平成25(行ウ)472 処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年4月17日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文24,957 文字)

平成27年4月17日判決言渡平成25年(行ウ)第472号処分取消請求事件 主文 1 厚生労働大臣が原告に対して平成24年2月8日付けでした障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求を却下する旨の処分を取り消す。 2 訴訟費用は,被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文同旨第2 事案の概要 1 原告は,平成14年9月25日,社会保険庁長官に対し,網膜色素変性症(以下「本件傷病」という。)を対象とし,初診日を昭和45年6月頃とし,事後重症による請求として(国民年金法(以下「国年法」という。)30条の2第1項,厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)47条の2第1項),障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求をしたが(以下「平成14年裁定請求」という。),平成15年3月13日,平成14年裁定請求を,初診日を昭和36年夏頃とする,国年法30条の4第2項に基づく障害基礎年金の裁定請求(以下「平成15年裁定請求」という。)に差し替え,同年6月12日,社会保険庁長官から国年法施行令別表及び厚年法施行令別表第一に定める障害等級(以下「障害等級」という。)2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定を受けた。 本件は,原告が,平成23年11月4日,厚生労働大臣に対し,本件傷病を対象とし,初診日を昭和45年6月とし,事後重症による請求として,障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求をしたところ(以下「本件裁定請求」とい う。),厚生労働大臣が,本件裁定請求は平成15年裁定請求と重複請求に当たり不適法であるとして,平成24年2月8日付けで本件裁定請求を却下する旨の処分(以下「本件却下処分」という。)をしたことから,原告が,被告に対し,本件却下処分の取消しを求める事案である。 2 関係 り不適法であるとして,平成24年2月8日付けで本件裁定請求を却下する旨の処分(以下「本件却下処分」という。)をしたことから,原告が,被告に対し,本件却下処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め(1) 障害基礎年金・障害厚生年金の受給要件障害基礎年金・障害厚生年金の受給要件は,原則として,①疾病にかかり,又は負傷し,かつ,その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(傷病)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(初診日)において国民年金・厚生年金保険の被保険者であること,②障害認定日,すなわち当該初診日から起算して1年6か月を経過した日,又はその期間内にその傷病が治った場合は,その傷病が治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)において,その傷病により一定の障害の状態(障害厚生年金については障害等級1級ないし3級,障害基礎年金については1級又は2級。)にあること,③当該傷病に係る初診日の前日において,当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり,かつ,当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上であることである旨規定されている(国年法30条1項,2項,厚年法47条1項,2項,国年法施行令4条の6,同別表,厚年法施行令3条の8,同別表第一)。 (2) 事後重症による障害基礎年金・障害厚生年金事後重症による障害基礎年金・障害厚生年金については,上記(1) ①及び③の要件を満たすものの,障害認定日において上記(1) ②の障害等級に該当する程度の障害の状態になかった者が,同日後65歳に達する日の前日までの間において,その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは,その者は,その期間内 ②の障害等級に該当する程度の障害の状態になかった者が,同日後65歳に達する日の前日までの間において,その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは,その者は,その期間内に障害基礎年金・障害厚生年金 の支給を請求することができる旨規定されている(国年法30条の2第1項ないし3項,厚年法47条の2第1項ないし3項)。 (3) 20歳前障害基礎年金20歳前障害基礎年金は,傷病の初診日において20歳未満であった者が,障害認定日以降の20歳に達した日において障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは,その者に障害基礎年金を支給する旨規定されている(国年法30条の4)。 (4) 裁定の請求平成19年法律第109号による改正前の国年法16条及び厚年法33条では,国年法・厚年法に基づく年金給付を受ける権利は,その権利を有する者(受給権者)の請求に基づいて,社会保険庁長官が裁定する旨規定されていたが,平成19年法律第109号による改正後の国年法16条及び厚年法33条(平成22年1月1日施行)では,厚生労働大臣が裁定する旨規定されている。 そして,上記の裁定を受けようとする者は,請求書の添付資料として,障害の原因となった疾病又は負傷に係る初診日を明らかにすることができる書類を提出しなければならない旨規定されている(国年法施行規則31条2項6号,厚年法施行規則44条2項6号)。 3 前提事実(当事者間に争いがないか,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)(1) 平成14年裁定請求及び平成15年裁定請求ア原告(昭和22年▲月▲日生まれ)は,平成14年9月25日,社会保険庁長官に対し,本件傷病(網膜色素変性症)を対象とし,初診日を昭和45年6月頃とし,事後重症による 請求及び平成15年裁定請求ア原告(昭和22年▲月▲日生まれ)は,平成14年9月25日,社会保険庁長官に対し,本件傷病(網膜色素変性症)を対象とし,初診日を昭和45年6月頃とし,事後重症による請求として,障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求をした(平成14年裁定請求)。(甲8・1枚目)イ平成14年裁定請求に係る裁定請求書(以下「平成14年裁定請求書」 という。)を受領した u 社会保険事務所(平成22年1月以降は,u年金事務所。以下「  u  事務所」という。)は,平成14年裁定請求書を,社会保険庁社会保険業務センター(以下「社会保険業務センター」という。)に進達した。 社会保険業務センターは,その後, u 事務所に対し,平成14年裁定請求に係る医証(診療記録等に基づいて初診日を明らかにする医学的な証明)等の追完を求めたため, u 事務所は,原告に対して書類の追完を求め,社会保険業務センターに対し,数回にわたり,原告から追加提出された書類を送付したが,社会保険業務センター所長は,平成15年2月27日, u 事務所長に対し,「傷病名(両眼網膜色素変性症)については,初診日が昭和37年3月24日前であり,20歳前障害となるので,国民年金において取り扱われたい。」として,平成14年裁定請求書を返戻した。(甲8・17枚目,乙1)ウ  u 事務所は,平成15年3月13日,原告に対し,平成14年裁定請求を差し替え,障害基礎年金のみの裁定請求をするよう指導したところ,原告は,同日,社会保険庁長官に対し,本件傷病を対象とし,初診日を昭和36年夏頃とし,国年法30条の4第2項に基づく請求として,障害基礎年金の裁定請求をした(平成15年裁定請求。以下,同裁定請求に係る請求書を「平成15年裁定請求書」という。)。(甲10・1な を昭和36年夏頃とし,国年法30条の4第2項に基づく請求として,障害基礎年金の裁定請求をした(平成15年裁定請求。以下,同裁定請求に係る請求書を「平成15年裁定請求書」という。)。(甲10・1ないし4枚目)エ社会保険庁長官は,平成15年6月12日,原告に対し,本件傷病の初診日を昭和36年7月1日,障害認定日を原告が20歳に到達した日である昭和42年▲月▲日,受給権発生日を平成14年裁定請求の日である平成14年9月25日とし,障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定(以下「本件支給処分」という。)をした。(甲7,乙2)オその後,原告の障害等級が2級から3級に変更されたことに伴い,社会保険庁長官は,平成16年12月15日,障害基礎年金の支給停止処分を した。(乙3)(2) 本件裁定請求ア原告は,平成23年11月4日,厚生労働大臣に対し,本件傷病を対象とし,その初診日を昭和45年6月とし,事後重症による請求(国年法30条の2第1項,厚年法47条の2第1項)として,障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求をした(本件裁定請求)。(甲1,乙4)イ厚生労働大臣は,平成24年2月8日,原告に対し,本件裁定請求は本件支給処分に係る傷病と同一傷病に係るものであり,重複請求であるとして,本件裁定請求を却下する旨の処分(本件却下処分)をした。(甲3)ウ原告は,平成24年4月13日,四国厚生支局社会保険審査官(以下「審査官」という。)に対し,本件却下処分の取消しを求めて審査請求をしたが,審査官は,同年5月25日,審査請求を却下する旨の決定をした。 (甲4・2ないし6枚目,甲5)エ原告は,平成24年7月18日,社会保険審査会(以下「審査会」という。)に対し,本件却下処分の取消しを求めて再審査請求をしたが,審査会 却下する旨の決定をした。 (甲4・2ないし6枚目,甲5)エ原告は,平成24年7月18日,社会保険審査会(以下「審査会」という。)に対し,本件却下処分の取消しを求めて再審査請求をしたが,審査会は,平成25年1月31日,再審査請求を却下する旨の裁決をした。 (甲6,7)(3) 本件訴訟の提起原告は,平成25年7月29日,本件訴訟を提起した。(顕著な事実) 4 争点及び争点についての当事者の主張本件の争点は,①本件裁定請求は重複請求に当たり不適法か(争点1),②本件傷病の初診日(争点2)である。 (1) 争点1(本件裁定請求は重複請求に当たり不適法か)について(被告の主張の要旨)ア本件裁定請求は平成15年裁定請求との関係で重複請求に当たり,不適法であること 本件傷病については,当初,初診日を「昭和45年6月頃」とする平成14年裁定請求がされたが,その後,初診日を「昭和36年夏頃」とする平成15年裁定請求に差し替えられ,平成15年6月12日,初診日を昭和36年夏頃とする本件支給処分がされた。 本件支給処分に当たり,本件傷病の初診日は,昭和36年夏頃と認定され,原告は,この初診日において20歳未満であったため,国年法30条の4に基づき,無拠出制の障害基礎年金の受給権を取得した。その後,原告については,障害状態確認届に基づいて障害等級が2級から3級に変更されたことに伴い,平成16年12月15日,障害基礎年金の支給停止処分がされたが,その支給が停止されたにすぎず,原告は,現在もなお,初診日を昭和36年夏頃とする障害基礎年金の受給権を有している。 本件裁定請求は,既に初診日を昭和36年夏頃とする障害基礎年金の受給権の基礎となった本件傷病と同一傷病について,初診日をこれと異なる昭和45年6月として,重ねて障害基 礎年金の受給権を有している。 本件裁定請求は,既に初診日を昭和36年夏頃とする障害基礎年金の受給権の基礎となった本件傷病と同一傷病について,初診日をこれと異なる昭和45年6月として,重ねて障害基礎年金及び障害厚生年金の支給を求めるものであるところ,一つの傷病に複数の初診日が認定されることはないから,本件裁定請求は重複請求であり,不適法である。 イ平成15年裁定請求に対する本件支給決定は無効であるから,本件裁定請求は重複請求には当たらない旨の原告の主張について(ア)内容上の瑕疵(本件傷病の初診日の認定の誤り)の主張について原告は,本件傷病の初診日は昭和45年6月である旨主張するが,後記(2) (被告の主張の要旨)のとおり,本件傷病の初診日は昭和45年6月であるとは認められないから,本件傷病の初診日を昭和36年夏頃とした本件支給決定に瑕疵はない。 (イ)手続上の瑕疵(説明義務違反)の主張について原告は,平成14年裁定請求書の平成15年裁定請求書への差替えは,原告への説明やその同意がないままされたものである旨主張する。 しかし,初診日において厚生年金保険の被保険者であったとして,事後重症による障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求がされた場合において,初診日が厚生年金の受給要件を満たさないが,初診日が国民年金の被保険者期間中であるか,あるいは20歳前であり,障害基礎年金については受給要件を満たすと認められたときは,当該裁定請求を却下した後に改めて障害基礎年金の裁定請求をさせるのではなく,当該裁定請求を障害基礎年金の裁定請求に差し替えるよう求める取扱いがされている。これは,当初の裁定請求を却下した後に改めて障害基礎年金の裁定請求をさせるよりも,裁定請求そのものを差し替え,当初の裁定請求をもって受給権を発生させた 請求に差し替えるよう求める取扱いがされている。これは,当初の裁定請求を却下した後に改めて障害基礎年金の裁定請求をさせるよりも,裁定請求そのものを差し替え,当初の裁定請求をもって受給権を発生させた方が,支給開始時期の点において請求者に有利だからである。 u 事務所は,上記取扱いに従い,原告に対し,障害基礎年金のみの裁定請求に差し替えるか否かを確認し,同意を得た上で,平成15年裁定請求書の作成を求め,その他添付書類の追記等をさせた。原告は,表題部に「国民年金障害基礎年金裁定請求書」と明示された請求書に必要事項を記入の上,自ら署名して提出し,その後も本件支給処分に基づき特に異議を述べることなく平成14年10月分ないし平成16年12月分(支給停止処分がされた同月15日まで)の障害基礎年金を受給していたから,原告が,上記差し替えの趣旨を理解した上で,平成15年裁定請求を行ったことは明らかである。 したがって,平成14年裁定請求を平成15年裁定請求に差し替えたことにつき,原告に対する説明義務違反はない。 (原告の主張の要旨)ア本件裁定請求は平成15年裁定請求との関係で重複請求には当たらないこと本件裁定請求のうち障害基礎年金の裁定請求については,平成15年裁定請求と同じく障害基礎年金の裁定請求ではあるものの,新たな資料を添 付してしたものであるから,重複請求には当たらない。 また,本件裁定請求のうち障害厚生年金の裁定請求については,障害基礎年金の裁定請求である平成15年裁定請求とは,受給要件が明らかに異なる上,請求者が同年金の受給を継続できる障害等級も異なるから,重複請求には当たらない。 したがって,本件裁定請求は平成15年裁定請求との関係で重複請求には当たらず,適法である。 なお,原告は,現在,障害基礎年金の受給を 給を継続できる障害等級も異なるから,重複請求には当たらない。 したがって,本件裁定請求は平成15年裁定請求との関係で重複請求には当たらず,適法である。 なお,原告は,現在,障害基礎年金の受給を受けていないから,この点においても,本件裁定請求は平成15年裁定請求との関係で重複請求には当たらない。 イ平成15年裁定請求に対する本件支給決定は無効であるから,本件裁定請求は重複請求には当たらないこと(ア)内容上の瑕疵(本件傷病の初診日の認定の誤り)について後記(2) (原告の主張の要旨)のとおり,本件傷病の初診日は昭和45年6月であるから,本件支給決定が初診日を昭和36年夏頃と認定したことには内容上の瑕疵がある。 (イ)手続上の瑕疵(説明義務違反)について平成14年裁定請求書の平成15年裁定請求書への差替えは,原告に対する説明はなく,原告の同意がないままされたものである。 原告は,自ら平成15年裁定請求書を作成した外観は存在するものの,障害厚生年金と障害基礎年金との具体的な差異に関し,受給する金額や障害等級の認定の変更による支給の打切りの可能性等の重要な事項についても,何ら説明を受けないまま,言われるままに平成15年裁定請求書を提出したにすぎない。処分行政庁は,障害厚生年金の請求書を障害基礎年金の請求書に差し替えるに際し,当事者に対して状況を説明し,起こり得る不利益を可能な限り明確に説明した上,かかる不利益を甘受 する旨の同意を得る必要があるところ,本件において,処分行政庁は,上記の説明が容易であったにもかかわらず,これをしなかった。原告は,上記の障害厚生年金と障害基礎年金との具体的な差異について説明を受けていれば,障害厚生年金の受給に必要な立証を行うために努力したはずであるから,処分行政庁が上記の説明をしな れをしなかった。原告は,上記の障害厚生年金と障害基礎年金との具体的な差異について説明を受けていれば,障害厚生年金の受給に必要な立証を行うために努力したはずであるから,処分行政庁が上記の説明をしなかったことにより,原告は,自らの年金を選択する決定権の行使を妨げられたもので,本件支給決定には手続上の瑕疵がある。 (ウ)瑕疵の程度について原告は,本件支給決定の後,障害等級が2級から3級に変更されたことに伴い障害基礎年金の支給停止処分がされ,障害年金を受給できない時期が発生したもので,具体的な損害も発生しているから,上記(ア)及び(イ)の瑕疵の程度は重大である。 (エ)小括以上のとおり,平成15年裁定請求に対する本件支給決定は,重大かつ明白な瑕疵があり無効であるから,本件裁定請求は平成15年裁定請求との関係で重複請求には当たらない。 (2) 争点2(本件傷病の初診日)について(原告の主張の要旨)ア本件傷病の初診日は昭和45年6月であること平成15年裁定請求書に添付されたa眼科・内科(以下「a眼科」という。)のb医師の平成14年9月10日付け診断書(甲14)には,原告が昭和45年6月に網膜色素変性症と診断されたことが明記されている。 そして,原告は,昭和45年6月当時,縁談の話があり,夜眼が見えないという自覚症状があったため,何らかの疾病があっては配偶者に不意の負担をかけると考え,視力等の検査のために医師の診断を受けて初めて網膜色素変性症と診断された旨供述しているところ,かかる原告の記憶は, 網膜色素変性症と診断されたことが原因で縁談が解消されたという忘れ難いものである上,網膜色素変性症は,視野狭窄,夜盲,視力低下の進行等実生活に重大な障害をもたらす深刻な疾病であり,このような疾病の診断を受けたことの記 されたことが原因で縁談が解消されたという忘れ難いものである上,網膜色素変性症は,視野狭窄,夜盲,視力低下の進行等実生活に重大な障害をもたらす深刻な疾病であり,このような疾病の診断を受けたことの記憶が正確である蓋然性は高いことや,上記縁談を持ちかけた原告のいとこのcが,当時,原告が視力検査により網膜色素変性症に罹患していることが判明した旨供述していること(甲18)等とも整合するから,上記原告の供述には信用性がある。 したがって,本件傷病の初診日は昭和45年6月である。 イ本件傷病の初診日は,昭和36年夏頃ではないこと原告は,小学校の頃から夜に眼がよく見えないという症状はあったものの,平成8年ころに症状が悪化するまでは,就学や日常生活に支障はなく,夜勤をこなすなど就労にも支障はなかったもので,夜に眼がよく見えないという症状だけでは,他の疾病の可能性もあるから,昭和36年頃に網膜色素変性症を発症していたとはいえない。 また,網膜色素変性症は,一定の検査を経て診断されるものであるところ,原告は,中学生であった昭和36年4月頃,カタル性結膜炎にかかり,眼科に数回通院し,仮性近視とも診断されたが,通常,結膜炎や仮性近視の治療において網膜色素変性症の検査は行われないから,当時,網膜色素変性症と診断された事実はない。 ウ小括以上によれば,本件傷病の初診日は昭和45年6月であり,原告は,当時厚生年金保険の被保険者であり,障害厚生年金の受給要件を満たしていたから,本件裁定請求を却下した本件却下処分は違法であり,取り消されるべきである。 (被告の主張の要旨)ア初診日の認定について 初診日とは,障害の原因となった請求傷病について,初めて医師又は歯科医師(以下「医師等」という。)の診療を受けた日をいう。初診日は,具体 の主張の要旨)ア初診日の認定について 初診日とは,障害の原因となった請求傷病について,初めて医師又は歯科医師(以下「医師等」という。)の診療を受けた日をいう。初診日は,具体的には,請求傷病により症状が出現し受診した日であり,初めて請求傷病に係る病名について医師等の確定診断を受けた日をいうものではない。 障害厚生年金の裁定請求に当たっては,初診日の認定を客観的かつ医学的な資料に基づいて行うため,裁定請求書の添付資料として,医証の提出を求めることとされている。ただし,診療録の保存期間経過等の理由から医証を入手することができないといった場合は,医証に代えて,身体障害者手帳や身体障害者手帳作成時の診断書,交通事故証明書,労災の事故証明書,健康保険の給付記録等の資料の提出を求め,これと請求傷病の特性等を総合的に検討して,初診日の認定を行うこととされている。そして,請求人が提出した医証等の資料によっても裁定請求書に記載された初診日を認定することができない場合には,当該裁定請求は,受給要件を満たさないものとして,却下されることになる。 イ本件傷病の初診日について(ア)本件傷病の初診日は昭和45年6月とは認められないこと原告は,a眼科のb医師作成の平成14年9月10日付け診断書(甲14)の「②傷病の発生年月日」欄等に「昭和45年6月」と記載されていることをもって,本件傷病に係る初診日が昭和45年6月であることにつき,客観的かつ医学的な資料が存在する旨主張するが,上記診断書の「昭和45年6月」という記載は,本人の申立てによるものか,診療録に基づくものかは明らかではなく,初診時の所見も記載されていないことや,b医師が作成した受診状況等証明書(甲9・9枚目)には,本件傷病の発病年月日及び初診年月日が「昭和45年6月頃」と のか,診療録に基づくものかは明らかではなく,初診時の所見も記載されていないことや,b医師が作成した受診状況等証明書(甲9・9枚目)には,本件傷病の発病年月日及び初診年月日が「昭和45年6月頃」と記載されているが,これらの記載は,「平成14年9月10日の本人申立によるもの」であるとされていることからすれば,b医師は原告の申立てに よって本件傷病の初診日を認定したものと考えられるから,上記診断書は,本件傷病の初診日が昭和45年6月であることを明らかにする医証とは認められない。そして,本件傷病の初診日に係る原告の申立てに沿って作成された上記診断書を裏付ける客観的な資料は何ら提出されていない。 (イ)本件傷病の初診日は,昭和36年夏頃である可能性が否定できないこと20歳前障害基礎年金は,国民年金の被保険者資格を取得する年齢である20歳に達する前に疾病にかかり又は負傷し,これによって重い障害の状態にあることとなった者については,その後の稼得能力の回復がほとんど期待できず,所得保障の必要性が高いが,保険原則の下では,このような者は,原則として給付を受けることができない。20歳前障害基礎年金は,このような者にも一定の範囲で国民年金制度の保障する利益を享受させるべく,同制度が基本とする拠出制の年金を補完する趣旨で設けられた無拠出制の年金給付である(最高裁平成19年9月28日判決・民集61巻6号2345頁)。このような制度創設の趣旨に鑑み,20歳前障害基礎年金については,国民年金や厚生年金保険の被保険者に給付する保険料負担を前提とした拠出制の年金給付に比して,初診日を緩やかに認める運用がされてきた。 本件傷病は遺伝性の疾患であるところ,原告が提出した「厚生年金保険障害給付裁定請求にかかる照会事項について」(甲16)には,昭和 拠出制の年金給付に比して,初診日を緩やかに認める運用がされてきた。 本件傷病は遺伝性の疾患であるところ,原告が提出した「厚生年金保険障害給付裁定請求にかかる照会事項について」(甲16)には,昭和32年頃に「この頃から症状が出始めたような気がする。夜は外に1人で出て歩くことができなかった」と記載され,また,「病歴・日常生活状況等申立書」(甲15)には,「小学校6年頃に夜盲があり夜は外に出られなかった。道が見えずに田んぼの中に入っていった事がある。いつ頃かがはっきりはわからないし原因もわからない。」,「子供の頃とり 目にきくという事でかん油を学校から買って飲んでいた。中学校の1年か2年の頃学校の検査で仮性近視といわれて眼科へ通った事がある。夜は見えなくても昼間は不自由を感じなかった。」と記載がされていることからすれば,原告は,小学生当時既に本件傷病の典型症状の一つである夜盲の症状が出現していたことがうかがわれる。そして,「厚生年金保険障害給付裁定請求にかかる照会事項について」(甲16)には,「昭和36年夏,d病院眼科(中学生の頃健康診断で仮性近視と言われ数回通う。)」と記載され,本件裁定請求で提出された「先天性障害(網膜色素変性症等):眼用」と題する書面(甲1・8枚目)にも,昭和36年夏頃,d病院眼科を受診したことが記載されていることなどから,原告が,視力等の異常について,眼科医の診察を受け,通院を指示されていたことが推測され,その際に,既に出現していた本件傷病の症状についても診療を受けていた可能性は否定できない。 ウ小括以上によれば,本件傷病の初診日が昭和45年6月であるとは認められない。よって,本件裁定請求は,本件傷病の初診日において,厚生年金保険の被保険者であるとの障害厚生年金の受給要件を満たしていないか 以上によれば,本件傷病の初診日が昭和45年6月であるとは認められない。よって,本件裁定請求は,本件傷病の初診日において,厚生年金保険の被保険者であるとの障害厚生年金の受給要件を満たしていないから,同裁定請求を却下した本件却下処分は結論において正当であり,取り消されるべきものではない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実,争いのない事実,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 小中学校当時の視力の状態及び病院の受診状況等ア原告(昭和22年▲月▲日生まれ)は,小学校5,6年生の頃から夜盲の症状(暗い場所で,物が見えにくくなる症状)があり,夜は外に出ら れず,道が見えずに暗い田んぼ道で田んぼの中に入っていくなどしたことがあったが,日中の生活には支障はなかった。原告は,子供の頃,とり目(夜盲症)に効くということで,かん油を学校から買って飲んでいたことがあった。(甲1・11枚目,甲8・3枚目,甲15,16)イ原告は,昭和36年4月11日,中学校3年生時の学校の健康診断でカタル性結膜炎(細菌の感染によっておこる結膜炎)を指摘され,同年夏頃,その治療のために高知県○○市所在のd病院に2,3回通院し,同病院の医師から仮性近視(一時的に近視のような状態になること)と言われたことがあった。(甲1・8枚目,甲16,甲17)(2) 厚生年金保険受給資格の取得と稼働状況ア原告は,中学校を卒業後,集団就職で○○に行き,昭和37年3月24日から昭和44年8月31日まで,○○市t所在の紡績会社であるe株式会社に勤務し,上記期間中,厚生年金保険に加入していた。原告は,同社の工場で,麻糸を紡ぐ作業を,午前5時から午後1時30分までと,午後1時30分から午後10時までの2交代制で行って 会社であるe株式会社に勤務し,上記期間中,厚生年金保険に加入していた。原告は,同社の工場で,麻糸を紡ぐ作業を,午前5時から午後1時30分までと,午後1時30分から午後10時までの2交代制で行っていた。(甲1・5,11枚目,甲9・3枚目,甲23,原告本人2頁)イ原告は,その後帰郷し,昭和45年6月2日から同年9月26日まで,高知県○○郡所在のf医院において, ▲ として勤務しており,上記期間中,厚生年金保険に加入していた。 原告は,帰郷後の同年6月頃から順次2人の見合相手を紹介され,1人からは縁談を断られたが,同年 ▲ 月 ▲ 日,もう1人の見合相手のgと婚姻した。(甲1・5,11,22枚目,甲9・3枚目,甲20,23)ウ原告は,昭和58年3月1日から昭和59年8月9日まで,鳥取県○○市所在のh相互会社において, ▲ として勤務しており,上記期間中,厚生年金保険に加入していた。原告は,他に ▲でパートタイムとして勤務していた。(甲1・5,11枚目,甲 9・3枚目)(3) 中学校卒業後の視力の状態及び病院の受診状況等ア原告は,その裸眼視力が,中学校卒業時から昭和45年頃までは,左右ともに1.2であったが,平成8年頃から視力の低下を自覚するようになった。その後の原告の視力は,平成14年9月10日時点で,裸眼視力が左右ともに0.2(矯正視力は右眼0.4,左眼0.5),平成15年5月6日時点で,裸眼視力が右眼0.15,左眼0.2(矯正視力は右眼0. 3,左眼0.2),平成23年9月12日時点では,裸眼視力は右眼0. 05,左眼0.04(矯正視力は左右ともに0.15)であった。(甲1・8,17,26枚目,甲10・8枚目,甲16)イ原告は,平成11,12年頃から夜に見えないだけでなく,昼 ,裸眼視力は右眼0. 05,左眼0.04(矯正視力は左右ともに0.15)であった。(甲1・8,17,26枚目,甲10・8枚目,甲16)イ原告は,平成11,12年頃から夜に見えないだけでなく,昼も見えにくいと感じるようになり,段差が見えなくて転ぶ,人とぶつかる,車止めによくつまづく等の症状がみられるようになった。 原告は,平成12年11月20日,大阪府○○市所在のi医院を受診し,網膜色素変性症と診断され,同月24日,大阪府○○市所在のj病院眼科を受診し,両眼網膜色素変性症と診断された。 同病院眼科のk医師作成の平成12年12月7日付け身体障害者診断書・意見書(甲1・21枚目)には,障害名「視野障害」,原因となった疾病・外傷名「両眼網膜色素変性症」,「先天性」,参考となる経過・現症「30年程前夜盲を自覚,高知県の眼科医に網膜色素変性症を指摘されたが,その後,眼科受診なし。」等の記載があり,原告は,平成12年12月,身体障害者手帳を取得した。(甲1・9,19,21枚目)ウ原告は,平成14年8月,○○市に転居し,同年9月10日,同市所在のa眼科を受診し,両眼網膜色素変性症と診断された。a眼科は,その後,平成15年12月15日に廃院になった。(甲1・9,17,24枚目,甲4・17枚目,甲14) エ原告は,平成15年5月6日,○○市所在のl病院を受診し,網膜色素変性症と診断された。(甲10・8枚目)(4) 網膜色素変性症の症状及び診断等ア網膜色素変性症は,夜盲,視野狭窄などの症状を呈する遺伝性の疾患である。一般的には,20歳ないし40歳代に気付くことが多く,初期には夜盲を自覚し,進行とともに周辺部の視野異常を呈する。やがて,視野狭窄は中心部約10°を残してほとんど変化しなくなるが,次第に視力の低下が始まる は,20歳ないし40歳代に気付くことが多く,初期には夜盲を自覚し,進行とともに周辺部の視野異常を呈する。やがて,視野狭窄は中心部約10°を残してほとんど変化しなくなるが,次第に視力の低下が始まる。進行は多くの症例で非常に遅く,何十年もかけて症状が進む。 (乙6)イ診断については,眼底所見により,骨小体様色素沈着を網膜広範囲に認めた場合に網膜色素変性症を疑い,視野検査,暗順応検査などを行う。骨小体様色素沈着は炎症性網膜疾患でも生じることがあるため,血清梅毒検査,アミノ酸分析,βリボ蛋白などの検査を行い,他の疾患を除外する必要があるとされている。現時点では,病気の進行を止めるような有効な治療法はないため,薬物による対症療法等が行われている。(乙6)(5) 平成14年裁定請求及び平成15年裁定請求ア原告は,平成14年9月25日,障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求(平成14年裁定請求)をし,「病歴・日常生活状況等申立書」に,初診日を「昭和45年6月頃」とし,「45年10月に結婚を前に相手に隠しておけないので診察を受け網膜色素変性症と診断される」と記載した。 (甲8・1,3枚目,甲10・5枚目)イ原告は,平成14年裁定請求の添付資料として,①a眼科のb医師作成の平成14年9月10日付け診断書(甲14),②同医師及びm医師作成の同日付け受診状況等証明書(甲8・9枚目)を提出した。 上記①の診断書には,傷病の原因又は誘因は「先天性」,傷病の発生年月日及び傷病のため初めて医師の診療を受けた日はいずれも「昭和45年 6月」,現在までの治療の内容,期間,経過,その他の参考となる事項として,「S45年6月当科にて網膜色素変性症と診断されたが自ら放置していた」との記載がある。 上記②の受診状況等証明書には,発病年月日「昭 現在までの治療の内容,期間,経過,その他の参考となる事項として,「S45年6月当科にて網膜色素変性症と診断されたが自ら放置していた」との記載がある。 上記②の受診状況等証明書には,発病年月日「昭和45年6月頃」,初診年月日「昭和45年6月頃」,上記記載については「平成14年9月10日の本人の申立によるもの」であるとの記載がある。(甲8・1,7,9枚目,甲14)ウ社会保険業務センターは,平成14年11月7日, u 事務所に対し,平成14年裁定請求につき不備事由があるとして,医証が取れる医療機関のうち最も過去に受診した医療機関のものを添付し,医証が取れた医療機関よりも前に受診した医療機関がある場合は,医証が取れない旨の理由書を添付するよう指示し,平成14年裁定請求書を返戻した。(甲8・13,14枚目)エ  u 事務所は,原告に対して書類の追完を求め,平成14年11月25日,社会保険業務センターに対し,原告から提出された,③昭和36年夏頃受診したd病院についてはカルテがないため医証が取れない旨が記載された「理由書」(甲8・8枚目),④「厚生年金保険障害給付裁定請求にかかる照会事項について」(甲16)を添付し,平成14年裁定請求書を再進達した。(甲4・14ないし16枚目,甲8・1,8枚目,甲9・1枚目,甲16)オ社会保険業務センターは,平成14年12月5日, u 事務所に対し,平成14年裁定請求につき不備事由があるとして,a眼科の受診後に治療を受けたとするi医院の受診状況等証明書を添付するよう指示し,平成14年裁定請求書を再度返戻した。(甲8・15,16枚目)カ  u 事務所は,原告に対して書類の追完を求め,平成14年12月,社会保険業務センターに対し,原告から提出された,⑤i医院のn医師作 成の平成14 した。(甲8・15,16枚目)カ  u 事務所は,原告に対して書類の追完を求め,平成14年12月,社会保険業務センターに対し,原告から提出された,⑤i医院のn医師作 成の平成14年12月13日付け受診状況等証明書(甲9・10枚目)を添付して,平成14年裁定請求書を再々進達した。上記⑤の受診状況等証明書には,傷病名は「両進行性網膜色素変性症,両白内障」,発病年月日は「不明」,傷病の原因又は誘因は「不詳」,初診年月日は「平成12年11月20日」と記載されている。(甲8・1,10枚目,甲9・1,10枚目)キ社会保険業務センター所長は,平成15年2月27日, u 事務所長に対し,再々進達された平成14年裁定請求につき,「傷病名(両眼網膜色素変性症)については,初診日が昭和37年3月24日前であり,20歳前障害となるので,国民年金において取り扱われたい。」として,返戻した。(甲8・17枚目,乙1)ク原告は,平成15年3月13日,障害基礎年金の裁定請求(平成15年裁定請求)をし,その資料として,⑥l病院のo医師作成の平成15年5月6日付け診断書(甲10・8枚目)を提出した。 上記⑥の診断書には,傷病の発生年月日「昭和45年6月,診療録で確認」,傷病のため初めて医師の診療を受けた日「昭和45年6月,本人の申立て」,現在までの治療の内容,期間,経過,その他の参考となる事項「小学校の5,6年頃より見えにくくなるも,どこのHPにもかからず,初めて,S45.6月,a眼科にかかる。…H15.5.6当院来院する。」と記載されている。(甲10・1,8枚目)ケ原告は,平成15年5月30日,両眼網膜色素変性症により,障害等級2級17号(身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって,その状態が前各号と同程度以上 10・1,8枚目)ケ原告は,平成15年5月30日,両眼網膜色素変性症により,障害等級2級17号(身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって,その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの)に当たる旨の国民年金障害認定を受けた。(甲11)コ社会保険庁長官は,平成15年6月12日,原告に対し,本件傷病の初診日を昭和36年7月1日,受給権発生日を平成14年裁定請求の日であ る平成14年9月25日とし,障害等級2級の障害基礎年金を平成14年10月から支給する旨の裁定(本件支給処分)をした。(乙2)(6) 障害基礎年金の支給停止処分ア原告は,平成16年8月27日,網膜色素変性症について,国年法30条2項所定の障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しないとの認定を受けた。(甲12)イ原告の障害等級が2級から3級に変更されたことに伴い,社会保険庁長官は,平成16年12月15日,障害基礎年金の支給停止処分をした。 (乙3)ウ原告は,平成14年10月分から平成16年12月分(同月15日まで)までの間,異議なく障害基礎年金を受給した。(乙3,原告本人13ないし15頁)(7) 本件裁定請求ア原告は,平成23年11月4日,障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求(本件裁定請求)をし,「病歴・就労状況等申立書」に,初診日「昭和45年6月頃」,「結婚相手に夜盲の事を隠しておけないので健康保険証が出来てからa眼科に受診する。網膜変性症と診断され,治療法もなく進行すれば失明するといわれる。」と記載した。(甲1・11枚目)イ原告は,本件裁定請求の添付資料として,①a眼科につき受診状況等証明書が添付できない理由書(甲1・16枚目。a眼科のb医師作成の平成14年9月10日付け診断書(甲14 した。(甲1・11枚目)イ原告は,本件裁定請求の添付資料として,①a眼科につき受診状況等証明書が添付できない理由書(甲1・16枚目。a眼科のb医師作成の平成14年9月10日付け診断書(甲14)添付),②i医院につき受診状況等証明書が添付できない理由書(甲1・18枚目。i医院のn医師作成の平成14年12月13日付け受診状況等証明書(甲9・10枚目)添付),③p病院眼科のq医師作成の平成23年9月16日付け受診状況等証明書(甲1・20枚目),④j病院眼科のk医師作成の平成12年12月7日付け身体障害者診断書・意見書(甲1・21枚目),⑤l病院のr医師作 成の平成23年9月12日付け診断書(甲1・26枚目)等を提出した。 上記①の理由書には,a眼科が廃業していること,上記②の理由書には,平成18年に代替わりをしているのでカルテ等の診療録が残っていないことが記載されている。 上記③の受診状況等証明書には,傷病名「両網膜色素変性」,発病年月日「不詳」,傷病の原因又は誘因「不明」,初診年月日「平成12年11月24日」,上記の記載は「当時の診療記録より記載したもの。」との記載がある。 そして,上記の「当時の診療記録」の一部と考えられる,上記④の平成12年12月7日付け身体障害者診断書・意見書には,障害名「視野障害」,原因となった疾病・外傷名「両眼網膜色素変性症」,「先天性」,疾病・外傷発生年月日「約30年前」,参考となる経過・現症「30年程前夜盲を自覚,高知県の眼科医に網膜色素変性症を指摘されたが,その後,眼科受診なし。」,障害固定又は障害確定(推定)「昭和40年」,総合所見「両眼網膜色素変性症にて視野障害が生ず。回復の見込みはない。」,身体障害者福祉法第15条第3項の意見「障害の程度は,身体障害者福祉法別表に掲げる障害 定又は障害確定(推定)「昭和40年」,総合所見「両眼網膜色素変性症にて視野障害が生ず。回復の見込みはない。」,身体障害者福祉法第15条第3項の意見「障害の程度は,身体障害者福祉法別表に掲げる障害に該当する(2級相当)」との記載がある。 上記⑤の診断書には,傷病の原因又は誘因「生来」,傷病の発生年月日及び傷病のため初めて医師の診断を受けた日「昭和45年6月,診療録で確認」,現在までの治療の内容,期間,経過,その他の参考となる事項「小学校5~6年生頃より夜見えにくい。S45年眼科にかかり上記病名と診断される。」との記載がある。(甲1・17ないし21,26枚目)ウ厚生労働大臣は,平成24年2月8日,原告に対し,本件裁定請求を却下する旨の処分(本件却下処分)をした。(甲3)エ原告は,平成24年4月13日,審査官に対し,本件却下処分の取消しを求めて審査請求をした。原告は,審査請求において,新たな資料として, 原告のいとこのcの供述を記載した「申立書」(甲18)を提出した。同「申立書」には,cが原告に見合相手を紹介したこと,原告が昭和45年6月に見合相手に同行してもらってa眼科を受診し,網膜色素変性症と診断され,進行すれば失明するなどと言われたため,見合相手から縁談を断られたこと等が記載されている。審査官は,同年5月25日,審査請求を却下する旨の決定をした。(甲4・2ないし6,19枚目,甲5,甲18)オ原告は,平成24年7月18日,審査会に対し,本件却下処分の取消しを求めて再審査請求をしたが,審査会は,平成25年1月31日,再審査請求を却下する旨の裁決をした。(甲6,7) 2 争点1(本件裁定請求は重複請求に当たり不適法か)について(1) 本件裁定請求のうち障害厚生年金の裁定請求が,平成15年裁定請求との関係で 再審査請求を却下する旨の裁決をした。(甲6,7) 2 争点1(本件裁定請求は重複請求に当たり不適法か)について(1) 本件裁定請求のうち障害厚生年金の裁定請求が,平成15年裁定請求との関係で重複請求に当たるか障害基礎年金と障害厚生年金は,障害厚生年金が障害基礎年金の上乗せ給付として位置付けられるなどその目的等において共通する部分があるものの,受給要件は各別に規定され(国年法30条ないし30条の4,厚年法47条ないし47条の3),その裁定請求も各別に行うこととされ(国年法16条,厚年法33条),障害厚生年金についてのみ3級の障害厚生年金を受給することができるなど(厚年法47条2項,同法施行令3条の8,別表第一),障害基礎年金の裁定請求と障害厚生年金の裁定請求とは,その請求権の発生根拠を異にする別個の請求であるというべきである。 上記前提事実(1) 及び上記1(5) の認定事実によれば,本件においては,平成14年裁定請求(障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求)が, u事務所の指導により,平成15年裁定請求(障害基礎年金の裁定請求)に差し替えられた上で,本件支給処分(障害基礎年金の支給処分)がされた経過があり,平成15年裁定請求において,障害厚生年金の裁定請求はされておらず,障害厚生年金の裁定請求に対する判断もされていないものと認めら れるから,本件裁定請求のうち障害厚生年金の裁定請求は,平成15年裁定請求との関係で重複請求に当たるということはできない。 (2) 本件裁定請求のうち障害基礎年金の裁定請求が,平成15年裁定請求との関係で重複請求に当たるか被告は,本件裁定請求は,既に初診日を昭和36年夏頃とする障害基礎年金の受給権の基礎となった本件傷病と同一傷病について,初診日をこれと異なる昭和45年6月として, 求との関係で重複請求に当たるか被告は,本件裁定請求は,既に初診日を昭和36年夏頃とする障害基礎年金の受給権の基礎となった本件傷病と同一傷病について,初診日をこれと異なる昭和45年6月として,重ねて障害基礎年金の支給を求めるものであるところ,一つの傷病に複数の初診日が認定されることはないから,本件裁定請求は平成15年裁定請求との関係で重複請求であり,不適法である旨主張する。 この点,障害基礎年金の裁定請求がされ,それを認める処分がされた後に,当該裁定請求の内容とは両立しない(より有利な)内容の処分を求めるために再度の裁定請求がされた場合については,それが申請権の濫用に当たるものとして許容されず,再度の裁定請求自体が不適法となる場合があり得るとしても,再度の裁定請求の手続において,当初の裁定請求の手続においては提出されなかった新たな資料が提出され,当該資料に相応の価値があることが認められるなど,証拠資料に関して事情の変更があるような場合においては,上記処分が受益処分であることに鑑みると,再度の裁定請求自体が直ちに不適法となるということはできず,行政庁は,再度の裁定請求の内容の当否について判断しなければならないと解されるところである。 これを本件についてみるに,上記1(5) 及び(7) の認定事実によれば,①原告は,もともと,平成14年裁定請求において,初診日を昭和45年6月頃として申請しており,その根拠の一つとして,当時,結婚を考えており,結婚相手に夜盲のことを隠しておけなかったため,a眼科を受診して検査をした結果,網膜色素変性症という診断を受けたことがあるとの主張をしていたところ,それが容易に受け入れられなかったことから,平成15年裁定請 求に差し替え,これが認められて本件支給処分がされたという経緯があること, 診断を受けたことがあるとの主張をしていたところ,それが容易に受け入れられなかったことから,平成15年裁定請 求に差し替え,これが認められて本件支給処分がされたという経緯があること,②その後,原告は,本件裁定請求を行い,その審査請求時に,上記の主張を裏付ける新たな証拠として,当時,原告に見合相手を紹介し,原告がその見合相手と共にa眼科を受診したが,網膜色素変性症と診断されたために縁談を断られた旨の,原告のいとこのcの申立書(甲18)を提出しているところ,上記申立書はその内容に照らして資料としての相応の価値があることが認められる。以上のような経緯と事情に照らすと,本件においては,もともとの原告の主張に沿い,かつ,先行する平成15年裁定請求に係る手続では提出されていなかった新たな資料で相応の価値があるものが,本件裁定請求に係る審査請求の手続中に提出されたという事情があるから,本件裁定請求のうち障害基礎年金の裁定請求が直ちに不適法であると解することは相当ではないというべきである。したがって,当該裁定請求が,平成15年裁定請求との関係において重複請求に当たり不適法であるということはできない。 (3) 小括以上によれば,本件裁定請求は,障害基礎年金及び障害厚生年金の裁定請求のいずれについても,平成15年裁定請求との関係で,重複請求に当たり,不適法であるということはできない。 3 争点2(本件傷病の初診日)について(1) 初診日の認定について国年法30条1項及び厚年法47条1項は,「初診日」とは,疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(傷病)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいうと規定している。 国年法及び厚年法が,傷病の発症日ではなく初診日を基準として障害基礎年金あるいは障害厚生年金の支給要件を定めてい る疾病(傷病)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいうと規定している。 国年法及び厚年法が,傷病の発症日ではなく初診日を基準として障害基礎年金あるいは障害厚生年金の支給要件を定めている趣旨は,国民年金事業あるいは厚生年金保険事業を管掌する政府において個々の傷病につき発症日を 的確に認定するに足りる資料を有しないことにかんがみ,医学的見地から裁定機関の認定判断の客観性を担保するとともに,その認定判断が画一的かつ公平なものとなるよう,当該傷病につき医師等の診療を受けた日をもって障害基礎年金あるいは障害厚生年金の支給に係る規定の適用範囲を画することとしたものであると解される(最高裁平成20年10月10日第二小法廷判決・裁判集民事229号75頁参照)。 そうすると,国年法30条1項及び厚年法47条1項にいう「初診日」とは,当該傷病について,初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいい,初診日の判断は,原則として,客観的かつ医学的な資料に基づいて行う必要があるというべきである。もっとも,初診日から長期間が経過しているなどの事情により客観的かつ医学的な資料を十分に整えることが困難な場合も想定されるところ,国年法施行規則31条2項6号及び厚年法施行規則44条2項6号は,初診日を明らかにすることができる書類の提出を求めるにとどまり,客観的かつ医学的な資料のみによって初診日を認定することを要求するものではないことをも考慮すると,客観的かつ医学的な資料を十分に整えることができないことにつき合理的な理由がある場合には,可能な限りの客観的かつ医学的な資料に加え,請求人や第三者の供述内容,請求傷病の特性等を総合的に検討して初診日の認定を行うことができるものと解するのが相当である。 (2) 本件傷病の初診日についてア本件傷 観的かつ医学的な資料に加え,請求人や第三者の供述内容,請求傷病の特性等を総合的に検討して初診日の認定を行うことができるものと解するのが相当である。 (2) 本件傷病の初診日についてア本件傷病の初診日は昭和45年6月か(ア)原告は,本件傷病の初診日は昭和45年6月であり,当時夜盲の自覚症状があり,a眼科を受診し,網膜色素変性症との診断を受けた旨主張する。そして,a眼科のb医師作成の平成14年9月10日付け診断書(甲14),l病院のr医師作成の平成23年9月12日付け診断書(甲1・26枚目)には,いずれも本件傷病の発生年月日及び傷病につ いて初めて医師の診断を受けた日として「昭和45年6月」と記載されている。 (イ)上記1(4) ,(5) イ,(7) イの認定事実によれば,a眼科のb医師作成の平成14年9月10日付け診断書(甲14)の上記記載は,同医師及びm医師作成の同日付け受診状況等証明書(甲8・9枚目)の記載を併せ考慮すると,原告の申告に基づき記載されたものと認められる。また,a眼科の診断書の記載が上記のとおりである以上,l病院のr医師作成の平成23年9月12日付け診断書(甲1・26枚目)の本件傷病の発生年月日が「昭和45年6月」とされていることについても,同様に原告の申告に基づき記載されたものと認められるから,本件傷病の初診日が昭和45年6月であることにつき客観的かつ医学的な資料が十分であるとはいい難い。 もっとも,網膜色素変性症は,初期症状として夜盲がみられるものの,その進行は非常に遅く,何十年もかけて症状が進む性質の傷病であること,原告が昭和45年6月に診察を受けたとするa眼科は平成15年12月15日に廃院しており,現時点において診療記録等を確認することはできないことからすれば,本件裁定請求におい 進む性質の傷病であること,原告が昭和45年6月に診察を受けたとするa眼科は平成15年12月15日に廃院しており,現時点において診療記録等を確認することはできないことからすれば,本件裁定請求において客観的かつ医学的な資料を十分に整えることができないことにつき合理的な理由があるというべきである。 (ウ)そこで,昭和45年6月,a眼科において網膜色素変性症と診断された旨の原告の申告内容上の合理性について検討するに,上記1(5) ア,(7) ア,イの認定事実によれば,原告は,昭和45年6月当時結婚を考えており,夜盲の自覚症状があったことから,何か疾病があれば結婚相手に迷惑をかけると考えてa眼科を受診した旨を,平成14年裁定請求,本件裁定請求,本件訴訟において一貫して主張している(甲20,23,原告本人2頁)。そして,j病院眼科のk医師作成の平成12年12月 7日付け身体障害者診断書・意見書(甲1・21枚目)にも「30年程前夜盲を自覚,高知県の眼科医に網膜色素変性症を指摘されたが,その後,眼科受診なし。」と記載されており,原告は,平成14年裁定請求より前の平成12年時点においても,上記医師に対し,昭和45年頃に高知県の眼科医に網膜色素変性症を指摘された旨を申告していたことが認められる。 また,上記1(2) ア,イの認定事実によれば,集団就職で地元を離れた原告が帰郷し, ▲ として稼働し始めた昭和45年6月頃,当時23歳という年齢にあった原告が,順次2人の見合相手を紹介されたというのは自然な経過であると認められるところ,原告が昭和45年6月にa眼科を受診した動機についても,当時見合相手との結婚を考えていたが,夜盲の自覚症状があったため,何か疾病があれば結婚相手に迷惑をかけると考えたという合理性のあるものであるし,原 が昭和45年6月にa眼科を受診した動機についても,当時見合相手との結婚を考えていたが,夜盲の自覚症状があったため,何か疾病があれば結婚相手に迷惑をかけると考えたという合理性のあるものであるし,原告が昭和45年6月に網膜色素変性症との診断を受けたとの記憶は,網膜色素変性症との診断を受けたために,そのうちの1人であるsから縁談を断られたという忘れ難い出来事に基づくものである。 加えて,c及びsの申立書(甲18,19)には,原告のいとこのcが,原告に対し,見合相手としてsを紹介し,原告は,夜に目が見えないという自覚症状があったことから,結婚相手であるsに迷惑をかけてはいけないと考え,昭和45年6月にsと共にa眼科を受診したが,網膜色素変性症と診断され,進行すれば失明するなどと言われたため,sから縁談を断られた旨記載されており,原告の夫のgの申立書(甲21)には,昭和46年▲月に婚姻する前に,原告から網膜色素変性症であることを告げられていた旨記載されており,これらは上記の原告の申告内容とも整合する。 (エ)これに対し,被告は,平成15年裁定請求書の記載内容や筆跡等に照 らせば,原告が,原告本人尋問において,同裁定請求書を作成したのは明らかであるにもかかわらず,同裁定請求書を作成した記憶がないと述べたり,作成日付が「平成23年11月2日」と記載されている「先天性障害(網膜色素変性症):眼用」と題する書面(甲1・8枚目)を平成15年に提出した旨述べる(原告本人15ないし16頁)など客観的な証拠関係と整合しない供述内容が見受けられるから,原告の供述は信用性がない旨主張する。 しかしながら,原告の本件訴訟における供述のうち,平成15年裁定請求書の作成及び提出の経過に関する部分については,上記のとおり一部客観的な証拠関係と整合 ら,原告の供述は信用性がない旨主張する。 しかしながら,原告の本件訴訟における供述のうち,平成15年裁定請求書の作成及び提出の経過に関する部分については,上記のとおり一部客観的な証拠関係と整合しない供述内容が見受けられるものの,これは,上記第2の4(1) (原告の主張の要旨)イ(イ)のとおり,原告が平成14年裁定請求書を平成15年裁定請求書に差し替えた経緯につき強い不満を持っていること等に起因する記憶違いによるものとも考えられるから,上記部分の供述内容が一部客観的な証拠関係と整合しないことをもって,原告の供述のその他の部分,すなわち昭和45年6月にa眼科において網膜色素変性症と診断された旨の原告の申告内容に関する供述の信用性までもが減殺されると評価することはできない。 (オ)以上によれば,昭和45年6月にa眼科において網膜色素変性症と診断された旨の原告の申告内容には信用性があるというべきである。 イ初診日が昭和36年夏頃である旨の被告の主張について被告は,本件傷病は遺伝性の疾患であり,原告は,昭和32年頃から夜盲の症状が出現していたこと,「厚生年金保険障害給付裁定請求にかかる照会事項について」(甲16)には,「昭和36年夏,d病院眼科(中学生の頃健康診断で仮性近視と言われ数回通う。)」と記載されていることなどから,原告が,昭和36年夏頃,視力等の異常について眼科医の診察を受け,その際に,既に出現していた本件傷病の症状についても診療を受け ていた可能性は否定できないから,本件傷病の初診日は,昭和36年夏頃である可能性が否定できない旨主張する。 そして,上記1(1) ,(4) の認定事実によれば,網膜色素変性症は,夜盲,視野狭窄などの症状を呈する遺伝性の疾患であり,初期には夜盲を自覚するとされているところ,原告 否定できない旨主張する。 そして,上記1(1) ,(4) の認定事実によれば,網膜色素変性症は,夜盲,視野狭窄などの症状を呈する遺伝性の疾患であり,初期には夜盲を自覚するとされているところ,原告は,小学校5,6年生頃すなわち昭和32年頃から夜盲の症状があり,夜は外に出られないという状況にあったことからすれば,当時既に網膜色素変性症の初期症状としての夜盲の症状が出現していた可能性があるものと認められる。 しかしながら,原告は,日中の生活には特に支障を感じておらず,昭和36年夏頃にd病院に2,3回通院したのは,中学校の健康診断でカタル性結膜炎(細菌の感染によっておこる結膜炎)を指摘され,その治療のためであったというのであるから,その治療の過程において,医師から仮性近視(一時的に近視のような状態になること)の指摘を受けたとしても,これをもって,カタル性結膜炎や仮性近視の治療の過程において,これらとは病状を異にする夜盲の症状について,医師の診療を受けていたことを推認することはできず,他に,原告が,昭和36年夏頃にd病院において夜盲の症状について医師の診療を受けたものと認めるに足りる証拠はない。 したがって,上記被告の主張を採用することはできない。 ウ小括以上によれば,昭和45年6月にa眼科において網膜色素変性症と診断された旨の原告の申告内容は信用性のあるものであり,このような原告の申告に基づき,j病院眼科のk医師作成の平成12年12月7日付け身体障害者診断書・意見書(甲1・21枚目)に「30年程前夜盲を自覚,高知県の眼科医に網膜色素変性症を指摘されたが,その後,眼科受診なし。」との記載がされていること,a眼科のb医師作成の平成14年9月10日付け診断書(甲14)に,本件傷病の発生年月日は「昭和45年6月」と 記載さ を指摘されたが,その後,眼科受診なし。」との記載がされていること,a眼科のb医師作成の平成14年9月10日付け診断書(甲14)に,本件傷病の発生年月日は「昭和45年6月」と 記載されていること等を総合的に考慮すると,本件傷病の初診日は,昭和45年6月であると認められる。 (3) 小括以上によれば,上記2のとおり本件裁定請求は重複請求には当たらない適法な請求であり,また,本件傷病の初診日は昭和45年6月であり,上記1(2) イの認定事実によれば,原告は本件傷病の初診日において厚生年金保険の被保険者であったものと認められるから,本件裁定請求に対し,障害厚生年金あるいは障害基礎年金の受給要件について判断することなく,重複請求に当たり不適法であるとしてした本件却下処分は,不適法であり,取り消すべき違法があるというべきである。 4 結論よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官横田典子 裁判官中野雄壱

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