGの本件出張は同人らの研修目的を兼ねていた旨主張し,証人Fは,同主張に沿う証言をする。 しかしながら,証拠(証人F)によれば,F及びGの旅行命令簿,復命書等の書面上には,研修目的の記載はないことが認 件出張は同人らの研修目的を兼ねていた旨主張し,証人Fは,同主張に沿う証言をする。 しかしながら,証拠(証人F)によれば,F及びGの旅行命令簿,復命書等の書面上には,研修目的の記載はないことが認められるし,F及びGに職員研修を行わせること及びその研修内容を検討したこと並びにGが職員研修の報告書を提出したことを窺わせるに足りる証拠はなく,証拠(甲3,8ないし10(各枝番を含む。),丙35)及び弁論の全趣旨によれば,F及びGの旅費日当は,研修旅費も支出することのできる「ふるさとづくり事業費」の支出項目から支出されているが,職員研修の旅費日当は本来「研修旅費」の支出項目から支出されるものであり,「ふるさとづくり事業費」からは国際交流目的の旅費日当が支出され,現に本件出張においても,被告Cの旅費日当は「ふるさとづくり事業費」から支出されているし,Fは既に約1年前の平成11年8月に「研修旅費」から支出された旅費日当でもってオランダに海外出張を行っている(Fに対しこのように2年連続して海外研修出張を行わせる必要性を認めるに足りる証拠はない。)ことが認められ,これらに前記認定の同人らの支出命令書の用務欄の記載及び本件出張の態様を総合すれば,証人Fの上記証言部分を信用することはできず,他にF及びGの本件出張が研修目的を有していたことを認めるに足りる証拠もない。 (3) 本件土産品代の支出について前記1判示のとおり,本件出張自体が適法である以上,敦煌市への土産品の持参は,当該土産品の額が社会通念上相当の範囲と認められる限り,違法とは認められない。そして,証拠(甲5の16及び17)によれば,敦煌市への土産品は,単価5000円の電卓・ペンセット3組であることが認められ,その額に照らし,社会通念上相当の範囲と認められる。 よって,本件土産品代の支出 証拠(甲5の16及び17)によれば,敦煌市への土産品は,単価5000円の電卓・ペンセット3組であることが認められ,その額に照らし,社会通念上相当の範囲と認められる。 よって,本件土産品代の支出は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反しない。 3 臼杵市の損害について前記争いのない事実等(3),証拠(甲3の1ないし6,甲5の4,5,10ないし13)及び調査嘱託の結果によれば,被告C,F,被告D及びMの西安空港に着いて以降の日程に要した支出は以下のとおりであり,Gの本件出張に要した支出は28万7600円であると認められる。 │ │西安空港に着いて│9月29日(被告Cは同│ ││ │以降の移動や宿泊│月30日)から10月3│小計 ││ │等に要した費用 │日までの日当 │ ││被告C │8万2000円 │2万0400円 │10万2400円││F │7万2000円 │1万9000円 │ 9万1000円││ 合計 │ │ │19万3400円││被告D │7万2000円 │2万5500円 │ 9万7500円││M │7万2000円 │1万9000円 │ 9万1000円││合計 │ │ │18万8500円│なお,前記争いのない事実等(3),証拠(甲5の6ないし9,14,15 0円││合計 │ │ │18万8500円│なお,前記争いのない事実等(3),証拠(甲5の6ないし9,14,15)及び調査嘱託の結果によれば,被告Dを除く本件議員ら(H,I,J,K,L)の各人に対する支出のうち,上記判示に照らし適法とされる部分に対する支出は,議員1人当たり20万3400円と認められるところ,同人らに対する支出は,それを下回る,議員1人当あたり13万円であったものであるから,本件支出(2)のうち同人らの旅費日当に相当する分は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反せず,臼杵市の損害とはならない。 よって,本件支出(1)のうち48万1000円,本件支出(2)のうち18万8500円が,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反し,違法であり,上記違法な支出が臼杵市の損害となる。 なお,被告らは,敦煌市訪問後,本件公式訪問団員らが本件訪問団を離団して単独で帰国したら,その旅費は本件支出よりも高額になると主張するが,パック旅行を利用したり,団体旅行に参加して,その一部の日程が公務に当たり,残部の日程が私用に当たる場合は,その公務に当たる日程部分に限って旅費等が支給されることになるので,本件においても,本件出張の日程中,公務性が認められる部分とこれが認められない部分とを峻別して判断すれば足りるのであり,被告らの上記主張を採用することはできない。 4 被告らの責任(争点(3))についてそこで,以下,上記違法な支出についての被告らの責任について検討する。 (1) 被告Cの責任について前記1(2)認定事実,証拠(甲3の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,被告Cは,敦煌市人民政府対外友好協会会長からの訪問要請を受け,本件訪問団を組 いて検討する。 (1) 被告Cの責任について前記1(2)認定事実,証拠(甲3の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,被告Cは,敦煌市人民政府対外友好協会会長からの訪問要請を受け,本件訪問団を組織し,自らは団長となって敦煌市を訪問したものであって,そのような経緯からは,被告Cは,本件出張の主目的が敦煌市親善訪問であることを知悉していたこと,しかし,それにもかかわらず,被告Cの押印した被告C自身の支出命令書(請求書)の宿泊地欄に,本件出張の目的地とは関連のない「西安,桂林,昆明」との記載がなされていたこと,及び被告Cは,自身が本件出張をなすに当たって,秘書役の随行員2名が同道することも知っていたことが認められる。 そうすると,被告Cは,自身が旅費日当を請求するに当たり,被告C及びF分について,本件出張のうち西安空港に着いて以降の日程部分について公務性がないこと,及びGの随行については必要性が認められないことを認識し得たものであるから,当該部分について,自らの旅費日当については,部分的に請求を控えるとともに,専決による支出命令権者に対し,本件支出(1)のうち当該部分に関する支出を行わないように指揮監督すべきであったというべきである。しかし,それにもかかわらず,被告Cはそのような指揮監督上の注意義務を怠ったものであり,少なくとも過失があったものと認められるから,被告Cは,臼杵市に対し,前記3に認定した48万1000円の損害賠償責任を負うこととなる。 (2) 被告Dの責任について前記争いのない事実等(3)及び証拠(甲5の4,5及び12)によれば,被告Dは,臼杵市に対し,本件出張にかかる旅費日当の請求をなし,請求に係る旅費日当の交付を受けたものであることが認められる。そして,本件出張が,西安空港に着いて以降の日程部分について公務性が れば,被告Dは,臼杵市に対し,本件出張にかかる旅費日当の請求をなし,請求に係る旅費日当の交付を受けたものであることが認められる。そして,本件出張が,西安空港に着いて以降の日程部分について公務性が認められないことは前判示のとおりであるが,前記各認定事実及び弁論の全趣旨を総合すれば,被告Dは,前記認定の本件出張の目的・日程等について請求前から知悉していたと認められるから,上記部分の日程の旅費を請求することが違法であることについても知り得たものであり,故意又は少なくとも過失によって,臼杵市に対し,前記3に認定した違法部分にかかる同被告の旅費日当相当額9万7500円の損害を与えたことが認められる。 また,Mに対する旅行命令は被告Dが行ったところ,前記1(3)で判示したところによれば,本件出張に関しMに発せられた旅行命令は,西安空港に着いて以降の日程部分については,裁量権を逸脱,濫用し違法であり,かつ,前判示のとおり,被告Dは,前記認定の本件出張の目的・日程等について請求前から知悉していたと認められるから,故意又は少なくとも過失によって,上記部分の日程に関する部分については違法な旅行命令を発令し,臼杵市に対し,前記3に認定した違法部分にかかるMの旅費日当相当額9万1000円の損害を与えたことが認められる。 以上によれば,被告Dは,臼杵市に対し,18万8500円の損害賠償責任を負うこととなる。 (3) 被告Eの責任について前判示のとおり,被告D及びMの本件出張は,西安空港に着いて以降の日程部分については公務性が認められず,本件出張の目的達成のための手段として合理的な裁量の範囲を逸脱するものであり,このような出張を決定した臼杵市議会の議決及びMに対する旅行命令は,上記部分については著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の ための手段として合理的な裁量の範囲を逸脱するものであり,このような出張を決定した臼杵市議会の議決及びMに対する旅行命令は,上記部分については著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するというべきであり,したがって,これらに基づく旅費の請求があった場合,これに対する支出をなす権限を有する者は,上記部分の支出を阻止すべき義務があったというべきである。 そうすると,前記争いのない事実等(3)によれば,被告Eは,臼杵市議会事務局長として,本件支出(2)にかかる被告D及びM分の支出命令(以下「本件支出命令」という。)をなしたものであるから,同被告については,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づく損害賠償責任が問題となる。ただ,いわゆる予算執行職員に対し,同号前段に基づく賠償責任を問い得るのは,当該職員が支出負担行為又は支出命令をするにつき故意又は重大な過失があった場合に限られる(同法243条の2第1項)。 これを本件についてみると,証拠(甲5の4,5,10ないし13)及び弁論の全趣旨によれば,本件支出命令書の添付書類には,用務が「敦煌市親善訪問『臼杵市民の翼』」,宿泊地が「敦煌,西安,桂林,昆明」と記載されていること,本件支出命令は,本件議員らの本件訪問団参加が臼杵市議会の議決により決定されたことを前提に発令されたことが認められ,上記のような情報のみから,西安空港に着いて以降の日程部分について,本件支出の違法性を直ちに知り得る状態にあったものと認めることはできないから,被告Eには,本件支出命令をなすに際し,故意又は重大な過失があったと認めることはできない。 よって,被告Eに対し,本件支出(2)のうち違法部分に係る支出命令をしたことについての責任を問うことはできないというべきである。 5 に際し,故意又は重大な過失があったと認めることはできない。 よって,被告Eに対し,本件支出(2)のうち違法部分に係る支出命令をしたことについての責任を問うことはできないというべきである。 5 結論以上によれば,原告らの本訴請求のうち,被告Cに,臼杵市に対し,損害金48万1000円及びこれに対する平成13年4月1日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分,被告Dに,臼杵市に対し,損害金18万8500円及びこれに対する同日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分については,いずれも理由があるので,これを認容し,その余の請求は,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法61条,64条,65条1項を適用し,仮執行宣言については,相当でないからこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。 (口頭弁論終結日平成14年10月21日)大分地方裁判所民事第2部裁判長裁判官一志泰滋裁判官細野なおみ裁判官和田はる子は,差し支えのため署名押印することができない。 裁判長裁判官一志泰滋

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