主文 被告人を懲役4年に処する。 未決勾留日数中130日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和6年7月4日、津市(住所省略)被告人方において、実母であるA(当時87歳)に対し、その右大腿部付近を四、五回足で踏みつける暴行を加え、同人に骨盤骨及び右大腿骨大転子部の骨折等の傷害を負わせ、よって、同月17日、同人を前記傷害に基づく多臓器不全により死亡させた。 (量刑の理由)同居の実母に対する傷害致死事件である。 寝た状態でいた被害者の右大腿部付近を四、五回踏みつけた。相当高齢の被害者を一方的に攻撃した。暴行は骨盤骨、右大腿骨を骨折させるほど強度なものだった。 被害者を死亡させた結果はいうまでもなく重大である。もっとも、暴行は、凶器を使用しておらず、頭や腹等の身体の重要部分に向けてもいないことからすれば、人を死亡させる危険性が高かったとまではいえない。 被害者は、被告人が何度も部屋を片付けるよう言ったのに、いい加減な返事をするだけで片付けず、話の途中で寝ようとした。被告人はこのような被害者の態度に立腹して犯行に及んだ。被告人が立腹したこと自体は理解できるとしても、被害者に対する暴行を正当化する理由にはなり得ない。動機、経緯に特に酌むべき事情はなく、強い非難に値する。もっとも、被告人が本件前にも何度か被害者に物を投げ付けたり頭や頬を平手で叩いたりしたことはあったものの、本件のように強度の暴行を繰り返していたとは認められない。 犯行後、何度か被害者に救急車を呼ばなくていいか尋ね、被害者が反応しなくなると自ら119番通報し、救命措置をするなどした。これらは自らの犯行が招いた被害を重くしないよう努めた行動といえ、刑責を若干軽くする事情と か被害者に救急車を呼ばなくていいか尋ね、被害者が反応しなくなると自ら119番通報し、救命措置をするなどした。これらは自らの犯行が招いた被害を重くしないよう努めた行動といえ、刑責を若干軽くする事情として考慮でき る。 本件の犯情は、傷害致死事案(単独犯、1件、被害者が親)の中で、中等度より若干軽い部類に位置付けられる。 事実を認め、不利な事実も供述し、事件解明に協力した。兄(被害者の長男)が社会復帰を支援したいとの意向を示している。これらの事情も踏まえた上、主文の刑を科するのが相当である(検察官は、前記不利な犯情を過大に、有利な犯情を過少に評価しており、求刑は重すぎる。他方、前記不利な犯情に照らせば、弁護人のいう刑の執行猶予は相当でない)。 (求刑懲役8年) 令和7年7月2日 津地方裁判所刑事部 裁判長裁判官出口博章 裁判官小川結加 裁判官髙島菜緒
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