平成26年1月10日判決言渡平成24年(行ウ)第770号退去強制令書発付等取消請求事件 主文 1 東京入国管理局長が原告に対し平成24年5月8日付けでした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決を取り消す。 2 東京入国管理局主任審査官が原告に対し平成24年5月15日付けでした退去強制令書発付処分を取り消す。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要 1 本件は,フィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)の国籍を有する外国人男性である原告が,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)24条1号(不法入国)に該当する退去強制対象者として,退去強制手続において,東京入国管理局長から入管法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受け,東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分(以下「本件退令発付処分」という。)を受けたことについて,原告が「永住者」の在留資格を有する外国人女性であるAと内縁関係にあり,Aとの間に2人の子がいることなどからすれば,原告に対して在留特別許可をすべきであったから,本件裁決は裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した違法なものであり,本件裁決に基づく本件退令発付処分も,違法なものであるなどと主張し,本件裁決及び本件退令発付処分の取消しを求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,文中に記載の証拠及び弁論の全趣旨に より容易に認定することができる事実)(1) 原告の身分事項等ア原告は,1966年▲月▲日,フィリピンにおいて出生したフィリピンの国籍を有する外国人男性である(乙1)。 イ Aは,1969年 ことができる事実)(1) 原告の身分事項等ア原告は,1966年▲月▲日,フィリピンにおいて出生したフィリピンの国籍を有する外国人男性である(乙1)。 イ Aは,1969年 ▲月 ▲日,フィリピンにおいて出生したフィリピンの国籍を有する外国人女性である(甲2,7,56)。 Aは,平成元年▲月▲日,日本人の前夫とフィリピンの方式で婚姻し(証書提出日同月5月9日),同年6月14日,「4-1-1」の在留資格で本邦に上陸し(甲60,63),前夫との間に長男(同年 ▲月 ▲日生),長女(平成2年 ▲月 ▲ 日生)及び二女(平成8年 ▲月 ▲ 日生)をもうけ(甲63),平成11年2月12日,永住許可を受けた(甲60,乙7)が,平成14年▲月▲日,前夫と離婚した(甲63)。 ウ Aは,原告との間で,Bをもうけ,平成21年▲月▲日,Bを出産した(甲5から7まで)。Bは,平成21年8月4日,「永住者の配偶者等」の在留資格を取得した(甲56)。 エ原告及びAは,本件裁決後の平成24年5月22日,駐日フィリピン大使館において,Bについて原告を父として出生登録し(甲7),また,同年9月14日,婚姻の届出を千葉県○市長にした(甲3,4)。 オ Aは,原告との間で,Cをもうけ,本件裁決時にCを妊娠しており,本件裁決後の平成24年▲月▲日,Cを出産した(甲12から15まで)。 Cは,「永住者の配偶者等」の在留資格を有している(甲56)。 なお,Aは,原告との間で,第三子をもうけたが,平成25年▲月▲日,第三子を死産した(甲56,59)。 (2) 原告の入国及び在留の状況並びに退去強制手続等ア原告は,平成9年4月頃,大阪付近の港に船籍船名等不詳の船舶で到着し,本邦に不法入国した(甲57 子を死産した(甲56,59)。 (2) 原告の入国及び在留の状況並びに退去強制手続等ア原告は,平成9年4月頃,大阪付近の港に船籍船名等不詳の船舶で到着し,本邦に不法入国した(甲57,乙1,2,原告本人)。 イ東京入国管理局千葉出張所及び東部出張所の入国警備官は,平成21年7月29日,入管法違反(不法残留)の容疑で原告を摘発した(乙1,2)。 ウ東京入国管理局東部出張所入国警備官は,平成21年7月29日,原告について違反調査をし,原告が入管法24条1号(不法入国)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,東京入国管理局主任審査官から収容令書の発付を受け,収容令書を執行し,東京入国管理局収容場に原告を収容するとともに,原告について違反調査をした(乙1から4まで)。 エ東京入国管理局千葉出張所入国警備官は,平成21年7月29日,入管法24条1号(不法入国)該当容疑者として東京入国管理局入国審査官に原告を引き渡した(乙1,5)。 オ東京入国管理局入国審査官は,平成21年7月30日,原告について違反審査を行った(乙1,6)。 カ東京入国管理局千葉出張所入国警備官は,平成21年8月4日,Aから事情聴取をした(乙7)。 キ東京入国管理局入国審査官は,平成21年8月6日,原告について違反審査を行い,原告が入管法24条1号(不法入国)に該当すると認定し,その旨を原告に通知したところ,原告は,同日,特別審理官に対し口頭審理の請求をした(乙1,8,9)。 ク東京入国管理局主任審査官は,平成21年8月25日,原告を仮放免した(乙1,10)。 ケ原告は,千葉県○市長に対し,平成22年2月9日,外国人登録法(平成21年法律第79号による廃止前のもの。以下同じ。) 任審査官は,平成21年8月25日,原告を仮放免した(乙1,10)。 ケ原告は,千葉県○市長に対し,平成22年2月9日,外国人登録法(平成21年法律第79号による廃止前のもの。以下同じ。)3条1項の規定による新規登録申請をし,同年3月8日,新規登録を受けた。また,原告は,千葉県○市長に対し,同法8条2項の規定による居住地変更登録の申請をし,同年4月22日,居住地変更登録を受けた。(乙1)コ東京入国管理局特別審理官は,平成23年4月22日,Aの立会いの下 で原告について口頭審理を行い,原告が入管法24条1号(不法入国)に該当する旨の入国審査官の認定は誤りがないと判定し,その旨を原告に通知したところ,原告は,同日,法務大臣に対し異議を申し出た(乙1,11から13まで)。 サ法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長は,平成24年5月8日,本件裁決をし,その旨を東京入国管理局主任審査官に通知した(乙1,14,15)。 シ東京入国管理局主任審査官は,平成24年5月15日,本件裁決を原告に通知するとともに,本件退令発付処分をした(乙1,16,17)。 ス東京入国管理局入国警備官は,平成24年5月15日,退去強制令書を執行し,東京入国管理局収容場に原告を収容した(乙1,17)。 セ東京入国管理局主任審査官は,平成24年5月15日,原告を仮放免した(乙1,17,18)。 3 争点及び争点についての当事者の主張本件の争点は,①本件裁決の適法性(争点1),②本件退令発付処分の適法性(争点2)である。 (1) 争点1(本件裁決の適法性)について(原告の主張)ア東京入国管理局長の裁量権とその違反に関する考え方法務大臣又は法務大臣から権限の委任 争点2)である。 (1) 争点1(本件裁決の適法性)について(原告の主張)ア東京入国管理局長の裁量権とその違反に関する考え方法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長(以下「法務大臣等」という。)は,在留特別許可の許否の判断に当たり,事実を正確に把握した上で,国際条約や,国際的な準則,各種通達,先例,出入国管理基本計画等が示すところに従い,退去強制が著しく不当であるか否かを慎重に判断すべきであり,考慮すべき事実を考慮せず,考慮すべきでない事実を考慮して判断がされた場合,あるいは合理性を持つものとして許容されない判断がされた場合には,その判断は,裁量権の範囲を逸脱 し,又はこれを濫用した違法なものとなる。 イ原告とAとの真摯な内縁関係(ア) 入管法上,「永住者」は,日本社会の構成員として,日本人に準じて,日本に永住することが予定されており,「永住者」の配偶者は,その婚姻関係を通じて,日本と密接な関係を有する者として,「永住者の配偶者等」の在留資格該当性を有する。 また,婚姻は,夫婦が同等の権利を有することを基本とし,相互の協力により維持されなければならないものであり(憲法24条参照),我が国に永住することを許可された外国人が,外国人と婚姻した場合においては,国家としても,当該外国人の在留状況,国内事情,国際情勢等に照らして当該外国人の在留を認めるのを相当としない事情がある場合は格別,そうでない限り,両名が夫婦として互いに同居,協力,扶助の義務を履行し,円満な関係を築くことができるようにその在留関係について一定の配慮をすべきものと考えられ,市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「B規約」という。)23条も,その趣旨を明らかにしている。さら ,円満な関係を築くことができるようにその在留関係について一定の配慮をすべきものと考えられ,市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「B規約」という。)23条も,その趣旨を明らかにしている。さらに,永住者と婚姻をして夫婦の実体を築いている両名の同居を妨げることは,B規約17条に違反することにもなる。そして,これらは,永住者と法律婚が成立している場合に限らず,内縁関係が成立している場合にも同様である。 したがって,永住者との間で,真摯な婚姻の実質を備えた内縁関係にある者を退去強制することは,日本に生活の基盤を築いた家族の生活を保護する見地から,「著しく不当」(出入国管理及び難民認定法施行規則42条4号)であり,永住者と真摯な内縁関係にあることは,原則として「特別に在留を許可すべき事情」(入管法50条1項4号)に該当する。 (イ) Aは,平成元年6月14日,本邦に上陸し,本件裁決時までの在留期 間は約23年に及び,この間就労しており,日本人の前夫との間の3人の子と交流を保っているなど,「永住者」の在留資格を有しているのみならず,その生活基盤は完全に日本にあり,実質的にも日本社会に強い定着性を持っている。 また,原告とAとは,遅くとも平成17年頃から,夫婦としてAの長男と共に同居し,相互に扶助して,Aの長男を共に養育し,両名の間には,平成21年▲月▲日,Bが出生し,ダウン症候群のBを協力し合いながら養育している。また,Aは,本件裁決時,Cを妊娠しており,原告とAとの間には,本件裁決後の平成24年 ▲ 月 ▲ 日,Cが出生した。原告,A,B及びCは,現在まで,家族として生活している。Aと前夫との間の子らも,原告に対する信頼を高めてゆき,原告と家族として親密な関係を築き上げ,原告らの生活費を援助す ▲ 日,Cが出生した。原告,A,B及びCは,現在まで,家族として生活している。Aと前夫との間の子らも,原告に対する信頼を高めてゆき,原告と家族として親密な関係を築き上げ,原告らの生活費を援助するまでになった。 原告とAとが本件裁決時に婚姻の実質を備えた真摯な内縁関係にあったことは明らかである。 なお,原告とAとは,平成17年頃から婚姻することを考えていたところ,平成20年にAが妊娠したことをきっかけとして婚姻の意思を確実なものとし,届出の準備を進めていたが,Aが再婚するために必要となる書類をフィリピンにおいて取得するための費用がなかったことや,書類を取得するのに時間が掛かったことから,婚姻の届出をすることができなかったものである。 また,Aは,当初,Bにダウン症候群による知的障害があることについて,原告がそのことを知って離れてしまうことをおそれ,すぐに打ち明けられなかった経緯がある。これは,Aがダウン症候群について知識がなく,フィリピンにおいては障害者が差別を受けるという認識を持っていたこともあいまって不安を抱いていたものであり,やむを得ない面がある。これによって,Aと原告との内縁関係が婚姻の実質を備えたも のであったことが直ちに否定されるものではない。 ウダウン症候群のBが日本において療育及び医療を受ける必要性等 (ア) Bはダウン症候群による知的障害により障害程度Bの1と判定されて療育手帳の交付を受けており,ダウン症候群に伴い甲状腺機能低下症も発症し,将来,合併症が生じる可能性もある。Bが将来自立した人生を送っていくためには,障害児教育の専門家による適切な教育及びリハビリテーションを含めた療育が欠かせず,甲状腺機能低下症についての定期的なフォローアップも必要で る可能性もある。Bが将来自立した人生を送っていくためには,障害児教育の専門家による適切な教育及びリハビリテーションを含めた療育が欠かせず,甲状腺機能低下症についての定期的なフォローアップも必要である。 この点,Bは,現在,D幼稚園に通っており,同年代の子供と同じ活動をすることはできないが,同幼稚園における丁寧な指導により,入園以来,集団生活の中で我慢することを覚えるなど,顕著な成長ぶりをみせている。また,Bは,現在も,3か月ごとにE医療センターに通院している。 ダウン症児に対しては,乳児期はもちろん,学童期以降,成人期に至るまで,専門家による療育と医師による診察が必要となるところ,日本においては,ダウン症児やその家族が利用することができる医療,福祉,教育の制度が整備されており,特に裕福な家庭でなくとも,一定レベルの医療や教育を受けることができる。 しかし,フィリピンにおいては,障害児の多くは学校に通っていないか,又は通っていても必要な教育を受けていない現状がある。Bがフィリピンにおいて適切な教育を受けることは期待できない上,フィリピンは,現状,貧困層一般について教育面や保険及び医療面において厳しい状況が指摘されているところ,ダウン症児にとって,貧困層に対する教育や医療が十分でない開発途上国で生活することは,社会から疎外され,健康や場合によっては生命が危険にさらされることを意味する。 (イ) Aは,高校卒業後,短期間,フィリピンにおいてウェイトレスとして 働いたことがあるのみであり,平成元年に日本人の前夫と婚姻し,長年日本に在留し,永住者として日本に生活基盤を築いており,生活基盤を既に失ったフィリピンに帰国したとしても,子らを抱えて生活をしていくことは困難であるし,B及びCは, 元年に日本人の前夫と婚姻し,長年日本に在留し,永住者として日本に生活基盤を築いており,生活基盤を既に失ったフィリピンに帰国したとしても,子らを抱えて生活をしていくことは困難であるし,B及びCは,Aの子として日本において出生した者であるから,フィリピンにおいて生活することは考えられない。 Bはダウン症候群による知的障害があり,Cは幼く,Aと原告とが協力し合わなければ,子らを養育することは絶対に不可能である。原告が退去強制された場合には,Aが就労及び育児を1人で担うことは困難であり,生活に困窮し,子らの養育もままならなくなる。 なお,Aと前夫との間の長男は,現在,原告らと同居して生活費を負担しているものの,いつまでもA,B及びCと同居して生活費を負担し続けるのは現実的ではない。また,長女は,婚姻し,自分の家庭を持っており,B及びCの養育を手伝うことができないし,二女は,高校生で父の扶養を受けて生活しており,同様にB及びCの養育を手伝うことはできない。 原告は,元々貧しい農家の生まれであり,最終学歴が高校中退で,フィリピンにおいてみるべき職歴もなく,1993年にフィリピンを出国して以来,フィリピンに帰国しておらず,フィリピンにおける生活基盤を既に失っている。原告は,フィリピンにおける生活苦等から外国で働くことを決めた経緯があり,フィリピンに帰って何らかの職に就き,A,B及びCを経済的に支援することは不可能である。また,フィリピンにいる原告の兄弟は,それぞれ自分の生活に精一杯で,原告を経済的に援助する余裕はない。 原告が退去強制されると,B及びCは,父である原告による養育を受けることができなくなってしまうのみならず,Bは,日本において原告とAと共に生活すれば,父母である原告とAとの協力 ない。 原告が退去強制されると,B及びCは,父である原告による養育を受けることができなくなってしまうのみならず,Bは,日本において原告とAと共に生活すれば,父母である原告とAとの協力により愛情と適切 な療育を受けることが可能であるのに,それが不可能となり,貴重な発達の機会を失うことになる。 エ本件裁決の違法原告に対する在留特別許可の許否の判断に当たっては,Aとの婚姻の実質を備えた真摯な内縁関係や,ダウン症候群のBの療育及び治療の必要性等が十分に考慮される必要があった。 東京入国管理局長が,入管法における「特別に在留を許可すべき事情」(入管法50条1項4号)を正しく解釈した上で,Aは永住者であり,生活基盤が日本にあるところ,原告がAと真摯な内縁関係にあり,内縁関係が成熟かつ安定していること,Bがダウン症候群であるところ,Bがフィリピンにおいては十分な療育及び治療を受けることができないことなどについて,正しく事実を認定した上で,適切な評価をしていれば,原告に対しては在留特別許可をすることとなったのは確実である。 東京入国管理局長は,判断の基礎とすべきこれらの重要な事実を誤認して判断し,考慮すべき事実を考慮せず,考慮すべきでない事実を考慮して判断をし,あるいは合理性を持つものとして許容されない判断をしたものであり,本件裁決は,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した違法なものである。 オ条約違反等Bはダウン症候群による知的障害があり,Bが自立した人生を送っていくためには,今後,専門家による適切な教育やケアが必要になるところ,フィリピンにおいては,障害児に対する福祉が日本ほど整備されておらず,かつ,原告もAも生活基盤を既に失っており,Bが適切な教育やケア くためには,今後,専門家による適切な教育やケアが必要になるところ,フィリピンにおいては,障害児に対する福祉が日本ほど整備されておらず,かつ,原告もAも生活基盤を既に失っており,Bが適切な教育やケアを受けることは期待できない。本件裁決は,長期的に安定した家族生活に相当の変化を生じさせる点で,原告ら家族に対する不当な「干渉」になる。したがって,本件裁決は,B規約17条に違反し,違法である。 児童の権利に関する条約3条1が定める「児童の最善の利益原則」及び同条約9条1が定める「児童の父母との分離禁止原則」は退去強制手続にも適用され,国の裁量を制約するという解釈が確立しているところ,本件裁決及び本件退令発付処分によりBは父である原告と分離されるが,これはBにとって何ら受益のない措置であり,Bの「最善の利益」にかなわない。それにもかかわらず,被告は,家族及び児童の保護という利益を超えて退去強制令書を執行することを正当化するに足りる証拠を何ら具体的に示していない。したがって,本件裁決は,同条約3条1及び9条1に違反し,違法である。 また,児童の権利に関する条約28条が,教育についての児童の権利を認め,同条約29条1⒜が,児童の教育が児童の人格,才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させることを求めていることに照らせば,子供の教育の必要性も在留特別許可の許否の判断に当たって考慮されるべきである。ダウン症児の場合,障害児教育の専門家による適切な指導の下では顕著な発達の可能性がある一方,適切な教育を受けることができない場合には,社会に参加することが著しく困難となることから,この点を考慮する必要性は特に高いといえる。 本件裁決が上記のように各条約の規定に違反することから,直ちに違法であ ることができない場合には,社会に参加することが著しく困難となることから,この点を考慮する必要性は特に高いといえる。 本件裁決が上記のように各条約の規定に違反することから,直ちに違法であると解することに難点があるとしても,①原告,A及びBの長期間にわたって安定した家族生活はB規約17条の保護を受けるものであり,有利な事情として考慮されなければならないのに考慮されていないこと,②原告が退去強制されることによりBが被る不利益は児童の権利に関する条約3条1の趣旨からして極めて重大であるにもかかわらず,具体的な考慮がされていないこと,③不法入国や不法就労など,在留特別許可を受けることを求める外国人一般にみられる事実を殊更に取り上げて,消極的な評価がされるなど,差別的かつ不合理な判断がされており,在留特別許可の 許否の判断に当たり,考慮すべき事実を考慮せず,考慮すべきでない事実を考慮して判断がされ,合理性に欠ける判断がされているので,本件裁決は,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した違法なものである。 (被告の主張)ア在留特別許可の許否の判断に関する法務大臣等の裁量権在留特別許可の許否の判断には,法務大臣等に極めて広範な裁量権が認められていることから,その判断が例外的に違法となり得る場合があるとしても,それは,法律上当然に退去強制されるべき外国人について,なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由があったにもかかわらずこれが看過されたなど,在留特別許可の制度を設けた入管法の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情が認められる場合に限られる。 イ原告の入国及び在留の状況が悪質であること(ア) 原告は,不法就労を目的として,大韓民国(以下「韓国」という。)に に反するような極めて特別な事情が認められる場合に限られる。 イ原告の入国及び在留の状況が悪質であること(ア) 原告は,不法就労を目的として,大韓民国(以下「韓国」という。)においてフィリピン人の船員に手数料を支払うなどして,平成11年4月頃,韓国の釜山から大阪付近の港に船籍船名等不詳の船舶で本邦に不法入国したものである。 原告が違法性を十分認識した上で,本邦に不法入国したことは,原告の入国状況が著しく不良であることを示すとともに,原告には遵法精神が欠如していることを示すものであり,我が国における適正な出入国管理行政を維持する観点からは到底看過することができない。 (イ) 原告は,平成11年4月頃に本邦に不法入国してから平成21年7月29日に入管法違反(不法入国)容疑により摘発されるまで,10年以上もの長期間にわたり,本邦において不法在留を継続し,本邦に不法入国してから4か月後には稼働を開始し,養鶏場の鶏の檻の修理,道路を造るアルバイト,アルミ加工,大工の手伝いなどとして稼働し,摘発さ れた時点においては,解体作業員として稼働し,1か月20万円程度の給料を得るなど,継続的に不法就労をしていたものである。 我が国の在留資格制度は,外国人の就労活動に対する規制をその本旨の1つとして成立しているのであり,在留資格を有しない外国人が我が国において就労するという事態は,我が国の出入国管理政策の根幹を揺るがすものであり,原告の不法在留中における不法就労活動は,それ自体,我が国の入管政策に反する悪質な行為というべきである。 (ウ) 原告は,本邦入国後90日以内に外国人登録法3条1項の規定による新規登録申請をすべきであったにもかかわらず,上記期間を約11年も超過した平成22年 る悪質な行為というべきである。 (ウ) 原告は,本邦入国後90日以内に外国人登録法3条1項の規定による新規登録申請をすべきであったにもかかわらず,上記期間を約11年も超過した平成22年3月8日に新規登録を受けたものである。 このような原告の行為は,在留外国人の公正な管理に資することを目的とする外国人登録法の趣旨に反し,同法18条1項に定められた罰則規定にも抵触するものであり,在留特別許可の許否の判断に当たり,消極事情としてしんしゃくされることは当然である。 (エ) 以上のとおり,原告の入国・在留状況は,甚だ悪質であり,在留特別許可の許否の判断に当たり,重大な消極要素として評価されるべきである。 ウ原告とAとの関係は在留特別許可をすべき事情として格別有利にしんしゃくすべき事情ではないこと(ア) 原告は,本件裁決時,「永住者」の在留資格を有するAと内縁関係にあったにすぎないところ,永住者との内縁関係は在留資格該当性を基礎付ける事情ではない上,法律上の婚姻ですら在留特別許可の許否の判断に際して考慮し得る一事情とされているにすぎないため,原告に対して在留特別許可をしなかった本件裁決に裁量権の範囲の逸脱又はこれの濫用があるとはいうことができないことは明らかである。 また,永住者も外国人であることに変わりはなく,本国に帰国する可 能性もないとはいえないから,本邦とのつながりは,日本人と本邦とのつながりと比較すれば相対的に弱いものであるということができる。それゆえ,永住者の配偶者を保護する必要性の程度も,日本人の配偶者に対するものとは自ずと異なるというべきである。これを本件についてみると,Aはフィリピンの国籍を有する外国人であり,「永住者」の在留資格をもって本邦に在留してい 護する必要性の程度も,日本人の配偶者に対するものとは自ずと異なるというべきである。これを本件についてみると,Aはフィリピンの国籍を有する外国人であり,「永住者」の在留資格をもって本邦に在留しているにとどまるから,在留特別許可をして原告を保護すべき必要性は日本人の配偶者の場合に比べて相対的に低いというべきである。 (イ) さらに,不法在留中の婚姻関係については違法状態の上に築かれたものであり,法的保護に値しないところ,Aは,原告が本邦に不法に在留していることを知っていたのであり,原告はもちろん,Aも,その内縁関係が違法状態の上に築かれたものであることを認識していたのであるから,尚更両名の内縁関係は法的保護に値しないといえる。 (ウ) そして,原告の供述とAの供述とは,結婚を考え始めた時期及び実際に婚姻手続の準備を始めた時期について大きく齟齬していることなどからすると,原告とAの内縁関係が法律上の婚姻に準じた安定かつ成熟したものであったとするには疑義があるといわざるを得ない。 (エ) 以上のとおりであるから,原告が主張するAとの関係についての事情は,原告に対する在留特別許可の許否の判断において格別有利に斟酌すべき事情ではないというべきである。 エ原告と子らとの関係は在留特別許可をすべき事情として格別有利にしんしゃくすべき事情ではないこと(ア) 退去強制事由に該当する外国人が「永住者の配偶者等」の在留資格を有して在留する児童の親として当該児童を監護・養育する事実が認められたとしても,入管法上,そのことに関する固有の在留資格は存在しない。また,たとえ当該児童が我が国の国籍を有していたとしても,その ことのみを理由に当該児童を扶養する外国人親が我が国に引き続き在留することを保障されるものでは する固有の在留資格は存在しない。また,たとえ当該児童が我が国の国籍を有していたとしても,その ことのみを理由に当該児童を扶養する外国人親が我が国に引き続き在留することを保障されるものではなく,我が国における監護・養育の権利の行使又はその義務の履行はその外国人が本邦に在留することができるという枠内においてのみ可能となるものというべきである。日本国籍を有する児童と親子関係にある事案との対比からみても,本件のように日本国籍を有しない児童と親子関係にある事案については,より一層保護の必要性が低いというべきである。 (イ) また,そもそも原告とBとの間に生物学的な父子関係が存在することを裏付ける客観的証拠は何ら提出されていない。原告は,平成24年5月22日に駐日フィリピン大使館においてBについて原告を父として出生登録したというが,当該事情は本件裁決後の事情であって,本件裁決時に,原告とBとの間に法律上の父子関係が成立していたとは認められず,原告のBに対する監護・養育の権利義務は発生していなかったものといわざるを得ない。 (ウ) さらに,原告は,生後間もないBが1か月半もの間入院していたというのにその病名すら把握しておらず,Bの本邦における在留手続について関知していた様子が見受けられないなど,父であれば当然関心を抱くべき子の病気や本邦における在留手続について極めて関心が薄いことからすれば,原告が本邦においてBを真摯に養育していく意思があったのか否か疑問を抱かざるを得ない。 (エ) そして,Bがフィリピンにおいてダウン症候群やそれに伴う甲状腺機能低下症について十分な療育及び治療を受けることができないという具体的な証拠は何ら提出されていない。また,医療体制等は国や地域によって異なるものであり,その居住地や経済的な 候群やそれに伴う甲状腺機能低下症について十分な療育及び治療を受けることができないという具体的な証拠は何ら提出されていない。また,医療体制等は国や地域によって異なるものであり,その居住地や経済的な事情から,その受け得る医療の内容等に差異が生じることは,一般的に生じ得ることであるし,国民の保護は,第一義的には国籍国の責任において行われるべきである から,原告がその国籍国であるフィリピンに送還されたことに伴い,Bがフィリピンに帰国し,現在本邦において受けているのと同等の医療を受けられなくなることがあるとしても,そのことから本件裁決が直ちに違法なものであるということにはならない。 (オ) 以上のとおりであるから,本件裁決時にいまだ出生していなかったCとの関係はもとより,原告が主張するBとの関係に係る事情は原告に対する在留特別許可の許否の判断において格別有利にしんしゃくすべき事情ではないというべきである。 オ原告をフィリピンに送還することについて特段の支障がないこと(ア) 原告は,フィリピンにおいて生まれ育ち,教育を受けた上,稼働して生活を営んでいたものであって,本邦に入国するまで,我が国とは何ら関わりがなかった者である。また,原告は,稼働能力を有する成人男性で,健康状態は良好であり,フィリピンには4人の兄と2人の姉が生活しているというのであるから,原告がフィリピンに帰国したとしてもフィリピンにおける生活に特段の支障があるとは認められない。 (イ) A及びBがフィリピンに帰国し,原告と会うことは可能であるし,Aがフィリピンにおいて出生したフィリピン人であるとともに,Bもフィリピンの国籍を有しており,本件裁決時,3歳で環境の変化に対する順応性や可塑性に富む年齢にあったことに鑑みれば,A及びBが原告と共 がフィリピンにおいて出生したフィリピン人であるとともに,Bもフィリピンの国籍を有しており,本件裁決時,3歳で環境の変化に対する順応性や可塑性に富む年齢にあったことに鑑みれば,A及びBが原告と共にフィリピンにおいて生活することも十分可能であるということができる。 (ウ) Aは,稼働能力を有する成人であり,Bを幼稚園に預けているのであるから,Cが幼稚園に入園する頃には,本邦において再び稼働し,自ら生計を立てることも十分可能である。原告も,フィリピンから本邦に送金するなどして,A,B及びCを経済的に支援することは十分可能である。 また,Aには,日本人の前夫との間にもうけた3人の子がおり,3人の子に経済的支援を受けることやBやCの面倒を見てもらうことを期待することができる。 (エ) 以上のとおりであるから,原告をフィリピンに送還することについて特段の支障はないというべきである。 カ原告のその余の主張に対する反論原告は,不法滞在者であっても永住者と婚姻している場合については,憲法24条1項並びにB規約17条及び23条の趣旨に照らし,「特別に在留を許可すべき事情」に当たり,また,原告が送還されれば,原告,A及び子らが分離されることになるから,本件裁決及び本件退令発付処分が児童の権利に関する条約3条1及び9条1に違反すると主張するようである。 しかしながら,憲法上,外国人は本邦に入国する自由や在留の権利を保障されているものではなく,外国人に対する憲法の人権保障は外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎない。 また,国家は,国際慣習法上,外国人を受け入れる義務を負わず,外国人を受け入れる場合の条件や退去の制度を自由に決定することができるとされているところ,B規 内で与えられているにすぎない。 また,国家は,国際慣習法上,外国人を受け入れる義務を負わず,外国人を受け入れる場合の条件や退去の制度を自由に決定することができるとされているところ,B規約にもこれを否定するような規定は見当たらず,児童の権利に関する条約も外国人の自国への上陸,在留を認めるか否かについて主権国家の広範な裁量を認めた国際慣習法上の原則を前提としているのであって,その原則を基本的に変更するものとは解されない。かえって,B規約13条は合法的に在留する外国人についてさえ法律に従った退去強制が行われることを前提としているが,B規約には退去強制の制度に関する詳細な規定は置かれておらず,B規約も上記国際慣習法を前提として退去強制の制度をどのように規定するかを国家に委ねており,B規約17条及び23条の権利もそれ自体外国人に在留の権利を認めたものと考え ることはできないばかりか,退去強制による制約が存在し,これに服することを当然の前提にしているというべきである。また,児童の権利に関する条約9条4が退去強制の措置に基づき父母と児童とが分離されることがあることを予定していることからも,同条約が外国人の本邦において在留する権利まで保障したものでないことは明らかであるし,同条約3条1は,いわゆる一般原則であり,締約国に対し,児童に関する特定の措置を行うことを義務付けるものではない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 キ結論以上のとおり,法務大臣等の極めて広範な裁量権を前提として,原告に対して在留特別許可をしなければ入管法の趣旨に反するような極めて特別な事情があるとは認められないことは明らかである。 したがって,本件裁決は,適法なものである。 (2) 争点2(本件退令発付 留特別許可をしなければ入管法の趣旨に反するような極めて特別な事情があるとは認められないことは明らかである。 したがって,本件裁決は,適法なものである。 (2) 争点2(本件退令発付処分の適法性)について(原告の主張)本件裁決は違法なものであるから,本件裁決に引き続いてされた本件退令発付処分は,本件裁決の違法を承継し,又は違法な本件裁決に基づくものとして違法なものである。 (被告の主張)退去強制手続において法務大臣等から異議の申出は理由がないと裁決した旨の通知を受けた場合には,主任審査官は速やかに退去強制令書を発付しなければならず(入管法49条6項),退去強制令書を発付するにつき裁量の余地は全くない。 よって,本件裁決が適法なものである以上,本件退令発付処分も当然に適法なものである。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件裁決の適法性)について(1) 在留特別許可の許否の判断に関する裁量権について国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうか,また,これを受け入れる場合にいかなる条件を付すかを自由に決定することができるものとされており,憲法上,外国人は我が国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん,在留の権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものでもない(最高裁昭和29年(あ)第3594号同32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁,最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)。 そして,入管法50条1項の在留特別許可については,入管法24条各号が定める 1663頁,最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)。 そして,入管法50条1項の在留特別許可については,入管法24条各号が定める退去強制事由に該当する外国人が入管法50条1項各号のいずれかに該当するときにすることができるとされているほかは,その許否の判断の要件ないし基準とすべき事項は定められていない上,外国人の出入国管理は国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の国益の保持を目的として行われるものであって,このような国益の保持の判断については,広く情報を収集しその分析の上に立って時宜に応じた的確な判断を行うことが必要であり,高度な政治的判断を要求される場合もあり得ることを勘案すれば,在留特別許可をすべきか否かの判断は法務大臣の広範な裁量に委ねられているというべきである。 そうすると,在留特別許可をするか否かについての法務大臣の判断については,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により判断の内容が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法 となるというべきであって,このことは法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長についても同様というべきである。 以上の見地から,本件裁決における東京入国管理局長の判断が上記の裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものと認められるか否かについて検討する。 (2) 認定事実上記前提事実,争いのない事実,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告は,1966年▲月▲ れるか否かについて検討する。 (2) 認定事実上記前提事実,争いのない事実,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告は,1966年▲月▲日,フィリピンにおいて,フィリピン人の父母の間に8人兄弟の末子として出生した(甲57,乙4)。 原告は,フィリピンにおいて,高校を中退した後は,家具工場で働いていたが,1993年3月頃,亡父の治療費のためにした借金を返済等するため,韓国に働きに行った。原告は,韓国において,不法残留となった後も,衣服加工工場で働いていたが,日本の方が韓国よりも給料が高いと聞き,フィリピン人の船員に費用を支払い,平成9年4月頃,船舶で本邦に不法入国した。なお,原告の退去強制手続における供述調書(乙2,8)には,原告が本邦に不法入国したのは平成11年4月頃であるという記載があるが,入国時期については特段疑問を差し挟むべき理由がない原告本人尋問の結果及び陳述書(甲57)の記載により,上記のとおり認定した。 (甲57,乙2,4,6,8,11,原告本人)イ原告は,本邦に不法入国した後,静岡県や千葉県において,養鶏場やアルミ加工工場で働いたり,現場作業員として働くなどし,平成21年7月29日に摘発される前には,月十数万円ないし二十数万円の給料を得ていた(甲57,乙4,7,8)。 ウ原告は,平成16年頃,Aが当時千葉県○市において経営していた居酒屋に客として通っていたが,Aと交際するようになり,平成17年頃, 原告のアパートにおいて,A及びAの長男と同居するようになった(甲56,57,60,証人A)。Aは,原告が居酒屋に客として通ってきていた時から原告には在留資格がないことに気付いており,原告から平成18年頃にはそのことを聞かされてい 長男と同居するようになった(甲56,57,60,証人A)。Aは,原告が居酒屋に客として通ってきていた時から原告には在留資格がないことに気付いており,原告から平成18年頃にはそのことを聞かされていた(乙7,証人A,原告本人)。 原告とAとは,平成18年頃から,互いに婚姻することについて意識するようになり,駐日フィリピン大使館を訪れて,原告の有効な旅券を取得しようと試みたが,書類が揃わず取得できないでいた。また,原告とAは,AがBを妊娠したことを契機として,結婚する意思を固め,駐日フィリピン大使館を訪れて,婚姻手続を行おうとしたが,不足とされた書類を揃える費用を賄うことができず,手続は進まなかった(甲56,57,乙8,証人A,原告本人)。 エ Aは,Bを妊娠したことから,居酒屋の経営を辞め,平成21年▲月▲日,Bを出産した(前提事実(1)ウ,乙8)。 Bは,出生直後にダウン症候群と診断され,約1か月半入院し,その後は約2週間に1回通院していた。Bは,千葉県から,平成22年11月4日,障害程度Bの1(中度の知的障害)とする療育手帳の交付を受け,現在は約3か月に1回通院し,薬も服用している。E医療センターの医師が作成した平成25年4月6日付けの診断書によれば,Bの傷病名はダウン症候群及び甲状腺機能低下症であって,ダウン症候群による知的障害についてはリハビリテーションを含めた療育が必要であり,甲状腺機能低下症については,現在は正常値を示しているが,今後定期的なフォローアップが必要であるとされている(甲5,9,10,11,48,56,57,乙7,8,証人A)。なお,Bは,○市の紹介により,平成25年5月27日,障害を持つ幼児を受け入れる態勢のある幼稚園に入園した(甲56から58まで,64)。 Aは,B 48,56,57,乙7,8,証人A)。なお,Bは,○市の紹介により,平成25年5月27日,障害を持つ幼児を受け入れる態勢のある幼稚園に入園した(甲56から58まで,64)。 Aは,Bがダウン症候群であることを知ると,原告が離れていってしま うのではないかとおそれ,Bがダウン症候群と診断されていたことをBの出生後すぐには原告に伝えることができずにいたが,原告が摘発された後のBの1歳の誕生日にそのことを原告に打ち明けた(甲56,57,証人A,原告本人)。 Aは,本件裁決時にCを妊娠しており,本件裁決後の平成24年▲月▲日,Cを出産した(前提事実(1)オ)。 オ Aは,フィリピンにおいて,1969年 ▲ 月 ▲ 日,フィリピン人の父母の間に2人姉妹の妹として出生し,高校を中退した後,レストランでウエイトレスとして働いていたが,日本人の前夫と出会い,婚姻し,平成元年6月14日,本邦に上陸した(前提事実(1)イ,甲56,乙7)。 Aは,前夫の浮気等を原因として離婚をした後の平成15年頃から,千葉県○市において,居酒屋を経営していた。Aは,Bを妊娠したことから居酒屋の経営を辞め,その後は仕事をしておらず,原告の給料をAが管理して生活していたが,原告が摘発された後は,介護施設等で働き,月十数万円の月収を得るようになり,原告が,自宅でBの面倒を見るようになったものの,Cを妊娠したことから,平成24年4月頃,仕事を辞めた。 (甲56,乙4,7,8,11,証人A,原告本人)Aと前夫との間の長男は,原告が摘発された当時,会社の寮に居住していたが,原告が摘発された後の平成21年9月頃から,Aや,B,原告と同居するようになり,平成22年9月頃,Aらと1度別居したが,平成23年夏頃から,Aらと再び同 が摘発された当時,会社の寮に居住していたが,原告が摘発された後の平成21年9月頃から,Aや,B,原告と同居するようになり,平成22年9月頃,Aらと1度別居したが,平成23年夏頃から,Aらと再び同居し,AがCを妊娠して仕事を辞めた平成24年4月頃からは,Aらの生活を支えている(甲55から57まで,証人A,原告本人)。 Aと前夫との間の長女は,日本人男性と婚姻し,子をもうけ,千葉県○市において生活し,A,B,C及び原告と交流している(甲56,57)。 Aと前夫との間の二女は,高校生であり,親権者である前夫と千葉県 ○市において生活しているが,1週間に2,3回,A,B及びCに会いにきて,原告とも交流している(甲56,57,証人A,原告本人)。 Aの父は死亡しているが,母及び姉はフィリピンに居住している(乙7,証人A)。 原告の父母及び長姉は死亡しているが,兄弟6人はフィリピンに居住している(乙4,原告本人)。 カ幼児期におけるダウン症候群の症状は,易感染性や,精神運動発達遅滞,言語発達遅滞である。ダウン症候群の合併症としては,先天性心疾患が約50パーセントにみられ,その他消化管症状,難聴,環軸椎亜脱臼,外反扁平足,白血病,一過性異常骨髄増殖症,甲状腺機能障害,斜視,てんかんなどがみられる。また,ダウン症児については,3歳頃までは中耳炎や気管支炎などの感染症,特にRSウイルス感染には注意する必要がある。 乳児期には2か月ごとに身体計測をして健康管理を行い,幼児期には3か月ないし6か月ごとに,学童期以降も1年に1回ないし2回は経過観察を行い,眼科疾患(眼振,斜視,近視,遠視,乱視など)や耳鼻科疾患(難聴,滲出性中耳炎など)のフォローも1歳前と3歳以降には毎年行われ,甲状腺機能につい ,学童期以降も1年に1回ないし2回は経過観察を行い,眼科疾患(眼振,斜視,近視,遠視,乱視など)や耳鼻科疾患(難聴,滲出性中耳炎など)のフォローも1歳前と3歳以降には毎年行われ,甲状腺機能については,3歳頃からは機能低下や亢進に注意して血液検査が行われる。(甲50)そして,低緊張のため,運動発達は遅れ,言語発達も遅く,発語も不明瞭であるため,集団生活や療育が勧められているところ,他の障害児に比べ,早期からの療育の機会が少ないが,少なくとも,乳幼児期には,一般的養護に配慮し,年長児になれば,身体的精神的な特性に基礎を置いた訓練,学習,生活療法を行うことが必要であり,ダウン症児の知的及び身体的発達や生活能力及び社会適応能力の向上には,早期療育により適切な働きかけが行われることが重要であるとされている(甲50,51)。 他方で,フィリピンについては,同地域内の国々と比較して,債務返済 に充てる予算が多く,教育や保険に配分されている予算が少ないという特徴があり,また,貧困層が,保険・医療面において厳しい状況におかれている(甲53,証人A)。そして,学校施設や障害者専門の教師が不足しているため,障害者を受け入れる学校が限られており(証人A),高い教育を受けた障害者が無視することができない数いる一方で,教育機会を全く得ていない障害者が同程度の割合いるという調査結果がある(甲65,66)。 (3) 検討ア原告の入国及び在留の状況について上記認定事実ア及びイのとおり,原告は,平成9年4月頃に船舶で本邦に不法入国した後,長期間にわたり本邦に不法在留して不法就労し,また,上記前提事実(2)ケのとおり,本邦に上陸した日から90日以内に,外国人登録法3条1項の規定による新規登録の申請をしないな で本邦に不法入国した後,長期間にわたり本邦に不法在留して不法就労し,また,上記前提事実(2)ケのとおり,本邦に上陸した日から90日以内に,外国人登録法3条1項の規定による新規登録の申請をしないなど,原告の入国及び在留の状況は,悪質であったことは否めず,これらの点は,原告に対する在留特別許可の許否の判断に当たり,消極要素として考慮すべき事情である。 イ原告とAとの内縁関係について上記認定事実ウのとおり,①原告とAとは,一定期間の交際を経て,平成17年頃には,Aの長男と共に同居するようになっていたこと,②原告とAとは,平成18年頃から,婚姻することについて意識するようになっていたところ,AがBを妊娠したことから,平成20年には,婚姻する意思を固めたこと,③原告とAとが婚姻に至らなかったのは,不足とされた書類を費用上の問題から揃えられなかったためであることが認められる。 また,上記認定事実エのとおり,④Aは,平成21年▲月,Bを出産したこと,⑤Bにはダウン症候群,これによる知的障害及び甲状腺機低下症があり,出生後,入院したり,頻繁に通院し,薬も服用するなどしている ところ,原告とAは,Bを通院等させながら養育してきていることが認められる。そして,上記認定事実ウのとおりの原告とAとの交際からBの出生までの経緯や,上記⑤のとおりの原告とAによるBの養育の状況に照らせば,原告とBとの間には,生物学的な父子関係が存在すると推認することができる。 さらに,上記認定事実オのとおり,⑥原告とAは,AがBを妊娠して居酒屋の経営を辞めた後,原告の給料により生活してきたこと,⑦原告が摘発された後は,Aが介護施設等で働き,月収を得て生活するようになり,原告は自宅でBの面倒をみてきたこと,⑧原告は,Aの前夫 娠して居酒屋の経営を辞めた後,原告の給料により生活してきたこと,⑦原告が摘発された後は,Aが介護施設等で働き,月収を得て生活するようになり,原告は自宅でBの面倒をみてきたこと,⑧原告は,Aの前夫との間の子らとの間で良好な関係を構築していることが認められる。 他方,Aは,上記前提事実(1)イ及び認定事実オのとおり,平成元年に日本人の前夫と婚姻し本邦に上陸してから20年以上の長期間にわたって本邦に在留しており,平成11年2月には永住許可を受け,平成14年▲月に前夫と離婚した後も,居酒屋を経営したり,介護施設等で働くなどして生計を維持しながら,前夫との間の3人の子と交流を保ってきていることが認められ(なお,二女は上記認定事実オのとおり高校生であり,二女との交流は面会交流としての意義を有する。),本邦に定着して安定した生活基盤を築いてきたということができる。 以上の諸点を勘案すると,原告とAとは,平成17年頃に同居を開始してから,継続して生活を共にしており,書類の不足により婚姻するには至っていなかったものの,平成20年には,婚姻する意思を固め,Bの出生後は同人を協力して養育しており,経済的にも一体的な関係があったものであり,また,Aについては適法な在留資格のもとで本邦に定着しているといえるから,平成24年5月8日の本件裁決時,原告とAとは内縁関係にあり,その内縁関係は,永続的な精神的及び肉体的結合を目的とした真摯な意思をもって共同生活を営むという婚姻の本質(最高裁判所平成14 年10月17日第一小法廷判決・民集56巻8号1823頁参照)を備えたものであって,成熟かつ安定したものであったというべきである。 しかるに,被告の主張(前記ウ(ウ),エ(イ))によれば,東京入国管理局長は,原告とAの内縁関係が法律上の婚姻に準じ 3頁参照)を備えたものであって,成熟かつ安定したものであったというべきである。 しかるに,被告の主張(前記ウ(ウ),エ(イ))によれば,東京入国管理局長は,原告とAの内縁関係が法律上の婚姻に準じた安定かつ成熟したものであったとするには疑義があると判断していたこと,また,原告とBとの間の生物学的な父子関係には疑義があると判断していたことがうかがわれるところ,これらの判断については,事実の誤認又は評価の誤りがあるといわざるを得ない。 なお,上記認定事実エのとおり,Aは,原告が摘発された後のBの1歳の誕生日まで,Bがダウン症候群であることを原告に知らせておらず,それまでの間,原告はBの病状について深刻に受け止めていなかったことがうかがわれる。しかし,フィリピンにおいて障害者に対する偏見等が残っていることもうかがわれること(甲66,証人A)からすれば,Aの上記のような不作為も理解できないものではないし,Bの障害を知った後の原告が,Bの養育を忌避しているわけではないことからすると,上記の事情は,原告とAとの内縁関係に関する上記の判断を左右するものとまではいえない。 ウ原告とBとの関係及びBが本邦において療育及び医療を受ける必要性等について上記認定事実エのとおり,Bは,ダウン症候群,これによる知的障害及び甲状腺機能低下症があると診断され,出生後,定期的かつ頻繁に通院し,薬も服用しており,本件裁決時にも,ダウン症児であることから定期的な経過観察等が行われる必要があることが具体的に予想された上,ダウン症候群による知的障害についてはリハビリテーションを含めた療育が必要であり,また,甲状腺機能低下症については定期的な検査等が必要である状態にあったと認められる。 そして,Bは,平成21年8月に「 害についてはリハビリテーションを含めた療育が必要であり,また,甲状腺機能低下症については定期的な検査等が必要である状態にあったと認められる。 そして,Bは,平成21年8月に「永住者の配偶者等」の在留資格を取得しているところ,Bは,本邦において,ダウン症児の知的及び身体的発達や生活能力及び社会適応能力の向上に重要であるとされている療育による働きかけを受ける機会があり,また,定期的かつ頻繁な通院や,服薬についてのみならず,甲状腺機能低下症等の合併症等の治療が必要となった場合についても,医療費の助成制度等の各種福祉制度を利用することができる可能性があり(甲51),十分な療育ないし教育及び経過観察ないし治療等を受ける機会がある。 他方,上記認定事実カによれば,フィリピンにおいては,障害児,特にBのようなダウン症児が必要な療育及び治療等を受ける機会が非常に乏しいことがうかがわれる。 しかるに,被告の主張(エ(エ))によれば,東京入国管理局長は,Bがフィリピンにおいてダウン症候群やそれに伴う甲状腺機能低下症について十分な療育及び治療を受けることができないという具体的な証拠がないと判断していたこと,また,Bは環境の変化に対する順応性や可塑性に富む年齢でありフィリピンにおいて生活することが十分可能であると判断していたことがうかがわれるところ,これらの判断については,事実の誤認又は評価の誤りがあるといわざるを得ない(なお,原告に係る強制退去手続においては,上記前提事実(2)のとおり,平成21年8月6日に入国審査官による違反調査が行われた後,同月25日に仮放免が許可され,その後の手続は平成23年4月22日に行われた特別審理官による口頭審理であるところ,この間,原告やAに対してBのダウン症候群に関する資料の提 よる違反調査が行われた後,同月25日に仮放免が許可され,その後の手続は平成23年4月22日に行われた特別審理官による口頭審理であるところ,この間,原告やAに対してBのダウン症候群に関する資料の提出を求めるなどしてその病状等に関する調査を行ったことをうかがわせるに足りる証拠はない。)。また,被告の主張(エ(ウ))によれば,東京入国管理局長は,原告がBの病気について極めて関心が薄く,本邦においてBを真摯に養育していく意思があったのか否か疑問を抱かざるを得ないと判断 していたことがうかがわれるところ,このような判断も,上記アにおける認定に照らし,事実の誤認又は評価の誤りがあるといわざるを得ない。 エ原告がフィリピンに送還された場合の支障について上記認定事実アのとおり,原告はフィリピンにおいて出生して成育し,フィリピンにおける稼働経験及び通常の稼働能力を有する成人男性であること,また,上記認定事実オのとおり,原告の兄弟6人がフィリピンに居住していることからすれば,原告自身がフィリピンにおいて生活することについては,特に支障となるような事情は認められない。 しかしながら,上記認定事実によれば,原告がフィリピンに送還された場合,本邦に残ったAとしては,自ら収入を得ながら,ダウン症候群等のあるBと幼いCを養育しなければならないことになるところ,このことが,原告との間で安定かつ成熟した内縁関係ないし家族関係を形成していたA,B及びCの生活を極めて困難なものに変化させることは明らかである。 しかるに,被告の主張(オ(ウ))によれば,東京入国管理局長は,Aは自ら生計を立てることが十分に可能であるし,Aには,日本人の前夫との間にもうけた3人の子がおり,3人の子に経済的支援を受けることやBやCの面倒を見 主張(オ(ウ))によれば,東京入国管理局長は,Aは自ら生計を立てることが十分に可能であるし,Aには,日本人の前夫との間にもうけた3人の子がおり,3人の子に経済的支援を受けることやBやCの面倒を見てもらうことを期待することができると判断したことがうかがわれるが,上記認定事実オのとおり,AはBに加えてCも養育すべき立場にあること,Aと前夫との間の長女には家庭があり,二女は高校生であって,長男の生活状況も変化し得るのであり,長男に今後も負担を掛けていくことには自ずと限度があることを勘案すると,これらの判断については,事実の誤認又は評価の誤りがあるといわざるを得ない。 オ小括以上によれば,原告の在留特別許可の判断に当たり積極要素として勘案すべき上記イないしエの事情についての東京入国管理局長の判断には,重要な事実についての誤認又は評価の誤りが複数存在し,重要な事実の基礎 を欠くものというべきである。 そして,上記で認定したとおり,①原告は,本邦において生活する中で,「永住者」の在留資格を有し本邦に定着して生活基盤を築いているAと婚姻の本質を備えて成熟かつ安定した内縁関係を築き,当該内縁関係が比較的長期間継続しており,原告とAが婚姻届出に至らなかった原因は必要な書類を揃えるための費用上の問題であったこと,②原告は,Aとの間に「永住者の配偶者等」の在留資格を有するBをもうけていること,③原告は,Aと日本人の間の前夫との間の3人の子とも交流するなどして,本邦に定着して生活基盤を築いていること,④原告の子であるBは,ダウン症候群等であるため,フィリピンにおいて必要な療育及び治療等を受ける機会が非常に乏しく,本邦での治療等を必要としていること,⑤原告がフィリピンに送還されると,その後におけるAと2人の子との生活が困難なものと あるため,フィリピンにおいて必要な療育及び治療等を受ける機会が非常に乏しく,本邦での治療等を必要としていること,⑤原告がフィリピンに送還されると,その後におけるAと2人の子との生活が困難なものとなることが予想されることなどの積極要素を総合勘案し,さらに,裁判所や行政当局が児童の最善の利益を主として考慮すべきことを定めている児童の権利に関する条約3条1や,児童がその父母の意思に反してその父母から分離されるべきではないとの原則を定めている同条約9条1の趣旨を参酌すると,原告の在留特別許可の判断に当たり消極要素として考慮されるべき上記アの点が存在すること,原告とAとの間に法的な婚姻関係が存在せず,Aが永住者の在留資格を有する外国人であるにすぎないことを考慮してもなお,原告に対して在留特別許可を与えるべきではないとした東京入国管理局長の判断は,考慮すべき積極要素を過少評価したものであって,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるというべきである。 したがって,東京入国管理局長のした本件裁決は,裁量権の範囲を逸脱,濫用したものとして,違法であるというべきである。 2 争点2(本件退令発付処分の適法性)について 本件退令発付処分は,東京入国管理局主任審査官が,東京入国管理局長から,本件裁決をした旨の通知を受け,入管法49条6項に基づいてしたものであるところ,上記1(3)オのとおり本件裁決は違法なものであるから,本件裁決を前提とした本件退令発付処分も違法なものである。 3 結論よって,原告の請求はいずれも理由があるから認容することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口 ずれも理由があるから認容することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官竹林俊憲 裁判官黒田吉人は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官谷口豊
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