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平成14年1月30日判決言渡平成10年(行ウ)第24号政務調査研究費支出差止等請求事件判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。2 訴訟費用は原告らの負担とする。事実及び理由 第1 請求被告は,県に対し,1億2420万円を支払え。第2 事案の概要本件は,県が,地方自治法232条の2による補助金として,県議会の各会派に対し,政務調査研究費として交付金を支出していたところ,原告らは, この交付金の支出が違法なものである等と主張し,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づき,当該支出額に相当する金員の損害賠償を求めた事案である。1 争いのない前提事実(1) 当事者原告らは,県の住民であり,被告は,後記本件支出当時県知事の職にあった者である。(2) 本件支出について県は,別紙1のとおりの県議会各会派政務調査研究費交付金交付要綱(以下「本件要綱」という。)を定め,県議会各会派(以下「各会派」という。)に対し,政務調査研究費交付金(以下「本件交付金」という。)として,会派に所属する議員1名につき1 か月30万円として計算した金額を4期ごとに交付していた。同支出にかかる財務会計上の権限については,県会計規則第4条の規定により,県議会事務局長が専決していた。本件要綱に従い,平成10年 4月23日,同年7月6日,同年10月6日の各日に,いずれも総額4140万円(3回の合計は1 本件要綱に従い,平成10年 4月23日,同年7月6日,同年10月6日の各日に,いずれも総額4140万円(3回の合計は1億2420万円。)が各会派に支出された(以下「本件支出」という。)。(3) 原告らの監査請求原告らは,平成10年9月29日,県監査委員に対し,本件支出等につき監査請求をした。監査委員は,平成10年11月26日付で ,本件監査請求は,特定の財務会計上の行為について,法令に違反している等の違法性又は不当性を個別具体的に摘示しているものとは認められないとして,これを却下した。 4140万円(3回の合計は1億2420万円。)が各会派に支出された(以下「本件支出」という。)。(3) 原告らの監査請求原告らは,平成10年9月29日,県監査委員に対し,本件支出等につき監査請求をした。監査委員は,平成10年11月26日付で ,本件監査請求は,特定の財務会計上の行為について,法令に違反している等の違法性又は不当性を個別具体的に摘示しているものとは認められないとして,これを却下した。2 争点(1) 本件交付金支出の違法性(2) 被告の責任 3 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(本件交付金支出の違法性)について(原告らの主張)ア本件交付金の制度的欠陥県補助金交付等規則及び本件要綱によると,各会派は毎年度終了後にその年度の政務調査研究費交付金実施報告書を知事に提出することとなっているが,実施報告書には人件費,調査研究費,研修費,資料整備費,会議費,政務広報費,事務費,その他経費という8項目に分類した金額のみが記載されるにすぎず,領収書や会計帳簿等の提出は求められていない。したがって,県議会事務局においても,県知事においても,本件交付金の使途について調査するすべがなく,その適正なことを判断することができない制度となっている。そして,補助金は,実際には,個々の議員の歳費と同様の使われ方をされている。イ上記のような本件交付金の支給は, 公益性が認められず地方自治法232条の2に違反し,また,議員に法定外の歳費を支給するものであって同法204条の2に違反し,ひいては地方財政法2条及び4条に違反する。うな本件交付金の支給は, 公益性が認められず地方自治法232条の2に違反し,また,議員に法定外の歳費を支給するものであって同法204条の2に違反し,ひいては地方財政法2条及び4条に違反する。さらに,知事等の地方自治体の執行機関が地方自治体の事務を誠実に執行することを義務づけた地方自治法138条の2にも違反する。(被告の主張(1)・本案前の答弁)住民訴訟においては,その対象となる公金支出等の財務会計行為は,個々の公金支出に係る具体的な違法性等の有無を判断できる程度に,他の支出から区別して特定認識できるように個別・具体的に摘示することを要する。ところが,本件訴えは,本件交付金要綱の内容を抽象的に非難するのみであって,前記のような当該公金支出を個別,具体的に摘示していないから,請求の特定を欠くものであり不適法である。 主張(1)・本案前の答弁)住民訴訟においては,その対象となる公金支出等の財務会計行為は,個々の公金支出に係る具体的な違法性等の有無を判断できる程度に,他の支出から区別して特定認識できるように個別・具体的に摘示することを要する。ところが,本件訴えは,本件交付金要綱の内容を抽象的に非難するのみであって,前記のような当該公金支出を個別,具体的に摘示していないから,請求の特定を欠くものであり不適法である。(被告の主張(2)・本案の答弁)ア本件交付金を交付する目的は,各会派の県政に関する調査研究の推進に資するための公益目的に基づくものである。本件要綱は,県補助金等交付規則に基づいており,手続の整備,他の用途への使用禁止,遂行状況の報告,実績報告書の提出 ,補助金の交付決定の取消,当該取消の場合の返還命令,知事の状況調査,報告を徴する権限などが規定されるとともに,本件要綱にも議員に対し交付しないこと,交付対象となる経費を限定すること,経理責任者を定めること,実績報告書の提出などが規定されている。このように,本件交付金は,前記規則及び本件要綱による一定の適正な支出手続が整備されている。イ本件交付金は,国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律を参考にしており,本件要綱等の取り扱いも同法律に準じている。ウ平成12年に地方自治法の一部を改正する法律(平成12年 イ本件交付金は,国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律を参考にしており,本件要綱等の取り扱いも同法律に準じている。ウ平成12年に地方自治法の一部を改正する法律(平成12年法律第89号)が成立し,平成13年4月1日施行された。これに伴い,県においても,「県政務調査費の交付に関する条例」及び「県政務調査費の交付に関する規定」が制定され,前同日から施行された。この新制度における「政務調査費の収支に関する報告書」の様式及び内容は,本件要綱におけるものと同様である。(2) 争点(2)(被告の責任)について(原告らの主張)被告は,県知事の地位にあって,本件交付金の支出権限を有していた者であり,その支出負担行為を議会事務局長に,支出命令を議会事務局課長に専決させていたものであるが, 本件交付金の使途が本件要綱に定める目的に沿うものではなかったことや,本件交付金の制度自体が前記のとおり違法であったことを十分承知し又は予見していたものである。 おけるものと同様である。(2) 争点(2)(被告の責任)について(原告らの主張)被告は,県知事の地位にあって,本件交付金の支出権限を有していた者であり,その支出負担行為を議会事務局長に,支出命令を議会事務局課長に専決させていたものであるが, 本件交付金の使途が本件要綱に定める目的に沿うものではなかったことや,本件交付金の制度自体が前記のとおり違法であったことを十分承知し又は予見していたものである。しかるに,被告は交付要綱を維持し,また県議会事務局に対する指導監督を怠った故意又は過失がある。(被告の主張)既に定立されて長年にわたって格別の問題もなく平穏に施行されているあらゆる膨大な規則や要綱そのものの合法性を逐一調査検討して判断しながら行政を執行するというのでは適正かつ効率的な行政の執行を阻害することとなり妥当ではないから,その適法性に問題のあることが一見して明らかな規則,要綱等の適用に関する財務会計行為に限り,長の指揮監督上の義務違反となると考えられる。前述のとおり,本件要綱はもとより適法性にはなんらの問題もないが,違法性が一見して明らかなものでもない。第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲1ないし5,9,12ないし14(枝 と考えられる。前述のとおり,本件要綱はもとより適法性にはなんらの問題もないが,違法性が一見して明らかなものでもない。第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲1ないし5,9,12ないし14(枝番を含む),乙1,2)及び弁論の全趣旨に前提事実を総合すると,次の事実を認めることができる。(1) 本件支出は,別紙1のとおりの県議会各会派政務調査研究費交付金交付要綱及び別紙2のとおりの同細則に基づいて支出された。本件支出の当時,県議会には,自由民主党(24名),新創NARA(9名),公明党,日本共産党,清新会及び民主・市民連合(各3名)の6会派と,無所属の議員(1名)があった(かっこ内は議員数)。平成10年度は,同年度の政務調査研究費交付金合計として,1億6560万円が支出され,うち自由民主党には8640万円,新創には3240万円,無所属のAには360万円,公明,日本共産党,清新会及び民主・市民連合にはそれぞれ1080万円が県から支払われた。なお,各会派の精算額は,いずれも概算交付額を若干上回る額となり,返納された金員はなかった。(2) 県は,地方自治法の改正を受け(平成12年法律第89 号)県政務調査費の交付に関する条例を制定し,会派に対し月額5万円に当該会派の所属議員の数を乗じて得た額を,また議員に対し,25万円の政務調査費を交付している。 万円,公明,日本共産党,清新会及び民主・市民連合にはそれぞれ1080万円が県から支払われた。なお,各会派の精算額は,いずれも概算交付額を若干上回る額となり,返納された金員はなかった。(2) 県は,地方自治法の改正を受け(平成12年法律第89 号)県政務調査費の交付に関する条例を制定し,会派に対し月額5万円に当該会派の所属議員の数を乗じて得た額を,また議員に対し,25万円の政務調査費を交付している。県政務調査費の交付に関する規定によれば ,収支報告書等の提出については,本件交付金と同様の取り扱いであるが,新たに会計帳簿の調整と,証拠書類等の保管の義務が議員及び政務調査費経理責任者に課せられた。(3) 国会においては,国会の会派に対し,その所属する議員一人当たり1か月65万円の立法事務費を交付する扱いとしており,その使途の報告等に関する規定はない び政務調査費経理責任者に課せられた。(3) 国会においては,国会の会派に対し,その所属する議員一人当たり1か月65万円の立法事務費を交付する扱いとしており,その使途の報告等に関する規定はない。2(1) 前記認定によると,本件支出は,一応の事後の検査手続を整備されたうえで支給されていることが認められる。そして,本件交付金は,議員一人当たり月額30万円であって,国会議員に支給される立法事務費が月額65万円であることと比較すると補助金の額として不相当に高額であるともいえない。平成12年に地方自治法が改正され,本件交付金と同様の性格を有する政務調査費の支給制度ができたことを考えても,本件交付金は,公益目的で支給されたものと考えられる。(2) 原告らは,本件交付金については ,各会派がその使途を報告するにつき,8項目に分類される使途の総額を記載すれば足り,領収書等の使途を明確にする書類の添付が求められていないから, 実際にどのような使途に供されているかを確認することができないこと,またこのことから,実際上は議員が自由に自己の支出に充当している可能性があることをも主張する。確かに,およそ公金を支出する以上, その使途は目的に沿ったものでなければならず,事後的にも支出権者が使途を確認のうえ支出することが原則というべきである。そして,前記県政務調査費の交付に関する条例制定以前は,政務調査研究費名目で交付された金員の実際の使途を事後に確認しうる手段は皆無であったから,原告らの主張は全く理由のないものともいえない。 自由に自己の支出に充当している可能性があることをも主張する。確かに,およそ公金を支出する以上, その使途は目的に沿ったものでなければならず,事後的にも支出権者が使途を確認のうえ支出することが原則というべきである。そして,前記県政務調査費の交付に関する条例制定以前は,政務調査研究費名目で交付された金員の実際の使途を事後に確認しうる手段は皆無であったから,原告らの主張は全く理由のないものともいえない。しかし,議員としての活動のなかには ,一般に公にすることを望まないものもあると考えられるところ,かかる活動の費用を専ら議員の個人的費用により支弁させることは妥当ではない。このような活動を可能 しかし,議員としての活動のなかには ,一般に公にすることを望まないものもあると考えられるところ,かかる活動の費用を専ら議員の個人的費用により支弁させることは妥当ではない。このような活動を可能とするため,議員に対し,一定の金員を支給することは,許容されるべきであるし,その性質上議員を信頼し,同金員の使途の詳細を具体的に明らかにしないこともやむをえない。本件交付金の支給を決するのは最終的には知事であるところ,議会の各会派が,知事に対し,本件交付金の使途を子細に報告することは,地方公共団体の首長と議会の抑制,緊張関係を損なうことにもなりかねない。もっとも,新設された条例による政務調査費の支出については,前記認定のとおり会計帳簿の調整や証拠書類等の保管義務が課されるなど,本件交付金制度よりも使途の透明化確保のための方策が考慮されており ,本件支出についてもこのような方策がとりえたとの批判はありうるところである。しかし,政務調査費の支出についても,証拠書類等の提出までは求められていないことから考えると,前記の事情が直ちに本件支出の違法を基礎づけるものともいえない。また,本件交付金を他の用途に流用した議員がいるとすれば,その議員は県に対し損害賠償責任を負う場合があることはもちろんであるが,そのような可能性の存在をもって,本件交付金の制度自体を違法とするものでもない。したがって,原告らの主張を採用することはできず,本件交付金の支出が財務会計行為として違法となるとは認められない。なお,原告らは,個々の議員の活動を取り上げて本件交付金が議員活動に役立っていないことをも主張立証するが,本件交付金は,直ちに個々具体的な議員活動の成果を上げるに資する性質のものではないから,失当である。 あるが,そのような可能性の存在をもって,本件交付金の制度自体を違法とするものでもない。したがって,原告らの主張を採用することはできず,本件交付金の支出が財務会計行為として違法となるとは認められない。なお,原告らは,個々の議員の活動を取り上げて本件交付金が議員活動に役立っていないことをも主張立証するが,本件交付金は,直ちに個々具体的な議員活動の成果を上げるに資する性質のものではないから,失当である。3 結論 活動を取り上げて本件交付金が議員活動に役立っていないことをも主張立証するが,本件交付金は,直ちに個々具体的な議員活動の成果を上げるに資する性質のものではないから,失当である。3 結論以上の次第で,本件交付金支出を違法とすることはできず,したがって,その余の点を判断するまでもなく,原告らの請求には理由がないから,これを棄却する(なお,被告の本案前の答弁は理由がないから採用できず,同様の理由で本件は監査機関の判断にかかわらず訴訟要件を満たすものである。)。奈良地方裁判所第2民事部裁判長裁判官永 井ユタカ裁判官島川勝裁判官松阿弥隆 (別紙1)県議会各会派政務調査研究費交付金交付要綱第1条 この要綱は,県議会各会派の県政に関する調査研究の推進に資するため,この要綱の定めるところにより各会派に対し調査研究交付金(以下「交付金」という。)を交付する。2 この交付金は,議員に対しては交付しないものとする。第2条交付金は,予算の範囲内で別表に掲げる経費について交付するものとし,その額は,各会派に属する議員の数に応じて知事と議長と協議 。2 この交付金は,議員に対しては交付しないものとする。第2条交付金は,予算の範囲内で別表に掲げる経費について交付するものとし,その額は,各会派に属する議員の数に応じて知事と議長と協議して定めるものとする。第3条各会派は,交付金の経理を行わせるため,経理責任者を定めなければならない。第4条交付金の交付を受けた各会派の代表者は,毎年度終了後当該年度分の交付実績報告書を4月30日までに提出しなければならない。第5条この要綱に定めるもののほか,交付金の交付に関し必要な事項は,知事が協議して定める。(別表)(1) 人件費政務の調査研究を行うために雇用する職員の給与,社会保険料等(2) 調査研究費地方制度一般及び県政に関する調査研究(3) 研修費所属議員の講習会,研修会に必要な経費(4) 資料整備費図書,参考書等の購入及び資料作成費(5) 会議費会議開催に要する諸経費(6) 政務広報費県政の調査研究活動に伴う広報費(7) 事務費前各号に付随する事務的経費(8) その他県政調査研究のために必要な経費 費政務の調査研究を行うために雇用する職員の給与,社会保険料等(2) 調査研究費地方制度一般及び県政に関する調査研究(3) 研修費所属議員の講習会,研修会に必要な経費(4) 資料整備費図書,参考書等の購入及び資料作成費(5) 会議費会議開催に要する諸経費(6) 政務広報費県政の調査研究活動に伴う広報費(7) 事務費前各号に付随する事務的経費(8) その他県政調査研究のために必要な経費 (別紙2)県議会各会派政務調査研究費交付金交付細則第1条交付金の交付を受けようとする各会派は,申請書(別紙第1号様式)を知事に提出すること。第2条知事は前条の申請書を受理したときは,審査のうえ交付金の交付を決定し,交付決定通知書(別紙第2号様式)によりこれを通知すること。第3条交付金は第1条の申請に基づき,毎年度四半期ごとに概算交付すること。第4条前条の交付金の交付は,概算交付請求書(別紙第3号様式)により行うこと。第5条第1条の申請書に変更が生じたときは,当該会派の代表 に基づき,毎年度四半期ごとに概算交付すること。第4条前条の交付金の交付は,概算交付請求書(別紙第3号様式)により行うこと。第5条第1条の申請書に変更が生じたときは,当該会派の代表者はすみやかにその趣旨を変更通知書 (別紙第4号様式)により知事に通知するとともに,当該変更が交付金の額に変更を生じるときは,交付金の変更承認申請書(別紙第5号様式)を知事に提出するものとする。第6条知事は前条の申請を受理したときは,審査のうえ交付金の変更決定をし,変更決定通知書(別紙第6号様式)により通知すること。第7条会派が解散等により消滅したときは,当該会派の代表者であったものは,交付要綱第4条の規定にかかわらず,当該交付金の実績報告書(別紙第7号様式)を会派消滅後すみやかに提出すること。第8条知事は,実績報告書の提出があった後,その内容が適当と認められるときは,交付金の額を確定し,当該会派の代表者に対し,確定通知書(別紙第8号様式)により通知すること。第9条前条の通知により既に交付された交付金の額が当該確定額を越えているときは,当該会派の代表者は,その超えた額の交付金を返還すること
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