- 1 -平成19年11月14日判決言渡平成18年(行ケ)第10504号審決取消請求事件平成19年9月10日口頭弁論終結判決原告アルゼ株式会社訴訟代理人弁護士田中康久同中込秀樹同岩渕正紀同岩渕正樹同永松暁太同長沢幸男同長沢美智子同今井博紀訴訟代理人弁理士正林真之同井口嘉和同八木澤史彦同佐藤武史同佐藤玲太郎同小椋崇吉同小野寺隆同鈴木康介同進藤利哉同清水俊介被告サミー株式会社訴訟代理人弁護士牧野利秋同飯田秀郷- 2 -同栗宇一樹同早稲本和徳同鈴木英之同和氣満美子同大友良浩同隈部泰正同戸谷由布子訴訟代理人弁理士黒田博道同北口智英同石井豪同布川俊幸主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求特許庁が無効2006-80034号事件について平成18年10月4日にした審決のうち「特許第3708056号の請求項1~5に係る発明につい,ての特許を無効とする。審判費用は,被請求人の負担とする」との部分を取。 り消す。 第2当事者間に争いのない事実 特許庁における手続の経緯原告は,発明の名称を「遊技機」とする特許第3708056号(特願20(。 「」00-155626号国内優先権主張平成12年4月26日以下親出願という)を親出願として,平成14年2月15日分割出願。平成17年8月。 12日設定登録。以下「本件特許」という。請求項の数は5である)の特,。 - 3 -許権者である。 被告は, 以下親出願という)を親出願として,平成14年2月15日分割出願。平成17年8月。 12日設定登録。以下「本件特許」という。請求項の数は5である)の特,。 - 3 -許権者である。 被告は,平成18年3月1日,本件特許を無効にすることについて審判の請求をし,無効2006-80034号事件として特許庁に係属した。原告は,同審判手続において,同年5月22日,訂正請求を行った。特許庁は,同年10月4日「訂正を認める。特許第3708056号の請求項1~5に係る発,明についての特許を無効とする。審判費用は,被請求人の負担とする」との。 審決をした。 特許請求の範囲上記訂正請求に係る本件特許の訂正明細書(甲4。以下,単に「本件訂正明」。),(,細書というにおける特許請求の範囲の記載は次のとおりである以下これらの発明を,請求項に対応して「本件訂正発明1」などという。また,これらを併せて「本件訂正発明」という場合がある。 ,。)【請求項1】「乱数抽選によって入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,遊技音を継続的に出音して現在の遊技状態を遊技者に報知する出音手段とを備えて構成されるスロットマシンにおいて,特別の遊技が行われる際に前回遊技における所定のタイミングから所定時間経過したときに遊技がされていない状態を検出する状態検出手段と,この状態検出手段によって遊技がされていない状態が検出されたときに前記特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げる出音制御手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン」。 【請求項2】「前記状態検出手段は,ボーナスゲームの作動中であって前回遊技における所定のタイミングから所定時間経過したときに遊技がされていない状態を検出することを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン」。 【請求項3】 手段は,ボーナスゲームの作動中であって前回遊技における所定のタイミングから所定時間経過したときに遊技がされていない状態を検出することを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン」。 【請求項3】「所定の前記タイミングは,前回遊技の遊技開始タイミングまたは前回遊- 4 -技の遊技終了タイミングであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスロットマシン」。 【請求項4】「前記遊技開始タイミングは,遊技を開始させる遊技開始手段が操作されたタイミングまたは遊技に遊技媒体が賭けられたタイミングであることを特徴とする請求項3に記載のスロットマシン」。 【請求項5】「前記遊技終了タイミングは,遊技に使用される種々の図柄を複数列に可変表示させる可変表示装置の全列の可変表示が停止したタイミングまたは遊技者への配当払出処理タイミングであることを特徴とする請求項3に記載のスロットマシン」。 審決の理由( )別紙審決書の写しのとおりである。審決の理由は,要するに,本件訂正 発明1ないし5はいずれも,本件特許の親出願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平11-178990号公報本訴における甲5の1審(〔判における甲1。以下「刊行物1」という)及び特開平7-51442〕。 号公報(本訴における甲5の2〔審判における甲2。以下「刊行物2」と〕いう)に記載された各発明並びに遊技機の技術分野における周知技術及び。 社会生活上一般的に行われている技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるから,本件訂正発明1ないし5についての特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,同法123条1項2号に該当するというものである。 ( )審決が認定した刊行物1に記載された発明(以下「引用発明」という) 。 ついての特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,同法123条1項2号に該当するというものである。 ( )審決が認定した刊行物1に記載された発明(以下「引用発明」という) 。 の内容,本件訂正発明1と引用発明との一致点,相違点は,ア~ウのとおりである。また,審決が相違点2の容易想到性の判断に当たって認定した刊行物2に記載,開示された技術内容は,エのとおりである(本件訂正発明2な- 5 -いし5も,引用発明との関係で,イの一致点を有し,エの点を含む相違点を有するものであり,審決は,同様に相違点2について刊行物2に記載,開示されたエの技術内容を適用することで容易想到と判断している。 。)ア引用発明の内容「乱数サンプリングを実行し得られたサンプリング値をROMに書き込まれているデータに照らして当選か否か及びその賞の種類等を判定することにより内部当りか否かの抽選を行うとともに,音声出力部に指示し て現在の遊技状態を遊技者に報知する制御部を備えて構成されるスロ ットマシンにおいて,制御部は,BB(ビッグボーナス。以下同様)フラグがセットされ 。 有効ライン上に各リールにおけるシンボルが揃うと音声出力部を介して前記現在の遊技状態としてのBBゲームに応じたBB効果音をスピーカから発生させ,所定の遊技回数を消化すると音声出力部を介し て前記現在の遊技状態としてのBBゲームに応じたスピーカからのBB効果音の発生を停止させるものであるスロットマシン」である点。 イ本件訂正発明1と引用発明との一致点「乱数抽選によって入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,遊技音を出音して現在の遊技状態を遊技者に報知する出音手段とを備えて構成されるスロットマシンにおいて,特別の遊技が行われる際に 明との一致点「乱数抽選によって入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,遊技音を出音して現在の遊技状態を遊技者に報知する出音手段とを備えて構成されるスロットマシンにおいて,特別の遊技が行われる際にそれに応じた遊技音の出音を制御する出音制御手段を備えたスロットマシン」である点。 ウ本件訂正発明1と引用発明との相違点(ア)相違点1「遊技音」について,本件訂正発明1が「現在の遊技状態」及び「特,別の遊技状態」のときに出音する「遊技音」を「継続的に出音」するものであるのに対して,引用発明では,現在の遊技状態である特別の遊技- 6 -状態のときに出音する遊技音を継続的に出音するのか否か定かでない点。 (イ)相違点2「出音制御手段」について,本件訂正発明1が「特別の遊技が行われ,る際に前回遊技における所定のタイミングから所定時間経過したときに遊技がされていない状態を検出する状態検出手段」を備え「この状態,検出手段によって遊技がされていない状態が検出されたときに特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げる」ものであるのに対して,引用発明では,上記のような状態検出手段を備えておらず,遊技音の音量を上記のように制御していない点。 エ刊行物2に記載された技術の内容「遊技(遊戯操作)がされていない状態を検出する状態検出手段(タッチスイッチ)を備え,この状態検出手段によって遊技がされていない 状態が検出されたときその一定時間経過後に音量を下げた出音態様デ,,(モンストレーション)を実行する(遊戯場内の騒音を増大しないようデモンストレーション中にスピーカーから発生する音声の音量を小さくし たりスピーカーを動作しないようにする)という技術。 」第3取消事由に係る原告の主張審決には,相違点2に関して,①刊行物2に記 ション中にスピーカーから発生する音声の音量を小さくし たりスピーカーを動作しないようにする)という技術。 」第3取消事由に係る原告の主張審決には,相違点2に関して,①刊行物2に記載された技術内容の認定及びこれに基づく容易想到性判断の誤り(取消事由1,2,②周知技術の認定の)誤り及びこれに基づく容易想到性判断の誤り(取消事由3,③社会生活上一)般的に行われている技術の認定の誤り(取消事由4,④理由不備及び手続違)反(取消事由5,6)がある。これらの誤りは,本件訂正発明1を容易に想到することができたとした審決の判断に影響を及ぼし,本件訂正発明2ないし5に関しても,相違点2の判断につき同様の誤りがあり,これらの発明を容易想到であるとした審決の判断に影響を及ぼすから,本件訂正発明1ないし5に係- 7 -る特許をいずれも無効とした審決は取消しを免れない(原告の主張する取消事由の順序を適宜並べ変えた。 。) 取消事由1(刊行物2に記載された技術の認定の誤り)審決は,刊行物2に「状態検出手段によって遊戯がされていない状態が検出されたとき,その一定時間経過後に,音量を下げた出音態様(デモンストレーション)を実行する」技術が開示されていると認定し,これを補足して括弧書きで「遊戯場内の騒音を増大しないようデモンストレーション中にスピーカ,ー26から発生する音声の音量を小さくしたりスピーカー26を動作しないよ」,。 うにする技術も開示されていると認定しているが上記認定には誤りがあるまず,刊行物2記載の発明にいうデモンストレーションは,聴覚的なものを含まず,視覚的なものに限ると認定されるべきである。 この点は,刊行物2において,①【請求項1】に「可変表示手段の駆動と,その停止とを,順次繰り返すデモンストレーション実行手段 ョンは,聴覚的なものを含まず,視覚的なものに限ると認定されるべきである。 この点は,刊行物2において,①【請求項1】に「可変表示手段の駆動と,その停止とを,順次繰り返すデモンストレーション実行手段」とあること,②段落【0003】に「遊技板面において,デモンストレーションを行ない,視覚的に,パチンコ機の機能を表示する」とあること,③実際に開示されているデモンストレーションの態様は「LED表示器3a,3b,3cの表示内容」及び「入賞玉受口器5の開放」のみであること(段落【0012,④デモ】)ンストレーションを実行する構成として「表示駆動回路22」と「ソレノイ,ド駆動回路24」が挙げられているのに対して「スピーカー駆動回路23」,が挙げられていないこと(段落【0010・図2参照)から明らかである。 】,,,このように刊行物2に開示されている技術は遊戯操作のない状態においてそのような視覚的なデモンストレーションを実行する構成であって,音量の変化等の聴覚的な内容は含まない。 確かに刊行物2には発明の実施例として段落0016にそ,,【】,【】,「の他,前記デモンストレーション中は,遊戯場内の騒音を増大しないように,,」スピーカー26の音量を小さくしたり動作しないようにすることが好ましい- 8 -として聴覚的事項に言及した記載はある。しかし,この記載は,実現する技術的構成が示されていないので,単なる発想を示したにすぎないと解すべきである。 上記のとおり,刊行物2には「遊技がされていない状態が検出されたとき,その一定時間経過後に,音量を下げた出音態様(デモンストレーション)を実行する」という技術は開示されていないので,審決の認定は,誤りである。 取消事由2(相違点2について,刊行物2記載の発明の適 その一定時間経過後に,音量を下げた出音態様(デモンストレーション)を実行する」という技術は開示されていないので,審決の認定は,誤りである。 取消事由2(相違点2について,刊行物2記載の発明の適用を想到容易と判断した誤り)( )パチンコ機とスロットマシンでは,基本的な構成「遊技操作がされて ,いない状態」や「遊技がされていない状態」の意味「特別の遊技状態」の,継続条件等の構成が相違するため,スロットマシンの発明である引用発明において,BB遊技中(特別の遊技状態中)のBB効果音を制御しようとした場合,パチンコ機の技術を適用することを想到するのは容易とはいえない。 本件訂正発明1は「特別の遊技状態中であって,かつ,1回の遊技中で,はない場合に音量を下げる」技術である。スロットマシンでは,特別の遊技状態中には,1回の遊技をしていない場合であっても,遊技者の気持ちを高ぶらせた状態を維持するために音量を維持することが技術常識であるといえるから,本件訂正発明1は,上述の技術常識に反する技術といえる。これに対し,刊行物2記載の発明は,単に「1回の遊技中でない場合に音量を小さくする」技術である。このため,引用発明のスロットマシンに「特別の遊,技状態」という構成を有しない刊行物2のパチンコ機を組み合わせたとしても「特別の遊技状態中であって,かつ,1回の遊技中ではない場合に音量,を下げる」という相違点2に係る本件訂正発明1の構成を,容易に想到できるものではない。 このことは,特開2002-306670号公報,特開2002-282410号公報,特開2002-800号公報(甲8の1~3)に示されてい- 9 -る従来の技術常識に照らしても,明らかである。 ( )本件訂正発明1における「遊技がされていない状態が検出されたときに 現在の遊技 開2002-800号公報(甲8の1~3)に示されてい- 9 -る従来の技術常識に照らしても,明らかである。 ( )本件訂正発明1における「遊技がされていない状態が検出されたときに 現在の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げる」ことは「一つの継続した,音の音量を下げる」ことを意味する。これに対し,刊行物2に記載の発明は「遊技がなされていない状態において出音されるデモンストレーション音の音量を遊技音よりも小さくして出音する」ものであり「異なる種類の音を,小さな音量で新たに出音する」ことを意味する「一つの継続した音の音量。 を下げる技術」と「異なる種類の音を小さな音量で新たに出音する技術」,とは,全く異なるから,刊行物1に記載の発明に刊行物2に記載の発明の構成を適用したとしても「遊技がされていた状態に出音されていた遊技音と,は異なる種類の音であるデモンストレーション音を,遊技音より小さな音量で新たに出音する」ことを容易に想到できるだけであり「遊技がされてい,た状態に出音されていた遊技音の音量を小さくする」ことに容易に想到できるものではない。 取消事由3(周知技術の認定,判断の誤り)( )周知技術1の認定の誤り 審決は「所定のタイミングを基準にして遊技がされていない状態を検出,する手段を備え,当該手段によって遊技がされていない状態が検出されたときに,直ちに,或いは,所定時間経過後に,その状態を表示や効果音等の形で報知するという技術以下周知技術1というが刊行物3~7本」(「」),(訴における甲5の3~7)に記載されたような遊技機の技術分野における周知の技術であると認定する(審決書32頁11行~15行。 )しかし,審決の認定は,以下のとおり誤りである。すなわち,刊行物3~7から,一貫した周知 ~7)に記載されたような遊技機の技術分野における周知の技術であると認定する(審決書32頁11行~15行。 )しかし,審決の認定は,以下のとおり誤りである。すなわち,刊行物3~7から,一貫した周知技術1が開示されているとは認められない。刊行物3~7には「遊技者のいない空き台の状態「遊技者がいるが遊技がされて,」,いない状態」及び「遊技者がおり遊技がされているが入賞のない状態」とい- 10 -う,それぞれ異なる状態における異なる技術が記載されており,統一された「遊技されていない状態」という構成が記載されていない。このように,統一されていない多様な技術が記載されている刊行物3~7から,あたかも統一された「遊技されていない状態」を前提とする技術が記載されているように認定することは,誤りである。 ( )周知技術1の適用を想到容易とした判断の誤り 刊行物3~5(本訴における甲5の3~5)において「遊技がされてい,ない状態を検出する手段」の具体的内容を開示しているのは刊行物3のみであり,また「遊技がされていない状態」を検出したときに聴覚的な報知を,行うことを開示しているのは刊行物5のみである。 いずれの発明も,ゲームへの誘因やゲームの説明などのための「報知」を目的としており,およそ音量低下とは関係のない技術であるから,これらの発明を,刊行物1に記載された発明におけるBB効果音の制御に適用することは容易であるといえない。 ( )周知技術2の認定の誤り 審決は「遊技者が遊技の途中で遊技機を離れ,その状態が設定時間継続,すると,スピーカを含む遊技機の電気装置の内の全て或いは一部への通電を」(「」遮断または低電圧化するなど通電状態を制御すること以下周知技術2という)が,刊行物17,18(本訴における甲5の17,18)に 含む遊技機の電気装置の内の全て或いは一部への通電を」(「」遮断または低電圧化するなど通電状態を制御すること以下周知技術2という)が,刊行物17,18(本訴における甲5の17,18)に記載されたような遊技機の技術分野における周知の技術であると認定する(審決書34頁6行~9行。 ),,。 ,,しかし審決の認定は以下のとおり誤りであるすなわち刊行物1718はいずれもパチンコ機に関する技術であって,パチンコ機とスロットマシンを包含した上位概念である「遊技機」を想定して,その「遊技機」に共通する技術分野が存在するとするのは妥当を欠く。一見すると,省電力に関する技術であれば,パチンコ機であるかスロットマシンであるかを問わず技- 11 -術は共通するように考えられるが,両者は「遊技者が遊技の途中で遊技機,を離れたか否か」を検出する手段において相違するから,パチンコ機に関する技術を,スロットマシンを包含する「遊技機」に関する技術であると認定することはできない。 ( )周知技術2の適用を想到容易とした判断の誤り 審決は,上記周知技術2を「煩わしい音低減のための技術として適用す,ることに,格別の困難性はない」として(審決書33頁21行~24行,)実質的に容易想到である旨判断している。 しかし,周知技術2を前提としても,これを刊行物1に記載された発明におけるBBゲームに応じたBB効果音の制御に適用することは,容易とはいえない。 まず,刊行物17,18の発明は,パチンコ機に関する技術であるから,上記のとおり,スロットマシンに適用するには容易ではない。また,周知技術2の省電力技術は遊技場経営者の経費削減等を主目的とするものであって,遊技者へのサービスを主目的とするBB遊技中のBB効果音の制御の場面でそうした技術を適 に適用するには容易ではない。また,周知技術2の省電力技術は遊技場経営者の経費削減等を主目的とするものであって,遊技者へのサービスを主目的とするBB遊技中のBB効果音の制御の場面でそうした技術を適用することは容易とはいえない。 本件訂正発明1は,BB遊技中の遊技者自身やその周辺の他の遊技者のためにBB効果音を低下させる発明であって,省電力を目的とする発明ではな,。 ,いから周知技術2とは相容れないスロットマシンのBB遊技中において周知技術2の技術を適用すると,一定の場合にBB効果音を下げるのみならず,スロットマシンの液晶表示装置で行われる遊技演出(本件訂正明細書の段落【0092】参照)についても画面を暗くする等の制御をするのが自然であるから「特別の遊技状態に応じた遊技音を下げる」だけでは液晶表示,装置等の電力消費を低減する構成を有しない。 また,BB遊技中のBB効果音(特別の遊技状態に応じた遊技音)は,「」。 ,BB遊技中に下げないのが当業者にとっての技術常識であったしたがって- 12 -BB遊技中にBB効果音を下げる技術は,この技術常識に反するから,BB遊技中のBB効果音の制御に周知技術2を適用することは容易とはいえない。 取消事由4(社会生活上一般的に行われている技術」の認定の誤り)「審決は「操作者等の存在時での通常の使用態様における各種機器音が操作,者等の不在時には周囲への煩わしい音となり得るという認識のもと,各種機器音の出音を下げ調整する」ことが「社会生活上一般的に行われている技術」,であると認定する(審決書34頁10行~12行。 )しかし,審決の認定は,以下のとおり誤りである。 社会生活において,操作者が不在で,かつ,煩わしい音が出され続けている状態が発生することは稀である。 また,そのような煩わしい音 頁10行~12行。 )しかし,審決の認定は,以下のとおり誤りである。 社会生活において,操作者が不在で,かつ,煩わしい音が出され続けている状態が発生することは稀である。 また,そのような煩わしい音が出されている場合に,社会生活上一般的に,そのような出音を下げ調整されていることについての立証はない。審決は,そうした技術が一般的なものであるとの根拠として,特開平9-83278号公報(甲6の1)及び特開平5-199307号公報(甲6の2)を引用する。 しかし,これらは,操作者が不在であるときに音量を下げることが社会生活上一般的に行われていることの根拠となるものではなく,また,仮にこれらの記載事項が当業者には知られていたとしても,社会生活上一般的に行われていたとは認められない。 取消事由5(特許法150条5項の手続違反)審判手続において,相違点2の容易想到性の判断に当たり,特開平9-83278号公報(甲6の1,特開平5-199307号公報(甲6の2)を職)権で取り調べ(特許法150条1項「車載用音響機器について車内の乗員),の在・不在を検出して車載用音響機器から出力される音量を制御する技術甲」(6の1,及び「ボタン電話装置において操作者の在席不在席を検出して着信)音量を調整する技術(甲6の2)から「操作者等の不在時には各種機器の」,- 13 -出音を下げ調整することを社会生活上一般的に行われている技術」を認定した(審決書33頁25行~35行。 )審判手続において職権証拠調べが行われた以上,原告に特許法150条5項に基づき意見申立機会が付与されなければならないにもかかわらず,原告に意見申立機会が付与されなかった点に審判手続上の瑕疵がある。上記の手続瑕疵は,審決の結論に影響する。 取消事由6(理由不備の違法)審決には 立機会が付与されなければならないにもかかわらず,原告に意見申立機会が付与されなかった点に審判手続上の瑕疵がある。上記の手続瑕疵は,審決の結論に影響する。 取消事由6(理由不備の違法)審決には,以下のとおり,相違点2中の「特別の遊技が行われる際に前回遊技における」及び「特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げる」の点に係,。 る容易想到性の判断について何ら理由を示していない理由不備の違法があるまず,本件訂正明細書においては「遊技」と「特別の遊技」及び「遊技,,状態」とは,意義が異なるにもかかわらず,審決はその相違を認識してない。 本件訂正明細書によれば,スロットマシンにおける「遊技」は「遊技者がス,タートレバーを操作することで,複数のリールの図柄が変動表示され,遊技者が複数の停止ボタンをそれぞれ操作することで,複数のリールの図柄が停止表示される」ことを意味する(段落【0017】参照)のに対して「特別の遊,技(例えば,ビッグ・ボーナス・ゲーム(BBゲーム。段落【0004)」)】は,上記「遊技」の一回の遊技を意味するのではではなく,複数集合したものを意味する(段落【0035。また「遊技状態」における「遊技」は「特】),,別の遊技」を意味すると解すべきである。この点は,本件訂正発明1の請求項1に「遊技がされていない状態が検出されたときに前記特別の遊技状態に応じ」,「」,「」たと記載され上記1回の遊技が終了した場合であっても遊技状態。 ,は依然として継続していることが示されていることから明らかである審決が「相違点2」において,本件発明の「特別の遊技」及び「特別の遊技状態」について一切触れていない点に理由不備の瑕疵がある。これは,本件訂正発明1における「特別の遊技」及び「特別の遊技状態」と単なる が「相違点2」において,本件発明の「特別の遊技」及び「特別の遊技状態」について一切触れていない点に理由不備の瑕疵がある。これは,本件訂正発明1における「特別の遊技」及び「特別の遊技状態」と単なる「遊技」の相違を認- 14 -識しなかったことに由来する。 また,審決は,相違点2の容易想到性の判断について,引用発明,刊行物2に記載された発明,周知技術(本訴における甲5の3~7,17,18)及び社会生活上一般的に行われている技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものと認定しているが(審決書34頁20行~25行,いずれも「特別の遊),技が行われる際に前回遊技における」及び「特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げる」という構成は何ら記載されていないにもかかわらず,この点についての認定,判断過程を示さなかった点において,理由不備の違法がある。 第4取消事由に係る被告の反論本件訂正発明の進歩性についての審決の認定判断は正当であり,手続上の瑕疵もないから,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 取消事由1(刊行物2に記載された技術の認定の誤り)について原告は,刊行物2記載の発明におけるデモンストレーションは,聴覚的なものを含まないと主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 刊行物2の段落【0015【0016】の記載,特に段落【0016】】,に「スピーカー26の音量を小さくしたり」との記載があることに照らすならばそのような制御が行われる前にスピーカー26から出音されていた音量制,(御前の音量)は,制御が行われた後の音量(制御後の音量)よりも大きいことは自明である。また,同段落に「スピーカー26を動作しないようにする」との記載があることに照らすならば,制御前にスピーカー26から出音されていた音量が,制御後には出音 制御後の音量)よりも大きいことは自明である。また,同段落に「スピーカー26を動作しないようにする」との記載があることに照らすならば,制御前にスピーカー26から出音されていた音量が,制御後には出音されなくなることも自明である。 したがって,音量に関する制御であるから,聴覚的な制御を含んでいることは明らかである。 なお,原告は,刊行物2記載の発明は「デモンストレーション中には,デ,モンストレーション音を遊技音よりも小さい音量で新たに出音するパチンコ- 15 -機」であると主張する。しかし,仮に同発明の内容が,原告の主張するとおりであったとしても,審決の認定の当否に影響を及すものではない。すなわち,審決は,刊行物2記載の発明について,遊技がされていない状態が検出されたときに,それまでに出音されていた音量を下げた出音態様を実行する技術が開示されていると認定したのであって,音の種類については言及していない。 取消事由2(相違点2について,刊行物2記載の発明の適用を想到容易と判断した誤り)について( )原告は,パチンコ機とスロットマシンでは遊技操作が異なり「遊技さ ,れていない状態」も異なると主張するが,原告の主張は,以下のとおり失当である。 刊行物2記載の発明の適用が容易であるか否かを判断する上で重要な点は「遊技がされていない状態を検出する状態検出手段」という技術が刊行物2に記載されているか否かである。この点に関して,審決は,刊行物2に記載されたパチンコ機について「スロットマシン」ではないものの「遊戯者,,による遊戯操作の有無を操作ハンドル10への触手の有無としてこれをタッチスイッチ17により検知し,操作ハンドル10への触手がなくタッチスイッチ17がオンすると,その一定時間経過後に,遊戯場内の騒音を増大しないようにスピーカー ンドル10への触手の有無としてこれをタッチスイッチ17により検知し,操作ハンドル10への触手がなくタッチスイッチ17がオンすると,その一定時間経過後に,遊戯場内の騒音を増大しないようにスピーカー26から発生する音声の音量を小さくしたりスピーカー26を動作しないようにすることが好ましいデモンストレーションを実行させるようにした制御手段を備えたパチンコ機」においては「遊戯操作のない状態」が「遊技がされていない状態」であるから「遊技がされていない状,態を検出する状態検出手段」という技術が記載されていると的確に認定しているのであり,審決に認定,判断の誤りはない。 本件訂正発明1において,重要な意味があるのは,遊技がされていない状態が検出されたときに,それまでに出音されていた音(煩わしい音)の音量を下げる点であるから,相違点2に係る容易想到性を判断するに当たり,ス- 16 -ロットマシンとパチンコ機の遊技操作の違いが影響を及ぼすことはない。 ( )原告は,スロットマシンの「特別の遊技状態」とパチンコ機の「特別の 」,,,遊技状態とは異なると主張するが原告のこの点の主張も以下のとおり失当である。 本件訂正発明1は,特別の遊技状態に応じた遊技音が継続的に出音され続けることを前提として,当該遊技音が煩わしい音となった場合にその音量を下げることを特徴とする発明であるから,下げる音の対象は「特別の遊技状態に応じた遊技音」ではあるものの「遊技者に現在の遊技状態が特別の遊,技状態としてのBBゲームやRBゲームであることを確認させるため」という技術的意義を有するものではなく,単なる「騒音」としての意義しか有しない。そうすると,相違点2に係る構成の容易想到性を判断するに当たっては「特別の遊技状態」を重要な考慮要素とすべきではなく「継続的に出 術的意義を有するものではなく,単なる「騒音」としての意義しか有しない。そうすると,相違点2に係る構成の容易想到性を判断するに当たっては「特別の遊技状態」を重要な考慮要素とすべきではなく「継続的に出,,音している場合に,何らかの状態を検出したときに,当該音の音量を下げる構成」であるか否かを考慮要素として判断すべきである。 また,原告は,1つの継続した音の音量を下げる技術と,異なる種類の音を小さな音量で新たに出音する技術とは相違すると主張するが,原告のこの点も以下のとおり失当である。上記のとおり,本件訂正発明1は,遊技がされていない状態が検出されたときにそれまでに出音されていた音(煩わしい音)の音量を下げることに重要な意味があるのであるから,相違点2に係る構成の容易想到性を判断するに当たっては,状態検出前の音の種類と状態検出後の音の種類の相違を重要な考慮要素とすべきでなく「状態検出前の音,が『煩わしい音』について音量を下げる構成があるか否かを考慮要素として判断すべきである。 したがって,引用発明に,刊行物2に記載された発明を適用することは容易であるとした審決の判断に誤りはない。 取消事由3(周知技術の認定,判断の誤り)について- 17 -( )周知技術1の認定の誤り 原告は,審決が,引用例3~7から「遊技されていない状態」に係る技,術が周知技術であると認定した点に誤りがあると主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 本件訂正発明1の技術的課題は「遊技がされていないにもかかわらず継,続的に出音している音量に対する騒音対策」であり「状態検出手段」は,,「遊技が所定時間なされていない状態を検出する」ためのものであるから,いかなる遊技状態にあるか,遊技者が遊技台を占有しているか否かは重要ではない。ボーナスゲーム(特別の遊 り「状態検出手段」は,,「遊技が所定時間なされていない状態を検出する」ためのものであるから,いかなる遊技状態にあるか,遊技者が遊技台を占有しているか否かは重要ではない。ボーナスゲーム(特別の遊技状態)中の遊技音と全くゲームの「」行われていない空き台状態のデモンストレーション音とに実質的な差異はない「遊技者がいるが遊技がなされていない状態」も「全くゲームの行われ。 ていない空き台状態」も「遊技がされていない状態」であることにおいて,差異はなく「遊技がされていない状態」が検出されたときに「継続的に出,音されている音量を下げる」点においては変わりはない。 以上のとおり,本件訂正発明1の「状態検出手段」は「遊技が所定時間,なされていない状態を検出する」ためのものであるから,審決が,刊行物3ないし7には,いずれも所定時間「遊技がされていない状態」を検出する状態検出手段が記載されているとした周知技術1の認定に誤りはない。 ( )周知技術1の適用を想到容易とした判断の誤り 刊行物3ないし7の記載に基づいて認定された周知技術は,所定のタイミングを基準として遊技がされていない状態を検出する状態検出手段により遊技がされていない状態が検出された場合に,その状態を表示或いは効果音等の手段で報知するという点で,刊行物2に記載された発明と同じであり,相違するのは刊行物2に記載された発明が音量を下げるという点である。 本件訂正発明1も,特別の遊技状態の場合に遊技がされていない状態を検出したときに,それまでに出音されていた遊技音の音量を下げて出音するこ- 18 -,「」。 とにより遊技がされていない状態を報知する構成を有するものであるしたがって,周知技術1が「報知」を目的とする点があったとしても,相違点2に関する容易想到性を判断するに当 8 -,「」。 とにより遊技がされていない状態を報知する構成を有するものであるしたがって,周知技術1が「報知」を目的とする点があったとしても,相違点2に関する容易想到性を判断するに当たり,これを適用することについて阻害要因はない。 ( )周知技術2の認定の誤り 既に述べたとおり「遊技がされていない状態を検出する」状態検出手段,において,パチンコ機とスロットマシンの違いは何らの影響を及ぼすものではない。 この点は,刊行物17,18においても同様であり,さらに省電力の技術についてもパチンコ機とスロットマシンの違いは何らの影響を及ぼすものではない。 ( )周知技術2の適用を想到容易とした判断の誤り 審決が,相違点2の容易想到性の判断に当たり,周知技術2の適用を想到容易とした点に誤りはない。 まず,省電力技術は遊技場経営者の経費削減等を主目的とするものであるとしても,スピーカの音は電気を利用して出音しており,大きな音を出音するにはより多くの電力を必要とすることは周知の事実であるから「スピー,カに関して,通電の大小と音の大小とが表裏一体の関係にあることが技術常識であることに鑑みれば,両者は,音量を下げるという意味での作用効果の点において同一であるこということができるから,刊行物17,18に記載されたパチンコ遊技機の省電力についての技術を,煩わしい音の低減のため,。」の技術として適用することに格別の困難性はないものというべきであるとの審決の認定に誤りはない。 また,本件訂正発明1は,特別の遊技状態に応じた遊技音が継続的に出音され続けることを前提に,当該遊技音が煩わしい音となった場合にその音量を下げるための発明であるから,下げる音の対象は「特別の遊技状態に応じ- 19 -た遊技音」ではあるものの,それは最早「遊技 音され続けることを前提に,当該遊技音が煩わしい音となった場合にその音量を下げるための発明であるから,下げる音の対象は「特別の遊技状態に応じ- 19 -た遊技音」ではあるものの,それは最早「遊技者に現在の遊技状態が特別の遊技状態としてのBBゲームやRBゲームであることを確認させるため」と,「」。 いう技術的意義を有するものではなく単なる騒音の意義しか有しないしたがって,遊技がされていない状態における特別の遊技状態に応じた遊技音(BB遊技中のBB効果音)は単に「煩わしい音」であるから(刊行物2で記載されたデモンストレーション音とに実質的な差違はない,BB遊)技中のBB効果音の制御に周知技術2を適用することに阻害要因はない。 取消事由4(社会生活上一般的に行われている技術」の認定の誤り)につ「いて)「操作者等の存在時での通常の使用態様における各種機器の通常の出音が操作者等の不在時には周囲への煩わしい音となり得る場合があることに鑑み,こ,」,れを考慮して操作者等の不在時には各種機器の出音を下げ調整することは周知の事実(顕著な事実)であるから,立証は不要である(特許法151条,民訴法179条。 )審決は,このことを前提に,その一例として特開平9-83278号公報及び特開平5-199307号公報を引用したにすぎない。 なお,各公報には「操作者等の不在時には各種機器の出音を下げ調整する」技術が記載され,その内容の認定に誤りもない。 取消事由5(特許法150条5項の手続違反)について( )原告は,審判手続で,職権証拠調べをしたにもかかわらず,意見申立て の機会を付与しなかった瑕疵があると主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 審決は,補完的に刊行物3ないし7(甲5の3~7)に記載された周知技術, たにもかかわらず,意見申立て の機会を付与しなかった瑕疵があると主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 審決は,補完的に刊行物3ないし7(甲5の3~7)に記載された周知技術,刊行物17,18(甲5の17,18)に記載された周知技術,さらに操作者等の存在時での通常の使用態様における各種機器音が操作者等の不在時には周囲への煩わしい音となり,各種機器音の出音を下げ調整するという- 20 -ことが社会生活上一般的に行われているとの事項,を適用することは容易想到であると判断した。 本件訂正発明1は,刊行物1,2に記載された技術のみから容易想到であるというべきであるから,審決の上記認定過程のいかんにかかわらず,容易想到性の判断に影響を及ぼすものではない。 ( )また,審決は「そもそも,操作者等の存在時での通常の使用態様におけ る各種機器の通常の出音が操作者等の不在時には周囲への煩わしい音となり得る場合があることに鑑み,これを考慮して,操作者等の不在時には各種機器の出音を下げ調整するというようなことは,例えば,‥‥‥記載されているように,社会生活上一般的に行われている技術でもある」という周知の。 事実を認定したのであって(審決書33頁25行~35行,特開平9-8)()()3278号公報甲6の1及び特開平5-199307号公報甲6の2は,周知事実の例示にすぎない。 上記周知事実は,上記各公報によらなくとも社会常識上認められる事実であるから,特許法150条1項に規定された職権による証拠調べが行われたものではない。したがって,上記各公報について原告に求意見の機会を付与しなければならないものではなく,特許法150条5項に違反する手続上の瑕疵は存在しない。 取消事由6(理由不備)について( )原告は,審決には って,上記各公報について原告に求意見の機会を付与しなければならないものではなく,特許法150条5項に違反する手続上の瑕疵は存在しない。 取消事由6(理由不備)について( )原告は,審決には,相違点2中の「特別の遊技が行われる際に前回遊技 における」及び「特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げる」の点に係る容易想到性の判断について理由不備の違法があると主張する。 しかし,原告のこの点の主張は,以下のとおり理由がない。 審決は「特別の遊技が行われる際に前回遊技における所定タイミング」,や「特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げる」という構成が訂正により付加されたことを前提として「そして,本件訂正発明1において,スロ,- 21 -ットマシンのボーナスゲーム中において大きな遊技音を継続的に出音させることの主な技術的意義が,遊技者に現在の遊技状態が特別の遊技状態としてのBBゲームやRBゲームであることを確認させるためのもの(本件特許明細書・段落【0005】等の記載を参照)であって,これにより,遊技者。 のスロットマシン遊技への期待感や興趣を高めるようにしたことなのであるから,それらBBゲームやRBゲームの遊技が行われているときに遊技者が離席するなどして当該遊技を中断した場合には,遊技者本人がスロットマシンに直接に対峙していない状態にあることに鑑みれば,当該遊技の際に出音する大きな遊技音は,遊技者本人にとっては,最早格別の意味を持たないものというべきであり,また,当該大きな遊技音が,他のスロットマシンの遊技者或いはそれ以外の周囲の者にとって,スロットマシン遊技への関心を高める等の効果を奏する作用をなさしめることはあるにしても,当該大きな遊技音は,常識的には,スロットマシンに直接に対峙していない遊技者本人をも含む全ての者にとって って,スロットマシン遊技への関心を高める等の効果を奏する作用をなさしめることはあるにしても,当該大きな遊技音は,常識的には,スロットマシンに直接に対峙していない遊技者本人をも含む全ての者にとって,煩わしい音というべき類の音に当たるものであろうことは,当業者ならずとも,容易に推察され得ることである(審決書。」32頁16行~31行)と認定,判断している。 審決は,遊技者本人が当該特別の遊技を中断した場合には,当該特別の遊技状態に応じた遊技音も最早格別の意味を持たず,遊技者本人を含むすべての者にとって単なる煩わしい音であると認定している。 審決の上記認定は,本件訂正明細書の【発明が解決しようとする技術的課題】の記載(段落【0006【0007)とも合致する。すなわち,本】,】件訂正発明1は,特別の遊技状態に応じた遊技音が継続的に出音され続けることを前提に,当該遊技音が煩わしい音となった場合にその音量を下げることを解決課題とした発明であるから,下げる音の対象は「特別の遊技状態に応じた遊技音」ではあるものの,それは最早「遊技者に現在の遊技状態が特別の遊技状態としてのBBゲームやRBゲームであることを確認させるた- 22 -め」という意味を有するのではなく,単なる「騒音」という意味しか有しない。 そうであれば,相違点2の容易想到性を判断するに当たり,相違点2に係る本件訂正発明1の構成を「継続的に出音している場合に,何らかの状態を検出したときに,当該音の音量を下げる構成」であると理解して検討すれば足りるというべきである。 ( )審決は,この点を正確に捉えた上で,相違点2について「刊行物1, ,2に記載された発明,並びに刊行物3~7,17,18に記載されたような遊技機の技術分野における周知の技術,及び,社会生活上一般的に行われて, 正確に捉えた上で,相違点2について「刊行物1, ,2に記載された発明,並びに刊行物3~7,17,18に記載されたような遊技機の技術分野における周知の技術,及び,社会生活上一般的に行われて,。」いる技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものといわざるをえないと認定判断したのであって理由不備はない。 第5当裁判所の判断当裁判所は,以下のとおり,本件訂正発明1は,引用発明及び刊行物2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものと解するものであり,本件訂正発明1と引用発明との相違点2について容易想到であるとした審決の認定判断に誤りがあるとする取消事由1ないし4は理由がなく,また,審判手続等に瑕疵があるとする取消事由5,6も理由がないと判断する。したがって,同様の理由により,本件訂正発明2ないし5の容易想到性についての審決の認定判断等に同様の誤りがあるとする原告の主張も理由がない。 取消事由1及び2(刊行物2に記載された技術の認定,相違点2の容易想到性の判断の誤り)について( )刊行物2に記載された技術の認定の誤りについて ア刊行物2(甲5の2,特開平7-51442号公報)の記載(ア)【特許請求の範囲】の記載【請求項1】所定の入賞玉受口器への玉流入を検知するセンサーと,前記センサーの玉検知に伴って作動し,数種の表示態様を有する複数個- 23 -の表示器の,その表示態様を順次変換して表示する可変表示手段と,前記表示手段の停止状態の表示態様に関係づけられた時間で,所定の入賞玉受口器を開放する制御手段とを備えてなるパチンコ機において,遊技者による遊戯操作の有無を検知する判定スイッチと,前記判定スイッチによって検知される,遊戯操作の無い状態で作動し,可変表示手段の駆動と,その停止とを,順次繰り返すデモンスト パチンコ機において,遊技者による遊戯操作の有無を検知する判定スイッチと,前記判定スイッチによって検知される,遊戯操作の無い状態で作動し,可変表示手段の駆動と,その停止とを,順次繰り返すデモンストレーション実行手段とを備えたことを特徴とするパチンコ機。 (イ)【発明の詳細な説明】の記載【0003【発明が解決しようとする課題】本発明は,‥‥‥遊戯を】,,,していない場合に遊戯板面においてデモンストレーションを行ない視覚的に,パチンコ機の機能を表示するようにすることを目的とするものである。 【0004【課題を解決するための手段】本発明は,前記構成のパチ】ンコ機において,遊技者による遊戯操作の有無を検知する判定スイッチと,前記判定スイッチによって検知される,遊戯操作の無い状態で作動し,可変表示手段の駆動と,その停止とを,順次繰り返すデモンストレーション実行手段とを備えてなるものである。 【0005【作用】遊戯をしていない間に,遊戯板面の複数個の表示】器を駆動してデモンストレーションを行うようにしたから,パチンコ機の機能を遊戯者に視覚的に知得させることができる。 【0006【実施例】‥‥‥】【0007】‥‥‥中央処理装置CPUには,情報検出回路14が接続している。前記情報検出回路14は,その入力装置として球検出センサー15,16及び押釦スイッチ11と,さらに,操作ハンドル10に設けられて,遊戯者による遊戯操作の有無を検知するタッチスイッチ(判定スイッチ)17とが接続されており,各センサーからの入力信号を‥- 24 -‥‥前記中央処理装置CPUに送る。‥‥‥0009次に中央処理装置CPUの出力側には表示駆動回路可【】,,(変表示手段)22と,スピーカー駆動回路23と,ソレノイド駆動回路24とが夫々接続されて 装置CPUに送る。‥‥‥0009次に中央処理装置CPUの出力側には表示駆動回路可【】,,(変表示手段)22と,スピーカー駆動回路23と,ソレノイド駆動回路24とが夫々接続されている。‥‥‥スピーカー駆動回路23は,同じく音制御信号に基づき,パチンコ機1裏面に設けられたスピーカー26を鳴らす。‥‥‥【】,,0011‥‥‥前記スピーカー26は前記入賞の態様に対応して,,。 例えば前記LED表示器3ab3cの循環駆動時に音声を発生する‥‥‥【0012】次に本発明の要部を説明する。前記ROMには,前記タッチスイッチ17により,遊戯者による遊戯操作のない場合にのみ実行するデモンストレーションプログラムが書き込まれている。ここでタッチスイッチ17は,遊戯者が操作ハンドル10を触手している場合には,オフとなり,開放するとオンとなるものである。前記デモンストレーションの態様は,(イ)LED表示器3a,3b,3cの表示内容と,入賞玉受口器5の開放時間の関係を明示するインストラクションを実行するもの()『』,ロフィーバー状態と通常の乱数表を用いたものを交互に表示しその内容に伴い入賞玉受口器5を開放するもの(ハ『フィーバー』状態又は,通常の乱数表を用いたもののみを表示)し,その内容に伴い入賞玉受口器5を開放するもの等種々の実行態様があり得る。 【0013】図3は,前記(イ)を実行するためのフローチャートの一。 ,,例を示すすなわち前記タッチスイッチ17のオンによりスタートしステップ1で,指数Nを1に設定し,ステップ2で遊戯板面2のLED 表示器3a,3b,3cを所定時間循環駆動させるためのタイマT- 25 -をオンとし,さらにステップ3で,LED表示器3a,3b,3cを駆動する。前記タイマーT テップ2で遊戯板面2のLED 表示器3a,3b,3cを所定時間循環駆動させるためのタイマT- 25 -をオンとし,さらにステップ3で,LED表示器3a,3b,3cを駆動する。前記タイマーTのタイムアップ信号により,ステップ5に ,,,,,移行し指数Nを判別しN=1の場合にはLED表示器3a3b3cに『7・7・7』を表示し,前記ソレノイド6の駆動時間を設定するタイマTを30秒に設定し,かつソレノイド6を駆動して入賞玉 受口器5を開放する。当該時間消化後,タイマTのタイムアップ信 号に基づきステップ10でソレノイド6が駆動解除する。この後ステップ11で指数Nに1を加えて後,ステップ2に戻る。さらにステップ5,,『』,で選択的に分岐して次のルーチンに移行し2・2・2の表示と該表示に伴う入賞玉受口器5の5秒間の開放がなされる。このように,前記指数Nの1加算に伴い,その循環毎に次のルーチンに移行して,順次当り表示がなされ,一巡すると再びステップ1に移行する。 【0014】前記の態様は一例であって,その他,遊戯板面2上には種々のデモンストレーションの態様,例えば,LED表示器3a,3b,3cだけのデモンストレーション又は入賞玉受口器5だけのデモンストレーション等の態様を生じさせることができる。 【0015】なお,タッチスイッチ17により遊戯者による遊戯操作の無い場合にのみ,前記デモンストレーションが実行されるが,前記入賞玉受口器5の開放を伴う場合には,確実に,前記デモンストレーション中に入賞玉受口器5に打玉が入らないように次の構成を施すことが好ましい。 (a)タッチスイッチ17のオン作動を同時に,発射レール基端位置に打球を供給する供給孔を遮断する。‥‥‥(b)‥‥‥タイマーをステップ1の前に介装 玉が入らないように次の構成を施すことが好ましい。 (a)タッチスイッチ17のオン作動を同時に,発射レール基端位置に打球を供給する供給孔を遮断する。‥‥‥(b)‥‥‥タイマーをステップ1の前に介装して,一定時間経過後にのみデモンストレーションを実行するようにする。 【0016】その他,前記デモンストレーション中は,遊戯場内の騒音- 26 -を増大しないように,スピーカー26の音量を小さくしたり,動作しないようにすることが好ましい。 【0017【発明の効果】本発明は,上述のように,遊戯していない】間に,遊戯板面2のLED表示器3a,3b,3cを駆動してデモンストレーションを行うようにしたから,パチンコ機1の機能を遊戯者に視覚的に知得させることができ,遊戯操作への興味を刺激することができ,。」てこの種パチンコ機の顧客吸引力を高め得る等の優れた効果があるイ刊行物2に開示された技術の内容について上記によれば,刊行物2には,遊技者による遊技操作の有無を検知する判定スイッチと,前記判定スイッチによって検知される,遊技操作のない状態で作動し,可変表示手段の駆動とその停止とを順次繰り返すデモンストレーション実行手段とを備え(特許請求の範囲,段落【0004,】)遊技をしていない間にデモンストレーションを行うようにした(段落【0 【0005【0017)パチンコ機に関する発明が記載され】,】,】ており,その実施例の説明として,デモンストレーション中は,遊技場内の騒音を増大しないように,入賞の態様に対応して音声を発生する(段落【0011)スピーカー26の音量を小さくしたり,動作しないように】することが好ましい(段落【0016)ことが記載されている。 】そうすると,刊行物2には,遊技操作の有無を検知して,遊技操作のない状態では )スピーカー26の音量を小さくしたり,動作しないように】することが好ましい(段落【0016)ことが記載されている。 】そうすると,刊行物2には,遊技操作の有無を検知して,遊技操作のない状態では,デモンストレーションを行うとともに,遊技場内の騒音を増大しないよう,入賞の態様に対応して音声を発生するスピーカー26の音量を小さくしたり動作しないようにする,パチンコ機に関する技術が開示されているものと認められる。 ウ原告の主張に対して原告は,刊行物2には「遊技がされていない状態が検出されたとき,その一定時間経過後に,音量を下げた出音態様(デモンストレーション)を- 27 -実行する」という音量の変化等に関する聴覚的な技術は開示されていないと主張する。 しかし,刊行物2には,段落【0016】に【実施例】として「そ,,の他,前記デモンストレーション中は,遊戯場内の騒音を増大しないように,スピーカー26の音量を小さくしたり,動作しないようにすることが好ましい」として聴覚的事項に言及した記載がある。そして,デモンストレーション中にスピーカー26の音量を小さくしたり,動作しないようにするための具体的な構成を得ることは,刊行物2に記載がなくても,当業者であれば設計的に適宜なし得る程度の事項であるから,刊行物2の段落【0016】の記載によって,当業者は,刊行物2は遊技操作のない状態では音量を下げる技術を開示するものと理解すると認められる。 この点の原告の主張は,失当である。 ( )相違点2に係る容易想到性の判断の誤りについて ア 判断 (ア)引用発明は,特別の遊技が行われる際にそれに応じた遊技音の出音を制御する出音制御手段を備えたスロットマシンである点で本件訂正発明1と一致し(争いがない,入賞の態様に対応して音声を発生する。)遊技機 発明は,特別の遊技が行われる際にそれに応じた遊技音の出音を制御する出音制御手段を備えたスロットマシンである点で本件訂正発明1と一致し(争いがない,入賞の態様に対応して音声を発生する。)遊技機である点において,刊行物2に開示された上記イの技術と共通するものであるから,引用発明において特別の遊技が行われる際についても,遊技操作のない状態,すなわち,遊技がされていない状態が検出されたときに,遊技場内の騒音を増大しないようにするため,特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げることは,刊行物2に開示された技術に基づいて,当業者が容易になし得る程度のことである。 (イ)その際,音量をどのようなタイミングで下げるかに関して,刊行物2記載のパチンコ機は,遊技者が操作ハンドルに触手することにより遊技が行われるものであり,その実施例として,遊技操作の有無を検知す- 28 -る判定スイッチを,遊技者が操作ハンドル10を触手している場合にはオフとなり,開放するとオンとなるタッチスイッチ17とし(段落【0 ,一例として,タッチスイッチ17のオン,すなわち遊技者】)が操作ハンドル10を離すことによりデモンストレーションがスタートする(段落【0013)ことが記載されている。 】,,,引用発明のスロットマシンはメダルの投入スタートレバーの押下ストップボタンの押圧等の操作(刊行物1の段落【0083】~【0088】参照)が間欠的に行われるものであって,刊行物2記載のパチンコ機のように,遊戯者が操作ハンドルに触手することにより遊技が行われるものではなく,遊技が行われていないことを直接的に検出できるも,,のではないことに照らすならば音量を下げるタイミングを計る契機を前回遊技における所定のタイミングとし,これから所定時間経過したと,,き遊技 遊技が行われていないことを直接的に検出できるも,,のではないことに照らすならば音量を下げるタイミングを計る契機を前回遊技における所定のタイミングとし,これから所定時間経過したと,,き遊技がされていなければこれを遊技がされていない状態として定めかかる状態が検出されたときに音量を下げることは,当業者が設計上適宜採用し得る程度の事項というべきである。 (ウ)そうすると,相違点2に係る本件訂正発明1の構成とすることは,刊行物2に開示された技術に基づいて,当業者が容易になし得る程度のことというべきである。 イ原告の主張に対して(ア)原告は,パチンコ機とスロットマシンでは基本的な構成等が相違するためスロットマシンの発明である引用発明においてBB遊技中特,,(別の遊技状態中)のBB効果音を制御しようとした場合,パチンコ機の技術を適用することに想到するのは容易でないと主張する。 しかし,前記のとおり,引用発明は,入賞の態様に対応して音声を発生する遊技機である点において,刊行物2に開示された技術と共通し,引用発明において特別の遊技が行われる際,遊技がされていない状態が- 29 -検出されたときに,遊技場内の騒音を増大しないようにするため,特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げることは,刊行物2に開示された技術に基づいて,当業者が容易になし得る程度のことといえる。この点の原告の上記主張は,失当である。 (イ)また,原告は,従来は,スロットマシンにおいて,特別の遊技状態中には,1回の遊技をしていない場合であっても,遊技者の気持ちを高ぶらせた状態を維持するために音量を維持することが技術常識であったが,本件訂正発明1は「特別の遊技状態中であって,かつ,1回の遊,技中ではない場合に音量を下げる」という点に特徴があるのに対して,刊行 せた状態を維持するために音量を維持することが技術常識であったが,本件訂正発明1は「特別の遊技状態中であって,かつ,1回の遊,技中ではない場合に音量を下げる」という点に特徴があるのに対して,刊行物2に記載の発明は,単に「1回の遊技中でない場合に音量を小さくする」技術であるから,同発明に基づいて,本件訂正発明1を容易に想到できるものではないと主張する。 しかし,刊行物2には,遊技操作のない状態では,遊技場内の騒音を増大しないよう,入賞の態様に対応して音声を発生するスピーカー26の音量を小さくしたり動作しないようにする,パチンコ機に関する技術が開示されているのであるから,引用発明において,特別の遊技が行われる際の遊技音についても,遊技がされていない状態を検出すれば,遊技場内の騒音を増大しないように音量を下げることは,刊行物2に開示された技術に基づいて,当業者が容易になし得る程度のことであって,そのようにすることに,何ら技術的な妨げはない。この点の原告の上記主張は,失当である。 上記の点に関連して,原告は,従来の技術常識として,特開2002-306670号公報,特開2002-282410号公報及び特開2002-800号公報(甲8の1~3)を挙げる。これらの公報は,いずれも本件出願の親出願の優先権主張日以降に出願された特許出願に係るものであるから,本件訂正発明1の容易想到性の判断に直接影響する- 30 -ものではない。のみならず,これらの公報には,従来の技術では,遊技が行われていない状態でも遊技音が出されていたとする記載があるが(甲8の1の段落【0002【0003。甲8の2の段落【001】,】 【0016。甲8の3の段落【0002【0003,いずれ】,】】,】)も,これを問題点として指摘するものであって,従来は,遊技 【0002【0003。甲8の2の段落【001】,】 【0016。甲8の3の段落【0002【0003,いずれ】,】】,】)も,これを問題点として指摘するものであって,従来は,遊技が行われていない状態での遊技音について意を用いることがなかった旨をいうにすぎず,これらの記載をもって,遊技をしていない場合であっても,遊技者の気持ちを高ぶらせた状態を維持するために音量を維持することが技術常識であるとか,当業者がこれに反する発想を採り得ないことを裏付けるものとはいえない。かえって,従来の状況でも,問題点が指摘されていることに照らせば,遊技が行われていない状態での遊技音を騒音と認識していたのであるから,遊技場の騒音の増大を防止する刊行物2開示の技術を適用することの阻害要因はないというべきである。 (ウ)さらに,原告は,刊行物2に記載の発明は「遊技がなされていない状態において出音されるデモンストレーション音の音量を遊技音よりも小さくして出音する」ものであるから「異なる種類の音を小さな音量,で新たに出音する」のに対して,本件訂正発明1は,単に「遊技がされていない状態が検出されたときに現在の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げる」ことであって,この点において相違するから,引用発明に刊行物2記載の発明の構成を適用したとしても,本件訂正発明1の構成に容易に想到できるものではないとも主張する。 しかし,引用発明における「BB効果音」は,本件訂正発明1における「遊技音」と同様に「継続的に出音」するものであるところ(審決書29頁21行~22行,争いがない,刊行物2に開示された技術が。)一つの継続した音の音量を下げる技術であるか否かにかかわらず,遊技がされていない状態が検出されたときに,遊技場内の騒音を増大しない- 31 -,,よ がない,刊行物2に開示された技術が。)一つの継続した音の音量を下げる技術であるか否かにかかわらず,遊技がされていない状態が検出されたときに,遊技場内の騒音を増大しない- 31 -,,ようにするため特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げることは刊行物2に開示された技術に基づいて,当業者が容易になし得るものというべきである。この点の原告の上記主張は,失当である。 取消事由3(周知技術の認定,判断の誤り)について以上のとおり,本件訂正発明1は,引用発明及び刊行物2記載の技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。したがって,周知技術(甲5の3~,,)(, 甲5の17 ないし社会通念上一般に行われている技術甲6の12)についての認定,容易想到性の判断の誤りをいう取消事由3,4は,審決の結論に影響を及ぼすものではないから,その当否について検討するまでもなく,原告の請求は理由がない。 念のため,以下のとおり判断することとする。 ( )周知技術1の認定の誤りについて ア原告は,刊行物3~7(甲5の3~7)には「遊技者のいない空き台,の状態「遊技者がいるが遊技がされていない状態」及び「遊技者がお」,り遊技がされているが入賞のない状態」という,それぞれ異なる状態における異なる技術が記載されており,統一された「遊技されていない状態」,。 が開示されているのではないから審決の認定には誤りがあると主張するしかし,原告の主張は,以下のとおり,理由がない。 イ刊行物3(甲5の3)には,遊技開始条件成立前の状態,及び,遊技開始条件成立後であって,遊技者がスタートスイッチ及びストップスイッチを操作することにより停止した図柄の態様を判断し,図柄の賞態様が成立している場合には賞メダルを払い出した後の状態,又は賞態様 遊技開始条件成立後であって,遊技者がスタートスイッチ及びストップスイッチを操作することにより停止した図柄の態様を判断し,図柄の賞態様が成立している場合には賞メダルを払い出した後の状態,又は賞態様が成立していない場合には入賞の判断が終了した後の状態,の各状態を遊技中でない,()と判断するスロットマシンに関する技術が開示され刊行物4甲5の4には,オフプレー状態が一定時間以上連続してゲームが開始されないことを検出した時に,あらかじめ定められ任意に設定されたモードに従って表- 32 -示手段を作動させる回胴式遊技機(スロットマシンを意味するものと認められる)に関する技術が開示され,刊行物5(甲5の5)には,遊技者。 が遊技をしていないいわゆる空き台である状態が一定時間以上継続した場合に,デモンストレーションのための効果音を,スピーカから発生させるスロットマシンに関する技術が開示され,刊行物6(甲5の6)には,所定時間経過しても始動入賞がない場合には,その遊技機で遊技している遊技者が存在していないと考えられるために,あらかじめ定められたアニメーションからなるデモ表示が開始されるようにしたパチンコ遊技機に関する技術が開示され,刊行物7(甲5の7)遊技が行われなくなってから予め定められた時間が経過していた場合に,変動表示部を用いたデモンストレーション処理を起動するパチンコ装置に関する技術が開示されていると認められる。 ウそうすると,刊行物3ないし7(甲5の3~7)には,スロットマシン(刊行物3ないし5)あるいはその他の遊技機(刊行物6,7)の技術分野において,所定のタイミングを基準にして遊技がされていない状態を検出する手段を備え(刊行物3ないし7,当該手段によって遊技がされて)いない状態が検出されたときに,直ちに(刊行物6,あるい 技術分野において,所定のタイミングを基準にして遊技がされていない状態を検出する手段を備え(刊行物3ないし7,当該手段によって遊技がされて)いない状態が検出されたときに,直ちに(刊行物6,あるいは,所定時)間経過後に(刊行物4,5,7,その状態を表示(刊行物4,6,7))や効果音(刊行物5)等により報知することが記載されており,このことは従来周知の技術であったことが認められ審決が刊行物3ないし7甲,,(5の3~7)に「遊技されていない状態」との事項が開示されていると,。 ,。 認定した点に誤りはないことになるこの点の原告の主張は理由がない( )周知技術1の適用を想到容易とした判断の誤りについて 原告は,刊行物3ないし5(甲5の3~5)記載のいずれの発明も,ゲームへの誘因やゲームの説明などのための「報知」を目的としており,およそ音量低下とは関係のない技術であるから,これらの発明を,引用発明におけ- 33 -るBB効果音の制御に適用することが容易であるとはいえないと主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり,理由がない。 スロットマシンあるいはその他の遊技機において,所定のタイミングを基準にして遊技がされていない状態を検出する手段を備え,当該手段によって遊技がされていない状態が検出されたときに,直ちに,あるいは所定時間経,,過後にその状態を表示や効果音等の形で報知する技術が周知であるところスロットマシンは,メダルの投入,スタートレバーの押下,ストップボタンの押圧等の操作が間欠的に行われるものであることからすれば,引用発明におけるBB効果音を制御することについて,刊行物2に記載された技術を適用する際に,音量を下げるタイミングを計る契機を前回遊技における所定のタイミングとし,これから所定時間経過したとき遊技がされ 明におけるBB効果音を制御することについて,刊行物2に記載された技術を適用する際に,音量を下げるタイミングを計る契機を前回遊技における所定のタイミングとし,これから所定時間経過したとき遊技がされていなければ,これを遊技がされていない状態として定め,かかる状態が検出されたときに音量を下げることは,当業者が設計上適宜採用し得る程度の事項というべきであるから,審決の判断は是認し得るものである。 ( )周知技術2の認定の誤りについて 原告は,審決が「遊技者が遊技の途中で遊技機を離れ,その状態が設定時間継続すると,スピーカを含む遊技機の電気装置の内の全て或いは一部への通電を遮断または低電圧化するなど通電状態を制御するという刊行物17,18に記載されたような遊技機の技術分野における周知の技術(審決書3」4頁6行~9行)と認定した点について,刊行物17,18(甲5の17,18)はいずれもパチンコ機に関する技術であって,パチンコ機とスロットマシンを包含した上位概念たる「遊技機」を想定して,その「遊技機」に共通する技術分野が存在するとの認定は誤りであると主張する。 しかし,パチンコ機とスロットマシンがいずれも「遊技機」である点で共通することに照らせば,審決の上記認定に誤りはない。原告の主張は理由がない。 - 34 -( )周知技術2の適用を想到容易とした判断の誤りについて ア原告は,①審決の認定する周知技術2に係る発明はパチンコ機の技術であるから,スロットマシンに適用するのは容易ではない,②周知技術2の省電力技術は遊技場経営者の経費削減等を主目的とするものであるのに対して,本件訂正発明1は省電力を目的とする発明ではなく,BB遊技中の遊技者自身やその周辺の他の遊技者のためにBB効果音を低下させる発明であるから,同技術を適用することは容易 的とするものであるのに対して,本件訂正発明1は省電力を目的とする発明ではなく,BB遊技中の遊技者自身やその周辺の他の遊技者のためにBB効果音を低下させる発明であるから,同技術を適用することは容易でないと主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 イ刊行物17甲5の17特開平10-174741号公報には発(,),「,,,,,射装置スピーカ電飾装置役物ソレノイド賞球モータ 可変表示装置等の電気装置の内の全て或いは一部に対して省電力モー ドを設定することができるパチンコ遊技機において,遊技者が遊技の途 中でトイレ等のためにパチンコ遊技機を離れた状態になったとき,その 状態が設定時間B継続しているか否かを検出し,設定時間B継続していると判断した場合には,メインコンピュータの電源は遮断も低電圧化もしないが,予め設定した省電力モードに対応して,パチンコ遊技機の上記電 気装置のうちの全て或いは一部への通電を遮断または低電圧化するなど通電状態を制御して,当該電気装置の電力の消費を節約でき,また,遊技の途中でパチンコ遊技機を離れた遊技者が戻ったときには遊技の続きを行 うことができるようにした,電源節約手段を備えたパチンコ遊技機」2。 ,(,)が記載され刊行物18甲5の18特開平10-216326号公報には「スピーカを含むパチンコ遊技機の電気装置の全てに対して省, 電力モードを設定することができるパチンコ遊技機において,遊技者が 遊技の途中で食事等のためにパチンコ遊技機を離れた状態になったと き,その状態が設定時間B継続しているか否かを検出し,設定時間B継続していると判断した場合には,予め設定した省電力モードに対応して, 技の途中で食事等のためにパチンコ遊技機を離れた状態になったと き,その状態が設定時間B継続しているか否かを検出し,設定時間B継続していると判断した場合には,予め設定した省電力モードに対応して,パ- 35 -チンコ遊技機の上記電気装置の内の全て或いは一部への通電状態を制御 して,当該電気装置の無駄な電力消費を抑制できるようにした,節電手段を備えたパチンコ遊技機」が記載されている(審決32頁34行~32。 3頁14行,争いがない。 。)上記によれば,パチンコ遊技機において,電力の無駄な消費を抑制する,,ために遊技者が遊技の途中で遊技機を離れた状態が設定時間継続するとスピーカを含む遊技機の電気装置の内のすべて,あるいは一部への通電を遮断又は低電圧化するなど通電状態を制御する技術は,従来周知のものであったことが認められる。 ウ周知技術2は,遊技機における通電状態の制御である点で,引用発明のBB効果音の制御ないし刊行物2記載の技術の出音態様の制御と共通するものであるから,遊技がされていない状態が検出されたときは音量を下げた出音態様を実行するという刊行物2に開示された技術を引用発明に適用する動機付けがあることをいうものと解される。周知技術2において,省電力による遊技場経営者の経費削減等を主目的とするものである点は,相違点2に係る本件訂正発明2に係る相違点2の構成を想到するに当たり,阻害要因にならないというべきである。また,パチンコ機とスロットマシンがいずれも「遊技機」である点で共通することに照らせば,容易想到性の判断に影響を与えないことは,前記( )で述べたとおりである。 取消事由4(社会生活上一般的に行われている技術」の認定の誤り)につ「いて( )原告は,審決が「操作者等の存在時での通常の使用態様における各種 いことは,前記( )で述べたとおりである。 取消事由4(社会生活上一般的に行われている技術」の認定の誤り)につ「いて( )原告は,審決が「操作者等の存在時での通常の使用態様における各種 ,機器音が操作者等の不在時には周囲への煩わしい音となり得るという認識のもと,各種機器音の出音を下げ調整する」ことが「社会生活上一般的に行,われている技術」であると認定したが(審決書34頁10行~12行,そ)もそも,社会生活において,操作者が不在で,かつ,煩わしい音が出音され- 36 -続けている状態自体,発生することは稀であり,実際にそのような技術が社会生活上一般的に行われていることについては,立証がないと主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 ( )すなわち,例えば,視聴者がいないのに出力され続けるテレビの音声に ついて,テレビを視聴しない者が,これを騒音と認識して音声出力を下げるようなことは,日常経験される顕著な事実といえるから「社会生活上一般,的に行われている技術」についての審決の認定に誤りはない。 審決には「社会生活上一般的に行われている技術」について「そもそ,,も,操作者等の存在時での通常の使用態様における各種機器の通常の出音が操作者等の不在時には周囲への煩わしい音となり得る場合があることに鑑み,これを考慮して,操作者等の不在時には各種機器の出音を下げ調整するというようなことは,例えば,特開平9-83278号公報に,車載用音響機器による周囲への騒音の持続防止を図る等の目的のために,乗員の不在を検出すると音響機器の音響信号系の出力音量を下げ,不在持続時間が時間設定部で設定された設定時間を経過すると前記音響信号系の電源を切るようにした技術が記載され,また,特開平5-199307号公報に,電話着信音 と音響機器の音響信号系の出力音量を下げ,不在持続時間が時間設定部で設定された設定時間を経過すると前記音響信号系の電源を切るようにした技術が記載され,また,特開平5-199307号公報に,電話着信音が周囲の人たちへの騒音とならないように,操作者が不在席の状態時には電話着信音量を小さくするようにした技術が記載されているように,社会生活上一般的に行われている技術でもある(審決書33頁25行~35行)。」と記載されているが,その中に「例えば」と説示されているとおり,社会,生活上一般的に行われている事項は,例示として示されたことが明らかであるから,審決の認定に誤りのないことは,証拠(甲6の1,2)について,個別的に評価検討するまでもなく,維持できるものといえる。原告の上記主張は,失当である。 取消事由5(特許法150条5項違反)について( )原告は,審決には,相違点2の容易想到性の判断に当たり,証拠(甲6 - 37 -の1,2)を職権で取り調べた(特許法150条1項)にもかかわらず,原告に対して,特許法150条5項の意見申立機会を与えなかった手続的瑕疵があると主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 ( )すなわち,前記3で述べたとおり,審決は,上記の「社会生活上一般的 に行われている技術」について,一般的な社会常識に照らして,証明を要するまでもなく認識できる事実,すなわち顕著な事実として掲記したものであって(前記のとおり,その認定内容に誤りはない,上記2件の公報につ。)いて特許法150条1項に規定する職権証拠調べを行ったものではない。 したがって,同条5項の意見申立機会が付与されなければならないとの原告の主張は,そもそもその前提を欠くものであり,審決に手続的瑕疵があるとの原告主張は,失当である。 なお 調べを行ったものではない。 したがって,同条5項の意見申立機会が付与されなければならないとの原告の主張は,そもそもその前提を欠くものであり,審決に手続的瑕疵があるとの原告主張は,失当である。 なお,仮に,原告が何らかの意見を述べる機会が与えられたとしても,審決の結論に影響を及ぼすものではないことは明らかである。 取消事由6(理由不備の違法)について( )原告は,審決の認定した,相違点2中の「特別の遊技が行われる際に前 回遊技における」及び「特別の遊技状態に応じた遊技音の音量を下げる」に係る容易想到性の判断について,何ら理由を示していないので,理由不備の違法があると主張する。 しかし,原告の主張は,次のとおり,失当である。 ( )まず,審決書の理由によれば,審決は「特別の遊技状態に応じた遊技 ,音の音量を下げる」点について,引用発明におけるBB効果音,すなわち特別の遊技状態に応じた遊技音を制御することについて,遊技されていない状態を検出する状態検出手段を備え,この状態検出手段によって遊技がされていない状態が検出されたとき,その一定時間経過後に,音量を下げた出音態様を実行することは,刊行物2に記載された発明に開示された技術を適用す- 38 -ることによって,当業者が容易に想到し得たものと判断したことが示されている。したがって,審決が,この点について,容易想到の理由を何ら示していないということはできない。 また,審決は「特別の遊技が行われる際に前回遊技における」から所定,時間経過したときに遊技がされていない状態を検出する点について,全体を見れば,引用発明におけるBB効果音を制御することについて刊行物2に開示された技術を適用する際に「所定のタイミングを基準にして遊技がされ,ていない状態を検出する手段を備え,当該手段によって遊 体を見れば,引用発明におけるBB効果音を制御することについて刊行物2に開示された技術を適用する際に「所定のタイミングを基準にして遊技がされ,ていない状態を検出する手段を備え,当該手段によって遊技がされていない状態が検出されたときに,直ちに,或いは,所定時間経過後に,その状態を表示や効果音等の形で報知するという刊行物3~7に記載されたような遊技機の技術分野における周知の技術」を適用することによって,上記の点は当業者が容易に想到し得たものと判断したことが示されている(その判断が是認し得ることは,前記2のとおりである。 。)以上のとおり,容易想到の理由を何ら示していないとする原告の上記主張は,失当である。 結論 以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,原告は,その他,縷々取消事由を主張するが,いずれも理由はない。審決にこれを取り消すべき誤りは見当たらない。 なお,本件特許については,本訴係属中の平成19年2月9日に原告が訂正審判を請求し(訂正2007-390015号,特許庁に係属中である)が,同審判事件においては,特許庁から,平成19年8月27日付け訂正拒絶理由通知書(平成19年9月4日付け原告上申書に添付)が発せられている。その記載内容に鑑みると,原告が,訂正拒絶理由通知書に対する意見書(平成19年10月10日付け原告上申書に添付)を提出していることを考慮しても,なお,本訴の判決について,上記訂正審判請求についての審決の- 39 -結果を待つ必要があるものとは認められない。 よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官飯村敏明裁判官三村量一裁判官上田洋幸 裁判所第3部裁判長裁判官飯村敏明裁判官三村量一裁判官上田洋幸
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