昭和26(上)11 入場税法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和26年9月12日 福岡高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  本件上告の趣意は記録に編綴されている弁護人重永義栄提出の上告趣意書記載の 通りであるから茲に之を引用する。  第一、 憲

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判決文本文1,369 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 本件上告の趣意は記録に編綴されている弁護人重永義栄提出の上告趣意書記載の通りであるから茲に之を引用する。 第一、 憲法違反の論旨について。 然れども国民が国家の課税権を侵害し国庫に損害を与え、又は与えんとする場合に於て過去及び将来に亘る国家の租税権を確保し公共の福祉を維持するために此等の行為を法定の要件の下に犯罪とし以てこの種の行為の予防及び鎮圧を図ることは、国家の自存上当然許容されなければならぬ事柄である。 <要旨>入場税法の逋脱犯も亦此の理によるものであつて、同法第十七条ノ三の法人又は人は事業の経営者で唯一の</要旨>納税徴収義務者であるから自己の従業者等が不正行為によつて自己の負担する入場税を逋脱しないよう、其等の者を十分に注意監督すべき法律上の義務あるものと解せられる。此の事は民法第七百十五条の精神からも正に首肯し得べきことなのである。従つて事業の経営者である法人又は人が、自己の従業者等の違反行為に対して処罰を受けるゆえんのものは、とりも直さず自己が負担したる右法律上の義務違反に対して科せられる不作為による犯罪であつて一種の責任罰と解し得るのである。若しそれ、所論の如く斯る責任罰を無効とせんか、公共の福祉に反し国家社会に及ぼす悪影響の如何に大なるかは多言を要しないところである。それ故憲法第十二条第十三条も公共の福祉に反する場合に於ては生命自由及び財産に対する国民の基本的人権もこれを制限乃至剥奪し得べきことを予期しているのである。されば入場税法第十七条ノ三の法人又は入は自己の行為(不作為)を原因として処罰を受くるものであり、同条は前記のように憲法の精神に違反するものでもないから論旨はこれを採用しない。 第二、 公訴提起の違法に関する論旨について。 法人又は入は自己の行為(不作為)を原因として処罰を受くるものであり、同条は前記のように憲法の精神に違反するものでもないから論旨はこれを採用しない。 第二、 公訴提起の違法に関する論旨について。 然れども入場税法第十七条ノ三の規定は所論のように行為者を先づ第一に起訴しなければならぬとの見解は同条の文理又は精神解釈によるもこれを肯認し得ないところであり、行為者事業主のいづれを起訴するか、又は起訴しないかは全く検察官の裁量に委せられており、何人もこれに干渉し得ない性質のものである(旧刑訴法第二七九条)。所論は畢竟犯罪の存否と起訴の当否とを混同するものと言わねばならぬ。従つて本件公訴の提起には所論のような違法は毫も存しないので右論旨は理由がない。 第三、 入場税法第十六条不適用に関する論旨について。 原判決を調査するに同判決中には明らかに入場税法第十六条を適用した旨の記載があるので、右論旨も亦これを採用しない。 第四、 量刑不当の論旨について右論旨は、日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十三条第二項により旧刑事訴訟法第四百十二条乃至第四百十四条の規定が適用されない本件に於ては上告理由となし得ないこと言を俟たない。従つて、右論旨は採用するに由ない。 そこで旧刑事訴訟法第四百四十六条に則り本件上告を棄却することとし、主文の通り判決する。 (裁判長裁判官筒井義彦裁判官川井立夫裁判官桜木繁次)

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