平成19(ワ)234 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年10月31日 仙台地方裁判所
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判決文本文7,925 文字)

- 1 -主文 被告らは,連帯して,原告A及び原告Bに対し,それぞれ2297万3544円及び内金2256万0982円に対する平成17年5月22日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 被告らは,連帯して,原告C及び原告Dに対し,それぞれ3031万3381円及び内金3011万4066円に対する平成17年5月22日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 原告らの被告らに対するそのほかの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,その4分の3を被告らの,その4分の1を原告らの負担とする。 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 第1当事者の求めた裁判 請求の趣旨(1)被告らは,連帯して,原告A及び原告Bに対し,それぞれ3149万7995円及び内金3108万1323円に対する平成17年5月22日から支払済みまで年5パーセントの割合による各金員を支払え。 (2)被告らは,連帯して,原告C及び原告Dに対し,それぞれ3883万3905円及び内金3863万4590円に対する平成17年5月22日から支払済みまで年5パーセントの割合による各金員を支払え。 (3)訴訟費用は被告らの連帯負担とする。 (4)仮執行宣言 請求の趣旨に対する被告Eの答弁(1)原告らの請求をいずれも棄却する。 (2)訴訟費用は原告らの負担とする。 第2当事者の主張- 2 - 請求原因(1)本件事故の発生F,Gは,以下の交通事故(以下「本件事故」という)に遭った。 。 ア日時平成17年5月22日午前4時14分ころイ場所多賀城市HI丁目J番K号の先にある信号機により交通整理が行われているT字交差点(以下「本件交差点」という)。 ウ加害車両被告Lが運転し,被告E 17年5月22日午前4時14分ころイ場所多賀城市HI丁目J番K号の先にある信号機により交通整理が行われているT字交差点(以下「本件交差点」という)。 ウ加害車両被告Lが運転し,被告Eが同乗していた普通貨物自動車(宮城○○○○○○○)エ事故態様被告Lは,被告Eと飲酒し,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で,前記日時ころ,加害車両を,,運転し対面信号が赤色を表示しているのを見落として時速約60キロメートルで,本件交差点に進入し,本件交差点の出口に設けられた横断歩道の手前で停止していたMが運転する車両に加害車両を衝突させ,さらに,歩行者用信号機の青色表示に従ってこの横断歩道を横断中,あるいはこの横断歩道の手前にいたF,Gに,加害車両又はMが運転する車両を衝突させて,傷害を負わせた。 オ傷害結果Fは,頚椎骨骨折などの傷害を負い,その場で即死した。Gは,頭蓋底骨折などの傷害を負い,同日午前5時34分ころ,搬送先の病院で死亡した。 (2)責任原因ア被告Lは,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で,加害車両を運転し,赤信号を見落として進入した本件交差点で,本件事故を引き起こし,F,Gを死亡させた。被告Lには,民法709条に- 3 -基づいて,この事故によりF,G,原告らに生じた損害を賠償する責任がある。 イ(ア)被告Eは,被告Lと暴走族の先輩,後輩の関係であった。 本件事故の前にも,被告Lが運転する車両に同乗して,飲食店に行き,そこで被告Lが飲酒していることを分かった上で,その運転する車両で,自宅に送ってもらうことが何回かあった。 (イ)被告Eは,平成17年5月21日(本件事故の前日)も,被告Lが運転する加害車両に同乗して,居酒屋,パブ,クラブを回り,同日の午後9時ころから同月22日の午 に送ってもらうことが何回かあった。 (イ)被告Eは,平成17年5月21日(本件事故の前日)も,被告Lが運転する加害車両に同乗して,居酒屋,パブ,クラブを回り,同日の午後9時ころから同月22日の午前3時30分ころまで,ふたりで飲酒した。 被告Eは,これらの店で,被告Lの飲酒を制止していない。被告Lが加害車両を運転してこれらの店に行くとき,飲酒していることを分かっていたのに,運転を制止していない。 (ウ)被告Eは,同日午前3時47分ころ,被告Lに対し,多賀城市内にある自宅に送るよう頼んで,仙台市N区O町内に駐車していた加害車両を運転させた。 加害車両を運転していた被告Lは,同日午前4時14分ころ,本件事故を引き起こした。 (エ)このような被告Eの行為は,被告Lの行為と密接に関連し,本件事故の発生について,被告Lの行為と共同して原因を与えたものというべきであるから,被告Eには,民法709条,719条1項前段に基づいて,この事故によりF,G,原告らに生じた損害を賠償する責任がある。 (3)相続原告A及び原告BはFの,原告C及び原告DはGのそれぞれ両親である。 - 4 -(4)損害F,原告A及び原告Bは別紙1記載の,G,原告C及び原告Dは別紙2記載の損害を被った。 (5)よって,原告らは,被告らに対し,民法709条,719条1項に基づいて,①原告A及び原告Bについては,それぞれ3149万7995円及び内金3108万1323円に対する平成17年5月22日から支払済みまで民法で定める年5パーセントの割合による遅延損害金②原告C及び原告Dについては,それぞれ3883万3905円及び内金3863万4590円に対する平成17年5月22日から支払済みまで民法で定める年5パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 請求 告Dについては,それぞれ3883万3905円及び内金3863万4590円に対する平成17年5月22日から支払済みまで民法で定める年5パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 請求原因に対する認否(被告L)争うことを明らかにしない。 (被告E)(1)請求原因記載(1)の事実のうち,エの事実は知らない。そのほかの事実はいずれも認める。 (2)同記載(2)イ(ア)ないし(ウ)の各事実のうち,被告Eが自宅に送るよう頼んだ事実は否認する。そのほかの事実はいずれも認める。 被告Eが原告らに対して損害賠償責任を負うこと自体は争わない。 (3)同記載(3)の事実は認める。 (4)同記載(4)の主張は争う。 原告らが主張する葬儀関連費用,逸失利益,慰謝料,弁護士費用は過大である。 また,被告Eは,自宅に送るよう頼んでいないし,本件事故当時,加- 5 -害車両で睡眠をしていただけであるから,その悪質さは被告Lと比べてさほど高いとは言えない。負担すべき慰謝料は被告Lと同額とされるべきではない。 理由 第1被告Lに対する請求について被告Lは,請求原因事実を争うことを明らかにしないので,これらの事実を自白したものとみなす。 したがって,被告Lには,原告らに対し,民法709条に基づいて,本件事故により生じた損害(その額は第2で判断する)を賠償する責任が。 ある。 第2被告Eに対する請求 関係証拠(甲1~3〔枝番を含む)によると,請求原因事実記載(1)。〕エの事実が認められる。同記載(1)のほかの事実はいずれも争いがない。 同記載(2)イ(ア)ないし(ウ)の各事実のうち,被告Eが自宅に送るよう頼んだ事実のほかは,いずれも争いがなく,被告Eが原告らに対して損害賠償責任を負うこと自体は争っていない。 争いがない事実のほか,関係 (2)イ(ア)ないし(ウ)の各事実のうち,被告Eが自宅に送るよう頼んだ事実のほかは,いずれも争いがなく,被告Eが原告らに対して損害賠償責任を負うこと自体は争っていない。 争いがない事実のほか,関係証拠(甲3,8)によると,被告Lと被告Eは,加害車両で乗り付けて,平成17年5月21日午後9時ころから午後10時ころまで,多賀城市内にある居酒屋で飲酒した後,やはり加害車両を乗り付けて,同月22日午前3時30分ころまで仙台市N区内にあるパブ,クラブで飲酒していた。 被告Eは,このクラブを出るときに「頼むから」と告げている。これ。 までも,ふたりで飲酒した後,被告Lが運転する車両で,自宅に送ってもらうことが何回かあった。この日,被告Eは,多賀城市内から仙台市内に移動してから,最後に飲んでいたクラブを出るまでの間,加害車両をどう,,。 するのかどうやって帰宅するかについてはっきりと確認もしていない- 6 -そうすると,はっきりとしたやり取りまではなかったが,被告Eは,最後は飲酒した被告Lに加害車両で送ってもらうつもりで,加害車両に同乗して居酒屋などに行き,ふたりで飲酒し,実際に,自宅に送ってもらうよう頼んで,運転をさせたとみるのが相当である。 そして,被告Eは,この間,被告Lに対し,飲酒をすることや運転をすることを制止していない。もっとも,この間,被告Lが泥酔したり,眠そうにしている様子とは感じていなかった。しかし,自分より被告Lは酒に強いと思っていたが,吐いたり,眠り込んでいる自分と同じペースで飲んでいたと感じていた。それまで,ふたりで飲酒していたとき,この日のように6時間以上も飲み続けてから運転を始めたこともなかった。 このように,被告Eは,被告Lが飲酒運転する加害車両に同乗して運行の利益を受けるつもりで,その運転や飲酒を制止することな たとき,この日のように6時間以上も飲み続けてから運転を始めたこともなかった。 このように,被告Eは,被告Lが飲酒運転する加害車両に同乗して運行の利益を受けるつもりで,その運転や飲酒を制止することなく,6時間以上もふたりで飲酒を続け,最後に飲んでいたクラブを出た時点で,相当量の飲酒をしていることを分かっていながら,運転を制止するどころか,自宅に送ってもらうよう頼んで,被告Lに加害車両の運転をさせた。その結果,被告Lは,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で,加害車両を運転し,本件事故を引き起こした。 そうすると,被告Eは,少なくとも,被告Lが引き起こした本件事故によるF,Gに対する加害行為を援助,助長したことは明らかである。被告Eには,自分でも認めているとおり,原告らに対し,民法709条,719条2項に基づいて,被告Lと連帯して,本件事故により生じた損害を賠償する責任がある。 原告らに対して賠償しなければならない損害額(1)治療費Gについて8万9787円関係証拠(甲7の2の1・2)によると,Gの治療費として,この金額がかかったことが認められる。 - 7 -(2)逸失利益各5332万8131円(,,),,,,関係証拠甲3甲5の1 によるとFGは本件事故当時いずれも15歳の女子高校生であり,67歳まで就労して収入を得られたはずなのに,本件事故により死亡したことで,得ることができなくなった。 その金額は,以下の計算で算出された金額とみるのが相当である。 485万4000円(賃金センサス平成16年第1巻第1表産業計全労働者の年収額)×(1-0.3〔生活費控除割合)×15.694〕9(67歳までの就労可能期間に対応するライプニッツ係数)=5332万8131円(3)死亡慰謝料各2500万 巻第1表産業計全労働者の年収額)×(1-0.3〔生活費控除割合)×15.694〕9(67歳までの就労可能期間に対応するライプニッツ係数)=5332万8131円(3)死亡慰謝料各2500万0000円ア本件事故は,被告Lが,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で,加害車両を運転し,赤信号を見落として進入した本件交差点で引き起こされたものである。青信号に従って横断歩道を横断中,あるいはこの横断歩道の手前にいたF,Gには何の落ち度もない。そ,,の事故態様がどれだけ悪質でその結果がどれだけ重大であったかは被告Lが,本件事故に関し,危険運転致死傷罪で,法定刑の上限である懲役20年の有罪判決を宣告されたことを挙げるまでもなく明らかである。F,Gは,本件事故当時,いずれも将来のある15歳の女子,,,高校生でありこのような事故に遭い死亡するまでに味わった苦痛無念さはとても短い言葉では表現できない。 そうすると,被告らが,本件訴訟で,本件事故のことを反省し,原告らに謝罪していることも考慮に入れても,F,Gの被った精神的苦痛を慰謝するための金銭は,各2500万円とみるのが相当である。 イ被告Eは,このことについて「自宅に送るよう頼んでいないし,,本件事故当時,加害車両で睡眠をしていただけであるから,その悪質- 8 -さは被告Lと比べてさほど高いとは言えない。負担すべき慰謝料は被告Lと同額とされるべきではない」と主張する。 。 しかし,共同不法行為者の被害者に対する損害賠償債務は不真正連帯債務と解される。このことは幇助の場合も同じである。この主張で挙げられる事情は,被告Lと被告Eとの間での求償がされるときに考慮され得るのにとどまり,被害者である原告らに対する責任を免れる根拠にはならない。 (4)相続原告A及び原告Bは である。この主張で挙げられる事情は,被告Lと被告Eとの間での求償がされるときに考慮され得るのにとどまり,被害者である原告らに対する責任を免れる根拠にはならない。 (4)相続原告A及び原告BはFの,原告C及び原告DはGのそれぞれ両親であることは争いがない。 したがって,原告A及び原告BはFの被告らに対する損害賠償請求権の2分の1ずつ3916万4065円(1円未満切捨て,以下も同じである)を相続した。同じく,原告C及び原告DはGの被告らに対する。 損害賠償請求権の2分の1ずつ3920万8959円を相続した。 (5)葬儀関連費用各75万0000円関係証拠(甲6の1の1~8,甲6の2の2~8)によると,原告A及び原告BはFの葬儀関連費用として398万3235円,原告C及び原告DはGの葬儀関連費用として188万円の支出をしたことが認められ,本件事故により生じたものとして被告らに負担させるべき費用は各75万円とみるのが相当である。 (6)固有の慰謝料各250万0000円本件事故の態様は前記(3)で挙げたとおりである。原告らが,大切に育ててきたF,Gを,わずか15歳で,突然,失ってしまったことで,精神的な苦痛を被ったことは容易に推察されるし,被告らに対して厳しい感情を抱くのももっともである。 そうすると,前記のとおり,被告らが,本件訴訟で,本件事故のこと- 9 -を反省し,原告らに謝罪していることも考慮に入れても,原告らが被った精神的苦痛を慰謝するための金銭は,各250万円とみるのが相当である。 なお,慰謝料の負担について,被告Eの主張が採用できないことは前記判断のとおりである。 (7)確定遅延損害金原告A及び原告Bについて各41万2562円原告C及び原告Dについて各19万9315円関係証拠(甲7の1の1・2)によると,原告A 用できないことは前記判断のとおりである。 (7)確定遅延損害金原告A及び原告Bについて各41万2562円原告C及び原告Dについて各19万9315円関係証拠(甲7の1の1・2)によると,原告A及び原告Bは,平成(「」。)17年9月7日に自動車損害賠償責任保険以下自賠責保険というから保険金3000万円,同年12月5日に日本興亜損害保険株式会社から人身傷害保険金1390万6167円(臨時費用10万円を除いたもの)の支払を受けた。 同じく,関係証拠(甲7の2の1・2)によると,原告C及び原告Dは,自賠責保険から同年8月26日に保険金3000万3300円,平成18年2月2日に保険金8万6487円の支払を受けた。 不法行為に基づく損害賠償債務は,損害の発生と同時に,何らの催告を要しないで遅滞に陥るものであって,後から自賠責保険などから元本債務に相当する損害のてん補があったとしても,そのてん補された損害金の支払債務に対する損害発生日である事故日から支払日までの遅延損害金は既に発生しているから,以下の計算のとおり,支払金額に対する事故日から支払日までの間の民法で定める年5パーセントの割合による(,,遅延損害金が生じていることが認められるなお原告C及び原告Dは平成17年8月26日に支払われた保険金のうち3000万円に相当する部分の確定遅延損害金だけを損害として主張しているので,そのほかの部分については判断しない。 。)- 10 -(原告A及び原告B)①自賠責保険関係3000万0000円×0.05(法定利率)×109日(事故日から支払日までの日数)÷365日=44万7945円②人身傷害保険金関係1390万6167円×0.05(法定利率)×198日(事故日から支払日までの日数)÷365日=37万7180円(原告C及び原 支払日までの日数)÷365日=44万7945円②人身傷害保険金関係1390万6167円×0.05(法定利率)×198日(事故日から支払日までの日数)÷365日=37万7180円(原告C及び原告D)3000万0000円×0.05(法定利率)×97日(事故日から支払日までの日数)÷365日=39万8630円(8)前記までの小計額原告A及び原告Bについて各4282万6627円原告C及び原告Dについて各4265万8274円(,,。)(9)損害のてん補てん補の日額は前記(7)で認定したとおりである原告A及び原告Bについて各2195万3083円(てん補後の金額・各2087万3544円)原告C及び原告Dについて各1504万4893円(てん補後の金額・各2761万3381円)(10)弁護士費用原告A及び原告Bについて各210万0000円原告C及び原告Dについて各270万0000円本件訴訟での認容額,訴訟の経過からすると,本件事故により生じたものとして被告らに負担させるべき費用は前記金額とみるのが相当である。 (11)合計額原告A及び原告Bについて各2297万3544円- 11 -原告C及び原告Dについて各3031万3381円第3 結論 以上によれば,原告A及び原告Bの本件請求はそれぞれ2297万3544円と確定遅延損害金を除いた2256万0982円に対する本件事故日である平成17年5月22日から支払済みまで民法で定める年5パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める部分は理由があり,そのほかの部分は理由がない。 原告C及び原告Dの本件請求はそれぞれ3031万3381円と確定遅延損害金を除いた3011万4066円に対する本件事故日である平成17年5月22日から支払済みまで民法で定める年5パーセントの割合によ 告C及び原告Dの本件請求はそれぞれ3031万3381円と確定遅延損害金を除いた3011万4066円に対する本件事故日である平成17年5月22日から支払済みまで民法で定める年5パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める部分は理由があり,そのほかの部分は理由がない。 よって,訴訟費用の負担について民事訴訟法65条1項ただし書,64条,61条を,仮執行の宣言について同法259条1項を適用して(相当ではないので,訴訟費用の負担を求める部分には仮執行の宣言を付さない,主文のとおり判決する。 。)仙台地方裁判所第1民事部裁判官近藤幸康

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