平成25(行ウ)36 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年5月29日 名古屋地方裁判所 租税
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判決文本文26,518 文字)

平成26年5月29日判決言渡平成25年(行ウ)第36号所得税更正処分等取消請求事件 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求○ 税務署長が平成23年6月30日付けで原告に対してした平成20年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額3220万0165円,納付すべき税額684万3400円を超える部分及び当該更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,勤務先の親会社から同社の株式を無償で取得することのできる権利に基づいて得た所得を退職所得として納税申告したところ, ○ 税務署長から,上記所得は給与所得に当たることを理由として更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたため,上記更正処分(ただし,原告が納税申告により確定させた納付すべき税額を超える部分に限る。)及び上記過少申告加算税賦課決定処分は,所得税法上の所得区分を誤ってされたものであるから違法である旨主張し,その取消しを求めた事案である。 2 関係法令の定め本件に関係する法令の定めは,別紙1「関係法令の定め」のとおりである。 3 前提事実(証拠等の摘示がないものは,当事者間に争いがない。書証番号は,特記しない限り枝番を含む。以下同じ。)(1) 当事者等ア原告(昭和22年 ▲月 ▲日生)は,昭和45年4月1日,P1株式会社(以下「P1法人」という。)に採用され,平成19年 ▲月 ▲日に定年退職した。こ れに先立ち,原告は,同月11日,P1法人との間で,雇用期間を同年▲月1日から1年間とする再雇用契約(以下「本件再雇用契約」という。)を締結し,定年後も,P1法人での稼 日に定年退職した。こ れに先立ち,原告は,同月11日,P1法人との間で,雇用期間を同年▲月1日から1年間とする再雇用契約(以下「本件再雇用契約」という。)を締結し,定年後も,P1法人での稼働を続けたが,同雇用期間が満了した平成20年 ▲月 ▲日,同社を退職した。(乙2,4,5,弁論の全趣旨)イ P1法人は,スイス連邦に所在するP2 S.A.(以下「P2法人」という。)が100%の株式を所有する同社の子会社である。(乙4,弁論の全趣旨)(2)P3・リストリクテッド・ストック・ユニット・プラン(以下「本件プラン」という。)の概要等ア P2法人及びP1法人を含む子会社各社(以下「P3グループ」という。)では,平成17年1月1日,本件プランが導入された。本件プランは,本件プランの定めに基づいて選ばれたP3グループの社員(以下「被付与者」という。)に対し,親会社であるP2法人の裁量により,同社の株式1株又はそれに相当する現金を無償で取得することのできる権利(RestrictedStockUnit。以下「RSU」という。)を付与する制度である。(乙1,4,5,弁論の全趣旨)イ RSU は,権利が付与された日(以下「権利付与日」という。)から同日の3年後の応答日の前日までの期間(RestrictedPeriod。以下「制限期間」という。)には,被付与者において,譲渡等ができないという制限が付され,別段の定め等がない限り,制限期間の終了日に続くP4(以下「本件取引所」という。)の取引日に権利が確定する(本件プラン5条1項)。他方,RSU は,被付与者が自らの都合により退職した場合などには無効になるが(本件プラン6条2項),被付与者の自己都合ではない雇用関係の終了の場合には,雇用関係終了日に権利が確定する(本件プラン6条 ,RSU は,被付与者が自らの都合により退職した場合などには無効になるが(本件プラン6条2項),被付与者の自己都合ではない雇用関係の終了の場合には,雇用関係終了日に権利が確定する(本件プラン6条1項)。(乙1,弁論の全趣旨)(3) 原告に対するRSU の付与等ア原告は,P1法人と雇用関係にあった平成17年から平成19年までの間,本件プランに基づき,次のとおり,P2法人からRSU を付与された。(乙4,5,弁論の全趣旨) (ア) 平成17年3月1日 380ユニット(以下「平成17年付与分」という。)(イ) 平成18年3月1日 405ユニット(以下「平成18年付与分」という。)(ウ) 平成19年3月1日 345ユニット(以下「平成19年付与分」といい,平成18年付与分と併せて,以下「本件各付与分」という。)イこのうち,平成17年付与分については,原告がP1法人に在籍していた平成20年2月29日に3年間の制限期間が終了し,同年3月3日,本件プラン5条1項の規定に基づき,権利が確定した。その結果,原告は,同月28日,P2法人から,同社の株式380株分に相当する金額である18万9810スイスフランを受領した。(甲3,4,乙1,5,弁論の全趣旨)ウ原告とP1法人との雇用関係は,平成20年 ▲月 ▲日,本件再雇用契約に基づく雇用期間の満了を理由として終了した。その結果,本件各付与分は,本件プラン6条1項の規定に基づき,上記雇用関係終了日に権利が確定し,原告は,同年7月15日,P2法人から,同社の株式750株を受領した。(甲3,4,乙1,5,弁論の全趣旨)(4) 原告による確定申告等ア原告は,平成21年3月13日, ○ 税務署長に対して平成20年分の所得税の確定申告書(以下「本件確定申告書」 した。(甲3,4,乙1,5,弁論の全趣旨)(4) 原告による確定申告等ア原告は,平成21年3月13日, ○ 税務署長に対して平成20年分の所得税の確定申告書(以下「本件確定申告書」という。)を提出し,別紙2「課税等の経緯」の「確定申告」欄記載の金額で,法定申告期限内に確定申告(以下「本件確定申告」という。)をした。その際,原告は,平成17年付与分の権利が確定したことによって取得した経済的利益については退職所得として申告したが,本件各付与分の権利が確定したことによって得た経済的利益(以下「本件経済的利益」という。)については申告しなかった。(乙2,5,弁論の全趣旨)イ ○ 税務署長は,原告の平成20年分の所得税に関する税務調査(以下「本件税務調査」という。)を実施した。原告は,本件税務調査開始後の平成23年5月9日, ○ 税務署長に対し,別紙2「課税等の経緯」の「修正申告」欄記載の金額で,修正申告(以下「本件修正申告」という。)をした。本件修正申告の中で, 原告は,本件確定申告では退職所得としていた平成17年付与分の経済的利益を給与所得として申告したほか,本件確定申告の際には申告していなかった本件経済的利益を退職所得として申告した。(乙2,3,5)(5) 原告に対する課税処分の経緯等ア ○ 税務署長は,原告が自ら修正申告した納付すべき税額に基づき,別紙2「課税等の経緯」の「第1次賦課決定処分」欄中の「過少申告加算税の額」欄記載の金額で,平成23年6月30日付けで,原告に対して過少申告加算税の賦課決定処分(以下「第1次賦課決定処分」という。)をした。(甲1)イまた, ○ 税務署長は,本件経済的利益が給与所得に当たることを前提として原告の納付すべき税額を計算し,別紙2「課税等の経緯」の「更正処分及び 「第1次賦課決定処分」という。)をした。(甲1)イまた, ○ 税務署長は,本件経済的利益が給与所得に当たることを前提として原告の納付すべき税額を計算し,別紙2「課税等の経緯」の「更正処分及び第2次賦課決定処分」欄記載のとおり,更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び本件更正処分に係る過少申告加算税の第2次賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と併せて,以下「本件更正処分等」という。)をした。 (甲2,弁論の全趣旨)(6) 不服申立ての経過ア原告は,平成23年8月25日付けで, ○ 税務署長に対し,本件更正処分等について異議の申立てをした。これに対し, ○ 税務署長は,同年10月25日付けで,原告の異議申立てを棄却する異議決定をし,原告は,その頃,異議決定書の謄本の送達を受けた。(乙4,弁論の全趣旨)イ原告は,平成23年11月25日付けで,国税不服審判所長に対し,本件更正処分等について審査請求をした。これに対し,国税不服審判所長は,平成24年10月31日付けで,原告の審査請求を棄却する旨の裁決をし,原告は,その頃,裁決書の謄本の送達を受けた。(乙5,弁論の全趣旨)(7) 本件訴えの提起原告は,平成25年4月23日,本件訴えを提起した。(顕著な事実) 4 被告が主張する本件更正処分等に係る税額等 被告が本件訴訟において主張する本件更正処分等に係る税額の算出根拠等は,別紙3「被告主張額の根拠等」記載のとおりである。 5 争点本件の主たる争点は,本件経済的利益の所得税法上の所得区分(本件経済的利益の所得区分は,給与所得と退職所得のいずれであるか。)であり,この点に関する当事者の主張は,以下のとおりである。 (1) 原告の主張ア所得税法上の退職所得に該当す 所得区分(本件経済的利益の所得区分は,給与所得と退職所得のいずれであるか。)であり,この点に関する当事者の主張は,以下のとおりである。 (1) 原告の主張ア所得税法上の退職所得に該当するというためには,①退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されるものであること,②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有するものであること,③一時金として支払われるものであることの3つの要件を満たすか,あるいは,上記①ないし③を充足していないものの,実質的にみてこれらの要件を充足しているものと同視される場合であることを要する。そして,本件経済的利益が上記③の要件を充足していることは当事者間に争いがなく,次のとおり,上記①及び②の要件も充足している。 イ前記ア①の要件の充足性の有無後記(ア)ないし(ウ)によれば,退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されることという前記ア①の要件を充足する。 (ア) RSU が付与されても,その後,権利が確定するまでは,被付与者が実際に経済的利益を得ることができるか否かは客観的には不明確である。したがって,本件経済的利益の所得税法上の所得区分を判断する際には,本件経済的利益がどのような理由で確定したかという点を十分に吟味しなければならない。本件各付与分は,原告がP1法人を退職したことで初めて権利が確定し,原告は,本件経済的利益を取得したものであるから,退職所得の要件である「退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること」という要件を満たす。 (イ) 原告がP1法人を退職しなかった場合でも,本件プラン6条2項の希望退職 等の要件に該当するときは,本件各付与分は無効となり,本件経済的利益を得ることはできなか という要件を満たす。 (イ) 原告がP1法人を退職しなかった場合でも,本件プラン6条2項の希望退職 等の要件に該当するときは,本件各付与分は無効となり,本件経済的利益を得ることはできなかったのであるから,本件経済的利益は,被告が主張するところの「本来退職しなかったとしたならば,支払われなかったもの」という要件を満たすというべきである。 ウ前記ア②の要件の充足性の有無後記(ア)ないし(ウ)によれば,従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有することという前記ア②の要件を充足する。 (ア) 原告の定年退職日は,平成19年 ▲月 ▲日であるところ,原告が,P2法人から,平成18年付与分(平成18年3月1日付与),平成19年付与分(平成19年3月1日付与)をそれぞれ付与された時点において,これら本件各付与分に係る制限期間が終了するより前に,原告が60歳を迎えて定年退職することは客観的に明らかな状態にあった。このように,P2法人は,原告が退職する予定であることを前提として,原告に本件各付与分を付与したのであるから,本件経済的利益は,原告の従来の継続的な勤務の対価の一部の後払の性質を有するものであることは明らかである。 (イ) P1法人では,管理職の短期の業績に関しては,別途業績に応じた賞与が支払われている。これに対し,RSU は,基本的にP1法人において一定の地位に就いている者に対してのみ付与されるものであって,このような地位に就くことができる者は,過去からP3グループに貢献している者である。 (ウ) 本件経済的利益は,数千万円にも及ぶ極めて多額のものであるところ,社員のわずか1年間の勤務内容の評価に基づいて,このような莫大な利益を与えることは常識として考え難く,本件経済的利益は,従 (ウ) 本件経済的利益は,数千万円にも及ぶ極めて多額のものであるところ,社員のわずか1年間の勤務内容の評価に基づいて,このような莫大な利益を与えることは常識として考え難く,本件経済的利益は,従来の継続的な勤務に係る報償ないしその間の対価の一部の後払の性質を有するものであることは明らかである。 (2) 被告の主張ア後記イ及びウのとおり,本件経済的利益は,退職所得には当たらない。 イ前記(1)ア①の要件の充足性の有無 所得税法上の退職所得に当たるというためには,勤務関係の終了という事実によって初めて給付されるものであることを要するところ,通常,雇用関係が継続している中で支払われる給与や賞与,あるいは他の雇用関係が継続している者に支払われる給与等と同じ性質の金員が,退職時に支払われたからといって,上記金員を給与所得ではなく退職所得として累進税率の適用を緩和する必要はないから,所得税法30条1項の「退職により一時に受ける給与」とは,「本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので,退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与」をいうものと解される。したがって,前記(1)ア①の要件(退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること)を満たすためには,「本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもの」であることを要するというべきである。 RSU は,本件プランが目的とする優秀な社員のP3グループ各社への引き止め(雇用関係の継続)及び精勤の義務付け(インセンティブ)のために,被付与者が退職するか否かという事実関係に関わりなく,P3グループ各社と雇用関係を有している社員に対してのみ付与されるものであり,一定期間の雇用関係の継続(本件プラン5条1項)又は一定の条件による雇用関係の終了( するか否かという事実関係に関わりなく,P3グループ各社と雇用関係を有している社員に対してのみ付与されるものであり,一定期間の雇用関係の継続(本件プラン5条1項)又は一定の条件による雇用関係の終了(同6条1項)を満たした場合に権利が確定するものである。 本件各付与分は,本件プランの上記目的を達成するため,原告がP1法人との間で雇用関係を有している間に付与されたものであり,原告が退職したあるいは退職するという事実関係に基づいて付与されたものではないから,雇用関係が継続中の社員について権利が確定したRSU とその性質は変わらない。 しかも,原告は,P1法人との間で雇用関係が継続している社員と同様に,P1法人との雇用関係が継続されて,本件プラン5条1項の条件を満たせば,本件各付与分の権利は発効し,退職して本件プラン6条1項の条件を満たした場合と変わることなく,本件各付与分に係る経済的利益を享受することができたものである。 以上によれば,原告が退職した事実により本件プラン6条1項の条件を満たした ことによって本件経済的利益が発生していたとしても,本件経済的利益は,「本来退職しなかったならば支払われなかったもの」には当たらない。 ウ前記(1)ア②の要件充足性の有無P2法人が,原告の退職予定を認識していたとしても,本件プランは,退職者のためにRSU を付与するものではないし,退職予定者に対して本件プランの目的以外の目的で,RSU を付与するというような特別な取扱いも存在しないから,P2法人は,本件プランの目的以外の理由で,原告に対して本件各付与分を付与していない。 仮に,本件各付与分が,その付与日までの原告の過去の勤務実績等に対する評価に基づき付与されたものであったとしても,原告は,平成17年から平成19年にかけて,毎年, 本件各付与分を付与していない。 仮に,本件各付与分が,その付与日までの原告の過去の勤務実績等に対する評価に基づき付与されたものであったとしても,原告は,平成17年から平成19年にかけて,毎年,RSU を付与されていたのであるから,P2法人は,原告の1年間の勤務実績等を評価してRSU を付与したと考えるのが自然である。 以上によれば,本件経済的利益は,賞与として付与日以前1年間における勤務の対価の一部を後払いした性質を有していたものと考える余地はあるものの,退職所得に当たる金員が有する「退職者が長期間特定の事業所等において勤務していたことに対する報償及び同期間中の就労に対する対価の一部分の累積たる性質」を有しているとは認められない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(1) 本件プランの内容等ア本件プランの定めP3グループは,平成17年1月1日,本件プランを導入した。P3グループの親会社のP2法人は,「P3RestrictedStockUnitPlan(RSUP)」と題する文書(以下「本件プラン規定書」という。)を作成し,本件プランの詳細を明らかにしているところ,本件プラン規定書の記載内容のうち,本件に関係する定めの概要は,以下のとおりである。(乙1,4,5,弁論の全趣旨)(ア) 目的(第1条) 本件プランは,選ばれたP3グループ社員に対してRSU の取得の機会を与え,P3の将来の業績の向上に参加し,P3の価値の創造に貢献してもらい,その貢献に報いるように報奨を増やすことにより,優秀な人材をP3グループに引き付け,精勤の動機付けをし,引き留めることを目的とする。 (イ) 適格(第2条)本件プランに参加しているP3グループ各社のマネジメントが,本件プランに参加する適格のある者を提案 ループに引き付け,精勤の動機付けをし,引き留めることを目的とする。 (イ) 適格(第2条)本件プランに参加しているP3グループ各社のマネジメントが,本件プランに参加する適格のある者を提案する。この提案は,P2法人のCEO によって審査され,承認される(1項)。 (ウ) RSU の付与(第3条)a 本件プランに参加しているP3グループ各社のマネジメントが適格社員に対して付与されるべきRSU の数量を提案する。この提案は,P2法人のCEO によって審査され,承認される(1項)。 b RSU は,適格社員に無償で与えられる(2項)。 c RSU は,第5条(RSU の発効)に従って,本件プランに基づき株式が会員に譲渡されるまで,同株式に関する配当金の支払や議決権などのいかなる株主の権利も会員に与えられることはない(3項)。 d RSU は,取引をすることができないものであり,遺言又は適用される相続法の条項による以外は,いかなる方法でも,売却,譲渡,担保,書換え及び処分の対象にすることはできない(4項)。 (エ) RSU の同意書(第4条)a RSU の授与は,①与えられる株式数及び授与日を明記し,RSU に適用される諸条件を定めた書面による「RestrictedStockUnitAgreement」で証明される(1項)。 b 適格社員は,RSU の授与を受諾あるいは辞退する権利を有する。授与の受諾は,「RestrictedStockUnitAgreement」で指定された期日以内に「RestrictedStockUnitAgreement」に正しく必要事項を記入,署名の上,返送することによって成立する。 正しく記入,署名された「RestrictedStockUnitAgreement」が StockUnitAgreement」に正しく必要事項を記入,署名の上,返送することによって成立する。 正しく記入,署名された「RestrictedStockUnitAgreement」が期日以内にP3グルー プに届かない場合には,RSU の授与の辞退とみなされ,その結果,RSU は付与されず無効となる(2項)。 (オ) RSU の発行(第5条)a それぞれのRSU は,別段の定め又は付加条項がある場合を除き,制限期間(権利付与日から3年後の応当日の前日まで)終了日に続く本件取引所の取引日から効力を有する(1項)。 b RSU の権利が確定次第,P2法人は,自らの完全な裁量により,被付与者に対して無償で株式(以下「本件株式」という。)を譲渡するか,相応の現金(以下「本件等価物」という。)を渡すかを決定する。本件等価物の支払は,RSU の権利が確定し次第できる限り速やかに行われる。また,本件株式が譲渡された場合には,同株式は,被付与者のものになり,当該被付与者が自由に処分することができる(2項)。 (カ) 雇用の終了(第6条)a 死亡,整理解雇,傷病障害を原因とする失職,定年退職,正当な理由又は権利の剥奪を伴わない雇用関係の終了が生じた場合には,雇用関係が終了し次第,被付与者の全てのRSU は,当該被付与者とP3グループとの雇用関係が終了した日に効力を発する(1項)b 希望退職又は被付与者の自己都合による雇用関係の終了の場合には,雇用関係が終了し次第,これらの被付与者に付与された全てのRSU は自動的に終了し,一切の補償なく,当該被付与者とP3グループとの雇用関係の終了日から無効となる(2項)。 (キ) 継続雇用との関係等(第7条)a 被付与者に対するRSU の付与は,全て完全な自由裁量 了し,一切の補償なく,当該被付与者とP3グループとの雇用関係の終了日から無効となる(2項)。 (キ) 継続雇用との関係等(第7条)a 被付与者に対するRSU の付与は,全て完全な自由裁量による。本件プランの確立,参加の適格性,RSU の付与,給付金の支払,P3グループの執る措置のいずれも,本件プランの下に恩恵が与えられた期間の長さにかかわらず,当該被付与者がP3グループに継続して雇用される権利を与えるものではない(1項)。 b RSU から生じるいかなる価値,所得あるいは他の利得も,被付与者の給料の一部とはみなされない。また,解雇,辞職,整理解雇,その他雇用関係の終了のための支払,休暇,ボーナス,永年勤続表彰,補償金,年金あるいは退職手当,いかなるその他の支払,いかなる種類の便益や権利の埋め合わせとなるものではない(2項)。 (ク) 税金と社会保障費負担(第8条)RSU の付与又は発効により,税金や社会保障費の申告や支払が必要となる場合,適用される法律に従い,全て被付与者の責任において行う。P3グループは,被付与者による不正な税務処理に関するいかなる責任も負わない。(1項)イ P2法人とP1法人との間の費用負担に関する取決めP2法人とP1法人とは,平成19年12月17日付けで,RSU の付与に伴って生じる費用の負担に関する契約(以下「本件費用負担契約」という。)を締結した。 本件費用負担契約の締結時に取り交わされた「RestrictedStockUnitRechargeAgreement」と題する契約書(以下「本件費用負担契約書」という。)の第3条には,①本件プランに基づいて行われるRSU の権利付与は,価値あるインセンティブであり,P1法人が高い資格を有する社員を引き付け,保持することに役 約書(以下「本件費用負担契約書」という。)の第3条には,①本件プランに基づいて行われるRSU の権利付与は,価値あるインセンティブであり,P1法人が高い資格を有する社員を引き付け,保持することに役立つものであるから,P1法人は,P2法人に対し,このようなインセンティブの提供に対して補償する必要があることを了承し,これに同意すること(前段),②P2法人が,本件プランに基づき,P1法人の社員に対してRSU を提供する対価として,P1法人は,制限期間の終了後直ちに,P2法人又はその代理として適正に指名された第三者である会社に対して,当該社員に受け渡された本件株式の価格に相当する金額を,P2法人が指示するその他経費と併せて,スイスフランによって支払うことを了承し,これに同意すること(後段)が記載されていた。(乙6)ウ RSU の権利確定までの流れ等(ア) RSU が被付与者に対して付与されるまでの手続の流れは,概要,以下のとおりである。(乙4,弁論の全趣旨) a RSU の被付与者の候補者を記載した名簿が,P2法人からP1法人に送付される。 b 権利付与日から1年以内に退職することが見込まれる被付与者については,付与するRSU の数量を減らす必要があるため,P1法人において,上記候補者のうち,権利付与から1年以内に退職が見込まれる者を抽出し,それをP2法人に報告する。 c 前記bの報告に基づいて,P2法人において被付与者が正式に決定され,P2法人から関係書類が被付与者宛に親展で直接送付される。同関係書類は,P2法人から被付与者宛に親展で送付されるため,付与されたRSU が実行され,本件費用負担契約に基づき費用の償還の請求を受けるまで,P1法人では,被付与者に付与されたRSU の具体的な内容は明らかにならない。 付与者宛に親展で送付されるため,付与されたRSU が実行され,本件費用負担契約に基づき費用の償還の請求を受けるまで,P1法人では,被付与者に付与されたRSU の具体的な内容は明らかにならない。 (イ) 本件プランに基づいてP1法人の社員に付与されたRSU は,平成20年から順次権利が確定するに至っているところ,各RSU の権利確定事由を集計した結果は,別紙4「権利確定事由集計表」(以下「本件集計表」という。)記載のとおりである。本件集計表によれば,平成20年から平成25年までの期間を通じ,制限期間終了(本件プラン5条1項)に基づいて権利が確定したものが全体の90%以上の割合を占め,本件各付与分のように本件プラン6条1項が定める事由により権利が確定したものは全体の5%程度の割合にすぎなかった。(甲5)(ウ) P1法人は,「ForJapanese」「RSUP(RestrictedStockUnitPlan)」と題する書面(以下「本件説明資料」という。)を作成し,被付与者に対して,RSU の権利確定により得た経済的利益に関する納税の方法を説明しているところ,本件説明資料には,上記経済的利益は給与所得として扱われることになる旨が記載されていた。 (乙8)(2) P1法人の就業規則の定め等ア P1法人の就業規則(以下「本件就業規則」という。)及び適格退職金規定(以下「本件退職金規定」という。)には,以下の定めが置かれていた。(乙5, 弁論の全趣旨)(ア) 従業員の定年は満60歳とし,従業員は,満60歳の誕生日の属する月の末日をもって退職とする。 (イ) P1法人は,本人が希望し,別に定める全ての条件に適合するとき,満62歳到達月までを限度として定年退職者を再雇用する。 (ウ) P1法人の従業員の定年退職 の末日をもって退職とする。 (イ) P1法人は,本人が希望し,別に定める全ての条件に適合するとき,満62歳到達月までを限度として定年退職者を再雇用する。 (ウ) P1法人の従業員の定年退職に際しては,本件退職金規定により,老齢年金を支給する。ただし,役員(中略)には,本件退職金規定は適用されず,従業員が役員に就任したときは,その翌日から同規定の加入者たる地位を失う。 イ本件就業規則や本件退職金規定の中には,本件プランに関する定めはなく,本件退職金規定に基づいて支払われる退職金とRSU との関係なども定められていなかった。他方,本件プラン規定書の中には,前記(1)ア(キ)bのとおり,RSU に係る経済的利益は,被付与者の給料や退職金の埋め合わせとなるものではない旨の定めが置かれていた。(甲5,乙16,弁論の全趣旨)(3) 原告のP1法人における稼働状況等ア原告(昭和22年 ▲月 ▲日生)は,昭和45年4月1日,P1法人に採用され,定年(平成19年 ▲月 ▲日)直前の同年3月26日付けで,同社の取締役に就任した。(乙5,9)イ原告は,定年退職の日(平成19年 ▲月 ▲日)に先立つ同月11日,P1法人との間で,以下の内容の本件再雇用契約を締結した。(乙5,弁論の全趣旨)(ア) 再雇用期間は,平成19年▲月1日から平成20年 ▲月 ▲日までの1年間とする。 (イ) 営業本部長としてP6本社営業本部において業務に従事する。 (ウ) 再雇用期間についての退職金は支給しない。 ウ原告は,平成19年 ▲月 ▲日,P1法人を定年退職したが,その後も,本件再雇用契約に基づき,P1法人での稼働を続けた。(乙2,5)エ原告は,P1法人の取締役に就任したことに伴い,本件退職金規定に基づく 適格退職 ,P1法人を定年退職したが,その後も,本件再雇用契約に基づき,P1法人での稼働を続けた。(乙2,5)エ原告は,P1法人の取締役に就任したことに伴い,本件退職金規定に基づく 適格退職年金制度の加入者の資格を喪失した。その代わり,原告は,P1法人から退職金の支払を受けることとなった。 P1法人では,定年退職する社員は,P1法人から支給される退職金を,①年金として全額を受け取る方法,②年金として50%,一時金として50%を受け取る方法,③退職金として全額を受け取る方法のいずれかを選択することができるとされていた。上記①の方法を選択すると月額61万4200円の年金,上記②の方法を選択すると月額30万7100円の年金及び3463万0255円の一時金,上記③の方法を選択すると6926万0510円の退職金を受け取ることができたところ,原告は,平成19年▲月21日付けで,上記①の方法を選択したため,定年退職した後である平成19年▲月29日から現在に至るまで,月額61万4200円(年額737万0400円)の年金を受け取ってきた。(乙2,3,4,5,9,弁論の全趣旨)オ原告は,平成19年 ▲月 ▲日の定年退職後も,本件再雇用契約に基づき,P1法人での稼働を続けたが,同契約の雇用期間が満了した平成20年 ▲月 ▲日にP1法人を退職し,その結果,P1法人と原告との雇用関係は完全に終了した。 (乙4,5,弁論の全趣旨)(4) 原告による本件経済的利益の取得に至る経緯等ア原告は,本件プランに基づき,P2法人から,①平成17年3月1日にRSU380ユニット(平成17年付与分),②平成18年3月1日にRSU405ユニット(平成18年付与分),③平成19年3月1日にRSU345ユニット(平成19年付与分)をそれぞれ付与された。(乙4 SU380ユニット(平成17年付与分),②平成18年3月1日にRSU405ユニット(平成18年付与分),③平成19年3月1日にRSU345ユニット(平成19年付与分)をそれぞれ付与された。(乙4,5,弁論の全趣旨)イこのうち,平成17年付与分については,権利付与日から3年が経過した平成20年2月29日に制限期間が終了し,同年3月3日,その権利が確定した。これにより,本件プラン5条1項の規定に基づき,原告は,同月28日,P2法人から,本件株式380株分に相当する額の現金(18万9810スイスフラン)を受け取った。(甲3,乙5,弁論の全趣旨) ウ前記(3)オのとおり,原告とP1法人との間の雇用関係は,平成20年 ▲ 月▲日,終了した。これにより,本件プラン6条1項の規定に基づき,本件各付与分の権利が確定し,原告は,P1法人を退職した後である同年▲月15日,P2法人から,本件株式750株を受け取った。(甲3,乙5,13,弁論の全趣旨)エ P2法人は,平成20年3月18日付けで,本件費用負担契約に基づき,P1法人に対し,同月3日に権利が確定したRSU(本件株式7400株分)につき,RSU1ユニット当たり499.50スイスフラン(総額369万6300フラン)の費用の償還を請求した。次いで,P2法人は,同年6月18日付けで,本件費用負担契約に基づき,P1法人に対し,同年 ▲月 ▲日に権利が確定した本件各付与分(本件株式750株分)につき,RSU1ユニット当たり512.50スイスフランの費用(総額38万4375スイスフラン)の償還を請求した。(乙4,7)(5) 本件確定申告等ア原告は,平成21年3月13日,○ 税務署長に対し,自らの平成20年分の所得税について本件確定申告をした。その際,原告は,平成17年付与分 を請求した。(乙4,7)(5) 本件確定申告等ア原告は,平成21年3月13日,○ 税務署長に対し,自らの平成20年分の所得税について本件確定申告をした。その際,原告は,平成17年付与分に係る経済的利益については退職所得として申告したが,本件経済的利益については申告しなかった。(乙2,5,弁論の全趣旨)イ ○ 税務署長は,原告に対する本件税務調査を実施し,①本件経済的利益について修正申告をする必要があること,②本件経済的利益の所得区分は,平成17年付与分及び本件各付与分のいずれについても給与所得となることなどを原告に説明した。(乙3,弁論の全趣旨)ウ原告は,平成23年5月9日,平成17年付与分の経済的利益については,所得区分を退職所得から給与所得に変更し,本件経済的利益については退職所得として,それぞれ収入金額を再計算した本件修正申告書を提出して本件修正申告をした。(乙3,弁論の全趣旨)(6) 本件更正処分の経緯等○ 税務署長は,原告から提出された本件修正申告書に記載された納付すべき税 額(684万3400円)と本件確定申告書に記載された納付すべき税額(マイナス127万8643円)との差額に基づき,平成23年6月30日付けで,原告に対して第1次賦課決定処分をした。さらに,同日付けで,本件経済的利益の所得区分が退職所得であることを前提に原告の給与所得の金額が6469万9354円になる旨計算して本件更正処分をし,本件修正申告書に記載された納付すべき税額(684万3400円)との差額である1339万円を基礎となる税額として第2次賦課決定処分(本件賦課決定処分)をした。(甲1,2,弁論の全趣旨) 2 検討(1) 退職所得について,所得税の課税上,他の給与所得と異なる優遇措置が講じられているのは なる税額として第2次賦課決定処分(本件賦課決定処分)をした。(甲1,2,弁論の全趣旨) 2 検討(1) 退職所得について,所得税の課税上,他の給与所得と異なる優遇措置が講じられているのは,一般に,退職手当等の名義で退職を原因として一時に支給される金員は,その内容において,退職者が長期間特定の事業所等において勤務してきたことに対する報償及び当該期間中の就労に対する対価の一部分の累積としての性質を持つとともに,その機能において,受給者の退職後の生活を保障し,多くの場合いわゆる老後の生活の糧となるものであるため,他の一般の給与所得と同様に一律に累進税率による課税の対象とし,一時に高額の所得税を課することとしたのでは,公正を欠き,かつ,社会政策的にも妥当でない結果を生ずることになることから,このような結果を避ける趣旨に出たものと解される。従業員が退職に際して支給を受ける金員には,普通,退職手当又は退職金と呼ばれているもののほか,種々の名称のものがあるが,それが所得税法30条1項にいう退職所得に当たるか否かについては,同項の規定の文理や上記で述べた退職所得に対する優遇措置についての立法趣旨に照らしてこれを決するのが相当である。そして,このような観点からすれば,同項にいう「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に当たるというためには,①退職,すなわち,勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること,②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること,③一時金として支払われることの各要件を備えることが必要であり,また,同項にいう「これらの性質を有する給与」に当たると いうためには,それが,形式的には上記各要件の全てを備えていなくても,実質的にみてこれらの要件の要求するところ えることが必要であり,また,同項にいう「これらの性質を有する給与」に当たると いうためには,それが,形式的には上記各要件の全てを備えていなくても,実質的にみてこれらの要件の要求するところに適合し,課税上,「退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とするものであることを必要とするものと解される(最高裁昭和53年(行ツ)第72号同58年9月9日第二小法廷判決・民集37巻7号962頁)。 (2) そこで,以上の見地から,本件経済的利益が退職所得に該当するか否かについて検討する。 前記1で認定した事実によると,①本件プラン規定書や本件費用負担契約書上,本件プランの目的は,P3グループで稼働する優秀な社員に対して同グループの親会社であるP2法人の株式等を取得する権利(RSU)を付与することにより,当該社員の意欲を刺激して精勤の動機付けをし,また,P3グループを魅力あるものにすることによって優秀な人材が外部に流出するのを防ぐことにあるとされていること,②このため,本件プランでは,RSU は,権利付与日から3年の制限期間を経過するか,希望退職や自己都合退職以外の退職等の事由で雇用関係が終了するまでは,権利確定(発効)せず(5条1項,6条1項),譲渡や担保等の対象にすることもできないものとされる一方で(3条4項),制限期間終了前に自己都合退職した者に付与されていたRSU は無効となるものとされていること(6条2項),③本件プランにおいては,被付与者に対して付与されるRSU の数量は,P3グループの各社が,親会社であるP2法人に提案するものとされているところ,権利付与日から1年以内に退職が見込まれる被付与者に関しては,他の被付与者と比べて,付与されるRSU の数量を少なくする取扱いが行われていること,④P1法人においては, 案するものとされているところ,権利付与日から1年以内に退職が見込まれる被付与者に関しては,他の被付与者と比べて,付与されるRSU の数量を少なくする取扱いが行われていること,④P1法人においては,本件プランとは別途,退職金に関する規定が設けられており,定年退職した社員は,この退職金規定に基づいて,一時金又は年金の形で退職金の給付を受けており,現に,原告に対しても,本件各付与分とは別に,平成19年 ▲月 ▲日の定年退職後,P1法人から,退職金規定に基づき,毎月月額61万4200円(年額737万0400円)の年金が支給されていること,⑤その一方で,本件就業規則や本件退職 金規定の中には,本件プランに基づいて付与されるRSU が退職金の性格を有するものである旨の定めは置かれておらず,むしろ,本件プラン規定書では,RSU の権利の確定に伴って被付与者が取得する経済的利益は,当該被付与者の退職その他の従業員給付制度に基づく給付の埋め合わせになるものではないとされていること(7条2項),⑥P1法人が被付与者用に作成した本件説明資料においては,RSU の権利確定に伴う経済的利益は,給与所得の性質を有するものであることが明記されていること等を指摘することができる。 これら諸点に照らすと,本件プランは,P3グループに属するP1法人と被付与者との間の雇用関係が継続することを前提として行われる社員報奨制度であって,本件プランに基づいて付与されるRSU は,被付与者が退職するか否かという事実関係には関わりなく,当該被付与者に対し,過去の特定の期間の勤務成績に基づいて付与された賞与(ただし,権利確定日までは,経済的利益の最終的な帰属が不確定であるもの)としての性質を有するものであり,権利付与日から制限期間終了日までの間,雇用関係が継続していることを に基づいて付与された賞与(ただし,権利確定日までは,経済的利益の最終的な帰属が不確定であるもの)としての性質を有するものであり,権利付与日から制限期間終了日までの間,雇用関係が継続していることを条件としつつ,死亡,整理解雇,傷病障害を原因とする失職,定年退職等の事由によって雇用関係が終了した場合には,被付与者の希望退職等を防止し,精勤させるという本件プランの趣旨・目的に反するものではないことから,制限期間終了日及び権利確定日を雇用関係終了日に早め,権利確定日(通常は制限期間経過後,上記死亡等の雇用関係終了の場合は雇用関係終了日)にRSU に基づく経済的利益を確定的に取得することができることとしたものと解される。 そうすると,RSU に基づく本件経済的利益は,退職所得の要件である前記(1)①の要件(退職,すなわち,勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること)を欠くものといわざるを得ないし,実質的に上記①の要件の要求するところに適合し,課税上,「退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とする性質のものであるということもできない。 (3) これに対し,原告は,①所得税法上の所得区分を判断する際には,問題とな っている経済的利益がどのような理由で確定したかという点を重視すべきであるから,本件経済的利益は,原告の退職という事実によって初めて給付されたことに着目すべきである,②本件各付与分が原告に付与された時点で,本件各付与分の制限期間内に原告が退職することは客観的に明らかであり,P2法人は,原告が退職予定であることを前提に,本件各付与分を付与しているから,本件経済的利益は原告の従来の継続的な勤務の対価の一部の後払の性質を有するとし,本件経済的利益は退職所得に当たる旨主張する。 しかしながら,上記①の点 とを前提に,本件各付与分を付与しているから,本件経済的利益は原告の従来の継続的な勤務の対価の一部の後払の性質を有するとし,本件経済的利益は退職所得に当たる旨主張する。 しかしながら,上記①の点については,確かに,原告については,本件再雇用契約で定めた雇用期間の満了に伴う雇用関係の終了により,本件プラン6条1項に基づき本件各付与分の権利が確定し,本件経済的利益を取得するに至ったものではあるけれども,前記(2)で説示したとおり,本件プラン6条1項において,死亡,整理解雇,傷病障害を原因とする失職,定年退職等の事由によって雇用関係が終了した場合には,雇用関係終了日に権利が確定するものとされているのは,このような形での雇用終了のときには,優秀な社員の希望退職等を防止し,精勤させるという本件プランの趣旨・目的に反するものではないことから,制限期間終了日及び権利確定日を雇用関係終了日に早めたにすぎないと解されるのであって,本件プラン規定書を精査してみても,制限期間終了によって権利が確定した場合(本件プラン5条1項)と,死亡,整理解雇,傷病障害を原因とする失職,定年退職等による雇用関係の終了によって権利が確定した場合(本件プラン6条1項)とで,RSU 付与の趣旨,目的や性質を異にすることをうかがわせる規定は見当たらない。したがって,本件プラン6条1項に基づき本件各付与分の権利が確定したからといって,本件各付与分が雇用関係が継続している中で支払われる賞与と同様の性質を持つものであることに何ら変わりはないといわざるを得ない。 また,上記②の点については,そもそも,P1法人の就業規則(本件就業規則)によれば,従業員は,定年退職後も2年間は再雇用されることがあるところ,本件各付与分のうち平成18年付与分については,原告が2年間,再雇用された場合に そもそも,P1法人の就業規則(本件就業規則)によれば,従業員は,定年退職後も2年間は再雇用されることがあるところ,本件各付与分のうち平成18年付与分については,原告が2年間,再雇用された場合に は,その制限期間内に権利が確定するものであったというのであるから,原告の退職を前提として付与されたものであるということは困難である。 他方,平成19年付与分については,確かに,制限期間終了前に,原告とP1法人との間の雇用関係が終了することは客観的に明らかであったということができるけれども,前示のとおり,本件プラン規定書の中には,制限期間終了日によって権利が確定した場合(本件プラン5条1項)と,死亡,整理解雇,傷病障害を原因とする失職,定年退職等による雇用関係の終了によって権利が確定した場合(本件プラン6条1項)とで,RSU 付与の趣旨,目的や性質を異にすることをうかがわせる規定は存在しない上,前記1で認定したとおり,本件プランにおいては,権利付与日から1年以内に退職が見込まれる被付与者に関しては,他の被付与者と比べて,付与されるRSU の数量を低く抑える取扱いが行われているというのであるから,RSU の付与が永年の勤務に対する報奨であるということはできない。 したがって,原告の上記各主張は,いずれも採用することができない。 (4) 以上によれば,本件経済的利益の所得税法上の所得区分は退職所得には当たらず,本件経済的利益が給与所得に当たることを前提としてされた本件更正処分等は適法である。 第4 結論以上の次第で,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官福井章代 いからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官福井章代 裁判官富澤賢一郎 裁判官平野佑子 (別紙1)関係法令の定め 第1 所得税法 1 28条1項給与所得とは,俸給,給料,賃金,歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(中略)に係る所得をいう。 2 30条1項退職所得とは,退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(中略)に係る所得をいう。 3 36条1項その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には,その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。 4 36条2項前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は,当該物若しくは権利を取得し,又は当該利益を享受する時における価額とする。 5 57条の3第1項居住者が,外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入,役務の提供,金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいう。以下この条において同じ。)を行った場合には,当該外貨建取引の金額の円換算額(外国通貨で表示された金額を本邦通貨表示の金額に換算した金額をいう。次項において同じ。)は当該外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額として,その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。 第2 国税通則法 金額をいう。次項において同じ。)は当該外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額として,その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。 第2 国税通則法 1 65条1項期限内申告書(中略)が提出された場合(中略)において,修正申告書の提出又は更正があったときは,当該納税者に対し,その修正申告又は更正に基づき第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。 2 65条2項前項の規定に該当する場合において,同項に規定する納付すべき税額(同項の修正申告又は更正前に当該修正申告又は更正に係る国税について修正申告書の提出又は更正があったときは,その国税に係る累積増差税額を加算した金額)がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときは,同項の過少申告加算税の額は,同項の規定にかかわらず,同項の規定により計算した金額に,当該超える部分に相当する税額(中略)に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。 3 65条3項前項において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 1号累積増差税額第1項の修正申告又は更正前にされたその国税についての修正申告書の提出又は更正に基づき第35条第2項の規定により納付すべき税額の合計額(当該国税について,当該納付すべき税額を減少させる更正又は更正に係る不服申立て若しくは訴えについての決定,裁決若しくは判決による原処分の異動があったときはこれらにより減少した部分の税額に相当する金額を控除した金額とし,次項の規定の適用があったときは同項の規定により控除すべきであった金額 ついての決定,裁決若しくは判決による原処分の異動があったときはこれらにより減少した部分の税額に相当する金額を控除した金額とし,次項の規定の適用があったときは同項の規定により控除すべきであった金額を控除した金額とする。)2号 (略) 4 65条4項 第1項又は第2項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちにその修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む。)の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には,これらの項に規定する納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して,これらの項の規定を適用する。 5 118条1項国税(中略)の課税標準(その税率の適用上課税標準から控除する金額があるときは,これを控除した金額。以下この条において同じ。)を計算する場合において,その額に1000円未満の端数があるとき,又はその全額が1000円未満であるときは,その端数金額又はその全額を切り捨てる。 6 118条3項附帯税の額を計算する場合において,その計算の基礎となる税額に1万円未満の端数があるとき,又はその税額の全額が1万円未満であるときは,その端数金額又はその全額を切り捨てる。 7 119条1項国税(中略)の確定金額に100円未満の端数があるとき,又はその全額が100円未満であるときは,その端数金額又はその全額を切り捨てる。 第3 所得税基本通達 1 30-1退職手当等とは,本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので,退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう。したがって,退職に際し又は退職後に使用者等から支払 -1退職手当等とは,本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので,退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう。したがって,退職に際し又は退職後に使用者等から支払われる給与で,その支払金額の計算基準等からみて,他の引き続き勤務している者に支払われる賞与等と同性質であるものは,退職手当等に該当しないことに留意する。 2 57の3-2 法57条の3第1項(中略)の規定に基づく円換算(中略)は,その取引を計上すべき日(中略)における対顧客直物電信売相場(中略)と対顧客直物電信買相場(中略)の仲値(中略)による。 以上 (別紙3)被告主張額の根拠等 第1 本件更正処分の根拠及び適法性 1 本件更正処分の根拠(1) 事業所得の金額(別紙5順号①の金額) 183万8327円上記金額は,本件確定申告書及び本件修正申告書(以下「本件修正申告書等」という。)第一表の「所得金額」欄の「事業・営業等 ①」欄に記載された金額と同額である。 (2) 不動産所得の金額(別紙5順号②の金額) 140万3880円上記金額は,本件修正申告書等第一表の「所得金額」欄の「不動産 ③」欄に記載された金額と同額である。 (3) 給与所得の金額(別紙5順号③の金額) 6469万9354円上記金額は,下記アないしウの各金額の合計額6989万4057円(別紙5順号③Aの金額)から所得税法28条3項に規定する給与所得控除額519万4703円(同表順号③Bの金額)を同条2項の規定に基づいて控除した後の金額である。 ア P1法人からの給与に係る収入金額 1222万3150円上記金額は,本件修正申告書等第二表の「所得の内訳(源泉徴収税額)」欄に記載されたP1法人からの給 づいて控除した後の金額である。 ア P1法人からの給与に係る収入金額 1222万3150円上記金額は,本件修正申告書等第二表の「所得の内訳(源泉徴収税額)」欄に記載されたP1法人からの給与に係る収入金額と同額である。 イ平成17年付与分に係る経済的利益の金額 1892万9751円上記金額は,平成17年付与分に係る経済的利益の金額であり,その計算根拠等は次のとおりである。 (ア) 平成17年付与分は,本件プラン5条1項の規定により,RSU を付与された平成17年3月1日の3年目の日の前日である平成20年2月29日に制限期間が満了し,制限期間終了日に続くP4の取引日である同 年3月3日に発効した。 (イ) 平成17年付与分について,P2法人は,本件プラン5条2項の規定に基づき,当該付与すべき株式の価額相当額の現金を支給することとしたため,原告は,付与されるべき株式数(380株)に発効日に先立つ取引日の1株当たりの終値(株価)(499.50スイスフラン)を乗じて算出した金額の現金(18万9810スイスフラン)を受領した。 (ウ) そして,当該経済的利益の金額は,所得税法36条1項に従い前記(イ)の金額を,同法57条の3(外貨建取引の換算)第1項の規定に基づき,発効日である同年3月3日における原告の主要取引銀行である株式会社P5銀行のスイスフランに係る対顧客直物電信売相場と対顧客直物電信買相場の仲値(以下「本件TTM」という。)99.73円により,円換算した金額である(別紙6参照)ウ本件各付与分に係る経済的利益の額 3874万1156円上記金額は,本件各付与分に係る経済的利益の金額であり,その計算根拠等は次のとおりである。 (ア) 本件各付与分は,平成18年付与分及び平成19年付与分であること 3874万1156円上記金額は,本件各付与分に係る経済的利益の金額であり,その計算根拠等は次のとおりである。 (ア) 本件各付与分は,平成18年付与分及び平成19年付与分であることから,通常,本件プラン5条1項の規定により,平成18年付与分の制限期間終了日は,付与日である平成18年3月1日の3年目の日の前日,すなわち,平成21年2月28日となり,平成19年付与分の制限期間終了日は,付与日である平成19年3月1日の3年目の日の前日,すなわち,平成22年2月28日となって,各年付与分は,それぞれの制限期間終了日に続くP4の取引日に発効するところ,原告は,平成20年▲ 月▲ 日,P1法人との雇用関係が終了し,退職することとなり,本件プラン6条1項の雇用関係終了日に効力を発する旨の条件を満たすこととなったため,本件各付与分は,通常より権利確定の日が早められることになり,退職日である同日にRSU が発効した。 (イ) 当該経済的利益の金額は,通常,権利確定日である平成20年 ▲ 月▲日におけるP4におけるP2法人株式の株価(時価)に基づき算定するところ,同日は,P4が取引開催日ではないことから,同日前の最も近い取引開催日である同月 ▲ 日における株価(512.50スイスフラン)を適用することになる。 (ウ) よって,当該経済的利益の金額は,所得税法36条2項に従い,本件各付与分に係る株式の数(750株)に,前記(イ)の株価(時価)を乗じて算出した金額(38万4375スイスフラン)を,所得税法57条の3第1項の規定及び所得税基本通達57の3-2(外貨建取引の円換算)の取扱いに基づき,同月 ▲ 日の為替相場により円換算した金額となるが,同日は,為替取引日ではなく相場がないため,同日前の最も近い為替取引日である同月 税基本通達57の3-2(外貨建取引の円換算)の取扱いに基づき,同月 ▲ 日の為替相場により円換算した金額となるが,同日は,為替取引日ではなく相場がないため,同日前の最も近い為替取引日である同月 ▲ 日における,本件TTM100.79円により円換算した金額となる。 なお,当該経済的利益の金額は,原告が本件修正申告書において,退職所得の収入金額とした金額と同額である。 (4) 雑所得の金額(別紙5順号④の金額) 607万5234円上記金額は,本件修正申告書等第一表の「所得金額」欄の「雑 ⑦」欄に記載された金額と同額である。 (5) 総合長期譲渡所得の金額(別紙5順号⑤の金額) △490万0700円上記金額は,総合課税の譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額であり,本件修正申告書第一表の「所得金額」欄の「総合譲渡・一時 ⑧」欄で損益通算された金額と同額である。 (6) 総所得金額(別紙5順号⑥の金額) 6911万6095円上記金額は,前記(1)ないし(5)の各金額の合計額である。 (7) 分離上場株式等に係る譲渡所得の金額(別紙5順号⑦の金額) 0円上記金額は,本件修正申告書等第三表の「所得金額」欄の「分離課税・株 式等の譲渡・上場分 <60>」欄に記載された金額と同額である。 (8) 退職所得の金額(別紙5順号⑧の金額) 0円原告は,本件修正申告書において,前記(3)ウと同様に,本件各付与分に係る経済的利益の金額を算定し,その所得区分を退職所得とした上で,所得税法30条の規定に基づき計算しているが,本件各付与分に係る経済的利益は給与所得となるから,退職所得の金額は0円となる。 (9) 所得金額から差し引かれる金額(別紙5順号⑨の金額)198万4419円上記金 の規定に基づき計算しているが,本件各付与分に係る経済的利益は給与所得となるから,退職所得の金額は0円となる。 (9) 所得金額から差し引かれる金額(別紙5順号⑨の金額)198万4419円上記金額は,本件修正申告書等第一表の「所得から差し引かれる金額」欄に記載された各所得控除額(医療費控除2万5590円,社会保険料控除114万8829円,生命保険料控除5万円,配偶者控除38万円及び基礎控除38万円)の合計額と同額である。 (10) 課税総所得金額(別紙5順号⑩の金額) 6713万1000円上記金額は,前記(6)から前記(9)を控除した金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (11) 課税総所得金額に対する税額(別紙5順号⑪の金額)2405万6400円上記金額は,前記(10)に所得税法89条1項の税率を乗じた金額である。 (12) 源泉徴収税額(別紙5順号⑫の金額) 381万6163円上記金額は,本件修正申告書等第一表の「税金の計算」欄の「源泉徴収税額<37>」欄に記載された金額と同額である。 (13) 申告納税額(別紙5順号⑬の金額) 2024万0200円上記金額は,前記(11)から前記(12)を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法119条1項により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (14) 確定納税額(別紙5順号⑭の金額) 684万3400円上記金額は,原告の本件修正申告書第一表の「税金の計算」欄の「第3期 分の税額・納める税金 <40>」欄に記載された金額である。 (15) 差引納付すべき税額(別紙5順号⑮の金額) 1339万6800円上記金額は,前記(13)から前記(14 「第3期 分の税額・納める税金 <40>」欄に記載された金額である。 (15) 差引納付すべき税額(別紙5順号⑮の金額) 1339万6800円上記金額は,前記(13)から前記(14)を差し引いた金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (16) 翌年へ繰り越す株式等に係る譲渡損失の金額(別紙5順号⑯の金額)18万8893円上記金額は,原告の本件修正申告書等第三表の「その他」欄の「株式等・翌年以後に繰り越される損失の金額 <80>」欄に記載された金額である。 2 本件更正処分の適法性について本件訴訟において被告が主張する原告の平成20年分の所得税に係る差引納付すべき所得税額は,前記1(15)であるところ,当該金額は,本件更正処分の金額と同額であるから,本件更正処分は適法である。 第2 本件賦課決定処分の根拠及び適法性 1 本件賦課決定処分の根拠前記第1のとおり,本件更正処分により,原告が新たに納付すべき税額は1339万6800円であるところ,原告には本件更正処分により新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうち,本件更正処分前における税額の計算の基礎とされていなかったことについて,国税通則法65条4項に規定する過少申告加算税を賦課しない場合の「正当な理由」があるとは認められない。 したがって,原告に対して課されるべき過少申告加算税の額は,次のとおりとなる。 (1) 通常分 133万9000円国税通則法65条1項の規定により,通常分の加算税の基礎となる税額は,本件更正処分により新たに納付すべき税額1339万円(ただし,国税通則 法118条3項の規定により1万円未満の端 00円国税通則法65条1項の規定により,通常分の加算税の基礎となる税額は,本件更正処分により新たに納付すべき税額1339万円(ただし,国税通則 法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の10の割合を乗じて算出した金額である。 (2) 加重分 66万9500円国税通則法65条2項の規定により,加重分の加算税の基礎となる税額は,本件更正処分により新たに納付すべき税額1339万6800円に,本件修正申告書による新たに納付すべき税額(同条3項1号の累積増差税額)812万2000円を加算した金額2151万8800円から,期限内申告税額253万7520円と50万円のいずれか多い方の金額である253万7520円を差し引いた金額1898万1280円と新たに納付すべき税額1339万6800円のいずれか少ない方の金額1339万円(ただし,同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)となり,当該加算税の基礎となる税額に100分の5の割合を乗じて算出した金額である。 2 本件賦課決定処分の適法性本件訴訟において被告が主張する本件賦課決定処分により原告が納付すべき過少申告加算税は,前記1のとおり,別紙5順号⑰の金額(200万8500円)であるところ,同金額は,本件賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,本件賦課決定処分は適法である。 以上 (別紙4)権利確定事由集計表 権利確定年度確定総数権利確定事由 制限期間満了全体に占める割合その他の理由全体に占める割合平成20年度 96% 4%平成21年度 92% 8%平成22年度 制限期間満了全体に占める割合その他の理由全体に占める割合 平成20年度 96% 4% 平成21年度 92% 8% 平成22年度 92% 8% 平成23年度 96% 4% 平成24年度 96% 4% 平成25年度 100% 0%

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