令和4年2月24日東京地方裁判所刑事第10部宣告令和3年刑第1401号詐欺被告事件判決 主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、太陽光発電事業及びバイオマス発電事業等を営む株式会社Aの専務執行役員を務めていたものであるが、株式会社Aの代表取締役及び株式会社A子会社 の合同会社A発電所X号の職務執行者を務めていたBの指示を受け、かつて株式会社C銀行から融資を受けた際、C銀行に対し、株式会社Aが債務超過に陥るなどして資金繰りに窮していたにもかかわらず、株式会社Aの財務経営状況が実際よりも良好であるかのように見せかけた内容虚偽の決算報告書等を提出して、C銀行行員に株式会社Aの財務経営状況が良好である旨誤信させていたことを利用し、A発電 所X号がC銀行から太陽光発電設備に関する開発設計等を実施するための融資を得る名目で金銭を詐取しようと考え、B及び株式会社Aの専務取締役を務めていたDと共謀の上、真実は、A発電所X号において、株式会社E等4社に発注して前記開発設計等を実施する意思がなく、C銀行からの融資金は直ちに株式会社Aの別の債権者に対する支払等の用途に費消する意図であり、前記発電設備が稼働する具体的 見込みがないことから、前記発電設備が稼働することによる収益から約定どおりに融資金の返済をする意思も能力もなく、かつ、連帯保証をする株式会社Aは債務超過に陥るなどして資金繰りに窮しており、連帯保証債務を確実に履行する意思も能力もないのに、これらの事情を隠し、E等4社に対する前記開発設計等の代金支払に融資金を充てるかのように装い、令和2年5月頃から同年7月中旬頃までの間、 ており、連帯保証債務を確実に履行する意思も能力もないのに、これらの事情を隠し、E等4社に対する前記開発設計等の代金支払に融資金を充てるかのように装い、令和2年5月頃から同年7月中旬頃までの間、 複数回にわたり、横浜市a区bc丁目d番地e所在のC銀行F支店等において、C 銀行行員に対し、融資金の使途は前記開発設計等の代金である旨虚偽の事実を告げるとともに、E等4社が前記開発設計等の費用を見積もったかのように見せかけた内容虚偽の見積書を提出した上、前記発電設備に担保権を設定すること及び株式会社Aにおいて連帯保証をすることに応諾するなどして、A発電所X号に対する7億6000万円の融資を申し込み、C銀行行員をして、C銀行が融資を実行すれば、 融資金が前記開発設計等の代金として支払われてA発電所X号が前記開発設計等を実施でき、前記発電設備の稼働収益又は前記発電設備の担保権実行等により約定どおりに融資金の返済を受けられる、あるいは、連帯保証をした株式会社Aにより確実に融資金の返済を受けられるものと誤信させて、7億6000万円の融資の実行を決定させ、よって、同月17日、C銀行F支店に開設されたA発電所X号名義の 普通預金口座に諸費用を差し引いた7億5839万6395円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 (証拠の標目)省略(法令の適用) 省略(量刑の理由) 1 本件は、太陽光発電事業等を営む株式会社Aの専務執行役員であった被告人が、同社代表取締役の指示に基づき、同人らと共謀の上、被害銀行に対し、株式会社Aの子会社が実施する太陽光発電所の開発設計等の代金支払に充てるかのように 装い、その太陽光発電設備が稼働する具体的見込みがなく、その収益により融資金を返済する意思も能力もないことや 株式会社Aの子会社が実施する太陽光発電所の開発設計等の代金支払に充てるかのように 装い、その太陽光発電設備が稼働する具体的見込みがなく、その収益により融資金を返済する意思も能力もないことや、これに連帯保証をした株式会社Aが資金繰りに窮していたことを隠すなどして、融資金をだまし取った事案である。 2 本件被害額は7億5000万円余りと巨額である。株式会社Aは、令和3年2月には事実上倒産するに至り、本件融資金は、これまでに一切返済されておらず、 今後返済される具体的見込みもないのであり、被害結果は重大というほかない。 株式会社Aは、以前から複数の協力会社との間で取引実体のない資金移動を繰り返し、あたかも実体があるかのように装う内容虚偽の見積書等を作成するなどして粉飾決算をし、財務経営状況が良好であるかのように被害銀行等に見せかけていた。 ところが実際には、令和元年11月期末の株式会社Aの純資産は、少なくとも21億円を超える巨額の債務超過となっていて、本件犯行前頃には、いわゆる自転車操 業状態といえるほど資金繰りに窮していた。このような背景にあって、本件犯行は、多額の融資を受けるため、具体的な工事計画がない太陽光発電所建設に関し、施工業者等に工事や開発設計等を既に発注して支払い予定であると見せかける内容虚偽の見積書等を株式会社A従業員らが作成し、被害銀行担当者に対して虚偽の説明を繰り返す一方で、融資金の振込み先となる複数の会社に対し、株式会社Aやその関 連会社に融資金を移動させるよう依頼し、その融資金を株式会社Aの別の債権者への返済に直ちに充てる段取りを周到に組むなどして行われたものであって、会社ぐるみで虚偽に虚偽を重ねて組織的に行われた計画的犯行であり、非常に悪質である。 3 株式会社Aの創業者で、いわ の債権者への返済に直ちに充てる段取りを周到に組むなどして行われたものであって、会社ぐるみで虚偽に虚偽を重ねて組織的に行われた計画的犯行であり、非常に悪質である。 3 株式会社Aの創業者で、いわゆるワンマン経営者であった共犯者から直接指示を受け、これに従わなければならない立場にあった被告人は、部下に指示して内 容虚偽の他社名義の見積書等を多数作成させるなどして粉飾決算に深く関わっており、株式会社Aが資金繰りに窮していることを認識しながら、本件犯行に至った。 本件犯行においても、被告人は、本件犯行に不可欠となる内容虚偽の見積書等を部下に作成させ、株式会社Aの財務を担当していた共犯者と被害銀行との交渉の場に同席し、共に虚偽の説明をする実行行為をも担うなど、重要な役割を果たしたも ので、深く考えようとせずに、共犯者に指示されるがままに、このような役割を果たした点は強い非難に値する。 もっとも、被告人は、粉飾決算などが行われる以前から一従業員として株式会社Aに勤務していたもので、本件当時に専務執行役員という役職にあったものの、経営に関する権限や裁量は一切なく、共犯者の意向に逆らえる立場にはなかった。本 件犯行においても、特段の利益や報酬を受領することもなく、受動的、従属的に加 担することになったものであることは、被告人のために相応に酌むべき事情といえる。 以上に加えて、被告人には、本件事実を率直に認めて本件の事案解明に協力し、今後も被害弁償に努めたいと述べるなど反省していること、前科のないこと、妻が監督を公判廷で誓っていることなどの酌むべき事情が認められる。そこで、被告人 に対しては、その刑の執行を猶予し、社会内での更生を期するのが相当であると判断した。 (求刑懲役4年)令和4年3月3日東京地方 主文 被告人に対しては、その刑の執行を猶予し、社会内での更生を期するのが相当であると判断した。 理由 いることなどの酌むべき事情が認められる。 (求刑懲役4年) 令和4年3月3日東京地方裁判所刑事第10部 裁判長裁判官向井香津子 裁判官日野周子 裁判官清水洋佑
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