- 1 -平成26年3月7日判決言渡平成24年(行ウ)第313号相続税更正処分取消請求事件 主文 1 奈良税務署長が原告Aに対し平成22年7月5日付けでした,被相続人Bの平成19年▲月▲日に開始した相続に係る原告Aの相続税についての更正処分のうち納付すべき税額17億1552万7400円を超える部分を取り消す。 2 奈良税務署長が原告Cに対し平成22年7月5日付けでした,被相続人Bの平成19年▲月▲日に開始した相続に係る原告Cの相続税についての更正処分のうち納付すべき税額8713万3900円を超える部分を取り消す。 3 原告Cのその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用はこれを5分し,その3を被告の負担とし,その余を原告Cの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 奈良税務署長が原告Aに対し平成22年7月5日付けでした,被相続人B(以下「亡B」という。)の平成19年▲月▲日に開始した相続に係る原告Aの相続税についての更正処分(以下「本件更正処分1」という。)のうち納付すべき税額17億1552万7400円を超える部分を取り消す(主文1項と同旨)。 2 奈良税務署長が原告Cに対し平成22年7月5日付けでした,亡Bの平成19年▲月▲日に開始した相続に係る原告Cの相続税についての更正処分(以下「本件更正処分2」といい,本件更正処分1と併せて以下「本件各更正処分」という。)のうち納付すべき税額6249万7100円を超える部分を取り消す。 - 2 -第2 事案の概要等 1 事案の要旨(1)ア原告らの父である亡Bは,Dとの間において,平成16年9月9日,①亡Bを被保険者及び年金受取人とし,原告Aを死亡給付金の受取人とする変額個人年金保険契約(以下「本件保険契約1」という。)及び②亡 ア原告らの父である亡Bは,Dとの間において,平成16年9月9日,①亡Bを被保険者及び年金受取人とし,原告Aを死亡給付金の受取人とする変額個人年金保険契約(以下「本件保険契約1」という。)及び②亡Bを被保険者及び年金受取人とし,原告Cを死亡給付金の受取人とする変額個人年金保険契約(以下「本件保険契約2」といい,本件保険契約1と併せて以下「本件各保険契約」という。)を締結した。 イ亡Bは,平成19年▲月▲日(以下「本件時点」という。)に死亡した。亡Bの死亡によって開始した相続(以下「本件相続」という。)の相続人は,亡Bの妻(以下「妻」という。)及び原告らの3名(これら3名を併せて以下「本件相続人ら」という。)である。 ウ本件相続人らは,本件相続に係る相続税の申告及び修正申告をしたところ,修正申告後の申告内容は,①本件各保険契約に係る死亡給付金の支払の請求権(以下「本件各死亡給付金請求権」といい,本件保険契約1に係る死亡給付金の支払の請求権,本件保険契約2に係る死亡給付金の支払の請求権を個別に指す場合は,それぞれ「本件死亡給付金請求権1」,「本件死亡給付金請求権2」という。)について,いずれも,相続税法(平成22年法律第6号による改正前のもの。以下,相続税法の規定については,特に断りのない限り,本件時点において施行されていたものをいう。)3条1項1号に規定するいわゆるみなし相続財産に該当することを前提に,同法24条1項のいわゆる柱書きにいう「定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利」(以下「定期金給付契約に関する権利」ともいう。)のうち同項1号に規定する「有期定期金」で「残存期間が35年を超えるもの」に該当するとして,同号に規定されている評価方法に基づいてその価額を る権利」(以下「定期金給付契約に関する権利」ともいう。)のうち同項1号に規定する「有期定期金」で「残存期間が35年を超えるもの」に該当するとして,同号に規定されている評価方法に基づいてその価額を評価 - 3 -し,②同法17条所定の相続等により「財産を取得した者に係る相続税の課税価格が当該財産を取得したすべての者に係る課税価格の合計額のうちに占める割合」(以下「按分割合」という。)を計算するに当たって,本件相続人らそれぞれに係る按分割合の数値の合計が「1」となるように,[ア]原告Cに係る按分割合の数値については小数点以下2位未満の端数を切り捨て,[イ]妻に係る按分割合の数値については小数点以下11位を四捨五入し,[ウ]原告Aに係る按分割合の数値については「1」から上記[ア]と[イ]の各数値の合計を差し引いたものとするとの方法により端数を調整し,本件相続人らそれぞれに係る按分割合の数値を別紙2(各相続人の相続税額の按分割合)の「本件修正申告」欄記載のものとする(原告らは,以上の方法が相続税法基本通達〔昭和34年1月28日付け直資10(例規)国税庁長官通達。ただし,平成20年7月8日付け課資2-1等による改正前のもの。以下「相続税法基本通達」という。〕17-1に沿うものである旨主張している。原告らが主張する上記の端数の調整方法を以下「原告ら主張の端数調整法」という。)などとしたものである。 (2) 奈良税務署長は,原告らに対し,①本件各死亡給付金請求権はいずれも相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利には該当せず同項1号の適用はないものと判断するとともに,②本件相続人らに係る按分割合の計算に当たり,原告ら主張の端数調整法を採用せず,本件相続人らそれぞれに係る相続税の課税価格を分子とし,本件相続人ら全員に係る課税 号の適用はないものと判断するとともに,②本件相続人らに係る按分割合の計算に当たり,原告ら主張の端数調整法を採用せず,本件相続人らそれぞれに係る相続税の課税価格を分子とし,本件相続人ら全員に係る課税価格の合計額を分母とする分数を本件相続人らそれぞれに係る按分割合として(別紙2〔各相続人の相続税額の按分割合〕の「本件各更正処分」欄参照),本件各更正処分をした。 (3) 本件は,原告らが,①本件各死亡給付金請求権は,いずれも相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当し,同項1号の規定の適用がある,②同業他社の本件各保険契約と同種の契約に係る請求権につい - 4 -ては同号の規定の適用が認められているのに,本件各死亡給付金請求権についてのみ同号の規定の適用を認めないのは,憲法14条等が規定する平等原則・租税公平主義に反する,③本件相続人らに係る按分割合の計算に当たっては,原告ら主張の端数調整法を採用すべきであり,これを用いなかった本件各更正処分は,相続税法17条に違反する,などと主張して,本件各更正処分のうち前記ウの修正申告において原告らが申告した納付すべき税額を超える部分の取消しを求める事案である。 なお,補助参加人は,Dから保険契約の包括移転(保険業法210条1項,135条。ただし,いずれも平成24年法律第23号による改正前のもの。 以下同じ。)を受け,本件各保険契約における保険者の地位を承継した者である。 2 関係法令等の定め別紙3(関係法令等の定め)に記載したとおりである(同別紙において定めた略称は,以下においても用いることとする。)。 3 前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない事実である。以下「前提事実」という。)(1) 本件相続 においても用いることとする。)。 3 前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない事実である。以下「前提事実」という。)(1) 本件相続原告らの父である亡Bは,平成19年▲月▲日(本件時点)に死亡した。 亡Bの死亡によって開始した本件相続の共同相続人(法定相続人)は,亡Bの妻である妻及び原告らの3名(本件相続人ら)である。 (2) 本件各保険契約の締結等ア亡Bは,平成16年9月9日,Dとの間において,①亡Bを被保険者及び年金受取人とし,原告Aを死亡給付金の受取人とする保険料一時払いの変額個人年金保険契約(2004)(本件保険契約1)並びに②亡Bを被保険者及び年金受取人とし,原告Cを死亡給付金の受取人とする保険料一時払いの変額個人年金保険契約(2004)(本件保険契約2)を締結し, - 5 -同日までに,Dに対し,本件各保険契約に係る払込保険料として,それぞれ1億円ずつを支払った。 亡Bが,本件各保険契約それぞれの申込みに際して提出した各「変額個人年金保険(2004)契約申込書兼告知書」(以下,本件保険契約1に係るものを「本件保険申込書1」といい,本件保険契約2に係るものを「本件保険申込書2」といい,これらを併せて「本件各保険申込書」という。)には,いずれも,①契約者が自ら受け取る年金に関して,「据置期間」欄には「10年」と記載され,「年金種類」欄には「確定年金」に,「年金支払期間」欄には「15年」に,それぞれ丸印が付されており,②また,年金支払特約に関して,「年金支払特約」欄には「付加する」に丸印が付されているが,本件各保険申込書には,年金の種類及び支払期間の指定に係る記載をする欄は設けられていなかった(乙1の1・2)。 また,本件各保険契約に係る保険証券 払特約」欄には「付加する」に丸印が付されているが,本件各保険申込書には,年金の種類及び支払期間の指定に係る記載をする欄は設けられていなかった(乙1の1・2)。 また,本件各保険契約に係る保険証券には,「当会社は,普通保険約款および特約付の場合はその特約条項に基づいて,保険契約者とこの保険契約を締結しました。」との記載(なお,「当会社」とはDを指す。)がされている(甲1の1,2の1)。 さらに,本件各保険契約に係る「ご契約内容のご案内」と題する書面中の「適用条項・特約」欄には,「年金支払特約」との記載がされている(甲1の2,2の2)。 イ変額個人年金保険(2004)普通保険約款(甲7。以下「本件普通保険約款」という。)などによれば,年金及び死亡給付金の支払に関する本件各保険契約の内容は,要旨,次のようなものである。 (ア) 被保険者(亡B)が年金支払開始日に生存している場合平成26年9月9日を年金支払開始日として,被保険者である亡Bがその年金支払開始日に生存しているときは,年金支払期間を15年とする確定年金の方法により,Dが,年金受取人である亡Bに対し,各年の - 6 -年金支払開始日の応当日に年金を支払う(甲1の2,2の2,本件普通保険約款〔甲7〕9条2項(2),11条(2)「① 年金」欄)。 (イ) 被保険者(亡B)が年金支払開始日前に死亡した場合被保険者である亡Bが前記(ア)の年金支払開始日前に死亡したときは,Dが,死亡給付金の受取人である原告A又は原告Cに対し,死亡給付金を一時に支払う。その支払額については,亡Bが死亡した日における積立金相当額とし,同金額が一時払保険料を下回る場合には,一時払保険料相当額とする(甲1の2,2の2,本件普通保険約款〔甲7〕15条)。 (3) 年金支 額については,亡Bが死亡した日における積立金相当額とし,同金額が一時払保険料を下回る場合には,一時払保険料相当額とする(甲1の2,2の2,本件普通保険約款〔甲7〕15条)。 (3) 年金支払特約の付加についてア前記(2)アのとおり,亡Bは,本件各保険申込書の「年金支払特約」欄の「付加する」に丸印を付しているところ,その年金支払特約に係る条項(平成3年3月2日実施,平成16年7月1日改正。甲7。以下「本件特約条項」という。)の「この特約の趣旨」と題された項にある記載によれば,年金支払開始日(平成26年9月9日。前記(2)イ(ア))前に亡Bが死亡したときにDから原告A又は原告Cに対して支払われる各死亡給付金(以下「本件各死亡給付金」といい,原告Aに対して支払われる死亡給付金のみを指すときは「本件死亡給付金1」といい,原告Cに対して支払われる死亡給付金のみを指すときは「本件死亡給付金2」という。)を,「年金の方法により支払」うこととなり,「その受取人の将来の生活安定をはかることを目的とする」ものとされる。 イ本件特約条項の1条以下によれば,本件各保険契約に付加された年金支払特約(以下「本件各特約」といい,本件保険契約1又は本件保険契約2に付加された年金支払特約を個別に指すときは,それぞれ「本件特約1」,「本件特約2」という。)の内容は,要旨,以下のとおりである(甲7)。 (ア) 本件各特約は,保険金,死亡給付金等(以下「保険金等」という。) - 7 -の支払後である場合を除き,元保険契約申込みの際及び元保険契約継続中においては保険契約者の申出により,また,保険金等の支払事由発生後においてはその受取人(以下「保険金等受取人」という。)の申出により締結する(1条1項及び2項)。 中においては保険契約者の申出により,また,保険金等の支払事由発生後においてはその受取人(以下「保険金等受取人」という。)の申出により締結する(1条1項及び2項)。 (イ) 本件各特約が締結されたときは,保険契約者の申出により本件各特約を締結した場合には,保険金等の支払事由発生時に保険金等の全部又は一部を年金基金に充当し,保険金等の支払事由発生後に保険金等受取人の申出により本件各特約を締結した場合には,本件各特約の締結時に保険金等の全部又は一部を年金基金に充当する(2条)。 (ウ) 本件各特約における年金受取人は,年金基金に充当された保険金等の受取人とする(3条)。 (エ) 年金の種類は,「保証期間付終身年金」,「確定年金」,「保証期間付夫婦年金」,「定額保証付終身年金」及び「保証金額付終身年金」とする(5条)。 (オ) 確定年金においては,年金基金を一定額の年金に分割して支払い(7条1項),年金支払期間中に年金受取人が死亡したときは,未払金の現価を一時にその相続人に支払う(同条2項)。 (カ) 年金支払開始日は,保険金等の支払事由が生じた日とし(11条1項本文),第2回以後の年金支払日は,毎年の年金支払開始日の応当日とする(同条2項)。 (キ) 保険契約者(年金支払開始日以後は年金受取人)は,元保険契約(本件各保険契約)継続中に限り,年金の種類その他年金支払の内容を変更することができる(16条1項,29条2項)。 (ク) 保険契約者(年金支払開始日以後は年金受取人)は,元保険契約継続中に限り,いつでも将来に向かってこの特約を解約することができる(17条1項,29条2項)。 - 8 - (ク) 保険契約者(年金支払開始日以後は年金受取人)は,元保険契約継続中に限り,いつでも将来に向かってこの特約を解約することができる(17条1項,29条2項)。 - 8 -また,確定年金においては,年金受取人は,あらかじめ保険契約者の反対の申出がない限り,前記(イ)により年金基金が設定された後いつでも将来に向かってこの特約を解約することができ(17条2項),年金支払開始日後に年金受取人がこの特約を解約したときは,未払金の現価を一時に支払う(17条3項)。 (4) 本件各死亡給付金の支払請求等ア原告Aは,亡Bの死亡(平成19年▲月▲日)後の同年8月20日,本件保険契約1及び本件特約1に基づき,Dに対し,「年金支払請求書年金保険用【年金支払特約(初回請求用)】」(乙2の1。以下「本件請求書1」という。)を提出した(本件請求書1による年金支払請求を以下「本件支払請求1」という。)。原告Aは,本件請求書1において,年金支払の原資となる年金基金への充当額につき「全額」を選択する旨記載するとともに,「年金支払申込内容」として,年金支払期間を36年とする確定年金とする旨を記載した(乙2の1)。 イ原告Cは,亡Bの死亡(平成19年▲月▲日)後の同年8月20日,本件保険契約2及び本件特約2に基づき,Dに対し,「年金支払請求書年金保険用【年金支払特約(初回請求用)】」(乙2の2。以下「本件請求書2」といい,本件請求書1と併せて以下「本件各請求書」という。)を提出した(本件請求書2による年金支払請求を以下「本件支払請求2」といい,本件支払請求1と併せて以下「本件各支払請求」という。)。原告Cは,本件請求書2において,年金支払の原資となる年金基金への充当額につき「全額」を選択する 年金支払請求を以下「本件支払請求2」といい,本件支払請求1と併せて以下「本件各支払請求」という。)。原告Cは,本件請求書2において,年金支払の原資となる年金基金への充当額につき「全額」を選択する旨記載するとともに,「年金支払申込内容」として,年金支払期間を36年とする確定年金とする旨を記載した(乙2の2)。 ウ原告らそれぞれが,前記ア及びイにおいて年金基金に充てた本件各死亡給付金の金額は,いずれも1億0830万3534円であった(乙3)。 - 9 -また,前記ア及びイのとおり,本件各死亡給付金が,いずれも支払期間を36年間とする確定年金とされた結果,原告らそれぞれが36年間に受け取るべき年金の総額は,いずれも1億4515万7076円となった(甲10)。 (5) 本件相続に係る相続税の申告書の提出等本件相続人らは,法定申告期限内である平成20年4月8日,奈良税務署長に対し,本件相続に係る相続税の申告書(甲3。その内容は別紙4〔課税の経緯〕の「申告」欄記載のとおり。)を提出した(この申告書を以下「本件申告書」といい,その提出行為を以下「本件申告」という。)。本件申告書の記載内容のうち,本件訴えにおける後記5の争点に関わる点は,以下のとおりである。 ア本件各死亡給付金請求権の評価額原告らは,本件各死亡給付金請求権がいずれも相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当し,これらの残存期間が36年であることから,同項1号に規定する「有期定期金」で「残存期間が35年を超えるもの」に該当するとして,原告らが受け取るべき死亡給付金の総額1億4515万7076円に100分の20を乗じた2903万1415円をもって,本件各死亡給付金請求権の評価額としていた。 イ本件相続人らそれぞれについ 原告らが受け取るべき死亡給付金の総額1億4515万7076円に100分の20を乗じた2903万1415円をもって,本件各死亡給付金請求権の評価額としていた。 イ本件相続人らそれぞれについての相続税額の計算本件相続人らは,それぞれの相続税額の計算において,相続税法17条に規定する按分割合について,亡Bの各共同相続人に係る按分割合の数値の合計が1になるように,①原告Cに係る按分割合の数値については小数点以下2位未満の端数を切り捨て,②妻に係る按分割合の数値については小数点以下11位を四捨五入し,③原告Aに係る按分割合の数値については「1」から上記①及び②の各数値の合計を差し引いたものとする方法(原告ら主張の端数調整法)によってそれぞれの端数を調整し,本件相続 - 10 -人らそれぞれについての按分割合の数値を算定していた(本件相続人らが本件申告において用いた按分割合の数値は,別紙2〔各相続人の相続税額の按分割合〕の「本件申告」欄記載のとおりである。)。 (6) 奈良税務署による調査等奈良税務署の調査担当職員は,平成21年8月,本件相続に係る相続税につき調査をし,奈良税務署長は,同年10月,原告らに対し,①亡Bの自宅の門,塀及び庭園設備(評価額の合計2652万8881円)が,本件相続に係る相続税の課税対象となる財産であるのに申告漏れとなっている,②本件各死亡給付金請求権の評価額がいずれも誤っている(評価額の増差額の合計1億4193万7170円)として,本件相続に係る相続税の修正申告をすることをしょうようした。 (7) 本件相続人らによる修正申告書の提出本件相続人らは,平成21年11月4日,奈良税務署長に対し,前記(6)①の申告漏れの点のみを是正した本件相続に係る相続税の修正申告書(甲4。 その内容は,別紙 ) 本件相続人らによる修正申告書の提出本件相続人らは,平成21年11月4日,奈良税務署長に対し,前記(6)①の申告漏れの点のみを是正した本件相続に係る相続税の修正申告書(甲4。 その内容は,別紙4の「修正申告」欄記載のとおり。)を提出した(この修正申告書を以下「本件修正申告書」といい,その提出行為を以下「本件修正申告」という。)。 本件修正申告書において,①原告らは,本件各死亡給付金請求権の評価額について,本件申告におけるのと同額としており,②また,本件相続人らは,按分割合について,本件申告書において用いた原告ら主張の端数調整法によって按分割合の数値の端数を調整し,本件相続人らそれぞれについての按分割合の数値を算定ていした(本件相続人らが本件修正申告において用いた按分割合の数値は,別紙2〔各相続人の相続税額の按分割合〕の「本件修正申告」欄記載のとおりである。)。 (8) 本件修正申告を受けての過少申告加算税の賦課決定処分奈良税務署長は,本件修正申告によるいわゆる増差税額を基礎として,原 - 11 -告らに対し,平成22年7月1日付けで,別紙4の「賦課決定」欄(平成22年7月1日と記載のあるもの)記載のとおり,過少申告加算税の賦課決定処分をした。 (9) 本件各更正処分等奈良税務署長は,平成22年7月5日付けで,別紙4の「更正処分等」欄記載のとおり,①原告らそれぞれに対し,本件各更正処分をするとともに,②原告Aに対しては,本件各更正処分による増差税額を基礎として過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をし,③原告Cに対しては,前記(8)の過少申告加算税を0円に減額する変更決定処分をした。 本件各更正処分の内容のうち,本件訴えにおける後記5の争点に関わる点は,以下のとおりである。 ア し,③原告Cに対しては,前記(8)の過少申告加算税を0円に減額する変更決定処分をした。 本件各更正処分の内容のうち,本件訴えにおける後記5の争点に関わる点は,以下のとおりである。 ア本件各死亡給付金請求権の評価額奈良税務署長は,本件各死亡給付金請求権は,いずれも相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に当たらず,これらの価額は,いずれも死亡給付金受取人が本件各死亡給付金を一時金で受領した場合の額であるとして,原告らそれぞれについての本件各死亡給付金請求権の価額を,いずれも亡BのDへの払込金額である1億円と評価した。 イ本件相続人らそれぞれについての相続税額の計算奈良税務署長は,本件各更正処分に当たり,本件相続人らそれぞれの按分割合につき,本件相続人らが本件申告書及び本件修正申告書において用いた原告ら主張の端数調整法を用いず,別紙2(各相続人の相続税額の按分割合)の「本件各更正処分」欄記載のとおりの数値(本件相続人らそれぞれの課税価格が課税価格の合計額に占める割合を算出し,小数点以下11位を四捨五入したもの)を本件相続人らそれぞれの按分割合の数値として用いた。 - 12 -(10) 異議申立て①原告らは,平成22年9月3日,本件各更正処分及び本件賦課決定処分を不服とし,その取消しを求めて異議申立てをしたところ,②奈良税務署長は,同年10月29日付けで,別紙4の「異議決定」欄記載のとおり,本件賦課決定処分の全部を取り消す一方,本件各更正処分については異議申立てを棄却する旨の異議決定をした。 (11) 原告Cに対する過少申告加算税の賦課決定奈良税務署長は,前記(9)③の変更決定処分が誤りであったことから,原告Cに対し,平成22年11月16日付けで,別紙4の「賦課決定」欄( た。 (11) 原告Cに対する過少申告加算税の賦課決定奈良税務署長は,前記(9)③の変更決定処分が誤りであったことから,原告Cに対し,平成22年11月16日付けで,別紙4の「賦課決定」欄(平成22年11月16日との記載のあるもの)記載のとおり,改めて過少申告加算税の賦課決定処分をした。 (12) 審査請求原告らは,平成22年11月29日,前記(10)の異議決定を経た後の本件各更正処分になお不服があるとして審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成23年11月18日付けで,別紙4の「裁決」欄記載のとおり,これらの審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。 (13) 本件訴えの提起原告らは,平成24年5月9日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 (14) 補助参加人による保険者の地位の承継補助参加人は,Dとの間の事業譲渡(現物出資)契約に基づき,平成24年5月31日付けで,Dから保険契約の包括移転(保険業法210条1項,135条)を受け,本件各保険契約における保険者の地位を承継した(弁論の全趣旨)。 4 本件各更正処分の適法性及びその価額の内訳に関する被告の主張本件各更正処分の適法性及びその価額の内訳に関する被告の主張は,後記6 - 13 -中においてその主張の要点を掲げたほかは,別紙5(本件各更正処分の適法性及びその価額の内訳に関する被告の主張)に記載したとおりである(同別紙において定めた略称は,以下においても用いることとする。)。 5 争点(1) 本件各死亡給付金請求権が相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当するか否か(争点1)(2) 本件各死亡給付金請求権につき相続税法24条1項1号の規定の適用を認めないことが平等原則・租税公平主義に反するか 4条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当するか否か(争点1)(2) 本件各死亡給付金請求権につき相続税法24条1項1号の規定の適用を認めないことが平等原則・租税公平主義に反するか否か(争点2)(3) 本件相続人らに係る按分割合の計算に当たって原告ら主張の端数調整法を採用しなかった本件各更正処分が相続税法17条に違反するものであるか否か(争点3) 6 争点に関する当事者の主張の要点(1) 本件各死亡給付金請求権が相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当するか否か(争点1)についてア被告の主張の要点以下のとおり,本件各死亡給付金請求権は,相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利には該当しない。 (ア) 本件各特約は,本件各保険契約に基づき発生する本件各死亡給付金請求権の全部又は一部について,その支払方法(履行方法)を変更する特約にすぎないと解され,本件各特約の成立時期いかんにかかわらず,原告らが本件各死亡給付金請求権をそれぞれ取得したのは,亡Bの死亡時となるところ,前提事実(2)アのとおり,亡Bが本件各保険申込書の「年金支払特約」欄の「付加する」にいずれも丸印を付したことは認められるが,具体的な年金の種類や支払期間(本件各特約に基づいて支払われる年金の種類及び支払期間を併せて以下「年金の種類等」という。),年金基金充当額は何ら定められず,かえって,前提事実(4)ア - 14 -及びイのとおり,亡Bの死亡後に,原告らにおいて,本件各請求書に年金の種類を「確定年金」,年金支払期間を「36年」,年金基金充当額を「保険金等(死亡給付金)の全額」とそれぞれ記載した上で,これらをDに提出している(本件各支払請求)。また,本件特約条項に基づく特約は,死亡給付 定年金」,年金支払期間を「36年」,年金基金充当額を「保険金等(死亡給付金)の全額」とそれぞれ記載した上で,これらをDに提出している(本件各支払請求)。また,本件特約条項に基づく特約は,死亡給付金の支払事由発生後は,年金受取人においても締結することができるものとされている(本件特約条項1条)。以上の事実関係及び本件特約条項の定めを合理的に解釈すれば,亡Bが上記「年金支払特約」欄の「付加する」に丸印を付した本件各保険申込書をDに提出した時点においては,いまだ亡BとDとの間で本件各特約が締結されたとみることはできず,原告らが本件各請求書をDに提出した時点において,原告らとDとの間で本件各特約が締結されたものというべきである。 そうすると,本件相続の開始時点においては,本件各特約は締結されていなかったことになるから,本件各死亡給付金請求権は,年金支払の方法によるものとされていたとはいえず,相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利には該当しない。 (イ)a 仮に,亡Bが本件各特約を締結したといえるとしても,①本件特約条項には,保険契約者が年金支払特約を付加したのみでその具体的な内容(年金の種類等,年金基金充当額)を特定していない場合に,誰がそれらを選択するかについての定めや,それらが自働的に一定の内容に特定されるというような定めがなく,また,定型様式の本件各保険申込書には,年金支払特約を付加するか否かを選択する欄が設けられているだけで具体的な年金の内容を選択等する欄は設けられておらず,保険契約者(亡B)が死亡給付金に係る年金の内容を確定する形式となっていないこと,②Dは,亡Bの死亡後,原告らが平成19年8月20日に本件各請求書を提出するのに先立って,「年金支払特約のご案内」と題する書面を原告らに交付し,本件 係る年金の内容を確定する形式となっていないこと,②Dは,亡Bの死亡後,原告らが平成19年8月20日に本件各請求書を提出するのに先立って,「年金支払特約のご案内」と題する書面を原告らに交付し,本件各死亡給付金の受取 - 15 -人である原告らに対し,死亡給付金の受取りにつき年金として受け取ることの意思表示を求めたこと(乙7の1・2),③定型様式の本件各請求書は,本件各死亡給付金の受取人(原告ら)が本件各死亡給付金に係る年金支払の内容を具体的に確定する形式となっていることなどからすれば,Dにおける保険実務上の取扱いとしては,保険契約者自身が死亡給付金の年金支払に関する重要な要素について具体的に指定することは予定されておらず,死亡給付金の支払事由である被保険者の死亡後に,その死亡給付金の受取人においてそれらを具体的に確定することが予定されていたものというべきであり,年金受取人たる原告らに対して年金の種類等といった履行方法を指定することのできる地位が留保された死亡保険金の給付の請求権が発生したにとどまるというべきである。また,保険契約者(亡B)が保険契約締結に際して年金支払特約を付加していた場合であっても,本件各死亡給付金の受取人(原告ら)は,年金による支払を拒むことにより,死亡給付金(本件各死亡給付金)を一時金で受け取ることができたというべきである。さらに,本件特約条項17条2項は,保険契約者(亡B)が本件各特約を締結した場合であっても,確定年金においては,あらかじめ保険契約者の反対の申出(本件ではかかる申出はされていない。)がない限り,保険金等受取人(原告ら)は,被保険者(亡B)の死亡後,いつでも本件各特約を解約することができるとしているから,原告らは,亡Bの死亡後はいつでも本件各特約を解約して一時払いを受けることができた り,保険金等受取人(原告ら)は,被保険者(亡B)の死亡後,いつでも本件各特約を解約することができるとしているから,原告らは,亡Bの死亡後はいつでも本件各特約を解約して一時払いを受けることができたのであって,本件各特約が締結されているというのは形式にすぎず,実態は,死亡給付金支払事由発生後に,死亡給付金の受取人(本件では原告ら)の希望により,一時払いか年金払いかが決定される仕組みになっていた。以上に加えて,後記(ウ)のとおり,本件各死亡給付金請求権については,亡Bの死亡により原告らがそれ - 16 -らを取得した当時,年金の種類等が何ら定まっておらず,同法24条1項の「権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているもの」とはいえず,同項1号が適用されるべき定期金給付契約に関する権利としての実体を備えていたとはいえない。 b そして,前提事実(3)イ(イ)のとおり,本件各特約においては,年金の方法による支払は,被保険者の死亡を支払事由として発生する死亡給付金そのものを一定額の年金に分割して支払うというものではなく,死亡給付金を原資とする年金基金を設定した上で,選択した年金の種類に応じて年金基金から年金が支払われるという仕組みがとられており,また,年金基金に充当される死亡給付金はその全額ではなく一部でもよいものとされていることを考え併せると,本件各特約に基づく死亡給付金の受取人による年金の取得は,被保険者の死亡後に死亡給付金の受取人が一時金で受け取った死亡給付金の全部又は一部を原資として,年金の種類等を指定して新たに年金契約を締結した上,当該年金契約に基づいて年金を取得するのと,実態としては何ら異なるところはないから,相続税法24条1項の趣旨に照らしても,本件各死亡給付金請求権は,同項に規定する定期金給付契約に関 約を締結した上,当該年金契約に基づいて年金を取得するのと,実態としては何ら異なるところはないから,相続税法24条1項の趣旨に照らしても,本件各死亡給付金請求権は,同項に規定する定期金給付契約に関する権利には該当しない。 (ウ)a 相続税法24条1項は,将来にわたって受けるべき各定期金の金額を,その受給権の取得の時における現在価値に引き直すため,課税時期(相続開始時)において給付事由の発生している定期金給付契約に関する権利を定期金の給付期間に応じて有期定期金,無期定期金及び終身定期金に区分した上で,その区分に応じて現在価値の評価方法を定めており,かかる評価は原告らが本件各死亡給付金請求権を取得した時点の財産の現況によって行われることとなる。そうすると,原告らが本件各死亡給付金請求権に関する権利を取得した時点において本 - 17 -件各死亡給付金に係る年金の種類等が定まっていなければ,上記のような給付期間に応じた区分を行うことはできず,区分に応じた現在価値の算定をすることもできない。そして,前提事実(2)アのとおり,亡Bは,本件各死亡給付金請求権に係る年金の種類等について具体的な指定を行っていたものではなく,原告らが亡Bの死亡後に年金の種類等を決定したのであって,本件各死亡給付金請求権は,相続開始時において年金の種類等が定まっていなかったのであるから,これらに同項を適用する余地はない。そして,本件各死亡給付金請求権の原告らにおける取得時の時価は,同法22条に基づく時価により,原告らが本件各死亡給付金を取得した本件時点で一時金で受け取る場合の価額(なお,既に述べたように,原告らは,年金による支払を希望しないことによって,一時金で受け取ることもできたものである。)である1億0830万3534円と認めるのが相当である。 受け取る場合の価額(なお,既に述べたように,原告らは,年金による支払を希望しないことによって,一時金で受け取ることもできたものである。)である1億0830万3534円と認めるのが相当である。 b 原告ら及び補助参加人は,原告らがした本件各支払請求の効果は本件各死亡給付金の支払事由発生時(被保険者である亡Bの死亡時)に遡って発生するなどと主張するが,本件特約条項の定め等によっても,年金額の計算等の基準を上記の時とするということを超えて,かかる遡及効の存在を認めるべき根拠はない。 また,相続税の評価は,相続開始時における財産の現況によってすべきものであり,これは相続税法3条に規定するみなし相続財産においても変わらないから,税法上に特別の定めがある場合を除き,相続開始後における相続人の私法上の行為が,相続開始時において現存する経済的価値という経済実態的な事実状態までも覆すものではない。 したがって,仮に,原告ら及び補助参加人が主張するような遡及効が認められるとしても,本件相続の開始時において本件各死亡給付金請求権が同法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当 - 18 -するか否かの判断には影響しないものというべきである。 イ原告らの主張の要点以下のとおり,本件各死亡給付金請求権は,相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当するものというべきである。 (ア) 本件普通保険約款においては,保険契約者(亡B)による保険料の払込後,一定の据置期間を経た後,同期間満了時の積立金を年金原資として,契約によって定められた年金支払開始日以後,年金受取人である被保険者又は保険契約者(いずれも亡B)に対して,年金支払開始日前日末の積立金を基に計算された年金が支払われることや 立金を年金原資として,契約によって定められた年金支払開始日以後,年金受取人である被保険者又は保険契約者(いずれも亡B)に対して,年金支払開始日前日末の積立金を基に計算された年金が支払われることや,据置期間中に被保険者が死亡した場合には保険金等受取人(原告ら)に対して死亡給付金が支払われることなどが定められている(「この保険の趣旨」と題する定め,1条,8条,10条,12条,15条及び18条)。 また,本件特約条項には,当該特約が,据置期間中に被保険者が死亡した場合に,保険金等を保険金等受取人に対して年金の方法で支払うことにより,その生活の安定を図ることを目的とする特約であること(「この特約の趣旨」と題する定め),保険金等が支払われた後は,本件特約条項を締結することができないこと(1条2項),年金の方法での支払を行うために保険金等を年金基金に充当し,充当の時期は保険金等の支払事由が生じた時であること(2条),保険金等受取人は,あらかじめ保険契約者の反対の意思がある場合には,本件特約条項を解約することはできないこと(17条)等が定められている。 以上のような本件普通保険約款及び本件特約条項の内容や,本件各保険申込書,本件各請求書等の本件各保険契約に関する文書の記載内容を総合すると,本件においては,①亡BとDとの間で,本件各特約が付された本件各保険契約が有効に成立し,これらの契約に基づき,平成26年9月8日(年金支払開始日の前日)までに亡Bが死亡した場合には, - 19 -本件各死亡給付金請求権が発生するとされ,②また,本件各特約の定めによって,[ア]本件各死亡給付金請求権は,本件特約条項5条に定めるいずれかの年金の方法によって支払われること及び [イ]据置期間内に亡Bが死亡し,同時点において年金の種類等についての指定がされて によって,[ア]本件各死亡給付金請求権は,本件特約条項5条に定めるいずれかの年金の方法によって支払われること及び [イ]据置期間内に亡Bが死亡し,同時点において年金の種類等についての指定がされていなかった場合には,同条に定めるどの年金の方法によって支払われるかについては,本件各死亡給付金の受取人である原告らがそれを指定する(指定の効果は支払事由発生時に遡及して生ずる)ことについて,亡BとDとの間で有効な合意が成立していたといえる。すなわち,本件各死亡給付金請求権は,同条に定めるいずれかの年金の方法によって支払われることはあらかじめ決まっているものの,年金の種類等についての指定をする(かつ,同指定の効果は支払事由発生時に遡及する)権限が,受取人である原告らに留保されていた債権であったといえる。 相続税法24条1項1号の趣旨等に照らせば,同号にいう「有期定期金」の給付契約に関する権利に該当するためには,権利取得時において,権利の内容として,金銭その他の給付をすべき期間が有期である(無期でない)ことが定まっていれば足りると解すべきところ,以上のとおり,本件各死亡給付金請求権は,本件各特約によって,本件各保険契約の締結の時から,本件特約条項5条に定めるいずれかの年金の方法(いずれも「有期」の年金の方法)によって支払われることが決まっていた上,原告らによる本件各支払請求(年金方法等の指定)を経て,36年間の確定年金の方法により支払われることが,本件各死亡給付金の支払事由の発生時である本件時点に遡って確定したものであるから,本件各死亡給付金請求権は,同法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利のうち同項1号の掲げる「有期定期金」に該当するものというべきである。 (イ) 本件における被告の主張は,法律上の規定が存在しないにもか は,同法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利のうち同項1号の掲げる「有期定期金」に該当するものというべきである。 (イ) 本件における被告の主張は,法律上の規定が存在しないにもかかわら - 20 -ず,前記(ア)のとおり本件各保険契約の契約当事者(亡B及びD)が選択し有効に成立している私法上の法形式及びそのような法形式から生ずる法的効果(本件各特約が付された本件各保険契約の成立と年金の方法により支払われる本件各死亡給付金請求権の発生)を,租税法上は否定した上で,課税庁において勝手に引き直した法形式及び法的効果(一時金で受け取った本件各死亡給付金の全部又は一部を原資として新たに所定の種類及び支払期間の年金契約を締結することによる年金受給権の取得)に基づく課税を行うものにほかならず,許されるものではない。 ウ補助参加人の主張の要点以下のとおり,本件各死亡給付金請求権は,相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当するものというべきである。 (ア) 本件特約条項においては,「この特約の趣旨」として,同条項が「元保険契約の保険金等を年金の方法により支払い,その受取人の将来の生活安定をはかることを目的とするもの」であることが明記されるとともに,保険契約者が本件各特約を締結した場合には,保険金等の支払事由発生日に年金基金の設定を行い,保険金等受取人の別異の意思表示を必要とせずに当然に保険金等が年金基金に充当される旨も定められており(2条),保険金等を年金払いの方法で保険金等受取人に受け取らせるという保険契約者の意思が明確に表示されているということができ,そうである以上,原則として保険金等の全額を年金基金に充当するという保険契約者の意思もまた明確に表示されていると解釈するのが合理的で という保険契約者の意思が明確に表示されているということができ,そうである以上,原則として保険金等の全額を年金基金に充当するという保険契約者の意思もまた明確に表示されていると解釈するのが合理的である(なお,本件特約条項2条は,保険金等の支払事由の発生後に保険金等受取人において保険金等の一部を年金基金に充当するものとするのであれば,後述する年金の種類等についてと同様に,保険金等の支払事由の発生時に遡って年金基金への充当額を一部解除権の行使の結果として当該一部のみとするものとした趣旨と解される。)。そうすると,本 - 21 -件各特約が付された本件各保険契約によって発生する本件各死亡給付金請求権は,保険金等の支払事由発生時に,保険者に対して一定期間,定期的に金銭給付を請求することができる基本債権としての年金の請求権であり,これは相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当する(最高裁平成20年(行ヒ)第16号同22年7月6日第三小法廷判決・民集64巻5頁1277頁も,同法3条1項1号所定の保険金には,年金の方法により支払を受けるものも含まれるとした上で,年金の方法により支払を受ける場合の上記保険金とは,基本債権としての年金受給権を指し,これは同法24条1項所定の定期金給付契約に関する権利に当たると判示している。)。 そして,本件特約条項が付された保険契約においては,保険契約者が年金の種類等を指定しないままに死亡した場合には,保険契約者において,年金の種類等を指定する権限を保険金等受取人に与え,年金の種類等を年金支払の履行期(1回目の年金の支払期)までに追完させることとしたものと解釈するのが最も合理的であるというべきところ,本件特約条項においては,保険金等の支払事由発生日が年金基金の設定日及び第 等を年金支払の履行期(1回目の年金の支払期)までに追完させることとしたものと解釈するのが最も合理的であるというべきところ,本件特約条項においては,保険金等の支払事由発生日が年金基金の設定日及び第1回年金支払日とされている(2条,11条1項)ことを併せ考えると,被保険者の死亡後に保険金等受取人が年金の種類等を指定した場合においても,そのような年金の種類等は,死亡給付金の支払事由発生時(被保険者の死亡時)に遡って確定すると解釈されるべきである。 一般に,定期金給付契約については,各期の支払の履行期までにその支払額が確定していれば足りると解されるところ,本件各保険契約においては,本件各特約の定めるところにより本件各請求書がDに提出されて初めて履行期が到来するものであり,その時には支払われる年金の内容も確定していたのである。一方,相続税法24条1項の規定の文理上,その適用に当たり,定期金給付契約に関する権利の取得の時において各 - 22 -期の支払額が確定していることまでは要件とされておらず,本件各死亡給付金請求権については,本件各請求書の提出による年金の種類等の指定が本件相続に係る相続税の法定申告期限前にされていたことも考慮すると,同項が適用されるものというべきである。 (イ) 被告は,保険金等受取人(原告ら)が被保険者(亡B)の死亡後に,本件各死亡給付金を一時金により受け取るか,年金の方法により受け取るかを選択することができたなどと主張している。 しかし,本件各特約においては,死亡給付金の支払事由発生後において,保険金等受取人が一時払いか年金払いかを決めることができるとする旨の規定は存在せず(なお,被告の指摘する「年金支払特約のご案内」〔乙7の1・2〕は,本件各特約が契約の締結時からその一部を成すものとして付され 取人が一時払いか年金払いかを決めることができるとする旨の規定は存在せず(なお,被告の指摘する「年金支払特約のご案内」〔乙7の1・2〕は,本件各特約が契約の締結時からその一部を成すものとして付されていた本件各保険契約におけるような場合とは異なり,本件特約条項による特約が保険金等の支払事由の発生後に保険金等受取人によって付加される場合についても,使用可能な内容で書式が作成されていたものであり,その内容のいかんにより上記の点が左右されるものではない。),保険契約者によって本件各特約が付加されている場合においては,保険金等受取人は本件各特約を将来に向かって解約することが可能とされているにすぎないから,被告が主張するところは,その前提において誤っている上,前掲最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決は,その事案に照らせば,保険金を年金支払の方法で受け取ることに代えて一時払いを請求する権利が約款上認められる場合であっても,同約款に基づく年金受給権には相続税法24条1項所定の評価方法が適用される旨を判示したものというべきであって,この点からも,上記の被告の主張は,誤りというべきである。 平成22年法律第6号による改正(以下「平成22年改正」という。)後の相続税法24条1項1号ロは,定期金に代えて一時金の給付 - 23 -を受けることができる場合には当該一時金相当額により権利の価額を評価すべきものとしているところ,上記規定が同年4月1日以降に契約の締結等がされた定期金に限り適用されることとされていることなどからすれば,本件時点においては,保険金等受取人が死亡給付金の支払事由発生後に,本件各特約を解約して一時に死亡給付金の支払を受けることができたとしても,実際に死亡給付金を一時金の方法により受け取らない限り,一時金として権利の価額を評価する 取人が死亡給付金の支払事由発生後に,本件各特約を解約して一時に死亡給付金の支払を受けることができたとしても,実際に死亡給付金を一時金の方法により受け取らない限り,一時金として権利の価額を評価することはできなかったものというべきである(そのような評価をすることは,上記改正後の相続税法を根拠なく遡及的に適用するものであって,許されない。)。 (2) 本件各死亡給付金請求権につき相続税法24条1項1号の規定の適用を認めないことが平等原則・租税公平主義に反するか否か(争点2)についてア原告らの主張の要点平成22年改正以前,相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利のうち同項1号に掲げるものとしての評価を用いることにより相続税の節税を図ることを狙った保険商品が,Dを含む多くの保険会社によって販売されており,本件各保険契約もその一つであった。そして,そのような本件各特約と同一内容の年金支払特約を付加した本件各保険契約と同一内容の保険契約については,そのほとんどが,当初の狙いどおり相続税の申告時に同項1号の適用を受けていると考えられる(そのような保険契約について,課税当局が同号の定める評価方法を適用することを否定して更正処分を行った例を,原告らは寡聞にして知らない。)。本件各更正処分は,明確な理由もないまま,本件各保険契約と他の同種保険との経済的な実態がほぼ同一であることを看過し,いわば本件各保険契約のみを狙い撃ちするような形で同号の適用を否定したものであって(本件各保険契約についてのみ同号の適用を否定するのは不合理である。),憲法14条1項等が定める平等原則・租税公平主義に反するものというべきである。 - 24 -イ被告の主張の要点前記(1)アにおいて述べたとおり,本件各特約が付加された本件各 。),憲法14条1項等が定める平等原則・租税公平主義に反するものというべきである。 - 24 -イ被告の主張の要点前記(1)アにおいて述べたとおり,本件各特約が付加された本件各保険契約のように,相続開始時において,死亡給付金を一時金として受け取る場合の金額は確定しているものの,年金支払によるか否か,年金支払の場合の支払方法,支払期間及び支払総額が具体的に定まっていない死亡給付金請求権を評価する場合については,本件各保険契約と同様,相続税法24条1項1号の適用はないのであって,このように正規の一般的取扱いに沿って更正処分がされたことが平等原則・租税公平主義に反するということはできない。 (3) 本件相続人らに係る按分割合の計算に当たって原告ら主張の端数調整法を採用しなかった本件各更正処分が相続税法17条に違反するものであるか否か(争点3)についてア被告の主張の要点そもそも,相続税法17条は,按分割合の端数調整の方法について何ら規定していないところ,本件各更正処分は,同条の定めるところに基づいて,本件相続人らそれぞれに係る相続税の課税価格を分子とし,本件相続人ら全員に係る課税価格の合計額を分母とする分数を本件相続人らそれぞれに係る按分割合として相続税額を計算している(別紙2〔各相続人の相続税額の按分割合〕の「本件各更正処分」欄及び別紙6〔課税価格及び相続税の総額の計算明細表〕の各本件相続人ら欄の順号⑲参照)のであるから,何ら違法なものではない。 同条に定める按分割合は,分数でも小数でも表示することができるものであるところ,財産の取得者全員の数値を合計すると1になる必要があり,特に,処分行政庁が相続税の更正をする場合には,正確を期する必要があることから,通常は分数を採用することとなるが,原告らが主 ものであるところ,財産の取得者全員の数値を合計すると1になる必要があり,特に,処分行政庁が相続税の更正をする場合には,正確を期する必要があることから,通常は分数を採用することとなるが,原告らが主張の根拠とする相続税法基本通達17-1のなお書きは,納税者が合理的な端数調整 - 25 -の方法を選択している場合には,その選択した方法によって更正をすることができる旨を定めているものである(乙4)。しかし,更正処分においては,各相続人等が申告した取得財産の種類及びその評価額については更正処分前と異なる判断がされることが多く,納税者が選択した端数調整の方法を更正処分においてそのまま用いることが相当とはいえない場合もあることから,その納税者が選択した方法によって相続税額を計算するか否かについては処分行政庁の合理的な裁量に委ねられているというべきである。 これを本件についてみると,原告ら主張の端数調整法は,妻については按分割合を厳密に計算する一方,原告Cについては小数点以下2位未満の端数を切り捨てて按分割合を計算しており,結果として,1から妻と原告Cに係る各按分割合を控除して算出される原告Aに係る按分割合は,原告Cに係る本来の按分割合から切り捨てられた小数点以下2位未満分だけ,按分割合が上昇することとなり,原告Cに係る按分割合の小数点以下2位未満の端数を原告Aに付け替えて按分割合を算出するというものである。 したがって,原告ら主張の端数調整法により本件各更正処分における原告らそれぞれの相続税額を計算すると,原告Cの納付すべき相続税額は,相続税の総額31億9582万6000円(甲6の1枚目の「(1)納付税額又は還付税額の計算明細」の「⑦相続税の総額」欄の「更正額」欄記載の金額)に,按分割合0.03(2億5388万5000円〔甲6の1枚目 総額31億9582万6000円(甲6の1枚目の「(1)納付税額又は還付税額の計算明細」の「⑦相続税の総額」欄の「更正額」欄記載の金額)に,按分割合0.03(2億5388万5000円〔甲6の1枚目の「(1)納付税額又は還付税額の計算明細」の「⑥課税価格」欄の「更正額」欄記載の金額〕を67億5365万2000円〔甲6の1枚目の「(2)相続税の総額の計算明細」の「⑤課税価格の合計額」欄の「更正額」欄記載の金額〕で除して小数点以下2位未満の端数を切り捨てたもの)を乗じて算出した金額から100円未満の端数を切り捨てた9587万4700円となり,更正処分額の納付すべき税額である1億2013万 - 26 -8300円(甲6の1枚目の「(1)納付税額又は還付税額の計算明細」の「○ 24 納付すべき税額」欄の「更正額」欄記載の金額)に比して2426万3600円減少することとなる一方,原告Aの納付すべき相続税額は,同額,増加することとなる。すなわち,原告ら主張の端数調整法により更正処分を行うならば,原告Aに一方的に不利益を与えることとなり,不合理な結果となる。このような場合にまで相続税法基本通達17-1のなお書きに従って更正処分を行うのは適切ではないのであって,本件各更正処分において原告ら主張の端数調整法を用いなかったことは,奈良税務署長の合理的裁量の範囲内であるというべきである。 イ原告らの主張の要点相続税法基本通達17-1のなお書きが,相続税額を更正する場合に,相続税の申告時に相続人らによって選択された端数調整法によって相続税額を計算することができる旨を定めているのは,按分割合の計算に当たっては,何より相続人間の合意を尊重すべきであるとの相続税法17条の趣旨に鑑みたものであると考えられる。すなわち,各相続人の相続税額の計算方法に ことができる旨を定めているのは,按分割合の計算に当たっては,何より相続人間の合意を尊重すべきであるとの相続税法17条の趣旨に鑑みたものであると考えられる。すなわち,各相続人の相続税額の計算方法について定める同条が,各相続人の具体的相続税額については,全ての相続財産の価額のうち各相続人が取得した相続財産の価額に占める割合によって按分割合を計算し,これに基づき各相続人の相続税額を計算する旨を定めているのは,按分割合の計算の前提となる相続人間における相続財産の分配(遺産分割)が,相続人間の合意によって行われるものであるため,按分割合の計算においても,第一には,相続人間の合意を尊重すべきであると考えられるからである。このような趣旨に鑑みれば,処分行政庁が更正処分を行う際の按分割合の端数調整法については,相続人間の合意に基づく方法が優先して適用されるべきであり,相続人間の合意に基づく方法を適用することに合理的理由がない場合に限って,処分行政庁が定める端数調整法を用いることも許されると解すべきである。 - 27 -奈良税務署長は,上記のような同条の趣旨を無視して,原告ら主張の端数調整法を用いずに本件各更正処分をしたものというべきであって,本件各更正処分が同条に違反するものであることは,明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 本件各死亡給付金請求権が相続税法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利に該当するか否か(争点1)について(1) 亡BがDとの間において本件各保険契約を締結する際に本件各特約を付加する旨の合意をしたか否かについてア前提事実(2)アのとおり,①亡Bが,本件各保険契約それぞれの申込みに際して提出した本件各保険申込書(乙1の1・2)には,いずれも,「年金支払特約」欄の「付加する」に丸印が付されてい いてア前提事実(2)アのとおり,①亡Bが,本件各保険契約それぞれの申込みに際して提出した本件各保険申込書(乙1の1・2)には,いずれも,「年金支払特約」欄の「付加する」に丸印が付されていること,②本件各保険契約に係る保険証券(甲1の1,2の1)には,「当会社は,普通保険約款および特約付の場合はその特約条項に基づいて,保険契約者とこの保険契約を締結しました。」との記載(なお,「当会社」とはDを指す。)がされていること,③本件各保険契約に係る「ご契約内容のご案内」と題する書面(甲1の2,2の2)中の「適用条項・特約」欄には,「年金支払特約」との記載がされていること(なお,上記各書面は,その内容に照らし,Dから亡Bに対して交付されたものであると認められる。)からすれば,亡BとDとの間において,本件各保険契約の締結に際して,本件特約条項にいう年金支払特約(本件各特約)を付加する旨の合意がされたことは明らかであるというべきである。 イ(ア) この点,被告は,亡Bが本件各保険申込書をDに提出した際に具体的な年金の種類等及び年金基金充当額が定められなかったことなどを根拠として,亡Bが「年金支払特約」欄の「付加する」に丸印を付した本件各保険申込書をDに提出した時点においては,いまだ亡BとDとの間で本件各特約が締結されたとはいえず,原告らが本件各請求書をDに提出 - 28 -した時点において,原告らとDとの間で本件各特約が締結されたものというべきであるなどと主張する。このような被告の主張は,亡Bが本件各保険申込書をDに提出した時点においては,年金の種類等及び年金基金充当額が明示的に定められておらず,本件各特約に係る合意内容の特定に欠ける旨をいうものであると解される。 (イ) まず,年金基金充当額の点については,確かに,本件にお ては,年金の種類等及び年金基金充当額が明示的に定められておらず,本件各特約に係る合意内容の特定に欠ける旨をいうものであると解される。 (イ) まず,年金基金充当額の点については,確かに,本件において,亡Bが本件各保険契約に基づく保険金等を年金基金に充当する範囲(保険金等の全額を年金基金に充当するのか,あるいは,その一部を充当する場合に具体的にどの範囲で充当するのか)を明示的に決定していた(このような決定をすることを指して以下「充当範囲の指定」ともいう。)ものとはいい難く,また,本件普通保険約款及び本件特約条項のいずれを見ても,保険契約者による充当範囲の指定がされていなかった場合の保険金等の年金基金への充当に係る取扱いに関する定めは置かれていない。 しかし,保険金等の一部につき充当範囲の指定をするのであれば,当然のこととしてその具体的な充当範囲が問題となるのであるから,保険契約者において殊更保険金等の一部につき充当範囲の指定をするとの意思を有していたのであれば,その金額や割合等をもって具体的な充当範囲を明らかにしておくのが通常であるものと考えられ,このような具体的な充当範囲の指定がされていない以上,保険契約者においては,保険金等の支払事由が発生した時点において保険金等の全部を年金基金に充当する旨の充当範囲の指定をするとの意思を有していたものと考えるのが合理的であるものというべきである。そして,亡Bについても,以上に述べたところと異なる意思を有していたものと認めるべき事情は特に認められないから,本件各保険契約に本件各特約を付加した亡Bの意思を合理的に解釈すれば,亡Bにおいては,本件各死亡給付金の支払事由が生じた時点(亡Bの死亡時)において本件各死亡給付金の全部を年金 - 29 -基金に充当するとの充当範囲の指定をしていたもの を合理的に解釈すれば,亡Bにおいては,本件各死亡給付金の支払事由が生じた時点(亡Bの死亡時)において本件各死亡給付金の全部を年金 - 29 -基金に充当するとの充当範囲の指定をしていたものと評価することができる(なお,以上のような判断は,原告らがDに対して亡Bの死亡後に提出した本件各請求書の記載内容いかんによって左右されるものではない。)。したがって,亡Bが本件各保険契約に本件各特約を付加した時点において,年金基金充当額は定まっていたものというべきであるから,この点から本件各特約に係る合意内容の特定が欠けるということにはならないものというべきである。 (ウ) また,年金の種類等については,遅くとも年金の支払の履行時期までには定められる必要があるものと解されるところ,本件特約条項においては,保険契約者がDとの間においてあらかじめこれらの事項を定めておくことができるものと解されるが(本件特約条項16条〔前提事実(3)イ(キ),甲7〕は,保険契約者が年金の種類等を定めることができることを前提とした規定であると解される。),本件特約条項の定めを見ても,保険契約者において年金の種類等を定めず,死亡給付金の支払事由の発生(保険契約者の死亡)から年金の支払の履行時期までの間に保険金受取人等においてこれらの事項を定めるべきこととして,これらの事項の内容を確定させないままの状態で本件各特約を付加することも許容されているものというべきである(本件特約条項1条が保険契約者において本件各特約を締結することができるものとし,本件各保険申込書において「年金支払特約」欄にこれを付加するか否かを記載させることとしながら,その一方で,本件各保険申込書の書式を見ても,年金の種類等については,そこに必ず記載することを要するものとはされていないこと〔乙1の1 支払特約」欄にこれを付加するか否かを記載させることとしながら,その一方で,本件各保険申込書の書式を見ても,年金の種類等については,そこに必ず記載することを要するものとはされていないこと〔乙1の1・2〕や,本件各保険契約に係る「ご契約のしおり」の「特約について」の「年金支払特約」の項には,「年金の種類は,支払事由発生後,受取人に選択いただきます」との記載がされている〔甲7・35頁〕ことに照らせば,本件各特約の付加に当たっては,上記の - 30 -ような事態が生ずることは当然に想定されていたものというべきであって,本件各特約の内容を合理的に解釈すれば,本件各特約には,亡Bが年金の種類等を定めないまま死亡した場合には,年金の支払の履行時期までの間に,本件各死亡給付金の受取人である原告らにおいてこれらの事項を定めることができるものとする趣旨が含まれているものと解される。)から,年金の種類等が具体的に定まっていなかったことによって,本件各特約に係る合意内容の特定に欠けるということにはならないものというべきである。 (エ) そうすると,被告の上記主張は,採用することができないものというべきである。 (2) 本件各死亡給付金請求権が相続税法24条1項に定める定期金給付契約に関する権利に該当するか否かについてア本件においては,本件各保険契約の定める本件各死亡給付金の支払事由の発生(亡Bの死亡)によって,本件保険契約1において本件死亡給付金1の受取人に指定されていた原告Aが本件死亡給付金請求権1を,本件保険契約2において本件死亡給付金2の受取人に指定されていた原告Cが本件死亡給付金請求権2を,それぞれ取得したものである。 相続税法24条1項に定める定期金給付契約に関する権利とは,契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受け の受取人に指定されていた原告Cが本件死亡給付金請求権2を,それぞれ取得したものである。 相続税法24条1項に定める定期金給付契約に関する権利とは,契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいい,毎期に受ける支分債権ではなく,基本債権をいうものであり,年金の方法により支払を受ける場合の同法3条1項1号に定める生命保険契約の保険金(基本債権としての年金受給権)は,同法24条1項に定める定期金給付契約に関する権利に当たるものと解される(前掲最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決参照)ところ,亡Bが,本件各保険契約を締結する際に,Dとの間において本件各特約を付加する旨の合意をしたものと認められることは,前記(1)において述べたとおりである。そして,①前 - 31 -提事実(3)アのとおり,本件各特約は,年金支払開始日前に亡Bが死亡したときにDから原告らそれぞれに対して支払われる本件各死亡給付金について,年金の方法により支払うことをその趣旨とするものであり(なお,前提事実(3)イ(エ)のとおり,選択し得る年金の種類は,本件特約条項5条所定のものに限られているものであり,また,前記(1)のとおり,本件各特約には,亡Bが年金の種類等を定めないまま死亡した場合には,年金の支払の履行時期までの間に,本件各死亡給付金の受取人である原告らにおいてこれらの事項を定めることができるものとする趣旨が含まれているものというべきである。),②当該年金は,毎年1回支払われるものとされ,その支払日も支払事由の発生日を基準として定まるものとされていること(前提事実(3)イ(オ)及び(カ)),③前記(1)のとおり,亡Bにおいては,本件各保険契約に本件各特約を付加した時点において,本件各死亡給付金の支払事由の発生時(亡Bの死亡時)に本 されていること(前提事実(3)イ(オ)及び(カ)),③前記(1)のとおり,亡Bにおいては,本件各保険契約に本件各特約を付加した時点において,本件各死亡給付金の支払事由の発生時(亡Bの死亡時)に本件各死亡給付金の全部を年金基金に充当するとの充当範囲の指定をしていたものというべきことに加えて,④原告らにおいては,上記②のとおり支払事由の発生日を基準として定まった第1回目の年金の支払の履行時期よりも前である平成19年8月20日に,本件各支払請求をもって,本件各死亡給付金請求権に係る年金の種類等につき年金支払期間を36年とする確定年金とする旨の指定をし(前提事実(4)),⑤その後,法定申告期限内である平成20年4月8日に本件申告をしたものであり,⑥本件各死亡給付金については,現に,上記④の指定に従って定まった年金の方法により給付を受けているものであること(甲8,弁論の全趣旨)に照らせば,本件各死亡給付金請求権は,いずれも,相続税法24条1項に定める定期金給付契約に関する権利のうち同項1号が掲げる「有期定期金」の「残存期間が35年を超えるもの」に該当するものとして,その価額を評価するのが相当である。 イこの点,被告は,原告らにおいては,亡Bの死亡後は本件各特約を解約 - 32 -して本件各保険契約に基づく本件各死亡給付金を年金(定期金)ではなく一時金の方法により受け取ることができたから,本件各特約の締結は形式にすぎないとか,本件各特約に基づく死亡給付金の受取人による年金の取得は,被保険者の死亡後に死亡給付金の受取人が一時金で受け取った死亡給付金の全部又は一部を原資として,年金の種類等を指定して新たに年金契約を締結した上,当該年金契約に基づいて年金を取得するのと実態としては何ら異なるところはないから,相続税法24条1項の趣旨に 死亡給付金の全部又は一部を原資として,年金の種類等を指定して新たに年金契約を締結した上,当該年金契約に基づいて年金を取得するのと実態としては何ら異なるところはないから,相続税法24条1項の趣旨に照らしても,本件各死亡給付金請求権は,同項に規定する定期金給付契約に関する権利には該当しない旨を主張する。 しかし,相続税法には,定期金給付契約に関する権利の評価として,それによる給付を受けることができるとされている者が,当該権利を取得した後に,当該定期金給付契約を解約して解約返戻金の支払を受けたり,又は定期金に代えて一時金の支払を受けたりすることができる場合につき,同法24条1項に規定する定期金給付契約に関する権利とは扱わない旨などを定めた規定はなく,保険金等受取人において上記のような解約又は一時金による支払を選択し得る場合であっても,権利を取得した時において,当該権利を発生させる契約が定期金給付契約であるということができるならば,当該権利を定期金給付契約に関する権利として扱うというのが,同項の規定の趣旨であることは明らかであるというべきであるから,被告の上記主張は,採用することができない(なお,平成22年改正後の相続税法24条1項は,定期金給付契約の解約による解約返戻金の支払又は一時金による給付を受けることができる場合について,当該権利の評価をこれらの場合に支払等を受けることができる解約返戻金又は一時金の金額を考慮して行う旨を定めているが,解約返戻金の支払又は一時金による給付を受けることができるという事情が存在することをもって,当該契約に係る権利が定期金給付契約に関する権利としての性質を有すること自体を否定 - 33 -する趣旨のものではない。)。 ウまた,被告は,原告らが本件各死亡給付金請求権に関する権利を取得した 権利が定期金給付契約に関する権利としての性質を有すること自体を否定 - 33 -する趣旨のものではない。)。 ウまた,被告は,原告らが本件各死亡給付金請求権に関する権利を取得した時点(本件時点)において年金の種類等が定まっていなかった以上,本件各死亡給付金請求権について相続税法24条1項が定める残存期間に応じた区分を行うことができず,区分に応じた現在価値の算定をすることもできないから,本件各死亡給付金請求権について同項の規定を適用する余地はないなどとも主張する。 ところで,同法22条は,同法第3章で特別の定めのあるものを除くほか,相続,遺贈又は贈与により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価による旨等を定めており,同法第1章の規定によって相続若しくは遺贈又は贈与により取得したものとみなされる財産についても,当該財産の取得の時における時価によって財産の価額を決定するのが原則となる。そして,同法24条は,取得の時における定期金給付契約に関する権利の評価については,厳密にこれを行うことが困難であるとの前提に立って,同法22条にいう特別の定めとして,専ら同法24条が定める簡易な方法を用いて行う旨を定めたものであると解される。 そして,前記アに掲げた諸事情に照らせば,①本件各死亡給付金請求権は,本件時点(亡Bの死亡時であり,原告らが本件各死亡給付金請求権を取得した時点である平成19年▲月▲日)において,本件各死亡給付金の受取人である原告らにおいて速やかに年金の種類等が指定され,その具体的内容が確定されることが予定されていたものということができ,②現に,原告らによって,第1回目の年金の支払の履行時期よりも前である同年8月20日に,本件各死亡給付金請求権に係る年金の種類等につき年金支払期間を36年とする確定年金 ていたものということができ,②現に,原告らによって,第1回目の年金の支払の履行時期よりも前である同年8月20日に,本件各死亡給付金請求権に係る年金の種類等につき年金支払期間を36年とする確定年金とする旨の指定がされ(当該各指定は,その時期に照らせば,亡Bの死亡後,速やかに行われたものと評価することができる。),③本件申告もこのことを前提としてされたものというこ - 34 -とができるのであって,本件各死亡給付金請求権については,相続税法24条1項に定める定期金給付契約に関する権利のうち同項1号が掲げる「有期定期金」で「残存期間が35年を超えるもの」に該当するものとして,本件時点における価額を評価するのが,一般の社会通念に照らし,相当であるというべきである。 租税に関する法令の解釈が一般の社会通念からかけ離れたものであってはならないことは論を待たないところであり,また,前記のとおり,同法24条は,取得の時における定期金給付契約に関する権利の評価については,厳密にこれを行うことが困難であるとの前提に立って,簡易な評価方法を定めたものと解されるのであって,それ自体,一種の擬制を定めたものにほかならないものというべきことからしても,既に述べたような本件の事情の下においては,本件各死亡給付金請求権につき,いずれも本件各保険契約が本件各特約付きのものとして締結されていた当時に予定されていた範囲内のものである本件時点以後に生じた事情をも考慮して上記のような評価することもまた,同条1項の規定の要請するところというべきである(なお,以上のような評価は,原告らによる年金の種類等の指定の私法上の効果が本件各死亡給付金の発生時である亡Bの死亡時〔本件時点〕に遡るか否かによって直ちに左右されるものではないというべきである。)。上記のような被告の主 は,原告らによる年金の種類等の指定の私法上の効果が本件各死亡給付金の発生時である亡Bの死亡時〔本件時点〕に遡るか否かによって直ちに左右されるものではないというべきである。)。上記のような被告の主張は,これまで述べたような本件各死亡給付金請求権の実態を正当に評価しないものであって,上記のような社会通念から大きくかい離した形式論と評さざるを得ず,採用することができないものというべきである。 2 本件相続人らに係る按分割合の計算に当たって原告ら主張の端数調整法を採用しなかった本件各更正処分が相続税法17条に違反するものであるか否か(争点3)について(1) 相続税法17条は,相続又は遺贈により財産を取得した者に係る相続税額 - 35 -は,その被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に,それぞれこれらの事由により財産を取得した者に係る相続税の課税価格が当該財産を取得した全ての者に係る課税価格の合計額のうちに占める割合(按分割合)を乗じて算出した金額とする旨を定めている。 そして,本件各更正処分においては,本件相続人らそれぞれに係る相続税の課税価格を分子とし,本件相続人ら全員に係る課税価格の合計額を分母とする分数を本件相続人らそれぞれに係る按分割合の数値として,本件相続人らそれぞれに係る相続税額を計算したものであって(別紙2〔各相続人の相続税額の按分割合〕の「本件各更正処分」欄及び別紙6〔課税価格及び相続税の総額の計算明細表〕の各本件相続人ら欄の順号⑲参照。ただし,上記の分数の数値そのものを是認することができるか否かについては,とりあえずおく。),まさに同条の規定する方法に従った処理をしたものということができる。 (2) この点,原告らは,按分割合の計算に当たっては何より相続人間の合意を尊重 きるか否かについては,とりあえずおく。),まさに同条の規定する方法に従った処理をしたものということができる。 (2) この点,原告らは,按分割合の計算に当たっては何より相続人間の合意を尊重すべきであるというのが相続税法17条の趣旨であり,相続税法基本通達17-1のなお書きもこのような同条の趣旨に鑑みたものであるとした上で,処分行政庁が更正処分を行う際の按分割合の端数調整法については,相続人間の合意に基づく方法が優先して適用されるべきであり,相続人間の合意に基づく方法を適用することに合理的理由がない場合に限って,処分行政庁が定める端数調整法を用いることも許されると解すべきであるなどとして,原告ら主張の端数調整法を用いなかった本件各更正処分は同条に違反するなどと主張する。 しかし,同法の全体的な構造や同条の文言に照らせば,同条は,①相続人に相続財産の取得によって増加した担税力に応じた相続税を負担させることを意図した規定であると解されるのであって,原告らが主張するように「按分割合の計算に当たっては何より相続人間の合意を尊重すべきである」との - 36 -趣旨による規定であるとは解し難い上,②按分割合の数値に端数が生じた場合の端数の調整方法について何ら定めるものではないものというべきであるから,原告らの上記主張は,その前提を欠くものというべきである。 また,この点をおくとしても,原告ら主張の端数調整法は,妻については按分割合の数値を厳密に計算する一方,原告Cについては小数点以下2位未満の端数を切り捨てて按分割合の数値を計算し,1から妻と原告Cに係る各按分割合の数値を控除して算出される原告Aに係る按分割合の数値は,原告Cに係る本来の按分割合の数値から切り捨てられた小数点以下2位未満分だけ,按分割合の数値が上昇することとなり,結 と原告Cに係る各按分割合の数値を控除して算出される原告Aに係る按分割合の数値は,原告Cに係る本来の按分割合の数値から切り捨てられた小数点以下2位未満分だけ,按分割合の数値が上昇することとなり,結果として,原告Cに係る按分割合の数値の小数点以下2位未満の端数を,確たる合理的な理由もないまま原告Aに付け替えるものと評価せざるを得ないものというべきであるから,そのような不合理な方法を用いず,前記(1)のとおり同条の規定する方法に従ったことをもって,本件各更正処分を違法と評価することはできないものというべきである。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 3 原告らの納付すべき本件相続に係る相続税の額等についてこれまで述べたところに加えて,本件の全証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告らの納付すべき本件相続に係る相続税額等は,別紙7(原告らの納付すべき相続税額等)に記載したとおりであるものと認められ,同別紙の10記載のとおり,原告Aの納付すべき本件相続に係る相続税額は16億8597万5300円となり,原告Cの納付すべき本件相続に係る相続税額は8713万3900円となる。 そうすると,①原告Aの納付すべき本件相続に係る相続税額は,本件更正処分1のうち原告Aが取消しを求める部分に係る相続税額を下回るから,原告Aの請求には理由があることになり,②また,原告Cの請求は,本件更正処分2のうち納付すべき相続税額8713万3900円を超える部分の取消しを求め - 37 -る限度で理由があることになる。 4 結論以上の次第であって,①原告Aの請求は,理由があるからこれを認容し,②原告Cの請求は,本件更正処分2のうち納付すべき税額8713万3900円を超える部分の取消しを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は あって,①原告Aの請求は,理由があるからこれを認容し,②原告Cの請求は,本件更正処分2のうち納付すべき税額8713万3900円を超える部分の取消しを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官田中一彦 裁判官川嶋知正 - 38 -(別紙2)各相続人の相続税額の按分割合 本件申告本件修正申告本件各更正処分※1被告の主張※2原告A0.9317621826 0.92794330976,142,289,0006,753,652,000(0.9094766802)6,150,534,0006,770,259,000 原告C0.020.02253,885,0006,753,652,000(0.0375922538)262,130,0006,770,259,000 妻0.0482378174 0.0520566903357,595,0006,753,652,000(0.0529310660)357,595,0006,770,259,000 ※1 括弧内の数値は,各欄中の分数の小数点以下11位を四捨五入した数値(平成24年9月21日付け被告第1準備書面の別紙2の「本件各更正処分」欄参照)である。 ※2 別紙6の各本件相続人ら欄の順号⑲参照。 - 39 -(別紙3)関係法令等の定め 1 相続税法の定め(1) 準備書面の別紙2の「本件各更正処分」欄参照)である。 ※2 別紙6の各本件相続人ら欄の順号⑲参照。 - 39 -(別紙3)関係法令等の定め 1 相続税法の定め(1) 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合①相続税法3条1項前段は,同項各号のいずれかに該当する場合においては,当該各号に掲げる者が,当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす旨を定め,②同項後段は,上記①の場合において,その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失った者を含まない。同法15条,16条,19条の2第1項,19条の3第1項,19条の4第1項及び63条の場合並びに「15条2項に規定する相続人の数」という場合を除き,以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし,その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす旨を定め,③同法3条1項1号は,被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約(これに類する共済に係る契約で政令で定めるものを含む。以下同じ。)の保険金(共済金を含む。以下同じ。)又は損害保険契約(これに類する共済に係る契約で政令で定めるものを含む。以下同じ。)の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る。)を取得した場合においては,当該保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)について,当該保険金(同項2号に掲げる給与及び同項5号又は6号に掲げる権利に該当するものを除く。)のうち被相続人が負担した保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分を掲げている。 (2) 相続税の非課税財産相続税法12条1項は,次の各号に掲げる財産の価額は 当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分を掲げている。 (2) 相続税の非課税財産相続税法12条1項は,次の各号に掲げる財産の価額は,相続税の課税価 - 40 -格に算入しない旨を定めている。 5号相続人の取得した同法3条1項1号に掲げる保険金(同法12条1項4号に掲げるものを除く。以下同項5号において同じ。)については,次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ,イ又はロに定める金額に相当する部分イ同法3条1項1号の被相続人の全ての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が500万円に当該被相続人の同法15条2項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(以下「保険金の非課税限度額」という。)以下である場合当該相続人の取得した保険金の金額ロイに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額その余の号 (省略)(3) 各相続人等の相続税額相続税法17条は,相続又は遺贈により財産を取得した者に係る相続税額は,その被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に,それぞれこれらの事由により財産を取得した者に係る相続税の課税価格が当該財産を取得した全ての者に係る課税価格の合計額のうちに占める割合(按分割合)を乗じて算出した金額とする旨を定めている。 (4) 評価の原則相続税法22条は,同法第3章で特別の定めのあるものを除くほか,相続,遺贈又は贈与により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価により,当該財産の価額から控除すべき債務の金額は,その時の現況による旨を定めている。 別の定めのあるものを除くほか,相続,遺贈又は贈与により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価により,当該財産の価額から控除すべき債務の金額は,その時の現況による旨を定めている。 (5) 定期金給付契約に関する権利の評価 - 41 -ア相続税法24条1項は,定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利(定期金給付契約に関する権利)の価額は,次に掲げる金額による旨を定めている。 1号有期定期金については,その残存期間に応じ,その残存期間に受けるべき給付金額の総額に,次に定める割合を乗じて計算した金額。 ただし,1年間に受けるべき金額の15倍を超えることができない。 残存期間が5年以下のもの 100分の70残存期間が5年を超え10年以下のもの 100分の60残存期間が10年を超え15年以下のもの 100分の50残存期間が15年を超え25年以下のもの 100分の40残存期間が25年を超え35年以下のもの 100分の30残存期間が35年を超えるもの 100分の202号無期定期金については,その1年間に受けるべき金額の15倍に相当する金額3号終身定期金については,その目的とされた者の当該契約に関する権利の取得の時における年齢に応じ,1年間に受けるべき金額に,次に定める倍数を乗じて算出した金額25歳以下の者 11倍25歳を超え40歳以下の者 8倍40歳を超え50歳以下の者 6倍50歳を超え60歳以下の者 4倍60歳を超え70歳以下の者 2倍70歳を超える者 1倍4号相続税法3条1項5号に規定する一時金については,その給付金額イ相続税法24条3項は,同条1項に規定する定期金給付契約に関 0歳を超え70歳以下の者 2倍70歳を超える者 1倍4号相続税法3条1項5号に規定する一時金については,その給付金額イ相続税法24条3項は,同条1項に規定する定期金給付契約に関する権 - 42 -利で,その権利者に対し,一定期間,かつ,その目的とされた者の生存中,定期金を給付する契約に基づくものの価額は,同項1号に規定する有期定期金として算出した金額又は同項3号に規定する終身定期金として算出した金額のいずれか低い方の金額による旨を定めている。 ウ相続税法24条4項は,同条1項に規定する定期金給付契約に関する権利で,その目的とされた者の生存中定期金を給付し,かつ,その者が死亡したときはその権利者又はその遺族その他の第三者に対し継続して定期金を給付する契約に基づくものの価額は,同項1号に規定する有期定期金として算出した金額又は同項3号に規定する終身定期金として算出した金額のいずれか高い方の金額による旨を定めている。 2 相続税法基本通達(乙4参照)の定め(1) 按分割合相続税法基本通達17-1は,①本文において,相続税法17条に規定する「財産を取得した者に係る相続税の課税価格が当該財産を取得したすべての者に係る課税価格の合計額のうちに占める割合」(按分割合)に小数点以下2位未満の端数がある場合において,その財産の取得者全員が選択した方法により,各取得者の割合の合計値が1になるようその端数を調整して,各取得者の相続税額を計算しているときは,これを認めて差し支えないものとする旨を定め,②なお書きにおいて,上記①の方法を選択した者について相続税額を更正する場合には,その選択した方法によって相続税額を計算することができるものとする旨を定めている。 (2) 「定期金給付契約に関する権利」の意義相 記①の方法を選択した者について相続税額を更正する場合には,その選択した方法によって相続税額を計算することができるものとする旨を定めている。 (2) 「定期金給付契約に関する権利」の意義相続税法基本通達24-1は,相続税法24条に規定する「定期金給付契約に関する権利」とは,契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいい,毎期に受ける支分債権ではなく,基本債権をいう旨を定めている。 以上 - 43 -(別紙5)本件各更正処分の適法性及びその価額の内訳に関する被告の主張 1 亡Bの相続財産及びその価額の内訳相続財産の価額は,相続税法23条から26条の2までに規定された財産を除き,当該財産の取得の時における時価によるものとされており(同法22条),実務上,そのような時価についての具体的な評価は,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56・直審(資)17(例規)国税庁長官通達)によることが定着している。本件においても,被相続人である亡Bの相続財産(以下「本件相続財産」という。)を同通達に基づき評価し,同法12条1項5号ロ所定の保険金の非課税限度額(別紙6〔課税価格及び相続税の総額の計算明細表〕の「各本件相続人ら」欄及び各人の合計額欄の順号⑦記載の△の金額)を控除すると,その価額は,8億2664万5606円(別紙6の「各人の合計額」欄の順号⑨参照)となる。 2 原告らが取得した相続財産及びその価額原告らが取得した本件各死亡給付金請求権を含めた相続財産及びその価額は,別紙6の各原告欄の順号①~⑧記載のとおりであり,原告らそれぞれが取得した相続財産の価額を合計すると,その金額は,原告Aが2億0565万7035円であり,原告Cが2億6213 続財産及びその価額は,別紙6の各原告欄の順号①~⑧記載のとおりであり,原告らそれぞれが取得した相続財産の価額を合計すると,その金額は,原告Aが2億0565万7035円であり,原告Cが2億6213万0203円(別紙6の各原告欄の順号⑨参照)となる。 3 相続税の課税価格に加算される相続時精算課税適用財産の価額相続税法21条の15第1項は,被相続人から相続時精算課税に係る贈与によって取得した財産(以下「相続時精算課税適用財産」という。)がある場合には,当該相続時精算課税適用財産の価額を相続税の課税価格に加算した金額をもって相続税の課税価格とする旨を定めている。 本件においては,原告Aは,亡Bから,平成16年7月20日に合計24億 - 44 -9434万7530円,平成18年1月5日に合計34億5146万4297円の相続時精算課税に係る贈与を受けており,相続税の課税価格に加算される当該相続時精算課税適用財産の価額は,原告Aが受けた平成16年分及び平成18年分の相続時精算課税に係る贈与の合計額であり,59億4581万1827円(別紙6の「原告A」欄の順号⑩参照)となる。 4 債務及び葬式費用の金額相続税法13条1項は,相続又は遺贈により財産を取得した者の当該財産の課税価格に算入すべき価額は,当該財産の価額から,その者が負担する被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)及び被相続人に係る葬式費用の金額を控除した金額による旨を定めている。 本件において,相続財産の価額から控除されることとなる債務及び葬式費用の金額は,原告Aが93万4115円(別紙6の「原告A」欄の順号⑪参照)となる。 5 原告らそれぞれの課税価格原告らそれぞれの課税価格は,前記2記載の原告らそれぞれが取得した相続財産の価額に,前記 は,原告Aが93万4115円(別紙6の「原告A」欄の順号⑪参照)となる。 5 原告らそれぞれの課税価格原告らそれぞれの課税価格は,前記2記載の原告らそれぞれが取得した相続財産の価額に,前記3の相続税の課税価格に加算される相続時精算課税適用財産の価額を加算し,前記4記載の債務等の金額を控除した金額であるところ,その金額(国税通則法118条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)は,原告Aが61億5053万4000円となり,原告Cが2億6213万円となる(別紙6の各原告欄の順号⑫参照)。 6 遺産に係る基礎控除額遺産に係る基礎控除額は,5000万円と1000万円に法定相続人の数を乗じて得た金額との合計(相続税法15条1項)であるところ,亡Bの法定相続人は,前提事実(1)のとおり3名であるから,遺産に係る基礎控除額は,8000万円(別紙6の「各人の合計額」欄の順号⑬参照)となる。 7 相続税の総額 - 45 -相続税の総額は,共同相続人等の課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した金額を,法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして,その取得金額を算出し,これに相続税法で定めた税率を乗じて計算した金額を合計した金額である(同法16条)。 そうすると,課税される遺産総額は,別紙6の「各人の合計額」欄の順号⑫記載の課税価格の合計額から前記6の遺産に係る基礎控除額を控除した66億9025万9000円(別紙6の「各人の合計額」欄の順号⑭参照)であり,これを別紙6の各本件相続人ら欄の順号⑮記載の各法定相続分に応じてそれぞれ按分すると,その金額(国税通則法118条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)は,同欄の順号⑯記載のとおり,原告らそれぞれにつき16億7256万4000円とな 分に応じてそれぞれ按分すると,その金額(国税通則法118条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)は,同欄の順号⑯記載のとおり,原告らそれぞれにつき16億7256万4000円となり,他の相続人(妻)につき33億4512万9000円となる。そして,これに相続税法16条が定める税率を乗ずると(別紙6の順号⑰記載の計算式は,同条の各人の取得金額が3億円を超える場合における「相続税の総額の基礎となる税額」の簡易な計算式である。),各人の相続税の総額の基礎となる税額は,別紙6の各本件相続人ら欄の順号⑱記載のとおり,原告らそれぞれにつき7億8928万2000円となり,他の相続人につき16億2556万4500円となる。 したがって,相続税の総額は,別紙6の「各人の合計額」欄の順号⑱記載のとおり,32億0412万8500円(国税通則法119条1項により,100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)となる。 8 原告らそれぞれの相続税額原告らそれぞれの相続税額は,前記7の相続税の総額32億0412万8500円に,原告らそれぞれの課税価格(別紙6の各原告欄の順号⑫参照)が各相続人の課税価格の合計額(別紙6の「各人の合計額」欄の順号⑫参照)に占める割合(按分割合。別紙6の各原告欄の順号⑲記載の割合)を乗じて計算すべきものであり(相続税法17条),別紙6の各原告欄の順号⑳記載のとおり, - 46 -原告Aが29億1083万4176円となり,原告Cが1億2405万7027円となる。 9 相続時精算課税に係る贈与税額の控除額相続税法21条の15第3項は,相続時精算課税適用財産がある場合において,当該相続時精算課税適用財産の取得につき課せられた贈与税があるときは,各人ごとに算出した相続税額から当該相続時精算課税適用財産に係る贈与 1条の15第3項は,相続時精算課税適用財産がある場合において,当該相続時精算課税適用財産の取得につき課せられた贈与税があるときは,各人ごとに算出した相続税額から当該相続時精算課税適用財産に係る贈与税の税額に相当する金額を控除した金額をもって,納付すべき相続税額とする旨を定めている。 本件において,原告Aの相続時精算課税に係る贈与税額は,原告Aが受けた平成16年分及び平成18年分の相続時精算課税に係る贈与につき課せられた贈与税の合計額であり,11億8416万2200円(別紙6の「原告A」欄の順号○ 21 参照)となる。 10 原告らそれぞれが納付すべき相続税額原告Aの納付すべき税額は,前記8の相続税額から,前記9の相続時精算課税に係る贈与税額を控除した金額であり,17億2667万1900円(国税通則法119条1項の規定により,100円未満を切り捨てた後のもの。別紙6の「原告A」欄の順号○ 22 参照)となる。また,原告Cの納付すべき税額は,前記8の金額と同額であり,1億2405万7000円(国税通則法119条1項の規定により,100円未満を切り捨てた後のもの。別紙6の「原告C」欄の順号○ 22 参照)となる。 11 本件各更正処分の適法性本件各更正処分は,原告Aの納付すべき税額を17億2236万7000円とし,原告Cの納付すべき税額を1億2013万8300円とするものであるところ,これらの税額は,いずれも前記10の金額の範囲内である。したがって,本件各更正処分は,いずれも適法なものである。 以上 - 47 -(別紙7)原告らの納付すべき相続税額等 1 本件相続財産及びその価額の内訳(1) 本件各死亡給付金請求権以外の本件相続財産生命保険金等を除く本件相続財産の価額は,別紙8(課税価格及び相続税 )原告らの納付すべき相続税額等 1 本件相続財産及びその価額の内訳(1) 本件各死亡給付金請求権以外の本件相続財産生命保険金等を除く本件相続財産の価額は,別紙8(課税価格及び相続税の総額の計算明細表2)の各本件相続人ら欄及び「各人の合計額」欄の順号①~⑤及び⑧記載のとおりであり,その価額の合計額は,5億9937万4645円である。 (2) 本件相続財産中の生命保険金等ア本件相続財産のうち妻が取得した生命保険金等の価額は,別紙8の「他の相続人」欄の順号⑥記載のとおりである。また,争点1についての判断において述べたとおり,本件各死亡給付金請求権は,いずれも,相続税法24条1項に定める定期金給付契約に関する権利のうち同項1号が掲げる「有期定期金」の「残存期間が35年を超えるもの」に該当するものとして,その価額を評価するのが相当であるところ,前提事実(4)ウのとおり,本件各死亡給付金請求権について,同項1号に定める「その残存期間に受けるべき給付金額の総額」は,いずれも1億4515万7076円であるから,その価額は,いずれも,1億4515万7076円×20/100≒2903万1415円(円未満四捨五入。別紙8の各原告欄の順号⑥参照)となる。そうすると,これらの生命保険金等の価額の合計額は,8372万6723円となる。 イまた,前記アの生命保険金等から控除すべき相続税法12条1項5号ロ所定の保険金の非課税限度額の合計は,別紙8の各本件相続人ら欄及び「各人の合計額」欄の順号⑦記載のとおりとなる。 (3) 本件相続財産の価額の合計額から保険金の非課税限度額を控除した額 - 48 -そうすると,本件相続財産の価額の合計額(前記(1)+(2)ア=6億8310万1368円)から保険金の非課税限度額の合計額(前記 価額の合計額から保険金の非課税限度額を控除した額 - 48 -そうすると,本件相続財産の価額の合計額(前記(1)+(2)ア=6億8310万1368円)から保険金の非課税限度額の合計額(前記(2)イの合計額である1500万円)を控除した額は,別紙8の「各人の合計額」欄の順号⑨記載のとおり6億6810万1368円となる。 2 原告らそれぞれが取得した相続財産及びその価額原告らが取得した本件各死亡給付金請求権を含めた相続財産及びその価額は,別紙8の各原告欄の順号①~⑧に記載のとおりであり,原告らそれぞれが取得した相続財産の価額を合計すると,その金額は,原告Aが1億2788万9335円であり,原告Cが1億8436万2503円(別紙8の各原告欄の順号⑨参照)となる。 3 相続税の課税価格に加算される相続時精算課税適用財産の価額本件においては,原告Aは,亡Bから,平成16年7月20日に合計24億9434万7530円,平成18年1月5日に合計34億5146万4297円の相続時精算課税に係る贈与を受けており,相続税の課税価格に加算される当該相続時精算課税適用財産の価額(相続税法21条の15第1項参照)は,原告Aが受けた平成16年分及び平成18年分の相続時精算課税に係る贈与の合計額であり,59億4581万1827円(別紙8の「原告A」欄の順号⑩参照)となる。 4 債務及び葬式費用の金額本件において,相続財産の価額から控除されることとなる債務及び葬式費用の金額(相続税法13条1項)は,原告Aが93万4115円(別紙8の「原告A」欄の順号⑪参照)となる。 5 原告らそれぞれの課税価格原告らそれぞれの課税価格は,前記2記載の原告らそれぞれが取得した相続財産の価額に,前記3の相続税の課税価格に加算される相続時精算課税適用財産の ⑪参照)となる。 5 原告らそれぞれの課税価格原告らそれぞれの課税価格は,前記2記載の原告らそれぞれが取得した相続財産の価額に,前記3の相続税の課税価格に加算される相続時精算課税適用財産の価額を加算し,前記4記載の債務等の金額を控除した金額であるところ, - 49 -その金額(国税通則法118条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)は,原告Aが60億7276万7000円となり,原告Cが1億8436万2000円となる(別紙8の各原告欄の順号⑫参照)。 6 遺産に係る基礎控除額遺産に係る基礎控除額は,5000万円と1000万円に法定相続人の数を乗じて得た金額との合計(相続税法15条1項)であるところ,亡Bの法定相続人は,前提事実(1)のとおり3名であるから,遺産に係る基礎控除額は,8000万円(別紙8の「各人の合計額」欄の順号⑬参照)となる。 7 相続税の総額相続税の総額は,共同相続人等の課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した金額を,法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして,その取得金額を算出し,これに相続税法で定めた税率を乗じて計算した金額を合計した金額である(同法16条)。 そうすると,課税される遺産総額は,別紙8の「各人の合計額」欄の順号⑫記載の課税価格の合計額から前記6の遺産に係る基礎控除額を控除した65億3171万6000円(別紙8の「各人の合計額」欄の順号⑭参照)であり,これを別紙8の各本件相続人ら欄の順号⑮の各法定相続分に応じてそれぞれ按分すると,その金額(国税通則法118条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)は,同欄の順号⑯記載のとおり,原告らそれぞれにつき16億3292万9000円となり,他の相続人(妻)につき32億6585万8000円 18条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)は,同欄の順号⑯記載のとおり,原告らそれぞれにつき16億3292万9000円となり,他の相続人(妻)につき32億6585万8000円となる。そして,これに相続税法16条が定める税率を乗ずると(別紙8の順号⑰記載の計算式は,同条の各人の取得金額が3億円を超える場合における「相続税の総額の基礎となる税額」の簡易な計算式である。),各人の相続税の総額の基礎となる税額は,別紙8の各本件相続人ら欄の順号⑱記載のとおり,原告らそれぞれにつき7億6946万4500円となり,他の相続人(妻)につき15億8592万9000円となる。 - 50 -したがって,相続税の総額は,別紙8の「各人の合計額」欄の順号⑱記載のとおり,31億2485万8000円(国税通則法119条1項により,100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)となる。 8 原告らそれぞれの相続税額原告らそれぞれの相続税額は,前記7の相続税の総額31億2485万8000円に,原告らそれぞれの課税価格(別紙8の各原告欄の順号⑫参照)が各相続人の課税価格の合計額(別紙8の「各人の合計額」欄の順号⑫参照)に占める割合(按分割合。別紙8の各原告欄の順号⑲記載の割合)を乗じて計算すべきものであり(相続税法17条),別紙8の各原告欄の順号⑳記載のとおり,原告Aが28億7013万7577円となり,原告Cが8713万3971円となる(いずれも円未満切捨て)。 9 相続時精算課税に係る贈与税額の控除額相続税法21条の15第3項は,相続時精算課税適用財産がある場合において,当該相続時精算課税適用財産の取得につき課せられた贈与税があるときは,各人ごとに算出した相続税額から当該相続時精算課税適用財産に係る贈与税の税額に相当する金額を控 算課税適用財産がある場合において,当該相続時精算課税適用財産の取得につき課せられた贈与税があるときは,各人ごとに算出した相続税額から当該相続時精算課税適用財産に係る贈与税の税額に相当する金額を控除した金額をもって,納付すべき相続税額とする旨を定めているところ,本件において,原告Aの相続時精算課税に係る贈与税額は,原告Aが受けた平成16年分及び平成18年分の相続時精算課税に係る贈与につき課せられた贈与税の合計額であり,11億8416万2200円(別紙6の「原告A」欄の順号○ 21 参照)となる。 10 原告らそれぞれが納付すべき相続税額原告Aの納付すべき税額は,前記8の相続税額から,前記9の相続時精算課税に係る贈与税額を控除した金額であり,16億8597万5300円(国税通則法119条1項の規定により,100円未満を切り捨てた後のもの。別紙8の「原告A」欄の順号○ 22 参照)となる。また,原告Cの納付すべき税額は,前記8の金額と同額であり,8713万3900円(国税通則法119条1項 - 51 -の規定により,100円未満を切り捨てた後のもの。別紙8の「原告C」欄の順号○ 22 参照)となる。 以上
▼ クリックして全文を表示