【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 当審における訴訟費用は、全部被告人の負担とする。 理 由 本件控訴の趣意は、弁護人岡崎源一作成名義の控訴趣意書の記載の
主文本件控訴を棄却する。 当審における訴訟費用は、全部被告人の負担とする。 理由本件控訴の趣意は、弁護人岡崎源一作成名義の控訴趣意書の記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。これに対する当裁判所の判断は、左記のとおりである(以下に掲記する所得税法の各条項のうち、被告人の本件行為当時の以後において改正変更等のあつたものは、すべて右行為当時の各条項をさす)。 本件確定申告は旧住所地の所轄税務署にした不適法無効のものであるから所得税法第六九条第一項の不正行為にあたらない旨を主張する論旨について。 この論旨は、要するに、「被告人の本件確定申告は、その住所地たる名古屋市a区を所轄する名古屋中税務署にすべきであつたにもかかわらず、誤つて旧住所地たる名古屋市b区を所轄する名古屋東税務署にしたものであつて、不適法であり、したがつて無効である。故に右申告は、仮に原判示どおりの過少申告であつたとしても、所得税法第六九条第一項所定の不正の行為にあたらない。もつとも、同法第六九条の四所定の確定申告書不提出罪を構成するかも知れないけれども、そのことは別問題である。原判決には右の点において法令の解釈適用の誤がある」というにある。 案ずるに、被告人は、原判示のように、昭和二七年頃から昭和三四年一二月下旬頃までは名古屋市b区c町d丁目e番地に営業所を置き、その頃以降は同市a区f町g丁目h番地に営業所を置いて、不動産の売買、その売買の仲介等の営業を営み、そのかたわら昭和三三年四月頃からは同市a区i町j番地において土地建物を所有しこれを使用してA旅館という商号にて旅館営業をも営んで来たものであつて、昭和二七年頃から昭和三四年八月頃までは同市b区c町d丁目e番地所在の右営業所を住所としており、したがつ おいて土地建物を所有しこれを使用してA旅館という商号にて旅館営業をも営んで来たものであつて、昭和二七年頃から昭和三四年八月頃までは同市b区c町d丁目e番地所在の右営業所を住所としており、したがつて同所を所轄する名古屋東税務署(正確に表示すれば、税務署長)に昭和三三年分までの所得税の確定申告、納税等をしていたが、昭和三四年八月頃同市a区i町j番地所在の右A旅館に住所を移転し、以後そのA旅館を住所として今日に至つた。そして被告人は、所得税の確定申告、納税等につき従来再三にわたつてB(C会計事務所事務員)に相談をしたことがあり、その結果同人とは相互に熟知の間柄にあつたところ、本件の昭和三四年分所得税確定申告をするにあたり、その申告書の記載および提出を同人に依頼したが、その際被告人自身において同市a区が名古屋中税務署の所轄に属することを判然と意識せず、しかも前記住所移転の事実を右Bに告知しなかつた関係上、Bは、その事実を知らず、依然として被告人の住所が同市b区c町d丁目e番地にあると誤信し、昭和三五年三月七日名古屋東税務署に対して被告人作成名義の確定申告書を提出した。すなわち被告人は、右の確定申告を誤つて旧住所地たる同市b区を所轄する名古屋東税務署にし、住所地にして納税地なる同市a区を所轄する名古屋中税務署にしなかつた。叙上の事実は原判決引用の各証拠上明白である。 本件においては、所得税法第六五条第一項但書の事情その他の特別事情は存在しなかつたから、同条項本文にもとづき、本件確定申告は名古屋中税務署にすべきものであつた。したがつて名古屋東税務署にした本件確定申告は所論のように不適法であるといい得るであろう。しかしながら、その確定申告をもつで無効てあるとは断定することができない。土地管轄のない裁判所にした民事訴訟の提起のごときも、不適法では た本件確定申告は所論のように不適法であるといい得るであろう。しかしながら、その確定申告をもつで無効てあるとは断定することができない。土地管轄のない裁判所にした民事訴訟の提起のごときも、不適法ではあるが、無効ではない。却下することも許されない。その事件は管轄裁判所に移送すべきものである。所得税法第六五条第一項本文は、納税義務者の住所地を納税地とする旨を規定している。しかし、それは、納税義務者の便宜と国の税務行政の便宜とを考慮した便宜的規定にすぎない。しかも、それは、原則的規定にほかならず、同条第一項但書同条第三項等は、例外の場合を定めている。それらの条項その他の所得税法の諸条項全体の趣旨から考察すると、本件のように、一定の住所に居住し、その間同所の所轄税務署に所得税の確定申告、納税等をしていた者が、その後の一定の年の中途において他の税務署の所轄区域内に住所を移転した場合、右の年分の所得税確定申告を誤つて旧住所地の所轄税務署(同署は従来の関係諸書類を保管している)にし、現在の住所地の所轄税務署にしなかつたからといつて、右の申告を無効と解し、したがつて右の者が確定申告をしなかつたとみるのは(正当な事由がないと認め得る場合には、所論の同法第六九条の四の罪が成立する)、相当でないように思われる。旧住所地の所轄税務署に対する申告であつても、依然として同法第二六条第一項にいわゆる「政府」に対する申告ないし租税債権者たる国に対する申告があつたとみることができるから、むしろ右申告を有効と解すべきである。しかのみならず、原判決挙示の証拠によれば、税務行政の実際においては、一般に、税務署は、その受領した確定申告書およびその他の諸資料を調査した結果、その納税義務者の納税地が同税務署の所轄に属せず他の税務署の所轄に属することが明らかとなつた場合、右の申告を無 おいては、一般に、税務署は、その受領した確定申告書およびその他の諸資料を調査した結果、その納税義務者の納税地が同税務署の所轄に属せず他の税務署の所轄に属することが明らかとなつた場合、右の申告を無効と解して申告書を放置しておくようなことはせず、申告書提出の時に有効な申告があつたとみて処理したうえ申告書を所轄税務署に移管する手続をとる取扱をしており、被告人の本件確定申告書についても、右の取扱に従つて、昭和三六年三月三日頃他の関係諸書類と共に名古屋東税務署から名古屋中税務署に対して移管の手続がなされたことを肯認することができる。実務上の右取扱は正当として是認すべきものである。なお、その後に制定施行された国税通則法は第二一条において右取扱と同趣旨の規定を設けた。上記のとおりであるから、被告人の名古屋東税務署にした本件確定申告は、原判示どおりの過少申告(法律に従つて計算した正規の所得金額およびこれにもとづく税額よりも過少な所得金額およびこれにもとづく税額を記載した内容虚偽の申告書の提出)であつたとすれば、前記のように誤つて旧住所地の所轄税務署にしたものであつても、なお国の租税収納を不法に減少させる原因となるべき積極的行為にあたるというべく、したがつて本件確定申告は、所得税法第六九条第一項の罪の客観的要件たる「不正の行為」に該当するといわなければならない。 原判決は上記と同趣旨の見解に立脚しているものであつて、原判決に所論の法令の解釈適用の誤はない。論旨は理由がない。 昭和三三年一二月二九日の不動産売買契約にもとづきD工務店から同日以降数回に分割支払を受けた代金合計一億二〇〇〇万円は昭和三四年の収入金額にあたらない旨を主張する論旨について。 この論旨は、要するに、「被告人は、昭和三三年一二月二九日D工務店と不動産売渡契約を締結し、これに を受けた代金合計一億二〇〇〇万円は昭和三四年の収入金額にあたらない旨を主張する論旨について。 この論旨は、要するに、「被告人は、昭和三三年一二月二九日D工務店と不動産売渡契約を締結し、これにもとづき、同日から昭和三四年九月までに七回にわたつて分割支払を受けて代金合計一億二〇〇〇万円を受領した。右契約は昭和三三年一二月二九日に効力が発生したから、その契約を基礎とする被告人の代金債権は同日確定的に発生した。したがつて右代金一億二〇〇〇万円は、昭和三三年の収入すべき金額であつて、同年の収入金額にあたる。しかるに原判決は右代金全額を昭和三四年の収入金額とみた。 原判決には右の点において法令の解釈適用の誤がある」というにある。 それでまず所論の契約関係を仔細に調査しよう。 原審および当審の取り調べたすべての証拠を精査し、原判決引用の各証拠を総合して考察すると、一、株式会社Eは、別紙第一目録記載の土地建物(従前の土地上に仮換地が存在し、その仮換地上に建物が存在する。建物は未登記である)を所有し、これを営業所として文房具類販売商を営んで来たが、諸種の都合により、営業所を他の適当な土地上に移転しようと計画し、被告人に種々相談して、昭和三三年秋頃被告人に対し右第一目録記載の土地建物の売却および同土地とほぼ同価格の移転すべき適当な土地その他の代替土地の入手方一切を委任した(第一目録記載の土地は、名古屋市内の最も繁華な中心地たるk町に近接して存在し、極めて高価である。したがつて同土地を売却することによつて広大な数筆の代替土地を取得し得る状態にあつた)。それで被告人は、F株式会社所有の別紙第二目録記載の土地について同会社に種々交渉したところ、同年一二月下旬頃同会社が右土地を三〇〇〇万円にて売却することを了承し、しかも、その頃右のEをして右土地を実 それで被告人は、F株式会社所有の別紙第二目録記載の土地について同会社に種々交渉したところ、同年一二月下旬頃同会社が右土地を三〇〇〇万円にて売却することを了承し、しかも、その頃右のEをして右土地を実地検分させたところ、同商会は、気に入り、右土地が営業所を移転するに適当な土地であると認定して、その旨を返答した。 一、まず、被告人は、第一目録記載の土地の買受方を熱望している株式会社D工務店に対し、土地建物がEの所有に属し被告人においてその売却方一切の委任を受けている事情を告知したうえ、種々交渉をし、その結果、昭和三三年一二月二九日右のD工務店と、第一目録記載の土地建物につき、被告人を売主とし左記(イ)ないし(ニ)の趣旨の各条項等を内容とする売買契約を締結した(その契約書は証第七号)。そしてただちに同工務店から左記(ロ)の手附二〇〇〇万円を受領した。 (イ) 被告人(売主)は、D工務店(買主)に対しEの所有にかかる第一目録記載の土地建物を代金一億二〇〇〇万円の定めにて売り渡す。 (ロ) 手附を二〇〇〇万円と定め、売主において契約に違背したときは、売主は手附の倍額を支払い、買主において契約に違背したときは、売主は手附を没収しかつ何等の予告をしないで契約を解除し得るものとする。 (ハ) 受渡期日を昭和三四年七月三一日と定め、同日代金額から手附金額を差し引いた残代金の支払をし、同時に売買不動産の所有権移転登記手続をするものとする。ただし、売主が右代金の範囲内で代金を資金として代替土地を購求するための便宜上、残代金の支払方法および不動産の受渡期日は後日双方協議のうえ変更し得るものとし、残代金の授受を不動産受渡期日の以前に行ない得るものとする。 (二) 公租公課等の負担はすべて受渡期日をもつて境とする。 一、そしてD工務店は、右売買残代金の支 双方協議のうえ変更し得るものとし、残代金の授受を不動産受渡期日の以前に行ない得るものとする。 (二) 公租公課等の負担はすべて受渡期日をもつて境とする。 一、そしてD工務店は、右売買残代金の支払として、被告人に対し、その申出に同意して、分割弁済の方法により、昭和三四年二月七日一〇〇〇万円を、同月一〇日一〇〇〇万円を、同月二八日三〇〇〇万円を、同年三月二八日二〇〇〇万円を、同月三一日二〇〇〇万円を、同年九月一五日一〇〇〇万円を順次支払つた。 その間、被告人はEと協議のうえ、D工務店に対し、同年三月三日右第一目録記載の土地(従前の土地)のうち、二筆につき、次で同年四月二日同目録記載の土地(従前の土地)のうち、その余の四筆につき、後記のとおり、中間者たる被告人を経由しないでEから直接D工務店に名義を移転する方法によつて、いずれも所有権移転登記手続を完了した。 一、その間、被告人は、昭和三四年二月六日Eと、第一目録記載の土地につき、左記(1)ないし(6)の趣旨の各条項等を内容とする土地交換契約を締結した(その契約書は証第一四号)。 (1) Eの所有にかかる第一目録記載の土地と被告人がF株式会社その他から買い受けるべき第二目録記載の土地および「その他の数筆の土地」とは、名古屋国税局相続税財産評価基準にもとづく算定により概ね等価値とみて、右双方の土地を交換する。 (2) Eは、被告人またはその指定する者に対し、第一目録記載の土地につき速かに所有権移転登記手続をし、被告人は、Eに対し、第二目録記載の土地につき速かに所有権移転登記手続をするものとする。 (3) 被告人は、Eに提供すべき前記の「その他の数筆の土地」を速かに同商会と協議して選定確定し、これにつき同商会に所有権移転登記手続をするものとする。 (4) Eは、同年七月三日までに第 る。 (3) 被告人は、Eに提供すべき前記の「その他の数筆の土地」を速かに同商会と協議して選定確定し、これにつき同商会に所有権移転登記手続をするものとする。 (4) Eは、同年七月三日までに第一目録記載の土地より退去するものとする。所有権移転登記完了の時から右退去の時までの同商会の右土地使用については、被告人は借地料を請求しないものとする。 (5) 被告人は、この契約の保証金として、Eに対し、同年二月末日までに一五〇〇万円を、同年九月末日までに五〇〇万円を支払うものとする。Eは、この契約完了後二カ年以内に被告人に対し右の保証金を分割して返済するものとする。その期間内保証金に利息を附さない。 (6) 土地の公租公課等の負担は所有権移転登記手続の時を基準として定める。 一、 Eは、上記の経過により、営業所を移転すべき適当な土地を第二目録記載の土地と確定し、営業所移転の目的を達し得べき状態となつた。前記の「その他の数筆の土地」は、交換のために双方が提供する各土地を前記算定方法により概ね同価格とするために被告人において提供することを要することとなつたにすぎないものである。 一、更に被告人は、同年二月六日Eと、被告人(買主)が同商会から第一目録記載の建物を、前記国税局評価基準にもとづく算定額を代金額とし所有権移転登記手続および代金支払の日を同年七月三一日とする定めにて買い受ける旨の建物売買契約を締結した。 一、そして被告人は、同年二月一八日F株式会社と、被告人(買主)が第二目録記載の土地を、手附五〇〇万円(これについては、前記(ロ)と同趣旨の約定をした)、代金三〇〇〇万円(手附は契約履行の際代金の内金に充当する)および受渡期日同年四月七日の定めにて買い受ける旨の売買契約を締結し(その契約書写は記録二二〇丁)、ただちに手附五〇〇万 旨の約定をした)、代金三〇〇〇万円(手附は契約履行の際代金の内金に充当する)および受渡期日同年四月七日の定めにて買い受ける旨の売買契約を締結し(その契約書写は記録二二〇丁)、ただちに手附五〇〇万円を支払い、同年二月二八日一〇〇〇万円を、同年四月七日一五〇〇万円を支払つて、代金全額の支払を完了した(なお、後記のとおり同年四月八日右会社から直接Eに対し右土地の所有権移転登記手続をした)。 一、右の土地交換契約にもとづき、Eは、前記のとおり、同年三月三日および同年四月二日の二回にわたつて第一目録記載の土地につき被告人の指定するD工務店に対し所有権移転登記手続をし、被告人は、同年四月八日第二目録記載の土地(従前の土地)につき、被告人を経由しないでF株式会社から直接Eに名義を移転する方法により、同商会に対して所有権移転登記手続をし、更に同商会に対し、同年二月一七日までに合計一五〇〇万円を、同年九月一九日に五〇〇万円を支払つて、右保証金二〇〇〇万円の支払を完了した(この二〇〇〇万円は、原判決第二表三番保証金の欄に同年分増加金額として掲記してある二〇〇〇万円にあたる)。 一、被告人は、同年五月一日頃および同年九月一日頃の二回にわたりEに対し第一目録記載の建物買受代金の弁済として合計四二五万四三八三円を支払つた。しかし、その支払代金額は、上記の算定方法を誤つたものであつて、正確な算定代金額四〇七万四六九八円を一七万九六八五円だけ超過するものであつた。双方は、同年一一月頃そのことを知つた。被告人は、そのために同商会に対して右超過額分だけの返還請求権を有することとなつた(右の一七万九六八五円は、原判決第二表六番仮払金の欄に同年分増加金額として掲記してある一七万九六八五円にあたる)。 一、次に被告人は、同年一月頃から同年四月頃までの間に三回にわた することとなつた(右の一七万九六八五円は、原判決第二表六番仮払金の欄に同年分増加金額として掲記してある一七万九六八五円にあたる)。 一、次に被告人は、同年一月頃から同年四月頃までの間に三回にわたつてG、HおよびIから、合計五、六百万円程度の代金を支払つて、順次別紙第三目録記載の(一)ないし(三)の三筆の土地を買い受けたが、同年三、四月頃から順次、Eの同意を得て、右土地交換契約所定の「その他の数筆の土地」に充当する土地として右第三目録記載の三筆の土地を選定確定し、同商会にこれを提供し、その各土地につき、被告人を経由しないでG等玉名から直接同商会に名義を移転する方法により、同年一一月頃までに同商会に対して所有権移転登記手続を完了した。一、D工務店は、元来、昭和三三年一二月二九日第一目録記載の土地建物売買契約を締結するにあたり、内心においては右建物を無価値と評価し右の土地だけを一億二〇〇〇万円と評価して、右契約を締結したのであつた。そして被告人は、昭和三四年五月D工務店から、被告人において右建物を他に収去するという約定のもとに、これを無償にて贈与を受けた。次で被告人は、同年八月Eに対し、同様同商会において右建物を他に収去するという約定のもとに、代金四〇万円にてこれを売り渡し、同年九月一日頃その代金を領収した。 一、 Eは、昭和三四年八月六日頃まで第一目録記載の土地建物を占有使用して営業を継続して来たが、その頃営業所を第二目録記載の土地上の新築家屋(同商会所有)に移転し、同年一〇月頃第一目録記載の建物を収去して、結局D工務店に対し同目録記載の土地を明け渡した。 という事実を認定するに十分である。 そこで被告人が昭和三三年一二月二九日D工務店と第一目録記載の土地建物について締結した本件売買契約の性格を概観しよう。検察官は、原審において 土地を明け渡した。 という事実を認定するに十分である。 そこで被告人が昭和三三年一二月二九日D工務店と第一目録記載の土地建物について締結した本件売買契約の性格を概観しよう。検察官は、原審において、しばしば右契約を予約あるいは仮契約とみ得るという趣旨の発言をしている。しかし、右契約を予約とみ得る余地はない。それは本契約(予約に対する概念としての本契約)であること疑がない。右契約をもつて仮契約とみることもできない。それは最後的な正式の契約である。約定した残代金の支払方法および不動産の受渡期日を後日双方協議のうえ変更し得る旨の前記(ハ)の条項但書があつても、本件契約を予約とみることのできないことは、もちろん、これを仮契約ということもできない。 そして本件契約が手附契約の附随する売買契約であり、第三者所有不動産の売買契約であることは、いうまでもない。 よつて進んで昭和三三年一二月二九日の本件契約にもとづき被告人が同日から昭和三四年九月一五日までの間にD工務店から支払を受けた手附二〇〇〇万円ないしこれを含む代金合計一億二〇〇〇万円が所得税法第九条第一項第四号(事業所得)所定の「総収入金額」を構成する個々の収入金額として被告人の昭和三四年における収入金額にあたるか否かについて審究しよう。 およそ一定の収入金額が生じた時期を決定する基準については権利確定主義と現実収入主義とが存し、所得税法第一〇条第一項は、収入金額は「収入すべき金額」による旨を規定して、権利確定主義を採用している。 ここにいわゆる「収入すべき金額」とは「収入すべき権利の確定した金額」をさす。それでまずこの主義に従いかつ会計学上の実現主義をも参照して本件契約を検討する。 第一に本件売買契約には二〇〇〇万円の手附契約が附随しているので、この点だけに著眼して検討する。右の手附契約は す。それでまずこの主義に従いかつ会計学上の実現主義をも参照して本件契約を検討する。 第一に本件売買契約には二〇〇〇万円の手附契約が附随しているので、この点だけに著眼して検討する。右の手附契約は、債務不履行の場合の損害賠償額の予定を兼ねる民法第五五七条の解約手附の契約というべきである。したがつて当事者の双方がいずれも本件契約の解除権を留保している。本件契約は、近い将来において適法に解除されることがあるべきことを前提とするものである。当事者の一方が契約の履行に著手するまでは、買主は手附を放棄し、売主はその倍額を償還して、本件契約を解除することができる。故に右の手附二〇〇〇万円は、D工務店が契約を解除せずかつ被告人が契約を解除する場合には倍額にして返還することを要するものであり、被告人が契約を解除せずかつD工務店が契約を解除することによつてはじめて確定的に被告人の手附収入となるにすぎないものである。したがつて右の手附金額は、被告人が契約を解除せずかつD工務店が契約を解除するという事実があつてはじめて手附収入として被告人の収入すべき権利の確定した金額となるといわなければならない。しかも、右手附は、内金手附たる性質をも兼ね備えていることが明白であるから、双方が契約を解除せずかつ一方が契約の履行に著手したときは代金の内金として計算すべきものである。しかるところ、双方が契約を解除せずかつ一方が契約の履行に著手しないで昭和三三年を経過した。故に右の手附二〇〇〇万円は、被告人の事業の経理上、手附収入として同年における負債勘定たる前受金(仮受金)勘定に計上すべき性質のものである。右のとおりであるから、手附二〇〇〇万円は、被告人の同年における収入金額にあたらない。次に内金の性質を有する右手附二〇〇〇万円を含む一億二〇〇〇万円の代金債権は、一方が契約の履 べき性質のものである。右のとおりであるから、手附二〇〇〇万円は、被告人の同年における収入金額にあたらない。次に内金の性質を有する右手附二〇〇〇万円を含む一億二〇〇〇万円の代金債権は、一方が契約の履行に著手するまでに、いずれかの一方が叙上の解除権を行使し契約を解除することによつて消滅する。解約手附を授受した売買契約上の代金債権等の権利は、このように不確実なものである。しかし、右の代金債権も、双方が契約を解除ぜずかつ一方が契約の履行に著手するという事実があれば、双方が叙<要旨第一>上の解除権を喪失して、確実なものとなる。したがつて右の代金額は、特別事情のない限り、右の事実があつ</要旨第一>た時に、代金収入として売主の収入すべき権利の確定した金額となるとみるのが相当である。そして双方が契約を解除しないで本件契約は存続し、昭和三四年二月七日に至つてD工務店は、被告人の申出に同意し、分割弁済の方法により、本件契約にもとづく代金の一部弁済として一〇〇〇万円を支払つた。 その時にD工務店が契約の履行に著手したといい得ることは、多言を要しない。故に手附二〇〇〇万円を含む一億二〇〇〇万円の代金は、その全額につき、昭和三四年二月七日D工務店の契約履行の著手により、代金収入として被告人の収入すべき権利の確定した金額となり、したがつて同日の属する昭和三四年における被告人の収入金額にあたるというべきである。 第二に本件契約は第三者たるE所有不動産の売買契約であるから、この点だけに著眼して検討する。 不動産物権の移転が当事者の意思表示のみによつて効力を生じ、登記がその物権移転の対抗要件にすぎないことならびに第三者所有不動産の売買が可能であることは、所論のとおりである。そして右物権移転の時期は原則として意思表示すなわち契約の効力発生の時である。ただし、特約その 物権移転の対抗要件にすぎないことならびに第三者所有不動産の売買が可能であることは、所論のとおりである。そして右物権移転の時期は原則として意思表示すなわち契約の効力発生の時である。ただし、特約その他の特別事情が存するときはこの限りでない。本件のように第三者所有不動産の売買契約の場合には、その契約締結後売主が第三者から右不動産の所有権を取得すると同時に、その所有権は当然に買主に移転するとみるべきである。この場合、買主に不動産の所有権が移転することによつて、売主の代金債権は確実となる。したがつてその所有権移転の時に、原則<要旨第二>として右代金額が売主の収入すべき権利の確定した金額となると解するのが相当である。それで第一目録記載</要旨第二>の土地建物の所有権が被告人にしたがつてD工務店に移転した時期について審案するに、被告人は昭和三四年二月六日Eから第一目録記載の建物を買い受けたから、右建物の所有権は、同日被告人に、したがつてD工務店に移転したことが明白である。次に第一目録記載の土地の所有権が被告人に、したがつてD工務店に移転した時期については、本件の事実関係が複雑であるために(右の交換契約において、被告人が提供すべき土地としては、第二目録記載の土地だけしか確定しておらず、「その他の数筆の土地」が未確定であり、しかも、その第二目録記載の土地が右の交換契約当時なおF株式会社の所有に属しており被告人の所有に属していなかつた、という事情等があるために)、一定の日を挙示する方法によつて、右の時期を判定することは、困難である。しかしながら、被告人は、同年二月六日にEと第一目録記載の土地につき右の交換契約を締結したから、早くとも同日右土地の所有権は被告人にしたがつてD工務店に移転したにすぎないということができる。同月五日以前にはその所有権が移転し 年二月六日にEと第一目録記載の土地につき右の交換契約を締結したから、早くとも同日右土地の所有権は被告人にしたがつてD工務店に移転したにすぎないということができる。同月五日以前にはその所有権が移転していなかつたと確実に断定することができる。 被告人は、同月一八日F株式会社から第二目録記載の土地を買い受け、その所有権は、被告人に、したがつてEに移転したから、むしろ、同日第一目録記載の土地の所有権が被告人に、したがつてD工務店に移転したとみる方が妥当であるかも知れない。その後Eは、被告人と協議のうえ、右の交換契約にもとづく義務の履行として、同年三月三日第一目録記載の土地のうち、二筆につき、次で同年四月二日同目録記載の土地のうち、その余の四筆につき、中間者たる被告人を省略し、被告人の指定するD工務店に対して所有権移転登記手続をした。当時はなお交換契約所定の「その他の数筆の土地」の全部、結局において第三目録記載の土地の全部がEの所有に帰していたとはいい難い状態てあつた。しかし、すでに上記のとおり所有権移転登記手続を完了したのであるから、第一目録記載の土地の所有権は、遅くとも同年三月三日(右の二筆についての日)ないし同年四月二日(その余の四筆についての日)までには被告人に、したがつてD工務店に移転したというべきである。これを要するに、第一目録記載の建物の所有権は昭和三四年二月六日に、同目録記載の土地の所有権は同年二月六日から同年三月三日または同年四月二日までの間に、すなわち昭和三四年中にD工務店に移転したのである。右の点から観察しても、一億二〇〇〇万円の代金全額をもつて昭和三四年における被告人の収入金額とみなければならない。 論旨は、所得税法基本通達一九八第一項を援用して、原判決が同通達に違反していると強く主張する。しかし、そのような法律の解 の代金全額をもつて昭和三四年における被告人の収入金額とみなければならない。 論旨は、所得税法基本通達一九八第一項を援用して、原判決が同通達に違反していると強く主張する。しかし、そのような法律の解釈適用に関する通達は国民や裁判所を拘束しないこと、もちろんである。通達違反の右主張は甚だ不当である。しかるところ、念のために所得税法基本通達を概観すると、通達一九八第一項は原則的な場合に関するものであつて、これによれば、例えば、売買代金について収入すべき権利の確定する時期は、原則として売買契約の効力発生の時である。しかるところ、その契約の効力発生の時に原則として目的物の所有権が買主に移転することは、すでに一言したところである。したがつて同項は結局において目的物の所有権移転の時を基準としているものにほかならない。次に通達一九八第二項によれば、例えば建物建築請負の報酬の権利確定の時期は、完成した建物の引渡を要するものについては完成した建物提供の時であり、建物の引渡を要しないものについては建物完成の時である。この場合もまた結局においては建物の所有権移転の時を基準としていることとなる。更に通達二〇一第一項は立木または伐木の譲渡代金につき、その立木または伐木の所有権移転の時を基準としている。通達二〇二第一項もまた目的物所有権移転の時を基準としている。通達は、このように多くの場合目的物所有権移転の時を基準としている状態であつて、本件第三者所有不動産売買代金について売買不動産の所有権が買主に移転した時を基準とする当裁判所の上記見解と趣きを同じくするものである。原判決は、趣旨が甚だ不明瞭であるが、所論のように土地の登記または引渡の時を基準にしたようにみえる。この点は不当である。しかし、原判決が本件契約について第三者所有不動産の売買契約であることを特に判示し 決は、趣旨が甚だ不明瞭であるが、所論のように土地の登記または引渡の時を基準にしたようにみえる。この点は不当である。しかし、原判決が本件契約について第三者所有不動産の売買契約であることを特に判示している点から考えれば、原判決は、売買不動産の所有権が買主に移転した時をも基準にしたのであつて、この点において、当裁判所の上記見解と同趣旨に出たものとみることができる。 なお、本件においては、契約した年月日は、昭和三三年一二月二九日てあつて、あと僅かに二日で同年は終了する。しかも、同年末を基準として観察するに、代金一億二〇〇〇万円のうち、その六分の一にすぎない二〇〇〇万円が手附として同年に支払われ、その余の一億円という巨額の金員は昭和三四年に支払うべく予定されていた。そして現実にその金員は同年中に支払われた。次に一億二〇〇〇万円の収入金額に対応する必要経費が昭和三三年末までに発生していたことを確認するに足りる証拠はない。仮に発生していたとしても、本件の事実関係によれば、それは、主要なものにあたらない極めて僅少な額であつたこと疑がない。右経費、少くとも、その主要な大部分のものは、昭和三四年に支出されることが予定されていた。 そして現実に同年中に被告人は第一目録記載の建物、第二目録記載の土地および第三目録記載の土地の各買受代金合計約四〇〇〇万円の必要経費を支出した。更に被告人負身は、代金一億二〇〇〇万円についても、そのうちの手附二〇〇〇万円についても、それが昭和三三年の収入金額にあたらないという見解をとり、その見解にもとづき計算をして同年分所得税の確定申告、納税等をした。その事実は証拠上明白である。右の諸事情から観察しても、社会観念上、一億二〇〇〇万円全額を昭和三四年の収入金額とみるのが妥当である。 上記のとおりであつて、いずれの点から観察しても、 納税等をした。その事実は証拠上明白である。右の諸事情から観察しても、社会観念上、一億二〇〇〇万円全額を昭和三四年の収入金額とみるのが妥当である。 上記のとおりであつて、いずれの点から観察しても、本件不動産売買代金一億二〇〇〇万円は、その全額につき、被告人の昭和三四年の収入金額とみるのが相当である。 仮に所論のようにD工務店が経理上手附二〇〇〇万円またはこれを含む代金一億二〇〇〇万円の金額を昭和三三年の資産勘定たる投資不動産勘定に計上したという事実があつても、所得税法、民法等の解釈適用に関する当裁判所の上記見解を左右するに足りない。 原判決は、結論として、一億二〇〇〇万円の代金全額を被告人の昭和三四年の収入金額とみる旨を判示し、その見解のもとに第二表財産増減表(それは、昭和三四年中における財産増加の事実関係から推定した事業所得算定の表である)を作成しているが、原判決のこの結論は正当である。 原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の解釈適用の誤はない。論旨は理由なきに帰する。 犯意を争う論旨等について案ずるに、まず原判決挙示の各証拠によれば、原判示の全部の事実(「罪となるべき事実」欄および「証拠」欄記載の全部の事実)、特に犯意に関する事実を認定することができる。そして原判決は、事業所得の算定を明確にするために作成した第二表において、昭和三四年の財産増加額から配当手取額を控除している。これが正当であることは、もちろんである。そしてこれと同様の理由により財産増加額から給与所得五万七六〇〇円(これにつき税の源泉徴収をしなかつた)を控除しなければならないのにもかかわらず、原判決は、これを控除しなかつた。しかしながら、原判示の財産増加額には、更に被告人とその扶養親族たる二女Jとの昭和三四年一年間の生活費を加算しなければならないこ しなければならないのにもかかわらず、原判決は、これを控除しなかつた。しかしながら、原判示の財産増加額には、更に被告人とその扶養親族たる二女Jとの昭和三四年一年間の生活費を加算しなければならないことが明白であるにもかかわらず、原判決は、これを加算しなかつた。しかるところ、右両名の同年一年間の生活費については、被告人は、大蔵事務官に対して、約一二〇万円を必要としたと供述しており(記録一〇八九丁裏)、当審公判においては、少くとも月三、四万円すなわち年三六万円ないし四八万円を必要としたと供述している。故に同年における二名の生活費は、少く見積つても三六万円を要したと認定することができる。そして右の控除すべき給与所得五万七六〇〇円と加算すべき生活費三六万円とを差引計算すれば、結局において、原判決は被告人に有利に計算したことになり、右の点に関して原判決に破棄事由はない。次に本件のような過少申告行為自体が客観的にみて所得税法第六九条第一項の不正の行為にあたることは、前記のとおりである。しかし、過少申告行為があつただけでは同条項の罪の未遂罪となるにすぎず、更にその行為を基礎として納期限までに正規の税額と過少申告税額との差額の税を納付しないことによつて右罪が既遂となると解するのが相当である(法人税に関する名古屋高裁昭和二六年六月一四日判決高裁判例集四巻七号七〇四頁等参照)。しかるところ、原判決挙示の各証拠によれば、被告人は、原判示の過少申告を基礎として右の差額一二四四万九八七〇円の税を納期限たる昭和三五年三月一五日までに納付しなかつたことが明白であるから、被告人の所為は右罪の既遂罪にあたる。右の点に関する原判示は説示がやや不十分であるけれども、原判決挙示の各証拠を参照して考察すれば、右の事実が明白であるから、右の点に関して原判決に破棄事由はない。 所 人の所為は右罪の既遂罪にあたる。右の点に関する原判示は説示がやや不十分であるけれども、原判決挙示の各証拠を参照して考察すれば、右の事実が明白であるから、右の点に関して原判決に破棄事由はない。 所論の犯意について更に検討するに、原判決の「弁護人及び被告人の主張に対する判断」欄の二の説示は首肯し得るから、ここにこれを引用する(もつとも、論旨は、Eに交付した合計二〇〇〇万円の保証金の問題については全然言及していない)。しかのみならず、原判決挙示のすべての証拠を精査して考察すれば、一、被告人は、昭和五年に中央大学予科一年を中途退学し、昭和二四年頃から本件行為当時なる昭和三五年三月まで十余年の長期間引き続き不動産の売買およびその売買の仲介をすることを営業としていたものであつて、その営業に関する事務に熟達精通していた(なお、宅地建物取引業法の施行後は、同法にもとづく登録をしていた)。 一、その間、被告人は、顧客の申出等によつて顧客の税金対策を考慮し、しばしば契約上の真実の代金額よりも過少な虚偽の代金額を記載した契約書を作成し(これは、登録税の軽減を企図するためだけではなかつたと思われる)、或いは真実の代金額を記載した契約書を破棄し保存用として過少な虚偽の代金額を記載した契約書を作成してやるような行為をし、かつ被告人自身の税金対策をも同時に常に考慮し、税務官庁が調査をしても収入金額を把握することが困難であるように種々考慮し、契約書その他の書類をできるだけ破棄して残存しないようにし、営業上の取引、金銭の出納等について、帳簿を備え附けておかず、したがつて何等の記帳もせず(商法三二条以下参照)、被告人が買い受けて転売するときも、多くの場合、中間着たる被告人を省略して登記する方法を講じていた(これも、登録税および司法書士手数料を免れるためだけでは て何等の記帳もせず(商法三二条以下参照)、被告人が買い受けて転売するときも、多くの場合、中間着たる被告人を省略して登記する方法を講じていた(これも、登録税および司法書士手数料を免れるためだけではなかつたと思われる)。 一、被告人は、本件確定申告をBに依頼するにあたつても、同人に対して、何等の書類も示さず、被告人の収入支出の状況等を正確詳細に告知せず、それらにつき簡単に不明確かつ漠然と一言告知したにすぎない。配当所得が四万〇九〇〇円あつたことも告知しなかつた(被告人の当審公判における供述参照)。その結果、右Bにおいて昭和三五年三月七日著しく過少な虚偽の本件確定申告をするに至つた。 そして同人は、その翌日頃被告人に申告内容を報告し、その際被告人がBにおいて著しく過少な虚偽の申告を現実にしてしまつたことを知つたにもかかわらず、被告人は修正申告をしてこれを訂正する措置を講ぜず、正規の納税をしないで、まつたく放置して同月一五日を徒過した。 一、被告人は、前記のように、従来再三にわたつて所得税の確定申告、納税等につきBに種々相談したことがあり、そのために同人は被告人の昭和三十二、三年の各所得等の概要をほぼ承知していた。しかるところ、昭和三四年には上記のように第一目録記載の土地建物の売却等をした結果、被告人の昭和三四年の所得は、昭和三十二、三年の各所得に比れば、著しく巨額、格段の高額となつた(したがつて被告人が昭和三四年の所得額を正確詳細に告知しない限り、Bは、昭和三十二、三年の各所得額を想起して、昭和三四年の所得額につき自然と過少申告をする蓋然性の多い状勢であつたことが明白である)。 という事実を肯認することができる。 なお、現行の申告納税制度は、昭和三五年三月当時においては、施行後すでに十余年の長年月を経過しており、国民に相当によく理解 多い状勢であつたことが明白である)。 という事実を肯認することができる。 なお、現行の申告納税制度は、昭和三五年三月当時においては、施行後すでに十余年の長年月を経過しており、国民に相当によく理解されていた。 叙上認定のすべての事実関係と原判決引用のすべての証拠とを総合して更に考慮すれば、優に被告人の犯意を肯定することができる。 なお、本件確定申告の更正決定においては、過少申告加算税額の徴収を定めているにすぎず、重加算税額の徴収を定めていない、という所論の事実があつても、当裁判所の上記見解に影響を及ぼさない。 原判決は、当裁判所の上記見解と同趣旨に出たものであり、原判決に判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認、法令の解釈適用の誤等はない。論旨は理由がない。 以上のとおりであつて、控訴趣意はすべて理由なきに帰し、本件控訴は理由がないので、刑訴法第三九六条により、これを棄却すべく、当審訴訟費用につき同法第一八一条第一項本文を適用して、主文のとおり判決をする。 (裁判長裁判官影山正雄裁判官吉田彰裁判官村上悦雄)第一目録株式会社E所有土地建物(一)従前の土地名古屋市a区l町m丁目n番一、宅地二〇坪九合一勺同所m丁目o番一、宅地一七坪八勺同所m丁目o番のp一、宅地二坪五合三勺同所、m丁目q番一、宅地二九坪一合三勺同市同区r町s丁目t番一、宅地四三坪六勺同市同区u町v丁目w番のx一、宅地一〇坪(ニ)仮換地一、y工区za1ブロツクa2番、宅地五五坪一、同区同ブロツクa3番のa4、宅地三〇坪(三)建物名古屋市a区l町m丁目n番家屋番号第a5番一、木造鉄板葺平屋建店舗建坪八坪七合五勺一、木 2番、宅地五五坪一、同区同ブロツクa3番のa4、宅地三〇坪(三)建物名古屋市a区l町m丁目n番家屋番号第a5番一、木造鉄板葺平屋建店舗建坪八坪七合五勺一、木造スレート葺二階建店舗建坪二八坪二階二八坪一、木造瓦葺平巖建居宅建坪七坪五合一、木造スレート葺平屋建廊下建坪四坪第二目録F株式会社所有土地(一)従前の土地名古屋市b区a6町a7番のa8一、宅地三六七坪二合三勺同所 a9番一、宅地四七〇坪三合(ニ)仮換地a10工区a11a12ブロツクa13番、宅地五〇七坪九合第三目録(一)G所有土地名古屋市b区a6町a14番地のa15一、宅、地五九坪五合三勺(ニ)H所有土地同市a16区a17町a18丁目a19番一、宅地四八坪六合七勺(三)I所有土地同市a20区a21町a22丁目a23番一、宅地九五坪附記叙上の土地には仮換地が指定されていたかも知れないが、今この点を明確にすることはできない。
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