- 1 -主文 原判決中,控訴人ら敗訴部分を取り消す。 上記取消しに係る被控訴人の訴えをいずれも却下する。 訴訟費用は,第1,2審を通じて,被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 第1次的趣旨主文同旨 第2次的趣旨(1)原判決中,控訴人ら敗訴部分を取り消す。 (2)上記取消しに係る被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2事案の概要等 事案の概要仙台市民,すなわち宮城県民を構成員とする権利能力なき社団である被控訴人は宮城県警察以下単に県警ということがある本部の職員であった,(「」。)控訴人らほか6名が,平成6年度及び平成7年度に宮城県に事務連絡,業務視察等を目的とする出張旅費を支出させたがこれら出張はすべて架空のものカ,(ラ出張)又は業務上の必要性のないもの(ムダ出張)であったとして,平成14年6月24日に住民監査請求をし,同年8月21日付けでこれを棄却されたため,同月30日,原審に,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの以下法という242条の2第1項4号に基づき宮城県に代位。 「」。),し,上記10名を被告として出張旅費相当額の損害賠償を請求する訴えを提起した。 原審は,出張旅費中,通常業務とされる出張に係る訴えについては,監査請求が支出の日から1年以上経過したことに正当な理由がないとして却下し,捜査関係用務とされる出張に係る訴えについては,監査請求が支出の日から1年- 2 -以上経過しているものの,監査請求の1か月前まで被控訴人は出張旅費を特定するのに必要な最低限の要素である出張日時及び出張先を承知しておらず期間徒過につき正当な理由があるとした上,時効が完成した被告1名に対する請求を棄却し,その余の被告らである控訴人らに対 張旅費を特定するのに必要な最低限の要素である出張日時及び出張先を承知しておらず期間徒過につき正当な理由があるとした上,時効が完成した被告1名に対する請求を棄却し,その余の被告らである控訴人らに対する請求につき,出張の事実が認められないとして,これを認容した。 本件は,控訴人らが,原判決のうち上記認容部分を不服として,控訴を提起した事案である。 基本的事実本訴において判断の前提となる基本的事実は,原判決の「事実及び理由」欄「」,。 の第2事案の概要等の2項に記載のとおりであるからこれを引用する 当事者の主張控訴人らが本件控訴において不服の対象とする請求に関する当事者の主張は,(1)のとおり訂正し,(2)のとおり当審における訴えの適法性に関する主張を追加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要等」の3項ないし6項(ただし,不服の対象とされていない請求にのみ関する部分で,,。 ある3項の(4)ア5項の(5)並びに6項の(5)(6)ア(ウ)b.及び(6)イを除くなお3項の(5)イは主として通常用務による出張に関する部分であるが捜査,,関係用務による出張に関する主張も含まれているのでこれは除外しないに,。)記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決の訂正イは誤記の訂正でありその余は不服の対象とされて(,,,いない請求にのみ関する部分を除く趣旨である)。 「,」「」ア原判決15頁15行目の③から同16行目の消滅していないかまでを削る。 イ原判決15頁24行目の「平成14年4月16日」を「平成16年4月15日」に改める。 ウ原判決37頁17行目から40頁19行目までを次のとおり改める。 - 3 -「ア控訴人Aの責任,,(ア)控 15頁24行目の「平成14年4月16日」を「平成16年4月15日」に改める。 ウ原判決37頁17行目から40頁19行目までを次のとおり改める。 - 3 -「ア控訴人Aの責任,,(ア)控訴人Aは平成5年3月25日から平成7年3月12日まで総務課の課長職にあった。 (イ)控訴人Aは,原判決別紙1の№25・26,27・28及び33・34記載の各出張につき,これらの出張が存在しないか,業務上不必要であることを認識しながら,旅行命令を発した。 (ウ)よって,控訴人Aは,宮城県に対し,上記出張に係る旅費相当額24万2520円を賠償すべき義務がある。 イ控訴人Bの責任,,(ア)控訴人Bは平成7年3月13日から平成9年3月23日まで総務課の課長職にあった。 (イ)控訴人Bは,原判決別紙2の№1・2,5・6,26・27,34・35及び55・56記載の各出張につき,これらの出張が存在しないか,業務上不必要であることを認識しながら,旅行命令を発した。 (ウ)よって,控訴人Bは,宮城県に対し,上記出張に係る旅費相当額36万0480円を賠償すべき義務がある。 ウ控訴人Cの責任(ア)控訴人Cは,原判決別紙1の№25,27及び33並びに原判決別紙2の№1,5,26,34及び55記載の各出張の出張者である。 (イ)控訴人Cは,これらの出張が存在しないか,業務上不必要であることを認識しながら,旅費として30万1500円を受領した。 (ウ)よって,控訴人Cは,宮城県に対し,上記出張に係る旅費相当額30万1500円を賠償すべき義務がある。 エ控訴人Dの責任- 4 -(ア)控訴人Dは,原判決別紙1の№26,28及び34記載の各出張の出張者である。 (イ)控訴人Dは,これらの出張が存在しないか,業務上不必要であることを認識しながら, 訴人Dの責任- 4 -(ア)控訴人Dは,原判決別紙1の№26,28及び34記載の各出張の出張者である。 (イ)控訴人Dは,これらの出張が存在しないか,業務上不必要であることを認識しながら,旅費として12万1260円を受領した。 (ウ)よって,控訴人Dは,宮城県に対し,上記出張に係る旅費相当額12万1260円を賠償すべき義務がある」。 エ原判決67頁23行目の「上記被告7名には何らの利得も生じていないを控訴人C及び同Dの行為には何らの違法性もなく同控訴人らに。」「,対する請求は失当である」に改める。 。 (2)当審における訴えの適法性に関する主張ア控訴人ら(ア)本件監査請求においては,旅費の支出の特定が問題とされるべきところ,出張日時及び出張先が不明であっても,その他の何らかの特徴を示す事実を把握することができれば,これによって対象とする支出を他の支出から区別し特定して認識することができる。 これを本件についてみると,第1次開示において,捜査関係用務による出張8件以下本件捜査関係用務出張というに関し支出負担(「」。),行為兼旅費支出命令決議書については,年度,決議番号及び旅行命令票,(),(「」)番号が旅行命令依頼票については所属長総務課長との記載及び管理官の職名所属長及び管理官の決裁印執行機関名警察本部,,(「総務課」との記載)のほかに,年度,旅行命令票番号及び旅行命令番号が,それぞれ開示された。 したがって,被控訴人は,平成12年5月31日の第1次開示の時点で,年度,旅行命令票番号及び旅行命令番号によって,本件捜査関係用務出張に係る旅費の支出を他の出張に係る旅費の支出から区別し特定して認識することができた。 - 5 -そして,住民監査請求において で,年度,旅行命令票番号及び旅行命令番号によって,本件捜査関係用務出張に係る旅費の支出を他の出張に係る旅費の支出から区別し特定して認識することができた。 - 5 -そして,住民監査請求においては,対象とする財務会計上の行為又は怠る事実以下当該行為等というを他の事項から区別し特定し(「」。),て認識することができるように,個別的,具体的に摘示することを要するが,監査請求書及びこれに添付された事実を証する書面の各記載,監査請求人が提出したその他の資料等を総合して,監査請求の対象が特定の当該行為等であることを監査委員が認識できる程度に摘示されているのであれば,これをもって足りるのであり,上記の程度を超えてまで当該行為等を個別的,具体的に摘示することを要するものではない(最高裁平成16年11月25日第1小法廷判決民集58巻8号2297頁,最高裁平成16年12月7日第3小法廷判決集民215号871頁。以下これらを単に最高裁平成16年判決というから監査請求の対「」。),象としての旅費の支出は,第1次開示の時点において,既に特定することが可能であった。 なお,宮城県監査委員会も,上記のような特定があれば,仮に被控訴人が平成13年10月24日当時に監査請求をしても,これを不適法としなかったはずであるし,仮に,当時,これを不適法とする見解に立っていたとしても,被控訴人としては,法242条の2第1項4号所定の住民訴訟を提起し,これを是正する手段を有しているのであるから,宮城県監査委員会の監査請求の対象の特定に関する見解が監査請求の遅滞を正当化する理由にはならない。 (イ)また,監査請求に際し提出すべき違法又は不当な公金の支出等を証する書面(法242条1項)については,厳密に違法又は不当な公金支出等を証するもの 監査請求の遅滞を正当化する理由にはならない。 (イ)また,監査請求に際し提出すべき違法又は不当な公金の支出等を証する書面(法242条1項)については,厳密に違法又は不当な公金支出等を証するものが要求されておらず,一応の疑惑を提示するだけで足りると解されている(宮城県監査委員会も,平成13年10月24日当時同様の見解であったと考えられることからすると監査請求をし,。),ようとする者は,当該行為等を構成するあらゆる要素を知るまでの必要- 6 -はなく,個々の支出の概要,各支出間に見られる一定の傾向等何らかの事情から,当該行為等の相当性について疑惑を抱く端緒となり得る程度の資料があれば足りる。 これを本件についてみると,被控訴人は,平成12年5月31日の第1次開示により,総務課員の出張の中に,開示文書のほとんどの事項が墨塗りされた8件の出張(本件捜査関係用務出張。平成6年度3件,平成7年度5件)が存在し,これらの旅費が一般警察活動費から支出されていることを知り,遅くとも同年10月31日までには,これら出張がいずれも捜査関係用務を目的とするものであることを知った。また,被控訴人は,平成13年1月26日当時,本件捜査関係用務出張を含む31件の出張の復命書がすべて同一人物によって作成されたものであることを知り,同年9月12日当時,上記31件の出張者の1人が同一人物であることを知り,同年10月24日当時,上記同一人物が控訴人Cであることを知っていた。さらに,被控訴人は,遅くとも平成13年3月1日までには,総務課員の出張が平成9年度以降激減していることを知った。 ところで,被控訴人の第1次開示に係る異議申立てにおける主張,第1次訴訟における主張及び本訴における主張からすると,被控訴人は,第1次開示当時,平成6年度及び平成7年度の 減していることを知った。 ところで,被控訴人の第1次開示に係る異議申立てにおける主張,第1次訴訟における主張及び本訴における主張からすると,被控訴人は,第1次開示当時,平成6年度及び平成7年度の総務課員の出張の存在及び相当性につき既に相当な疑問を抱いていたと推認されるところ,そのような中でほとんどの事項が墨塗りされた文書が開示されたことは,本件捜査関係用務出張が被控訴人の高度の注意を引くに十分であった。また,被控訴人は,一般警察活動費は捜査費用に充てられない旨誤信していたが,そのような認識を有していたのであれば,本件捜査関係用務出張に係る旅費が一般警察活動費から支出されていることを知った時点で,これら出張の存在及び相当性に相当な疑惑を抱いたか,少なくとも- 7 -これを抱くことができた。さらに,原判決は,総務課員が捜査関係用務に出張することは極めて異例であり不自然である旨判示するところ,これは事実誤認であるが,原審ですらこのような誤解をするのであれば,かねてから総務課員の出張に疑惑を抱いていた被控訴人としては,同様の誤解をして,本件捜査関係用務出張の存在及び相当性に相当な疑惑を抱いたか,少なくともこれを抱くことができた。このほか,総務課員の出張が平成9年度以降激減したことについても,被控訴人は,これを出張の不存在等の証左であると誤解していたのであるから,同様の疑惑の根拠となるものである。 なお,平成14年5月24日の第2次開示により,新たに開示された情報に本件捜査関係用務出張に係る旅費の支出の違法又は不当の疑惑を深めるようなものがなかったことは,上記引用に係る原判決に摘示された控訴人らの主張のとおりである。 (ウ)以上によれば,被控訴人は,平成13年10月24日当時,既に監査請求をすることが可能であったということができるから ったことは,上記引用に係る原判決に摘示された控訴人らの主張のとおりである。 (ウ)以上によれば,被控訴人は,平成13年10月24日当時,既に監査請求をすることが可能であったということができるから,平成14年6月24日にした本件監査請求は不適法であり,適法な監査請求を経ていない本訴は却下されるべきである。 イ被控訴人(ア)当時の宮城県監査委員は,監査請求について,最高裁平成16年判決の立場ではなく,監査請求においては,対象とする当該行為等を監査委員が行うべき監査の端緒を与える程度に特定するだけでは足りず,当該行為等を他の事項から区別して特定認識できるように個別的,具体的に摘示することを要し,また,当該行為等が複数である場合には,当該行為等の性質,目的等に照らしこれらを一体とみてその違法又は不当性を判断するのを相当とする場合を除き,各行為等を他の行為等と区別して特定認識できるように個別的,具体的に摘示することを要するとする- 8 -最高裁平成2年6月5日判決(民集44巻4号719頁。以下単に「最高裁平成2年判決というの立場により運用しており批判はあった」。),ものの,個々の財務会計行為を特定し,かつ,違法又は不当を基礎付ける事由を具体的に明らかにすることを求めていたのであり,仮に,被控訴人が,控訴人らが主張する平成13年10月24日当時,監査請求をしたとしても,出張日時,出張先,出張旅費額等が不明であるとして不適法とされていたはずであるから,控訴人らの主張は受理されない監査請求をせよというに等しい。しかも,これまでの県警関係の住民訴訟に,,,,おいて被告は本案前の主張として同旨の主張をしていたのであり控訴人らが本訴において上記のような主張をするのは,訴訟を別にするとはいえ,あまりに身勝手な対応である 係の住民訴訟に,,,,おいて被告は本案前の主張として同旨の主張をしていたのであり控訴人らが本訴において上記のような主張をするのは,訴訟を別にするとはいえ,あまりに身勝手な対応である。 (イ)また,平成13年10月24日当時の宮城県監査委員は,監査請求に際し提出すべき違法又は不当な公金の支出等を証する書面(法242条1項)について控訴人ら主張のような解釈は採っておらず,状況証拠の積み重ねでは不十分であり,個々の出張旅費の支出につき,違法又は不当な事由を提示しないと監査請求を受理しない態度をとっていた。 確かに,被控訴人は,警察の不正経理の常態化を疑い,宮城県の知事部局及び議会にあったカラ出張が県警にないはずはないと考え,これらカラ出張と総務課員の県外出張の特徴を分析し,さらに,第1次開示の際に開示文書のほとんどが墨塗りされていたことから,本件捜査関係用務出張につき高度の関心を持ち,相当の疑惑を抱いていたが,これはあくまでも疑惑の域を出るものではなく,カラ出張と断定できないことは明らかであり,この程度で監査請求に及べば,これが却下されたであろうことは想像に難くない。 しかも,控訴人らは,被控訴人が疑惑の根拠とする諸事情につき,カラ出張の根拠にはならないとの立場であり,被控訴人が監査請求をして- 9 -も,控訴人らはその旨の反論をしたはずである。このように,控訴人らは,カラ出張を推認させる事実ではないと主張する事実をもって,監査請求をすべきと主張しており,主張自体に矛盾がある。 なお,被控訴人は,遅くとも平成12年10月31日までには,本件捜査関係用務出張がいずれも捜査関係用務を目的とするものであることを知っていたが,少なくとも誰がいつどこへどのような目的で出張したかに関する情報を入手し,分析しなければ,これがカラ出張等 には,本件捜査関係用務出張がいずれも捜査関係用務を目的とするものであることを知っていたが,少なくとも誰がいつどこへどのような目的で出張したかに関する情報を入手し,分析しなければ,これがカラ出張等であるとは主張できないし,また,被控訴人が,総務課員の出張数の変動につき認識していたのは,平成13年3月1日の時点では,平成9年度の1月分ないし3月分が平成6年度及び平成7年度の同時期に比較して激減している事実にとどまり,年度を通じて激減している事実を知ったのは平成14年6月21日以降である。 (ウ)そして,監査請求の要件とされるのは事実の摘示であり,推測又は憶測がその要件を充たさないのはあまりにも当然であるところ,被控訴人が,特定人物の特定都市への出張という事実を初めて把握したのは,第2次開示によってであるから,それ以前に監査請求をしなかったのは当然のことであり,その時から相当な期間内にした本件監査請求は適法であり,適法な監査請求を経た本訴もまた適法である。 第3当裁判所の判断 住民監査請求においては,対象とする財務会計上の行為(当該行為)が秘密裡にされた場合に限らず,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうか- 10 -によって判断すべきものである(最高裁平成14年9月12日第1小法廷判決民集56巻7号1481頁,最高裁平成14年9月17日第3小法廷判決集民207号111頁参照) 請求をしたかどうか- 10 -によって判断すべきものである(最高裁平成14年9月12日第1小法廷判決民集56巻7号1481頁,最高裁平成14年9月17日第3小法廷判決集民207号111頁参照)が,当該普通地方公共団体の一般住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて上記の程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなくても,監査請求をした者が上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される場合には,上記正当な理由の有無は,そのように解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成14年10月15日第3小法廷判決集民208号157頁参照。 )そして,監査請求においては,当該行為等を,他の事項から区別し特定して認識することができるように,個別的,具体的に摘示することを要するが,監査請求書及びこれに添付された事実を証する書面法242条1項の各記「」()載,監査請求人が提出したその他の資料等を総合して,監査請求の対象が特定の当該行為等であることを監査委員が認識できる程度に摘示されているのであれば,これをもって足りるのであり,上記の程度を超えてまで当該行為等を個別的,具体的に摘示することを要するものではない(最高裁平成16年判決参照したがって当該行為等を特定するための指標も他に類似の行為等があ)。 ,,りいずれを監査対象とすべきか不明確になる可能性の有無を踏まえ,相対的に異なり得るところであって,例えば,違法な支出について監査請求をする場合,,,,,には他の支出との混同の可能性がなければ必ずしも支出日時支出金額支出先,支出目的等を,これが出張旅費のための支出であれば,出張日時,出張先,出張旅費額等を列挙する方法により特定する必要はないと は他の支出との混同の可能性がなければ必ずしも支出日時支出金額支出先,支出目的等を,これが出張旅費のための支出であれば,出張日時,出張先,出張旅費額等を列挙する方法により特定する必要はないと解される。 また,監査請求は,このように特定された当該行為等につき監査委員が監査を開始する契機であり,監査の過程において,改めて請求人に証拠の提出及び陳述の機会が与えられる(法242条3項,5項)ことからすると,法242条1項が「証する書面」の添付を求めているのは,事実に基づかない単なる憶- 11 -測による探索的な監査請求を認めない趣旨であって,厳密な意味で当該行為等に関する違法事由を立証することまでを求めるものではなくそのため証す,,「る書面」は,違法事由を特定して疑惑を提示するものであれば,その様式等は問われず,監査請求をした者自身が他人から聞知したことを書面化したもの,新聞記事の切抜き等でも足りると解される。 そうすると,法242条2項所定の「正当な理由」の有無の判断に関して,監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたときとは,監査請求をしようとする者が,住民として求められる相当の注意力をもってすれば認識し得た事実及び自ら認識し得た事実に基づき,監査請求の対象となる当該行為を何らかの指標をもって他の事項から区別し特定して認識し,何らかの事実に基づきその違法事由を特定して疑惑を提示することができる程度に至ったときを指すというべきである。 これを本件についてみると,前記基本的事実に証拠(甲1,17,22,23の1~4,24~27,28の1~18,33,45,乙1の1及び2,3の1及び2,6~9,13,17,21,22,29~31,33,34,46~48,52)及び弁論の全趣旨を併せれば,以下の事実が認 の1~4,24~27,28の1~18,33,45,乙1の1及び2,3の1及び2,6~9,13,17,21,22,29~31,33,34,46~48,52)及び弁論の全趣旨を併せれば,以下の事実が認められる。 (1)宮城県は平成8年6月12日議会及び県警を除く全部局のカラ出張に,,関する内部調査の結果として,平成6年度及び平成7年度に総額約5億8100万円相当のカラ出張が判明した旨公表し,さらに,平成12年,議会につき平成6年度に184万3268円相当のカラ出張が判明した旨公表したが,行財政の不正の監視,是正等を目的として結成された被控訴人は,その都度,これら事実を関心をもって承知していた。 (2)被控訴人はかねてから宮城県警以外の警察につきカラ出張による裏,,,金作りといった不正経理の疑惑がある旨の書籍の出版,新聞及び週刊誌の報道等があったなおこのような報道はその後も相次いだこともあり宮(,。),城県の知事部局にあるカラ出張が県警にないはずはないと考え,その不正経- 12 -理の常態化を疑い,その構成員らにおいて,宮城県知事に対し,平成8年6月24日付けで第1次開示に関する申立てをし,平成12年5月31日,第,,(),1次開示として支出負担行為兼旅費支出命令決議書旅行命令依頼票復命書等の開示を受けたが,本件捜査関係用務出張(平成6年度3件,平成),,,7年度5件に関しては支出負担行為兼旅費支出命令決議書につき年度決議番号及び旅行命令票番号が,旅行命令(依頼)票につき,年度,旅行命令票番号,執行機関名(警察本部総務課」との記載,旅行命令番号,所属「)長総務課長との記載及び管理官の決裁印等がそれぞれ開示されたの(「」),みで,その余は墨塗りされてい 旅行命令票番号,執行機関名(警察本部総務課」との記載,旅行命令番号,所属「)長総務課長との記載及び管理官の決裁印等がそれぞれ開示されたの(「」),みで,その余は墨塗りされていた。 (3)被控訴人は第1次開示を受け宮城県の知事部局のカラ出張及びその後,,に公表された宮城県議会のカラ出張と県警本部総務課の県外出張の特徴を分析し,両年度とも1月から3月にかけての出張が多く,特定都市への2年続いての同一時期の出張及び同一年度に同一都市へ複数回の出張,3名の出張が雪祭りの時期と一致した札幌出張,日帰りが可能な福島への泊付き出張,観光地である京都及び神戸への出張等があることから,総務課の出張の存在及び相当性につき疑いを深め,さらには,本件捜査関係用務出張に係る開示文書のほとんどが墨塗りされていたことから,本件捜査関係用務出張につき高度の関心を持ち,これら出張がカラ出張等ではないかとの相当の疑惑を抱くに至ったが,上記のような特徴が一部あるからといって,すべての出張の存在及び相当性につき疑いが強いとまではできないと判断し,上記のような特徴が揃っていると認められるもののみについて第1次監査請求の対象とし,本件捜査関係用務出張を含むその余の出張については監査請求を見送った。 (4)被控訴人は遅くとも平成12年10月31日までには本件捜査関係用,,務出張が捜査関係用務とされていることを知り(争いがない,平成13年。)1月26日までには,本件捜査関係用務出張を含む31件の出張の復命書の- 13 -筆跡等から,これら復命書がすべて同一人物によって作成されたものである,,,ことを推知し同年9月12日までには第1次訴訟の被告らの主張により上記31件の出張者のうち上席のもの1名が同一人物であることを,同年10月 書がすべて同一人物によって作成されたものである,,,ことを推知し同年9月12日までには第1次訴訟の被告らの主張により上記31件の出張者のうち上席のもの1名が同一人物であることを,同年10月24日までには,上記同一人物が控訴人Cであることを,それぞれ知った。また,被控訴人は,総務課員の出張の状況について,宮城県知事に対する別途の請求に基づく情報開示により,平成9年度ないし平成11年度の1月分ないし3月分につき平成13年2月16日,平成12年度の同時期分につき平成13年4月19日,それぞれ開示を受け,これらと第1次開示により知った平成6年度及び平成7年度の同時期の状況とを比較し,当該時期の出張が激減していること(例えば,業務視察につき,平成6年度5件,平成7年度12件,平成9年度ないし平成11年度0件。事務連絡につき,平成6年度26件,平成7年度21件,平成9年度3件,平成10年度1件,平成11年度3件)を知った。ただし,被控訴人が,年度を通じた総務課員の出張の状況を知ったのは,平成14年6月21日の情報開示によってであった。 (5)宮城県知事は平成14年5月24日第2次開示として被控訴人構成,,,員らに対し,本件捜査関係用務出張に係る支出負担行為兼旅費支出命令決議書,旅行命令(依頼)票及び復命書につき,警部補及び警部補相当職以下の職にある者の氏名及び旅費受領印を除くすべての事項を開示したが,第2次開示により初めて明らかになった事項は,支出負担行為兼旅費支出命令決議書については,支出命令日,支払希望日,支払日,旅費額等のほか,旅費受領代理人がEであったことただし旅費受領代理人欄があること自体は(,「」第1次開示の時点で開示されていたであり旅行命令依頼票について。),()は,旅行命令日,旅 ,旅費受領代理人がEであったことただし旅費受領代理人欄があること自体は(,「」第1次開示の時点で開示されていたであり旅行命令依頼票について。),()は,旅行命令日,旅行期間,受領月日,支給額,交通手段等のほか,①旅費受領代理人がEであったことただし旅費受領代理人名欄があること自(,「」体は第1次開示の時点で開示されていた,②旅行内容が事務連絡であった。)- 14 -こと,③出張先が千葉市又は東京特別区であったこと,④平成6年度の3件の出張の控訴人Cの同行者は控訴人Dであったことであり,復命書については,旅行期間のほか,①用務が事務連絡であったこと,②用務先が千葉市又は東京都であったことであった。 (6)被控訴人は第2次開示を受け本件捜査関係用務出張につき特に特,,,,()(),定人物控訴人C及び同Dが特定都市千葉市及び東京特別区に出張し総務課員の県外出張のうち80パーセント前後が特定の人物(控訴人C,同Dほか3名)に集中していることから,その存在及び相当性につき疑いが強まったと考え,平成14年6月24日,第1次監査請求の対象としなかったその余の出張も含め本件監査請求をした。 (7)総務課は宮城県警察組織細則5条に基づき機密に関すること公印の,,,管守に関すること,公安委員会の庶務に関すること,県議会との連絡に関すること,公文書の管理に関すること,警察職員の応援要請及び派遣に関することを所掌事務としており,本件捜査関係用務出張に係る旅費支出当時,財務会計電算処理システムにおいても,出張の旅行内容として「捜査」の文言を用いた定型コードを選択して登録していなかった。また,当時,宮城県の予算上,県警の捜査部門における捜査関係用務出張の旅費は(款)警 会計電算処理システムにおいても,出張の旅行内容として「捜査」の文言を用いた定型コードを選択して登録していなかった。また,当時,宮城県の予算上,県警の捜査部門における捜査関係用務出張の旅費は(款)警察費(項)警察活動費(目)刑事警察費から支出するのが通常であったが,(款)警察費(項)警察活動費(目)一般警察活動費にも,鉄道警察隊,交番等の捜査活動に関する経費が含まれていた。 まず,上記2に認定の事実によれば,被控訴人は,平成12年5月31日の第1次開示の時点で,本件捜査関係用務出張の出張日時,出張先等は承知していなかったものの,年度,旅行命令票番号及び旅行命令番号によって,本件捜査関係用務出張の旅費支出の存在を他の出張の旅費支出から区別し特定して認識することができたことが明らかである。 つぎに,上記2に認定の事実によれば,被控訴人は,かねてから警察の不正- 15 -経理疑惑が報道等で取り上げられていた中,宮城県の知事部局等にカラ出張があったことの公表を受けて,同じ宮城県で,かつ,他の警察と同一組織である県警においても,同様の不正経理があるのではないかと疑っていたところ,本件捜査関係用務出張について,遅くとも平成13年10月24日までには,これが総務課では本来稀なはずの捜査関係用務とされていること,これにつき開示された文書のほとんどが墨塗りされていること,その旅費が捜査部門の出張においては通常みられない一般警察活動費から支出されていること,その復命書が他の23件の出張とともに上席出張者である控訴人Cにより作成されていること,平成9年度以降の1月分ないし3月分の総務課員の出張が,平成6年度及び平成7年度の同時期と比較して,激減していること等を知ったということができる。 そして,以上の諸事実のうち,①宮城県知事部局等のカラ出張の公表及び 1月分ないし3月分の総務課員の出張が,平成6年度及び平成7年度の同時期と比較して,激減していること等を知ったということができる。 そして,以上の諸事実のうち,①宮城県知事部局等のカラ出張の公表及び他の警察の不正経理疑惑に関する新聞報道等の点については,もとより,このことだけから県警の同様の不正経理の実態,ましてや,本件捜査関係用務出張につき不正経理があったことを推認することは困難であり,その限りでは,そのような疑いは事実に基づかない憶測というべきであるが,後に知った諸事実と相俟って,本件捜査関係用務出張も同様の不正経理の一貫であることを疑わせる方向に働く事実となり得るものであり,②開示文書のほとんどが墨塗りされていた点については,一部すら開示できない何らかの不正を隠蔽していることを疑わせる方向に働く事実であり,③本件捜査関係用務出張が捜査関係用務とされている点については,同じ県警の部門として臨時的に他の捜査部門の応援をすることがまったく考えられないわけではないものの,このような例外的な位置付けの用務を持ち出して不開示を正当化するのは,何らかの不正を隠蔽していることを疑わせる方向に働く事実であり,④旅費が一般警察活動費から支出されている点については,まったく考えられないわけではないものの,捜査部門における通常の捜査関係用務出張にはみられないものとして,捜査関係用- 16 -務が虚偽であることを疑わせる方向に働く事実であり,⑤同一人物が多数の出張に関与し復命書を作成している点については,いわゆる裏金作りの担当者がカラ出張につき機械的かつ形式的に架空の報告書を作成していたことを疑わせる方向に働く事実であり,⑥1月分ないし3月分の総務課員の出張が激減している点については,出張の要否の判断には一定の裁量の幅があって予算に応じてその数等が左 に架空の報告書を作成していたことを疑わせる方向に働く事実であり,⑥1月分ないし3月分の総務課員の出張が激減している点については,出張の要否の判断には一定の裁量の幅があって予算に応じてその数等が左右される面は否定できないものの,総務課が,第1次開示等の動きを契機として,不正経理の実態を改善したことを疑わせる方向に働く事実(,,,である1月ないし3月は年度の一部とはいえ4半期にわたる情報でありかつ,不要な予算消化がされる可能性が最も高いと言われる年度末の時期に当たるから,それだけで十分に有意な情報ということができる。だからこそ,被,,。),控訴人も当初この時期に絞って情報開示を請求したと推測されるから被控訴人がその当時に本件捜査関係用務出張につき相当の疑惑を抱いていたというのは,単なる事実に基づかない憶測ではなく,不正経理があると断定することまではできないものの,事実に基づく相応の根拠のある疑惑であって,また,被控訴人は,これら諸事実について,監査請求に際して必要な法242条1項所定の「証する書面」を既に入手していた,又は,監査請求のためにこれを作成することが可能であったといわなければならない。 他方,被控訴人が第2次開示を受けて疑惑を強めた主たる根拠である特定人の特定都市への出張の事実は,確かに,そのような出張が短期間に繰り返された場合には,これらが架空又は不必要な出張であったことを疑わせる方向に働く事実となり得るが,本件捜査関係用務出張は,千葉市への出張については概ね5か月半,2か月の間隔があり,東京特別区への出張については概ね1か月半,10か月,2か月,2か月の間隔があり,いずれも捜査関係用務として特段不自然なものではないから,被控訴人が第2次開示によって知ったこれらの事実(なお,捜査関係用務だからとい については概ね1か月半,10か月,2か月,2か月の間隔があり,いずれも捜査関係用務として特段不自然なものではないから,被控訴人が第2次開示によって知ったこれらの事実(なお,捜査関係用務だからといって論理必然的に特定都市への出張になるわけではないので,被控訴人が本件捜査関係用務出張が捜査関係用務とされ- 17 -ていることを知ったとしても,そのことから,その出張先が特定都市であることを推知していた又は推知できたとはいい難いは被控訴人の主観におい,。),てはともかく,客観的にはそれまでに存した疑惑を特段強めるものとはいい難い。このほか,旅費受領代理人がEであった点については,証拠(乙13,36)及び弁論の全趣旨によれば,各定型書式にそのような欄が設けられていたことにもあらわれているとおり,当時,特定の者がそのような形式で旅費を代理受領する方法は事務の煩瑣を避けるため宮城県全部局において一般的に採用されていたと認められるから,被控訴人の主観においてはともかく,客観的にはそれまで存した疑惑を強めるものとはいい難いし,本件捜査関係用務出張のうち3件における控訴人Cの同行者が控訴人Dであった点については,本件捜査関係用務出張に同一人物である被控訴人Cが一貫して関与していた事実以上に疑惑を強めるものとはいい難い。もっとも,旅行内容の名目が事務連絡であった点については,控訴人らは一応の弁明をするものの,通常の用語として捜査関係用務には適合的ではないので,当初の説明が虚偽であったとして,本件捜査関係用務出張の存在及び相当性につき疑いを強める方向に働く事実ということができるが,これまでにみた諸事実の位置付けにかんがみると,この事実の有無が,本件捜査関係用務出張の存在及び相当性に関する疑いの程度を決定的に異ならせるものとはいい難い。 する に働く事実ということができるが,これまでにみた諸事実の位置付けにかんがみると,この事実の有無が,本件捜査関係用務出張の存在及び相当性に関する疑いの程度を決定的に異ならせるものとはいい難い。 すると,被控訴人は,遅くとも平成13年10月24日には,本件捜査関係用務出張に係る旅費の支出の存在を他の出張に係る旅費の支出から区別し特定して認識し,かつ,監査請求をすることが可能な程度に本件捜査関係用務出張の内容を知っていたということができるから,それから約10か月後の平成14年6月24日にした本件監査請求には,監査請求期間を徒過したことに正当な理由がないといわなければならない。 以上につき,被控訴人は,第1次監査請求から本件監査請求までの当時,宮城県監査委員は,最高裁平成16年判決の立場ではなく,最高裁平成2年判決- 18 -の立場にあったので,第2次開示以前に監査請求をしても,監査請求は却下されていたはずであるから,第2次開示を受けて相当な期間内にした本件監査請求には,監査請求期間を徒過したことに正当な理由がある旨主張する。 しかしながら,最高裁平成16年判決が,具体的事案を前提に最高裁平成2,,年判決の趣旨を明らかにするものにすぎずこれを変更するものでないことはその内容自体のほか,最高裁平成16年判決が判例変更の形式をとっていないことからも明らかであるし,宮城県監査委員が最高裁平成2年判決の趣旨を誤解した運用をしていたとしても(ただし,証拠(乙50)及び弁論の全趣旨によれば,当時から,一般に,法242条1項所定の「証する書面」は,違法事由を特定して疑惑を提示するものであれば,その様式等は問われず,監査請求をした者自身が他人から聞知したことを書面化したもの,新聞記事の切抜き等でも足りると解されていた事実が認められる,そのような法律 を特定して疑惑を提示するものであれば,その様式等は問われず,監査請求をした者自身が他人から聞知したことを書面化したもの,新聞記事の切抜き等でも足りると解されていた事実が認められる,そのような法律解釈にわたる。)事項は,監査請求を却下された者が住民訴訟を提起する中で是正すべきことであって(なお,証拠(甲7,乙2)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,当時,10名を超える弁護士を構成員としており,被控訴人がした県警の平成12年度犯罪捜査協力報償費に関する監査請求における平成13年8月21日付け意見書(Ⅲ)では,最高裁平成2年判決につき最高裁平成16年判決の趣旨に沿う解釈を主張していた事実が認められる,これが所定の期間内に監査。)請求をしなかったことを正当化する事由になるとは解されないから,被控訴人の主張は採用できない。 また,被控訴人は,本訴における控訴人らの本案前の主張は,これまでの県警関係の住民訴訟における被告の本案前の主張に反する旨主張するが,仮に,,(,)これら本案前の主張が矛盾する内容のものであるとしても 証拠 甲9 によれば,被控訴人の指摘する別訴は控訴人らが当事者となっていないものであることが認められるから,いずれにせよ,信義則違反その他の事由により,控訴人らの本案前の主張が制限されるとは解されない。 - 19 -このほか,被控訴人は,控訴人らが違法事由の存否に関する本案の主張と矛盾する本案前の主張をすることは許されないかのようにも主張するが,監査請求が可能になる程度に違法事由を知った時期に関する判断と実体的な違法事由の存否に関する判断とでは,当該行為等の違法を基礎付ける事実が,当事者双方にとって一方では有利に他方では不利に働くことになるのは,手続構造上,不可避であるから,控訴人らのそのような主張は仮定 法事由の存否に関する判断とでは,当該行為等の違法を基礎付ける事実が,当事者双方にとって一方では有利に他方では不利に働くことになるのは,手続構造上,不可避であるから,控訴人らのそのような主張は仮定的なものと理解すべきであり,これをもって信義則等に反するということはできない。 よって,控訴人らが本件控訴において不服の対象とする被控訴人の控訴人らに対する訴えは,いずれも適法な監査請求の前置を欠き不適法であるから,これを適法として本案につき判断した原判決中,控訴人ら敗訴部分を取り消した上,取消しに係る被控訴人の控訴人らに対する訴えを却下することとし,主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第3民事部裁判長裁判官佐藤康裁判官浦木厚利裁判官畑一郎
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