平成一四年三月一二日宣告平成一二年合(わ)第三五四号、同第四〇七号殺人未遂,殺人事件 主文 被告人を死刑に処する。 理由 (被告人及び被害者らの身上・経歴並びに犯行に至る経緯)一被告人及び被害者らの身上・経歴、被告人と被害者らの関係 1 被告人(本件当時四七歳)は、千葉県君津郡a村で、曾祖父の代から続く漁師の家に五人兄弟の長男として出生し、中学校卒業後、漁師として働くようになった。被告人は、当初は、父親の漁船の乗組員として、地元である千葉県富津市付近の海で操業していたが、自分で船を所有するようになると、回遊するスズキを狙い、夏に川崎や羽田沖で密漁を繰り返すようになり、昭和六一年一月、同年一一月には漁業調整規則違反で罰金刑に処せられている。 2 被害者A(本件当時五一歳)は、千葉県富津市で出生し、中学校卒業後、漁師として働くようになり、本件当時は「第七Z丸」(以下「Z丸」という。)などを所有して漁をしていた。 3 被害者B(本件当時二八歳)は、青森県むつ市で出生し、中学校卒業後、大工や漁師として働いていたが、平成二年ころ、青森県内を訪れたAと知り合い、平成七年ころから、Aの漁船の乗組員として働くようになった。 4 被害者C(本件当時五〇歳)は、千葉県君津郡で出生し、高校卒業後、人材派遣会社を経営するなどし、平成一一年初旬ころからは、同県君津市内で魚屋を営むようになった。Cは、平成六年ころ、Aと知り合い、本件当時は、右魚屋で販売する魚介類を入手するために、Aの操船する漁船に乗せてもらうなどしていた。 5 被告人は、平成二年ころ、操船中に、双方の漁船の網が絡まる事故が起こったのをきっかけにAと知り合い、その後、スズキの刺し網漁について、被告人がAに指 の操船する漁船に乗せてもらうなどしていた。 5 被告人は、平成二年ころ、操船中に、双方の漁船の網が絡まる事故が起こったのをきっかけにAと知り合い、その後、スズキの刺し網漁について、被告人がAに指導するようにもなり、Aと親しく付き合うようになった。また、被告人は、Aを介してBと知り合い、被告人がAと飲酒する際などにBが同席することもあったが、親しい付き合いはなく、また、Cとはほとんど付き合いがなかった。 6 なお、被告人は、右罰金刑を受けた後、東京都の漁業許可を有する者から名義を借り、自分の船で川崎や羽田沖での漁を続けていたが、そのうちの一人で、東京都大田区内で船舶修理業等を営み、自らも小型船を所有していたDと親しく交際していた。 二被告人のAに対する借金被告人は、Aと知り合ったころから、金に困ると、Aから数万円ないし数十万円単位で金を借りては、分割払いで返済することを繰り返していたが、平成九年ころ、被告人が売却した船をその買主が転売した際、仲介をした被告人の弟が売却代金のうち一五〇万円を使い込んでしまったことから、被告人が他から金を調達して被害を弁償するということがあり、これをきっかけに、被告人は、同年九月一一日ころ、Aから、現金二〇〇万円を借り受けた。また、被告人には未払いの漁具代金があったところ、平成一〇年八月二八日ころ、その売主からAに債権が譲渡され、被告人がAから一〇〇万円を借用したという形が取られた。また、被告人は、従前から、知人らと酒食するための資金などとして、消費者金融や個人から多額の借金をしていたところ、消費者金融等への当座の返済に充てるため、不漁であった年の年末に支給される漁業共済金が、平成一一年末に四〇〇万円支給されるだろうと当て込んで、年末には返済するという約束で、Aから、同年一〇月及び一一月に、それぞ の当座の返済に充てるため、不漁であった年の年末に支給される漁業共済金が、平成一一年末に四〇〇万円支給されるだろうと当て込んで、年末には返済するという約束で、Aから、同年一〇月及び一一月に、それぞれ現金二〇〇万円ずつ合計四〇〇万円を借り入れた。しかし、年末になって、漁業共済金の一部として一九〇万円しか交付されないこととなり、しかも共済掛金、燃料代、漁業協同組合からの借入金等が差し引かれたため、現実には約五〇万円しか被告人の口座に振り込まれず、被告人の目論見は大きく狂ってしまった。 そこで、被告人は、Aに対し、同年末に予定していた返済は不可能であるとともに、翌年一月には一〇〇万円の返済が可能であると説明したところ、Aは、被告人に対し、それまでの貸金合計七〇〇万円から翌年一月に返済予定の一〇〇万円を差し引いて、合計六〇〇万円の無利息の貸金とし、この六〇〇万円の借用証書を作成するとともに、保証人二人を付けるように求めてきた。被告人もこれに同意し、平成一二年一月八日ころ、二名の保証人を付した六〇〇万円の借用証書を作成するとともに、同月一一日、Aに約束の一〇〇万円を支払うなどし、以後、被告人は、六〇〇万円の残債務につき、毎月二〇万円ずつAに元本を返済していけばよいこととなった。 そして、被告人は、同年一月から同年六月にかけて、Aに対し、二〇万円を五回支払い、右借金の残額が五〇〇万円となったところ、Aから、従前の借用証書を額面五〇〇万円のものに書き換える旨の提案があり、同年七月一四日ころ、被告人、A及び保証人の一人が集まった。その際、第三者を金主とすれば、被告人が遅滞なく借金を返済するものと考えたAから金主を装うように要請を受けていたCがこの場に加わり、あたかも被告人への貸金の金主であるかのように振る舞っていた。 この日は、もう一人の すれば、被告人が遅滞なく借金を返済するものと考えたAから金主を装うように要請を受けていたCがこの場に加わり、あたかも被告人への貸金の金主であるかのように振る舞っていた。 この日は、もう一人の保証人が来なかったことなどから、借用証書は作成されなかったが、その席上、被告人は、Aから、念書と書いた紙を見せられながら、「今度、支払が遅れたら、ここに名前を書いてもらわなきゃいけねーぞ。」と言われ、その場でのAとCとの会話とあいまって、それが、借金を返済できなかった場合には被告人所有の船を差し出す旨の念書であることが分かった。被告人は、Aに船を取られてしまえば、借金を返すどころか暮らしていくこともできなくなると考え、Aに対し、「なんてひどいことをいう奴だ。」という気持ちがこみ上げてきたが、Aの気分を害するのを恐れて、反論することができなかった。 同月一八日ころ、被告人と二人の保証人がA宅に赴き、同所で額面五〇〇万円の借用証書を作成したが、その際、Aは、再度、被告人に対し、「今度遅れればこれを書けよ。」と言いながら、念書と書いた紙をひらひらと振って見せた。被告人は、その紙が、一四日ころと同様、借金が返せなかった場合には、被告人所有の船を差し出すという内容の念書であると理解し、「船を取られたら借金は返せない。 生活もできなくなる。Aは本当に船を取るつもりなのか。」と気が動転し、当時、Aら数名の個人や漁業協同組合、信用金庫、消費者金融十数社等に対して合計約二八〇〇万円以上の債務を負担しており、毎月、債務の返済だけで一〇〇万円以上必要な状況であり、被告人に新たに融資する金融機関や個人の当てなどなかったにもかかわらず、その場で、Aに対し、「八月二日に二〇〇万円払うよ。羽田の方で借りっから。あとの三〇〇万は農協で九月に借りっから。」と話し、さらに、Aか 新たに融資する金融機関や個人の当てなどなかったにもかかわらず、その場で、Aに対し、「八月二日に二〇〇万円払うよ。羽田の方で借りっから。あとの三〇〇万は農協で九月に借りっから。」と話し、さらに、Aから「大丈夫だろうな。」と聞かれたのに対しても、「大丈夫です。」と返答した。 三殺害の決意とその準備被告人は、このように、Aに対し、同年八月二日に二〇〇万円を返済すると約束したものの、実際にはその当てが全くなかったため、その日に返済ができなければ、船を差し出す旨の念書を書かされ、Aに船を取られてしまうのではないか、Aに船を取られたらどうしようなどと思い悩むようになった。そして、日が経つにつれ、この不安が強まり、やがて「船を取られるわけにはいかない。Aが死んでしまえば念書を書いたり、船を取られることもない。」という考えが浮かぶようになり、さらには、Aを殺してしまえばいいと思案するようになった。そしてついに、同年七月二二日ころには、「Aさんを殺せば船を取られることはない。」と、Aの殺害を決意するに至った。 そして、被告人は、A殺害を思案するのと同時に、その時期や方法等にも考えをめぐらせていたが、海上であれば第三者に犯行を目撃される可能性がなく、特に夜間行われるスズキの刺し網漁の際であれば更に目撃される可能性がないと判断し、Aがスズキの刺し網漁で東京の海域に行っているときにAの船に乗り込んで殺害することにした。また、Aの船にはBが乗組員として同乗しているが、Aを殺害した後、その発覚を防ぐため、Bをも殺害することを決意するとともに、漁網を入れたり揚げたりする作業の間には、AとBが別々に行動することから、この際に一人ずつ刃物で刺し殺して海に投げ出そうと、具体的な殺害方法も決めた。そして、同月二四日ころ、被告人は、交際相手であるE宅で、同女に対 げたりする作業の間には、AとBが別々に行動することから、この際に一人ずつ刃物で刺し殺して海に投げ出そうと、具体的な殺害方法も決めた。そして、同月二四日ころ、被告人は、交際相手であるE宅で、同女に対し、A及びBの殺害を計画していることを伝え、その際、Eから、「日本では、完全犯罪は絶対に無理なんだよ。B君もやるの、可哀相だん。」などと言われても、A及びB殺害の意思を変えることはなかった。 被告人は、同月二五日ころ、漁具倉庫で網の手入れをするために切り出しナイフの刃を研いでいた際、「このナイフは先も尖っているし、切れ味もいいから、これを使ってAさん達を殺そう。」と考え、犯行に使う凶器を定めた。また、被告人は、羽田沖で漁をしているAの漁船に乗り込む方法についても、自分の船を操船してAの漁船に乗り込むのではAに不自然に思われることから、第三者が操船する船でAの漁船に近づいて乗り込むこととし、さらに、Aに怪しまれないように海上でAの漁船に乗り込むためには、羽田で用事があったので帰りは乗せていってくれとAに依頼するのが自然であり、そのためには羽田の近くに船を持っている人に頼んで、Aの漁船まで乗せていってもらうしかないと考えた。そこで、被告人は、同月二六日、Dに会い、Aからの借金が返済できなければ所有船を差し出す旨の念書を書けと言われているという話をした上で、D所有の船に被告人を乗せ、Aの漁船に近づき、被告人がAの漁船に乗り込んでいる間、近くで待っていてくれるよう依頼し、Dもこれを承諾した。 翌二七日、被告人は、正午ころ、テレビの天気予報で、同日夜の天気が漁に出るにあたって支障のないことを確認し、Aが出漁するのであれば、これまでの計画を実行に移そうと考え、午後三時過ぎころ、何気ない風を装ってAの自宅に電話をかけて、Aから、同人が同日夜出漁 の天気が漁に出るにあたって支障のないことを確認し、Aが出漁するのであれば、これまでの計画を実行に移そうと考え、午後三時過ぎころ、何気ない風を装ってAの自宅に電話をかけて、Aから、同人が同日夜出漁して川崎沖付近で漁をすることを聞き出した。 そこで、被告人は、計画通り、同日夜Aらの殺害を決行することとし、午後八時ころに多摩川河口付近に来ているであろう「Z丸」に乗り込む旨伝え、Aもこれを了承した。そして、被告人は、Aら殺害時に返り血を浴びることを予想して着替えを持って自宅を出、漁具倉庫から前記切り出しナイフと長靴を取り出し、右着替えとともに車に乗せて、午後四時一五分ころ、東京へ向かった。そして、被告人は、Dに電話をかけ、前日の依頼のとおり、同日夜に船を出して欲しいと再度依頼し、Dもこれに応じ、午後七時三〇分ころ、被告人は、Dが操船する小型船「Y」で、多摩川を下って東京湾へ向かった。一方、Aは、午後六時半前ころ、B及びAの漁を手伝って安く魚を仕入れようとの考えから自ら希望して同行することとなったCと共に「Z丸」に乗り込んで出航した。 四犯行直前の状況被告人らの乗った船が多摩川河口に近づいたころ、被告人は、多摩川河口の川崎側に船の作業灯を発見し、Dに指示して小型船「Y」(長さ約六・五メートル、幅約二・一五メートル)を右船舶に近づけさせ、同船が「Z丸」(長さ約一二・四メートル、幅約三・一五メートル)であることを確認した。そして、さらに同船に近づいてすれ違った際、同船にA、BのほかにCも乗船していることが分かった。 被告人は、A及びBの殺害は決意していたものの、予想外のCが乗船していたことから、一瞬犯行を躊躇したが、Aへの借金の返済期日が迫っており、この機会を逃すと、今度はいつAが漁に出るか分からず、返済期日までに殺害できないかもしれないと いたものの、予想外のCが乗船していたことから、一瞬犯行を躊躇したが、Aへの借金の返済期日が迫っており、この機会を逃すと、今度はいつAが漁に出るか分からず、返済期日までに殺害できないかもしれないと考えたため、ここに、A及びBを予定どおり殺害するとともに、Aらの殺害が発覚しないように、Cをも殺害することを決意した。そしてその方法としても、漁網を揚げる際であれば、三名がそれぞれ異なった場所で作業することから、二人を殺害する場合と同様、その際、一人ずつ順次殺害することとした。 そして、被告人は、同日午後八時ころ、前記切り出しナイフをズボンのポケットに隠し持って、小型船「Y」から「Z丸」に乗り移った。被告人が「Z丸」に乗り移った際には、Aらは漁網引き揚げ作業の途中であったが、既に漁網が半分以上揚がっていたため、被告人は、この漁網を完全に揚げるまでに三人を一人ずつ殺害することは困難と考え、殺害は次回網を揚げる際に行おうと考えた。そして、Aから、次に網を入れる場所について助言を求められるや、被告人は、羽田空港の岸壁の側であれば、他に船や人がおらず、犯行を目撃される心配がないと考え、Aに「羽田の方行ってんべ。」と言い、Aは、その助言に従って羽田空港付近に「Z丸」を移動し、漁網を海中に入れ、まもなく、漁網を揚げる作業を開始した。その時、Aは船尾で操船し、Bは船首左舷側で漁網を揚げる作業を行い、Cは船中央付近の作業灯下付近で網から魚をはずす作業を行い、被告人はCの作業を手伝う風を装い、三名殺害の機会をうかがっていた。 (罪となるべき事実)被告人は、平成一二年七月二七日午後九時前ころ、東京都大田区b丁目c番東京国際空港南端付近海上を航行中の漁船「Z丸」の甲板上において、第一 A(当時五一歳)が同船船尾で船外機をのぞき込むような仕草をしていることに 二年七月二七日午後九時前ころ、東京都大田区b丁目c番東京国際空港南端付近海上を航行中の漁船「Z丸」の甲板上において、第一 A(当時五一歳)が同船船尾で船外機をのぞき込むような仕草をしていることに気づき、A殺害の好機であると判断し、Cに「小便してくる。」と声をかけて船尾に向かい、前記切り出しナイフ(刃体の長さ約八センチメートル)を取り出し、被告人に背中を向けていたAに声をかけて、同人が振り返らないことを確認すると、殺意をもって、同人に対し、背後から、右手に持っていた前記切り出しナイフを同人の頸部に突き刺し、さらに、「あんすんだよ。」と言いながら被告人の方に向き直ったAの胸部、背部等を突き刺すなどし、同人を海中に転落させ、よって、そのころ、同所付近において、同人を胸背部刺創による左右肺損傷により死亡させて殺害した。 第二続いて、船首付近で網上げ作業をしていたBをCより前に殺害すると、作業の中断をCが不審に思い、犯行が発覚するおそれがあったため、CをBの前に殺害することを決意し、船尾からC(当時五〇歳)に対して「Cさん、Cさん。ちょっと来て。」などと声をかけて、Cを船尾に呼び、「Aさんがエンジンの調子が悪いから見てくれって。」と言い、さらに、左舷側の船外機の左側を指さしながら、「そこから火が出ているか見てくれ。」と言い、これに従って、船尾左舷側に行き、両手で手すりを持ち、顔を海上に乗り出してエンジンをのぞき込み、被告人に背中を向ける格好となったCに対し、殺意をもって、背後から、前記切り出しナイフで、同人の頭部を数回切り付け、背部等を数回切り付け、突き刺すなどしたが、同人が船首方向に逃れたため、同人に全治約四八日間を要する頭部切創、背部切創、同刺切創等の傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった。 第三船首方向へ逃れたCは、放置し 突き刺すなどしたが、同人が船首方向に逃れたため、同人に全治約四八日間を要する頭部切創、背部切創、同刺切創等の傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった。 第三船首方向へ逃れたCは、放置しておいても絶命するだろうと考え、続いて、計画通り、B(当時二八歳)を殺害すべく、同人に対して「おーい、B、B。Aさんが大変だ。」と叫んで船尾に呼び寄せ、「ちょっと舵をもっててくれ。」と言って、ブリッジの操縦席の所に立たせたBに対し、殺意をもって、背後から、前記切り出しナイフで、同人の胸部、頸部等を突き刺し、さらに、Bが、被告人の攻撃から逃れようと、「Z丸」の左舷に近づいてきた小型船「Y」に乗り移ったのと相前後して「Z丸」から小型船「Y」に乗り移ろうとし、これを見たBをして、小型船「Y」から「Z丸」に飛び移るのを余儀なくさせてその結果海中に転落させ、よって、そのころ、同所付近において、同人を溺死により死亡させて殺害した。 (証拠の標目)省略なお、本件第二のCに対する実行行為の態様については、記憶の混同が考えにくい、Cの捜査段階の供述により認定した。 (法令の適用)被告人の判示第一及び第三の各所為はいずれも刑法一九九条に、判示第二の所為は同法二〇三条、一九九条にそれぞれ該当するところ、各所定刑中判示第一及び判示第三の各罪についていずれも死刑を、判示第二の罪について有期懲役刑をそれぞれ選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから同法四六条一項本文、一〇条により、刑及び犯情の最も重い判示第一の罪につき被告人を死刑に処し、他の刑を科さないものとし、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑判断のための事実認定の補足説明)一弁護人は、被告人の公判廷供述を前提に、被告人は、Aに対しては強固な殺意 訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑判断のための事実認定の補足説明)一弁護人は、被告人の公判廷供述を前提に、被告人は、Aに対しては強固な殺意を有していたものの、C及びBに対しては強固な殺意はなく、また、Bが被告人の攻撃から逃れた後は、B及びCに対してそれ以上の攻撃を加える意思を喪失していたのであるから、Cの死を確信したり、Bの死を期待ないし意欲していたものではない旨主張するとともに、「A殺害の発覚を防ぐため、C及びBに対しても強固な殺意があった」旨の、また、「海に落ちたBや深手を負ったCの死を望んだ」旨の、被告人の捜査段階の供述の信用性を論難して、量刑上重要な事実について争うので、以下、検討する。 二 B及びCに対する強固な殺意について 1 被告人の供述を除く関係各証拠によれば、次の客観的事実が認められる。 (一) 被告人のC及びBに対する刺突行為は、海上で操業中の、比較的小型の船上で、被告人から攻撃を受けることなど全く予想せず、それぞれの作業に没頭していた被害者を、一人ずつ、船尾に呼び寄せ、被告人に背を向けるように仕向けた上、背後から、隠し持った、刃体の長さ約八センチメートルの切り出しナイフで、いきなり切り付けるという態様である。 (二) 被告人の刺突行為により、Cは、後頸部正中付近から左下肋部付近まで達する長さ約三六センチ、創洞の深さ約六センチメートルの切創を始め、頭部、頸部、後背部等身体の枢要部に合計一〇か所の創傷を、また、Bは、前頸部下端、胸部右側、右大腿上端の合計三か所に、いずれも創洞の深さ約三・五センチメートルの刺創を、それぞれ受けた。 2 右客観的事実によれば、被告人は、全く無防備のCに対し、身体の枢要部目掛けて、鋭利な刃物で、力を込めて、執拗に攻撃を加えている ずれも創洞の深さ約三・五センチメートルの刺創を、それぞれ受けた。 2 右客観的事実によれば、被告人は、全く無防備のCに対し、身体の枢要部目掛けて、鋭利な刃物で、力を込めて、執拗に攻撃を加えているのであるから、被告人が、Cに対して、強固な殺意を有していたと認めるのが相当である。 また、Bの創傷は、いずれも致命傷となるものではないが、Cに対するのと同様、全く無防備のBに対し、身体の枢要部目掛けて、鋭利な刃物で、複数回攻撃を加えているのであるから、Bに対しても、強固な殺意を有していたと認めるのが相当である。 3 この点について、被告人は、捜査段階で、次のように供述するところ、既に見た被告人の客観的行為自体に照らし、信用性は高いというべきである。 (一) とにかく、私は、Aを殺したことが誰にもばれないようにするためにCも殺そうと思い、Cの後ろ側からCの首付近をねらってナイフで切り付け、突き刺した。私はナイフを振り下ろすようにしたので、ナイフはCの体に突き刺さったこともあり、また、体を切り裂いたこともあったと思う。ともかく、Cを殺そうと思って、何度もナイフをCの頭や首や背中などに突き刺したり、切り付けたりした(乙五六)。 (二) Cがブリッジの前のドーロマの方に逃げて行ったころ、網も上げ終わって、Bの作業も終わっており、このままでは私がAやCを襲ったことがばれてしまうので、その前にBを殺そうと思い、Bを「Z丸」の後ろに呼んでブリッジの操縦席の所に立たせ、Bを殺すつもりで後ろから右手に持ったナイフで首をねらって突き刺した。Bはすぐに右回りで私の方を向き、ドーロマの方に逃げていった。その間に私は何度かBに向かってナイフを突き刺した(乙五八)。 4 これに対し、被告人は、公判廷において、次のように供述する。 (一) 海に沈んでいくAを見て 方を向き、ドーロマの方に逃げていった。その間に私は何度かBに向かってナイフを突き刺した(乙五八)。 4 これに対し、被告人は、公判廷において、次のように供述する。 (一) 海に沈んでいくAを見て、大変なことをしてしまったなと思った。でも、まだその時点では、BもCもいるので、その先からの行動は、どうしたらいいものかという、そういう心境だった(第六回公判)。 (二) Bを刺すまでは自分でも本当に頭も真っ白状態で、その刺す直前までは本当に自分でもどうしたらいいのか、どうしたらいいのかという気持ちでいた。Bを刺すときも憎しみを込めて力を込めて刺したわけではない(第九回公判)。 5 しかし、この公判廷供述は、前記1の客観的事実に照らし、到底、信用できず、これを前提とする弁護人の主張も、採用できない。 6 以上により、被告人が、C及びBに対しても、強固な殺意を有していたとの事実を認定した。 三 C及びBの死の結果に対する期待ないし意欲について 1 被告人の供述を除く関係各証拠によれば、次の客観的事実が認められる。 (一) Cは、被告人の刺突行為により、前記のとおり合計一〇か所の創傷を負い、発見又は病院搬送が少しでも遅れていれば確実に出血多量により死に至っていた状況にあった(甲一五)。 (二) また、被告人は、凶器として用いた切り出しナイフを持ったまま、小型船「Y」に乗り移ろうとしている。 2 この点について、被告人は、捜査段階で、次のように供述する。 操縦席に行って、ギアを小刻みに操作しながら、少しずつZ丸を後退させ、後ろの方を向いてDの小型船「Y」を呼んだ。CとBは、ドーロマのネットローラーの付近に立って、後ろを見ており、小型船「Y」が見えると、Bも「おーい、おーい。」と呼んでいた。このとき、私は、とても怖い気持ちになっており、とにか 「Y」を呼んだ。CとBは、ドーロマのネットローラーの付近に立って、後ろを見ており、小型船「Y」が見えると、Bも「おーい、おーい。」と呼んでいた。このとき、私は、とても怖い気持ちになっており、とにかく早くこの場を去りたいという気持ちでいっぱいであり、前に行ってCとBにとどめを刺そうという気持ちにはならなかった。かといって、自分のしたことを後悔し、CとBを助けようと言う気持ちもなかった。二人が私に刺された傷で死ぬなら死んでもいい、とにかくこの場から離れたいという気持ちだった。 小型船「Y」に乗り込むと、Bが海に落ちて浮いているのが見えた。Bはしばらく海に浮かんであっぷ、あっぷしていたが、そのうちに沈んでいった。私は、別にBを追いかけて小型船「Y」に飛び乗ろうとしたわけではないが、Bを助ける気もなかったので、Bが沈むのを何もせずに見ていた。怖くなってとどめを刺すのはやめたものの、BやCが死んでしまえば私の目的は果たしたことになる(乙五八)。 3 被告人のこの捜査段階の供述内容は、前記認定の、被告人がC及びBに対して強固な殺意を有していた事実、前記1認定の客観的事実とよく符合している上、「『Y』に乗り移ってから、Bから抵抗された場合に備えてナイフを持っていた。」との公判廷での供述(第七回及び第九回公判)と合致しており、信用性が高いというべきである。 4 これに対し、被告人は、公判廷で、次のように供述する。 (一) Cをそのまま置いておいて死んで欲しいという、そういうような気持ちは持っていなかった(第四回公判)。 (二) Bを刺したときも、死んでくれればいいとかそういう気持ちはなかった。小型船「Y」が迎えに来て乗り移るとき、二人をこのまま残して行けば救助されて助かるかなと思っていた(第九回公判)。 5 しかし、この公判廷供述も、前記 んでくれればいいとかそういう気持ちはなかった。小型船「Y」が迎えに来て乗り移るとき、二人をこのまま残して行けば救助されて助かるかなと思っていた(第九回公判)。 5 しかし、この公判廷供述も、前記認定の被告人がC及びBに対して強固な殺意を有していた事実、前記1認定の客観的事実に照らし、到底、信用できず、これを前提とする弁護人の主張も、採用できない。 6 以上により、Bが被告人の攻撃から逃れた後も、被告人が、C及びBの死の結果を期待ないし意欲していたとの事実を認定した。 四完全犯罪を目論んだとの点について 1 なお、弁護人は、具体的な事実を挙げ、被告人が本件犯行に先立って取った行動は、本件犯行そのものや本件犯行が被告人によることの発覚を防ぐ、いわゆる「完全犯罪」を遂行するための緻密な計画とはおよそいえないと主張し、「本件各犯行は、極めて周到な準備と入念な計画の下、完全犯罪を企図して巧妙に計画・遂行されたものである。」との検察官の論告を批判するとともに、完全犯罪を企図したとする被告人の捜査段階の供述、とりわけ、海上保安官作成の供述調書の記載の信用性を論難する。 2 確かに、完全犯罪、すなわち、被告人の犯行であることが発覚しないことを目論んだとの点が、客観的にはかなり杜撰なものであることは、弁護人指摘のとおりである。しかし、被告人が、Aのみならず、CやBに対しても強固な殺意を有していたことは、既に述べたとおり、客観的証拠のみによっても明らかであるところ、被告人がC及びBに対しても強固な殺意を抱いた動機としては、A殺害が被告人の犯行であることの発覚を防ぐためであると理解するのが相当であり、被告人の意図の中では、完全犯罪を目論んでいたと理解するのが相当である。 3 よって、これと同旨の被告人の捜査段階の供述の信用性を論難する弁護人の主張は 覚を防ぐためであると理解するのが相当であり、被告人の意図の中では、完全犯罪を目論んでいたと理解するのが相当である。 3 よって、これと同旨の被告人の捜査段階の供述の信用性を論難する弁護人の主張は、採用できない。 4 なお、本件において、被告人による完全犯罪の目論見が客観的に杜撰であったことと、被告人が、Aら殺害に向けて、綿密、周到な計画、準備を遂行したこととは、もとより、矛盾するものではない。 (量刑の事情)一本件は、海上で夜間操業中の、三名の被害者が乗り組む漁船に乗り込んだ被告人が、隠し持っていた切り出しナイフを用いて次々と切り付けるなどし、二名を殺害し、一名に重傷を負わせた、殺人、殺人未遂の事案であって、その罪質自体、極めて重大である。 二 Aの殺害を決意するに至った経緯を見ると、被告人は、Aに対して五〇〇万円もの多額の借入金残高を抱え、毎月二〇万円を返済すべき債務を負っていたところ、Aから、約束どおり借金を返済できなかった場合には、被告人所有の漁船を差し出す旨の念書の作成を求められたことから、その当てがなかったにもかかわらず、自分の方から、半月後に二〇〇万円を、更にその一か月後に残りの三〇〇万円をまとめて返済すると約束してしまい、その後、具体的な金策等を行うこともなく、自ら定めた半月後の返済期日の前にAを殺害して漁船を失うことを免れようと考えたものであって、極めて短絡的かつ利欲的で身勝手な動機に基づく犯行である。被告人は、かつて、四〇〇万円を約束どおり返せなかったことがあり、Aがそのような念書の作成を求めたことは、債権者の行動として、特に責められるべきものではない上、本件犯行直前の状況を見ると、Aは、被告人の求めに応じて被告人を「Z丸」に乗船させ、網を入れる場所について被告人に助言を求め、現に被告人の助言に従って「Z丸」を 、特に責められるべきものではない上、本件犯行直前の状況を見ると、Aは、被告人の求めに応じて被告人を「Z丸」に乗船させ、網を入れる場所について被告人に助言を求め、現に被告人の助言に従って「Z丸」を移動しているのであって、何ら険悪な雰囲気にはなく、Aを殺害した被告人の動機に酌むべきものは全くない。 また、被告人は、A殺害が発覚するのを防ぐため、日頃からAの漁船に同乗しているBをも一緒に殺害しようと決意し、さらに、犯行直前には、たまたま同乗していたCについても、同じ理由から殺害しようと決意したものであって、もとより、B及びC両名にも、被告人に殺害されなければならない落ち度は全くなく、被告人がB及びCを殺害しようとした動機には酌むべき事情は全くない。 三本件犯行の態様を見ると、まず、被告人が選んだ犯行場所は、海上で夜間操業中の比較的小型の漁船の甲板上という、逃げ場のない場所であるところ、被害者らは、いずれも被告人の攻撃を全く予想しておらず、いきなり、被告人の切り出しナイフによる攻撃を受けた、無防備の被害者らは、甲板上で刺殺されるのを待つか、肉体的・精神的に手負いの状態で海中へ逃れ、溺死するしかないのであって、このことは見えやすい道理で、被告人としても十分に認識していたと認められるのであるから、このような場所を殺害の現場として選んだ、そのこと自体、被害者の生命を軽んじる、極めて悪質な態様であるといわざるを得ない。 そして、被告人は、A及びB殺害を決意するや、自ら、犯行に使用する凶器などを準備する一方、知人に依頼して、Aらに不審がられずに「Z丸」に乗り込み、犯行後は逃走するための小型船を手配し、さらには、Aに電話をかけて肝心のAが出漁することを確認するなどした上で犯行に及んでおり、犯行実現に向けた準備・手配を、各方面に、着々と進めているの 乗り込み、犯行後は逃走するための小型船を手配し、さらには、Aに電話をかけて肝心のAが出漁することを確認するなどした上で犯行に及んでおり、犯行実現に向けた準備・手配を、各方面に、着々と進めているのであって、極めて用意周到な計画的犯行である。 加えて、被告人は、犯行直前に「Z丸」に予想外のCが乗船していることを認め、一瞬犯行を躊躇したものの、なお、当初の計画どおり、A及びBを殺害し、さらにCも殺害しようと決意し、犯行に及んだものであって、三名に対する強固な殺意が認められる。 そして、被告人は、刃体の長さ約八センチメートルの鋭利な切り出しナイフで、Aに対しては、後方から左上背部に力一杯突き刺し、その後、多数回にわたり頭部、胸部、頸部等を突き刺すなど、一突きでも致命傷になるような創傷を何度も連続的に加え、その場で即死させるに至ったものであり、その殺害方法は執拗で、残虐である。 Cに対しても、後頸部付近から右下肋部付近まで達する、長さ約三六センチメートル、創の深さ約六センチメートルに及ぶ創傷を負わせる等、一〇回にわたって切り付け、また、Bに対しても、A及びCと同様、鋭利で殺傷能力のある切り出しナイフで、背後から頸部等をめがけ、攻撃を加えており、その結果、Bは海中に転落し溺死したものであって、被告人の行為は極めて残虐である。 しかも、被告人は、三名を確実に殺害すべく、被害者らが網を揚げる作業を行うためにそれぞれの持ち場につくのを待ち、まず、船尾で船外機をのぞき込むような仕草をしていたAを攻撃し、Aが海中に転落してその姿が見えなくなるのを確認した上、網を揚げる作業が中断しないよう、次の攻撃の対象をCと定め、Cを船尾に呼び寄せ、背後から切り出しナイフで襲い、さらに、Bに対しても、操縦席に呼び寄せた上で背後から攻撃しているのであっ を確認した上、網を揚げる作業が中断しないよう、次の攻撃の対象をCと定め、Cを船尾に呼び寄せ、背後から切り出しナイフで襲い、さらに、Bに対しても、操縦席に呼び寄せた上で背後から攻撃しているのであって、被告人は、人を殺害するという異常な状況において、冷徹に、次々と犯行を敢行したものである。 四本件犯行により、A及びBの尊い人命が立て続けに奪われ、また、Cは幸いにして一命を取り止めたものの、発見が少しでも遅れれば死に至る可能性が高いという瀕死の重傷を負わされたものであり、その結果は極めて重大である。 前記のとおり、A及びBには何ら落ち度がないにもかかわらず、しかもBに至ってはAの漁船に乗り合わせたという理由のみによって、無防備のところを、いきなり切り出しナイフによる攻撃を受け、死に追いやられたのであって、A及びBの受けた苦痛、無念さは察するに余りある。加えて、肉親を殺害された上、その顔からのみでは本人と判断することのできない、見るも無惨な状態の遺体と対面させられることとなった遺族らの悲しみと怒り、憤りは計り知れず、遺族らが一様に被告人に対して極刑を望む心情は、誠にもっともなことである。 Cも、幸いにして一命を取り止めたものの、本件犯行によって受けた精神的、肉体的衝撃が極めて大きいことも明らかであり、AやBをも殺害した被告人に対して極刑を望む心情は十分に理解できる。 五さらに、被告人は、犯行後、その発覚を知りながら、さらには、複数の知人から捜査機関への出頭を勧められたにもかかわらず、逃亡生活を送っており、犯行後の情状も芳しくない。 六加えて、本件は、夜間、東京湾で操業中の漁船上での殺人、殺人未遂事件として大きく報道され、社会に与えた影響も看過することはできない。 七一方、被告人は、公訴事実自体については認め、被害者、遺族らに対し えて、本件は、夜間、東京湾で操業中の漁船上での殺人、殺人未遂事件として大きく報道され、社会に与えた影響も看過することはできない。 七一方、被告人は、公訴事実自体については認め、被害者、遺族らに対して謝罪する旨述べていること、Cに対して慰謝料として一六五万円を支払ったこと、漁業調整規則違反による罰金前科二犯以外に前科はないこと等、被告人のために酌むべき事情も認められる。 八死刑は、いうまでもなく人間存在の根元である生命そのものを永遠に奪い去る究極の刑罰であるから、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪質が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に、はじめてその選択が許されるものといわなければならない。 そこで、以上の事情を総合考慮するに、本件犯行の罪質が極めて重大であることは明らかであり、犯行の動機は、酌むべき事情の全くない、短絡的かつ利欲的で身勝手なものであり、犯行の態様は、用意周到な計画的犯行である上、逃げ場のない場所を犯行場所として選び、冷徹に攻撃対象を定め、一人ずつ、鋭利な刃物で執拗に攻撃を加えているなど、極めて残虐な態様であって、二名の命を奪い、一名に瀕死の重傷を負わせたという結果の重大性、極めて厳しい遺族らの被害感情、社会的影響、犯行後の情状等諸般の事情に照らすと、前述のほか、記録上認められる被告人に有利な情状を最大限斟酌しても、被告人の罪責は誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも、極刑はやむを得ないと認められる。 よって、主文のとおり判決する。 平成一四年五月九日東京地 限斟酌しても、被告人の罪責は誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも、極刑はやむを得ないと認められる。 よって、主文のとおり判決する。 平成一四年五月九日東京地方裁判所刑事第一一部裁判官幅田勝行裁判官北村治樹裁判長裁判官秋吉淳一郎は転補のため署名押印することができない。 裁判官幅田勝行
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