-1-平成26年3月18日判決言渡平成23年(行ウ)第698号法人税更正処分等取消請求事件平成24年(行ウ)第438号法人税更正処分等取消請求事件平成25年(行ウ)第311号法人税更正処分等取消請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 平成23年(行ウ)第698号事件(1) 四谷税務署長が原告に対して平成23年3月15日付けでした原告の平成21年2月2日から平成21年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額マイナス9657万8987円を超える部分,差引納付すべき法人税額マイナス3万8850円を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金9657万8987円を下回る部分並びに過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (2) 四谷税務署長が原告に対して平成23年3月15日付けでした原告の平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額マイナス4億7304万7649円を超える部分,差引納付すべき法人税額マイナス41万1682円を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金5億6962万6636円を下回る部分並びに過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 2 平成24年(行ウ)第438号事件四谷税務署長が原告に対して平成24年1月27日付けでした原告の平成22年4月1日から平成23年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額マイナス8億0262万0219円を超える部分,差引納付-2-すべき法人税額マイナス64万9963円を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金13億7224万6855円を下回る部分並びに過少申告加算税賦 イナス8億0262万0219円を超える部分,差引納付-2-すべき法人税額マイナス64万9963円を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金13億7224万6855円を下回る部分並びに過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 3 平成25年(行ウ)第311号事件四谷税務署長が原告に対して平成24年12月21日付けでした原告の平成23年4月1日から平成24年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額マイナス6億8703万4706円を超える部分,差引納付すべき法人税額マイナス35万7110円を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金20億5928万1561円を下回る部分並びに過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要 1 原告は,平成21年2月2日,P1株式会社(以下「P1」という。)の完全子会社であったP2株式会社(同日までの商号は「P3株式会社」。以下,商号変更の前後を通じて「P2」という。)から分社型分割である新設分割(以下「本件分割」という。)により設立された。その後,P2は,同月19日,P4株式会社(以下「P4」という。)に対し,原告の発行済株式全部の譲渡(以下「本件譲渡1」という。)を行い,P1は,同月23日,P4に対し,P2の発行済株式全部の譲渡(以下「本件譲渡2」という。)を行い,P4は,同年3月30日,同社を合併法人,P2を被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」という。)を行った。そして,原告は,本件分割が非適格分割に該当し,資産調整勘定の金額が生じたとして,法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの。以下「法」という。)62条の8第1項,4項及び5項に基づき,原告の①平成21年2月2日から同年3月31日までの事業年度,②同年4月1日から平成22年3月31日ま 2年法律第6号による改正前のもの。以下「法」という。)62条の8第1項,4項及び5項に基づき,原告の①平成21年2月2日から同年3月31日までの事業年度,②同年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度,③同年4月1日から平成23年3月31日までの事業年度に係る各法人税の確定申告に当たり,資産調整勘定の金額からそれぞれ所定の金額を減額し,損金の額に算入した。 -3-これに対し,処分行政庁は,本件分割の時点で本件譲渡1が見込まれていたものとして本件分割を非適格分割とした上で,本件分割により原告が資産及び負債等の移転を受け,これにより資産調整勘定の金額を生じさせたことは,法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの。以下「施行令」という。)4条の2第6項1号に規定する要件を形式的に満たさないこととすることにより本件分割を非適格分割とした上で,原告に資産調整勘定の金額を生じさせてこれを減額して損金の額に算入することを目的とした異常ないし変則的なものであり,これを容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるとして,法132条の2の規定に基づき,上記の行為及び計算を否認する旨の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び各過少申告加算税賦課決定処分(以下,「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をした。 本件は,原告が,本件更正処分等は同条の要件が満たされていなかったにもかかわらずされた違法なものであると主張して,本件各更正処分の一部及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令の定め別紙2のとおり。なお,その要旨は,以下のとおりである。 (1) 適格分割及び非適格分割ア法2条12号の11は,適格分割 課決定処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令の定め別紙2のとおり。なお,その要旨は,以下のとおりである。 (1) 適格分割及び非適格分割ア法2条12号の11は,適格分割について,同号イからハまでのいずれかに該当する分割をいう旨規定し,同号イは,その分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割を掲げている。(なお,同号イからハまでのいずれの要件も満たさず,適格分割に該当しない分割を,以下「非適格分割」という。)イ法2条12号の11イの規定を受けて,施行令4条の2第6項は,法2条12号の11イに規定する政令で定める関係は,同項1号又は2号に掲-4-げるいずれかの関係とする旨規定し,①同項1号は,当該分割が単独新設分割である場合にあっては,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に「当事者間の完全支配関係」が継続すること(分割後に当該分割法人を被合併法人とする適格合併が予定されている場合は,上記に加えて,合併後,合併法人と分割承継法人との間に上記の関係が継続すること)が見込まれている場合における当該分割法人と分割承継法人との間の関係を掲げ,②同項2号は,当該分割が単独新設分割である場合にあっては,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に「同一者による完全支配関係」が継続することが見込まれている場合における当該分割法人と分割承継法人との間の関係を掲げている。 (2) 非適格分割により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等ア資産調整勘定法62条の8第1項は,内国法人が非適格分割により当該非適格分割に係る分割法人から資産又は負債の移転を受けた場合に り移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等ア資産調整勘定法62条の8第1項は,内国法人が非適格分割により当該非適格分割に係る分割法人から資産又は負債の移転を受けた場合において,当該内国法人が当該非適格分割により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額を超えるときは,その超える部分の金額のうち政令で定める部分の金額は,資産調整勘定の金額とする旨規定する。 イ資産調整勘定の取崩し法62条の8第4項は,同条1項の資産調整勘定の金額を有する内国法人は,各資産調整勘定の金額に係る当初計上額を60で除して計算した金額に当該事業年度の月数を乗じて計算した金額に相当する金額を,当該事業年度において減額しなければならない旨規定する。 ウ資産調整勘定の金額の損金算入法62条の8第5項は,同条4項の規定により減額すべきこととなった資産調整勘定の金額に相当する金額は,その減額すべきこととなった日の-5-属する事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨規定する。 (3) 組織再編成に係る行為又は計算の否認法132条の2は,税務署長は,合併等に係る①合併等をした一方の法人又は他方の法人(同条1号),②合併等により交付された株式を発行した法人(同条2号),③上記①及び②に掲げる法人の株主等である法人(同条3号)の法人税につき更正又は決定をする場合において,その法人の行為又は計算で,これを容認した場合には,合併等により移転する資産及び負債の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,法人税の額から控除する金額の増加,上記①又は②に掲げる法人の株式(出資を含む。)の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,みなし する資産及び負債の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,法人税の額から控除する金額の増加,上記①又は②に掲げる法人の株式(出資を含む。)の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,みなし配当金額の減少その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは,その行為又は計算にかかわらず,税務署長の認めるところにより,その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる旨規定する。 3 前提事実(当事者間に争いがないか,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)(1) 当事者等ア原告原告は,平成21年2月2日,P1の完全子会社であったP2から本件分割により設立された。原告は,P2の完全子会社であったが,P2が,P4に対し,同月20日,保有していた原告の発行済株式全部を譲渡し(本件譲渡1),P4の完全子会社となった。当時,原告は,情報通信事業用施設の保守,管理及び運営に関するサービス提供等を目的とする株式会社であった。(甲36,甲A2)イ P2P2は,昭和61年に設立され,情報通信事業用施設の保守,管理及び-6-運営等を目的とする株式会社であった(甲A3)。 P2は,P1の完全子会社であったが,P1が,P4に対し,平成21年2月24日,保有していたP2の発行済株式全部を譲渡し(本件譲渡2),P4の完全子会社となり,同年3月30日,P2を被合併法人,P4を合併法人とする合併(本件合併)により解散した(甲37,38,甲A3)。 ウ P4P4は,平成8年に設立され,情報処理サービス業及び情報提供サービス業等を目的とする株式会社であり,「P5」ブランドで行う個人向け及び小規模事 37,38,甲A3)。 ウ P4P4は,平成8年に設立され,情報処理サービス業及び情報提供サービス業等を目的とする株式会社であり,「P5」ブランドで行う個人向け及び小規模事業者向けのインターネットサービス事業を主力としている(甲A4,弁論の全趣旨)。 P4の議決権の所有割合は,P1が約42.1パーセント,米国のP6Inc.(以下「P6」という。)が約34.9パーセント,多数の少数株主を含むその他の株主が約23.0パーセントであった(甲5)。 本件分割当時,P7(以下「P7氏」という。)がP4の代表取締役社長を,P8(以下「P8氏」という。)がP4の取締役会長を,それぞれ務めていた(甲A4)。 エ P1P1は,昭和56年に設立され,コンピュータ,その周辺機器・関連機器及びそのソフトウェアの開発,設計,製造,販売並びに輸出入業務等を営む会社及びこれに相当する業務を行う外国会社の株式又は持分を取得・所有することにより,当該会社の事業活動を支配・管理することを目的とする株式会社である。P1は,ブロードバンド・インフラ事業を営む会社,移動体通信事業を営む会社,固定通信事業を営む会社など,多くのグループ子会社を傘下に抱えている。 本件分割当時,P8氏がP1の代表取締役社長を,P7氏はP1の取締-7-役を,それぞれ務めていた。(甲A6,弁論の全趣旨)(2) 本件分割及び本件合併に至る経緯ア本件提案P1の代表取締役社長であり,かつ,P4の取締役会長でもあるP8氏は,P7氏らP4の常勤取締役に対し,平成20年10月27日,P2の株式の譲渡等を提案した。その後,P1は,P4に対し,同年11月21日,上記の提案を改めて書面により行い,①P2から でもあるP8氏は,P7氏らP4の常勤取締役に対し,平成20年10月27日,P2の株式の譲渡等を提案した。その後,P1は,P4に対し,同年11月21日,上記の提案を改めて書面により行い,①P2から新会社(原告)を新設分割すること(本件分割に相当するもの),②P2がP4に対して新会社(原告)の株式を譲渡すること(本件譲渡1に相当するもの),③P1がP4に対してP2の株式を700億円で譲渡すること(本件譲渡2に相当するもの),④P4がP2を合併すること(本件合併に相当するもの)などの組織再編成に係る手順を示した(以下,上記の提案を「本件提案」という。)。(甲14,15,77,79,80,乙7)本件提案における組織再編成の手順は4段階で構成されており,その概要は以下のとおりである(甲15)。 (ア) ステップ①(本件分割に相当するもの)P2は,新設分割により,簿価34億円の新会社(原告)を設立する。 (イ) ステップ②(本件譲渡1に相当するもの)aP2は,P4に対し,新会社(原告)の発行済株式全部を174億円で譲渡する。 bP2は,新会社(原告)の株式譲渡益140億円(譲渡価額174億円と簿価34億円との差額)を,P2の未処理欠損金額165億円(平成14年3月期の124億円及び平成15年3月期の41億円の合計額)の一部と相殺する。 (ウ) ステップ③(P2株式の譲渡。本件譲渡2に相当するもの)P1は,P4に対し,P2の発行済株式全部を700億円(税務上資産-8-200億円,事業資産326億円及び現金174億円の合計額)で譲渡する。上記「税務上資産200億円」は,P2(本件分割後のもの)からP4に引き継がれる未処理欠損金額約500億円に税率4 産-8-200億円,事業資産326億円及び現金174億円の合計額)で譲渡する。上記「税務上資産200億円」は,P2(本件分割後のもの)からP4に引き継がれる未処理欠損金額約500億円に税率40パーセントを乗じて算出した額である。 (エ) ステップ④(本件合併に相当するもの)aP4は,平成21年3月末までに,P4を存続会社,P2を消滅会社とする吸収合併を行う。 bP4は,P2の未処理欠損金額を承継し,P4の事業収益と相殺する。 イ P7氏のP2取締役副社長就任P8氏は,P7氏に対し,平成20年11月27日,P2の取締役副社長に就任するように依頼し,P7氏はこれを了解した。そして,P7氏は,同年12月26日,株主総会の決議及び取締役会の決議を経て,P2の取締役副社長に選任された(以下「本件副社長就任」という。)。(甲77,80)ウ本件分割P2は,平成21年1月7日,データセンターの営業・販売及び商品開発に係る事業に関する権利義務を新設分割により新たに設立する会社に承継させる旨の新設分割計画を作成した(甲41,乙1)。そして,同年2月2日,原告が本件分割により設立され,P2の取締役が原告の取締役にも就任した(甲A2,3,弁論の全趣旨)。 エ原告株式の譲渡(本件譲渡1)P2は,P4との間で,平成21年2月19日,P4に対して保有する原告の発行済株式全部を115億円で譲渡する旨の株式譲渡契約を締結し,P4に対し,同月20日,譲渡代金の支払を受けるのと引換えに,保有する原告の発行済株式全部を譲渡した(甲36,42)。 -9-オ P2株式の譲渡(本件譲渡2)P1は,P4との間で,平成21年2月23日,P4に対して保有する 引換えに,保有する原告の発行済株式全部を譲渡した(甲36,42)。 -9-オ P2株式の譲渡(本件譲渡2)P1は,P4との間で,平成21年2月23日,P4に対して保有するP2の発行済株式全部を450億円で譲渡する旨の株式譲渡契約を締結し,P4に対し,同月24日,譲渡代金の支払を受けるのと引換えに,保有するP2の発行済株式全部を譲渡した(甲37)。 カ本件合併P4は,平成21年2月25日,P4を存続会社,P2を消滅会社とする吸収合併を行い,P4がP2の権利義務全部を承継し,P2が本件合併後に解散する旨の合併契約を締結し,本件合併は,同年3月30日に効力を生じた。P7氏以外のP2の取締役は,本件合併に伴って全員退任し,P4の取締役には就任しなかった。(甲38,甲A4)(3) 本件各更正処分等ア資産調整勘定の計上原告は,本件分割当時,P4が原告の株式を取得すること(本件譲渡1)が見込まれており,本件分割後に,P2と原告との間に,法施行令4条の2第6項に規定する当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれておらず,本件分割が非適格分割に該当するなどとして,本件分割に係る非適格合併等対価額(P2に交付された原告の株式の評価額)115億円と原告が本件分割により移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額14億6606万1640円との差額100億3393万8360円を法62条の8第1項に規定する資産調整勘定の金額(以下「本件資産調整勘定の金額」という。)とした(甲A48の1,2,甲B48,甲C48)。 イ平成21年3月期確定申告書の提出原告は,本件資産調整勘定の金額100億3393万8360円のうち,平成21年3月期に対応する3億3446万4612円 甲B48,甲C48)。 イ平成21年3月期確定申告書の提出原告は,本件資産調整勘定の金額100億3393万8360円のうち,平成21年3月期に対応する3億3446万4612円を減額して(法62条の8第4項),同額を損金の額に算入した上(同条5項),平成21年-10-6月29日,平成21年3月期確定申告書を処分行政庁に提出した(甲A48の1)。 ウ平成22年3月期確定申告書の提出原告は,本件資産調整勘定の金額100億3393万8360円のうち,平成22年3月期に対応する20億0678万7672円を減額して(法62条の8第4項),同額を損金の額に算入した上(同条5項),平成22年6月28日,平成22年3月期確定申告書を処分行政庁に提出した(甲A48の2)。 エ平成23年3月期確定申告書の提出原告は,本件資産調整勘定の金額100億3393万8360円のうち,平成23年3月期に対応する20億0678万7672円を減額して(法62条の8第4項),同額を損金の額に算入した上(同条5項),平成23年6月29日,平成23年3月期確定申告書を処分行政庁に提出した(甲B48)。 オ平成24年3月期確定申告書の提出原告は,本件資産調整勘定の金額100億3393万8360円のうち,平成24年3月期に対応する20億0678万7672円を減額して(法62条の8第4項),同額を損金の額に算入した上(同条5項),平成24年6月29日,平成24年3月期確定申告書を処分行政庁に提出した(甲C48)。 カ本件各更正処分等処分行政庁は,平成21年3月期及び平成22年3月期の法人税については,平成23年3月15日付けで,平成23年3月期の法人税については,平 (甲C48)。 カ本件各更正処分等処分行政庁は,平成21年3月期及び平成22年3月期の法人税については,平成23年3月15日付けで,平成23年3月期の法人税については,平成24年1月27日付けで,平成24年3月期の法人税については,平成24年12月21日付けで,「本件譲渡1,本件譲渡2及び本件合併は本件分割の時点であらかじめ計画されていたものであり,本件分割の時-11-点で本件譲渡1が見込まれていたものとして,非適格分割とした本件分割により原告が分割対象資産等(本件分割に係る新設分割計画書の別紙「承継権利義務明細表」に定める資産及び負債等)の移転を受け,これによって本件資産調整勘定の金額を生じさせたことは,施行令4条の2第6項1号に規定する要件を形式的に満たさないこととすることにより本件分割を非適格分割とした上で,原告に本件資産調整勘定の金額を生じさせてこれを減額して損金の額に算入することを目的とした異常ないし変則的なものであり,これを容認した場合には,本件資産調整勘定の金額を減額して損金の額に算入することにより原告の法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められることから,法132条の2の規定により,本件分割の時点で本件譲渡1が見込まれることなく,適格分割となる本件分割により原告が本件分割対象資産等の移転を受けたものとし,これによって本件資産調整勘定の金額は生じなかったこととして,各事業年度の所得金額を計算する」旨の理由により,原告が損金の額に算入した本件資産調整勘定の金額に係る「資産調整勘定取崩」は,損金の額に算入されず,各事業年度の所得金額に加算する旨の本件各更正処分等をした(甲A1の1,2,甲B1,甲C1。別表1-1,2,別表3,5)。 キ審査請求原告は,平成21年3 金の額に算入されず,各事業年度の所得金額に加算する旨の本件各更正処分等をした(甲A1の1,2,甲B1,甲C1。別表1-1,2,別表3,5)。 キ審査請求原告は,平成21年3月期及び平成22年3月期の法人税についての各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定処分に対しては,平成23年5月13日付けで(甲A49。別表1-1,2),平成23年3月期の法人税についての更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分に対しては,平成24年2月24日付けで(甲B49。別表3),平成24年3月期の法人税についての更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分に対しては,平成25年2月14日付けで(甲C49。別表5),審査請求を国税不服審判所長にそれぞれ行った。 -12-ク本件各訴えの提起原告は,いずれも審査請求をした日の翌日から起算して三月を経過しても裁決がされなかったため,平成21年3月期及び平成22年3月期の法人税の各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定処分については,平成23年11月30日に,平成23年3月期の法人税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分については,平成24年7月3日に,平成24年3月期の法人税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分については,平成25年5月30日に,各処分の取消しを求め,本件各訴えを提起した。 4 被告が主張する本件各更正処分等の根拠及び適法性被告が主張する本件各更正処分等の根拠及び適法性は,別紙3のとおりである(なお,別紙中の略語は本文においても同様に用いる。)。 被告は,本件各更正処分について,本件分割後にP4とP2の間で本件譲渡1を行うという計画(以下「本件計画」という。)を前提とした原告の分割承継行為を法132条の2の規定に基づき否認し,本件譲渡1を行 被告は,本件各更正処分について,本件分割後にP4とP2の間で本件譲渡1を行うという計画(以下「本件計画」という。)を前提とした原告の分割承継行為を法132条の2の規定に基づき否認し,本件譲渡1を行わないという計画を前提とする原告の分割承継行為に引き直すものである旨主張している。 5 争点本件の主たる争点は,以下のとおりである。 (1) 法132条の2の意義(争点1)すなわち,①同条に規定する「その法人の行為」で,「これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とはどのような行為をいうか。また,②同条の規定に基づき否認することができる行為又は計算は,法人税につき更正又は決定を受ける法人の行為又は計算に限られるか否か。 (2) 本件計画を前提とした分割承継行為を法132条の2の規定に基づき否認することができるか否か(争点2)。 すなわち,①本件計画を前提とした分割承継行為は,「その法人の行為」-13-で,「これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当するか否か。また,②本件計画を前提とした分割承継行為は,原告の行為か否か。 6 争点についての当事者の主張別紙4のとおり第3 当裁判所の判断 1 認定事実上記前提事実,争いのない事実,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) P2の事業内容,未処理欠損金額の処理に関する検討等ア P2の事業内容等P1は,平成17年2月,英国のP9グループから,P2の発行済株式の全部を取得し,P2を完全子会社とした。P2は,同年5月,通信事業を分割して,これをP10株式会社に対して売却し,他方,P11株式会社から,データ 年2月,英国のP9グループから,P2の発行済株式の全部を取得し,P2を完全子会社とした。P2は,同年5月,通信事業を分割して,これをP10株式会社に対して売却し,他方,P11株式会社から,データセンター事業を行っていたP12株式会社の株式を譲り受け,以後,データセンター事業に特化して事業を行っていた。当時,P2の代表取締役はP13(以下「P13氏」という。)であり,平成18年3月期における従業員数は約115名であった(甲7の1,甲8,15,乙15)。なお,「データセンター」とは,一般に,サーバー類を収容する建物や部屋などの施設及びそこに収容されるサーバー類を一体として指し示す言葉であるが,施設とサーバー類を別の者が整備する場合は,施設のみを指してデータセンター(狭義のデータセンター)と呼ぶことがある。そして,「データセンター事業」とは,サーバー類の収容のために施設を貸し出す役務(「ハウジング」又は「コロケーション」)や,データセンターに収容したサーバー類を貸し出す役務(「ホスティング」)などを提供する事業をいう(弁論の全趣旨)。 -14-P2は,東京都や大阪府などにデータセンターを保有して,データセンター事業を展開し,業界3位(専業では1位)の地位を占めていた(甲7の1から3まで,甲9,乙15)。P2の主要な売上は,コロケーションによるものであって,ホスティングは少なく,P2の事業の本質は不動産賃貸業であり,インターネットビジネスに精通した者は少なかった。また,平成20年度において,P2の取引先のうちの25パーセントがP14グループ各社であった。(甲33の3,甲77)。 イ P2の未処理欠損金額P2には,平成14年3月期から平成18年3月期までに欠損金が発生し,その額は,①2001年度(平成14年3月期)が124億 プ各社であった。(甲33の3,甲77)。 イ P2の未処理欠損金額P2には,平成14年3月期から平成18年3月期までに欠損金が発生し,その額は,①2001年度(平成14年3月期)が124億円,②2002年度(平成15年3月期)が41億円,③2003年度(平成16年3月期)が106億円,④2004年度(平成17年3月期)が29億円,⑤2005年度(平成18年3月期)が366億円であったところ,P2の利益は,平成19年3月期以降,毎年約20億円であり,上記未処理欠損金額を控除するには相当な期間が掛かることが見込まれていた。そして,上記未処理欠損金額のうち平成14年3月期に発生した124億円については,平成21年3月末で繰り越しができなくなる状況にあった(甲15,乙5,8,15)。 ウ P2の株式上場計画と分社化案P2は,平成20年3月頃,データセンターに係る設備投資資金の調達と,P1への財務面の寄与を目的として,株式公開を行うことを検討し,これをP1財務部の一部門である関連事業室に対して説明した(甲9,79,乙8)。これによれば,株式公開のメリットは,①調達した資金を活用して建設されるデータセンターの利用促進により,P14グループのネット事業の拡大,競争力確保,②P2の収益性等の拡大,③繰越欠損金の最大活用の3点であるとされていた。そして,株式の公開に当たっては,-15-P2を分社することが予定されており,具体的には,①P2の主要な資産及び負債を承継する新設分割設立会社を新設分割により設立する,②P2がP1に対して新設分割設立会社の株式の一定割合を現物配当する,③その後,新設分割設立会社の株式上場を行うというスキームが計画されていた。この計画において,上記未処理欠損金額は,P1への新設分割設立会社の株式の現物配当 設立会社の株式の一定割合を現物配当する,③その後,新設分割設立会社の株式上場を行うというスキームが計画されていた。この計画において,上記未処理欠損金額は,P1への新設分割設立会社の株式の現物配当による譲渡益などとの相殺により処理することとされていた。 上記の株式公開については,平成20年3月27日のP1取締役会において,その準備に着手することが承認されたが,株式上場の是非及び具体的時期については再度審議することとなったことから,P2は,同年7月16日の取締役会において,上記の分社化案に修正を加えた新たな案(7月16日分社化スキーム案)を決定し,これをP1の取締役会に諮ることとした。(甲9,10,11の1,2,甲79,乙11)もっとも,その頃,P2は,評価算定会社に依頼して,新設分割設立会社の事業価値を算定したところ,292億7300万円ないし357億7900万円との報告(甲78)を受けた。そして,P1の関連事業室からは,①P8氏は子会社の株式を上場するならば少なくとも1000億円以上の事業価値になってから行うべきであると考えていること,②上記7月16日分社化スキーム案では上記未処理欠損金額の全てを処理することはできないと見込まれることなどの指摘を受けたことから,同案は,同年7月29日に開催されたP1の取締役会には上程されず,再度検討することになった。(甲12,77,79)エ P1財務部における分社化案等の検討P1の関連事業室は,平成20年10月頃までに,上記の7月16日分社化スキーム案に代わるものとして,事業譲渡案と単純分社化案を作成した。前者は,P2が新設分割により新会社を設立するが,P2には資産と-16-してのデータセンター設備(土地・建物等)を残し,新会社に対して営業・販売などの事業を譲渡す 渡案と単純分社化案を作成した。前者は,P2が新設分割により新会社を設立するが,P2には資産と-16-してのデータセンター設備(土地・建物等)を残し,新会社に対して営業・販売などの事業を譲渡するというものであり,後者は,前者同様にP2には資産としてのデータセンター設備(土地・建物等)を残すような新設分割を行って新会社を設立するというものであった。そして,P2の未処理欠損金額のうち,平成21年3月末にまでに消滅する分は,事業譲渡か非適格合併により処理し,それ以外の分は,P2とP1の他の子会社(P11株式会社及びP15株式会社)との適格合併により処理するという内容であり,P14グループ内でP2の未処理欠損金額を全て処理することができるものであった。P1からこれらの案を示されたP2は,上記の7月16日分社化スキーム案で進めるべき旨の意見を出したが,P1の財務部としては,事業譲渡案又は単純分社化案のいずれかの案を採用するという基本方針を決定した。(甲13,79)(2) P1による本件提案とP4における検討ア P1における資金需要P1においては,平成20年9月頃,同社の資金ミーティングにおいて,同月15日のいわゆるリーマン・ショック後の厳しい金融情勢の下で,手元流動性を高めておく必要があるという合意がされた(乙5)。また,P1は,平成15年12月30日に「2015年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債」(以下「本件CB」という。)を発行していたところ,本件CBは,その所持人がP1に対し平成21年3月31日にその額面金額に償還日までの経過利息を付して繰上償還することを請求する権利を有するものであり,同年に入ってから本件CBの市場価格が100円を下回っているか,同年年初のP1の株価が約1100円以下の水準である場合には,投 での経過利息を付して繰上償還することを請求する権利を有するものであり,同年に入ってから本件CBの市場価格が100円を下回っているか,同年年初のP1の株価が約1100円以下の水準である場合には,投資家から最大500億円の償還請求を受ける可能性があった。 そして,平成20年10月27日の本件CB価格の終値は90.50円,同日のP1の株価の終値は736円となっており,同月28日に開催され-17-たP1の取締役会においては,同社財務部が作成した資料により,上記の請求を受ける可能性についての報告がされた(甲80,乙5,13,14,弁論の全趣旨)。 イ P8氏の発案に基づく本件提案P8氏は,財務部担当取締役であるP16から,平成20年10月中旬,P2に関する上記(1)エの事業譲渡案又は単純分社化案について報告を受けた。しかし,P8氏は,P2とP11株式会社等とを合併させるのではなく,P2をインターネットサービス企業であるP4に売却し,P4と合併させることが適切であると考えた。その理由は,P2としては,P4から顧客の紹介とノウハウの提供を受けることで,P4との関係でより高いシナジー効果を生むことができる点,クラウドコンピューティング事業(データセンターに顧客のサーバーを預かるのではなく,データを預かり,それに付加価値を付けて顧客に役務を提供する事業)を開始することで企業価値を増加させることができる点,P4としても,自社で大型のデータセンターを保有することで,P17に対抗するために安価な検索サーバーを安定的に確保することができる点などにあった。 そこで,P8氏は,平成20年10月27日,P7氏らP4の常勤取締役に対し,P2の買収を提案し,さらに,同年11月21日,P1は,P4に対し,書面(「プロジェクト“○”ご提案資料」と題 った。 そこで,P8氏は,平成20年10月27日,P7氏らP4の常勤取締役に対し,P2の買収を提案し,さらに,同年11月21日,P1は,P4に対し,書面(「プロジェクト“○”ご提案資料」と題するもの)により,P4がP2を700億円で買収する旨の提案(本件提案)をした。同書面において,本件提案に係る買収の目的は,①P4とP2とのシナジー効果を得ること(具体的には,オープンプラットフォームの実現,データセンター自社保有によるコスト削減など),②P14グループ全体での税務メリットを享受することとされた。また,本件提案において示された組織再編成に係る手順は前提事実(2)アのとおりであり,P2の資産価値は,株式価値500億円に繰越欠損金の価値200億円を加えた700億円-18-であるとされ,P2の未処理欠損金額のうち,平成14年3月期及び平成15年3月期の分はP2において処理し,その余のものはP4において処理することとされていた。(甲77,79,80,乙5,8)ウ P1の資金繰り計画等P1の財務部は,平成20年11月11日付け「P1資金繰り計画」(乙13)を作成し,資金調達をしない場合には,同年12月の段階で659億円の不足,翌年3月の段階で1398億円の不足となり,P4に対して平成21年3月にP2の株式を売却することが確度の高い資金調達手段であるとの指摘をしていた。また,同部は,同年12月11日付け「単体資金計画サマリー」(乙14)を作成し,同年11月末時点では実質使用可能残高が-115億円であり,以降の不足により,本年度中には1000億円の資金調達が必要であるところ,P4に対して平成21年3月にP2の株式を500億円で売却することが確度の高い資金調達手段であるとの指摘をしていた。もっとも,これらは,P1の財務部が,保 0億円の資金調達が必要であるところ,P4に対して平成21年3月にP2の株式を500億円で売却することが確度の高い資金調達手段であるとの指摘をしていた。もっとも,これらは,P1の財務部が,保守的な判断を示したものであった(甲77)。 エ P4における本件提案の検討(ア) P4は,インターネットサービス事業を行うため,多数のデータセンターを必要としており,複数のデータセンター事業者との間で利用契約を締結し,データセンターを確保していた。P4は,従前,データセンターを自社保有するよりも,複数のデータセンター事業者と利用契約を締結するほうが,事業規模やサービスの拡大に応じて適宜サーバーの借り増し等を行うことにより,必要な容量を確保しつつ,コストも削減できることから,これを事業戦略上の基本的な方針としていた。そして,P4は,平成17年7月には株式会社P18などと契約し,同社がP4専用に設立したデータセンターに一定の規模の容量を確保するなどしていた。その後,更にデータセンターを確保する必要が生じたので,P4-19-は,P2との間で,平成19年9月に契約を締結し(甲19,20),P2が北九州市に大規模なデータセンターを建築すること,その完成後,P2がP4に対してデータセンターに係る役務を提供することなどを合意した。そして,同契約に基づいて,平成20年10月頃,P19データセンターに100ないし200サーバーが導入されたが,本格稼働の状態ではなかった。なお,それ以前は,P2のデータセンターは価格競争力が劣ることから,P4が利用することはなかった。(甲80,84)(イ) 以上のとおり,P4は,平成20年頃までの時期において,データセンターを自社保有しないという方針をとっていたが,上記イのとおり,同年10月27日,P7氏は,P なかった。(甲80,84)(イ) 以上のとおり,P4は,平成20年頃までの時期において,データセンターを自社保有しないという方針をとっていたが,上記イのとおり,同年10月27日,P7氏は,P8氏から,P2をP4が買収すべきである旨の提案を受けた。そして,その際,P8氏は,P4は自前のデータセンターを保有すべきであり,P6がP17に検索サービスの競争で後れを取ったのは,データセンターへの投資が規模においても時期においても遅れたからであるとの考え方を説明した。そこで,P7氏は,これを検討し,当時,増加の一途を辿っていたデータセンター需要に対応する必要が生じていた上,今後,クラウドコンピューティング事業へ参入するに際して,データセンターを自社保有すれば,先進的なデータセンターを保有するP6の運営技術を利用でき,余剰があれば第三者に賃貸すれば全体としてコスト削減できるという考え方にも合理性があると考えたが,他方,P4においては,ROA(総資産利益率)との関係から不動産などの資産保有を避けていたことなどから,事業戦略や経営面での影響や,P2の企業価値などを検討した上で,P8氏からの提案を受けるかどうか判断することとし,関係部署に対して種々の検討をさせた。そして,P7氏は,P1から同年11月21日時点で受けた本件提案における譲渡価額700億円について,高額であると考えていた。(甲77,80)-20-(3) 本件提案に沿った組織再編成の実行ア本件副社長就任P8氏は,P7氏に対し,平成20年11月27日,P2の取締役副社長に就任するように依頼し,P7氏はこれを了解した。また,P8氏は、P2の代表取締役であるP13氏に対し,同年12月10日頃,本件提案を実行する旨告げたところ,P13氏は,①株式上場の可能性を担保する 就任するように依頼し,P7氏はこれを了解した。また,P8氏は、P2の代表取締役であるP13氏に対し,同年12月10日頃,本件提案を実行する旨告げたところ,P13氏は,①株式上場の可能性を担保すること,②P2の顧客に迷惑を掛けないこと,③P2の社員が不利益を蒙らないこととするという要望を述べた上,これを了解した。また,P13氏は,P7氏がP2の取締役副社長に就任することを了解した。そして,P7氏は,同年12月26日,株主総会の決議及び取締役会の決議を経て,P2の取締役副社長に選任された(甲A3,41,77,80,84,乙11,12)。 イ P7氏のP2における職務遂行P7氏は,P2の取締役副社長に選任された後,主として,コスト構造の改善と営業協力に関してP2の経営に参加した(甲80)。 ウ本件分割と原告の設立(ア) P2は,平成21年1月7日,データセンターの営業・販売及び商品開発に係る事業に関する権利義務を新設分割により新たに設立する会社(原告)に承継させる旨の新設分割計画を作成した(乙1)。そして,同月21日に開催された取締役会において,新設会社の成立の日を同年2月2日とすることが決定された(弁論の全趣旨)。 (イ) 平成21年2月2日,原告が本件分割により設立され,P2の取締役が原告の取締役にも就任した(甲A2,3)。 (ウ) 原告は,本件分割により,①P2の流動資産,②データセンターの営業・役務提供及びサービスの開発に係る事業に係る契約(顧客との間の契約を含む。),③事業に属する知的財産権等,④従業員との間の労働-21-契約を承継し,それ以外の資産(データセンターを構成する不動産)や契約上の地位(データセンターの賃貸借,建設,運用,保守及び施設管理に関する事業に関する契約)は,P2に残された( の労働-21-契約を承継し,それ以外の資産(データセンターを構成する不動産)や契約上の地位(データセンターの賃貸借,建設,運用,保守及び施設管理に関する事業に関する契約)は,P2に残された(乙1,7)。また,原告は,P2との間で,業務委託契約を締結し,従業員をP2に出向させて,データセンターの設備構築,保守運用に係る事業を行わせることとし,P2が原告に対して業務委託料を支払うこととした(甲36,39の3,80,84,乙7)。 エ本件譲渡2に係る契約の成立(ア) 本件譲渡2に係る交渉等の状況P4とP1との間では,P2の買収価額をめぐって交渉が続けられ,P8氏は,平成21年1月15日,P4に対し,P1としては450億円を最低譲渡価額とすることを伝えた(甲77,80)。 他方,P4は,P2の買収に関するデュー・ディリジェンスを経た後,同月27日に開催された取締役会において,P2の買収の当否について協議を行い,同年2月19日に開催される取締役会で承認を求める予定とされた(甲31の1,2)。その後,P4とP1との間で,P2の買収の当否及び内容について更に詳細な検討が行われ,P7氏は,同年1月末頃までには,本件譲渡2及び本件合併を行う意思を固めつつあった(甲80,弁論の全趣旨)。そして,同年2月17日,P4の大株主であるP6の取締役であり,かつ,P4の取締役でもあったP20から,本件譲渡2に賛同する旨の連絡があった(甲34)。 そこで,P4は,同月19日に開催された取締役会において,P2から原告の発行済株式全部を115億円で買収すること,P1からP2の発行済株式全部を450億円で買収することをそれぞれ正式に決定した。なお,同取締役会においては,実際の買収価格は450億円であり,上記115億円は短期間でP4に戻る 円で買収すること,P1からP2の発行済株式全部を450億円で買収することをそれぞれ正式に決定した。なお,同取締役会においては,実際の買収価格は450億円であり,上記115億円は短期間でP4に戻ることが確認され,また,繰越欠損-22-金の活用が税務当局から否認された場合にはP1がそれを補償する旨の条項を契約書に盛り込む予定であることが確認された。そして,同取締役会に提出された資料においては,上記取引については4通の契約書,すなわち,①税務リスク(繰越欠損金承継)の手当てのための差入書,②取引のフレームワークに関する合意書,③P2株式の譲渡契約書,④原告株式の譲渡契約書が作成される旨の記載がされていた(甲33の1から3まで)。 なお,上記①の差入書として,P1は,P4に対し,平成21年2月18日付け書面を交付し,同書面により,P4によるP2の未処理欠損金額の承継が税務当局により否定され,更正の処分がされた場合には,P4が支払を要する額の全額をP1がP4に支払う旨を約し,また,資産調整勘定の償却額が税務当局により否定され更正の処分がされた場合,原告が支払を要する額の全額につき,P1がP4に対して支払う旨を約し,これらの書面に基づくP4の請求は,株式譲渡契約に基づく権利とは別個の請求権として独立してなしうることが確認された(甲35の1,2)。 (イ) 原告株式の譲渡(本件譲渡1)P2は,P4との間で,平成21年2月19日,保有する原告の発行済株式全部をP4に対して115億円で譲渡する旨の株式譲渡契約を締結し,同月20日,譲渡代金の支払を受けるのと引換えに,保有する原告の発行済株式全部を譲渡した。なお,上記契約では,原告の株式の譲渡が実行された後,同月24日までに,P1からP4に対するP2の発行済株式全部の譲渡が実行 代金の支払を受けるのと引換えに,保有する原告の発行済株式全部を譲渡した。なお,上記契約では,原告の株式の譲渡が実行された後,同月24日までに,P1からP4に対するP2の発行済株式全部の譲渡が実行されなかった場合には,上記株式譲渡契約が同日付けで自動的に解除される旨の合意がされていた(甲36)。 (ウ) P2株式の譲渡(本件譲渡2)P1は,P4との間で,平成21年2月23日,保有するP2の発行-23-済株式全部をP4に対して450億円で譲渡する旨の株式譲渡契約を締結し,同月24日,譲渡代金の支払を受けるのと引換えに,保有するP2の発行済株式全部を譲渡した。なお,上記契約では,上記(イ)の株式売買契約に基づき原告の発行済株式全部の譲渡が実行されていることを条件としてP2の株式の譲渡及び譲渡代金の支払の義務を履行する旨の合意がされていた(甲37)。 オ本件合併(ア) P4は,平成21年2月25日に開催された取締役会において,P2との合併を正式に決定した(甲39の1から3)。 (イ) P4は,同日,P4を存続会社,P2を消滅会社とする吸収合併を行い,P4がP2の権利義務全部を承継し,P2が本件合併後に解散する旨の合併契約を締結し,本件合併は,同年3月30日に効力を生じた(甲38)。 (ウ) P7氏を除くP2の取締役は,本件合併に伴って全員退任し,いずれの者も,本件合併の直後の時点では,P4の取締役には就任しなかった(甲A4)。なお,本件合併後,原告は,データセンターに関する設備投資案件のうち,1億円を超えるものについては,P4の承認を要することとされた(弁論の全趣旨)。また,当時,原告の株式の上場について具体的な計画が存在していたことを認めるに足りる証拠はない。 2 法132条の2の意義(争点1)につい ついては,P4の承認を要することとされた(弁論の全趣旨)。また,当時,原告の株式の上場について具体的な計画が存在していたことを認めるに足りる証拠はない。 2 法132条の2の意義(争点1)について(1) 組織再編税制の基本的な考え方(甲63,乙2)経済の国際化が進展するなど,我が国企業の経営環境が急速に変化する中,企業の競争力を確保し,企業活力が十分発揮できるよう,旧商法の見直しが行われ,平成9年には合併法制の合理化,平成11年には持株会社創設のための株式交換・株式移転の制度の導入,平成12年には企業の組織再編成を容易にするための会社分割法制の創設を内容とする改正が行われた。 -24-税制においても,これらの法整備に則した対応が求められることとなったところ,政府税制調査会は,企業の組織再編成に係る税制について法人課税の在り方を検討し,平成12年10月,その基本的な考え方を明らかにした(「会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」)。その概要は以下のとおりである。 ア現行の現物出資,合併等に係る税制を改めて見直し,全体として整合的な考え方に基づいて整備する必要がある。第一に,例えば分割型の吸収分割と合併では法的な仕組みが異なるものの実質的には同一の効果を発生させることができるところ,同じ効果を発生させる取引に対して異なる課税を行うこととすれば,租税回避の温床を作りかねないなどの問題がある。第二に,現行の税制においては,営業譲渡により企業買収を行う場合には,資産の時価取引として譲渡益課税が行われるが,他方,合併により企業買収を行う場合には,課税が繰り延べられるなどの問題がある。 イ会社分割・合併等の組織再編成に係る法人税制の検討の中心となるのは,組織再編成により移転する資産の譲渡損益の取扱いと考 合併により企業買収を行う場合には,課税が繰り延べられるなどの問題がある。 イ会社分割・合併等の組織再編成に係る法人税制の検討の中心となるのは,組織再編成により移転する資産の譲渡損益の取扱いと考えられるが,法人がその有する資産を他に移転する場合には,移転資産の時価取引として譲渡損益を計上するのが原則であり,この点については,組織再編成により資産を移転する場合も例外ではない。ただし,組織再編成により資産を移転する前後では経済実態に実質的な変更が無いと考えられる場合には,課税関係を継続させるのが適当と考えられる。したがって,組織再編成において,「移転資産に対する支配が再編成後も継続していると認められるもの」については,移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べることが考えられる。すなわち,①企業グループ内の組織再編成により資産を企業グループ内で移転した場合には,一定の要件の下,移転資産をその帳簿価額のまま引き継ぎ,譲渡損益の計上を繰り延べることが考えられる。また,②共同で事業を行うために組織再編成により資産を移転した場合にも,移-25-転の対価として取得した株式の継続保有等の要件を満たす限り,移転資産に対する支配が継続していると考え,譲渡損益の計上を繰り延べることが考えられる。 ウ会社分割・合併等により移転する資産の譲渡損益の計上が繰り延べられる場合には,その資産に関して適用される諸制度や引当金等の引継ぎについても,基本的に従前の課税関係を継続させるとの観点から,組織再編成の形態に応じて必要な措置を考えるべきである。このうち,繰越欠損金については,合併の場合には,租税回避行為を防止するための措置を講じた上,被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐことが適当である。 エ組織再編成の形態や方法は,複雑かつ多様であり,資産の売買取引を組織再編 いては,合併の場合には,租税回避行為を防止するための措置を講じた上,被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐことが適当である。 エ組織再編成の形態や方法は,複雑かつ多様であり,資産の売買取引を組織再編成による資産の移転とするなど,租税回避の手段として濫用されるおそれがあるため,繰越欠損金等を利用した租税回避行為の防止規定に加え,企業組織再編成に係る包括的な租税回避防止規定を設ける必要がある。 (2) 組織再編税制の概要(乙2)平成13年度税制改正(以下「本件改正」という。)における企業組織再編成に係る税制の構築は,上記(1)の考え方に基づいて行われ,その内容は,これに沿ったものとなっているところ,本件に関連する部分の概要は以下のとおりである。 ア本件改正においては,①組織再編成により移転する資産等について,原則として,その譲渡損益を計上しなければならないこととし(法62条),②合併・分割・現物出資及び事後設立という4種類の組織再編成のうち,「企業グループ内の組織再編成」及び「共同事業を行うための組織再編成」であって一定の要件を満たすもの(適格組織再編成)について,帳簿価額の引継ぎによる課税の繰り延べが認められた(法62条の2以下)。 イまた,本件改正においては,欠損金の繰越控除について,従来の規定(法-26-57条1項,58条1項)をほぼそのまま存続させることとした上で,組織再編税制の一環として,新しい規定を設け,適格合併又は合併類似適格分割型分割が行われた場合において,一定の範囲で繰越欠損金額(未処理欠損金額)等を引き継ぐこととができることとした(法57条2項)。もっとも,共同で事業を行うことを目的としないグループ内適格合併等について,グループ関係が生じる前に生じた被合併法人等の欠損金額等を繰越控除の対象から除外する とができることとした(法57条2項)。もっとも,共同で事業を行うことを目的としないグループ内適格合併等について,グループ関係が生じる前に生じた被合併法人等の欠損金額等を繰越控除の対象から除外することによって,租税回避に対処することとした(法57条3項)。 ウ法人の組織再編成においては種々の租税回避行為が行われることに鑑み,組織再編成に関する行為・計算の包括的否認規定が設けられた(法132条の2)。 すなわち,組織再編成を利用した租税回避行為の例として,①繰越欠損金や含み損のある会社を買収し,その繰越欠損金や含み損を利用するために組織再編成を行う,②複数の組織再編成を段階的に組み合わせることなどにより,課税を受けることなく,実質的な法人の資産譲渡や株主の株式譲渡を行う,③相手先法人の税額控除枠や各種実績率を利用する目的で,組織再編成を行う,④株式の譲渡損を計上したり,株式の評価を下げるために,分割等を行うなどの方法が考えられるところ,このうち,繰越欠損金や含み損を利用した租税回避行為に対しては,個別に防止規定(法57条3項,62条の7)を設けるが,これらの組織再編成行為は上記のようなものにとどまらず,その行為の形態や方法が相当に多様なものと考えられることから,これに適正な課税を行うことができるように包括的な組織再編成に係る租税回避防止規定が設けられた。 (3) 法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(以下「不当性要件」という。)の解釈についてア上記(1)及び(2)のとおり,①法132条の2は,組織再編税制の導入と-27-共に設けられた個別否認規定と併せて新たに設けられた包括的否認規定であること,②組織再編税制において包括的否認規定が設けられた趣旨は,組織再編成の形態や方法は複 は,組織再編税制の導入と-27-共に設けられた個別否認規定と併せて新たに設けられた包括的否認規定であること,②組織再編税制において包括的否認規定が設けられた趣旨は,組織再編成の形態や方法は複雑かつ多様であり,ある経済的効果を発生させる組織再編成の方法は単一ではなく,同じ経済的効果を発生させ得る複数の方法があり,これに対して異なる課税を行うこととすれば,租税回避の温床を作りかねないという点などにあることが認められる。そして,組織再編税制に係る個別規定は,特定の行為や事実の存否を要件として課税上の効果を定めているものであるところ,立法時において,複雑かつ多様な組織再編成に係るあらゆる行為や事実の組み合わせを全て想定した上でこれに対処することは,事柄の性質上,困難があり,個別規定の中には,その想定外の行為や事実がある場合において,当該個別規定のとおりに課税上の効果を生じさせることが明らかに不当であるという状況が生じる可能性があるものも含まれているということができる。 以上のような法132条の2が設けられた趣旨,組織再編成の特性,個別規定の性格などに照らせば,同条が定める「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは,(ⅰ)法132条と同様に,取引が経済的取引として不合理・不自然である場合(最高裁昭和50年(行ツ)第15号同52年7月12日第三小法廷判決・裁判集民事121号97頁,最高裁昭和55年(行ツ)第150号同59年10月25日第一小法廷判決・裁判集民事143号75頁参照)のほか,(ⅱ)組織再編成に係る行為の一部が,組織再編成に係る個別規定の要件を形式的には充足し,当該行為を含む一連の組織再編成に係る税負担を減少させる効果を有するものの,当該効果を容認することが組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の が,組織再編成に係る個別規定の要件を形式的には充足し,当該行為を含む一連の組織再編成に係る税負担を減少させる効果を有するものの,当該効果を容認することが組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるものも含むと解することが相当である。このように解するときは,組織再編成を構成する個々の行為について個別にみると事業目的がないとはいえないような場合で-28-あっても,当該行為又は事実に個別規定を形式的に適用したときにもたらされる税負担減少効果が,組織再編成全体としてみた場合に組織再編税制の趣旨・目的に明らかに反し,又は個々の行為を規律する個別規定の趣旨・目的に明らかに反するときは,上記(ⅱ)に該当するものというべきこととなる。 イこれに対し,原告は,法132条の2の不当性要件は,法132条と同様に,上記(ⅰ)の場合,すなわち,私的経済取引として異常又は変則的で,かつ,租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しないと認められる場合に限られる旨主張し,その理由として,①法132条の枝番として132条の2が規定され,両者の規定ぶりが酷似し,否認の要件の文言も同様であることなどから,両者を別異に解すべき理由はないこと,②租税回避の概念は,私法上の選択可能性を利用し,私的経済取引として合理性がないのに,通常用いられない法形式を選択するものとして定義されており,法の定める課税要件自体を修正するものは含まれず,法制度の濫用はこれとは別の概念であるというべきこと,③上記(ⅱ)を含めるという解釈は,個別規定の要件を実質的に拡張して適用するものであり,納税者の予測可能性を著しく害し,租税法律主義に反することを指摘し,これに沿う意見書を提出する(甲57(P31意見書),甲85(P21意見書))。 しかしながら, 的に拡張して適用するものであり,納税者の予測可能性を著しく害し,租税法律主義に反することを指摘し,これに沿う意見書を提出する(甲57(P31意見書),甲85(P21意見書))。 しかしながら,上記(2)ウのとおり,法132条の2により対処することが予定されている第1の類型は,繰越欠損金等を利用する組織再編成における租税回避行為であるところ,そもそも,繰越欠損金自体には資産性はなく,それが企業間の合併で取引の対象となり得るのは,租税法がその引継ぎを認めることの反射的な効果にすぎないのであり,企業グループ内における繰越欠損金の取引を含む組織再編成それ自体についていかに正当な理由や事業目的があったとしても,法57条3項が定める要件を満-29-たさないのであれば,未処理欠損金額の引継ぎは認められない。したがって,上記の類型に属する租税回避行為の不当性の有無については,経済合理性の有無や事業目的の有無といった基準のみによって判断することはできず,「租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しないと認められる」か否かという基準は,それのみを唯一の判断基準とすることは適切ではないといわざるを得ない。 また,上記基準を採るべき理由として挙げられている①の点について検討するに,法132条は,同族会社においては,所有と経営が分離している会社の場合とは異なり,少数の株主のお手盛りによる税負担を減少させるような行為や計算を行うことが可能であり,また実際にもその例が多いことから,税負担の公平を維持するため,同族会社の経済的合理性を欠いた行為又は計算について,「不当に減少させる結果となると認められるもの」があるときは,これを否認することができるものであるとしたものであり,法132条の2とはその基本的な趣旨・目的を異にする。したがって,両者の要件を て,「不当に減少させる結果となると認められるもの」があるときは,これを否認することができるものであるとしたものであり,法132条の2とはその基本的な趣旨・目的を異にする。したがって,両者の要件を同義に解しなければならない理由はなく,原告の上記①の主張は採用することができない。 次に,②の点について検討するに,法132条の2により対処することが予定されている第2の類型は,複数の組織再編成を段階的に組み合わせることなどによる租税回避行為であるところ,組織再編成の形態や方法は,複雑かつ多様であり,同一の経済的効果をもたらす法形式が複数存在し得ることからすると,そもそも,ある経済的効果を発生させる組織再編成の方法として何が「通常用いられるべき」法形式であるのかを,経済合理性の有無や事業目的の有無という基準により決定することは困難であり,これらの基準は,上記の類型に属する租税回避行為の判定基準として十分に機能しないものといわざるを得ない。他方,組織再編税制に係る個別規定は,特定の行為や事実の存否を要件として課税上の効果を定めてい-30-るものであるところ,立法時において,複雑かつ多様な組織再編成に係るあらゆる行為や事実の組み合わせを全て想定した上でこれに対処することは,事柄の性質上,困難があり,想定外の行為や事実がある場合には,当該個別規定を形式的に適用して課税上の効果を生じさせることが明らかに不当であるという状況が生じる可能性があることは上記アで判示したとおりである。組織再編成とそれに伴い生じ得る租税回避行為に係るこれらの特性に照らすと,同条の適用対象を,通常用いられない異常な法形式を選択した租税回避行為のみに限定することは当を得ないというべきである。したがって,原告の上記②の主張は採用することができない。 さらに,③の点について 条の適用対象を,通常用いられない異常な法形式を選択した租税回避行為のみに限定することは当を得ないというべきである。したがって,原告の上記②の主張は採用することができない。 さらに,③の点について検討するに,一般に,法令において課税要件を定める場合には,その定めはなるべく一義的で明確でなければならず,このことが租税法律主義の一内容であるとされているところ,これは,私人の行う経済取引等に対して法的安定性と予測可能性を与えることを目的とするものと解される。もっとも,税法の分野においても,法の執行に際して具体的事情を考慮し,税負担の公平を図るため,何らかの不確定概念の下に課税要件該当性を判断する必要がある場合は否定できず(法132条がその典型例であるということができる。),このような場合であっても,具体的な事実関係における課税要件該当性の判断につき納税者の予測可能性を害するものでなければ,租税法律主義に反するとまではいえないと解されるところである。しかるところ,法132条の2は,上記(ⅱ)のとおり,税負担減少効果を容認することが組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるものに限り租税回避行為に当たるとして否認できる旨の規定であると解釈すべきものであり,このような解釈は,納税者の予測可能性を害するものではないから,これをもって租税法律主義に反するとまではいえないというべきである。 この点に関する原告の上記③の主張は採用することができない。 -31-なお,法132条の2を上記のように解釈するとしても,その具体的な適用の在り方(すなわち,包括的否認規定の適用を行えるかどうか)は,当該事案において否認された行為を規律する個別規定の趣旨・目的に応じて定まるものであるというべきであり,当該個別規定の趣旨・目的の 適用の在り方(すなわち,包括的否認規定の適用を行えるかどうか)は,当該事案において否認された行為を規律する個別規定の趣旨・目的に応じて定まるものであるというべきであり,当該個別規定の趣旨・目的の内容によっては,形式的な適用を貫くべき場合もあるということができる。本件で問題となる個別規定については,後記3(1)及び(2)において検討する。 (4) 「その法人の行為又は計算」の意義についてア法132条の2は,税務署長は,合併等(合併,分割,現物出資若しくは事後設立又は株式交換若しくは株式移転)に係る「次に掲げる法人」の法人税につき更正又は決定をする場合において,「その法人の行為又は計算」で,これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは,その行為又は計算にかかわらず,税務署長の認めるところにより,「その法人に係る法人税」の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる旨規定する。 同条の適用対象は,合併,分割,現物出資若しくは事後設立又は株式交換若しくは株式移転という各種の組織再編成が行われ,これらの合併等をした一方の法人又は他方の法人(同条1号),これらの合併等により交付された株式を発行した法人(同条2号),前二号に掲げる法人の株主等である法人(同条3号)に対して更正又は決定がされる場合とされているところ,同条3号との関係においては,合併等をした一方又は他方の法人の行為を否認して,その株主等(法人税法2条14号)の法人税につき更正又は決定をする場合を予定していると解される。したがって,同条の規定は,否認することができる行為又は計算の主体である法人と法人税につき更正又は決定を受ける法人とが異なる場合も予定しているということができる。 -32-また,同条の 。したがって,同条の規定は,否認することができる行為又は計算の主体である法人と法人税につき更正又は決定を受ける法人とが異なる場合も予定しているということができる。 -32-また,同条の文言上,否認の対象とすることができる「その法人の行為又は計算」の「その法人」とは,その前の「次に掲げる法人」を受けていると解釈することができるから,「その法人の行為又は計算」とは,「次に掲げる法人」の行為又は計算,すなわち,同条各号に掲げられている法人の行為又は計算を意味するものと解される。そして,その後の「その法人に係る法人税」の「その法人」は,同条各号に掲げられている法人であって,法人税につき更正又は決定を受けるものを意味するものと解釈することができるから,「その法人に係る法人税」は,更正又は決定を受ける法人に係る法人税を意味するものと解される。 さらに,平成19年法律第6号による改正前の法人税法132条の2は,税務署長は,合併等をした一方の法人若しくは他方の法人又はこれらの法人の株主等である法人の法人税につき更正又は決定をする場合において,「これらの法人」の行為又は計算で,これを容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは,その行為又は計算にかかわらず,税務署長の認めるところにより,その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる旨規定していた。上記の改正により,同条の規定の対象となる法人に,いわゆる三角合併の場合における合併法人の親法人等が追加され,同条の規定の対象となる法人が同条各号において掲げられることとなったものであるが,上記の改正が,同条の規定により否認することができる行為又は計算の主体である法人と法人税につき更正又は決定を受ける法人との関係 の対象となる法人が同条各号において掲げられることとなったものであるが,上記の改正が,同条の規定により否認することができる行為又は計算の主体である法人と法人税につき更正又は決定を受ける法人との関係を変更することを意図してされたことはうかがわれない。 以上の点に加え,組織再編成の形態や方法の多様化に対応するために設けられたという同条の趣旨に鑑みれば,法132条の2の「その法人の行為又は計算」の「その法人」は,その前の「次に掲げる法人」を受けてお-33-り,「その法人の行為又は計算」は,「次に掲げる法人」の行為又は計算と読むべきであって,同条の規定により否認することができる行為又は計算の主体である法人と法人税につき更正又は決定を受ける法人とは異なり得るものと解すべきである。 イこれに対し,原告は,同条の規定により否認することができる行為又は計算は,「法人税につき更正又は決定」を受ける法人の行為又は計算のみであると主張する。 しかしながら,同条の文言について,原告の主張のとおり解釈しなければならないものではないことは上記アで判示したとおりである。また,同条は,同族会社に関する法132条とはその基本的な趣旨・目的を異にすることは上記(3)イで判示したとおりであるから,法132条の適用上,否認対象が同族会社の行為に限定されると解釈すべきであるとしても,法132条の2についてこれと同一の解釈をしなけばならないとまではいえない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 3 本件計画を前提とした分割承継行為を法132条の2の規定に基づき否認することができるか否か(争点2)について(1) 適格分割及び非適格分割における譲渡損益等の取扱いア法62条及び法62条の3の趣旨法62条は,内国法人が分 132条の2の規定に基づき否認することができるか否か(争点2)について(1) 適格分割及び非適格分割における譲渡損益等の取扱いア法62条及び法62条の3の趣旨法62条は,内国法人が分割(非適格分割)によりその有する資産及び負債の移転をしたときは,その移転資産等を時価により譲渡したものとすること(同条1項),譲渡利益又は譲渡損失が生じたときは,これらを益金の額又は損金の額に算入すること(同条2項)を定める。他方,法62条の3第1項は,内国法人が適格分社型分割によりその有する資産及び負債の移転をしたときは,上記の規定にかかわらず,当該分割承継法人にその移転資産等を帳簿価額による譲渡をしたものとして,各事業年度の所得-34-の金額を計算することを定める。 これらの規定は,上記2(1)イのとおり,法人がその有する資産を他に移転する場合には,移転資産の時価取引として譲渡損益を計上するのが原則であり,組織再編成により資産を移転する場合も例外ではないが,組織再編成により資産を移転する前後では経済実態に実質的な変更が無いと考えられる場合には,課税関係を継続させるのが適当と考えられることから,組織再編成の1つである会社分割があった場合において,「移転資産に対する支配」が分割後も継続していると認められるものについては,移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べることにしたものと解される。 イ法2条12号の11,施行令4条の2第6項の趣旨等法2条12号の11イは,その分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割が適格分割に当たる旨を定める。そして,これを受けて,施行令4条の2第6項1号は,当該分割が単独新設分割である 済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割が適格分割に当たる旨を定める。そして,これを受けて,施行令4条の2第6項1号は,当該分割が単独新設分割である場合にあっては,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係(以下「当事者間の完全支配関係」という。)が継続すること(分割後に当該分割法人を被合併法人とする適格合併が予定されている場合は,上記に加えて,合併後,合併法人と分割承継法人との間に上記の関係が継続すること。以下同じ。)が見込まれている場合における当該分割法人と分割承継法人との間の関係がそれに当たる旨を定めている。また,同項2号は,当該分割が単独新設分割である場合にあっては,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に同一者によってそれぞれの法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有される関係(以下「同一者による完全支配関係」という。)が継続することが見込まれている場合における当該分割法人と分割承継-35-法人との間の関係がそれに当たる旨を定めている。 これらの規定は,分割の時点で,分割後に当事者間の完全支配関係等が継続することが見込まれていれば,「移転資産に対する支配」が分割後も継続していると認められることから,そのような分割を適格分割として取り扱うものとしたものと解される。そうすると,施行令4条の2第6項にいう「見込まれている」とは,当事者間の完全支配関係等が継続することが具体的に予定されていることをいうと解することが相当である。 他方,上記の規定によれば,分割の時点で,当事者間の完全支配関係等が継続していることが見込まれているとは認められない場合,当該分割は,非適格分割として取り扱う とをいうと解することが相当である。 他方,上記の規定によれば,分割の時点で,当事者間の完全支配関係等が継続していることが見込まれているとは認められない場合,当該分割は,非適格分割として取り扱うこととなる。 ウ法62条の8の趣旨等本件改正においては,適格組織再編成に係る資産及び負債等の取扱いが規定される一方,非適格組織再編成に係る取扱い等については,従来からの営業譲受けの場合と基本的に同様となることから,特段の規定が設けられず,企業会計における実務的な対応に委ねられることとなった。しかるに,その後,平成15年に企業結合会計基準等が公表され,これらの基準等は,平成18年4月1日以降に開始する事業年度から適用されることとなり,個々の資産や負債の取得価額については個別時価を付すとともに,これらの合計額と取得対価との間に生じる差額を「(差額)のれん」として計上することとされた。そこで,これらのことを勘案して,平成18年度税制改正において,非適格組織再編成や営業譲受けの場合の取扱いの明確化を図るため,資産調整勘定の制度が導入された(乙4)。 すなわち,法62条の8は,内国法人が非適格分割により当該非適格分割に係る分割法人等から資産又は負債の移転を受けた場合において,当該内国法人が当該非適格分割により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額を超-36-えるときは,その超える部分の金額のうち政令で定める部分の金額は,資産調整勘定の金額とすること(1項),資産調整勘定の金額を有する内国法人は,当初計上額を60で除して計算した金額に当該事業年度の月数を乗じて計算した金額に相当する金額を当該事業年度において減額し(4項),減額した金額を損金の額に算入すべきこと(5項)を定 する内国法人は,当初計上額を60で除して計算した金額に当該事業年度の月数を乗じて計算した金額に相当する金額を当該事業年度において減額し(4項),減額した金額を損金の額に算入すべきこと(5項)を定めた。 もっとも,上記の制度においては,分割法人の欠損金が分割承継法人の資産調整勘定に置き換わって取り扱われ,課税上の弊害が生じることが想定されるところ,このような欠損金相当額につき,資産調整勘定の金額とは異なる取扱いをすることが必要であることから,施行令123条の10は,資産調整勘定の金額には,資産等超過差額その他財務省令で定める金額を含まないとする旨を規定し,これを受けて,法人税法施行規則27条の16第2号は,資産調整勘定の金額には,当該分割により移転を受ける事業により見込まれる収益の額の状況その他の事情からみて実質的に当該分割に係る分割法人の欠損金額に相当する部分から成ると認められる金額を含まないとする旨を規定した。同号は,欠損金額が租税回避に利用されることを防止するために設けられた個別否認規定であると解される。 (2) 施行令4条の2第6項1号に係る法132条の2の適用の在り方ア上記のとおり,施行令4条の2第6項1号は,分割後も「当事者間の完全支配関係」が継続することが見込まれるという要件(以下「完全支配関係継続見込み要件」という。)が充足されるのであれば,「移転資産に対する支配」が継続していると評価することができ,適格合併として取り扱うことが妥当であるという考え方を基礎として設けられたものと解される。 しかるに,同号において,完全支配関係継続見込み要件の充足の有無は,分割を含む一連の組織再編成が行われることが計画されていても,分社型分割の直接の当事者である分割法人と分割承継法人との間において局所-37-的に判定さ 完全支配関係継続見込み要件の充足の有無は,分割を含む一連の組織再編成が行われることが計画されていても,分社型分割の直接の当事者である分割法人と分割承継法人との間において局所-37-的に判定されるものとされている(分割後に適格合併を行うことが見込まれる場合にも,当該合併後における各法人の関係が局所的に判定されるものとされている)ところ,組織再編成の形態や方法は複雑かつ多様であり,ある経済的効果を発生させる組織再編成の方法は単一ではなく,同じ経済的効果を発生させ得る複数の方法があることに照らすと,局所的にみると「当事者間の完全支配関係」の継続の見込みがないと判定される(すなわち,非適格分割であるとされる)事実関係があるとしても,当該分割を含む組織再編成の組み合わせ方や組織再編成に係る具体的な事情次第では,一連の組織再編成を全体としてみると「移転資産に対する支配」が継続していると評価すべき場合(すなわち,適格分割であるとすべき場合)が生じ得るのであり,このような場合にも上記の局所的な判定を貫徹するとすれば,課税上の公平を実現することができないおそれがあるということができる。 加えて,上記2(2)のとおり,本件改正時において,組織再編成を利用した租税回避の代表例として,「複数の組織再編成を段階的に組み合わせることなどにより,課税を受けることなく,実質的な法人の資産譲渡を行うこと」が挙げられていること,また,立法担当者は,本件改正に合わせて出版された「企業組織再編成に係る税制についての講演録集」(同書70頁)において,「本来は適格組織再編成に該当するものを非適格組織再編成として移転資産等の譲渡損を計上するようなもの-「適格外し」と呼ぶのが良いのかもしれませんが-についても,租税回避行為として否認されることがあり得ます。」との見解 成に該当するものを非適格組織再編成として移転資産等の譲渡損を計上するようなもの-「適格外し」と呼ぶのが良いのかもしれませんが-についても,租税回避行為として否認されることがあり得ます。」との見解を述べていたこと(弁論の全趣旨)からすると,局所的に完全支配関係継続見込み要件の充足の有無を判定するだけでは,組織再編成の性格決定(適格か非適格か)が適切には行えないことがあり得ることが明らかにされていたということができる。 これらのことを勘案すれば,同号における完全支配関係継続見込み要件-38-については,それが局所的にみると充足されないのであれば,当該分割を含む組織再編成の組み合わせ方や組織再編成に係る他の具体的な事情を一切問わずに(すなわち,例えば,①一連の組織再編成を構成する行為全体により,移転資産に対する支配の状況がどのように変化することが予定されていたのか,②分割自体により,移転資産に対する支配の状況や事業の内容がどのように変更されることが予定され,そのことに十分な事業目的又は事業上の必要性が認められるか,③完全支配関係継続見込み要件に該当する行為又は事実につき,十分な事業目的又は事業上の必要性が認められるか否かなどの事情を一切問わずに),当該分割を非適格分割と認めるべきものとして定められたとはいえず,完全支配関係継続見込み要件が局所的にみると充足されない場合において包括否認規定を適用することは排除されない趣旨のものと解することが相当である。 以上の点と,上記2(3)で判示したところを総合すれば,施行令4条の2第6項1号の完全支配関係継続見込み要件については,当該要件が局所的にみて充足されない場合であっても,それによる課税上の効果が明らかに不当であるという状況が生じる可能性があることを前提に規定されたものであると 完全支配関係継続見込み要件については,当該要件が局所的にみて充足されない場合であっても,それによる課税上の効果が明らかに不当であるという状況が生じる可能性があることを前提に規定されたものであるというべきであるから,組織再編成の組み合わせ方や組織再編成に係る他の具体的な事情(上記で例示したもののほか,事案によってはそれ以外の事情も含まれ得る。)を総合考慮すると,分割の前後を通じて「移転資産に対する支配」が継続しているということができ,同号の趣旨・目的に明らかに反すると認められるときは,法132条の2の規定により,完全支配関係継続見込み要件が充足されないことの原因となっている行為又は計算を否認することができると解すべきである。 イこれに対し,原告は,非適格分割に伴って分割承継法人に生じる資産調整勘定に係る課税上の弊害については,法人税法施行規則27条の16により対処されており,その文言上の射程を拡張した形で法132条の2を-39-適用することはできない旨主張する。 しかしながら,上記の規定は,当該分割により移転を受ける事業により見込まれる収益の額の状況その他の事情からみて実質的に当該分割に係る分割法人の欠損金額に相当する部分から成ると認められる金額がある場合に,これを否認しようとするものであって,上記アで指摘したような,当該分割を含む組織再編成の組み合わせ方や組織再編成に係る他の具体的な事情により,適格分割か非適格分割かの判定に問題が生じる場合を想定したものではなく,否認の場面を異にすることが明らかである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (3) 本件の組織再編成における不当性要件の充足の有無についてア本件の組織再編成に係る具体的な事情をみると,上記1の認定事実によれば,①P2は,データセンター事業を 採用することができない。 (3) 本件の組織再編成における不当性要件の充足の有無についてア本件の組織再編成に係る具体的な事情をみると,上記1の認定事実によれば,①P2は,データセンター事業を行っていたところ,平成20年3月頃,その設備資金の調達と,未処理欠損金額の有効利用を行うことを目的として,分社を含む株式上場計画案を策定したこと(上記1(1)イ,ウ),②これに対し,親会社であるP1は,P2には上場するのに適切な企業価値が不足している上,上記計画では未処理欠損金額の一部しか利用できていないとの指摘を行い,財務部において,未処理欠損金額の全額を有効に利用できるよう,P1の子会社間における非適格合併等と適格合併を併用した組織再編成(事業譲渡案,単純分社化案等)の手順を案出したこと(同エ),③P8氏は,同年10月中旬頃,上記手順の説明を受けたが,P1の子会社間でデータセンターを集約するのではなく,P2のデータセンターをP4の自社保有とすることによりP4のインターネットサービスの競争力を向上させることが適切であることなどから,P4にP2を売却すべきであるとの考えを表明し,このことを前提として,P1において,P4によるP2株式の買収,本件合併などから構成される本件提案を作成したところ,本件提案は,P1の資金需要の一助となるものであり,また,-40-P2の未処理欠損金額を有効に利用し尽くすことができるものであったこと(上記1(2)アないしウ),④P1は,P4に対し,同月27日,本件提案を行い,P4は,これを受けて,従前の方針を転換してデータセンターを自社保有するかどうかの検討を開始したこと(同エ),⑤P7氏は,P8氏から,同年11月27日,P2の取締役副社長に就任するように依頼を受け,これを了解し,P13氏は,同年12月10日頃, センターを自社保有するかどうかの検討を開始したこと(同エ),⑤P7氏は,P8氏から,同年11月27日,P2の取締役副社長に就任するように依頼を受け,これを了解し,P13氏は,同年12月10日頃,本件提案を実行すること及びP7氏がP2の取締役副社長に就任することを了解したこと(上記1(3)ア),⑥P8氏は,平成21年1月15日,本件買収(本件譲渡1及び2)におけるP1としての最低譲渡価額が450億円であることを伝え,同月中には,P1及びP4の双方の取締役会で本件提案についての詳細な検討が行われ,P7氏は,同月30日頃までには,本件買収及び本件合併を行う意思を固めつつあったこと(同エ),⑦同年2月2日に効力を生じた本件分割により,原告が設立され,これにより,P2には,データセンターを構成する不動産とそれに関連する契約上の地位が残される一方,データセンターの営業や開発は原告が担うこととなり,旧P2の従業員はすべて原告に雇用されることとなったこと(同ウ),⑧P2は,P4に対し,同月20日,原告株式の譲渡(本件譲渡1)を行い,また,P1は,P4に対し,同月24日,P2株式の譲渡(本件譲渡2)を行ったところ,本件譲渡1の代金115億円は本件合併によりP4に戻ることとなっており,P4が支払う金額は実質的には本件譲渡2に係る代金である450億円とされていたこと(同エ),⑨さらに,P4は,同年3月30日,本件合併を行い,P2の権利義務を全部承継したが,P13氏やP22はP4の取締役に就任することはなく,データセンターに関する設備投資案件についての原告の権限も限定されることとなったこと,また,当時,原告の株式の上場について具体的な計画は存在していなかったこと(同オ)が認められる。 -41-イ以上で認定した本件の組織再編成に係る具体的な事情を 限も限定されることとなったこと,また,当時,原告の株式の上場について具体的な計画は存在していなかったこと(同オ)が認められる。 -41-イ以上で認定した本件の組織再編成に係る具体的な事情を検討すると,以下の点を指摘することができる。 まず,一連の組織再編成に係る計画の全体についてみると,①本件分割を含む組織再編成の端緒は,P2が計画した株式上場計画案であったが,同案は,親会社であるP1の反対により実行されず,P1は,本件提案に沿って組織再編成を行うことを決定し,P2もこれを了承したこと,②その後に行われた実際の組織再編成は,本件提案に沿った内容のものであったこと,③本件分割が効力を発生した平成21年2月2日当時,本件譲渡1及び2に係る金額は実質的に決定しており,P4の代表取締役であるP7氏は,必要な調査及び検討を経て,本件買収及び本件合併を行う意思を固めつつあったことが認められるところ,以上の諸点からすると,本件分割の時点においては,本件分割後,本件提案の内容に沿って,P4が原告の株式全部及びP2の株式全部の譲受けを受けた上でP2を合併することがほぼ確実に実現する見込みがあったということができる。そして,本件分割の時点における爾後の組織再編成に係る計画の内容は,原告は,本件分割の時点から本件譲渡1の時点まではP2の完全子会社であり,本件譲渡1の時点(同年2月20日)でP4の子会社になることによりP2との間の「当事者間の完全支配関係」は一時的に切断されるが,その約1か月後である本件合併の時点(同年3月30日)からは,P4がP2を吸収合併して原告を完全子会社とすることにより,P4との間で「当事者間の完全支配関係」が生じることを予定するものであったということができる。したがって,この計画は,本件分割後に本件譲渡1が行われる 吸収合併して原告を完全子会社とすることにより,P4との間で「当事者間の完全支配関係」が生じることを予定するものであったということができる。したがって,この計画は,本件分割後に本件譲渡1が行われることのみを局所的に取り出してみれば,「当事者間の完全支配関係」の継続の見込みがないとの判定がされるものの,「移転資産に対する支配」が継続しているか否かの指標とされる「当事者間の完全支配関係」が一時的に切断されるが短期間のうちに復活することが予定されているものであり,一連-42-の組織再編成の計画を全体としてみると,P2の分割は,実質的にみて,分割会社による「移転資産に対する支配」が継続する内容のものであると評価すべき場合であることは明らかである。 また,本件分割自体についてみると,④P2は,本件分割前,データセンターの設備とそれを利用した営業等とを一体的に行うデータセンター事業を行っており,P2が計画した株式上場計画案(7月16日分社化スキーム案)は,これを一体として引き継ぐ内容の会社分割を行うことを予定していたのに対し,本件提案は,一体的な事業をデータセンター設備を保有する会社とデータセンターの営業等を行う会社とに分割するというものであるところ,それ自体,P2として事業上の必要性に疑問があるもので(P2が本件提案に反対の意向であったことは上記1(1)エのとおりである。),P14グループ全体で繰越欠損金を有効利用するという目的が優先されたものであったと評価することができる。また,⑤旧P2が策定した株式上場計画とは異なり,本件提案には,原告の株式上場を実行する具体的な計画が含まれておらず,また,P4においても,原告の株式上場を行う具体的な計画を有していたとは認められない。以上のとおりであるから,本件分割の態様は,P2にとって,事業 の株式上場を実行する具体的な計画が含まれておらず,また,P4においても,原告の株式上場を行う具体的な計画を有していたとは認められない。以上のとおりであるから,本件分割の態様は,P2にとって,事業上の必要性よりも,P14グループ全体での租税回避の目的を優先したものであるとの評価を免れないことは明らかである。 さらに,本件譲渡1を行うこと自体の事業上の必要性をみると,⑥旧P2にとっても,P4にとっても,データセンター設備を保有する会社の譲渡を行う数日前に,データセンターの営業等を行う会社の譲渡を行うことにつき,何らかの事業上の意義があるとは評価し難い。また,⑦P4がP2に対して本件譲渡1の対価として支払った115億円は,その後,P4がP2を合併することでP4に戻ることとなっており,P4が支払う金額は実質的には本件譲渡2に係る代金である450億円であって,本件譲渡-43-1に係る独自の対価の支払があるとは評価できない。これらの点からすれば,本件譲渡1を行うこと自体の事業上の必要性は,極めて希薄であったことは明らかである。 加えて,⑧本件提案がされた目的の1つは,P2の未処理欠損金額を余すことなく処理することにあったこと,他方,⑨本件買収及び本件合併に当たり,P1とP4との間では,税務上,本件分割後,原告において資産調整勘定の計上ないし償却が認められるかどうかについて明示的な検討が行われ,取引に係る契約書のほかに,差入書が作成されて,資産調整勘定の計上ないし償却が認められない場合の対処方法が合意されていたことに照らすと,一連の組織再編成に関与する法人は,資産調整勘定の計上が認められない可能性が相当程度あることを認識していたということができる。 以上のような本件における諸事情を総合勘案すると,分割後に本件譲渡1を行うという計画( 関与する法人は,資産調整勘定の計上が認められない可能性が相当程度あることを認識していたということができる。 以上のような本件における諸事情を総合勘案すると,分割後に本件譲渡1を行うという計画(本件計画)を前提とした分割行為は,局所的にみれば完全支配関係継続見込み要件を充足しないものではあるものの,それによりもたらされる税負担減少効果を容認することは,完全支配関係継続見込み要件を定めた施行令4条の2第6項1号が設けられた趣旨・目的に反することが明らかであるということができる。したがって,本件計画を前提とした分割行為は,法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当すると解することが相当である。 ウこれに対し,原告は,上記イ③の点に関し,本件分割は実質的にみて適格分割であるとはいえず,その理由として,本件のような分社型分割ではなく,分割型分割を利用した組織再編成を行うこと(P2が分割型分割を行って原告を設立し,P1がP4に対してP2及び原告の株式全部を譲渡し,P4がP2を吸収合併するもの)によっても,本件と同一の組織再編-44-成の結果を得ることができるところ,分割型分割の場合は非適格分割とされる旨主張する。 しかしながら,本件と同一の組織再編成の結果を得る方法としては,他に,本件分割を行う以前にP4がP2を吸収合併し,その後,分割を行って原告を設立する方法も考えられるところ,この場合は適格分割となるものと考えられる。このように,抽象的に設定された他の組織再編成の方法を検討してみても,結論は区々なものとなることからすると,他の組織再編成との比較をするだけでは組織再編成の実質的な性質決定をすることはできないというべきであり,当該事案における組織再編成の方法を前提として,その具体的な事 区々なものとなることからすると,他の組織再編成との比較をするだけでは組織再編成の実質的な性質決定をすることはできないというべきであり,当該事案における組織再編成の方法を前提として,その具体的な事情を基礎として検討を行うほかはないといわざる得ない。そして,本件におけるP2の分割は,実質的にみて,分割会社による「移転資産に対する支配」が継続する内容のものであると評価すべきことは上記で判示したとおりである。したがって,上記の原告の主張は採用することができない。 また,原告は,上記イ④の点に関し,本件分割の目的は原告の株式上場に向けた準備にあり,未処理欠損金額の活用が主眼であったわけではなく,本件分割は株式上場の可能性を維持することを主眼に置いて採用されたものである旨主張し,これに沿うものとしてP23の陳述書(甲79)の記載及びP8氏の証言の供述部分(甲77)などを挙げる。 しかしながら,P2が作成した株式上場計画は,企業価値が不足しているなどの理由で親会社であるP1が反対したことにより実行されず,それに代えて実行された本件提案には,株式上場について具体的な記載がないことは上記のとおりであるし,原告がP4の子会社となった現時点においても,株式上場について具体的な計画があることを認めるに足りる証拠はない。また,原告の企業価値を増加させるものとして本件分割後に行っていくとされているクラウドコンピューティング事業についても,上記の株-45-式上場計画の策定当時においては,成長戦略として位置付けられるものにとどまっており(甲11の2・14頁),これが直ちに株式上場に結び付くものであることを認めるに足りる的確な証拠はない。そうすると,P2が会社分割を行うに当たり基本的な考え方として挙げていた「株式上場の可能性が担保されること」という ),これが直ちに株式上場に結び付くものであることを認めるに足りる的確な証拠はない。そうすると,P2が会社分割を行うに当たり基本的な考え方として挙げていた「株式上場の可能性が担保されること」という点(甲41,79)は,将来の抽象的な計画をいうにとどまるものとみるほかはない。したがって,上記の原告の主張は採用することができない。 さらに,原告は,上記イ⑥の点に関し,P2株式譲渡(本件譲渡2)に先立って原告株式譲渡(本件譲渡1)を行い,原告をP4の直接の子会社とすることにより,原告をP4の孫会社とすることから生じる事業上の不都合を避けることができたと主張し,これに沿う陳述書(甲74,75,76)の記載がある。 しかしながら,原告が主張する事業上の不都合とは,(ⅰ)事業展開の観点から,原告をP4の直接の子会社とすることが自然であり,一般の信用を得やすいこと,(ⅱ)統一的な情報セキュリティ管理を行うという観点から,原告をP4の直接の子会社とする必要性があったこと,(ⅲ)社内システムへのアクセス権限を与えるため,原告をP4の直接の子会社とする必要性があったことであるところ,本件分割及び本件譲渡1が実行されるに至るまでの間,P4において上記のような観点から本件譲渡1の必要性が実際に検討されていたことを示す的確な証拠はないことからすると,上記各陳述書の記載は,直ちには,信用することができない。また,P1又はP2において本件の組織再編成に関与した者からの聴取書(乙7,10,11,12)によれば,P2においては,本件譲渡2に先立って本件譲渡1を行うことについてP1から一方的に通知を受けたにすぎず,営業部門である原告のみを譲渡する事業上の必要性等は認識されていなかったことが認められる。したがって,原告の上記主張は,採用するこ-46-と うことについてP1から一方的に通知を受けたにすぎず,営業部門である原告のみを譲渡する事業上の必要性等は認識されていなかったことが認められる。したがって,原告の上記主張は,採用するこ-46-とができない。 (4) 本件計画を前提とした分割行為は否認の対象となる行為か否かについてア否認対象行為について被告は,本件で否認の対象となる行為は,本件計画を前提とした「原告の分割承継行為」である旨主張する。 そこで検討するに,分割とは,株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社又は分割により設立する会社に承継させることをいうと解される(会社法2条29号,30号参照)。そして,新設分割をする場合においては,分割法人は,新設分割計画を作成し(同法762条),これを備え置き(同法803条),株主総会の決議によって,その承認を受ける(同法804条)などしなければならない。そして新設分割の効力は,分割承継法人の設立の登記による成立(同法49条)によって生じ(同法764条,766条),分割承継法人は,新設分割計画の定めに従い,分割法人の権利義務を承継することとされている(同法764条,766条)。 以上のような会社分割に関する定めによれば,分割承継法人が分割法人の権利義務を承継するのは,分割による法的効果にすぎず,分割承継法人において,同法人が行う何らかの承継行為が観念できるものではない。したがって,否認の対象は「原告の分割承継行為」であるとする被告の主張は,採用することができず,本件において否認の対象とすべきものは,分割法人であるP2の分割行為であると解すべきである。 しかるに,上記2(4)のとおり,法132条の2の規定により否認することができる行為又は計算は,法人税につき更正又は決定を 象とすべきものは,分割法人であるP2の分割行為であると解すべきである。 しかるに,上記2(4)のとおり,法132条の2の規定により否認することができる行為又は計算は,法人税につき更正又は決定を受ける法人の行為又は計算に限られず,同条の規定により否認することができる行為又は計算には,法人税につき更正又は決定を受ける法人以外の法人であって,同条各号に掲げられているものの行為又は計算が含まれるというべき-47-である。したがって,否認の対象を,本件計画を前提とするP2の分割行為であると解するとしても,同条の規定により否認することができるというべきである。 イ否認の態様からみた否認対象行為としての適格性について原告は,法132条の2の規定は,納税者が私法上の法形式を濫用した場合に,私法上の法律関係はそのままにしておきながら,租税法の適用上のみにおいて,正常な私法上の法形式に引き直した上で,租税法を適用して課税するものであるから,否認の対象となる行為は,納税者が選択した私法上の法形式をもつ行為であって,引き直される正常な法形式は,納税者が選択した私法上の法形式とは別の法形式を持つ私法上の行為でなければならず,私法上の法形式としては同一であるものは否認の対象とならない旨主張する。 しかしながら,組織再編税制においては,同じ法形式を有する分割行為であっても,特別に設けた要件に該当する行為又は事実関係の有無に従い,税法上の法律効果として,適格分割となる場合と非適格分割となる場合とを区別することになっており,法形式ごとに法律効果が結び付けられているものではない。そして,上記2で判示したとおり,法132条の2の規定は,組織再編成の形態や方法が相当に複雑かつ多様となっており,組織再編成が租税回避の手段として濫用されるおそれがあるた けられているものではない。そして,上記2で判示したとおり,法132条の2の規定は,組織再編成の形態や方法が相当に複雑かつ多様となっており,組織再編成が租税回避の手段として濫用されるおそれがあるため,適正な課税を行うことができるように包括的な組織再編成に係る租税回避防止規定として設けられたものである。こうしたことからすると,法132条の2の規定により否認され,引き直されるのは,法形式を異にするものには限られず,事実行為としてその内容を異にするものも含むと解することが相当である。 しかるところ,分割後に本件譲渡1を行うという計画(本件計画)を前提とした分割行為と,本件計画を前提としない分割行為とでは,事実行為-48-として内容を異にするものであって,税法上の効果において異なるものであるから,法132条の2の規定に基づき,前者を否認して後者に引き直すことは許されるというべきである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (5) 小括以上のとおりであるから,分割後に本件譲渡1を行うという計画(本件計画)を前提とした分割行為は,「その法人の行為(中略)で,これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(法132条の2)に該当し,同条の規定に基づき否認することができるというべきである。 4 本件更正処分等の適法性について以上によれば,分割後に本件譲渡1を行うという計画(本件計画)を前提とした分割行為及び本件資産調整勘定の金額を減額して損金の額に算入する計算は,法132条の2の規定に基づき否認することができ,これまでに述べたところ及び弁論の全趣旨によれば,本件各更正処分等は,別紙3のとおりいずれも適法なものと認められる。 5 結論よって は,法132条の2の規定に基づき否認することができ,これまでに述べたところ及び弁論の全趣旨によれば,本件各更正処分等は,別紙3のとおりいずれも適法なものと認められる。 5 結論よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 -49- 裁判官竹林俊憲 裁判官貝阿彌亮-50-別紙2関係法令の定め第1 平成22年法律第6号による改正前の法人税法 1 2条(定義)この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 一から九まで (略)十同族会社会社の株主等(その会社が自己の株式又は出資を有する場合のその会社を除く。)の3人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。 十一被合併法人合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。 十二合併法人合併により被合併法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。 十二の二分割法人分割によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。 十二の三分割承継法人分割により分割法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。 十二の四から十二の七の五まで (略)十二の八適格合併 び負債の移転を行つた法人をいう。 十二の三分割承継法人分割により分割法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。 十二の四から十二の七の五まで (略)十二の八適格合併次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人株式(合併法人の株式又は出資をいう。)又は合併親法人株式(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式又は出資を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の全部を-51-保有する関係として政令で定める関係がある法人の株式又は出資をいう。)のいずれか一方の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当,利益の配当又は剰余金の分配をいう。第12号の11において同じ。)として交付される金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。 イその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が法人を設立する合併(以下この号において「新設合併」という。)である場合にあつては,当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併ロその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては,当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の総数(出資にあつては,総額。以下第12号の16までにおいて同じ。)の100分の50を超え,かつ,100分の100に満たない数(出資にあつては,金額。以下第12号の16までにおいて同じ。)の株式(出資を含む。以下第12号の 。以下第12号の16までにおいて同じ。)の100分の50を超え,かつ,100分の100に満たない数(出資にあつては,金額。以下第12号の16までにおいて同じ。)の株式(出資を含む。以下第12号の16までにおいて同じ。)を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併のうち,次に掲げる要件のすべてに該当するもの(1) 当該合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち,その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること(当該合併後に当該合併法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該相当する数の者が,当該合併後に当該合併法人の業務に従事し,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること。)。 -52-(2) 当該合併に係る被合併法人の当該合併前に営む主要な事業が当該合併後に当該合併に係る合併法人において引き続き営まれることが見込まれていること(当該合併後に当該合併法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該主要な事業が,当該合併後に当該合併法人において営まれ,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人において引き続き営まれることが見込まれていること。)。 ハその合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては,当該被合併法人と他の被合併法人)とが共同で事業を営むための合併として政令で定めるもの十二の九分割型分割分割により分割法人が交付を受ける分割承継法人の株式その他の資産(次号及び第12号の11において「分割対価資産」という。)のすべてがその分割の日において当該分割法人の株主等 十二の九分割型分割分割により分割法人が交付を受ける分割承継法人の株式その他の資産(次号及び第12号の11において「分割対価資産」という。)のすべてがその分割の日において当該分割法人の株主等に交付される場合の当該分割をいう。 十二の十分社型分割分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産がその分割の日において当該分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割をいう。 十二の十一適格分割次のいずれかに該当する分割(分割型分割にあつては分割法人の株主等に分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人の株式をいう。以下この号において同じ。)のいずれか一方の株式以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等として交付される分割対価資産以外の金銭その他の資産を除く。)が交付されず,かつ,当該株式が当該株主等の有する分割法人の株式の数の割合に応じて交付されるものに,分社型分割にあつては分割法人に分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないものに限る。)をいう。 -53-イその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割ロその分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の総数の100分の50を超え,かつ,100分の100に満たない数の株式を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち,次に掲げる要件のすべてに該当するもの(1) 当該分割により分割事業(分割法人の分割前 0に満たない数の株式を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち,次に掲げる要件のすべてに該当するもの(1) 当該分割により分割事業(分割法人の分割前に営む事業のうち,当該分割により分割承継法人において営まれることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該主要な資産及び負債が,当該分割により当該分割承継法人に移転し,当該適格合併により当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれていること。)。 (2) 当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち,その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該相当する数の者が,当該分割後に当該分割承継法人の業務に従事し,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること。)。 (3) 当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人において引き続き営まれることが見込まれていること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該分割事業が,当該分割後に当該分割承継法人において営まれ,-54-当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人において引き続き営まれることが見込まれていること。)。 ハその分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては,当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を営 引き続き営まれることが見込まれていること。)。 ハその分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては,当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を営むための分割として政令で定めるもの十二の十二適格分割型分割分割型分割のうち適格分割に該当するものをいう。 十二の十三適格分社型分割分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。 十二の十四から四十八まで (略) 2 62条(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)(1) 1項内国法人が合併又は分割により合併法人又は分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは,当該合併法人又は分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該合併又は分割の時の価額による譲渡をしたものとして,当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。この場合においては,当該合併により当該資産及び負債の移転をした当該内国法人(資本又は出資を有しないものを除く。)は,当該合併法人から新株等(当該合併法人が当該合併により交付した当該合併法人の株式(出資を含む。以下この項及び次条において同じ。)その他の資産(第61条の2第3項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する場合において同項の規定により同項に規定する株式割当等を受けたものとみなされる当該合併法人の株式その他の資産を含む。)をいう。)をその時の価額により取得し,直ちに当該新株等を当該内国法人の株主等に交付したものとする。 (2) 2項及び3項 (略) 3 62条の3(適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡)-55-(1) 1項内国法人が適格分社型分割により分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは,第6 3 62条の3(適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡)-55-(1) 1項内国法人が適格分社型分割により分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは,第62条第1項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)の規定にかかわらず,当該分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして,当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。 (2) 2項 (略) 4 62条の8(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)(1) 1項内国法人が非適格合併等(適格合併に該当しない合併又は適格分割に該当しない分割,適格現物出資に該当しない現物出資若しくは事業の譲受けのうち,政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)により当該非適格合併等に係る被合併法人,分割法人,現物出資法人その他政令で定める法人(以下この条において「被合併法人等」という。)から資産又は負債の移転を受けた場合において,当該内国法人が当該非適格合併等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産(適格合併に該当しない合併にあつては,第62条第1項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)に規定する新株等)の価額の合計額(当該非適格合併等において当該被合併法人等から支出を受けた第37条第7項(寄附金の損金不算入)に規定する寄附金の額に相当する金額を含み,当該被合併法人等に対して支出をした同項に規定する寄附金の額に相当する金額を除く。第3項において「非適格合併等対価額」という。)が当該移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額(当該資産(営業権にあつては,政令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)の取得価額の合計額から当該負債の額(次項 適格合併等対価額」という。)が当該移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額(当該資産(営業権にあつては,政令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)の取得価額の合計額から当該負債の額(次項に規定する負債調整勘定の金額を含む。以下この項において同じ。)の合計額を控除した金額をいう。第3項-56-において同じ。)を超えるときは,その超える部分の金額(当該資産の取得価額の合計額が当該負債の額の合計額に満たない場合には,その満たない部分の金額を加算した金額)のうち政令で定める部分の金額は,資産調整勘定の金額とする。 (2) 2項及び3項 (略)(3) 4項第1項の資産調整勘定の金額を有する内国法人は,各資産調整勘定の金額に係る当初計上額(非適格合併等の時に同項の規定により当該資産調整勘定の金額とするものとされた金額をいう。)を60で除して計算した金額に当該事業年度の月数を乗じて計算した金額(当該内国法人が自己を被合併法人とする合併(適格合併を除く。)を行う場合にあつては,当該合併の日の前日の属する事業年度終了の時の金額)に相当する金額を,当該事業年度(当該内国法人が当該合併を行う場合にあつては,当該合併の日の前日の属する事業年度)において減額しなければならない。 (4) 5項前項の規定により減額すべきこととなつた資産調整勘定の金額に相当する金額は,その減額すべきこととなつた日の属する事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する。 (5) 6項から12項まで (略) 5 132条(同族会社等の行為又は計算の否認)(1) 1項税務署長は,次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において,その法人の行為又は計算で,これを容認した場合には法人税の負担を 社等の行為又は計算の否認)(1) 1項税務署長は,次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において,その法人の行為又は計算で,これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは,その行為又は計算にかかわらず,税務署長の認めるところにより,その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。 -57-一内国法人である同族会社二イからハまでのいずれにも該当する内国法人イ 3以上の支店,工場その他の事業所を有すること。 ロその事業所の2分の1以上に当たる事業所につき,その事業所の所長,主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。 ハロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の3分の2以上に相当すること。 (2) 2項及び3項 (略) 6 132条の2(組織再編成に係る行為又は計算の否認)税務署長は,合併,分割,現物出資若しくは事後設立(第2条第12号の6(定義)に規定する事後設立をいう。)又は株式交換若しくは株式移転(以下この条において「合併等」という。)に係る次に掲げる法人の法人税につき更正又は決定をする場合において,その法人の行為又は計算で,これを容認した場合には,合併等により移転する資産及び負債の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,法人 る次に掲げる法人の法人税につき更正又は決定をする場合において,その法人の行為又は計算で,これを容認した場合には,合併等により移転する資産及び負債の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,法人税の額から控除する金額の増加,第1号又は第2号に掲げる法人の株式(出資を含む。第2号において同じ。)の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加,みなし配当金額(第24条第1項(配当等の額とみなす金額)の規定により第23条第1項第1号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなされる金額をいう。)の減少その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは,その行為又は計算にかかわらず,税務署長の認めるところにより,その法人に係る法人-58-税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。 一合併等をした一方の法人又は他方の法人二合併等により交付された株式を発行した法人(前号に掲げる法人を除く。)三前二号に掲げる法人の株主等である法人(前二号に掲げる法人を除く。)第2 平成22年政令第51号による改正前の法人税法施行令 1 4条の2(適格組織再編成における株式の保有関係等)(1) 1項から5項まで (略)(2) 6項法第2条第12号の11イに規定する政令で定める関係は,次に掲げるいずれかの関係とする。 一分割前に当該分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割(以下この号において「新設分割」という。)で2以上の法人が行うもの(第8項までにおいて「複数新設分割」という。)である場合にあつては,当該分割法人と他の分割法人)との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係(以下 うもの(第8項までにおいて「複数新設分割」という。)である場合にあつては,当該分割法人と他の分割法人)との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係(以下この号において「当事者間の完全支配関係」という。)があり,かつ,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当事者間の完全支配関係が継続すること(当該分割後に当該分割法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当事者間の完全支配関係があり,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人と当該分割承継法人との間に当事者間の完全支配関係が継続することとし,当該分割後に分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該分割法人と分割承継法人との間に当事者間の完全支配関係が継続することとする。以下この号において同じ。)が見込まれている場合(当該分割が新設分割で複数新設分割に該当しないも-59-の(以下この項及び次項において「単独新設分割」という。)である場合にあつては,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれている場合)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係(次号に掲げる関係に該当するものを除く。)二分割前に当該分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が複数新設分割である場合にあつては,当該分割法人と他の分割法人)との間に同一の者(当該者が個人であるときは,当該個人及びこれと前条第1項に規定する特殊の関係のある個人)によつてそれぞれの法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有される関係(以下この号において「同一者による完全支配関係」という ときは,当該個人及びこれと前条第1項に規定する特殊の関係のある個人)によつてそれぞれの法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有される関係(以下この号において「同一者による完全支配関係」という。)があり,かつ,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に同一者による完全支配関係が継続すること(当該分割後に当該同一の者を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に同一者による完全支配関係があり,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人によつて当該分割法人と分割承継法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有される関係が継続することとし,当該分割後に当該分割法人又は分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該分割法人と分割承継法人との間に同一者による完全支配関係が継続することとする。以下この号において同じ。)が見込まれている場合(当該分割が単独新設分割である場合にあつては,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に同一者による完全支配関係が継続することが見込まれている場合)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係(3) 7項法第2条第12号の11ロに規定する政令で定める関係は,次に掲げるい-60-ずれかの関係(前項各号に掲げる関係に該当するものを除く。)とする。 一分割前に当該分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が複数新設分割である場合にあつては,当該分割法人と他の分割法人)との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の総数の100分の50を超える数の株式(次号において「支配株式」という。)を直接又は間接に保有する関係(以下この号において「当 と他の分割法人)との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の総数の100分の50を超える数の株式(次号において「支配株式」という。)を直接又は間接に保有する関係(以下この号において「当事者間の支配関係」という。)があり,かつ,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当事者間の支配関係が継続すること(当該分割後に当該分割法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当事者間の支配関係があり,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人と当該分割承継法人との間に当事者間の支配関係が継続することとし,当該分割後に分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該分割法人と分割承継法人との間に当事者間の支配関係が継続することとする。以下この号において同じ。)が見込まれている場合(当該分割が単独新設分割である場合にあつては,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当事者間の支配関係が継続することが見込まれている場合)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係(次号に掲げる関係に該当するものを除く。)二分割前に当該分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が複数新設分割である場合にあつては,当該分割法人と他の分割法人)との間に同一の者(当該者が個人であるときは,当該個人及びこれと前条第1項に規定する特殊の関係のある個人)によつてそれぞれの法人の支配株式を直接又は間接に保有される関係(以下この号において「同一者による支配関係」という。)があり,かつ,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に同一者による支配関係が継続すること(当該分割後に当該同一の者を-61-被合併法人 下この号において「同一者による支配関係」という。)があり,かつ,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に同一者による支配関係が継続すること(当該分割後に当該同一の者を-61-被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に同一者による支配関係があり,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人によつて当該分割法人と分割承継法人の支配株式を直接又は間接に保有される関係が継続することとし,当該分割後に当該分割法人又は分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該分割法人と分割承継法人との間に同一者による支配関係が継続することとする。以下この号において同じ。)が見込まれている場合(当該分割が単独新設分割である場合にあつては,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に同一者による支配関係が継続することが見込まれている場合)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係(4) 8項法第2条第12号の11ハに規定する政令で定めるものは,同号イ又はロに該当する分割以外の分割のうち,次に掲げる要件(当該分割が分割型分割であり,かつ,当該分割に係る分割法人の株主等の数が50人以上である場合には,第1号から第5号までに掲げる要件)のすべてに該当するものとする。 一分割に係る分割法人の分割事業(当該分割法人の当該分割前に営む事業のうち,当該分割により分割承継法人において営まれることとなるものをいう。以下この項において同じ。)と当該分割に係る分割承継法人の分割承継事業(当該分割承継法人の当該分割前に営む事業のうちのいずれかの事業をいい,当該分割が複数新設分割である場合にあつては,他の分割 いう。以下この項において同じ。)と当該分割に係る分割承継法人の分割承継事業(当該分割承継法人の当該分割前に営む事業のうちのいずれかの事業をいい,当該分割が複数新設分割である場合にあつては,他の分割法人の分割事業をいう。次号及び第5号において同じ。)とが相互に関連するものであること。 二分割に係る分割法人の分割事業と当該分割に係る分割承継法人の分割承-62-継事業(当該分割事業と関連する事業に限る。)のそれぞれの売上金額,当該分割事業と分割承継事業のそれぞれの従業者の数若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと又は当該分割前の当該分割法人の役員等(役員及び第4項第2号に規定するこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう。以下この号において同じ。)のいずれかと当該分割承継法人の特定役員(当該分割が複数新設分割である場合にあつては,他の分割法人の役員等)のいずれかとが当該分割後に当該分割承継法人の特定役員となることが見込まれていること。 三分割により分割法人の分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転していること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該主要な資産及び負債が,当該分割により当該分割承継法人に移転し,当該適格合併により当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれていること。)。 四分割に係る分割法人の当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち,その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割に係る分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該相当する数の者が,当該分割 割後に当該分割に係る分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該相当する数の者が,当該分割後に当該分割承継法人の業務に従事し,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること。)。 五分割に係る分割法人の分割事業(当該分割に係る分割承継法人の分割承継事業と関連する事業に限る。)が当該分割後に当該分割承継法人において引き続き営まれることが見込まれていること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該分割事業が,当該分割後に当該分割承継法人において営まれ,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人において引き続き営まれる-63-ことが見込まれていること。)。 六次に掲げる分割の区分に応じそれぞれ次に定める要件イ分割型分割当該分割型分割の直前の当該分割型分割に係る分割法人の株主等で当該分割型分割により交付を受ける分割承継法人の株式又は法第2条第12号の11に規定する分割承継親法人株式(以下この号において「分割承継親法人株式」という。)のいずれか一方の株式(議決権のないものを除く。)の全部を継続して保有することが見込まれる者(当該分割型分割後に当該者を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割型分割後に当該者が当該株式の全部を保有し,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人が当該株式の全部を継続して保有することが見込まれるときの当該者とし,当該分割型分割後に当該分割承継法人(当該分割法人の株主等が当該分割型分割により分割承継親法人株式の交付を受ける場合にあつては,同条第12号の11に規定 て保有することが見込まれるときの当該者とし,当該分割型分割後に当該分割承継法人(当該分割法人の株主等が当該分割型分割により分割承継親法人株式の交付を受ける場合にあつては,同条第12号の11に規定する全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人)を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分割型分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該株式の全部を継続して保有することが見込まれるときの当該者とする。)及び当該分割型分割に係る分割承継法人(当該分割法人の株主等が当該分割型分割により分割承継親法人株式の交付を受ける場合にあつては,同号に規定する全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人を含む。)が有する当該分割法人の株式(議決権のないものを除く。)の数を合計した数が当該分割法人の発行済株式等(議決権のないものを除く。)の総数の100分の80以上であること。 ロ分社型分割当該分社型分割に係る分割法人が当該分社型分割により交付を受ける分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式のいずれか一方の株式の全部を継続して保有することが見込まれていること(当該-64-分社型分割後に当該分割法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分社型分割後に当該分割法人が当該株式の全部を保有し,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人が当該株式の全部を継続して保有することが見込まれていることとし,当該分社型分割後に当該分割承継法人(当該分割法人が当該分社型分割により分割承継親法人株式の交付を受ける場合にあつては,法第2条第12号の11に規定する全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人)を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分社型分割の時から当該適格合併 場合にあつては,法第2条第12号の11に規定する全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人)を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には当該分社型分割の時から当該適格合併の直前の時まで当該分割法人が当該株式の全部を継続して保有することが見込まれていることとする。)。 (5) 9項から24号まで (略) 2 123条の10(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)(1) 1項から3項まで (略)(2) 4項法第62条の8第1項に規定する政令で定める部分の金額は,同項に規定する超える部分の金額のうち,資産等超過差額(同項に規定する非適格合併等(以下この条において「非適格合併等」という。)により交付された同項の内国法人の株式その他の資産の当該非適格合併等の時における価額が当該非適格合併等により当該株式その他の資産を交付することを約した時の価額と著しい差異を生じている場合におけるこれらの価額の差額その他の財務省令で定める金額に相当する金額をいう。次項及び第6項において同じ。)に相当する金額以外の金額とする。 (3) 5項から15項まで (略)第3 法人税法施行規則-65-27条の16(資産等超過差額)令第123条の10第4項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する財務省令で定める金額は,次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額(当該各号に掲げる場合のいずれにも該当する場合には,当該各号に定める金額の合計額)とする。 一法第62条の8第1項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する非適格合併等により交付された同項の内国法人の株式その他の資産( める金額の合計額)とする。 一法第62条の8第1項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する非適格合併等により交付された同項の内国法人の株式その他の資産(以下この号において「非適格合併等対価資産」という。)の当該非適格合併等の時における価額(以下この号において「交付時価額」という。)が当該非適格合併等により当該非適格合併等対価資産を交付することを約した時の価額(以下この号において「約定時価額」という。)と著しい差異を生じている場合(当該非適格合併等対価資産の交付時価額が約定時価額の2倍を超える場合に限る。) イ又はロに掲げる金額(当該内国法人がイに掲げる金額の算定をしていない場合又はその算定の根拠を明らかにする事項を記載した書類及びその算定の基礎とした事項を記載した書類を保存していない場合にあつては,ロに掲げる金額)イ当該非適格合併等対価資産の交付時価額から当該非適格合併等により移転を受けた事業の価値に相当する金額として当該事業により見込まれる収益の額を基礎として合理的に見積もられる金額を控除した金額ロ当該非適格合併等対価資産の交付時価額から約定時価額を控除した金額(法第62条の8第1項に規定する時価純資産価額が当該約定時価額を超える場合にあつては,当該交付時価額から当該時価純資産価額を控除した金額)二法第62条の8第1項に規定する非適格合併等が適格合併に該当しない合併又は適格分割に該当しない分割である場合において同項に規定する超える部分の金額が当該合併又は分割により移転を受ける事業により見込まれ-66-る収益の額の状況その他の事情からみて実質的に当該合併又は分割に係る被合併法人又は分割法人の欠損金額(当該移転を受ける事業による収益の額によつて補てんされる 転を受ける事業により見込まれ-66-る収益の額の状況その他の事情からみて実質的に当該合併又は分割に係る被合併法人又は分割法人の欠損金額(当該移転を受ける事業による収益の額によつて補てんされると見込まれるものを除く。)に相当する部分から成ると認められる金額があるとき当該欠損金額に相当する部分から成ると認められる金額-67-別紙3本件各更正処分等の根拠及び適法性第1 平成21年3月期及び平成22年3月期各更正処分等の根拠及び適法性 1 平成21年3月期及び平成22年3月期各更正処分の根拠被告が本訴において主張する原告の平成21年3月期及び平成22年3月期の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額は,それぞれ次に述べるとおりである。 (1) 平成21年3月期ア所得金額(別表2-1③欄) 2億3788万5625円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算した金額である。 (ア) 申告所得金額(別表2-1①欄) △9657万8987円上記金額は,原告が,四谷税務署長に対し,平成21年6月29日に提出した平成21年3月期の法人税の確定申告書(以下「平成21年3月期確定申告書」という。甲48の1)に記載された所得金額と同額である。 (イ) 損金の額に算入されない資産調整勘定取崩の金額(別表2-1②欄)3億3446万4612円上記金額は,原告が,平成21年2月2日,P2株式会社(同日付け商号変更前のP3株式会社,以下「P2」という。)を分割法人,原告を分割承継法人とする分社型分割(法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)2条12号の10,以下「本件分割」という。)により設立された際に,本件分割が法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの。以下同 (平成22年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)2条12号の10,以下「本件分割」という。)により設立された際に,本件分割が法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの。以下同じ。)4条の2第6項1号の要件を満たさない非適格分割に当たるとして,法人税法62条の8第1項に規定する資産調整勘定(以下「本件資産調整勘定」という。)の金額とした100億3393万8360円(本件分割に係る非適格合併等-68-対価額(P2に交付された原告の株式の評価額)115億円と原告が本件分割により移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額14億6606万1640円との差額)のうち,法人税法62条の8第4項の規定により減額し,同条5項の規定により損金の額に算入したものであるが,本件資産調整勘定の金額を減額して損金の額に算入することを容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められることから,法人税法132条の2第1項の規定により損金の額に算入されない金額である。 イ所得金額に対する法人税額(別表2-1④欄) 7125万8860円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算した金額である。 (ア) 所得金額のうち年800万円相当額以下の金額に対する法人税額29万3260円上記金額は,法人税法66条2,4及び5項の規定により,上記アの所得金額のうち,800万円を12で除し,これに平成21年3月期の月数である2を乗じて計算した金額133万3000円(国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項及び法人税基本通達16-4-1の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に税率100分の22を乗じて計算した金額である。 (イ) 所得金額のうち年800万円相当額を超える金額に対する法人税額 16-4-1の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に税率100分の22を乗じて計算した金額である。 (イ) 所得金額のうち年800万円相当額を超える金額に対する法人税額7096万5600円上記金額は,法人税法66条1及び2項の規定により,上記アの所得金額のうち,133万3000円(所得金額のうち年800万円相当額,上記(ア))を超える金額2億3655万2000円(通則法118条1項の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に税率100分の30を乗じて計算した金額である。 ウ控除所得税額等(別表2-1⑤欄) 3万8850円-69-上記金額は,平成21年3月期確定申告書に記載された所得税額等の還付金額と同額であり,法人税法68条1項の規定により,所得金額から控除される金額である。 エ差引所得に対する法人税額(別表2-1⑥欄) 7122万円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)である。 オ申告による還付金額(別表2-1⑦欄) 3万8850円上記金額は,平成21年3月期確定申告書に記載された還付金額と同額である。 カ差引納付すべき法人税額(別表2-1⑧欄) 7125万8800円上記金額は,上記エの金額に上記オの金額を加算した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)であり,平成21年3月期において原告が新たに納付すべき法人税額である。 (2) 平成22年3月期ア所得金額(別表2-2④欄) 15億1090万3123円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算し,(ウ)の金額を減算した金額であ 税額である。 (2) 平成22年3月期ア所得金額(別表2-2④欄) 15億1090万3123円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算し,(ウ)の金額を減算した金額である。 (ア) 申告所得金額(別表2-2①欄) △4億7304万7649円上記金額は,原告が,四谷税務署長に対し,平成22年6月28日に提出した平成22年3月期の法人税の確定申告書(以下「平成22年3月期確定申告書」という。甲48の2)に記載された所得金額と同額である。 (イ) 損金の額に算入されない資産調整勘定取崩の金額(別表2-2②欄)20億0678万7672円上記金額は,原告が,本件分割により設立された際に,本件分割が法-70-人税法施行令4条の2第6項1号の要件を満たさない非適格分割に当たるとして,本件資産調整勘定の金額とした100億3393万8360円のうち,法人税法62条の8第4項の規定により減額し,同条5項の規定により損金の額に算入したものであるが,本件資産調整勘定の金額を減額して損金の額に算入することを容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められることから,法人税法132条の2第1項の規定により損金の額に算入されないものである。 (ウ) 損金の額に算入される事業税の金額(別表2-2③欄)2283万6900円上記金額は,平成21年3月期の所得金額が発生したことに伴い生じた事業税の金額であり,損金の額に算入される金額である。 イ所得金額に対する法人税額(別表2-2⑤欄)4億5231万0900円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算した金額である。 (ア) 所得金額のうち年800万円以下の金額に対する法人税額144万円上記金額は,法人税法66条2項及び租税特 0900円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)の金額を加算した金額である。 (ア) 所得金額のうち年800万円以下の金額に対する法人税額144万円上記金額は,法人税法66条2項及び租税特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)42条の3の2第1項の規定により,上記アの所得金額のうち,800万円以下の金額に税率100分の18を乗じて計算した金額である。 (イ) 所得金額のうち年800万円を超える金額に対する法人税額4億5087万0900円上記金額は,法人税法66条1及び2項の規定により,上記アの所得金額のうち,800万円(上記(ア))を超える金額15億0290万3000円(通則法118条1項の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に税率100分の30を乗じて計算した金額であ-71-る。 ウ控除所得税額等(別表2-2⑥欄) 41万1682円上記金額は,平成22年3月期確定申告書に記載された所得税額等の還付金額と同額であり,法人税法68条1項の規定により,所得金額から控除される金額である。 エ差引所得に対する法人税額(別表2-2⑦欄)4億5189万9200円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)である。 オ申告による還付金額(別表2-2⑧欄) 41万1682円上記金額は,平成22年3月期確定申告書に記載された還付金額と同額である。 カ差引納付すべき法人税額(別表2-2⑨欄)4億5231万0800円上記金額は,上記エの金額に上記オの金額を加算した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)であり,平成22 税額(別表2-2⑨欄)4億5231万0800円上記金額は,上記エの金額に上記オの金額を加算した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)であり,平成22年3月期において原告が新たに納付すべき法人税額である。 2 平成21年3月期及び平成22年3月期各更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告の平成21年3月期及び平成22年3月期の所得金額及び納付すべき法人税額は,それぞれ上記1のとおりであり,これらの額は,平成21年3月期及び平成22年3月期各更正処分における平成21年3月期及び平成22年3月期の所得金額及び納付すべき法人税額といずれも同額であるから,平成21年3月期及び平成22年3月期各更正処分はいずれも適法である。 3 平成21年3月期及び平成22年3月期各賦課決定処分の根拠-72-平成21年3月期及び平成22年3月期各更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の各金額は,それぞれ次に述べるとおりである。 (1) 平成21年3月期上記2のとおり,平成21年3月期更正処分は適法であるところ,平成21年3月期において原告が新たに納付すべき法人税額の計算の基礎となった事実のうち,原告がこれを法人税額の計算の基礎としなかったことについては,いずれも通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとは認められない。 したがって,原告に課されるべき過少申告加算税の額は,差引納付すべき法人税額(上記1(1)カ)7125万円(通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の10の割合を乗じて計算した金額712万5000円(通則法65条1項)に,差引納付すべき法人税額(上記1(1)カ)のうち50万円を超える金額7075万円(通則法118条3項の規定により1万円 0分の10の割合を乗じて計算した金額712万5000円(通則法65条1項)に,差引納付すべき法人税額(上記1(1)カ)のうち50万円を超える金額7075万円(通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の5の割合を乗じて計算した金額353万7500円(通則法65条2項)を加算した金額1066万2500円となる。 (2) 平成22年3月期上記2のとおり,平成22年3月期更正処分は適法であるところ,平成22年3月期において原告が新たに納付すべき法人税額の計算の基礎となった事実のうち,原告がこれを法人税額の計算の基礎としなかったことについては,いずれも通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとは認められない。 したがって,原告に課されるべき過少申告加算税の額は,差引納付すべき法人税額(上記1(2)カ)4億5231万円(通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の10の割合を乗じて計算した金額4523万1000円(通則法65条1項)に,差引納付すべ-73-き法人税額(上記1(2)カ)のうち50万円を超える金額4億5181万円(通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の5の割合を乗じて計算した金額2259万0500円(通則法65条2項)を加算した金額6782万1500円となる。 4 平成21年3月期及び平成22年3月期各賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する平成21年3月期及び平成22年3月期各更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の各金額は,それぞれ上記3のとおりであり,平成21年3月期及び平成22年3月期各賦課決定処分における過少申告加算税の各金額といずれも同額であるから,平成21年3月期及び平成22年3 過少申告加算税の各金額は,それぞれ上記3のとおりであり,平成21年3月期及び平成22年3月期各賦課決定処分における過少申告加算税の各金額といずれも同額であるから,平成21年3月期及び平成22年3月期各賦課決定処分はいずれも適法である。 第2 平成23年3月期更正処分等の根拠及び適法性 1 平成23年3月期更正処分の根拠被告が本訴において主張する原告の平成23年3月期の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額は,次に述べるとおりである。 (1) 所得金額(別表2④欄) 12億2700万4353円上記金額は,次のアの金額にイ及びウの金額を加算した金額である。 ア申告所得金額(別表2①欄) △8億0262万0219円上記金額は,原告が,平成23年3月期確定申告書(甲48)に記載した所得金額と同額である。 イ損金の額に算入されない資産調整勘定取崩の金額(別表2②欄)20億0678万7672円上記金額は,原告が,平成21年2月2日,P2を分割法人,原告を分割承継法人とする分社型分割(本件分割)により設立された際に,本件分割が法人税法施行令4条の2第6項1号の要件を満たさない非適格分割に当たるとして,法人税法62条の8第1項に規定する資産調整勘定(本件資産調整勘定)の金額とした100億3393万8360円(本-74-件分割に係る非適格合併等対価額(P2に交付された原告の株式の評価額)115億円と原告が本件分割により移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額14億6606万1640円との差額)のうち,法人税法62条の8第4項の規定により減額し,同条5項の規定により損金の額に算入したものであるが,本件資産調整勘定の金額を減額して損金の額に算入することを容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる 法62条の8第4項の規定により減額し,同条5項の規定により損金の額に算入したものであるが,本件資産調整勘定の金額を減額して損金の額に算入することを容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められることから,法人税法132条の2第1項の規定により損金の額に算入されない金額である。 ウ損金の額に算入されない事業税の金額(別表2③欄)2283万6900円上記金額は,原告が,平成21年3月期更正処分に伴い生じた事業税として納付し,損金の額に算入した金額であるが,当該金額は,平成22年3月期更正処分において所得金額から減額されているため,平成23年3月期の損金の額に算入されない金額である。 (2) 所得金額に対する法人税額(別表2⑤欄) 3億6810万1200円上記金額は,平成23年法律第82号による改正前の法人税法66条1及び2項並びに同条6項2号イの規定により,上記(1)の所得金額12億2700万4000円(通則法118条1項の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に税率100分の30を乗じて計算した金額である。 (3) 控除所得税額等(別表2⑥欄) 64万9963円上記金額は,原告が,平成23年3月期確定申告書に記載した所得税額等の還付金額と同額であり,法人税法68条1項の規定により,所得金額から控除される金額である。 (4) 差引所得に対する法人税額(別表2⑦欄) 3億6745万1200円上記金額は,上記(2)の金額から上記(3)の金額を控除した金額(通則法1-75-19条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)である。 (5) 申告による還付金額(別表2⑧欄) 64万9963円上記金額は,原告が,平成2 -75-19条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)である。 (5) 申告による還付金額(別表2⑧欄) 64万9963円上記金額は,原告が,平成23年3月期確定申告書に記載した還付金額と同額である。 (6) 差引納付すべき法人税額(別表2⑨欄) 3億6810万1100円上記金額は,上記(4)の金額に上記(5)の金額を加算した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)であり,平成23年3月期において原告が新たに納付すべき法人税額である。 2 平成23年3月期更正処分の適法性被告が本訴において主張する原告の平成23年3月期の所得金額及び納付すべき法人税額は,それぞれ上記1のとおりであり,これらの額は,平成23年3月期更正処分における平成23年3月期の所得金額及び納付すべき法人税額と同額であるから,平成23年3月期更正処分は適法である。 3 平成23年3月期賦課決定処分の根拠上記2のとおり,平成23年3月期更正処分は適法であるところ,平成23年3月期において原告が新たに納付すべき法人税額の計算の基礎となった事実のうち,原告がこれを法人税額の計算の基礎としなかったことについては,いずれも通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとは認められない。 したがって,原告に課されるべき過少申告加算税の額は,差引納付すべき法人税額(上記1(6))3億6810万円(通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の10の割合を乗じて計算した金額3681万円(通則法65条1項)に,差引納付すべき法人税額(上記1(6))のうち50万円を超える金額3億6760万円(通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金 計算した金額3681万円(通則法65条1項)に,差引納付すべき法人税額(上記1(6))のうち50万円を超える金額3億6760万円(通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の5の割合を乗じて計算した金額1838万円(通則法65条2項)を加算した金額5519-76-万円となる。 4 平成23年3月期賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する平成23年3月期更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の金額は,上記3のとおりであり,平成23年3月期賦課決定処分における過少申告加算税の金額と同額であるから,平成23年3月期賦課決定処分は適法である。 第3 平成24年3月期更正処分等の根拠及び適法性 1 平成24年3月期更正処分の根拠被告が本訴において主張する原告の平成24年3月期の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額は,次に述べるとおりである。 (1) 所得金額(別表2③欄) 13億1975万2966円上記金額は,次のアの金額にイの金額を加算した金額である。 ア申告所得金額(別表2①欄) △6億8703万4706円上記金額は,原告が,平成24年3月期確定申告書(甲C48)に記載した所得金額と同額である。 イ損金の額に算入されない資産調整勘定取崩の金額(別表2②欄)20億0678万7672円上記金額は,原告が,平成21年2月2日,P2を分割法人,原告を分割承継法人とする分社型分割(本件分割)により設立された際に,本件分割が法人税法施行令4条の2第6項1号の要件を満たさない非適格分割に当たるとして,法人税法62条の8第1項に規定する資産調整勘定(本件資産調整勘定)の金額とした100億3393万8360円(本件分割に係る非適格合併等対価額(P2に交 の要件を満たさない非適格分割に当たるとして,法人税法62条の8第1項に規定する資産調整勘定(本件資産調整勘定)の金額とした100億3393万8360円(本件分割に係る非適格合併等対価額(P2に交付された原告の株式の評価額)115億円と原告が本件分割により移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額14億6606万1640円との差額)のうち,法人税法62条の8第4項の規定により減額し,同条5項の規定により損金の額に算入したものであるが,本-77-件資産調整勘定の金額を減額して損金の額に算入することを容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められることから,法人税法132条の2第1項の規定により損金の額に算入されない金額である。 (2) 所得金額に対する法人税額(別表2④欄) 3億9592万5600円上記金額は,平成23年法律第82号による改正後の法人税法66条1及び2項並びに同条6項2号イの規定により,上記(1)の所得金額13億1975万2000円(通則法118条1項の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に税率100分の30を乗じて計算した金額である。 (3) 控除所得税額等(別表2⑤欄) 35万7110円上記金額は,原告が,平成24年3月期確定申告書に記載した所得税額等の還付金額と同額であり,法人税法68条1項の規定により,所得金額から控除される金額である。 (4) 差引所得に対する法人税額(別表2⑥欄) 3億9556万8400円上記金額は,上記(2)の金額から上記(3)の金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)である。 (5) 申告による還付金額(別表2⑦欄) 35万7110円 ら上記(3)の金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)である。 (5) 申告による還付金額(別表2⑦欄) 35万7110円上記金額は,原告が,平成24年3月期確定申告書に記載した還付金額と同額である。 (6) 差引納付すべき法人税額(別表2⑧欄) 3億9592万5500円上記金額は,上記(4)の金額に上記(5)の金額を加算した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後の金額)であり,平成24年3月期において原告が新たに納付すべき法人税額である。 2 平成24年3月期更正処分の適法性-78-被告が本訴において主張する原告の平成24年3月期の所得金額及び納付すべき法人税額は,それぞれ上記1のとおりであり,これらの額は,平成24年3月期更正処分における平成24年3月期の所得金額及び納付すべき法人税額と同額であるから,平成24年3月期更正処分は適法である。 3 平成24年3月期賦課決定処分の根拠上記2のとおり,平成24年3月期更正処分は適法であるところ,平成24年3月期において原告が新たに納付すべき法人税額の計算の基礎となった事実のうち,原告がこれを法人税額の計算の基礎としなかったことについては,いずれも通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとは認められない。 したがって,原告に課されるべき過少申告加算税の額は,差引納付すべき法人税額(上記1(6))3億9592万円(通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の10の割合を乗じて計算した金額3959万2000円(通則法65条1項)に,差引納付すべき法人税額(上記1(6))のうち50万円を超える金額3億9542万円(通則法118条 後の金額)に100分の10の割合を乗じて計算した金額3959万2000円(通則法65条1項)に,差引納付すべき法人税額(上記1(6))のうち50万円を超える金額3億9542万円(通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の5の割合を乗じて計算した金額1977万1000円(通則法65条2項)を加算した金額5936万3000円となる。 4 平成24年3月期賦課決定処分の適法性被告が本訴において主張する平成24年3月期更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の金額は,上記3のとおりであり,平成24年3月期賦課決定処分における過少申告加算税の金額と同額であるから,平成24年3月期賦課決定処分は適法である。 -79-別紙4当事者の主張第1 法132条の2の意義(争点1)について 1 被告の主張(1) 法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(不当性要件)の解釈について法132条の2は,平成13年度税制改正において創設されたものであり,組織再編成に関する行為計算の一般的否認規定である。組織再編税制は,商法等において柔軟な組織再編成を可能とするための法制等の整備が進められたことに伴い,税制上も,組織再編成により資産の移転を行った場合にその取引の実態に合った課税を行うなど,適切な対応が求められることとなり,平成13年度税制改正において,組織再編成により移転する資産の譲渡損益を,一定の要件の下に繰り延べる措置を講じたものである。もっとも,組織再編成を租税回避の手段として濫用されるおそれが懸念されたため,その対応策として,繰越欠損金等を利用した租税回避行為等の類型的な租税回避行為に対しては,各個別規定に租税回避防止規定を設けることとした。し 成を租税回避の手段として濫用されるおそれが懸念されたため,その対応策として,繰越欠損金等を利用した租税回避行為等の類型的な租税回避行為に対しては,各個別規定に租税回避防止規定を設けることとした。しかし,組織再編成の形態や方法が複雑かつ多様なものとなることから,立法に当たって,あらゆる事態を想定して,個別具体的に明文規定を設けることは不可能であり,個別否認規定のみでは適正な課税を行うことに限界があることは明らかであったため,組織再編税制を導入する際に,併せて,包括的な租税回避防止規定として法132条の2の規定が創設されたのである。 法132条の2の趣旨・目的を踏まえると,同規定の「不当」該当性の判断に係る抽象的な基準としては,法人の特定の行為又は計算を容認した場合に生じる法人税の負担を減少させる結果が,その負担の減少を生じさせている組織再編税制に関連する個別規定を租税回避の手段として濫用し,税負担の公平を著しく害するような行為又は計算によって生じたものであるか否-80-か,すなわち,法人税の負担の減少が「組織再編税制の趣旨・目的に鑑みて,不合理・不自然な行為又は計算」によって生じたものと評価できるか否かで決すべきである。 被告の主張は,納税者の行為又は計算が組織再編税制に係る個別規定の趣旨・目的に反することが,一般の納税者にとっても客観的に明らかであるものについて「不当」であるとして,納税者の行為又は計算を否認するものであり,否認すべき事案は課税庁のみならず納税者にとっても,租税法規を形式的に適用すべき事案でないということが十分に認識し得るものであれば,明確性を欠くことはなく,租税法律主義に何ら反するものではない。 (2) 「その法人の行為又は計算」の意義について平成13年度税制改正では,企業組織 とが十分に認識し得るものであれば,明確性を欠くことはなく,租税法律主義に何ら反するものではない。 (2) 「その法人の行為又は計算」の意義について平成13年度税制改正では,企業組織再編成により移転する資産の譲渡損益を,一定の要件の下に繰り延べる措置を講じた一方で,企業組織再編成を租税回避の手段として濫用されるおそれがあることから,繰越欠損金等を利用した租税回避行為の防止規定など,各個別規定にそれぞれ防止規定を設けるとともに,それらの防止規定をかいくぐる租税回避行為に対処するために,包括的な租税回避防止規定として,法132条の2の規定を創設したものである。 この場合,異常ないし変則的な行為又は計算が行われている場合でも,必ずしもそれを行う法人と,法人税の負担が不当に減少する法人(更正対象法人)とが同一でない場合もあり得る。 そして,法132条の2の規定は,それを包含する組織再編税制が,法人の税務処理に関し,他の法人の行為の如何によって取扱いが変わることがある仕組みとして構築されているものであることから,組織再編成に関係する法人のすべてを掲げた上で,これらの法人のいずれかの行為によって当該法人だけでなく他の法人の法人税の負担が不当に減少するという事態が生じた場合には,その法人税の負担が不当に減少した法人について更正又は決定-81-を行い得るように制定されたものである。 上記のような法132条の2の趣旨に鑑みれば,同条において否認の対象となる「その法人」の行為とは,その直前にある「次に掲げる法人」の行為,すなわち,「同条1号から3号までに掲げるいずれかの法人」の行為と解釈することになる。 さらに,法132条の2の規定の変遷からしても,上記解釈が妥当であるのは明らかである。すなわち, 為,すなわち,「同条1号から3号までに掲げるいずれかの法人」の行為と解釈することになる。 さらに,法132条の2の規定の変遷からしても,上記解釈が妥当であるのは明らかである。すなわち,法132条の2の「その法人」とされている部分は,平成13年度税制改正による創設時には,対象法人を同条の柱書きの文章中に規定した上で「これらの法人」としていたものであり,平成18年度税制改正においても,このような用い方が踏襲されていたが,平成19年度税制改正においては,三角合併に対応する改正が行われ,それに伴って対象法人を各号列記とする規定の整備が行われただけであり,従来,「これらの法人」とされていたものについて,その内容を変更し,「更正又は決定をする法人」のみに限定するというような重要な改正は行われておらず,平成19年度税制改正に至る過程における検討記録等にも,そのような改正が行われることをうかがわせるものは,全く見受けられない。 以上によれば,法132条の2において否認の対象となる「その法人」の行為とは,その直前にある「次に掲げる法人」の行為,すなわち「同条1号から3号までに掲げるいずれかの法人」の行為と解釈することができる。 そして,P2は,法132条の2第1号の「合併等をした一方の法人又は他方の法人」に当たり,法132条の2柱書きの「その法人」に当たる。 したがって,仮に,本件分割がP2の行為であって,原告の行為でもあると評価することができないとしても,処分行政庁は,原告が本件計画(P4とP2の間で本件譲渡1を行うという計画)を前提に分割承継行為を行ったことを対象として,法132条の2が適用して否認し,本件計画を前提とした原告の分割承継行為を,本件計画を前提としない原告の分割承継行為に引-82-き直し,原 う計画)を前提に分割承継行為を行ったことを対象として,法132条の2が適用して否認し,本件計画を前提とした原告の分割承継行為を,本件計画を前提としない原告の分割承継行為に引-82-き直し,原告に係る法人税の課税標準等を計算することができる。 2 原告の主張(1) 法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(不当性要件)の解釈についてア 「法人税の負担を不当に減少させる」の要件は私的経済取引としての合理性の観点から解釈すべきであること。 法132条の2は,法人の行為が「法人税の負担を不当に減少させる結果となる」ことが適用要件とされている。「不当に減少させる」との文言は不確定概念であるが,法132条の2が法人の組織再編成において種々の租税回避行為が行われる可能性のあることに鑑み設けられた,組織再編成に関する行為・計算の一般的・包括的否認規定であることからすれば,純経済人の行為として不合理・不自然な行為によって法人税の負担が減少した場合を指し,純経済人の行為として不合理・不自然とは,行為が異常ないし変則的で,かつ,租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しない場合をいうと解すべきである。 すなわち,法132条の2のような租税回避行為の一般的・包括的否認規定は,納税者の私法上の行為を,税法上,別の通常行われる仮定の私法上の行為に置き換えることにより,遡及的に課税関係を作り出すものであるから,課税要件法定主義の観点からして厳格な解釈適用が行われるべきであり,判断基準が客観的,合理的でなければならない。 この点,まず,「不当」性の要件は,「純経済人の行為として不合理・不自然な行為によって法人税の負担が減少した場合」をいうとの原告の解釈は,納税者の 準が客観的,合理的でなければならない。 この点,まず,「不当」性の要件は,「純経済人の行為として不合理・不自然な行為によって法人税の負担が減少した場合」をいうとの原告の解釈は,納税者の行為の客観的性質に着目するものであるから,客観的に判定可能な基準であるといえる(客観的基準)。 しかも,経済取引に参加する法人は,すべて「純経済人としての合理性」という基準を内在化していることが期待され得るのであり,かかる合理性-83-の有無の判定を納税者に求めることは酷ではなく,また,私的経済取引としての合理性は納税者の行為そのものに内在する特質であることも併せて考慮すれば,基準の内容も合理的であるといえる(合理的基準)。 以上のとおり,原告が主張する法132条の2の「不当」性の要件の解釈は,同条を客観的,合理的基準に従って厳格に解釈適用するものであり,包括的否認規定に求められる租税法律主義に合致する解釈である。 イ原告の解釈は多数の先例,文献等により支持されていること。 原告の解釈は,法132条の2と条文構造及び立法趣旨を共通とする法132条1項における「法人税の負担を不当に減少させる結果」の裁判例及び学説からも裏付けられる。すなわち,法132条1項における「法人税の負担を不当に減少させる結果」とは,裁判例上,「専ら経済的実質的見地において,法人の行為,計算が経済人の行為として不合理,不自然なものと認められるかどうかを基準として判断されるべきものである」(福岡高裁昭和55年9月29日判決・行政事件裁判例集31巻9号1982頁。当該判決は,最高裁昭和59年10月25日判決でも維持されている。)と判断されている。 この点について,我が国における租税法の権威である金子宏東京大学名誉教授は 集31巻9号1982頁。当該判決は,最高裁昭和59年10月25日判決でも維持されている。)と判断されている。 この点について,我が国における租税法の権威である金子宏東京大学名誉教授は,「法人税の負担を不当に減少させる結果」とは,「ある行為または計算が経済的合理性を欠いている場合に否認が認められる」ということを意味しており,行為が経済的合理性を欠いている場合とは,「異常ないし変則的で租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しないと認められる場合」をいうと解している(金子宏『租税法(第16版)』420頁から421頁まで)。これは,①行為が異常ないし変則的であるか否かを客観面で観察した上で,仮に異常ないし変則的といえる場合は,次に,②正当な理由ないし事業目的が存在するか否かという行為の周辺事情を観察し,それが存在しない場合に限り否認を認めるという趣旨と解さ-84-れ,極めて合理的な解釈である。 したがって,法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果」とは,法132条1項と同様に,専ら経済的実質的見地において,経済人の行為として不合理,不自然なもの,すなわち,①行為が異常ないし変則的で,②租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しない場合に限って該当すると解すべきである。 このような原告の「不当」の解釈は,我が国の有力な租税法学者(P31名誉教授,P21P24大学商学部教授)の意見によっても裏付けられている。 ウ原告の資産調整勘定を否認できないことは資産調整勘定に係る資産等超過差額の規定が当然に予定していること。 資産調整勘定制度の立法時において,分割法人の未処理欠損金額が資産調整勘定の金額に置き換わって取り扱われる可能性があることは,既に立案当局において十 差額の規定が当然に予定していること。 資産調整勘定制度の立法時において,分割法人の未処理欠損金額が資産調整勘定の金額に置き換わって取り扱われる可能性があることは,既に立案当局において十分認識されていた。平成18年度税制改正により,その対応措置として,「資産等超過差額」(施行令123条の10第4項)の制度が設けられ,資産等超過差額に相当する金額は,資産調整勘定から控除されることになった(法62条の8第1項)。 そして,これを受けた法人税法施行規則27条の16に規定する資産等超過差額に該当する額があると認められる限度で,当該部分が資産調整勘定から控除されるという形で,個別規定により対処されているのである。 同条の16に規定する資産等超過差額があると認められない場合には,たとえ分割法人において非適格分割に係る譲渡益が分割法人の期限切れ間近の未処理欠損金額と置き換わっているという事情があったとしても,当然に,資産調整勘定の全額の計上が認められるのである。 このように個別規定の課税要件を充足しない取引に対して,包括否認規定を適用し,当該取引を税務上否認することは許されない。 -85-P21教授も,原告の上記主張を支持している。 (2) 「その法人の行為又は計算」の意義について法132条の2は,「次に掲げる法人の法人税につき更正又は決定をする場合において」,「その法人の行為又は計算」にかかわらず,税務署長の認めるところにより法人税の額を計算すると定めており,文理上,「その法人の行為又は計算」という文言は,「次に掲げる法人の法人税につき更正又は決定をする場合において」という文言を受けている。そして,「次に掲げる法人」と「法人税につき更正又は決定」を受ける法人とが同一の法人であることは文 いう文言は,「次に掲げる法人の法人税につき更正又は決定をする場合において」という文言を受けている。そして,「次に掲げる法人」と「法人税につき更正又は決定」を受ける法人とが同一の法人であることは文言上一義的に明らかである。そうすると,「その法人」が,「次に掲げる法人」,すなわち「法人税につき更正又は決定」を受ける法人のみを指すことは文言上一義的に明らかである。したがって,法132条の2によって税務署長による否認の対象となるのは,「法人税につき更正又は決定」を受ける法人の「行為又は計算」のみであることは明らかである。かかる文理上の解釈を拡張する根拠はないし,この文理解釈を拡張・逸脱した解釈をすることは,租税法律主義(憲法84条)に反して許されない。 また,法132条の2は,法132条1項及び相続税法64条1項と条文構造及び立法趣旨が共通している。したがって,法132条1項及び相続税法64条1項と別異に解釈する合理的理由はなく,否認の対象は同様に解釈すべきである。この点,法132条1項に関し,裁判例は,株式の資産価値の移転が同族会社の行為によるものとは認められないことを理由に法132条1項の適用を否定しており(東京地裁平成13年11月9日判決・判例タイムズ1092号86頁),法132条1項に列挙されている法人の行為又は計算のみが否認の対象となることを明らかにしている。さらに,相続税法64条1項に関しても,裁判例は「一定の要件のもとにおいて税務署長に同族会社の行為又は計算を否認できる旨を定めた規定であるが,同条1項にいう『同族会社の行為』とは,その文理上,自己あるいは第三者に対する関-86-係において法律的効果を伴うところのその同族会社が行う行為を指すものと解するのが当然である。」として,否認できるのは同族会社の行為又は計算 とは,その文理上,自己あるいは第三者に対する関-86-係において法律的効果を伴うところのその同族会社が行う行為を指すものと解するのが当然である。」として,否認できるのは同族会社の行為又は計算のみであると判断しており(浦和地裁昭和56年2月25日判決・判例時報1016号52頁),学説もかかる解釈は妥当であるとして判決を肯定している(碓井光明「本件判例評釈」判例評論280号158頁以下(甲50),畠山武道「租税判例研究」ジュリスト778号112頁以下(甲51))。 そして,原告の解釈は,P21教授が同様の見解を表明されていることからも,その正当性は明らかである。 以上のとおり,裁判例及び学説は,共に法132条の2と条文構造及び立法趣旨が共通である法132条1項及び相続税法64条1項について,否認の対象となる「行為又は計算」を文理に忠実に解釈しているのである。 さらに,法132条の2は,「法人税につき更正又は決定」を受ける法人と合併等の他方の当事者である法人との間に支配関係があること等を要件としていないから,別法人の行為を否認することにより法132条の2が適用されるとすれば,法人は,当該法人と完全に独立した第三者の行為により法132条の2の適用を受けることになる。かかる帰結は,納税者の予測可能性及び法的安定性を著しく害するというほかない。 よって,法132条の2は,法132条1項及び相続税法64条1項と同様に,法132条の2各号に掲げる法人のその「行為又は計算」のみを否認できる規定であると解釈すべきである。すなわち,本件においても,「合併等をした一方の法人又は他方の法人」(同条1号)である原告の「行為又は計算」のみが否認の対象となり得ると解すべきである。 第2 本件計画を前提とした分割承継行為を法132条の2 件においても,「合併等をした一方の法人又は他方の法人」(同条1号)である原告の「行為又は計算」のみが否認の対象となり得ると解すべきである。 第2 本件計画を前提とした分割承継行為を法132条の2の規定に基づき否認することができるか否か(争点2)について 1 被告の主張(1) 組織再編税制の基本的な考え方について-87-平成13年度改正後の新しい組織再編成に係る税制の基本的な考え方は,実態に合った課税を行うという税制の基本を踏まえ,原則として,組織再編成により移転する資産等についてその譲渡損益の計上を求めつつ,特例として,移転資産等に対する支配が継続している場合には,その譲渡損益の計上を繰り延べて従前の課税関係を継続させるというものである。 そして,このような考え方は,組織再編成による資産等の移転が形式と実質のいずれにおいてもその資産等を手放すものであるとき(非適格組織再編成)は,その資産等の譲渡損益の計上を求めるが,他方,その移転が形式のみで実質においてはまだその資産等を保有しているということができるものであるとき(適格組織再編成)は,その資産等の譲渡損益の計上を繰り延べることができると考えられることによるものである(財団法人大蔵財務協会発行「平成13年改正税法のすべて」134頁参照(乙2))。 (2) 適格組織再編成と非適格組織再編成についてア適格組織再編成とは,①企業グループ内の組織再編成と②共同事業を営むための組織再編成をいうものである。 イ ①企業グループ内の組織再編成とは,まず,100パーセントの持分関係にある法人間で行う組織再編成をいう。 また,50パーセント超100パーセント未満の持分関係にある法人間で行う組織再編成のうち一定の要件に該当するものも①企業グループ ず,100パーセントの持分関係にある法人間で行う組織再編成をいう。 また,50パーセント超100パーセント未満の持分関係にある法人間で行う組織再編成のうち一定の要件に該当するものも①企業グループ内の組織再編成に含まれる。その趣旨は,移転資産等に対する支配が継続していてその譲渡損益の計上を繰り延べることができると考えられる企業グループ内の組織再編成とは,本来,完全に一体と考えられる持分割合が100パーセントの法人間で行うものとすべきであると考えられるものの,50パーセント超100パーセント未満の持分関係にある法人間で行う組織再編成についても,現に企業グループとして一体的な経営が行われている単位という点を考慮すれば,移転する事業に係る主要な資産及び負-88-債を移転していること等の一定の要件を付加することにより,適格組織再編成としての企業グループ内の組織再編成に含めることもできると考えられることによるものである。 ウ ②共同事業を営むための組織再編成とは,組織再編成のうち①企業グループ内の組織再編成に該当するもの以外で,資産等の移転の対価として取得した株式を継続保有すること等の一定の要件に該当するものをいう。この②共同事業を営むための組織再編成が適格組織再編成とされている趣旨は,主に,企業グループを超えた組織再編成が行われている実態が考慮されたことによるものである(以上,前掲平成13年改正税法のすべて136頁参照(乙2))。 エそして,適格組織再編成に該当しない組織再編成は,非適格組織再編成として取り扱われることとなる。 (3) 組織再編税制における移転資産等の譲渡損益の取扱いについて組織再編成が非適格組織再編成に該当する場合には,その移転資産等を時価により譲渡したものとされ,譲渡益又は譲渡損が生 (3) 組織再編税制における移転資産等の譲渡損益の取扱いについて組織再編成が非適格組織再編成に該当する場合には,その移転資産等を時価により譲渡したものとされ,譲渡益又は譲渡損が生じた場合,これらを益金の額又は損金の額に算入しなければならない(法62条)。 一方,適格組織再編成に該当する場合には,その移転資産等について帳簿価額による引継ぎをしたものとされ(法62条の2以下),譲渡損益のいずれも生じない。 (4) 分割における適格要件についてア原告は,本件分割が法2条12号の11イないしハのいずれの要件も満たさない非適格分割であるとして,本件各事業年度の所得金額の計算を行っている。 本件分割においては,分割法人であるP2が分割承継法人である原告の発行済株式の全部を直接保有する関係があるため,同号ロの要件(50パーセント超100パーセント未満の持分関係がある場合で一定の要件に-89-該当するもの)を満たさないことは明らかである。また,本件分割は,同号ハの共同で事業を営むための分割として政令で定めるものとされるための施行令4条の2第8項に定める要件を満たすものにも該当しない。 そうすると,本件分割が適格分割に該当するか否かの判断に当たって,検討すべきは,法2条12号の11イの要件を充足するか否かという点にあるといえる。 イ法2条12号の11イは,その分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割は,適格分割に該当する旨規定している。 ウそして,法2条12号の11イに規定する政令で定める関係について,施行令4条の2第6項は,本件分割のように当 の政令で定める関係がある場合の当該分割は,適格分割に該当する旨規定している。 ウそして,法2条12号の11イに規定する政令で定める関係について,施行令4条の2第6項は,本件分割のように当該分割が単独新設分割(新設分割で複数新設分割に該当しないもの)である場合にあっては,①当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に,当事者間の完全支配関係(いずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係)が継続することが見込まれている場合(同項1号括弧書き)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係,又は②当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に,同一者による完全支配関係(同一の者によってそれぞれの法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係)が継続することが見込まれている場合(同項2号括弧書き)における当該分割法人と分割承継法人との間の関係のいずれかの関係がこれに該当する旨規定している。 エこのように,単独新設分割の場合において,当該新設分割が「非適格」と「適格」のいずれに該当するかは,分割後に「当事者間の完全支配関係」又は「同一者による完全支配関係」が継続することが見込まれているか否かにより判定されることになる。 -90-この「見込まれている」とは,分割の時点で当事者間の完全支配関係又は同一者による完全支配関係の継続が具体的に予定されていることをいうのであり,例えば,「希望している」,「目標となっている」,「目指している」といった抽象的な域に止まる限りはこの「見込まれている」に該当することはない。他方,分割後において,事後的に,株式等を売却することが決定されるなどして,当事者間の完全支配関係又は同一者による完全支配関係が継続しないこととなったとしても,このこと いる」に該当することはない。他方,分割後において,事後的に,株式等を売却することが決定されるなどして,当事者間の完全支配関係又は同一者による完全支配関係が継続しないこととなったとしても,このことが「非適格」と「適格」の判定を左右することはない。 (5) 非適格組織再編成における資産調整勘定についてア法62条の8第1項は,内国法人が非適格合併等(適格合併に該当しない合併又は適格分割に該当しない分割等)により当該非適格合併等に係る被合併法人,分割法人,現物出資法人その他政令で定める法人から資産又は負債の移転を受けた場合において,当該内国法人が当該非適格合併等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額を超えるときは,その超える部分の金額のうち政令で定める部分の金額は,資産調整勘定の金額とする旨規定している。 イそして,法62条の8第4項は,同条1項の資産調整勘定の金額を有する内国法人は,各資産調整勘定の金額に係る当初計上額を60で除して計算した金額に当該事業年度の月数を乗じて計算した金額に相当する金額を,当該事業年度において減額しなければならない旨規定し,同条5項は,同条4項の規定により減額すべきこととなった資産調整勘定の金額に相当する金額は,その減額すべきこととなった日の属する事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨規定している。 ウこの資産調整勘定は,非適格組織再編成や営業譲受けの場合の取扱いの明確化を図り,これらの場合の処理について,企業会計と比較的調和の取-91-れた取扱いとするために,平成18年度税制改正で創設されたものである。 平成13年度に創設された組織再編税制においては,適格組織再編成に係る取扱いが規定 会計と比較的調和の取-91-れた取扱いとするために,平成18年度税制改正で創設されたものである。 平成13年度に創設された組織再編税制においては,適格組織再編成に係る取扱いが規定される一方,非適格組織再編成に係る取扱いについては従来からの営業譲受けの場合の取扱いと基本的に同様となることから特段の規定は設けられなかったが,企業会計の分野において,平成15年に企業結合会計基準,その後事業分離等に関する会計基準及びこれらの基準の適用指針が公表され,これらの基準等が平成18年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされたことから,これらと調和の取れた取扱いが図られ,平成18年度税制改正における創設に至ったものである。 そして,企業結合会計基準等では,個々の資産や負債の取得価額については個別時価を付すとともに,これらの合計額が取得対価の金額を上回る場合には,会計上,その差額を「(差額)のれん」として資産に計上し,20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって,定額法その他の合理的な方法により規則的に償却することとされたのである。 このような企業結合会計基準等における取扱いなどを勘案し,非適格組織再編成や営業譲受けにより移転を受けた資産及び負債の取得価額は個別時価を付すとともに,退職給付債務等に相当する負債を認識した上で,これら資産及び負債の時価純資産価額と非適格組織再編成等の対価との差額について資産又は負債の調整勘定を計上することとされたものであり,資産調整勘定の金額は,企業結合会計における(正の)差額のれんに相当するものといえる(以上,財団法人大蔵財務協会発行「平成18年税制改正の解説」365及び366頁参照(乙4))。 エこのように,資産調整勘定は,適格組織再編成に該当しない場合(すなわ に相当するものといえる(以上,財団法人大蔵財務協会発行「平成18年税制改正の解説」365及び366頁参照(乙4))。 エこのように,資産調整勘定は,適格組織再編成に該当しない場合(すなわち,非適格組織再編成に該当する場合)に生じる可能性があり,資産調整-92-勘定が生じた場合には,その事業年度以後の各事業年度において,当該事業年度の期間に対応する金額が減額され,損金の額に算入されることとなる。 他方,適格組織再編成に該当する場合には,資産調整勘定は生じ得ないから,当然に,これが減額され損金の額に算入されることはない。 (6) 本件における組織再編税制の関連規定の適用関係についてア当該分割法人が法57条1項に係る期限切れ間近の未処理欠損金額を多額に有している場合,当該分割が適格分割に該当するか,非適格分割に該当するかによって,その未処理繰越欠損金額の取扱いや課税上の効果が大きく異なる結果となる。 法2条12号の10の分社型分割に該当する分割において,分割法人が,法57条1項に係る期限切れ間近の多額の未処理欠損金額を有している場合,当該分割が法2条12号の11イ及び施行令4条の2第6項に規定する「適格分割」に該当するときには,分割に伴って分割承継法人に移転する資産及び負債は,分割法人の帳簿価額による引継ぎがなされたものとして,その譲渡損益を分割法人において認識することはなく(法62条の3第1項),当該分割法人の未処理欠損金額は使用されることなく法57条1項に従って消滅することとなる。 そして,分割承継法人において,分割法人から移転を受けた資産及び負債の取得価額は,分割法人の帳簿価額を引き継ぐこととなり(法62条の3第2項及び施行令123条の4),分割承継法人に,非適格合併等 そして,分割承継法人において,分割法人から移転を受けた資産及び負債の取得価額は,分割法人の帳簿価額を引き継ぐこととなり(法62条の3第2項及び施行令123条の4),分割承継法人に,非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等(法62条の8)の規定の適用はないから,分割の日の属する事業年度以後の各事業年度において,損金の額に算入される資産調整勘定の金額は生じ得ないこととなる。 イ他方,当該分割が「適格分割」に該当しない場合(すなわち,「非適格分割」に該当する場合)には,分割法人が分割承継法人に移転した資産及び-93-負債については,分割の時の価額(時価)による譲渡をしたものとして所得金額を計算することとなり(法62条1項),移転資産の分割時の価額(時価)が取得価額より高い場合には,分割法人において譲渡益が認識される場合が生じる。ただし,当該法人において,当該譲渡益と相殺できるだけの期限切れ間近の未処理欠損金額を有している場合には,結果的に,分割法人において新たな税負担は生じないこととなる。 これに対し,分割に伴う資産の移転を受ける分割承継法人においては,分割法人に交付した分割承継法人株式の価額(時価)の合計額が,当該移転を受けた資産及び負債の時価純資産額を超える場合には,その超える部分の金額は,法62条の8の「資産調整勘定の金額」となり,当該金額の計上の日の属する事業年度以後60か月(5年)にわたって,分割承継法人の所得金額の計算上,損金の額に計上すべきこととなる(法62条の8第1項,4項,5項)。 ウしかるに,新設分割後に,分割法人と分割承継法人との間に当事者間の完全支配関係又は同一者による完全支配関係が実質的に継続しているにもかかわらず,それが非適格分割として取り扱われることによっ ウしかるに,新設分割後に,分割法人と分割承継法人との間に当事者間の完全支配関係又は同一者による完全支配関係が実質的に継続しているにもかかわらず,それが非適格分割として取り扱われることによって,上記イのような課税関係が生じる場合には,当該事業年度の経過によって,本来は期限切れにより消滅するはずであった分割法人の未処理欠損金額が,分割承継法人において,損金の額に算入することができる資産調整勘定に移転する形で存続することとなり,分割法人と分割承継法人が属する企業グループという単位で考えれば,あたかも分割法人の未処理欠損金額の繰越期限が延長されたかのような課税上の効果が生じたものと見ることもできる。 (7) 実質的に「適格分割」に該当する分割について,「非適格分割」の法形式を作出する行為は,組織再編税制の趣旨・目的を没却する結果をもたらすことになることについて-94-ア実質的に,分割後に当事者間の完全支配関係又は同一者による完全支配関係が継続する分割であるにもかかわらず,特段の事業上の必要のない取引を行うことによって,法人税法上,「非適格分割」としての規定の適用を受けることが容易に許されるとすれば,組織再編成において実態に合った課税を行うため,資産等の移転が形式のみで実質においてはまだその資産等を保有しているということができるものであるとき,すなわち,移転資産等に対する支配が継続している場合には,その譲渡損益の計上を繰り延べて従前の課税関係を継続させるという法62条の2及び62条の3の趣旨は没却されることになる。そして,分割によって,分割承継法人に移転する資産等について譲渡益が生じる場合には,「適格分割」の規定により課税の繰延べを受け,逆に分割により譲渡損が発生する見込みがある場合には,実態に反する形で「非適 ,分割によって,分割承継法人に移転する資産等について譲渡益が生じる場合には,「適格分割」の規定により課税の繰延べを受け,逆に分割により譲渡損が発生する見込みがある場合には,実態に反する形で「非適格分割」の形式を作出することにより,作為的に譲渡損を早期に認識させるなど,組織再編成が利益調整の手段として使われることも十分に想定され,課税上の弊害が生じることは明らかである。 また,このことは,分割を行うに際して,事業上の必要のない取引を組み込むことによって,容易に「適格分割」を「非適格分割」に転換する手段を有する法人とこれを有しない法人との間において,課税の公平という観点から問題を生じさせるものともいえる。 イ上記(6)で述べたように,分割において,分割法人が期限切れ間近の未処理欠損金額を有していた場合,分割後も,実質的に当事者間の完全支配関係又は同一者による完全支配関係が維持されるにもかかわらず,それが「非適格分割」と扱われることによって,未処理欠損金額と相殺される分割法人の分割益に対応する形で,分割承継法人に資産調整勘定が新たに生じることとなる。そして,これは,期限切れにより消滅するはずであった分割法人の未処理欠損金額が,完全支配関係にある分割承継法人におい-95-て,分割された事業から生じる益金と相殺することが可能な資産調整勘定に振り替えられたものと同様に考えることができ,グループ単位で考えれば,未処理欠損金額の使用期限が延長されたのと同様の効果が生じたものと見ることができる。 このようなことを容認すれば,未処理欠損金額を損金の額に算入することができる期限を設けた法57条1項の趣旨を没却することになるし,上記のような取引を行うことができない法人グループ,すなわち,同項の規定により,期限の経過に ば,未処理欠損金額を損金の額に算入することができる期限を設けた法57条1項の趣旨を没却することになるし,上記のような取引を行うことができない法人グループ,すなわち,同項の規定により,期限の経過による分割法人の未処理欠損金額の消滅を甘受せざるを得ない法人グループとの間の課税の公平を考えた場合,看過できない課税上の弊害を生じさせることは明らかである。 (8) 上記のような取引が制度の趣旨・目的に照らして濫用と評価されるべきことは,関係法令の規定からして,一般の納税者であれば自ずと明らかであることについて上記(7)で述べたとおり,上記のような取引を容認すれば,移転資産等に対する支配が継続している場合には,譲渡損益の計上を繰り延べることとした組織再編税制の趣旨を没却することになると評価すべきであるが,このことは,法62条の3の規定振りからして明らかである。 すなわち,法62条の3は,適格分社型分割により資産及び負債を移転したときは,「帳簿価額による譲渡をしたものとして,(中略)所得の金額を計算する。」と規定しており,「所得の金額を計算することができる。」とは規定していないことから明らかなように,同条は,適格分社型分割であれば,移転資産等の帳簿価額による引継ぎを強制した規定であって,譲渡損益の計上について納税者の選択を認めていない。よって,実態としては「適格分割」であるにもかかわらず,特段の事業上の必要のない取引を行うことによって,それを「非適格分割」にすることを容認すれば,それは,適格分割において譲渡損益の計上に係る納税者の選択を認めていない法の規定の潜脱を-96-許す結果になることは,一般の納税者も当然に認識し得るところである。そして,そのような潜脱を許せば,適格分割において譲渡益が計上される場合は課税を繰 の選択を認めていない法の規定の潜脱を-96-許す結果になることは,一般の納税者も当然に認識し得るところである。そして,そのような潜脱を許せば,適格分割において譲渡益が計上される場合は課税を繰り延べ,譲渡損が計上される場合はそれを実現するといった利益調整が可能になることも,誰もが思い至るところである。 以上のとおり,実質的に「適格分割」に該当する分割について,「非適格分割」の法形式を作出する行為は,それが組織再編税制に係る規定の趣旨・目的に反する濫用的な行為であり,これを容認すれば課税の公平の観点から弊害をもたらし得ることは,法令の規定からして自ずと明らかというべきである。 (9) まとめしたがって,移転資産等に対する支配が継続している場合において,適格分割として譲渡損益の計上を繰り延べることが組織再編税制の趣旨及び目的に適うにもかかわらず,適格分割として取り扱わないことは組織再編税制の趣旨を没却することになることは明らかである。このことは,組織再編税制における移転資産等の譲渡損益の取扱いについて定めた法62条,62条の3等の規定の文言や上記のような組織再編税制の制度の仕組み,趣旨等からも明確であり,組織再編成を行う一般の納税者であれば十分認識できるものというべきであり,租税法律主義に何ら反するものではない。 (10) 本件の組織再編成における不当性要件の充足の有無についてア本件分割は,実質的に「適格分割」に該当する分割であるにもかかわらず,あえて適格要件を外して「非適格分割」の形式を作出するものであって,これを容認すれば,組織再編税制の趣旨・目的を没却し,課税上の弊害をもたらすことは明らかであること。 本件における組織再編成の一連の過程は,P1が本件提案書(甲15)でP4に提 あって,これを容認すれば,組織再編税制の趣旨・目的を没却し,課税上の弊害をもたらすことは明らかであること。 本件における組織再編成の一連の過程は,P1が本件提案書(甲15)でP4に提示した平成20年11月21日付けストラクチャー案(プロジェクト"○"の「ストラクチャー案」(同7枚目))の内容(P2の新設分割によ-97-る新会社[原告]設立を経て,P1が支配するP2(正確には本件分割後のP2と原告)をP4の傘下に収めるというもの)のとおりに行われたことからすれば,本件分割時には,P4が旧P2事業を買収した(本件譲渡1及び本件譲渡2)上でP2を吸収合併すること(本件合併)が高い蓋然性をもって見込まれていたというべきである。 本件譲渡2ないし本件合併の後に,原告,P2及びP4の間で,当事者間の完全支配関係ないし同一者による完全支配関係が継続している状況に鑑みれば,本件分割は,原告,P2及びP4の間での完全支配関係を実質的に継続することを計画して行われたものであることは明らかであり,これはまさに,実質的には「適格分割」に該当する分割について,「非適格分割」の形式を作出したものというほかない。 そして,このような行為を容認するとすれば,上記第2の1(7)アで述べたとおり,組織再編成において実態に合った課税を行うという趣旨の下,移転資産等に対する支配が継続している場合には,譲渡損益の計上を繰り延べるという法62条の3の趣旨を没却し,課税上の弊害を生じさせることになる。 また,上記第2の1(7)イで述べたとおり,完全支配関係にある法人のグループ全体としての課税関係を考えた場合,本件分割は,あたかも法人グループ内において,期限切れで消滅するはずの未処理欠損金額を,他のグループ内法人の資産調整勘定と とおり,完全支配関係にある法人のグループ全体としての課税関係を考えた場合,本件分割は,あたかも法人グループ内において,期限切れで消滅するはずの未処理欠損金額を,他のグループ内法人の資産調整勘定とする形で期限を延長させるような効果を有するものであり,このようなことを容認すれば,他の法人グループとの間の課税の公平という観点から,到底容認することができない事態を引き起こすことにもなる。 更に付言すれば,P4についてみると,本件分割を非適格分割とした場合,P4においても,原告の法人税の課税標準等の計算に対応して,原告の発行済株式の全部を譲渡時の価額(時価)である115億円で取得した-98-ものとして経理されることになるところ,このことは,仮に,将来,P4が原告の株式をグループ外の他の法人に譲渡することとなった場合,P4における同株式の譲渡損益の計算に関して,譲渡原価が115億円とされるが,これもまた,課税上の弊害を生じかねないものといわなければならない。 すなわち,本件において,P4は,その実態をみると,P2との適格合併により,そもそも,本件譲渡1により115億円を支払うことなく,原告の発行済株式の全部を取得することができたのである。そして,仮に,P2との適格合併によって原告株式を取得した場合には,P4が保有する原告の発行済株式の全部の税務上の帳簿価額(取得原価)は,P4によって取得される直前のP2の帳簿価額である15億円となるはずである。ところが,本件においては,P4は,本件譲渡1において対価として115億円をP2に支払っているが,この金額はP2に留保され,結局,P2をP4が吸収合併したことに伴って同社に還流しているといえる。 よって,そのような行為を行った場合と比較して,P4が保有する原告株式の 支払っているが,この金額はP2に留保され,結局,P2をP4が吸収合併したことに伴って同社に還流しているといえる。 よって,そのような行為を行った場合と比較して,P4が保有する原告株式の帳簿価額が不当にかさ上げされているものと評価することができる。そして,このことは,仮に,将来,P4が原告株式を譲渡した場合には,その譲渡損益の計算上,譲渡原価がより大きく計算されることになるという形で,課税の公平上の問題を生じさせることとなる。 もちろん,本件処分は,P4における原告株式の帳簿価額を引き直すものではない。しかしながら,原告及びP4らの関係者が,P4における上記の将来的効果を当然に認識し得る状況の中で本件分割が計画され,計画が実行されたという点も,本件における不当性を根拠付ける事実の1つになるというべきである。 イ原告が本件譲渡2に先立ち本件譲渡1を行うことを計画したのは,「非適格分割」の形式を作出するためであり,客観的に見て,本件譲渡1には-99-事業上の必要が認められないこと。 本件分割から本件合併に至る一連の取引の計画の中に本件譲渡1を組み込んだことは,本件分割について「非適格分割」の形式を作出するためにこそ必要不可欠の要素という意味合いを持つものであり,客観的に見て,税負担軽減以外に,特段の事業上の必要は認められない。 本件における一連の組織再編成は,分割前のP2が行っていたデータセンター事業を一括してP1からP4に譲渡するというものであるが,本件分割は,その過程においてP2の資産の一部(現金15億円)とデータセンターの営業・販売及び商品開発を原告に移転し,その対価として,原告の株式(DCF法による評価額で約115億円)がP2に交付されるというものであった。これは,原告が,従前どおり 15億円)とデータセンターの営業・販売及び商品開発を原告に移転し,その対価として,原告の株式(DCF法による評価額で約115億円)がP2に交付されるというものであった。これは,原告が,従前どおりデータセンターの営業・販売及び商品開発を行うが,その設備はP2に残り,同社と原告が,業務委託契約を締結し,原告の従業員をP2に出向させてデータセンター事業を行うというものである。 しかしながら,本件譲渡1が行われたのは,平成21年2月20日であるが,この日は,本件譲渡2が行われた同月24日から,わずか4日前にしかすぎない。本件分割前は,その設備を所有するP2が一体としてデータセンター事業を行っていたところ,これを「データセンター設備を所有する法人」と「データセンターの営業・販売及び商品開発を行う法人」に分けた上で,本件譲渡1が行われた時点において,P2は,本件譲渡2により,P4の完全子会社となることが予定されていたにもかかわらず,「データセンター設備を所有する法人」を譲渡するわずか4日前に,あえて「データセンターの営業・販売及び商品開発を行う法人」を譲渡しなければならない事業上の必要性があるとはおよそ考えられない。形式的に見れば,P2(同社が吸収合併された後はP4)と原告という別個の法人間で業務委託契約を締結している形態を取っているが,経済的・実質的に見れば,-100-本件分割以降,本件譲渡1から本件譲渡2までのあらかじめ計画された4日間を除いては,P2(同社が吸収合併された後はP4)と原告の双方の法人は,完全支配関係にあるグループ内の法人として,一体となってデータセンター事業を継続しているものと評価できる。このようなことが当初から計画されていた本件の実態に鑑みれば,本件分割後においても,P2の移転資産等に対する同社(同社 内の法人として,一体となってデータセンター事業を継続しているものと評価できる。このようなことが当初から計画されていた本件の実態に鑑みれば,本件分割後においても,P2の移転資産等に対する同社(同社が吸収合併された後は合併法人であるP4)の支配が継続することが見込まれていたことは明らかである。 このことは,原告はもとよりP1の関係者が本件譲渡1に特段の事業上の必要がないことを明言していることから明らかである。このように,原告,更には税務ストラクチャーを考案,実行する側であるP1の関係者は,いずれも本件譲渡1に特段の事業上の必要を認識していないことを明らかにしており,かかる各関係者の供述からしても特段の事業上の必要がないことが認められるのである。 ウ原告の株式上場の可能性は抽象的なものにすぎず,本件分割の主眼はP2の未処理欠損金額の活用であったこと。 旧P2が本件提案がされる以前において,会社分割を含めて株式公開に向けた検討を行っていたことは認められる。しかしながら,その後,P1の税務室,関連事業室にて検討した結果,上記検討結果をP1取締役会へ上程することを取りやめ,旧P2においてスキームの再検討を行うこととなり,その結果,本件分割の時点に至るまで,原告の株式上場がP1取締役会に上程される段階に至ることはなく,株式上場を実行段階に移すことができるような具体的な計画は存在していなかった。 したがって,本件分割の時点において,本件分割後に原告が株式上場する可能性は,完全に否定できないにしても抽象的なものにすぎなかったといえるのであり,このことは,本件分割後現在に至るまで,原告はP4の完全子会社のままであり,株式上場はいまだに行われていないことからも-101-明らかである。 しかるに,上記第2の いえるのであり,このことは,本件分割後現在に至るまで,原告はP4の完全子会社のままであり,株式上場はいまだに行われていないことからも-101-明らかである。 しかるに,上記第2の1(5)エで述べたとおり,新設分割が「非適格」及び「適格」のいずれに該当するかは,分割後に完全支配関係が継続することが「見込まれている」か否かにより判定されるところ,「見込まれている」とは単に,希望している,目標となっているといった抽象的な域に止まっている場合には,これに該当しないと解されるから,本件分割時において原告が主張する株式上場の可能性は,分割後に完全支配関係が継続することが「見込まれている」(施行令4条の2第6項1号)との評価を覆すものではない。 本件分割の検討資料に係る具体的証拠に鑑みれば,以下のとおり,本件分割の主眼は,P14グループ内において繰越欠損金を有効利用することにあったことは明らかである。 まず,原告は,新設分割を行って新設分割設立会社を上場させるというスキーム案について,まだ検討の余地があるとしてP1取締役会に諮ることを見送ったとしている。 その際の検討資料として,原告が提出した資料(平成20年7月24日付けパワーポイント資料(甲12))を見ると,その1枚目の「【理由】」欄には,「現状算定されているIPO時の時価総額(350億)では,今回の分社・株式移動により今年度期期限切れの繰越欠損金(124億)は処理できるものの,来年度以降の残り442億円関してIPOによる処理が見込めないため」と記載されている。これによれば,新設分割設立会社の上場によって本件分割後のP2に発生する利益と繰越欠損金を相殺することを念頭に置いた上で,想定される新設分割設立会社の株式の時価総額からすると,旧P2の されている。これによれば,新設分割設立会社の上場によって本件分割後のP2に発生する利益と繰越欠損金を相殺することを念頭に置いた上で,想定される新設分割設立会社の株式の時価総額からすると,旧P2の有する欠損金をすべて活用すること(すなわち,繰越欠損金全額を本件分割後のP2に発生する利益と相殺すること)はできないことが判明したため,上場計画を見送るべきとの判断に至ったことがう-102-かがえる。 すなわち,旧P2は,新設分割により設立した原告を上場することを検討していたといっても,上場によって旧P2の有する繰越欠損金をもれなく有効に活用できることを前提としていたのであり,これができない場合には上場を行う意思はなかったものというべきである。 以上からすると,P1が,P2の分社について主眼を置いていたのは,同社の抱える繰越欠損金をP14グループ内で活用することにあったことは明らかであり,結局,本件分割が,原告の株式上場の可能性を維持することを主眼としたものとは認められず,仮に株式上場の可能性を維持しようとしたとの事実があったとしても,それは,抽象的なものにすぎなかったというべきである。 エ原告を含む関係法人は,本件分割が適格分割の要件を定めた施行令4条の2第6項1号の規定を濫用するものとの評価がなされることを十分認識できる状況の下において,グループ内の法人税の負担を軽減する目的をもって,本件提案に基づき,あえて一連の行為を計画したものであること。 上記のとおり,本件分割は,それ自体何ら事業上の必要を見いだせない本件譲渡1をあえて計画に組み入れることによって,実質的に適格分割に該当する分割について,非適格分割の形式を作出したものである。そして,上記第2の1(9)で述べたとおり,このような行為は,組織再 い本件譲渡1をあえて計画に組み入れることによって,実質的に適格分割に該当する分割について,非適格分割の形式を作出したものである。そして,上記第2の1(9)で述べたとおり,このような行為は,組織再編税制に係る規定を濫用する行為と評価せざるを得ないものであり,これを容認すれば,課税上の弊害をもたらす結果となることは,一般の納税者であれば自ずと認識すべきものである。 そして,原告らは,このような状況の中で,P2が有していた期限切れ間近の未処理欠損金額を原告の資産調整勘定という形で,あたかも期限が延長されたのと同様の効果を得て,完全支配関係を有するグループ法人の間で利用しようとする目的をもって,用意周到に計画を策定した上で,あ-103-らかじめ計画されたスケジュールどおりの行為を行ったものである。 すなわち,P1の税務室長であるP25(以下「P25氏」という。)は,P2の有する未処理欠損金額約666億円をP14グループ内で有効活用しなければならないと考え,P4がP2を吸収合併するに当たり,上記未処理欠損金額をP2からP4へ引き継ぐことを計画したが,平成14年3月期において発生した未処理欠損金額約124億円については,法律上,それが不可能であった(法57条2項)。そこで,P25氏は,本件譲渡1を本件譲渡2の前に行うことを計画し,本件分割を非適格分割として組成することを計画したのである。 これにより,P2には本件分割に係る分割益100億円が生じるが,平成21年3月期の約23億円の営業利益と併せて,平成21年3月期で期限切れとなる平成14年3月期において発生した未処理欠損金額約124億円と相殺され,結果的に課税所得金額は生じないこととなる。他方,原告には100億円の資産調整勘定が生じ,これを平成21年3月期 期限切れとなる平成14年3月期において発生した未処理欠損金額約124億円と相殺され,結果的に課税所得金額は生じないこととなる。他方,原告には100億円の資産調整勘定が生じ,これを平成21年3月期以後の5年間にわたって減額し,損金の額に算入することによって,原告の法人税の負担が減少することとなる。 しかしながら,本件分割から本件合併までの一連の行為は,本件提案の時点であらかじめ計画されていたものであり,P2は,本件譲渡2により,P4の完全子会社となることが予定されていたのであるから,そのわずか4日前に,あえて本件譲渡1を行い,原告がP4の完全子会社となることに,特段の事業上の必要がないことは明らかである(上記イ)。本件譲渡1は,本件分割が非適格分割であるかのような外形を作出することにより,平成21年3月期で期限切れとなる平成14年3月期において発生した未処理欠損金額約124億円をP2においてもれなく利用するとともに,原告に資産調整勘定を生じさせ,これを5年間にわたって減額し損金の額に算入することで,原告の法人税の負担を減少させるために計画されたも-104-のである。 オまとめ以上のとおり,原告の法人税の負担を減少させる結果を生じさせた原告の行為又は計算,すなわち,実質的に適格分割としての実態を有する本件分割の計画において,本件分割を非適格分割とすることにより,原告の法人税の負担を減少させる効果を得ることを目的として,本件譲渡1を組み込んだ行為は,上記で述べた種々の事実を総合勘案すれば,組織再編税制の趣旨・目的に鑑みて,不合理・不自然な行為又は計算に該当するか否かという基準に照らして,法132条の2における「不当」な税負担の減少をもたらす行為又は計算と評価されなければならない。 (11) 旨・目的に鑑みて,不合理・不自然な行為又は計算に該当するか否かという基準に照らして,法132条の2における「不当」な税負担の減少をもたらす行為又は計算と評価されなければならない。 (11) 本件計画を前提とした分割行為は否認の対象となる行為か否かについて施行令4条の2第6項1号は,分割が適格分割に該当するための要件として法2条12号の11イが規定する「政令で定める関係」につき,分割が単独新設分割(法人を設立する分割で二以上の法人が行うもの以外のもの)である場合にあっては,当該分割後に分割法人と分割承継法人との間に,当事者間の完全支配関係(いずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係)が継続することが見込まれている場合における当該分割法人と分割承継法人との間の関係である旨規定する。 そして,施行令4条の2第6項1号括弧書きは,当該分割後に当該分割法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には,当該分割後に当該分割法人と分割承継法人との間に当事者間の完全支配関係があり,当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人と当該分割承継法人との間に当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれている場合における当該分割法人と分割承継法人との間の関係がこれに該当する旨規定している。 このように,分割が「適格分割」に該当するための要件は,分割時におい-105-て,分割後(ないし分割後に見込まれる適格合併後)に当事者間の完全支配関係が継続する「見込み」があることであると規定されているが,これは,「適格分割」と「非適格分割」の区分が,分割後における当事者間の完全支配関係の継続という,分割時からみた事後の関係を,飽くまで分割時を基準に判断されるものであることに鑑み,「見 れているが,これは,「適格分割」と「非適格分割」の区分が,分割後における当事者間の完全支配関係の継続という,分割時からみた事後の関係を,飽くまで分割時を基準に判断されるものであることに鑑み,「見込まれている場合」と規定しているのである。 そして,「見込まれている場合」とは,分割の時点で当事者間の完全支配関係の継続が具体的に予定されている場合をいい,例えば,「希望している」,「目標となっている」,「目指している」といった抽象的な域にとどまる限りはこの「見込まれている場合」に該当することはない。他方,分割時には予見できなかった事後的な事情によって,当事者間の完全支配関係が継続し,又は継続しないこととなったとしても,このことが「適格」と「非適格」の判断を左右することはない。 組織再編税制は,私法上の分割を,税法上,適格分割と非適格分割に区分した上で,それぞれに対して課税上異なる取扱いをする制度であり,上記のとおり,分割が適格分割と非適格分割のいずれに該当するかを判断する上では,「見込み」の有無が要件とされ,「見込まれている場合」に該当する分割(適格分割)とこれに該当しない分割(非適格分割)は,組織再編税制上,それぞれ異なる取扱いとなる。 そして,分割後に,当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれているか否かは,分割の時点で,当事者間の完全支配関係の継続が具体的に予定されているか否かによって判断する。 このように,いかなる「見込み」の下の分割であるかにより,組織再編税制上,分割は「適格分割」又は「非適格分割」に区分された上で,それぞれ分割後における課税上の取扱いを異にすることから,分割の時点における組織再編成に係る「計画」はその内容によって,「見込み」の有無に直接影響-106-を及ぼすものに 割」に区分された上で,それぞれ分割後における課税上の取扱いを異にすることから,分割の時点における組織再編成に係る「計画」はその内容によって,「見込み」の有無に直接影響-106-を及ぼすものになるといえる。そうすると,「計画」は,法132条の2の適用上,「見込み」を具体的に判断する上で基準になるものとして,分割と不可分な関係にあると解さなければならない。したがって,否認の対象を「(ある)計画の下での分割承継行為」ないし「(ある)計画を前提とした分割承継行為」とすることは,同条の解釈適用上何ら問題のないものと解される。 したがって,組織再編成に係る計画の内容が課税要件である「見込み」の有無の判断基準となり,その有無が課税上影響を及ぼす場合には,「(ある)『計画』の下での分割承継行為」,換言すると,「(ある)計画を前提とする分割承継行為」は,法132条の2にいう「法人の行為又は計算」として否認の対象となり得るものである。 そして,施行令4条の2第6項1号は,「当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれている場合」と規定しており,同号にいう「見込み」の有無は,飽くまで分割の当事者(分割法人と分割承継法人)双方の関係により判断されるべきものであり,また,一般に,組織再編成がいかなる過程をたどって行われるかということについては,分割の時点において,分割法人と分割承継法人の双方が共通に認識する事情とされているものである。したがって,「見込み」要件に影響を及ぼす計画は,分割法人のみならず,分割承継法人のものでもあると観念されてしかるべきであり,分割前に立てられた計画を前提とする分割承継行為であることをもって否認の対象となることが否定されるものではない。 本件計画は,本件分割が適格分割と非適格分割のいずれに該当す かるべきであり,分割前に立てられた計画を前提とする分割承継行為であることをもって否認の対象となることが否定されるものではない。 本件計画は,本件分割が適格分割と非適格分割のいずれに該当するのかを判断するに当たり直接影響を及ぼすものであり,原告の代表取締役であるP13氏等は,本件計画が存在しており,これが遂行されることを十分に認識・了知した上で,これを前提として分割承継行為を行っているのであるから,本件計画の下での分割承継行為は,分割承継法人である原告の行為とし-107-て否認の対象となるものである。 2 原告の主張(1) 平成20年10月27日の本件提案に至るまでの経緯平成20年10月27日以前,P1の実務部門とP2においては,P2の株式上場に向けた企業価値向上のため,クラウドコンピューティング事業への参入を検討し,関連してP2の分社化及びP11らとの合併による未処理欠損金額の処理方法につき,基本方針を確定していた。一方,P8氏は,かねてから,検索サービスにおいてシェアを拡大していたP17への対抗並びに近い将来において成長の見込めたクラウドコンピューティングサービスの品質確保及びデータセンターに係るコストの更なる削減のため,P4はデータセンターを自社保有すべきであると考えていたところ,P2によるインターネットビジネスのノウハウの獲得等によるシナジー効果を考えた場合,P2の合併先はP11らではなくP4であるべきと考えるに至っていた。 P4においては,従来,データセンターの自社保有についてコスト面での大きなメリットはないと認識していたところ,平成19年後半から,予想をはるかに上回るペースで増加したデータ流通量に対応するだけのデータセンター容量の確保及びP17に対抗するための検索サーバ(YST) 大きなメリットはないと認識していたところ,平成19年後半から,予想をはるかに上回るペースで増加したデータ流通量に対応するだけのデータセンター容量の確保及びP17に対抗するための検索サーバ(YST)の移設等の議論がなされるに至り,またそれと前後してYSTを管理しているP6・インクの買収報道がなされたところでもあり,P4のデータセンターをめぐる事業環境は大きく変化した。また,上記のとおり,P4では新規事業であるクラウドコンピューティング事業への参入に向けた検討も行っていたところであったうえ,(結果として本件で買収を検討することになる)協業関係にあるP2の北九州のデータセンターの稼動開始が迫るなど,P4の事業においても,データセンターの事業上の位置づけの見直しを迫られていた。 P8氏からP4への本件提案は,上記各当事者の事情が重なり合っていた-108-ところに,行われたものなのである。 (2) 平成20年10月27日の本件提案以降の経緯,平成21年4月1日以降のP2の買収及び合併の成果P2の株式上場の可能性・将来のクラウドコンピューティング事業の展開可能性という事情及びP4におけるインターネットサービス事業者としてのデータセンター自社保有の必要性と自らのクラウドコンピューティング事業へのシナジー効果の可能性を根拠に,P1は原告に対して本件提案を行い,P4は本件提案の事業上の必要性の検討及び買収価額交渉を経て,本件提案を受け入れて本件買収及び本件合併を実行することになったのである。 (3) 本件取引についてのP2の対応P1(P8氏)からP4になされた本件提案及びその取引スキームについて,P2の代表取締役社長であったP13氏は,平成20年12月10日,P8氏から本件提案の内容を初めて伝えられた。 対応P1(P8氏)からP4になされた本件提案及びその取引スキームについて,P2の代表取締役社長であったP13氏は,平成20年12月10日,P8氏から本件提案の内容を初めて伝えられた。 P13氏としても,既にデータセンター事業の「その上のサービス」としてクラウドコンピューティング事業への本格的な参入を検討していたところであり,P4において上記のようなメリットが見込まれていたのと同様に,P2とインターネットサービス企業であるP4との協業シナジー効果は高いと考えた。また,北九州のデータセンターにおける協業等により,P2の最大顧客となっていたP4と資本関係を持つことも,P2にとって事業上のメリットが大きいと判断し,本件提案自体について,賛同の意を表明した。 ただし,P13氏は,仮に本件提案が実施されたとしても,①既に検討を進めてきた株式上場の可能性を担保すること,②従業員の不利益にならないこと,③顧客に迷惑がかからないこと,の3つの条件が満たされることが,P2の事業上非常に重要であると考えていた。そこで,P13氏は,P8氏及びP7氏に対して,かかる3つの条件が満たされるべきことを要請した。 この点,本件提案の内容は,P13氏が示した3つの条件に正に適うもので-109-あった。 なお,P2(P13氏)としては,平成20年11月21日にP1がP4に示した取引スキームの中における原告株式譲渡を実施することについては,特段の意見・関心を有していなかった。すなわち,原告株式譲渡の実施如何に拘わらず,本件提案はP13氏の上記①から③までの条件に適うものであったし,また本件提案で達成される最終的な経済的効果(取引の出来上がり)も同一であったため,本件買収に関する実質的な当事者であり,当時のP2の親会社であったP1 上記①から③までの条件に適うものであったし,また本件提案で達成される最終的な経済的効果(取引の出来上がり)も同一であったため,本件買収に関する実質的な当事者であり,当時のP2の親会社であったP1が,P4との交渉の結果合意した内容に反対をする理由もなかったのである。 そこで,P2は,平成21年1月7日に取締役全員の同意をもって本件分割に係る新設分割計画を作成して平成21年2月2日に本件分割の効力を生じさせたうえ,平成21年2月18日の取締役会において,利害関係を有するため欠席したP7氏を除く取締役全員の賛成をもって原告の株式全部をP4に譲渡することを承認し,翌19日に株式譲渡契約を締結した。また,平成21年1月7日,P13氏は,上記取締役会の後,P2の臨時の臨時社員集会を開催し,上記①から③までの条件及びそれらを担保するための必要な選択肢の1つとして,本件分割を行うことをP2社員に対して説明を行った。 (4) 本件買収及び本件合併の成果以上のような経緯及びそれぞれの事情により,P4,P1,並びにP2及び原告は本件取引を実行した。そして,現時点において,本件買収及び本件合併の成果は以下のとおり達成されつつある。 まず,P2のデータセンターを自社で保有したことに関連するP4でのコスト削減効果は,P4全体で,平成22年度の実績値で,年間約17億円,平成23年度の実績値で,年間約21億5000万円,平成24年度の実績値で,年間約21億8000万円にも及ぶ。また,次年度以降も平成25年-110-度には約22億円のコスト削減効果が見込まれており,仮にこのほか上記データセンター移設のための一時費用が掛かるとしても,今後,継続的なコスト削減効果だけで少なくとも年間20億円超のプラス面での本件買収及び本件合併の コスト削減効果が見込まれており,仮にこのほか上記データセンター移設のための一時費用が掛かるとしても,今後,継続的なコスト削減効果だけで少なくとも年間20億円超のプラス面での本件買収及び本件合併の効果が生じることになり,概ね想定通りのコスト削減効果が得られている。 また,原告としては,下記定性的効果として挙げたクロスセルによる効果もあり,平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度において,約108億円の売り上げと,約14億円の営業利益を計上している。 次に,P4は,原告を買収し,P2を買収及び合併したことにより,まず,P4の顧客(一般事業者)に対して,従前のP4のサービスだけでなく,原告のハウジングサービス(コロケーションサービス)やP26(仮想化サービス)をも提案材料,商品として組み込むことが可能になった。その結果,単に定性的にP4のインターネットサービス企業としてサービスの幅を広げただけでなく,従来の顧客に対する上記原告の商材の紹介及び販売(クロスセル)により,平成21年度乃至平成22年度上半期の間に,約8億8000万円(80社)の実績(契約金額)をあげることに成功した。 また,現在原告は,次世代クラウドシステムの検討をP4と共同で推進中である。今後も,クラウドスタックやマルチクラウドコントロールの技術検討を共同で進めながら,次世代クラウドサービスの企画,開発を行っていく予定となっている。 さらに,P2が積極的に働きかけを行って設立したP27協会(P27)にP4が会員となり,P4のオペレーション統括本部本部長P28が理事として参画している。この協会ではデータセンター事業者だけでなく,データセンター利用者の立場からも政策提言を行うことができるなど,従来P4だけではできなかった活動が ション統括本部本部長P28が理事として参画している。この協会ではデータセンター事業者だけでなく,データセンター利用者の立場からも政策提言を行うことができるなど,従来P4だけではできなかった活動が可能となっている。 (5) 本件分割によりP2から原告が分社化されたそもそもの目的ないし理由-111-本件分割によりP2から原告が分社化されたそもそもの目的ないし理由は,本件買収及び本件合併に際してP2のP13氏がP8氏に提示した3要件,つまり「①IPO(株式上場)の可能性を担保すること,②お客様にご迷惑をお掛けしないこと,③社員が不利益を蒙らないこと」を担保するためであった。すなわち,P2から原告を分割して繰越欠損金のない法人を新設して,原告が将来株式上場を行う可能性を担保した。そして,かかる株式上場のための本件分割による原告の分社化を前提に,従業員については全て原告に転籍させることにより(つまり本件合併によりP4に雇用関係が承継されるのではなく)従前のP2におけるのと同様の雇用関係を確保して従業員に迷惑を掛けないという条件を担保しつつ,P2におけるサーバの保守等の事業にも支障が生じないように,出向基本契約及び覚書に基づき,従業員の籍を原告に置きつつP2への出向という形で労務提供が行われた。さらに,顧客に迷惑を掛けないという点については,やはり原告の分社化を前提にしつつそれでも顧客への影響を最小限に留める方法として,営業会社たる原告が顧客から受託した業務のうちサーバ等の設備に関連する部分について,業務委託契約に基づき,原告がP2に対し業務委託を行い,P2が原告から一定の業務委託料の支払を受けるというスキームが採用された。 このように,上記の出向基本契約と業務委託契約は,本件分割の不合理性を示すものでは全くないば に対し業務委託を行い,P2が原告から一定の業務委託料の支払を受けるというスキームが採用された。 このように,上記の出向基本契約と業務委託契約は,本件分割の不合理性を示すものでは全くないばかりか,上記P13氏の3要件を可能な限り遵守するため,つまり株式上場担保という条件のための原告の分社化を前提に,他の2つの条件を最大限遵守するために実務上なされた最大限の工夫なのである。 (6) 原告株式譲渡を行うことはP4にとって事業上好都合であった。 本件取引は,以下の4段階により実行されている。 ① P2が分社型新設分割により原告を設立し,P2のデータセンターの営業等に係る事業に関して有する権利義務を原告に承継させる(本件分割)。 -112-② P4が,P2から,原告の発行済株式全部の譲渡を受ける(原告株式譲渡)。 ③ P4が,P1から,P2の発行済株式全部の譲渡を受ける(P2株式譲渡)。 ④ P4が,P2株式譲渡によりP4の完全子会社となったP2との間で吸収合併を行う(本件合併)。 かかるスキームは,平成20年11月21日付でP1からP4に提案されたスキームであったが,このスキームは,③のP2株式譲渡に先立って②の原告株式譲渡を行うことにより,原告をP4の孫会社とすることなく買収後直ちに原告をP4の直接の子会社とすることができるため,P4にとっても以下のとおり好都合なものであった。 ア事業展開の観点P4では,P4と共同して事業を展開するP4のグループ会社については,P4のサービス,ネットワーク等との連携,役員派遣等の人的支援の提供等の観点から,直接の子会社とする方針をとっていた。原告の事業は,大規模データセンターの営業販売,データセンターソリューションの開発 P4のサービス,ネットワーク等との連携,役員派遣等の人的支援の提供等の観点から,直接の子会社とする方針をとっていた。原告の事業は,大規模データセンターの営業販売,データセンターソリューションの開発提供,クラウドコンピューティング事業等であって,P4のサービス運営上極めて重要な会社であったため,孫会社とするのでは十分ではなく,直接の子会社とすることが自然であった。また,P4の直接の子会社とした方が,孫会社とするよりも一般的に信用を得やすく,顧客獲得や人材確保等にメリットがあると考えられていた。 イ情報セキュリティの観点P4は,インターネット関連事業というその事業の性格上,及び過去の「P29」の個人情報漏洩問題を踏まえ,情報セキュリティ対策に力を入れており,統一的なセキュリティポリシーの浸透・適用の観点から,個人情報その他の重要な経営情報を大量に保有し,慎重な情報管理が必要とな-113-る会社については,P4が直接に監視・監督し,情報管理を徹底できるよう,P4の直接の子会社とする方針をとっていた。原告は,P4のサービス及びネットワークシステムとの関連性が強い事業を行っており,また,その事業内容から大量の顧客情報を有しているため,強固で統一的な情報セキュリティ管理を行う必要性が極めて高いといえる会社であった。そのため,P4としては,原告の買収にあたり,原告を当初から直接の子会社とすることがごく自然であり,一時的であれ孫会社とすることは考え難かった。 ウ社内システムへのアクセス本件取引当時,P4のセキュリティポリシー上,P4の社内システムにアクセスできる関係会社は,P4が直接管理・監督でき,かつP4と業務上の関わりが深い,P4の直接の子会社に限られており,本件取引当時,孫会社等の間接的な資 キュリティポリシー上,P4の社内システムにアクセスできる関係会社は,P4が直接管理・監督でき,かつP4と業務上の関わりが深い,P4の直接の子会社に限られており,本件取引当時,孫会社等の間接的な資本関係にとどまる会社に対して,P4の社内システムへのアクセス権限を付与することはなかった。原告は,上記の基準を満たしているため,本件買収の直後からP4の社内システムへのアクセスが認められていた。仮に原告株式譲渡が行われず,本件合併までの間,P2がP4の孫会社となっていたとすれば,原告にはP4の社内システムのアクセス権限は与えられず,社内システムを利用することができなかったはずである。しかし,原告のデータセンターの営業販売,クラウドコンピューティング事業等といったP30グループにおける重要性に鑑みると,仮に原告が孫会社となり,アクセス権限が与えられなかった場合には,P4と原告の連携について重大な悪影響が生じていたことは明らかである。 エ小括以上のとおり,仮に原告株式譲渡が行われず,本件合併までの間,原告がP4の孫会社となった場合には,上記①から③記載の点を実現することができず,P4と原告の事業上の連携等に支障が生ずるおそれがあったの-114-である。 このように,原告株式譲渡は,買収後直ちに原告をP4の直接の子会社とすることにより,かかる事業上の不都合が生ずるおそれを回避し,上記アからウまでに記載の事業上の目的を達成することができるという点で,P4にとっても好都合なものであった。 (7) 原告株式譲渡は何ら「異常ないし変則的」な行為ではない。 ア原告株式譲渡が「異常ないし変則的」か否かは,通常のM&A・組織再編成取引において一般的に行われているスキームとの比較により判断されるべきである。 異常ないし変則的」な行為ではない。 ア原告株式譲渡が「異常ないし変則的」か否かは,通常のM&A・組織再編成取引において一般的に行われているスキームとの比較により判断されるべきである。 法132条の2の「不当」性の判断に当たり,ある行為が私的経済取引の観点からみて「異常ないし変則的」との評価を受けるか否かは,通常の経済人(P31名誉教授の言う平均的事業家)が現に行っている行為との比較により判断するほかない。そして,本件のような連続した組織再編成取引が「異常ないし変則的」と評価されるか否かに関しては,まさに通常の経済人や平均的事業家が現に行っている通常のM&A・組織再編成取引において一般的に行われているスキームとの比較により判断するのが,最も適切である。 イ判例及び通常のM&A・組織再編成取引の実務に照らし,原告株式譲渡は「異常ないし変則的」ではない。 本件の事案は,本件分割後に原告株式譲渡を1つ加えただけ(原告株式譲渡を前提に本件分割を行っただけ)であるところ,近時の通常のM&A・組織再編成取引においては,「株式買取(公開買付け含む)+合併」,「全部取得条項付種類株式を用いた完全子会社化+合併」,「配当又は自己株式取得+株式譲渡」など,省略可能な取引(意図する経済的成果(取引の出来上がり)を達成するためには必須とはいえない取引)を,税務上の考慮から1つ加えることは,ごく一般に行われている。 -115-また,原告株式譲渡を前提に本件分割を行えば,適格要件へのあてはめとしては非適格分割にしかなり得ず,原告株式譲渡を行うことを前提に本件分割を行う(もって非適格分割とする)ということは,まさに適格要件に係る法令の規定が正面から予定している完全に想定可能な行為である。 これらを なり得ず,原告株式譲渡を行うことを前提に本件分割を行う(もって非適格分割とする)ということは,まさに適格要件に係る法令の規定が正面から予定している完全に想定可能な行為である。 これらを考慮すると,通常の経済人や平均的事業家や「一般の納税者」を基準とした判断としては,本件の事案も,同様に,節税に留まるものであり租税回避行為ではないと評価するのが極めて自然かつ合理的である。 P21教授も,原告株式譲渡が行われたことは,法132条の2の「不当」性を満たさない旨述べており,上記の原告の主張を支持している。 ウ原告株式譲渡はそれ自体経済的な損失を生じさせる異常な取引とはいえないため,「不当」ではない。 原告株式譲渡は,原告はもちろんP2又はP4にとっても,経済的に見合わない又は損失若しくは利益の逸失を生じさせるなどということは一切なく,株式譲渡契約の準備及び当該契約への捺印という極めて低いコストによってP4において事業上生じ得る不都合を回避することができる合理的な行為である。このように,原告株式譲渡を行うことのコスト負担は上記のとおり極めて小さく,省略可能な取引(つまり意図する経済的成果(取引の出来上がり)を達成するためには必須とはいえない取引)があえて挿入されている例において必要とされる費用・手間と何ら変わらないか,より負担が少ないとさえいえる。 このように,原告株式譲渡は,経済的合理性を有しない行為などと評価することはできず,私的経済取引の観点からみて「異常ないし変則的」とはいえないのであって,「不当」性の要件を充足しない。 エ 「異常ないし変則的」でない他のスキームを選択した場合にも本件分割は非適格合併となり得たのであるから,「不当」でない。 本件取引と同様の経済的効 「不当」性の要件を充足しない。 エ 「異常ないし変則的」でない他のスキームを選択した場合にも本件分割は非適格合併となり得たのであるから,「不当」でない。 本件取引と同様の経済的効果を達成するために,分社型分割に代えて分-116-割型分割のスキームを用いることが可能である。すなわち,①P2が分割型新設分割により原告を設立し,P2のデータセンターの営業等に係る事業に関して有する権利義務を原告に承継させる(分割型分割),②P4が,P1から,P2及び(P1が分割型分割により割当てを受けた)原告の発行済株式全部の譲渡を受ける(原告株式及びP2株式譲渡),③P4が,P2株式譲渡及び原告株式譲渡によりP4の完全子会社となったP2との間で吸収合併を行う(本件合併),という三段階の取引から構成されるスキームによって,P4によるP1からのP2の買収を実行することも本件では選択可能であった。かかる分割型分割スキームも,本件のスキームと同様,P4が本件合併の効力発生を待たずに,直ちに原告をその直接の子会社とすることができるスキームであり,かかるスキームは何ら異常でも変則的でもないといえるところ,当該分割型分割のスキームを選択した場合にも,P2による分割は非適格分割となる。すなわち,100パーセントの持分関係にある法人間での分割に係る適格要件(法2条12号の11イ),50パーセント超100パーセント未満の持分関係にある法人間での分割に係る適格要件(法2条12号の11ロ),及び共同事業を営むための組織再編成に係る適格要件(法2条12号の11ハ)のいずれも充足しないため,当該分割型分割スキームは非適格分割となる。そうであるとすると,原告株式譲渡を前提に本件分割を行い本件分割が非適格分割となったからといって,「通常用いられる法形式に対応する いずれも充足しないため,当該分割型分割スキームは非適格分割となる。そうであるとすると,原告株式譲渡を前提に本件分割を行い本件分割が非適格分割となったからといって,「通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ」たとはいえない。上記の非適格分割となる分割型分割のスキームも,「通常用いられる法形式」のうちの1つといい得るからである。したがって,本件分割については,「通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ」たという租税回避と評価される事実が存在しないため,「租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しない場合」には該当しない。 -117-加えて,上記のとおり,原告株式譲渡を行うことは,P4が原告を直接の子会社とすることができる点において事業上も有益であったことから,この点においても「租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しない場合」には該当しない。 以上より,本件の事実関係からして「不当」性の要件を充足する事実は存在せず,法132条の2により本件分割を適格分割と引き直して課税することはできない。 P21教授も,他の合理的なスキームによって非適格分割とすることが可能である以上,本件分割のみを取り出して法132条の2によって否認することはできない,と述べており,原告の主張を支持している。 オ原告株式譲渡を前提とする本件分割に係る分割承継行為は,「節税」行為である。 「節税」とは,租税法規が予定しているところに従って税負担の減少を図る行為をいう。 本件のスキームにおいては,原告は,原告株式譲渡を前提に本件分割に係る分割承継行為を行い,本件分割を非適格分割として組成して資産調整勘定を計上したのであるが,かかる行為は,適格要件や資産等超過差額に係る法 キームにおいては,原告は,原告株式譲渡を前提に本件分割に係る分割承継行為を行い,本件分割を非適格分割として組成して資産調整勘定を計上したのであるが,かかる行為は,適格要件や資産等超過差額に係る法令の個別規定の文言が当然に予定している行為であるというほかなく,原告株式譲渡を前提とする本件分割に係る分割承継行為は,「節税」行為に該当し,租税法規の文言に従って租税負担の軽減(資産調整勘定の減額による損金算入)が認められるべきである。 加えて,そもそも本件では,原告株式譲渡を前提とする本件分割に係る分割承継行為については,原告株式譲渡によりP4が様々な事業上の目的を達成できたこと,また,通常のM&A・組織再編成取引において一般的に行われているスキームに照らし通常の経済人を基準にみた場合には原告株式譲渡を1つ加えることも私的経済取引として合理性を有すること,-118-という各事情が存在するのであって,原告株式譲渡を前提とする本件分割に係る分割承継行為は,異常ないし変則的とはいえず,私的経済取引としての合理性を有する行為であると優に評価することができる。 そうすると,原告株式譲渡を前提とする本件分割に係る分割承継行為は,①適格要件や資産等超過差額に係る法令の個別規定の文言が当然に予定している行為であるとともに,②異常ないし変則的とはいえず,私的経済取引としての合理性を有する行為であるといえるから,なおのこと「節税」行為に該当するものにほかならないのである。 (8) 本件計画を前提とした分割行為は否認の対象となる行為か否かについて被告は,「本件計画を前提とする分割承継行為」を「本件計画を前提としない分割承継行為」に引き直すものであると主張する。 この点,法132条の2は,納税者の私法上の行為を,税 ついて被告は,「本件計画を前提とする分割承継行為」を「本件計画を前提としない分割承継行為」に引き直すものであると主張する。 この点,法132条の2は,納税者の私法上の行為を,税法上,別の通常行われる仮定の私法上の行為に置き換えることにより,遡及的に課税関係を作り出すものである。すなわち,法132条の2は,納税者が私法上の法形式を濫用した場合に,私法上の法律関係はそのままにしておきながら,租税法の適用上のみにおいて,正常な私法上の法形式に引き直した上で,租税法を適用して課税するものである。したがって,法132条の2による否認の対象となる行為は,納税者が選択した私法上の法形式をもつ行為であって,引き直される正常な法形式は,納税者が選択した私法上の法形式とは別の法形式を持つ私法上の行為でなければならない。 しかし,会社法は,新設分割に関し,「新設分割設立株式会社は,その成立の日に,新設分割計画の定めに従い,新設分割会社の権利義務を承継する。」としか定めておらず(会社法764条1項),会社分割後に分割承継会社の株式が譲渡されるかどうかによって,会社法上の会社分割という行為ないし法形式が区別されることは全く予定されていない。すなわち,「本件計画を前提とする分割承継行為」であろうが,「本件計画を前提としない分-119-割承継行為」であろうが,私法上の法形式としては会社分割(による分割承継行為)という点で全く同一である。このような行為は,上記に述べた法132条の2の否認の対象たる異常な法形式をもつ行為及び引き直される正常な法形式をもつ行為として観念できない。したがって,被告の主張は,同条の解釈適用を誤るものである。 被告は,この点を自覚してか,「ある計画の下に行われる分割承継行為と,これと異なる計画の下 な法形式をもつ行為として観念できない。したがって,被告の主張は,同条の解釈適用を誤るものである。 被告は,この点を自覚してか,「ある計画の下に行われる分割承継行為と,これと異なる計画の下に行われる分割承継行為は,税法上別個の行為としてみるべきである」と主張する。しかし,ここでの問題は,両者が,「税法上」ではなく,「私法上」異なる法形式を持つ行為であるのか否かである。租税法においては,あくまでも私法上の法律関係を前提として課税関係が決せられるのであり,私法上の法律関係から離れた「税法上別個の行為」なるものを観念する余地はない。法132条の2は,私法上の法形式を他の正常な私法上の法形式に引き直して課税することを認める規定であり,同条の適用において「税法上の行為」なる概念が意味を持つことはありえない。上記のとおり,法132条の2による否認は,私法上の法律関係はそのままに専ら租税法の適用上のみにおいて法形式の引き直しを認めるものであるが,このことと,同条の否認の対象たる行為及び引き直される行為はいずれも純然たる私法上の法形式を意味するものであることを混同してはならない。 結局,被告は,法132条の2の「行為」が法人税の更正又は決定を受ける法人に限られていることから,(主位的な主張としては)原告株式譲渡を否認すると主張することができず,無理に「本件計画を前提とする分割承継行為」などという私法上の法律関係からかけ離れた行為を否認の対象として想定しなければならなかったものといえる。更にいえば,被告がいみじくも「税法上別個の行為」との主張を展開していることから明らかなとおり,被告が主張する引き直しは,法132条の2が想定している私法上の法形式の引き直しではなく,結局は租税法のみの世界の否認,つまり,本件分割とい-120-う私 を展開していることから明らかなとおり,被告が主張する引き直しは,法132条の2が想定している私法上の法形式の引き直しではなく,結局は租税法のみの世界の否認,つまり,本件分割とい-120-う私法上の行為の法形式は何ら引き直すことなく,法令上の適格要件に照らし非適格分割でしかない本件分割を適格分割であると否認するものに他ならないものである。要は,被告の主張は,P2と原告の完全支配関係の継続の見込みという法令上規定された明示の課税要件を全く無視しているだけということにほかならない。これは正に,法令上の課税要件自体の拡張・縮小ないし書き換えにほかならない。そのような効果は法132条の2が意図するところでは全くない。 本件計画を前提とした分割承継行為は,否認の対象とならない。
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