【DRY-RUN】主 文 原判決を取り消す。 被控訴人は、控訴人に対して、金三三三万三、三四〇円とこれに対する 昭和四三年七月一二日から完済まで年五分の割合による金員の支払をせよ。
主 文 原判決を取り消す。 被控訴人は、控訴人に対して、金三三三万三、三四〇円とこれに対する 昭和四三年七月一二日から完済まで年五分の割合による金員の支払をせよ。 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。 この判決は、控訴人において金一〇〇万円の担保を供するときは、仮り に執行することができる。 事 実 控訴代理人は、主文第一、二、三項同旨の判決と仮執行の宣言を求め、被控訴代 理人は、控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の主張と証拠関係は、次の一、二のとおり附加するほか、原判決の事 実摘示と同一であるから、これを引用する。 一、 控訴代理人は、次のように述べた。 (一) 原審は、前訴(広島地方裁判所昭和四三年(ワ)第八六一号事件)判決 の既判力を理由に本訴請求を棄却したが、控訴人は、前訴において、亡Aの負担し ていた債務を控訴人において代位弁済し、金五〇〇万円の求債権を有していたとこ ろ、B、被控訴人および控訴人が相続分各三分の一の割合によりAの遺産の共同相 続をしたから、Bと被控訴人に対して、各自、右求償金五〇〇万円の三分の一に相 当する金一六六万六、六六〇円の支払義務があると主張し、右金額の支払を請求し た結果、被控訴人に対し控訴人勝訴の確定判決を得たのであつて、原審も認定して いるとおり、被控訴人がAから包括遺贈を受け、右求償金債務の全額を承継したも のである以上、前訴判決は、控訴人の権利の一部を認容したものに過ぎず、控訴人 の本訴請求は、前訴判決の既判力に抵触するものではない。 (二) 控訴人は、前訴において、右包括遺贈に関する被控訴人等の主張事実を 否認していたものである。 二、 被控訴代理人は、次のように述べた。 (一) 控訴人は、前訴において、すでに、右包括遺贈の事実を ) 控訴人は、前訴において、右包括遺贈に関する被控訴人等の主張事実を 否認していたものである。 二、 被控訴代理人は、次のように述べた。 (一) 控訴人は、前訴において、すでに、右包括遺贈の事実を知つていたので ある。 (二) 若し、控訴人主張の本件求償債務が残存していたならば、前訴の勝訴判 決のあつた時点において、これを主張して右判決に対し控訴すべきであつた。しか るに、控訴人が、右判決確定後八カ月を経て本訴を提起したのは不当である。 (三) 控訴人主張の亡Aの借受金の大半は控訴人母子がその営業資金として使 用したものであるから、被控訴人において控訴人の代位弁済金全額を支払うべき義 務はない。 (四) 本訴は、控訴人が被控訴人を苦しめることを目的としたものであつて、 許されない。 理 由 成立に争いのない甲第一号証の一、二、三、甲第四、第六、第八、第九、第一〇 号証、弁論の全趣旨により成立を認め得る甲第二、第三号証によれば、Aが、昭和 三五年一月九日から昭和三八年五月三〇日まで、前後八回にわたり、合計金二八〇 万円を、原判決添付別表記載のとおりCから借り受け、控訴人が、右債務の担保と して、その所有不動産上に抵当権を設定したこと、そして、Aの死亡後昭和四三年 七月一一日、控訴人において、右債務元本金二八〇万円とこれに対する利息および 損害金合計金二二〇万円、総計金五〇〇万円をCに弁済したこと、並びにAの相続 人がその妻B、その子被控訴人、Aの嫡出でない子である控訴人及びDの四名であ ることが認められる。なお、被控訴人は、AのCよりの前記借受金の大半は控訴人 母子が使用したものである旨主張するけれども、右主張事実を認め得る証拠は存在 しない。 ところで、Aが、昭和四一年一一月一二日附遺言公正証書をもつて、同人の総財 産を共同相続人の一人 金の大半は控訴人 母子が使用したものである旨主張するけれども、右主張事実を認め得る証拠は存在 しない。 ところで、Aが、昭和四一年一一月一二日附遺言公正証書をもつて、同人の総財 産を共同相続人の一人である被控訴人に遺贈し、昭和四一年一二月一七日Aが死亡 したことは、当事者間に争いがない。 右の事実によれば、被控訴人は、包括遺贈により、Aの前記借受金債務を承継し たものであり、右債務の代位弁済をなした控訴人に対しては、その全額について求 償義務があるといわなければならない。 前記甲第六号証、成立に争いのない乙第一、第二号証並びに弁論の全趣旨によれ ば、控訴人は前訴(広島地方裁判所昭和四三年(ワ)第八六一号求償金請求事件) において、亡Aの共同相続人は前記四名であり、被控訴人及びAの妻Bの相続分は 各三分の一であるから、Aの債務のうち各三分の一を右両名において承継したと主 張し、控訴人において代位弁済した前記Aの債務五〇〇万円の三分の一に当る各金 一六六万六、六六〇円の支払を右両名に対し請求したこと、前訴の被告BはAにお いて被控訴人に対し包括遺贈をなした旨主張し、裁判所は右包括遺贈の事実を認め て被控訴人は控訴人に対し前示求償債務全額につき支払義務があるとなし、控訴人 のBに対する請求を棄却し、被控訴人に対する請求を認容したものであること、前 訴において控訴人は右包括遺贈の事実を否認し、前記共同相続人四名がAの遺産を 相続した旨主張していたことを認めることができる。 <要旨>右認定事実によれば、前訴において、控訴人は前記代位弁済金五〇〇万円 の三分の一に当る金一六六万六、六</要旨>六〇円につき被控訴人が共同相続人の一 人として支払義務があるものと主張し、被控訴人に対しその支払を請求し、右請求 が認容せられたものであるから、前訴において、控訴人は右請求が一部請求である 六</要旨>六〇円につき被控訴人が共同相続人の一 人として支払義務があるものと主張し、被控訴人に対しその支払を請求し、右請求 が認容せられたものであるから、前訴において、控訴人は右請求が一部請求である ことを明示して訴求していたものであるといえる。そして、一個の債権の一部につ いて判決を求める旨を明示して訴が提起された場合、右一部の請求についての確定 判決の既判力は残部の請求に及ばない(最高裁判所昭和三七年八月一〇日第二小法 廷判決、民集一六巻八号一七二〇頁参照)から、前訴判決において訴訟物となつて いなかつた前記代位弁済金の残部につき、被控訴人に対する包括遺贈を理由として その支払を求める本訴請求は、前訴判決の既判力に抵触するものではない。 また、本訴が被控訴人を苦しめることを目的として提起されたものであるとの被 控訴人の主張事実を認めるに足りる証拠は存在しない。 そうしてみると、控訴人が、被控訴人に対して、右求償金残額三三三万三、三四 〇円とこれに対する控訴人の代位弁済の日の後である昭和四三年七月一二日から完 済まで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴請求は、正 当として認容すべきものである。これと異なる趣旨の原判決は相当でないから本件 控訴は理由がある。 よつて、民事訴訟法第三八六条、第九六条、第八九条の規定を適用して、主文の とおり判決する。 (裁判長裁判官 松本冬樹 裁判官 浜田治 裁判官 村岡二郎)
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