昭和52(行ウ)61 法人税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和54年4月26日 大阪地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 被告が昭和五〇年一一月二九日付で原告に対してした、原告の昭和四八年一月一日 から同年一二月三一日までの事業年度分の法人税の更正処分および過少申告加算税 賦課決定処分のうち、所得金額一億四、五

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判決文本文11,750 文字)

○ 主文被告が昭和五〇年一一月二九日付で原告に対してした、原告の昭和四八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分の法人税の更正処分および過少申告加算税賦課決定処分のうち、所得金額一億四、五二一万四、二九五円を超える部分を取り消す。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は一五分し、その一四を原告の負担、その余を被告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告会社被告が昭和五〇年一一月二九日付で原告に対してした、原告の昭和四八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度(以下昭和四八事業年度という)分の法人税の更正処分および過少申告加算税賦課決定処分のうち、所得金額一億三、一一五万八、五六七円を超える部分を、いずれも取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決。 二被告原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 との判決。 第二当事者の主張一本件請求の原因事実(一) 原告会社は、昭和四八事業年度の法人税について、別表第一課税処分経緯表記載の日に、被告に対し確定申告をしたところ、被告は、昭和五〇年一一月二九日、同表記載のとおり更正および過少申告加算税賦課決定処分(以下本件処分という)をした。原告会社は、これを不服として国税不服審判所長に対し審査請求をしたが、同所長は、昭和五二年三月三一日、「審査請求を棄却する」旨の裁決をした。 (二) 被告は、本件処分によつて、原告会社の昭和四八事業年度分の所得を一億四、六一五万八、五六七円と認定している。 しかし、原告会社が裁判上の和解によつて支払つた一、五〇〇万円は、損金に計上されるべきであつて、所得に算入されるべきものではない。 したがつて、被告の本件処分のうち、所得金額一億三、一一五万八、五六七円を超える部分つまり右一、五〇〇万円を所得に算入した部分は、 、損金に計上されるべきであつて、所得に算入されるべきものではない。 したがつて、被告の本件処分のうち、所得金額一億三、一一五万八、五六七円を超える部分つまり右一、五〇〇万円を所得に算入した部分は、いずれも違法である。 (三) 結論原告会社は、被告に対し、昭和四八年事業年度分の本件処分のうち、更正処分について所得金額一億三、一一五万八、五六七円法人税額四、四九七万一、〇〇〇円を超える部分、過少申告加算税賦課決定処分について税額三〇万九、八〇〇円を超える部分の各取消しを求める。 二被告の答弁(一) 本件請求の原因事実中(一)の事実は認める。 (二) 同(二)の主張を争う。 三被告の主張(一) 和解金支払いの経緯原告会社は、昭和一八年六月一四日、訴外亡Aから大阪市<地名略>、宅地三六六坪(約一、二〇九・九二平方メートル)を金二万円で買い受け、うち金一万円を支払いその引渡しを受けた。 Aは、昭和三五年一〇月八日、原告会社に対し売買契約を解除する旨の意思表示をしたうえ、同年一一月一八日、大阪地方裁判所に原告会社を相手どつて、建物収去土地明渡等請求の訴を提起した(第一次訴訟事件)。 同裁判所は、昭和四一年六月三〇日、Aの相続人訴外B外四名(以下Bらという)に勝訴の判決をした。そこで、原告会社は、大阪高等裁判所に控訴するとともに、大阪地方裁判所に、Bらを相手どつて所有権移転登記手続請求の訴を提起した(第二次訴訟事件)。 原告会社は、第一次訴訟事件の控訴審、第二次訴訟事件の第一審でいずれも勝訴したので、Bらは、第一次訴訟事件の上告、第二次訴訟事件の控訴をした。 大阪高等裁判所は、第一次訴訟事件、第二次訴訟事件について和解を試みたところ、昭和四八年一一月一日、次の内容の裁判上の和解が成立した。 (1) Bらは、本件土地が昭和二九年七月一日付時効取得によ た。 大阪高等裁判所は、第一次訴訟事件、第二次訴訟事件について和解を試みたところ、昭和四八年一一月一日、次の内容の裁判上の和解が成立した。 (1) Bらは、本件土地が昭和二九年七月一日付時効取得によつて原告会社の所有に属することを確認する。 (2) 原告会社は、Bらに対し、和解金として金一、五〇〇万円を次のとおり分割して支払う。 昭和四八年一二月二〇日限り金五〇〇万円昭和四九年一月末日限り金五〇〇万円同年二月末日限り金五〇〇万円(3) Bらは、原告会社に対し、第一回目の分割金の支払いを受けるのと引きかえに、本件土地の所有権移転登記(原因・昭和二九年七月一日付時効取得)手続をする。 (4) 原告会社が分割金の支払いを一回でも遅滞したときは、本件土地の所有権は原告会社からBらに移転し、原告会社は地上建物を収去して本件土地を明け渡すものとする。 (5) 本件土地の固定資産税については、昭和四八年第三期分まではBらの負担とし、同年第四期分以降は原告会社の負担とする。 (6) Bらは、第一次訴訟事件についての上告を取り下げる。原告会社はこれに異議なく同意する。 (7) 原告会社とBら間には、和解条項以外に一切の債権債務関係がないことを確認する。 原告会社は、Bらに和解条項(2)のとおり分割金を支払い、本件土地の登記手続をえた。 (二) 和解金の税法上の取扱い(1) 本件和解金は、原告会社が本件土地の所有権の帰属をめぐるBらとの間の長年にわたる紛争を終息させ、Bらから所有権移転登記手続を受けて、本件土地についての完全な所有権を取得するとともに、Bらの本件土地に関する権利主張を放棄させて自己の所有権を確実にするために支払われたものである。 そうすると、本件和解金の支出は、本件土地の取得価額に算入されるべきである。 (2) 土地など非償却資産の取得 本件土地に関する権利主張を放棄させて自己の所有権を確実にするために支払われたものである。 そうすると、本件和解金の支出は、本件土地の取得価額に算入されるべきである。 (2) 土地など非償却資産の取得価額について、法人税法及び同法施行令は明文の規定をおいていない。そこで、公正妥当な会計慣行(企業会計原則第三の五及び企業会計原則と関係諸法令との調整に関する連続意見書第三における第一の四を参照)を斟酌して、減価償却資産(建物、機械等)に関する法人税法施行令五四条一項(昭和四二年政令第一〇六号改正後のもの、以下同じ)の規定を類推適用すべきである。 そうすると、購入した土地の取得価額は、次のイ、ロの金額の合計額である。 イ当該土地の購入の代価ロ当該土地を事業の用に供するために直接要した費用の額((3))ところで、本件和解金は、前述したとおり、原告会社が本件土地の完全な所有権を取得し、本件土地に関するBらの一切の権利のないことの確認をうるために支払われたものであるから、前述したイ、ロにそれぞれ該当する。したがつて、本件和解金の支払いは、本件土地の取得価額に算入されるべきである。 (4) 法人税法二二条二項は、本件のように土地を時効で取得した場合には、その価額を益金の額に算入することにしている。この益金の額に算入すべき時期は、本件和解が成立した日である昭和四八年一一月一日を含む原告会社の事業年度である。 この益金の額に算入すべき金額は、益金の額に算入すべき時点の土地の時価によるべきである。 ところで、その時価は、本件和解金一、五〇〇万円と手付金一万円との合計金一、五〇一万円を含む三、七九二万五、七四〇円(乙第三号証の鑑定書の記載による)である。 (三) 固定資産税等について(1) 前記和解では、本件土地の固定資産税については、昭和四八年第三期分ま 金一、五〇一万円を含む三、七九二万五、七四〇円(乙第三号証の鑑定書の記載による)である。 (三) 固定資産税等について(1) 前記和解では、本件土地の固定資産税については、昭和四八年第三期分まではBらの負担、同年第四期分以降は原告会社の負担と定められた。Bらが支払つた昭和四八年第三期分までの固定資産税、都市計画税は、別表第二(2)、(3)に各記載の金額のとおりである。 (2) 右の税額を、貨幣価値の変動にともない和解時の額に換算するには、消費者物価指数によるのが相当である。総理府統計局の公表した全国総合消費者物価指数(昭和五〇年を一〇〇とするもの)は、別表第二(4)欄に各記載の指数のとおりでありこれを基礎とした昭和四八年の和解時への換算率は同表(5)欄に記載のとおりである。したがつて、右の税額の和解時の換算額は同表(6)、(7)欄に各記載の金額のとおりとなる。以上のとおり、Bらが支払つた税額を和解時の額に換算すると、計九四万四、二七二円となる。 (四) 以上のとおり、本件処分は原告の所得の範囲内でされているから適法である。 四被告の主張に対する原告会社の反論(一) 被告の主張(一)の事実は認める。 (二) 同(二)の主張を争う。 (三) 本件和解金についての税法上の取扱いに関する原告会社の見解は次のとおりである。 (1) 原告会社が、本件土地を時効によつて取得したことは、まぎれもない事実であり、原告会社がこの点で敗訴することは絶無とみて差支えなかつた。したがつて、本件和解金の支払いによつて、本件土地の所有権者が原告会社であることを確実にしたわけではない。つまり、本件和解金の支払いと、本件土地の所有権の実質的な取得とが、密接な対価関係になかつたのである。 原告会社が、本件和解金を支払つたのは、Bらが多額の訴訟費用と弁護士報酬を支出して わけではない。つまり、本件和解金の支払いと、本件土地の所有権の実質的な取得とが、密接な対価関係になかつたのである。 原告会社が、本件和解金を支払つたのは、Bらが多額の訴訟費用と弁護士報酬を支出していたこと、Bらが長年本件土地の公租公課を事実上支払つたこと、原告会社代表者がAと昵懇な間柄にあつたこと、以上のことなどを考慮したからであつて、本件土地の所有権を改めて取得するためではない。 (2) 原告会社は、少なくとも、昭和二一年三月三日当時から、本件土地について、契約金額二万円を取得価額として計上し、これを基礎として財産税のための書類を作成したし、継続して法人税の支払いをしてきた。したがつて、このたび二重に取得価額の計上を強いられる理由がない。 (3) 裁判上の和解金の支払いが、固定資産の取得価額に該当することは、今日の公正妥当な会計慣行上是認される。ただし、これには例外がある。 その例外の場合とは、当該土地の取得の時に支払いが予定されていなかつたものであれば、和解金の支払いが一時の損金となるのである。 本件は、この例外の場合に該当する。 (4) 時効取得の効果は、時効期間の経過によるが、時効の援用の時に確定的に生じるもので、被告がいうように当事者の和解によつてその時期が左右される性質のものではない。 (四) 被告の主張(三)(1)の事実は、認める。 被告の主張(三)(2)は争う。Bらの支払つた固定資産税額を、貨幣価値の変動にともない和解時の額に換算するには、その不動産の固定資産税課税標準額の比率によるのが相当である。固定資産税課税標準額は別表第二(1)欄に各記載の金額のとおりであり、これを基礎とした昭和四八年の和解時への換算率は同表(8)欄に各記載の換算率のとおりである。したがつて、右固定資産税の和解時への換算額は同表(9)欄に各記載の金額のと に各記載の金額のとおりであり、これを基礎とした昭和四八年の和解時への換算率は同表(8)欄に各記載の換算率のとおりである。したがつて、右固定資産税の和解時への換算額は同表(9)欄に各記載の金額のとおりとなる。以上のとおり、Bらが支払つた固定資産税額を和解時の額に換算すると、合計二七七万六、四三八円となる。 第三証拠関係(省略)○ 理由一当事者間に争いがない事実本件請求の原因事実中(一)の事実(原告会社の昭和四八事業年度の法人税の確定申告とこれに対する本件処分の経緯)、被告主張の(一)及び(三)(1)の事実(本件和解金一、五〇〇万円をBらに支払つた経緯とBらが支払つた固定資産税等の額)、以上の事実は当事者間に争いがない。 二本件の争点は、本件和解金の支払いが、原告会社の昭和四八事業年度の法人税上損金として計上することができる見舞金ないし解決金の性格のものであるか、それとも益金として計上しなければならない本件土地の取得価額に該当するかという点にある。そこで、この争点について判断する。 (一) 本件和解金の性質(1) 当事者間に争いがない前記本件和解金一、五〇〇万円をBらに支払つた経緯(被告の主張(一)の事実)や、成立に争いがない甲第二ないし第四号証、同第一二ないし第一九号証、乙第三ないし第八号証、同第一一号証、証人Cの証言の一部を総合すると、次のことが認められ、この認定に反する証人Cの証言の一部は採用しないし、ほかにこの認定に反する証拠はない。 (ア) 原告会社は、昭和一八年六月一四日、A所有の本件土地を、Aから金二万円で買い受け、同日うち金一万円を支払い、残金一万円は、Aが本件土地上にある仮設の厩舎と住宅各一棟を同年一二月末日までに撤去したうえで本件土地を引き渡すのと引きかえに支払うことを約束した。 (イ) Aが、約束どおりの撤去 金一万円を支払い、残金一万円は、Aが本件土地上にある仮設の厩舎と住宅各一棟を同年一二月末日までに撤去したうえで本件土地を引き渡すのと引きかえに支払うことを約束した。 (イ) Aが、約束どおりの撤去をしないでいたところ、昭和一九年六月一五日の空襲で本件土地上の厩舎と住宅が焼失し、本件土地は更地になつた。そこで、Aは、そのころ、本件土地を原告会社に引き渡した。 (ロ) 原告会社代表者訴外浜田利一は、その後、Aとともに所轄登記所に行つたが、登記所が閉つていたため登記ができず、残代金の支払いも、そのままになつていた。 (エ) 原告会社は、昭和二一年になつて、本件土地上に工場建物などを建てた。 浜田利一は、Aに対し、残金を支払うから登記をするよう要求したが、Aの事情で、延び延びになつた。 (オ) 本件土地の価格は、敗戦後の物価騰貴により、Aが原告会社に対し残金の支払いを催告した昭和三二年ころには、昭和一八年と比べ三五〇倍にもなつた。そこで、Aは、昭和三二年八月ころ、残代金を土地の時価の半額程度に増額して支払つて貰い度いと申し入れたが、原告会社は確答をさけ、その後、両者で折衝されたが、結論がえられなかつた。 (カ) そこで、Aは、昭和三五年一〇月八日原告会社に到達した内容証明郵便で、事情変更を理由に契約解除の意思表示をし、第一次訴訟事件(建物収去土地明渡等請求事件)を提起した。 Aは、昭和三七年八月二三日死亡したので、その遺産相続人であるBらが、この訴訟を承継した。 (キ) 第一次訴訟事件の第一審判決(昭和四一年六月三〇日言渡し)は、Aの事情変更による解除を認め、原告会社の時効取得の抗弁を排斥してBらを勝訴させた。 取得時効の抗弁が排斥されたのは、原告会社に本件土地を所有する意思があつたと認められないとされたからであつた。 (ク) 原告会社は、これを不 め、原告会社の時効取得の抗弁を排斥してBらを勝訴させた。 取得時効の抗弁が排斥されたのは、原告会社に本件土地を所有する意思があつたと認められないとされたからであつた。 (ク) 原告会社は、これを不服として控訴したところ、控訴審判決(昭和四四年九月一二日言渡し)は、第一審判決と反対に、事情変更による契約解除を認めず、時効取得の抗弁を付加的に認めて、第一審判決を取り消してBらを敗訴させた。 そこで、Bらは、これを不服として上告した。 (ケ) 他方、原告会社は、第二次訴訟事件(所有権移転登記手続請求事件)を提起したところ、第一審判決(昭和四六年一〇月七日言渡し)は、原告会社の取得時効を認めて原告会社を勝訴させた。 原告会社は、この事件では、一次的に取得時効による本件土地の所有権移転登記手続を求め、二次的に残代金を時価の半額である金三六〇万円に増額し、この金員の支払いと引きかえに本件土地の所有権移転登記手続を求めた。 Bらは、この判決を不服として控訴した。 (コ) 大阪高等裁判所は、昭和四八年一一月一日、第二次訴訟事件について和解を成立させた。 第二次訴訟事件の第一審は、昭和四五年一〇月、不動産鑑定士Dに本件土地の時価の鑑定をさせたところ、同不動産鑑定士は、同年九月ににおける更地価格として金五、二六七万四、六四一円、原告会社が本件土地を買い取る場合(借地権なし)の価格として金三、七九二万五、七四〇円と鑑定評価した。 (サ) 原告会社は、本件和解が成立するまで、本件土地に工場建物などを建てて使用してきたが、本件土地の使用料をBらに支払つたことがないし、本件土地の公租公課は、全部Bらの方が支払つた。 (シ) 原告会社は、会計帳簿に本件土地を価格二万円の資産として、また本件土地買受残代金一万円を負債として記載し、そのように税務上の処理もしてきた。 (2) 以 公租公課は、全部Bらの方が支払つた。 (シ) 原告会社は、会計帳簿に本件土地を価格二万円の資産として、また本件土地買受残代金一万円を負債として記載し、そのように税務上の処理もしてきた。 (2) 以上認定の事実から、次のことが結論づけられる。 (ア) Bらの主張する事情変更による契約解除は、全く理由がない無理な主張としてしまえるものではなかつた。げんに、第一次訴訟事件の一審判決がこれを認めたし、原告会社自身が、第二次訴訟事件では、これを二次的請求の原因としているのである。 (イ) 原告会社は、第一次訴訟事件の控訴審、第二次訴訟事件の第一審で、取得時効を理由に勝訴することができたが、原告会社にはこれら勝訴判決が各上級審で取り消されて敗訴しないかという不安が残つていた。 (ロ) そのため、原告会社が和解によつて支払いを約束した和解金は、原告会社が本件土地を買い取る場合の鑑定価格の約四割にあたる額であつたし、また、原告会社が右和解金の支払いを一回でも怠つたときは、本件土地の所有権はBらに移転し、原告会社は地上建物を収去して本件土地を明け渡すという原告会社に厳しい条項が和解条項に加わることまでも承諾した。 (エ) 原告会社は、本件土地を買い受けて昭和一九年ころからこれを利用してきたのであるから、本件土地が原告会社の所有に属すると定める場合には、昭和一九年以降の本件土地の公租公課はすべて原告会社の負担とするのが合理的であつた。 (オ) このようにみてくると、原告会社が、本件和解に応じ金一、五〇〇万円もの和解金を支払うことにしたのは、原告会社の本件土地の所有権を確実なものとし、Bらの本件土地に対する権利主張に終止符を打つことに主たる目的があり、あわせて、Bらが支払つて来た固定資産税(都市計画税をも含むものと解される)の精算をすることに付随的な目的があつた 実なものとし、Bらの本件土地に対する権利主張に終止符を打つことに主たる目的があり、あわせて、Bらが支払つて来た固定資産税(都市計画税をも含むものと解される)の精算をすることに付随的な目的があつたものとみなければならない。 (3) まとめ本件和解金は、原告会社とBらとの本件土地をめぐる長年の紛争を解決し、本件土地を原告会社の完全な所有のもとにおき、あわせて、固定資産税等の精算をするために支払われたものである。 (二) 原告会社の反論について原告会社は、本件土地を時効によつて取得したことは、まぎれもない事実であつたから、本件和解金の支払いによつて原告会社の本件土地の所有権の取得を確実にしたものではないと主張しているが、前記認定事実からすると、原告会社のこの主張は無理である(前記(一)(2)の判断参照)。 原告会社は、本件和解金を支払つたのは、Bらが多額の訴訟費用と弁護士報酬を支出していたことやBらが長年本件土地の公租公課を事実上支払つたことなどを考慮したからで、本件土地の所有権を改めて取得するためではないと主張している。そして、証人Cの証言中には、これにそう供述部分がある。 本件和解金の支払いが、Bらが支払つてきた固定資産税等の精算をする目的もあつたことは前記認定のとおりである(本件和解金のうち、右目的の占める限度の額については、後に判断する。)しかし、本件顕われた証拠を仔細に検討しても、原告会社が本件和解金支払いの約束につき本件土地の所有権を完全なものとする目的はなく、原告会社が主張するような目的だけで本件和解をしたことが認められる的確な証拠はない(なお、かりに原告会社主張のとおりであるとすると、本件和解金のうち固定資産税等精算分以外の部分の支払いは、本来支払う必要のないものを支払つたことになるから、法人税法上は寄付金として取り扱われる ない(なお、かりに原告会社主張のとおりであるとすると、本件和解金のうち固定資産税等精算分以外の部分の支払いは、本来支払う必要のないものを支払つたことになるから、法人税法上は寄付金として取り扱われることになろうから、必ずしも原告会社にとつて有利とはいえない。)そうすると、原告会社のこの主張は採用できない。 (三) 本件和解金のうち固定資産税等精算部分の支払いの法人税法上の取扱い(1) 本件和解金は、Bらが支払つた固定資産税等を精算する目的もあつたことは前に説示したとおりである。 本件和解金のうち右の目的を有する部分の額であるが、本件のように数個の目的のため金銭を支払う和解をする場合には、当事者の関心は支払われる総額の点にあつて、個々的な項目ごとの金額は明示的には定められず、当事者もそれを定めることに関心を持たないことが多い。本件でも、和解条項上は個々の項目ごとの金額は定められていないし、当事者間でそれが明示的に定められたと認められる証拠がない。 ところで、本件では、本件土地が原告会社の所有と定められた以上、原告会社が利用してきた期間についての公租公課はその負担とするのが合理的であり、和解当事者の意思もそこにあつたと解せられる。そうすると、本件和解金のうち固定資産税等精算部分の金額は、Bらが支払つた昭和四八年度第三期分までの固定資産税、都市計画税の額を、和解時の額に換算した額とするほかはない。 (2) Bらが支払つた固定資産税等の額を和解時の額に換算する方法について、原告会社は固定資産税課税標準額の比率によるべき旨を主張する。しかし、固定資産税課税標準額は徴税目的のため決定されるものであつて、その標準額の上昇が現実の土地価格や一般物価の上昇に比例するものでないことは当裁判所に顕著である。 そうすると、この標準額の比率を換算率として用いること 標準額は徴税目的のため決定されるものであつて、その標準額の上昇が現実の土地価格や一般物価の上昇に比例するものでないことは当裁判所に顕著である。 そうすると、この標準額の比率を換算率として用いることは適当ではないことはいうまでもない。 被告の主張する消費者物価指数の比率による方法は原告会社主張の方法と比較すると合理的であり、他により合理的であつてその適用結果が被告の自認する換算額を超えることになる方法が見当らないから、被告の自認する換算額計九四万四、二七二円をもつて、Bらの支払つた固定資産税、都市計画税を和解時の額に換算した額とすることとする。 (3) そうすると、本件和解金のうち九四万四、二七二円は、本来は原告会社が負担すべきであつた固定資産税等を支払者のBらに精算(償還)するために支払が約されて、支払われたものである。 そこで、このような和解金の法人税法上の取扱いを検討する。 法人が納付すべき固定資産税、都市計画税は損金の額に算入されるものであるが、その法人が市町村に対する関係でこれら税の納税義務者とならない場合であつても、その納税義務者との関係でこれを最終的に負担すべき場合には、その負担金はやはり損金の額に算入されるものと解するのが相当である。そして、このような負担金が一括して和解によつて精算されたときは、その負担金の全額を和解時の属する事業年度の損金の額に算入することが許されるのである。 (4) まとめ本件和解金のうち九四万四、二七二円は本件事業年度の損金の額に算入すべきものであり、この限度で被告の本件処分にはかしがある。 (四) 本件和解金のうちその余の部分の支払いの法人税法上の取扱い(1) 前記認定のとおり、本件土地は原告会社が買い受けて使用してきたところ、その所有権の帰属について紛争が生じたので、原告会社はその紛争を解決し本 金のうちその余の部分の支払いの法人税法上の取扱い(1) 前記認定のとおり、本件土地は原告会社が買い受けて使用してきたところ、その所有権の帰属について紛争が生じたので、原告会社はその紛争を解決し本件土地を完全な所有のもとにおくための対価として和解金(右(三)の九四万四、二七二円を除く一、四〇五万五、七二八円)を支払つたものである。このような完全な権利を得るための対価である右和解金は、本件土地の取得原価を構成するものであつて、損金の額に算入されるものではない。 (2) 原告会社は、本件土地の買受当時、右和解金の支払いが予定されていなかつたから、和解金の支払いは取得原価を構成しないと主張しているが、前記認定事実によると、和解後における原告会社の本件土地所有権が昭和一八年の売買にもとづくものとは一概に断定することはできないのであつて、それが不明確であつたものを和解によつて原告会社の所有であることを明確にしたのであるから、和解金が完全な所有権の対価であることを否定することはできない。そして、このように権利の対価としての性格のある支払いは、取得原価を構成するのが一般の原則であるから、原告会社の右主張は理由がない。 (五) 本件和解による益金被告は、原告会社は本件土地を時効により取得したのであるから、和解時における本件土地の時価、即ち三、七九二万円を益金に算入すべきであり、本件和解によつて右時価より和解金を差引いた所得があつたと主張する。 確かに、法人が時効、又は贈与により無償で土地を取得した場合は、その取得時の土地の時価を益金の額に算入すべきである。 ところが、本件では、和解条項では、本件土地は時効取得により原告会社の所有であることを確認するとされてはいるが、原告会社はそのように所有権確認を得るについて対価として和解金一、四〇五万円余を支払つている ろが、本件では、和解条項では、本件土地は時効取得により原告会社の所有であることを確認するとされてはいるが、原告会社はそのように所有権確認を得るについて対価として和解金一、四〇五万円余を支払つているのであるから、原告会社は無償で本件土地を取得したものとはいえない。したがつて、無償取得の場合の原則を本件に適用することはできない。そして、有償で取得した資産については、その取得原価を価額として計上するのが企業会計の原則であり、その取得原価が低額であつてもその評価益を計上すべきものではないから、被告の主張は全く理由がない。 もつとも、支払われた対価が名目的な極めて低い額である場合には、実質的には無償による取得として取得土地の時価を資産として計上することが許されると解される余地はある。しかし、本件では、原告会社は本件土地の買受けを理由として勝訴する可能性がなかつたとも断じえないし、売買代金の半額が支払いずみであつたことをも考慮すると、本件土地の時価(被告主張の額)の約三七パーセントにものぼる和解金の支払いが、対価として名目的であつてその所有権確認の対価としては実質的には無償であると断ずることは無理である。 三むすび以上の次第で、本件和解金のうち固定資産税等の精算目的のある部分九四万四、二七二円を損金に算入すると、原告会社の所得は一億四、五二一万四、二九五円となる。そうすると、本件処分は右所得金額を超える部分は違法であるからこの部分を取り消すこととし、その余の部分は適法であるから原告会社のその余の請求を棄却することとして、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九二条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判官古崎慶長井関正裕西尾進)別表第一、第二(省略) 法七条、民訴法八九条、九二条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判官古崎慶長井関正裕西尾進)別表第一、第二(省略)

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