主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人谷直樹の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ職権で判断する。 記録によれば,第1審は,主文を「被告人を懲役1年6月及び罰金7000円に処する。その罰金を完納することができないときは,金7000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。」とする判決を言い渡し,これに対し被告人のみが控訴し,量刑不当を主張したところ,原審は,刑訴法397条2項を適用して,主文を「原判決を破棄する。被告人を懲役1年2月及び罰金1万円に処する。その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。」とする判決を言い渡したことが明らかである。 【要旨1】第1審判決と原判決の自判部分は,いずれも懲役刑と罰金刑を刑法48条1項によって併科したものであるが,原判決が刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑」を言い渡したものであるかどうかを判断する上では,各判決の主文を全体として総合的に考慮するのが相当である。そして,【要旨2】原判決の刑は,第1審判決の刑に比較し,罰金刑の額が3000円多くされた上労役場留置期間の換算方法も被告人に不利に変えられ,その結果労役場留置期間が1日長くされているが,他方で懲役刑の刑期は4か月短くされているのであるから,これらを総合的に考慮すれば,実質上被告人に不利益とはいえず,上記の「原判決の刑より重い刑」に当たらないことは明らかというべきである。 - 1 -よって,刑訴法414条,386条1項3号, から,これらを総合的に考慮すれば,実質上被告人に不利益とはいえず,上記の「原判決の刑より重い刑」に当たらないことは明らかというべきである。 - 1 -よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官中川了滋裁判官滝井繁男裁判官津野修裁判官今井功裁判官古田佑紀)- 2 -
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