主文 1 被告らは,原告Aらに対し,連帯して,各5000円及びこれに対する平成24年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは,原告組合らに対し,連帯して,各5万円及びこれに対する平成24年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告市は,原告Bに対し,1万円及びこれに対する平成24年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,甲事件原告らに生じた費用の100分の97,被告市に生じた費用の100分の90及び被告Yに生じた費用の100分の97を甲事件原告らの負担とし,原告Bに生じた費用の100分の99及び被告市に生じた費用の100分の7を原告Bの負担とし,甲事件原告らに生じたその余の費用及び被告らに生じたその余の費用を被告らの負担とし,原告Bに生じたその余の費用を被告市の負担とする。 6 この判決は,第1項から第3項までに限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 甲事件請求(1) 被告らは,原告Aらに対し,連帯して,各30万円及びこれに対する平成24年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告らは,原告組合らに対し,連帯して,各100万円及びこれに対する平成24年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 乙事件請求被告市は,原告Bに対し,125万円及びこれに対する平成24年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 被告市の市長,交通局長及び水道局長(以下「市長等」という。)は,それぞれが所管する部局の職員に る平成24年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 被告市の市長,交通局長及び水道局長(以下「市長等」という。)は,それぞれが所管する部局の職員に対し,被告市の特別顧問である被告Yを代表とする第三者調査チームが作成した記名式での労使関係に関するアンケート(以下「本件アンケート」という。)に回答することを命じる職務命令を発出し,本件アンケートに対する回答が回収されたが,同回答は開封等されることなく廃棄された。 甲事件は,被告市の職員である原告Aら28名並びに被告市の職員により組織された労働組合,職員団体又はこれらの連合団体である原告組合ら5団体が,本件アンケートは上記原告らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害するなどして違憲・違法なものであるところ,市長等は,本件アンケートに回答することを命じる違法な職務命令を発出し,被告市の担当者は,本件アンケートの実施を決定するなどして,いずれも故意又は過失により,原告Aらに精神的損害を生じさせるとともに,原告組合らに無形的損害を生じさせたものであり,また,被告市の職員としての身分を有しない被告Yは,故意又は過失により,本件アンケートを作成してこれを実施させ,上記原告らに上記各損害を生じさせたものであり,被告市の公務員による行為と被告Yによる行為は共同不法行為を構成すると主張して,被告市に対しては国家賠償法1条1項及び民法719条1項に基づき,被告Yに対しては民法709条及び719条1項に基づき,連帯して,損害賠償金(原告Aらについては各30万円,原告組合らについては各100万円)及びこれに対する違法行為後の日(甲事件訴状送達日の翌日)である平成24年5月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の については各30万円,原告組合らについては各100万円)及びこれに対する違法行為後の日(甲事件訴状送達日の翌日)である平成24年5月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 乙事件は,被告市の職員として交通局に所属する原告Bが,上記のとおり本件アンケートは違憲・違法なものであるところ,交通局長は,本件アンケートに回答することを命じる違法な職務命令を発出して,故意又は過失により,原告Bに精神的損害及び弁護士費用相当額の損害を生じさせたと主張して,被告 市に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償金125万円及びこれに対する違法行為後の日(乙事件訴状送達日の翌日)である平成24年12月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア原告職員らについて(甲52の1から4まで,53の1から20まで,54,弁論の全趣旨)(ア) 原告職員らは,いずれも被告市の職員であり,その所属部局は,別紙3所属一覧表の「所属部局」欄記載のとおりである。 (イ) 原告職員らは,別紙3所属一覧表の「職員の種別」欄記載のとおり,単純労務職員,公営企業職員又は一般職員である。 原告職員らのうち,一般職員については労働組合法(以下「労組法」という。)の適用がなく(地公法58条1項),単純労務職員及び公営企業職員については労組法の適用がある(地公労法4条,同法附則5条)。 また,原告職員らのうち,一般職員については地公法36条の政治的行為の制限を受けるが,単純労務職員及び公営企業職員については同条の政治的行為の制限を受けない(地方公営企業法39条2項,地公労法附則5条)。 員らのうち,一般職員については地公法36条の政治的行為の制限を受けるが,単純労務職員及び公営企業職員については同条の政治的行為の制限を受けない(地方公営企業法39条2項,地公労法附則5条)。 (ウ) 原告職員らの任命権者は,市長部局に所属する者については市長,水道局に所属する者については水道局長,交通局に所属する者については交通局長である。 (エ) 原告職員らは,別紙3所属一覧表の「所属労働組合等」欄記載のとおり,原告L組合,同M組合,同N組合又は同O組合に所属している。 イ原告組合らについて(甲57,乙2の資料1,弁論の全趣旨) (ア) 原告K連合会は,原告L組合,同M組合,同N組合及び同O組合等の労働組合又は職員団体(以下,労働組合,職員団体又はその連合団体を区別せず,単に「労働組合」又は「組合」ということがある。)により構成された連合団体であり,平成23年10月1日時点で,構成団体の構成員数の合計は約2万8800名であった。 (イ) 原告L組合は,市長部局の一般職員等で構成された職員団体であり,平成23年10月1日時点で,構成員数は約1万0700名であり,加入率は約93.4%であった。 (ウ) 原告M組合は,市長部局の単純労務職員等で構成された労働組合であり,平成23年10月1日時点で,組合員数は約6400名であり,加入率は約99.6%であった。 (エ) 原告N組合は,交通局の公営企業職員等で構成された労働組合であり,平成23年10月1日時点で,組合員数は約6500名であり,加入率は約99.6%であった。 (オ) 原告O組合は,水道局の公営企業職員等で構成された労働組合であり,平成23年10月1日時点で,組合員数は約1600名であり,加入率は約99.6%であった。 (カ) 原告組合らのうち, (オ) 原告O組合は,水道局の公営企業職員等で構成された労働組合であり,平成23年10月1日時点で,組合員数は約1600名であり,加入率は約99.6%であった。 (カ) 原告組合らのうち,原告L組合は,労組法上の労働組合に該当せず同法の適用がないが,その余の労働組合又は連合団体は,同法の適用がある。 ウ被告市について(弁論の全趣旨)被告市は,地方自治法に基づく普通地方公共団体であり,地方公営企業として,自動車運送事業,鉄道事業及び軌道事業を行う交通局,並びに水道事業及び工業用水道事業を行う水道局(以下,交通局と併せて「交通局等」という。)を設置し,これらの管理者として,それぞれ交通局長及び水道局長(以下「交通局長等」という。)を置いている。 被告市の市長は,平成23年12月19日に就任したZ市長である(以下,単に「市長」というときは,Z市長を指す。)。 エ被告Yについて(乙1,丙31,被告Y本人)被告Yは,商法を専門とするP大学法科大学院の教授であるとともに,弁護士資格を有している。 被告Yは,金融庁・法令等遵守調査室長,厚生労働省・年金記録問題に関する特別チーム室長,東京電力福島原子力発電所事故調査委員等の公職を歴任しており,平成22年7月に日本弁護士連合会が策定した「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「日弁連ガイドライン」という。)の起草メンバーも務めた。 (2) 被告市が従前実施した労使関係に関するアンケートア被告市は,平成16年11月頃から,被告市における職員厚遇問題が大きく報道されるようになったことを受けて,同年12月,同問題等について検討するため,大阪市福利厚生制度等改革委員会(以下「改革委員会」という。)を設置した。そして,被告市の助役(当時)を委員長とし,R・S大 れるようになったことを受けて,同年12月,同問題等について検討するため,大阪市福利厚生制度等改革委員会(以下「改革委員会」という。)を設置した。そして,被告市の助役(当時)を委員長とし,R・S大学教授(以下「R教授」という。)らを委員とする改革委員会は,平成17年4月から平成18年7月にかけて,7次にわたる報告書を作成した。(甲25,26,乙2)改革委員会は,平成17年4月の第1次報告書において,被告市における本質的問題の一つとして労使関係の在り方を指摘し,平成18年5月の第5次報告書において,労使関係の健全化について,職員団体及び労働組合との交渉等に関するガイドライン案を提示するとともに,全職員を対象とする定期的なアンケートの実施を提言するなどした。(乙8)イ被告市の経営企画室及び総務局は,改革委員会における議論と並行して,平成18年3月,全職員を対象に,「あなたの職場において労使関係の実態について疑問に思われることや労使関係の健全化を図っていく上で参考 になると思われることがあれば,自由に記入願います」という内容での,無記名式で任意のアンケートを実施した。同アンケートは,対象職員数4万4027名中の有効回答数1132件であり,労使関係に問題がないとする意見が79件,問題があるとする意見が82件であった。 (甲26,乙2,8)また,被告市の総務局は,同年10月にも,上記アンケートと同内容のアンケート(以下,上記アンケートと併せて「平成18年アンケート」という。)を再度実施した。同アンケートは,対象職員数5万3262名中の有効回答数642件であり,労使関係に問題がないとする意見が34件で,問題があるとする意見が29件であった。(甲24,26,乙2)(3) 本件アンケートの内容(なお,以下の(3)から(6)まで 有効回答数642件であり,労使関係に問題がないとする意見が34件で,問題があるとする意見が29件であった。(甲24,26,乙2)(3) 本件アンケートの内容(なお,以下の(3)から(6)までの日時は,特記しない限り,平成24年を指す。)ア平成24年2月10日から同月16日までの間に実施された本件アンケートは,設問項目1から22までで構成されており(以下,設問については,別紙4主張対照表の「番号欄」記載のとおり「Q1」などと略称する。),各設問における質問内容及び回答方法は,別紙4主張対照表の「設問内容」欄記載のとおりである。 イ本件アンケートにおける各設問における質問事項はおおむね下記のとおりであり,各設問について,あらかじめ選択肢及び回答欄が設けられている。(甲1)なお,本件アンケートのうち,Q6からQ9までの一部,Q16の一部,及びQ17からQ20までの全部については,任意回答であることが明記されている。(甲1)記Q1 回答者の氏名 Q2 職員番号Q3 所属部署Q4 職種Q5 職員区分Q6 労働条件に関する組合活動への参加の有無等Q7 特定の政治家を応援する活動への参加の有無等Q8 職場の関係者からの特定の政治家への投票要請の有無等Q9 紹介カード(特定の選挙候補者陣営への提供を目的として,知人・親戚などの情報を提供するためのカード。以下同じ。)の配布を受けた事実の有無等Q10 組合の幹部が職場において優遇されていると思うか等Q11 職員の採用で有利に扱ってもらった者がいるか等Q12 職場において選挙のことが話題になったか等Q13 職場における組合活動及び選挙運動で問題のないものはどれか等Q14 被告市の広報活動についてどのように感じているか らった者がいるか等Q12 職場において選挙のことが話題になったか等Q13 職場における組合活動及び選挙運動で問題のないものはどれか等Q14 被告市の広報活動についてどのように感じているか等Q15 被告市における組合活動や選挙運動に関する自由回答Q16 労働組合加入の有無等Q17 労働組合に加入するメリットをどう感じているか等Q18 労働組合にどのような力があると思うか等Q19 労働組合に加入しないことによる不利益はどのようなものがあると思うか等Q20 労働組合に待遇等の改善について相談したことがあるか等Q21 組合費がどのように使われているか知っているか等Q22 平成17年の職員厚遇問題を受けての労使関係の適正化による職場の変化についてどう思うか等 (4) 本件アンケートの実施に至る経緯等ア被告Yの特別顧問就任等について(ア) 被告Yは,1月10日,被告市の特別顧問であったW(以下「W特別顧問」という。)と面談して,被告市の職員による違法行為や勤務時間内組合活動等の不適正行為(以下,違法行為及び不適正行為を併せて「違法行為等」という。)が発生している原因について,3月末までに第三者調査を行うことを依頼されるとともに,市長からも,短時間の電話で同調査を依頼された。(丙31,被告Y本人)なお,W特別顧問は,政策コンサルティングを主たる業とする株式会社WWの代表取締役であり,平成23年12月27日に,市長から,特別顧問を委嘱されていた。(乙19,丙31)(イ) 被告Yは,1月12日,「大阪市特別顧問及び特別参与の設置等に関する要綱」(以下「特別顧問設置要綱」という。)に基づき,市長から,特別顧問を委嘱された。(丙12)特別顧問設置要綱は,平成23年12月22日から施行されたもので 特別顧問及び特別参与の設置等に関する要綱」(以下「特別顧問設置要綱」という。)に基づき,市長から,特別顧問を委嘱された。(丙12)特別顧問設置要綱は,平成23年12月22日から施行されたものであり,①特別顧問は,市長又はその指示を受けた者に対し,政策的又は専門的事項に関し,指導又は助言を行い,また,特別参与は,所属長又はその指示を受けた者に対し,政策的又は専門的事項に関し,指導又は助言を行うとともに,政策形成に参画すること,②特別顧問は市長から,特別参与は所属長から,それぞれ委嘱され,職員の身分を有しないこと,③特別顧問及び特別参与は,対面での指導又は助言を行った場合等に,これに要した時間に応じた謝礼を支給されること,④特別顧問及び特別参与は守秘義務を負うことなどを規定している。(乙3)(ウ) 市長は,1月21日,全局長及び全区長に対し,「特別顧問は僕の身代わりです。そして特別参与は特別顧問の補助機関。特別顧問や特別参与は,僕の代わりに担当部局や担当者にヒアリングや調査をやります。 アポイントなしの調査を含めて全てに従って下さい。拒否は僕に対しても拒めるものだけです。特別顧問や特別参与への協力拒否は,僕への拒否です。組織の隅々にまでこのことを徹底させて下さい」と記載した電子メールを送信した。(甲59)イ被告Yによる本件アンケート作成等について(ア) 被告Yは,2月4日から同月5日にかけて,本件アンケートの原案を一人で作成し,W特別顧問及び同月1日に特別参与に任命されていたV弁護士(以下「V特別参与」という。)の意見を聴いた上で,同月8日に本件アンケートを完成させた。(乙19,丙31,被告Y本人)なお,本件アンケートが完成して実施された時点においては,被告市における違法行為等に関する第三者調査を行うチーム( 聴いた上で,同月8日に本件アンケートを完成させた。(乙19,丙31,被告Y本人)なお,本件アンケートが完成して実施された時点においては,被告市における違法行為等に関する第三者調査を行うチーム(以下「本件調査チーム」という。)は,代表である被告Yに加え,W特別顧問及びV特別参与の3名で構成されていた。(乙2)(イ) 被告市の総務局人事部人事課(当時。以下「人事課」という。)の担当者(人事課長,同課長代理,同係長及び同係員を含む。以下「人事課担当者」という。)は,2月8日,被告Yから,本件アンケートの実施について知らされるとともに,各部局の人事担当部署において本件アンケートの配布及び回収を実施するよう指示された。(乙31,証人X)ウ本件アンケートに関する職務命令等について(ア) 被告Yは,本件アンケート調査への回答を職務命令により義務付けるため,W特別顧問に指示をして,2月9日付けで,下記1の内容の市長から各職員宛ての「アンケート調査について」と題する文書(以下「職員宛て市長メッセージ」という。),及び下記2の内容の市長から各所属長宛ての「アンケート調査の実施について」と題する文書(以下「所属長宛て市長メッセージ」といい,職員宛て市長メッセージと併せて「市長メッセージ」という。)を作成させ,その内容を了解した。 (甲4,5,被告Y本人)記1(職員宛て市長メッセージ)市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動,組合活動などについて,次々に問題が露呈しています。 この際,Y特別顧問のもとで,徹底した調査・実態解明を行っていただき,膿を出し切りたいと考えています。 その一環で,Y特別顧問のもとで,添付のアンケート調査を実施いただきます。 以下を認識の上,対応よろしくお願いします。 1)このア ・実態解明を行っていただき,膿を出し切りたいと考えています。 その一環で,Y特別顧問のもとで,添付のアンケート調査を実施いただきます。 以下を認識の上,対応よろしくお願いします。 1)このアンケート調査は,任意の調査ではありません。市長の業務命令として,全職員に,真実を正確に回答していただくことを求めます。 正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます。 2)皆さんが記載した内容は,Y特別顧問が個別に指名した特別チーム(市役所外から起用したメンバーのみ)だけが見ます。 上司,人事当局その他の市役所職員の目に触れることは決してありません。 調査票の回収は,庁内ポータルまたは所属部局を通じて行いますが,その過程でも決して情報漏えいが起きないよう,万全を期してあります。 したがって,真実を記載することで,職場内でトラブルが生じたり,人事上の不利益を受けたりすることはありませんので,この点は安心してください。 また,仮に,このアンケートへの回答で,自らの違法行為について,真実を報告した場合,懲戒処分の標準的な量定を軽減し,特に悪質な 事案を除いて免職とすることはありません。 以上を踏まえ,真実を正確に回答してください。 2(所属長宛て市長メッセージ)市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動,組合活動などについて,次々に問題が露呈しています。 この際,Y特別顧問のもとで,徹底した調査・実態解明を行っていただき,膿を出し切りたいと考えています。 その一環で,Y特別顧問のもとで,添付のアンケート調査を実施いただきます。 以下の対応をよろしくお願いします。 1)各所属長におかれては,Y特別顧問からの指示に基づき,調査票の配布,回収等を行ってください。 2)このアンケート調査は,任意の調査ではありませ だきます。 以下の対応をよろしくお願いします。 1)各所属長におかれては,Y特別顧問からの指示に基づき,調査票の配布,回収等を行ってください。 2)このアンケート調査は,任意の調査ではありません。市長の業務命令として,全職員に,真実を正確に回答していただくことを求めます。 正確な回答がなされない場合には処分の対象となりうることを含め,職員への周知徹底をお願いします。 3)調査票の記載内容を,記載した職員以外の職員(Y特別顧問が個別に示した特別チームを除く)が見ることは厳禁します。 調査票の回収は,庁内ポータルを通じて,または,紙の場合は封筒に封印して行いますが,その過程で,記載内容が漏れることが絶対にないようにしてください。 (イ) 被告Yは,2月9日正午頃,W特別顧問を通じ,市長に対し,市長メッセージ及び本件アンケートの各設問を記載した用紙(以下「本件アンケート用紙」という。)を示し,本件アンケートを実施することを伝えるとともに,本件アンケートへの回答を職務命令により義務付けるため, 市長メッセージに署名することを依頼した(以下,本件アンケートの作成及び上記職務命令発出の依頼を「本件アンケートの作成等」という。)。市長は,上記依頼を了承するとともに,本件アンケートの内容を確認したり修正を求めたりすることなく,そのまま市長メッセージに署名した(以下,職員宛て市長メッセージに記載された内容の市長から市長部局の各職員に対する職務命令を「市長職務命令」という。)。 (甲4,5,56,被告Y本人,弁論の全趣旨)(ウ) 人事課担当者は,2月9日午後1時頃,W特別顧問から,市長が署名した市長メッセージ及び本件アンケート用紙を受領し,本件アンケートを実施するよう指示された。そして,人事課の係員において,被告市の総務局長( 担当者は,2月9日午後1時頃,W特別顧問から,市長が署名した市長メッセージ及び本件アンケート用紙を受領し,本件アンケートを実施するよう指示された。そして,人事課の係員において,被告市の総務局長(以下,単に「総務局長」といい,人事課担当者と併せて「総務局長等」といい,市長等と併せて「市長・総務局長等」という。)から市長部局の各所属長宛ての「労使関係に関する職員のアンケート調査について(依頼)」と題する文書,及び市長から各任命権者(交通局長等)宛ての「労使関係に関する職員アンケート調査について(依頼)」と題する文書(以下,両文書を併せて「本件アンケート依頼文書」という。)を起案し,人事課担当係長,同課担当課長代理及び同課長が順次決裁(以下,この起案及び決裁を併せて「本件決裁」という。)し,同日午後4時頃,各部局の人事担当課長に対し,本件アンケート依頼文書を配布した。(甲46,乙31,証人X)総務局長は,各所属長宛ての上記文書を発出することにより,市長部局の各所属長に対し,本件アンケートの実施への協力を依頼した(以下,この協力依頼と本件決裁を併せて「本件決裁等」という。)。 本件アンケート依頼文書は,市長メッセージ及び本件アンケート用紙を別添し,「労使関係の適正化を図る取組みとして,別添市長メッセージのとおり,『労使関係に関する職員アンケート調査』を次のとおり実 施します。つきましては,所属職員に周知いただくとともに,調査についてご協力いただきますようよろしくお願いします」と記載され,同調査について,「調査内容」を本件アンケート用紙記載のとおりとし,「調査対象」を「大阪市職員(ただし,任期付職員,再任用職員,非常勤嘱託職員,臨時的任用職員を除く)」とし,「調査期間」を「2月10日(金)~16日(木)」とし,「調査実施の職員周 載のとおりとし,「調査対象」を「大阪市職員(ただし,任期付職員,再任用職員,非常勤嘱託職員,臨時的任用職員を除く)」とし,「調査期間」を「2月10日(金)~16日(木)」とし,「調査実施の職員周知及び調査方法」について,各所属長宛ての文書では,人事課から各職員の個人アドレス宛てに調査依頼を送付し,庁内ポータル上のアンケートサイト(以下「本件アンケートサイト」という。)を使用して回答及び集計を行うこととし,各任命権者宛ての文書では,本件アンケート用紙を各職員に配布して,各職員が封印した本件アンケート用紙入りの封筒を取りまとめて人事課に提出し,業者委託して集計することとしていた。 (甲2,3,46)(エ) 人事課担当者は,被告Yが作成した市長メッセージを参考に,下記内容の交通局長等から交通局等の職員宛ての「労使関係に関する職員のアンケート調査について」と題する文書(以下「交通局長等メッセージ」という。)を作成した。なお,下記は交通局長名義の文書における記載であり,水道局長名義の文書は,「交通局」とあるのが「水道局」となるのみである。(甲6,7,乙31,証人X)記市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動,組合活動などについて,次々に問題が露呈しています。 大阪市では,別添Z市長のメッセージのとおり,Y特別顧問のもとで,アンケート調査を実施します。 交通局としても,Z市長と同じ認識のもと,次のとおりアンケート調査を実施することとします。 ・このアンケート調査は,任意の調査ではありません。交通局長の業務命令として,全職員に,真実を正確に回答していただくことを求めます。 正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます。 ・記載したアンケートの内容は,Y特別顧問が個別に指名した特別チーム(市役所外から 全職員に,真実を正確に回答していただくことを求めます。 正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます。 ・記載したアンケートの内容は,Y特別顧問が個別に指名した特別チーム(市役所外から起用したメンバーのみ)だけが見ることができ,上司,交通局その他の市役所職員の目に触れることは決してありません。 調査票の回収は,職員課を通じて行いますが,その過程でも決して情報漏えいが起きないよう,万全を期してあります。 したがって,真実を記載することで,職場内でトラブルが生じたり,人事上の不利益を受けたりすることはありません。 ・また,仮に,このアンケートへの回答で,自らの違法行為について,真実を報告した場合,懲戒処分の標準的な量定を軽減し,特に悪質な事案を除いて免職とすることはありません。 以上を踏まえ,真実を正確に回答してください。 (オ) 交通局長等は,2月10日,人事課担当者から,交通局長等メッセージを示され,そのまま交通局長等メッセージに署名した(以下,交通局長等メッセージに記載された内容の交通局長等から交通局等の各職員に対する職務命令を「交通局長等職務命令」といい,市長職務命令と併せて「本件職務命令」という。)。(甲6,7,乙31,証人X)エ本件アンケートの実施について(ア) 人事課担当者は,2月10日,市長部局の各職員に対し,「労使関係に関する職員アンケート調査について」という件名で,職員宛て市長メッセージのPDFファイル及び「アンケートの回答手順」と題する文書ファイルが添付され,本文に下記内容が記載された電子メール(以下 「本件アンケート実施メール」という。)を送信して,本件アンケートの実施を周知した。(甲 び「アンケートの回答手順」と題する文書ファイルが添付され,本文に下記内容が記載された電子メール(以下 「本件アンケート実施メール」という。)を送信して,本件アンケートの実施を周知した。(甲3,20,58の3)記労使関係の適正化を図る取組みとして,庁内ポータルアンケートサイトにより,記名式のアンケート調査を行います。 このアンケートについての市長メッセージを添付しておりますので,必ずご覧頂きますようお願いします。 なお,市長メッセージのとおり,この調査は任意によるものではなく,市長の業務命令として行いますので,必ず回答するようにしてください。 また,真実を正確に回答しない場合には処分の対象となりえます。 調査方法庁内ポータルアンケートサイト回答方法については,添付ファイルを参考にしてください。 回答期間 2月10日(金)~16日(木)(イ) 交通局等の担当者は,2月10日,交通局等の各職員に対し,本件アンケート用紙,交通局長等メッセージ,職員宛て市長メッセージ及び本件アンケート用紙を封入する封筒を配布して,本件アンケートの実施を周知した。(甲2,原告C,同B各本人)オ本件アンケートの回答方法等について(ア) 市長部局に所属する各職員(ただし,任期付職員,再任用職員,非常勤嘱託職員,臨時的任用職員を除く。以下同じ。)は,市長職務命令により,2月10日から同月16日までの間に,本件アンケートサイトを通じて本件アンケートに回答することを義務付けられた。 (甲3,4,20)なお,本件アンケートサイトは,本件アンケートのQ1からQ5まで,Q7,Q8,Q10からQ12まで,Q14及びQ22に必ず回答しないと,本件アンケートを終了することができない仕組みとなっていた。 (弁論の全趣旨)また,上記各 ートのQ1からQ5まで,Q7,Q8,Q10からQ12まで,Q14及びQ22に必ず回答しないと,本件アンケートを終了することができない仕組みとなっていた。 (弁論の全趣旨)また,上記各職員が本件アンケートサイトにおいて回答したデータは,2月16日,被告市のサーバーからDVDに移行され,本件調査チームが同DVDを保管していた。(丙31,被告Y本人,弁論の全趣旨)(イ) 交通局等に所属する各職員(ただし,任期付職員,再任用職員,非常勤嘱託職員,臨時的任用職員を除く。以下同じ。)は,交通局長等職務命令により,2月10日から同月16日までの間に,本件アンケート用紙を用いて本件アンケートに回答することを義務付けられた。 (甲2,4,6,7)また,上記各職員が記入した本件アンケート用紙は,各職員が封筒に封入して封印したものが集められ,本件調査チームが全ての封筒を保管していた。(丙31)(5) 本件アンケートに関する救済の申立て等ア原告K連合会,同M組合,同N組合及び同O組合(以下「原告K連合会ら」という。)は,2月13日,大阪府労働委員会(以下「府労委」という。)に対し,本件アンケートの実施は原告K連合会らに対する支配介入の不当労働行為(労組法7条3号)に該当すると主張し,救済の申立てをした。 また,原告K連合会らは,同日,労働委員会規則40条に基づき,府労委に対し,本件アンケートの実施について,審査の実効確保の措置の申立てをした。(甲18)イ府労委は,2月22日,被告市に対し,審査の実行確保の措置として,府労委が原告K連合会らによる救済の申立ての当否について判断するまでの間,本件アンケートの続行を差し控えることを勧告した。 ウ甲事件原告らは,4月24日に甲事件の訴えを提起し,原告Bは,11月7日に乙事件 告K連合会らによる救済の申立ての当否について判断するまでの間,本件アンケートの続行を差し控えることを勧告した。 ウ甲事件原告らは,4月24日に甲事件の訴えを提起し,原告Bは,11月7日に乙事件の訴えを提起した。(顕著な事実) (6) 本件調査チームによる調査報告書の作成及び本件アンケートの回答の廃棄等ア本件調査チームは,原告K連合会らから救済及び審査の実効確保の措置の申立てがされたことを受け,2月17日,当面の間,本件アンケートの開封及び集計作業を凍結することとした旨を公表した。(乙4)イ本件調査チームは,3月1日,「大阪市役所で発見された違法ないし不適正行為について(調査中間報告)」(以下「本件中間報告書」という。)を作成した。(乙2,丙6)ウ本件調査チーム(代表である被告Y,W特別顧問及び特別参与13名の合計15名で構成)は,4月2日,「大阪市政における違法行為等に関する調査報告」(以下「本件調査報告書」という。)を完成させた。 (乙2)本件調査報告書には,本件アンケートを実施する契機となった被告市における違法行為等の内容,本件調査チームが本件アンケートを実施したこと,被告市が過去に実施した労使関係の実態に関するアンケートの回答率が低かったため,職務命令により本件アンケートに回答することを命じたことなどが記載されている。(乙2)エ被告Yは,本件調査報告書が完成し,被告市の特別顧問としての任期が4月9日に終了することから,同月6日,原告組合らの役員等の立会いの下で,本件アンケートの回答用紙及び回答データの入ったDVDについて,全て未開封のままシュレッダーにかけるなどして廃棄した。 (甲56,乙6,被告Y本人)(7) 府労委による救済命令等ア府労委は,平成25年3月25日,本件アンケート の入ったDVDについて,全て未開封のままシュレッダーにかけるなどして廃棄した。 (甲56,乙6,被告Y本人)(7) 府労委による救済命令等ア府労委は,平成25年3月25日,本件アンケートの実施主体は被告市であり,被告市が本件アンケートを実施したことは原告K連合会らに対する支配介入の不当労働行為に該当すると判断して,被告市に対し,「当市 が平成24年2月9日付け『労使関係に関する職員アンケート調査』を実施したことは,大阪府労働委員会において,労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後,このような行為を繰り返さないようにいたします」と記載した文書を原告K連合会らに交付することを命じる内容の救済命令(以下「本件救済命令」という。)を発した。(甲28)イ被告市は,本件救済命令を不服として,平成25年4月18日,中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対し,再審査の申立てをした。 (甲57)ウ中労委は,平成26年6月4日,府労委と同様に判断して,上記再審査の申立てを棄却する旨の命令をした。(甲57)被告市は,中労委による上記命令の取消しの訴えを提起しようとしたが,被告市の議会(以下「市会」という。)において,同訴え提起についての議案が否決されたため,本件救済命令は確定した。これを受けて,市長等は,上記アの内容の文書を原告K連合会らに交付した。(弁論の全趣旨) 2 争点(1) 被告市の国家賠償責任の有無。具体的には,本件アンケートが違憲・違法なものであるか否か,市長等による本件職務命令及び総務局長等による本件決裁等が国家賠償法上違法なものであるか否か,市長・総務局長等に故意又は過失が存在するか否かである。 (2) 被告Yの損害賠償責任の有無。具体的には,本件アンケートが違憲・違 び総務局長等による本件決裁等が国家賠償法上違法なものであるか否か,市長・総務局長等に故意又は過失が存在するか否かである。 (2) 被告Yの損害賠償責任の有無。具体的には,本件アンケートが違憲・違法なものであるか否か,被告Yを代表とする本件調査チームによる本件アンケートの作成等が不法行為法上違法なものであるか否か,被告Yに故意又は過失が存在するか否かである。 (3) 原告らの損害及び因果関係。具体的には,市長・総務局長等の違法行為及び被告Yの不法行為により原告らが被った損害の有無及びその額である。 3 争点(1)(被告市の国家賠償責任の有無)に関する当事者の主張(原告らの主張)(1) 主張の概要本件アンケートは,原告職員らの思想・良心の自由(憲法19条),プライバシー権(同13条),政治活動の自由(同21条)及び団結権(同28条)を侵害し,原告組合らの政治活動の自由(同21条)及び団結権(同28条)を侵害する違憲なものであるとともに,労組法7条3号に規定する不当労働行為に該当する違法なものである。 そして,市長等は,違憲・違法な本件アンケートへの回答を義務付ける本件職務命令を発出し,総務局長等は,本件決裁等により,違憲・違法な本件アンケートを実施することを決定するとともに,各所属長及び各任命権者に対してその実施を依頼したものであり,市長・総務局長等による上記各行為は,国家賠償法上の違法性を有する(なお,交通局等に所属する原告職員らについては,交通局長等職務命令のみが国家賠償法上の違法行為に該当する。)。 また,市長・総務局長等には,上記各行為をしたことについて故意又は少なくとも過失が存在する。 したがって,被告市は,原告らに対し,国家賠償法1条1項に基づき,市長・総務局長等による上記各行為によって原告らが被っ 務局長等には,上記各行為をしたことについて故意又は少なくとも過失が存在する。 したがって,被告市は,原告らに対し,国家賠償法1条1項に基づき,市長・総務局長等による上記各行為によって原告らが被った損害を賠償すべき責任を負う。 (2) 本件アンケートの違憲・違法性について以下のとおり,本件アンケートについては,実施の目的が違法なものであって,これを実施する必要性もなく,その手法も不相当なものであったし,個別の設問内容も,別紙4主張対照表の「原告ら」欄記載のとおり,調査の必要性がなく,原告らの憲法又は労組法上の権利を侵害するものであったから,本件アンケートは違憲・違法なものである。 ア本件アンケートの目的について本件アンケートは,平成23年11月の大阪市長選挙において原告組合らが市長の対立候補であったJ前市長(以下「J前市長」という。)を支持したことを市長が逆恨みし,原告組合らを敵視して,これを無力化しようとして実施されたものであり,その目的は違法なものであった。 すなわち,市長は,原告組合らがJ前市長を支持したことを逆恨みし,平成23年12月30日,「組合適正化プログラム」を打ち立てて,被告市の幹部又は特別顧問に対して指示をして,組合事務所の立ち退き通告及びこれに係る団体交渉の拒否,チェック・オフの廃止,労働組合に対する便宜供与を行わない旨定めた大阪市労使関係に関する条例(以下「労使関係条例」という。)の制定等の様々な組合無力化政策を進めてきた。そして,本件アンケートは,このような組合無力化政策の一部に位置付けられるものである。 イ本件アンケートの必要性について以下のとおり,本件アンケートについては,これを実施する必要性を基礎付ける具体的な事情は存在しなかった。 (ア) 本件アンケートの実施以前に被告Y である。 イ本件アンケートの必要性について以下のとおり,本件アンケートについては,これを実施する必要性を基礎付ける具体的な事情は存在しなかった。 (ア) 本件アンケートの実施以前に被告Yが把握していた被告市における問題点は,平成18年アンケートに基づく古いものであったり,職員による覚せい剤取締法違反のように労使関係と無関係のものであったりした。 (イ) また,被告市が大阪市庁舎(以下,単に「市庁舎」という。)に設置していた目安箱(以下「本件目安箱」という。)に入っていた投書についても,本件アンケートの実施時点では,10通を超える程度にすぎなかったし,その内容も,違法でも不当でもない内容も含まれる上に,投書をした者の憶測や伝聞が多く,具体性があるものはほとんどなかった。 (ウ) さらに,被告Yは,本件アンケートの実施以前に,わずか1名の内部告発者から,平成24年1月27日に2時間の聞き取りをしたのみであ り,3万名を超える被告市の職員のうちわずか1名からの聞き取りしかしていないこと自体が,本件アンケートの必要性を基礎付ける事実がなかったことを示している。 そして,仮に,上記内部告発者が具体的な事実を述べていたとすれば,被告Yは,本件アンケートの実施前に,当該事実に係る関係者からの事情聴取を先行させるべきであった。特に,上記内部告発者において,労働組合が人事に不当に関与していると述べていたのであれば,人事権を有していた管理職に対する調査を先行させれば,その真偽が容易に判明したはずである。 (エ) 加えて,本件アンケートは,具体的な違法行為の存在を明らかにしたり,その原因や類似の違法行為を調査したりするためのものではなく,将来の調査の端緒をつかむための探索的・網羅的なものであったにすぎない。 ウ本件アンケー は,具体的な違法行為の存在を明らかにしたり,その原因や類似の違法行為を調査したりするためのものではなく,将来の調査の端緒をつかむための探索的・網羅的なものであったにすぎない。 ウ本件アンケートの手法の相当性及び原告職員らの回答義務について以下のとおり,本件アンケートは,原告職員らに懲戒処分の威嚇力をもって回答を強制したもので,手法としての相当性を欠くだけでなく,最高裁昭和52年12月13日第三小法廷判決・民集31巻7号1037頁(以下「H社事件最判」という。)及び最高裁平成7年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事176号699頁(以下「G社事件最判」という。)の趣旨に照らせば,原告職員らの調査協力義務の範囲を逸脱しているものであった。 (ア) 本件職務命令には,本件アンケートへの回答が任意のものではなく,これに回答しなかった場合等には懲戒処分を受ける可能性があることが明記されていたため,原告職員らは本件アンケートに回答することを強制された。 その上で,本件アンケートは,記名式により,回答者を明確に特定す ることができる方法(Q1からQ5まで)により行われ,質問事項の一部(Q1からQ5まで,Q7,Q8,Q10からQ12まで,Q14,Q22)は,回答を拒否することができない質問方法であった。そして,市長部局の職員は,本件アンケートサイトを利用して回答するよう命じられ,個々の質問に回答しなければ本件アンケートを終了することができず,本件アンケートに回答することのみならず,個々の質問にまで回答することを事実上強制された。交通局等においては,本件アンケート用紙が用いられたが,交通局等の職員は,職場の上司から,度々,本件アンケートに回答すること及び全ての質問に回答することを指示された。 また,本件アンケートの実施に当たって添 おいては,本件アンケート用紙が用いられたが,交通局等の職員は,職場の上司から,度々,本件アンケートに回答すること及び全ての質問に回答することを指示された。 また,本件アンケートの実施に当たって添付された職員宛て市長メッセージ及び交通局長等メッセージ(以下「職員宛て市長メッセージ等」という。)には,「市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動,組合活動などについて,次々に問題が露呈しています」と記載されており,本件アンケートの設問内容も,違法又は不適切な政治活動や組合活動に関するものであった。そのため,回答者である被告市の各職員は,被告市が労働組合により違法又は不適切な活動が行われていると疑っていると受け取ることになり,本件アンケートは,被告市が組合活動全般を牽制する意図を有していることを強く印象付けるものとなっていた。 (イ) H社事件最判は,企業秩序に違反する行為があったことを前提として,使用者の行う企業秩序違反の調査について,秩序違反の調査に協力することがその職責に照らし職務内容となっていると認められる場合や,調査対象である違反行為の性質・内容,違反行為見聞の機会と職務執行との関連性,より適切な調査方法の有無等諸般の事情から総合的に判断して,労務提供義務を履行する上で必要かつ合理的であると認められる場合でない限り,労働者は調査への協力義務を負わないものとしている。 本件アンケートについては,原告らには秩序違反行為が何ら存在しないから,具体的な秩序違反行為を前提とするものではなかった。また,本件アンケートの対象者の大多数は,秩序違反を調査することが職務となっている者や秩序違反行為者を管理監督すべき立場にある者でも,具体的な秩序違反行為を見聞する機会があった者でもないところ,本件アンケートの内容は職務執行に関 多数は,秩序違反を調査することが職務となっている者や秩序違反行為者を管理監督すべき立場にある者でも,具体的な秩序違反行為を見聞する機会があった者でもないところ,本件アンケートの内容は職務執行に関連するものではなく,調査手法も不相当なものであったから,原告職員らはこれに協力する義務を負うことはない。 そうすると,H社事件最判の趣旨に照らせば,本件アンケートは原告職員らの調査協力義務の範囲を逸脱しているものであった。 (ウ) G社事件最判は,いわゆる36協定締結等の前提として,使用者が労働組合加入の有無を把握する必要があった事案において,組合員に動揺を与えることを目的として労働組合加入についての調査をしたと認められるような場合であれば格別,一般的に使用者が個々の労働者が組合員であるかどうかを知ろうとしたというだけで,直ちに不当労働行為に当たるとはいえないとしている。 本件アンケートについては,原告らには秩序違反行為が何ら存在しなかったから,本件アンケートを実施する必要はなかった。また,本件アンケート実施に至る経緯からすれば,本件アンケートは,市長が有していた原告組合らの無力化等の意図に基づき実施されたものと考えられる。 さらに,原告組合らは,自主的な調査を積極的に実行していく意向を示しており,原告組合らが協力しない状況などはなかったし,本件アンケートの実施に当たって,被告市が組合員に不当な動揺を与えない十分な配慮をしたともいえない。 そうすると,G社事件最判の趣旨に照らせば,本件アンケートは原告職員らの調査協力義務の範囲を逸脱しているものであった。 エ本件アンケートの設問内容について本件アンケートにおける個別の設問内容は,各職員の職務と無関係かつ原告組合らの活動全般にわたる無限定な質問であったり,原告組合らの内部 のであった。 エ本件アンケートの設問内容について本件アンケートにおける個別の設問内容は,各職員の職務と無関係かつ原告組合らの活動全般にわたる無限定な質問であったり,原告組合らの内部問題にわたる質問であったり,原告組合らに対する不当な印象を与え,その活動に萎縮効果をもたらす質問であったりした。 そして,本件アンケートの設問内容は,別紙4主張対照表の「原告ら」欄記載のとおり,原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するとともに,労組法7条3号に規定する不当労働行為に該当するものであった。 オ本件アンケートの実施主体について以下のとおり,本件アンケートの実施主体は被告市であると法的に評価すべきであるが,仮に,本件調査チームが本件アンケートの実施主体であっても,被告市が国家賠償責任を負うことには変わりがない。 (ア) 本件アンケートの実施主体については,①本件アンケートを実施する意思決定をした者は市長であること,②本件職務命令に基づき,本件アンケートに回答するよう命じた者は市長等であること,③市長・総務局長等は本件アンケートの内容を把握していたこと,④本件アンケート依頼文書には,本件アンケートの実施主体が被告市であることが明示されていたこと,⑤本件アンケート調査の実施は被告市が取り仕切っていたこと,⑥本件調査チームは被告市からの独立性・中立性を有しないことからすれば,被告市であると法的に評価すべきである。 なお,本件調査チームが被告市からの独立性・中立性を有しないことについては,①本件アンケートは,市長の指示の下,被告市の人的・物的資源を用いて行われ,本件職務命令によれば,被告市が回答内容の提供を受け,その内容を判断して懲戒処分をす 立性・中立性を有しないことについては,①本件アンケートは,市長の指示の下,被告市の人的・物的資源を用いて行われ,本件職務命令によれば,被告市が回答内容の提供を受け,その内容を判断して懲戒処分をすることも予定されていたと 解されること,②日弁連ガイドラインに反し,被告市が本件調査チームに対し,独立した第三者としての調査を委託したことを示す書面は存在しないだけでなく,本件調査チームのメンバーは被告市の特別顧問又は特別参与の地位にあり,独立した第三者委員会としての実質も備えていなかったこと,③本件調査チームの一員であるW特別顧問は,市長のブレーンとして,市長の指示の下で,被告市の人事評価制度,職員基本条例案,労使関係条例案,職員の政治的行為の制限に関する条例案等の検討・作成等を行っており,少なくとも市長と利害関係を有しているから,日弁連ガイドラインに反し,本件調査チームのメンバーは被告市と利害関係を有するものであったこと,④被告市,被告Y又は本件調査チームは,本件アンケート実施前に,被告市の職員や原告組合らに対し,本件調査チームが日弁連ガイドラインに基づく独立した第三者委員会であることなどを一切説明していないことから明らかである。 (イ) 本件アンケートは,被告市が実施したものであったというべきであるが,仮に本件調査チームが実施したものであったとしても,本件アンケートが強制的・権力的なものである以上,原告らの憲法又は労組法上の権利を侵害するものとして違憲・違法なものである。そして,被告市の公務員である市長・総務局長等が本件職務命令及び本件決裁等をしたものである以上,本件アンケートの実施主体が本件調査チームであったとしても,被告市が国家賠償責任を負うことに何ら変わりはない。 (3) 本件職務命令及び本件決裁等の国家賠償法上の違 本件決裁等をしたものである以上,本件アンケートの実施主体が本件調査チームであったとしても,被告市が国家賠償責任を負うことに何ら変わりはない。 (3) 本件職務命令及び本件決裁等の国家賠償法上の違法性についてア職務上の注意義務について職員に対してアンケートに回答することを職務上義務付ける職務命令を発出したり,アンケートの実施を決定したりするに当たっては,職務命令の発出やアンケート実施の決定をする者において,そのアンケートが職務に関連するものであること,及び職員や労働組合の権利を違法に侵害する ものではないことを確認しなければならない。 本件において,市長・総務局長等は,本件職務命令及び本件決裁等をするに当たり,本件アンケートの内容が職務上回答しなければならない事項であるか,職員や労働組合の権利を違法に侵害する内容となっていないかを確認し,仮に,職務と関連性のない事項及び職員や労働組合の権利を違法に侵害する事項が含まれていれば,本件アンケートの内容を修正・変更する措置を採ったり,本件職務命令を発出することを中止したりすべき職務上の注意義務を負っていた。 なお,総務局長等は,本件アンケートの実施を依頼する内容の本件決裁をし,各所属長及び各任命権者に対して本件アンケートへの協力を依頼しているところ,この行為は本件アンケートを実施することの決定にほかならないものである。 イ国家賠償法上の違法性について市長・総務局長等は,本件職務命令及び本件決裁等をする前に,本件アンケートの内容を現実に確認していた,又は少なくとも確認する機会があったところ,本件アンケートの内容を確認すれば,本件アンケートが職員の職務と関連性のない事項や職員及び労働組合の権利を侵害する事項が数多く含まれていることを知り得たにもかかわらず,上記注意義務に あったところ,本件アンケートの内容を確認すれば,本件アンケートが職員の職務と関連性のない事項や職員及び労働組合の権利を侵害する事項が数多く含まれていることを知り得たにもかかわらず,上記注意義務に違反して,違憲・違法な内容の本件アンケートを修正・変更する措置を採ることなく,漫然と本件職務命令及び本件決裁等をしたものである。 したがって,市長・総務局長等による本件職務命令及び本件決裁等は,国家賠償法上の違法行為に該当するものである。 (4) 市長・総務局長等の故意又は過失についてア市長等の故意又は過失について本件アンケートは,市長が,市長選において原告組合らがJ前市長を応援したことを不適切な政治活動であるとして,平成23年12月末から平 成24年1月初めにかけて,被告Yに労使関係の調査を依頼することを決定したことから具体化したものである。また,市長が,平成23年12月28日の施政方針演説において,「組合を適正化する,ここにも執念を燃やしていきたい」,「公務員の組合というものをのさばらしておくと国が破綻してしまいます」などと述べたように,本件アンケートは原告組合らの無力化政策の一部であった。 そして,市長等は,本件アンケートの設問内容が回答者の職務と関連性がなく,原告らの憲法又は労組法上の権利を侵害するものであることを熟知していたにもかかわらず,本件アンケートに回答するよう命じる本件職務命令を発出したものであり,原告らの権利を侵害したことについて故意が存在するというべきである。 また,仮に市長等が本件アンケートの内容を事前に確認していなかったとしても,本件アンケートに回答するよう命じる本件職務命令を発出するのであれば,市長等は,その内容や態様等が憲法や法律に違反しないよう調査・確認すべき注意義務を負っていたにもかかわ 認していなかったとしても,本件アンケートに回答するよう命じる本件職務命令を発出するのであれば,市長等は,その内容や態様等が憲法や法律に違反しないよう調査・確認すべき注意義務を負っていたにもかかわらず,このような調査・確認を怠ったものであるから,少なくとも過失が存在するというべきである。 イ総務局長等の過失について総務局長等は,行政機関の職員として,決裁過程において,違法な職務命令を発出しないよう調査・確認する注意義務を負っていたところ,このような調査・確認を怠ったものであるから,少なくとも過失が存在するというべきである。 なお,市長は,平成24年1月21日,全局長及び全区長に対し,特別顧問の指示に従うことを命じる内容の電子メールを送信しているが,これは,職務権限を持たない私人を職務上の上司とみなすよう命じるものであって,その内容が違法であることは明らかであるから,上記電子メールが 存在したとしても,総務局長等は上記注意義務を免れない。 (被告市の主張)(1) 主張の概要本件アンケートは違憲・違法なものではないし,本件アンケートは市政における違法行為等の原因解明を依頼された本件調査チームにより実施されたものであって,被告市及び市長・総務局長等はその内容に全く関与していない。そして,総務局長等は,本件調査チームによる本件アンケートの実施に協力するために本件決裁等をしたのみであって,その実施を決定したものではない。 また,市長等が本件職務命令により本件アンケートへの回答を義務付けたことについても,必要性と相当性があったから,市長等が本件職務命令を発出したことに国家賠償法上の違法性はない。 そして,市長・総務局長等には,本件調査チームにより違憲・違法な本件アンケートがされることについての予見可能性も結果回避可能性 ら,市長等が本件職務命令を発出したことに国家賠償法上の違法性はない。 そして,市長・総務局長等には,本件調査チームにより違憲・違法な本件アンケートがされることについての予見可能性も結果回避可能性も存在しなかったから,故意のみならず過失も存在しない。 したがって,被告市が原告らに対して国家賠償責任を負うことはない。 (2) 本件アンケートの違憲・違法性についてア本件アンケートの実施主体について本件アンケートの実施主体は,被告市ではなく,日弁連ガイドラインの基準を満たすように組織され,被告市から独立性・中立性を有する本件調査チームである。 被告市は,本件アンケートの実施及びその内容には関与しておらず,回答内容を確認することもできなかった。また,本件調査チームは,費用上の理由で本件アンケートサイトを利用したにすぎず,同サイトを利用するに当たっては,被告市が関与することができない形で外部業者に委託しているから,本件調査チームの独立性・中立性は否定されない。 なお,本件アンケート依頼文書は,各部局の責任者が主体となって本件アンケートを実施したかのような体裁となっているが,これは,本件調査チームの位置付けについて正確な事情を聞かされていない人事課担当者により起案されたことによるものであって,本件アンケートの実施主体が被告市であることを示すものではない。 イ第三者調査の必要性について市長が労働組合を嫌悪していたといった事実は存在しないし,当時の被告市の職員による不祥事や労働組合の問題は,表面化したものに限っても相当深刻なものであった。特に,公共団体については,民間企業と違って市場原理が働かず,労使関係や組織が独善的なものになりやすいし,首長が労使関係に介入せずに傍観していたとしても倒産のおそれがないという特殊性がある あった。特に,公共団体については,民間企業と違って市場原理が働かず,労使関係や組織が独善的なものになりやすいし,首長が労使関係に介入せずに傍観していたとしても倒産のおそれがないという特殊性がある。そして,現に,被告市においては,平成18年にも労使問題が顕在化したものの,完全に改善されたわけではなく,今日に至るまで様々な不祥事が生じてきて,市民の信頼を損ねてきていた。 そのため,具体的な不祥事の原因を究明するだけではなく,内部統制を図るためには,本件調査チームによる第三者調査の必要性が高かった。 ウ本件アンケートの目的,必要性,相当性及び設問内容等について本件アンケートは,市政における違法行為等の原因解明のために,被告市が被告Yを中心とする本件調査チームに依頼した調査の一環としてされたものである。そのため,被告市は,本件アンケートの実施の決定及びその具体的内容の作成に全く関与しておらず,本件アンケートの違憲・違法性については,被告Yの主張を援用する。 (3) 本件職務命令及び本件決裁等の国家賠償法上の違法性についてア本件職務命令について①本件アンケートの設問内容を作成した本件調査チームからの要請があったこと,②被告市の職員による不祥事が相次いでおり,本件調査チーム に徹底した調査及び実態解明をしてもらう必要があったこと,③平成18年アンケートの回収率が数%にとどまっており,効果的なアンケートにする必要があったことからすれば,市長等が本件職務命令によって本件アンケートへの回答を義務付ける必要性があった。 また,①使用者が業務命令で第三者による調査に協力させることは,日弁連ガイドラインで示されている手法であること,②本件職務命令において,本件調査チーム以外は本件アンケートの回答内容を見ることがなく,内容が外部に漏れ 務命令で第三者による調査に協力させることは,日弁連ガイドラインで示されている手法であること,②本件職務命令において,本件調査チーム以外は本件アンケートの回答内容を見ることがなく,内容が外部に漏れないことが明示され,実際にもこれが徹底されていたことからすれば,市長等が本件職務命令を発出したことには相当性があった。 したがって,市長等が本件職務命令を発出したことについて国家賠償法上の違法性はない。 イ本件決裁等について総務局長等は,本件調査チームの位置付けについて正確な事情を聞かされることなく,本件決裁等を順次行ったにすぎず,本件アンケートの実施を決定したものではない。 したがって,総務局長等が本件決裁等をしたことについて国家賠償法上の違法性はない。 (4) 市長・総務局長等の故意又は過失についてア市長等について被告市は,公務員の不祥事調査の専門家であり弁護士である被告Yに調査を依頼していたのであり,市長等は,被告Yにより違法な調査がされるはずがないと考えていたことから,本件職務命令を発出する前に本件アンケートの内容を確認すべきと考える予見可能性がなかった。 また,本件調査チームによる調査については,第三者調査という枠組み上,調査内容を事前に確認することが想定されていなかったし,その物理的時間もなかったため,市長等が本件アンケートを一時停止する結果回避 可能性もなかった。仮に,市長等が確認する機会があったとしても,被告Yがそれを許さなかったため,やはり事前に確認することはできなかった。 さらに,交通局長等は,本件アンケートの実施直前に,交通局長等メッセージへの署名を求められたものであり,事前に本件アンケートの内容を確認する機会がなかったため,更に結果回避可能性がなかった。 したがって,市長等が,本件アンケート ートの実施直前に,交通局長等メッセージへの署名を求められたものであり,事前に本件アンケートの内容を確認する機会がなかったため,更に結果回避可能性がなかった。 したがって,市長等が,本件アンケートの内容を確認することなく,本件職務命令を発出したことについて,過失は存在しない。 イ総務局長等について総務局長等は,本件調査チームによる調査が被告市から独立して行われるものであって,これに関与してはならないと認識していたのみならず,第三者委員会によるアンケートの実施はこれまでに経験したことのない事態であり,かつ急を要する状況であった。 そのため,総務局長等は,事前に本件アンケートの内容を確認していたとしても,立場上,設問内容を修正したり実施を中止したりする権限も期待可能性もなかった。 したがって,総務局長等が,本件アンケートの内容を確認することなく,本件決裁等をしたことについて,過失は存在しない。 4 争点(2)(被告Yの損害賠償責任の有無)に関する当事者の主張(甲事件原告らの主張)(1) 主張の概要本件アンケートは違憲・違法なものであるところ,被告Yは,本件アンケートを作成するとともに,市長等に本件職務命令を発出することを依頼して,本件アンケートを実施させたものであり,被告Yによる本件アンケートの作成等は不法行為法上の違法性を有する。 また,被告Yは,本件アンケートの作成等によって,甲事件原告らの憲法又は労組法上の権利等が侵害されることについて,故意又は少なくとも過失 が存在した。 したがって,被告Yは,甲事件原告らに対し,不法行為に基づき,被告Yの上記行為によって甲事件原告らが被った損害を賠償すべき責任を負う。そして,被告Yの不法行為と被告市の公務員の違法行為は共同不法行為を構成する。 (2) 本件アンケー し,不法行為に基づき,被告Yの上記行為によって甲事件原告らが被った損害を賠償すべき責任を負う。そして,被告Yの不法行為と被告市の公務員の違法行為は共同不法行為を構成する。 (2) 本件アンケートの違憲・違法性について本件アンケートが違憲・違法なものであることについては,争点(1)で述べたとおりである。 (3) 本件アンケートの作成等の不法行為法上の違法性について被告Yは,本件アンケートを作成した上で,W特別顧問を通じて,市長等に本件職務命令を発出することを依頼するとともに,総務局長等に本件決裁等をさせて本件アンケートを実施させた。 そして,本件アンケートが違憲・違法なものであることからすれば,被告Yによる本件アンケートの作成等は,不法行為法上の違法性を有するというべきである。 (4) 被告Yの故意又は過失についてア被告Yは,被告市が本件アンケートを実施すれば違憲・違法なものとなることを自認しているし,少なくとも法令精通義務を負う弁護士である被告Yにとっては,本件アンケートが違憲・違法なものであることは一見して明らかであった。 そうすると,被告Yは,本件アンケートの内容及びその態様が回答者の職務と関連性がない上に,甲事件原告らの憲法又は労組法上の権利を侵害するものであることを熟知していたというべきであるから,本件アンケートの作成等をしたことについて故意があったというべきである。 イ被告Yは,本件アンケートの作成等をする前提として,憲法や法律に違反することがないかについて,裁判例の分析等も含めて調査・確認すべき 注意義務を負っていた。 それにもかかわらず,被告Yは,上記注意義務に違反し,裁判例等さえ十分に分析することなく,本件アンケートの作成等をしたものである。 そうすると,少なくとも被告Yには過失があった 義務を負っていた。 それにもかかわらず,被告Yは,上記注意義務に違反し,裁判例等さえ十分に分析することなく,本件アンケートの作成等をしたものである。 そうすると,少なくとも被告Yには過失があったというべきである。 (5) 被告Yの不法行為責任等についてア被告Yは,被告市の職員の身分を有していないから,甲事件原告らに対し,不法行為に基づき,被告Yの上記行為によって甲事件原告らが被った損害を賠償すべき責任を負うというべきである。 イ市長・総務局長等の違法行為と被告Yの不法行為との間には客観的関連共同性があるから,被告市と被告Yは,民法719条1項に基づき,共同不法行為責任を負うというべきである。 (被告Yの主張)(1) 主張の概要本件アンケートは,被告市ではなく,被告Yを代表とする本件調査チームが実施したものであるところ,本件調査チームは,日弁連ガイドラインに沿って,被告市から独立性・中立性を有していた。そして,本件調査チームは,国又は公共団体ではなく,被告市の職員にとっての使用者でもないから,第三者調査として実施された本件アンケートによって,甲事件原告らの憲法又は労組法上の権利が直接侵害されることはない。 また,本件アンケートの実施については,高度の必要性があり,その手法及び設問内容も必要かつ相当なものであったから,違憲・違法なものではない。 そして,本件調査チームによる本件アンケート実施は,市政の適正化を目的とするものであって,労働組合の無力化を目的とするものではなかったから,被告Yに故意又は過失は存在しない。 したがって,被告Yが甲事件原告らに対して不法行為責任を負うことはな い。 (2) 本件アンケートの違憲・違法性について以下のとおり,本件アンケートについては,被告市から独立した中立の本件調査 って,被告Yが甲事件原告らに対して不法行為責任を負うことはな い。 (2) 本件アンケートの違憲・違法性について以下のとおり,本件アンケートについては,被告市から独立した中立の本件調査チームが実施したものであって,甲事件原告らの憲法又は労組法上の権利を直接侵害するものではないし,これを実施する高度の必要性があり,別紙4主張対照表の「被告ら」欄記載のとおり,その手法及び設問内容も必要性及び相当性を有するものであったから,違憲・違法なものではない。 ア本件アンケートの実施主体について以下のとおり,本件アンケートの実施主体は,被告Yを代表とする本件調査チームであった。そして,本件調査チームは,国又は公共団体ではなく,被告市の職員にとっての使用者でもないから,第三者調査としてされた本件アンケートによって,甲事件原告らの憲法又は労組法上の権利が直接侵害されることはない。 (ア) 被告Yが被告市の職員による違法行為等の実態解明についての調査を依頼されたのは,被告Yがこれまで金融庁を始めとする複数の省庁において,公務員の不祥事に関する第三者調査を手掛けてきたことによるものであり,本件調査チームによる調査は,第三者調査であることが当然に予定されていた。 また,本件調査チームは,調査の過程においても,終始一貫して,被告市や市長とは独立した立場で調査を行っており,被告Yが市長と面談をしたのは,特別顧問の発令を受けた時と,本件中間報告書及び本件調査報告書を交付した時を含め,わずか4回であり,それぞれ長くとも30分程度であった。本件調査チームは,本件アンケートの内容を含め,調査の手法や本件調査報告書の内容等について,被告市や市長の指示等は一切受けていない。 さらに,本件調査チームは,それまで被告市とは,契約関係,人的関 係そ は,本件アンケートの内容を含め,調査の手法や本件調査報告書の内容等について,被告市や市長の指示等は一切受けていない。 さらに,本件調査チームは,それまで被告市とは,契約関係,人的関 係その他一切の利害関係を有しておらず,被告Yは,市長とは全く面識も人的関係もなかった。 したがって,本件調査チームが被告市から独立かつ中立の立場で調査を行っていたことは明らかである。 なお,本件調査チームのメンバーが,特別顧問又は特別参与の肩書を有していたのは,職務上の秘密に関する守秘義務を負わせるとともに,調査に係る委託料を支払うための法的根拠が必要であったからにすぎず,何ら独立性・中立性を損なうものではない。 また,W特別顧問が被告市の条例案の作成等に関与したことについては,①W特別顧問が特別顧問に就任したのが,本件調査チームによる調査が行われるわずか2か月前である平成23年12月27日であること,②それ以前にW特別顧問が被告市と一切の利害関係がなかったこと,③W特別顧問は,被告市から特別顧問設置要綱に基づく謝礼以外の金員は受領していないことからすれば,W特別顧問の独立性・中立性を何ら損なうものではない。 (イ) 本件調査チームによる調査が第三者調査であったことは,その調査が日弁連ガイドラインに沿ったものであったことからも裏付けられている。 すなわち,日弁連ガイドラインは,民間企業のみならず,官公庁等の組織に対する第三者調査も対象としたものであるところ,本件調査チームによる調査は,調査報告書の起案権が本件調査チームに専属することや,調査報告書の内容を被告市に事前開示しないこと,被告市と利害関係を有しないことなど,日弁連ガイドラインに沿ったものであった。 なお,本件調査チームによる調査に当たって,本件調査チームと被告市との間で文書は取 の内容を被告市に事前開示しないこと,被告市と利害関係を有しないことなど,日弁連ガイドラインに沿ったものであった。 なお,本件調査チームによる調査に当たって,本件調査チームと被告市との間で文書は取り交わされていないが,日弁連ガイドラインは第三者委員会が全て遵守すべき規範を定めたものではなく,これに記載されたこと全てを行っていなければ第三者調査性が失われるようなものでは ない。そして,本件調査チームによる調査については,調査期限が平成24年3月末とされており,手続に時間を要する委任契約の締結が困難であったことや,公務員に対する第三者調査の場合は,依頼者からの干渉が行われる危険性が低いので,特段の文書を交わさないことが一般的であることなどからすれば,被告市との間で文書を交わさなかったことをもって,本件調査チームの独立性・中立性が損なわれるものではない。 (ウ) 本件調査チームによる調査が被告市から独立かつ中立の立場で行われていたことは,外形的にも明らかであった。 すなわち,被告Yは,調査を開始するに当たって,平成24年1月20日,被告市の担当者に対し,本件調査チームによる調査は,被告市から独立した第三者調査であること及び被告市の職員は調査に関与してはならないことを説明した上で,本件調査チームの作業スペースを当初予定されていた人事課前の会議室から,市庁舎屋上階にある会議室に移動させ,監視カメラを設置して部外者の侵入に備えるなど,被告市からの独立性・中立性を維持するための措置を採っていた。また,被告Yは,原告組合らに対し,平成24年2月1日に行われた意見交換において,被告市又は市長とは一線を画する立場で調査を行うことを明確にしていた。さらに,被告Yは,回答結果は本件調査チームのみが確認し,被告市の職員の目に触れることは決してない 日に行われた意見交換において,被告市又は市長とは一線を画する立場で調査を行うことを明確にしていた。さらに,被告Yは,回答結果は本件調査チームのみが確認し,被告市の職員の目に触れることは決してない旨を職員宛て市長メッセージに明確に記載しており,本件アンケートの回答についても,被告市の職員の目に触れない措置を採っていた。 イ本件アンケートの目的について被告Yは,被告市から独立かつ中立の立場で第三者調査を行うよう依頼されたものであり,本件アンケートは,飽くまで真のステークホルダー(利害関係者)である市民のため,被告市を市民不在の組織から市民のための組織に,真に職員が働きやすい透明で公正な組織に改善していくこと を目的としていた。 被告Yは,被告市及び市長との間に,一切の利害関係を有していなかったものであり,市長による労働組合無力化政策が事実であったとしても,これに荷担しなければならない理由はなかった。 ウ本件アンケートの必要性について以下のとおり,本件調査チームが職員全体を対象とする本件アンケートを実施したことについては,高度の必要性があったものである。 (ア) 被告Yが第三者調査の依頼を受けた時点で,被告市では,殺人未遂や覚せい剤取締法違反等の重大事犯及び実質的ヤミ専従(専従届を出していないにもかかわらず専従行為をしている「ヤミ専従」と異なり,完全に職場を離脱しているわけではない場合を「実質的ヤミ専従」と呼んでいる。)等の違法行為等が多数表面化していた。 被告Yは,調査の開始に当たり,改革委員会の委員を務めたR教授,市会交通水道委員会において実質的ヤミ専従を指摘した市会議員,幹部職員を含む被告市の関係者,被告市の内部通報窓口等を長く務めていたK弁護士,及び被告市の内部告発者からのヒアリングを行うとともに,改革 会交通水道委員会において実質的ヤミ専従を指摘した市会議員,幹部職員を含む被告市の関係者,被告市の内部通報窓口等を長く務めていたK弁護士,及び被告市の内部告発者からのヒアリングを行うとともに,改革委員会等における過去の調査資料や本件目安箱への投書等を確認した。 その結果,被告Yは,上記のような不祥事が多発する背景には,従前から続く労使癒着の構造(使用者である被告市と多数派の労働組合が結託して,その地位を確保する一方,非正規雇用の職員や少数派の労働組合が虐げられるといった状況)が存在し,このような構造的問題があることにより,真のステークホルダー(利害関係者)である市民の利益が害されている可能性が高いとの心証を抱くようになった。 (イ) その上で,被告Yは,このような状況が改善されない原因としては,①労使の間で不祥事を黙認し合う体質が温存されていることを被告市の 職員が十分に認識しながら,何らかの圧力や権力に屈し,何も言えない状態にあるか,又は,②使用者側と労働組合がこの状況を良しとして明示的若しくは黙示的に結託して隠ぺいを図っているのではないかとの仮説を立てた。 そして,上記①の仮説が正しければ,個々の職員に対して秘密の厳守を約束してヒアリングをするなどの方法により真実を解明することができる可能性があった。しかし,被告市の職員からは,現在では問題は全て解決されているという回答ばかりがあったり,実質的ヤミ専従の問題が指摘されていた交通局による調査は,表面的なものにとどまっていて,正確な調査が望めなかったり,原告組合らが自主調査に向けた動きを見せなかったりしたことから,被告Yは,被告市における問題は,上記②の仮説が該当する可能性が高いと考えた。 (ウ) そこで,被告Yは,上記②の仮説が正しければ,管理する側からのヒアリン た動きを見せなかったりしたことから,被告Yは,被告市における問題は,上記②の仮説が該当する可能性が高いと考えた。 (ウ) そこで,被告Yは,上記②の仮説が正しければ,管理する側からのヒアリング調査を行うだけでは問題の実態は明らかにならないこと,個別具体的な事象について質問をするだけではその根本にある原因の解明を期待することができないこと,不祥事調査の場面においては,職場への不満や私怨から虚偽の内部告発を行う者がおり,内部告発の信用性を確認するためにも,対象を限定することなく情報を得ることが必要であったことから,事実解明の手法として,職員全体を対象とするアンケートを実施することとしたものである。 なお,違法行為等が発生する背景にある企業風土又は統制環境を把握する上でアンケートの実施が有用であることは,日弁連ガイドラインでも示されており,実際にも,被告Yは,社会保険庁における調査の際,職員等に対するアンケートを実施し,一定の成果を上げていた。 エ本件アンケートの手法の相当性及び原告職員らの回答義務について以下のとおり,本件アンケートの実施に当たり,本件職務命令が発出さ れていることについては必要性及び相当性があったから,本件アンケートの手法は相当なものであった。 (ア) 本件アンケートの実施に当たって本件職務命令が発出されているところ,第三者委員会が,企業等に対し,従業員等に第三者委員会による調査について優先的に協力することを業務として命令することを求め,これに応じて企業等が業務命令を発出することは,日弁連ガイドラインでも示されている正当な手法である。 特に,被告市においては,改革委員会により,過去2度にわたり労使関係に関する平成18年アンケートが実施されているが,これらはいずれも極めて低い回収率にとどまっており 示されている正当な手法である。 特に,被告市においては,改革委員会により,過去2度にわたり労使関係に関する平成18年アンケートが実施されているが,これらはいずれも極めて低い回収率にとどまっており,本件アンケートの実効性を高めるためには,本件職務命令が不可欠であった。 また,第三者委員会の調査に対する協力を指示する業務命令をするに際し,調査に対して真実を述べることや,証拠の破棄,隠匿,改ざんや口裏合わせ等の調査妨害行為を禁止することの指示も必要であることは日弁連ガイドラインの解説において明確に認められている。現に,本件調査チームによる調査に際し,調査対象となる書類を破棄・隠匿するなどの非協力的な対応が確認されており,正確な回答を求める本件職務命令の必要性は明らかである。 さらに,本件調査チーム以外は本件アンケートの回答内容を見ないことを約束していたことから,懲戒処分事由の有無の確認のために市長等に上記回答内容を開示することは予定されておらず,本件職務命令において懲戒処分の対象として想定されていたのは,本件アンケートを物理的に妨害するなど,外形的な行為から懲戒処分が相当と考えられるような極めて悪質な場合に限られていた。 なお,本件アンケートが記名式とされたのは,調査の実効性を高めるためであり,被告市による懲戒処分を意図したものではない。 (イ) H社事件最判は,懲戒処分の前提となる調査協力義務の存否が問題となった事案であり,使用者による調査の違法性が問題となったものではないから,本件調査チームによる本件アンケートの違法性が問題となっている本件とは性質が異なっている。 また,本件アンケートの必要性に鑑みれば,H社事件最判の趣旨に照らしても,被告市の職員には本件アンケートへの調査協力義務が認められるというべきである。特に なっている本件とは性質が異なっている。 また,本件アンケートの必要性に鑑みれば,H社事件最判の趣旨に照らしても,被告市の職員には本件アンケートへの調査協力義務が認められるというべきである。特に,被告市の職員は公務員であり,公務員については一般の私人と比較して人権が制限されており,政治活動の自由及び労働基本権については明文で制約が認められていること,公務員については労使癒着のような不祥事の問題を自浄する作用が働きにくいことからすれば,公務員の具体的な職務の性質等によっては,私人よりも受忍すべき範囲が相対的に広く認められることが当然にあり得ると考えられる。 なお,甲事件原告らのうちには,労組法の適用を受けなかったり,地公法36条の政治的行為の制限を受けたりする者が含まれているから,本件アンケートが甲事件原告らとの関係で違法となるか否かについては,甲事件原告らそれぞれの属性を踏まえ,個別具体的に検討されるべきものである。 オ本件アンケートの設問内容について本件アンケートの内容は,別紙4主張対照表の「被告ら」欄記載のとおり,甲事件原告らの憲法又は労組法上の権利を侵害するようなものではない。 なお,被告Yは,被告市の職員の憲法又は労組法上の権利を侵害するという認識はなく,飽くまで第三者調査であることを前提に,相当な範囲で本件アンケートを作成したにすぎない。仮に,被告Yが,国又は公共団体が行うものとして本件アンケートの作成を依頼されていたならば,その前 提で,憲法又は労組法上の権利に配慮した設問内容を作成していた。 (3) 本件アンケートの作成等の不法行為法上の違法性について本件調査チームが実施した本件アンケートは違憲・違法なものではないから,被告Yによる本件アンケートの作成は,甲事件原告らに対する不法行為を構成するも ンケートの作成等の不法行為法上の違法性について本件調査チームが実施した本件アンケートは違憲・違法なものではないから,被告Yによる本件アンケートの作成は,甲事件原告らに対する不法行為を構成するものではない。 なお,仮に,本件アンケートの実施主体が被告市であるとすれば,本件アンケートの原案の作成という被告Yの行為は,被告市による本件アンケートの実施という公権力の行使の一部に関与したにすぎないことになるから,被告Yが個人責任を問われることはない。 (4) 被告Yの故意又は過失について被告Yが本件アンケートを実施した目的は,市政の適正化であり,労働組合の無力化を意図したものではないから,被告Yには故意又は過失は存在しないというべきである。 5 争点(3)(原告らの損害及び因果関係)に関する当事者の主張(甲事件原告らの主張)(1) 原告Aらの損害及び因果関係についてア原告Aらは,本件アンケートの実施に当たり,本件職務命令によって本件アンケートに回答することを強制された上,本件アンケートに回答しなければ懲戒処分等の不利益を受けることも明示されたことから,本件アンケートに回答するか否かについての重大な心理的葛藤が生じた。 このように,原告Aらは,本件アンケートに回答した者も最終的に回答しなかった者も,市長・総務局長等の違法行為及び被告Yの不法行為によって,思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害され,多大な精神的苦痛を受けたにもかかわらず,何らの謝罪も受けていない。 イそして,原告Aらが受けた上記の精神的苦痛を金銭的に評価すれば,そ の慰謝料は1名当たり30万円を下らない。 (2) 原告組合らの損害及び因果関係についてア原告組合らは,本件アンケートの実施により,組合員数の減少やストライ 痛を金銭的に評価すれば,そ の慰謝料は1名当たり30万円を下らない。 (2) 原告組合らの損害及び因果関係についてア原告組合らは,本件アンケートの実施により,組合員数の減少やストライキ権投票における賛成率の低下等の影響を受けた。 それのみならず,本件アンケートの実施により,原告組合らの組合員には,「組合はこれまで違法な活動をしていたのではないか」,「組合は使用者である当局からにらまれている存在であって,積極的に協力する対象ではないのではないか」という疑念が生じた。このような疑念のため,多くの組合員は,原告組合らと距離を置くようになり,原告組合らの活動全体が萎縮する効果が生じて大きな影響を受けた。 このように,原告組合らは,市長・総務局長等の違法行為及び被告Yの不法行為によって,政治活動の自由及び団結権を侵害され,無形的損害を被ったにもかかわらず,何らの謝罪も受けていない。 イそして,原告組合らが受けた上記の無形的損害を金銭的に評価すれば,その損害額は1組合当たり100万円を下らない。 (原告Bの主張)ア原告Bは,交通局長の職務命令に基づき,違憲・違法な本件アンケートに対する回答を強制されたことにより,多大な精神的苦痛を受けた。 このように,原告Bは,交通局長の違法行為によって,思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害され,多大な精神的苦痛を受けたにもかかわらず,何らの謝罪も受けていない。 イそして,原告Bが受けた上記の精神的苦痛を金銭的に評価すれば,その慰謝料は100万円を下らず,本件訴訟追行に必要であった弁護士費用相当損害金は25万円が相当である。 (被告市の主張)ア原告らの損害及び因果関係に関する主張は争う。 イ原告らは,本件アンケートが実施される以前から,被告 行に必要であった弁護士費用相当損害金は25万円が相当である。 (被告市の主張)ア原告らの損害及び因果関係に関する主張は争う。 イ原告らは,本件アンケートが実施される以前から,被告市の職員による違法な政治活動や犯罪行為等によって市民から強い非難を受けていたところ,その中で就任した市長の労働組合に対する発言内容や報道機関の論調を受けて,市長が労働組合を弾圧するのではないかという強い危惧感を持つようになったと考えられる。 そして,原告らがこのような危惧感による精神的苦痛を受けたとしても,これは,本件アンケートの実施によって生じたものではなく,原告らが被告市によって本件アンケートが実施されたと誤解したことに基づくものであるし,原告らについては,被告市による様々な施策による不安や懸念がない交ぜになっていることが推測される。 ウまた,本件アンケートは,結果として内容を確認されることなく廃棄されているので,原告らに実際上の損害は発生していない。 そして,原告組合らが健全かつ何ら問題のない組合活動をしていれば,その活動に何らの支障も生じないはずであり,仮に原告組合らの組合活動に支障が生じたとすれば,その原因の一端は原告組合らにも存在するといえる。 エしたがって,仮に,原告らに何らかの精神的苦痛や無形的損害が生じていたとしても,それが被告市の行為と相当因果関係を有するとはいえない。 (被告Yの主張)ア甲事件原告らの損害及び因果関係に関する主張は争う。 イ仮に,甲事件原告らにおいて,本件アンケートが市長による労働組合無力化政策の一環であると受け取ったとしても,それは,市長の従前の言動に起因したり,被告市の担当者が本件アンケートの実施主体が被告市であるかのようにも読める本件アンケート依頼文書等を作成するなどしたこと 政策の一環であると受け取ったとしても,それは,市長の従前の言動に起因したり,被告市の担当者が本件アンケートの実施主体が被告市であるかのようにも読める本件アンケート依頼文書等を作成するなどしたことに起因したりするものであって,被告Yの行為との間に相当因果関係はない。 甲事件原告らが本件アンケートが労働組合の無力化を意図したものと受け取ったとしても,これは,市長の言動等によるものであって,このような場合にも被告Yが責任を負うことになれば,今後の第三者調査においては,対象となる企業等の社長の言動等まで考慮した過剰な対応を要求されることになり,第三者調査業務に不当な悪影響を及ぼすことになる。 ウ第三者調査においては,不祥事又はこれに関係する事象の有無を確認するのは当然であって,本件アンケートによって組合活動による萎縮効果が生じたという評価は誤っている。原告Aらにおいて何ら後ろ暗いことがないのであれば,本件アンケートに回答することに支障はないはずである。 また,本件アンケートの実施と前後して組合活動に対する萎縮効果が生じていたとしても,それは,被告市における違法行為等に関する報道や市長の言動等に起因する部分が多分にあり,これによる損害を被告Yに帰することはできない。 エしたがって,被告Yの行為と甲事件原告らの損害との間に相当因果関係はない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告市の国家賠償責任の有無)について(1) 本件アンケートの違憲・違法性についてア判断枠組み等(ア) 原告らは,被告市の公務員である市長・総務局長等が,本件アンケートに回答することを命じる本件職務命令を発出し,本件アンケートの実施に関する本件決裁等をしたことについて,国家賠償法上の違法性があると主張しているところ,本件アンケートが原告 局長等が,本件アンケートに回答することを命じる本件職務命令を発出し,本件アンケートの実施に関する本件決裁等をしたことについて,国家賠償法上の違法性があると主張しているところ,本件アンケートが原告らの憲法又は労組法上の権利を侵害するものである場合には,これに回答することを義務付ける本件職務命令や本件決裁等も国家賠償法上違法なものとなり得ることから,まず,本件アンケートが原告らの憲法又は労組法上の権利を侵害 するものであるか否かについて検討することとする。 (イ) これに対し,被告らは,本件アンケートは被告市から独立した本件調査チームが実施したものであり,本件調査チームは,国又は公共団体ではなく,被告市の職員にとっての使用者でもないから,本件アンケートによって,原告らの憲法又は労組法上の権利が直接侵害されることはない旨主張する。 しかしながら,本件アンケートは,回答するか否かが任意のものとして実施されたものではなく,地方公共団体であるとともに原告職員らの使用者でもある被告市の市長等による本件職務命令に基づき,原告職員らに対して回答を義務付ける権力的・強制的なものとして実施されたものである。 そうすると,本件アンケートの実施によって原告らの憲法又は労組法上の権利が直接侵害されることがおよそないということはできず,被告らの上記主張は採用することができない。 (ウ) また,被告らは,本件アンケートの実施主体は被告市ではなく,本件調査チームであると主張しており,前提事実(5)及び(7)並びに証拠(甲28,57)によれば,本件アンケートについては,府労委及び中労委における審理において,その実施主体が被告市であるか,それとも本件調査チームであるかが,主要な争点の一つとして争われたものであることが認められる。そして,府労委及び中労 については,府労委及び中労委における審理において,その実施主体が被告市であるか,それとも本件調査チームであるかが,主要な争点の一つとして争われたものであることが認められる。そして,府労委及び中労委においては,被告市による不当労働行為の有無を判断する前提として,本件アンケートが使用者である被告市によって実施されたものであるか否かを判断する必要があったものと考えられる。 しかしながら,本件訴訟は,国家賠償法1条1項及び民法709条に基づく損害賠償請求訴訟であって,市長・総務局長等が本件職務命令の発出及び本件決裁等を行い,被告Yが本件アンケートの作成等を行った ことについては,当事者間に争いがなく,これらの行為が国家賠償法上又は不法行為法上の違法性を有するか否かが専ら問題となるものである。 そうすると,本件訴訟においては,本件アンケートの実施主体という法的評価に関する事実を踏まえ,市長・総務局長等及び被告Yによる上記各行為が原告らの団結権を侵害する違法なものであったか否かを判断すれば足り,それとは別に本件アンケートの実施主体という法的評価を行った上,労組法上の不当労働行為が成立するか否かまでを判断する必要はないというべきである。 (エ) そして,原告らは,本件アンケートが,原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害する違憲なものであるとともに,労組法7条3号に規定する不当労働行為に該当する違法なものである旨主張するところ,前記(ウ)で述べたとおり,本件訴訟においては,独立して不当労働行為の成否を判断する必要はなく,本件アンケートが原告らの憲法上の上記各権利を侵害するものであるか否かを,本件アンケート全体及び個別の設問内容について,目的の正当性, 訟においては,独立して不当労働行為の成否を判断する必要はなく,本件アンケートが原告らの憲法上の上記各権利を侵害するものであるか否かを,本件アンケート全体及び個別の設問内容について,目的の正当性,調査の必要性及び手法の相当性等を総合的に考慮して判断するのが相当というべきである。 そこで,以下では,本件アンケート全体についての目的の正当性,調査の必要性及び手法の相当性を検討した上で,個別の設問内容について検討することとする。 イ認定事実本件アンケートの目的や必要性等について検討する前提として,本件アンケート実施に至る経緯等について見るに,前提事実に加え,証拠(末尾に掲記する。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 (ア) 被告市における職員の不祥事a 平成23年8月1日,交通局の職員が覚せい剤取締法違反の容疑で 逮捕され,これを受けて,交通局が同年9月,市営地下鉄及び市バスの全乗務員を対象とする薬物検査を実施したところ,職員2名から陽性反応が検出された。(丙19,20)b また,平成23年10月26日,大阪市環境局の職員が覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕され,同年12月4日には,大阪市健康福祉局の職員が殺人未遂の容疑で逮捕された。(丙21,22)c 被告市の職員については,平成19年度から平成23年度途中までの約5年間において,違法薬物に係る懲戒処分等が11件,傷害・暴行等に係る懲戒処分等が29件,窃盗に係る懲戒処分等が32件存在した。(丙6)(イ) 市長就任後の経緯等aZ市長は,平成23年11月27日に実施された選挙でJ前市長を破り,同年12月19日に市長に就任した。(弁論の全趣旨)b 平成23年12月26日に開催された市会交通水道委員会において,市会議員から,市バスの営業所に勤 1月27日に実施された選挙でJ前市長を破り,同年12月19日に市長に就任した。(弁論の全趣旨)b 平成23年12月26日に開催された市会交通水道委員会において,市会議員から,市バスの営業所に勤務する原告N組合の役員が,勤務時間内組合活動を行っていたこと,上記市長選挙に関連して,J前市長の推薦人紹介カードが市庁舎内で勤務時間内に配布されていたことなどの指摘があった。これについて,交通局の幹部職員は,勤務時間中に組合活動をしていた職員がいたとして謝罪するとともに,同事実に厳正に対処するとした。また,市長も,同委員会において,労働組合に認めてきた便宜供与を認めない方向で考えること,市庁舎内での組合活動については一切認めないこと,組合活動を調査する組織を設置する考えであることを明らかにした。(甲30,丙3の1)c 市長は,平成23年12月27日,W特別顧問に対し,特別顧問を委嘱した。(前提事実(4))d 市長は,平成23年12月28日,市会定例会における施政方針演 説において,「大阪市役所のこの組合の体質というものが,今の全国の公務員の組合の体質の象徴だと思っております。ギリシャをみてください。公務員,公務員の組合というものをのさばらしておくと国が破綻してしまいます。ですから,大阪市役所の組合を徹底的に市民感覚にあうように是正,改善していくことによって,日本全国の公務員の組合を改めていく,そのことにしか日本の再生の道はないというふうに思っております」などと述べ,労働組合の体質を適正化する必要があると考えていることを明らかにした。(甲8)e 市長は,平成23年12月30日,全局長,全区長,W特別顧問及びR教授らに対し,午後2時59分頃,市長の施策に反対する政治活動を行っている労働組合の事務所を立ち退かせる手続を進めること 甲8)e 市長は,平成23年12月30日,全局長,全区長,W特別顧問及びR教授らに対し,午後2時59分頃,市長の施策に反対する政治活動を行っている労働組合の事務所を立ち退かせる手続を進めることなどを内容とする電子メール,午後3時30分頃,組合適正化のための実態調査に年明けから着手することなどを内容とする電子メール,午後7時47分頃,調査チームを立ち上げて「組合適正化プログラム」を打ち立てるので,市の組織を挙げて労働組合の適正化に取り組むための協力を求める内容の電子メールをそれぞれ送信した。 (甲31から33まで)f 市長は,平成23年12月31日午後11時22分頃,全局長,全区長,W特別顧問及びR教授らに対し,不適切事例が後を絶たない労働組合との間のルール化が必要であるとして,W特別顧問らが中心になって「対組合関係適正化条例」の案を作成するよう依頼する内容の電子メールを送信した。(甲34)W特別顧問は,市長の上記依頼を受け,平成24年以降,職員基本条例案,労使関係条例案,職員の政治的行為の制限に関する条例案等の検討・作成等を行った。(甲49)なお,平成24年8月1日から施行された労使関係条例は,労働組 合の組合活動に対する便宜供与は行わないものとする旨規定するものであった。(甲50の1及び2)g 市長は,平成24年1月4日,被告市の職員に対する年頭挨拶において,早期に被告市として労働組合との関係の適正化を進めていくつもりであることなどを明らかにした。(甲35)(ウ) 被告Yの特別顧問就任等(なお,以下の(ウ)から(カ)までの日時は,特記しない限り,平成24年を指す。)a 被告Yは,平成24年1月10日,W特別顧問と面談して,被告市の職員による違法行為等が発生している原因について,3月末までに第 )から(カ)までの日時は,特記しない限り,平成24年を指す。)a 被告Yは,平成24年1月10日,W特別顧問と面談して,被告市の職員による違法行為等が発生している原因について,3月末までに第三者調査を行うことを依頼されるとともに,市長からも,短時間の電話で同調査を依頼された。(前提事実(4))b 市長は,1月11日,市会定例会において,「大阪市役所の労働組合はどうですか。トップである僕を徹底的に落としにかかったということでありますので,これは政治に足を踏み込んだら,それは政治的リスクを負うのは当たり前ですよ」,「通常の労働組合の労使活動は守っていきますけれども,社長人事に口を出すような,そういう労働組合は,これはもはや労働組合ではありません。立派な政治団体です。 ですから,政治団体としてしっかり扱っていくというのは当然のことでありまして,これから実態調査を徹底的に行いまして,その適正化に努めていく。政治団体として僕は対処していきたいというふうに思っております」,「カラ残業や,その他便宜供与。総務局にきのうですか,全庁を挙げての実態調査の指示を出しまして,それから外部の特別顧問-Yさんという強力な実態調査のエキスパート,弁護士なんですけども,大体弁護士は僕のこと嫌いなんですが,僕に協力をしてくれるという弁護士があらわれまして,東京からやってきてもらいま すので,エキスパートに徹底調査をしてもらいます」と述べた。 (丙26)一方,被告Yは,同日,R教授と面談し,改革委員会の委員として被告市の改革に取り組んだときの状況や,平成18年アンケートについては,次第に回収率が低下し,先細りとなったことなどを聴取した。 (丙31,被告Y本人)c 被告Yは,1月12日,特別顧問設置要綱に基づき,市長から,特別顧問を委嘱された。 8年アンケートについては,次第に回収率が低下し,先細りとなったことなどを聴取した。 (丙31,被告Y本人)c 被告Yは,1月12日,特別顧問設置要綱に基づき,市長から,特別顧問を委嘱された。(前提事実(4))市長は,同日,記者会見において,被告Yが労働組合の実態調査を行うことを明らかにした。(甲36)d 市長は,1月21日,全局長及び全区長に対し,「特別顧問は僕の身代わりです。そして特別参与は特別顧問の補助機関。特別顧問や特別参与は,僕の代わりに担当部局や担当者にヒアリングや調査をやります。アポイントなしの調査を含めて全てに従って下さい。拒否は僕に対しても拒めるものだけです。特別顧問や特別参与への協力拒否は,僕への拒否です。組織の隅々にまでこのことを徹底させて下さい」と記載した電子メールを送信した。(前提事実(4))(エ) 被告市による調査及び便宜供与の廃止等a 人事課長は,1月11日,各所属の人事担当課長に対し,「労使関係についての調査について(依頼)」と題する文書を発出し,労使関係について,有給職免における交渉状況,無給職免における組合活動状況,勤務時間外における意見交換等の状況,人事案件に関する説明・意見交換の状況及び職員団体等への便宜供与の状況について,同月20日までに回答することを依頼したが,被告Yの指示により,同調査を中止した。(乙14,証人X)b 交通局は,市会交通水道委員会における勤務時間内組合活動等の指 摘を受け,その実態等を解明するため,1月,全局的な調査を開始したが,本件調査チームによる調査が開始されたため,交通局による調査を中断した。そして,本件調査チームが3月1日に本件中間報告書を作成したことを受け,交通局は,上記調査を再開するよう指示を受け,組合員ではない管理職を対象とした 査が開始されたため,交通局による調査を中断した。そして,本件調査チームが3月1日に本件中間報告書を作成したことを受け,交通局は,上記調査を再開するよう指示を受け,組合員ではない管理職を対象とした無記名アンケート等を実施した。この無記名アンケートにおいては,人事異動,昇任・昇格及び人事考課等に関する労働組合との間の協議・事情聴取の有無等に関する設問が設けられた。(乙2,10)また,交通局長は,1月13日,各所属長に対し,「交通局における労働組合支部への便宜供与の廃止について」と題する文書を発出し,同月18日をもって,交通局の全事業所における便宜供与の許可(目的外使用許可)を取り消すことを通知した。(乙15)c 総務局長は,1月18日,原告L組合及び原告M組合に対し,庁舎スペースの便宜供与の許可(目的外使用許可)を取り消すので,同月31日までに事務機器等を撤去するよう通知した。(甲37,乙16)d 市会議員が,1月18日,市バスの営業所の実地調査を行い,実質的ヤミ専従及び勤務時間内組合活動等を指摘した。(乙2,丙31)また,1月27日,市会財政総務委員会において,市会議員から,交通局の職員が勤務時間内に労働組合の会議に出席していたことの指摘があった。これについて,交通局の幹部職員は,勤務時間中に労働組合の会議に出席していた職員がいたとして謝罪するとともに,同事実に厳正に対処するとした。(甲38)e 総務局長は,1月30日,原告L組合に対し,4月以降,組合事務所としての目的外使用許可をしないので,3月31日までに退去するよう通知した。(乙17)(オ) 本件調査チームによる調査の実施 a 被告Yは,1月19日,市会の委員会で勤務時間内組合活動について指摘した市会議員らと面談し,市会議員らによる調査の経緯及び被 した。(乙17)(オ) 本件調査チームによる調査の実施 a 被告Yは,1月19日,市会の委員会で勤務時間内組合活動について指摘した市会議員らと面談し,市会議員らによる調査の経緯及び被告市の職員から寄せられた内部告発等について聴取した。(丙31)b 被告Yは,1月20日,約30分間市長と面談し,被告市が市庁舎に設置している本件目安箱に入れられていた10通から20通程度の投書を受領するとともに,その内容に関するヒアリングを行った。被告Yが受領した投書には,労働組合による人事介入が存在すること,勤務時間内組合活動がされていること,ヤミ便宜供与がされていることなどが記載されているものもあった。 (甲56,乙7,丙31,被告Y本人,弁論の全趣旨)また,被告Yは,同日,被告市の各部局を回って状況を聴取したが,幹部職員からは,問題となっている事象は例外的なものであって,問題はほとんど解決されているとの説明があった。 (丙31,被告Y本人)さらに,被告Yは,同日,被告市の内部通報窓口を長く担当し,大阪市役所コンプライアンス委員会委員長も務めていたK弁護士と面談し,被告市における問題状況を聴取した。(丙31)c 被告Yは,1月27日,W特別顧問とともに,被告市の職員である内部告発者と約2時間面談し,勤務時間内組合活動,労働組合による人事介入及びヤミ便宜供与に関する事実を聴取した。 (甲56,丙31,被告Y本人)被告Yは,同日,市庁舎内にある組合事務所を訪問して,労働組合に関する資料の提供を求めるとともに,市長と面談した。 (乙2,丙31)d 被告Yは,2月1日,W特別顧問及び人事課担当者とともに,原告組合らの役員と約1時間30分の意見交換をした。(甲21,51) 上記面談において,被告Yは,被告市の特別顧 乙2,丙31)d 被告Yは,2月1日,W特別顧問及び人事課担当者とともに,原告組合らの役員と約1時間30分の意見交換をした。(甲21,51) 上記面談において,被告Yは,被告市の特別顧問として職場環境の適正化のための調査と提言の依頼を受けているため,原告組合らから話を聞きたいと考えている旨伝えた。これを受けて,原告K連合会の委員長兼原告N組合の委員長(当時)は,勤務時間中に組合活動をしないよう指導を徹底し,交通局による調査にも協力すること,被告Yから提案された労働組合による内部調査も前向きに検討することなどを伝えた。(甲21,51)なお,原告O組合は,2月6日,同月1日の被告Yとの意見交換の内容について,支部役員の出席する中央闘争委員会において報告し,今後の対応を協議した。その結果,被告Yから求められた原告組合らによる内部調査については,これを実施する方向で,その手法も含めて検討することになった。しかし,その後,本件アンケートが実施されたため,その対応に追われ,内部調査は行われなかった。 (弁論の全趣旨)(カ) 本件アンケートの実施等a 被告Yは,2月4日から同月5日にかけて,本件アンケートの原案を一人で作成し,W特別顧問及びV特別参与の意見を聴いた上で,同月8日に本件アンケートを完成させた。(前提事実(4))b その間,市長は,2月6日,全局長,全区長,被告Y,W特別顧問及びR教授らに対し,午後4時57分頃,後にねつ造であると判明した知人・友人紹介カード配布リストに関する報道に基づき,労働組合全体が不適切な政治活動を行っていると考えていること,特別顧問である被告Yを中心とするメンバーで徹底した労働組合の実態調査を行うことが必要であると考えていることなどを内容とする電子メール,午後5時12分頃,労働組 治活動を行っていると考えていること,特別顧問である被告Yを中心とするメンバーで徹底した労働組合の実態調査を行うことが必要であると考えていることなどを内容とする電子メール,午後5時12分頃,労働組合による人事介入が実際にあるか否かはともかく,組合員にそのような事実があると思わせていることが,労働 組合から組合員に対する脅しになっていると考えられることなどを内容とする電子メールを送信した。 (甲27,39,丙30の1から3まで)c 人事課担当者は,2月8日,被告Yから,本件アンケートの実施について知らされるとともに,各部局の人事担当部署において本件アンケートの配布及び回収を実施するよう指示された。(前提事実(4))その後,人事課担当者は,2月9日午後1時頃,W特別顧問から,市長が署名した市長メッセージ及び本件アンケート用紙を受領し,本件アンケートを実施するよう指示された。そして,人事課担当者は,本件アンケート依頼文書に係る本件決裁をし,同日午後4時頃,各部局の人事担当課長に対し,本件アンケート依頼文書を配布した。 (前提事実(4))d 人事課担当者は,2月10日,市長部局の各職員に対し,本件アンケート実施メールを送信して,本件アンケートの実施を周知し,交通局等の担当者は,同日,交通局等の各職員に対し,本件アンケート用紙,交通局長等メッセージ,職員宛て市長メッセージ及び本件アンケート用紙を封入する封筒を配布して,本件アンケートの実施を周知した。(前提事実(4))e 市長部局及び交通局等に所属する各職員は,本件職務命令により,2月10日から同月16日までの間に,本件アンケートに回答することを義務付けられた。(前提事実(4))ウ本件アンケートの目的について(ア) 市長による労働組合「適正化」政策についてa 2月10日から同月16日までの間に,本件アンケートに回答することを義務付けられた。(前提事実(4))ウ本件アンケートの目的について(ア) 市長による労働組合「適正化」政策についてa 前提事実(4)並びに認定事実(イ)から(カ)までによれば,本件調査チームによる調査及び本件アンケートが実施されるまでの経緯として,①市長は,平成23年12月26日に開催された市会交通水道 委員会において,原告N組合の役員が勤務時間内組合活動を行っていたことや,市長選挙に関連して,J前市長の推薦人紹介カードが市庁舎内で勤務時間内に配布されていたことなどが指摘されると,労働組合に対する便宜供与や,市庁舎内での組合活動を一切認めない方針であることを明らかにするとともに,組合活動を調査する組織を設置するという考えを示したこと,②市長は,同月28日の施政方針演説において,「公務員の組合というものをのさばらしておくと国が破綻してしまいます」という強い表現を用いて,労働組合の体質の適正化が必要であると考えていることを明らかにしたこと,③市長は,同月30日,市の幹部職員及びW特別顧問らに送信した電子メールにおいて,市長の施策に反対する政治活動を行っている労働組合の事務所の立ち退きの手続を進めることや,市を挙げて労働組合の適正化のための実態調査に着手し,「組合適正化プログラム」を打ち立てることを明らかにしたこと,④市長は,平成24年1月4日の年頭挨拶において,労働組合との関係の適正化を進めていくことを明らかにしたこと,⑤市長は,同月11日の市会定例会において,市長選挙に関与した労働組合は政治団体として扱っていくことや,実態調査のエキスパートである被告Yに労働組合の実態調査をしてもらうと述べたこと,⑥市長の上記方針を受けて,総務局長及び交通局長は, て,市長選挙に関与した労働組合は政治団体として扱っていくことや,実態調査のエキスパートである被告Yに労働組合の実態調査をしてもらうと述べたこと,⑥市長の上記方針を受けて,総務局長及び交通局長は,同月13日及び同月18日,原告N組合,原告L組合及び原告M組合に対する便宜供与を廃止する方針を通知したこと,⑦市長は,同月21日,被告市の幹部職員に対し,Y特別顧問は市長の身代わりであるので,全面的に協力するよう指示する内容の電子メールを送信したこと,⑧市長は,同年2月6日,被告市の幹部職員,被告Y及びW特別顧問らに対し,労働組合全体が不適切な政治活動を行っており,被告Yを中心とするメンバーによる徹底した労働組合の実態調査が必要であると考えているこ となどを内容とする電子メールを送信していることが認められる。 b これらの事実によれば,市長は,被告市の労働組合が組合事務所の目的外使用許可等の便宜供与を受けているにもかかわらず,市長選挙において対立候補であるJ前市長を支援する政治活動を行い,また,市長の当選後も市長の政策に反対する活動を行っていたことから,これを問題視し,労働組合に対する便宜供与を廃止することなどによって,労働組合を「適正化」するという政策を取るようになったものと認められる。また,市長は,上記政策を推進するため,被告市の幹部職員及びW特別顧問に対して,被告市を挙げて労働組合の実態調査に着手することを指示するとともに,労働組合「適正化」の一手段として,本件調査チームによる調査を利用しようと考えていたものと認めるのが相当である。 そうすると,本件アンケートは,本件調査チームによる調査の一環として実施されたものであるから,客観的に見れば,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成していたものと評価せざるを得ない。 c そうすると,本件アンケートは,本件調査チームによる調査の一環として実施されたものであるから,客観的に見れば,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成していたものと評価せざるを得ない。 c この点,上記事実経過によれば,市長による労働組合「適正化」政策の中心的課題は,市庁舎内における労働組合の政治活動の防止にあると認められるところ,職員による違法な政治活動が市庁舎内で行われれば,住民の行政の中立的運営に対する信頼が損なわれるおそれがあることは否定することができないから,そのような政治活動が行われる蓋然性が存在するのであれば,そのような政策を取る必要性もあったものといえる。しかしながら,上記政策の一環としてであっても,その必要性や労働組合に対する便宜供与をすることによる具体的な弊害が存在しないにもかかわらず,労働組合の団結権等に与える影響に配慮して十分な団体交渉を経るなどの手続を取らないまま,労働組合に対する便宜供与を一方的に廃止することは,上記政策目的との合理 的関連性が認められない以上,労働組合の活動一般を弱体化させるものとして,労働組合及びその組合員の団結権等(憲法28条)を侵害するものであったというべきである。 (イ) 本件調査チームの独立性・中立性についてa これに対し,被告らは,本件調査チームが日弁連ガイドラインに沿ったものであり,被告市から独立性及び中立性を有する旨主張する。 しかしながら,前提事実(4)並びに認定事実(イ)及び(ウ)に加え,証拠(甲56,乙1の1及び2,丙31,被告Y本人)によれば,①日弁連ガイドラインは,企業等の内部調査を実施する内部調査委員会と区別されるものとして,企業等から独立した委員のみをもって構成されるものを第三者委員会とし,第三者委員会は,企業等から独立した立場で,ステ ガイドラインは,企業等の内部調査を実施する内部調査委員会と区別されるものとして,企業等から独立した委員のみをもって構成されるものを第三者委員会とし,第三者委員会は,企業等から独立した立場で,ステークホルダー(利害関係者)のために,中立・公正で客観的な調査を行うものとされ,顧問弁護士等の企業等と利害関係を有するものは委員に就任することはできないと規定していること,②本件アンケートが実施された時点では,本件調査チームは,被告Yのほかに,W特別顧問及びV特別参与のみで構成されていたところ,W特別顧問は,市長の指示を受けて,被告Yに対して被告市の職員による違法行為等が発生している原因に関する調査を依頼するとともに,本件アンケートの設問への加筆や市長メッセージの作成を行ったり,本件アンケートの内容を確認したりするなど,本件アンケートの実施に深く関与していたこと,③被告Yは,労働組合のみならず,市長を含む被告市も本件調査チームによる調査の対象としていたこと,④W特別顧問は,本件調査チームのメンバーとして活動するのと同時に,被告市の特別顧問として,市長の労働組合「適正化」政策の中核である労働組合への便宜供与の禁止を内容とする労使関係条例案等の作成について,中心的に関与していたことが認められる。 これらの事実によれば,日弁連ガイドラインは,第三者委員会による企業等の不祥事等の調査について,委員会のメンバーが企業等から独立していることを特に重視しているものと考えられ,前提事実(1)のとおり,被告Yは,同ガイドラインの起草メンバーを務めたのであるから,そのことを十分に認識していたはずである。それにもかかわらず,本件調査チームの主要なメンバーの一人であるW特別顧問は,正に本件調査チームによる調査の対象である被告市における労使関係について, から,そのことを十分に認識していたはずである。それにもかかわらず,本件調査チームの主要なメンバーの一人であるW特別顧問は,正に本件調査チームによる調査の対象である被告市における労使関係について,本件調査チームによる調査の対象でもある市長の意向を受けて,市長の政策を推進するための活動を行っていたものである。 そうすると,本件調査チームについては,客観的に見て,被告市からの独立性及び中立性は確保されていなかったものといわざるを得ない。 b この点,被告Yは,本人尋問において,本件調査チームによる調査作業で手一杯であり,W特別顧問が被告市と利害関係を有するか否かを確認することをしなかった旨供述する。 しかしながら,そもそも被告Yは,W特別顧問とは旧知の仲であり,市庁舎内で打合せをしたり電子メール等でやり取りをしたりしながら,被告市における労使関係の調査を進めてきたものである(甲49,56,丙31,被告Y本人)から,被告YがW特別顧問の活動内容を知らなかったとは直ちに考え難い。また,仮に,被告Yが本件調査チームの主要メンバーであるW特別顧問が被告市から独立性・中立性を有するかについて意を払わなかったとすれば,そのことが正に本件調査チームが被告市からの独立性・中立性を有していなかったことを示すものというべきである。 c また,被告らは,W特別顧問が本件調査チームによる調査のわずか2か月前に特別顧問を委嘱されたことや,それまでW特別顧問と被告 市には一切の利害関係がなかったこと,W特別顧問は特別顧問設置要綱に定める謝礼以外の金員を受領していないことからすれば,W特別顧問は被告市から独立性・中立性を有していた旨主張する。 しかしながら,被告らが指摘する点は形式的な利害関係の有無にとどまり,上記aのとおり,W特別顧問が市長との実質的 いないことからすれば,W特別顧問は被告市から独立性・中立性を有していた旨主張する。 しかしながら,被告らが指摘する点は形式的な利害関係の有無にとどまり,上記aのとおり,W特別顧問が市長との実質的な利害関係を有していたことからすれば,被告らが主張する点は,W特別顧問の独立性・中立性を示すものとはいえない。 そのほか,被告らは,調査報告書の起案権が本件調査チームに専属すること,本件調査チームの作業スペースが被告市から独立していたことなどを主張するが,いずれも本件調査チームの主要メンバーが調査対象である市長の政策を推進する立場にあったという問題点を治癒するようなものとはいえない。 d さらに,後記オ(オ)で説示するとおり,処分権者である市長等が本件調査チームから本件アンケートの回答内容の提供を受け,それに基づき懲戒処分を行う可能性もあり得たことをも考慮すると,本件調査チームが被告市からの独立性・中立性を有していたとは認められないから,本件アンケートを含む本件調査チームによる調査が,市長の労働組合「適正化」政策の一部を成していたという上記評価は左右されないものというべきである。 (ウ) 原告組合らを無力化する目的の有無についてa 上記で述べたとおり,本件アンケートは市長の労働組合「適正化」政策の一部を成していたものであるところ,原告らは,本件アンケートについて,市長が,平成23年11月の市長選挙において,市長の対立候補であったJ前市長を原告組合らが支持したことを逆恨みし,原告組合らを敵視して,これを無力化する目的で実施されたものである旨主張する。 b しかしながら,前提事実(4)並びに認定事実(ウ),(オ)及び(カ)に加え,証拠(甲56,丙31,被告Y本人)及び弁論の全趣旨によれば,①被告Yは,平成24年1月12日に 旨主張する。 b しかしながら,前提事実(4)並びに認定事実(ウ),(オ)及び(カ)に加え,証拠(甲56,丙31,被告Y本人)及び弁論の全趣旨によれば,①被告Yは,平成24年1月12日に市長から特別顧問を委嘱されるまでの間,被告市やその職員による労働組合である原告組合らとの間に契約関係,人的関係その他の利害関係を有しておらず,市長との面識も有していなかったこと,②被告Yは,市長から被告市の職員による違法活動等の調査を依頼されたことから,R教授に対するヒアリングの結果や過去に関与した公務員の不祥事調査における経験を踏まえ,被告市における労使関係を調査するため,本件アンケートを実施することを発案し,その内容についても,本件調査チームのメンバーであったW特別顧問及びV特別参与の意見を聴いたほかは,一人で作成したものであり,本件アンケートを実施すること及びその内容について,市長等を含む被告市の職員の了承や指示を得ることはなかったことが認められる。 c そうすると,被告Yは,被告市における労使関係を調査するという目的で,本件アンケートの作成等をしたものと認められ,それを超えて,市長の意向を受けるなどして,本件アンケートの作成等をすることによって,原告組合らを無力化又は弱体化しようとする意図又は動機があったとは認め難く,そのほか被告Y自身が上記のような意図又は動機を有していたことを認めるに足りる証拠はない。 また,市長において,本件アンケートの作成過程を把握し,被告Yに指示するなどして,本件アンケートの個別の設問内容を自らの意に沿うものにしようとしていたと認めるに足りる証拠もない。 (エ) まとめ以上によれば,本件アンケートを含む本件調査チームによる調査が市長の労働組合「適正化」政策の一部を成していたことは,本件アンケー にしようとしていたと認めるに足りる証拠もない。 (エ) まとめ以上によれば,本件アンケートを含む本件調査チームによる調査が市長の労働組合「適正化」政策の一部を成していたことは,本件アンケー トが原告らの憲法上の権利を侵害するものであったか否かを検討する上で,重要な要素となるものということができる。 しかしながら,被告Yが本件アンケートの作成等をするに当たって,原告組合らを無力化又は弱体化しようとする意図又は動機があったとは認められないし,適正な労使関係を形成すること自体は正当なものであって,このような労使関係を形成するためには,従前の被告市と労働組合との関係において不適正な点があったかどうかを具体的に調査しなければならないこともまた事実である。 そうすると,本件アンケートを含む本件調査チームによる調査が市長の労働組合「適正化」政策の一部を成しており,市長による一連の上記政策の中に,労働組合の団結権等を侵害する違法な施策が存在していたとしても,上記(ウ)で述べたことをも考慮すれば,そのことから直ちに,本件アンケートが上記団結権等を侵害することを意図するものであったとまではいえない。 エ本件アンケートの必要性について(ア) 被告らは,本件アンケートの必要性として,被告市の職員等による違法行為等が多発する背景には,従前から続く労使関係癒着の構造が存在し,使用者側と労働組合が明示的又は黙示的に結託して違法行為等の隠ぺいを図っているという仮説が該当する可能性が高いことから,管理する側のヒアリング調査では問題の実態は明らかにならないこと,個別具体的な事象についての質問では根本原因の解明を期待することができないこと,内部告発の信用性を確認するために対象を限定することなく情報を得る必要があったことを主張する。 (イ) ないこと,個別具体的な事象についての質問では根本原因の解明を期待することができないこと,内部告発の信用性を確認するために対象を限定することなく情報を得る必要があったことを主張する。 (イ) そこで検討するに,前提事実(2)並びに認定事実(イ),(エ)及び(オ)に加え,証拠(甲25,56,乙7,8,丙31,被告Y本人)によれば,本件アンケートが実施された時点における状況として,①被 告市においては,職員厚遇問題が大きく報道されるようになったことを受け,平成16年12月に設置された改革委員会における議論を踏まえ,労使関係に関する改革が図られてきたが,平成18年アンケートによれば,労使関係に問題があるとする意見と問題がないとする意見が同数程度であったこと,②平成23年12月26日の市会交通水道委員会において,原告N組合の役員が勤務時間内組合活動を行っていたことが指摘され,交通局の幹部職員がこの事実を認めて謝罪したこと,③平成24年1月27日の市会財政総務委員会において,交通局の職員が勤務時間内に労働組合の会議に出席していたことが指摘され,交通局の幹部職員がこの事実を認めて謝罪したこと,④市庁舎に設置されていた本件目安箱に対する投書の中には,組合による人事介入,勤務時間内組合活動及びヤミ便宜供与等について告発するものが含まれており,被告Yが同日面談した被告市の職員である内部告発者も同様の事実を述べていたことが認められる。 そうすると,少なくとも原告N組合については,勤務時間内組合活動という問題点が一部明らかになっていたものであり,平成18年アンケート,本件目安箱への投書及び内部告発者の告発内容からすれば,被告市における労使関係に関する調査の必要性がなかったとはいえない。 (ウ) 一方,本件アンケートが実施された時点において 18年アンケート,本件目安箱への投書及び内部告発者の告発内容からすれば,被告市における労使関係に関する調査の必要性がなかったとはいえない。 (ウ) 一方,本件アンケートが実施された時点においては,原告N組合以外の労働組合については,違法行為等が具体的に明らかになっていたわけではなく,全ての労働組合について違法行為等が次々と明らかになっているような緊急性の高い事態が発生していたとは認められない。また,本件目安箱への投書の内容や上記内部告発者の告発内容を具体的に裏付ける証拠が存在したものとも認められない。 そして,被告Yは,被告市の職員による違法行為等の原因に関する調査の端緒として本件アンケートを実施したものであり(丙31,32, 被告Y本人),本件アンケートは模索的・探索的な性質を有するものであって,被告Yの上記仮説も飽くまで仮説の域を出るものではなかったものである。 (エ) また,認定事実(ア)のとおり,本件アンケートの実施前には,被告市の職員が覚せい剤取締法違反や殺人未遂の容疑で逮捕されるなど,被告市の職員による違法行為が頻発していたことが認められる。 しかしながら,被告市の職員によるこれらの違法行為については,個人的な問題である可能性も高く,これが労使関係の問題に起因するものとは直ちに考え難いというべきである。 (オ) さらに,認定事実(エ)及び(オ)によれば,本件アンケートの実施当時,被告市の市長部局及び交通局においては,人事担当課長や管理職を対象とする調査に着手していただけでなく,原告N組合は,平成24年2月1日の被告Yとの意見交換において,自主的な内部調査を行うことに前向きな姿勢を見せていたものであり,原告O組合も,内部調査を実施する方向で検討を開始していたことが認められる。 (カ) そして,被告ら の被告Yとの意見交換において,自主的な内部調査を行うことに前向きな姿勢を見せていたものであり,原告O組合も,内部調査を実施する方向で検討を開始していたことが認められる。 (カ) そして,被告らが被告市のほぼ全職員を対象とする本件アンケートを実施した必要性として主張するところは,上記のとおり,管理する側のヒアリング調査では問題の実態は明らかにならないこと,及び内部告発の信用性を確認するため,対象を限定することなく情報を得る必要があったことというものである。 しかしながら,これらの必要性は抽象的なものにとどまっており,被告市のほぼ全職員を対象とする本件アンケートを実施する十分な必要性を示すものとはいえない。また,被告Yにおいて,回答者を必要十分な範囲に絞って本件アンケートを実施するといったことを検討した形跡も存在しない。 (キ) そうすると,被告Yは,被告市が着手していた被告市の職員や労働組 合の憲法上の権利を侵害する可能性が比較的低い手法による調査の結果や,原告組合らによる自主的な内部調査の結果を待つことなく,直ちに被告市のほぼ全職員を対象とする本件アンケートの作成等をしたものであるところ,上記(ウ)のとおり,当時,緊急性の高い事態が発生していたわけではないことからすれば,被告Yによる上記行動は拙速との評価を免れないというべきである。 (ク) 以上によれば,本件アンケートを実施する必要性が全く存在しなかったとはいえないものの,職務命令をもってほぼ全職員を対象に後記のような網羅的な質問を内容とするアンケートを実施しなければならない必要性は乏しいものであったということができる。 オ本件アンケートの手法の相当性について(ア) 前提事実(3)及び(4)並びに認定事実(カ)によれば,本件アンケートは,被告市のほぼ全職 ない必要性は乏しいものであったということができる。 オ本件アンケートの手法の相当性について(ア) 前提事実(3)及び(4)並びに認定事実(カ)によれば,本件アンケートは,被告市のほぼ全職員を対象として,被告市における労使関係に関する広範な内容について,本件職務命令により記名式での回答を義務付けたものであって,しかも,本件アンケートの実施に当たって被告市の職員に示された職員宛て市長メッセージ等には,真実を正確に回答することを求めるとともに,正確な回答がされない場合には処分の対象となり得ることが明記されていたものである。 そうすると,本件アンケートは,懲戒処分の威嚇力を背景に,記名式で正確な回答をすることを義務付けるものであって,その手法は強制的なものであったということができるから,このような強制的な記名式のアンケートを実施する際には,任意の無記名式のアンケートを行う場合に比べて,その内容が回答者の憲法上の権利を侵害するものとならないよう細心の注意が払われる必要があったというべきである。 (イ) また,前提事実(4)によれば,本件アンケートの実施に当たって発出された職員宛て市長メッセージ等には,被告市の職員による違法又は不 適切と思われる政治活動や組合活動について次々と問題が露呈しており,徹底した調査・実態解明により膿を出し切りたいと考えていると記載されていることが認められる。 そして,本件アンケートの実施に当たって,上記のような記載のある職員宛て市長メッセージ等が発出されたことによって,回答者である被告市の職員としては,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていると認識することになったものと考えられる。 しかしながら,実際には 市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていると認識することになったものと考えられる。 しかしながら,実際には,上記エ(ウ)で述べたとおり,全ての労働組合について違法行為等が次々と明らかになっているような緊急性の高い事態が発生していたものではなかったものである。 そうすると,本件アンケートの実施に当たって発出された職員宛て市長メッセージ等は,被告市の職員に対し,組合活動への参加を萎縮させる効果を有するものであったといえ,このような職員宛てメッセージ等とともに本件アンケートが実施されたことは,手法として相当性を欠くものであったというべきである。 (ウ) これに対し,被告らは,第三者委員会の求めに応じて企業等が業務命令を発出したり,同業務命令に際し,調査に対して真実を述べることなどの指示をしたりすることは,日弁連ガイドライン及びその解説において認められている正当な手法であると主張する。 しかしながら,日弁連ガイドラインが,被調査者の憲法上の権利を侵害するような調査に応じることを命じる業務命令を発出することまでも容認しているとは考えられないから,本件アンケートの内容が回答者の憲法上の権利を侵害するものとならないよう細心の注意が払われる必要があったことには何ら変わりがないというべきである。 (エ) また,被告らは,平成18年アンケートが極めて低い回収率にとどま っていたため,本件アンケートの実効性を高めるためには,本件職務命令が不可欠であったと主張する。 確かに,前提事実(2)によれば,任意の方法で行われた平成18年アンケートの回収率はいずれも数%にとどまっていたことが認められる一方,本件職務命令により回答を義務付けることによって,本件アン る。 確かに,前提事実(2)によれば,任意の方法で行われた平成18年アンケートの回収率はいずれも数%にとどまっていたことが認められる一方,本件職務命令により回答を義務付けることによって,本件アンケートについては,ほぼ100%の回収率を確保することができることになったものと考えられる。 しかしながら,本件アンケートの回収率を重視して,本件職務命令により回答を義務付ける以上,その内容が回答者の憲法上の権利を侵害するものとならないよう細心の注意が払われる必要性があったことには何ら変わりがないものというべきである。 (オ) さらに,被告らは,市長等に本件アンケートの回答内容を開示することは予定されておらず,本件職務命令において懲戒処分の対象として想定されていたのは,本件アンケートを物理的に妨害するなど,外形的な行為から懲戒処分が相当と考えられるような極めて悪質な場合に限られていたと主張する。 確かに,前提事実(4)によれば,職員宛て市長メッセージ等には,本件アンケートの回答内容は本件調査チームのみが見て,被告市の職員の目に触れることは決してないことが記載されていることが認められる。 しかしながら,前提事実(4)によれば,同メッセージ等には,正確な回答がされない場合には処分の対象となり得ること,本件アンケートへの回答で,自らの違法行為について真実を報告した場合,懲戒処分の標準的な量定を軽減することが明記されていたことが認められるところ,これらの記載からは,処分権者である市長等において,本件アンケートへの回答が正確なものか否かを判断して懲戒処分をすることや,本件アンケートへの回答内容を見て懲戒処分の量定を判断することがあり得る としか理解することができず,被告らが主張するような趣旨を読み取ることは困難である。 そうすると,こ 分をすることや,本件アンケートへの回答内容を見て懲戒処分の量定を判断することがあり得る としか理解することができず,被告らが主張するような趣旨を読み取ることは困難である。 そうすると,このような相矛盾する記載がされていることからすれば,本件アンケートの回答者である被告市の職員としては,処分権者である市長等が本件アンケートの回答内容を確認する可能性もあり得ると考えても何ら不自然ではなかったというべきである。 (カ) 以上によれば,本件アンケートの手法は強制的なものであったから,その内容が回答者の憲法上の権利を侵害するものとならないよう細心の注意が払われる必要があったとともに,本件アンケートの実施に当たって発出された職員宛て市長メッセージ等は,被告市の職員に対して,組合活動への参加を萎縮させる効果を有するものであったことからすれば,このような職員宛てメッセージ等とともに本件アンケートが実施されたことは,手法として相当性を欠くものであったというべきである。 なお,原告らは,H社事件最判及びG社事件最判を指摘して,原告職員らには本件アンケートへの調査協力義務がなかった旨主張するが,H社事件最判は,労働基準法上の労働者の調査協力義務について判断し,G社事件最判は,使用者による不当労働行為の成否について判断したものであって,いずれも地方公務員の調査協力義務について直ちに妥当するものではないし,原告らが主張する各事実をもって,直ちに原告らには本件アンケートに協力する義務がなかったとまではいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。 カ本件アンケートの個別の設問内容について(ア) Q1からQ5までについてa 前提事実(3)によれば,Q1からQ5までは,回答者の氏名,職員番号,所属部署,職種及び職員区分を質問する 。 カ本件アンケートの個別の設問内容について(ア) Q1からQ5までについてa 前提事実(3)によれば,Q1からQ5までは,回答者の氏名,職員番号,所属部署,職種及び職員区分を質問するものであることが認められる。 これらの質問事項のうち,氏名,職員番号及び所属部署は,本件アンケートを記名式にしたことによるものであり,職種及び職員区分は,これらによる本件アンケート結果の分類を可能とするためのものであったという被告らの主張は合理的であり,記名式でのアンケートであることを前提とすれば,このような項目の回答を求めたことについては必要性があったものということができる。 b これに対し,原告らは,各個人の特定が職員番号及び部署に及ぶことによって,逃げられないという強制力を及ぼす恐怖感が与えられることや,職種及び職員区分を聞かれることによって,職種や階級との関係で不利益が与えられるかもしれないという恐怖感が与えられることを主張する。 しかしながら,職員番号,部署,職種及び職員区分といった客観的な情報であって,被告市も当然に把握している事実を聞かれることによって,上記のような恐怖感が生じるとは考え難く,原告らの上記主張は採用することができない。 c そうすると,原告らが主張する不利益については,結局,これ以降の個別の設問の回答を強制されることによる権利侵害の有無のところで判断すれば足りるというべきである。 (イ) Q6について前提事実(3)によれば,Q6は,労働条件に関する組合活動への参加の有無やその活動内容等を質問するものであり,同活動に誘った人の氏名については任意回答としていることが認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害する のであり,同活動に誘った人の氏名については任意回答としていることが認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) 思想・良心の自由は,人の内心の表白を強制されないという沈 黙の自由も含むものであるところ,思想・良心そのものではなくとも,例えば,特定の思想団体への所属等の経歴等の申告を強制することは,実質的に思想内容の表白を強制するものに等しいものとして,思想・良心の自由を侵害するものとなり得るものと解される。 そして,Q6は,回答者の思想・良心そのものを質問するものではないが,回答者の労働組合加入の有無,労働条件に関する組合活動への参加の有無やその活動内容,同活動への参加のきっかけが判明する質問となっているということができる。 (b) しかしながら,労働組合は,労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織されるものである(労組法2条)し,労働組合加入の動機や組合活動への関与の在り方は労働者によって様々であるから,労働組合に加入していることや組合活動に参加していることなど自体が,直ちに特定の思想内容を推知させるものであるとまではいえない。 また,労働組合は,使用者との団体交渉(労組法6条)や労働協約の締結(同法14条)等の団体行動を通じて,労働条件の維持改善を図るものであるところ,このような団体行動においては,例えば,団体交渉やチェック・オフに関する労使協定の締結,不当労働行為に対する救済申立て等において,個々の労働者が労働組合に加入しているかどうかやその活動内容が使用者に対して開示されることも予定されているといえる。 なお,上記で述べた 労使協定の締結,不当労働行為に対する救済申立て等において,個々の労働者が労働組合に加入しているかどうかやその活動内容が使用者に対して開示されることも予定されているといえる。 なお,上記で述べたところは,労組法上の労働組合には該当しない職員団体についてもおおむね同様である。 そうすると,Q6については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,労働組合加入や組合活動への参加の有無等が判明する質問への回答を求めることが,直ちに思想内容の表白 を強制するものとして,思想・良心の自由を侵害するとまではいえない。 (c) したがって,Q6が原告職員らの思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) 憲法13条は,国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものと解されるところ,個人の私生活上の自由の一つとして,プライバシーをみだりに侵害されない自由も保障されているものと解される。そして,具体的な情報がプライバシーとして保護されるには,個人の私生活上の事実又は情報で周知のものではなく,一般人を基準として,他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報であることが必要と考えられる。 Q6は,労働組合加入や組合活動への参加の有無等が判明する質問であるものの,開示を求められているのは労働条件に関する組合活動への参加の有無等に関する事実に限られており,上記a(b)で述べたところを併せ考慮すれば,このような事実については,一般人を基準として,他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報であるとまでは認められない。 なお,後記c(d)で述べるとおり,上記事実を開示することによって,回答者において,被告市から何らかの不利益を受 ,他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報であるとまでは認められない。 なお,後記c(d)で述べるとおり,上記事実を開示することによって,回答者において,被告市から何らかの不利益を受けるのではないかという懸念や動揺が生じるとしても,このような懸念や動揺は上記事実の開示そのものに対するものではないから,団結権侵害に該当する場合であっても,プライバシーを侵害するものとはいえない。 (b) したがって,Q6については,質問の必要性があったか否かに ついて検討するまでもなく,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 c 団結権の侵害の有無について(a) 憲法28条は労働者及び労働組合の団結権等を保障しているところ,例えば,使用者がその雇用する労働者のうち誰が組合員であるかを知ろうとすることは,それ自体として禁止されているものではなく,労働協約の締結,賃金交渉等の前提として個々の労働者の組合加入の有無を把握する必要を生ずることも少なくないが,本来使用者の自由に属する行為であっても,労働者の団結権等との関係で一定の制約を被ることは免れないものと解される(G社事件最判参照)。 (b) Q6は,労働条件に関する組合活動への参加の有無やその活動内容等を質問するものであるところ,被告らは,Q6について,本件アンケートに先立ち,勤務時間内組合活動やヤミ便宜供与等の存在が判明していたことから,これらの事実の有無又はこれらに関する調査の端緒となる事象の有無を確認する必要性があったと主張する。 しかしながら,上記エで述べたとおり,本件アンケートが実施された時点においては,原告N組合以外の労働組合については違法行為等が具体的に明らかになっていたわけではないから,被告市のほぼ全職員を対象に,労働条件に関する組 で述べたとおり,本件アンケートが実施された時点においては,原告N組合以外の労働組合については違法行為等が具体的に明らかになっていたわけではないから,被告市のほぼ全職員を対象に,労働条件に関する組合活動への参加の有無やその活動内容等を調査する必要性があったとまでは認め難い。また,Q6は,組合活動に誘われた事実や参加した組合活動の内容等に関し,時間帯が勤務時間内か否か,場所が勤務場所か否かを限定することなく質問するものであって,被告らが主張する調査の必要性からすれば,広範にすぎることは否定し難い。 しかも,上記のとおり,被告らは,勤務時間内組合活動やヤミ便宜供与等の事実を調査する端緒として確認する必要があったと主張していることからしても,個別の職員の組合活動への参加の有無やその活動内容等を調査しなければならない必要性があったとは認め難い。 そうすると,Q6については,そもそも,被告市のほぼ全職員を対象に,個別の職員の組合活動への参加の有無やその活動内容等を調査しなければならない必要性があったとは認め難い。 (c) また,前記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成しており,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 (d) 以上で述べたところによれば,Q6は,上記各事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,労働組合が違法又は不適切な組合活動をしているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させる効果を有するというべきである。 また,被告市の職員において,Q16で労働組合への加入歴を回 市の職員に対し,労働組合が違法又は不適切な組合活動をしているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させる効果を有するというべきである。 また,被告市の職員において,Q16で労働組合への加入歴を回答するとともに,Q6で組合活動への参加の有無やその活動内容等を回答した場合,前記オ(オ)で述べた懲戒処分に言及する記載も相まって,何らかの不利益を受けるのではないかと懸念するのもやむを得ないといえるから,Q6は,職員に動揺を与える内容のものであり,労働組合を弱体化させるものであったということができる。 なお,被告らは,労働組合による違法行為等があったことは本件アンケートに先立ち既に明らかになっていたと主張するが,上記エ で述べたとおり,本件アンケートが実施された時点においては,原告N組合以外の労働組合については違法行為等が具体的に明らかになっていたわけではないから,被告らの上記主張は採用することができない。また,Q6においては,労働条件に関する組合活動に誘った人の氏名は任意回答とされているが,上記で述べたことからすれば,Q6が上記萎縮効果を有するとともに,職員に動揺を与える内容のものであったことには変わりがないというべきである。 (e) したがって,Q6は,原告らの団結権を侵害するものであったというべきである。 d 小括以上によれば,Q6は,原告らの団結権を侵害するものであったが,その他の憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (ウ) Q7について前提事実(3)によれば,Q7は,特定の政治家を応援する活動への参加の有無等を質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するもので 無等を質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q7は,特定の政治家を応援する活動への参加の有無等を質問するものであって,回答者の思想・良心そのものを質問するものではなく,具体的にどの政治家を応援する活動であるかについて質問するものでもないから,この質問によって,原告職員らの思想内容が明らかになるとはいえない。 (b) したがって,Q7については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由を侵害 するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q7は,特定の政治家を応援する活動への参加の有無等を質問するものであるところ,被告らは,本件アンケートに先立ち,勤務時間内におけるJ前市長の推薦者紹介カードの配布等が判明していたことから,違法又は不適切な政治活動の有無や,それに関する調査の端緒となる事象の有無を確認する必要があったと主張する。 しかしながら,Q7は,特定の政治家を応援する活動への参加の有無や参加した活動の内容等に関し,時間帯が勤務時間内か否か,場所が勤務場所か否かを限定することなく質問するものであって,被告らが主張する調査の必要性からすれば,過度に広範なものであったといわざるを得ない。 (b) そして,特定の政治家を応援する活動への参加の有無等という事実は,職務と関連しない私生活上の事実であって,労働組合に加入して団体行動をする場合に使用者に対して開示されることが予定されているようなものでもないから,具体的な政治家の氏名の回答 有無等という事実は,職務と関連しない私生活上の事実であって,労働組合に加入して団体行動をする場合に使用者に対して開示されることが予定されているようなものでもないから,具体的な政治家の氏名の回答を要求していない点を考慮しても,上記ウで述べたとおり,本件アンケートが市長による労働組合「適正化」政策の一部を成していることからすれば,一般人を基準として,他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報であると認められるとともに,上記(a)で述べたとおり,Q7は,調査の具体的な必要性が認められる部分に限定せずに過度に広範に回答を義務付けるものであった。 (c) 以上で述べたところによれば,上記エ及びオで述べたとおり,本件アンケートを実施する必要性は乏しく,本件アンケートは強制的な手法によるものであったことも勘案すると,原告職員らは,特定の政治家を応援する活動への参加の有無等という事実の開示を強 制されることによってプライバシーを侵害されたものということができる。 なお,Q7においては,特定の政治家を応援する活動に誘った人の名前は任意回答とされているが,上記で述べたことからすれば,原告職員らのプライバシーが侵害されたことには変わりがないというべきである。 (d) これに対し,被告らは,違法行為等の調査の一環として特定の政治家を応援する活動への参加の有無等を確認しているのであり,職務と関係のない私的な事項であるとはいえないと主張する。 しかしながら,Q7は,違法又は不適切な政治活動とそうではない政治活動を何ら区別することなく質問することによって,職務と関係のない私的な事項についても回答を強制することになっているものといわざるを得ないから,被告らの上記主張は採用することができない。 (e) したがって,Q7は,原告職員らの ことによって,職務と関係のない私的な事項についても回答を強制することになっているものといわざるを得ないから,被告らの上記主張は採用することができない。 (e) したがって,Q7は,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったというべきである。 c 政治活動の自由の侵害の有無について(a) 憲法21条は表現の自由としての政治活動の自由を保障しており,地公法36条の政治的行為の制約を受ける地方公務員であっても,同制約を受けるほかは,政治活動の自由の保障を受けることには変わりがないものと解される。 しかしながら,Q7は,特定の政治家を応援する活動への参加の有無等を質問するものにとどまり,政治活動への参加を禁止又は妨害したり,逆に政治活動への参加を強制したりするものではないから,原告らの政治活動の自由を侵害するものとまでは認められない。 (b) したがって,Q7については,質問の必要性があったか否かに ついて検討するまでもなく,原告らの政治活動の自由を侵害するものであったとはいえない。 d 団結権の侵害の有無について(a) Q7は,特定の政治家を応援する活動への参加の有無や労働組合から参加を誘われたか等を質問するものであるところ,上記b(a)で述べたとおり,調査の具体的必要性が認められる部分を超えて過度に広範に回答を義務付けているし,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成していて,特に本設問は市長が同政策を取るようになった動機に直接関わるものであるとともに,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである ,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 そうすると,Q7は,上記各事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,労働組合が違法又は不適切な政治活動をしているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 また,上記bで述べたとおり,Q7は原告職員らのプライバシーを侵害するものであったものである。 (b) しかしながら,前記ウ(ウ)で述べたとおり,本設問は,上記動機を有する市長の指示等により作成されたものではなく,被告Yが自らの判断により作成したものであって,被告Yには原告組合らを無力化又は弱体化しようとする意図又は動機があったとは認められない。また,Q7によって開示を求められる事実は,特定の政治家を応援する活動への参加の有無等というものであるところ,このような活動は,憲法28条によって保障される団結権等の行使として の組合活動の中核的なものであるとはいえない上,Q7においては,具体的な政治家の氏名の回答は要求されておらず,特定の政治家を応援する活動に誘った人の氏名も任意回答とされていて,労働組合の具体的な政治活動の内容の回答を強制するものとはなっていない。 そうすると,Q7の選択肢は,勧誘者について労働組合と労働組合以外の者という区分けにより質問をしており,労働組合を特別視していることを考慮したとしても,Q7が,直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (c) したがって,Q7が原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 e 小括 に労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (c) したがって,Q7が原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 e 小括以上によれば,Q7は,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったが,その他の憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (エ) Q8について前提事実(3)によれば,Q8は,職場の関係者からの特定の政治家への投票要請の有無等を質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q8は,職場の関係者からの特定の政治家への投票要請の有無等を質問するものであって,回答者の思想・良心そのものを質問するものではなく,また,特定の政治家への投票の有無を質問するものでもないから,この質問によって,原告職員らの思想内容が明ら かになるとはいえない。 (b) したがって,Q8については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q8は,回答者が職場の関係者から特定の政治家への投票要請をされたかどうか等を質問するものであって,回答者自身の投票の有無や内容,投票要請をされた具体的な政治家及び投票要請をした人の氏名を回答することは要求されていないところ,職場の関係者から投票要請をされたという事実それ自体が,一般人を基準として,他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報であるとまではいえない。 (b 答することは要求されていないところ,職場の関係者から投票要請をされたという事実それ自体が,一般人を基準として,他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報であるとまではいえない。 (b) したがって,Q8については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 c 政治活動の自由の侵害の有無について(a) Q8は,特定の政治家に対する投票要請の有無等を質問するものにとどまり,政治活動への参加を禁止又は妨害したり,逆に政治活動への参加を強制したりするものではないから,原告らの政治活動の自由を侵害するものとまでは認められない。 (b) したがって,Q8については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告らの政治活動の自由を侵害するものであったとはいえない。 d 団結権の侵害の有無について(a) Q8は,特定の政治家に対する投票要請の有無やそれが労働組合からの要請であるか等を質問するものであるところ,上記(ウ) d(a)で述べたところと同様,Q8は,上記各事項について質問することによって,労働組合による投票要請それ自体は直ちに違法なものではないにもかかわらず,回答者である被告市の職員に対し,労働組合が違法又は不適切な政治活動をしているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 (b) しかしながら,上記(ウ)d(b)で述べたところと同様,本設問は,上記動機を有する市長の指示等により作成されたものではなく,被告Yが自らの判断により作成したものであって,被告Yには原告組合らを無力化又は弱体化しようとする意図又は動機があったとは認められない。また,Q8によって開示を求められる事実は,労働 ものではなく,被告Yが自らの判断により作成したものであって,被告Yには原告組合らを無力化又は弱体化しようとする意図又は動機があったとは認められない。また,Q8によって開示を求められる事実は,労働組合からの特定の政治家に対する投票要請の有無等というものであるところ,このような投票要請行動は,憲法28条によって保障される団結権等の行使としての組合活動の中核的なものであるとはいえない上,Q8においては,具体的な政治家の氏名の回答は要求されておらず,特定の政治家への投票要請をした人の氏名も任意回答とされていて,労働組合の具体的な政治活動の内容の回答を強制するものとはなっていないし,回答の対象も回答者自身の行為ではない。 そうすると,Q8の選択肢は,要請者について労働組合と労働組合以外の者という区分けにより質問をしており,労働組合を特別視していることを考慮したとしても,Q8が,直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (c) したがって,Q8については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告らの団結権を侵害するものであっ たとはいえない。 e 小括以上によれば,Q8が原告らの憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (オ) Q9について前提事実(3)によれば,Q9は,紹介カードの配布を受けた事実の有無や紹介カードに記入して返却した理由等を質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q9は,紹介カードの配布を受けた事 ー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q9は,紹介カードの配布を受けた事実の有無や紹介カードに記入して返却した理由等を質問するものであって,回答者の思想・良心そのものを質問するものではなく,また,どの選挙候補者陣営のための紹介カードであるかを質問するものでもないから,この質問によって,原告職員らの思想内容が明らかになるとはいえない。 (b) したがって,Q9については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q9は,紹介カードの配布を受けた事実の有無や紹介カードに記入して返却した理由等を質問するものであって,このような事実は,職務と関連しない私生活上の事実であって,具体的な選挙候補者陣営の名称の回答を要求していない点を考慮しても,上記ウで述べたとおり,本件アンケートが市長による労働組合「適正化」政策の一部を成していることからすれば,一般人を基準として,他人に 知られることで私生活上の平穏を害するような情報であると認められるとともに,上記(ウ)b(a)で述べたところと同様,調査の具体的な必要性が認められる部分に限定せずに過度に広範に回答を義務付けるものであった。 そうすると,上記エ及びオで述べたとおり,本件アンケートを実施する必要性は乏しく,本件アンケートは強制的な手法によるものであったことも勘案すると,原告職員らは,このような事実の開示を強制されることによってプライバシーを侵害されたものということができる。 なお,Q9においては,紹介カードを配布した人等の名前は任意回 あったことも勘案すると,原告職員らは,このような事実の開示を強制されることによってプライバシーを侵害されたものということができる。 なお,Q9においては,紹介カードを配布した人等の名前は任意回答とされているが,上記で述べたことからすれば,Q9がプライバシーを侵害するものであることには変わりがないというべきである。 (b) これに対し,被告らは,本件アンケートに先立ち,勤務時間内におけるJ前市長の推薦者紹介カードの配布等が判明していたことなどから,これらに関する調査の端緒となる事象の有無を確認する必要があったことや,違法行為等の調査の一環として紹介カードの配布の有無等を確認しているのであり,職務と関係のない私的な事項であるとはいえないと主張するが,これらの主張を採用することができないことは,上記(ウ)b(a)及び(d)で述べたとおりである。 (c) したがって,Q9は,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったというべきである。 c 政治活動の自由の侵害の有無について(a) Q9は,紹介カードの配布を受けた事実の有無や紹介カードに記入して返却した理由等を質問するものにとどまり,政治活動への参加を禁止又は妨害したり,逆に政治活動への参加を強制したりす るものではないから,原告らの政治活動の自由を侵害するものとまでは認められない。 (b) したがって,Q9については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告らの政治活動の自由を侵害するものであったとはいえない。 d 団結権の侵害の有無について(a) Q9は,紹介カードの配布を受けた事実の有無や紹介カードに記入して返却した理由等を質問するものであるところ,上記(ウ)b(a)で述べたところと同様,調査の具体的必要性が認められる部分を超えて過度に広 9は,紹介カードの配布を受けた事実の有無や紹介カードに記入して返却した理由等を質問するものであるところ,上記(ウ)b(a)で述べたところと同様,調査の具体的必要性が認められる部分を超えて過度に広範に回答を義務付けているし,この質問は,平成23年11月の市長選挙において労働組合によりJ前市長の紹介カードが配布されていたという市会交通水道委員会における指摘を前提とするものであって,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成していて,特に本設問は市長が同政策を取るようになった動機に直接関わるものであるとともに,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 そうすると,回答者において,Q9が市会交通水道委員会における指摘を前提とするものであることを認識していた場合,Q9は,上記各事項について質問することによって,労働組合による紹介カードの配布それ自体は直ちに違法なものではないにもかかわらず,回答者である被告市の職員に対し,労働組合が違法又は不適切な政治活動をしているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 (b) しかしながら,上記(ウ)d(b)で述べたところと同様,本設問は,上記動機を有する市長の指示等により作成されたものではなく,被告Yが自らの判断により作成したものであって,被告Yには原告組合らを無力化又は弱体化しようとする意図又は動機があったとは認められない。また,Q9には労働組合に関する記載がない以上,少なくとも上記認識を欠いている回答者については,上記萎縮効果 告Yには原告組合らを無力化又は弱体化しようとする意図又は動機があったとは認められない。また,Q9には労働組合に関する記載がない以上,少なくとも上記認識を欠いている回答者については,上記萎縮効果を認めることはできないことに加えて,前記(エ)d(b)で述べたことからすれば,紹介カードの配布を受けた事実の有無等の回答を求めることが,直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (c) したがって,Q9が原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 e 小括以上によれば,Q9は,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったが,その他の憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (カ) Q10について前提事実(3)によれば,Q10は,組合幹部が職場で優遇されていると思うか否か及びこれを指摘しづらい理由について質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q10は,組合幹部が職場で優遇されていると思うか否か及びこれを指摘しづらい理由について質問するものであって,回答者の思想・良心そのものを質問するものではないし,この質問によって, 原告職員らの思想内容が明らかになるともいえない。 (b) したがって,Q10については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q10は,組合幹部が職場で優遇されていると思うか否か及びこれを指摘しづらい理由について質 の思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q10は,組合幹部が職場で優遇されていると思うか否か及びこれを指摘しづらい理由について質問するものであって,他者である組合幹部について,職務行為そのものではない私的かつ抽象的な感想又は意見を明らかにさせるものにすぎず,一般人を基準として,上記感想等を他人に知られることで私生活上の平穏を害するようなものであるとは認め難い。 また,上記エ及びオで述べたとおり,本件アンケートを実施する必要性は乏しく,本件アンケートは強制的な手法によるものであったものの,上記のような職員の感想又は意見を回答させることを端著として,組合幹部に対する優遇の事実の有無を調査する必要性がなかったとまではいえない。 そうすると,原告職員らが上記のような感想又は意見の開示を求められたからといって,プライバシーを侵害されたとまでいうことはできない。 (b) したがって,Q10が原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 c 団結権の侵害の有無について(a) Q10は,組合幹部が職場で優遇されていると思うか否か及びこれを指摘しづらい理由について質問するものであるところ,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成しており,本件アンケートには,市長等 において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 そうすると,Q10は,上記各事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,労働組合の幹部が職場で不当に優遇されているとの印象を与え メッセージ等が添付されていたものである。 そうすると,Q10は,上記各事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,労働組合の幹部が職場で不当に優遇されているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 (b) しかしながら,被告らが主張するように,組合幹部が職場で優遇されているとすれば,それ自体が問題であるし,前記b(a)で述べたとおり,組合幹部に対する優遇の事実の有無を調査する必要性がなかったとはいえないことや,その質問内容は抽象的な感想又は意見を明らかにさせるものにすぎないことを考慮すると,Q10について,これが直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (c) したがって,Q10が原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 d 小括以上によれば,Q10が原告らの憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (キ) Q11について前提事実(3)によれば,Q11は,職員の採用について有利に取り扱ってもらった者がいるかなどについて質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らのプライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a プライバシー権の侵害の有無について (a) 原告らは,Q11のうち「自分自身が上記のような者の推薦により,採用で有利に取り扱ってもらった」という選択肢がプライバシー権を侵害するものであると主張する。 しかしながら,被告市の職員として採用されるに当たって,政治家や組合幹部等の推薦により有利に取り扱ってもらったという事実は,職員としての身分そのものにも関わるものであって,単なる私的な事実とはい しかしながら,被告市の職員として採用されるに当たって,政治家や組合幹部等の推薦により有利に取り扱ってもらったという事実は,職員としての身分そのものにも関わるものであって,単なる私的な事実とはいえない。 また,上記エ及びオで述べたとおり,本件アンケートを実施する必要性は乏しく,本件アンケートは強制的な手法によるものであったものの,上記のような調査を端著として,地公法15条が定める能力に基づく任用に反する事例の有無を調査する必要性がなかったとまではいえない。 そうすると,このような事実を質問することによって,回答者である原告職員らのプライバシーが侵害されたとまではいうことができない。 (b) したがって,Q11が原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 b 団結権の侵害の有無について(a) Q11は,職員の採用について有利に取り扱ってもらった者がいるか等を質問するものであるところ,その選択肢の中には,「組合幹部の推薦により,採用で有利に取り扱ってもらった者がいる」というものが含まれており,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成しており,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メ ッセージ等が添付されていたものである。 また,本件アンケートは,労働組合及びその組合活動に関する質問が多くを占めており,上記の職員宛て市長メッセージ等も添付されていたことからすれば,Q11の選択肢の中に,他の選択肢と並んで「組合幹部の推薦により,採用で有利に取り扱ってもらった者がいる」というものが含まれることによって,組合幹部が職員の採 ジ等も添付されていたことからすれば,Q11の選択肢の中に,他の選択肢と並んで「組合幹部の推薦により,採用で有利に取り扱ってもらった者がいる」というものが含まれることによって,組合幹部が職員の採用に当たって不当な人事介入をしているとの印象を与えることになったものといえる。 そうすると,Q11は,上記事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,組合幹部が職員の採用に当たって不当な人事介入をしているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 (b) しかしながら,被告らが主張するように,職員の採用について不当な介入があるとすれば,それ自体が問題であり,その質問内容が地公法15条が定める能力に基づく任用に反する事例について回答を求めるものであり,上記a(a)で述べたとおり,そのような事例を調査する必要性がなかったとはいえないことからすれば,Q11について,直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (c) したがって,Q11が原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 c 小括以上によれば,Q11が原告らの憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (ク) Q12について前提事実(3)によれば,Q12は,職場において選挙のことが話題に なったことがあるかなどについて質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q12は,職場において選挙のことが話題になったことがあるか 結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q12は,職場において選挙のことが話題になったことがあるかなどについて質問するものであって,回答者の思想・良心そのものを質問するものではなく,また,回答者自身が話題にした内容や選挙における具体的な投票行動等について質問するものでもないから,この質問によって,原告職員らの思想内容が明らかになるとはいえない。 なお,原告らは,Q12の選択肢が話題の具体的な内容を質問しており,回答者自身が話題にしたことを記載せざるを得ないと主張するが,Q12の設問内容を読めば,回答者ではなく,組合幹部や上司等が話題にしたことを記載すれば足りるものと理解するのが通常であるから,原告らの上記主張は採用することができない。 (b) したがって,Q12については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q12は,職場において選挙のことが話題になったことがあるかや,回答者以外の者が話題にした内容等について質問するものであって,回答者自身が話題にした内容や選挙における具体的な投票行動等についての回答は要求されておらず,職場において選挙のことが話題になったという事実それ自体が,一般人を基準として,他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報であるとま ではいえない。 また,上記エ及びオで述べたとおり,本件アンケートを実施する必要性は乏しく,本件アンケートは強制的な手法によるものであったものの,勤務時間中における選挙の話題の有無について回答させることを端著として,違法又は不適切な政治活 とおり,本件アンケートを実施する必要性は乏しく,本件アンケートは強制的な手法によるものであったものの,勤務時間中における選挙の話題の有無について回答させることを端著として,違法又は不適切な政治活動の事実の有無を調査する必要性がなかったとまではいえない。 そうすると,職場において選挙のことが話題になったことがあるかなどを質問することによって,回答者である原告職員らのプライバシーが侵害されたとまではいうことができない。 (b) したがって,Q12が原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 c 政治活動の自由の侵害の有無について(a) Q12は,職場において選挙のことが話題になったことがあるかなどについて質問するものにとどまり,回答者自身が話題にした内容や選挙における具体的な投票行動等について質問するものでもなく,政治活動への参加を禁止又は妨害したり,逆に政治活動への参加を強制したりするものでもないから,原告らの政治活動の自由を侵害するものとまでは認められない。 (b) したがって,Q12については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告らの政治活動の自由を侵害するものであったとはいえない。 d 団結権の侵害の有無について(a) Q12は,職場において選挙のことが話題になったことがあるかなどについて質問するものであるところ,その選択肢の中には,「組合の幹部が,勤務時間中に,職務に関連して話題にした」や「組合の幹部が,勤務時間中に,職務と無関係に話題にした」とい うものが含まれ,その具体的な内容までも回答を求めており,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成していて,特に本設問は市長が同政策を取るようになった動機に直接関わるもので 的な内容までも回答を求めており,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成していて,特に本設問は市長が同政策を取るようになった動機に直接関わるものであるとともに,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 そうすると,Q12は,上記事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,労働組合が違法又は不適切な選挙活動をしているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 (b) しかしながら,上記(ウ)d(b)で述べたところと同様,本設問は,上記動機を有する市長の指示等により作成されたものではなく,被告Yが自らの判断により作成したものであって,被告Yには原告組合らを無力化又は弱体化しようとする意図又は動機があったとは認められない。また,組合幹部が選挙のことを話題にしたからといって,直ちにそれが組合活動としてされたものであると断定することはできないから,Q12は,組合活動について直接的に調査をするものであるとはいえない。さらに,本設問では,回答者自身が話題にした内容や選挙における具体的な投票行動等についての回答は求められておらず,前記b(a)で述べたとおり,違法又は不適切な政治活動の事実の有無を調査する必要性がなかったとはいえないし,組合幹部に関する選択肢は,勤務時間中のものに限定されているから,上記調査の必要性との関係でも配慮がされているものということができる。 そうすると,Q12について,これが直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱 のものに限定されているから,上記調査の必要性との関係でも配慮がされているものということができる。 そうすると,Q12について,これが直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (c) したがって,Q12が原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 e 小括以上によれば,Q12が原告らの憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (ケ) Q13について前提事実(3)によれば,Q13は,職場における組合活動及び選挙運動に関して問題のないと思われる選択肢を選択するよう求める質問であると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q13は,職場における組合活動及び選挙運動に関して問題のないと思われる選択肢を選択するよう求めるものであって,回答者の思想・良心そのものを質問するものではなく,また,この質問によって,原告職員らの思想内容が明らかになるともいえない。 (b) したがって,Q13については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q13は,職場における組合活動及び選挙運動に関して問題のないと思われる選択肢を選択するよう求めるものであって,このような質問によって,回答者である原告職員らのプライバシーが侵害 されるとは認められない。 (b) したがって,Q13については,質問の必要性があったか否かについて検討す ものであって,このような質問によって,回答者である原告職員らのプライバシーが侵害 されるとは認められない。 (b) したがって,Q13については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 c 政治活動の自由の侵害の有無について(a) Q13は,職場における組合活動及び選挙運動に関して問題のないと思われる選択肢を選択するよう求めるにとどまり,政治活動への参加を禁止又は妨害したり,逆に政治活動への参加を強制したりするものではないから,原告らの政治活動の自由を侵害するものとまでは認められない。 (b) したがって,Q13については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告らの政治活動の自由を侵害するものであったとはいえない。 d 団結権の侵害の有無について(a) Q13は,職場における組合活動及び選挙運動に関して問題のないと思われる選択肢を選択するよう求める質問であるところ,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成しており,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 そうすると,Q13は,職場における組合活動及び選挙運動に関する選択肢を示すことによって,その中には,何ら違法又は不適切ではないものも含まれるにもかかわらず,回答者である被告市の職員に対し,上記の選択肢に示されているような組合活動や選挙運動 は全て違法又は不適切なものではないかとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったと ず,回答者である被告市の職員に対し,上記の選択肢に示されているような組合活動や選挙運動 は全て違法又は不適切なものではないかとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 (b) しかしながら,被告らが主張するように,職員の組合活動や選挙活動に関する服務についての意識を調査する必要性がなかったとはいえないことや,その設問内容は抽象的な知識を問うものにすぎないことをも考慮すると,Q13について,直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまで評価することはできない。 (c) したがって,Q13が原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 e 小括以上によれば,Q13が原告らの憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (コ) Q14について前提事実(3)によれば,Q14は,被告市の広報活動についてどのように感じているのか等を質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由及びプライバシー権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q14は,被告市の広報活動についてどのように感じているのか等を質問するものであって,回答者の思想・良心そのものを質問するものではなく,この質問によって,原告職員らの思想内容が明らかになるともいえない。 (b) したがって,Q14については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q14は,被告市の広報活動についてどのように感じているのか等を質問するものであって,被告市の職員である原告職員らが であったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q14は,被告市の広報活動についてどのように感じているのか等を質問するものであって,被告市の職員である原告職員らが,被告市の広報活動に対する感じ方を聞かれることによって,プライバシーが侵害されるとは認められない。 (b) したがって,Q14については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 c 小括以上によれば,Q14が原告職員らの憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (サ) Q15についてa 前提事実(3)によれば,Q15は,回答するか否かは任意であることを明確にした上で,被告市における組合活動や選挙活動について自由な回答を求めるものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権,政治活動の自由及び団結権を侵害し,原告組合らの政治活動の自由及び団結権を侵害するものであると主張する。 b しかしながら,Q15は,自由回答方式で任意の回答を求めるものであって,何ら回答しなくても本件アンケートを終了することができたものである(前提事実(4))から,Q15については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告らの上記の憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (シ) Q16について前提事実(3)によれば,Q16は,労働組合への加入の有無及び過去に加入していた事実の有無を質問するものであると認められるところ, 原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無に められるところ, 原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について(a) Q16は,労働組合への加入の有無及び過去に加入していた事実の有無を質問するものであって,回答者の思想・良心そのものを質問するものではなく,上記(イ)aで述べたところからすれば,この質問が原告職員らの思想・良心の自由を侵害するとまではいえない。 (b) したがって,Q16については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q16は,労働組合への加入の有無及び過去に加入していた事実の有無を質問するものであるところ,上記(イ)bで述べたところからすれば,このような情報については,一般人を基準として,他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報であるとまでは認められない。 (b) したがって,Q16については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 c 団結権の侵害の有無について(a) Q16は,労働組合への加入の有無及び過去に加入していた事実の有無を質問するものであるところ,被告らは,労働組合加入の有無により,本件アンケートにおける信憑性や分析の精度が変わってくることに加え,少数派である非組合員の意見を吸い上げるため には,労働組合加入の有無を質問する必要があったと主張する。 しかしながら,被告らが主張する程度の必要性は,労働組合加入の有無の事実を強制的に回答させることを正当化するようなものとはいえな には,労働組合加入の有無を質問する必要があったと主張する。 しかしながら,被告らが主張する程度の必要性は,労働組合加入の有無の事実を強制的に回答させることを正当化するようなものとはいえないから,被告らの上記主張は採用することができず,Q16において個別の職員の労働組合の加入歴を調査しなければならない必要性があったとは認め難い。 (b) また,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成しており,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 (c) 以上で述べたところによれば,Q16は,上記各事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,労働組合に加入することによって不利益を受けるのではないかとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させる効果を有するというべきである。 また,被告市の職員において,Q16で労働組合の加入歴を回答するとともに,Q6で組合活動への参加の有無やその活動内容等を回答した場合,前記オ(オ)で述べた懲戒処分に言及する記載も相まって,何らかの不利益を受けるのではないかと懸念するのもやむを得ないといえるから,Q16は,職員に動揺を与える内容のものであり,労働組合を弱体化させるものであったということができる。 なお,Q16においては,労働組合に加入していない理由は任意回答とされているが,上記で述べたことからすれば,Q16が上記萎縮効果を有するとともに,職員に動揺を与える内容のものであっ たことには変わりがないというべきである。 (d) したがって,Q16は,原告らの団 が,上記で述べたことからすれば,Q16が上記萎縮効果を有するとともに,職員に動揺を与える内容のものであっ たことには変わりがないというべきである。 (d) したがって,Q16は,原告らの団結権を侵害するものであったというべきである。 d 小括以上によれば,Q16は,原告らの団結権を侵害するものであったが,その他の憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (ス) Q17及びQ19について前提事実(3)によれば,いずれも回答するか否かは任意であることを明確にした上で,Q17は,労働組合に加入することによるメリットをどう感じているかについて,Q19は,同組合に加入しないことによる不利益はどのようなものがあると思うかについて,それぞれ質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由及びプライバシー権の侵害の有無についてQ17及びQ19は,任意の回答を求めるものであって,何ら回答しなくても本件アンケートを終了することができたものである(前提事実(4))から,Q17及びQ19については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由及びプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 b 団結権の侵害の有無について(a) Q17は労働組合に加入することによるメリットをどう感じているかについて,Q19は同組合に加入しないことによる不利益はどのようなものがあると思うかについて,それぞれ質問するものであるところ,被告らは,本件アンケートに先立ち,平成18年アンケート,本件目安箱への投書及び内部告発者の告発等により労働組 合による不 ようなものがあると思うかについて,それぞれ質問するものであるところ,被告らは,本件アンケートに先立ち,平成18年アンケート,本件目安箱への投書及び内部告発者の告発等により労働組 合による不当な人事介入の存在が判明していたこと,事前の内部告発により労働組合を辞めたいが辞められないといった意見があったことから,労働組合加入のメリットに関する認識の有無を通じて,上記意見の信用性を確認する必要があったと主張する。 しかしながら,労働組合に加入することによるメリットを回答させたからといって,上記意見の信用性が直ちに確認できるわけではないし,それに直接関わる事実については,Q10で回答を求めていることからすると,このような設問を行う必要性は希薄であったといわざるを得ない。 (b) また,Q17及びQ19は,労働組合に加入すること又は加入しないことによるメリット及びデメリットの両面を質問するのではなく,加入するメリットと加入しないデメリットを片面的に質問するものとなっているだけでなく,Q17の選択肢の中には「昇進や異動などの面で有利である」というものが,Q19の選択肢の中には,「昇進の道が狭まる恐れがある」,「不本意な場所に異動となる恐れがある」というものが,それぞれ含まれている。 (c) そして,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成しており,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 (d) 以上で述べたところによれば,Q17及びQ19は,上記各事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対 いることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 (d) 以上で述べたところによれば,Q17及びQ19は,上記各事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,労働組合が不当な人事介入をしているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 (e) しかしながら,Q17及びQ19は,いずれも全体が任意回答とされているだけでなく,組合活動の内容について直接質問するものではなく,労働組合に加入するメリット及び加入しない不利益について抽象的な感想を求めるものにすぎないから,これが直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (f) したがって,Q17及びQ19が原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 c 小括以上によれば,Q17及びQ19が原告らの憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (セ) Q18について前提事実(3)によれば,Q18は,回答するか否かは任意であることを明確にした上で,労働組合にどのような力があると思うかについて質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由及びプライバシー権の侵害の有無について(a) Q18は,任意の回答を求めるものであって,何ら回答しなくても本件アンケートを終了することができたものである(前提事実(4))から,この質問によって,原告職員らが思想・良心の自由及びプライバシーを侵害されたとは認められない。 (b) したがって,Q18については,質問の必要性があったか否かについて る(前提事実(4))から,この質問によって,原告職員らが思想・良心の自由及びプライバシーを侵害されたとは認められない。 (b) したがって,Q18については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由及びプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 b 団結権の侵害の有無について (a) Q18は,労働組合にどのような力があると思うかについて質問するものであり,その選択肢の中には,「組合の幹部推薦があれば,市の職員として採用されやすい」,「職員の人事(昇進・異動など)に対して影響力を持っている」というものが含まれているところ,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長による労働組合「適正化」政策の一部を成しており,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 そうすると,Q18は,上記事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,労働組合が不当な人事介入をしているとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 また,上記b(a)で述べたところと同様,このような設問を行う必要性は希薄といわざるを得ない。 (b) しかしながら,Q18は,全体が任意回答とされているだけでなく,組合活動の内容について直接質問するものではなく,労働組合にどのような力があるのかについて抽象的な感想又は意見を求めるものにすぎないから,これが直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (c) したがって るのかについて抽象的な感想又は意見を求めるものにすぎないから,これが直ちに労働組合に加入する職員に動揺を与え,同組合を弱体化させる質問であるとまでは評価することができない。 (c) したがって,Q18が原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 c 小括以上によれば,Q18が原告らの憲法上の権利を侵害するものであ ったとはいえない。 (ソ) Q20について前提事実(3)によれば,Q20は,回答するか否かは任意であることを明確にした上で,労働組合に待遇等の改善について具体的に相談したことがあるかなどについて質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らのプライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a プライバシー権の侵害の有無について(a) Q20は,任意の回答を求めるものであって,何ら回答しなくても本件アンケートを終了することができたものである(前提事実(4))から,Q20については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 (b) したがって,Q20が原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 b 団結権の侵害の有無について(a) Q20は,労働組合に待遇等の改善について具体的に相談したことがあるか及びその場所と時間帯についてのみ質問するものにとどまるから,組合活動への参加を萎縮させる効果を有していたとは認められない。 (b) したがって,Q20については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 c 小括以上によれば,Q20が原告らの憲法上の権利を侵害するものであ 0については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 c 小括以上によれば,Q20が原告らの憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (タ) Q21について前提事実(3)によれば,Q21は,自分が収めた組合費がどのように使われているか知っているかについて質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らのプライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a プライバシー権の侵害の有無について(a) Q21は,自分が収めた組合費がどのように使われているか知っているかについて質問するものにすぎないから,このような質問によって,回答者である原告職員らのプライバシーが侵害されるとは認められない。 (b) したがって,Q21については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 b 団結権の侵害の有無について(a) Q21は,自分が収めた組合費がどのように使われているか知っているかについて質問するものであるところ,被告らは,本件アンケートに先立ち,本件目安箱への投書及び内部告発者の告発等により組合費の横領の疑い等があったことから,横領等の不正行為の有無や,これらに関する調査の端緒となる事象の有無を確認する必要があったと主張する。 しかしながら,組合費の使途については,労働組合内部の自治に委ねられるべきものであって,その調査の必要性を基礎付けるような組合費の横領等に関する具体的な嫌疑が存在しないにもかかわらず,労働組合以外の者がこれを調査する必要性がそもそも存在するとはいえないから,被告らの上記主張は採用すること 査の必要性を基礎付けるような組合費の横領等に関する具体的な嫌疑が存在しないにもかかわらず,労働組合以外の者がこれを調査する必要性がそもそも存在するとはいえないから,被告らの上記主張は採用することができない。 (b) また,上記ウ及びオで述べたとおり,本件アンケートは,市長 による労働組合「適正化」政策の一部を成しており,本件アンケートには,市長等において,労働組合が違法又は不適切な政治活動や組合活動を行っており,そこには「膿」と表現するほどの問題点が存在すると考えていることを示す職員宛て市長メッセージ等が添付されていたものである。 (c) 以上で述べたところによれば,Q21は,上記事項について質問することによって,回答者である被告市の職員に対し,労働組合による組合費の使途に不明朗な点があるとの印象を与え,組合活動への参加を萎縮させかねないものであったということができる。 また,本件アンケートにおいて,労働組合の自治に委ねるべき事実について強制的に回答を求め,しかも,労働組合による組合費の使途に不明朗な点があるかのような印象を与えることは,労働組合に加入している職員に動揺を与え,労働組合を弱体化させるものであったというべきである。 (d) したがって,Q21は,原告らの団結権を侵害するものであったというべきである。 c 小括以上によれば,Q21は,原告らの団結権を侵害するものであったが,その他の憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 (チ) Q22について前提事実(3)によれば,Q22は,平成17年の職員厚遇問題を受けて労使関係の適正化が図られたことによる職場の変化についてどのように思うかを質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権及び団結 遇問題を受けて労使関係の適正化が図られたことによる職場の変化についてどのように思うかを質問するものであると認められるところ,原告らは,同質問が原告職員らの思想・良心の自由,プライバシー権及び団結権を侵害し,原告組合らの団結権を侵害するものであると主張する。 a 思想・良心の自由の侵害の有無について (a) Q22は,平成17年の職員厚遇問題を受けて労使関係の適正化が図られたことによる職場の変化についてどのように思うかを質問するものであって,回答者の思想・良心そのものを質問するものではなく,この質問によって,原告職員らの思想内容が明らかになるともいえない。 (b) したがって,Q22については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らの思想・良心の自由を侵害するものであったとはいえない。 b プライバシー権の侵害の有無について(a) Q22は,平成17年の職員厚遇問題を受けて労使関係の適正化が図られたことによる職場の変化についてどのように思うかを質問するものであって,被告市の職員である原告職員らが,被告市の職場の変化についてどのように思うかを聞かれることによって,プライバシーが侵害されるとは認められない。 (b) したがって,Q22については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告職員らのプライバシーを侵害するものであったとはいえない。 c 団結権の侵害の有無について(a) Q22は,平成17年の職員厚遇問題を受けて労使関係の適正化が図られたことによる職場の変化についてどのように思うかを質問するものにとどまるから,組合活動への参加を萎縮させる効果を有していたとは認められない。 (b) したがって,Q22については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでも ように思うかを質問するものにとどまるから,組合活動への参加を萎縮させる効果を有していたとは認められない。 (b) したがって,Q22については,質問の必要性があったか否かについて検討するまでもなく,原告らの団結権を侵害するものであったとはいえない。 d 小括 以上によれば,Q22が原告らの憲法上の権利を侵害するものであったとはいえない。 キまとめ以上を総合すれば,本件アンケートについては,個別の設問のうち,Q7及びQ9が原告職員らのプライバシーを侵害し,Q6,Q16及びQ21が原告らの団結権を侵害するものと認められるから,本件アンケートが実施されたことにより,原告職員らはプライバシーを侵害され,原告らは団結権を侵害されたものというべきである。 (2) 本件職務命令及び本件決裁等の国家賠償法上の違法性についてア上記(1)で述べたとおり,本件アンケートは原告らの憲法上の権利を侵害する設問を含むものであったところ,被告市の公務員である市長・総務局長等において,本件アンケートへの回答を命じる本件職務命令を発出したり,本件アンケートの実施に関する本件決裁等を行ったりしたことは当事者間に争いがない。 このような場合,市長・総務局長等が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記各行為をしたと認め得るような事情があれば,市長・総務局長等の上記各行為は国家賠償法1条1項にいう違法なものと評価されるものと解される。 イまず,市長等について見るに,市長等は,任命権を有する各職員に対し,本件アンケートに回答することを義務付ける本件職務命令を発出するに当たり,本件アンケートに回答させることが職員又は労働組合の権利を違法に侵害するものではないことを確認し,必要に応じてその内容を修正・変更するための措置を採ったり, 務付ける本件職務命令を発出するに当たり,本件アンケートに回答させることが職員又は労働組合の権利を違法に侵害するものではないことを確認し,必要に応じてその内容を修正・変更するための措置を採ったり,本件職務命令を発出することを中止したりすべき職務上の注意義務を負っていたものというべきである。 しかしながら,前提事実(4)のとおり,市長等は,本件アンケートの内容を確認することが可能であったにもかかわらず,その内容を確認するこ とすらせず,漫然と本件職務命令を発出し,被告市の職員に対し,本件アンケートに回答することを義務付けて,原告らの憲法上の権利を侵害したものであるから,上記の注意義務を怠ったものというべきである。 ウまた,総務局長等について見るに,総務局長等は,本件アンケートの実施のための本件決裁をしたり,各所属長に対して本件アンケートの実施を依頼したりするに当たり,本件アンケートを実施することが職員又は労働組合の権利を違法に侵害するものではないことを確認し,必要に応じてその内容を修正・変更するための措置を採ったり,本件アンケートの実施を中止したりすべき職務上の注意義務を負っていたものというべきである。 しかしながら,前提事実(4)のとおり,総務局長等は,本件アンケートの内容を承知していたにもかかわらず,漫然と本件決裁等をし,本件アンケートの実施に至らせ,原告らの憲法上の権利を侵害したものであるから,上記の注意義務を怠ったものというべきである。 エしたがって,市長・総務局長等による本件職務命令及び本件決裁等は,国家賠償法上の違法性を有するものというべきである。 (3) 市長・総務局長等の故意又は過失についてアまず,市長等について見るに,上記(2)イで述べたところによれば,市長等に少なくとも過失が存在したことは明らか 性を有するものというべきである。 (3) 市長・総務局長等の故意又は過失についてアまず,市長等について見るに,上記(2)イで述べたところによれば,市長等に少なくとも過失が存在したことは明らかというべきである。 これに対し,被告市は,市長等において,公務員の不祥事調査の専門家であり弁護士である被告Yにより違法な調査がされるはずがないと考えていたから,本件アンケートの内容を確認すべきと考える予見可能性がなかったと主張する。しかしながら,不祥事調査の専門家であり弁護士でもある被告Yに調査を依頼していたものであったとしても,本件職務命令は,市長等の権限で発出し,その対象者である職員に対して義務を課すものである以上,本件職務命令により命じる内容が違法なものでないことを確認すべき注意義務を免れることはないというべきであるから,被告市の上記 主張は採用することができない。 また,被告市は,市長等について,本件アンケートの内容を確認することは想定されておらず,その物理的時間もなく,被告Yも事前に確認することを許さなかったため,本件アンケートを一時停止する結果回避可能性もなかったと主張する。しかしながら,市長等が,本件職務命令を発出するに当たり,本件アンケートの内容を確認することについて,法令上の制約は何ら存在しなかったし,被告Yは,市長の委嘱に基づき,本件調査チームによる調査を行っていたにすぎず,市長等が本件アンケートを中止したり,時期を遅らせたりするよう命じれば,これを拒絶する法的根拠は何ら存在しなかったものであるから,被告市の上記主張は採用することができない。 イまた,総務局長等について見るに,上記(2)ウで述べたところによれば,総務局長等に少なくとも過失が存在したことは明らかというべきであるこれに対し,被告市は,総務局 採用することができない。 イまた,総務局長等について見るに,上記(2)ウで述べたところによれば,総務局長等に少なくとも過失が存在したことは明らかというべきであるこれに対し,被告市は,総務局長等について,事前に本件アンケートの内容を確認していたとしても,立場上,設問内容を修正したり実施を中止したりする権限も期待可能性もなかったと主張する。しかしながら,総務局長等は,その職務権限に基づき本件決裁等を行ったものであるところ,法令遵守義務を負う公務員(地公法32条)として,本件アンケートの実施を依頼する内容の本件決裁等をするに当たり,本件アンケートの内容を確認し,これが職員又は労働組合の憲法上の権利を侵害するものであれば,本件決裁等を中止するなどの措置を採るべき注意義務を免れることはないというべきであるから,被告市の上記主張は採用することができない。 (4) まとめ以上によれば,被告市は,国家賠償法1条1項に基づき,本件アンケートの実施によって原告らが被った損害を賠償すべき責任を負うというべきである。 2 争点(2)(被告Yの損害賠償責任の有無)について(1) 本件アンケートの作成等の不法行為法上の違法性について上記1で述べたとおり,本件アンケートは甲事件原告らの憲法上の権利を侵害する設問を含むものであったところ,前提事実(4)によれば,被告Yは,本件アンケートを作成するとともに,市長等に本件職務命令を発出するよう依頼することによって,原告職員らに本件アンケートに回答させたものであるから,被告Yの上記行為は,不法行為法上の違法性を有するというべきである。 これに対し,被告Yは,本件アンケートの作成等という被告Yの行為は,被告市による本件アンケートの実施という公権力の行使の一部であるから,被告Yが個人責任を問わ の違法性を有するというべきである。 これに対し,被告Yは,本件アンケートの作成等という被告Yの行為は,被告市による本件アンケートの実施という公権力の行使の一部であるから,被告Yが個人責任を問われることはないと主張する。 しかしながら,前提事実(4)のとおり,被告Yは,被告市の特別顧問として,職員としての身分を有しておらず,被告市との間の委任関係に基づき,私人としての立場で,本件アンケートの作成等をしたものであるところ,このような行為は,国家賠償法1条1項に規定する「公権力の行使」に該当するものとはいえないから,被告Yの上記主張は採用することはできない。 (2) 被告Yの故意又は過失について被告Yは,本件アンケートの作成等をするに当たり,本件アンケートの回答者である被告市の職員及び職員によって組織される労働組合の権利を侵害することがないよう調査・確認すべき注意義務を負っていたというべきである。 それにもかかわらず,被告Yは,第三者調査を担当する本件調査チームによる本件アンケートは,被告市の職員及び労働組合の憲法上の権利を直接侵害することはないと漫然と考え,本件アンケートの作成等をしたものであるから,少なくとも過失があったものというべきである。 (3) まとめ したがって,被告Yは,民法709条に基づき,本件アンケートの実施により甲事件原告らが被った損害を賠償すべき責任を負うというべきである。 また,市長・総務局長等の上記違法行為及び被告Yの上記不法行為は,客観的関連共同性を有するものということができるから,民法719条1項前段に基づき,被告市と被告Yは,連帯して甲事件原告らに生じた損害を賠償すべき責任を負うというべきである。 3 争点(3)(原告らの損害及び因果関係)について(1) 上記1で述べたとおり,本件 前段に基づき,被告市と被告Yは,連帯して甲事件原告らに生じた損害を賠償すべき責任を負うというべきである。 3 争点(3)(原告らの損害及び因果関係)について(1) 上記1で述べたとおり,本件アンケートは原告らの憲法上の権利を侵害する設問を含むものであったところ,証拠(甲52の1から4まで,53の1から20まで,54,甲A1,原告C,同D,同E,同F,同B各本人)及び弁論の全趣旨によれば,①原告職員らは,本件職務命令により,本件アンケートへの回答を義務付けられるとともに,正確な回答をしなければ懲戒処分の対象となり得ることが明示されたことから,本件アンケートに回答するか否かの心理的葛藤が生じ,本件アンケートに回答した者も,回答しなかった者もいずれも精神的苦痛を被ったこと,②本件アンケートの実施によって,原告組合らについては,組合員が組合活動に積極的に協力することを差し控えるようになるなど,その活動に対する萎縮効果が生じ,これによる無形的損害が生じていることが認められる。 なお,前提事実(1)のとおり,原告職員らの中には労組法の適用がない一般職員も含まれ,原告組合らの中には労組法の適用のない職員団体も含まれているが,これらの者も憲法上の団結権を保障されているから,上記の精神的苦痛又は無形的損害を被ったことには変わりがないというべきである。 (2) 一方,上記1で述べたとおり,本件アンケートについては,個別の設問の一部が原告らの憲法上の権利を侵害するにすぎないものである。 また,前提事実(4)から(7)までに加え,証拠(原告C,同B各本人)及び弁論の全趣旨によれば,①本件調査チームは,原告K連合会らによる救済及 び審査の実効確保の措置の申立てがされたことを受けて,本件アンケートの開封及び集計作業を凍結するとともに,最終的には び弁論の全趣旨によれば,①本件調査チームは,原告K連合会らによる救済及 び審査の実効確保の措置の申立てがされたことを受けて,本件アンケートの開封及び集計作業を凍結するとともに,最終的には本件アンケートの回答を開封することなく,全て廃棄しており,原告職員らによる本件アンケートの回答内容は誰の目にも触れていないこと,②原告職員らの中には,本件アンケートに回答しなかった者もいるが,そのことによって被告市から懲戒処分等の不利益を受けることはなかったこと,③本件アンケートの実施については,府労委により市長等に文書の交付を命じる内容の本件救済命令が確定したことにより,これが不当労働行為に該当する旨の公的判断が既に明らかにされるとともに,市長等は上記文書の交付をしていることが認められる。そして,原告組合らについて,組合員数の減少等が生じているとしても,それが本件アンケートの実施の影響によるものであるか否かは必ずしも明らかではない。 (3) 上記の各事情を総合考慮すると,原告職員らに生じた精神的苦痛に対する慰謝料としては各5000円が相当であり,原告組合らに生じた無形的損害に対する損害賠償としては各5万円が相当であるというべきである。 また,原告Bが本件訴訟追行に要した弁護士費用のうち5000円について,交通局長の違法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。 (4) 以上によれば,被告らは,国家賠償法1条1項,民法709条及び同719条1項前段に基づき,連帯して,原告Aらに対して各5000円及び原告組合らに対して各5万円並びにこれらに対する違法行為後の日(甲事件訴状送達日の翌日)である平成24年5月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うというべきである。 また,被告市は,国家賠償法1条 に対する違法行為後の日(甲事件訴状送達日の翌日)である平成24年5月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うというべきである。 また,被告市は,国家賠償法1条1項に基づき,原告Bに対し,1万円及びこれに対する違法行為後の日(乙事件訴状送達日の翌日)である平成24年12月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うというべきである。 4 結論よって,原告らの請求は主文第1項から第3項までに掲記の限度で理由があるから,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官中垣内健治 裁判官馬場俊宏 裁判官笹井三佳
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