平成14(行ウ)453 行政文書不開示決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年4月23日 東京地方裁判所 情報公開
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判決文本文57,488 文字)

主文 一原告らの請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は、原告らの負担とする。 事実及び理由 第一請求一被告が原告らに対して平成14年9月12日付け行政文書不開示決定通知書(金監第3890号)をもってした行政文書不開示処分を取り消す。 二被告が原告らに対して平成14年10月11日付け行政文書開示決定通知書(金監第4414号)をもってした下記の各行政文書に関する不開示処分を取り消す。 記 1 平成13年11月7日付け「米国テロ等に係る将来債務の発生について」 2 平成13年11月15日付け「T社の財務状況について」 3 平成13年11月16日付け「T社の財務状況について」 4 「FR債務見込額」 5 「アンケート回答結果」 6 平成14年4月15日付け「異常危険準備金の取崩額届出書」 7 「2001年11月15日付け保険業法第128条第1項に基づく報告徴求命令に対する回答」 8 2002年4月4日付け「基礎書類の一部変更届出の期間短縮通知について」三被告が原告らに対してした下記の各行政文書不開示処分を取り消す。 記 1 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3857号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(大成火災海上保険株式会社・1998年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 2 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3870号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(大成火災海上保険株式会社・19 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 2 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3870号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(大成火災海上保険株式会社・1999年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 3 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3871号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(大成火災海上保険株式会社・2000年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 4 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3873号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(安田火災海上保険株式会社・1998年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 5 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3874号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(安田火災海上保険株式会社・1999年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 6 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3875号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(安田火災海上保険株式会社・2000年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 7 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3876号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(株式会社損害保険ジャパン(旧安田火災海上保険株式会社)・2001年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 8 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3877号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(日産火災海上保険株式会社・1998年度)の「第3 事業方法書等の 開示処分 8 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3877号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(日産火災海上保険株式会社・1998年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 9 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3878号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(日産火災海上保険株式会社・1999年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 10 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3879号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(日産火災海上保険株式会社・2000年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 11 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3880号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(株式会社損害保険ジャパン(旧日産火災海上保険株式会社)・2001年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 12 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3881号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(千代田火災海上保険株式会社・1998年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 13 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3882号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(千代田火災海上保険株式会社・1999年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 14 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3883号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(あいおい損害保険株式会社(旧千代田火災海上保険株式会社)・2000年度)の「第3 事業 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3883号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(あいおい損害保険株式会社(旧千代田火災海上保険株式会社)・2000年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分 15 平成14年9月12日付け行政文書開示決定通知書(金監第3884号)による保険業法第110条に基づく業務報告書(あいおい損害保険株式会社・2001年度)の「第3 事業方法書等の変更状況等」に関する不開示処分四被告が原告らに対してした下記の各行政文書不開示処分を取り消す。 記 1 平成14年9月12日付け行政文書不開示決定通知書(金検第408号)による不開示処分 2 平成14年9月12日付け行政文書不開示決定通知書(金検第409号)による不開示処分 3 平成14年9月12日付け行政文書不開示決定通知書(金監第3886号)による不開示処分 4 平成14年9月12日付け行政文書不開示決定通知書(金監第3887号)による不開示処分第二事案の概要一本件は、原告らが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条に基づいて多数の行政文書の開示を請求したところ、被告が、それぞれ法5条1号柱書本文、2号イ、ロ又は6号柱書イ所定の不開示情報に該当するとして、その全部又は一部を不開示とする旨の決定をしたことから、原告らが、被告に対し、上記決定が違法である旨主張して、その取消しを求める事案である。 二前提事実以下の事実は、いずれも当事者間に争いのない事実又は当裁判所に顕著な事実である。 1 請求の趣旨第1項に関する開示請求と不開示決定(一) 原告ら る。 二前提事実以下の事実は、いずれも当事者間に争いのない事実又は当裁判所に顕著な事実である。 1 請求の趣旨第1項に関する開示請求と不開示決定(一) 原告らは、被告に対し、平成14年8月13日、法3条に基づき、「海外保険取引のリスク管理の観点から1998年から2001年までの間に安田火災海上保険株式会社、日産火災海上保険株式会社、大成火災海上保険株式会社及びあいおい損害保険株式会社又は千代田火災海上保険株式会社が金融庁に提出した又は金融庁作成に係る一切の資料(ただし、米国同時多発テロに起因するもの及び検査に係るものを除く。)」の開示請求を行った(以下、安田火災海上保険株式会社を「安田火災」と、日産火災海上保険株式会社を「日産火災」と、大成火災海上保険株式会社を「大成火災」と、あいおい損害保険株式会社を「あいおい損保」と、千代田火災海上保険株式会社を「千代田火災」という。)。 (二) 被告は、原告らの上記開示請求に対し、平成14年9月12日付け行政文書不開示決定通知書(金監第3890号)をもって、「開示請求に係る行政文書は、各社から提出された海外再保険取引に係る情報が記載されており、これを公にすることにより、当該金融機関の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあることから、当該情報は法第5条第2号の不開示情報に該当する。」との理由を記載して、全部不開示とする旨の決定をし、これを原告らに通知した(以下、この決定を「本件不開示決定1」といい、同決定において不開示とされた行政文書を「本件行政文書A」という。)。 2 請求の趣旨第2項に関する開示請求と不開示決定(一) 原告らは、被告に対し、平成14年8月13日、法3条に基づき、「2001年9月11日の米国におけ 行政文書A」という。)。 2 請求の趣旨第2項に関する開示請求と不開示決定(一) 原告らは、被告に対し、平成14年8月13日、法3条に基づき、「2001年9月11日の米国における同時多発テロに起因して、再保険取引の観点から安田火災、日産火災(両会社の現在の商号『株式会社損害保険ジャパン』)、大成火災及びあいおい損保により金融庁に提出された又は金融庁作成に係る一切の資料」の開示請求をした(以下、株式会社損害保険ジャパンを「損保ジャパン」という。)。 (二)(1) 被告は、原告らの上記開示請求に対し、平成14年10月11日付け行政文書開示決定通知書(金監第4414号)をもって、開示請求に係る行政文書のうち、次の各文書について一部又は全部を不開示とする旨の決定をし、これを原告らに通知した(以下、この決定を「本件不開示決定2」と、同決定において不開示とされた行政文書を「本件行政文書B」といい、各文書を個別に指称するときは、「本件行政文書B①」のようにいう。)。 ① 平成13年11月7日付け「米国テロ等に係る将来債務の発生について」② 平成13年11月15日付け「T社の財務状況について」③ 平成13年11月16日付け「T社の財務状況について」④ 「FR債務見込額」⑤ 「アンケート回答結果」⑥ 平成14年4月15日付け「異常危険準備金の取崩額届出書」⑦ 「2001年11月15日付け保険業法第128条第1項に基づく報告徴求命令に対する回答」⑧ 2002年4月4日付け「基礎書類の一部変更届出の期間短縮通知について」(2) 被告は、本件行政文書 業法第128条第1項に基づく報告徴求命令に対する回答」⑧ 2002年4月4日付け「基礎書類の一部変更届出の期間短縮通知について」(2) 被告は、本件行政文書Bを不開示とする理由として、前記開示決定通知書に次のように記載した。 ア本件行政文書B①ないし③及び⑥ないし⑧については、金融機関の経営内容等に係る情報が記載されており、これを公にすることにより、当該金融機関の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、当該情報は法5条2号イに該当し不開示とした。 イ本件行政文書B④については、作成者と金融機関の間において、守秘義務契約に基づき提供された資料に基づき作成された資料であって、公表しないことを前提に金融機関の行政当局に対する説明の際に任意に提供されたものであるため、当該行政文書に記載された情報は法5条2号ロに該当し、その全体を不開示とした。 ウ本件行政文書⑤については、金融庁の要請を受けて、公にしないとの条件で金融機関より任意に提供されたものであって、金融機関における通例として公にしないこととされている情報が記載されていることから、当該情報は法5条2号ロに該当し、その部分を不開示とした。 3 請求の趣旨第3項に関する開示請求と不開示決定(一) 原告らは、被告に対し、平成14年8月13日、法3条に基づき、以下の(1)ないし(4)の各文書の開示請求をした。 (1) 保険業法110条に基づき大成火災により提出された1998年から2001年(事業年度)までの同社の各業務報告書(2) 保険業法110条に基づき安田火災(現在の商号「損保ジャパン」)により提出された1998年から20 より提出された1998年から2001年(事業年度)までの同社の各業務報告書(2) 保険業法110条に基づき安田火災(現在の商号「損保ジャパン」)により提出された1998年から2001年(事業年度)までの同社の各業務報告書(3) 保険業法110条に基づき日産火災(現在の商号「損保ジャパン」)により提出された1998年から2001年(事業年度)までの同社の各業務報告書(4) 保険業法110条に基づきあいおい損保又は千代田火災により提出された1998年から2001年(事業年度)までの同社の各業務報告書(二) 被告は、原告らの上記各開示請求に対し、平成14年9月12日付けの各行政文書開示決定通知書(金監第3857号、第3870号、第3871号、第3873号から第3884号まで)をもって、いずれも、保険業法110条に基づく業務報告書の「第3 事業方法書等の変更状況等」と題する部分につき、「これを公にすることにより当該法人の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあるため、法第5条第2号の不開示情報に該当する。」との理由を記載して、一部不開示とする旨の決定をし、これを原告らに通知した(以下、この決定を「本件不開示決定3」といい、同決定において不開示とされた行政文書を「本件行政文書C」という。)。 4 請求の趣旨第4項に関する開示請求と不開示決定(一) 原告らは、被告に対し、平成14年8月13日、法3条に基づき、以下の(1)ないし(4)の各文書の開示請求をした。 (1) 保険業法129条に基づき1998年から2001年までのうち、平成13年8月21日予告に基づき安田火災(現在の商号「損保ジャパン」)に対して実施された立入検査に際して金融庁 (1) 保険業法129条に基づき1998年から2001年までのうち、平成13年8月21日予告に基づき安田火災(現在の商号「損保ジャパン」)に対して実施された立入検査に際して金融庁が作成した一切の資料(2) 保険業法129条に基づき1998年から2001年までの間における直近の日産火災(現在の商号「損保ジャパン」)に対して実施された立入検査に際して金融庁が作成した一切の資料(3) 保険業法128条に基づき安田火災(現在の商号「損保ジャパン」)により提出された1998年から2001年(事業年度)までのうち、平成13年8月21日予告の立入検査結果に対する同社の報告書(4) 保険業法128条に基づき日産火災(現在の商号「損保ジャパン」)により提出された1998年から2001年(事業年度)までの間における直近の立入検査結果に対する同社の報告書(二)(1) 被告は、原告らの上記各開示請求に対し、平成14年9月12日付けの各行政文書不開示決定通知書(金検第408号、同第409号、金監第3886号及び同第3887号)をもって、それぞれ、次の①ないし④の各文書を不開示とする旨の決定をし、これを原告らに通知した(以下、この決定を「本件不開示決定4」と、同決定において不開示とされた行政文書を「本件行政文書D」といい、各文書を個別に指称するときは、「本件行政文書D①」のようにいう。)。 ① 安田火災に対する平成13年8月21日を検査実施日とする検査に係る検査結果通知、検査報告書及び審査参考資料② 日産火災に対する平成12年10月27日を検査実施日とする検査に係る検査結果通知、検査報告書及び審査参考資料③ 保険業法128条 査報告書及び審査参考資料② 日産火災に対する平成12年10月27日を検査実施日とする検査に係る検査結果通知、検査報告書及び審査参考資料③ 保険業法128条に基づき安田火災により提出された1998年から2001年(事業年度)までのうち、平成13年8月21日予告の立入検査結果に対する同社の報告書④ 保険業法128条に基づき日産火災により提出された1998年から2001年(事業年度)までの間における直近の立入検査結果に対する同社の報告書(2) 被告は、本件不開示決定4に当たり、本件行政文書D①及び②を不開示とした理由として、当該各通知書に、下記のように記載した。 記① 検査は被検査金融機関の協力を得て、その経営の健全性及び業務の適切性の実態把握を行うものであるが、開示請求に係る行政文書には、金融機関の経営内容等に係る情報及びその取引先に係る情報が記載されており、これを公にすることになれば、検査当局と金融機関との信頼関係を損ない、今後、検査において金融機関の協力が得難くなり、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為の発見を困難にするおそれがあるため、当該情報は、法5条6号の不開示情報に該当する。 ② 開示請求に係る行政文書には、金融機関の取引先の法人に関する情報が記載されており、これを公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、当該情報は、法5条2号の不開示情報に該当する。 ③ 開示請求に係る行政文書には、金融機関の経営内容等に係る情報が記載されており、これを公にすることにより、 するおそれがあるため、当該情報は、法5条2号の不開示情報に該当する。 ③ 開示請求に係る行政文書には、金融機関の経営内容等に係る情報が記載されており、これを公にすることにより、当該金融機関の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、当該情報は、法5条2号の不開示情報に該当する。 ④ 開示請求に係る行政文書には、金融機関の取引先の個人に関する情報が記載されており、これに含まれる氏名により特定の個人を識別することができるものがあるため、当該情報は、法5条1号の不開示情報に該当する。 (3) 被告は、本件不開示決定4に当たり、本件行政文書D③及び④を不開示とした理由として、当該各通知書に、下記のように記載した。 記開示請求に係る行政文書には、保険業法128条1項の規定に基づき、被検査金融機関に対し、検査結果通知に係るその事実認識、発生原因分析、改善・対応策について報告を求めたものである。 当該行政文書には、① 個人の情報が記載されており、これに含まれる氏名により特定の個人を識別することができるものがあるため、当該情報は法5条1号の不開示情報に該当する。 ② 金融機関の経営内容等に係る情報が記載されており、これを公にすることにより、当該金融機関の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、当該情報は法5条2号の不開示情報に該当する。 ③ 金融機関の取引先の法人等に関する情報が記載されており、これを公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあることから、 報に該当する。 ③ 金融機関の取引先の法人等に関する情報が記載されており、これを公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあることから、当該情報は法5条2号の不開示情報に該当する。 ④ 検査は被検査金融機関の協力を得て、その経営の健全性及び業務の適切性の実態把握を行うものであるが、金融機関の経営内容等に係る情報及びその取引先に係る情報が記載されている検査結果通知に対する改善状況報告を公にすることになれば、検査当局と金融機関との信頼関係を損ない、今後、検査において金融機関の協力が得難くなり、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為の発見を困難にするおそれがあることから、当該情報は法5条6号の不開示情報に該当する。 5 原告らは、平成14年12月13日、本訴を提起した。 三争点本件の争点は、本件不開示決定1ないし4の適法性であり、具体的には、本件行政文書AないしDに記載されている情報が、それぞれ、法5条1号柱書本文、2号イ、ロ又は6号柱書イ所定の不開示情報に該当するか否か並びに本件不開示決定1及び2が理由付記不備として、法9条2項、行政手続法8条に違反するか否かである。 四争点に関する当事者の主張の要旨 1 本件不開示決定1の適法性(被告の主張)(一) 本件行政文書Aに記載された情報は、以下に述べるとおり、法5条2号イの不開示情報に該当する。 (1) 法5条2号イ所定の「権利、競争上の地位その他正当な利益」とは、法的保護に値する権利一切、公正な競争関係における地位、ノウハウ、信用等の法人の運営上の地位が広く含まれる。また、法5条2号イ所定の「公にすることにより、当該法人等 上の地位その他正当な利益」とは、法的保護に値する権利一切、公正な競争関係における地位、ノウハウ、信用等の法人の運営上の地位が広く含まれる。また、法5条2号イ所定の「公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあること」にいう「おそれ」とは、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められるものであるが、正当な利益を害する蓋然性を個別具体的立証すべきことを要しない。 すなわち、法5条2号イの要件の該当性は、行政文書に記録された情報の一般的性質等に基づき、これが公にされた場合に、いかなる支障を及ぼす蓋然性があるかを経験則に基づいて判断すべきであり、情報の一般的性質、外部公開性等から正当な利益を害する蓋然性が認められれば足りる。 (2) 本件行政文書Aは、安田火災、日産火災、大成火災及び千代田火災の各保険会社が行った海外再保険取引に関する情報について、当該各保険会社が被告に対して報告したものである。 そして、本件行政文書Aには、各保険会社ごとに、再保険に付す出再保険契約及び再保険を引き受ける受再保険契約に分けて、それぞれにつき、火災保険、船舶保険、傷害保険等の保険種目ごとに国内、海外別の支出、収入及び残高の具体的金額が記載されている。 これらの情報は、各保険会社のリスク管理・収益に直結する経営上重要な情報であるとともに、各保険会社が引き受けた保険リスクについて、巨大リスクや集積リスクをどのように分散・平均化しようとしているのかといった経営戦略に関わる情報であり、また、リスク予測等の企業ノウハウに関わる情報でもある。 なお、大成火災に係る当該情報は、同社が開示請求当時、金融機関等の更生手続の特 るのかといった経営戦略に関わる情報であり、また、リスク予測等の企業ノウハウに関わる情報でもある。 なお、大成火災に係る当該情報は、同社が開示請求当時、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律に基づく更生手続が進行中であったことから、公にすることにより、当該更生会社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものということができる。 したがって、上記情報は、法人に関する情報であって、公にすることにより、当該保険会社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものであり、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (3) 部分開示についてア本件行政文書Aに記載された情報は、各保険種目ごとの支出、収入及び残高をひとまとまりとしてみて、初めて社会生活上の特定の意味のまとまりのある内容といえるものであり、独立した一体的な情報となるべきものである。 したがって、各保険種目ごとの支出、収入及び残高をさらに細分化して部分開示することはできない。 イ本件行政文書Aは、その全体が、各保険会社の海外再保険におけるリスク分散・平均化のノウハウが記載されたものであるから、後にリスクが顕在化したからといって、その性質が変わるものではなく、全体として、法5条2号イに該当するものであり、時の経過によって不開示情報該当性が変わるものではない。 (二) 法9条2項及び行政手続法8条違反について本件不開示決定1は、以下のとおり、法9条2項及び行政手続法8条に違反するものではない。 (1) 原告らは、本件不開示決定1において不開示となった行政文書の名称、表題などが特定されておらず、対象文 1は、以下のとおり、法9条2項及び行政手続法8条に違反するものではない。 (1) 原告らは、本件不開示決定1において不開示となった行政文書の名称、表題などが特定されておらず、対象文書を特定しないまま、一括して理由を提示することは許されないなどと主張する。 しかし、本件不開示決定1は、全部不開示決定であり、行政文書の名称の表示は、開示請求書の記載と合致している。 したがって、本件不開示決定1における行政文書の表示は特定しているということができるので、何ら違法ではない。 (2) 本件不開示決定1における理由の記載は、不開示情報の内容が明らかにならない限度において、多数かつ散在する不開示情報について、まとめて類型化した上で、法5条2号の文言を引用したものであり、開示請求者において、請求に係る文書の種類、性質等とあいまって、不開示決定を争うか否かについて判断するに足りる程度のものであるから、不開示の理由の提示として十分である。 (原告らの主張)(一)(1) 法5条2号イの不開示情報とは、主観的に他人に知られたくない情報であるというだけでは足りず、当該情報を開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれが客観的に認められる場合を指すというべきである。 また、当該情報が法5条2号イ所定の「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」というためには、当該法人のいかなる権利、競争上の地位その他正当な利益が、どのように具体的に侵害されるのかが客観的に明白であるのかが明らかにされねばならず、また、「おそれ」とは、単なる確率的な可能性ではなく めには、当該法人のいかなる権利、競争上の地位その他正当な利益が、どのように具体的に侵害されるのかが客観的に明白であるのかが明らかにされねばならず、また、「おそれ」とは、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する強い蓋然性が要求されるべきである。 そうすると、本件行政文書Aに記載された情報が再保険取引に関わる情報だからといって、直ちにすべてが経験則上、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるものとして、法5条2号イに該当するということはできない。 また、保険業法と法とは趣旨を全く異にするのであって、保険業法や業界団体の基準により公開資料とされていないからといって、法に基づく例外規定の適用があるということはできない。 (2) 部分開示について本件行政文書Aには、既に保険リスクが顕在化した部分や保険業法や証券取引法等の関係法令上開示が認められている資料に含まれる情報と重複するか又は同種の情報も存在している蓋然性が極めて高い。したがって、保険会社の正当な利益を害するおそれがあると客観的に認められない情報を含めた全体を不開示とすることは許されず、部分開示をしなかった本件不開示決定1は、違法である。 (二) 法9条2項及び行政手続法8条違反(1) 本件不開示決定1は、原告らの開示請求に係る行政文書がそのまま引用されるにとどまり、被告の保有する本件不開示決定の対象となった行政文書の名称、表題などが何ら特定されていない。 被告は、不開示決定の対象となった文書を特定し、当該文書ごとに開示拒否の理由を個別に提示すべきである。対象文書を特定しないまま一括して理由を提示した本件不開示決定1は、法9条2項及び行政手続法8条に違反し、 不開示決定の対象となった文書を特定し、当該文書ごとに開示拒否の理由を個別に提示すべきである。対象文書を特定しないまま一括して理由を提示した本件不開示決定1は、法9条2項及び行政手続法8条に違反し、違法である。 (2) 不開示決定における理由の提示には、単に法律上の根拠条項を示すだけでは足りず、開示請求者が拒否の理由を明確に認識し得るものであることが必要である。 本件不開示決定1において示された不開示理由からは、当該情報の開示がなぜ当該金融機関の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあることにつながるのかを全く理解することができない。したがって、本件不開示決定1は、法9条2項及び行政手続法8条に違反し、理由付記不備として違法である。 2 本件不開示決定2の適法性(被告の主張)(一) 本件行政文書B①に係る不開示決定の適法性本件行政文書B①に記載された情報は、以下のとおり、法5条2号イ、ロ所定の各不開示情報に該当する。 (1) 法5条2号イ該当性本件行政文書B①は、被告が、大成火災その他の保険会社から、米国内テロに起因する再保険取引に関して多額の損失を被った旨の報告を受けて作成したものであり、本件行政文書B①の不開示部分には、大成火災を除く各保険会社が被告に提供した米国内テロに係る将来債務の発生の見込みや、ソルベンシー・マージン比率への影響の予測、これに対する対応策など、当該保険会社の経営に関わる情報が記載されている。 これらの情報は、本件行政文書B①作成の時点では、不確定な数値等の情報であるとともに、当該保険会社の将来の経営の内部的な予測であって、これらの情報が公にされれば、当該 ている。 これらの情報は、本件行政文書B①作成の時点では、不確定な数値等の情報であるとともに、当該保険会社の将来の経営の内部的な予測であって、これらの情報が公にされれば、当該保険会社の取引先、契約者等に無用の混乱を招くおそれがあり、しかも、当該保険会社に風評等による損害を与えるおそれがあるなど当該保険会社の今後の経営に影響を及ぼすことが明らかな情報である。 したがって、当該情報は、法人に関する情報であって、公にすることにより、当該保険会社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報に当たり、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (2) 法5条2号ロ該当性本件行政文書B①に記載された情報は、米国内テロの発生という異常事態の中、被告の要請を受けて提供されたものである。また、これらの情報は、前記のとおり、不確定な数値等の情報であり、当該保険会社内部の予測であって、損害保険業界において通例として公にしないものである。そして、これらの情報が公にされれば、前記(1)のとおり、当該保険会社の取引先、契約者等に無用の混乱を招くおそれがあり、当該保険会社に風評等による損害を与えるおそれがあるといった当該情報の性質、米国内テロの発生という異常事態の発生などといった当時の状況に照らせば、各保険会社は、公にしないとの条件を付して当該情報を提供したものと合理的に認められる。 したがって、当該情報は、行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況に照らして合理的と認められるものに当たり、法5条2号ロ所定の不開 供されたものであって、法人等における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況に照らして合理的と認められるものに当たり、法5条2号ロ所定の不開示情報に該当する。 (二) 本件行政文書B②及び③に係る不開示決定の適法性本件行政文書B②及び③に記載された情報は、以下のとおり、法5条2号イ、ロ所定の各不開示情報に該当する。 (1) 法5条2号イ該当性本件行政文書B②及び③は、被告が、大成火災その他の保険会社から、米国内テロに起因する再保険取引に関して、多額の損失を被ったか否か及び今後の対応策等を聴取して作成したものである。 本件行政文書②及び③の不開示部分には、当該保険会社の米国内テロに対する対応についての経営方針に関する情報、当局の今後の対応策として保険業法128条1項に基づく報告徴求を行うことに関する情報、大成火災その他の保険会社のフォートレス・リー社(再保険取引を取り扱う代理店。以下「FR社」という。)に関する再保険取引の概要が記載されている。 これらの情報は、各保険会社が内部的に予測した今後の経営に関する情報であり、これらが公にされれば、当該保険会社の取引先、契約者等に無用の混乱を招くおそれがあり、しかも、当該保険会社に風評等による損害を与えるおそれがあるなど当該保険会社の今後の経営に影響を及ぼすことが明らかな情報である。 したがって、これらの情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (2) 法5条2号ロ該当性本件行政文書B②及び③は、米国内テロの発生という異常事態の中、被告の要請を受けて、当該保険会社から イ所定の不開示情報に該当する。 (2) 法5条2号ロ該当性本件行政文書B②及び③は、米国内テロの発生という異常事態の中、被告の要請を受けて、当該保険会社から公にしないことを条件に任意に提供されたものである。そして、このような条件を付することが情報の性質、情報の提供を受けた当時の状況等に照らして合理的であることは、本件行政文書B①と同様である。 したがって、当該情報は、法5条2号ロ所定の不開示情報に該当する。 (三) 本件行政文書B④に係る不開示決定の適法性本件行政文書B④は、米国内テロに起因する再保険取引に関して、大成火災から提示のあった資料であり、大成火災の損失見込額に関する情報が記載されている。 上記情報は、大成火災が、提供者である同社と当該情報の元データを提供した者との間において、元データに関する守秘義務契約が締結されているものであるとの口頭説明を加えた上で、米国内テロの発生という異常事態の中、当局の要請を受けて、公表しないことを前提に提供したものである。当該情報は、元データを提供した者が直接被告から情報提供の要請を受ければ、これを公にしないことを条件とするものであるから、公にしないことを条件として提供されたものと解すべきである。 したがって、当該情報は、法5条2号ロ所定の不開示情報に該当する。 (四) 本件行政文書B⑤に係る不開示決定の適法性本件行政文書B⑤に記載された情報は、以下のとおり、法5条2号イ、ロ所定の各不開示情報に該当する。 (1) 法5条2号イ該当性本件行政文書B⑤は、被告が平成13年12月3日付けで、損害保険会社32社に とおり、法5条2号イ、ロ所定の各不開示情報に該当する。 (1) 法5条2号イ該当性本件行政文書B⑤は、被告が平成13年12月3日付けで、損害保険会社32社に対して再保険取引に関する実態調査を行った結果を取りまとめた文書であり、調査対象となった保険会社各社から報告されたリスク管理の状況及び計数が詳細に記載されている。 上記情報は、各保険会社のリスク管理・収益に直結する経営上の重要な情報であるとともに、保険のリスクコントロールは、各保険会社の経営のノウハウ、企業の秘密に該当するものである。これらの情報が公開されれば、各保険会社のリスク管理方法、各保険会社が引き受けているリスク量を把握することができるようになり、これに他の公表されている情報を併せて分析すれば、各保険会社の経営のノウハウ、企業の秘密を把握することが可能となる。 したがって、当該情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (2) 法5条2号ロ該当性本件行政文書B⑤は、米国内テロの発生という異常事態により損害保険業界全体に対する信用不安が生じるおそれがあるという状況の下で、被告が各保険会社に対し、保険会社に対する監督に活用する目的で情報の提供を要請し、これを受けて各保険会社においても、これらの情報を公にしないことを条件に、情報を任意に提供したものである。そして、このような条件を付することが情報の性質、情報の提供を受けた当時の状況等に照らして合理的であることは、本件行政文書B①の場合と同様である。 したがって、当該情報は、法5条2号ロ所定の不開示情報に該当する。 (五) 本件行政文書B⑥に係る不開示決定の適法性 政文書B①の場合と同様である。 したがって、当該情報は、法5条2号ロ所定の不開示情報に該当する。 (五) 本件行政文書B⑥に係る不開示決定の適法性本件行政文書B⑥は、異常危険準備金を取り崩すために日産火災から届出がされたものであり、本件行政文書B⑥において不開示とした部分には、異常危険準備金の取崩しの明細や取崩し額の算定根拠に関する情報が記載されている。 異常危険準備金の取崩しの明細や取崩し額の算定根拠は、一般には公表されていないものである。これらの情報が公にされれば、保険種目別の繰り入れ基準や取り崩し基準、保険事故により発生した損害を再保険によってカバーしている状況などの情報を分析することによって、日産火災の保険リスクの管理等に関する財務状況を知ることができ、また将来にわたる財務の方針を推認することが可能である。これらの再保険取引によるリスクカバーは、保険会社の営業成績、さらには経営そのものに大きな影響を及ぼすものであり、日産火災の競争上の地位を害するおそれが生じる。 したがって、当該情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (六) 本件行政文書B⑦に係る不開示決定の適法性本件行政文書B⑦は、内閣総理大臣の委任する金融庁長官が保険業法128条1項に基づき、平成13年11月15日付けで行った報告徴求命令に対する大成火災その他の保険会社からの回答であり、ソルベンシー・マージン比率算出の根拠となる保険リスク額に関する明細等、各保険会社の経営に関する情報、経営戦略に関する情報が記載されている。 報告徴求命令を受けた保険会社がどこであるかが公となれば、報告徴求命令を受けた保険会社について何らかの問題がある 保険会社の経営に関する情報、経営戦略に関する情報が記載されている。 報告徴求命令を受けた保険会社がどこであるかが公となれば、報告徴求命令を受けた保険会社について何らかの問題があるとの認識を世間に対して与えるおそれがあるほか、風評等による損害を招くおそれがある。また、開示されることになっていないソルベンシー・マージン比率の算出根拠となるリスク額の明細等の具体的数値等の情報が公にされれば、その情報を分析することによって、各保険会社の保険リスクの管理等に関する財務状況を知ることが可能となる。これらの情報は、保険会社の営業成績、さらには経営そのものに大きな影響を及ぼすものであり、各保険会社の競争上の地位を害するおそれが生ずる。 したがって、当該情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (七) 本件行政文書B⑧に係る不開示決定の適法性本件行政文書B⑧は、日産火災が保険料及び責任準備金の算出方法書を変更するため、保険業法123条2項に基づき届け出たものであり、責任準備金等の算出方法の変更内容が記載されている。日産火災が本件行政文書B⑧により変更を届け出た対象は、保険料及び責任準備金の算出方法書であり、日産火災の商品に関する規定、保険料及び責任準備金の算出方法等の情報であって、重要な経営ノウハウ、企業の秘密に該当するものであり、その性質から一般には公表されていない情報である。 このような日産火災が経営判断に基づいて行った算出方法の変更内容に関する情報が公にされれば、日産火災が蓄積してきた責任準備金に関する経営ノウハウ等が明らかとなって、他の保険会社が日産火災の経営ノウハウ等を利用することによって、日産火災の競争上の地位を害するおそれがある。 し 火災が蓄積してきた責任準備金に関する経営ノウハウ等が明らかとなって、他の保険会社が日産火災の経営ノウハウ等を利用することによって、日産火災の競争上の地位を害するおそれがある。 したがって、当該情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (八) 本件不開示決定2の理由の提示不開示決定に際して記載すべき理由は、開示請求者において、請求に係る文書の種類、性質等とあいまって、不開示決定を争うか否かを判断するに足りる程度に特定されていれば足り、その理由も同種・類似の事項をまとめて理由を記載することもでき、かつ、不開示情報の内容が明らかにならない程度において、どのような類型の情報が記録されているかを示せば十分である。 本件不開示決定2のうち、原告らが理由付記不備であると主張する本件行政文書B①ないし③及び⑥ないし⑧に係る理由の提示は、開示請求者において、いかなる行政文書が不開示とされたのか、また、いかなる不開示事由が存在するのかを判断することができるものであって、理由の記載として何ら不足することはないから、違法ではない。 (原告らの主張)(一) 本件行政文書B①に係る不開示決定の適法性(1) 法5条2号イ該当性本件行政文書B①は、本件不開示決定2の当時、その作成時から既に約1年が経過しており、米国内テロに係る関係各金融機関の債務は既に確定していた可能性が高いから、本件行政文書B①に記載された情報が、その作成時において、各保険会社の予測的な情報にすぎなかったとしても、本件不開示決定の時点では、予測的なものであったということはできない。 また、日産火災もあいおい損保も説明責任の観点からそれぞれ独自に海外 の予測的な情報にすぎなかったとしても、本件不開示決定の時点では、予測的なものであったということはできない。 また、日産火災もあいおい損保も説明責任の観点からそれぞれ独自に海外再保険取引に係る損失見込額や対応策、ソルベンシー・マージン比率等を順次公表しており、平成14年3月期には、業績予想の修正等も行っていたのであるから、本件不開示決定2の時点で既にこれらの情報の秘密性は失われている。 さらに、本件行政文書B①には、今後情報の内容に変更があり得ることが明記されており、当該情報の公開によって、当該保険会社の取引先、契約者等に無用の混乱を招くおそれや、当該保険会社に風評等による損害を与えるおそれなどなかった。 (2) 法5条2号ロ該当性本件行政文書B①記載の情報につき、非公開の約束があったという具体的な主張立証がされていない。 また、仮に本件行政文書B①の作成当時に非公開の約束が存在していたとしても、本件決定時には、大成火災、日産火災及びあいおい損保は海外再保険に伴う損失処理の最終的な方向性を明らかにしていたから、その後の事情の変化により、本件不開示決定2の時点で非公開約束を維持すべき理由は既に失われていた。 (二) 本件行政文書B②及び③について(1) 法5条2号イ該当性大成火災は、本件不開示決定2の当時、平成13年11月末に開始された会社更生手続の中でその財務状況を既に確定させており、平成14年10月1日に会社分割によって再保険関連の債務を切り離し、同年12月1日の損保ジャパンとの合併を間近にしていたのであるから、大成火災の平成13年11月時点の財務状況を不開示とする合理的根拠はもはや失 0月1日に会社分割によって再保険関連の債務を切り離し、同年12月1日の損保ジャパンとの合併を間近にしていたのであるから、大成火災の平成13年11月時点の財務状況を不開示とする合理的根拠はもはや失われていた。 あいおい損保は、本件不開示決定2の当時、既に、本件行政文書B②及び③のうちの、「FR再保険プール」と題する資料よりも詳しいスキームチャートを作成し、自社のホームページ上で公開していたのであるから、同資料を公開しても、あいおい損保の正当な利益を害することはない。 また、大成火災、日産火災及びあいおい損保が報告徴求命令を受けたことは、その当時の状況からみて、いわば当然であるから、これらの会社に対して徴求命令が発令されたことが、1年後の平成14年10月時点で明らかになったとしても、同社らの正当な利益を害することはあり得ない。 したがって、不開示部分の情報を公開しても、当該保険会社の取引先、契約者等に無用の混乱を招くおそれや、当該保険会社に風評等による損害を与えるおそれなど存せず、当該保険会社の正当な利益を害する客観的なおそれがあるとは認められない。 (2) 法5条2号ロ該当性前記(一)(2)と同じ(三) 本件行政文書B④及び⑤について(1) 本件行政文書B④の法5条2号ロ該当性についてア前記(一)(2)と同じイ大成火災のFR社債務は、本件不開示決定2の当時、既に確定値となっていたし、大成火災は、本件決定不開示決定2から約1か月半ほどで吸収合併されたのであるから、本件不開示決定2の当時、非公開約束を維持すべき利益は既に失われていた。 (2) 本件行政 っていたし、大成火災は、本件決定不開示決定2から約1か月半ほどで吸収合併されたのであるから、本件不開示決定2の当時、非公開約束を維持すべき利益は既に失われていた。 (2) 本件行政文書B⑤の法5条2号イ、ロ該当性についてア法人情報は、どんな情報であっても、形式的には営業上、経営上又は財務上の秘密に属する情報に該当し得るのであるから、当該法人等にどのような不利益が具体的に生ずるのかを明らかにしていない被告の主張によっては、法5条2号イに該当するとはいえない。 イ被告の主張は、法5条2号ロの要件を繰り返し述べたにすぎず、非公開の約束があったという具体的な主張立証を欠くものであるから、同要件の該当性を根拠付ける理由たり得ない。 (四) 本件行政文書B⑥について被告の主張は、抽象的な経験則を用いて法5条2号イに該当すると述べているにすぎず、当該法人のどのような利益が害される客観的なおそれがあるのかということが明らかではないから、同規定の該当性を根拠付ける理由たり得ない。 (五) 本件行政文書B⑦について(1) あいおい損保及び日産火災が平成13年11月の時点で米国内テロとの関係で徴求報告命令を受けたことは、本件不開示決定の当時には、もはや何ら重要性ある情報ではなく、保険会社について何らかの問題があるとの認識を世間に対して与えるおそれがあるとか、風評等による損害を招くおそれがあるなどいうことはあり得ない。 したがって、当該情報が法5条2号イ所定の不開示情報に該当するということはできない。 (2) また、本件行政文書B⑦には、ソルベンシー・マージン比率算出の根拠となるリスク額の明細等の具体的数値以 当該情報が法5条2号イ所定の不開示情報に該当するということはできない。 (2) また、本件行政文書B⑦には、ソルベンシー・マージン比率算出の根拠となるリスク額の明細等の具体的数値以外の情報も記載されているのであるから、すべて不開示とすることはできない。 (六) 本件行政文書B⑧について被告の主張では、日産火災のどのような具体的利益が害される客観的なおそれがあるのか不明であるから、当該情報が法5条2号イに該当するということはできない。 (七) 部分開示について仮に本件行政文書Bの不開示部分の一部に不開示情報が存在したとしても、時の経過により既に機密性が失われた情報や、保険業法、証券取引法等の関係法令上開示が求められる資料に含まれている情報と重複するか又は同種の情報が存在する蓋然性も極めて高いから、当該部分は、法6条1項に基づき、開示されなければならない。 (八) 理由付記不備について本件不開示決定2のうち、本件行政文書B①から③まで及び⑥から⑧までに係る部分は、「金融機関の経営内容等に係る情報が記載されており」との一括した記載をしているにすぎず、対象となる行政文書及び不開示情報ごとの個別に不開示理由を提示していないから、理由付記不備として違法である。 3 本件不開示決定3の適法性(被告の主張)本件行政文書Cにおいて不開示とされた部分は、当該各保険会社の各年度の業務報告書のうちの事業方法書等の変更状況等に係る部分であり、各保険会社が保険について新商品を開発し、あるいは既存の商品を改定して(以下これらを合わせて「新商品等」という。)、販売することを目的として行った「事業方法書」、「普通保険約款」又は「算出 であり、各保険会社が保険について新商品を開発し、あるいは既存の商品を改定して(以下これらを合わせて「新商品等」という。)、販売することを目的として行った「事業方法書」、「普通保険約款」又は「算出方法書」(以下これらを合わせて「基礎書類」という。)の変更認可申請等の内容が記載されており、各保険会社の新商品等に関して、基礎書類の変更認可に係る情報と、個別商品について各社が独自に開発したノウハウ(内部事務の方法、料率の算出方法等)が記載されている。 各保険会社は、これらの新商品等に係る基礎書類の変更認可を取得した後も、総合的な経営判断に基づき、新商品等の存在を公にするか否かを決するのであって、本件行政文書Cを開示すれば、これら新商品等の存在が明らかになるばかりではなく、各保険会社の新商品等の開発に関する重要なノウハウ等が明らかとなり、他の会社において同種商品を販売することが可能となるなど、各保険会社の競争上の地位を害するおそれがあった。 大成火災は、開示請求当時、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律に基づく更生手続が進行中であったことから、上記と同様の理由により、同社に係る当該情報を公にすることにより、更生会社である同社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあった。 したがって、当該情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (原告らの主張)(一) 被告の主張では、当該情報を公にすることにより、どのような具体的な利益を害する客観的なおそれがあるのか明らかでない。 (二) 部分開示(1) 大成火災は、本件不開示決定3の当時、損保ジャパンに吸収合併される直前であり、経営陣や経営内容は一新されることになっていたのだから、本件行政文書Cに (二) 部分開示(1) 大成火災は、本件不開示決定3の当時、損保ジャパンに吸収合併される直前であり、経営陣や経営内容は一新されることになっていたのだから、本件行政文書Cには、競争上の地位を害するおそれが客観的に存在すると認められるほどの秘密性を伴う情報は既に存在しなかった。したがって、被告は、少なくとも大成火災に関する情報については、すべて開示すべきであった。 (2) 本件行政文書Cには、既発表の商品に関するものなど、もはや新商品に関するものとはいえない情報や、重要なノウハウ等が明らかとなるとは必ずしも断定することができない情報が含まれている蓋然性が高い。また、変更後の普通保険約款は、秘密性が高いということはできない。さらに、「申請年月日」、「許可年月日及び文書記号番号」、「事業方法書」、「普通保険約款」、「保険料及び責任準備金の算出方法書」との部分を公開しても、当該法人の正当な利益が害されるとは考え難い。 4 本件不開示決定4の適法性(被告の主張)(一) 本件行政文書D①及び②に係る不開示決定の適法性(1) 本件行政文書D①及び②には、「検査報告書」、「検査結果通知」、「審査参考資料」及び「検査時徴求資料」(以下、本件におけるこれらの書類を合わせて「本件検査関係文書」と総称する。)が含まれている。 本件検査関係文書には、(ア)検査の対象となった保険会社の経営等の詳細に関わる情報、(イ)検査の対象となった保険会社の取引先たる法人に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報、(ウ)検査の対象となった保険会社の取引先等の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名等の記述により特定の個人を識別することができる情報等が記載さ 報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報、(ウ)検査の対象となった保険会社の取引先等の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名等の記述により特定の個人を識別することができる情報等が記載されている。 (2) 法5条6号柱書イ該当性ア金融検査は、その検査結果が通常は公開されないという前提の下、金融機関との一定の協力関係を保ちながら、資料の提出や事情の聴取などを求める方法で実施される。検査結果によって得られる情報は、金融機関の経営等の詳細や金融機関の取引先の事業等に関わるものであって、金融機関にとって秘匿の要請の極めて強い情報が含まれている。 したがって、仮に、本件検査関係文書が開示されて、このような金融機関の経営の全般にわたる詳細な情報が公にされれば、今後、金融機関が検査に非協力的、消極的な対応をとるに至り、その結果、効率的、実効的な検査を実施することが困難となることが容易に予想され、このような事態が生じれば、金融検査の目的を達することはできず、検査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることは明らかである。 イまた、金融においてはささいなうわさがきっかけで取付騒ぎに発展することなどもあり得ることから、金融関連情報は、一般に慎重に取り扱うべきものである。検査結果等についても、これが公にされれば、当該金融機関の利益等に多大な影響を及ぼすおそれがあるのみならず、金融システム全体の安定性に動揺を来すなどの不測の影響を及ぼす可能性がある。 したがって、金融に関する情報の取扱いには特段の慎重さが必要となる。金融に関する情報が記載された本件検査関係文書を公にすることとすれば、検査官がその影響の大きさを懸念し、検査報告書などの作成に際 したがって、金融に関する情報の取扱いには特段の慎重さが必要となる。金融に関する情報が記載された本件検査関係文書を公にすることとすれば、検査官がその影響の大きさを懸念し、検査報告書などの作成に際して、率直な認識、意見等を表明することにつき萎縮的になることも予想され、金融検査の目的を達することはできず、検査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることは明らかである。 ウさらに、本件検査関係文書が公にされれば、検査において把握された法令違反の事例の詳細や検査当局内部における審査の過程等が明らかになり、その結果、金融機関に検査当局による最終的な問題点の指摘等を免れ得る手段を推知させるおそれも生じ、このような事態になれば、金融検査事務の適正な遂行に生ずるおそれがある。 エしたがって、本件検査関係文書に記載された情報は、法5条6号イ所定の不開示情報に該当する。 (3) 法5条2号イ該当性本件検査関係文書には、検査の対象となった金融機関が秘匿を強く要請するような経営等の詳細な情報が記載されているほか、その取引先である法人に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報が記載されている。これらの情報は、当該法人や個人の金融機関との取引内容及びその信用状況を示すものとして、その法人や個人にとって重要かつ機微にわたるものであって、秘匿されるべき情報である。 したがって、当該情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (4) 法5条1号柱書本文該当性本件検査関係文書には、検査の対象となった金融機関の取引先等の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名等の記述により特定の個人を識別することができる 1号柱書本文該当性本件検査関係文書には、検査の対象となった金融機関の取引先等の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名等の記述により特定の個人を識別することができる情報が含まれている。 したがって、当該情報は、法5条1号柱書本文所定の不開示情報に該当する。 (二) 本件行政文書D③及び④に係る不開示決定の適法性(1) 法5条6号イ該当性本件行政文書D③及び④(以下合わせて「本件報告書」という。)は、被告が行った金融機関検査について、金融庁検査局より通知した検査結果通知に関し、金融庁監督局より検査指摘事項に係る改善状況報告を求めた保険業法128条に基づく報告命令に対して、安田火災及び日産火災が報告した改善状況が記載されたものである。 本件報告書には、検査結果通知の内容が記載されているほか、検査指摘事項について、保険会社の事実認識や発生原因分析、今後の再発防止を含めた改善・対応策などの情報が詳細に記載されている。 したがって、本件報告書に記載された情報は、本件行政文書D①及び②と同様に、法5条6号イ所定の不開示情報に該当する。 (2) 法5条2号イ該当性本件報告書に記載された情報のうち、検査結果通知の内容は、調査対象となった保険会社の経営の詳細に関する情報が記載されており、金融機関が今後の再発防止を含めた改善・対応策を記載した部分は、一般には公開されない保険会社の経営管理や内部管理手法等に係る情報が記載されていることから、これらの情報が公になれば金融機関の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。 また、本件報告書には、取引 管理や内部管理手法等に係る情報が記載されていることから、これらの情報が公になれば金融機関の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。 また、本件報告書には、取引先である法人に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報が記載されており、この情報は、当該法人や個人の金融機関との取引内容及びその信用状況を示すものとして、その法人や個人にとって重要かつ機微にわたるものであって、秘匿されるべき情報である。 したがって、本件報告書に記載された情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当する。 (3) 法5条1号柱書本文該当性本件報告書には、検査の対象となった金融機関の取引先等の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名等の記述により特定の個人を識別することができる情報が含まれている。 したがって、本件報告書に記載された情報は、法5条1号柱書本文所定の不開示情報に該当する。 (原告らの主張)(一) 法5条6号イ該当性本件行政文書D①ないし④は、平成12年10月27日又は平成13年8月21日を検査実施日とする検査に係るものであり、本件不開示決定4の時点において、検査実施日から約1年ないし2年以上経過している。そうすると、本件行政文書D①ないし④に記載された情報を公にすることにより、当該事務の適正な遂行に関する実質的な「支障」と、法的保護に値する蓋然性を伴った「支障を及ぼすおそれ」があるということはできないから、法5条6号柱書イの不開示情報に該当するということはできない。 (二) 部分開示本件不開示決定4は、前記のとおり、本件行政文書D①ないし④の検査実施日 はできないから、法5条6号柱書イの不開示情報に該当するということはできない。 (二) 部分開示本件不開示決定4は、前記のとおり、本件行政文書D①ないし④の検査実施日から1年ないし2年以上経過した後にされたものである。また、本件行政文書D①ないし④の中には、検査官の認識を反映したものとは考えられないような、検査の過程で得られた客観的事実をそのまま記載している部分や、保険業法111条に基づく説明資料で一般に公表されている情報と同種の情報等も含まれている蓋然性が高い。 そうすると、本件行政文書D①ないし④の中には、公開されても、将来の検査事務の適正な遂行に実質的な支障があり、また法的保護に値する蓋然性を伴う「おそれがある」とはいえないものが多く含まれているはずであるから、当該部分は開示されるべきである。 第三当裁判所の判断一本件不開示決定1の適法性について 1 法5条2号イ該当性(一) 法5条2号柱書本文及び同号イは、不開示情報として、「法人…(中略)…以下「法人等」という。)に関する情報」であって、「公にすることにより、当該法人等…(中略)…の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」を規定している。 これは、法人等に関する情報には、営業秘密等のように、それが公開されると当該法人等の権利利益を害するおそれのあるものがあり、原則として法人等が有する正当な権利利益は、行政庁による情報の開示によって害されるべきではないという考え方に基づき規定されたものであり、「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」の有無は、その情報の性質や法人等の性格、権利利益の内容等に応じて判断されるべきであると解される。そして、上記要件にいう「おそ されたものであり、「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」の有無は、その情報の性質や法人等の性格、権利利益の内容等に応じて判断されるべきであると解される。そして、上記要件にいう「おそれ」とは、法が国民主権の理念から行政文書については公開を原則としていること(1条、5条柱書)からすれば、単に行政機関の主観においてそのおそれがあると判断されるだけではなく、客観的にそのおそれがあると認められることが必要であるというべきである。 もっとも、上記「おそれ」があるか否かの判断に当たり、当該文書の個別具体的な記載文言等から当該法人等の権利が具体的にどのように害される蓋然性があるかが明らかにされなければならないとすることは、結果的に当該行政文書の開示を要求するということに等しく、不開示情報を定めた法の趣旨に反することは明らかである。 そうすると、行政文書に記載された情報につき、法5条2号イ所定の「おそれ」があるか否かを判断するに当たっては、当該情報が、どのような法人等に関するどのような種類のものであるかなどといった一般的な性質から、当該法人等の権利利益等を害するおそれがあるかを否か客観的に判断することが相当であるというべきである。 (二) そこで、本件行政文書Aに記載された情報が法5条2号イ所定の不開示情報に該当するか否かについて検討する。 (1) 前記前提事実に加え、証拠(甲1の1、1の2)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書Aは、安田火災、日産火災、大成火災及び千代田火災がそれぞれ作成して被告に提出した文書であり、上記各保険会社が実際に行った海外再保険取引につき、出再取引及び受再取引に区分され、さらにその保険種目や、それぞれの支出、収入、残高といった金額等が記載されて れぞれ作成して被告に提出した文書であり、上記各保険会社が実際に行った海外再保険取引につき、出再取引及び受再取引に区分され、さらにその保険種目や、それぞれの支出、収入、残高といった金額等が記載されていることが認められる。 ここにいう再保険取引とは、保険会社が引き受けた保険リスクの分散、平均化を図ることを目的として、保険責任の全部又は一部を他の保険会社に転嫁する保険契約のことであり、再保険に付す出再取引と再保険を引き受ける受再取引がある。海外再保険取引とは、外国の保険会社とする再保険取引のことである。 (2) まず、上記情報が法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」に当たることは明らかである。 そこで、次に、上記情報が、法5条2号イ所定の「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか否かを検討する。 一般に、保険会社が出再取引及び受再取引をどのような相手と、どのような内容で、どの程度の量をもって行うかは、当該保険会社の経営判断に基づくものであり、各保険会社のリスク管理、収益に直接影響を与える経営上の重要な情報であるということができる。すなわち、各保険会社は、自らが保険者となっている元受保険契約のリスクを軽減するために出再取引量をどの程度にするか、あるいは、収益を上げるために受再取引量をどの程度にするかなどをその経営判断に基づいて決定し、リスク管理と利益の最大化を企図しているものである。そして、各保険会社の出再取引及び受再取引の量、再保険契約の内容、再保険契約の相手方等が明らかにされれば、各保険会社が保険リスクをどのようにカバーしようとしていたのかといった事実や、そこから窺われるリスク分散 険会社の出再取引及び受再取引の量、再保険契約の内容、再保険契約の相手方等が明らかにされれば、各保険会社が保険リスクをどのようにカバーしようとしていたのかといった事実や、そこから窺われるリスク分散・平均化のノウハウ、過去、現在及び将来の営業戦略等を窺い知ることが可能になり、その結果、当該各保険会社の営業戦略上の知見、ノウハウ等といった経済的利益が害されるおそれがあることは客観的に明らかであるということができる。 そうすると、一般に、保険会社が実際に行った海外再保険取引に関する情報は、これを開示することにより、当該保険会社の経済的な権利利益、ひいては競争上の地位を害するおそれがあるものであるということができる。 したがって、本件行政文書Aに記載された情報については、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」があると認めることができる。 (三)(1) これに対し、原告らは、当該情報が法5条2号イ所定の「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に当たるというためには、当該法人のいかなる権利、競争上の地位その他正当な利益が、どのように具体的に侵害されるのかが客観的に明白であることが明らかにされなければならず、また、法5条2号イ所定の「おそれ」の判断に当たっては、法的保護に値する強い蓋然性が要求されるべきである旨主張する。 確かに、法が、国民主権の理念にのっとり、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とし(1条)、行政文書に係る開示請求については、開示を原則、不開示を例外としていること(5条)からすると、不開示情報該当性の判断に当 府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とし(1条)、行政文書に係る開示請求については、開示を原則、不開示を例外としていること(5条)からすると、不開示情報該当性の判断に当たり、行政機関の主観のみに基づいて上記「おそれ」を判断するなどして、不開示とする範囲を無限定に拡げるような解釈をすることは許されない。しかし、他方で、法5条2号イ所定の文言が、単に「害するおそれがあるもの」となっており、「害すると認められるもの」などといった不開示の範囲を強く限定する文言が用いられていないこと、及び当該情報が当該法人等の権利を害することについて個別具体的に明らかにすることを要求することは、前記のとおり、不開示情報の開示を要求することと同様の結果を招くこととなり、法人等の正当な利益を保護するために不開示事由を規定した法の趣旨を失わせる結果を生じかねないことからすると、当該法人等の権利が、いつ、どこで、どのように害されるのかなどといった具体的な侵害の強い蓋然性が明らかにされなければ不開示とすることはできないというような厳格な解釈論を採用することはできないというべきである。 したがって、上記原告らの主張は、採用することができない。 そして、本件行政文書Aについて見てみても、これを開示することにより害される利益については、各保険会社の営業戦略、ノウハウ等といった経済的利益であるというようにその害されるおそれのある権利の内容が明らかにされているし、これが害されるおそれがあると客観的に認められることは前記のとおりであるから、法5条2号イ所定の「おそれ」を上記のように解したとしても、およそ法人に関する情報であれば、上記要件に該当するなどといったような無限定な解釈になっていないことは明らかである。 とおりであるから、法5条2号イ所定の「おそれ」を上記のように解したとしても、およそ法人に関する情報であれば、上記要件に該当するなどといったような無限定な解釈になっていないことは明らかである。 (2) また、大成火災については、平成13年11月に、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律に基づく更生手続が開始され、本件不開示決定1の当時、上記更生手続が進行中であり、その後平成14年10月1日に会社分割をして、同年12月1日に損保ジャパンと合併したことが、弁論の全趣旨により認められる。 しかし、前記のとおり、本件行政文書Aに記載された情報からは、大成火災のリスク分散・平均化のノウハウ、過去、現在及び将来の営業戦略等を窺い知ることができるのであるから、たとえ、大成火災について更生手続が開始されており、その後他社に吸収合併されることが予定されていたとしても、更生会社及び合併後に事業を承継する会社の利益を害するおそれがあるというべきである。したがって、上記更生手続及びその後の吸収合併の予定があることをもって、法人等の正当な利益を害するおそれがあることを否定する根拠とすることはできない。 (四) 以上のとおり、本件行政文書Aに記載された情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当するというべきである。 2 部分開示について(一) 原告らは、本件行政文書Aには、既に保険リスクが顕在化した部分や保険業法や証券取引法等の関係法令上開示が認められている資料に含まれる情報と重複するか又は同種である情報も存在している蓋然性が極めて高いから、その全体を不開示とすることは許されない旨主張する。 (二) しかし、仮に原告ら主張のとおり、本件不開示決定1がされた時点で、既に保険リスクが顕在 報も存在している蓋然性が極めて高いから、その全体を不開示とすることは許されない旨主張する。 (二) しかし、仮に原告ら主張のとおり、本件不開示決定1がされた時点で、既に保険リスクが顕在化していた部分があったとしても、一般に、各保険会社が実際に行った過去の再保険取引につき、出再取引、受再取引の別、保険種目や、支出、収入及び残高についての具体的金額などといった情報は、当該保険会社の過去の保険リスクの平均・分散化についての実情のみならず、現在及び将来の経営上のノウハウ、経営戦略等を推測させる重要な事実であるから、既にリスクが顕在化していることをもって、前記「おそれ」がなくなったということはできない。 (三) また、既に判示した本件行政文書Aの内容、性質によれば、本件行政文書Aに、保険業法や証券取引法において開示が認められている情報が他と区分された意味のある文書として含まれているとは考え難く、そのようなものは存在しないことが推認される。 これを詳論すると、仮に、本件行政文書Aの中に、個々の文言を見れば、保険業法や証券取引法において開示が認められている情報が含まれており、法5条2号イ所定の「おそれ」が認められない部分が含まれていたとしても、以下のとおり、これを部分開示しなかった本件不開示決定1が違法ということはできない。 すなわち、法6条1項は、1個の行政文書について、不開示情報が記録されている部分をその余の部分から容易に区分することができるときには、不開示情報が記録されている部分を除いたその余の部分についてのみ、これを公開することを行政機関に義務付けるものであるが、不開示事由に該当する一体的な情報を更に細分化し、その一部を不開示とし、その余の部分を公開することまでをも義務付けているもの 部分についてのみ、これを公開することを行政機関に義務付けるものであるが、不開示事由に該当する一体的な情報を更に細分化し、その一部を不開示とし、その余の部分を公開することまでをも義務付けているものと解することはできない。したがって、行政機関において、不開示事由に該当する一体的な情報を細分化することなく不開示決定をしたとしても、開示請求者には、法6条1項を根拠として、不開示部分以外の部分を公開するように請求する権利はないから、行政機関の全部不開示決定が違法であるということはできない。 これを本件について見てみると、海外再保険取引に関する、出再取引、受再取引、その保険種目、金額等は、これらがまとまって、一体的な情報となるというべきであるから、仮に、原告ら主張のとおり、本件行政文書Aの中に、保険業法や証券取引法において開示が認められている情報が含まれていたとしても、被告において、これらを細分化して、不開示部分を除いたその余の部分を開示すべき義務があるということはできない。 したがって、本件行政文書Aを全部不開示とした本件不開示決定1は、法6条1項に違反するものではなく、適法である。 (四) 以上のとおり、部分開示に関する原告らの上記主張は採用することができない。 3 法9条2項及び行政手続法8条違反について(一) 原告らは、本件不開示決定1は、不開示決定の対象文書を特定し、当該文書ごとに開示拒否の理由を個別に提示すべきであるのに、対象文書を特定しないまま一括して理由を提示したこと、あるいは、提示された不開示理由からは、当該情報の開示がなぜ当該金融機関の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあることにつながるのかを全く理解することができないことを理由に、本件不開 るいは、提示された不開示理由からは、当該情報の開示がなぜ当該金融機関の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあることにつながるのかを全く理解することができないことを理由に、本件不開示決定1は、法9条2項及び行政手続法8条に違反し、理由付記不備として違法である旨主張する。 (二) そもそも、行政手続法8条1項の趣旨は、許認可の申請に対して行政庁が拒否処分をする場合に、行政庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、申請者に争訟(不服申立てや訴訟)の提起の便宜を図るため、拒否処分と同時に処分理由を申請者に示すことを行政庁に義務付けることにある。そして、法9条2項においても、不開示決定をする場合には、「その旨を書面により通知しなければならない」と規定されており、この通知を行う際には、行政手続法8条に基づく理由の提示を行うことが必要であると解される。 そうすると、法に基づく不開示決定における理由付記について、法9条2項及び行政手続法8条1項の要請する理由付記として必要かつ十分な程度としては、開示請求者がいかなる事実関係に基づき、いかなる法規を適用して処分がされたのかをその理由の記載から知り得る程度に記載がされなければならないと解するのが相当である。 (三) これを本件についてみると、前記前提事実のとおり、本件不開示決定1の通知書(甲1の2)には、「開示請求に係る行政文書は、各社から提出された海外再保険取引に係る情報が記載されており、これを公にすることにより、当該金融機関の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあることから、当該情報は法第5条第2号の不開示情報に該当する。」と記載されていたものである。 上記の理由の記載からは、開示請求をした原告 上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあることから、当該情報は法第5条第2号の不開示情報に該当する。」と記載されていたものである。 上記の理由の記載からは、開示請求をした原告らにおいて、本件行政文書Aには、各保険会社から提出された海外再保険取引に係る情報が記載されており、これを公にすれば当該各保険会社の権利等を害するおそれがあるため、法5条2号イ所定の不開示情報に該当するとして、同条に基づいて本件不開示決定1がされたことは容易に知り得るということができる。 そして、本件不開示決定1は、全部不開示決定であり、不開示とした文書は開示請求に係る文書と一致しているのであるから、原告らは、開示請求をしたすべての文書が上記理由によって不開示となったことを容易に知り得たということができるのであり、対象文書の名称、表題を個別に明示しなかったからといって、法9条2項、行政手続法8条1項に違反するということもできない。 したがって、本件不開示決定1が法9条2項及び行政手続法8条に違反するとの原告らの主張には理由がない。 4 以上によれば、本件不開示決定1は、適法である。 二本件不開示決定2の適法性について 1 本件行政文書B①に係る不開示決定について(一) 法5条2号イ該当性(1) 前記前提事実に加え、証拠(甲2の1、2の2、2の3の1)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書B①は、金融庁が、大成火災、安田火災、日産火災及びあいおい損保から、平成13年9月11日に発生した米国内のテロにより、再保険取引に関して多額の損失を被った旨の報告を受け、作成したものと認めることができる。そして、その不開示部分には、米国内テロの発生を受けて、金融庁が大成火災を除 1日に発生した米国内のテロにより、再保険取引に関して多額の損失を被った旨の報告を受け、作成したものと認めることができる。そして、その不開示部分には、米国内テロの発生を受けて、金融庁が大成火災を除く上記各保険会社に対し、当該各保険会社の米国内テロに係る将来債務の発生の見込み等を把握するために情報の提供を要請し、当該各保険会社がその要請に答えて金融庁に提供した米国内テロに係る将来債務の発生の見込みや、ソルベンシー・マージン比率への影響の予測、これに対する対応策などに関する情報が記載されていることが認められる。 ここにいうソルベンシー・マージン比率とは、保険会社が、通常予測することができる範囲を超えたリスクに対応することを目的として、責任準備金を超えて保有する財務上の支払余力の比率のことである。 そうすると、上記情報が法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」に該当することは明らかであるから、以下、当該情報が、法5条2号イ所定の「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか否かにつき、前示のとおり、当該情報の一般的な性質等から、客観的に検討することとする。 一般に、いわゆる監督官庁である金融庁が、米国内テロのように通常予見することが困難な事態が発生したことを受けて、保険会社の再保険取引に関する将来債務の発生の見込み等を取り急ぎ把握しなければならなくなり、保険会社が、このような金融庁の要請に応ずるために、取り急ぎ、再保険取引に関する将来債務の発生の見込みや、ソルベンシー・マージン比率への影響の予測を算出し、これに対する対応策を提示した場合に、このような算定や提示は、当該保険会社が、これを公にすることを予定 再保険取引に関する将来債務の発生の見込みや、ソルベンシー・マージン比率への影響の予測を算出し、これに対する対応策を提示した場合に、このような算定や提示は、当該保険会社が、これを公にすることを予定せずに取りまとめた将来の経営に関する内部的かつ暫定的な見込み、予測及び対応策にすぎないものであり、公に発表することができる程度に精緻な検討を経たものではないことは明らかである。 そして、保険会社や銀行などといった金融機関が、極めて多数の取引先や契約者を抱えていることは公知の事実であり、また、その信用に関する情報は、それがたとえ真実でなく、あるいは信用性が低いものであったとしても、憶測や風評による当該金融機関の信用不安や取付騒ぎを招来する危険性を有する極めて機微な情報であることは、証拠(乙1の1ないし乙5)に照らしても明らかである。 また、将来債務の発生をどのように見込んでいるか、ソルベンシー・マージン比率にどのように影響するのか、また、これらについて及びどのように対応策を立てるのかということは、当該各保険会社のノウハウ、経営戦略に関する情報というべきである。 そうすると、一般に、上記情報を公にすれば、当該各保険会社の信用の低下等を招くおそれのほか、当該各保険会社のノウハウ、経営戦略等を明らかにし、当該各保険会社の経済的な利益ないし競争上の地位を害するおそれが、客観的に認められるというべきである。 したがって、上記情報については、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」と認めることができる。 (2) これに対し、原告らは、本件行政文書B①の作成当時は予測的な情報であったとしても、本件不 個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」と認めることができる。 (2) これに対し、原告らは、本件行政文書B①の作成当時は予測的な情報であったとしても、本件不開示決定2がされた当時には、その作成から既に約1年が経過しており、各保険会社が損失見込額や対応策を公表し、平成14年3月期に業績予想の修正等を行っていたこと及び本件行政文書B①には、今後情報の内容に変更があり得ることが明記されていることを理由として、開示されても各保険会社の取引先等に混乱を生じさせるおそれはなかったなどと主張する。 しかし、本件不開示決定2がされた当時、各保険会社が損失見込額や対応策を公表し、平成14年3月期に業績予想の修正等を行っていたとしても、一般に、当該公表された数値等と本件行政文書B①に記載された予測的な数値等とを比較することによって、当該保険会社のリスク管理や予測の精度を窺い知ることができるし、また、前記のとおり、当該各保険会社のノウハウや、経営戦略を窺い知ることが可能になるのであるから、当該各保険会社の信用を低下させたり、ノウハウ、経営戦略等の開示により経済的な利益ないし競争上の地位を害するおそれがあると客観的に認められることに変わりはない。そして、このことは、本件行政文書B①に、今後情報の内容に変更があり得ることが明記されていたとしても、変わるものではない。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 (3) 以上のとおり、本件行政文書B①の不開示部分に記載された情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当するというべきである。 (二) 法5条2号ロ該当性(1) 前示のとおり、本件行政文書B①の不開示部分に記載された情報は、法5条 報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当するというべきである。 (二) 法5条2号ロ該当性(1) 前示のとおり、本件行政文書B①の不開示部分に記載された情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当すると認めることができるので、同号ロ該当性の有無にかかわらず、本件行政文書B①に係る不開示決定は適法である。そうすると、必ずしも、同号ロ該当性の有無を判断する必要はないが、訴訟の経緯にかんがみ、これを検討することとする。 (2) 本件行政文書B①の不開示部分に記載された情報は、前記のとおり、金融庁という監督官庁の要請を受けて提供されたものである。また、上記情報が、当該保険会社の内部における見込み又は予測であって、公にすることを予定せずに提供されたものであり、かつ、当該保険会社の信用の低下等を招くおそれがあるものであったことからすれば、当該保険会社が、被告がこれを公開することを容認していたとは到底考えられないし、被告も、これを公開しないことを前提に提供を受けたことが推認される。そうすると、上記情報を提供した各保険会社と被告との間で、上記情報を提供するに当たり、これを公にしないとの黙示的な合意があったと推認することができる。したがって、上記情報は、法5条2号ロ所定の「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたもの」に該当する。 さらに、上記情報は、前記のような情報の性質からして、通例として各保険会社が公にしないこととされているものであることは明らかである。また、当該情報が米国内テロの発生といういわば予測が不可能であった異常事態の発生を受けて、金融庁が取り急ぎ、各保険会社の将来債務の発生等について把握する必要があることから提出が要請されたという当時の状況及びその情報の性 内テロの発生といういわば予測が不可能であった異常事態の発生を受けて、金融庁が取り急ぎ、各保険会社の将来債務の発生等について把握する必要があることから提出が要請されたという当時の状況及びその情報の性質からすると、公にしないとの条件を付することは合理的であったということができる。 したがって、上記情報は、法5条2号ロ所定の「当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」との要件を充足するということができる。 (3) これに対し、原告らは、本件不開示決定2の通知書には、本件行政文書B①を不開示とする理由として法5条2号イが記載され、同号ロが記載されていなかったことからすれば、被告の主張するような非公開の合意があったということはできないなどと主張する。 しかし、一つの情報が複数の不開示情報に該当する場合に、行政機関において、そのすべての理由を提示することが常に必要なわけではなく、ある不開示事由に該当することが明らかな場合に、決定を迅速に行うために、他の不開示事由の存否についての詳細な検討を省略し、該当する不開示事由のすべてを理由書に記載しないことは、許されないことではないし、また、何ら不自然なことでもない。 したがって、本件行政文書B①の不開示理由として、法5条2号ロの不開示情報に該当する旨が本件不開示決定2の決定通知書に記載されていなかったことをもって、前記認定を覆すことはできないから、原告らの上記主張には理由がない。 (4) また、原告らは、非公開の約束があったという具体的な主張立証がされていない旨主張する。 しかし、本件行政文書B②に記載された情報が、公にしないとの条件で提供され (4) また、原告らは、非公開の約束があったという具体的な主張立証がされていない旨主張する。 しかし、本件行政文書B②に記載された情報が、公にしないとの条件で提供されたと認められることは、前記のとおりであり、これを覆すに足りる証拠はない。また、公にしないとの合意について、その合意に至る経緯等までもが詳細に立証されることが必要であると解すべき理由はない。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 (5) さらに、原告らは、大成火災、日産火災及びあいおい損保は、本件不開示決定2がされた時点において、海外再保険に伴う損失処理の最終的な方向性を明らかにしていたから、非公開約束を維持すべき理由は既に失われていたなどと主張する。 しかし、本件不開示決定2がされた当時、原告ら主張のとおり、大成火災等が海外再保険に伴う損失処理の最終的な方向性を明らかにしていたという事実については、本件全証拠によってもこれを認めることはできない。 また、仮に原告ら主張の事実を前提として見てみても、大成火災等が、本件行政文書B①の作成当時にどの程度の米国内テロ等に係る将来債務の発生を予測していたか、ソルベンシー・マージン比率にどのように影響すると考えていたのかということが公にされれば、後に発表した数値等と本件行政文書B①に記載された予測的な数値等とを比較することによって、当該保険会社のリスク管理や予測の精度が明らかになり、このことが当該各保険会社の信用の低下等を招くおそれがある。また、当該各保険会社のノウハウや、経営戦略を窺い知ることが可能であることは、損失処理の方向が明らかになったとしても、いずれにせよ変わりはない。 したがって、原告ら主 がある。また、当該各保険会社のノウハウや、経営戦略を窺い知ることが可能であることは、損失処理の方向が明らかになったとしても、いずれにせよ変わりはない。 したがって、原告ら主張の事実をもってしても、公にしないとの条件を付することが合理的であるとの理由が失われるということはできないというべきであるから、原告らの主張には、理由がない。 (6) 以上の検討によれば、本件行政文書B①の不開示部分に記載された情報は、法5条2号ロ所定の不開示情報にも該当するというべきである。 2 本件行政文書B②及び③に係る不開示決定について(一) 法5条2号イ該当性(1)ア前記前提事実に加え、証拠(甲2の1、2の2、2の3の2、2の3の3)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書B②及び③は、金融庁が、大成火災、安田火災、日産火災及びあいおい損保から、米国内テロにより再保険取引に関して多額の損失を被ったか否か及び今後の対応策等を聴取して作成したものと認めることができる。そして、その不開示部分には、(ア)当該各保険会社の米国内テロに対する対応についての経営方針に関する情報、(イ)当局の今後の対応策として保険業法128条1項に基づく報告徴求を行うことに関する情報及び(ウ)当該各保険会社のFR社との再保険取引の概要が記載されていることが認められる。 ここにいう保険業法128条1項に基づく報告徴求とは、内閣総理大臣の委任する金融庁長官が、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るために必要あると認めるときに、保険会社に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めるものである。 イまず、上記情報が法5条2号柱書本 、保険契約者等の保護を図るために必要あると認めるときに、保険会社に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めるものである。 イまず、上記情報が法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」に当たることは明らかである。 そして、一般に、保険会社の今後の経営方針に関する情報や再保険取引に関する情報は、これが公にされれば、当該法人のリスク分散・平均化のノウハウ、過去、現在及び将来の営業戦略等を窺い知ることが可能になり、その結果、当該各保険会社の営業戦略、ノウハウ等に関する経済的利益や競争上の地位を害するおそれがあると客観的に認めることができる。 また、報告徴求命令は、前記のとおり、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るために必要あると認められるときに発せられるものであるから、報告徴求の対象となる保険会社がどの会社であるかが公になると、当該保険会社について何らかの問題があるとの認識を世間に対して与えるおそれがあるほか、風評等による信用の低下等を招くおそれがあると客観的に認めることができる。 したがって、本件行政文書B②及び③のうち不開示となった部分に記載された情報については、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」と認めることができる。 (2)アこれに対し、原告らは、本件不開示決定2がされた当時、大成火災は、更生手続下において、米国内テロに関する損失処理を既に終了していたし、日産火災及びあいおい損保は、それぞれ米国内テロにより発生した海外再保険取引に係る損失見込額や対応策、ソルベンシー・マージン比率等を公表しており、平成1 内テロに関する損失処理を既に終了していたし、日産火災及びあいおい損保は、それぞれ米国内テロにより発生した海外再保険取引に係る損失見込額や対応策、ソルベンシー・マージン比率等を公表しており、平成14年3月期には、業績予想の修正等も行っていたから、当該各保険会社の米国内テロに関する対応についての経営情報に関する情報については、特段の秘密性が存在しなかったことは明らかである旨主張する。 しかし、原告ら主張の事実をもってしても、法5条2号イ所定の「おそれ」があるとの判断に影響を与えるものでないことは、本件行政文書B①についての検討において既に判示したとおりである。 イまた、原告らは、本件不開示決定2がされた当時、大成火災は会社分割によって再保険関連の債務を切り離しており、あいおい損保も、再保険取引の概要について、本件行政文書B②及び③の「FR引受スキーム」と題する資料よりも、詳しいスキームチャートを作成し、自社のホームページ上で公開していたのであるから、当該情報の公開による不利益は既に存在しなかったなどと主張する。 しかし、まず、大成火災については、会社分割によって再保険関連の債務を切り離していたことをもって、当該文書を公にすることにより当該法人等の正当な利益を害するものではないと解することはできないことは、本件行政文書Aについての検討において、会社の合併につき判示したところと同様である。 次に、あいおい損保に関する原告ら主張の事実は、本件全証拠によっても認めることはできない。また、仮に原告ら主張のとおり、本件不開示決定2がされた当時、あいおい損保が、FR社との再保険取引の概要について、「FR引受スキーム」と題する資料よりも詳しい情報を公開していたと めることはできない。また、仮に原告ら主張のとおり、本件不開示決定2がされた当時、あいおい損保が、FR社との再保険取引の概要について、「FR引受スキーム」と題する資料よりも詳しい情報を公開していたとしても、「FR引受スキーム」と題する資料を作成した当時、あいおい損保がFR社との間の再保険に関する将来債務の発生等をどのように見込んでいたのかなどが明らかになれば、二つの情報を比較することにより、あいおい損保のリスク管理の精度等を窺い知ることができるのであるから、法5条2号イ所定の「おそれ」が認められることに変わりはないというべきである。 したがって、上記原告らの主張には理由がない。 ウまた、原告らは、大成火災、日産火災及びあいおい損保が報告徴求命令を受けたことは、その当時の状況からいわば当然であるから、これらの会社に対して報告徴求命令が発令されたことが平成14年10月の時点で明らかになったとしても、当該各保険会社の正当な利益を害することはあり得ない旨主張する。 しかし、仮に、大成火災、日産火災及びあいおい損保が報告徴求命令を受けたと推測することができる状況にあったとしても、報告徴求命令が発せられたことが、金融庁作成の文書に記載された情報として公にされれば、そのことは単なる推測とは比較にならないほど当該各保険会社の信用の低下を招くおそれがあることは明らかである。 したがって、原告らの主張には理由がない。 (3) 以上によれば、本件行政文書B②及び③の不開示部分に記載された情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当するというべきである。 (二) 法5条2号ロ該当性(1) 前示のとおり、本件行政文書B②及び③の不 び③の不開示部分に記載された情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当するというべきである。 (二) 法5条2号ロ該当性(1) 前示のとおり、本件行政文書B②及び③の不開示部分に記載された情報は、法5条2号イの不開示情報に該当すると認めることができるので、同号ロ該当性の有無にかかわらず、本件行政文書B②及び③に係る不開示決定は適法である。そうすると、必ずしも、同号ロ該当性の有無を判断する必要はないが、訴訟の経緯にかんがみ、これを検討することとする。 (2) 本件行政文書B②及び③の不開示部分に記載された情報は、前記のとおり、金融庁という行政機関の聴取に応じて、各保険会社が提供したものである。 そして、当該情報の内容が、当該保険会社の経営方針に関する情報など、これが公にされれば当該各保険会社の権利利益等を害するおそれがあるという性質のものであることからすれば、各保険会社がこれを公開することを容認していたとは到底考えられないし、また、被告も、これを公開しないことを前提に情報の提供を受けたことが推認される。そうすると、上記情報を提供した各保険会社と被告との間で、上記情報を提供するに当たり、これを公にしないとの黙示的な合意があったと推認することができる。したがって、上記情報は、法5条2号ロ所定の「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたもの」であると認めることができる。 さらに、当該情報は、上記のような情報の性質からして、通例として各保険会社が公にしないこととされているものであることは明らかである。また、当該情報が米国内テロの発生といういわば予測が不可能であった異常事態の発生を受けて、金融庁が、取り急ぎ、各保険会社が米国内テロに起因する再保 しないこととされているものであることは明らかである。また、当該情報が米国内テロの発生といういわば予測が不可能であった異常事態の発生を受けて、金融庁が、取り急ぎ、各保険会社が米国内テロに起因する再保険取引に関して、多額の損失を被ったか否か及び今後の対応策等を把握する必要があったことから、当該情報の提供を要請したという当時の状況及びその情報の性質からすると、公にしないとの条件を付することは合理的であったということができる。 したがって、本件行政文書B②及び③に記載された情報は、法5条2号ロ所定の「当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」との要件を充足する。 (3)アこれに対し、原告らは、公にしないことの合意について、いつ、だれとの間に、どのような経緯で合意がされたのかを被告が立証すべきである旨主張する。 しかし、本件行政文書B②及び③に記載された情報が、公にしないとの条件で提供されたと認められることは、前記のとおりであり、これを覆すに足りる証拠はない。また、公にしないことの合意について、その合意に至る経緯等までもが詳細に立証されることが必要であるとすべき理由はない。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 イまた、原告らは、本件不開示決定2の決定通知書には、本件行政文書B②及び③を不開示とする理由として法5条2号イのみが記載され、同条2号ロが記載されていなかったことからすれば、公にしないことの合意があったということはできない旨主張し、また、大成火災、日産火災及びあいおい損保は、本件不開示決定2がされた時点において、海外再保険に伴う損失処理の最終的な方向性を明らかにしていたから、 ことの合意があったということはできない旨主張し、また、大成火災、日産火災及びあいおい損保は、本件不開示決定2がされた時点において、海外再保険に伴う損失処理の最終的な方向性を明らかにしていたから、非公開約束を維持すべき理由は既に失われていたなどと主張する。 しかし、上記いずれの主張にも理由がないことは、本件行政文書B①についての検討において既に判示したとおりである。 (4) 以上の検討によれば、本件行政文書B②及び③の不開示部分に記載された情報は、法5条2号ロ所定の不開示情報にも該当するというべきである。 3 本件行政文書B④の法5条2号ロ該当性(一) 前記前提事実に加え、証拠(甲2の1、2の2、乙6)及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)本件行政文書B④は、金融庁が米国内テロの発生という事態を受けて大成火災に提出を要請し、大成火災がこれを受けて提出した、米国内テロに起因する再保険取引に関する資料であり、大成火災のFR社に対する債務見込額等の再保険に係る損失見込額に関する情報が記載されていること、(2)ある者(以下「元資料提供者」という。)が上記資料の元となる資料を作成し、これを大成火災に提供したこと、(3)元資料提供者と大成火災との間には、同元資料に関する守秘義務契約が締結されていたこと及び(4)大成火災もこれを公にしないとの条件で、監督官庁である金融庁に上記資料を提供したことが認められる。 そうすると、本件行政文書B④に記載された情報は、法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」であり、同条2号ロ所定の「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたもの」に該当するということができる。 そして、上記情報に関しては、(1)元資 等に関する情報」であり、同条2号ロ所定の「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたもの」に該当するということができる。 そして、上記情報に関しては、(1)元資料提供者と大成火災との間で守秘義務契約が締結されていたこと、及び(2)本件行政文書B④は、米国内テロの発生という異常事態の下で、金融庁が、取り急ぎ情報を収集する必要があったことから、当該情報が提供されたという当時の状況及び(3)その情報の性質からすると、公にしないとの条件を付することは合理的であったということができる。 したがって、本件行政文書B④に記載された情報は、法5条2号ロ所定の「当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」との要件を充足するということができる。 (二)(1) これに対し、原告らは、本件行政文書B④に記載された情報を公にしないことが条件となっていたか否かは明らかではないなどと主張する。 しかし、本件行政文書B④が大成火災と被告との間で当該情報を公にしないことを条件として、金融庁に提供されたことは、前記認定のとおりであり、これを覆すに足りる証拠はない。 したがって、原告らの主張を採用することはできない。 (2) また、原告らは、本件不開示決定2がされた当時には、大成火災のFR社に対する債務は既に確定値となっていたこと及び大成火災は、本件不開示決定2がされた時から約1か月半ほどで吸収合併されたことを理由として、本件不開示決定2がされた当時、非公開約束を維持すべき利益は既に失われていた旨主張する。 しかし、大成火災が後に吸収合併されることが予定されており、また、仮に、原告ら主張の 、本件不開示決定2がされた当時、非公開約束を維持すべき利益は既に失われていた旨主張する。 しかし、大成火災が後に吸収合併されることが予定されており、また、仮に、原告ら主張のとおり、本件不開示決定2がされた当時、大成火災のFR社に対する債務が確定していたとしても、大成火災のFR社に対する債務見込額等に関する情報からは、本件行政文書B④が作成された当時における、大成火災のリスクの予測の精度ないし、そのノウハウ等を窺い知ることができるのであり、これが公になれば、更生手続中の大成火災及びその後上記ノウハウ等を承継することが予定されていた会社の利益を害するおそれがあるのであるから、非公開約束を維持すべき理由がないということはできない。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 (三) 以上の検討によれば、本件行政文書B④に記載された情報は、法5条2号ロ所定の不開示情報に該当するというべきである。 4 本件行政文書B⑤に係る不開示決定について(一) 法5条2号イ該当性(1)ア前記前提事実に加え、証拠(甲2の1、2の2、2の3の4)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書B⑤は、米国内テロの発生により損害保険業界全体に対する信用不安が生ずるおそれがあるという状況の下で、被告が損害保険会社32社に対して平成13年12月3日付けで行った再保険取引に関する実態調査の結果を取りまとめた文書であり、調査対象となった各保険会社から報告されたリスク管理の状況及び計数が記載されていることが認められる。 イそうすると、本件行政文書B⑤に記載された情報が、法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」に当たることは明らかである。 れていることが認められる。 イそうすると、本件行政文書B⑤に記載された情報が、法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」に当たることは明らかである。 そして、一般に、各保険会社が実際に行った再保険取引の実態、リスク管理の状況及び計数は、当該保険会社の経営判断に基づくものであり、各保険会社のリスク管理、収益に直接影響を与える経営上の重要な情報であって、再保険契約の内容、相手方、取引量、リスク管理状況及び計数等が明らかにされれば、各保険会社が保険リスクをどのようにカバーしようとしたのかといった事実や、そこから窺われるリスク分散・平均化のノウハウ、過去、現在及び将来の営業戦略等を窺い知ることが可能になり、その結果、当該各保険会社の営業戦略、ノウハウ等に関する経済的利益が害されるおそれがあることは、客観的に明らかであるというべきである。 したがって、本件行政文書B⑤に記載された情報については、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」があると認めることができる。 (2) これに対し、原告らは、当該法人等にどのような不利益が具体的に生ずるおそれがあるのかが明らかになっていないなどと主張する。 しかし、法5条2号イ所定の「おそれ」の判断に当たり、当該法人等の権利が、いつ、どこで、どのように害されるのかといった具体的な侵害の強い蓋然性が明らかにされなければ不開示とすることはできないなどといった厳格な解釈論を採用することができないことは、本件行政文書Aについての検討において既に判示したとおりである。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 (3) な解釈論を採用することができないことは、本件行政文書Aについての検討において既に判示したとおりである。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 (3) 以上の検討によれば、本件行政文書B⑤に記載された情報は、法5条2号イ所定の不開示情報に該当するというべきである。 (二) 法5条2号ロ該当性(1) 前示のとおり、本件行政文書B⑤は、法5条2号イの不開示情報に該当すると認めることができるので、同号ロ該当性の有無にかかわらず、本件行政文書B⑤に係る不開示決定は適法である。そうすると、必ずしも、同号ロ該当性の有無を判断する必要はないが、訴訟の経緯にかんがみ、これを検討することとする。 (2) 本件行政文書B⑤に記載された情報は、前記のとおり、いわゆる監督官庁の長である被告の調査に応ずる形で、各保険会社が提供したものである。そして、前記のように、当該情報は、各保険会社の営業戦略、ノウハウ等といった経済的利益を害するおそれがある性質のものであること及び米国内テロの発生により損害保険業界全体に対する信用不安が生じるおそれがあるという状況の下で作成されたものであることからすれば、各保険会社は、被告との間で、上記情報を公にしない旨の黙示的な合意をした上で、これを任意に提供したことが認められ、かつ、公にしないとの条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認めることができる。 したがって、本件行政文書B⑤に記載された情報は、法5条2号ロ所定の「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって」、「当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」という両要件を 号ロ所定の「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって」、「当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」という両要件を充足するということができる。 (3) これに対し、原告らは、被告は、どの保険会社のどの担当者から、いつ情報の提供を受けたかなど、非公開約束が形成された経緯を明らかにしていないなどと主張する。 しかし、本件行政文書B⑤に記載された情報が公にしないとの条件で提供されたと認められることは、前記のとおりであり、これを覆すに足りる証拠はない。また、公にしないことの合意について、その合意に至る経緯等までもが詳細に立証されることが必要であると解すべき理由はないことは前示のとおりである。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 (4) 以上の検討によれば、本件行政文書B⑤に記載された情報は、法5条2号ロ所定の不開示情報にも該当するというべきである。 5 本件行政文書B⑥の法5条2号イ該当性について(一)(1) 前記前提事実に加え、証拠(甲2の1、2の2、2の3の5)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書B⑥は、異常危険準備金を取り崩すために日産火災から届出がされたものであり、本件行政文書B⑥において不開示とした部分には、異常危険準備金の取崩しの明細や取崩し額の算定根拠に関する情報が記載されていることが認められる。 ここにいう異常危険準備金とは、損害保険会社において、地震、台風等の異常災害が発生した場合に、巨額の保険金支払を要することがあるため、普通責任準備金(損害保険会社が将来の保険金など保険契約上の債務の支払のために積み立てる準備金)とは 険会社において、地震、台風等の異常災害が発生した場合に、巨額の保険金支払を要することがあるため、普通責任準備金(損害保険会社が将来の保険金など保険契約上の債務の支払のために積み立てる準備金)とは別に積み立てる準備金のことである。 (2) 上記情報が、法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」に当たることは明らかである。 そして、一般に、異常危険準備金の取崩しの明細や取崩し額の算定根拠は、当該保険会社の財務状況や保険会社が異常災害に備えてどのように再保険取引等を行ってリスクをカバーしようとしているのかといったリスク管理のノウハウ、現在及び将来の経営戦略等を窺い知ることのできる情報であるということができる。 そうすると、上記情報が公にされれば、当該各保険会社の営業戦略、ノウハウ等に関する経済的利益が害されるおそれがあることは客観的に明らかである。 したがって、本件行政文書B⑥に記載された情報については、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」があると認めることができる。 (二) これに対し、原告らは、当該法人のどのような利益が害される客観的なおそれがあるかが明らかでないなどと主張するが、同主張に理由がないことは、本件行政文書B⑤についての検討において判示したところと同様である。 6 本件行政文書B⑦の法5条2号イ該当性について(一)(1) 前記前提事実に加え、証拠(甲2の1、2の2及び2の3の6)並びに弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書B⑦は、内閣総理大臣の委任する金融庁長官が保険業法128条1項に基づき、平成13年11月15日付けで行った報告徴求 拠(甲2の1、2の2及び2の3の6)並びに弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書B⑦は、内閣総理大臣の委任する金融庁長官が保険業法128条1項に基づき、平成13年11月15日付けで行った報告徴求命令に対する大成火災、安田火災、日産火災及びあいおい損保からの回答が記載された書面であり、ソルベンシー・マージン比率算出の根拠となる保険リスク額に関する明細等が記載されていることが認められる。 (2) そうすると、上記情報が法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」に当たることは明らかである。 そして、報告徴求命令の対象となる保険会社がどこであるかが公になると、当該保険会社について何らかの問題があるとの認識を世間に対して与えるおそれがあるほか、風評等による信用の低下等を招くおそれがあると客観的に認めることができることは、本件行政文書B②及び③についての検討において既に判示したとおりである。 さらに、ソルベンシー・マージン比率の算出根拠となるリスク額の明細等の具体的数値等の情報は、一般に、これを分析することによって、各保険会社の保険リスクの管理の状況、経営状況、営業戦略等を窺い知ることができるものである。 したがって、本件行政文書B⑦に記載された情報については、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」があると認めることができる。 (二)(1) これに対し、原告らは、日産火災及びあいおい損保は、平成14年3月期には、既に米国内テロに係る海外再保険取引拡大防止処理を完了した旨を発表しているのであるから、報告徴求命令を受けたことが公になったとしても、当該情報は何ら重要性がないなどと主張する。 期には、既に米国内テロに係る海外再保険取引拡大防止処理を完了した旨を発表しているのであるから、報告徴求命令を受けたことが公になったとしても、当該情報は何ら重要性がないなどと主張する。 しかし、保険会社が過去に報告徴求命令を受けたということが公になると、風評による信用の低下等を招くおそれがあることは、本件不開示決定2がされた時点においても変わるものではない。また、ソルベンシー・マージン比率の算出根拠となるリスク額の明細等の具体的数値等の情報は、たとえそれが過去のものであっても、これを分析することによって、各保険会社の保険リスクの管理の状況、経営状況、営業戦略等を窺い知ることができるものであり、当該法人の権利を害するおそれがあることに変わりはない。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 (2) また、原告らは、日産火災及びあいおい損保は、上場会社として有価証券報告書を公開しているから、ソルベンシー・マージン比率算出の根拠となる数値が公開されたとしても、競争上の地位を害するおそれはないと主張する。 しかし、上記数値は、有価証券報告書に記載されているものではない(証券取引法24条、企業内容等の開示に関する内閣府令15条)。したがって、原告らの主張には理由がない。 7 本件行政文書B⑧の法5条2号イ該当性について(一)(1) 前記前提事実に加え、証拠(甲2の1、2の2、2の3の7)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書B⑧は、日産火災が、保険業法4条2項4号所定の保険料及び責任準備金の算出方法書を変更するため、同法123条2項に基づき届け出たものであり、日産火災の商品に関する規定、保険料及び責任準備金の算出方法等の情報が記載されていること 条2項4号所定の保険料及び責任準備金の算出方法書を変更するため、同法123条2項に基づき届け出たものであり、日産火災の商品に関する規定、保険料及び責任準備金の算出方法等の情報が記載されていることが認められる。 (2) そうすると、上記情報が法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」に当たることは明らかである。 また、一般に、保険料及び責任準備金の算出方法は、保険会社がどのように収支のバランスを図ろうとしているか、あるいは、どのようにリスクに備えているかといったことを窺わせるものであり、日産火災の経営判断、経営戦略、ノウハウといった、企業秘密に該当するものであるということができる。 そして、上記情報が公にされれば、日産火災の経営判断、経営戦略、ノウハウといった、企業秘密が明らかになり、日産火災の利益及び競争上の地位を害するおそれがあることは、客観的に明らかであるということができる。 したがって、本件行政文書B⑧に記載された情報については、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」があると認めることができる。 (二) これに対し、原告らは、他の保険会社が上記情報を知った場合ににどのように当該情報を利用し、その結果、日産火災のどのような具体的な利益が害される客観的なおそれがあるのかが不明であると主張する。 しかし、上記情報を公にすれば、日産火災の企業秘密等に関する具体的な権利が侵害される客観的なおそれがあることは前記のとおりであり、それ以上に、いつ、だれが、どのように利益を侵害するおそれがあるのかなどといった具体的事情までが明らかにされる必要がないことは、これまでに判示したところか 観的なおそれがあることは前記のとおりであり、それ以上に、いつ、だれが、どのように利益を侵害するおそれがあるのかなどといった具体的事情までが明らかにされる必要がないことは、これまでに判示したところから既に明らかである。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 8 部分開示について原告らは、仮に本件行政文書B①ないし⑧の不開示部分の一部に不開示情報が存在していたとしても、時の経過により既に機密性が失われた情報や、保険業法、証券取引法等の関係法令上開示が求められる資料に含まれている情報と重複するか又は同種の情報も存在する蓋然性が極めて高いから、当該部分は、法6条1項に基づき、開示されなければならない旨主張する。 しかし、前記のとおり、本件行政文書B①ないし⑧の不開示部分に記載された情報は、法5条2号イ又はロの所定の不開示情報に該当するものであるし、また、仮に、原告ら主張のとおり、本件行政文書B①ないし⑧の中に、文言を区分してみれば、保険業法や証券取引法において開示が認められている情報が含まれていたとしても、本件行政文書①ないし⑧の性質、内容に照らすと、被告において、一体的な情報を細分化して、不開示部分を除いたその余の部分を開示すべき義務があるということはできないことは、本件行政文書Aについて既に判示したところと同様である。 したがって、原告らの上記主張には理由がない。 9 本件不開示決定2の理由付記不備について原告らは、本件不開示決定2の通知書のうち、本件行政文書B①から③まで及び⑥から⑧までに係る部分については、「金融機関の経営内容等に係る情報が記載されており」との一括した記載がされているにすぎず、対象となる行政文書及び不開示情報ごとに個別に不開 政文書B①から③まで及び⑥から⑧までに係る部分については、「金融機関の経営内容等に係る情報が記載されており」との一括した記載がされているにすぎず、対象となる行政文書及び不開示情報ごとに個別に不開示理由を提示していないから、理由付記不備として違法である旨主張する。 前記のとおり、法に基づく不開示決定における法9条2項及び行政手続法8条1項の要請する理由付記として必要かつ十分な程度としては、開示請求者がいかなる事実関係に基づき、いかなる法規を適用して処分がされたのかをその理由の記載から知り得る程度に記載をしなければならない。 これを本件についてみると、証拠(甲2の2)によると、本件不開示決定2の通知書には、本件行政文書B①から③まで及び⑥から⑧までに係る部分の不開示理由として、「開示決定を行う行政文書(別紙1⑥~⑧、⑫、⑭、⑮、⑯)については、金融機関の経営内容等に係る情報が記載されており、これを公にすることにより、当該金融機関の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、当該情報は法第5条第2号イに該当し不開示とした。」と記載されており、「別紙1」に、上記⑥~⑧、⑫、⑭、⑮及び⑯の行政文書の各名称が列記されていたことが認められる。そうすると、開示請求者から見ると、上記の理由の記載と「別紙1」を合わせ読めば、不開示となった行政文書が何であるかは一目瞭然であるし、また、本件行政文書B①から③まで及び⑥から⑧までには、金融機関の経営内容等に係る情報が記載されており、これを公にすることにより、当該金融機関の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるために、法5条2号イ所定の不開示情報に該当するという理由で、同条に基づいて本件不開示決定がされたということが、容易に知り得るはずであるということ 利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるために、法5条2号イ所定の不開示情報に該当するという理由で、同条に基づいて本件不開示決定がされたということが、容易に知り得るはずであるということができる。 したがって、本件不開示決定2のうち、本件行政文書B①から③まで及び⑥から⑧までに係る部分が、理由付記不備として、法9条2項、行政手続法8条1項に違反するということはできない。 10 以上の検討によれば、本件不開示決定2は、適法である。 三本件不開示決定3の適法性について 1 本件行政文書Cの法5条2号イ該当性(一)(1) 前記前提事実に加え、証拠(甲3の1の1ないし3の1の4、3の2の1ないし3の2の15、3の3の1ないし3の3の15)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書Cにおいて不開示とされた部分は、大成火災、安田火災、日産火災及び千代田火災の1998年度から2001年度の各業務報告書のうち事業方法書等の変更状況等に係る部分であり、各保険会社が保険について新商品等を販売することを目的として行った基礎書類の変更認可に係る情報と申請等の内容が記載されており、各保険会社の新商品等に関して、基礎書類の変更認可に係る情報と、個別の商品の料率の算出方法等が記載されていることが認められる。 (2) そうすると、上記情報が法5条2号柱書本文所定の「法人等に関する情報」に当たることは明らかである。 そして、一般に、各保険会社が考案、開発した新商品等は、基礎書類の変更認可を得たからといって、その存在自体が当然に公にされることが予定されているものではなく、各保険会社の経営判断によって、これを公表するか否かを決するものであり、また、各保険会社の新商品等に係る料率の算出方 得たからといって、その存在自体が当然に公にされることが予定されているものではなく、各保険会社の経営判断によって、これを公表するか否かを決するものであり、また、各保険会社の新商品等に係る料率の算出方法等は、各保険会社が自ら考案、開発して築き上げたノウハウというべきものである。そうすると、上記情報が公にされれば、新商品等の存在が当該各保険会社の経営判断と離れたところで公になり、さらに、各保険会社の新商品等の開発に関するノウハウ等が明らかとなってしまい、他の保険会社において同種商品を販売することが可能となるなど、当該各保険会社の権利ないし競争上の地位を害するおそれがあることが客観的に認められるというべきである。 したがって、本件行政文書Cにおいて不開示とされた情報については、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」があるものと認めることができる。 (二) これに対し、原告らは、当該保険会社のどのような具体的な利益を害される客観的なおそれがあるのか否かが明らかでないと主張する。 しかし、前記のとおり、本件行政文書Cを開示することは、当該保険会社のノウハウ等といった具体的な経済的利益ないし競争上の地位を害するおそれが客観的に認められるのであるから、上記原告らの主張には理由がない。 (三) したがって、本件行政文書Cにおいて不開示とされた情報は、いずれも法5条2号イ所定の不開示情報に該当するというべきである。 2 部分開示について原告らは、(1)大成火災は、本件不開示決定3がされた当時、損保ジャパンに吸収合併される直前であり、経営陣や経営内容は一新されることになっていたのであるから、本件行政文書Cには、大成火災に 原告らは、(1)大成火災は、本件不開示決定3がされた当時、損保ジャパンに吸収合併される直前であり、経営陣や経営内容は一新されることになっていたのであるから、本件行政文書Cには、大成火災にとっても、承継会社損保ジャパンにとっても、競争上の地位を害するおそれが客観的に存在すると認められ得るほどの秘密性を伴う情報は既に存在しなかった、(2)既発表の商品に関するものなど、もはや新商品に関する情報とはいえない情報も含まれている蓋然性が高いし、変更後の普通保険約款の秘密性が高いとはいえないし、重要なノウハウ等が明らかとなるとは必ずしも断定することができない情報も存在するはずである、あるいは、(3)「申請年月日」、「許可年月日及び文書記号番号」、「事業方法書」、「普通保険約款」、「保険料及び責任準備金の算出方法書」との部分を公開しても、当該法人の正当な利益が害されるとは考え難いなどと主張する。 しかし、本件行政文書Cにおいて不開示とされた情報には、各保険会社の新商品等の開発に関するノウハウ等が含まれており、たとえ本件不開示決定3がされた当時、大成火災の経営陣や経営内容が一新されることが予定されていたり、既発表の商品があったとしても、大成火災ないしその承継会社が、そのノウハウ等が明らかにされることにより、その利益が害されるおそれがあることに何ら変わりはないというべきである。 また、法6条1項が、1個の行政文書について、不開示事由に該当する一体的な情報を更に細分化し、その一部を不開示とし、その余の部分を公開することまでをも義務付けているものと解することができないことは、既に本件行政文書Aについての検討において判示したとおりである。そして、どの保険会社がいつ、どのような内容の認可申請を行ったかが分からないようにして、「 務付けているものと解することができないことは、既に本件行政文書Aについての検討において判示したとおりである。そして、どの保険会社がいつ、どのような内容の認可申請を行ったかが分からないようにして、「申請年月日」、「許可年月日及び文書記号番号」、「事業方法書」、「普通保険約款」、「保険料及び責任準備金の算出方法書」のみを取り出してみても、それは、無意味な日付、数字、文字等の羅列にすぎないから、これらは一体となった情報の一部というべきであり、被告において、本件行政文書Cにおいて不開示とされた情報を更に細分化して部分開示すべき義務があるということはできない。他方、上記「申請年月日」、「許可年月日及び文書記号番号」等につき、各保険会社がいつ、どのような内容の認可申請を行ったかが分かるようにするため、一体的な情報となるように組み合わせてこれらを開示することは、前記のとおり当該各保険会社の権利ないし競争上の地位を害するおそれのある情報を開示することを意味することになる。 したがって、上記原告らの主張は、いずれも採用することができない。 3 以上の検討によれば、本件不開示決定3は適法である。 四本件不開示決定4の適法性について 1 本件行政文書D①及び②に係る不開示決定について(一) 法5条6号イ該当性(1) 前記前提事実に加え、証拠(甲4の1の1、4の1の2、4の2の1、4の2の2)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書D①及び②(本件検査関係文書)は、検査報告書、検査結果通知、審査参考資料及び検査時徴求資料であり、これらの資料には、検査の対象となった保険会社の経営内容等に関する情報、検査の対象となった保険会社の取引先である法人に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報及び検 検査時徴求資料であり、これらの資料には、検査の対象となった保険会社の経営内容等に関する情報、検査の対象となった保険会社の取引先である法人に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報及び検査の対象となった保険会社の取引先等の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名等の記述により特定の個人を識別することができる情報等が記載されていることが認められる。 ここにいう、(ア)検査報告書とは、検査の結果を主任検査官が取りまとめた検査当局内部の報告のための文書を、(イ)検査結果通知とは、検査報告書を検査当局において審査し、問題点等についての分析、検討を経て作成する文書を、(ウ)審査参考資料とは、検査当局の審査担当部が検査報告書を審査するための参考資料であって、問題点等に関する事実関係、検討結果等を記載した文書、その検討の基礎となった資料等からなるものを、(エ)検査時徴求資料とは、検査に当たり、検査官が入手した資料であって、検査の対象となった金融機関が保有していた既存の資料、検査当局が様式を指定して金融機関に作成を求めた資料等からなるものをいう。 (2) そして、上記検査は、被告が損害保険会社に対して保険業法129条1項に基づいて行うものであり、金融の安定性を確保しつつ保険契約者等の保護を図るために、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、必要な監督上の措置を執る前提として、保険会社の経営の実態を正確に把握することを目的として行われるものである。 したがって、本件行政文書D①及び②に記載された情報が、法5条6号柱書所定の「国の機関…(中略)…が行う事務又は事業に関する情報」に該当することは明らかである。 (3)アまた、一般に、本件検査関係文書に記載された情 に記載された情報が、法5条6号柱書所定の「国の機関…(中略)…が行う事務又は事業に関する情報」に該当することは明らかである。 (3)アまた、一般に、本件検査関係文書に記載された情報からは、上記検査における検査の対象、検査方法、検査結果の審査方法及び審査の過程等を窺い知ることができるものであるから、これらが公にされれば、今後、他の保険会社等において、検査当局による検査において問題となる点が発覚しないように不正に手段を講じる機会を与えることとなり、違法若しくは不当な行為を容易にし、又はその発見を困難にする客観的なおそれがあることが認められる。 したがって、本件行政文書D①及び②に記載された情報については、「検査…(中略)…に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」があるものと認めることができる。 イこれに対し、原告らは、法5条6号柱書所定の「当該事務」は、将来の事務を含むものではないことを前提に、本件不開示決定4は、検査実施日である平成13年8月21日から1年以上も経過してからされたものであるから、決定の時点では、もはや「当該事務」の適正な遂行に支障を及ぼすおそれはない旨主張する。 しかし、そもそも、法5条6号が不開示情報を定めた趣旨は、国の機関又は地方公共団体が行う事務又は事業は、公共の利益のために行われるものであるから、これを公にすることにより、その事務の適正な遂行に支障を及ぼす情報については、これを不開示とすることにより、上記事務又は事業の適正な遂行を確保しようということにある。 そうすると、本件における保険業法129条1項に基づく上記検 及ぼす情報については、これを不開示とすることにより、上記事務又は事業の適正な遂行を確保しようということにある。 そうすると、本件における保険業法129条1項に基づく上記検査のように、今後、同じ目的で、同業種の法人に対し、同種の検査が行われることが予定されているような場合に、実際に行われた検査が終了したことを理由として、上記「当該事務」に今後予定されている検査を含めないと解することは、今後の検査の遂行に支障を及ぼすことについて一切考慮しないことになり、公共の利益を害するおそれを生じされるものであるから、不開示情報を定めた法5条6号の上記趣旨に反することは明らかである。 したがって、原告らの上記主張は、採用することはできない。 (4) よって、本件行政文書D①及び②に記載された情報は、法5条6号イの不開示情報に該当する。 (二) 法5条2号イ該当性前示のとおり、本件行政文書D①及び②に記載された情報は、法5条6号イの不開示情報に該当すると認めることができるので、同条2号イ該当性の有無にかかわらず、本件行政文書D①及び②に係る不開示決定は適法である。そうすると、必ずしも、同条2号イ該当性の有無を判断する必要はないが、訴訟の経緯にかんがみ、これを検討することとする。 前記検査が、金融の安定性を確保しつつ保険契約者等の保護を図るために、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、必要な監督上の措置を執る前提として、保険会社の経営の実態を正確に把握することを目的として行われるものであることからも明らかなとおり、本件行政文書D①及び②に記載された情報は、一般に、当該保険会社の経営状況のみならず、リスク管理の状況やそのノウハウ、将来の経営 把握することを目的として行われるものであることからも明らかなとおり、本件行政文書D①及び②に記載された情報は、一般に、当該保険会社の経営状況のみならず、リスク管理の状況やそのノウハウ、将来の経営戦略等を窺い知ることができるものであるから、これが公にされれば、当該保険会社の信用の低下等を招くおそれのほか、そのノウハウ等に関する経済的利益を害するおそれがあると客観的に認められるものである。 したがって、上記情報は、法人等に関する情報であり、法5条2号イ所定の「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」があるものに該当するというべきである。 (三) 法5条1号柱書本文該当性前記のとおり、本件行政文書D①及び②にされた情報は、法5条6号イ及び同条2号イの不開示情報に該当するから、同条1号柱書本文の不開示情報に該当するか否かの判断を要しない。 2 本件行政文書D③及び④に係る不開示決定について(一) 法5条6号イ該当性(1) 前記前提事実に加え、証拠(甲4の1の3、4の1の4、4の2の3、4の2の4)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件行政文書D③及び④(本件報告書)は、被告が行った金融機関検査について、金融庁検査局より通知した検査結果通知に関し、金融庁監督局より検査指摘事項に係る改善状況報告を求めた保険業法128条に基づく報告命令に対して、安田火災及び日産火災が報告した改善状況が記載されたものであること、及び本件報告書には、検査結果通知の内容が記載されているほか、検査指摘事項について、上記各保険会社の事実認識や発生原因分析、今後の再発防止を含めた改善・対応策などの情報が記載されていることが認められる。 は、検査結果通知の内容が記載されているほか、検査指摘事項について、上記各保険会社の事実認識や発生原因分析、今後の再発防止を含めた改善・対応策などの情報が記載されていることが認められる。 (2) したがって、上記情報が、法5条6号柱書所定の「国の機関…(中略)…が行う事務又は事業に関する情報」に該当することは明らかである。 (3) また、一般に、上記情報は、上記検査における検査の対象、検査方法及び検査結果の審査方法に加え、上記検査に対して執るべき改善・対応策等を窺い知ることができるものであるから、これが公にされれば、今後、他の保険会社において、検査当局による検査において、問題となる点が発覚しないように不正に手段を講じ得る機会を与えることとなり、違法若しくは不当な行為を容易にし、又はその発見を困難にするおそれがあるといえることは、本件行政文書D①及び②の場合と同様である。 したがって、本件行政文書D③及び④に記載された情報については、「検査…(中略)…に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれがある」と認めることができる。 (4) よって、本件行政文書D③及び④に記載された情報は、法5条6号柱書、イに該当するということができる。 (二) 法5条2号イ該当性前示のとおり、本件行政文書D③及び④に記載された情報は、法5条6号イの不開示情報に該当すると認めることができるので、同条2号イ該当性の有無にかかわらず、本件行政文書D③及び④に係る不開示決定は適法である。そうすると、必ずしも、同条2号イ該当性の有無を判断する必要はないが、訴訟の経緯にかんがみ、これを検討すること 条2号イ該当性の有無にかかわらず、本件行政文書D③及び④に係る不開示決定は適法である。そうすると、必ずしも、同条2号イ該当性の有無を判断する必要はないが、訴訟の経緯にかんがみ、これを検討することとする。 本件報告書に記載された情報は、一般に、検査の対象となった保険会社の経営状況、改善状況の報告のみならず、その発生原因分析や改善・対応策から、当該保険会社の経営管理のノウハウ等を窺い知ることができるものであるから、これが公にされれば、当該保険会社の信用の低下等を招くおそれのほか、そのノウハウ等の経済的利益を害するおそれがあると客観的に認められるものである。 したがって、上記情報については、法人等に関する情報であり、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」があると認めることができる。 (三) 法5条1号柱書本文該当性前記のとおり、本件行政文書D③及び④にされた情報は、法5条6号イ及び2号イの不開示情報に該当するから、同条1号柱書本文の不開示情報に該当するか否かの判断を要しない。 3 部分開示について(一) 原告らは、本件検査関係文書は、本件不開示決定4がされた当時、それぞれの検査の実施日から1年ないし2年以上経過していることを理由に、部分開示をすべきである旨主張する。 しかし、検査の実施日から1年ないし2年経過後とはいえ、本件検査関係文書を公にすれば、他の保険会社等において、今後の検査当局による検査の際に問題となる点が発覚しないように手段を講じる機会を与え、検査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることに何ら変わりはない。 したがって、原告らの主張には理由がない。 検査の際に問題となる点が発覚しないように手段を講じる機会を与え、検査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることに何ら変わりはない。 したがって、原告らの主張には理由がない。 (二) また、原告らは、本件行政文書D①ないし④の中には、検査官の認識を反映したものとは考えられないような、検査の過程で得られた客観的事実をそのまま記載している部分や、保険業法111条に基づく説明資料で一般に公表されている情報と同種の情報等も含まれている蓋然性が高いことを理由に、部分開示をすべきである旨主張する。 しかし、検査の過程で得られた客観的事実も、検査対象が何であるか、数値等が審査の過程でどのように審査されたのかなどということが明らかになれば、今後の検査において、検査当局が正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれが客観的に認められることは明らかである。 また、仮に、原告ら主張のとおり、本件報告書に記載された情報の中に、一般に公表されている情報と同種の情報が含まれていたとしても、そのような情報を対象として検査が行われ、その検査結果をどのように審査しているのかといったことが公になれば、今後の検査において、上記おそれが認められることに変わりはない。 そして、上記おそれが生じないような、単なる数値等のみでは、何ら意味を持たない情報であり、被告において、一体的な情報の中から、これらを区分して開示すべき義務があるということができないことは、既に本件行政文書Aについての検討において判示したとおりである。 したがって、原告らの部分開示に関する上記主張も、理由がない。 4 以上の検討によれば、本件不開示決定 ことは、既に本件行政文書Aについての検討において判示したとおりである。 したがって、原告らの部分開示に関する上記主張も、理由がない。 4 以上の検討によれば、本件不開示決定4は、適法である。 五よって、原告らの請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、65条を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部裁判長裁判官菅野博之裁判官内野俊夫裁判官中西正治

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