平成22(行コ)39 審査決定取消請求控訴事件(原審・新潟地方裁判所平成16年(行ウ)第3号)

裁判年月日・裁判所
平成22年8月31日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文9,768 文字)

- 1 - 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 2(1)主位的請求被控訴人が控訴人に対し平成15年10月20日付けでした原判決別紙物件目録記載の建物に係る平成15年度固定資産課税台帳の登録価格についての審査の申出に対する決定のうち,21億3486万2782円を超える部分を取り消す。 (2)予備的請求被控訴人が控訴人に対し平成15年10月20日付けでした原判決別紙物件目録記載の建物に係る平成15年度固定資産課税台帳の登録価格についての審査の申出に対する決定のうち,23億7682万3686円を超える部分を取り消す。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,原判決別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)の固定資産税の納税義務者である控訴人が,その所有する本件建物につき,新潟市長(以下「市長」という。)により決定され固定資産課税台帳に登録された平成15年度の価格29億7667万0578円(以下「本件登録価格」という。)を不服として,被控訴人に対し,地方税法(平成15年法律第9号による改正前のもの。以下「法」という。)432条に基づき審査の申出をしたところ,被控訴人からこれを棄却する旨の決定を受けたため,同決定の一部取消しを求める事案である。 - 2 -原審が控訴人の請求をいずれも棄却したので,控訴人がこれを不服として控訴した。 法令の定め等,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,原判決のの該当部分を次のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の2ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,上記引用部分中,「原告」を「控訴人」と,「被 判決のの該当部分を次のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の2ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,上記引用部分中,「原告」を「控訴人」と,「被告」を「被控訴人」と,「別表」を「原判決別表」とそれぞれ読み替える。以下の引用部分において同じ。)。 (1)5頁9行目の次に行を改め次のとおり加え,10行目の「エ」を「オ」に,6頁19行目の「オ」を「カ」に改める。 エ基準年度である平成12年度(以下「平成12基準年度」という。)の固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの。以下「平成12年基準」という。)(ア)家屋の評価a家屋の評価は,木造家屋及び木造家屋以外の家屋(以下「非木造家屋」という。)の区分に従い,各個の家屋について評点数を付設し,当該評点数に評点一点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとする(同基準第2章第1節一)。 b各個の家屋の評点数は,当該家屋の再建築費評点数を基礎とし,これに家屋の損耗の状況による減点を行って付設するものとする。 この場合において,家屋の状況に応じ必要があるものについては,さらに家屋の需給事情による減点を行うものとする(同二)。 (イ)非木造家屋の再建築費評価点は,非木造家屋の状況に応じ,「部分別による再建築評価点数の算出方法」又は「比準による再建築費評価点の算出方法」のいずれかによって求めるものとする(同第3- 3 -節一2)。 部分別による再建築費評価点の算出方法によって非木造家屋の再建築費評価点を求める場合は,当該非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表によって求めるものとし,同評点基準表によって非木造家屋の再建 よって非木造家屋の再建築費評価点を求める場合は,当該非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表によって求めるものとし,同評点基準表によって非木造家屋の再建築費評点数を求める場合においては,各個の非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表によって当該非木造家屋の各部分別に標準評点数を求め,これに補正項目について定められた補正係数を乗じて得た数値に計算単位の数値を乗じて算出した部分別再建築費評点数を合計して求めるものとする(同節二)。 (ウ)損耗の状況による減点補正率のうち,経過年数に応ずる補正率(経年減点補正率)は,通常の維持管理を行うものとした場合において,その年数の経過に応じて通常生ずる減価を基礎として定めたものであって,非木造家屋の構造区分により各々補正率が定められており,鉄骨造りの店舗用建物(骨格材の肉厚が4ミリメートルを超えるもの)については経過年数1年で0.98の補正率とされていた(同基準第2章第3節五1(1),別表第13)。 (エ)平成12年度から平成14年度までの各年度における家屋の評価における評点1点当たりの価額は,1円に「物価水準による補正率」と「設計管理費等による補正率」とを相乗した率を乗じて得た額とし,非木造家屋については,全市町村を通じ「物価水準による補正率」が1.00,「設計管理費等による補正率」が1.10とされていた(同第2章第4節二)。 (2)7頁21行目の「基準年度である」から24行目冒頭の「て,」までを「平成12基準年度の平成12年基準に則って,本件建物を骨格材の肉厚が4ミ- 4 -リメートルを超える鉄骨造りの非木造家屋の店舗用建物として,」に改める。 (3)10頁4行目の「理由はなく,」の次に次 2基準年度の平成12年基準に則って,本件建物を骨格材の肉厚が4ミ- 4 -リメートルを超える鉄骨造りの非木造家屋の店舗用建物として,」に改める。 (3)10頁4行目の「理由はなく,」の次に次のとおり加える。 また,本件のように固定資産の価格が固定資産課税台帳に登録されていない新築建物の場合には,建物建築価格以外に時価として所有者が承認したものはなく,何らかの事情で不動産取得税を納付しても,不動産取得税の課税標準たる価格の時価性が確定したといえる時間的経過はないこと,法409条2項の定めは,知事の価格の決定・通知が固定資産評価委員の価格評価の過程に取り込まれて評価の内容となっており,知事の価格決定における違法は固定資産評価委員の固定資産評価の違法となるものというべきであるから,初めての固定資産税課税において知事の不動産取得税における再建築費の算定に違法性があることが明らかとなった場合にまで不動産取得税と固定資産税における不動産の評価の統一を図るという要請が未だ強くはないこと,不動産取得税を納付しながら固定資産税の課税標準を争うのはごく稀な場合に限られるから,かかる場合に固定資産税の課税を争わせても徴税事務の簡素化を阻害するほどの弊害は考えられないことからして,控訴人のように知事の通知があった不動産について不動産取得税の賦課決定を争わなかった場合においては,当該固定資産税の登録価格を争うことができると解すべきである。 (4)10頁8行目の「本件においては,」から12行目末尾までを次のとおり改める。 上記のような事情からして,法409条2項の「特別の事情」は,法73条の21第1項の「特別の事情」よりも広く解釈されるべきであり,本件においては,法409条2項の「特別の事情」に該当するものとして,①本件通知価 からして,法409条2項の「特別の事情」は,法73条の21第1項の「特別の事情」よりも広く解釈されるべきであり,本件においては,法409条2項の「特別の事情」に該当するものとして,①本件通知価格(32億6604万1891円)は実際の建築価格24億8490万円に比して不当に高いこと,②この価格差は,平成10年から平成15年までの新潟市内の鉄骨造りの商業建築物の建築- 5 -費変動率77.02パーセントを看過して,91.14パーセント(評価変動割合0.93,経年減価補正率0.98)しか補正していないこと,③本件建物の2階床面積を4164.82平方メートルも多く認定していること,④主体工事,仮設工事等で後記(3)ア(イ)ないし(サ)のとおりの適正な減点補正等をしていないことといった事情が存している。また,上記①,③,④の事情があるから,県知事の評価には重大かつ明白な瑕疵がある。 (5)18頁23行目の次に行を改め次のとおり加え,24行目の「(ア)」を「(イ)」に,19頁18行目の「(イ)」を「(ウ)」に改める。 (ア)本件建物の平成15年度の価格の決定においては,①後記(イ)又は(ウ)のとおり,平成10年から平成15年までの鉄骨造りの商業用建物の建築費の下落率は,評価に当たって採用された評価変動割合及び経年減点補正率を大幅に上回るものであったこと,②本件建物の2階床面積が4164.82平方メートルも多く認定されていること,③主体工事,仮設工事等で前記(3)ア(イ)ないし(サ)のとおりの適正な減点補正等をしていないことという評価基準が定める評価方法によっては,再建築費を適切に算定することができない特別の事情が存している。 したがって,本件建物の平成15年度の価格は,後記(イ)又は(ウ)のとおり とという評価基準が定める評価方法によっては,再建築費を適切に算定することができない特別の事情が存している。 したがって,本件建物の平成15年度の価格は,後記(イ)又は(ウ)のとおり決定されるべきである。 (6)19頁6行目の「のであり,」から9行目末尾までを「のであるから,本件においては0.7702程度の補正がされるべきであった。」に改め,21行目から22行目にかけての「評価変動割合と経年減点補正率により,」を削る。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人の請求は理由がないから,いずれも棄却すべきものと判- 6 -断する。その理由は,原判決の該当部分を次のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第3当裁判所の判断」の1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)20頁23行目から24行目にかけて,21行目5行目,15行目の「評価員」を「固定資産評価員」に改め,22頁9行目の「これに」から21行目末尾までを次のとおり改める。 これに対し,控訴人は,法409条2項が固定資産税の課税標準を争う途を制限するので憲法76条2項,84条にも違反する旨主張する。しかしながら,法409条2項は,固定資産税の課税基準となるべき不動産の価格を定める実体規定であるから,上記主張は,憲法上法律にゆだねられた租税に関する事項の定立について,特定の法律における具体的な課税標準の定めに関する立法政策上の適不適をいうに帰着するので,違憲の問題を生ずるものではない。したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 また,控訴人は,法409条2項の「特別の事情」が法73条の21第1項の「特別の事情」よりも広く解釈されるべきである旨主張するが,法73条の21第1項も法409条2項とともに,道府県知事と市町村長のする同一不動 ,法409条2項の「特別の事情」が法73条の21第1項の「特別の事情」よりも広く解釈されるべきである旨主張するが,法73条の21第1項も法409条2項とともに,道府県知事と市町村長のする同一不動産の評価を統一させ,徴税事務の簡素化を図るという趣旨の規定であることにかんがみれば,両条項所定の「特別の事情」の意義について敢えて異なる解釈をするのが相当であるとする合理的理由は見出し難く,控訴人の上記主張は採用できない。 (4)控訴人は,法409条2項の「特別の事情」として,①本件通知価格(32億6604万1891円)は実際の建築価格24億8490万円に比して不当に高い,②平成10年から平成15年までの新潟市内の鉄骨造りの商業建築物の建築費変動率77.02パーセントを看過して,91.14パーセント(評価変動割合0.93,経年減- 7 -価補正率0.98)しか補正していない,③本件建物の2階床面積を4164.82平方メートルも多く認定している,④主体工事,仮設工事等で適正な減点補正等がされていないと主張する。 しかし,いずれも県知事が不動産取得税賦課の際にした本件建物の評価の誤りを主張するものであり,これらが不動産取得後に生じた特別の事情に該当しないことは明らかであるから,控訴人の上記主張は,主張自体失当というべきである(仮に,②の事情に不動産取得後に生じた事情が含まれているとした場合については,後述する。)。 また,控訴人は,上記①,③,④の事情から本件建物についての県知事の評価には重大かつ明白な瑕疵がある旨主張するので,検討する。 証拠(甲2の2,3の2)及び弁論の全趣旨によれば,本件建物の建築請負代金額が24億8490万円であったことが認められる。しかし,家屋の建築請負代金額は,一般に,請負人と注文者と るので,検討する。 証拠(甲2の2,3の2)及び弁論の全趣旨によれば,本件建物の建築請負代金額が24億8490万円であったことが認められる。しかし,家屋の建築請負代金額は,一般に,請負人と注文者との間のそれまでの取引関係,将来の受注への期待,受注時の事情など個別的な事情によって格差が大きいものといえるから,本件建物についての上記請負代金額が必ずしも建築当時の適正な時価を示すものとはいえないこと,控訴人は,本件建物の建築に当たり当初10社に建築工事費用の見積りを依頼し,その中で見積金額が低かった4社に再見積りを依頼し,これに応じて再見積りをした4社の見積金額は,Aが24億8490万円,Bが26億7070万円,Cが27億3320万円,Dが28億7070円であり,最低価格であったAと工事請負契約を締結したものであることは控訴人の自認するところであること,本件建物の平成15年1月1日の時点の正常価格について,原審における鑑定(鑑定人・不動産鑑定士E)では26億円と評価しており,F株式会社は34億1000万円と評価していること(乙17)にかんがみれば,本件通知価格がそれにより難いほど著しく適正な価格とかけ- 8 -離れて,県知事の価格決定に重大かつ明白な瑕疵があるとは認められない。 また,上記③については,駐車場としての構造物は,外気を分断する周壁が施されていないものがほとんどであるから,床面積の判定に当たっては,厳格な外気分断性を求めることに意味がなく,二方ないし三方が壁その他の区画で囲まれていれば,その壁その他の区画の一部が開放されていても,その部分を建物又は床面積と認めて差し支えないものであり(乙25,26),県知事は,本件建物2階の駐車場部分4286.44平方メートルについても,屋根があり,北側(店舗部分側)及び西 されていても,その部分を建物又は床面積と認めて差し支えないものであり(乙25,26),県知事は,本件建物2階の駐車場部分4286.44平方メートルについても,屋根があり,北側(店舗部分側)及び西側にそれぞれ壁などの区画があり,また,東側も壁(腰壁と垂れ壁)によって囲まれていたことから,この部分も床面積に算入したものであり(乙14の1及び2,27),本件建物の評価において本件建物2階の延べ床面積の算定に誤りがあるとは認め難い。 したがって,本件通知価格がそれにより難いほど著しく適正な価格とかけ離れて,県知事の価格決定に重大かつ明白な瑕疵があるとは認められない。 さらに,上記④についても,原判決別表Ⅰ及びⅡにおいて再建築費と控訴人主張の修正額との差が顕著な蛍光灯用器具,ガス設備,空調マルチシステム,仮設工事及びその他工事の5項目について検討すると,以下のとおり,控訴人の主張はいずれも理由がない。 ア蛍光灯用器具について控訴人は,設備の設置面積に誤りがあり,また,本件建物の蛍光灯の設置個数は,1平方メートル当たりの設置個数が,店舗部分は0.33個,風除室部分は0.17個,事務室部分は0.16個,バックヤード部分は0.11個,屋上駐車場部分は0.06個にとどまっており,本件建物の蛍光灯用器具は,密度が低いため,配置- 9 -につき補正係数0.50の減点補正が必要である旨主張する。しかし,事務所,店舗及び百貨店建物における電気設備の標準評点数の計算単位は建物の延べ床面積ではなく,蛍光灯が設置されている床面積であるし(乙10),また,蛍光灯用器具の標準評点数は,瞬時点灯式,天井2.8メートル,40ワット用器具が1.0平方メートル当たり0.43個程度のものの設置床面積1.0平方メートル当たりのものであり あるし(乙10),また,蛍光灯用器具の標準評点数は,瞬時点灯式,天井2.8メートル,40ワット用器具が1.0平方メートル当たり0.43個程度のものの設置床面積1.0平方メートル当たりのものであり,補正項目は,「配置」,「蛍光灯型式」,「取付」,「点灯」及び「天井高」の5項目であるのに(甲38),控訴人の主張においては,これらの項目が考慮されていたものとは認められないから,控訴人の上記主張は直ちに採用することはできない。 イガス設備について控訴人は,本件建物における実際のガス設備の設置面積が延床面積の27分の1以下である3.6パーセント程度にすぎないから,計算単位に延べ床面積を使用することに合理性はない旨主張する。 しかし,ガス設備の評点数の計算単位を延べ床面積とする評価基準(乙10)そのものが不合理であるとされるべき事情は,本件全証拠によるも認められないから,同評価基準に則って評価された本件建物のガス設備についての県知事の評価が不合理であるとはいえない。 ウ空調マルチシステムについて控訴人は,本件建物における空調マルチシステムの設置面積は合計24980.14平方メートルであるから,設備の設置面積に誤りがある旨主張する。しかし,県知事による本件建物の評価に先立って本件建物の調査がされた平成14年10月23日時点において,新潟県職員は,本件建物の空調マルチシステムの設置面積を2万6- 10 -689.49平方メートルと認定している(乙14の2,弁論の全趣旨)ところ,新潟県職員によるこの認定が誤りであったと認めるに足りる証拠はなく,控訴人が主張する設置面積との差異がいつ,いかなる事情によって生じたか証拠上明らかではないので,県知事による本件建物の評価において,空調マルチシステムの設置面積に控訴人が主張するような誤り はなく,控訴人が主張する設置面積との差異がいつ,いかなる事情によって生じたか証拠上明らかではないので,県知事による本件建物の評価において,空調マルチシステムの設置面積に控訴人が主張するような誤りがあったとはいえない。 エ仮設工事について控訴人は,本件建物における仮設工事は困難を伴うものではないことなどから,仮設工事の工事の難易による補正は0.86の減点補正では足りず,工事が最も簡単なものとして補正係数0.7の減点補正が必要であり,また,本件建物は単純な直方体の組み合わせであることなどから,建物の程度の補正についても最も簡易なものとして補正係数0.8の減点補正が必要である旨主張する。しかし,本件建物は,その西側及び南側がいずれも市道に近接して建てられており,西側は立体駐車場の出入口となり,建物と一体となっているスロープが市道間際までせり出している状態になっていること(乙34)からして,仮設工事に困難が伴わないものと断定できるような建物とはいえず,控訴人主張のような仮設工事の難易による補正の必要性があるとは認めらない。また,本件建物は,正方形や長方形に比して労務費が多くなるL字型の建物であり,建物の周囲には複数の小規模な凸凹の箇所があり(乙14の2),さらに,本件建物は2階建ではあるものの,階高は1階が6.0メートル,2階が5.025メートルであり(乙14の2),評価基準(乙10)別表12の事務所,店舗,百貨店用建物の標準階高である4メートル程度よりも階高が高い建物であることにかんがみれば,本件建物は,控訴人が主張するような減点補正を必要とする建物とは到底認- 11 -められない。 オその他工事について控訴人は,その他の工事の対象となる木工事(床間,敷居,鴨居,長押等の造作工事)は全くなく,金属工事も棚,鉄製手摺,窓格子 要とする建物とは到底認- 11 -められない。 オその他工事について控訴人は,その他の工事の対象となる木工事(床間,敷居,鴨居,長押等の造作工事)は全くなく,金属工事も棚,鉄製手摺,窓格子はなく,樋,鉄製階段も建物面積に比して少ないから,最大限の減点補正がされるべきであり,1.50の増点補正には根拠がない旨主張する。しかし,県知事の評価における「その他工事」とは,評価基準第3節二の非木造家屋評点基準表の部分別区分の(1)から(13)までに含まれない木工事,金属工事等をいうものであり(甲38),控訴人が主張する内容の工事はいずれも例示的なものにすぎず,証拠(乙14の2)及び弁論の全趣旨によれば,県知事は,本件建物について,①2階の駐車場への出入口として設けられたスロープの通路,②壁面に看板を設置するために建築された床面積に算入されない3階の工事,③屋上を駐車場とするために施工した屋上全体のパラペット及び腰壁などの工事を上記の「その他工事」であるとして評価をしたものと認められるところ,このような「その他工事」の施工量に照らせば,1.50の増点補正は十分根拠があるものというべきであり,「その他工事」について最大限の減点補正がされるべきであるとする控訴人の上記主張は採用できなる。 以上によれば,上記④において控訴人が主張するその余の減点補正等の当否について検討するまでもなく,本件通知価格がそれにより難いほど著しく適正な価格とかけ離れて,県知事の価格決定に重大かつ明白な瑕疵があるとは認められない。 (2)23頁1行目末尾に次のとおり加える。 また,本件通知価格がそれにより難いほど著しく適正な価格とかけ離れて,県知事の価格決定に重大かつ明白な瑕疵があるとは認められ- 12 -ないから,平成12年基準の当てはめに違法 える。 また,本件通知価格がそれにより難いほど著しく適正な価格とかけ離れて,県知事の価格決定に重大かつ明白な瑕疵があるとは認められ- 12 -ないから,平成12年基準の当てはめに違法はない。 (3)24頁7行目の「関係」を「直接関係」に,12行目末尾の「ない」に次のとおり加える。 (控訴人は,法349条1項所定の適正な時価を推認することができない特別な事情として,平成10年から平成15年までの新潟市内の鉄骨造りの商業建築物の建築費の建築費の下落率が評価に当たり採用された評価変動率及び経年減点率を大幅に上回っていたを主張するようでもあるから,検討するに,この主張は,評価基準が定める評価方法をそのまま適用した場合に再建築費を適正に算定することができない可能性があるというあくまでも一般的,抽象的な可能性をいうものにすぎず,また,その中に不動産取得後に生じた事情があるとしてもどの程度の割合であるかが明らかでない。したがって,それをもって上記特別の事情が存するということはできない。他に,本件において上記特別の事情が存することはうかがわれない。) よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第24民事部 裁判長裁判官都築弘裁判官北澤章功- 13 -裁判官小池喜彦

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