令和3年8月27日判決言渡平成27年(行ウ)第513号特定整備路線補助第26号線事業認可取消請求事件(以下「第1事件」という。)平成28年(行ウ)第73号特定整備路線補助第26号線事業認可取消請求事件(以下「第2事件」という。) 主文 1 本件訴えのうち,以下の部分を却下する。 ⑴ 第1事件のうち,別紙2-1第1事件原告目録記載6から23まで及び25から50までの原告らの請求に係る部分⑵ 第2事件のうち,別紙2-2第2事件原告目録記載1,2,4から10ま で及び12から21までの原告らの主位的請求に係る部分⑶ 第2事件のうち,別紙2-2第2事件原告目録記載1,2,5から10まで及び12から21までの原告らの予備的請求に係る部分 2 第1事件のうち別紙2-1第1事件原告目録記載2から5までの原告らの請求,第2事件のうち別紙2-2第2事件原告目録記載3の原告の主位的請求, 並びに第2事件のうち別紙2-2第2事件原告目録記載3及び4の原告らの予備的請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用(参加によって生じた費用を含む。)は,原告ら(別紙2-1第1事件原告目録記載1及び24並びに別紙2-2第2事件原告目録記載11の原告らを除く。)の負担とする。 4 本件訴えのうち,別紙2-1第1事件原告目録記載1及び24並びに別紙2-2第2事件原告目録記載11の原告らの請求に係る部分は,別紙4「死亡者目録」記載の日に,上記原告らの死亡により,いずれも終了した。 事実 及び理由第1 請求 1 第1事件 処分行政庁が被告参加人に対してした平成▲年関東地方整備局告示第▲号(同年▲月▲日付け)に係る都市計画事業の認可処分を取り消す。 2 第2事件⑴ 主位的請求 1 第1事件 処分行政庁が被告参加人に対してした平成▲年関東地方整備局告示第▲号(同年▲月▲日付け)に係る都市計画事業の認可処分を取り消す。 2 第2事件⑴ 主位的請求上記1と同旨 ⑵ 予備的請求処分行政庁が被告参加人に対してした平成▲年関東地方整備局告示第▲号(同年▲月▲日付け)に係る都市計画事業の認可処分が無効であることを確認する。 第2 事案の概要 国土交通大臣から権限の委任を受けた処分行政庁は,都市計画法59条2項に基づき,平成▲年▲月▲日付けで,被告参加人(以下「参加人」という。)を施行者とし東京都板橋区A町地内を事業地として都市計画道路を設置する旨の別紙5事業目録記載の都市計画事業(以下「本件事業」という。)の認可(平成▲年関東地方整備局告示第▲号。以下「本件事業認可」という。)をし た。 第1事件は,本件事業の事業地(以下「本件事業地」という。)内の不動産について権利を有し,あるいは,本件事業地内又はその周辺に居住する原告らが,本件事業認可の取消しを求める事案であり,第2事件は,本件事業地内の不動産について権利を有し,あるいは,本件事業地内又はその周辺に居住し, 若しくは営業を行う原告らが,主位的に本件事業認可の取消しを求め,予備的に本件事業認可の無効確認を求める事案である。 1 関係法令の定め関係法令の定めは,別紙6-1から6-11までのとおりである(これらの別紙中で定義した略称等は,以下の本文においても同様に用いるものとす る。)。 なお,都市計画法が施行された昭和44年6月14日の時点において既に旧都市計画法の規定により決定されていた都市計画は,都市計画法の規定による相当の都市計画とみなされる(都市計画法施行法2条 なお,都市計画法が施行された昭和44年6月14日の時点において既に旧都市計画法の規定により決定されていた都市計画は,都市計画法の規定による相当の都市計画とみなされる(都市計画法施行法2条)。 2 前提事実(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)⑴ 本件事業の概要等 本件事業の概要は,別紙5事業目録記載のとおりであり,具体的には,東京都市計画道路補助線街路第26号線(延長約22.4km。以下「補助26号線」という。)のうち東京都板橋区A町23番を起点とし同町地内を終点とする区間(以下「本件事業区間」という。)に,幅員20mから23m,延長375mの道路(以下「本件道路」という。)を拡幅整備及び新設整備 することを内容とする都市計画事業である(乙1〔枝番を含む。〕,2,3,丙7の1)。 本件事業地の位置は別紙7のとおりであり,本件事業区間周囲の道路の状況等は別紙8のとおりである(乙1の3,丙7の2)。 なお,本件事業は,環境影響評価法上の対象事業ではなく,本件条例上の 対象事業にも当たらない。 ⑵ 当事者ア別紙2-1第1事件原告目録記載3及び4の原告ら(以下,同目録記載の原告らについては,原告番号を用いて「第1事件原告1」などといい,別紙2-2第2事件原告目録記載の原告らについては,同様に「第2事件 原告1」などという。)は,本件事業地内に不動産を所有する者である。 イ第1事件原告2及び5並びに第2事件原告3及び4は,本件事業地内に居住する者である。 ウ第2事件原告2及び5は,別紙2-2第2事件原告目録記載の各肩書地において,それぞれ営業を行っている者である(弁論の全趣旨)。 エ第1事件原告2から5まで及び第2事件原告2から5までを除いたその 及び5は,別紙2-2第2事件原告目録記載の各肩書地において,それぞれ営業を行っている者である(弁論の全趣旨)。 エ第1事件原告2から5まで及び第2事件原告2から5までを除いたその 余の原告らは,本件事業地の周辺地域に居住する者(別紙4死亡者目録記載の原告らは同地域に生前居住していた者)である(第2事件原告1については甲A9の2,9の3〔別紙地図3〕及び弁論の全趣旨,その余の原告らについては争いがない。)。 ⑶ 本件道路に係る都市計画について ア昭和21年の都市計画決定東京復興都市計画街路について,内閣総理大臣による旧都市計画法3条に基づく決定(以下「昭和21年決定」という。)があった旨,昭和21年4月25日付けで告示(昭和21年戦災復興院告示第15号。以下「昭和21年告示」という。)がされた(乙5)。補助26号線は,昭和21 年決定に係る東京復興都市計画街路の一つであり,起点を品川区東品川5丁目,終点を板橋区板橋町5丁目とし,幅員を25mとするというものであった。 イ昭和41年の都市計画決定東京都市計画街路について,建設大臣により旧都市計画法3条に基づく 都市計画変更決定(以下「昭和41年決定」といい,昭和21年決定と併せて「昭和21年決定等」という。)がされ,昭和41年7月30日付けで告示(昭和41年建設省告示第2428号)がされた。昭和41年決定によって,補助26号線に係る都市計画は,以下のとおり変更された(乙4,丙1,2)。本件事業区間の区域は,昭和41年決定以後,変更され ていない(弁論の全趣旨)。 (ア) 起点品川区東大井1丁目11番(イ) 終点板橋区板橋2丁目69番(ウ) 幅員 20m(エ) 延長約2万2300m ウ平成15年の都市計 ていない(弁論の全趣旨)。 (ア) 起点品川区東大井1丁目11番(イ) 終点板橋区板橋2丁目69番(ウ) 幅員 20m(エ) 延長約2万2300m ウ平成15年の都市計画決定 平成10年の都市計画法施行令の改正により,都市施設に係る都市計画で定める事項の一項目として「車線の数」が追加されたことから,本件事業区間について,平成15年1月31日付けで,車線の数を2車線(片側1車線)とする都市計画の変更決定がされた(丙21の1・2。以下「平成15年決定」という。)。 平成15年決定の後は,本件道路に係る都市計画(以下,本件道路に係る都市計画について,その決定時をもって特定する必要がない場合,「本件都市計画」と総称し,本件都市計画に係る決定を「本件都市計画決定」と総称する。)は変更されていない(弁論の全趣旨)。 ⑷ 本件事業認可に至る経緯 参加人は,平成▲年▲月▲日,処分行政庁に対し,都市計画法59条2項に基づき,自らを施行者とする本件道路の整備に関する事業(本件事業)の認可の申請をした。同申請に係る申請書添付書類の「申請の理由」欄には,「本整備により,交通の円滑化が図られるとともに,安全で快適な歩行空間が確保される。また,延焼遮断帯である同区間の整備により地域の防災性が 向上する。」と記載されていた(乙1の1)。 処分行政庁は,同年▲月▲日付けで,本件事業を認可する旨の決定(本件事業認可)をし,同月24日付けでこれを告示した(乙2,3)。 ⑸ 本件訴えに至る経緯等ア第1事件原告らは,平成▲年▲月▲日,第1事件に係る訴えを提起した (顕著な事実)。 イ第2事件原告1,3,6及び11の4名は,いずれも平成▲年▲月▲日付けで,本件事業認可につき審査請求をした。 告らは,平成▲年▲月▲日,第1事件に係る訴えを提起した (顕著な事実)。 イ第2事件原告1,3,6及び11の4名は,いずれも平成▲年▲月▲日付けで,本件事業認可につき審査請求をした。 上記4名を含む第2事件原告らは,平成▲年▲月▲日,第2事件に係る訴えを提起した(顕著な事実)。 3 争点 ⑴ 本件訴えが適法か否かア第1事件原告3及び4を除く同事件の原告ら並びに第2事件原告らが本件事業認可の取消し等を求める原告適格を有するか否かイ第2事件原告らの主位的請求に係る訴えにつき,出訴期間が徒過しているか否か ⑵ 本件事業認可が違法か否かア昭和21年決定等が不存在又は手続上違法であることにより本件都市計画決定が違法となるか否かイ本件事業認可が都市計画に適合しないこと等により実体上違法であるか否か ⑶ 本件事業認可が無効か否か 4 争点⑴ア(第1事件原告3及び4を除く同事件の原告ら並びに第2事件原告らが本件事業認可の取消し等を求める原告適格を有するか否か)に関する当事者の主張(原告らの主張) ⑴ 本件事業地内の不動産について権利を有する者,あるいは本件事業地内に居住する者について本件事業地内の不動産について権利を有する者は,本件事業認可により直接その権利を害される者に当たるから,その取消しや無効確認を求める原告適格を有する。 また,本件事業地内に居住する者は,いわゆる占有補助者であっても,本件事業地内に居住する利益を失うことになるのであり,本件事業認可により直接権利を害される者に当たるといえるから,その取消しや無効確認を求める原告適格を有するというべきである。 ⑵ 本件事業地近隣に居住する住民について ア最高裁平成17年12月7日大法廷 直接権利を害される者に当たるといえるから,その取消しや無効確認を求める原告適格を有するというべきである。 ⑵ 本件事業地近隣に居住する住民について ア最高裁平成17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁 (以下「平成17年最判」という。)に照らせば,いわゆる周辺住民が原告適格を有するか否かは,事業地の種類,構造,規模等の当該事業地の具体的な諸条件を考慮に入れた上で,原告の住所地と事業地との距離関係を中心として,都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち,当該事業が実施されることにより,騒音,振動等による健康環境に著しい被害を 直接的に受けるおそれのある者であるか否かという観点から判断するのが相当である。被告は,本件条例の規定する都市計画段階関係地域(2条9号)及び事業段階関係地域(同条10号。以下,両者を併せて「関係地域」という。)が定められていないことを理由に,本件事業地内の不動産に権利を有しない周辺住民は原告適格を有しない旨主張するが,関係地域が定 められているか否かの一事をもって原告適格の有無が判断されるものではなく,原告適格は個別具体的な事情に即して判断されるべきである。 イ本件事業は,住宅や商店の密集地に道路を整備する事業であり,本件事業地の近隣に居住する住民は,建物解体時の振動や新たに整備される道路を通行する自動車による排気ガスなどの影響を受ける可能性を否定し得な い。また,道路が開通することにより交通量が増大し,交通事故等によりその生命や身体に重大な影響を受ける可能性も否定し得ない。そうすると,本件事業地の近隣に居住する住民は,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たるというべきであるから,本件事業認可の取消しや無効確認 得ない。そうすると,本件事業地の近隣に居住する住民は,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たるというべきであるから,本件事業認可の取消しや無効確認を求める原告適格を有する というべきである。 ⑶ A商店街(以下「本件商店街」という。)を利用する者について本件商店街の一部は本件事業地内にあり,本件商店街を利用する者は,本件事業認可によりこれを利用することができないという不利益を被ることとなること,生命,身体に対する被害を受ける可能性は上記⑵の住民と同様で あることに照らせば,本件事業認可の取消しや無効確認を求める原告適格が 認められるべきである。 ⑷ 個別の原告についてア(ア) 第1事件原告2及び5並びに第2事件原告4は,本件事業地内の各不動産につき所有権を有する者(上記各原告の親族)から,それぞれ当該不動産(なお,第1事件原告2については本件事業地内の建物のうち 居住部分と独立した構造となっている店舗部分,第2事件原告4については2世帯住宅の建物のうち2階及び3階部分)を使用貸借している。 第2事件原告1は,本件事業地内の土地(東京都板橋区(住所省略))を所有者から賃借するとともに,同土地上の建物を同土地の所有者と共有している。 第2事件原告3は,本件事業地内の建物の6階部分を所有者(同原告が代表取締役を務める法人)から賃借している。 したがって,これらの原告らは,本件事業地内の不動産について権利を有する者であるから,原告適格を有する。 (イ) 第1事件原告2及び5並びに第2事件原告3及び4は本件事業地内 に居住し,第2事件原告2及び5は本件事業地内において営業をしている。 イ ①第1事件原告1,6から8まで及び17並びに第2事 第1事件原告2及び5並びに第2事件原告3及び4は本件事業地内 に居住し,第2事件原告2及び5は本件事業地内において営業をしている。 イ ①第1事件原告1,6から8まで及び17並びに第2事件原告1及び6は,本件事業地に極めて近接した地域に居住する者であり,②上記ア及び上記①以外の原告らは,本件事業地の近隣に居住し,本件事業地内に出勤 し,あるいは本件商店街を日常的に利用する者である。 したがって,前記⑵又は⑶のとおり,これらの原告らも,原告適格を有するというべきである。 (被告の主張)⑴ 本件事業地内の不動産につき権利を有すると主張する者について ア第1事件原告3及び4を除く原告らには,本件事業地内の不動産につき 権利を有する者はいないから,本件事業地内の不動産につき権利を有する者としての原告適格は認められない。 なお,原告らは,事業地内に居住する住民については占有権原の有無にかかわらず原告適格が認められるとも主張するが,占有補助者は固有の使用収益をする権限を有していない。また,周辺住民の原告適格の有無とい う観点からみても,後記のとおり,原告らは,本件事業の実施による健康又は生活環境に係る著しい影響について抽象的に主張するにすぎない。したがって,本件事業地内に居住するという事情のみによって原告適格を有するということはできない。 イ(ア) 第1事件原告2及び5は,本件事業地内の不動産の所有者(配偶者 又は親)の占有補助者にすぎず,固有の使用収益をする権限を有していないから,本件事業地内の不動産につき権利を有する者に当たらない。 (イ) 第2事件原告1が権利を有すると主張する不動産(東京都板橋区(住所省略)の土地及び同土地上の建物)は,本件事業地内に所在しないから,同原告は,本件事業 産につき権利を有する者に当たらない。 (イ) 第2事件原告1が権利を有すると主張する不動産(東京都板橋区(住所省略)の土地及び同土地上の建物)は,本件事業地内に所在しないから,同原告は,本件事業地内の不動産につき権利を有する者に当たらな い。 (ウ) 第2事件原告3は,本件事業地内の不動産(建物)の所有者(同原告が代表取締役を務める法人)との間で同建物につき賃貸借契約を締結している旨主張するが,契約書その他客観的な証拠はなく,本件事業地内の不動産につき権利を有することを示す的確な証拠が提出されていると はいえないから,本件事業地内の不動産につき権利を有する者に当たらない。 (エ) 第2事件原告4は,同原告の父が所有する本件事業地内の建物に居住しており,同建物に対する固有の占有権限がある旨主張するが,占有補助者にすぎず,固有の使用収益をする権限を有することを示す的確な証 拠はないから,本件事業地内の不動産につき権利を有する者に当たらな い。 ⑵ 周辺住民の原告適格についてア都市計画法は,騒音,振動等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むも のであり,都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち,当該事業が実施されることにより,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟や無効確認訴訟における原告適格を有するものというべきである。 イ本件条例においては,道路の新設について,4車線以上の規模が対象事業とされているが(東京都環境影響評価条例施行 その取消訴訟や無効確認訴訟における原告適格を有するものというべきである。 イ本件条例においては,道路の新設について,4車線以上の規模が対象事業とされているが(東京都環境影響評価条例施行規則別表第一の一(三)),本件道路は2車線の道路であり,同条例の対象事業に該当せず,したがって,同条例が規定する関係地域も定められていない(なお,本件事業は,環境影響評価法の対象事業にも該当しない。)。関係地域が,対 象事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で当該対象事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として定められるものであることからすると,本件事業地内あるいは本件事業地の近隣に居住する原告らについて,本件事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれがあるとはいえず, 本件事業地の周辺住民としても,原告適格を有するものとは認められない。 ウ原告らの主張について(ア) 原告らは,関係地域が定められていないということのみで原告適格は否定されない旨主張する。 しかしながら,本件事業は,環境影響評価法の対象事業にも本件条例 の対象事業にも該当しないから,そもそも類型的に環境影響の程度が著 しいものとなるおそれのない事業である。また,本件事業の内容及び規模(都道,2車線,長さ375m)は,同法及び同条例の対象事業と比較しても相当程度小さいのであり,特に同条例は,同法における対象事業の要件よりはるかに厳しく,規模の小さい事業までも対象事業としているが,本件事業は,その対象事業の要件と比較しても規模が小さいの である。 したがって,本件事業は,平成17年最判にいう騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのあ 本件事業は,その対象事業の要件と比較しても規模が小さいの である。 したがって,本件事業は,平成17年最判にいう騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者が類型的に生じない事業といえるのであり,原告適格が認められるには,まず原告らにおいて,本件事業が本件条例の対象事業に相当するような 環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業に当たること,原告らが本件事業の実施により騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たることを,具体的に主張立証するべきである。しかしながら,本件において,そのような具体的な主張立証はない。 (イ) 原告らは,騒音,振動,排気ガスにさらされないこと,交通事故等の危険にさらされないことといった利益が生命及び身体の安全に係る利益であって,これが個別的利益として保護される旨主張する。しかしながら,本件において,生命又は身体の安全に係る利益が個別的利益として保護されているものと解することはできないし,原告ら指摘の事情が生 命又は身体の安全に係る利益に当たるということもできない。 ⑶ 以上によれば,第1事件原告3及び4を除く原告らは,本件事業認可の取消しや無効確認を求める原告適格を有しておらず,これらの原告らの訴えは,いずれも不適法である。 5 争点⑴イ(第2事件原告らの主位的請求に係る訴えにつき,出訴期間が徒過 しているか否か)について (被告の主張)第2事件原告らのうち本件事業認可について審査請求を行ったのは,同事件原告1,3,6及び11の4名であり,その余の同事件原告らは審査請求を行っていない。また,上記4名の原告らは,前記4(被告の主張)に照らせば,本件事業認可につき適法な審 審査請求を行ったのは,同事件原告1,3,6及び11の4名であり,その余の同事件原告らは審査請求を行っていない。また,上記4名の原告らは,前記4(被告の主張)に照らせば,本件事業認可につき適法な審査請求を行うことはできない。 そうすると,第2事件原告らはいずれも出訴期間を徒過しているから,その主位的請求に係る訴えは不適法である。 (第2事件原告らの主張)出訴期間が徒過しており不適法である旨の被告の主張は争う。 6 争点⑵ア(昭和21年決定等が不存在又は手続上違法であることにより本件 都市計画決定が違法となるか否か)について(原告らの主張)⑴ 本件事業認可が適法であるためには,その前提となる都市計画が適法であることが必要であるところ,下記⑵のとおり,昭和21年決定等は不存在又は手続上違法であり,昭和21年決定を前提とする昭和41年決定,更にこ れらの決定を前提とする平成15年決定も,前提となる決定の不存在又はその違法を引き継ぐことから,本件事業認可は違法である。 ⑵ 昭和21年決定等の不存在又は手続的違法ア昭和21年決定が不存在であること昭和21年決定は,告示こそされているものの,決定書と関係図面が存 在しない。都市計画決定がされていれば当然に存在するはずの上記各書面が存在しないのは,昭和21年決定自体が不存在だからである。 イ主務大臣の決定を欠くこと(ア) 昭和21年決定を行ったのは,主務大臣ではなく,国務大臣ですらない戦災復興院総裁であったから,同決定は,旧都市計画法3条に違反 する。 (イ) 被告は,内閣総理大臣により決定されたから違法はない旨主張するが,旧都市計画法3条の規定によれば,都市計画決定を行うべきであるのは主務大臣であるところ,昭和21年決定当時,同 る。 (イ) 被告は,内閣総理大臣により決定されたから違法はない旨主張するが,旧都市計画法3条の規定によれば,都市計画決定を行うべきであるのは主務大臣であるところ,昭和21年決定当時,同条の主務大臣とは内務大臣であった。したがって,昭和21年決定を行ったのが内閣総理大臣であったとしても,同条に違反することに変わりはない。 なお,昭和21年4月22日に幣原喜重郎内閣が総辞職し,その後同年5月22日に第1次吉田茂内閣が組閣されるまで,内閣は存在しない状態であった。昭和21年決定は,このように内閣が総辞職していた期間にされたものであるから,内閣総理大臣が決定したものではない。 ウ内閣の認可を欠くこと (ア) 昭和21年決定は,旧都市計画法3条の「内閣ノ認可」がないから,同条に違反するものであり,昭和41年決定も同様である。 (イ) 被告は,臨時特例2条1項1号を根拠に,内閣の認可を受けていなくても違法ではない旨主張する。 しかしながら,臨時特例は,臨時措置法に基づく勅令であるところ, 同法に「大東亜戦争ニ際シ」と規定されているように,同法は,第二次世界大戦下において,勅令によって天皇の下で一元的独裁秩序の確立を目的としたものである。大日本帝国憲法(以下「旧憲法」という。)下においても,戦時でなければこのような一元的独裁秩序は許されるものではなく,戦争が終われば臨時措置法は廃止される旨国会でも説明され ていたことからすれば,同法は,第二次世界大戦が終われば失効する時限法というべきであって,終戦後の昭和21年決定時点において,同法は既に効力がなく,同法を前提とする臨時特例も効力はなくなっていたものである。したがって,昭和21年決定当時,内閣の認可を不要とする法令上の根拠はなかった。 ( 1年決定時点において,同法は既に効力がなく,同法を前提とする臨時特例も効力はなくなっていたものである。したがって,昭和21年決定当時,内閣の認可を不要とする法令上の根拠はなかった。 (ウ) 日本国憲法は旧憲法の改正という形で制定されたが,主権者を国 民とする点で憲法改正権限の限界を超えたものである。昭和20年8月15日のポツダム宣言の受諾自体が国民主権等近代立憲主義の基本原則を受け入れるという合意を含んでおり,新旧憲法に連続性はないと解されることからすると,勅令等の民主的手続を前提としない天皇主権を前提とする旧憲法下の法令は,同月時点で失効したと解するのが相当であ り,そうでなかったとしても,戦後20年以上を経過した昭和41年決定の時点で臨時特例を適用することは違法である。 エ関係図面の縦覧がされていないこと旧都市計画法3条2項は,「都市計画,都市計画事業及毎年度執行スベキ都市計画事業ニ付テハ政令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣之ヲ告示シ行政庁 ヲシテ関係図書ヲ縦覧ニ供セシムベシ」と規定していたところ,昭和21年決定の関係図面は縦覧に付されていないから,同項に違反する。 (被告の主張)⑴ 昭和21年決定が不存在である旨の主張について原告らは,昭和21年決定が存在しない旨主張するが,同決定は,昭和2 1年告示により内閣総理大臣が決定したことが示されている。 昭和21年決定に係る図面は現在のところ存在が確認されていないものの,「都市計画及び都市計画事業の決定書類等(昭和21年~30年)東京都」として国立公文書館に保管されている文書には,本件道路に係る都市計画の路線番号,起点,終点,主な経過地及び幅員が示され,かつ,昭和21年告 示の官報告示年月日及び番号が記載されており,同決定の内容を確 立公文書館に保管されている文書には,本件道路に係る都市計画の路線番号,起点,終点,主な経過地及び幅員が示され,かつ,昭和21年告 示の官報告示年月日及び番号が記載されており,同決定の内容を確認することができる。本件都市計画を所管する参加人も,昭和21年告示で同じく決定が告示された「東京都市計画道路補助線街路第86号線」の関係図面について,平成27年第1回都議会定例会において,官報に記載のある関係図面は現在不存在であるが,補助86号線の都市計画決定された区域は,他に都 市計画決定された区域も合わせて図示した資料に継承し,適切に管理してい る旨答弁している。 このように,昭和21年決定を表示する文書が存在し,昭和21年告示において内閣総理大臣が同決定を行ったことが告示されている以上,同決定は当然存在するものである。 ⑵ 主務大臣の決定がない旨の主張について ア都市計画に関する事務については,第二次世界大戦当時は内務大臣が所掌していたが,終戦に伴い,昭和20年11月5日,戦災復興院官制(昭和20年勅令第621号)により,戦災地における都市計画を含む市街地計画に関する事項等を所掌する機関として,戦災復興院が設置された(戦災復興院官制1条1号)。また,昭和21年4月12日付けで,「内閣総 理大臣決裁事項中復興都市計画並同事業ノ決定ニ関スル件戦災復興院総裁代決ノ件」により,復興都市計画等についての内閣総理大臣の決定に関する決裁権限を戦災復興院総裁が代決して行使することが認められた。このように,復興都市計画は戦災復興院が所掌しており,その決定権限を有する主務大臣は内閣総理大臣である。 昭和21年決定は,東京復興都市計画街路として決定されていることから,同決定に係る主務大臣は内閣総理大臣であり,昭和 院が所掌しており,その決定権限を有する主務大臣は内閣総理大臣である。 昭和21年決定は,東京復興都市計画街路として決定されていることから,同決定に係る主務大臣は内閣総理大臣であり,昭和21年告示によれば,同決定は主務大臣である内閣総理大臣により決定されているから,同決定の主務大臣が内務大臣であり,同決定が主務大臣により決定されていないとする原告らの主張は理由がない。 イ原告らは,昭和21年決定当時,内閣は総辞職していたから,内閣総理大臣は決定していない旨主張する。 しなしながら,昭和21年決定当時,国務大臣の任免権は天皇が有しており,国務大臣は,その官職を任意に放棄する権利はなく,天皇により国務大臣を免官になるまでの間は,国務大臣としての地位を有し,その職務 を遂行しなければならなかったものと解されるから,国務大臣たる内閣総 理大臣が内閣総辞職を表明したことをもって当然にその地位を喪失するものではない。 昭和21年決定を主務大臣として決定した幣原喜重郎は,昭和21年4月22日に内閣総辞職を表明したが,旧憲法の規定に従い,同年5月22日に内閣総理大臣を免官となるまでの間,職務を行っているのであり,同 決定を内閣総理大臣たる幣原喜重郎が行っていないとする原告らの主張は失当である。 ⑶ 内閣の認可がない旨の主張についてア臨時特例2条1項1号は,旧都市計画法3条の規定にかかわらず,内閣の認可を受ける必要がない旨規定している。 臨時特例は,現行の都市計画法が昭和44年6月14日から施行されたことに伴い,同日施行された都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)により廃止された(附則2条2号)が,この廃止に至るまでの数次にわたる改正においても,旧都市計画法上の都市計画決定について, たことに伴い,同日施行された都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)により廃止された(附則2条2号)が,この廃止に至るまでの数次にわたる改正においても,旧都市計画法上の都市計画決定について,内閣の認可を要しない旨規定した臨時特例2条1項1号は改廃されていない。こ のように,昭和21年決定や昭和41年決定がされた当時,臨時特例は廃止されておらず,内閣の認可を受ける必要はないとされていたから,これらの決定について内閣の認可を欠くものであったとしても,当時の法令上何ら違法ではない。 イ原告らは,臨時特例の根拠である臨時措置法1項の「大東亜戦争ニ際シ」 との文言を捉えて,同法が終戦時に失効する時限法である旨主張する。しかしながら,同法は,行政の簡素化という趣旨から制定された法律であり,上記文言は,法律制定の動機を示したものにすぎず,戦争遂行との関係で行政簡素化の必要性が生じた時のみ発動できるなどという要件を定めたものではない。このことは,同法に基づいて制定された臨時特例が,戦後に おいても,昭和44年に廃止されるまで必要に応じて数次にわたる改正が されたことからも明らかである。 臨時措置法は,一定の有効期限を付した時限法ではなく,法令自体に有効期限の定めのない臨時法であるから,法令の廃止行為がない限り効力を失うものではなく,平成3年法律第79号により廃止手続がとられるまで有効に存続していたことは明らかである。 ウ原告らは,天皇主権を前提とする旧憲法下の法令は昭和20年8月時点で失効したと解すべきである旨主張する。 しかしながら,命令効力法は,旧憲法下において議会の意思が加わることなくして発せられた命令で,憲法によれば法律をもって定めるべき事項を規定しているものについては,一定の時期までに国会 主張する。 しかしながら,命令効力法は,旧憲法下において議会の意思が加わることなくして発せられた命令で,憲法によれば法律をもって定めるべき事項を規定しているものについては,一定の時期までに国会の議決によって法 律に改めなければならないことを定めたものであるところ,臨時特例は,議会によって定められた臨時措置法の規定を受けて制定されたのであって,議会の意思が加わることなく発せられた命令とはいえず,命令効力法にいう命令には該当しない。したがって,臨時特例は,憲法施行後においても政令と同一の効力を有するものとして有効である(勅令効力令1項)。 ⑷ 関係図面が縦覧されていない旨の主張について原告らのいう旧都市計画法3条2項は昭和42年法律第75号により追加されたものであり,昭和21年決定当時,同項の規定は存在しなかったから,昭和21年告示にある関係図面が縦覧されていなかったとしても違法ではない。 7 争点⑵イ(本件事業認可が都市計画に適合しないこと等により実体上違法であるか否か)について(原告らの主張)⑴ 原告らの主張の要旨ア都市計画法21条は,従前の都市計画を維持することが困難で都市計画 を変更又は廃止しなければならなくなった場合に,行政庁に対して,都市 計画変更決定又は廃止決定をすることを義務付けているというべきであり,変更する必要が明らかになったか,変更する必要が生じたものと判断された場合,施行者において都市計画変更決定又は廃止決定をしないという裁量はない。都市計画の変更又は廃止をすべきか否かは,同法6条所定の基礎調査をすべき事項を勘案し,同法13条所定の都市計画基準を検討した 上で判断されるべきである。 そうしたところ,本件道路の整備は,交通の円滑化に資さず(後記⑵), 否かは,同法6条所定の基礎調査をすべき事項を勘案し,同法13条所定の都市計画基準を検討した 上で判断されるべきである。 そうしたところ,本件道路の整備は,交通の円滑化に資さず(後記⑵),防災性の向上に資することもなく(後記⑶),土地の合理的利用に反するものであって(後記⑷),本件都市計画決定は,本件事業認可の時点で,都市計画法21条に基づき変更又は廃止決定がされなければならない状況 にあった。 イ 「事業の内容が都市計画に適合し」ていないこと事業認可処分につき,都市計画法61条1号の定める「事業の内容が都市計画に適合し」ているとの要件を満たすか否かは,形式的に当該事業の内容が都市計画に適合しているか否かだけではなく,実質的に判断される べきであるところ,本件事業認可は,本来であれば都市計画法21条に基づき変更又は廃止決定をしなければならなかった本件都市計画決定をそのまま事業認可するものであり,事実に対する評価が明白に合理性を欠き,考慮されるべき事項が考慮されないこと等によりその判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであったから,処分行政庁の裁量権 の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものである。 したがって,本件事業認可は,「事業の内容が都市計画に適合し」との要件を欠くものであり,違法である。 ウ遅くとも本件事業認可の時点において本件都市計画決定が違法となること 適法に決定された都市計画であっても,変更又は廃止をしなければなら ないものとなった場合には,都市計画そのものに瑕疵があり,都市計画決定自体が違法となるに至ったと評価することができるところ,前記アのとおり,遅くとも本件事業認可の時点において本件都市計画決定の変更又は廃止がされるべきであったことからす ものに瑕疵があり,都市計画決定自体が違法となるに至ったと評価することができるところ,前記アのとおり,遅くとも本件事業認可の時点において本件都市計画決定の変更又は廃止がされるべきであったことからすると,遅くとも同時点において本件都市計画決定自体が違法となるというべきである。 したがって,本件都市計画決定に続く本件事業認可は違法である。 エさらに,本件事業認可は,都市計画法61条1号にいう「施行期間が適切であること」という要件を満たさない点でも違法である。すなわち,本件事業については,平成31年の段階では測量すらほとんど進んでなく,令和3年の時点においても事業が完成する見込みすらないのであるから, 事業施行期間が適切でないことは明らかである。 ⑵ 交通の円滑化に資さないこと本件道路の整備は交通の円滑化に資さず,むしろ周辺道路の混雑化などの弊害も否定し得ない状況にあるから,本件事業認可は,交通の円滑化を検討するに当たって考慮されるべき点が考慮されていないという点で,判断過程 に瑕疵がある。 ア交通量調査から不合理性が明らかとなったこと(ア) 判断基準自体が合理性を欠くこと参加人による平成16年の第三次事業化計画における都市計画道路の必要性の判断に当たって使用された基準(1日当たり6000台以上) は,これを満たさない道路がごく少数であって,ほとんどの区間の道路について必要性がある旨判断されることとなるから,合理性を欠く。都市計画法が5年に一度基礎調査を行うものとした趣旨は,時間の経過により実情に合わなくなった都市計画の見直しを促すことであるから,上記のような基準を設定し運用することには問題がある。 (イ) 交通量が増加していないこと 「東京都都市計画基礎調査報告書平成2 わなくなった都市計画の見直しを促すことであるから,上記のような基準を設定し運用することには問題がある。 (イ) 交通量が増加していないこと 「東京都都市計画基礎調査報告書平成21年度区部」によると,鮫洲A線のうち補助26号線と重複している区間において,平成9年から平成17年にかけて12時間交通量が増加しているのは僅か1地点であり,他の3地点については12時間交通量が1000台から2000台減少しているのであるから,この区間について,交通の円滑化が要請されて いないことは明らかである。 (ウ) 「全国平均」という基準がまやかしであること参加人は,道路における自動車の平均速度をもって,東京都の区部の道路の交通渋滞が緩和されていないかのように述べる。しかしながら,全国平均は,自動車が通ることがほとんどない郡部の道路も含めての集 計であるから,これに比して東京都の区部の平均速度が低いことをもって交通渋滞が緩和されていないなどとする参加人の主張は不相当である。 イ 「開かずの踏切」の問題があること(ア) 本件道路は,東武東上線の東上本線第16号踏切(以下「本件踏切」という。)と交差しているところ,本件踏切は,ピーク時間の遮断時間 が1時間当たり40分以上あり緊急に対策の検討が必要であるとされる,いわゆる「開かずの踏切」である。また,本件踏切に隣接する踏切(東上本線第13号踏切,第15号踏切)も,同様に長時間遮断器が下りる踏切であるし,本件踏切及び上記第15号踏切は,1日当たりの踏切自動車交通遮断量(自動車交通量×踏切遮断時間)と踏切歩行者等交通遮 断量(歩行者及び自転車の交通量×踏切遮断時間)の合計が5万台時以上,かつ1日当たりの踏切歩行者等交通遮断量が2万台人時以上の踏切である,いわゆる 交通量×踏切遮断時間)と踏切歩行者等交通遮 断量(歩行者及び自転車の交通量×踏切遮断時間)の合計が5万台時以上,かつ1日当たりの踏切歩行者等交通遮断量が2万台人時以上の踏切である,いわゆる「歩行者ボトルネック踏切」としても挙げられている。 本件踏切の状況を踏まえると,東武東上線と平面交差することを放置したまま本件道路を整備することは,正に交通の円滑化に逆行するもの であり,渋滞が生じ,大気汚染も悪化したりするなど,地域住民の生活 に支障が生じる懸念もある。 (イ) 参加人は,立体交差事業が進展している旨主張するが,住民から反対の声が大きく出ており,周辺用地の取得が不可欠である立体交差事業が実現するかは極めて不透明である。参加人が,立体交差化の都市計画案が具体的に進んでいる旨強弁すること自体,本件道路と東武東上線が平 面交差したままでは渋滞が引き起こされるとの懸念を参加人自身が有していることの証左である。本件事業区間が整備されると交通の円滑化が図られる旨の参加人の主張は,開かずの踏切の問題が解消された場合の状況を予想するものにすぎず,この問題が解消されない中で,道路の拡幅や歩道,自動車の走行空間の整備を論じても何の意味もない。 ウ参加人は,本件道路の将来交通量は1日当たり2万3000台と予測される旨主張するが,本件道路の交通容量は1日当たり1万2000台であるから,上記予測のとおりであるとすれば,渋滞を引き起こすことは明らかであり,交通の円滑化に資さない。また,本件踏切と平面交差していることなどから,解消し難い渋滞が発生することも懸念され,自動車の排気 ガスによる健康被害や騒音被害が発生する可能性も極めて高い。本件道路については,法律上環境影響評価を行う必要がないとしても,上記のとおり大渋 し難い渋滞が発生することも懸念され,自動車の排気 ガスによる健康被害や騒音被害が発生する可能性も極めて高い。本件道路については,法律上環境影響評価を行う必要がないとしても,上記のとおり大渋滞の発生が予想されるのであれば,周辺住民にどのような影響が生じるかを検討すべきであり,これをしていないことは極めて問題である。 ⑶ 防災性の向上に資さないこと 本件事業の目的の一つとして,延焼遮断帯を形成し,木造住宅密集地域を解消することによって防災に資するという点が挙げられている。70年以上も休眠していた本件都市計画決定が突如として事業認可申請されたのも,延焼遮断帯の形成が主たる目的である。しかしながら,以下のとおり,延焼遮断帯の効果自体に強い疑問があるし,逆に火災を促進させるおそれもあるか ら,本件道路の整備は防災性の向上に資さない。 ア延焼遮断効果がなく,あるとしても限定的であること本件道路周辺に建築される耐火建築物等の高さは,法的規制の上限と下限の間で自由に決めることができるものであるから,壁となる耐火建築物等の高さは不ぞろいとなる可能性が高く,そうした場合,火災によって生じる炎は,高い建物の間や低い建物の上の空間を通り抜け,より勢いを増 して本件道路に流れ込むことになる。また,仮に耐火建築物等の高さをそろえたとしても,壁と壁の間の空間としての本件道路にどれだけの幅員があれば延焼を防ぐ効果があるのかという検証データは全くない。 なお,延焼遮断帯とされる道路に消防車両が入ることによって消火活動がしやすくなるという見解があるが,大規模火災が発生した場合,道路は 燃えている炎に対して酸素を供給する空間となり,更に炎は輻射熱と熱風などによりガス化した空気に燃え広がって,道路に沿って風に乗り,燃え るという見解があるが,大規模火災が発生した場合,道路は 燃えている炎に対して酸素を供給する空間となり,更に炎は輻射熱と熱風などによりガス化した空気に燃え広がって,道路に沿って風に乗り,燃えやすくなった脆弱な箇所から「飛び火」として噴き出すなど,広い地域にわたって延焼を促進するおそれがある。このような状況下において,消防車両が幅員僅か20mから23mの本件道路に乗り入れて消防活動を行う ことができないことは明らかである。 また,本件道路に延焼遮断帯として何らかの効果があるとしても,火災が発生した側の地域における延焼を防止できるものではない。 イ緊急車両通行道路としても効果がなく,より防災に資し,かつ安価に整備できる防災手段が存在すること 上記アのとおり,延焼遮断帯がその耐火効果を生じさせる大火の場合,本件道路に消防車両が乗り入れることは不可能であるし,小規模災害時ですら,細い路地が入り組んでいるという本件道路周辺の地域特性に照らせば,本件道路は緊急車両を火災現場に到達させるために有効な手段とはいえない。 防災の現実的効果及び費用対効果等の観点からは,莫大な費用を投下し て大規模な道路を建設するよりも,その予算のうち僅かな一部を投下して,自主防災組織の拡充,小型消防車の導入,木造家屋の不燃化のための助成措置等,細い路地の入り組んだ木造住宅密集地域という本件道路周辺の地域特性に応じた細やかな対策を整備する方が,原告ら住民にとって,遥かに利益を享受することができるし,コストパフォーマンスにおいても優れ ている上,延焼を防ぐという意味での実効性も高い。 ウ参加人の主張に根拠がないこと参加人は,延焼遮断帯には,住宅地において燃え広がりを防止する効果がある旨主張するが,その主張の根拠とす ている上,延焼を防ぐという意味での実効性も高い。 ウ参加人の主張に根拠がないこと参加人は,延焼遮断帯には,住宅地において燃え広がりを防止する効果がある旨主張するが,その主張の根拠とする延焼シミュレーションに係る検討委託報告書については,どれだけの幅員があれば延焼を防ぐ効果があ るのかという検証データが存在せず,これについて主張立証が尽くされていない。また,上記報告書は,大火における主要な延焼原因である火の粉や飛び火を想定しておらず,手法に欠陥があり,検証結果の価値は極めて低い。火災の延焼拡大にとって,飛び火の発生は特別な条件の下でまれに発生するという現象ではなく,現実の地域社会で防災対策を実施する上で 無視できない条件である。 ⑷ 公共の福祉の増進,土地の合理的利用に資さないこと本件事業地周辺において,多くの住民が本件商店街で商店を営むなどし,また,本件商店街が地域の多くの人に日常的に利用されているという実態があることからすると,「公共の福祉の増進」(都市計画法1条),「土地の 合理的な利用」(同法2条)の観点からは,本件事業が本件商店街に関わる地域住民の生活にどのような影響を与えるかということも,本件事業認可に当たり,極めて重大な考慮要素であるというべきである。 ア本件事業が本件商店街と関わる地域住民の生活を脅かすこと(ア) 本件商店街は,沿革的にも古くからの地権者による店や個人商店が多 く,低価格,豊富で個性的な品ぞろえを実現できているほか,営業時間 も様々であり,若年層から高齢者まで幅広い利用者を誘引している。本件商店街は,総延長約560mの巨大アーケードを備え,建物2階部分にも多数の店舗が入っているほか,アーケード部分以外にも,多くの路地に大小多数の商店,飲食店があり まで幅広い利用者を誘引している。本件商店街は,総延長約560mの巨大アーケードを備え,建物2階部分にも多数の店舗が入っているほか,アーケード部分以外にも,多くの路地に大小多数の商店,飲食店があり,賑わいをもった商店街となっている。本件商店街は,東武東上線踏切を挟んだ反対側にある同規模のB商 店街と併せて,板橋区における一大商圏を形成している。アーケードがあることにより,本件商店街においては,雨の日でも傘をささずに買い物ができ利便性が非常に高いほか,商店街を横断する街路がないため,安全性にも優れている。 本件商店街は,上記のとおり,一般的な商店街にはない強みを有する ほか,人気もあり,多くの利用客を抱えている。本件商店街は,多くの商店街がシャッター街となる中,独自の努力と魅力で生き残ってきたのであり,近年でもテレビ番組に紹介され,遠方からも買い物客が訪れたりしている。 (イ) 上記(ア)のとおり,本件商店街は,多くの魅力があり,利便性,安全 性等の点でも極めて優れているが,本件商店街と斜めに交わる本件道路が整備されることにより,商店街全体の長さの3分の1ほどである約170mもの部分が削られ,シンボルであるアーケードも撤去され,商店街が物理的に分断されることとなるほか,本件商店街の魅力や利便性,安全性の一部又は全部が失われることとなる。また,商店街の利用者が 本件道路を横断して向こう側の商店街を利用するとは考えにくく,本件商店街の一体性,回遊性が失われる。さらに,本件事業により40店舗もの商店が立ち退きとなり,商店街の会費収入が激減するため,現状の規模の商店街を維持することは困難となる。 (ウ) 立ち退きにより住居を奪われた店主や地主らは,その土地での事業や 生活を継続することができなくなり,立ち退 街の会費収入が激減するため,現状の規模の商店街を維持することは困難となる。 (ウ) 立ち退きにより住居を奪われた店主や地主らは,その土地での事業や 生活を継続することができなくなり,立ち退いた店舗で働いていた労働 者の生活も脅かすことになる。また,本件商店街の中心が本件道路によって分断され,アーケードが撤去されることにより,前記(ア)のような本件商店街の強みも失われ,顧客誘引力を大きく低下させることになりかねない。本件道路によりC駅近辺から隔離される側の地域は,商圏から取り残されるおそれもある。こうしたことなどにより商店街自体の人気 が低下したりすれば,更に商店が閉店し,人気が低下するという悪循環に陥るおそれがあり,最終的に,店主,地主,従業員など,商店街と密接にかかわって生活する人の多くを困窮させることになる。 (エ) さらに,本件商店街は,地域住民の日常生活に欠かせない存在であるところ,利便性,安全性が低下したり,物価が上昇したりすることによ り,地域住民は普段の経済活動に困窮することとなるし,本件商店街自体が消滅すれば,地域住民が生活必需品を購入する場所が失われ,特に高齢者にとっては死活問題である。 (オ) 加えて,本件商店街は,その歴史的沿革や規模の面から地域のコミュニティと密接に関連しているが,本件商店街が物理的,機能的に失われ ると,地域コミュニティが瓦解するおそれがある。本件商店街の破壊は,単なる一商業施設の破壊を意味するのではなく,一つのコミュニティの破壊を意味する。A地域の住民が,経済活動をする場所を失い,互いに助け合う人間関係も失う中で,これまでどおりの生活を続けていくことは不可能である。 (カ) 以上のとおり,本件商店街の一部又は全部が物理的,機能的に失われることによ する場所を失い,互いに助け合う人間関係も失う中で,これまでどおりの生活を続けていくことは不可能である。 (カ) 以上のとおり,本件商店街の一部又は全部が物理的,機能的に失われることにより,商店経営者,地域の利用者,商店街を中心とするコミュニティに属する者等の生活が破壊されるおそれがあり,本件道路を整備するという本件事業は,「公共の福祉の増進」,「土地の合理的な利用」に資さないものである。 イ本件事業認可とともに,A地域全体で不合理な再開発事業が進行してい ることA地域周辺では,現在,本件道路の計画だけでなく,東武東上線の高架化,駅前広場の再開発計画等が進行している。本件道路に係る計画により,容積率,建ぺい率が緩和され,高層ビルを建てられるようになるため,再開発計画では,同地域にそぐわない25階建てと26階建てのビルが建設 されることになる。また,当初本件事業により立ち退きとなる商店の移転先として本件道路の西側のDと呼ばれる地域が検討されていたが,立ち退きがDの整備に先行することとなり,立ち退いた商店は移転先を自ら探さざるを得ず,コミュニティの維持ができなくなった。このように,本件事業認可は,再開発計画と連動し,「Cのまち壊し」になってしまっている。 ウ本件事業が地域住民の意思に反して進められたこと(ア) 板橋区は,当初,Cのまちづくりと抱き合わせにすることによって本件道路を整備しようとし,コンサルタントとしてE氏を招いた。E氏と本件商店街の振興組合の中の委員会であるまちづくり委員会が中心となって検討が進められ,本件道路が通っても商店街の賑わいが喪失しない よう工夫し,立ち退きを余儀なくされる商店についてもDに新たに集客エリアを設け,ここを移転先とすることで経営を維持するなど, って検討が進められ,本件道路が通っても商店街の賑わいが喪失しない よう工夫し,立ち退きを余儀なくされる商店についてもDに新たに集客エリアを設け,ここを移転先とすることで経営を維持するなど,既存の商店街を破壊しないまちづくりが計画された。 ところが,平成26年に再開発計画のデベロッパーが選定されると,E氏は解任され,まちづくり委員会も意思決定に関与できなくなり,既 存の施設や商店街を生かすといった発想もなくなって,立ち退きを求められる商店や住民のDへの移転計画も立ち消え,商店街は物理的に決定的に分断され,デベロッパーのみが利益を得る再開発計画に一変した。 (イ) 平成26年に策定された「Cまちづくり総合計画」は,地域住民の意思を反映する機会があった頃に作られたものであるが,現在の本件事業 や再開発計画の基礎となっているのは,平成28年に策定された「Cま ちづくり整備計画」であり,ここには地域住民の意思は反映されていない。 そもそも,上記総合計画の基となった「C駅周辺地区まちづくりマスタープラン」自体,地域の意思が十分に反映されたものではなかったのであるが,現在の計画は,上記総合計画にはあった,代替地としてのD の整備や,人の流れを妨げないようにするためのアーケード,ペデストリアンデッキの整備すら一切なくなってしまい,本件商店街の一体性,回遊性を無視したCの街にそぐわない25階建てと26階建てのビルの建設という本件商店街を破壊するまちづくりがされようとしているのである。 したがって,本件事業認可当時,地域住民と行政が協働してまちづくりを進めていた旨の参加人の主張は誤りである。 エ以上のとおり,本件事業は,デベロッパーの利益のみを重視し,地域住民,地域商店街の意思を反映せず,コミ 業認可当時,地域住民と行政が協働してまちづくりを進めていた旨の参加人の主張は誤りである。 エ以上のとおり,本件事業は,デベロッパーの利益のみを重視し,地域住民,地域商店街の意思を反映せず,コミュニティを分断し,本件商店街を破壊し,地域を衰退させるものであり,「公共の福祉の増進」,「土地の 合理的な利用」に反するものである。 (被告の主張)⑴ 裁量権の範囲の逸脱又は濫用の主張についてア原告らは,「事業の内容が都市計画に適合し」ているか否かは実質的に判断すべきであるとした上で,本件事業認可をしたことについて,裁量権 の範囲の逸脱又は濫用がある旨主張する。 しかしながら,都市計画法は,都市計画決定については都市計画決定権者の権限に委ね,都市計画事業の認可については認可権者の判断に委ねており,行政機関の権限の相互尊重の原則に照らせば,上記のとおり権限を分属させていることの当然の帰結として,認可権者には,都市計画決定の 適否を実質的に判断すべき権限はないというべきである。 そうすると,都市計画法61条1号にいう「事業の内容が都市計画に適合し」ていることとは,都市計画事業の内容が都市計画に沿い,矛盾なく両立することを意味するものであって,都市計画事業の内容が都市計画に沿っていることを確認することが求められているにとどまり,本件事業認可の適法性は,事業認可の審査の段階でいかなる事実が考慮され,また, 考慮されなかったかといった事情によって左右されるものではなく,本件事業認可自体が客観的に処分要件を具備していて適法であること及び本件事業認可の前提となる本件都市計画が適法であることによって決まるというべきである。このことは,都市計画事業の認可を受けようとする者が提出すべき書類等として,法令上,認可権者 て適法であること及び本件事業認可の前提となる本件都市計画が適法であることによって決まるというべきである。このことは,都市計画事業の認可を受けようとする者が提出すべき書類等として,法令上,認可権者である国土交通大臣において都 市計画が適法であるか否かを判断し得る事項の記載又は書類の添付が必要とされていないことからも明らかである。 したがって,本件事業認可が裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用したものであり違法である旨の原告らの主張は,前提において理由がない。 イまた,後記(参加人の主張)のとおり,本件道路は東京都の区部におけ る交通の円滑化に資するものであること,本件事業区間周辺における防災性の向上に資すること,本件道路の整備に際しては,沿道のまちづくりと一体となった整備を進めていくことが明らかにされていること等から,本件事業認可に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるとする原告らの主張は,いずれも前提を欠く。 ⑵ 本件都市計画の違法判断の基準時について都市計画の決定は決定時における都市計画法の規定に基づき行われるものであるから,都市計画の決定時において適法であったものであれば,その後に法令が改廃されたり事情の変更が生じたりしても,これにより事後的に違法になるものではない。 ⑶ 都市計画法21条1項違反が事業認可の取消事由となるとは解されないこ とア都市計画法21条1項は,一定の場合には,都市計画決定権者に対し,都市計画を変更することを義務付けるものと解され,都市計画を変更しないことが同項に違反すること自体はあり得るものの,都市計画が長期的視点に立って実現されるべきものであり,その性質上安定性が要求されるこ とに鑑みると,適法に決定された都市計画を変更すべきか否かの判断は,種々の利益を比 と自体はあり得るものの,都市計画が長期的視点に立って実現されるべきものであり,その性質上安定性が要求されるこ とに鑑みると,適法に決定された都市計画を変更すべきか否かの判断は,種々の利益を比較考量した上で,政策的,技術的な裁量判断を要するものであって,同項の要件に該当するか否かの判断につき行政庁に委ねられた裁量は,極めて広範であるというべきである。そうすると,都市計画を変更しないことが同項に違反して違法であるというためには,当該都市計画 決定後,相当の長期間が経過し,その間,社会的,経済的諸条件が著しく変化し,これに応じて都市計画を変更しなければ,当該都市計画が都市計画法の定める都市計画基準を満たさないばかりでなく,行政庁において当該都市計画を変更しないでこれを維持することが与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであるといえるような例外的な場合に限られ るというべきである。 イまた,そもそも,都市計画法21条1項違反は都市計画決定権者の不作為,義務違反であり,都市計画自体の違法とは別の概念であって,都市計画の違法判断は,前記⑵のとおり,決定時を基準として行われるべきであることからすると,都市計画が適法,有効に決定された後に同項違反とな る事態が生じたとしても,既存の都市計画決定が違法となるものではないというべきである。 事業認可が適法であるためには,その前提となる都市計画が適法であることが必要であるが,これは,都市計画事業の認可が,当該都市計画の決定が適法にされていることを前提に,その上に積み重ねられる性質を有す る手続であるからである。一方,都市計画法21条1項違反は都市計画決 定権者の不作為であり,都市計画を変更しないという不作為の上に都市計画についての事業認可が積み重ねら れる性質を有す る手続であるからである。一方,都市計画法21条1項違反は都市計画決 定権者の不作為であり,都市計画を変更しないという不作為の上に都市計画についての事業認可が積み重ねられるとはいえない。 以上によれば,都市計画法21条1項違反それ自体は,都市計画の違法事由にも,事業認可の取消事由にもならないというべきである。 (参加人の主張) ⑴ 参加人の主張の要旨ア本件事業の概要,目的及び効果本件事業は,本件事業区間において,幅員20mから23mの道路を新設(一部は拡幅整備)し,2車線の車道とその両側に歩道及び自転車走行空間を整備するものであり,これに合わせて電線類の地中化や植栽等を行 うことも予定している。 本件事業は,参加人が道路ネットワークを形成することにより交通の円滑化を図るとともに,安全で快適な歩行空間を確保し,また,延焼遮断帯である本件事業区間の整備により地域の防災性を向上させることを目的として実施するものであり,災害時に延焼を防止するほか,避難・救援路と しての機能が強化されるなど地域の防災性を向上させ,また,交通の円滑化,歩行者や自動車の通行の安全性,快適性を向上させ,さらには電線類の地中化や植栽により良好な都市景観を創出することになる。 イ参加人が都市計画法21条に基づき本件道路の廃止等をする都市計画変更決定をしなかったことにつき違法はないこと 都市計画の変更は,都市計画基準への適合性のほか,都市計画が長期的視点に立って行われるべきものであり,その性質上,計画の安定性の要求も無視し得ないことに鑑みると,適法に決定された都市計画を変更すべきか否かの判断は,種々の利益も比較考量した上で,政策的,技術的な裁量判断を要するのであり,都市計画法21条1項の定め の安定性の要求も無視し得ないことに鑑みると,適法に決定された都市計画を変更すべきか否かの判断は,種々の利益も比較考量した上で,政策的,技術的な裁量判断を要するのであり,都市計画法21条1項の定める都市計画の変更の 要件に該当するか否かの判断につき決定権者に委ねられた裁量は,極めて 広範というべきである。 したがって,都市計画を変更しないことが都市計画法21条1項に違反し違法であるというためには,都市計画決定後相当の長期間を経過し,その間,社会的,経済的条件が著しく変化し,当該都市計画が法に定める都市計画基準に適合しなくなっただけでなく,都市計画の決定権者において 当該都市計画を変更しないでこれを維持することが,決定権者に与えられた裁量の範囲を逸脱又は濫用するものといえるような例外的な場合に限られるというべきである。 本件事業は,本件事業認可時点においても後記⑶及び⑷のとおり各種の効果が見込まれる必要性の高い事業であり,また,後記⑵のとおり,昭和 41年決定以降もその必要性が検討され,確認されてきたのであるから,参加人が本件事業認可までに補助26号線を廃止するといった都市計画の変更をしなかったことにつき,裁量権の範囲の逸脱又は濫用はなく,違法となる余地はない。 ⑵ 本件事業は,適切に見直しが行われ,その必要性が確認されており,本件 事業認可時点においても必要かつ合理的なものであったこと参加人は,都市計画道路の計画的,効率的な整備に努めるため,昭和56年,平成3年及び平成16年の3回にわたり,概ね10年間で事業着手又は完成すべき都市計画道路を選定している。同年3月の第三次事業化計画においては,「区部における都市計画道路の整備方針」(以下「平成16年整備 方針」という。)を策定し,将来交 年間で事業着手又は完成すべき都市計画道路を選定している。同年3月の第三次事業化計画においては,「区部における都市計画道路の整備方針」(以下「平成16年整備 方針」という。)を策定し,将来交通量推計結果における1日当たり区間交通量が6000台以上となる区間等につき,交通機能の面から今後とも東京の都市づくりに必要な区間と評価した。その結果,本件事業区間を含む区間は,平成62年(2050年)時点(都市計画道路が全て完成した時点)の予測交通量が1日当たり2万3000台と推計されたことから,本件道路は, 今後とも東京の都市づくりに必要な路線であることが確認された。さらに, 第三次事業化計画においては,必要性が確認された都市計画道路のうち,四つの基本目標に基づいて評価項目を選定し,その定量的な評価及びその地域の課題に照らし,平成16年度から平成27年度までに優先的に整備すべき区間を選定しており,その結果,本件事業区間は,平成11年度の道路交通センサスにおける混雑度が「1.45」であり,混雑時平均旅行速度が時速 16.9kmである環状7号線の混雑緩和に資するほか,東京都第3次渋滞対策プログラムにおけるボトルネック箇所のうち,例えば環状7号線と放射9号線の交差点といった箇所の混雑緩和に資するものと評価された。このため,本件事業区間は,「自動車交通の円滑化」に資すると評価された。また,本件事業区間は,「主要延焼遮断帯」として位置付けられており,「重点整 備地域」の内側に位置する都市計画道路未整備区間であったことから,「防災性の向上」に資すると評価された。 このように,本件事業区間は,平成16年整備方針において,今後とも都市計画道路として必要であることが確認されるとともに,優先整備路線として選定されたものであるから,参 上」に資すると評価された。 このように,本件事業区間は,平成16年整備方針において,今後とも都市計画道路として必要であることが確認されるとともに,優先整備路線として選定されたものであるから,参加人が本件事業の必要性を検討した過程に 何ら不合理な点はない。 ⑶ 交通の円滑化に資することア本件事業区間が整備されれば,本件道路に接続する両隣の区間を含む補助26号線の区間が開通し,東京都の区部における都市計画道路網の形成が進むこととなる。これによって,渋滞の緩和や自動車平均旅行速度の向 上が図られ,交通の円滑化が図られる。また,地区内の生活道路に流入する通過交通の減少を期待することができ,地域の安全を図ることもできる。 さらに,補助26号線と東武東上線が交差する位置にある本件踏切の周辺についても,本件事業において,対面通行が可能な2車線の車道及び歩道や自転車走行空間が整備されることによって,交通の円滑化に加えて, 歩行者や自転車の通行の安全性,快適性が向上することは明らかである。 イ原告らの主張について(ア) 原告らは,平成16年整備方針における都市計画道路の必要性の判断の基準(将来交通量1日当たり6000台未満)について,ほとんどの区間の道路について必要性がある旨判断される不合理な基準であるなどと批判する。しかしながら,原告らが主張の根拠とする調査(丙16) は12時間交通量を調査したものであるし,平成16年整備方針の策定においては,必要性の検証対象となった都市計画道路のうち72路線が上記の基準によって「自動車交通の混雑緩和への貢献」との基準を満たさないと評価されているから,原告らの指摘は当たらない。 上記基準は,幹線街路の最低限の規格である2車線の道路の交通容量 (1日当たり1万 って「自動車交通の混雑緩和への貢献」との基準を満たさないと評価されているから,原告らの指摘は当たらない。 上記基準は,幹線街路の最低限の規格である2車線の道路の交通容量 (1日当たり1万2000台)に着目し,都市計画道路の各区間の将来交通量がこの半分に満たない区間は,都市計画道路として担うべき交通機能の面からは必要性が高くはない区間として評価することとしたものであり,都市計画道路の必要性があるか否かを検証する基準として合理性を有する。 (イ) 原告らは,交通容量1日当たり1万2000台の道路に1日当たり2万3000台の交通量が予測されるとすれば,渋滞が引き起こされるから,交通の円滑化に資さない旨主張する。 しかしながら,交通容量とは道路構造令が道路の構造ごとに定めるものであるところ,1日当たり1万2000台とは,「2車線-停車帯無 し」の道路における交通容量であって,2車線の道路に係る交通容量が全て1日当たり1万2000台であるわけではなく,例えば平成16年整備方針においては,2車線で停車帯有りの場合における交通容量を1日当たり2万1600台と設定している。また,そもそも交通容量とは,これを超えれば直ちに渋滞が発生するという指標ではなく,混雑度(推 定交通量÷交通容量)が1.0未満である場合には昼間12時間を通し て道路が混雑することはなく円滑に走行することができ,1.0から1. 25であっても何時間も混雑が連続するという可能性は非常に小さい状態とされるところ,平成62年度における将来交通量の推計が2万3000台である本件道路の混雑度は約1.06(2万3000台÷2万1600台)となることが予測されることからすれば,本件道路が渋滞を 引き起こす旨の原告らの主張は誤りである。 (ウ) 原告 00台である本件道路の混雑度は約1.06(2万3000台÷2万1600台)となることが予測されることからすれば,本件道路が渋滞を 引き起こす旨の原告らの主張は誤りである。 (ウ) 原告らは,平成21年度に行われた基礎調査における鮫洲A線の調査の結果をもって,交通量が増加しているとはいえない旨主張する。 しかしながら,上記基礎調査の内容からしても,鮫洲A線の交通量は少ない地点でも12時間当たり6000台以上,多い地点では12時間 当たり1万台以上の高い水準となっており,かつ,いまだ増加している区間もあった。また,平成27年度における補助26号線の2車線部分のうち供用済み区間の交通量は1日当たり約7000台から8000台であり,これらのことからしても,補助26号線は,本件事業認可時において需要があったというべきである。さらにいえば,東京の都市計画 道路の完成率は平成28年時点において約6割であり,平成22年度全国道路交通情勢調査による区部における混雑時の平均旅行速度は時速16.8kmと,全国平均(時速35.1km)及び諸外国の主要都市と比較して低い水準となっており,東京都の区部における交通渋滞は,いまだ十分に緩和されているとはいえない。 (エ) 原告らは,いわゆる開かずの踏切と平面交差する本件道路は渋滞を誘発させ,交通の円滑化に資さない旨主張する。 しかしながら,本件事業区間が整備されることにより渋滞の緩和や自動車平均旅行速度の向上が図られ,交通の円滑化が図られることは前記アのとおりであるし,国土交通省は,踏切道の拡幅を行うことが踏切交 通の円滑化,安全性の向上に対して効果があることを示しており,本件 事業は,「開かずの踏切」対策とも矛盾するものではない。踏切部の具体的な構造については 踏切道の拡幅を行うことが踏切交 通の円滑化,安全性の向上に対して効果があることを示しており,本件 事業は,「開かずの踏切」対策とも矛盾するものではない。踏切部の具体的な構造については,今後,鉄道事業者や交通管理者等と協議していくことになるものの,本件事業により開かずの踏切付近の車道が対面通行可能な2車線道路に拡幅され,かつ,歩道や自転車走行空間が整備されれば,狭い踏切道において自動車と歩行者等が接触することを防ぐこ とができ,もって,歩行者や自転車の通行の安全性及び快適性にも資するといえる。 東武東上線C駅周辺においては,鉄道の立体化事業の推進が提言されている。参加人においても,同駅付近の区間について,平成29年4月に連続立体交差事業の着工準備採択を受け,平成30年2月には都市計 画素案の説明会を開催し,同年12月には都市計画案及び環境影響評価書案説明会を開催するとともに,都市計画案の縦覧やこれに対する意見書の提出手続が行われるなど,連続立体交差事業は事業化に向けて着実に進行しているから,原告らが指摘する開かずの踏切の存在をもって本件事業の必要性が失われることにはならない。 ⑷ 防災性の向上に資することア延焼遮断帯には住宅地において燃え広がりを防止する効果があるところ,参加人は,本件事業認可に先立ち,東京消防庁の手法を用いて本件道路が整備された場合における延焼遮断効果をシミュレーションしており,本件道路に延焼遮断効果があることを確認している。 また,本件道路は,緊急車両通行道路としても有効である。 イ原告らの主張について(ア) 原告らは,本件道路について,逆に延焼を促進するものとして機能するおそれがあるなどと主張するが,的確な根拠がない。本件事業に係る延焼遮断帯の整備に当 効である。 イ原告らの主張について(ア) 原告らは,本件道路について,逆に延焼を促進するものとして機能するおそれがあるなどと主張するが,的確な根拠がない。本件事業に係る延焼遮断帯の整備に当たっては,沿道建築物の不燃化が同時に行われる のであるし,そもそも原告らが主張するような,炎が高い建物の間や低 い建物の上の空間を通り抜け,より勢いを増して道路に流れ込むという現象が発生したとしても,延焼遮断帯の軸となる道路に火災によって生じる炎が流れ込むことによって,一方の防災生活圏で発生した火災が隣接する防災生活圏に燃え移ることを可及的に防ぐことができることに変わりはない。 原告らは,火災が発生した側の地域における延焼を防止できるものではない旨主張するが,延焼遮断帯とは,地震に伴う市街地火災の延焼を阻止する機能を果たす道路等の都市施設及びこれらと近接する耐火建築物等により構成される帯状の不燃空間であり,木造住宅密集地域において火災が発生した場合において,隣接する防災生活圏に延焼することが ないよう焼け止まりさせる効果があり,もって,延焼遮断帯に囲まれた圏域である防災生活圏の安全性を確保するものであって,もとより,火災が発生した側の地域における延焼を防止することを目的とするものではない。 (イ) 原告らは,本件事業に係る延焼遮断帯の整備について,飛び火を考慮 していないなどと主張するが,飛び火を想定した幅員を確保しなければ延焼遮断帯として不十分であるとする根拠はない。 また,延焼遮断帯は火災からの輻射熱や気流の温度上昇から受熱側の木造家屋を守るべくその幅員や高さが設計されるところ,延焼遮断帯により,着火先となる建築物の表面温度が上昇することを防ぐことができ れば,飛び火の鎮圧も比較的容易になる の温度上昇から受熱側の木造家屋を守るべくその幅員や高さが設計されるところ,延焼遮断帯により,着火先となる建築物の表面温度が上昇することを防ぐことができ れば,飛び火の鎮圧も比較的容易になることが想定されるし,都市計画道路を整備することによって緊急車両が出火場所に到着するのに要する時間を短縮することができれば,この点からも飛び火による延焼の鎮圧を容易にすることができるから,市街地火災において飛び火が発生した場合に延焼遮断帯としての道路が全く機能しないかのような主張は理由 がない。 ⑸ 本件商店街への影響等に関する原告らの主張について原告らは,本件事業により本件商店街が分断されるなどと主張する。 しかしながら,本件道路を含むC駅周辺地区については,板橋区が策定した「Cまちづくり総合計画」において,道路整備に合わせた一体的な整備が必要な地区であり,市街地再開発事業による複数の敷地を一体的に活用した 共同化などにより,賑わい,活気や防災性を生み出し,商店街の人の行き来をつなげる場としての検討が進められているところであって,原告らが分断などと批判するような支障が生じるものではない。 原告らは,本件事業が住民の意思を反映していないなどとも主張するが,本件事業認可当時,地域住民と行政は協働してまちづくりを進めていたとこ ろであり,Cまちづくり総合計画は,商店街・町会・公募区民によるC駅周辺地区まちづくり協議会が検討をした成果である「C駅周辺地区まちづくりマスタープラン」を基にしたものであるところ,ここでも本件道路の整備そのものに全面的に反対するなどといった意見は述べられていない。 ⑹ 事業の施行期間に関する原告らの主張について 原告らは,本件事業認可の事業施行期間が適切でない旨主張する。しかし の整備そのものに全面的に反対するなどといった意見は述べられていない。 ⑹ 事業の施行期間に関する原告らの主張について 原告らは,本件事業認可の事業施行期間が適切でない旨主張する。しかしながら,都市計画法63条は,事業施行期間を延長し得ることを規定しており,同法自身,将来,必要に応じて事業施行期間について弾力的な取扱いをすることを予定している。したがって,仮に結果として予定どおりに事業が完了しなかったとしても,その一事をもって事業施行期間が不適切であり事 業認可が違法となるということはできない。 本件事業区間において定められているおよそ6年間という事業施行期間は,都市計画道路の事業施行期間としてごく標準的なものであり,参加人の申請もこのような標準的な期間を定めて行ったものにすぎない。 8 争点⑶(本件事業認可が無効か否か)について (第2事件原告らの主張) 前記7(原告らの主張)に照らせば,本件事業認可の違法は重大かつ明白であるから,本件事業認可は無効である。 (被告の主張)前記7(被告の主張)のとおり,本件事業認可は適法であり,重大かつ明白な瑕疵はないから,本件事業認可は無効ではない。 第3 当裁判所の判断 1 本件訴訟係属中に死亡した原告らの訴えについて一件記録によれば,第1事件原告1及び24並びに第2事件原告11については,別紙4死亡者目録のとおり,いずれも本件訴訟係属中に死亡したことが認められる。そして,上記原告らは,本件事業地内の不動産について権利を有 する者ではなく(前記前提事実⑵ア~ウ),本件事業認可の取消し又は無効確認を求める利益として,騒音,振動等による健康環境に著しい被害を直接的に受けるおそれがあるなどと主張していたところ,これらはいずれも一身専属的 (前記前提事実⑵ア~ウ),本件事業認可の取消し又は無効確認を求める利益として,騒音,振動等による健康環境に著しい被害を直接的に受けるおそれがあるなどと主張していたところ,これらはいずれも一身専属的な利益ということができる。 そうすると,死亡した上記原告らについて訴訟承継が生じるものということ はできないから,本件訴えのうち上記原告らの請求に係る部分は,その死亡によって,いずれも終了したというべきである(以下,「原告ら」というときは,特に断りのない限り死亡した上記原告らを除く原告らのことを指す。)。 2 争点⑴ア(第1事件原告3及び4を除く同事件の原告ら並びに第2事件原告らが本件事業認可の取消し等を求める原告適格を有するか否か)について ⑴ア処分の取消しの訴えは,当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り提起することができるところ(行政事件訴訟法9条1項),ここでいう「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと解される。そして,処分の名宛人以外の者が処 分の法的効果による権利の制限を受ける場合には,その者は,処分の名宛 人として権利の制限を受ける者と同様に,当該処分により自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として,当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり,その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである(最高裁平成25年7月12日第二小法廷判決・裁判集民事244号43頁参照)。 イまた,処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべき 事244号43頁参照)。 イまた,処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益も法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟 における原告適格を有するものというべきである。 処分の相手方以外の者について上記法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目 的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(行政事件訴訟法9条2項。平成17年最判参 照)。 ウ無効確認訴訟における原告適格についても,前記ア及びイと同様である。 ⑵ そこで,まず,前記⑴アの見地からの原告適格の有無について検討する。 ア第1事件原告3及び4は本件事業地内に不動産を所有する者であるところ(前記前提事実⑵ア),都市計画事業の認可が告示されると,事業地内 の土地の収用が可能となり(都市計画法69条参照),当該土地上の建物 は移転されることになるから,事業地内の不動産について所有権等の権利を有する者は,当該事業認可の法的効果により権利の制限を受ける者に当たるといえる。したが 画法69条参照),当該土地上の建物 は移転されることになるから,事業地内の不動産について所有権等の権利を有する者は,当該事業認可の法的効果により権利の制限を受ける者に当たるといえる。したがって,第1事件原告3及び4は,本件事業認可の取消訴訟における原告適格を有する。 イ第1事件原告2及び5並びに第2事件原告3及び4は,本件事業地内に 居住する者であるが(前記前提事実⑵イ),上記アのとおり,都市計画事業の認可がされると,事業地内の土地の収用が可能となるところ,当該土地上の建物に居住する者は,収用に伴って当該建物からの移転を余儀なくされることから,事業認可の法的効果により権利の制限を受ける者に当たるというべきである。 したがって,第1事件原告2及び5並びに第2事件原告3及び4は,本件事業認可の取消訴訟における原告適格を有する(第2事件原告3及び4は,無効確認訴訟についても同様に原告適格を有する。)。 ウ第2事件原告1は,東京都板橋区(住所省略)の土地が本件事業地内の土地であるとして,同土地を所有者から賃借するとともに,同土地上の建 物を同所有者と共有している旨主張する。しかしながら,証拠(乙1の3,20)によれば,上記土地は本件事業地外にあるから,同原告らがその賃借権等を有するとしても,本件事業地内の不動産について権利を有しているとは認められない。(なお,同原告の住居地は(住所省略)であるところ,この土地も,本件事業地外の土地である。甲A9-3〔別紙地図3の ①〕)。 エ第2事件原告2及び5は,本件事業地内において営業を行っている旨主張する。しかしながら,証拠(甲A9の3〔別紙地図3〕,13)及び弁論の全趣旨によれば,上記各原告が営業を行っているという別紙2-2第2事件原告目録記載の肩書地( 業地内において営業を行っている旨主張する。しかしながら,証拠(甲A9の3〔別紙地図3〕,13)及び弁論の全趣旨によれば,上記各原告が営業を行っているという別紙2-2第2事件原告目録記載の肩書地(第2事件原告2につき板橋区(住所省略), 同事件原告5につき(住所省略))は,いずれも本件事業地外にあるもの と認められるから,原告らの上記主張は前提を欠く。 ⑶ 次に,原告らのうち第1事件原告2から5まで並びに第2事件原告3及び4を除く者,すなわち,本件事業地内の不動産について権利を有していると認められず,また,本件事業地内に居住しているとも認められないが,本件事業地の周辺地域に居住している者(前記前提事実⑵エ),又は営業を行っ ている者(第2事件原告2及び5。前記前提事実⑵ウ)について,前記⑴イの見地から本件事業認可の取消し等を求める原告適格を有するか否かを検討する。 ア都市計画法は,59条の規定による都市計画事業の認可の基準の一つとして,その事業の内容が都市計画に適合することを定めている(61条1 号)。 都市計画に関する都市計画法の規定をみると,同法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とし(1条),都市計画の基本理念の一つとして,健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきものとし(2 条),都市計画の基準に関しては,都市計画が国土形成計画等の計画(当該都市について公害防止計画が定められているときはこれを含む。)に適合するものとし,当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならないとする(13条1項柱書き)とともに,都市施設について,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要 し,当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならないとする(13条1項柱書き)とともに,都市施設について,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要 な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めることとしている(同項11号)。また,同法は,都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは,公聴会の開催等,住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとし(16条1項),都市計画を決定しようとする旨の公告があったとき は,関係市町村の住民及び利害関係人は,縦覧に供された都市計画の案に ついて意見書を提出することができるものとしている(17条2項)。 イ加えて,本件道路よりも大きい一定規模以上の道路の設置に関しては,環境影響評価法に基づく環境影響評価の実施及び環境影響評価書の作成が義務付けられているところ(同法2条2項1号イ,3項,12条1項,21条2項,同法施行令1条,7条,別表第1),環境影響評価の推進等に ついて定めた環境基本法は,環境の保全に関する施策を推進すること等をもって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与すること等を目的とし(1条),環境の保全上の支障のうち,事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,騒音,振動等によって人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることを公害と定義した上で(2 条3項),国及び地方公共団体は,環境の保全に関する施策等を策定し,実施する責務を有するものとし(6条,7条),国は,大気の汚染,騒音又は振動の発生その他の行為に関し,事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置を講じなければなら 責務を有するものとし(6条,7条),国は,大気の汚染,騒音又は振動の発生その他の行為に関し,事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置を講じなければならない(21条1項1号)としている。 さらに,参加人においては,環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施が環境に及ぼす影響について事前に調査,予測及び評価を行うこと等の手続に関し必要な事項を定めることにより,事業の実施に際し公害の防止等に適正な配慮がされることを期し,都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的として,本件条例が制定されている。 これらの規定は,都市計画の決定又は変更に際し,環境影響評価等の手続を通じて公害の防止等に適正な配慮が図られるようにすることも,その趣旨及び目的とするものということができる。 ウそして,前記アの都市計画法の規定に加えて,上記イの環境基本法等の規定の趣旨及び目的をも参酌し,併せて,都市計画法66条が認可の告示 があった際の事業地及びその付近地の住民に対する説明,意見聴取等の措 置について規定していることも考慮すれば,都市計画事業の認可に関する同法の規定は,事業に伴う大気の汚染,騒音,振動等によって,事業地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な都市生活を確保し,良好な生活環境を保全することも,その趣旨及び目的とするものと解される。 エ違法な都市計画事業に起因する大気の汚染,騒音,振動等による被害を直接的に受けるのは,事業地の周辺の一定範囲の地域に居住する住民に限られるところ,このような住民が,上記の被害を反復,継続して受けた場合,その被害は,健康や生活環境に係る著しい被害にも至りかねないものである。そ のは,事業地の周辺の一定範囲の地域に居住する住民に限られるところ,このような住民が,上記の被害を反復,継続して受けた場合,その被害は,健康や生活環境に係る著しい被害にも至りかねないものである。そして,都市計画法の趣旨及び目的(上記ウ)に鑑みれば,同法 は,事業地の周辺地域に居住する住民に対し,違法な事業に起因する大気の汚染,騒音,振動等によってこのような健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという具体的利益を保護しようとするものと解されるところ,上記のような被害の内容,性質,程度等に照らせば,この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといわざるを得な い。 以上によれば,都市計画法は,大気の汚染,騒音,振動等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当であり,都市計 画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより上記の著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該事業の認可の取消し等を求めるにつき法律上の利益を有するものとして,その取消訴訟や無効確認訴訟における原告適格を有するものというべきである(以上につき,平成17年最判参照)。 オ検討 (ア) 道路の周辺に居住する住民が,当該道路の交通等に起因する大気の汚染,騒音,振動等により健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たるか否かは,当該住民の居住する地域が上記の著しい被害を直接的に受けるものと想定される地域であるか否かによって判断すべきものと解される。そして,当該住民の居住する地域が そのような地域であるか るか否かは,当該住民の居住する地域が上記の著しい被害を直接的に受けるものと想定される地域であるか否かによって判断すべきものと解される。そして,当該住民の居住する地域が そのような地域であるか否かについては,道路の構造や規模等の具体的な諸条件を考慮に入れた上で,当該住民の居住する地域と当該道路との距離関係を中心として,社会通念に照らし,合理的に判断すべきものである。 (イ) 本件事業は,2車線の車道及び歩道等からなる幅員20mから23m の本件道路を,既存の道路の拡幅及び新設により整備するというものであり,これにより,補助26号線の供用開始済み区間と併せて,環状7号線の内側に,放射8号線(川越街道)と環状6号線(山手通り)を結ぶ道路網が形成されることとなる(前記前提事実⑴,丙7の1・2,12〔3頁〕)。また,補助26号線については,本件事業区間を含む区 間の平成62年度における将来予測交通量の推計が1日当たり2万3000台とされており(丙20〔12,13枚目〕),相応の交通量が見込まれるものといえる。 以上のような本件道路の構造,規模等を考慮すると,本件事業地からおおむね30m以内の地域に居住している者については,本件道路の交 通等に起因する大気の汚染,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるものと想定される地域に居住するものということができ,上記の著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たるというべきであるが,原告らのうち第1事件原告2から5まで及び第2事件原告2から5までを除く者,すなわち,本件事業地内の不動 産について権利を有し又は本件事業地内に居住するとは認められないが, 本件事業地の周辺地域に居住する者(以下「周辺地域に居住する原告ら」という。)につい ,すなわち,本件事業地内の不動 産について権利を有し又は本件事業地内に居住するとは認められないが, 本件事業地の周辺地域に居住する者(以下「周辺地域に居住する原告ら」という。)については,証拠(甲A2の2〔別紙地図2~4及び10を除く〕,2の4~2の8,9の1,9の3)及び弁論の全趣旨に照らして,いずれも本件事業地からおおむね30m以内の場所に居住しているものと認めることはできない(なお,一件記録によれば,第2事件原告 7については,甲A9の3〔別紙地図4〕の⑦の住所地から別紙2-2第2事件原告目録記載の肩書地(甲A2の2〔別紙地図13〕内)に転居したものと認められるが,いずれにしても本件事業地からおおむね30m以内の場所に居住しているものと認めることはできない。)。 そうすると,周辺地域に居住する原告らについて,本件道路の交通等 に起因する大気の汚染,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるものと想定される地域に居住するものということはできず,他に上記の原告らが上記の著しい被害を直接的に受けるおそれがあることを認めるに足りる証拠もない。したがって,周辺地域に居住する原告らは,本件事業認可の取消訴訟や無効確認訴訟における 原告適格を有するものということはできない。 また,証拠(甲A9の3〔別紙地図3〕)及び弁論の全趣旨によれば,第2事件原告2及び5の各肩書地は,本件事業地からおおむね30m以内の地域に所在する場所であるが,上記肩書地はいずれも居所ではなく,営業を行っている場所にすぎないものと認められる。そうすると,上記 各原告について,本件道路の交通等に起因する大気の汚染,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるものとは認められず,上記各原 ないものと認められる。そうすると,上記 各原告について,本件道路の交通等に起因する大気の汚染,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるものとは認められず,上記各原告は,本件事業認可の取消訴訟や無効確認訴訟における原告適格を有するものということはできない。 (ウ) 原告らは,近隣住民や本件商店街を利用する者について,本件道路が 開通することにより交通事故等による身体への重大な影響を受ける可能 性や,本件商店街を利用することができなくなるという不利益がある旨主張するが,都市計画法等の規定に,これらの点に係る利益が個別的利益として保護されていることをうかがわせる手がかりとなる規定は見当たらず,原告らの上記主張を採用することはできない。 ⑷ 小括 以上によれば,①第1事件原告らのうち第1事件原告2から5までの原告らを除く原告ら,並びに②第2事件原告らのうち第2事件原告3及び4の原告らを除く原告らについては,本件事業認可の取消訴訟における原告適格を有するということはできない。また,上記②の原告らについては,本件事業認可の無効確認訴訟における原告適格を有するということもできない。 3 争点⑴イ(第2事件原告らの主位的請求に係る訴えにつき,出訴期間が徒過しているか否か)について本件事業認可がされたのは平成27年2月4日であるところ,第2事件原告らのうち,同事件原告1,3及び6並びに本件訴訟係属中に死亡した同事件原告11の4名は,いずれも同年4月15日付けで本件事業認可につき審査請求 をしたが,その余の原告らは審査請求をしていない(前記前提事実⑸イ)。そうすると,第2事件に係る訴えが提起されたのは平成▲年▲月▲日であるから,上記4名の原告らを除く第2事件原告らについては,行政 をしたが,その余の原告らは審査請求をしていない(前記前提事実⑸イ)。そうすると,第2事件に係る訴えが提起されたのは平成▲年▲月▲日であるから,上記4名の原告らを除く第2事件原告らについては,行政事件訴訟法14条2項所定の出訴期間を徒過しているところ,これについて同項ただし書にいう「正当な理由」があると認めるに足りる証拠もない。 また,前記2⑷によれば,第2事件原告1及び6は,本件事業認可につき審査請求をする申立適格があるということはできず,その審査請求は不適法であるから,上記各原告についても,結局出訴期間を徒過したものというべきである。 以上によれば,第2事件原告ら(死亡した同事件原告11を除く。)による 本件事業認可の取消しを求める訴えは,同事件原告3の訴えを除き,出訴期間 を徒過したものとして不適法である。 4 争点⑵ア(昭和21年決定等が不存在又は手続上違法であることにより本件都市計画決定が違法となるか否か)について⑴ 都市計画法61条1号が,事業の内容が都市計画に適合することを都市計画事業の認可の要件としていることからすれば,都市計画決定が違法である 場合,これを前提としてされた当該都市計画の事業認可もまた違法となるものと解される。 本件道路については,その区域に昭和41年決定以降変更がないものの,平成15年決定において車線の数を2車線とする都市計画変更決定がされており,本件事業区間についての最新の都市計画決定は平成15年決定である から(前記前提事実⑶イ,ウ),本件事業認可につき適合性の判断対象となるべき都市計画は,平成15年決定によるものとなる。したがって,本件事業認可が適法であるというためには,その前提となる平成15年決定が適法であることが必要であるが,前記前提事実⑶のとお 判断対象となるべき都市計画は,平成15年決定によるものとなる。したがって,本件事業認可が適法であるというためには,その前提となる平成15年決定が適法であることが必要であるが,前記前提事実⑶のとおり,補助26号線は昭和21年決定に係る東京復興都市計画街路の一つであり,昭和41年決定はそ の昭和21年決定を変更する旨の都市計画決定であり,平成15年決定は本件事業区間につき車線の数を定めるという形で昭和41年決定を変更する旨の都市計画決定であったことに鑑みると,昭和21年決定や昭和41年決定が不存在又は違法である場合には,平成15年決定も違法となり得るというべきである。 そうしたところ,原告らは,昭和21年決定が不存在である旨主張するほか,昭和21年決定等につき主務大臣の決定や内閣の認可など旧都市計画法3条の規定する都市計画決定の手続要件を欠く違法がある旨主張するので,以下,これらの主張について検討する。 ⑵ 昭和21年決定が不存在である旨の主張について 原告らは,昭和21年決定について,告示はされているものの,決定書と 関係図面が存在しないから,同決定は不存在である旨主張する。 しかしながら,昭和21年告示においては,内閣総理大臣が昭和21年決定を行ったことが示されており(乙5),このこと自体,同決定がされたことを強く推認させるものである。また,証拠(乙21)及び弁論の全趣旨によれば,「都市計画及び都市計画事業の決定書類等(昭和21年~30年) 東京都」として国立公文書館に保管されている文書には,戦災復興院の当時の記録として,昭和21年2月27日,内閣総理大臣から,東京復興都市計画街路に係る都市計画が旧都市計画法3条の規定により都市計画東京地方委員会に付議され,同委員会における同年3月2日の議 興院の当時の記録として,昭和21年2月27日,内閣総理大臣から,東京復興都市計画街路に係る都市計画が旧都市計画法3条の規定により都市計画東京地方委員会に付議され,同委員会における同年3月2日の議決を経て,同月26日にその都市計画決定が告示されたこと,同日,上記都市計画に係る幹線街路 の補助線となるべき街路を都市計画街路として追加決定することが同委員会に付議され,同委員会における同月28日の議決を経て,同年4月25日,昭和21年戦災復興院告示第15号により告示されたことが記録されていることが認められ,この点からも,昭和21年決定がされたことが強く推認される。 そうすると,仮に昭和21年決定に係る決定書や関係図面等が現存しないとしても,同決定がされた事実は優に認められるから,原告らの上記主張を採用することはできない。 ⑶ 昭和21年決定等が手続上違法である旨の主張についてア主務大臣の決定について (ア) 原告らは,昭和21年決定を行ったのは戦災復興院総裁であるが,当時の主務大臣は内務大臣であったから,同決定は主務大臣の決定を欠くものとして旧都市計画法3条に違反する旨主張する。 しかしながら,第二次世界大戦の終戦に伴い,昭和20年11月5日,戦災復興院官制(昭和20年勅令第621号)により,戦災地における 都市計画を含む市街地計画に関する事項等を所掌する機関として戦災復 興院が設置され,戦災復興院官制は,「戦災復興院ハ内閣総理大臣ノ管理ニ属シ左ニ掲グル事務ヲ掌ル」とし(1条),1号において「戦災地ニ於ケル市街地計画及其ノ施行ニ関スル事項」を挙げている。また,復興都市計画等についての内閣総理大臣の決定に関する決裁権限は,戦災復興院総裁が代決して行使することが認められていた(乙13)。そう ニ於ケル市街地計画及其ノ施行ニ関スル事項」を挙げている。また,復興都市計画等についての内閣総理大臣の決定に関する決裁権限は,戦災復興院総裁が代決して行使することが認められていた(乙13)。そう すると,昭和21年決定当時,復興都市計画は戦災復興院が所掌しており,その決定権限を有する主務大臣は,内閣総理大臣であったと認められる。 そうしたところ,前記⑵のとおり,昭和21年告示においては内閣総理大臣が昭和21年決定を行ったことが示され(乙5),戦災復興院の 当時の記録にも,内閣総理大臣から,幹線街路の補助線となるべき街路を都市計画街路として追加決定する旨が都市計画東京地方委員会に付議され,同委員会における議決を経て,昭和21年戦災復興院告示第15号により告示されたことが記録されている(乙21)のであるから,同決定を行ったのは,内閣総理大臣であると認められる。 したがって,昭和21年決定は,主務大臣である内閣総理大臣によってされたものであるから,原告らの主張を採用することはできない。 (イ) 原告らは,昭和21年4月22日の内閣総辞職後,同年5月22日の組閣まで内閣は存在せず,昭和21年決定はその間にされたものであるから内閣総理大臣が決定したものではない旨主張する。 しかしながら,昭和21年4月22日に当時の内閣総理大臣であった幣原喜重郎は内閣総辞職を表明したものの,免官となった同年5月22日(乙17)までの間は内閣総理大臣の地位を有していたものと解されるのであり,実際にも,同人はこの間に閣議を開催するなど内閣総理大臣の職務を行っていたものである(乙18の1・2)。したがって,原 告らの主張を採用することはできない。 イ内閣の認可を欠く旨の主張について(ア) 原告らは,昭和 など内閣総理大臣の職務を行っていたものである(乙18の1・2)。したがって,原 告らの主張を採用することはできない。 イ内閣の認可を欠く旨の主張について(ア) 原告らは,昭和21年決定には旧都市計画法3条の「内閣ノ認可」を欠く違法がある旨主張するほか,昭和41年決定にも同様の違法がある旨主張する。 しかしながら,臨時措置法は,行政の簡素化のために必要があるとき は,勅令によって,法律により認可等を要するとされている事項について,これを不要とすることができる旨定め(1条1項1号),これを根拠として昭和18年12月27日に公布,施行された勅令である臨時特例2条1項1号は,旧都市計画法3条の規定による内閣の認可について,「之ヲ受クルヲ要セズ」と規定していた(乙6の2参照)。そして,同 号は,昭和44年6月14日に施行された都市計画法施行令によって臨時特例が廃止されるまで,改廃されていない(乙6の3~6参照)。したがって,昭和21年決定,昭和41年決定のいずれについても,旧都市計画法3条の「内閣ノ認可」を受ける必要はなかったから,原告らの上記主張を採用することはできない。 (イ) 原告らは,臨時措置法は第二次世界大戦が終われば失効する時限法であり,終戦後の昭和21年決定時点には同法及びこれを根拠とする臨時特例の効力がなくなっていたとして,内閣の認可を不要とする法令上の根拠がない旨主張する。 しかしながら,臨時措置法は第二次世界大戦に際して行政手続の簡素 化を図る必要が生じたことから制定されたものと解されるものの,行政手続の簡素化の要請は終戦によって直ちに失われるものではなく,同法に基づく措置の権限やその効力が終戦によって直ちに失われることを前提とした規定が見当たらないこと等からすると, と解されるものの,行政手続の簡素化の要請は終戦によって直ちに失われるものではなく,同法に基づく措置の権限やその効力が終戦によって直ちに失われることを前提とした規定が見当たらないこと等からすると,同法が第二次世界大戦終結時に失効する時限法であったと解することは困難であり,同法につ いては,平成3年法律第79号により廃止手続が執られていることから も,それまで有効に存続していたことは明らかである。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 (ウ) 原告らは,民主的手続を前提としない勅令等の天皇主権を前提とする旧憲法下の法令は,昭和20年8月時点で失効した旨主張する。 しかしながら,命令効力法1条は,「日本国憲法施行の際現に効力を 有する命令の規定で,法律を以て規定すべき事項を規定するもの」は,昭和22年12月31日まで法律と同一の効力を有するものとする旨規定し,勅令効力令1項は,同条に定めるもののほか,憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定は,政令と同一の効力を有する旨定めていることからも明らかなとおり,勅令等の旧憲法下の法令は昭和20年8月時 点で直ちに失効したと解されるものではない。また,上記の命令効力法1条は,旧憲法下において議会の意思によらずに発令された命令で,法律によって定められるべき事項を規定しているものについて,一定の時期まで法律としての効力を認める趣旨によるものと解されるところ,臨時特例は,議会によって定められた臨時措置法の委任を受けて制定され たものであり,同条にいう「命令の規定で,法律を以て規定すべき事項を規定するもの」には該当しないというべきであるから,昭和44年6月14日に施行された都市計画法施行令により廃止されるまで,政令と同一の効力を有するものとして有効に存 定で,法律を以て規定すべき事項を規定するもの」には該当しないというべきであるから,昭和44年6月14日に施行された都市計画法施行令により廃止されるまで,政令と同一の効力を有するものとして有効に存続したものといえる。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 ウ縦覧の要否について原告らは,昭和21年決定について,関係図書の図面を縦覧に供しなければならないとしていた旧都市計画法3条2項に違反する旨主張する。 しかしながら,旧都市計画法3条2項の規定は昭和42年法律第75号により追加されたものであり(乙6の1,7参照),昭和21年決定時点 で同項の規定は存在しなかったから,同決定に係る関係図面が縦覧されて いなかったとしても,これをもって同決定が違法となるということはできない。 ⑷ 以上によれば,昭和21年決定等が不存在又は手続上違法であることを根拠に本件都市計画決定が違法となるということはできない。 5 争点⑵イ(本件事業認可が都市計画に適合しないこと等により実体上違法で あるか否か)について⑴ 認定事実前記前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件都市計画の経緯等 (ア) 昭和21年決定について内閣総理大臣は,幹線街路を都市計画として決定し,都心及び副都心に集中する傾向のある交通を分散させることによって交通能率の増進を図るとともに,街路の幅員を拡張することによって,将来の交通量の増大に備え,緑地帯と併せて都市の防災に寄与することを目的とし,都市 計画東京地方委員会の審議を経た上で,昭和21年3月頃,東京復興都市計画街路を整備する旨の都市計画決定を行い(同月26日付けの昭和21年戦災復興院告示第3号),さらに,上記幹 目的とし,都市 計画東京地方委員会の審議を経た上で,昭和21年3月頃,東京復興都市計画街路を整備する旨の都市計画決定を行い(同月26日付けの昭和21年戦災復興院告示第3号),さらに,上記幹線街路の補助線となるべき街路のうち最も緊急を要すると認められる124路線について,都市計画街路として追加する旨の決定(昭和21年決定)をし,同年4月 25日付けでその旨の告示(昭和21年告示)がされた(前記前提事実⑶ア,乙5,21)。 この道路計画は,幹線,補助幹線併せて166の路線で構成された放射環状型の道路網を形成するというものであるところ,補助26号線は,この昭和21年決定によって整備することとされた都市計画道路であり, 当時は,品川区東品川5丁目を起点,板橋区板橋町5丁目を終点とし, 幅員は25mというものであった(前記前提事実⑶ア,甲A25,乙5,21)。 (イ) 昭和41年決定について建設大臣は,環状6号線及び荒川放水路の外側に存する特別区の区域及び三鷹市と武蔵野市の一部における東京都市計画街路(補助26号線 を含む。)について,首都の機能の維持及び増進に資するため,能率的かつ経済的な街路網を再検討した結果を受けて,旧都市計画法3条に基づく東京都市計画地方審議会の審議を経た上で,従前の東京都市計画街路について,89路線を変更し,92路線を追加する等の決定(昭和41年決定)をし,昭和41年7月30日付けでその旨の告示(昭和41 年建設省告示第2428号)をした(乙4,丙1)。 これにより,補助26号線は,品川区東大井1丁目11番を起点,板橋区板橋2丁目69番を終点とし,幅員20m,延長約2万2300mの道路として整備されることとされた(丙1)。 (ウ) 平成15年決定及びそれ以後の決定等 号線は,品川区東大井1丁目11番を起点,板橋区板橋2丁目69番を終点とし,幅員20m,延長約2万2300mの道路として整備されることとされた(丙1)。 (ウ) 平成15年決定及びそれ以後の決定等について 平成10年の都市計画法施行令の改正により都市施設に係る都市計画で定める事項の一項目として「車線の数」が追加されたことから,参加人は,平成15年1月31日,本件事業区間につき,車線の数を2車線(片側1車線)とする都市計画変更決定(平成15年決定)をした(前記前提事実⑶ウ)。 参加人は,平成23年4月4日付けで,補助26号線について,本件事業区間以外の区間につき区域の一部を変更する等の都市計画変更決定を行ったが,本件事業区間に係る区域は,昭和41年決定以降変更されていない(乙1,丙1~6〔いずれも枝番を含む。〕,弁論の全趣旨)。 イ都市計画道路の見直し,第一次事業化計画の策定等 参加人は,昭和41年決定後の社会,経済情勢の変化や地域の環境の移 り変わりに伴い,東京都の区部の都市計画道路に係る計画の見直しについて検討し,昭和47年から各種調査を行い,昭和54年12月,東京都都市計画地方審議会の中に設置された調査特別委員会における審議結果の答申を受けて,都市計画道路見直しの素案を策定した。見直しに当たっては,①都市防災の強化,②都市機能の確保,③地域環境の保全,④都市空間の 確保の基本目標の達成を目指すこととされ,上記素案において,廃止すべき路線,新しく追加すべき路線,線形又は区域の変更等をすべき路線等が選定された。このような経過を経て,参加人は,東京都の区部の都市計画道路を計画的,効率的に整備するため,昭和56年に,今後10年間で着手又は完成すべき路線を選定した事業化計画(第一次事業化計画) が選定された。このような経過を経て,参加人は,東京都の区部の都市計画道路を計画的,効率的に整備するため,昭和56年に,今後10年間で着手又は完成すべき路線を選定した事業化計画(第一次事業化計画)を策定 した(丙8,18,19)。 ウ第二次事業化計画第一次事業化計画後の10年間に,東京都の区部内では約108kmの都市計画道路が整備され,完成率は,49%から54%となった。参加人は,平成2年度には第一次事業化計画の計画期間が終了することから,平 成3年に,上記イの①から④までの基本目標に照らし,今後10年間に優先的に整備すべき路線を選定した(第二次事業化計画)。選定に当たっては,交通分散に役立つ環状道路,バス路線の充実に役立つ道路,避難道路や消火活動などにとって重要な道路,地下鉄の建設や再開発など都市づくりに関連する道路の整備に重点を置くものとされ,補助26号線のうち本 件事業区間を含む区域は,概ね平成12年度を目途に着手又は完成すべき路線に選定された(丙19,弁論の全趣旨)。 なお,第二次事業化計画の計画終了年度は,平成12年度末に,同年度から平成15年度に変更された(丙8〔1-4頁〕)。 エ平成16年整備方針の策定,第三次事業化計画 (ア) 参加人は,第二次事業化計画が,バブル経済の崩壊による経済情勢の 急激な悪化を受け着手率が5割にとどまるなど当初の目標に至らなかったことから,計画的かつ効率的な道路網を早期に形成するために,特別区とともに,東京都の区部における都市計画道路全体の新たな整備方針を策定することとし,①都市計画道路の必要性の検証,②緊急的に改善すべき都市課題に対応した優先整備路線の選定(第三次事業化計画)等 について検討し,平成16年3月,「区部における都市計画道路の を策定することとし,①都市計画道路の必要性の検証,②緊急的に改善すべき都市課題に対応した優先整備路線の選定(第三次事業化計画)等 について検討し,平成16年3月,「区部における都市計画道路の整備方針」(平成16年整備方針)を策定した(丙8,弁論の全趣旨)。 (イ) 必要性の検証(上記(ア)①)についてa 平成16年整備方針においては,東京都の区部の都市計画道路について,四つの基本目標(「活力」「安全」「環境」「暮らし」)に照 らして都市問題を設定し,その解決に資する路線を抽出するために設定された評価項目を用いて,都市づくりにおいて今後とも必要性が認められるか否かの検証が行われた。 具体的には,東京都の区部の都市計画道路(高速道路,区画街路,特殊街路は除く。また,既に都市計画幅員で完成している区間,ある いは事業中の区間を除く。)について,四つの目標のうち「活力」「安全」「環境」に基づく評価項目(①自動車交通の混雑緩和への貢献,②都市再生,拠点整備の推進,③都市間物流機能の向上,④震災時の甚大な被害が想定される地域の防災性向上,⑤延焼遮断帯の形成,安全な避難路の確保,⑥地球温暖化の抑制への貢献)を抽出項目とし, これに基づいた各区間の評価が行われ,いずれにも該当しない区間が抽出された。次に,上記の抽出された区間を対象に,四つの基本目標のうち残りの「暮らし」に基づく評価項目(⑦バス交通を支える道路網の形成,⑧居住環境地区の形成,⑨他の都市基盤施設との連携,⑩地域のまちづくりの支援)をチェック項目とした評価が行われ,いず れにも該当しない区間が「都市計画の見直し候補区間」とされた(以 上aにつき,丙8〔第2章〕)。 b 上記aの抽出項目については,まず①の「自動車交通の混雑緩和への貢献」に れ,いず れにも該当しない区間が「都市計画の見直し候補区間」とされた(以 上aにつき,丙8〔第2章〕)。 b 上記aの抽出項目については,まず①の「自動車交通の混雑緩和への貢献」に関し,都市計画道路の全てが完成している平成62年度の将来交通量の推計を行い,幹線街路の最低限の規格を満たす2車線の道路の交通容量が1日当たり1万2000台とされていることから, その半分である1日当たりの区間交通量が6000台に満たない区間については,都市計画道路として必要性が低い道路と判断するものとされた。そして,これにより抽出された72路線について,さらに上記aの②から⑥までの抽出項目に基づいて評価した結果,いずれにも該当しない路線として28路線が抽出された。さらに,当該28路線 について,上記aの⑦から⑩のチェック項目に基づいた評価が行われ,いずれにも該当しない路線として5路線が抽出され,都市計画の見直し候補とされた(丙8〔第2章〕,20,弁論の全趣旨)。 c 補助26号線については,本件事業区間を含む区間について平成62年度の将来予測交通量が1日当たり2万3000台と推計されたこ とから,「自動車交通の混雑緩和」(前記a①の評価項目)に資する路線と評価された(丙20〔12,13枚目〕)。 (ウ) 優先整備路線の選定(第三次事業化計画。前記(ア)②)についてa 平成16年整備方針においては,上記(イ)の検証により整備の必要性が認められた路線の中から,今後12年間に優先的に整備すべき路 線(「優先整備路線」)の選定が行われた(第三次事業化計画)。 選定に当たっては,東京都の区部の都市計画道路を「広域的な課題に資する路線(幅員16m以上かつ起終点が複数区にまたがる路線)」と「地域的な課題に資する路線(幅員1 われた(第三次事業化計画)。 選定に当たっては,東京都の区部の都市計画道路を「広域的な課題に資する路線(幅員16m以上かつ起終点が複数区にまたがる路線)」と「地域的な課題に資する路線(幅員16m未満又は同一区内に起終点がある路線)」に区分した上で,「広域的な課題に資する路線」に ついては,整備優先度の定量的な評価を行い,「地域的課題に資する 路線」については,地域の課題を踏まえ,区のマスタープラン等と整合を図りながら,路線を選定することとされた。 「広域的な課題に資する路線」の定量的な評価に当たっては,前記(イ)aの四つの基本目標に照らした都市課題の解決に資する路線を抽出するための評価項目(①自動車交通の円滑化(交通混雑の緩和,渋 滞ポイントの解消,走行性の向上),②防災性の向上(骨格防災軸の形成,主要延焼遮断帯の形成,木造密集地域における防災性向上),③物流を支える道路ネットワークの形成,④まちづくりの支援)が設定され,基本的に2項目以上の評価がされた路線が,優先整備路線に選定された。 b 上記a①の評価項目のうち,「交通混雑の緩和」については, 平成11年度道路交通センサスにおける混雑度(=交通量/交通容量)1. 25を上回る路線の混雑緩和に資するか否かが評価され,「渋滞ポイントの解消」については,東京都第3次渋滞対策プログラムにおけるボトルネック箇所の渋滞緩和に資するか否かが評価され,「走行性の 向上」については,平成11年度道路交通センサスにおける混雑時平均旅行速度において,東京都の区部の平均値である時速17.5km未満の路線の混雑緩和に資するか否か及び新たなボトルネックの発生等を回避するため事業の継続が必要か否かが評価された。 c 前記a②の評価項目のうち,「骨格防災軸」とは,参 均値である時速17.5km未満の路線の混雑緩和に資するか否か及び新たなボトルネックの発生等を回避するため事業の継続が必要か否かが評価された。 c 前記a②の評価項目のうち,「骨格防災軸」とは,参加人が策定し た防災都市づくり推進計画(後記オ)において,震災時における大規模な市街地火災の延焼防止,消防活動等の救援・救護活動の空間などの役割を担う都市計画道路のうち,広域的な都市構造からみて骨格的な役割を担うとされた路線をいい,「主要延焼遮断帯」とは,骨格防災軸に囲まれた区域内で特に整備の重要度が高いとされた路線をいう ところ,平成16年整備方針においては,上記の「骨格防災軸」又は 「主要延焼遮断帯」に位置付けられた路線を,優先性の高い路線として評価するものとされた。 また,前記a②の評価項目のうち「木造密集地域における防災性向上」に関しては,上記防災都市づくり推進計画において「重点整備地域」(後記オ)に指定された地域に位置する都市計画道路について, 優先性が高い路線として評価するものとされた(以上a~cにつき,丙8〔第3章〕)。 d 本件事業区間は,平成11年度の道路交通センサスにおける混雑度が「1.45(ピーク時間はもとより,ピーク時間を中心として混雑する時間帯が加速度的に増加する可能性の高い状態。ピーク時のみの 混雑から日中の連続的混雑への過度状態と考えられるとされる混雑度。 丙8〔3-4頁〕)」であり,混雑時平均旅行速度が時速16.9kmである環状7号線の混雑緩和に資するものと評価されたほか,東京都第3次渋滞対策プログラムにおけるボトルネック箇所のうち,環状7号線と放射9号線の交差点といった箇所の混雑緩和に資するものと 評価され,「自動車交通の円滑化」に資する路線であると評価された(丙 3次渋滞対策プログラムにおけるボトルネック箇所のうち,環状7号線と放射9号線の交差点といった箇所の混雑緩和に資するものと 評価され,「自動車交通の円滑化」に資する路線であると評価された(丙20〔11,14枚目〕,弁論の全趣旨)。 また,本件事業区間は,「主要延焼遮断帯」として位置付けられており,「重点整備地域」の内側に位置する都市計画道路未整備区間であったことから,「防災性の向上」に資する路線であると評価された (丙20〔11枚目〕)。 以上のことから,本件事業区間は,第三次事業化計画において,優先整備路線として選定された(丙8〔3-28の「都‐50」〕)。 オ防災都市づくり推進計画等(ア) 参加人は,昭和56年に「都市防災施設基本計画」を策定し,本件 道路は,「主要延焼遮断帯」に位置付けられた。また,参加人は,同基 本計画を見直し,平成8年3月に「防災都市づくり推進計画」を策定し,平成16年3月及び平成22年1月にそれぞれ改定をした。 上記推進計画においては,地域危険度が高く,かつ老朽化した木造建築物が集積する等,震災時の大きな被害が想定される地域を「整備地域」とし,その中でも,基盤整備型事業等を重点化して展開し早期に防災性 の向上を図ることにより波及効果を期待することができる地域を「重点整備地域」として指定し,防災都市づくりに係る施策を展開していくこととしているところ,本件事業区間を含む「大谷口地区」は「重点整備地域」に指定されている。 また,延焼遮断帯とは,地震に伴う市街地火災の延焼を阻止する機能 を果たす道路,河川,鉄道,公園等の都市施設及びこれらと近接する耐火建築物等により構成される帯状の不燃空間をいうところ,同計画においても,防災都市づくりを推進するためには延焼遮 阻止する機能 を果たす道路,河川,鉄道,公園等の都市施設及びこれらと近接する耐火建築物等により構成される帯状の不燃空間をいうところ,同計画においても,防災都市づくりを推進するためには延焼遮断帯となる都市計画道路を整備することが重要とされている。同計画は,木造住宅密集地域が連なる東京都の区部及び多摩地域の7市を対象に延焼遮断帯を設定す るものとし,防災上の重要度から,「骨格防災軸」(広域的な都市構造からみて骨格的な防災軸の形成を図るべき路線),「主要延焼遮断帯」(骨格防災軸に囲まれた区域内で,特に整備の重要度が高いと考えられるもの)及び「一般延焼遮断帯」(上記以外で,防災生活圏を構成する延焼遮断帯)の3区分としており,本件道路は,「主要延焼遮断帯」に 位置付けられている(以上(ア)につき,甲A21,丙9,37,38)。 (イ) 参加人は,平成22年度時点で上記「整備地域」における都市計画道路の整備率が概ね5割にとどまっていること,市街地の燃えにくさを表す不燃領域率は平成18年までに56%となったものの,防災都市づくり推進計画に掲げる目標(平成37年度に70%)の達成のために更 なる取組みが必要であること,首都直下地震の切迫性や東日本大震災の 発生等を踏まえ,従来よりも踏み込んだ整備促進策を重点的,集中的に講じ,木造住宅密集地域の改善を一段と加速する必要があるとして,平成24年1月,「『木密地域不燃化10年プロジェクト』実施方針」を策定した(丙10)。 上記実施方針においては,整備地域における不燃領域率を平成32年 度までに70%に引き上げること,整備地域における主要な都市計画道路の整備を同年度までに100%達成することが目標とされ,都市計画道路の整備については,市街地の延焼を遮断し,避難や救 成32年 度までに70%に引き上げること,整備地域における主要な都市計画道路の整備を同年度までに100%達成することが目標とされ,都市計画道路の整備については,市街地の延焼を遮断し,避難や救援活動の空間ともなる防災上効果の高い主要な都市計画道路の整備を推進するものとされた。そして,そのために,路線を指定し,関係権利者に対して,生 活再建等のための特別の支援を行う新たな制度(特定整備路線)を構築することにより,参加人施行の都市計画道路の整備を加速させる取組を行うこととされ,整備地域内の未整備及び事業中の都市計画道路のうち,延焼遮断帯の形成に資する等,防災上,整備効果の高い区間を特定整備路線の対象区間として平成25年度以降順次指定し,事業を実施するも のとされた(丙10〔1~5,11頁〕)。 本件道路は,同年5月までには特定整備路線に選定された(丙11)。 (ウ) 参加人は,国際航業株式会社に対し,特定整備路線について道路の延焼遮断効果に係る検討委託を行い,同社は,東京消防庁が保有する延焼シミュレーションシステムを用いた延焼シミュレーション(以下「本 件シミュレーション」という。)を行い,平成25年3月に報告書を作成した。その結果は,本件事業区間に関しては,設定されたいずれの出火点についても,本件道路の整備後,本件道路を突破することなく延焼が焼け止まる(路線を越えて隣接街区へ延焼拡大しない)効果があるというものであった(丙26)。 カ Cまちづくり総合計画等 本件道路を含むC駅周辺地区については,平成21年6月に商店街,町会,公募区民によるC駅周辺地区まちづくり協議会が結成され,平成24年3月に同協議会から板橋区長に「C駅周辺地区まちづくりマスタープラン」が提言された。板橋区は,上記マ ,平成21年6月に商店街,町会,公募区民によるC駅周辺地区まちづくり協議会が結成され,平成24年3月に同協議会から板橋区長に「C駅周辺地区まちづくりマスタープラン」が提言された。板橋区は,上記マスタープランに加え,まちづくりについての説明会やパブリックコメント等を踏まえたものとして,平成26 年3月に「Cまちづくり総合計画」を策定した。 上記総合計画においては,C駅周辺地区の将来のまちの姿を「文化交流拠点に相応しい,交通基盤整備や鉄道立体化により利便性に優れ,誰もが暮らしやすく,にぎわいに満ちた安心安全なまち~C~」とし,その実現のためのものとして「まちづくりの整備方針」が定められ,本件道路は, 「交通ネットワークの形成」と「防災まちづくりの推進」に位置付けられた。具体的には,補助26号線の未整備区間の整備により,広域的な交通ネットワークが結ばれ,地区内の生活道路への通過交通の減少を期待することができ,駅周辺へのアクセスが容易になるとされた。また,補助26号線は,災害時の火災による延焼遮断帯,救援物資などを運ぶ緊急輸送道 路となるほか,東京都の特定整備路線に位置付けられるなど,防災面でも大きな役割を果たす道路であるとされた。なお,道路整備に際しては,沿道におけるまちづくりの促進と商店街の人の流れを妨げないような配慮について,地域住民と協議しながら,建物の共同化や交流と活性化の拠点整備など沿道のまちづくりと一体となった整備を進めていくものとされた。 また,上記総合計画における「まちづくりの整備方針」としては,「文化交流拠点としての機能強化」が挙げられ,そのうち,本件商店街西側付近のDと呼ばれる地域については,西側地域全体の交流と賑わいの拠点として位置付けられ,市街地再開発事業などにより賑わいやコミュニテ 化交流拠点としての機能強化」が挙げられ,そのうち,本件商店街西側付近のDと呼ばれる地域については,西側地域全体の交流と賑わいの拠点として位置付けられ,市街地再開発事業などにより賑わいやコミュニティの核となる拠点の整備等を行うほか,補助26号線の整備により移転が必要 となる住民の代替地としての機能についても検討するなどの整備の方向性 が示された。さらに,本件商店街と本件道路が交差する地点付近のセントラル・クロスポイントと呼ばれる地域については,本件商店街の中心地として歩行者の流れをつなぎ,生み出す拠点として位置づけるものとされ,補助26号線の整備に合わせ,市街地再開発事業により賑わい,活気,防災性を生み出し,本件商店街の人の行き来をつなげる場として検討してい くものとされたほか,補助26号線との交差部であり,駅までも近い場所であることから,整備に合わせて駐車場,駐輪場などの交通機能の導入を検討するとの整備の方向性が示された(以上カにつき,甲A27,丙12,56)。 キ本件事業認可等 参加人は,平成▲年▲月▲日,本件道路の整備により交通の円滑化が図られるとともに安全で快適な歩行空間が確保され,また,延焼遮断帯である本件事業区間の整備により地域の防災性が向上するとして,本件事業につき認可申請を行い,処分行政庁は,同年▲月▲日付けでこれを認可した(乙1〔枝番を含む。〕,2)。 ク補助26号線,本件事業区間付近の状況等(ア) 補助26号線は,環状7号線の内側に位置し,品川区東大井1丁目を起点とし,目黒区,世田谷区,渋谷区,練馬区等を経由し,板橋区氷川町に至る道路であり,本件事業区間付近においては放射36号線(要町通り)及び放射8号線(川越街道)と交差し,環状6号線(山手通り) と接続して ,世田谷区,渋谷区,練馬区等を経由し,板橋区氷川町に至る道路であり,本件事業区間付近においては放射36号線(要町通り)及び放射8号線(川越街道)と交差し,環状6号線(山手通り) と接続している(丙4,7の2,21の2)。 補助26号線のうち本件事業区間の両端の区間は,本件事業認可の時点で整備が完了し,供用が開始されている(乙1の3,丙13の1・2)。本件事業区間の起点部分は,放射8号線(川越街道)との交差点と接続しており,終点部分は,整備が完了している補助26号線と接続 し,その接続部分は東武東上線と交差しているため,本件踏切が設置さ れている(乙1の4,丙13の1・2,24〔3枚目〕)。 本件事業により,本件事業区間に,片側1車線の車道部及び両側の歩道部等から成る幅員20mから23mの道路の新設整備及び拡幅整備がされることとなる(乙1の4)。 (イ) 平成27年度全国道路・街路交通情勢調査によれば,補助26号線 のうち本件事業区間付近で既に供用されている区間(鮫洲A線・観測地点は中野区江原町3-1-21と豊島区要町3-58)の昼間12時間の自動車類交通量は約5000台から6000台,24時間の自動車類交通量は約7000台から8000台であった(丙23)。 また,板橋区が平成29年3月に作成した「Cまちづくり総合計画」 によれば,補助26号線のうち本件事業区間と本件踏切部分で接続し,既に供用されている部分(本件踏切の東側部分)における平日7時から19時までの自動車交通量は2000台以上であり,当該地域における交通面の課題として,本件踏切より西側(本件事業区間)が未整備のため北側に迂回する交通量が多くなっているなどとされている(丙24 〔6枚目〕)。板橋区都市整備部が平成6年8月に策定し における交通面の課題として,本件踏切より西側(本件事業区間)が未整備のため北側に迂回する交通量が多くなっているなどとされている(丙24 〔6枚目〕)。板橋区都市整備部が平成6年8月に策定した「Cのまちづくり´94」においても,本件事業区間周辺地域の問題点として,広い道路がないために生活道路に車が入り込んだりすること等が挙げられていた(甲A25)。 (ウ) 本件道路が整備されると,補助26号線は本件踏切部分で東武東上 線線路と平面交差することになるところ,本件踏切は,国土交通省が緊急に対策の検討が必要な踏切であるとする「開かずの踏切」(ピーク時間の遮断時間が1時間当たり40分以上の踏切)であるほか,「歩行者ボトルネック踏切」(1日当たりの踏切自動車交通遮断量と踏切歩行者等交通遮断量の和が5万台時以上,かつ,一日当たりの踏切歩行者等交 通遮断量が2万台人時以上になる踏切)に当たる(甲A14~18)。 (エ) 本件商店街は,東武東上線C駅と川越街道を結び,またC駅から南側に伸びる,ほぼ全域がアーケードに覆われた総延長約560mの商店街であり,本件踏切を介してB商店街と隣接している。本件商店街のうちC駅と川越街道の間の約170mの部分は本件事業地内に含まれ,本件事業による整備対象となっている(甲A28,33,41の1,42, 43の1,丙7の3)。 本件商店街西側のDと呼ばれる地域及び本件道路と本件商店街が交差するセントラル・クロスポイントと呼ばれる地域においては,それぞれ再開発事業のための活動が進められており,セントラル・クロスポイントには,住宅,店舗等からなる2棟の高層ビル等が建設されることが計 画されている(甲A38~41〔枝番を含む。〕)。 ⑵ 判断枠組み原告らは,①遅くとも本件 り,セントラル・クロスポイントには,住宅,店舗等からなる2棟の高層ビル等が建設されることが計 画されている(甲A38~41〔枝番を含む。〕)。 ⑵ 判断枠組み原告らは,①遅くとも本件事業認可の時点において,本件都市計画決定は都市計画法21条に基づき変更又は廃止されるべきであったから,本件事業認可は,同法61条1号の定める「事業の内容が都市計画に適合し」ている との要件を欠き,違法であるし,また,②適法に決定された都市計画であっても,変更又は廃止をしなければならないものとなった場合には,都市計画決定自体が違法になるに至ったと評価できるところ,遅くとも本件事業認可の時点において本件都市計画決定自体が違法となるというべきであるから,本件事業認可も違法である旨主張する。 この点について,都市計画決定は,当該決定当時の社会経済情勢を基礎としつつ,将来の見通しも考慮して,政策的,技術的な観点からされるものであり,都市計画決定がされた後に変更の必要が生じたときは都市計画法21条に基づいて都市計画を変更することが予定されていることに照らしても,都市計画決定後に事情の変更が生じたことによって当該決定が事後的に違法 となるとは解されないというべきである。そうすると,本件事業認可の基礎 となる本件都市計画決定は,前記4⑴のとおり平成15年決定であるところ,原告らの上記②の主張は,遅くとも本件事業認可の時点(平成27年2月4日)において平成15年決定が違法となった旨をいうものと解されるから,これを採用することはできない。 しかしながら,都市計画決定後長期間が経過したこと等により,当該決定 時に基礎とされた社会経済情勢に著しい変化が生じ,事業認可の時点において当該都市計画の必要性や合理性がおよそ失われ,都市計画 しかしながら,都市計画決定後長期間が経過したこと等により,当該決定 時に基礎とされた社会経済情勢に著しい変化が生じ,事業認可の時点において当該都市計画の必要性や合理性がおよそ失われ,都市計画法21条に基づきこれを変更すべきことが明白であったといえるなどの特段の事情がある場合には,事業認可権者において事業の内容が当該都市計画に適合するものとしてこれを認可することは,同条の法意に照らして許されるべきものではな く,当該都市計画が変更されない状態のままであるにもかかわらずこれを基礎としてされた事業認可は,実質的に同法61条1号にいう「都市計画に適合し」ないものとして,違法となるものと解するのが相当である。 そこで,上記枠組みに従って,本件事業認可の時点において,上記の特段の事情があったといえるか否かについて検討する。 ⑶ 検討ア交通の円滑化に関する事情について(ア) 補助26号線のうち本件事業区間の区域については,昭和41年決定以後変更されていないところ,参加人は,同決定以降も,およそ10年に1度,都市計画道路の事業化計画を策定しており,補助26号線のう ち本件事業区間を含む区間は,平成3年に策定された第二次事業化計画において,おおむね平成12年度をめどに優先的に整備すべき路線に選定された(前記⑴ア~ウ)。 さらに,平成16年整備方針において,都市計画道路について必要性の検証が行われたところ,本件事業区間を含む区間の将来予測交通量が 1日当たり2万3000台と推計されたことから,本件道路は,第一の 評価項目である「自動車交通の混雑緩和への貢献」に資する道路であるとして,その余の項目について評価するまでもなく,整備の必要性が認められるものとされ,その中でも,整備優先度の定量的な評価の結果, 評価項目である「自動車交通の混雑緩和への貢献」に資する道路であるとして,その余の項目について評価するまでもなく,整備の必要性が認められるものとされ,その中でも,整備優先度の定量的な評価の結果,環状7号線等の混雑緩和に資するとして「自動車交通の円滑化」に資する路線であることなどから,今後12年間に優先的に整備すべき優先整 備路線として選定された(第三次事業化計画。前記⑴エ(ウ))。このように,本件道路については,昭和41年決定以後も整備の必要性が検討され,平成16年整備方針においても,「自動車交通の円滑化」に資する路線であると評価されたものである。 本件道路が開通することにより,両隣の区間と合わせて,環状6号線 (山手通)と放射8号線(川越街道)を結び,環状7号線の内側を走る道路網が形成されること(前記⑴ク,丙7の2),本件道路は,その位置に照らし,環状7号線の混雑解消等に資するものと考えられることなどからすれば,計画的かつ効率的な道路網の早期の形成という平成16年整備方針の目的に照らし,本件道路が「自動車交通の円滑化」に資す る路線であるという上記評価は,合理性を有するものといえる。そして,平成16年整備方針の策定から本件事業認可までの時点において,上記評価を見直すべき事情が生じたことを認めるに足りる証拠はない。 (イ) 原告らは,本件道路の交通容量は1日当たり1万2000台であることを前提に,本件道路の将来交通量が1日当たり2万3000台である とすれば交通容量を超えているとし,また,本件道路が本件踏切と交差していることから,本件道路及びその付近の道路に渋滞が発生し,交通の円滑化を阻害する旨主張する。 しかしながら,交通容量を超えても直ちに渋滞が発生するわけではない上,平成16年整備方針にある「 していることから,本件道路及びその付近の道路に渋滞が発生し,交通の円滑化を阻害する旨主張する。 しかしながら,交通容量を超えても直ちに渋滞が発生するわけではない上,平成16年整備方針にある「1日当たり1万2000台」との交 通容量は,幹線街路として最低限の規格(2車線・停車帯なし)の道路 における交通容量のことであり,平成16年整備方針においては,「2車線・停車帯有り」で整備した場合の交通容量は1日当たり2万1600台と設定されている(丙20〔2-4頁〕)。そして,混雑が発生しているか否かの指標に用いられる「混雑度(推定交通量÷交通容量)」についてみると,本件道路の平成62年度における将来交通量の推計は 1日当たり2万3000台であるから(前記⑴エ(イ)c),本件道路を「2車線・停車帯有り」で整備した場合の混雑度は約1.06となる。 これは,昼間12時間のうち道路が混雑する可能性のある時間帯が一,二時間あるものの,何時間も混雑が連続する可能性は非常に小さいものとされる程度である(丙8〔3-4頁〕,48)。 また,本件踏切付近の渋滞発生の可能性についてみると,確かに,前記⑴ク(ウ)のとおり,本件踏切は,国土交通省が緊急に対策の検討が必要な踏切であるとする「開かずの踏切」,「歩行者ボトルネック踏切」であると認められるものの,本件道路の整備により本件踏切付近の道路が対面通行可能な2車線道路となり歩道も整備されれば,本件踏切を通 過する交通の円滑化の向上に資するとも考えられ(丙25),必ずしも原告らが懸念するような交通状況の悪化につながるとは限らない。また,本件事業区間周辺においては,生活道路への交通の流入が課題となっているものと認められるところ(前記⑴ク(イ)),本件道路に交通を集中させることにより うな交通状況の悪化につながるとは限らない。また,本件事業区間周辺においては,生活道路への交通の流入が課題となっているものと認められるところ(前記⑴ク(イ)),本件道路に交通を集中させることにより,生活道路への通過交通の流入が抑止され,本件事業 区間周辺地域の交通状況の改善につながる面もあるものと考えられる。 加えて,東京都の区部における道路ネットワークの形成という都市計画道路の整備の目的(丙8)に照らせば,仮に本件踏切付近に渋滞が発生するとしても,この点のみに着目して交通の円滑化に資するか否かを評価すべきであるとはいえない。 したがって,本件道路により交通の円滑化が阻害される旨の原告らの 上記主張は理由がない。 (ウ) 原告らは,平成16年整備方針において都市計画道路の必要性の検証の際に使用された「1日当たり6000台以上」との基準について,ほとんどの区間の道路について必要性がある旨判断される基準であり基準として不適当であるなどとして,交通の円滑化の観点からの見直しが実 質的にされていない旨主張する。 しかしながら,平成16年整備方針における都市計画道路の必要性の検証に当たっては,幹線街路として最低限の規格(2車線・停車帯なし)の道路における交通容量が1日当たり1万2000台であることに照らし,その半分である1日当たり6000台という基準が使用されたので あり,検証の結果上記基準を満たさないとして72路線が抽出されたこと(前記⑴エ(イ)b)からみても,上記基準が不合理なものということはできない。 (エ) 原告らは,鮫洲A線のうち補助26号線と重複している区間について,平成9年から平成17年にかけて12時間交通量が増加しているのは僅 か1地点であり,交通量が現実に減少している以上,交通の円 ) 原告らは,鮫洲A線のうち補助26号線と重複している区間について,平成9年から平成17年にかけて12時間交通量が増加しているのは僅 か1地点であり,交通量が現実に減少している以上,交通の円滑化が要請されているとはいえない旨主張する。 しかしながら,そもそも,平成16年整備方針において,本件道路は,「広域的な課題に資する路線」として整備優先度の定量的な評価を経て優先整備路線に選定されたものであり,東京都の区部における道路ネッ トワークの形成という都市計画道路の整備の目的(丙8)に照らしても,交通の円滑化に資するか否かを,局地的な自動車台数の増加のみに着目して評価することは相当でない。 また,平成27年度全国道路・街路交通情勢調査によれば,補助26号線のうち本件事業区間付近で既に供用されている区間の昼間12時間 の自動車類交通量は約5000台から6000台,24時間の自動車類 交通量は約7000台から8000台であり(前記⑴ク(イ)),本件事業認可の時点において,本件事業区間について交通需要がなかったということもできない。 (オ) 以上によれば,交通の円滑化に関する事情について,都市計画法21条に基づき本件都市計画決定を変更すべきことが明白であったといえる などの特段の事情があるということはできない。 イ防災性に関する事情について(ア) 第三次事業化計画においては,本件事業区間が,参加人の策定した防災都市づくり推進計画において,「主要延焼遮断帯」として位置付けられており,また,「重点整備地域」の内側に位置する都市計画道路未整 備区間であったことから,「防災性の向上」に資する路線であると評価されたものである(前記⑴エ(ウ)d)。 防災都市づくり推進計画において,「重点整備地域」とは,地 位置する都市計画道路未整 備区間であったことから,「防災性の向上」に資する路線であると評価されたものである(前記⑴エ(ウ)d)。 防災都市づくり推進計画において,「重点整備地域」とは,地域危険度が高く,かつ老朽化した木造建築物が集積する等,震災時の大きな被害が想定される「整備地域」の中でも,基盤整備型事業等を重点化して 展開し早期に防災性向上を期待することができる地域であるとされていること,「主要延焼遮断帯」とは,骨格防災軸(広域的な都市構造からみて骨格的な防災軸の形成を図るべき路線)に囲まれた区域内で,特に整備の重要度が高いと考えられるものとされていること(前記⑴オ(ア))に照らすと,本件道路が「防災性の向上」に資する路線であるという平 成16年整備方針における上記評価には合理性が認められる。そして,本件道路が特定整備路線にも選定されたこと等に鑑みると,平成16年整備方針の策定から本件事業認可までの時点において,上記評価を見直すべき事情が生じたとは認められない。 (イ) 原告らの主張について a 原告らは,本件道路は延焼遮断効果を有しているとはいえない旨主 張するが,本件シミュレーションの結果,本件事業区間について,本件道路の整備後,本件道路を突破することなく延焼が焼け止まる(路線を越えて隣接街区へ延焼拡大しない)効果があるとの結果となったこと(前記⑴オ(ウ))に照らし,原告らの主張を採用することはできない。原告らは,本件シミュレーションに関し,どのような幅員であ れば延焼を防ぐことができるかという検証データがなく,信用できない旨主張するが,本件シミュレーションにおいて使用された延焼シミュレーションシステムが,東京消防庁によって市街地の状況をコンピュータ上に再現して地震火災の推移や消火 いう検証データがなく,信用できない旨主張するが,本件シミュレーションにおいて使用された延焼シミュレーションシステムが,東京消防庁によって市街地の状況をコンピュータ上に再現して地震火災の推移や消火に必要な消防隊数を予測するシステムとして開発されたものであり,平成13年3月火災予防審 議会答申を採用し,耐火造建物等を媒介して延焼拡大する危険性についても評価することができるものとされたこと(丙26〔2-1,2-2頁〕)に加え,その手法について信用性を疑わせる具体的な事情が見当たらないことに照らすと,原告らの主張は理由がない。 b 原告らは,本件シミュレーションについて,火の粉や飛び火を想定 していないとして,手法に欠陥がある旨主張する。しかしながら,そもそも飛び火等による延焼を完全に防げなければ,延焼遮断帯として防災性の向上に資する効果がないということはできない。また,延焼遮断帯については,飛び火等による延焼の発生を防止することが困難であるとしても,一定程度の幅員を有する道路を整備し沿道の建物と 建物の間隔を空けることにより,着火先となる建築物において,火災からの輻射熱及び気流の温度の影響が抑えられ,その分,飛び火等による延焼の鎮圧も比較的容易になり得ることも考えられる(丙58)。 そうすると,飛び火等を想定していないシミュレーションであったとしても,その一事をもって手法に欠陥があるということは困難である。 c 原告らは,本件道路に延焼遮断帯として何らかの効果があるとして も,火災が発生した側の地域における延焼を防止できるものではないとして,防災効果は極めて限定的である旨主張する。しかしながら,そもそも延焼遮断帯とは,隣接する防災生活圏への延焼を防止する機能を有するものとして設けられるものであり,併せて 防止できるものではないとして,防災効果は極めて限定的である旨主張する。しかしながら,そもそも延焼遮断帯とは,隣接する防災生活圏への延焼を防止する機能を有するものとして設けられるものであり,併せて市街地の不燃化を促進する施策が計画されていること(前記⑴オ(イ))も踏まえると, 本件道路が整備されれば,相当程度延焼防止機能を果たし得るものと考えられる。 d 原告らは,大規模な火災が発生した際,本件道路が逆に延焼を促進するものとして機能するおそれがある旨主張する。しかしながら,本件事業区間周辺の地域の一部には木造住宅が密集する地域が広がって おり,狭い道路も多く(甲A20,23〔5頁〕,24〔10頁〕,27〔3頁〕,41の1,丙9〔104,105頁〕),このような本件事業区間周辺の状況等に鑑みると,幅員20mから23mの本件道路を整備し,建物と建物の間隔を開けるとともに,沿道建築物の不燃化を行うこと(甲A20,41の1,丙9〔105~107頁〕, 12〔17,32頁〕)により,火災が発生した際の延焼危険性が一般的に増大するとはにわかに考え難い。原告らがその主張の根拠として提出する証拠(甲A32)は,山形県酒田市で発生した火災に関するものであるが,その内容は,火がアーケード街の2階部分に次々と広がったとか,耐火造りの建物の並びの中にあった木造建築物に付近 の風が集まったというものであり,この証拠から,道路が延焼を促進するものとして機能するおそれがあるということはできない。したがって,原告らの上記主張は理由がない。 e 原告らは,延焼遮断帯が機能するような大火の場合,緊急車両通行道路として機能しないとか,道路を建設するよりも細やかな対策を整 備する方がコストパフォーマンスにおいて優れているなどと主張する 原告らは,延焼遮断帯が機能するような大火の場合,緊急車両通行道路として機能しないとか,道路を建設するよりも細やかな対策を整 備する方がコストパフォーマンスにおいて優れているなどと主張する が,いずれの事情をもってしても,本件都市計画決定を変更しなければならないということはできない。 (ウ) 以上によれば,防災性に関する事情について,都市計画法21条に基づき本件都市計画決定を変更すべきことが明白であったといえるなどの特段の事情があるということはできない。 ウ本件商店街への影響等に関する主張について(ア) 原告らは,本件道路の整備の結果,本件商店街が分断されることにより破壊され,地域が衰退するなどとして,都市計画変更決定がされるべきであった旨主張する。 (イ) この点について,確かに,本件道路が本件商店街と交差する形で設 けられ,総延長約560mの本件商店街のうち約170mの部分が本件事業地内に位置していること(前記⑴ク(エ))からすれば,本件道路が整備されることにより,本件商店街が一定程度の変容を余儀なくされることは否定し難い。 しかしながら,「Cまちづくり総合計画」においては,本件道路と本 件商店街が交差するセントラル・クロスポイントと呼ばれる地域について,市街地再開発事業により本件商店街の中心地として人の行き来をつなげる場とするほか,駐車場,駐輪場などの交通機能の導入を検討するとの整備の方向性が示され,本件道路の西側となる地域についても,Dと呼ばれる地域を西側地域全体の交流と賑わいの拠点として位置付け, 市街地再開発事業により賑わいやコミュニティの核となる拠点の整備を行うことなどの整備の方向性が示されており(前記⑴カ,ク(エ)),市街地再開発事業と併せて地域の魅力が高まったり,交通 付け, 市街地再開発事業により賑わいやコミュニティの核となる拠点の整備を行うことなどの整備の方向性が示されており(前記⑴カ,ク(エ)),市街地再開発事業と併せて地域の魅力が高まったり,交通アクセスが向上したりする可能性も十分にあることなどからすると,本件道路の整備によって本件商店街が破壊され,地域が衰退するといった原告らの主張を にわかに採用することはできない。なお,原告らは,現在のセントラ ル・クロスポイントの市街地再開発事業に係る計画は,上記総合計画の時点から大きく変容しており,地域にそぐわない内容になっているなどとも主張するが,原告らの主張する事情を考慮しても,これをもって,都市計画法21条に基づき本件都市計画決定を変更すべきことが明白であったといえるなどの特段の事情があったということはできない。 エ以上の事情に照らすと,本件事業認可の時点において,本件都市計画決定につき,都市計画法21条に基づき当該都市計画を変更すべきことが明白であったといえるなどの特段の事情があったということはできない。 ⑷ 施行期間に関する原告らの主張について原告らは,本件事業認可の事業施行期間が適切でない旨主張するが,都市 計画法は,事業計画の変更について規定しており(63条),事業施行期間が延長される場合があることを想定しているといえることに照らすと,当初の事業期間内に事業が完了しなかったといった事情があったとしても,このことのみから事業施行期間が不適切であり事業認可が違法となるということはできない。そして,本件において,事業施行期間が不適切であったことを うかがわせる具体的な事情は証拠上認められないから,上記原告らの主張を採用することはできない。 ⑸ 以上によれば,本件事業認可について,都市計画に適合 て,事業施行期間が不適切であったことを うかがわせる具体的な事情は証拠上認められないから,上記原告らの主張を採用することはできない。 ⑸ 以上によれば,本件事業認可について,都市計画に適合しないこと,都市計画決定が違法であること又は事業施行期間が不適切であったことにより,実体上違法であるということはできず,他に本件事業認可が実体上違法であ ることを認めるに足りる主張及び立証はない。 6 争点⑶(本件事業認可が無効か否か)について前記4及び5によれば,本件事業認可が違法であるとはいえないから,本件事業認可が無効であるとは認められない。 7 結論 前記4及び5のとおり,本件事業認可が違法であるとはいえないから,第1 事件原告2から5まで及び第2事件原告3の本件事業認可の取消請求は,いずれも理由がない。また,上記6によれば,第2事件原告3及び4による本件事業認可の無効確認請求(予備的請求)も理由がない。 よって,本件訴えのうち主文第1項記載の各請求に係る部分は不適法であるから却下し,主文第2項記載の各請求はいずれも理由がないから棄却すること として,主文のとおり判決する。 なお,本件訴えのうち主文第4項記載の原告らの請求に係る部分は,別紙4「死亡者目録」記載の日に,上記各原告の死亡により,いずれも終了したところ,これを明確にするため,主文第4項のとおり,その旨を宣言することとする。 東京地方裁判所民事第2部 裁判官廣瀬智彦 裁判長裁判官森英明及び裁判官三貫納有子は,転補のため署名押印することができない。 裁判官廣瀬智彦 (別紙6-1) ○ (旧)都市計画法(大正八年法 官三貫納有子は,転補のため署名押印することができない。 裁判官廣瀬智彦 (別紙6-1) ○ (旧)都市計画法(大正八年法律第三六号。以下、後記の各改正の前後を問わず「旧都市計画法」という。) 昭和二四年法律第一六三号による改正前のもの(乙の) 第三条 都市計画、都市計画事業及毎年度執行スヘキ都市計画事業ハ都市計画委員会ノ議ヲ経テ主務大臣之ヲ決定シ内閣ノ認可ヲ受クヘシ 昭和四二年法律第七五号による改正前のもの(乙) 第三条 都市計画、都市計画事業及毎年度執行スヘキ都市計画事業ハ都市計画審議会ノ議ヲ経テ主務大臣之ヲ決定シ内閣ノ認可ヲ受クヘシ 昭和四二年法律第七五号による改正後のもの(乙の) 第三条 都市計画、都市計画事業及毎年度執行スヘキ都市計画事業ハ都市計画審議会ノ議ヲ経テ主務大臣之ヲ決定シ内閣ノ認可ヲ受クヘシ 都市計画、都市計画事業及毎年度執行スベキ都市計画事業ニ付テハ政令ノ定ム 定シ内閣ノ認可ヲ受クヘシ 都市計画、都市計画事業及毎年度執行スベキ都市計画事業ニ付テハ政令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣之ヲ告示シ行政庁ヲシテ関係図書ヲ縦覧ニ供セシムベシ (別紙6-2) ○ 都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号) (目的) 第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。 (都市計画の基本理念) 第二条 都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。 (都市計画に関する基礎調査) 第六条 都道府 が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。 (都市計画に関する基礎調査) 第六条 都道府県は、都市計画区域について、おおむね五年ごとに、都市計画に関する基礎調査として、国土交通省令で定めるところにより、人口規模、産業分類別の就業人口の規模、市街地の面積、土地利用、交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び将来の見通しについての調査を行うものとする。 ~ 略 (都市計画基準) 第十三条 都市計画区域について定められる都市計画(区域外都市施設に関するものを含む。 次項において同じ。 )は、国土形成計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖縄振興計画その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画(当該都市について公害防止計画が定められているときは、当該公害防止計画を含む。 第三項において同じ。 )及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の られているときは、当該公害防止計画を含む。 第三項において同じ。 )及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。 この場合においては、当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならない。 一~十 略 十一 都市施設は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めること。 この場合において、市街化区域及び区域区分が定められていない都市計画区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域 ては、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域及び田園住居地域については、義務教育施設をも定めるものとする。 十二~十九 略 ~ 略 (公聴会の開催等) 第十六条 都道府県又は市町村は、次項の規定による場合を除くほか、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 、 略 (都市計画の案の縦覧等) 第十七条 都道府県又は市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該都市計画の案を、当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて、当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供し を、当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて、当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。 (別紙6-2) 前項の規定による公告があつたときは、関係市町村の住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された都市計画の案について、都道府県の作成に係るものにあつては都道府県に、市町村の作成に係るものにあつては市町村に、意見書を提出することができる。 ~ (省略) (都市計画の変更) 第二十一条 都道府県又は市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域が変更されたとき、第六条第一項若しくは第二項の規定による都市計画に関する基礎調査又は第十三条第一項第十九号に規定する政府が行う調査の結果都市計画を変更する必要が明らかとなつたとき、遊休土地転換利用促進地区に関する都市計画についてその目的が達成されたと認めるとき、その他都市計画を変更する必要が生じたときは に関する都市計画についてその目的が達成されたと認めるとき、その他都市計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく、当該都市計画を変更しなければならない。 (施行者) 第五十九条 都道府県は、市町村が施行することが困難又は不適当な場合その他特別な事情がある場合においては、国土交通大臣の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。 (認可又は承認の申請) 第六十条 前条の認可又は承認を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。 一 施行者の名称 二 都市計画事業の種類 三 事業計画 四 その他国土交通省令で定める事項 (認可等の基準) 第六十一条 国土交通大臣又は都道府県知事は、申請手続が法令に違反せず、かつ、申請に係る事業が次の各号に該当する 国土交通大臣又は都道府県知事は、申請手続が法令に違反せず、かつ、申請に係る事業が次の各号に該当するときは、第五十九条の認可又は承認をすることができる。 一 事業の内容が都市計画に適合し、かつ、事業施行期間が適切であること。 二 事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたこと又はこれらの処分がされることが確実であること。 (事業計画の変更) 第六十三条 第六十条第一項第三号の事業計画を変更しようとする者は、国の機関にあつては国土交通大臣の承認を、都道府県及び第一号法定受託事務として施行する市町村にあつては国土交通大臣の認可を、その他の者にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。 ただし、設計の概要について国土交通省令で定める軽易な変更をしようとするときは、この限りでない。 略 (都市計画事業のための土地等の収用又は使 軽易な変更をしようとするときは、この限りでない。 略 (都市計画事業のための土地等の収用又は使用) 第六十九条 都市計画事業については、これを土地収用法第三条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。 (別紙6-3) ○ 都市計画法施行法(昭和四十三年法律第一〇一号) (都市計画法の施行期日) 第一条 都市計画法(昭和四十三年法律第百号。以下「新法」という。)は、公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、新法第七十六条の規定は、公布の日から施行する。 〔昭和四十四年政令第一五七号により、昭和四十四・六・一四から施行〕 (都市計画区域及び都市計画の経過措置) 第二条 新法の施行の際現に旧都市計画法(大正八年法律第三十六号。以下「旧法」という。)の規定により決定されている都市計画区域及び都市計画は、それぞれ新法の規定によ 以下「旧法」という。)の規定により決定されている都市計画区域及び都市計画は、それぞれ新法の規定による都市計画区域又は新法の規定による相当の都市計画とみなす。 (別紙6-4) ○ 戦災復興院官制(昭和二〇年勅令第六二一号。昭和二二年法律第二三八号による廃止前のもの。乙) 第一条 戦災復興院ハ内閣総理大臣ノ管理ニ属シ左ニ掲グル事務ヲ掌ル 一 戦災地ニ於ケル市街地計画及其ノ施行ニ関スル事項 二~五 略 (別紙6-5) ○ 許可認可等臨時措置法(昭和一八年法律第七六号。以下「臨時措置法」という。) ① 大東亜戦争ニ際シ行政簡素化ノ為必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ法律ニ依リ許可、認可、免許、特許、承認、検査、協議、届出、報告等ヲ要スル事項ニ付左ニ掲グル措置ヲ為スコトヲ得 一 許可、認可、免許、特許、承認、検査、協議、届出、報告等ヲ要セザルコト ニ掲グル措置ヲ為スコトヲ得 一 許可、認可、免許、特許、承認、検査、協議、届出、報告等ヲ要セザルコトトスルコト 二~六 略 ②~③ 略 附則 本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス 〔昭和一八・三・一七から施行〕 (別紙6-6) ○ 都市計画法及同法施行令臨時特例(昭和一八年勅令第九四一号。以下「臨時特例」という。) 第一条 許可認可等臨時措置法ノ規定ニ基ク都市計画法ノ特例並ニ今次ノ戦争中ニ於ケル都市計画法施行令ノ特例ハ本令ノ定ムル所ニ依ル 第二条 左ニ掲グル認可又ハ許可ハ之ヲ受クルヲ要セズ 一 都市計画法第三条ノ規定ニ依ル内閣ノ認可 二~六 略 略 附則 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス 〔昭和一八・一二・二七から施行〕 (別紙6-7) ○ 日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律(昭和二二年法律第七二号。以下「命」 日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律(昭和二二年法律第七二号。以下「命令効力法」という。) 第一条 日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定で、法律を以て規定すべき事項を規定するものは、昭和二十二年十二月三十一日まで、法律と同一の効力を有するものとする。 (別紙6-8) ○ 日本国憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令(昭和二十二年政令第十四号。以下「勅令効力令」という。) ① 日本国憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定は、昭和二十二年法律第七十二号〔日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律〕第一条に規定するものを除くの外、政令と同一の効力を有するものとする。 ② 略 (別紙6-9) ○ 環 (別紙6-9) ○ 環境基本法 (目的) 第一条 この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。 (定義) 第二条 、 略 この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(〔括弧内略〕)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(〔括弧内略〕)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のあ 及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。 (国の責務) 第六条 国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第七条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (公害防止計画の作成) 第十七条 都道府県知事は、次のいずれかに該当する地域について、環境基本計画を基本として、当該地域において実施する公害の防止に関する施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)を作成することができる。 おいて実施する公害の防止に関する施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)を作成することができる。 一 現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域 二 人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域 (公害防止計画の達成の推進) 第十八条 国及び地方公共団体は、公害防止計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。 (環境の保全上の支障を防止するための規制) 第二十一条 国は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる規制の措置を講じなければならない。 一 大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染又は悪臭の原因となる物質の排出、騒音又は振動の発生、地盤の沈下の原因となる地 、水質の汚濁、土壌の汚染又は悪臭の原因となる物質の排出、騒音又は振動の発生、地盤の沈下の原因となる地下水の採取その他の行為に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置 二~五 略 略 (別紙6-10) 〇 環境影響評価法 (目的) 第一条 この法律は、土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行う事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることにかんがみ、環境影響評価について国等の責務を明らかにするとともに、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定め、その手続等によって行われた環境影響評価の結果をその事業に係る環境の保全のための措置その他のその事業の内容に関する決定に反映させるための措置をとること の事業に係る環境の保全のための措置その他のその事業の内容に関する決定に反映させるための措置をとること等により、その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「環境影響評価」とは、事業(特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更(これと併せて行うしゅんせつを含む。 )並びに工作物の新設及び増改築をいう。 以下同じ。 )の実施が環境に及ぼす影響(当該事業の実施後の土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動が当該事業の目的に含まれる場合には、これらの活動に伴って生ずる影響を含む。 以下単に「環境影響」という。 )について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措 目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における環境影響を総合的に評価することをいう。 この法律において「第一種事業」とは、次に掲げる要件を満たしている事業であって、規模(形状が変更される部分の土地の面積、新設される工作物の大きさその他の数値で表される事業の規模をいう。 次項において同じ。 )が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。 一 次に掲げる事業の種類のいずれかに該当する一の事業であること。 イ 高速自動車国道、一般国道その他の道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路その他の道路の新設及び改築の事業 ロ~ワ(省略) 二 略 この法律において「第二種事業」とは、前項各号に掲げる要件を満たしている事業であって、第一種事業 この法律において「第二種事業」とは、前項各号に掲げる要件を満たしている事業であって、第一種事業に準ずる規模(〔括弧内略〕)を有するもののうち、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの判定(以下単に「判定」という。 )を第四条第一項各号に定める者が同条の規定により行う必要があるものとして政令で定めるものをいう。 この法律において「対象事業」とは、第一種事業又は第四条第三項第一号(〔括弧内略〕)の措置がとられた第二種事業(〔括弧内略〕)をいう。 この法律(この章を除く。 )において「事業者」とは、対象事業を実施しようとする者(〔括弧内略〕)をいう。 (環境影響評価の実施) 第十二条 事業者は、前条第一項の規定により選定した項目及び手法に基づいて、第二条第二項第一号イからワまでに掲げる事業の種類ごとに主務省令で定めるところにより、対象事業に係る環境影響評価を行わなければ ワまでに掲げる事業の種類ごとに主務省令で定めるところにより、対象事業に係る環境影響評価を行わなければならない。 略 (評価書の作成) 第二十一条 事業者は、前条第一項、第四項又は第五項の意見が述べられたときはこれを勘案するとともに、第十八条第一項の意見(別紙6-10) に配意して準備書の記載事項について検討を加え、当該事項の修正を必要とすると認めるとき(当該修正後の事業が対象事業に該当するときに限る。 )は、次の各号に掲げる当該修正の区分に応じ当該各号に定める措置をとらなければならない。 一、二 略 三 前二号に掲げるもの以外のもの 第十一条第一項及び第十二条第一項の主務省令で定めるところにより当該修正に係る部分について対象事業に係る環境影響評価を行うこと。 事業者は、前項第一号に該当する場合を除き、同項第三号の規定による環境影響評価を行った場合には当該環境影響評価及び準備書に係る環境 る場合を除き、同項第三号の規定による環境影響評価を行った場合には当該環境影響評価及び準備書に係る環境影響評価の結果に、同号の規定による環境影響評価を行わなかった場合には準備書に係る環境影響評価の結果に係る次に掲げる事項を記載した環境影響評価書(以下第二十六条まで、第二十九条及び第三十条において「評価書」という。 )を、第二条第二項第一号イからワまでに掲げる事業の種類ごとに主務省令で定めるところにより作成しなければならない。 一~四 略 〇 東京都環境影響評価条例(昭和五五年東京都条例第九六号。 以下「本件条例」という。 丙 ) (目的) 第一条 この条例は、環境影響評価及び事後調査の手続に関し必要な事項を定めることにより、計画の策定及び事業の実施に際し、公害の防止、自然環境及び歴史的環境の保全、景観の保持等(以下「環境の保全」という。 )について適正な配慮がなさ 止、自然環境及び歴史的環境の保全、景観の保持等(以下「環境の保全」という。)について適正な配慮がなされることを期し、もって都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 環境影響評価 環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施が環境に及ぼす影響について事前に調査、予測及び評価(以下「調査等」という。)を行うとともに、これらを行う過程において、その事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における環境に及ぼす影響を予測し、及び評価することをいう。 二~四 略 五 対象事業 別表に掲げる事業でその実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれのあるものとしてその内容及び規模が東京都規則(以下「規則」という。)で定める要件に該当するものをいう。 六~八 略 九 内容及び規模が東京都規則(以下「規則」という。)で定める要件に該当するものをいう。 六~八 略 九 計画段階関係地域 事業者が対象計画を策定しようとする地域及びその周辺地域で当該対象計画に基づく事業の実施が環境に影響を及ぼすおそれがある地域として、第十三条及び第三十条第一項の規定により知事が定める地域をいう。 十 事業段階関係地域 事業者が対象事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で当該対象事業の実施が環境に影響を及ぼすおそれがある地域として、第四十九条第一項の規定により知事が定める地域をいう。 十一~十四 略 (知事の基本的責務) 第三条 知事は、良好な環境を保全し、もつて都民の健康で快適な生活を確保するため、この条例に定める手続が適正かつ円滑に行われるよう努めなければならない。 別表 対象事業(第二条関係) 一 道路の新設又は改築 二以下 略 別表 対象事業(第二条関係) 一 道路の新設又は改築 二以下 略
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