平成24(行ケ)10015 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年12月11日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文25,161 文字)

平成24年12月11日判決言渡平成24年(行ケ)第10015号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年9月25日判決 原告株式会社クラレ 訴訟代理人弁理士辻 邦夫同辻 良子 被告特許庁長官 指定代理人近藤政克同蔵野雅昭同小野寺 務 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2008-18683号事件について平成23年12月5日にした審決を取り消す。 第2 争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯原告は,発明の名称を「ポリアミド組成物」とする発明について,平成15年6月19日(優先権主張:平成14年6月21日(以下「本願優先日」という。))に 特許出願をした(特願2003-174765。以下「本願出願」という。)。 本願出願について,平成20年4月1日付けで拒絶理由が通知され,原告は,同年5月30日に意見書及び手続補正書を提出したが,同年6月19日付けで拒絶査定がされた。原告は,同年7月23日,上記査定に対し拒絶査定不服審判(不服2008-18683号事件)を請求し,同年10月1日,審判請求書の手続補正書(方式)を提出したが,平成23年7月8日付けで拒絶理由が通知され,同年9月12日付け意見書及び同月2 査定不服審判(不服2008-18683号事件)を請求し,同年10月1日,審判請求書の手続補正書(方式)を提出したが,平成23年7月8日付けで拒絶理由が通知され,同年9月12日付け意見書及び同月22日付け手続補正書を提出した。 特許庁は,平成23年12月5日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は同月20日に原告に送達された。 2 特許請求の範囲平成23年9月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 ジカルボン酸単位とジアミン単位とからなるポリアミドであって,当該ジカルボン酸単位の60~100モル%がテレフタル酸単位で,40~0モル%が脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;およびテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位;より選ばれる1種または2種以上であり,当該ジアミン単位の60~100モル%が1,9-ノナンジアミン単位および/または2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位で,40~0モル%が1,9-ノナンジアミン以外の直鎖脂肪族ジアミンから誘導される単位;2-メチル-1,8-オクタンジアミン以外の分岐鎖状脂肪族ジアミンから誘導される単位;脂環式ジアミンから誘導される単位;および芳香族ジアミンから誘導される単位;より選ばれる1種または2種以上であるポリアミド(A)100重量部,並びに平均粒径が0.1~0.5μmの酸化チタン(B)15~70重量部を含有してなる,LEDのリフレクタ成形用ポリアミド組成物。」(以下「本願発明1」といい,上記手続補正書により補正された明細書を「本願明細書」という。) 3 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写しのとおりであり,その要旨 用ポリアミド組成物。」(以下「本願発明1」といい,上記手続補正書により補正された明細書を「本願明細書」という。) 3 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写しのとおりであり,その要旨は,次のとおりである。 (1) 本願発明1の容易想到性についてア本願発明1は,特開2000-204244号公報(以下「刊行物1」という。甲1)に記載された発明(以下「引用発明1」という。)及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 イ審決が,上記判断を導く過程において認定した引用発明1,本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は,次のとおりである。 (ア) 引用発明1「テレフタル酸単位を60~100モル%であり,テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位として,脂肪族ジカルボン酸;脂環式ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸から誘導される単位のうち1種または2種以上を含むジカルボン酸単位(a)と,1,9-ノナンジアミン単位および/または2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を60~100モル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリアミド(A)100重量部に対して,平均粒径が0.1~1.8μmの無機充填剤(B)0.5~110重量部を配合してなる成形用のポリアミド組成物。」(イ) 本願発明1と引用発明1との一致点「ジカルボン酸単位とジアミン単位とからなるポリアミドであって,当該ジカルボン酸単位の60~100モル%がテレフタル酸単位で,40~0モル%が脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;およびテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位;より選ばれる1種または2種以上であり,当該ジアミン単位の6 肪族ジカルボン酸から誘導される単位;脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;およびテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位;より選ばれる1種または2種以上であり,当該ジアミン単位の60~100モル%が1,9-ノナンジアミン単位および/または2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位で,40~0モル%が1,9-ノナンジアミン以外の直鎖脂肪族ジアミンから誘導される単位;2-メチル-1,8-オクタンジアミン以外の分岐鎖状脂肪族ジアミンから誘 導される単位;脂環式ジアミンから誘導される単位;および芳香族ジアミンから誘導される単位;より選ばれる1種または2種以上であるポリアミド(A),並びに無機充填剤(B)を含有してなる,成形用ポリアミド組成物。」(ウ) 本願発明1と引用発明1との相違点a 相違点1「本願発明1は,「LEDのリフレクタ」成形用であるのに対し,引用発明1は,当該規定がない点。」b 相違点2「ポリアミド100重量部に対して,本願発明1は,「平均粒径が0.1~0.5μmの酸化チタン」を「15~70重量部」配合しているのに対し,引用発明1は,「平均粒径が0.1~1.8μmの無機充填剤」を「0.5~110重量部」配合する点。」(2) 本願発明1の特許法29条の2該当性ア本願発明1は,本願出願の日前の特許出願であって本願出願後に出願公開されたものである特願2003-582215号の願書に最初に添付した明細書(以下「先願明細書A」という。)に記載された発明(以下「先願発明A」という。)と同一であるから,特許法29条の2の規定により,特許を受けることができない。 イ審決が,上記判断を導く過程において認定した先願発明A,本願発明1と先願発明Aとの一致点及び相違点は,次のとおりである。 (ア) 先願発明 29条の2の規定により,特許を受けることができない。 イ審決が,上記判断を導く過程において認定した先願発明A,本願発明1と先願発明Aとの一致点及び相違点は,次のとおりである。 (ア) 先願発明A「成分(A)として,1,9-ジアミノノナン50~100モル%と,2-メチル-1,8-ジアミノオクタン0~50モル%由来のジアミン由来構成単位(a-1)と,テレフタル酸60~100モル%と,テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸および/または炭素原子数4~20の脂肪族ジカルボン酸0~40モル%由来のジカルボン酸由来構成単位(a-2)を分子内に有するポリアミド100重量部と,成分(B)として二酸化チタン1~200重量部とを含んでなることを特徴とする, 発光ダイオード反射板用樹脂組成物。」(イ) 本願発明1と先願発明Aとの一致点「ジカルボン酸単位とジアミン単位とからなるポリアミドであって,当該ジカルボン酸単位の60~100モル%がテレフタル酸単位で,40~0モル%が脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;およびテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位;より選ばれる1種または2種以上であり,当該ジアミン単位の60~100モル%が1,9-ノナンジアミン単位および/または2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位で,40~0モル%が1,9-ノナンジアミン以外の直鎖脂肪族ジアミンから誘導される単位;2-メチル-1,8-オクタンジアミン以外の分岐鎖状脂肪族ジアミンから誘導される単位;脂環式ジアミンから誘導される単位;および芳香族ジアミンから誘導される単位;より選ばれる1種または2種以上であるポリアミド(A),並びに酸化チタン(B)を含有してなる,LEDのリフレクタ成形用ポリアミド組成物。」 導される単位;および芳香族ジアミンから誘導される単位;より選ばれる1種または2種以上であるポリアミド(A),並びに酸化チタン(B)を含有してなる,LEDのリフレクタ成形用ポリアミド組成物。」(ウ) 本願発明1と先願発明Aとの相違点相違点A「ポリアミド100重量部に対して,本願発明1は,「平均粒径が0.1~0.5μmの酸化チタン」を「15~70重量部」配合しているのに対し,先願明細書Aは,平均粒径についての規定がなく,酸化チタンを「1~200重量部」配合する点。」第3 当事者の主張 1 取消事由に関する原告の主張審決は,本願発明1と引用発明1との相違点1についての判断を誤り(取消事由1),同相違点2についての判断を誤り(取消事由2),本願発明1の効果を看過した(取消事由3)結果,本願発明1が刊行物1等に基づき容易想到であるとの誤った結論に至ったものであり,また,本願発明1と先願発明Aとの相違点の判断を誤った(取消事由4)結果,両発明を同一であるとの誤った結論に至ったものであり,審決の結論に影響を及ぼすから,違法として取り消されるべきである。 (1) 本願発明1と引用発明1との相違点1についての判断の誤り(取消事由1)ア LEDリフレクタ成形用樹脂組成物に対する要求特性第1は,製造技術に関連する要求特性である。古くからLEDリフレクタ成形用樹脂組成物の開発では,エポキシ樹脂による封止工程に対応する耐熱性の改善が求められていたが,表面実装技術(SMT)の進展に伴って,LEDリフレクタ成形用樹脂組成物に対しても,ハンダ付けの温度に耐えられる材料であることが不可欠となっている。 第2には,実用的な青色発光ダイオードの開発,量産化(平成6年),その利用拡大等に関連する要求特性である。LED光源の特徴を活かす上で,実 けの温度に耐えられる材料であることが不可欠となっている。 第2には,実用的な青色発光ダイオードの開発,量産化(平成6年),その利用拡大等に関連する要求特性である。LED光源の特徴を活かす上で,実際の使用環境下において短波長の光に長期間曝されることを要因とした変色による光反射率の低下という問題点を解決することが必要であり,この点の特性を備えた樹脂組成物を選択することが欠かせない。 イ(ア) 審決は,本願発明1と引用発明1との相違点1について,「引用発明1に係るポリアミド組成物の用途を「ランプリフレクタ等の反射鏡」から「LEDのリフレクタ」とすることは,その発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易になし得ることである」(審決10頁18行~21行)と判断したが,誤りである。 (イ) 審決の上記判断は,引用発明1組成物が,ランプリフレクタ等の反射鏡の用途に用いられるものであり,特開昭59-113049号公報(以下「刊行物2」という。甲2)に,無機充填剤,特に酸化チタンを配合した合成樹脂を,LED用の反射板,照明用反射板のような反射板用素材として用いることが記載されていることに基づくものである。 しかしながら,本願発明1は,LEDリフレクタ,すなわち,LED単体を構成するハウジングを兼ねたリフレクタの成形に用いられるポリアミド組成物であり,表面実装技術(SMT)に対応した耐ハンダ性,及び青色LEDのような短波長の光に対する耐光性という特性が要求されるものであって,刊行物1,2の照明用反 射板に求められる程度の耐熱特性で足りるものではない。現に,特開平2-288274号公報(以下「刊行物3」という。甲3)に「従来のABS,PBT,ポリフェニレンオキサイド/ポリスチレンブレンド,ナイロン6/ められる程度の耐熱特性で足りるものではない。現に,特開平2-288274号公報(以下「刊行物3」という。甲3)に「従来のABS,PBT,ポリフェニレンオキサイド/ポリスチレンブレンド,ナイロン6/ポリアクリレートブレンドのような素材ではこのハンダリフロー工程の熱に耐えることができない」(2頁左上欄3行~6行)と記載されているとおり,刊行物2に記載された,酸化チタンを配合した合成樹脂は,照明用反射板として用いることができるものではあっても,LEDリフレクタ成形用樹脂組成物に求められる新しい特性を満たすことができないことが明らかにされている。 したがって,審決の上記判断は,LEDリフレクタの素材に求められる特性と照明用反射板の素材に求められる特性の違いを無視した,誤ったものである。 ウ(ア) 審決は,相違点1について,「引用発明1に係るポリアミド組成物の物性である耐ハンダ性に着目し,この物性が必要とされる「LEDのリフレクタ」用の素材として,このポリアミド組成物を用いることも,当業者が容易になし得ることである」(審決10頁27行~29行)と判断したが,誤りである。 (イ) 審決の上記判断は,引用発明1組成物が,吸湿時の耐熱性である耐ハンダ性の改善を目的とするものであり,刊行物3からLEDリフレクタ用の素材として耐ハンダ性が要求されると理解できることに基づくものである。 しかしながら,刊行物3は,本願発明1とは樹脂が異なるもので,青色LEDが発する短波長の光に長期間曝されることを要因とした変色による光反射率の低下という問題点の解決に資する技術的事項は記載されていない。 したがって,LEDリフレクタ用素材に求められる諸特性の中の耐ハンダ性という一部の特性を満たしているというだけで,引用発明1組成物をLEDリフレクタ用素材として用いるこ 的事項は記載されていない。 したがって,LEDリフレクタ用素材に求められる諸特性の中の耐ハンダ性という一部の特性を満たしているというだけで,引用発明1組成物をLEDリフレクタ用素材として用いることが当業者にとって容易であるとした審決の判断は,誤りである。 (2) 本願発明1と引用発明1との相違点2についての判断の誤り(取消事由2)ア(ア) 審決は,本願発明1と引用発明1との相違点2について,特開平9-12 853号公報(甲6)及び特開平5-320519号公報(甲7)に基づいて,「引用発明1に係るポリアミド組成物において,酸化チタンを用いるにあたり,平均粒径が0.1~0.5μmの酸化チタンを選択することは,当業者が容易に想到しうるものである」(審決11頁28行~30行)と判断したが,誤りである。 (イ) 甲6には,「液晶表示盤やLED表示盤等の反射板に利用される」(【0002】),甲7には,「液晶表示盤の反射板やLEDの表示盤等の部品の成形に応用」(【0002】)との記載があるのみで,いずれにもLEDのリフレクタ成形に用いられることの説明はない。甲6の「液晶表示盤やLED表示盤等の反射板」や甲7の「液晶表示盤の反射板やLEDの表示盤等」は,いずれもLED単体を構成するハウジングを兼ねたLEDリフレクタとは異なる部品であるから,審決の上記判断は,根拠を欠くものであって,誤りである。 被告は,特開平4-329680号公報(乙1)の【図7】,【図8】及びその説明を挙げて,一般的なLED発光素子の構造の説明をする。しかしながら,乙1には,表面実装対応の発光装置の提供を目的として掲げられる(【0018】)とともに,封止樹脂としてエポキシ樹脂に換えて高耐熱性の熱可塑性ポリイミドを用いることによって,表面実装温度250℃に対応可能で は,表面実装対応の発光装置の提供を目的として掲げられる(【0018】)とともに,封止樹脂としてエポキシ樹脂に換えて高耐熱性の熱可塑性ポリイミドを用いることによって,表面実装温度250℃に対応可能であることが記載されているから,乙1の【図7】,【図8】及びその説明は,SMTプロセスに耐える耐熱性を備えた樹脂組成物を用いて反射板を形成することを前提としているといえ,甲6,7に記載されたポリカーボネート組成物がLEDリフレクタの成形に用いられることを示したものではない。 イ(ア) 審決は,相違点2について,刊行物3,特開2001-81316号公報(以下「刊行物4」という。甲4),特開平6-157902号公報(以下「刊行物5」という。甲5)に基づいて,「引用発明1に係るポリアミド組成物における酸化チタンの配合量を,ポリアミド樹脂100重量部に対して15~70重量部の範囲に設定することは,当業者が容易に想到しうるものである」(審決11頁19行~21行)と判断したが,誤りである。 (イ) 刊行物4,5は,いずれも,LEDリフレクタ成形用組成物に関する技術的事項を開示するものではない。すなわち,刊行物4の照明器具用部品及び刊行物5のハウジング等は,SMTにおける耐ハンダ性を有しない樹脂(例えば,ナイロン66)を用いて製造される部品であって,LEDリフレクタとは異なる。よって,刊行物4,5における酸化チタンの配合量に関する記載は,参酌するに足りるものではない。また,本願発明1の配合量は,本願発明1に特有の課題の解決を可能とする条件であるから,課題の異なる刊行物3で採用する酸化チタンの配合量から,当業者が容易に想到し得るとすることはできない。 本願発明1における粒径及び配合量は,両者一体となって本願発明1に特有な課題の解決を可能としている の異なる刊行物3で採用する酸化チタンの配合量から,当業者が容易に想到し得るとすることはできない。 本願発明1における粒径及び配合量は,両者一体となって本願発明1に特有な課題の解決を可能としているものであるのに対して,審決は,これら両条件を分離して,それぞれの容易想到性を判断しているだけで,両者の組合せについての容易想到性を検討しなかった結果,誤った結論に至ったものである。 (3) 本願発明1の効果の看過(取消事由3)ア審決は,本願発明1の効果について,「酸化チタンを配合することにより,白色度及び表面反射率が向上するという効果は,当業者が容易に予測しうる程度のものであるといえる」(審決12頁5行~7行),「酸化チタンを加熱処理及び紫外線照射による色調変化を低減させることを目的として配合することは,当業者にとり周知であるといえるので,加熱処理及び紫外線照射によって生じる色調変化を低減させる効果についても,当業者が容易に予測しうる程度のものである」(審決12頁14行~17行),「酸化チタンの平均粒径が「0.1~0.5μm」の範囲であり,酸化チタンの配合量がポリアミド100重量部に対して「15~70重量部」の範囲であることに,臨界的意義があるということもできない」(審決12頁24行~27行)と判断したが,誤りである。 イ本願発明1は,これまで知られていた耐ハンダ性LED用リフレクタ(刊行物3)で用いられているPA46と酸化チタンを含有した樹脂組成物(比較例2)及び耐熱性に優れることが知られているPA6Tと酸化チタンを含有する樹脂組成 物(比較例3)と比較して,紫外線照射による変色による反射率の低下が顕著に小さいという効果を有することが,本願明細書【表1】に示されている。これによれば,配合する樹脂の種類が異なれば,同じ量的条件 物(比較例3)と比較して,紫外線照射による変色による反射率の低下が顕著に小さいという効果を有することが,本願明細書【表1】に示されている。これによれば,配合する樹脂の種類が異なれば,同じ量的条件で酸化チタンを配合しても,紫外線照射による変色を低減し,反射率の低下を抑制する効果に大きな差異が生じることが明らかである。 この点に関して,審決は,刊行物4,5を引用して当業者が予想し得た効果にすぎない旨説示するが,LEDリフレクタ成形用に求められる耐熱性を満たす樹脂組成物の中から引用発明1組成物を選択することにより奏される効果を無視しており,失当である。 また,審決は,本願発明1の酸化チタンの粒径及び配合量の組合せに臨界的意義が認められない旨説示するが,引用発明1組成物をLEDリフレクタ成形用樹脂組成物に用いることが本願優先日前に知られていなかったのであるから,臨界的意義は求められるべきでない。 (4) 本願発明1と先願発明Aとの相違点の判断の誤り(取消事由4)ア審決は,本願発明1と先願発明Aとの相違点Aについて,「先願発明Aにおいて,酸化チタンの配合量をポリアミド樹脂100重量部に対して15~70重量部の範囲とすることは,当業者にとり周知の技術を付加した程度のことにすぎない」,「先願発明Aにおいて,平均粒径が0.1~0.5μmの酸化チタンを用いることについては,当業者にとり周知の技術を付加した程度のことにすぎない。」(審決18頁5行~8行,同17行~19行)と判断したが,誤りである。 イ甲6,7に基づいて,LED等のリフレクタ成形用の樹脂組成物に配合するチタンとして,平均粒径が0.1~0.5μmの範囲内のものを用いるのが当業者に周知であると認定することが失当である点については,取消事由2で主張したとおりである。 また,審決は 脂組成物に配合するチタンとして,平均粒径が0.1~0.5μmの範囲内のものを用いるのが当業者に周知であると認定することが失当である点については,取消事由2で主張したとおりである。 また,審決は,甲6の「一般的に顔料用酸化チタンの粒子径は,0.1~0.4μmである」との記載を根拠として,「本願発明1に係る平均粒径を有する酸化チタ ンは,顔料用酸化チタンとして通常用いる範囲である」と認定し,「先願発明において,平均粒径が0.1~0.5μmを用いることについては,当業者にとり周知の技術を付加した程度である」と判断した。 しかしながら,顔料ないし充填剤として用いる酸化チタンについては,甲11~15の記載からも把握されるとおり,各種平均粒径を有するものをそれぞれの目的に合わせて採用することが本願優先日前に普通に行われているので,甲6のみに基づく審決の上記認定及び判断は誤りである。 ウ刊行物3~5に基づいて,酸化チタンの配合量を,ポリアミド樹脂100重量部に対して15~70重量部の範囲に設定することは当業者が容易に想到し得るものであると判断することが失当である点については,取消事由2で主張したとおりである。 エ本願発明1の平均粒径と配合量の組合せは,本願発明1の課題,すなわち,リフレクタ部分に耐熱性プラスチックを用いる場合に変色による光反射率の低下が問題となるという課題の解決を可能とする条件である。 それに対して,先願明細書Aには,本願発明1における上記課題の解決を可能とする構成を備えた発明は記載されていない。 2 被告の反論(1) 本願発明1と引用発明1との相違点1についての判断の誤り(取消事由1)に対しア原告主張の第1要求特性については,原告のいう「ハンダ付けの温度に耐えられる」とは,「ハンダリフロー工程の温度に ) 本願発明1と引用発明1との相違点1についての判断の誤り(取消事由1)に対しア原告主張の第1要求特性については,原告のいう「ハンダ付けの温度に耐えられる」とは,「ハンダリフロー工程の温度に耐えられる」の趣旨と解されるが,LEDリフレクタには,ハンダリフロー工程を経ないで製造されるものが存在し,第2の要求特性についても,青色以外の色のLEDが存在するところ,本願発明1の樹脂組成物は,その特許請求の範囲に記載された事項によって特定されるとおりのものであって,ハンダリフロー工程を経て製造されるLEDリフレクタや,青色LED用のLEDリフレクタの成形用に限定されてはいない。また,そのように限定 して解すべきであるとするに足りる具体的な根拠も,本願明細書には記載されていない。 したがって,原告の主張は,その前提において誤っており,失当である。 イ原告は,本願発明1は,LEDリフレクタ,すなわち,LED単体を構成するハウジングを兼ねたリフレクタの成形に用いられるポリアミド組成物であって,表面実装技術(SMT)に対応した耐ハンダ性,及び青色LEDのような短波長の光に対する耐光性という特性が要求されるものである旨主張するが,本願発明1は,ハンダフロー工程を経て製造されるSMT型LEDリフレクタ用,かつ,青色LEDリフレクタ用とは限定されていない。LEDリフレクタには,ハンダフロー工程を経ないで製造されるものもあるし,LEDには青色以外のものもある。 刊行物2に,酸化チタンを配合した合成樹脂を,LED用の反射板,照明用反射板のような反射板用素材として用いることが記載されている以上,引用発明1組成物をLED用の反射板として用いることは当業者が容易になし得ることである。 ウ原告は,刊行物3には,青色LEDが発する短波長の光に長期間曝さ 素材として用いることが記載されている以上,引用発明1組成物をLED用の反射板として用いることは当業者が容易になし得ることである。 ウ原告は,刊行物3には,青色LEDが発する短波長の光に長期間曝されることを要因とした変色による光反射率の低下という問題点の解決に資する技術的事項は記載されていない旨主張するが,刊行物3の技術分野は発光ダイオード用リフレクタであるから,光を反射するための部品として耐光性が考慮されていることは自明である。しかも,刊行物4のとおり,紫外線照射による変色を低減させることを目的として酸化チタンを配合することは,当業者に周知である。 引用発明1組成物は,基板への電子部品の実装でリフローハンダ耐熱性に優れた材料が要求されるようになったことを前提として,耐ハンダ性に優れたものであるから,刊行物3に,LEDリフレクタには耐ハンダ性が必要である旨が記載されている以上,原告が主張する青色LEDについての記載はなくとも,引用発明1組成物をLEDリフレクタ用にすることは当業者が容易になし得ることである。 (2) 本願発明1と引用発明1との相違点2についての判断の誤り(取消事由2)に対し ア原告は,甲6,7のいずれにも,酸化チタン配合樹脂組成物をLEDリフレクタ成形に用いられることの説明はない旨主張するが,誤りである。 一般的なLED発光素子の構造は,例えば,乙1の【図7】,【図8】に示されたような構造であり,反射板については「光反射率のよい熱可塑性樹脂(例えば,チタンホワイトなどの白色無機質フィラーを混入し白色に着色した液晶ポリマーやポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂)で,LEDランプの底面および側面部分を囲むように反射板10を成形し,反射効果を持たせて光の高出力化を図った例である」(【0056】)と説明さ ポリマーやポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂)で,LEDランプの底面および側面部分を囲むように反射板10を成形し,反射効果を持たせて光の高出力化を図った例である」(【0056】)と説明されている。 一方,甲6には「芳香族ポリカーボネート樹脂は機械的特性,寸法安定性,耐熱性等に優れているので液晶表示盤やLEDの表示盤等の反射板用途に適している。 芳香族ポリカーボネート樹脂に反射性能を付与する方法として,酸化チタンを配合して白度を向上させ,光遮蔽性を付与して反射率を上げる方法が検討されている」(【0002】)と,甲7には「ポリカーボネート樹脂を液晶表示盤の反射板やLEDの表示板等の部品の成形に応用する場合,得られる成形品は,明るさを保持するために高反射率でなければならない。ポリカーボネート樹脂を用いて反射率の高い成形品を得るには,光を吸収しにくい白色顔料を配合することが好ましい」(【0002】)と記載されているのであるから,甲6,7には,LEDのリフレクタ成形に用いられることの説明がされていると解するほかない。そして,酸化チタンの粒径について,甲6の【0009】には,0.1~0.4μm,甲7の【0029】には0.21μmと記載されていることからして,審決の「LED等のリフレクタ成形用の樹脂組成物に配合する酸化チタンとして,平均粒径が0.1~0.5μmの範囲内のものを用いることについては,……LED等の反射板の技術分野において,本願優先日前に,一般的に行われていた事項である」(11頁22行~27行)との認定に誤りはない。 イ原告は,刊行物4,5は,LEDリフレクタ成形用組成物に関する技術的事項を開示するものではない旨主張するが,刊行物4は,「照明器具等の部品」(【00 01】),刊行物5は「ランプソケット,ランプインナー 物4,5は,LEDリフレクタ成形用組成物に関する技術的事項を開示するものではない旨主張するが,刊行物4は,「照明器具等の部品」(【00 01】),刊行物5は「ランプソケット,ランプインナーハウジング,リフレクター等」(【0003】)であって,いずれも光を受ける部材である点で,本願発明1のLEDリフレクタと密接に関連する。 また,原告は,刊行物3は,本願発明1と解決すべき課題も用いる樹脂も異なる旨主張するが,刊行物3の技術分野は「発光ダイオード用リフレクター」であって,本願発明1の「LEDリフレクタ」と差異がない。そして,刊行物3には樹脂60~95重量部に対して5~40重量%,刊行物4には樹脂100重量部に対して1~30重量%,刊行物5には樹脂100重量部に対して1~100重量部,酸化チタンを配合することが記載されているとともに,配合量が少なすぎれば反射率などの光学的性質が不十分となる旨,及び,配合量が多すぎれば強度などの機械的性質が低下する旨が記載されているから,それらの配合量を考慮しつつ,「反射率などの光学的性質」及び「強度などの機械的性質」を最適化することにより,本願発明1における酸化チタンの配合量としてポリアミド樹脂100重量部に対して15~70重量部を設定することは,当業者が容易に想到し得るものである。 ウ本願発明1における酸化チタンの粒径及び配合量は,いずれもごくありふれた程度のものであって,しかも,明細書をみても両者が有機的な結び付きのあるものとは解し得ないから,両者が一体となって効果を奏しているわけではない。 (3) 本願発明1の効果の看過(取消事由3)に対し原告は,審決は,引用発明1組成物を選択することにより奏される効果を無視しており失当である旨主張する。 しかしながら,刊行物1に,「本発明のポリアミド 本願発明1の効果の看過(取消事由3)に対し原告は,審決は,引用発明1組成物を選択することにより奏される効果を無視しており失当である旨主張する。 しかしながら,刊行物1に,「本発明のポリアミド組成物から得られる成型品は,……ランプリフレクタ等の反射鏡……などの種々の用途に用いることができる」(【0026】)と記載されているところ,「ランプリフレクタ等の反射鏡」は,常時光が当たる条件下で用いられることから,実用上,紫外線照射下における「変色による反射率の低下」が小さいことが前提となっている。また,刊行物4の「添加量が1重量部未満では,高温雰囲気かつ紫外線照射下のより厳しい環境下における変 色防止効果が不十分であり」(【0009】)の記載からみて,紫外線照射による変色を低減させることを目的として酸化チタンを配合することは,当業者に周知であるといえるから,酸化チタンの配合により紫外線照射による変色を低減し,反射率の低下を抑制する効果は,当業者が予測し得ることである。しかも,本願明細書【表1】では,紫外線照射による色調変化が,実施例1では2.1であるのに対して,従来技術である比較例3は3.1であって,両者の違いはほとんどなく,程度の差にすぎないから,本願発明1の効果が格別顕著なものとはいえない。 (4) 本願発明1と先願発明Aとの相違点の判断の誤り(取消事由4)に対しア取消事由2に対して上記(2)アで述べたのと同様の理由により,審決の「先願発明Aにおいて,平均粒径が0.1~0.5μmの酸化チタンを用いることについては,当業者にとり周知の技術を付加した程度のことにすぎない」(18頁17行~19行)との判断に誤りはない。また,審決の「本願発明1に係る平均粒径を有する酸化チタンは,顔料用酸化チタンとして通常用いる範囲である」(同頁1 の技術を付加した程度のことにすぎない」(18頁17行~19行)との判断に誤りはない。また,審決の「本願発明1に係る平均粒径を有する酸化チタンは,顔料用酸化チタンとして通常用いる範囲である」(同頁16行~17行)との認定は,甲6のみを根拠とするものではない。審決は,甲6,7の酸化チタンの粒径に関する記載をも併せて認定の根拠としている。 原告は,目的に合わせて各種平均粒径の酸化チタンを採用することが本願優先日前普通に行われていたことの根拠として甲11~15を示すが,それらは,いずれも先願発明Aとは技術分野を大きく異にしているから,LED等のリフレクタ成形用樹脂組成物に配合する酸化チタンの粒径についての審決の認定判断に影響を及ぼすものではない。 イ取消事由2に対して上記(2)イで述べたように,刊行物4,5の技術分野は,光を受ける部材である点で,先願発明Aの「発光ダイオード反射板」と密接に関連する。また,刊行物3の技術分野も「発光ダイオード用リフレクター」である点で,先願発明Aと差異がないし,刊行物3で用いたPA46とPA9Tは,先願発明Aの樹脂とポリアミドである点で相違はなく,ただ,それを構成するジアミンの炭素鎖の鎖長が異なるだけである。 そして,刊行物3には樹脂60~95重量部に対して5~40重量%,刊行物4には樹脂100重量部に対して1~30重量%,刊行物5には樹脂100重量部に対して1~100重量部,酸化チタンを配合することが記載されているとともに,配合量が少なすぎれば反射率などの光学的性質が不十分となる旨,及び,配合量が多すぎれば強度などの機械的性質が低下する旨が記載されているから,当業者であれば,それら周知技術を考慮して,「LED等のリフレクタ成形用の樹脂組成物に配合する酸化チタンの配合量を,ポリアミド100重量 すぎれば強度などの機械的性質が低下する旨が記載されているから,当業者であれば,それら周知技術を考慮して,「LED等のリフレクタ成形用の樹脂組成物に配合する酸化チタンの配合量を,ポリアミド100重量部に対して15~70重量部の範囲とすることについては,当業者にとり周知である」(審決18頁3行~5行)とした審決の認定判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(本願発明1と引用発明1との相違点1についての判断の誤り)について(1)ア原告は,本願発明1は,LED単体を構成するハウジングを兼ねたリフレクタ(LEDリフレクタ)の成形に用いられるポリアミド組成物に関するものであり,SMTに対応した耐ハンダ性,及び青色LEDのような短波長の光に対する耐光性という2つの特性が要求されるものである旨主張する。原告は,上記主張の根拠について,本願明細書の「LEDにおいてもSMTに耐える耐熱性が要求されることに加えて,リフレクタ部分に耐熱性プラスチックを用いる場合には,実際の使用環境下において,変色による光反射率の低下が問題となること」(【0004】)との記載,「本件発明の目的が,SMTプロセスに耐える耐熱性を有し,優れた表面反射率を有する成形品を与えるポリアミド組成物を提供することにあること」(【0006】)の記載,及び,実施例において紫外線照射後の色調変化評価を行っていることから,本願発明1の課題が,SMTに対応した耐ハンダ性及び青色LEDのような短波長の光に対する耐光性という2つの要求特性を同時に満たす材料の開発にあることが容易に理解できる旨主張する。 イしかしながら,本願発明1に係る特許請求の範囲の記載は,前記第2の2記 載のとおりであり,本願発明1のポリアミド組成物について,「……LEDのリフレクタ成型用ポリアミド る旨主張する。 イしかしながら,本願発明1に係る特許請求の範囲の記載は,前記第2の2記 載のとおりであり,本願発明1のポリアミド組成物について,「……LEDのリフレクタ成型用ポリアミド組成物」と特定するものである。そして,LEDリフレクタは,LEDの発光を前面に反射し,輝度を向上させる部品一般のことをいい,LEDには,短波長の青色以外に,赤色や緑色のような長波長のものもあるが,本願明細書には,「LEDリフレクタ」の技術用語について,青色LED単体を構成するハウジングを兼ねたもの,すなわちSMT型青色LEDリフレクタのみに限定解釈する旨の定義等はないし,そのように限定解釈すべき事情も見いだせない。 したがって,本願発明1の課題が,SMTに対応した耐ハンダ性及び青色LEDのような短波長の光に対する耐光性という2つの要求特性を同時に満たす材料の開発にあるとしても,本願発明1自体を,青色LED単体を構成するハウジングを兼ねたリフレクタ成形用ポリアミド組成物と限定解釈することはできない。すなわち,LEDリフレクタという技術用語は,それが通常有する意味のとおり,LEDの発光を前面に反射し,輝度を向上させる部品一般を意味し,対象とするLEDの色(波長)等に限定のないものと解釈すべきで,本願発明1は,そのような部品の成形用ポリアミド組成物である。 (2)ア審決は,引用発明1組成物が,ランプリフレクタ等の反射鏡の用途に用いられるものであり,刊行物2(甲2)に,無機充填剤,特に酸化チタンを配合した合成樹脂を,LED用の反射板,照明用反射板のような反射板用素材として用いることが記載されていることを根拠に,相違点1について,「引用発明1に係るポリアミド組成物の用途をランプリフレクタ等の反射鏡からLEDのリフレクタとすることは,その発明が属する 射板用素材として用いることが記載されていることを根拠に,相違点1について,「引用発明1に係るポリアミド組成物の用途をランプリフレクタ等の反射鏡からLEDのリフレクタとすることは,その発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者……が容易になし得ることである」(審決10頁18行~21行)と判断したものであるところ,原告は,本願発明1は,LEDリフレクタ,すなわち,LED単体を構成するハウジングを兼ねたリフレクタの成形に用いられるポリアミド組成物であって,SMTに対応した耐ハンダ性,及び青色LEDのような短波長の光に対する耐光性という特性が要求されるものであるから,刊行物1(甲1)及び刊行物2の照明用反射板に 求められる程度の耐熱特性で足りるものではない旨主張する。 イしかしながら,上記(1)イのとおり,本願発明1組成物の用途であるLEDリフレクタは,青色LED単体を構成するハウジングを兼ねたリフレクタと限定解釈することはできず,刊行物2に記載されたLED反射板と同じものを意味する。 そして,刊行物1には,「本発明の目的は,吸湿時の耐熱性,寸法安定性,表面平滑性に優れ,表面外観が美麗である成型品を与えるポリアミド組成物およびそれからなる成型品を提供することにある」(【0005】)との記載があり,刊行物2には,「反射板用素材として無機充填剤,特に酸化チタンを配合した合成樹脂が広く使用されている。/しかしながら,近年目覚ましい発展を遂げつつあるLED用の反射板のような合成樹脂から成形された反射板にダイオードを挿入し熱硬化型エポキシ樹脂で固める製造工程を要する場合や,照明用反射板のように常時高温下にさらされる場合には光反射率や遮光性のごとき光学的特性以外に耐熱性を必要とし,また複雑精緻な形状でかつ美麗な外観を要求されるために 樹脂で固める製造工程を要する場合や,照明用反射板のように常時高温下にさらされる場合には光反射率や遮光性のごとき光学的特性以外に耐熱性を必要とし,また複雑精緻な形状でかつ美麗な外観を要求されるために秀れた成形性が必要である」(1頁左下欄最下行~右下欄10行。「/」は改行を示す。以下同様)として,反射用素材として酸化チタン配合合成樹脂が広く使用されているが,特にLED用反射板には光学的特性以外に耐熱性や美麗な外観が要求されることが記載されているから,吸湿時の耐熱性に優れ,表面外観が美麗な酸化チタン配合合成樹脂である(刊行物1の上記【0005】)引用発明1組成物の用途として,刊行物1に記載された「ランプリフレクタ等の反射鏡」からLEDリフレクタを想起することは,当業者が容易になし得ることと認められる。 したがって,審決の上記判断に誤りはない。 (3)ア審決は,引用発明1組成物が,吸湿時の耐熱性である耐ハンダ性の改善を目的とするものであり,刊行物3からLEDリフレクタ用の素材として耐ハンダ性が要求されると理解できることを根拠に,相違点1について,「引用発明1に係るポリアミド組成物の物性である「耐ハンダ性」に着目し,この物性が必要とされる「LEDのリフレクタ」用の素材として,このポリアミド組成物を用いることも,当業 者が容易になし得ることである」(審決10頁27行~29行)と判断したものであるところ,原告は,刊行物3は,本願発明1とは樹脂が異なるもので,青色LEDが発する短波長の光に長期間曝されることを要因とした変色による光反射率の低下という問題点の解決に資する技術的事項は記載されていないから,LEDリフレクタ用素材に求められる諸特性の中の耐ハンダ性という一部の特性を満たしているというだけで,引用発明1組成物をLEDリフレクタ用素材 う問題点の解決に資する技術的事項は記載されていないから,LEDリフレクタ用素材に求められる諸特性の中の耐ハンダ性という一部の特性を満たしているというだけで,引用発明1組成物をLEDリフレクタ用素材として用いることが当業者にとって容易であるとすることはできないと主張する。 イしかしながら,上記(1)イのとおり,本願発明1組成物の用途であるLEDリフレクタは青色LED用とは限られないから,刊行物3に青色LEDの短波長の光に関連する課題を解決するための技術的事項が記載されているか否かは,本願発明1の容易想到性の判断に影響を与えない。また,刊行物1には,引用発明1組成物が耐ハンダ性という特性を有することのみならず,用途としてランプリフレクタ等の反射鏡が記載されているのであるから,審決の上記判断が耐ハンダ性という特性のみに基づいたものということはできない。 刊行物3の,「この表面実装技術ではハンダ付けされるLEDリフレクターやコネクター等の電子部品はハンダをリフローさせる熱に直接さらされる」(1頁右下欄12行~15行)との記載,及び「新しい素材からなる耐ハンダ性に優れたLEDリフレクターの出現が望まれていた。また,自動車分野においても特にエンジンルーム内あるいはそれに近接する部位では使用時の温度環境が厳しく,耐熱性に優れるLEDリフレクターへの要求が著しく増大している」(2頁左上欄6行~12行)との記載から,本願出願前に,LEDリフレクタ成形用素材に,耐ハンダ性,耐熱性といった特性が求められていたことが認められるから,ランプリフレクタ等の反射鏡に,特性として耐ハンダ性が明示された引用発明1組成物をLEDリフレクタ用の素材として用いることは,当業者であれば容易になし得たことである。 したがって,審決の上記判断に誤りはない。 (4) 以上 に,特性として耐ハンダ性が明示された引用発明1組成物をLEDリフレクタ用の素材として用いることは,当業者であれば容易になし得たことである。 したがって,審決の上記判断に誤りはない。 (4) 以上のとおり,取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(本願発明1と引用発明1との相違点2についての判断の誤り)について(1)ア原告は,甲6,7はいずれもLED単体を構成するハウジングを兼ねたLEDリフレクタとは異なる部品に関する文献であるから,審決が,甲6,7に基づいて,「引用発明1に係るポリアミド組成物において,酸化チタンを用いるにあたり,平均粒径が0.1~0.5μmの酸化チタンを選択することは,当業者が容易に想到しうるものである」(審決11頁28行~30行)と判断したことは,誤りであると主張する。 イしかしながら,上記1(1)イのとおり,本願発明1組成物の用途であるLEDリフレクタをLED単体を構成するハウジングを兼ねたLEDリフレクタと限定して解釈することはできず,甲6の「LED表示盤等の反射板」や甲7の「LEDの表示盤等」は,いずれも「LEDリフレクタ」に含まれるものである。そして,樹脂組成物に配合する酸化チタンの粒径について,甲6には,「一般的に顔料用酸化チタンの粒子径は,0.1~0.4μmであるが,粒子径0.1μm未満のものでも構わない」(【0009】)と記載され,甲7では,実施例において粒径0.21μmのものを用いており(【0029】),いずれも本願発明1と同程度のものである。 したがって,審決の上記判断に誤りはない。 (2)ア原告は,審決が,LEDリフレクタ成形用樹脂に酸化チタンを配合する割合として樹脂100重量部に対して15~70重量部の範囲を設定することが容易であるとの判断の根拠として挙げた刊行物4, (2)ア原告は,審決が,LEDリフレクタ成形用樹脂に酸化チタンを配合する割合として樹脂100重量部に対して15~70重量部の範囲を設定することが容易であるとの判断の根拠として挙げた刊行物4,5は,LEDリフレクタ成形用組成物に関する技術ではなく,耐ハンダ性を有しない樹脂を用いて製造される部品を開示するものであること,及び,刊行物3は本願発明1と課題が異なるから,審決の判断が誤りである旨主張する。 しかしながら,上記1(1)イのとおり,本願発明1の用途であるLEDリフレクタは,ハンダ工程に供されるものとは限らないのであるから,耐ハンダ性を有しない樹脂を用いる技術を本願発明1の容易想到性を判断する先行技術として使用できな いとの主張は失当である。 イ(ア) 刊行物4(甲4)には,以下の記載がある。 「【請求項1】 ポリアミド100重量部に対して難燃剤を1~100重量部を含有させる難燃性ポリアミド樹脂組成物であって,さらに,無機顔料を1~30重量部,燐化合物を燐元素として0.0005~0.2重量部含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。 【請求項2】 無機顔料が二酸化チタンであることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。」(【特許請求の範囲】)「本発明のポリアミド樹脂組成物を構成する無機顔料としては,二酸化チタン,カーボンブラック,酸化鉄,群青等が使用できる。これらは,単独で用いても良く,また併用して用いても良い。特に,照明器具等の白色系の樹脂部品用途に最も好ましいのは,二酸化チタンである。本発明に使用される二酸化チタンは,特に粒径の限定はなく,また結晶形態として,ルチル型でもアナターゼ型でもどちらのものでも良い。また,Mn,Al,Zn,Si等の化合物が酸化チタン表面にコーティングされていても差し支えな 化チタンは,特に粒径の限定はなく,また結晶形態として,ルチル型でもアナターゼ型でもどちらのものでも良い。また,Mn,Al,Zn,Si等の化合物が酸化チタン表面にコーティングされていても差し支えない。これらの無機充填剤は,ポリアミド樹脂100重量部に対し1~30重量部添加される。添加量が1重量部未満では,高温雰囲気かつ紫外線照射下のより厳しい環境下における変色防止効果が不十分であり,また30重量部より多いと機械的物性に低下をきたす懸念がある。」(【0009】)(イ) 刊行物5(甲5)には,以下の記載がある。 「【請求項1】 (A)銅系の熱安定剤を含有するポリアミド樹脂100重量部と(B)酸化チタン(TiO2)1~100重量部および(C)無機フィラー0~250重量部からなるポリアミド樹脂組成物。 【請求項2】 初期の明度が35以上であり,180℃空気中で72hr加熱放置後の明度との差が,15以内であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。」(【特許請求の範囲】)「一般に充填物で強化したポリアミド樹脂組成物は,高い剛性を持ち,寸法安定性 に優れているため,自動車部品等のハウジングへ利用されている。さらに銅系の熱安定剤を添加したポリアミド樹脂組成物は,耐熱性,特に熱エージング性における機械的物性の保持力に優れているため,ランプソケット,ランプインナーハウジング,リフレクター等の高熱部で装着されるハウジングへ利用されている。一般に,ポリアミド樹脂組成物は,熱酸化劣化による変色が大きく,その改善が望まれている。」(【0003】)「また,本発明の樹脂組成物において用いる酸化チタンは,90%以上の純度を有するものでなければならない。これはルチル型,アナターゼ型,またブルカイト型のものでよく,好ましくは,ルチル型 003】)「また,本発明の樹脂組成物において用いる酸化チタンは,90%以上の純度を有するものでなければならない。これはルチル型,アナターゼ型,またブルカイト型のものでよく,好ましくは,ルチル型のものがよい。平均粒径,すなわち,粉体50重量%の上方および下方粒径(d50)が0.1~1.0μm ,ことに0.1~0. 3μm であるものが好ましい。この酸化チタンの化学式は,一般にTiO2である。 本発明の樹脂組成物において,上記ポリアミド樹脂に対しての酸化チタンの配合割合は,ポリアミド樹脂100重量部と酸化チタン1~100重量部,好ましくは,ポリアミド樹脂100重量部と酸化チタン2~50重量部との範囲で選定する。酸化チタンの配合量が,1重量部より少ないと,熱変色性の抑制効果が不十分であり,また,酸化チタンの配合量が100重量部より多いと,得られるポリアミド樹脂組成物の強度が極端に低下する傾向にある。」(【0016】~【0017】)(ウ) 上記刊行物4の記載によれば,刊行物4に記載された組成物は,ポリアミド樹脂100重量部に対して無機充填剤を1重量部以上添加することで,高温雰囲気かつ紫外線照射下での変色防止効果を得て,機械的物性と両立するために,その上限を30重量部としたポリアミド樹脂組成物であって,無機充填剤として二酸化チタンを用いる場合には,特に照明器具等の白色系の樹脂部品用途に適したものである。これは,照明器具等という用途のみならず,高温雰囲気かつ紫外線照射下での変色防止効果と機械的物性という特性からしても,LEDリフレクタ成形用樹脂組成物に極めて近い技術分野に属するものといえる。 また,上記刊行物5の記載によれば,刊行物5には,充填物で強化したポリアミ ド樹脂組成物に熱安定剤を添加したものは,剛性が高く,寸法安定性に 成物に極めて近い技術分野に属するものといえる。 また,上記刊行物5の記載によれば,刊行物5には,充填物で強化したポリアミ ド樹脂組成物に熱安定剤を添加したものは,剛性が高く,寸法安定性に優れた上で,熱安定性も有するため,ランプソケット,ランプインナーハウジング,リフレクター等の高熱部で使用されてきたが,熱酸化劣化による変色を低減するために,銅系の熱安定剤を添加するとともに,樹脂100重量部に対して酸化チタンを1重量部以上配合すること,強度の観点からその上限を100重量部とすることが記載されていることが認められ,これも,リフレクターという用途のみならず,寸法安定性,熱安定性,熱による変色の防止効果という特性からして,LEDリフレクタ成形用樹脂組成物に極めて近い技術分野に属するものである。 さらに,刊行物3は,上記1(3)イのとおり「発光ダイオード用リフレクター」であるから,本願発明1と用途が同じであり,「ナイロン46 60~95重量%と酸化チタン5~40重量%」(特許請求の範囲)(判決注:樹脂(ナイロン)100重量部に対して換算すると,酸化チタンの割合は約5~約67重量部となる。)とすることで,満足な反射率と成形性,機械的強度を両立したものである。 このように,刊行物3~5は,いずれも本願発明1のLEDリフレクタ成形用樹脂組成物と重複するか,極めて近い技術分野に属するものであって,酸化チタンの配合量が少なすぎると満足な反射率や変色抑制効果といった光学的特性が得られず,多すぎると成形性や強度等の機械的物性が劣るという技術事項を開示しており,当該技術事項が当業者に広く認識されていたものであるといえるから,当業者であれば,引用発明1組成物についても,その技術事項の観点から酸化チタンの配合量の適正範囲を決定することは,容易である。そ り,当該技術事項が当業者に広く認識されていたものであるといえるから,当業者であれば,引用発明1組成物についても,その技術事項の観点から酸化チタンの配合量の適正範囲を決定することは,容易である。そして,樹脂100重量部に対して15~70重量部という範囲は,刊行物3~5に開示された範囲とほぼ重複するものである。 ウしたがって,審決の「引用発明1に係るポリアミド組成物における酸化チタンの配合量を,ポリアミド樹脂100重量部に対して15~70重量部の範囲に設定することは,当業者が容易に想到しうるものである」(11頁19行~21行)とした判断に,誤りはない。 (3) 原告は,本願発明1は,酸化チタンの粒径と配合量が一体となって課題を解決したものであるのに,審決は両者の組合せについての容易想到性を検討せず,誤った結論に至った旨主張する。 しかしながら,本願明細書には,「酸化チタンの平均粒径と使用量を上記の範囲内とすることにより,白色度が高く,表面反射率の高い成形品を与えるポリアミド組成物を得ることができる」(【0023】)という一般的記載があるだけで,酸化チタンの粒径と配合量を変えた比較例など,粒径と配合量の両者が一体となって効果を発揮することを示す具体的根拠は見いだせず,原告の主張を採用することはできない。 (4) 以上のとおり,取消事由2は理由がない。 3 取消事由3(本願発明1の効果の看過)について(1) 原告は,本願発明1は紫外線照射による変色による反射率の低下が顕著に小さいという効果を有することが,本願明細書【表1】に示されていると主張する。 (2) そこで,本願明細書【表1】(別紙参照)について検討する。 酸化チタン,強化材,光安定剤,離型剤の配合量からして,実施例1,5と比較例2,3を比較するのが適当であって れていると主張する。 (2) そこで,本願明細書【表1】(別紙参照)について検討する。 酸化チタン,強化材,光安定剤,離型剤の配合量からして,実施例1,5と比較例2,3を比較するのが適当であって,紫外線照射後の色調変化ΔLの値は,実施例1が2.1,実施例5が1.1,比較例2が3.3,比較例3が3.1である。 原告は,この結果について,配合する樹脂の種類が異なれば,同じ量的条件で酸化チタンを配合しても,紫外線照射による変色を低減し,反射率の低下を抑制する効果に大きな差異が生じるのであり,審決はLEDリフレクタ用に引用発明1組成物を選択することによって奏される効果を無視するものである旨主張する。 しかしながら,本願発明1組成物と引用発明1組成物は,配合する樹脂の種類に相違がない上,引用発明1組成物の用途であるランプリフレクタ等の反射鏡も,本願発明1組成物の用途であるLEDリフレクタと同様に,様々な波長の光を受け,反射する部材であるため,紫外線照射による変色による反射率の低下が小さいことは前提となっているといえ,【表1】に示された反射率低下抑制効果が,刊行物1か ら予測できないものであるとはいえない。 また,本願発明1組成物は,引用発明1組成物とポリアミドは同一であり,配合する酸化チタンの平均粒径の範囲及び配合量の範囲が,それぞれ引用発明1の範囲内において,より狭く限定されたものであるところ,本願明細書には,本願発明1の平均粒径及び配合量の範囲において,本願発明1の用途であるLEDリフレクタ成形において特有の効果が奏されることが示されているわけでもない。 以上によれば,本願発明1に格別顕著な効果を見いだすことはできず,それと同旨の審決の判断に誤りはない。 原告は,引用発明1組成物をLEDリフレクタ成形用樹脂組成物に用いることが本 わけでもない。 以上によれば,本願発明1に格別顕著な効果を見いだすことはできず,それと同旨の審決の判断に誤りはない。 原告は,引用発明1組成物をLEDリフレクタ成形用樹脂組成物に用いることが本願優先日前に知られていなかったのであるから,臨界的意義は求められるべきでないと主張するが,引用発明1に係るポリアミド組成物を本願発明1のLEDリフレクタ成形用樹脂組成物に用いることが容易想到であることは,前記1(2)イのとおりであるから,原告の上記主張は採用することができない。 (3) 以上のとおり,取消事由3は理由がない。 4 取消事由4(本願発明1と先願発明Aとの相違点の判断の誤り)について(1) 原告が主張する取消事由4のうち,甲6,7に基づいて,LED等のリフレクタ成形用の樹脂組成物に配合するチタンとして,平均粒径が0.1~0.5μmの範囲内のものを用いるのが当業者に周知であると認定することが失当であるとの主張,刊行物3~5に基づいて,酸化チタンの配合量を,ポリアミド樹脂100重量部に対して15~70重量部の範囲に設定することは当業者が容易に想到し得るとすることが失当であるとの主張,及び,本願発明1は,平均粒径と配合量が組み合わされることで,課題を解決できたものであるとの主張は,上記2で検討したとおり,いずれも理由がない。 (2) 原告は,顔料ないし充填剤として用いる酸化チタンについては,それぞれの目的に合わせて各種平均粒径のものを採用することが本願優先日前に普通に行われている旨主張し,その例として甲11~15を提出する。 しかし,甲11に記載されているのは「非晶質シリコン薄膜型太陽電池用絶縁基板」であり,甲12に記載されているのは「プリント配線板及びその製造方法」であり,甲13に記載されているのは「接着芯地」であり,甲 し,甲11に記載されているのは「非晶質シリコン薄膜型太陽電池用絶縁基板」であり,甲12に記載されているのは「プリント配線板及びその製造方法」であり,甲13に記載されているのは「接着芯地」であり,甲14に記載されているのは「回路用基板」であり,甲15に記載されているのは「耐光性を向上した塩化ビニル用着色剤及び耐光性を向上した着色ケーブル」であり,これらに記載されている技術は,先願発明Aと技術分野を異にしているから,甲11~15に平均粒径が0.1~0.5μmとは異なる酸化チタンを用いた例が記載されていたとしても,そのことにより「LED等のリフレクタ成形用の樹脂組成物に配合する酸化チタン」の粒径について認定判断した審決の結論に影響を及ぼすものではない。 本願発明1と用途が一致する甲6,7において0.1~0.4μm及び0.21μmという本願発明1の範囲に入る粒径のものを用いていることからしても,本願発明1の酸化チタンの平均粒径及び配合量は,当業者にとって周知の技術を付加した程度のことにすぎないとした審決の判断に誤りはない。 (3) したがって,取消事由4は理由がない。 5 結論以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決にはこれを取り消すべき違法はない。よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官芝田俊文 裁判官岡本 岳 裁判官武宮英子 (別紙)【表1】 岡本岳 裁判官武宮英子 (別紙)【表1】

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